JP2012067167A - 蛍光体、フェイスプレート及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

蛍光体、フェイスプレート及び画像表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光体の製造に際し、蛍光体の前駆体粒子1の結晶性を向上させる加熱処理工程における蛍光体粒子5の凝集を確実に防止できるようにする。
【解決手段】蛍光体の前駆体粒子1を有機樹脂3中に分散させて前駆体分散ペースト2とし、該前駆体分散ペースト2中の前記有機樹脂3を炭化させた炭素4の存在下で前記前駆体粒子1の結晶性を向上させて蛍光体粒子5とし、該蛍光体粒子5と前記炭素4の混合物を得る。その後、前記混合物を、前記蛍光体粒子5の凝集する温度未満で加熱処理することで、前記炭素4を除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、粒径が小さく、しかも発光輝度の高い蛍光体の製造方法、及びこれを用いたフェイスプレート及び画像表示装置の製造方法に関する。
FED(Field Emission Display)やPDP(Plasma Display Panel)等の平面型画像表示装置は、蛍光体を発光させることにより画像を表示するものである。これらの平面型画像表示装置においては、明るい画面を得るため、輝度の高い蛍光体が求められている。
一方、画像表示装置の高精細化が進むにつれ、1画素のサイズが小さくなり、使用される蛍光体粒子の小サイズ化が要求されている。
従来、高輝度で粒子サイズの小さな蛍光体の製造方法として、蛍光体の前駆体をたんぱく質中に分散させ、これを乾燥させた後、大気中で焼成して結晶生成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−277747号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、加熱処理工程において蛍光体同士が凝集し、蛍光体の粒子サイズが大きくなってしまい、輝度も低下してしまうことがあるという問題が生じていた。
本発明は、結晶性を向上させる加熱処理工程における蛍光体粒子の凝集を確実に防止できるようにすることを第1の目的とする。また、本発明は、これによって得られる高輝度で粒子サイズの小さな蛍光体を用いることで、高輝度で高精細なフェイスプレート及び画像表示装置を容易に得られるようにすることを第2の目的とする。
本発明の蛍光体の製造方法は、下記工程(a)乃至(c)を有することを特徴とする。
(a)少なくとも一部に非晶質部分を有する、蛍光体の前駆体粒子を有機樹脂中に分散させて前駆体分散ペーストを作製する工程。
(c)前記前駆体分散ペーストを、前記有機樹脂を炭化させ、しかも前記前駆体粒子の結晶化温度以上の温度で加熱処理することで、前記有機樹脂の炭化により生じた炭素の存在下で前記前駆体粒子の結晶性を向上させて蛍光体粒子とし、該蛍光体粒子と前記炭素の混合物を得る工程。
(d)前記混合物を、前記蛍光体粒子の凝集する温度未満で加熱処理することで、前記炭素を除去する工程。
また、本発明は、基板上に蛍光体膜及びアノード電極が設けられたフェイスプレートの製造方法において、前記蛍光体膜を、前記本発明に係る蛍光体の製造方法により製造された蛍光体で形成するフェイスプレートの製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、基板上に蛍光体膜及びアノード電極が設けられたフェイスプレートと、リアプレートとを有する画像表示装置の製造方法において、前記蛍光体膜を、前記本発明に係る蛍光体の製造方法により製造された蛍光体で形成する画像表示装置の製造方法を提供するものである。
本発明の蛍光体の製造方法によれば、焼成工程における蛍光体粒子の凝集を確実に防止することができ、高輝度で小さな粒子の蛍光体を効率良く製造することができる。また、本発明のフェースプレート及び画像表示装置の製造方法によれば、高輝度で高精細な画像表示が可能なフェースプレート及び画像表示装置を得ることができる。
本発明の蛍光体の製造方法の具体的なプロセスを示す図である。 カソードルミネッセンスを利用した画像表示装置(FED)の一例を示す図であり、(a)は画像表示装置の概略図であり、(b)は(a)の画像表示装置に含まれるフェイスプレートにおける第一の形態を示す断面概略図であり、(c)は(a)の画像表示装置に含まれるフェイスプレートにおける第二の形態を示す断面概略図である。
まず、本発明の蛍光体の製造方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の蛍光体の製造方法の具体的なプロセスを示す図である。以下、この図1を参照しながら各工程について詳細に説明する。
〔工程(a)〕
本発明の製造方法は、まず蛍光体の原料となる前駆体粒子1を作製する〔図2(a)〕。前駆体粒子1は、製造する蛍光体を構成するマトリックス成分(母体材料)と発光成分(付活剤)とを含有する粒子で、少なくとも一部に非晶質部分を有している。好ましくは結晶性の低い粒子であり、より好ましくは非晶質粒子である。マトリックス成分としては、カルシア、マグネシア、シリカ、ジルコニア等に由来する成分が挙げられる。発光成分としては、ユーロピウム、マンガン等の無機イオン成分が挙げられる。
本発明により作製する蛍光体は、後述する工程(d)の加熱処理が酸素を含む雰囲気下で行うことが好ましく、酸素によって悪影響を受けること無く工程(d)を行えるようにするために、酸化物の蛍光体であることが好ましい。工程(a)で作製する前駆体粒子1も酸化物粒子として作製することができる。
前駆体粒子1の粒子サイズは、中位径が1000nm以下の粒子サイズから選択される。好ましくは、中位径が500nm以下の粒子サイズが用いられる。尚、本発明において前駆体粒子1の粒径分布はあまり問題にはならないが、粒径分布が広い場合は遠心分離や分子ふるいによって粒径分布を適宜制御してもよい。
本発明において、中位径とは、統計的に求められる値であって、粒子径分布において粒子径Dより大きい粒子径の粒子の個数が全粒子の個数の50%を占めるときの粒子径(D50)によって定義される。尚、中位径は、メジアン径とも呼ばれる。一方、粒子径Dの分布は、球相当径に基づく粒子径の個数分布である。また球相当径は動的光散乱法又はレーザー回折散乱法を用いて計測することができる。他方、粒子径については、JIS Z8901−2006を参照することができる。
前駆体粒子1を作製する具体的方法としては、噴霧熱分解法、熱プラズマ法を用いることができる。
ここで熱プラズマ法は、原料粉末を熱プラズマで瞬間的に蒸発、冷却する方法である。これにより、所望の微粒子を作製することができる。熱プラズマを用いて微粒子を作製する際には、アルゴン、酸素、窒素、水素等のガス、又はこれらのガスのうち2種類以上を混合した混合ガスが用いられ、適宜最適なものを選択することができる。
熱プラズマ法で作製した前駆体粒子1としては、中位径でおよそ8nm乃至50nmの粒子サイズであって、結晶状態が非晶質のものが得られる。
熱プラズマ法を用いて前駆体粒子1を作製する場合は、原料粉末から目的とする含酸素無機蛍光物質に含まれる成分を有する焼成体を予め作製・用意するのが望ましい。製造する蛍光体がCaMgSi26:Euの場合では、焼成体を形成する際に、予めCa、Mg、Si、Euのモル組成比が蛍光体における組成比となるように原料粉末を調合してから焼成を行う。尚、焼成する際には、Ca、Mg、Si、Euが均一に拡散された粒子が作製されていればよく、適宜適切な焼成温度及び焼成時間を選択することができる。上記焼成体を作製する際に使用される原料粉末の粒子サイズは、1μm乃至30μm程度のものが用いられる。
一方、噴霧熱分解法は、原料溶液を噴霧して液滴化したのち、キャリアガス中でヒーターによって加熱し、溶媒の蒸発及び原料の熱分解により微粒子化することで前駆体粒子1を作製するものである。噴霧熱分解法を用いる際には、目的とする含酸素無機蛍光物質に含まれる成分を有する原料溶液を予め調製する必要がある。製造する蛍光体がCaMgSi26:Euの場合では、Ca、Mg、Si、Euのモル組成比が蛍光体における組成比となるように原料を調合し、所定の溶媒に溶解させることで原料溶液を作製する。噴霧熱分解法で使用されるキャリアガスとしては、空気、酸素、窒素、水素、又はこれらのガスのうち2種類以上を混合した混合ガスが用いられ、適宜最適なものを選択することができる。
噴霧熱分解法で作製した前駆体粒子1は、中位径でおよそ500nmの粒子サイズであって、結晶状態が非晶質のものが得られる。
また、中位径が1000nm以下であるならば、市販品の無機蛍光微粒子を前駆体粒子1として使用してもよい。
以上の説明のように、工程(a)にて作製される前駆体粒子1には、少なくとも一部に非晶質部分を有するものである。尚、この前駆体粒子1も、成分という観点からして「蛍光体」ともいえるが、少なくとも一部に非晶質部分を有するため発光輝度は低い。このため後の工程で結晶性を向上させる必要がある。
〔工程(b)〕
本発明の製造方法は、工程(a)の後、工程(a)で作製した前駆体粒子1を分散させた前駆体分散ペースト2を作製する〔図2(b)〕。この前駆体分散ペースト2を作製する際には、まず前駆体粒子1を分散媒に分散させて前駆体分散液を作製する。
分散媒は、有機溶媒、水等の溶媒を用いることができる。
ところで、分散媒中の前駆体粒子1の分散性を向上させるために、上記前駆体分散液に、分散剤をさらに含有させることが好ましい。ここで分散剤としては、一般に顔料を分散させるのに使用される公知の顔料分散剤を使用することができる。例を挙げれば、界面活性剤、顔料の中間体もしくは誘導体、染料の中間体もしくは誘導体、あるいは、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂型分散剤が挙げられる。上記各種分散剤の中でも、ポリエステル系及びアクリル系樹脂を使用するのが好ましい。特に、アクリル系樹脂を使用するのが好ましい。
ここで樹脂型分散剤は、市販品を使用することができる、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製の「DISPERBYK−130」、「DISPERBYK−161」、「DISPERBYK−162」、「DISPERBYK−163」、「DISPERBYK−170」、「DISPERBYK−171」、「DISPERBYK−174」、「DISPERBYK−180」、「DISPERBYK−182」、「DISPERBYK−183」、「DISPERBYK−184」、「DISPERBYK−185」、「DISPERBYK−2000」、「DISPERBYK−2001」、「DISPERBYK−2020」、「DISPERBYK−2050」、「DISPERBYK−2070」、「DISPERBYK−2096」、「DISPERBYK−2150」等を用いることが可能である。
特に、分散媒として有機溶媒を使用する際には、ビックケミー社製品の「DISPERBYK−2000」を使用するのが好ましい。
上記分散剤の含有量は、前駆体粒子1の粒径により異なり適宜調整される。例えば、前駆体粒子1の中位径が500nmの場合では、分散媒に対して5重量%乃至20重量%の範囲が好ましく、5重量%乃至10重量%の範囲がより好ましい。
また上記分散剤の含有量は、前駆体粒子1の表面積に比例する。即ち、同じ重量の前駆体粒子1であっても粒径が1桁ほど異なる場合、例えば、1μmの前駆体粒子(1g)と100nmの前駆体粒子(1g)とを比較した場合、両者の表面積は10倍ほど異なる。係る場合、粒径100nmの前駆体粒子を分散させるには、粒径1μmの前駆体粒子を分散させるのに使用する分散剤の量の10倍ほど入れる必要がある。
例えば、分散剤としてBYK−2000を使用した場合、前駆体粒子の粒径と分散剤の目安量との関係は、以下の表に示す通りである。
Figure 2012067167
尚、表1中の分散剤の目安量は、分散剤の種類(分子量の違い等)によって異なるが、表面積や粒径に対して反比例する関係は同じである。
一方、分散剤を投入した後において、前駆体粒子1は単一に分散されている状態になっていることが好ましい。ここで前駆体粒子1の分散状態は、SEM観察やレーザー回折散乱法で確認することができるが、このときSEM観察による粒子径分布とレーザー回折散乱法により得られる粒子径分布が等しくなる状態が好ましい。
ちなみに、投入する分散剤が多すぎると、分散剤の粒子同士が集まって再凝集する恐れがある。このため、例えば、下記(b1)乃至(b4)に示す方法で分散剤を漸次加えながら分散剤の投入量の最適化を行ってもよい。
(b1)粒径に対する分散剤の目安量の40重量%の分散剤を投入する
(b2)SEM観察やレーザー回折散乱法で前駆体粒子の分散状態を観察する
(b3)(b2)において分散状態がよくない場合は、分散剤を少しずつ追加する
(b4)以下、(b2)と(b3)を繰り返す
次に、前駆体粒子1を有機樹脂中に分散させることにより前駆体分散ペースト2が得られる。
有機樹脂3としては、低酸素雰囲気下、好ましくは、酸素濃度が10%以下である雰囲気下で加熱すると炭化して炭素が生成するものであれば特に限定されるものではない。好ましくは、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、セルロース系ポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリルポリマー等の有機高分子化合物である。ここでセルロース系ポリマーとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。尚、使用する有機樹脂3は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を適宜混合して使用してもよい。また市販品の有機高分子化合物を有機樹脂3として使用してもよい。
有機樹脂3の量は、前駆体粒子1の重量以上の量が好ましい。ところで有機樹脂3の投入量は前駆体粒子1の粒径に比例するが、後述する凝集防止効果は、後述する工程(c)で有機樹脂3が炭化されることで生成される炭素4が多いほどが強くなるため、有機樹脂3の量が多すぎるということに対する問題は生じない。
尚、有機樹脂3を投入する際には、予め有機樹脂3を溶剤に溶解させてなる有機樹脂溶液を調製した後、この有機樹脂溶液を前駆体粒子1が入っている分散液に投入し、攪拌することで前駆体分散ペースト2を作製することが好ましい。
前記溶剤としては、水あるいは有機溶剤又はこれらを混合した混合溶剤が用いられる。有機溶剤としては、好ましくは、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートが用いられる。
ところで、工程(b)で使用される有機樹脂3は、その熱分解終了温度が蛍光体の結晶化温度よりも低いことを要する。
ここで、熱分解終了温度とは有機樹脂3の熱重量分析において質量減少が終了する温度として定義される温度である。この熱分解終了温度を求めるには、実際に熱重量分析を行う必要がある。ここで熱重量分析において、特定の昇温レート(例えば、10±1℃/分)で加熱したときに、有機樹脂3が特定量減少したときの温度を下記表のように定義する。
Figure 2012067167
上記表に示される温度は、熱重量分析により描かれる質量減少曲線から求めることができる。尚、熱重量分析の詳細は、JIS K7120−1987を参照することができる。
工程(b)において作製される前駆体分散ペースト2は、加熱等によりペースト内に含まれる溶剤を揮発させ乾燥されることが好ましい。加熱により前駆体分散ペースト2を乾燥させる際には、真空乾燥炉を用いることができる。また乾燥温度は、ペースト内に含まれる溶剤が揮発する温度であって有機樹脂3の熱分解開始温度より低いことが好ましい。
ところで乾燥させた前駆体分散ペースト2に含まれる前駆体粒子1の分散の様子は、反射電子像を観測することにより確認できる。
〔工程(c)〕
工程(b)において前駆体分散ペースト2を作製した後、この前駆体分散ペースト2を加熱処理して、前駆体分散ペースト2中の有機樹脂3を炭化させる〔図2(c)〕。また、有機樹脂3の炭化と同時又は有機樹脂3を炭化させた後、前駆体粒子1をその結晶化温度以上の温度で加熱処理することで、有機樹脂3の炭化により生じた炭素4の存在下で前駆体粒子1の結晶性を向上させて蛍光体粒子5とする。これにより、蛍光体粒子5と炭素4の混合物を得る。
本工程で行われる加熱処理により得られる炭素4は、前駆体粒子1又は蛍光体粒子5間に介在するスペーサーの役割を果たす。そして、工程(b)は、この炭素4の存在下で前駆体粒子1の結晶性を向上させて蛍光体粒子5としているため、前駆体粒子1又は蛍光体粒子5同士の接触による凝集を防止しながら、駆体粒子1の結晶性向上による蛍光体粒子5の生成を行うことができる。炭素4の介在状態は特に限定されるものではないが、本工程の最終段階においては、例えば、図2(c)に示される蛍光体粒子5を被覆する被膜として、あるいは蛍光体粒子5の少なくとも一部に付着する塊状の炭素粒子として存在する。蛍光体粒子5を被覆する又は蛍光体粒子5に付着する炭素4の量は、本工程で得られる蛍光体粒子5と炭素4の混合物において、蛍光体粒子5の重量に対して4重量%以上であることが好ましい。尚、蛍光体粒子5間に介在する炭素4の量が少ないと、本工程で蛍光体粒子5同士が結合・凝集することがある。ここで蛍光体粒子5を被覆する又は蛍光体粒子5に付着する炭素4の量は、炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5の重量を微小重量計により測定し、予め計測した前駆体粒子1の重量を差し引くことで計測できる。
本工程において、前駆体粒子1はその結晶構造が変化し、結晶性が向上し、蛍光体粒子5となる。つまり、図2(c)で示される蛍光体粒子5は、図2(a)で示される前駆体粒子1と比較して結晶性が向上されている。
工程(c)の加熱処理温度は、前駆体粒子1の結晶化温度以上の温度である。ここで結晶化温度とは、少なくとも一部に非晶質部分を含む前駆体粒子1から結晶性粒子へ相転移する温度をいう。尚、蛍光体粒子5は、上記相転移によって単結晶になることが理想的であるが、少なくとも前駆体粒子1に対して結晶性が向上されていればよい。具体的には、蛍光体粒子5に含まれ得る微結晶等の他の結晶よりも粒径が大きく、かつ発光に大きく関与する単結晶状の主結晶が形成されていればよい。
ところで、工程(c)を行う際には、前駆体分散ペースト2を始めから蛍光体の結晶化温度以上の温度で加熱してもよい。これにより、前駆体分散ペースト2中の有機樹脂3の炭化と前駆体粒子の結晶性の向上を一括して行うことができる。一方で、この工程(c)を行う際に、前駆体分散ペースト2を有機樹脂3が炭化する温度で一定時間加熱した後、蛍光体の結晶化温度以上で加熱してもよい。これにより、有機樹脂3を確実に炭化させた上で前駆体粒子1の結晶性の向上を行うことができる。ここで有機樹脂3を炭化させる際に設定される温度は、有機樹脂3の標準温度以上であることが好ましく、有機樹脂3の熱分解終了温度以上であることがより好ましい。
工程(c)の加熱処理時間は、有機樹脂3が炭化してから、前駆体粒子1の結晶性が向上され、蛍光体粒子5が生成するまでの時間であり、前駆体粒子1の粒径に応じて適宜設定される。一般的には2時間乃至4時間である。
工程(c)は、炭素4の消失を抑制するため、低酸素雰囲気で行うのが望ましく、酸素濃度が10%以下の雰囲気下で行うのが好ましく、酸素濃度が20ppm以下の雰囲気下で行うことがより好ましい。工程(c)の加熱処理の雰囲気ガスとしては、例えば窒素、アルゴン、これらの混合ガス等を用いることができる。また、工程(c)は真空雰囲気下で行ってもよい。
尚、蛍光体粒子5を被覆する又は蛍光体粒子5に付着する炭素4の結晶構造は、非晶質であることが好ましい。ここで炭素4の結晶構造は、ラマン分光測定によって確認することができる。
一方、前駆体粒子1の結晶性を向上させる温度(蛍光体の結晶化温度)は、蛍光体を構成する材料に依存する。例えば、CaMgSi26:Euでは1000℃程度から前駆体粒子1の結晶性を向上させることが可能である。工程(c)の加熱処理温度が低いと結晶性が向上するまでの処理時間が長くなり、温度が高いと炭素4が消失しやすくなる。炭素4の消失抑制と処理時間を勘案すると、工程(c)の加熱処理は一般的に1100℃乃至1400℃で行うことが好ましい。
以下に、工程(c)によって生成される蛍光体の結晶子について説明する。ここで結晶子とは、単結晶としてみなせる粒子の内で最大のものを意味する。本発明における蛍光体粒子5のうち、その粒径が結晶子サイズより大きい場合は、蛍光体粒子5の1個中に結晶子と非晶質とが混在している状態、又は多結晶の状態にある。ここで結晶子のサイズが蛍光体粒子5の粒径に近づけば近づくほど、蛍光体粒子5の1個中に占める非晶質又は多結晶の領域が少なくなると共に単結晶の領域の割合が多くなる。これにより蛍光体粒子5の結晶性が向上する。
ここで、蛍光体粒子5の中位径が1000nm以下である場合は、蛍光体粒子5の結晶子サイズの上限は必然的に1000nmとなる。
尚、結晶子のサイズは、典型的にはX線回折測定から求めることが可能である。具体的には、回折線のプロファイルから、Scherrer法と呼ばれる方法によって算出することができる。ここでSherrerの式は、一般的に下記式(1)で表される。
Figure 2012067167
(d:結晶子サイズ、K:定数(=0.9)、λ:測定X線波長(Cu:15.4058nm)、β:回折線半値幅、θ:回折線のブラッグ角)
ここでX線回折測定を行う際には、標準セルに粉末を充填したものをサンプルとして測定する。ところで、結晶子サイズが100nmより大きな粒子においては、TEM観察や電子線回折分析等により結晶子サイズや結晶性を分析することができる。
次に、工程(c)で得られる炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5の評価方法について説明する。炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5の評価方法として、具体的には、X線回折測定を行う。これにより、前駆体粒子1と比べて蛍光体粒子5の結晶性がどれほど向上しているかが確認できる。一方、炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5の表面を観察すると、蛍光体粒子5を被覆する又は蛍光体粒子5に付着する炭素4の様子が確認できる。この表面観察により表面の色が黒色であれば炭素4が蛍光体粒子5に付着あるいは被覆していることが分かる。上述した蛍光体粒子5同士の凝集が起こらないようにするために、蛍光体粒子5間に炭素4が介在しているのが望ましく、各蛍光体粒子5の少なくとも一部の表面に炭素4が付着していることが好ましく、各蛍光体粒子5の表面全体に炭素4が付着(被覆)していることがより好ましい。
次に、蛍光体粒子5間に炭素4を介在させることによる作用・効果について説明する。少なくとも一部に非晶質部分を有する前駆体粒子1から結晶性が向上された蛍光体粒子5(結晶性粒子)が生成される過程において、蛍光体粒子5間に炭素4を介在させることで、工程(c)を行う際に、蛍光体粒子5同士が凝集するのを抑制することができる。従って、前駆体粒子1の粒子径(1次粒子径)と、結晶体粒子に相当する蛍光体粒子5の粒子径(2次粒子径)との差を小さくすることができる。以上より、蛍光体粒子5間に炭素4を介在させることで、粒子径を小さくしたままでその結晶性を向上させる上で効果的である。
〔工程(d)〕
上記工程(c)により、図2(c)に示されるように、炭素4が介在するものの、目的物となる蛍光体に相当する蛍光体粒子5が得られる。ただし、工程(c)のあと蛍光体粒子5間に介在する炭素4を除去する工程(以下、工程(d)という。)を行う。例えば、工程(c)において炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5を得た後、この炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5に対して熱処理を行う。具体的には、蛍光体粒子5が凝集する温度未満で、しかも炭素4を除去できる温度で加熱処理する。蛍光体粒子5が凝集する温度は、蛍光体を構成する材料によって異なるが、一般的には800℃以上の温度であるので、工程(d)の加熱処理は安全を見て700℃以下で行うことが好ましい。
工程(d)は、蛍光体粒子5の凝集を生じにくい低い温度で炭素4を除去することができるよう、酸素濃度が20%以上の雰囲気下で行うことが好ましく、酸素濃度が30%以上の雰囲気下で行うのがより好ましい。この工程(d)の加熱処理により、蛍光体粒子5間に介在する炭素4が除去され、蛍光体粒子5を単離することができる。尚、工程(d)は、大気雰囲気で行ってもよい。
工程(d)を行う際の温度条件の下限は、粒子5間に介在する炭素4を除去できる温度の下限である。具体的には、熱重量分析により、工程(d)の雰囲気下で炭素4の重量が減少する温度として求めることができる。工程(d)の加熱処理雰囲気の酸素濃度によっても相違するが、炭素4の除去に必要となる時間等も考慮すると、一般的には400℃以上とすることが好ましい。つまり、工程(d)は、400℃乃至700℃で行うことが好ましい。
工程(d)を行う時間は、炭素4の量、温度、酸素濃度等によっても相違するが、一般的には1時間乃至10時間である。尚、工程(c)と工程(d)は、同一の熱処理装置内で連続的に行ってもよい。
工程(d)によって単離した粒子5(結晶性粒子)の評価方法について説明する。得られた粒子5は、X線回折測定を行うことにより結晶性の向上の程度が確認できる。即ち、X線回折測定を行うことにより、粒子5が前駆体粒子1と比べて結晶性がどれほど向上しているのかが確認できる。
また、粒子5の表面観察を行うことで、粒子5間に介在する炭素4の除去状況が把握できる。ここで、観察した粒子の表面が黒以外の色(例えば、白色)であれば、粒子5間に介在する炭素4が除去できており粒子5が単離されていることが分かる。尚、粒子5の色は白色であることが好ましい。
また、X線光電子分光(以下、XPSと記載する)で表面分析を行うことでも粒子5間に介在する炭素4の除去状況が把握できる。粒子5間に介在している炭素4の量が、粒子5の重量に対して2重量%未満であることが望ましく、好ましくは、1重量%以下である。炭素4の量は、粒子5の重量を微小重量計により測定し、あらかじめ計測した前駆体粒子1の重量を差し引くことで計測できる。
〔画像表示装置〕
本発明の製造方法で得られる蛍光体は、画像表示装置の構成材料として使用するのが好ましい。図2は、カソードルミネッセンスを利用した画像表示装置(FED)の一例を示す図である。図2において、(a)は、画像表示装置の概略図、(b)は、(a)の画像表示装置に含まれるフェイスプレートにおける第一の形態を示す断面概略図、(c)は、(a)の画像表示装置に含まれるフェイスプレートにおける第二の形態を示す断面概略図である。
図2(a)に示される画像表示装置10は、電子源20と、表示部材32とを備えており、電子源20と表示部材32とは互いに対向する関係にある。そして、表示部材32及び電子源20は、いずれもフェイスプレート30と、絶縁性基板12と、枠部材40と、で構成される外囲器によって取り囲まれている。
図2(a)に示される画像表示装置1の構成部材であるフェイスプレート30は、透明基板31と、透明基板31上に設けられる表示部材32と、を備えている。ここで表示部材32は、図2(b)及び(c)にて示されるマトリックス状に配列される複数の発光素子33と遮光膜34とを備えている。即ち、マトリックス状に配列される複数の発光素子33は、ブラックマトリックスと呼ばれる黒色の遮光膜34によって分離・区画されている。
図2(b)に示されるフェイスプレート30は、透明基板31と、透明基板31上に設けられる、カラーフィルター35と、蛍光体膜36と、アノード電極37とがこの順に設けられている発光素子33が複数設けられている。尚、第1の形態では、アノード電極37は、メタルバックと呼ばれる金属膜である。
図2(c)に示されるフェイスプレート30は、透明基板31上に、カラーフィルター35と、フォトニック結晶層38と、アノード電極37と、蛍光体膜36と、がこの順に設けられている発光素子33が複数設けられている。尚、第2の形態では、アノード電極37は、ITO等の透明導電性膜である。
尚、第1の形態及び第2の形態において、カラーフィルター35は省略することもできるが、表示色の純度を高くするために設けておくことが好ましい。
図2(a)に示される画像表示装置10の構成部材であるリアプレート11は、絶縁性基板12と、絶縁性基板12上に設けられる電子源13とを備えている。電子源13は、マトリックス状に配列された複数の電子放出素子14と、複数の電子放出素子14に接続されたマトリックス配線15とを備えている。マトリックス配線15は、列配線15aと行配線15bとからなり、列配線15aと行配線15bとは絶縁層(不図示)で互いに絶縁されている。電子放出素子14は、具体的には、SCE型、Spindt型、CNT型、MIM型、MIS型、BSD型等の電子放出素子であるが、本発明においては、特に限定されるものではない。
図2(a)に示される画像表示装置10は、マトリックス配線15に駆動電圧を印加することによって電子放出素子14から電子が放出される。さらにアノード端子(電子源20)を介してアノード電極37をアノード電位(Va)に規定することにより、放出された電子は加速され、蛍光体膜36を発光させるのに十分なエネルギーが付与される。
図2(b)に示されるフェイスプレート30においては、電子はアノード電極37を透過して蛍光体膜36へ照射される。一方、図2(c)に示されるフェイスプレートにおいては、電子は蛍光体膜36を直接照射する。駆動電圧を印加する列配線15aと行配線15bとを適宜選択することにより、任意の位置の電子放出素子13を駆動し、当該駆動された電子放出素子13に対向する位置の発光素子33が発光する。
画像表示装置10の表示面に室内照明や太陽光等の外光が入射する場合、蛍光体膜36で拡散反射が生じる。表示面の観察者は、拡散反射によって生じる拡散反射輝度と蛍光体膜36の発光輝度との和で表される輝度(表示輝度)を観察することになる。外光が入射する環境下において、コントラスト比は、表示輝度を拡散反射輝度で除した値で表される。外光の照度が高くなるほど、拡散反射輝度が高くなるため、コントラストが低下してしまう。そのため、蛍光体膜36の拡散反射率を低くすることが好ましい。
ところで、蛍光体膜36に含まれる蛍光体の粒子径が、その蛍光体の発光波長以下となると、蛍光体の内部で反射を繰返して蛍光体の内部に閉じ込められる光が減少し、蛍光体の外部に放射される光の割合を高くすることができる。尚、上記発光波長とは、ピーク波長として定義される。また、蛍光体の粒子径を小さくすれば、より微細なパターンを高精度に形成できるので、画像表示装置10の高精細化が可能である。さらに、蛍光体膜36中の蛍光体の充填率が増加すると、外光に対する蛍光体膜36の拡散反射が低下するという傾向がある。そのため、蛍光体の充填率を高くすることによって、拡散反射を低減することができる。
一方で、蛍光体膜36内での拡散反射も小さいために、蛍光体膜36内や透明基板31内で反射を繰返し、透明基板31側から鑑賞者の方向に出射する光が小さくなることがある。そこで、図2(c)で示すように、アノード電極37と透明基板31との間にフォトニック結晶層38を設けることが好ましい。フォトニック結晶層38は、屈折率が互いに異なる材料を、透明基板31と平行な面内で交互に配置した構造であり、好ましくは屈折率が互いに異なる材料を、透明基板31と平行な面内で周期的に配列した構造である。フォトニック結晶層38を設けることにより、蛍光体膜36から透明基板31側へ取り出される光を多くして発光輝度を高くすることができる。従って、拡散反射輝度を低くして、発光輝度を高くできるので良好な表示品質を得ることができる。
図2(b)で示される表示部材32を有するフェイスプレート30(30a)の製造方法の具体例を以下に説明する。まず透明基板31を用意する。そして透明基板31上に、スクリーン印刷法等の塗布方法を用いて、遮光層34用の液体組成物を塗布する。遮光層34を形成する際に使用される液体組成物は、無機顔料又は有機顔料を含んでいる。ここで無機顔料として黒色の硫化物粒子を用いる場合には、遮光層34を形成する際に使用される液体組成物は、溶媒としてメルカプトカルボン酸エステルを含有すると好適である。塗布した液体組成物を乾燥後、焼成して開口を有する遮光層34を形成する。次に、遮光層34の開口内であって、透明基板31の上に、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の塗布方法を用いて、カラーフィルター35用の液体組成物を塗布する。カラーフィルター35用の液体組成物は無機顔料又は有機顔料を含む。塗布した液体組成物を乾燥後、焼成してカラーフィルター35を形成する。
次に、カラーフィルター35上に、スクリーン印刷法、インクジェット法等の塗布方法を用いて、蛍光体膜36用の液体組成物を塗布する。蛍光体膜36用の液体組成物は本発明の製造方法で製造された蛍光体を含む。塗布した液体組成物を乾燥後、焼成して蛍光体膜36を形成する。
次に、蛍光体膜36の上に、スクリーン印刷法等の塗布方法を用いてフィルミング層(不図示)を形成する。次いで、フィルミング層の上に、スパッタ法等の成膜方法によって、アルミニウム等の金属膜をアノード電極37として形成する。そして、フィルミング層を熱分解除去する。以上のようにして表示部材32が形成されたフェイスプレート30を製造することができる。
図2(c)で示される表示部材32を有するフェイスプレート30(30b)の製造方法の具体例を以下に説明する。まず図2(b)で示されるフェイスプレート(30a)と同様の方法で透明基板31上に、遮光膜34及びカラーフィルター35を形成する。次に、カラーフィルター35上に、スパッタ法等の成膜方法及びフォトリソグラフィ法等の加工方法を用いて、フォトニック結晶層38を形成する。次に、フォトニック結晶層38上に、スパッタ法等の成膜方法によって、ITO等の透明導電性膜をアノード電極37として形成する。次に、アノード電極37上に、スクリーン印刷法等の塗布方法を用いて、隔壁39をパターン形成する。
次に、アノード電極37上であって隔壁39で区画されている領域に、スクリーン印刷法、インクジェット法等の塗布方法を用いて、蛍光体膜36用の液体組成物を塗布する。蛍光体膜36用の液体組成物は本発明の製造方法で得られる蛍光体を含む。ここで蛍光体膜36を形成する際にインクジェット法を用いる場合には、液体組成物中の蛍光体は、中位径が1μm以下の粒子(微粒子)を用いることが好ましく、中位径が400nm以下の粒子を用いることがより好ましい。また、蛍光体膜36中の蛍光体の粒子径が、蛍光体膜36の発光波長以下であることが好ましく、発光波長の半分以下であることがより好ましい。尚、上述した発光波長は、ピーク波長として定義され、蛍光体膜36から発する発光のピーク波長と蛍光体の発光ピーク波長は実質的に一致する。図2(a)の画像表示装置10では、赤色、緑色、青色にそれぞれ発光する蛍光体が典型的に用いられるため、中位径が400nm以下の蛍光体を用いれば、インクジェット法を好適に用いることができるとともに、高い発光輝度を得ることができる。次に、塗布した液体組成物を乾燥させた後、焼成して蛍光体膜36を形成する。以上のようにして表示部材32が形成されたフェイスプレート30を製造することができる。
次に、図1の画像表示装置10の製造方法の一例を説明する。フェイスプレート30とリアプレート11とを、閉ループ状の枠部材40を間に挟んで、表示部材13と電子源20とが対向するように配置する。尚、リアプレート11の製造方法は特に限定されない。フェイスプレート30とリアプレート11とをそれぞれ封着剤を用いて枠部材40に接着する。アノード端子20を、絶縁基板12を貫通してアノード電極37と電気的に接続する。最後に、フェイスプレート30とリアプレート11と枠部材40とで囲まれる空間を真空に排気する。このようにして、画像表示装置10を作製することができる。
以下、本発明の実施例を挙げるが、本発明は以下に説明する実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
下記に示す方法により蛍光体を作製した。
〔工程(a)〕
まず噴霧熱分解法により、CaMgSi26:Euからなる蛍光体の前駆体粒子を作製した。次に、得られた前駆体粒子をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察、撮影した。ここで、撮影された前駆体粒子の映像を基に前駆体粒子の粒子径を求めた。具体的には、個々の前駆体粒子の映像の面積と同等の面積を有する円の直径を求め、撮像した前駆体粒子がこの直径を有する球体と同じ体積を有するものと仮定した(球相当径)上で粒子径を求めた。このようにして100個の前駆体粒子の球相当径を求めたことで得られる粒子径分布から中位径を算出した。本実施例において、前駆体粒子の中位径は、300nmであった。また得られた前駆体粒子をXRD(X線回折)で結晶構造を分析した結果、非晶質であることが分かった。
〔工程(b)〕
次に、工程(a)で得られた前駆体粒子を分散媒に分散させ、前駆体分散液を調製した。具体的には、前駆体粒子1gとエタノール(分散媒)とを混合し、US攪拌を1時間行った。次いで、分散性を向上するための分散剤(商品名:Disperbyk−2000、ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.1gを加え、US撹拌を2時間行った。
次に、有機樹脂であるエチルセルロース(商品名:エトセルグレード4、日進化成株式会社製)1gとエタノール100mlとを混合した有機樹脂溶液を調製した。次に、この有機樹脂溶液を先程調製した前駆体分散液に加えた後、混合液を1時間攪拌させることで、前駆体分散ペーストを作製した。
ここで粒子径測定機(商品名:ZetasizerNano、Malvern社製)を用いて、前駆体分散ペーストに含まれる前駆体粒子の粒子径を測定したところ、300nm(に相当)であった。このため、ペースト内に前駆体粒子が単一に分散されていることが確認された。
〔工程(c)〕
次に、工程(b)で作製した前駆体分散ペーストをアルミナ製ルツボに入れた後、ルツボ内の雰囲気(ガス雰囲気)を窒素100%に設定して、1250℃で2時間焼成(第一の熱処理工程)することで、炭素被膜付蛍光体を作製した。
作製した炭素被膜付蛍光体の表面を観察したところ、粒子全体の色が黒色であるため炭素が蛍光体を被覆していることが分かった。またこの炭素被膜付蛍光体について炭素の量を評価したところ前駆体粒子の重量に対して4重量%以上であった。尚、炭素量は、炭素被膜付蛍光体の重量を微小重量計により測定し、予め計測した前駆体粒子の重量を差し引くことで評価した。
またラマン分光測定によって、炭素被膜の構造が非晶質であることが確認できた。
〔工程(d)〕
次に、工程(c)で作製した炭素被膜付蛍光体をアルミナ製ルツボに入れた後、ルツボ内の雰囲気(ガス雰囲気)を窒素70%酸素30%に設定して、450℃で4時間熱処理(第二の熱処理工程)を行うことにより蛍光体を得た。尚、この工程により、蛍光体を被覆する炭素は除去された。
次に、工程(d)で作製した蛍光体を以下に示す方法により評価した。
(1)結晶性
X線回折測定を行ったところ、工程(a)で得られた前駆体粒子と比べて結晶性が向上していることが確認できた。
(2)表面観察・表面分析
工程(c)で得られた炭素被膜付蛍光体と同様の方法で表面を観察したところ、粒子表面の色は白色であったため、工程(c)で形成した炭素被膜が除去されていることが確認できた。また、工程(c)で形成した炭素被膜の除去は、XPS(X線光電子分光)による表面分析を行うことでも確認できた。
(3)炭素量
工程(c)で得られた炭素被膜付蛍光体と同様の方法で、蛍光体に付着する炭素の量を評価した。その結果、炭素量は、蛍光体の重量に対して1重量%以下であることがわかった。
(4)結晶構造の解析
X線回折測定を行ったところ、得られた蛍光体が、CaMgSi26からなる単一層の結晶であることが確認された。またTEM(透過型電子顕微鏡)による観測を行ったところ、得られた蛍光体が単結晶であることがわかった。
(5)粒子径
工程(a)で得られた前駆体粒子と同様の方法で、蛍光体の粒子径を測定したところ、中位径が300nmであったため、工程(a)で得られた前駆体粒子と同じ粒径であることが分かった。
(6)発光特性
蛍光体0.1gを真空容器内にセットし、パルス状の電子線を照射した。尚、照射の際、電子線のパルス幅を20μsecとし、周波数を100Hzとし、照射電流密度を20mA/cm2とした。放射輝度計による輝度測定の結果、輝度は31cd/m2であった。
[実施例2、3]
工程(c)のルツボ内の雰囲気を表3に示されるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により蛍光体を作製した。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。結果を表3及び表4に示す。
[実施例4、5、比較例1]
工程(c)を行う際のルツボ内のガス雰囲気を窒素濃度80%、酸素濃度20%とし、工程(c)の加熱条件を表3に示されるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により蛍光体を作製した。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表3及び表4に示す。
[比較例2]
市販のCaMgSi26:Eu蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径300nmになるように制御した微粒子状の蛍光体について、実施例1と同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は10cd/m2であった。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
比較例1では、工程(c)で全体が白色となり炭素もほとんど検出されない状態となっており、工程(c)の途中で炭素が消失し、工程(c)で蛍光体粒子と炭素の混合物が得られていない。このため、蛍光体粒子の凝集を生じ、中位径が大きな多結晶体となっている。この比較例1及び実施例1乃至3から、工程(c)での酸素濃度が高くなると炭素の消失が生じやすいことが分かる。また、実施例4、5及び比較例1から、工程(c)での酸素濃度が高くなっても、加熱温度を下げたり、加熱時間を短くすることで炭素の消失を防ぐことができることも分かる。但し、実施例1乃至3と実施例4及び5の対比から、加熱温度を下げると加熱時間が同じでも輝度が低下しやすく、加熱時間を短くすると加熱温度が同じでも輝度が低下しやすいことが分かる。いずれも結晶性の向上量が低下するためと考えられる。これらのことから、工程(c)における酸素濃度は10%以下が好ましいといえる。また、実施例1乃至5の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例2の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例6乃至8]
実施例6、7では実施例1の工程(d)を行う際のルツボ内のガス雰囲気を表6の通り変更した他は、実施例1と同様の方法により蛍光体を作製した。なお、実施例8では、実施例6及び7と同じ加熱時間では表面に一部黒色部分が残っていたため、全体が白色になって炭素がほとんど検出されなくなるまで工程(d)の加熱処理を行った。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表5及び表6に示す。
Figure 2012067167
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実施例6乃至8から、工程(d)における酸素濃度が低くなると、工程(d)での処理時間が長くなることがわかる。実施例6乃至8の結果から、工程(d)における酸素濃度は20%以上が好ましいといえる。また、実施例6乃至8の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例2の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例9乃至16、比較例3]
実施例1乃至8及び比較例1のそれぞれにおいて、工程(a)で作製した前駆体粒子の中位径を50nmに設定・制御したこと以外は、実施例1乃至8及び比較例1と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例9乃至16及び比較例3とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表7及び表8に示す。
[比較例4]
市販のCaMgSi26:Eu蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を50nmに制御した微粒子状の蛍光体について同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は2cd/m2であった。
Figure 2012067167
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実施例9乃至16及び比較例3の結果から、中位径が50nmの場合においても、実施例1乃至8及び比較例1で説明した中位径が300nmの場合と同様の傾向を示すことが分かる。また、実施例9乃至16の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例4の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例17乃至24、比較例5]
実施例1乃至8及び比較例1のそれぞれにおいて、工程(a)で作製した前駆体粒子の中位径を1000nmに設定・制御したこと以外は、実施例1乃至8及び比較例1と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例17乃至24及び比較例5とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表9及び表10に示す。
[比較例6]
市販のCaMgSi26:Eu蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を1000nmに制御した微粒子状の蛍光体について同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は35cd/m2であった。
Figure 2012067167
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実施例17乃至24及び比較例5の結果から、中位径が1000nmの場合においても、実施例1乃至8及び比較例1で説明した中位径が300nmの場合と同様の傾向を示すことが分かる。また、実施例17乃至24の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例6の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例25乃至32、比較例7]
実施例9乃至16及び比較例3のそれぞれにおいて、工程(a)で作製したCaMgSi26:Euの前駆体粒子に代えてZn2SiO4:Mnの前駆体粒子を作製したこと以外は、実施例9乃至16及び比較例3と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例25乃至32、比較例7とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表11及び表12に示す。
[比較例8]
市販のZn2SiO4:Mn蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を50nmに制御した微粒子状の蛍光体について同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は3cd/m2であった。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
実施例25乃至32及び比較例7の結果から、中位径が50nmのZn2SiO4:Mnにおいても、中位径が50nmのCaMgSi26:Euの場合と同様の傾向を示すことが分かる。また、実施例25乃至32の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例8の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例33乃至40、比較例9]
実施例25乃至32、比較例7のそれぞれにおいて、工程(a)で作製した前駆体粒子の中位径を1000nmに設定・制御したこと以外は、実施例25乃至32、比較例7と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例33乃至40、比較例9とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件及び結果を表13及び表14に示す。
[比較例10]
市販のZn2SiO4:Mn蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を1000nmに制御した微粒子状の蛍光体について同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は85cd/m2であった。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
実施例33乃至40及び比較例9の結果から、中位径が1000nmのZn2SiO4:Mnにおいても、中位径が1000nmのCaMgSi26:Euの場合と同様の傾向を示すことが分かる。また、実施例33乃至40の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例10の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例41乃至48、比較例11]
実施例1乃至8及び比較例1のそれぞれにおいて、工程(b)で使用した有機樹脂をアクリル樹脂としたことを以外は、実施例1乃至8及び比較例1と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例41乃至48及び比較例11とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。その結果、それぞれ実施例1乃至8及び比較例1と同様の結果が得られた。
従って、本発明においては、アクリル樹脂を工程(b)で使用する有機樹脂として用いることができるといえる。
[実施例49]
実施例1において、工程(b)を行う際に前駆体分散液に、分散剤を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により蛍光体を作製した。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。その結果、得られた蛍光体の中位径が500nmであった。一方、これ以外の特性は、実施例1と同様であった。
従って、本実施例の結果から、蛍光体の中位径の制御という観点から、前駆体分散液に分散剤を加える方が好ましいといえる。
[実施例50]
図2(a)に示される画像表示装置を、以下に示す方法により作製した。
(1)フェイスプレートの作製
まず図2(c)に示されるフェイスプレート30bを作製した。尚、本実施例においては、蛍光体膜の発光輝度を調べるために、カラーフィルター35、遮光膜34、隔壁39の形成を省略した。
石英ガラス基板(透明基板31、屈折率:1.46)上に、2次元正方格子状に略円筒状の凹部を多数形成した。ここで形成した凹部のピッチを1700nmとし、凹部の直径を920nmとし、凹部の深さを880nmとした。次に、化学気相蒸着法(CVD法)により、基板の凹部を充填するように、基板上に四塩化チタンを成膜しTiO2膜(屈折率:2.2)を形成した。次に、アニールを行った。次に、化学機械研磨法(CMP法)によりTiO2膜の表面を研磨した。ここでTiO2膜の表面研磨を行った後の凹部の深さは670nmであった。このようにして、フォトニック結晶層38を形成した。
次に、スパッタ法により、フォトニック結晶層38上に、ITOを成膜してアノード電極37を形成した。このときアノード電極(ITO膜)37の膜厚を250nmとした。尚、形成されたITO膜の屈折率は1.9であった。
次に、インクジェット法により、アノード電極37上に、実施例1で作製した蛍光体を塗布した。次に、550℃にて1時間焼成を行った。焼成後の蛍光体膜36の厚さは820nmであった。
以上により、フェイスプレート30bを得た。
(2)画像表示装置の作製
真空チャンバー内において、(1)にて作製したフェイスプレート30bと、別途作製したリアプレート11と、を互いに対向するように配置させた後、フェイスプレート30aとリアプレート11との間に枠部材40を介在させた。そしてフェイスプレート30と枠部材40との間、及びリアプレート11と枠部材40との間を封着した。尚、本実施例において、リアプレート11は公知の方法で作製し、各部材の封着にあたっては公知の方法を採用した。以上により画像表示装置10を得た。
得られた画像表示装置10について発光輝度を測定した。具体的には、アノード電極37に7kVのアノード電位を付与し、マトリックス配線15(15a,15b)を介して、電子放出素子14に駆動パルス(パルス幅:20μsec、パルス周波数:100Hz)を印加し、電子放出素子14から電子を放出した。尚、このパルスの電流密度は4mA/cm2であった。
また比較対象として、市販のCaMgSi26:Eu蛍光体(東京化学研究所製、粒径:2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を300nmに調整した蛍光体を含む蛍光体膜36を有するフェイスプレートを使用した比較用の画像表示装置を作製した。
本実施例で作製した画像表示装置と比較用の画像表示装置とをそれぞれ暗室で発光させたところ、実施例1の蛍光体を有する画像表示装置が、比較用の画像表示装置よりも発光輝度が高かった。
1:前駆体粒子、2:前駆体分散ペースト、3:有機樹脂、4:炭素、5:粒子、10:画像表示装置、11:リアプレート、12:絶縁性基板、13:電子源、14:電子放出素子、15:マトリックス配線、15a:列配線、15b:行配線、20:電子源、30(30a,30b):フェイスプレート、31:透明基板、32:表示部材、33:発光素子、34:遮光層、35:カラーフィルター、36:蛍光体膜、37:アノード電極、38:フォトニック結晶層、39:隔壁、40:枠部材
本発明は、粒径が小さく、しかも発光輝度の高い蛍光体の製造方法、及びこれを用いたフェイスプレート及び画像表示装置の製造方法に関する。
FED(Field Emission Display)やPDP(Plasma Display Panel)等の平面型画像表示装置は、蛍光体を発光させることにより画像を表示するものである。これらの平面型画像表示装置においては、明るい画面を得るため、輝度の高い蛍光体が求められている。
一方、画像表示装置の高精細化が進むにつれ、1画素のサイズが小さくなり、使用される蛍光体粒子の小サイズ化が要求されている。
従来、高輝度で粒子サイズの小さな蛍光体の製造方法として、蛍光体の前駆体をたんぱく質中に分散させ、これを乾燥させた後、大気中で焼成して結晶生成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−277747号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、加熱処理工程において蛍光体同士が凝集し、蛍光体の粒子サイズが大きくなってしまい、輝度も低下してしまうことがあるという問題が生じていた。
本発明は、結晶性を向上させる加熱処理工程における蛍光体粒子の凝集を確実に防止できるようにすることを第1の目的とする。また、本発明は、これによって得られる高輝度で粒子サイズの小さな蛍光体を用いることで、高輝度で高精細なフェイスプレート及び画像表示装置を容易に得られるようにすることを第2の目的とする。
本発明の蛍光体の製造方法は、下記工程(a)乃至(c)を有することを特徴とする。
(a)少なくとも一部に非晶質部分を有する、蛍光体の前駆体粒子を有機樹脂中に分散させて前駆体分散ペーストを作製する工程。
(b)前記前駆体分散ペーストを、前記有機樹脂を炭化させ、しかも前記前駆体粒子の結晶化温度以上の温度で加熱処理することで、前記有機樹脂の炭化により生じた炭素の存在下で前記前駆体粒子の結晶性を向上させて蛍光体粒子とし、該蛍光体粒子と前記炭素の混合物を得る工程。
(c)前記混合物を、前記蛍光体粒子の凝集する温度未満で加熱処理することで、前記炭素を除去する工程。
また、本発明は、基板上に蛍光体膜及びアノード電極が設けられたフェイスプレートの製造方法において、前記蛍光体膜を、前記本発明に係る蛍光体の製造方法により製造された蛍光体で形成するフェイスプレートの製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、基板上に蛍光体膜及びアノード電極が設けられたフェイスプレートと、リアプレートとを有する画像表示装置の製造方法において、前記蛍光体膜を、前記本発明に係る蛍光体の製造方法により製造された蛍光体で形成する画像表示装置の製造方法を提供するものである。
本発明の蛍光体の製造方法によれば、焼成工程における蛍光体粒子の凝集を確実に防止することができ、高輝度で小さな粒子の蛍光体を効率良く製造することができる。また、本発明のフェースプレート及び画像表示装置の製造方法によれば、高輝度で高精細な画像表示が可能なフェースプレート及び画像表示装置を得ることができる。
本発明の蛍光体の製造方法の具体的なプロセスを示す図である。 カソードルミネッセンスを利用した画像表示装置(FED)の一例を示す図であり、(a)は画像表示装置の概略図であり、(b)は(a)の画像表示装置に含まれるフェイスプレートにおける第一の形態を示す断面概略図であり、(c)は(a)の画像表示装置に含まれるフェイスプレートにおける第二の形態を示す断面概略図である。
まず、本発明の蛍光体の製造方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の蛍光体の製造方法の具体的なプロセスを示す図である。以下、この図1を参照しながら各工程について詳細に説明する。
前駆体粒子作製工程
本発明の製造方法は、まず蛍光体の原料となる前駆体粒子1を作製する〔図2(a)〕。前駆体粒子1は、製造する蛍光体を構成するマトリックス成分(母体材料)と発光成分(付活剤)とを含有する粒子で、少なくとも一部に非晶質部分を有している。好ましくは結晶性の低い粒子であり、より好ましくは非晶質粒子である。マトリックス成分としては、カルシア、マグネシア、シリカ、ジルコニア等に由来する成分が挙げられる。発光成分としては、ユーロピウム、マンガン等の無機イオン成分が挙げられる。
本発明により作製する蛍光体は、後述する工程(c)の加熱処理が酸素を含む雰囲気下で行うことが好ましく、酸素によって悪影響を受けること無く工程(c)を行えるようにするために、酸化物の蛍光体であることが好ましい。前駆体粒子作製工程で作製する前駆体粒子1も酸化物粒子として作製することができる。
前駆体粒子1の粒子サイズは、中位径が1000nm以下の粒子サイズから選択される。好ましくは、中位径が500nm以下の粒子サイズが用いられる。尚、本発明において前駆体粒子1の粒径分布はあまり問題にはならないが、粒径分布が広い場合は遠心分離や分子ふるいによって粒径分布を適宜制御してもよい。
本発明において、中位径とは、統計的に求められる値であって、粒子径分布において粒子径Dより大きい粒子径の粒子の個数が全粒子の個数の50%を占めるときの粒子径(D50)によって定義される。尚、中位径は、メジアン径とも呼ばれる。一方、粒子径Dの分布は、球相当径に基づく粒子径の個数分布である。また球相当径は動的光散乱法又はレーザー回折散乱法を用いて計測することができる。他方、粒子径については、JIS Z8901−2006を参照することができる。
前駆体粒子1を作製する具体的方法としては、噴霧熱分解法、熱プラズマ法を用いることができる。
ここで熱プラズマ法は、原料粉末を熱プラズマで瞬間的に蒸発、冷却する方法である。これにより、所望の微粒子を作製することができる。熱プラズマを用いて微粒子を作製する際には、アルゴン、酸素、窒素、水素等のガス、又はこれらのガスのうち2種類以上を混合した混合ガスが用いられ、適宜最適なものを選択することができる。
熱プラズマ法で作製した前駆体粒子1としては、中位径でおよそ8nm乃至50nmの粒子サイズであって、結晶状態が非晶質のものが得られる。
熱プラズマ法を用いて前駆体粒子1を作製する場合は、原料粉末から目的とする含酸素無機蛍光物質に含まれる成分を有する焼成体を予め作製・用意するのが望ましい。製造する蛍光体がCaMgSi26:Euの場合では、焼成体を形成する際に、予めCa、Mg、Si、Euのモル組成比が蛍光体における組成比となるように原料粉末を調合してから焼成を行う。尚、焼成する際には、Ca、Mg、Si、Euが均一に拡散された粒子が作製されていればよく、適宜適切な焼成温度及び焼成時間を選択することができる。上記焼成体を作製する際に使用される原料粉末の粒子サイズは、1μm乃至30μm程度のものが用いられる。
一方、噴霧熱分解法は、原料溶液を噴霧して液滴化したのち、キャリアガス中でヒーターによって加熱し、溶媒の蒸発及び原料の熱分解により微粒子化することで前駆体粒子1を作製するものである。噴霧熱分解法を用いる際には、目的とする含酸素無機蛍光物質に含まれる成分を有する原料溶液を予め調製する必要がある。製造する蛍光体がCaMgSi26:Euの場合では、Ca、Mg、Si、Euのモル組成比が蛍光体における組成比となるように原料を調合し、所定の溶媒に溶解させることで原料溶液を作製する。噴霧熱分解法で使用されるキャリアガスとしては、空気、酸素、窒素、水素、又はこれらのガスのうち2種類以上を混合した混合ガスが用いられ、適宜最適なものを選択することができる。
噴霧熱分解法で作製した前駆体粒子1は、中位径でおよそ500nmの粒子サイズであって、結晶状態が非晶質のものが得られる。
また、中位径が1000nm以下であるならば、市販品の無機蛍光微粒子を前駆体粒子1として使用してもよい。
以上の説明のように、前駆体粒子作製工程にて作製される前駆体粒子1には、少なくとも一部に非晶質部分を有するものである。尚、この前駆体粒子1も、成分という観点からして「蛍光体」ともいえるが、少なくとも一部に非晶質部分を有するため発光輝度は低い。このため後の工程で結晶性を向上させる必要がある。
〔工程(a)
本発明の製造方法は、前駆体粒子作製工程の後、前駆体粒子作製工程で作製した前駆体粒子1を分散させた前駆体分散ペースト2を作製する〔図2(b)〕。この前駆体分散ペースト2を作製する際には、まず前駆体粒子1を分散媒に分散させて前駆体分散液を作製する。
分散媒は、有機溶媒、水等の溶媒を用いることができる。
ところで、分散媒中の前駆体粒子1の分散性を向上させるために、上記前駆体分散液に、分散剤をさらに含有させることが好ましい。ここで分散剤としては、一般に顔料を分散させるのに使用される公知の顔料分散剤を使用することができる。例を挙げれば、界面活性剤、顔料の中間体もしくは誘導体、染料の中間体もしくは誘導体、あるいは、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂型分散剤が挙げられる。上記各種分散剤の中でも、ポリエステル系及びアクリル系樹脂を使用するのが好ましい。特に、アクリル系樹脂を使用するのが好ましい。
ここで樹脂型分散剤は、市販品を使用することができる、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製の「DISPERBYK−130」、「DISPERBYK−161」、「DISPERBYK−162」、「DISPERBYK−163」、「DISPERBYK−170」、「DISPERBYK−171」、「DISPERBYK−174」、「DISPERBYK−180」、「DISPERBYK−182」、「DISPERBYK−183」、「DISPERBYK−184」、「DISPERBYK−185」、「DISPERBYK−2000」、「DISPERBYK−2001」、「DISPERBYK−2020」、「DISPERBYK−2050」、「DISPERBYK−2070」、「DISPERBYK−2096」、「DISPERBYK−2150」等を用いることが可能である。
特に、分散媒として有機溶媒を使用する際には、ビックケミー社製品の「DISPERBYK−2000」を使用するのが好ましい。
上記分散剤の含有量は、前駆体粒子1の粒径により異なり適宜調整される。例えば、前駆体粒子1の中位径が500nmの場合では、分散媒に対して5重量%乃至20重量%の範囲が好ましく、5重量%乃至10重量%の範囲がより好ましい。
また上記分散剤の含有量は、前駆体粒子1の表面積に比例する。即ち、同じ重量の前駆体粒子1であっても粒径が1桁ほど異なる場合、例えば、1μmの前駆体粒子(1g)と100nmの前駆体粒子(1g)とを比較した場合、両者の表面積は10倍ほど異なる。係る場合、粒径100nmの前駆体粒子を分散させるには、粒径1μmの前駆体粒子を分散させるのに使用する分散剤の量の10倍ほど入れる必要がある。
例えば、分散剤としてBYK−2000を使用した場合、前駆体粒子の粒径と分散剤の目安量との関係は、以下の表に示す通りである。
Figure 2012067167
尚、表1中の分散剤の目安量は、分散剤の種類(分子量の違い等)によって異なるが、表面積や粒径に対して反比例する関係は同じである。
一方、分散剤を投入した後において、前駆体粒子1は単一に分散されている状態になっていることが好ましい。ここで前駆体粒子1の分散状態は、SEM観察やレーザー回折散乱法で確認することができるが、このときSEM観察による粒子径分布とレーザー回折散乱法により得られる粒子径分布が等しくなる状態が好ましい。
ちなみに、投入する分散剤が多すぎると、分散剤の粒子同士が集まって再凝集する恐れがある。このため、例えば、下記(b1)乃至(b4)に示す方法で分散剤を漸次加えながら分散剤の投入量の最適化を行ってもよい。
(b1)粒径に対する分散剤の目安量の40重量%の分散剤を投入する
(b2)SEM観察やレーザー回折散乱法で前駆体粒子の分散状態を観察する
(b3)(b2)において分散状態がよくない場合は、分散剤を少しずつ追加する
(b4)以下、(b2)と(b3)を繰り返す
次に、前駆体粒子1を有機樹脂中に分散させることにより前駆体分散ペースト2が得られる。
有機樹脂3としては、低酸素雰囲気下、好ましくは、酸素濃度が10%以下である雰囲気下で加熱すると炭化して炭素が生成するものであれば特に限定されるものではない。好ましくは、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、セルロース系ポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリルポリマー等の有機高分子化合物である。ここでセルロース系ポリマーとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。尚、使用する有機樹脂3は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を適宜混合して使用してもよい。また市販品の有機高分子化合物を有機樹脂3として使用してもよい。
有機樹脂3の量は、前駆体粒子1の重量以上の量が好ましい。ところで有機樹脂3の投入量は前駆体粒子1の粒径に比例するが、後述する凝集防止効果は、後述する工程(b)で有機樹脂3が炭化されることで生成される炭素4が多いほどが強くなるため、有機樹脂3の量が多すぎるということに対する問題は生じない。
尚、有機樹脂3を投入する際には、予め有機樹脂3を溶剤に溶解させてなる有機樹脂溶液を調製した後、この有機樹脂溶液を前駆体粒子1が入っている分散液に投入し、攪拌することで前駆体分散ペースト2を作製することが好ましい。
前記溶剤としては、水あるいは有機溶剤又はこれらを混合した混合溶剤が用いられる。有機溶剤としては、好ましくは、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートが用いられる。
ところで、工程(a)で使用される有機樹脂3は、その熱分解終了温度が蛍光体の結晶化温度よりも低いことを要する。
ここで、熱分解終了温度とは有機樹脂3の熱重量分析において質量減少が終了する温度として定義される温度である。この熱分解終了温度を求めるには、実際に熱重量分析を行う必要がある。ここで熱重量分析において、特定の昇温レート(例えば、10±1℃/分)で加熱したときに、有機樹脂3が特定量減少したときの温度を下記表のように定義する。
Figure 2012067167
上記表に示される温度は、熱重量分析により描かれる質量減少曲線から求めることができる。尚、熱重量分析の詳細は、JIS K7120−1987を参照することができる。
工程(a)において作製される前駆体分散ペースト2は、加熱等によりペースト内に含まれる溶剤を揮発させ乾燥されることが好ましい。加熱により前駆体分散ペースト2を乾燥させる際には、真空乾燥炉を用いることができる。また乾燥温度は、ペースト内に含まれる溶剤が揮発する温度であって有機樹脂3の熱分解開始温度より低いことが好ましい。
ところで乾燥させた前駆体分散ペースト2に含まれる前駆体粒子1の分散の様子は、反射電子像を観測することにより確認できる。
〔工程(b)
工程(a)において前駆体分散ペースト2を作製した後、この前駆体分散ペースト2を加熱処理して、前駆体分散ペースト2中の有機樹脂3を炭化させる〔図2(c)〕。また、有機樹脂3の炭化と同時又は有機樹脂3を炭化させた後、前駆体粒子1をその結晶化温度以上の温度で加熱処理することで、有機樹脂3の炭化により生じた炭素4の存在下で前駆体粒子1の結晶性を向上させて蛍光体粒子5とする。これにより、蛍光体粒子5と炭素4の混合物を得る。
本工程で行われる加熱処理により得られる炭素4は、前駆体粒子1又は蛍光体粒子5間に介在するスペーサーの役割を果たす。そして、工程(a)は、この炭素4の存在下で前駆体粒子1の結晶性を向上させて蛍光体粒子5としているため、前駆体粒子1又は蛍光体粒子5同士の接触による凝集を防止しながら、駆体粒子1の結晶性向上による蛍光体粒子5の生成を行うことができる。炭素4の介在状態は特に限定されるものではないが、本工程の最終段階においては、例えば、図2(c)に示される蛍光体粒子5を被覆する被膜として、あるいは蛍光体粒子5の少なくとも一部に付着する塊状の炭素粒子として存在する。蛍光体粒子5を被覆する又は蛍光体粒子5に付着する炭素4の量は、本工程で得られる蛍光体粒子5と炭素4の混合物において、蛍光体粒子5の重量に対して4重量%以上であることが好ましい。尚、蛍光体粒子5間に介在する炭素4の量が少ないと、本工程で蛍光体粒子5同士が結合・凝集することがある。ここで蛍光体粒子5を被覆する又は蛍光体粒子5に付着する炭素4の量は、炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5の重量を微小重量計により測定し、予め計測した前駆体粒子1の重量を差し引くことで計測できる。
本工程において、前駆体粒子1はその結晶構造が変化し、結晶性が向上し、蛍光体粒子5となる。つまり、図2(c)で示される蛍光体粒子5は、図2(a)で示される前駆体粒子1と比較して結晶性が向上されている。
工程(b)の加熱処理温度は、前駆体粒子1の結晶化温度以上の温度である。ここで結晶化温度とは、少なくとも一部に非晶質部分を含む前駆体粒子1から結晶性粒子へ相転移する温度をいう。尚、蛍光体粒子5は、上記相転移によって単結晶になることが理想的であるが、少なくとも前駆体粒子1に対して結晶性が向上されていればよい。具体的には、蛍光体粒子5に含まれ得る微結晶等の他の結晶よりも粒径が大きく、かつ発光に大きく関与する単結晶状の主結晶が形成されていればよい。
ところで、工程(b)を行う際には、前駆体分散ペースト2を始めから蛍光体の結晶化温度以上の温度で加熱してもよい。これにより、前駆体分散ペースト2中の有機樹脂3の炭化と前駆体粒子の結晶性の向上を一括して行うことができる。一方で、この工程(b)を行う際に、前駆体分散ペースト2を有機樹脂3が炭化する温度で一定時間加熱した後、蛍光体の結晶化温度以上で加熱してもよい。これにより、有機樹脂3を確実に炭化させた上で前駆体粒子1の結晶性の向上を行うことができる。ここで有機樹脂3を炭化させる際に設定される温度は、有機樹脂3の標準温度以上であることが好ましく、有機樹脂3の熱分解終了温度以上であることがより好ましい。
工程(b)の加熱処理時間は、有機樹脂3が炭化してから、前駆体粒子1の結晶性が向上され、蛍光体粒子5が生成するまでの時間であり、前駆体粒子1の粒径に応じて適宜設定される。一般的には2時間乃至4時間である。
工程(b)は、炭素4の消失を抑制するため、低酸素雰囲気で行うのが望ましく、酸素濃度が10%以下の雰囲気下で行うのが好ましく、酸素濃度が20ppm以下の雰囲気下で行うことがより好ましい。工程(b)の加熱処理の雰囲気ガスとしては、例えば窒素、アルゴン、これらの混合ガス等を用いることができる。また、工程(b)は真空雰囲気下で行ってもよい。
尚、蛍光体粒子5を被覆する又は蛍光体粒子5に付着する炭素4の結晶構造は、非晶質であることが好ましい。ここで炭素4の結晶構造は、ラマン分光測定によって確認することができる。
一方、前駆体粒子1の結晶性を向上させる温度(蛍光体の結晶化温度)は、蛍光体を構成する材料に依存する。例えば、CaMgSi26:Euでは1000℃程度から前駆体粒子1の結晶性を向上させることが可能である。工程(c)の加熱処理温度が低いと結晶性が向上するまでの処理時間が長くなり、温度が高いと炭素4が消失しやすくなる。炭素4の消失抑制と処理時間を勘案すると、工程(b)の加熱処理は一般的に1100℃乃至1400℃で行うことが好ましい。
以下に、工程(b)によって生成される蛍光体の結晶子について説明する。ここで結晶子とは、単結晶としてみなせる粒子の内で最大のものを意味する。本発明における蛍光体粒子5のうち、その粒径が結晶子サイズより大きい場合は、蛍光体粒子5の1個中に結晶子と非晶質とが混在している状態、又は多結晶の状態にある。ここで結晶子のサイズが蛍光体粒子5の粒径に近づけば近づくほど、蛍光体粒子5の1個中に占める非晶質又は多結晶の領域が少なくなると共に単結晶の領域の割合が多くなる。これにより蛍光体粒子5の結晶性が向上する。
ここで、蛍光体粒子5の中位径が1000nm以下である場合は、蛍光体粒子5の結晶子サイズの上限は必然的に1000nmとなる。
尚、結晶子のサイズは、典型的にはX線回折測定から求めることが可能である。具体的には、回折線のプロファイルから、Scherrer法と呼ばれる方法によって算出することができる。ここでSherrerの式は、一般的に下記式(1)で表される。
Figure 2012067167
(d:結晶子サイズ、K:定数(=0.9)、λ:測定X線波長(Cu:15.4058nm)、β:回折線半値幅、θ:回折線のブラッグ角)
ここでX線回折測定を行う際には、標準セルに粉末を充填したものをサンプルとして測定する。ところで、結晶子サイズが100nmより大きな粒子においては、TEM観察や電子線回折分析等により結晶子サイズや結晶性を分析することができる。
次に、工程(b)で得られる炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5の評価方法について説明する。炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5の評価方法として、具体的には、X線回折測定を行う。これにより、前駆体粒子1と比べて蛍光体粒子5の結晶性がどれほど向上しているかが確認できる。一方、炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5の表面を観察すると、蛍光体粒子5を被覆する又は蛍光体粒子5に付着する炭素4の様子が確認できる。この表面観察により表面の色が黒色であれば炭素4が蛍光体粒子5に付着あるいは被覆していることが分かる。上述した蛍光体粒子5同士の凝集が起こらないようにするために、蛍光体粒子5間に炭素4が介在しているのが望ましく、各蛍光体粒子5の少なくとも一部の表面に炭素4が付着していることが好ましく、各蛍光体粒子5の表面全体に炭素4が付着(被覆)していることがより好ましい。
次に、蛍光体粒子5間に炭素4を介在させることによる作用・効果について説明する。少なくとも一部に非晶質部分を有する前駆体粒子1から結晶性が向上された蛍光体粒子5(結晶性粒子)が生成される過程において、蛍光体粒子5間に炭素4を介在させることで、工程(b)を行う際に、蛍光体粒子5同士が凝集するのを抑制することができる。従って、前駆体粒子1の粒子径(1次粒子径)と、結晶体粒子に相当する蛍光体粒子5の粒子径(2次粒子径)との差を小さくすることができる。以上より、蛍光体粒子5間に炭素4を介在させることで、粒子径を小さくしたままでその結晶性を向上させる上で効果的である。
〔工程(c)
上記工程(b)により、図2(c)に示されるように、炭素4が介在するものの、目的物となる蛍光体に相当する蛍光体粒子5が得られる。ただし、工程(b)のあと蛍光体粒子5間に介在する炭素4を除去する工程(以下、工程(c)という。)を行う。例えば、工程(b)において炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5を得た後、この炭素4が被覆されあるいは付着した蛍光体粒子5に対して熱処理を行う。具体的には、蛍光体粒子5が凝集する温度未満で、しかも炭素4を除去できる温度で加熱処理する。蛍光体粒子5が凝集する温度は、蛍光体を構成する材料によって異なるが、一般的には800℃以上の温度であるので、工程(c)の加熱処理は安全を見て700℃以下で行うことが好ましい。
工程(c)は、蛍光体粒子5の凝集を生じにくい低い温度で炭素4を除去することができるよう、酸素濃度が20%以上の雰囲気下で行うことが好ましく、酸素濃度が30%以上の雰囲気下で行うのがより好ましい。この工程(c)の加熱処理により、蛍光体粒子5間に介在する炭素4が除去され、蛍光体粒子5を単離することができる。尚、工程(c)は、大気雰囲気で行ってもよい。
工程(c)を行う際の温度条件の下限は、粒子5間に介在する炭素4を除去できる温度の下限である。具体的には、熱重量分析により、工程(c)の雰囲気下で炭素4の重量が減少する温度として求めることができる。工程(c)の加熱処理雰囲気の酸素濃度によっても相違するが、炭素4の除去に必要となる時間等も考慮すると、一般的には400℃以上とすることが好ましい。つまり、工程(c)は、400℃乃至700℃で行うことが好ましい。
工程(c)を行う時間は、炭素4の量、温度、酸素濃度等によっても相違するが、一般的には1時間乃至10時間である。尚、工程(b)と工程(c)は、同一の熱処理装置内で連続的に行ってもよい。
工程(c)によって単離した粒子5(結晶性粒子)の評価方法について説明する。得られた粒子5は、X線回折測定を行うことにより結晶性の向上の程度が確認できる。即ち、X線回折測定を行うことにより、粒子5が前駆体粒子1と比べて結晶性がどれほど向上しているのかが確認できる。
また、粒子5の表面観察を行うことで、粒子5間に介在する炭素4の除去状況が把握できる。ここで、観察した粒子の表面が黒以外の色(例えば、白色)であれば、粒子5間に介在する炭素4が除去できており粒子5が単離されていることが分かる。尚、粒子5の色は白色であることが好ましい。
また、X線光電子分光(以下、XPSと記載する)で表面分析を行うことでも粒子5間に介在する炭素4の除去状況が把握できる。粒子5間に介在している炭素4の量が、粒子5の重量に対して2重量%未満であることが望ましく、好ましくは、1重量%以下である。炭素4の量は、粒子5の重量を微小重量計により測定し、あらかじめ計測した前駆体粒子1の重量を差し引くことで計測できる。
〔画像表示装置〕
本発明の製造方法で得られる蛍光体は、画像表示装置の構成材料として使用するのが好ましい。図2は、カソードルミネッセンスを利用した画像表示装置(FED)の一例を示す図である。図2において、(a)は、画像表示装置の概略図、(b)は、(a)の画像表示装置に含まれるフェイスプレートにおける第一の形態を示す断面概略図、(c)は、(a)の画像表示装置に含まれるフェイスプレートにおける第二の形態を示す断面概略図である。
図2(a)に示される画像表示装置10は、電子源20と、表示部材32とを備えており、電子源20と表示部材32とは互いに対向する関係にある。そして、表示部材32及び電子源20は、いずれもフェイスプレート30と、絶縁性基板12と、枠部材40と、で構成される外囲器によって取り囲まれている。
図2(a)に示される画像表示装置1の構成部材であるフェイスプレート30は、透明基板31と、透明基板31上に設けられる表示部材32と、を備えている。ここで表示部材32は、図2(b)及び(c)にて示されるマトリックス状に配列される複数の発光素子33と遮光膜34とを備えている。即ち、マトリックス状に配列される複数の発光素子33は、ブラックマトリックスと呼ばれる黒色の遮光膜34によって分離・区画されている。
図2(b)に示されるフェイスプレート30は、透明基板31と、透明基板31上に設けられる、カラーフィルター35と、蛍光体膜36と、アノード電極37とがこの順に設けられている発光素子33が複数設けられている。尚、第1の形態では、アノード電極37は、メタルバックと呼ばれる金属膜である。
図2(c)に示されるフェイスプレート30は、透明基板31上に、カラーフィルター35と、フォトニック結晶層38と、アノード電極37と、蛍光体膜36と、がこの順に設けられている発光素子33が複数設けられている。尚、第2の形態では、アノード電極37は、ITO等の透明導電性膜である。
尚、第1の形態及び第2の形態において、カラーフィルター35は省略することもできるが、表示色の純度を高くするために設けておくことが好ましい。
図2(a)に示される画像表示装置10の構成部材であるリアプレート11は、絶縁性基板12と、絶縁性基板12上に設けられる電子源13とを備えている。電子源13は、マトリックス状に配列された複数の電子放出素子14と、複数の電子放出素子14に接続されたマトリックス配線15とを備えている。マトリックス配線15は、列配線15aと行配線15bとからなり、列配線15aと行配線15bとは絶縁層(不図示)で互いに絶縁されている。電子放出素子14は、具体的には、SCE型、Spindt型、CNT型、MIM型、MIS型、BSD型等の電子放出素子であるが、本発明においては、特に限定されるものではない。
図2(a)に示される画像表示装置10は、マトリックス配線15に駆動電圧を印加することによって電子放出素子14から電子が放出される。さらにアノード端子(電子源20)を介してアノード電極37をアノード電位(Va)に規定することにより、放出された電子は加速され、蛍光体膜36を発光させるのに十分なエネルギーが付与される。
図2(b)に示されるフェイスプレート30においては、電子はアノード電極37を透過して蛍光体膜36へ照射される。一方、図2(c)に示されるフェイスプレートにおいては、電子は蛍光体膜36を直接照射する。駆動電圧を印加する列配線15aと行配線15bとを適宜選択することにより、任意の位置の電子放出素子13を駆動し、当該駆動された電子放出素子13に対向する位置の発光素子33が発光する。
画像表示装置10の表示面に室内照明や太陽光等の外光が入射する場合、蛍光体膜36で拡散反射が生じる。表示面の観察者は、拡散反射によって生じる拡散反射輝度と蛍光体膜36の発光輝度との和で表される輝度(表示輝度)を観察することになる。外光が入射する環境下において、コントラスト比は、表示輝度を拡散反射輝度で除した値で表される。外光の照度が高くなるほど、拡散反射輝度が高くなるため、コントラストが低下してしまう。そのため、蛍光体膜36の拡散反射率を低くすることが好ましい。
ところで、蛍光体膜36に含まれる蛍光体の粒子径が、その蛍光体の発光波長以下となると、蛍光体の内部で反射を繰返して蛍光体の内部に閉じ込められる光が減少し、蛍光体の外部に放射される光の割合を高くすることができる。尚、上記発光波長とは、ピーク波長として定義される。また、蛍光体の粒子径を小さくすれば、より微細なパターンを高精度に形成できるので、画像表示装置10の高精細化が可能である。さらに、蛍光体膜36中の蛍光体の充填率が増加すると、外光に対する蛍光体膜36の拡散反射が低下するという傾向がある。そのため、蛍光体の充填率を高くすることによって、拡散反射を低減することができる。
一方で、蛍光体膜36内での拡散反射も小さいために、蛍光体膜36内や透明基板31内で反射を繰返し、透明基板31側から鑑賞者の方向に出射する光が小さくなることがある。そこで、図2(c)で示すように、アノード電極37と透明基板31との間にフォトニック結晶層38を設けることが好ましい。フォトニック結晶層38は、屈折率が互いに異なる材料を、透明基板31と平行な面内で交互に配置した構造であり、好ましくは屈折率が互いに異なる材料を、透明基板31と平行な面内で周期的に配列した構造である。フォトニック結晶層38を設けることにより、蛍光体膜36から透明基板31側へ取り出される光を多くして発光輝度を高くすることができる。従って、拡散反射輝度を低くして、発光輝度を高くできるので良好な表示品質を得ることができる。
図2(b)で示される表示部材32を有するフェイスプレート30(30a)の製造方法の具体例を以下に説明する。まず透明基板31を用意する。そして透明基板31上に、スクリーン印刷法等の塗布方法を用いて、遮光層34用の液体組成物を塗布する。遮光層34を形成する際に使用される液体組成物は、無機顔料又は有機顔料を含んでいる。ここで無機顔料として黒色の硫化物粒子を用いる場合には、遮光層34を形成する際に使用される液体組成物は、溶媒としてメルカプトカルボン酸エステルを含有すると好適である。塗布した液体組成物を乾燥後、焼成して開口を有する遮光層34を形成する。次に、遮光層34の開口内であって、透明基板31の上に、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の塗布方法を用いて、カラーフィルター35用の液体組成物を塗布する。カラーフィルター35用の液体組成物は無機顔料又は有機顔料を含む。塗布した液体組成物を乾燥後、焼成してカラーフィルター35を形成する。
次に、カラーフィルター35上に、スクリーン印刷法、インクジェット法等の塗布方法を用いて、蛍光体膜36用の液体組成物を塗布する。蛍光体膜36用の液体組成物は本発明の製造方法で製造された蛍光体を含む。塗布した液体組成物を乾燥後、焼成して蛍光体膜36を形成する。
次に、蛍光体膜36の上に、スクリーン印刷法等の塗布方法を用いてフィルミング層(不図示)を形成する。次いで、フィルミング層の上に、スパッタ法等の成膜方法によって、アルミニウム等の金属膜をアノード電極37として形成する。そして、フィルミング層を熱分解除去する。以上のようにして表示部材32が形成されたフェイスプレート30を製造することができる。
図2(c)で示される表示部材32を有するフェイスプレート30(30b)の製造方法の具体例を以下に説明する。まず図2(b)で示されるフェイスプレート(30a)と同様の方法で透明基板31上に、遮光膜34及びカラーフィルター35を形成する。次に、カラーフィルター35上に、スパッタ法等の成膜方法及びフォトリソグラフィ法等の加工方法を用いて、フォトニック結晶層38を形成する。次に、フォトニック結晶層38上に、スパッタ法等の成膜方法によって、ITO等の透明導電性膜をアノード電極37として形成する。次に、アノード電極37上に、スクリーン印刷法等の塗布方法を用いて、隔壁39をパターン形成する。
次に、アノード電極37上であって隔壁39で区画されている領域に、スクリーン印刷法、インクジェット法等の塗布方法を用いて、蛍光体膜36用の液体組成物を塗布する。蛍光体膜36用の液体組成物は本発明の製造方法で得られる蛍光体を含む。ここで蛍光体膜36を形成する際にインクジェット法を用いる場合には、液体組成物中の蛍光体は、中位径が1μm以下の粒子(微粒子)を用いることが好ましく、中位径が400nm以下の粒子を用いることがより好ましい。また、蛍光体膜36中の蛍光体の粒子径が、蛍光体膜36の発光波長以下であることが好ましく、発光波長の半分以下であることがより好ましい。尚、上述した発光波長は、ピーク波長として定義され、蛍光体膜36から発する発光のピーク波長と蛍光体の発光ピーク波長は実質的に一致する。図2(a)の画像表示装置10では、赤色、緑色、青色にそれぞれ発光する蛍光体が典型的に用いられるため、中位径が400nm以下の蛍光体を用いれば、インクジェット法を好適に用いることができるとともに、高い発光輝度を得ることができる。次に、塗布した液体組成物を乾燥させた後、焼成して蛍光体膜36を形成する。以上のようにして表示部材32が形成されたフェイスプレート30を製造することができる。
次に、図1の画像表示装置10の製造方法の一例を説明する。フェイスプレート30とリアプレート11とを、閉ループ状の枠部材40を間に挟んで、表示部材13と電子源20とが対向するように配置する。尚、リアプレート11の製造方法は特に限定されない。フェイスプレート30とリアプレート11とをそれぞれ封着剤を用いて枠部材40に接着する。アノード端子20を、絶縁基板12を貫通してアノード電極37と電気的に接続する。最後に、フェイスプレート30とリアプレート11と枠部材40とで囲まれる空間を真空に排気する。このようにして、画像表示装置10を作製することができる。
以下、本発明の実施例を挙げるが、本発明は以下に説明する実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
下記に示す方法により蛍光体を作製した。
前駆体粒子作製工程
まず噴霧熱分解法により、CaMgSi26:Euからなる蛍光体の前駆体粒子を作製した。次に、得られた前駆体粒子をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察、撮影した。ここで、撮影された前駆体粒子の映像を基に前駆体粒子の粒子径を求めた。具体的には、個々の前駆体粒子の映像の面積と同等の面積を有する円の直径を求め、撮像した前駆体粒子がこの直径を有する球体と同じ体積を有するものと仮定した(球相当径)上で粒子径を求めた。このようにして100個の前駆体粒子の球相当径を求めたことで得られる粒子径分布から中位径を算出した。本実施例において、前駆体粒子の中位径は、300nmであった。また得られた前駆体粒子をXRD(X線回折)で結晶構造を分析した結果、非晶質であることが分かった。
〔工程(a)
次に、前駆体粒子作製工程で得られた前駆体粒子を分散媒に分散させ、前駆体分散液を調製した。具体的には、前駆体粒子1gとエタノール(分散媒)とを混合し、US攪拌を1時間行った。次いで、分散性を向上するための分散剤(商品名:Disperbyk−2000、ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.1gを加え、US撹拌を2時間行った。
次に、有機樹脂であるエチルセルロース(商品名:エトセルグレード4、日進化成株式会社製)1gとエタノール100mlとを混合した有機樹脂溶液を調製した。次に、この有機樹脂溶液を先程調製した前駆体分散液に加えた後、混合液を1時間攪拌させることで、前駆体分散ペーストを作製した。
ここで粒子径測定機(商品名:ZetasizerNano、Malvern社製)を用いて、前駆体分散ペーストに含まれる前駆体粒子の粒子径を測定したところ、300nm(に相当)であった。このため、ペースト内に前駆体粒子が単一に分散されていることが確認された。
〔工程(b)
次に、工程(a)で作製した前駆体分散ペーストをアルミナ製ルツボに入れた後、ルツボ内の雰囲気(ガス雰囲気)を窒素100%に設定して、1250℃で2時間焼成(第一の熱処理工程)することで、炭素被膜付蛍光体を作製した。
作製した炭素被膜付蛍光体の表面を観察したところ、粒子全体の色が黒色であるため炭素が蛍光体を被覆していることが分かった。またこの炭素被膜付蛍光体について炭素の量を評価したところ前駆体粒子の重量に対して4重量%以上であった。尚、炭素量は、炭素被膜付蛍光体の重量を微小重量計により測定し、予め計測した前駆体粒子の重量を差し引くことで評価した。
またラマン分光測定によって、炭素被膜の構造が非晶質であることが確認できた。
〔工程(c)
次に、工程(a)で作製した炭素被膜付蛍光体をアルミナ製ルツボに入れた後、ルツボ内の雰囲気(ガス雰囲気)を窒素70%酸素30%に設定して、450℃で4時間熱処理(第二の熱処理工程)を行うことにより蛍光体を得た。尚、この工程により、蛍光体を被覆する炭素は除去された。
次に、工程(c)で作製した蛍光体を以下に示す方法により評価した。
(1)結晶性
X線回折測定を行ったところ、前駆体粒子作製工程で得られた前駆体粒子と比べて結晶性が向上していることが確認できた。
(2)表面観察・表面分析
工程(b)で得られた炭素被膜付蛍光体と同様の方法で表面を観察したところ、粒子表面の色は白色であったため、工程(b)で形成した炭素被膜が除去されていることが確認できた。また、工程(c)で形成した炭素被膜の除去は、XPS(X線光電子分光)による表面分析を行うことでも確認できた。
(3)炭素量
工程(b)で得られた炭素被膜付蛍光体と同様の方法で、蛍光体に付着する炭素の量を評価した。その結果、炭素量は、蛍光体の重量に対して1重量%以下であることがわかった。
(4)結晶構造の解析
X線回折測定を行ったところ、得られた蛍光体が、CaMgSi26からなる単一層の結晶であることが確認された。またTEM(透過型電子顕微鏡)による観測を行ったところ、得られた蛍光体が単結晶であることがわかった。
(5)粒子径
前駆体粒子作製工程で得られた前駆体粒子と同様の方法で、蛍光体の粒子径を測定したところ、中位径が300nmであったため、前駆体粒子作製工程で得られた前駆体粒子と同じ粒径であることが分かった。
(6)発光特性
蛍光体0.1gを真空容器内にセットし、パルス状の電子線を照射した。尚、照射の際、電子線のパルス幅を20μsecとし、周波数を100Hzとし、照射電流密度を20mA/cm2とした。放射輝度計による輝度測定の結果、輝度は31cd/m2であった。
[実施例2、3]
工程(b)のルツボ内の雰囲気を表3に示されるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により蛍光体を作製した。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。結果を表3及び表4に示す。
[実施例4、5、比較例1]
工程(b)を行う際のルツボ内のガス雰囲気を窒素濃度80%、酸素濃度20%とし、工程(b)の加熱条件を表3に示されるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により蛍光体を作製した。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表3及び表4に示す。
[比較例2]
市販のCaMgSi26:Eu蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径300nmになるように制御した微粒子状の蛍光体について、実施例1と同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は10cd/m2であった。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
比較例1では、工程(b)で全体が白色となり炭素もほとんど検出されない状態となっており、工程(b)の途中で炭素が消失し、工程(b)で蛍光体粒子と炭素の混合物が得られていない。このため、蛍光体粒子の凝集を生じ、中位径が大きな多結晶体となっている。この比較例1及び実施例1乃至3から、工程(b)での酸素濃度が高くなると炭素の消失が生じやすいことが分かる。また、実施例4、5及び比較例1から、工程(b)での酸素濃度が高くなっても、加熱温度を下げたり、加熱時間を短くすることで炭素の消失を防ぐことができることも分かる。但し、実施例1乃至3と実施例4及び5の対比から、加熱温度を下げると加熱時間が同じでも輝度が低下しやすく、加熱時間を短くすると加熱温度が同じでも輝度が低下しやすいことが分かる。いずれも結晶性の向上量が低下するためと考えられる。これらのことから、工程(b)における酸素濃度は10%以下が好ましいといえる。また、実施例1乃至5の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例2の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例6乃至8]
実施例6、7では実施例1の工程(c)を行う際のルツボ内のガス雰囲気を表6の通り変更した他は、実施例1と同様の方法により蛍光体を作製した。なお、実施例8では、実施例6及び7と同じ加熱時間では表面に一部黒色部分が残っていたため、全体が白色になって炭素がほとんど検出されなくなるまで工程(c)の加熱処理を行った。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表5及び表6に示す。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
実施例6乃至8から、工程(c)における酸素濃度が低くなると、工程(c)での処理時間が長くなることがわかる。実施例6乃至8の結果から、工程(c)における酸素濃度は20%以上が好ましいといえる。また、実施例6乃至8の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例2の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例9乃至16、比較例3]
実施例1乃至8及び比較例1のそれぞれにおいて、前駆体粒子作製工程で作製した前駆体粒子の中位径を50nmに設定・制御したこと以外は、実施例1乃至8及び比較例1と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例9乃至16及び比較例3とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表7及び表8に示す。
[比較例4]
市販のCaMgSi26:Eu蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を50nmに制御した微粒子状の蛍光体について同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は2cd/m2であった。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
実施例9乃至16及び比較例3の結果から、中位径が50nmの場合においても、実施例1乃至8及び比較例1で説明した中位径が300nmの場合と同様の傾向を示すことが分かる。また、実施例9乃至16の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例4の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例17乃至24、比較例5]
実施例1乃至8及び比較例1のそれぞれにおいて、前駆体粒子作製工程で作製した前駆体粒子の中位径を1000nmに設定・制御したこと以外は、実施例1乃至8及び比較例1と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例17乃至24及び比較例5とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表9及び表10に示す。
[比較例6]
市販のCaMgSi26:Eu蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を1000nmに制御した微粒子状の蛍光体について同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は35cd/m2であった。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
実施例17乃至24及び比較例5の結果から、中位径が1000nmの場合においても、実施例1乃至8及び比較例1で説明した中位径が300nmの場合と同様の傾向を示すことが分かる。また、実施例17乃至24の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例6の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例25乃至32、比較例7]
実施例9乃至16及び比較例3のそれぞれにおいて、前駆体粒子作製工程で作製したCaMgSi26:Euの前駆体粒子に代えてZn2SiO4:Mnの前駆体粒子を作製したこと以外は、実施例9乃至16及び比較例3と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例25乃至32、比較例7とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件と結果を表11及び表12に示す。
[比較例8]
市販のZn2SiO4:Mn蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を50nmに制御した微粒子状の蛍光体について同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は3cd/m2であった。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
実施例25乃至32及び比較例7の結果から、中位径が50nmのZn2SiO4:Mnにおいても、中位径が50nmのCaMgSi26:Euの場合と同様の傾向を示すことが分かる。また、実施例25乃至32の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例8の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例33乃至40、比較例9]
実施例25乃至32、比較例7のそれぞれにおいて、前駆体粒子作製工程で作製した前駆体粒子の中位径を1000nmに設定・制御したこと以外は、実施例25乃至32、比較例7と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例33乃至40、比較例9とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。製造条件及び結果を表13及び表14に示す。
[比較例10]
市販のZn2SiO4:Mn蛍光体(東京化学研究所製、粒径2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を1000nmに制御した微粒子状の蛍光体について同様に発光特性を評価した。その結果、輝度は85cd/m2であった。
Figure 2012067167
Figure 2012067167
実施例33乃至40及び比較例9の結果から、中位径が1000nmのZn2SiO4:Mnにおいても、中位径が1000nmのCaMgSi26:Euの場合と同様の傾向を示すことが分かる。また、実施例33乃至40の蛍光体は、いずれも、成分及び中位径が同じ比較例10の粉砕品よりも輝度が優れている。
[実施例41乃至48、比較例11]
実施例1乃至8及び比較例1のそれぞれにおいて、工程(a)で使用した有機樹脂をアクリル樹脂としたことを以外は、実施例1乃至8及び比較例1と同様の方法によりそれぞれ蛍光体を作製し、実施例41乃至48及び比較例11とした。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。その結果、それぞれ実施例1乃至8及び比較例1と同様の結果が得られた。
従って、本発明においては、アクリル樹脂を工程(a)で使用する有機樹脂として用いることができるといえる。
[実施例49]
実施例1において、工程(a)を行う際に前駆体分散液に、分散剤を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により蛍光体を作製した。
得られた蛍光体について実施例1と同様に評価した。その結果、得られた蛍光体の中位径が500nmであった。一方、これ以外の特性は、実施例1と同様であった。
従って、本実施例の結果から、蛍光体の中位径の制御という観点から、前駆体分散液に分散剤を加える方が好ましいといえる。
[実施例50]
図2(a)に示される画像表示装置を、以下に示す方法により作製した。
(1)フェイスプレートの作製
まず図2(c)に示されるフェイスプレート30bを作製した。尚、本実施例においては、蛍光体膜の発光輝度を調べるために、カラーフィルター35、遮光膜34、隔壁39の形成を省略した。
石英ガラス基板(透明基板31、屈折率:1.46)上に、2次元正方格子状に略円筒状の凹部を多数形成した。ここで形成した凹部のピッチを1700nmとし、凹部の直径を920nmとし、凹部の深さを880nmとした。次に、化学気相蒸着法(CVD法)により、基板の凹部を充填するように、基板上に四塩化チタンを成膜しTiO2膜(屈折率:2.2)を形成した。次に、アニールを行った。次に、化学機械研磨法(CMP法)によりTiO2膜の表面を研磨した。ここでTiO2膜の表面研磨を行った後の凹部の深さは670nmであった。このようにして、フォトニック結晶層38を形成した。
次に、スパッタ法により、フォトニック結晶層38上に、ITOを成膜してアノード電極37を形成した。このときアノード電極(ITO膜)37の膜厚を250nmとした。尚、形成されたITO膜の屈折率は1.9であった。
次に、インクジェット法により、アノード電極37上に、実施例1で作製した蛍光体を塗布した。次に、550℃にて1時間焼成を行った。焼成後の蛍光体膜36の厚さは820nmであった。
以上により、フェイスプレート30bを得た。
(2)画像表示装置の作製
真空チャンバー内において、(1)にて作製したフェイスプレート30bと、別途作製したリアプレート11と、を互いに対向するように配置させた後、フェイスプレート30aとリアプレート11との間に枠部材40を介在させた。そしてフェイスプレート30と枠部材40との間、及びリアプレート11と枠部材40との間を封着した。尚、本実施例において、リアプレート11は公知の方法で作製し、各部材の封着にあたっては公知の方法を採用した。以上により画像表示装置10を得た。
得られた画像表示装置10について発光輝度を測定した。具体的には、アノード電極37に7kVのアノード電位を付与し、マトリックス配線15(15a,15b)を介して、電子放出素子14に駆動パルス(パルス幅:20μsec、パルス周波数:100Hz)を印加し、電子放出素子14から電子を放出した。尚、このパルスの電流密度は4mA/cm2であった。
また比較対象として、市販のCaMgSi26:Eu蛍光体(東京化学研究所製、粒径:2μm)をビーズミルによって粉砕して中位径を300nmに調整した蛍光体を含む蛍光体膜36を有するフェイスプレートを使用した比較用の画像表示装置を作製した。
本実施例で作製した画像表示装置と比較用の画像表示装置とをそれぞれ暗室で発光させたところ、実施例1の蛍光体を有する画像表示装置が、比較用の画像表示装置よりも発光輝度が高かった。
1:前駆体粒子、2:前駆体分散ペースト、3:有機樹脂、4:炭素、5:粒子、10:画像表示装置、11:リアプレート、12:絶縁性基板、13:電子源、14:電子放出素子、15:マトリックス配線、15a:列配線、15b:行配線、20:電子源、30(30a,30b):フェイスプレート、31:透明基板、32:表示部材、33:発光素子、34:遮光層、35:カラーフィルター、36:蛍光体膜、37:アノード電極、38:フォトニック結晶層、39:隔壁、40:枠部材

Claims (8)

  1. 下記工程(a)〜(c)を有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
    (a)少なくとも一部に非晶質部分を有する、蛍光体の前駆体粒子を有機樹脂中に分散させて前駆体分散ペーストを作製する工程。
    (c)前記前駆体分散ペーストを、前記有機樹脂を炭化させ、しかも前記前駆体粒子の結晶化温度以上の温度で加熱処理することで、前記有機樹脂の炭化により生じた炭素の存在下で前記前駆体粒子の結晶性を向上させて蛍光体粒子とし、該蛍光体粒子と前記炭素の混合物を得る工程。
    (d)前記混合物を、前記蛍光体粒子の凝集する温度未満で加熱処理することで、前記炭素を除去する工程。
  2. 前記工程(c)の前記加熱処理を、前記工程(d)の前記加熱処理に比して酸素濃度が低い雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
  3. 前記工程(c)の前記加熱処理を、酸素濃度が10%以下の雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光体の製造方法。
  4. 前記工程(c)の前記蛍光体粒子と前記炭素の混合物において、前記蛍光体粒子の表面に、該蛍光体粒子の重量に対して4重量%以上の炭素が付着していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
  5. 前記工程(d)の前記加熱処理を、酸素濃度が20%以上の雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
  6. 前記工程(c)の加熱処理を1100℃乃至1400℃で行い、前記工程(d)の加熱処理を400℃乃至700℃で行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
  7. 基板上に蛍光体膜及びアノード電極が設けられたフェイスプレートの製造方法において、
    前記蛍光体膜を、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法により製造された蛍光体で形成することを特徴とするフェイスプレートの製造方法。
  8. 基板上に蛍光体膜及びアノード電極が設けられたフェイスプレートと、リアプレートとを有する画像表示装置の製造方法において、
    前記蛍光体膜を、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法により製造された蛍光体で形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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