ところで、複合部材を用いたパターヘッドは、単一の部材からなるパターヘッドよりも、構造材の組み合わせや形状等、パターヘッドの構成についての選択の幅が広くなりそうに思える。
使用者にとって、パターの打球感(ゴルフボールを打ったときの手ごたえ)、反発力、打球音、重心位置、重量等、様々な要素(以下、これらの要素を総合して、「パターの使用感」という。)が好ましく感じられるか否かは、使用者各人の感覚によるところが大きい。つまり、使用者にはそれぞれ「自分に適するパター」がある。パターヘッドの構成についての選択の幅が大きければ、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
しかしながら、現在、使用者が入手できるパターは、パターのメーカーが、メーカーの基準に沿って製造したものである。これは、従来のパターヘッド用複合部材から製造されるパターヘッドやパターについても同様である。このため、使用者が「自分に適するパター」を選択するという観点からは、パターヘッドの構成についての選択の幅が十分に広いということはできなかった。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となるパターヘッド用複合部材を提供することを目的とする。また、本発明のパターヘッド用複合部材から製造されたパターヘッドを提供することを目的とする。
[1]本発明のパターヘッド用複合部材は、切削加工によりパターヘッドを製造するために用いるパターヘッド用複合部材であって、前記パターヘッド用複合部材は、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板を拡散接合することにより形成した積層体を備え、前記3枚以上の金属板を構成する各金属板は、その金属板に隣接する金属板とは異なる金属材料からなることを特徴とする。
本発明のパターヘッド用複合部材によれば、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板を拡散接合することにより形成した積層体を備えるため、後述する各実施形態に示すように、パターヘッド用複合部材のうち使用者の所望する領域を用いてパターヘッドを製造することにより、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、本発明のパターヘッド用複合部材は、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、本発明のパターヘッド用複合部材によれば、拡散接合を用いて構造材(3枚以上の金属板)を固定したものであるため、構造材同士が接する箇所(金属部材の接合面)で構造材を均一に固定することが可能となる。その結果、本発明のパターヘッド用複合部材によれば、構造材のがたつきが無く打球時の一体感に優れるパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となり、かつ、耐久性が高いパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
本発明のパターヘッド用複合部材は、積層体のみを備える(積層体のみからなる)ものであってもよいし、積層体以外の金属部材(以下、「追加の金属部材」という。)を備えるものであってもよい。追加の金属部材としては、後側金属部材、上側金属部材及び前側金属部材を例示することができる(後述する各実施形態参照。)。また、本発明のパターヘッド用複合部材は、追加の金属部材として、パターヘッド用複合部材を切削加工時に固定するための金属部材(いわゆる、「くわえしろ」となる金属部材)を備えるものであってもよい。
本発明のパターヘッド用複合部材が追加の金属部材を備える場合には、パターヘッド用複合部材は、第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板と追加の金属部材とを、拡散接合することにより製造したものであることが好ましい。このような構成とすることにより、積層体を形成するのと同時に、追加の金属部材を積層体に固定することが可能となる。
本発明のパターヘッド用複合部材においては、パターヘッド用複合部材は、製造するパターヘッドと比較して、幅、奥行き、高さのいずれにおいても上回っていることが好ましい。このような構成とすることにより、切削加工を行う一工程のみで、完成品のパターヘッドの形状又は完成品のパターヘッドに近い形状とすることが可能となる。
本発明のパターヘッド用複合部材においては、各金属板は、その金属板に隣接する金属板とは色調又は質感が異なる金属材料からなることが好ましい。このような構成とすることにより、各金属板の色調又は質感の違いを活用して、美観に優れるパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
本発明のパターヘッド用複合部材から製造するパターヘッドは、当該パターヘッドにシャフト(パターのうち、グリップを有する棒状の部品。)を接続するためのネックを備えるパターヘッドであってもよいし、ネックを備えないパターヘッドであってもよい。
本発明のパターヘッド用複合部材における金属板は、板状の形状を有する金属部材、又は、板状の形状を有する金属部材から切り出された金属部材のことをいう。各金属板の厚さは、例えば、80.0mm以下とすることができ、60.0mm以下とすることが好ましい。金属板(後述する金属薄板を含む)の厚さは、第1方向に沿う厚さで記載する。
金属板は、全体として板状の形状であれば、平面状の形状からなる金属板の他に、アーチ状やドーム状のように曲面状に湾曲した形状からなる金属板も用いることができる。
なお、「3枚以上の金属板を構成する各金属板」は、「積層体を構成する各金属板」と表現することもできる。
なお、本明細書においては、パターヘッド用複合部材における金属部材(金属板等)の厚さは、拡散接合を行う前の厚さのことをいう。これは、拡散接合時の圧力と熱により、拡散接合の前後で金属部材の厚さが変わるためである。また、拡散接合を行うと、金属部材間に拡散層(金属部材の金属材料が、隣接する金属部材の金属材料と、接合面を介して原子レベルで拡散しあった層)が生じ、拡散接合後は金属部材の厚さを正確に測定することが困難となるためでもある。
「拡散接合」とは、複数の金属部材を準備する工程と、複数の金属部材における接合予定面を突き合わせた状態で、複数の金属部材を所定の圧力条件で押圧しながら複数の金属部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、複数の金属部材を互いに接合する工程とを、この順序で実施することで複数の金属部材を接合する方法や、この方法のバリエーションのことをいう。このとき、第1温度は、複数の金属部材を構成する金属材料の融点よりも低い温度である。拡散接合により、金属部材の金属材料が、隣接する金属部材の金属材料と、接合面を介して原子レベルで拡散しあうため、複数の金属部材を強固に一体化することができる。
[2]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記パターヘッド用複合部材から前記パターヘッドを製造するときに前記パターヘッド用複合部材における前記パターヘッドのフェース面を形成する領域を、フェース面形成領域とするとき、前記積層体は、前記フェース面形成領域を含む領域に、かつ、前記第1方向が前記フェース面に直交することとなる向きに、配置され、前記各金属板は、厚さが10mm以下の金属薄板からなり、前記各金属薄板は、その金属薄板に隣接する金属薄板の金属材料とは縦弾性係数が5GPa以上異なる金属材料からなることが好ましい。
ところで、パターヘッドにおいて、フェース面の構成は、パターの打球感及び反発力に直接影響を及ぼす。パターの打球感及び反発力は、好ましく感じられるか否かが使用者各人の感覚に左右されるところが大きい重要な要素である。また、パターの打球感及び反発力は、パターヘッドの形状の変更や後からの付け加えによって選択及び変更することが困難な要素である。
ここで、上記のような構成とすることにより、各金属薄板は、その金属薄板に隣接する金属薄板の金属材料とは縦弾性係数が異なる金属材料からなるため、パターヘッド用複合部材のうち使用者の所望する領域を用いてパターヘッドを製造することで、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が選択することが可能となる(後述する実施形態1参照。)。
また、上記のような構成とすることにより、各金属薄板は、その金属薄板に隣接する金属薄板の金属材料とは縦弾性係数が5GPa以上異なる金属材料からなるため、隣接する金属薄板の金属材料における縦弾性係数の差を十分なものとして、使用者の選択によるパターの打球感及び反発力の変化を十分なものとすることが可能となる。
「縦弾性係数(ヤング率ということもある。)」とは、弾性範囲内で応力を受けたときにおける物質の歪みの具合を示す数値のことをいい、この数値が高いほど歪みにくい(一般的に、硬く変形しにくい)物質であるということができる。
上記[2]に記載のパターヘッド用複合部材から製造するパターヘッドにおいては、フェース面及びフェース面近傍の部分が積層体から形成される。このため、使用者が積層体のどの領域を用いてフェース面を形成するか選択するということは、フェース面に露出する金属薄板に影響されるパターの使用感を選択するとともに、フェース面近傍の部分に影響されるパターの使用感も選択するということになる。パターヘッドにおける縦弾性係数は、フェース面に露出する金属部材だけで縦弾性係数を考えるよりも、フェース面近傍の部分、つまり、パターヘッドにおける積層体全体としての縦弾性係数を考えるのが好ましいことがある。
上記[2]に記載のパターヘッド用複合部材においては、パターヘッド用複合部材は、パターヘッドのうちフェース面とは反対側の部分を形成するために用い、かつ、単一の金属部材からなる後側金属部材をさらに備えることが好ましい。フェース面とは反対側の部分については、フェース面とは離れているため、縦弾性係数に関連して決まるパターの打球感及び反発力にはあまり寄与しない。このため、上記のような構成とすることにより、縦弾性係数に関連して決まるパターの打球感及び反発力にはあまり寄与しない部分については、単一の金属部材である後側金属部材を用い、パターヘッド用複合部材の構成を単純化することが可能となる。
[3]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記フェース面を形成する側を前側とし、その反対側を後側とするとき、前記各金属薄板のうち任意の隣接する2枚の金属薄板は、前側の金属薄板の厚さをT1とし、後側の金属薄板の厚さをT2とするときに「T1≦T2」なる関係を満たし、前記各金属薄板のうち、少なくとも2枚の金属薄板は同種の金属材料からなる金属薄板であり、前記同種の金属材料からなる金属薄板のうち直近の2枚の金属薄板は、前側の金属薄板の厚さをT3とし、後側の金属薄板の厚さをT4とするときに「T3<T4」なる関係を満たすことが好ましい。
ところで、積層体の構成に規則性がない場合には、使用者の選択の結果どのようなパターヘッドが製造できるのかを予想することが困難となり、使用者がパターヘッド用複合部材のうち所望する領域を選択すること自体が困難となることが考えられる。
一方、上記のような構成とすることにより、任意の隣接する2枚の金属薄板の厚さの関係、及び、同種の金属材料からなる金属薄板のうち2枚の金属薄板の厚さの関係について規則性があることから、積層体の構成に規則性を持たせることで使用者の選択の結果にも規則性を持たせることが可能となり、その結果、使用者がパターヘッド用複合部材のうち所望する領域を選択しやすくすることが可能となる。
また、上記のような構成とすることにより、積層体の後側になるほど金属薄板の厚さが厚くなるため、積層体の構成に一層明確な規則性を持たせることで使用者の選択の結果にも一層明確な規則性を持たせることが可能となり、その結果、使用者がパターヘッド用複合部材のうち所望する領域を一層選択しやすくすることが可能となる。
[4]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記積層体は、所定の縦弾性係数を有する第1金属材料からなる第1金属薄板と、前記第1金属材料よりも縦弾性係数が小さい第2金属材料からなる第2金属薄板とを交互に積層したものであることが好ましい。
このような構成とすることにより、積層体の構成により一層明確な規則性を持たせることで使用者の選択の結果にもより一層明確な規則性を持たせることが可能となり、その結果、使用者がパターヘッド用複合部材のうち所望する領域をより一層選択しやすくすることが可能となる。
上記[4]に記載のパターヘッド用複合部材においては、第1金属材料と第2金属材料との縦弾性係数の差は、30GPa以上であることが好ましい。このような構成とすることにより、隣接する金属薄板の金属材料における縦弾性係数の差を十分に大きくして、使用者の選択によるパターの打球感及び反発力の変化を十分に大きくすることが可能となる。
なお、第1金属材料と第2金属材料との縦弾性係数の差の上限については、金属薄板の拡散接合がうまくいく限り制限はないが、例えば、300GPa以下とすることができる。
上記[4]に記載の第1金属薄板の枚数及び第2金属薄板の枚数は、1枚でもよいし、2枚以上でもよい。
[5]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記各金属薄板の厚さは、0.3mm〜1.0mmの範囲内にあることが好ましい。
このような構成とすることにより、拡散接合後においても金属薄板の厚さを十分に確保することが可能となり、かつ、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが可能となる。
なお、本発明において、金属薄板の厚さを0.3mm〜1.0mmの範囲内としたのは、以下の理由による。すなわち、当該厚さが0.3mmより小さい場合には、拡散接合後に金属薄板が隣接する金属薄板と完全に混じりあってしまい、拡散接合後において金属薄板の厚さを十分に確保することが困難となる場合があるためである。また、当該厚さが1.0mmより大きい場合には、金属薄板の厚さが大きすぎて、金属薄板の枚数を十分に多くすることが困難となり、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが困難となる場合があるためである。
[6]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記パターヘッド用複合部材は、前記パターヘッドのうち前記フェース面とは反対側の部分を形成するために用い、かつ、単一の金属部材からなる後側金属部材をさらに備え、前記積層体の前記第1方向に沿う厚さは、1.0mm〜30.0mmの範囲内にあることが好ましい。
このような構成とすることにより、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが可能となり、かつ、積層体の厚さを適切な厚さとすることが可能となる。
なお、本発明において、積層体の第1方向に沿う厚さを1.0mm〜30.0mmの範囲内としたのは、以下の理由による。すなわち、当該厚さが1.0mmより小さい場合には、積層体の厚さが小さすぎて金属薄板の枚数を十分に多くすることができず、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが困難となる場合があるためである。また、当該厚さが30.0mmよりも大きい場合には、積層体の厚さが、使用者の選択の幅を考慮しても過剰な厚さとなってしまう場合があるためである。
上記観点からは、積層体の第1方向に沿う厚さは、2.0mm〜20.0mmの範囲内にあることが一層好ましく、3.0mm〜15.0mmの範囲内にあることがより一層好ましい。
本明細書においては、「積層体の第1方向に沿う厚さ」は、拡散接合を行う前の金属薄板の厚さを合計した厚さのことをいう。
[7]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記積層体を構成する金属薄板の枚数は、4枚〜16枚の範囲内にあることが好ましい。
このような構成とすることにより、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが可能となり、かつ、積層体の厚さを適切な厚さとすることが可能となる。
なお、本発明において、金属薄板の枚数を4枚〜16枚の範囲内としたのは、以下の理由による。すなわち、当該枚数が4枚より少ない場合には、金属薄板の枚数を十分に多くすることができず、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが困難となる場合があるためである。また、当該枚数が16枚よりも多い場合には、金属薄板の枚数が多すぎて、積層体の厚さが、使用者の選択の幅を考慮しても過剰な厚さとなってしまう場合があるためである。
[8]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記各金属薄板のうち少なくとも1枚の金属薄板は、多孔質金属材料からなることが好ましい。
上記のような構成とすることにより、多孔質金属材料であることにより期待できる性質(例えば、多数の細孔によるクッション性)を利用して、パターの使用感及び反発力についての選択範囲を一層大きくすることが可能となる。
多孔質金属材料は、多数の細孔を有し、気体や液体を通過させる性質を有する金属材料のことをいう。具体例としては、主にガス抜き可能な金型に用いられている「ポーセラックス」(新東工業株式会社の登録商標。)系統の金属材料を挙げることができる。
本明細書においては、多孔質金属材料と、多孔質金属材料ではない(細孔がない)金属材料とは、双方の金属材料の元素比率(組成)同じでも別の金属材料として扱う。多孔質金属材料と、多孔質金属材料ではない金属材料とでは、組成が一致したとしても性質(密度、反発力等)が大きく異なるためである。
[9]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記積層体は、前記パターヘッド用複合部材から前記パターヘッドを製造するとき、前記第1方向が前記パターヘッドにおける鉛直方向に沿うこととなる向きに配置され、前記各金属板は、その金属板に隣接する金属板の金属材料とは密度が1.0g/cm3以上異なる金属材料からなることが好ましい。
このような構成とすることにより、製造するパターヘッドの形状を変えないまま、使用者がパターヘッドの重心位置(特に、鉛直方向の重心位置)について選択することが可能となる。
また、上記のような構成とすることにより、各金属板は、その金属板に隣接する金属板の金属材料とは密度が1.0g/cm3以上異なる金属材料からなるため、隣接する金属板の金属材料における密度の差を十分なものとして、使用者の選択によるパターの重心位置の変化を十分なものとすることが可能となる。
本明細書においては、多孔質金属材料の密度は、細孔を含んだ密度(いわゆる、見かけ上の密度)として扱う。
「パターヘッドにおける鉛直方向」とは、パターヘッドをパターに組み込み、使用者がパターを構えたときにおける鉛直方向と沿う方向のことをいう。
[10]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記パターヘッドのソール面を形成する側を下側とし、その反対側を上側とするとき、前記各金属板のうち任意の隣接する2枚の金属板は、下側の金属板の金属材料における密度をD1とし、上側の金属板の金属材料における密度をD2とするときに「D1>D2」なる関係を満たすことが好ましい。
このような構成とすることにより、重心位置が低く、安定性の高いパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
上記[10]に記載のパターヘッド用複合部材においては、パターヘッド用複合部材からパターヘッドを製造するときにパターヘッド用複合部材におけるパターヘッドのソール面を形成する領域を、ソール面形成領域とするとき、積層体は、ソール面形成領域に配置され、パターヘッド用複合部材は、パターヘッドのうちソール面とは反対側の部分を形成するために用い、かつ、単一の金属部材からなる上側金属部材をさらに備えることが好ましい。このような構成とすることにより、パターヘッド用複合部材の下側の部分に比べて重心位置に対する寄与が少ないパターヘッド用複合部材の上側の部分については、単一の金属部材である上側金属部材を用い、パターヘッド用複合部材の構成を単純化することが可能となる。
なお、重心位置を低くするという観点から、上側金属部材は、各金属板の金属材料よりも密度が低い金属材料からなることが好ましい。
[11]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記積層体は、前記パターヘッド用複合部材から前記パターヘッドを製造するとき、前記第1方向が前記パターヘッドにおけるフェース面に平行かつ前記パターヘッドにおける鉛直方向に垂直となる向きに配置されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、製造するパターヘッドの形状を変えないまま、使用者がパターヘッドの重心位置や重量配分(特に、ヒール・トゥ方向の重心位置や重心配分)について選択することが可能となる。
上記観点からは、請求項[11]に記載のパターヘッド用複合部材においては、各金属板は、その金属板に隣接する金属板の金属材料とは密度が1.0g/cm3以上異なる金属材料からなることが好ましい。このような構成とすることにより、隣接する金属板の金属材料における密度の差を十分なものとして、使用者の選択によるパターの重心位置の変化を十分なものとすることが可能となる。
ところで、パターでゴルフボールを打つときには、ゴルフボールをフェース面の中心付近(いわゆる、スイートスポット)に当てることが通常である。しかし、目標までの距離が短いときやゴルフボールが下り坂にあるときには、ゴルフボールをフェース面の中心付近ではなく、ヒール側又はトゥ側に当てることもある。
ここで、上記のような構成とすることにより、製造するパターヘッドにおいてフェース面に3枚以上の金属板を露出させることで、フェース面の位置によって打球感が大きく異なるパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
[12]本発明のパターヘッド用複合部材においては、内部に空洞を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、打球時におけるフェース面の撓みを促進して、打球時の反発力を増したパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
上記[12]に記載のパターヘッド用複合部材においては、パターヘッド用複合部材は、パターヘッド用複合部材を形成することになる金属部材(金属板その他の金属部材)のうち、空洞を含む位置に配置される金属部材に、空洞の形状に合わせて当該金属部材の一部を除去する(凹部や貫通孔を形成する)加工を施し、当該加工を施した金属部材を用いて製造されたものであることが好ましい。このような構成とすることにより、製造するパターヘッドに適合する形状の空洞を、比較的簡易に形成することが可能となる。
空洞の形状としては、様々な形状を用いることができ、直方体状の形状、円柱状の形状、球形の形状、自由形状を例示することができる。
[13]本発明のパターヘッド用複合部材においては、前記パターヘッドは、シャフトを接続するためのネックを備えるパターヘッドであり、前記積層体は、前記パターヘッド用複合部材から前記パターヘッドを製造するとき、前記ネックを形成する領域を含む領域に配置されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、ネックについての様々な要素、特にネックのしなり具合についても使用者が選択することが可能となる。
[14]本発明のパターヘッドは、本発明のパターヘッド用複合部材を切削加工することにより製造されたことを特徴とする。
本発明のパターヘッドによれば、本発明のパターヘッド用複合部材を切削加工することにより製造されたため、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドとすることが可能となる。
このため、本発明のパターヘッドは、本発明のパターヘッド用複合部材を出発材料として、当該パターヘッド用複合部材のうち使用者の所望する領域を用いてパターヘッドとなるように切削加工することで、従来のパターヘッドよりもパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、本発明のパターヘッドによれば、拡散接合を用いて構造材(3枚以上の金属板)を固定したものであるため、構造材同士が接する箇所(金属部材の接合面)で構造材を均一に固定することが可能となる。その結果、本発明のパターヘッドによれば、構造材のがたつきを無くして打球時の一体感に優れるパターヘッドとすることが可能となり、かつ、耐久性が高いパターヘッドとすることが可能となる。
本発明のパターヘッドは、積層体のみを備える(積層体のみからなる)ものであってもよいし、追加の金属部材を備えるものであってもよい。積層体以外の金属部材としては、後側金属部材、上側金属部材及び前側金属部材を例示することができる(後述する各実施形態参照。)。
本発明のパターヘッドにおいては、3枚以上の金属板を構成する各金属板は、その金属板に隣接する金属板とは色調又は質感が異なる金属材料からなることが好ましい。このような構成とすることにより、金属板の色調又は質感の違いを活用して、美観に優れるパターヘッドとすることが可能となる。
本発明のパターヘッドは、ネックを備えるパターヘッドであってもよいし、ネックを備えないパターヘッドであってもよい。
[15]本発明のパターヘッドにおいては、前記パターヘッドの内部における、フェース面の裏側には空洞が設けられており、前記フェース面と前記空洞との距離は、0.3mm〜5.0mmの範囲内にあることが好ましい。
このような構成とすることにより、フェース面に十分な強度を持たせることが可能となり、かつ、打球時の反発力を十分に増したパターヘッドとすることが可能となる。
なお、本発明において、前記フェース面と前記空洞との距離を0.3mm〜5.0mmの範囲内としたのは、以下の理由による。すなわち、当該距離が0.3mmより小さい場合には、フェース面が薄すぎて、フェース面に十分な強度を持たせることが困難となる場合があるためである。また、当該距離が5.0mmより大きい場合には、フェース面が厚すぎて、打球時においてフェース面の撓みが十分に得られず、打球時の反発力を十分に増すことが困難となる場合があるためである。
上記観点からは、フェース面と空洞との距離は、0.5mm〜3.0mmの範囲内にあることが一層好ましい。
「フェース面と空洞との距離」とは、フェース面と空洞との最短距離のことをいう。
なお、本明細書においては、パターヘッドにおけるフェース面と空洞との距離は、パターヘッドにおける実際の距離で記載する。これは、フェース面の強度や撓み具合は、フェース面と空洞との実際の距離により決まるためである。
空洞の形状としては、様々な形状を用いることができ、直方体状の形状、平板状の形状(ある一方向に沿う深さが、他の方向に沿う深さよりも十分に小さい形状)、円柱状の形状、球形の形状、自由形状を例示することができる。
[16]本発明のパターヘッドにおいては、前記パターヘッド用複合部材が、上記[2]〜[8]のいずれかに記載のパターヘッド用複合部材であり、前記フェース面が、前記パターヘッド用複合部材の前記積層体の部分に形成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が選択することが可能となる。
[17]本発明のパターヘッドにおいては、前記パターヘッドの内部における、前記フェース面の裏側には空洞が設けられており、前記空洞は、前記積層体を構成する金属薄板のうち、前記空洞を含む位置に配置される金属薄板に形成された貫通孔からなり、前記フェース面と前記空洞との距離は、0.3mm〜5.0mmの範囲内にあることが好ましい。
このような構成とすることにより、フェース面の裏側には空洞が設けられており、フェース面と空洞との距離は、0.3mm〜5.0mmの範囲内にあるため、フェース面に十分な強度を持たせることが可能となり、かつ、打球時の反発力を十分に増したパターヘッドとすることが可能となる。
なお、本発明において、前記フェース面と前記空洞との距離を0.3mm〜5.0mmの範囲内としたのは、以下の理由による。すなわち、当該距離が0.3mmより小さい場合には、フェース面が薄すぎて、フェース面に十分な強度を持たせることが困難となる場合があるためである。また、当該距離が5.0mmより大きい場合には、フェース面が厚すぎて、打球時においてフェース面の撓みが十分に得られず、打球時の反発力を十分に増すことが困難となる場合があるためである。
上記観点からは、フェース面と空洞との距離は、0.5mm〜3.0mmの範囲内にあることが一層好ましい。
また、このような構成とすることにより、空洞は、積層体を構成する金属薄板のうち、空洞を含む位置に配置される金属薄板に形成された貫通孔からなるため、出発材料であるパターヘッド用複合部材の積層体を形成することになる金属薄板のうち、空洞を含む位置に配置される金属薄板に、空洞の形状に合わせて貫通孔を形成する加工を施すことにより比較的簡易に形成することが可能となり、その結果、比較的簡易な製造方法で打球時の反発力を十分に増すことが可能となる。
「空洞を含む位置に配置される金属薄板」は、1枚でもよいし、2枚以上でもよい。空洞を含む位置に配置される金属薄板が2枚以上である場合には、各金属薄板の貫通孔は同じ位置に形成されていてもよいし、違う位置に形成されていてもよい。金属薄板1枚あたりの貫通孔の数は1つでもよいし、2つ以上でもよい。貫通孔の形状としては、長方形状その他多角形状、円形状、楕円形上、自由形状を例示することができる。
空洞全体の形状としては、様々な形状を用いることができ、直方体状の形状、平板状の形状(上記[17]の場合には、第1方向に沿う深さが、他の方向に沿う深さよりも十分に小さい形状)、円柱状の形状、球形の形状、自由形状を例示することができる。
以下、本発明のパターヘッド用複合部材について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1を説明するために示す図である。図1(a)はパターヘッド用複合部材1の斜視図であり、図1(b)はパターヘッド用複合部材1の上面図である。
図2は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1からパターヘッド101を製造する様子を示す図である。図2(a)はパターヘッド用複合部材1の上面図であり、図2(b)はパターヘッド101の上面図であり、図2(c)はパターヘッド101の斜視図である。
図3は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1からパターヘッド102を製造する様子を示す図である。図3(a)はパターヘッド用複合部材1の上面図であり、図3(b)はパターヘッド102の上面図であり、図3(c)はパターヘッド102の斜視図である。
図4は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1からパターヘッド103を製造する様子を示す図である。図4(a)はパターヘッド用複合部材1の上面図であり、図4(b)はパターヘッド103の上面図であり、図4(c)はパターヘッド103の斜視図である。
なお、各図面においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれ、x軸方向、y軸方向及びz軸方向で示している。x軸方向は幅、y軸方向は奥行き、z軸方向は高さに対応する。
各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。また、拡散層についての図示及び説明は省略する。
実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1は、切削加工によりパターヘッドを製造するために用いるパターヘッド用複合部材である。また、以下の説明では、フェース面を形成する側を前側とし、その反対側を後側とする。
パターヘッド用複合部材1は、製造するパターヘッド(例えば、後述するパターヘッド101,102,103)と比較して、幅、奥行き、高さのいずれにおいても上回っている(図2〜図4参照。)。
また、パターヘッド用複合部材1から製造するパターヘッドは、シャフトを接続するためのネックを備えるパターヘッドである。
パターヘッド用複合部材1は、図1に示すように、積層体10と、後側金属部材20とを備える。
パターヘッド用複合部材1は、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(後述するように、3枚の金属薄板12a,14a,12b)と後側金属部材20とを、拡散接合することにより製造したものである。なお、実施形態1における第1方向は、y軸方向に沿う方向である。
実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1は、例えば、3枚の金属薄板12a,14a,12b及び後側金属部材20を準備する工程と、3枚の金属薄板12a,14a,12b及び後側金属部材20の接合予定面を突き合わせた状態で、3枚の金属薄板12a,14a,12b及び後側金属部材20を所定の圧力条件で押圧しながら3枚の金属薄板12a,14a,12b及び後側金属部材20を接合可能な第1温度に加熱することにより、3枚の金属薄板12a,14a,12b及び後側金属部材20を互いに接合する工程とを、この順序で実施することにより製造することができる。第1温度は、3枚の金属薄板12a,14a,12b及び後側金属部材20を構成する金属材料の融点よりも低い温度である。
パターヘッド用複合部材1からパターヘッドを製造するときにパターヘッド用複合部材1におけるパターヘッドのフェース面を形成する領域を、フェース面形成領域とするとき、積層体10は、フェース面形成領域を含む領域に、かつ、第1方向がフェース面に直交することとなる向きに、配置されている。
また、積層体10は、パターヘッド用複合部材1からパターヘッドを製造するとき、ネックを形成する領域を含む領域に配置されている。
積層体10は、上記したように、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板を拡散接合することにより形成したものである。
各金属板は、厚さが10mm以下である、金属薄板12a、金属薄板14a及び金属薄板12bからなる。
積層体10の第1方向に沿う厚さは、10.0mmである。
3枚の金属薄板12a,14a,12bを構成する金属薄板のうち、金属薄板12a,12bは第1金属材料からなる。また、金属薄板14は第1金属材料とは種類が異なり、かつ、縦弾性係数が5GPa以上異なる第2金属材料からなる。
このため、3枚以上の金属板(3枚の金属薄板12a,14a,12b)を構成する各金属板は、その金属板に隣接する金属板とは異なる金属材料からなるということができる。また、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び金属薄板12b)は、その金属薄板に隣接する金属薄板の金属材料とは縦弾性係数が5GPa以上異なる金属材料からなるということができる。また、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び金属薄板12b)のうち、少なくとも2枚の金属薄板12a,12bは同種の金属材料からなる金属薄板であるということができる。また、積層体10は、所定の縦弾性係数を有する第1金属材料からなる第1金属薄板12a、12bと、第1金属材料よりも縦弾性係数が小さい第2金属材料からなる第2金属薄板14aとを交互に積層したものであるということができる。さらにまた、積層体10を構成する金属薄板の枚数は、4枚〜16枚の範囲内にあるということができる。
第1金属材料及び第2金属材料としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタルや、これら金属の合金を用いることができる。また、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び12b)のうち少なくとも1枚の金属薄板は、多孔質金属材料からなることとしてもよい。つまり、第1金属材料及び第2金属材料として、各種合金からなる多孔質金属材料を用いることもできる。多孔質金属材料の具体例としては、「ポーセラックス」(新東工業株式会社の登録商標。)系統の金属材料を挙げることができる。
第1金属材料と第2金属材料との縦弾性係数の差は、例えば、30GPa〜300GPaの範囲内とすることができる。
3枚の金属薄板12a,14a,12bの厚さは、80.0mm以下であり、さらにいえば、10.0mm以下である。各金属薄板についていえば、金属薄板12aの厚さは3.0mmであり、金属薄板14aの厚さは3.0mmであり、金属薄板12bの厚さは4.0mmである。
このため、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び12b)のうち任意の隣接する2枚の金属薄板は、前側の金属薄板の厚さをT1とし、後側の金属薄板の厚さをT2とするときに「T1≦T2」なる関係を満たすということができる。また、同種の金属材料からなる金属薄板12a,12bのうち直近の2枚の金属薄板は、前側の金属薄板の厚さをT3とし、後側の金属薄板の厚さをT4とするときに「T3<T4」なる関係を満たすというこができる。
なお、実施形態1を含む各実施形態においては、金属薄板に付する符号として、基本的には数字と小文字のアルファベットとを組み合わせたものを用いる(例:金属薄板12a)。符号のうち数字が同じである金属薄板は同種の金属材料からなる。また、符号のうち小文字のアルファベットが同じである金属薄板は、厚さが同じである。
後側金属部材20は、追加の金属部材であり、パターヘッドのうちフェース面とは反対側の部分を形成するために用い、かつ、単一の金属部材からなるものである。後側金属部材20の部分については、フェース面とは離れているため、縦弾性係数に関連して決まるパターの打球感及び反発力にはあまり寄与しない。後側金属部材20を構成する金属材料としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタルや、これら金属の合金を用いることができる。
後側金属部材20の厚さは、例えば、60.0mmである。
次に、図2〜図4を用いて、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1を切削加工することにより製造されたパターヘッド101,102,103について説明する。
まずは、図2に示すように、使用者が、3枚の金属薄板12a,14a,12bをほぼそのまま使用することを選択した場合について説明する。
図2(a)において破線で示す100aは、製造するパターヘッド101に対応する選択領域である。このように選択した領域を用いることで、対応するパターヘッド101を製造することができる(図2(b)及び図2(c)参照。)。パターヘッド101は、金属薄板12a,14a,12bからなる積層体111と、後側金属部材121と、ネック131とを備える。パターヘッド101においては、フェース面が、パターヘッド用複合部材1の積層体10の部分に形成されている。パターヘッド101においては、金属薄板12aからなる面がフェース面となる。
パターヘッド101は、例えば、パターヘッド101の形状データを元に、マシニングセンターで切削加工することにより製造することができる。また、切削加工以外に、補助的な加工として研磨加工や樹脂被覆加工等を行ってもよい。これらは本明細書で後述する他のパターヘッドについても同様であるため、以後は加工についての都度の記載を省略する。
次に、図3に示すように、使用者が、金属薄板12aの厚さについては薄くすることを選択した場合について説明する。
図3(a)において破線で示す100bは、製造するパターヘッド102に対応する選択領域である。このように選択した領域を用いることで、対応するパターヘッド102を製造することができる(図3(b)及び図3(c)参照。)。パターヘッド102は、金属薄板12a,14a,12bからなる積層体112と、後側金属部材122と、ネック132とを備える。パターヘッド102においても、フェース面が、パターヘッド用複合部材1の積層体10の部分に形成されている。パターヘッド102においては、金属薄板12aからなる面がフェース面となる。
次に、図4に示すように、使用者が、金属薄板12aについては使用せず、金属薄板14aからなる面をフェース面とすることを選択した場合について説明する。
図4(a)において破線で示す100cは、製造するパターヘッド103に対応する選択領域である。このように選択した領域を用いることで、対応するパターヘッド103を製造することができる(図4(b)及び図4(c)参照。)。パターヘッド103は、金属薄板14a,12bからなる積層体113と、後側金属部材123と、ネック133とを備える。パターヘッド103においても、フェース面が、パターヘッド用複合部材1の積層体10の部分に形成されている。パターヘッド103においては、金属薄板14aからなる面がフェース面となる。
以上のようにして製造したパターヘッド101,102,103においては、積層体111,112,113、ひいてはフェース面全体としての縦弾性係数が異なるため、パターとしたときの反発力が特に異なってくる。また、積層体111,112,113を構成する金属薄板の構成も異なるため、金属の柔らかさによるクッション作用やフェース面を構成する金属薄板の種類により、パターとしたときの打球感も大きく異なってくる。
なお、上記したパターヘッド101,102,103はあくまで例示である。使用者の選択によって、パターヘッド用複合部材1から上記したもの以外のパターヘッドを製造することもできる。
以下、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材の効果を説明する。
実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(3枚の金属薄板12a,14a,12b)を拡散接合することにより形成した積層体10を備えるため、パターヘッド用複合部材のうち使用者の所望する領域を用いてパターヘッドを製造することにより、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1は、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、拡散接合を用いて構造材(3枚の金属薄板12a,14a,12b及び後側金属部材20)を固定したものであるため、構造材同士が接する箇所で構造材を均一に固定することが可能となる。その結果、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、構造材のがたつきが無く打球時の一体感に優れるパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となり、かつ、耐久性が高いパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、パターヘッド用複合部材1は、第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(3枚の金属薄板12a,14a,12b)と追加の金属部材(後側金属部材20)とを、拡散接合することにより製造したものであるため、積層体を形成するのと同時に、追加の金属部材を積層体に固定することが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、パターヘッド用複合部材1は、製造するパターヘッド101,102,103と比較して、幅、奥行き、高さのいずれにおいても上回っているため、切削加工を行う一工程のみで、完成品のパターヘッドの形状又は完成品のパターヘッドに近い形状とすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び金属薄板12b)は、その金属薄板に隣接する金属薄板の金属材料とは縦弾性係数が異なる金属材料からなるため、パターヘッド用複合部材のうち使用者の所望する領域を用いてパターヘッドを製造することで、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が選択することが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び金属薄板12b)は、その金属薄板に隣接する金属薄板の金属材料とは縦弾性係数が5GPa以上異なる金属材料からなるため、隣接する金属薄板の金属材料における縦弾性係数の差を十分なものとして、使用者の選択によるパターの打球感及び反発力の変化を十分なものとすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、後側金属部材20を備えるため、縦弾性係数に関連して決まるパターの打球感及び反発力にはあまり寄与しない部分については、単一の金属部材である後側金属部材を用い、パターヘッド用複合部材の構成を単純化することが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び金属薄板12b)のうち任意の隣接する2枚の金属薄板は「T1≦T2」なる関係を満たし、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び金属薄板12b)のうち、少なくとも2枚の金属薄板は同種の金属材料からなる金属薄板であり、同種の金属材料からなる金属薄板12a,12bのうち直近の2枚の金属薄板は「T3<T4」なる関係を満たすため、任意の隣接する2枚の金属薄板の厚さの関係、及び、同種の金属材料からなる金属薄板のうち2枚の金属薄板の厚さの関係について規則性があることから、積層体の構成に規則性を持たせることで使用者の選択の結果にも規則性を持たせることが可能となり、その結果、使用者がパターヘッド用複合部材のうち所望する領域を選択しやすくすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、積層体10の後側になるほど金属薄板の厚さが厚くなるため、積層体の構成に一層明確な規則性を持たせることで使用者の選択の結果にも一層明確な規則性を持たせることが可能となり、その結果、使用者がパターヘッド用複合部材のうち所望する領域を一層選択しやすくすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、積層体10は、第1金属材料からなる第1金属薄板12a,12bと、第2金属材料からなる第2金属薄板14aとを交互に積層したものであるため、積層体の構成により一層明確な規則性を持たせることで使用者の選択の結果にもより一層明確な規則性を持たせることが可能となり、その結果、使用者がパターヘッド用複合部材のうち所望する領域をより一層選択しやすくすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、第1金属材料と第2金属材料との縦弾性係数の差は、30GPa以上であるため、隣接する金属薄板の金属材料における縦弾性係数の差を十分に大きくして、使用者の選択によるパターの打球感及び反発力の変化を十分に大きくすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、積層体10の第1方向に沿う厚さは、1.0mm〜30.0mmの範囲内にあるため、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが可能となり、かつ、積層体の厚さを適切な厚さとすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、積層体10を構成する金属薄板の枚数は、4枚〜16枚の範囲内にあるため、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが可能となり、かつ、積層体の厚さを適切な厚さとすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、各金属薄板(金属薄板12a、金属薄板14a及び12b)のうち少なくとも1枚の金属薄板は、多孔質金属材料からなるため、多孔質金属材料であることにより期待できる性質(例えば、多数の細孔によるクッション性)を利用して、パターの使用感及び反発力についての選択範囲を一層大きくすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1によれば、積層体10は、パターヘッド用複合部材1からパターヘッド101,102,103を製造するとき、ネック131,132,133を形成する領域を含む領域に配置されているため、ネックについての様々な要素、特にネックのしなり具合についても使用者が選択することが可能となる。
実施形態1に係るパターヘッド101,102,103によれば、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1を切削加工することにより製造されたため、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドとすることが可能となる。
このため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1を出発材料として、当該パターヘッド用複合部材1のうち使用者の所望する領域を用いてパターヘッドとなるように切削加工することで、従来のパターヘッドよりもパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103によれば、拡散接合を用いて構造材(3枚の金属薄板12a,14a,12b及び後側金属部材20)を固定したものであるため、構造材同士が接する箇所で構造材を均一に固定することが可能となる。その結果、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103によれば、構造材のがたつきを無くして打球時の一体感に優れるパターヘッドとすることが可能となり、かつ、耐久性が高いパターヘッドとすることが可能となる。
また、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103によれば、パターヘッド用複合部材が、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1であり、フェース面が、パターヘッド用複合部材1の積層体10の部分に形成されているため、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が選択することが可能となる。
[実施形態2]
図5は、実施形態2に係るパターヘッド用複合部材2を説明するために示す図である。図5(a)はパターヘッド用複合部材2の斜視図であり、図5(b)はパターヘッド用複合部材2の上面図であり、図5(c)は図5(b)においてA1で示す範囲を拡大して示す上面図である。
実施形態2に係るパターヘッド用複合部材2は、基本的には実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するが、3枚以上の金属板が6枚の金属薄板32a,34a,32b,34b,32c,34cからなる点が実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なる。以下、実施形態2に係るパターヘッド用複合部材2について、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なる点を説明する。
パターヘッド用複合部材2は、図5(a)に示すように、積層体30と後側金属部材20とを備える。後側金属部材20は、実施形態1で説明した後側金属部材20と同様の構成を有するため、後側金属部材20の説明は省略する。
積層体30は、図5(b)及び図5(c)に示すように、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板、すなわち、6枚の金属薄板32a,34a,32b,34b,32c,34cを拡散接合することにより形成したものである。
積層体30の第1方向に沿う厚さは、9.6mmである。
6枚の金属薄板32a,34a,32b,34b,32c,34cを構成する金属薄板のうち、金属薄板32a,32b,32cは第1金属材料からなる第1金属薄板である。また、金属薄板34a,34b,34cは第2金属材料からなる第2金属薄板である。
金属薄板32a,34aの厚さは1.2mmであり、金属薄板32b,34bの厚さは1.6mmであり、金属薄板32c,34cの厚さは2.0mmである。
実施形態2に係るパターヘッド用複合部材2は、3枚以上の金属板が6枚の金属薄板32a,34a,32b,34b,32c,34cからなる点が実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なるが、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(6枚の金属薄板32a,34a,32b,34b,32c,34c)を拡散接合することにより形成した積層体30を備えるため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、実施形態2に係るパターヘッド用複合部材2は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
なお、実施形態2に係るパターヘッド用複合部材2は、3枚以上の金属板が6枚の金属薄板32a,34a,32b,34b,32c,34cからなる点以外は実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態3]
図6は、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3を説明するために示す図である。図6(a)はパターヘッド用複合部材3の斜視図であり、図6(b)はパターヘッド用複合部材3の上面図であり、図6(c)は図6(b)においてA2で示す範囲を拡大して示す上面図である。
実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3は、基本的には実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するが、3枚以上の金属板が16枚の金属薄板42a,44a,42b,44b,42c,44c,42d,44d,42e,44e,42f,44f,42g,44g,42h,44h(記載が長くなるため、以下、単に16枚の金属薄板と記載し、符号については記載を省略する。)からなり、各金属薄板(記載が長くなるため、個別の名称の記載は省略する。)の厚さが0.3mm〜1.0mmの範囲内にある点が実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なる。以下、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3について、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なる点を説明する。
パターヘッド用複合部材3は、図6(a)に示すように、積層体40と後側金属部材20とを備える。後側金属部材20は、実施形態1で説明した後側金属部材20と同様の構成を有するため、後側金属部材20の説明は省略する。
積層体40は、図6(b)及び図6(c)に示すように、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板としての16枚の金属薄板を拡散接合することにより形成したものである。
積層体30の第1方向に沿う厚さは、10.4mmである。
16枚の金属薄板を構成する金属薄板のうち、金属薄板42a,42b,42c,42d,42e,42f,42g,42hは第1金属材料からなる第1金属薄板である。また、金属薄板44a,44b,44c,44d,44e,44f,44g,44hは第2金属材料からなる第2金属薄板である。
金属薄板42a,44aの厚さは0.3mmであり、金属薄板42b,44bの厚さは0.4mmであり、金属薄板42c,44cの厚さは0.5mmであり、金属薄板42d,44dの厚さは0.6mmであり、金属薄板42e,44eの厚さは0.7mmであり、金属薄板42f,44fの厚さは0.8mmであり、金属薄板42g,44gの厚さは0.9mmであり、金属薄板42h,44hの厚さは1.0mmである。
実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3は、3枚以上の金属板が16枚の金属薄板からなり、各金属薄板の厚さが0.3mm〜1.0mmの範囲内にある点が実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なるが、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(16枚の金属薄板)を拡散接合することにより形成した積層体40を備えるため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3によれば、各金属薄板の厚さは、0.3mm〜1.0mmの範囲内にあるため、拡散接合後においても金属薄板の厚さを十分に確保することが可能となり、かつ、パターの打球感及び反発力という重要な要素について使用者が十分な選択範囲から選択することが可能となる。
なお、実施形態2に係るパターヘッド用複合部材2は、3枚以上の金属板が16枚の金属薄板からなり、各金属薄板の厚さが0.3mm〜1.0mmの範囲内にある点以外は実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態4]
図7は、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4及びパターヘッド104を説明するために示す図である。図7(a)はパターヘッド用複合部材4の正面図であり、図7(b)は図7(a)におけるC1−C1断面図であり、図7(c)はパターヘッド104の正面図であり、図7(d)はパターヘッド104の断面図である。なお、図7(d)は、図7(b)に相当する断面図である。
実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4は、基本的には実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3と同様の構成を有するが、内部に空洞を有する点が実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3とは異なる。以下、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4について、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3とは異なる点を説明する。また、パターヘッド用複合部材4から製造できるパターヘッド104についても説明する。
パターヘッド用複合部材4は、図7(a)及び図7(b)に示すように、積層体40と後側金属部材50とを備え、内部に空洞60を有する。積層体40は、実施形態3で説明した積層体40と同様の構成を有するため、積層体40の説明は省略する。
パターヘッド用複合部材4は、パターヘッド用複合部材4を形成することになる金属部材(金属薄板その他の金属部材)のうち、空洞を含む位置に配置される金属部材に、空洞の形状に合わせて当該金属部材の一部を除去する(凹部や貫通孔を形成する)加工を施し、当該加工を施した金属部材を拡散接合することにより形成されたものである。具体的には、パターヘッド用複合部材4は、後側金属部材50に空洞の形状に合わせた凹部を形成する加工を施し、後側金属部材50を16枚の金属薄板と拡散接合することにより形成したものである。
図7(a)及び図7(b)において破線で示す100dは、製造するパターヘッド104に対応する選択領域の例示である。また、図7(a)においては、空洞60の位置も破線で示している。
後側金属部材50は、空洞60が形成されていること以外については、実施形態1で説明した後側金属部材20と同様の構成を有する。
空洞60は、例えば、第1方向に沿う深さが3.0mm程度の、直方体状の形状又は平板状の形状といえる形状からなる。空洞60内には空気が存在する。
次に、図7(c)及び図7(d)を用いて、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4を切削加工することにより製造されたパターヘッド104について説明する。以下においては、使用者が、16枚の金属薄板のうち2枚の金属薄板42h,44hを使用することを選択した場合について説明する。
パターヘッド104は、図7(c)及び図7(d)に示すように、16枚の金属薄板を構成する金属薄板のうち2枚の金属薄板42h,44h(44hは図7において符号を図示せず。)からなる積層体114と、後側金属部材124と、ネック134とを備える。パターヘッド104においては、フェース面が、パターヘッド用複合部材4の積層体40の部分に形成されている。パターヘッド104においては、金属薄板42hからなる面がフェース面となる。
パターヘッド104の内部における、フェース面の裏側には空洞60が設けられている。
フェース面と空洞60との距離は、0.5mm〜5.0mmの範囲内にあり、例えば、約1.5mmである。
なお、上記したパターヘッド104はあくまで例示である。使用者の選択によって、パターヘッド用複合部材4から上記したもの以外のパターヘッドを製造することもできる。
実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4は、内部に空洞を有する点が実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3とは異なるが、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(16枚の金属薄板)を拡散接合することにより形成した積層体40を備えるため、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4は、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3と同様に、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4によれば、内部に空洞60を有するため、打球時におけるフェース面の撓みを促進して、打球時の反発力を増したパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
また、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4によれば、パターヘッド用複合部材4は、パターヘッド用複合部材4を形成することになる金属部材のうち、空洞60を含む位置に配置される金属部材(後側金属部材50)に、空洞60の形状に合わせて当該金属部材の一部を除去する(凹部や貫通孔を形成する)加工を施し、当該加工を施した金属部材を用いて製造されたものであるため、製造するパターヘッドに適合する形状の空洞を、比較的簡易に形成することが可能となる。
なお、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4は、内部に空洞を有する点以外は実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3と同様の構成を有するため、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
実施形態4に係るパターヘッド104は、フェース面の裏側には空洞が設けられている点が実施形態1に係るパターヘッド101,102,103とは異なるが、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4を切削加工することにより製造されたため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドとすることが可能となる。
このため、実施形態4に係るパターヘッド104は、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様に、従来のパターヘッドよりもパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、実施形態4に係るパターヘッド104によれば、パターヘッド104の内部における、フェース面の裏側には空洞60が設けられており、フェース面と空洞60との距離は、0.3mm〜5.0mmの範囲内にあるため、フェース面に十分な強度を持たせることが可能となり、かつ、打球時の反発力を十分に増したパターヘッドとすることが可能となる。
なお、実施形態4に係るパターヘッド104は、内部に空洞を有する点以外は実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態5]
図8は、実施形態5に係るパターヘッド用複合部材5及びパターヘッド105を説明するために示す図である。図8(a)はパターヘッド用複合部材5の正面図であり、図8(b)は図8(a)におけるC2−C2断面図であり、図8(c)はパターヘッド105の正面図であり、図8(d)はパターヘッド105の断面図である。なお、図8(d)は、図8(b)に相当する断面図である。
実施形態5に係るパターヘッド用複合部材5は、基本的には実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4と同様の構成を有するが、空洞の位置が実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4とは異なる。以下、実施形態5に係るパターヘッド用複合部材5について、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4とは異なる点を説明する。また、パターヘッド用複合部材5から製造できるパターヘッド105についても説明する。
パターヘッド用複合部材5は、図8(a)及び図8(b)に示すように、積層体70と後側金属部材20とを備え、内部に空洞80を有する。後側金属部材20は、実施形態1で説明した後側金属部材20と同様の構成を有するため、後側金属部材20の説明は省略する。
パターヘッド用複合部材5は、金属薄板44g,42h,44h(いずれも図8において符号を図示せず。)に空洞の形状に合わせた長方形状の貫通孔を形成する加工を施し、金属薄板44g,42h,44hを他の13枚の金属薄板及び後側金属部材20と拡散接合することにより形成したものである。
図8(a)及び図8(b)において破線で示す100eは、製造するパターヘッド105に対応する選択領域の例示である。また、図8(a)においては、空洞80の位置も破線で示している。
積層体70は、空洞80が形成されていること以外については、実施形態3で説明した積層体40と同様の構成を有する。空洞80は、金属薄板44g,42h,44hの位置に形成されている。
空洞80は、例えば、第1方向に沿う深さが3.0mm程度の、直方体状の形状又は平板状の形状といえる形状からなる。
次に、図8(c)及び図8(d)を用いて、実施形態5に係るパターヘッド用複合部材5を切削加工することにより製造されたパターヘッド105について説明する。以下においては、使用者が、16枚の金属薄板のうち6枚の金属薄板42f,44f,42g,44g,42h,44hを使用することを選択した場合について説明する。
パターヘッド105は、図8(c)及び図8(d)に示すように、16枚の金属薄板を構成する金属薄板のうち6枚の金属薄板42f,44f,42g,44g,42h,44h(42f以外は図8において符号を図示せず。)からなる積層体115と、後側金属部材125と、ネック135とを備える。パターヘッド105においては、フェース面が、パターヘッド用複合部材5の積層体70の部分に形成されている。パターヘッド105においては、金属薄板42fからなる面がフェース面となる。
パターヘッド105の内部における、フェース面の裏側には空洞80が設けられている。
空洞80は、積層体115を構成する金属薄板のうち、空洞80を含む位置に配置される金属薄板44g,42h,44hに形成された長方形状の貫通孔からなる。
フェース面と空洞80との距離は、0.5mm〜5.0mmの範囲内にあり、例えば、約2.0mmである。
なお、上記したパターヘッド105はあくまで例示である。使用者の選択によって、パターヘッド用複合部材5から上記したもの以外のパターヘッドを製造することもできる。
実施形態5に係るパターヘッド用複合部材5は、空洞の位置が実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4とは異なるが、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(16枚の金属薄板)を拡散接合することにより形成した積層体70を備えるため、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、実施形態5に係るパターヘッド用複合部材5は、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4と同様に、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
なお、実施形態5に係るパターヘッド用複合部材5は、空洞の位置以外は実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4と同様の構成を有するため、実施形態4に係るパターヘッド用複合部材4が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
実施形態5に係るパターヘッド105は、空洞が金属薄板に形成された貫通孔からなる点が実施形態4に係るパターヘッド104とは異なるが、実施形態5に係るパターヘッド用複合部材5を切削加工することにより製造されたため、実施形態4に係るパターヘッド104と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドとすることが可能となる。
このため、実施形態5に係るパターヘッド105は、実施形態4に係るパターヘッド104と同様に、従来のパターヘッドよりもパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、実施形態5に係るパターヘッド105によれば、パターヘッド105の内部における、フェース面の裏側には空洞80が設けられており、フェース面と空洞80との距離は、0.3mm〜5.0mmの範囲内にあるため、フェース面に十分な強度を持たせることが可能となり、かつ、打球時の反発力を十分に増したパターヘッドとすることが可能となる。
また、実施形態5に係るパターヘッド105によれば、空洞80は、積層体115を構成する金属薄板(6枚の金属薄板42f,44f,42g,44g,42h,44h)のうち、空洞80を含む位置に配置される金属薄板44g,42h,44hに形成された貫通孔からなるため、出発材料であるパターヘッド用複合部材の積層体を形成することになる金属薄板のうち、空洞を含む位置に配置される金属薄板に、空洞の形状に合わせて貫通孔を形成する加工を施すことにより比較的簡易に形成することが可能となり、その結果、比較的簡易な製造方法で打球時の反発力を十分に増すことが可能となる。
なお、実施形態5に係るパターヘッド105は、空洞が金属薄板に形成された貫通孔からなる点以外は実施形態4に係るパターヘッド104と同様の構成を有するため、実施形態4に係るパターヘッド104が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態6]
図9は、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6を説明するために示す図である。図9はパターヘッド用複合部材6の斜視図である。
図10は、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6からパターヘッド301を製造する様子を示す図である。図10(a)はパターヘッド用複合部材6の正面図であり、図10(b)はパターヘッド301の斜視図である。
図11は、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6からパターヘッド302を製造する様子を示す図である。図11(a)はパターヘッド用複合部材6の正面図であり、図11(b)はパターヘッド302の斜視図である。
実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6は、基本的には実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するが、積層体の構成及び配置と追加の金属部材とが実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なる。以下、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6について、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なる点を説明する。また、パターヘッド用複合部材6から製造できるパターヘッド301,302についても説明する。
以下の説明では、パターヘッドのソール面を形成する側を下側とし、その反対側を上側とする。
パターヘッド用複合部材6は、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(後述するように、3枚の金属板212,214,216)と上側金属部材220とを、拡散接合することにより製造したものである。なお、実施形態6における第1方向は、z軸方向に沿う方向である。
パターヘッド用複合部材6は、図9に示すように、積層体210と、上側金属部材220とを備える。
積層体210は、パターヘッド用複合部材6からパターヘッドを製造するとき、第1方向がパターヘッドにおける鉛直方向に沿うこととなる向きに配置されている。また、パターヘッド用複合部材6からパターヘッドを製造するときにパターヘッド用複合部材6におけるパターヘッドのソール面を形成する領域を、ソール面形成領域とするとき、積層体210は、ソール面形成領域に配置されている。
積層体210においては、3枚以上の金属板が3枚の金属板212,214,216からなる。金属板212、金属板214及び金属板216の厚さは、例えば、10.0mmとすることができる。また、金属板212、金属板214及び金属板216はそれぞれ種類及び密度が異なる金属材料からなる。3枚の金属板212,214,216の中では、金属板212が最も密度が高い金属材料からなり、金属板216が最も密度が低い金属材料からなる。金属板212と金属板214とは、密度が1.0g/cm3以上異なり、金属板214と金属板216とは、密度が1.0g/cm3以上異なる。
このため、各金属板(金属板212、金属板214及び金属板216)は、その金属板に隣接する金属板の金属材料とは密度が1.0g/cm3以上異なる金属材料からなるということができる。さらにいえば、各金属板(金属板212、金属板214及び金属板216)のうち任意の隣接する2枚の金属板は、下側の金属板の金属材料における密度をD1とし、上側の金属板の金属材料における密度をD2とするときに「D1>D2」なる関係を満たすということができる。
3枚の金属板212,214,216を構成する金属材料としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタルや、これら金属の合金を用いることができる。また、当該金属材料として、各種合金からなる多孔質金属材料を用いることもできる。多孔質金属材料の具体例としては、「ポーセラックス」(新東工業株式会社の登録商標。)系統の金属材料を挙げることができる。
上側金属部材220は、パターヘッドのうちソール面とは反対側の部分を形成するために用い、かつ、単一の金属部材からなるものである。上側金属部材220を構成する金属材料としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタルや、これら金属の合金を用いることができる。重心位置を低くするという観点から、上側金属部材220は、各金属板212,214,216よりも密度が低い金属材料からなることが好ましい。
上側金属部材220の第1方向に沿う厚さは、例えば、60.0mmである。
次に、図10及び図11を用いて、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6から、使用者の選択によりパターヘッド301,302を製造する様子を説明する。
まずは、図10に示すように、使用者が、3枚の金属板212,214,216を使用することを選択した場合について説明する。
図10(a)において破線で示す300aは、製造するパターヘッド301に対応する選択領域である。このように選択した領域を用いることで、対応するパターヘッド301を製造することができる(図10(b)参照。)。パターヘッド301は、金属板212,214,216からなる積層体311と、上側金属部材321と、ネック331とを備える。パターヘッド301においては、フェース面(図10(b)で正面に見える面)に3枚の金属板212,214,216及び上側金属部材321が露出している。図示は省略するが、パターヘッド301のソール面は、主に金属板212からなる。
次に、図11に示すように、使用者が、金属板212については使用せず、2枚の金属板214,216からなる面をソール面とすることを選択した場合について説明する。
図11(a)において破線で示す300bは、製造するパターヘッド302に対応する選択領域である。このように選択した領域を用いることで、対応するパターヘッド302を製造することができる(図11(b)参照。)。パターヘッド301は、金属板214,216からなる積層体312と、上側金属部材322と、ネック332とを備える。パターヘッド302においては、フェース面(図11(b)で正面に見える面)に2枚の金属板214,216及び上側金属部材322が露出している。図示は省略するが、パターヘッド302のソール面は、主に金属板214からなる。
以上のようにして製造したパターヘッド301,302においては、積層体210を使用する位置が異なるため、パターとしたときの重心位置及び重量が特に異なってくる。
なお、上記したパターヘッド301,302はあくまで例示である。使用者の選択によって、パターヘッド用複合部材6から上記したもの以外のパターヘッドを製造することもできる。
実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6は、積層体の構成及び配置と追加の金属部材とが実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なるが、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(3枚の金属板212,214,216)を拡散接合することにより形成した積層体210を備えるため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6によれば、第1方向がパターヘッドにおける鉛直方向に沿うこととなる向きに配置され、各金属板(金属板212、金属板214及び金属板216)は、その金属板に隣接する金属板の金属材料とは密度が異なる金属材料からなるため、製造するパターヘッドの形状を変えないまま、使用者がパターヘッドの重心位置(特に、鉛直方向の重心位置)について選択することが可能となる。
また、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6によれば、各金属板(金属板212、金属板214及び金属板216)は、その金属板に隣接する金属板の金属材料とは密度が1.0g/cm3以上異なる金属材料からなるため、隣接する金属板の金属材料における密度の差を十分なものとして、使用者の選択によるパターの重心位置の変化を十分なものとすることが可能となる。
また、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6によれば、各金属板(金属板212、金属板214及び金属板216)のうち任意の隣接する2枚の金属板は「D1>D2」なる関係を満たすため、重心位置が低く、安定性の高いパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
また、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6によれば、上側金属部材220をさらに備えるため、パターヘッド用複合部材の下側の部分に比べて重心位置に対する寄与が少ないパターヘッド用複合部材の上側の部分については、単一の金属部材である上側金属部材を用い、パターヘッド用複合部材の構成を単純化することが可能となる。
なお、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6は、積層体の構成及び配置以外は実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
実施形態6に係るパターヘッド301,302は、積層体の構成及び配置が実施形態1に係るパターヘッド101,102,103とは異なるが、実施形態6に係るパターヘッド用複合部材6を切削加工することにより製造されたため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドとすることが可能となる。
このため、実施形態6に係るパターヘッド301,302は、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様に、従来のパターヘッドよりもパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
なお、実施形態6に係るパターヘッド301,302は、積層体の構成及び配置と追加の金属部材と以外は実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態7]
図12は、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7及びパターヘッド501を説明するために示す図である。図12(a)はパターヘッド用複合部材7の斜視図であり、図12(b)はパターヘッド用複合部材7の正面図であり、図12(c)はパターヘッド501の斜視図である。
実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7は、基本的には実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するが、積層体の構成及び配置が実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なる。以下、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7について、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なる点を説明する。また、パターヘッド用複合部材7から製造できるパターヘッド501についても説明する。
パターヘッド用複合部材7は、図12(a)及び図12(b)に示すように、積層体410のみを備え、追加の金属部材を備えていない。
積層体410は、パターヘッド用複合部材7からパターヘッドを製造するとき、第1方向がパターヘッドにおけるフェース面に平行かつパターヘッドにおける鉛直方向に垂直となる向きに配置されている。なお、実施形態7における第1方向は、x軸方向に沿う方向である。
積層体410においては、3枚以上の金属板が3枚の金属板412,414,416からなる。金属板412、金属板414及び金属板416の厚さは、例えば、50.0mmとすることができる。また、金属板412、金属板414及び金属板416はそれぞれ種類が異なる金属材料からなる。さらにいえば、金属板412、金属板414及び金属板416は、その金属板に隣接する金属板の金属材料とは密度が1.0g/cm3以上異なり、金属板412,416は、金属板424よりも密度が高い金属材料からなる。
3枚の金属板412,414,416を構成する金属材料としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタルや、これら金属の合金を用いることができる。また、当該金属材料として、各種合金からなる多孔質金属材料を用いることもできる。多孔質金属材料の具体例としては、「ポーセラックス」(新東工業株式会社の登録商標。)系統の金属材料を挙げることができる。
次に、図12(b)及び図12(c)を用いて、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7から、使用者の選択によりパターヘッド501を製造する様子を説明する。以下においては、使用者が、パターヘッド用複合部材7の中央をパターヘッドの501の中央と合わせることを選択した場合について説明する。
図12(b)において破線で示す500aは、製造するパターヘッド501に対応する選択領域である。このように選択した領域を用いることで、対応するパターヘッド501を製造することができる(図12(c)参照。)。パターヘッド501は、3枚の金属板412,414,416からなる積層体511と、ネック531とを備える。パターヘッド501においては、フェース面(図12(c)で正面に見える面)に3枚の金属板412,414,416が露出している。
なお、上記したパターヘッド501はあくまで例示である。使用者の選択によって、パターヘッド用複合部材7から上記したもの以外のパターヘッドを製造することもできる。
実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7は、積層体の構成及び配置が実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1とは異なるが、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(3枚の金属板412,414,416)を拡散接合することにより形成した積層体410を備えるため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
また、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7によれば、積層体410は、第1方向がパターヘッドにおけるフェース面に平行かつパターヘッドにおける鉛直方向に垂直となる向きに配置されているため、製造するパターヘッドの形状を変えないまま、使用者がパターヘッドの重心位置や重量配分(特に、ヒール・トゥ方向の重心位置や重心配分)について選択することが可能となる。
また、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7によれば、各金属板(金属板412、金属板414及び金属板416)は、その金属板に隣接する金属板の金属材料とは密度が1.0g/cm3以上異なる金属材料からなるため、隣接する金属板の金属材料における密度の差を十分なものとして、使用者の選択によるパターの重心位置の変化を十分なものとすることが可能となる。
また、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7によれば、製造するパターヘッドにおいてフェース面に3枚以上の金属板を露出させることで、フェース面の位置によって打球感が大きく異なるパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
なお、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7は、積層体の構成及び配置以外は実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
実施形態7に係るパターヘッド501は、積層体の構成及び配置が実施形態1に係るパターヘッド101,102,103とは異なるが、実施形態7に係るパターヘッド用複合部材7を切削加工することにより製造されたため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドとすることが可能となる。
このため、実施形態7に係るパターヘッド501は、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様に、従来のパターヘッドよりもパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
なお、実施形態7に係るパターヘッド501は、積層体の構成及び配置以外は実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態8]
図13は、実施形態8に係るパターヘッド用複合部材8を説明するために示す図である。図13(a)はパターヘッド用複合部材8の斜視図であり、図13(b)はパターヘッド601の斜視図であり、図13(c)はパターヘッド601を図13(b)とは別の方向からみた斜視図であり、図13(d)はパターヘッド601の上面図である。
実施形態8に係るパターヘッド用複合部材8は、基本的には実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3と同様の構成を有するが、前側金属部材を備える点が実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3とは異なる。以下、実施形態8に係るパターヘッド用複合部材8について、実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3とは異なる点を説明する。また、パターヘッド用複合部材8から製造できるパターヘッド601についても説明する。
パターヘッド用複合部材8は、図12(a)に示すように、積層体40と、後側金属部材20と、前側金属部材90とを備える。積層体40は実施形態3で説明した積層体40と同様の構成を有し、後側金属部材20は実施形態1で説明した後側金属部材20と同様の構成を有するため、積層体40及び後側金属部材20の説明は省略する。
前側金属部材90は、追加の金属部材であり、パターヘッドのうちフェース面よりも前側にある部品(特にネック)を形成するために用い、かつ、単一の金属部材からなるものである。このため、パターヘッド用複合部材8は、図13(b)〜図13(d)に示すようなパターヘッド601を製造する出発材料とすることができる。
前側金属部材90の部分については、フェース面を形成するものではないため、縦弾性係数に関連して決まるパターの打球感及び反発力にはあまり寄与しない。前側金属部材90を構成する金属材料としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタルや、これら金属の合金を用いることができる。
前側金属部材90の厚さは、例えば、30.0mmである。
パターヘッド601は、16枚の金属薄板からなる積層体611と、後側金属部材621と、ネック631とを備える。パターヘッド601においては、金属薄板42aからなる面がフェース面となる。なお、パターヘッド601は、使用者が、16枚の金属薄板を全て使用することを選択した場合のパターヘッドである。
ネック631は、積層体40から形成された部分(フェース面の上側の部分)と、前側金属部材90から形成された部分(フェース面よりも前側の部分)とからなる。
実施形態8に係るパターヘッド用複合部材8は、前側金属部材を備える点が実施形態3に係るパターヘッド用複合部材3とは異なるが、所定の第1方向に沿って積層した3枚以上の金属板(16枚の金属板)を拡散接合することにより形成した積層体40を備えるため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。
このため、実施形態8に係るパターヘッド用複合部材8は、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様に、従来のパターヘッド用複合部材よりも製造するパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
なお、実施形態8に係るパターヘッド用複合部材7は、前側金属部材を備える点が実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド用複合部材1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
実施形態8に係るパターヘッド601は、形状が実施形態1に係るパターヘッド101,102,103とは異なるが、実施形態8に係るパターヘッド用複合部材8を切削加工することにより製造されたため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様に、積層体の性質に応じた様々なパターヘッドとすることが可能となる。
このため、実施形態8に係るパターヘッド601は、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様に、従来のパターヘッドよりもパターヘッドの構成についての選択の幅を広くすることができ、その結果、より多くの使用者が「自分に適するパター」を選択することが可能となり、また、使用者が「自分に適するパター」を選択する楽しみを得ることも可能となる。
なお、実施形態8に係るパターヘッド601は、積層体の構成及び配置以外は実施形態1に係るパターヘッド101,102,103と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパターヘッド101,102,103が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
以上、本発明のパターヘッド用複合部材を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明のパターヘッド用複合部材は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記各実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
(2)上記実施形態1〜6及び実施形態8においては、追加の金属部材を備えるパターヘッド用複合部材を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。積層体のみを備える(積層体からなる)パターヘッド用複合部材としてもよい。
また、上記実施形態7においては、積層体410のみを備えるパターヘッド用複合部材7を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。追加の金属部材を備えるパターヘッド用複合部材としてもよい。
(3)上記各実施形態においては、ネックを備えるパターヘッドを製造するため材料となるパターヘッド用複合部材を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ネックを備えないパターヘッドを製造するための材料となるパターヘッド用複合部材とすることができる。この場合、例えば、製造したパターヘッドにネックを後付けすることでパターヘッドとシャフトとを接続することができる。
(4)上記各実施形態においては、平面状の形状からなる金属板又は金属薄板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アーチ状やドーム状のように曲面状に湾曲した形状からなる金属板又は金属薄板を用いることとしてもよい。
(5)上記実施形態4,5においては、空洞内に空気が存在することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、空洞内がほぼ真空状態であってもよい。また、例えば、空洞内に空気以外の気体(ヘリウムや窒素等)を封入することとしてもよい。
(6)上記各実施形態のパターヘッド用複合部材は、追加の金属部材として、パターヘッド用複合部材を切削加工時に固定するための金属部材(いわゆる、「くわえしろ」となる金属部材)を備えるものであってもよい。
(7)上記各実施形態のパターヘッド用複合部材においては、3枚以上の金属板を構成する各金属板が、その金属板に隣接する金属板とは色調又は質感が異なる金属材料からなるものであってもよい。このような構成とすることにより、金属板の色調又は質感の違いを活用して、美観に優れるパターヘッドを製造する出発材料とすることが可能となる。