JP2015076494A - 半導体用濡れ剤及び研磨用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリビニルアルコールと炭素数1〜7のアルデヒド化合物とのアセタール化反応により得られる水溶性高分子であって、分子中にビニルアルコール構造単位70〜99mol%及びアセタール化された構造単位1〜30mol%を有する水溶性高分子を含む半導体用濡れ剤。
【選択図】なし
Description
一般に、CMPによるウェーハ研磨では、3〜4段階の研磨を行うことにより、高精度の平滑化を実現している。第1段階および第2段階に行う1次研磨および2次研磨では、表面の平滑化を主な目的としていることから、研磨速度が重要視される傾向がある。これに対し、第3段階または第4段階の仕上げ研磨では、ウェーハ表面のヘイズ及びCOP(Crystal Originated Particles;結晶欠陥)の抑制、更には凝集した研磨砥粒、研磨パッド屑、研磨により除去されたシリコン粉といったいわゆるパーティクルの付着による汚染防止などについても重要視される。
また、特許文献2に記載のセルロース誘導体又はポリビニルアルコールも同様にウェーハ表面に対する吸着性は十分なものではなかった。加えて、特許文献2の実施例では、具体的な水溶性高分子化合物としてヒドロキシエチルセルロースを用いた実験例が開示されているが、天然物由来の化合物であるために品質のばらつきが大きいという問題もあった。
〔1〕ポリビニルアルコールと炭素数1〜7のアルデヒド化合物とのアセタール化反応により得られる水溶性高分子であって、分子中にビニルアルコール構造単位70〜99mol%及びアセタール化された構造単位1〜30mol%を有する水溶性高分子を含む半導体用濡れ剤
〔2〕前記水溶性高分子の数平均分子量が1,000〜200,000であることを特徴とする前記〔1〕に記載の半導体用濡れ剤。
〔3〕前記〔1〕又は〔2〕2に記載の半導体用濡れ剤、水、砥粒及びアルカリ化合物を含んでなることを特徴とする研磨用組成物。
〔4〕前記砥粒がコロイダルシリカである前記〔3〕に記載の研磨用組成物。
〔5〕前記〔3〕又は〔4〕のいずれかの研磨用組成物からなるシリコンウェーハの仕上げ研磨用組成物。
本発明の半導体用濡れ剤は、ポリビニルアルコールと炭素数1〜7のアルデヒド化合物とのアセタール化反応により得られる水溶性高分子であって、分子中にビニルアルコール構造単位70〜99mol%及びアセタール化された構造単位1〜30mol%を有する水溶性高分子を含む。
ここで、前記ビニルアルコール単位とは、以下の式(1)で表される構造単位を示す。また、前記アセタール化された構造単位とは、主に以下の一般式(2)で表される構造単位を示す。
[−CH2CH(OH)−] (1)
水溶性高分子におけるビニルアルコール構造単位が70mol%未満の場合、水への溶解性が十分でなく、本発明の半導体用濡れ剤の効果が得られない場合がある。また、99mol%を超える場合、前記式(2)で表されるアセタール化された構造単位が1mol%未満となるため、ウェーハへの吸着性が不十分となることがある。
アセタール化された構造単位が1mol%未満の場合はウェーハへの吸着性が不十分となる場合があり、30mol%を超える場合は水への溶解性が不十分となることが懸念される。
本発明における水溶性高分子は、例えば、溶媒中、ポリビニルアルコール類の水酸基の一部をアルデヒド化合物と反応させ、アセタール化することにより得ることができる。
一般に、アセタール化は、ポリビニルアルコールとアルデヒド化合物とを塩酸等の酸触媒の存在下で脱水縮合させて行われ、従来公知の方法を使用することができる。例えば、ポリビニルアルコールを1〜30質量%含む水溶液を調整し、−5〜60℃程度の温度範囲で酸触媒及びアルデヒド化合物を接触させて20分〜6時間反応を進行させる。その後、必要に応じて温度を10〜50℃上昇させて更に30分〜5時間熟成反応させて反応を完了し、好ましくは冷却することによりアセタール化ポリビニルアルコールを得る方法が挙げられる。
アルデヒド化合物としては、上記の他にも、2−エチルヘキシルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド等の炭素数8以上のアルデヒド化合物を用いてもよい。
本発明の半導体用濡れ剤は、前記水溶性高分子及び水を含んでなる。水は、濡れ剤としての効果を損なわないよう、純度の高いものを用いることが好ましい。具体的には、イオン交換樹脂により不純物イオンを除去した後、濾過により異物を除去した純水若しくは超純水、又は、蒸留水を使用することが好ましい。濡れ剤には、この他に、水との混和性が高いアルコール及びケトン類等の有機溶剤等を含んでいてもよい。
半導体用濡れ剤中の水溶性高分子の割合は、水溶液として扱いやすい粘度であれば特に限定されないが、1〜50質量%の範囲が好ましく、3〜40質量%の範囲がより好ましく、5〜30質量%の範囲がさらに好ましい。
ウェーハ表面の平滑性に関しては、半導体用濡れ剤中の水溶性高分子がウェーハ表面に吸着することで、CMPのメカニカル研磨においてウェーハ表面と砥粒との間の摩擦が緩和される。このため、メカニカル研磨によりウェーハ表面に形成される微小な凹凸が低減され、平滑性が向上すると考えられる。
一方、ケミカル研磨では、研磨の際にCOP内に研磨用組成物が入り込み、塩基性化合物がCOP内部を腐食又はエッチングする。このように、COP内部では、その内部壁に対して垂直方向に研磨されるため、ケミカル研磨の進行に伴いウェーハ表面のCOPは大きくなると考えられる。
本発明では、ウェーハ表面に吸着した水溶性高分子は、メカニカル研磨以上にケミカル研磨を抑制する働きを有するものと想定している。ウェーハに対する水溶性高分子の吸着性が高いほどこの傾向は強くなり、結果として平滑性が高くCOPの少ないウェーハ表面を得ることができると推察される。
本発明の研磨用組成物は、上記半導体用濡れ剤、水、砥粒及びアルカリ化合物を含んでなるものである。研磨用組成物中の半導体用濡れ剤の割合は、特に限定されるものではないが、研磨用組成物がCMPにおける扱い上、又ウェーハ表面に吸着するにあたり適度な粘度とすることが好ましい。研磨用組成物の具体的な粘度は、0.1〜10mPa・sの範囲であることが好ましく、0.3〜8mPa・sの範囲であることがより好ましく、0.5〜5mPa・sの範囲であることがさらに好ましい。
また、上記水溶性高分子は、研磨剤用組成物全体の0.001〜10質量%の範囲となるよう用いることが好ましく、0.005〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明の研磨用組成物は、前記アルカリ化合物を添加することにより、そのpHが8〜13となるように調整されるのが好ましい。pHの範囲は8.5〜12に調整するのがより好ましい。
製造例で得られた水溶性高分子の分析方法並びに、実施例及び比較例における半導体用濡れ剤又は研磨用組成物の評価方法について以下に記載する。
ポリビニルアルコールのアセタール化率は、以下の方法で算出した。すなわち、アセタール化反応は、理論上アルデヒド1molに対しビニルアルコール由来の水酸基2molが反応することから、用いたアルデヒド量をXmol%(対水酸基)、アルデヒドの反応率をY%とした場合、下式によって表すことができる。
アセタール化率(mol%)=2×X×Y
アルデヒドの反応率は、GC(ガスクロマトグラフィー GC−2014、島津製作所製)を用いて測定した。
各製造例で得られた重合体について、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー HLC−8220、東ソー製)を用いて、ポリスチレン換算により測定した。
ガラスカッターで3×6cmに切出したウェーハの重量を測定後、3%フッ酸水溶液に20秒浸漬してウェーハ表面の酸化膜を除去し、その後純水で10秒洗浄した。この工程をウェーハの表面が完全撥水になるまで繰り返した。次いで、アンモニア:水の重量比が1:19であるアンモニア水に、水溶性高分子の濃度が0.18wt%となるように半導体用濡れ剤を加えて、エッチング薬液を調整した。ウェーハをエッチング薬液に完全に浸漬させ、25℃、12時間静置してエッチングした。エッチング前後のウェーハ重量変化から、次式に従いエッチングレート(E.R.)を算出した。
耐エッチング性と同様の方法にてウェーハ表面の酸化膜を除去後、0.18wt%の水溶性高分子溶液中に5分間浸漬した。浸漬後、ピンセットを用いて、ウェーハの表面が液面に対して垂直になるように引き上げ、10秒経過時点におけるウェーハ端部からの撥水距離を目視で確認し、以下の基準により判定した。
○:撥水距離 5mm未満
△:撥水距離 5〜10mm
×:撥水距離 10mm超
耐エッチング性と同様の方法でエッチングを行った後の、ウェーハ表面を目視で確認し、以下の基準により判定した。
○:表面に荒れが認められない
△:表面がやや荒れている
×:表面が著しく荒れている
50ccのスクリュー瓶に水酸化ナトリウムを水に溶かして調整したpH10のアルカリ水溶液40gに水溶性高分子5.0gを加え、蓋をして良く混合した。アルミブロックヒーター内で50℃、1ヶ月静置後の加水分解率をGCから評価し、以下の基準より判定した。
○:水溶性高分子の加水分解率が1%未満
△:水溶性高分子の加水分解質が1%以上5%未満
×:水溶性高分子の加水分解率が5%以上
9ccスクリュー瓶にコロイダルシリカ(1次粒子径:30〜50nm)5.0gに樹脂固形分20%の水溶性高分子水溶液を0.5g加えて、良く混合した。一晩静置後のシリカの粒子径(A)を動的光散乱法(ELSZ−1000、大塚電子製)により測定し、水溶性高分子を加えていないコロイダルシリカの粒子径(B)からの変化率を下式に従って算出し、以下の基準より判定した。
変化率(%)={(A−B)/B}×100
○:変化率が10%未満
△:変化率が10%以上〜30%未満
×:変化率が30%以上
製造例1
攪拌翼、還流冷却管、温度計、各種導入管を備えた3Lの4つ口フラスコを用意し、PVA105(クラレ社製ポリビニルアルコール、鹸化度98mol%、重合度500)を100部及び純水400部を仕込み、攪拌翼を150rpmで回転させながら、90℃に昇温させて完全に溶解させた。次いで、内温を60℃まで冷却した後、攪拌を継続しながら98%硫酸11.0部を加えた。さらにn−ブチルアルデヒド(和光純薬工業社製)6.6部を純水100部で希釈した水溶液を30分間に渡り滴下した。60℃で4時間反応させた後、25%アンモニア水を7.7部加えて反応を終了させた。ガスクロマトグラフィ(GC)の結果から、使用したアルデヒドは全量消失していることを確認した。その後、80℃で一晩真空乾燥を行い、白色固体の重合体1を得た。アセタール化率は8.0mol%であった。
重合体1をピリジン中、110℃で無水酢酸と反応させてアセチル化した後、GPCにより分子量を測定したところ、Mn=41,000であった。
製造例1において、使用したアルデヒドを37%ホルムアルデヒド液(和光純薬工業社製)25.8部に変更した以外は同様の操作により白色固体の重合体2を得た。GCの結果から、使用したアルデヒドは全量消失していることを確認した。アセタール化率は28.0mol%であった。また、重合体2のMnは34,000であった。
製造例1において、使用したアルデヒドをn−プロピルアルデヒド(和光純薬工業社製)12.5部に変更した以外は同様の操作により白色固体の重合体3を得た。GCの結果から、使用したアルデヒドは全量消失していることを確認した。アセタール化率は19.0mol%であった。また、重合体3のMnは38,000であった。
製造例1において、使用したアルデヒドをn−ヘキシルアルデヒド(和光純薬工業社製)5.7部に変更した以外は同様の操作により白色固体の重合体4を得た。GCの結果から、使用したアルデヒドは全量消失していることを確認した。アセタール化率は5.0mol%であった。また、重合体4のMnは43,000であった。
製造例1において、使用したポリビニルアルコールをPVA115(クラレ社製、鹸化度98mol%、重合度1500)に変更した以外は同様の操作により白色固体の重合体5を得た。GCの結果から、使用したアルデヒドは全量消失していることを確認した。アセタール化率は8.0mol%であった。また、重合体5のMnは129,000であった。
製造例1において、使用したn−ブチルアルデヒドの使用量を0.7部に変更した以外は同様の操作により白色固体の重合体6を得た。GCの結果から、使用したアルデヒドは全量消失していることを確認した。アセタール化率は0.8mol%であった。また、重合体6のMnは43,000であった。
製造例1において、使用したn−ブチルアルデヒドの使用量を31.1部に変更した以外は同様の操作によりアセタール化反応を行った。しかし、反応途中で水に不溶化した重合体7が析出した。溶媒に含まれるアルデヒドをGCにより測定した結果、使用したアルデヒドは全量消失していることを確認した。アセタール化率は38.0mol%であった。重合体7のMnは35,000であった。
製造例1において、使用したアルデヒドをn−オクチルアルデヒド(和光純薬工業社製)8.7部に変更した以外は同様の操作によりアセタール化反応を行った。しかし、原料アルデヒドの水溶解性が乏しく、反応の進行が認められず、重合体8は得られなかった。
水溶性高分子1の濃度が15質量%となるように水を加え、半導体用濡れ剤を調整した。得られた半導体用濡れ剤について、耐エッチング性、濡れ性、ウェーハ外観及び耐アルカリ性の評価を行った。得られた結果について表1に示した。
また、アンモニア水を加えてpHを10.0に調整したコロイダルシリカ分散液(1次粒子系30〜50nm、シリカ固形分10%)10.0g、上記半導体用濡れ剤を0.1g添加して、研磨剤用組成物を得た。得られた研磨剤用組成物についてシリカ分散性を評価し、表1に結果を示した。
表1に示された水溶性高分子を用いた以外は実施例1と同様に半導体用濡れ剤及び研磨剤組成物を調製した。ただし、比較例2は、アセタール化反応後の重合体が水に不溶または殆ど溶解しないため、濡れ剤及び研磨剤組成物としての評価ができなかった。各試料の評価結果について表1に示した。
水溶性高分子として市販のポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名「クラレポバールPVA505」、鹸化度73.5mol%、重合度500)を用いた以外は実施例1と同様に半導体用濡れ剤及び研磨剤組成物を調製し、評価結果について表1に示した。
水溶性高分子として市販のヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社製、Mw=90,000)を用いた以外は実施例1と同様に半導体用濡れ剤及び研磨剤組成物を調製し、評価結果について表1に示した。
水溶性高分子として市販のポリビニルピロリドン(東京化成工業社製、商品名「PVP K30」)を用いた以外は実施例1と同様に半導体用濡れ剤及び研磨剤組成物を調製し、評価結果について表1に示した。
PVA505:低鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名「クラレポバール
PVA505」、鹸化度73.5mol%、重合度500)
HEC:ヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社製、重量平均分子量90,000)
PVP K30:ポリビニルピロリドン(東京化成工業社製)
一方、水溶性高分子におけるアセタール化された構造単位が本発明で規定する下限値に満たない比較例1はウェーハ表面への吸着性が不十分であるため、耐エッチング性、濡れ性及びウェーハ外観の点で劣る結果となった。また、アセタール化された構造単位が上限値を超える比較例2では、上記の通りアセタール化後の高分子の水への溶解性が不十分であった。
また、鹸化率の低いポリビニルアルコールを用いた比較例4は、酢酸ビニル由来のユニットの加水分解が生じるため、耐アルカリ性が不足するものであった。本発明の水溶性高分子と構造単位の異なる水溶性高分子を用いた比較例5及び6は、ウェーハ表面への吸着性及びシリカ分散性の点で、満足するものではなかった。
Claims (5)
- ポリビニルアルコールと炭素数1〜7のアルデヒド化合物とのアセタール化反応により得られる水溶性高分子であって、分子中にビニルアルコール構造単位70〜99mol%及びアセタール化された構造単位1〜30mol%を有する水溶性高分子を含む半導体用濡れ剤。
- 前記水溶性高分子の数平均分子量が1,000〜200,000であることを特徴とする請求項1に記載の半導体用濡れ剤。
- 請求項1又は2に記載の半導体用濡れ剤、水、砥粒及びアルカリ化合物を含んでなることを特徴とする研磨用組成物。
- 前記砥粒がコロイダルシリカである請求項3に記載の研磨用組成物。
- 請求項3又は4のいずれかの研磨用組成物からなるシリコンウェーハの仕上げ研磨用組成物。
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