JP2015075188A - 冷媒切替弁および冷媒切替弁を備える機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弁座プレートと、前記弁座プレートの第一の面と回動により摺接する弁体摺接面を備える弁体と、前記弁体の中心を通る弁体軸と、を備える冷媒切替弁であって、前記弁座プレートと前記弁体摺接面とが摺接する前記第一の面の領域に有底のロータ軸穴を設け、前記弁体軸は、前記ロータ軸穴に圧入固定されたことを特徴とする冷媒切替弁。
【選択図】図17
Description
特許文献1(特許4112918号公報)には、「弁座プレート13、およびパイプ支持プレート14には、ロータ支軸18および弁体支軸35の基端側が圧入された軸孔13d、14d、13e、14eがストレート孔として形成されており、軸孔13d、14dにロータ支軸18の基端側がロー付けにより固定され、軸孔13e、14eに弁体支軸35の基端側がロー付けにより固定されている」構成が開示されている(段落0031、図9)。
なお、特許文献2では、上軸穴(2b)と下軸穴(7a)との同軸度を高精度にする方法は何ら開示していない。
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態の冷蔵庫を前方から見た正面外観図である。図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1のE−E断面図である。図3は、冷蔵庫の庫内の機能構成を表す正面図である。図4は、図2の冷却器近傍を拡大して示す要部拡大説明図である。
<冷媒切替弁60を用いる機器(冷蔵庫1)の構成>
第1実施形態に係る冷媒切替弁60(図9等参照)を説明する前に、まず、冷媒切替弁60(図9等参照)を備える機器として、冷蔵庫1を例として挙げ、図1から図4を用いて説明する。
<結露防止>
ここで、冷蔵庫本体1Hの各扉2a、2b、3a、4a、5a、6aを開くと、温かい外気が冷蔵庫本体前面16の開口周縁部1H2と接触する。特に、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5内は氷点下の冷凍温度帯(例えば、−18℃)であるため、扉3a、4a、5aを開いた場合、冷蔵庫本体前面16の開口周縁部1H2に外気が触れて冷却されることで露点以下となり、冷蔵庫本体前面16に、外気中の水分が結露しやすい状態となる。
<冷気循環>
図2、図3に示すように、冷却器7は、下段冷凍室5のほぼ奥側に備えられる冷却器収納室8内に配設されている。冷却器7は、冷却器配管7dに伝熱面積を広げるための多数のフィンが取り付けられて構成され、冷却器配管7d内の冷媒と空気との間の熱交換が行われている。
<ダンパ>
冷却器7の冷気が何れの貯蔵室へ送られるかは、図2、図3に示す冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21の開閉により制御される。
<ダンパによる冷蔵室2の冷却>
冷蔵室2の冷却に際しては、冷蔵温度帯室冷気制御手段20の第一の開口20aを開状態とすると、冷気は、冷蔵室上流ダクト23(図4参照)および冷蔵室送風ダクト22を経て、多段に設けられた吹出口2c(図3参照)から冷蔵室2に送られる。そして、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた戻り口2dから冷蔵室戻りダクト24を経て、冷却器収納室8内にその側方下部から流入し、冷却器7と熱交換され冷却される。
<ダンパによる野菜室6の冷却>
野菜室6の冷却に際しては、冷蔵温度帯室冷気制御手段20の第二の開口20bを開状態とすると、冷気は、冷蔵室上流ダクト23および野菜室送風ダクト25(図3参照)を経て、吹出口6c(図3参照)から野菜室6に送られる。そして、野菜室6を冷却した冷気は、戻り口6dを経て、冷却器収納室8内にその下部から流入し、冷却器7と熱交換され冷却される。
<ダンパによる冷凍室(3、4、5)の冷却>
冷凍室(3、4、5)の冷却に際しては、冷凍温度帯室冷気制御手段21を開状態とすると、冷気は、製氷室送風ダクト26aや上段冷凍室送風ダクト26bを経て、吹出口3c、4cからそれぞれ製氷室3、上段冷凍室4に送られる。また、冷気は、下段冷凍室送風ダクト27(図2参照)を経て、吹出口5cから下段冷凍室5に送られる。このように、冷凍温度帯室冷気制御手段21は、送風機カバー31(図4参照)の上方に取り付けられ、その下方に配置される冷凍室(3、4、5)への送風を容易にしている。
<霜取装置の除霜ヒータ35>
図4に示すように、冷却器7の下方には、除霜手段である除霜ヒータ35が設置されている。除霜ヒータ35の上方には、除霜水が除霜ヒータ35に滴下することを防止するため、上部カバー36が設けられている。
<機械室>
図3に示すように、断熱箱体10の下部背面(奥)側には、機械室50が設けられている。
<センサ・制御系>
図2に示すように、冷蔵庫本体1Hの天井壁1H1の上面奧側には、制御手段として、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリなどを有するマイクロコンピュータや、インターフェース回路等を実装した制御手段である制御基板41が配置されている。
<冷媒経路(冷媒回路)>
次に、第1実施形態に係る冷媒切替弁60(図3、図9等参照)を備える冷蔵庫1の冷媒経路(冷媒回路)、運転モードについて、図5から図8を用いて説明する。
図6の第2モードは、結露の可能性がない環境において、結露防止配管17を冷媒がバイパスするバイパスモードである。
図7の第3モードは、圧縮機51を停止する停止モードである。
図8の第4モードは、結露防止配管17から冷媒を回収して省エネを図る冷媒回収モードである。
(図5の第1モード)結露防止モード
図5に示す第1モード(結露防止モード)においては、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口Bとが連通し(冷媒流れL1)、連通口Cと連通口Dとが連通(冷媒流れL2)する。
(図6の第2モード)バイパスモード
図6に示すように、第2モード(バイパスモード)においては、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口Cとが連通し(冷媒流れL3)、連通口Bおよび連通口Dは、他と連通しない。
(図7の第3モード)停止モード
図7に示す第3モード(停止モード)において、圧縮機51は停止している状態となっており、冷媒切替弁60は連通口Cを閉塞している。
(図8の第4モード)冷媒回収モード
図8に示すように、第4モード(冷媒回収モード)において、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口Dは閉塞されて他と連通しないようになっており、連通口Bと連通口Cは互いに連通し、冷媒が、冷媒流れL4のように流れる。
≪冷媒切替弁60≫(連通口B、C、Dの配置)
次に、第1実施形態に係る冷媒切替弁60の構成と動作について、図9から図16を用いて説明する。
図9は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60の外観を示す斜視図である。
図10は、図9のG方向矢視図である。
図11は、図10のF−F断面図である。
図12は、冷媒切替弁60の内部構成を示す斜視図であり、冷媒切替弁60からステータケース61と弁ケース66とを仮想的に取り外して透視した斜視図である。
図13は、ロータピニオンギヤ75とアイドラギヤ79と弁体80の構成を示す斜視図であり、ロータ70から弁体80に至るまでのギヤを用いた駆動力の伝達手段の構成を示す。
図10から図12に示すように、最も厚い第二の弁座プレート部67bには、3つの連通管69である連通管69b、連通管69c、および連通管69dが、ロウ付けによって接合部を密封するように結合され、弁ケース66の内部と連通している。そして、図10および図11に示すように、流入管68と連通管69b、連通管69c、連通管69dの一端はそれぞれ、弁座プレート67の一面に弁ケース66内側に向けて開口した流入口A、連通口B、連通口C、連通口Dに接続されている。
弁体軸71は、ロータ70の回転中心軸であるとともに、後記する弁体80の回動中心となる軸である。
(冷媒切替弁60の流入口A、連通口B、C、Dの位置)
図10に示すように、冷媒切替弁60の下面に開口される連通口B、連通口C、および連通口Dは、弁体軸71(ロータ軸穴72)を中心した同一円上に配置されている。
連通口B、連通口C、および連通口Dの好適な配置角度については、後に詳述する。
本実施形態では、連通口Dは、弁体軸71(ロータ軸穴72)に対して流入口Aに近接した位置に設けられている。連通口Bは弁体軸71(ロータ軸穴72)を挟んで連通口Bとは反対側に設けられている。
連通口Cは、弁体軸71(ロータ軸穴72)に対して側方の、連通口Bと連通口Dに対して互いに略90゜の関係にあり、アイドラ軸78の近傍位置に設けられている。
(弁体80の弁体摺接面81)
弁体80は、一面を弁体摺接面81(図13参照)として弁座プレート67の研磨仕上面90と接しながら、弁体軸71を中心として回動するようになっている。
弁体80が回動することで、弁座プレート67に設けられた連通口B、C、D(図10参照)を開閉する構成である。
(ロータピニオンギヤ75と弁体80の関係)
ロータ駆動部74と一体に形成されたロータピニオンギヤ75は、ロータピニオンギヤ75の下端部の回転軸周囲に設けられた凸部であるロータ駆動部先端76が弁体80の上面に載置されている。そして、ロータピニオンギヤ75と弁体80とは、共通の中心軸である弁体軸71のまわりにそれぞれロータ駆動軸穴77と弁体軸穴85を介して回転自在に配置されている。
(弁体80の押圧)
図11、図12に示すように、弁ケース66の上面内側に向けて一部を放射状に腕を伸長した付勢手段である板バネ86が、ロータ70を支持し一体として回転するロータ駆動部74の上面に配置されている。
(アイドラギヤ79)
図11、図12に示すように、アイドラ軸78には、アイドラ大歯車79bとアイドラピニオンギヤ79aとを有するアイドラギヤ79が回転自在に軸支されている。アイドラ大歯車79bはロータピニオンギヤ75と噛み合い、アイドラピニオンギヤ79aは弁体ギヤ83と噛み合って減速する。ロータ70からの回転トルクは、ロータピニオンギヤ75、アイドラ大歯車79b、アイドラピニオンギヤ79a、弁体ギヤ83の順に減速しながら伝達される。なお、ロータ70からの回転トルクは、弁体ギヤ83までに減速される分、大きくなる。
<流入管68と、第二の弁座プレート部67bないし弁体80と、アイドラ軸78ないしアイドラギヤ79との好適な配置>
次に、図10〜図12を用いて、流入管68と、第二の弁座プレート部67bないし弁体80と、アイドラ軸78ないしアイドラギヤ79との好適な配置関係について説明する。
あるいは本第1実施形態に限られるものではなく、弁体80に対して一方側に流入口A(流入管68)を設け、弁体80を挟んで他方側にアイドラ軸78とアイドラギヤ79とを設ける構成であってもよい。
(弁体80のストッパ84)
また、図13に示すように、弁体80の一部は弁体ギヤ83の外周よりも凸形状のストッパ84が形成されている。この構成により、弁体80が時計まわりまたは反時計まわりに最大角度回転した際には、凸形状のストッパ84が、アイドラギヤ79のアイドラピニオンギヤ79aよりも下側に突出した円筒状のアイドラストッパ79cに当接して弁体ギヤ83の回転角度を所定の角度範囲に制限する。
(片持ちのアイドラギヤ79の脱落防止)
図12に示すように、アイドラギヤ79には、アイドラ大歯車79bの上面に円周状の突起部79sが形成されている。また、図11に示すように、ロータ駆動部74には、円周状に突起部74sが形成されている。アイドラギヤ79のアイドラ軸78は、片持ちの構造であるが、アイドラギヤ79の軸方向の位置が上方向にずれた場合、アイドラギヤ79の突起部79sがロータ駆動部74の突起部74sに当接してそれ以上移動することができないようになっている。これにより、アイドラギヤ79が片持ちのアイドラ軸78から脱落することが防止される。
<冷媒切替弁60の動作>
次に、弁体80による連通口B、C、Dの開閉動作について図14〜図16を用いて説明する。
(弁体80の回動ピッチ)
隣接する連通口B、C、D同士において、それぞれの連通口B、C、Dと弁体軸71を結んだ中心線のなす角は90゜となる。
(1)は図14と同じく角度=0の第1状態、
(2)は90゜回動した第2状態、
(3)は180゜回動した第3状態、
(4)は270゜回動した第4状態
を図示している。
連通口Bには、第二冷媒配管56の一端に接続される連通管69bが固定されている。
連通口Cには、第三冷媒配管57に接続される連通管69cが固定されている。
連通口Dには、第二冷媒配管56の他端に接続される連通管69dが固定されている。
<冷媒回収モード>
図16(1)の第1状態は、図8に示す第4モードであり、冷媒回収モードである。
図16(1)の第1状態(冷媒回収モード)では、連通口Bと連通口Cが連通凹部82によって互いに連通しており、連通口Dは弁体摺接面81によって閉塞されている。
連通口B、連通口Cおよび連通口Dは全て弁体80によって覆われているので、流入口Aから弁ケース66内に流入した冷媒は、弁ケース66内から連通口B、連通口Cおよび連通口Dの何れにも流れない。そのため、流入口Aから弁ケース66内に流入した冷媒は連通口B、C、Dの何れからも流出できず、流入口Aが閉塞された状態である。
<停止モード>
図16(2)の第2状態は、図7に示す第3モードであり、圧縮機51が停止する停止モードである。
図16(2)の第2状態では、流入口Aと連通口Dとは弁ケース66の内部空間を介して連通しており、連通口C、Bは閉塞されている。この場合、圧縮機51は停止しており、冷媒は流れない。
<バイパスモード>
図16(3)の第3状態は、図6に示す第2モードであり、結露防止配管17に冷媒が流れないバイパスモードである。
図16(3)の第3状態では、連通口Bおよび連通口Dは閉塞されている。
連通口B、Dに接続される第二冷媒配管56の両端は閉塞されているから、圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Cへと流れる。そして、冷媒は連通口Cから第三冷媒配管57を経て細管である減圧手段54を通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
<結露防止モード>
図16(4)の第4状態は、図5に示す第1モードであり、結露防止配管17に冷媒が流れる通常モードである結露防止モードである。
図16(4)の第4状態では、連通口Bが開口し、連通口Cおよび連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66(図11参照)内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。
≪弁座構造≫
次に、第1実施形態に係る冷媒切替弁60の弁座構造について、図17から図22を用いて更に説明する。
図17は、冷媒切替弁60の第二の弁座プレート部67bと弁体80と連通管69の断面を示す拡大部分断面図である。
図18は冷媒切替弁60の弁座プレート67と連通管69と流入管68とアイドラ軸78の図10におけるF−F断面を示す拡大部分断面図、図19は弁座プレート67に弁体軸71を圧入する状態を仮想的に示す分解斜視図である。
図20は第一の弁座プレート部67aと流入管68の断面形状を示す拡大部分断面図である。
図21は弁座プレートの一面を研磨した後の形状を示す図18と同様な断面図である。
図22は第三の弁座プレート部67cと弁ケース66の断面を示す拡大部分断面図である。
一方、連通管69は冷媒配管として銅管を用いるのが一般的であり、連通管69を嵌合してロウ付けする連通管穴87は、連通孔88の内径より太い直径d1(例えば、φ3mm程度)であり、ロウ付けする際に第二の弁座プレート部67bに対して位置決めするために、ある程度の深さt2(例えば、2mm程度)が必要となる。
弁体軸71は、有底のロータ軸穴72に深さt1まで圧入で嵌合されて固定されるものであってロウ付けされないので、弁体軸71と第二の弁座プレート部67bの接合部にロウが侵入することがなく、表面張力によって隅部にフィレット状にはみ出すことがないとともに、はみだしたロウによって弁体80が第二の弁座プレート部67bへの密着を妨げられることがない、という効果がある。またさらに、ロウ付けで軸を固定する場合には軸と軸穴との間にロウが流れ込むための例えば0.05〜0.1mm程度の隙間が必要なので、その隙間によって軸と軸穴との間には直角度の誤差を生じる。すなわち、ロータ軸穴72を第二の弁座プレート部67bの弁体80との摺接面に対して高い直角度で穴あけ加工を行ったとしても、弁体軸71のロウ付け後の直角度は穴あけ加工の直角度より劣る。
図15に示す第1実施形態の(1)第1状態や(4)第4状態において、冷媒は連通凹部82を通って流れるようになっている。
ここで、連通凹部82の断面寸法として、図17に示す連通凹部82の幅wを、概ね連通孔88の直径d0と等しいかやや大きい値とし、図17に示す連通凹部82の深さhを概ねwと等しい寸法とすることが望ましい。
図20は流入管68を第一の弁座プレート部67aに穿設された流入管穴89に通した後に流入管68先端を拡幅して仮固定した、ロウ付け前の状態を示す図であり、図20(a)は図19のJ矢視図であり、図20(b)は図20(a)のK−K断面図であって、図示上方が弁ケース66内部であり、冷媒は図示下方から流入管68を通って弁ケース66内部に流入する。
(弁体80の中心配置の効果)
図9から図12に示す弁ケース66と弁座プレート67の外周である第三の弁座プレート部67cとは、最外周の溶接部98において、例えばTIG溶接(タングステン・不活性ガス溶接)やレーザ溶接によって密封される構成である。一方、弁体80やアイドラギヤ79(図11、図13参照)は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などの耐熱性樹脂で製作されるものの、温度上昇に対しては限界がある。特に、弁体80の弁体摺接面81は、わずかな熱変形が生じても冷媒を封止できなくなるおそれがあるため、弁体80の温度上昇を抑制する構成が望ましい。
図22は弁座プレート67と弁ケース66の外周の溶接部98近傍を示す断面図である。
<作用・効果>
1.冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることで、冷媒の切替性能が向上する。
図14〜図16に示すように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることにより、図16(1)に示す流入管68(流入口A)は連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)のいずれとも連通することなく、かつ連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とが互いに連通し連通管69d(連通口D)が閉塞する第1状態(冷媒回収モード)と、図16(2)に示す流入管68(流入口A)と連通管69d(連通口D)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)が閉塞される第2状態(停止モード)と、図16(3)に示す流入管68(流入口A)と連通管69c(連通口C)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69d(連通口D)が閉塞する第3状態(バイパスモード)と、図16(4)に示す流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)とが連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が互いに連通する第4状態(結露防止モード)とを切り替えることができる。
図5〜図8および図14〜図16により説明したように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫1)は、結露防止配管17に外気よりも高温の冷媒を供給して結露を防止する第1モード(図5、図16(4)参照)と、結露防止配管17からの熱漏洩を低減する第2モード(図6、図16(3)参照)と、圧縮機51を停止する際に冷却器7内の冷媒の温度を低温で維持する第3モード(図7、図16(2)参照)と、結露防止配管17内の冷媒量を低減する第4モード(図8、図16(1)参照)との4つの冷媒経路(冷媒回路)のモードを、唯一の冷媒切替弁60の動作で切り替えることができる。
冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫1)は、図2に示す外気湿度センサ43、外気温度センサ42の測定結果に応じて、外気が高温高湿であって結露のおそれがある場合、冷媒経路(冷媒回路)を第1モード(結露防止モード)(図5、図16(4)参照)となるように切り替え、外気が低湿で結露のおそれがない場合、冷媒経路(冷媒回路)を第2モード(バイパスモード)(図6、図16(3)参照)となるように切り替えることができる。なお、このモードの切り替えは、前記したように、冷媒切替弁60の動作で切り替えることができる。
第1モード(結露防止モード)(図5、図16(4)参照)と第2モード(バイパスモード)(図6、図16(3)参照)とは、弁体80の回転角度を互いに90゜回転することで切り替えることができる。そのため、結露防止配管17を経由する第1モードと、結露防止配管17を経由しない第2モードとの切換が極めて短時間に行える。
ここで、結露防止配管17を経由する第1モード(結露防止モード)(図5、図16(4)参照)と、結露防止配管17を経由しない第2モード(バイパスモード)(図6、図16(3)参照)とを切り替える際に、圧縮機51を停止する第3モード(停止モード)(図7、図16(2)参照)ないし結露防止配管17内の冷媒量を低減する第4モード(冷媒回収モード)(図8、図16(1)参照)を一旦経由してから切替える構成の問題点について説明する。
従来、結露防止配管17を経由する結露防止モード(第1モード)と結露防止配管17を迂回するバイパスモード(第2モード)とを切り替えるために冷媒切替弁と冷媒逆流防止弁とを設けた構成の場合、四方弁である冷媒切替弁は1本の流入管と3本の連通管を備え、冷媒逆流防止弁は1本の流入管と1本の出口管を備えるので、冷媒回路に接続するためには少なくとも6か所をロウ付けによって接続する必要がある。
第1実施形態の冷媒切替弁60において、圧縮機51からの高圧の冷媒が、第一冷媒配管55(図5参照)、流入管68(図11参照)、流入口A(図10参照)を介して、弁ケース66内の空間に流入するようになっている。
図11に示すように、第1実施形態の冷媒切替弁60において、ロータ70およびロータ駆動部74と一体で回転するロータピニオンギヤ75を弁体80の上に重ねて、ロータピニオンギヤ75と弁体80とを同軸に共通の回転軸である弁体軸71のまわりに回転自在に配置している。また、弁体軸71と別に設けたアイドラ軸78の回りにアイドラ大歯車79bとアイドラピニオンギヤ79aとを一体で設けたアイドラギヤ79を配置している。
ロータピニオンギヤ75から弁体ギヤ83までは2段階の減速を行うので、減速比が大きくなり、弁体80に伝達される回転トルクを大きくすることができる。そのため、弁体80の切替動作を確実に行うことができる。
図11に示すように、冷媒切替弁60において、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)と弁体80を共通の弁体軸71で同軸に配置し、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)を弁体80の上に載置して、板バネ86でロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)を付勢している。
図11に示すように、冷媒切替弁60において、弁体80を支持する弁体軸71は、弁体80と弁体摺接面81で接する弁座の第二の弁座プレート部67bに設けられた有底のロータ軸穴72に圧入支持され、さらに弁ケース66の上端に設けられた凹部であるロータ軸受73とで両端を支持される両持ち構造である。
図11に示すように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60において、アイドラ軸78は片持ち構造となっており、冷媒切替弁60の組立性が向上する。なお、アイドラギヤ79が、上方向に移動した場合でも、アイドラ大歯車79bがロータ駆動部74と当接するので、アイドラギヤ79の脱落を防止することができる。
第一の弁座プレート部67aと第二の弁座プレート部67bとを別体として互いにロウ付けで接合した場合の問題点について説明すると、その接合部からロウが第二の弁座プレート部67bの表面すなわち弁体80との摺動面に滲出することがあり、そのような場合には弁体摺接面81が連通口B、C、Dを密閉封止できない、という課題がある。
14.ロータ軸は有底のロータ軸穴72に圧入することで精度が向上する。
第二の弁座プレート部67bの中央に設けられたロータ軸穴72は有底穴とし、弁体軸71を隙間なく圧入固定する。
弁ケース66と溶接するために加熱される外周部(第三の弁座プレート部67c)を最も薄くすることで溶接に要する熱量を低減し、連通管69を差し込んでロウ付けするための連通管穴87を設けた中央部(第二の弁座プレート部67b)を最も厚くすることで、連通管69の固定を確実にするとともに有底のロータ軸穴72に弁体軸71を圧入支持し、外周部と中央部の間(第一の弁座プレート部67a)を中間の厚さとしたことで、中央部にある弁体80に対して溶接時の熱が伝わりにくく、弁体80の熱変形を防止できるので、弁体80の弁体摺接面81を高精度に維持することで弁座プレート67との間の密着性が向上して、冷媒の漏洩を低減できる。
流入管穴89を弁座プレート67のうち中間の厚さt4を備えた第一の弁座プレート部67aに設けたので、流入管68と流入管穴89との隙間に確実にロウが侵入して確実に封止できるとともに、ロウ付けした後の強度を十分に確保できる。
またさらに、流入管穴89に流入管68を貫通する際の作業性も良好である。
流入管68を第一の弁座プレート部67aから所定の凸量97だけ突き出して配置した後、端面円周上の2箇所ないし3箇所を拡幅するよう流入管68の端部を部分的に変形させて圧接部95において流入管穴89と圧接することで、流入管68と第一の弁座プレート部67aを圧接して位置ずれを防止しつつ、かつ流入管68と流入管穴89との間にはロウが流れ込むのに必要な隙間を確保できる、という効果がある。
第一の弁座プレート部67aと第三の弁座プレート部67cとの間に生じる弁ケース66側の段差Hを弁ケース66の曲げRより大、すなわちH>Rとすれば、弁体80との摺接面から(H−R)の範囲においては、弁ケース66の内周と第一の弁座プレート部67aの外周が直径D1の円筒部で互いに嵌合するので、弁ケース66の内周と第一の弁座プレート部67aの外周とが同軸に精度よく位置決めでき、溶接後も高い同軸度が確保できて好適である。
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係る冷媒切替弁について図24および図25を用いて説明する。なお、図25において、説明のために弁座プレート67と接する弁体摺接面81Bにはハッチングを付加して図示している。図24は、第3実施形態に係る冷媒切替弁が備える弁体80Bの斜視図である。図25(A)は第3実施形態に係る冷媒切替弁の第1状態の内部構成を示す説明図であり、図25(B)は第3実施形態に係る冷媒切替弁の第2状態の内部構成を示す説明図であり、図25(C)は第3実施形態に係る冷媒切替弁の第3状態の内部構成を示す説明図である。図25(D)は第3実施形態に係る冷媒切替弁の第4状態の内部構成を示す説明図である。
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態に係る冷媒切替弁について図26を用いて説明する。なお、図26において、説明のために弁座プレート67と接する弁体摺接面81Aにはハッチングを付加して図示している。
≪液封時の動作≫
次に、図27(適宜図17等)を用いて、冷媒経路(冷媒回路)に所謂液封が生じた場合について説明する。ここで、液封とは、両端が閉じられた冷媒回路、即ち閉回路が液体の冷媒で満たされ、その後に温度上昇して冷媒が熱膨張することで冷媒回路の配管内部や弁体内部に高圧が生じる現象である。
(第1実施形態の第3状態の液封防止)
ちなみに、例えば第1実施形態に係る冷媒切替弁60における第3状態(図16(3)参照)は、弁ケース66は内部の体積が比較的大きな凝縮器52と連通する状態となっているので、封入された総冷媒量の体積(液体時)よりも閉回路の体積(凝縮器52、第一冷媒配管55、弁ケース66)を大きくすることができるので、液封を防止することができる。
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態に係る冷媒切替弁について図28を用いて説明する。
図28は第5実施形態による冷媒切替弁60の構成を示す図18と同様な断面図であり、図18と異なるところは第二の弁座プレート部67bの直径を拡大して略第一の弁座プレート部67aの直径に近づけ、流入管68を第一の弁座プレート部67aではなく第二の弁座プレート部67bに設けたことと、流入管68を第二の弁座プレート部67bに貫通することなく、弁体80が配置される側は、直径例えば、φ2mm程度の流入口Aが開口され、弁体80が配置される側の反対側の流入管穴89は、直径が拡大されている。流入管穴89の直径が拡大された部分に、流入管68が嵌合されてロウ付けされて接合される。
<<その他の実施形態>>
1.前記第1〜第5実施形態では、冷媒切替弁60において弁体80とロータ70とが同軸の場合や、ロータ駆動部74と弁体80との間で減速機構を有する場合等を例示して説明したが、冷媒切替弁60が前記第1〜第5実施形態で説明した機能、作用を果たせれば、換言すれば、特許請求の範囲に記載した冷媒切替弁の構成を満たせば、冷媒切替弁60の構成は前記第1〜第5実施形態で説明した構成以外の構成を採用してもよい。
2.前記第1〜第5実施形態では、冷媒切替弁60の弁体80を回動させる場合を例示したが、弁体80の開閉が説明したものを行えれば、回動に限定されず、直線運動等の回動以外の移動としてもよい。なお、前記した弁体80を回動させる場合には、動作信頼性が高く、構成が簡素でコンパクトにできるので、説明した弁体80を回動させる構成が望ましい。
3.前記第1〜第5実施形態では、切替弁として、冷媒の流れを制御する冷媒切替弁60を例示したが、その他の循環媒体の流れを制御する切替弁でもよい。
4.前記第1〜第5実施形態では、ロータの回転をピニオンギヤとアイドラギヤを介して弁体を減速して回転させる構成としたが、アイドラギヤをもたずにロータと弁体とを減速せずに直結し、ロータの回転を直接弁体に伝達する構造であってもよい。
5.前記第1〜第5実施形態では、機器として、冷蔵庫を例示したが、冷蔵庫以外の機器に適用してもよいのは勿論である。
1H2 開口周縁部
7 冷却器(蒸発器)
17 結露防止配管(冷媒流通部)
51 圧縮機
52 凝縮器
54 減圧手段
60 冷媒切替弁
66 弁ケース(ケース)
67 弁座プレート(ケース)
67a 第一の弁座プレート(ケース)
67b 第二の弁座プレート(弁座)
68 流入管
69 連通管(第1連通管、第2連通管、第3連通管)
69b 連通管(第1連通管)
69c 連通管(第2連通管)
69d 連通管(第3連通管)
71 弁体軸
72 ロータ軸穴(有底穴)
80 弁体
81 弁体摺接面
82 連通凹部(連通溝)
86 板バネ(付勢手段)
87 連通管穴(連通管接続部、第一の連通口、第二の連通口、第三の連通口)
88 連通孔(連通管接続部、第一の連通口、第二の連通口、第三の連通口)
89 流入管穴
90 研磨仕上面
91 正方形
92 弁体軸
93 ロータ軸
94 拡幅部
95 圧接部
96 隙間
97 凸量
98 溶接部
A 流入口(流入管接続部)
B 連通口(連通管接続部、第一の連通口)
C 連通口(連通管接続部、第二の連通口)
D 連通口(連通管接続部、第三の連通口)
Claims (5)
- 弁座プレートと、前記弁座プレートの第一の面と回動により摺接する弁体摺接面を備える弁体と、前記弁体の中心を通る弁体軸と、を備える冷媒切替弁であって、
前記弁座プレートと前記弁体摺接面とが摺接する前記第一の面の領域に有底のロータ軸穴を設け、
前記弁体軸は、前記ロータ軸穴に圧入固定されたことを特徴とする冷媒切替弁。 - 前記弁座プレートは、前記第一の面と対向する第二の面に連通管穴を有する第二の弁座プレート部を有し、
前記第一の面は、前記連通管穴と連通して該連通管穴より細径の連通孔が設けられ、かつ前記弁体が摺接する研磨仕上面を有し、
前記ロータ軸穴の深さと、前記連通管穴の深さの和が、前記第二の弁座プレート部の厚さ未満であり、
前記ロータ軸穴と前記連通管穴とは、前記研磨仕上面の正面視において、連通管穴中心とロータ軸穴中心との距離が、連通管穴の半径とロータ軸穴の半径との和よりも大となるよう配置したことを特徴とする請求項1に記載の冷媒切替弁。 - 前記弁座プレートは、前記第二の弁座プレート部の外周に設けられた第一の弁座プレート部と、該第一の弁座プレート部の外周に設けられた第三の弁座プレート部と、を備え、
前記弁座プレートは、前記第一の弁座プレート部と、前記第二の弁座プレート部と、前記第三の弁座プレート部と、が一体となって構成され、
前記第一の弁座プレート部の厚みは、前記第二の弁座プレート部の厚みより薄く、前記第三の弁座プレート部の厚みより厚く、
前記ロータ軸穴を前記弁座プレートの略中心かつ前記第二の弁座プレートに設け、
溶接により前記第三の弁座プレート部に弁ケースが取り付けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の冷媒切替弁。 - 前記連通管穴及び前記連通孔は複数組設けられ、
該連通口の少なくとも一つは、前記弁体の回動によって露出可能であり、
前記弁体摺接面は、前記弁体の回動によって前記複数の連通孔の少なくとも2つを互いに連通可能な連通凹部を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の冷媒切替弁。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載の冷媒切替弁を備えたことを特徴とする機器。
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