JP2015014294A - 流量制御弁及び流量制御弁を備えた機器 - Google Patents

流量制御弁及び流量制御弁を備えた機器 Download PDF

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Taichiro Yamashita
太一郎 山下
大平 昭義
Akiyoshi Ohira
昭義 大平
慎一郎 岡留
Shinichiro Okadome
慎一郎 岡留
正展 石塚
Masanobu Ishizuka
正展 石塚
正康 津布久
Masayasu Tsufuku
正康 津布久
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Abstract

【課題】冷媒の流量制御性能が向上した流量制御弁を提供する。【解決手段】弁体軸を回動軸として回動可能な弁体と、流出口を備える弁座プレートと、を備える流量制御弁であって、弁体は、弁座プレートに摺接する弁体摺接面を一方の面に有し、弁体摺接面は、第一の端部が弁体摺接面の空隙部に開口した開放端であり、弁体の回動によって、開放端から所定長さに亘って流出口と重なる円弧状溝を有しており、空隙部は、弁体の回動によって、流出口を露出可能である。【選択図】図10

Description

本発明は、流量制御弁及び流量制御弁を備えた機器に関する。
本技術分野の背景技術として、特許第4466888号公報(特許文献1)、特開2000−346227号公報(特許文献2)、特開2001−124453号公報(特許文献3)、特開2000−352472号公報(特許文献4)がある。
特許文献1には、「外側にコイル組立体を有し内側にマグネットとロータとからなる弁体の回転手段を配設されたキャンと、該キャンの下端側に配設され円筒状の弁室を備えた弁本体組立体とを設けるとともに、該弁本体組立体が前記弁室に形成された弁座に穿設したポート部と該弁座を挟んで配設された流体入出口とを有し、前記弁体は前記弁室に内設された円形の本体部と該本体部の下面に形成され前記弁座に密接摺動可能な弁閉制御部とを備え、該弁閉制御部が前記ロータの回転角度に応じて前記ポート部を覆う面積を制御可能に構成された電動式膨張弁において、前記弁座の少なくとも前記弁閉制御部に摺接する面が薄い金属板で形成されるとともに、該薄い金属板に微小流量制御を行うための絞り溝が形成されていることを特徴とする電動膨張弁」が開示されている(請求項)。
特許文献2には、「筒状の密閉ケース1内挿されるロータと一体的に成形されるロータシャフト5の下端部に小さな歯車3を設け、一方、弁本体12には前記歯車3と噛み合う歯車12cを設けると共に弁座シート7と接する面側には弁体12dを設けることにより、弁本体の1回転未満にて弁口の開度を制御するようにした電動膨張弁」が開示されている(要約)。
特許文献3には、「インバータ圧縮機と凝縮器、蒸発器とを備えた冷蔵庫において、前記凝縮器と前記蒸発器との間に、キャピラリー管と絞り調整可能な絞り弁とを直列に配置する。または前記凝縮器と前記蒸発器との間に、管径の異なる2本以上のキャピラリー管を切り替え可能に並列配置する」構成が開示されている(要約)。
特許文献4には、「弁口の開度を制御する弁体(12b)の形状を円板状とし、該弁体(12b)中心と弁口の距離を半径とし一端部を弁体の外周部に連通させるようにした円弧状の溝(13)を切り、その溝(13)が弁口(8)にかかっていない位置から、弁口より大きい最大幅深さの位置まで変化付けさせた」電動膨張弁が開示されている(請求項2)。
特許第4466888号公報 特開2000−346227号公報 特開2001−124453号公報 特開2000−352472号公報
特許文献1に記載された構成では、弁閉制御部に摺接する面が薄い金属板で形成されるとともに、該薄い金属板に微小流量制御を行うための絞り溝が形成された構成なので、薄い金属板に精密な絞り溝を加工するのは加工工数がかかり、安価に構成することに限界がある。
次に、特許文献2に記載された構成では、ロータ下端の小さな歯車と弁本体の歯車とによって減速しているので、ロータから弁体までの減速は歯車の一段減速にすぎないので、減速比を大きくして分解能を高くすることや、弁体の回転駆動に要するトルクを増加するには限界がある。
次に、特許文献3に記載された構成では、キャピラリー管と絞り調整可能な絞り弁とを直列に配置することが記載されているが、絞り弁の絞り制御の好適な特性については記載されていない。
次に、特許文献4に記載された構成では、弁口8は溝13が設けられた円盤状の弁体12bの内側の範囲に設けられた構成なので、弁口8を全開とする際には、溝13位置を弁口8位置と精度良く一致させなければならず、弁口8の全開位置における精度には限界がある。さらに、特許文献4に記載された構成では、全開制御時に弁口8が部分的に塞がれることなく確実に全開とするためには、溝13の幅を狭くすることには限界があるので、溝13の断面積を一定以上小さくすることが困難である。このため、溝13による冷媒の圧力降下を大きくすることに限界があり、特に、小流量制御を行う際に課題がある。
上記課題に鑑みて本発明は、流量制御弁の流量制御性を向上することを目的の一つとする。また、弁体と弁座とのシール性が高い流量制御弁を提供することを目的の一つとする。さらに、流量制御弁の全開時の弁体回動誤差の影響を小さくすることを目的の一つとする。さらに、流量制御弁を備える機器を提供することを目的の一つとする。
このような課題を解決するために、本発明は、弁体軸を回動軸として回動可能な弁体と、流出口を備える弁座プレートと、を備える流量制御弁であって、前記弁体は、前記弁座プレートに摺接する弁体摺接面を一方の面に有し、前記弁体摺接面は、第一の端部が前記弁体摺接面の空隙部に開口した開放端であり、前記弁体の回動によって、前記開放端から所定長さに亘って前記流出口と重なる円弧状溝を有しており、前記空隙部は、前記弁体の回動によって、前記流出口を露出可能であることを特徴とする流量制御弁である。
本発明によれば、冷媒の流量制御性能が向上した流量制御弁を提供することができる。また、弁体と弁座との摺接面における冷媒のシール性が向上した流量制御弁を提供することができる。さらに、流量制御弁の全開時の弁体回動誤差の影響を小さくすることができる。
各実施形態の流量制御弁を備える冷蔵庫を前方から見た正面外形図である。 冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるE−E断面図である。 冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図である。 図2の要部拡大説明図である。 第一実施形態に係る流量制御弁を用いた冷媒経路を示す図である。 第一実施形態に係る流量制御弁の外観を示す斜視図である。 図6のF−F断面図である。 図6のG方向矢視図である。 流量制御弁の内部構成を示す斜視図であり、流量制御弁からステータケースと弁ケースとを仮想的に取り外して透視した斜視図である。 ロータピニオンギヤとアイドラギヤと弁体の構成を示す斜視図である。 第一実施形態に係る流量制御弁の全開状態における弁体摺接面に設けられた円弧状溝と流出口の配置関係を示す説明図である。 第一実施形態に係る流量制御弁の流量制御状態における弁体と円弧状溝と流出口の配置関係を示す説明図である。 第一実施形態に係る流量制御弁の流量制御状態における弁体と円弧状溝と流出口の配置関係を示す説明図である。 第一実施形態に係る流量制御弁の閉止状態における弁体摺接面と円弧状溝と流出口の配置関係を示す説明図である。 第一実施形態に係る流量制御弁の円弧状溝と流出口との関係を示す、円弧状溝に沿った弁体と弁座の模式断面図である。 第一実施形態に係る流量制御弁の円弧状溝による圧力降下を説明する模式図である。 第一実施形態に係る流量制御弁の弁体回動角度と流出口における圧力との関係を示すグラフである。 第二実施形態に係る流量制御弁の流量制御状態における弁体と円弧状溝と流出口の配置関係を示す説明図である。 第二実施形態に係る流量制御弁の円弧状溝と流出口との関係を示す、円弧状溝に沿った弁体と弁座の模式断面図である。 第二実施形態に係る流量制御弁の円弧状溝による圧力降下を説明する模式図である。 第二実施形態に係る流量制御弁の弁体回動角度と流出口における圧力との関係を示すグラフである。 第三実施形態に係る流量制御弁の流量制御状態における弁体と円弧状溝と流出口の配置関係を示す説明図である。 第三実施形態に係る流量制御弁の円弧状溝と流出口との関係を示す、円弧状溝に沿った弁体と弁座の模式断面図である。 第三実施形態に係る流量制御弁の円弧状溝による圧力降下を説明する模式図である。 第三実施形態に係る流量制御弁の弁体回動角度と圧力との関係を示すグラフである。 第四実施形態に係る流量制御弁の流量制御状態における弁体と円弧状溝と流出口の配置関係を示す説明図である。 第四実施形態に係る流量制御弁の円弧状溝と流出口との関係を示す、円弧状溝に沿った弁体と弁座の模式断面図である。 第四実施形態に係る流量制御弁の弁体回動角度と流出口における圧力との関係を示すグラフである。 第五実施形態に係る流量制御弁の流量制御状態における弁体と円弧状溝と流出口の配置関係を示す説明図である。 第五実施形態に係る流量制御弁の円弧状溝と流出口との関係を示す、円弧状溝に沿った弁体と弁座の模式断面図である。 第五実施形態に係る流量制御弁の弁体回動角度と流出口における圧力との関係を示すグラフである。 第一実施形態から第五実施形態における流量制御弁の第二の弁座プレートと弁体と流出管の断面を示す拡大部分断面図である。 第六実施形態に係る流量制御弁のF−F断面図である。 第六実施形態に係るロータピニオンギヤとアイドラギヤと弁体の構成を示す斜視図である。 第一実施形態における弁体摺接面の形状と円弧状溝と流出口の関係を示す説明図である。 第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態に係る流量制御弁の弁体回動角度と圧力との関係を纏めて示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態の一例(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様の部分には同様の符号を付し重複した説明を省略する。
≪第一実施形態≫
≪流量制御弁を用いる機器(冷蔵庫)の構成≫
まず、第一実施形態に係る流量制御弁60(図6等参照)を説明する前に、第一実施形態に係る流量制御弁60(図6等参照)を備える機器として、冷蔵庫を例に、図1から図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫を前方から見た正面外形図である。図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるE−E断面図である。図3は、冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図である。図4は、図2の要部拡大説明図である。
図3に示すように、本実施形態の冷蔵庫本体1は、上方から、冷蔵室2と、左右に並べた製氷室3および上段冷凍室4と、下段冷凍室5と、野菜室6と、を有している。なお、一例として、冷蔵室2および野菜室6は、およそ3から5℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
図1に示すように、冷蔵室2は、前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a、2bを備えている。また、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。なお、以下の説明において、冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを、単に扉2a、2b、3a、4a、5a、6aと称する場合がある。
また、冷蔵庫本体1は、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)と、各扉2a、2b、3a、4a、5a、6aが開放していると判定された状態が所定時間(例えば、1分間以上)継続された場合に、使用者に報知するアラーム(図示せず)と、冷蔵室2の温度設定や上段冷凍室4や下段冷凍室5の温度設定をする温度設定器(図1の操作部および表示部を備えるコントロールパネル40)等を備えている。
図2に示すように、冷蔵庫本体1の庫外と庫内は、内箱10aと外箱10bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。また、冷蔵庫本体1の断熱箱体10は複数の真空断熱材14を実装している。
庫内は、温度帯の異なる上下方向に配置された複数の貯蔵室が、断熱仕切壁11a、11bで断熱的に区画されている。即ち、上断熱仕切壁11aにより、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室2と、冷凍温度帯の貯蔵室である上段冷凍室4および製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが隔てられている。また、下断熱仕切壁11bにより、冷凍温度帯の貯蔵室である下段冷凍室5と、冷蔵温度帯の貯蔵室である野菜室6とが隔てられている。
図2に示すように、冷蔵室扉2a、2bの庫内側には複数の扉ポケット13が備えられている。また、冷蔵室2は複数の棚12により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
また、上段冷凍室4、下段冷凍室5および野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉4a、5a、6aの後方に、収納容器4b、5b、6bがそれぞれ設けられている。そして、扉4a、5a、6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器4b、5b、6bが引き出せるようになっている。図1に示す製氷室3にも同様に、扉3aの後方に、収納容器(図2中(3b)で表示)が設けられ、扉3aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器3bが引き出せるようになっている。
図2に示すように、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aは、周囲にドアパッキン15が設けられており、各扉を閉じた際、冷蔵庫本体前面16の開口周縁部と密着することで貯蔵空間(冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6)内部を閉塞して密閉し、貯蔵空間から外部への冷気の漏れを防止している。
<結露防止>
ここで、冷蔵庫本体1の各扉2a、2b、3a、4a、5a、6aを開くと、外気が冷蔵庫本体前面16の開口周縁部と接する。特に、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5内は氷点下の冷凍温度帯(例えば、−18℃)であるため、扉3a、4a、5aを開いた場合、冷蔵庫本体前面16の開口周縁部に外気が触れて冷却されることで露点以下となり、冷蔵庫本体前面16に結露しやすい状態となる。さらに、冷蔵庫本体前面16に結露した状態で扉3a、4a、5aを閉じると、ドアパッキン15と冷蔵庫本体前面16との間の水滴が氷点下に冷却され、凍結するおそれがある。
そこで、図2および図3に示すように、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の開口周縁部には、後述する凝縮器52を通過した後の冷媒を通過させる冷媒配管17が埋設されている。ここで、冷媒配管17を流れる冷媒の温度(後述する凝縮器52を通過した後の冷媒の温度)は、庫外温度よりも高温であり、例えば、庫外温度が30℃の際に33℃程度となるようにしている。このため、冷媒配管17は、冷蔵庫本体前面16の開口周縁部を加熱して結露および凍結を防止する機能を有しており、以下の説明において「結露防止配管17」と称する。
なお、本実施形態において、結露防止配管17は、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の開口周縁部に設ける構成としたが、冷蔵室2、野菜室6の開口周縁部に設ける構成であってもよく、同様に、結露防止の効果が得られる。
<冷気循環>
図2に示すように(適宜図3参照)、冷却器7は、下段冷凍室5の略背部に備えられた冷却器収納室8内に設けられている。冷却器7は、冷却器配管7dに多数のフィンが取り付けられて構成され、冷却器配管7d内の冷媒と空気との間で熱交換することができるようになっている。
また、冷却器7の上方には、庫内送風機9(例えば、モータ駆動するファン。)が設けられている。冷却器7で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器7で熱交換した低温の空気を「冷気」という。)は、庫内送風機9によって冷蔵室送風ダクト22、野菜室送風ダクト25、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26bおよび下段冷凍室送風ダクト27を介して、冷蔵室2、野菜室6、製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5の各貯蔵室へ送られるようになっている。ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5および野菜室6への各送風ダクトは、図3に破線で示すように冷蔵庫本体1の各貯蔵室の背面側に設けられている。
冷却器7の冷気がどの貯蔵室へ送られるかは、冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21により制御されるようになっている。
ここで、冷蔵温度帯室冷気制御手段20は、独立した2つの開口部を備える所謂ツインダンパであり、第一の開口20aは冷蔵室送風ダクト22への送風を制御し、第二の開口20bは野菜室送風ダクト25への送風を制御するようになっている。また、冷凍温度帯室冷気制御手段21は、単独の開口部を備えたシングルダンパであり、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26bおよび下段冷凍室送風ダクト27への送風を制御するようになっている。
具体的には、冷蔵温度帯室冷気制御手段20の第一の開口20aが開状態のとき、冷気は、冷蔵室上流ダクト23(後述)および冷蔵室送風ダクト22を経て、多段に設けられた吹出口2cから冷蔵室2に送られる。なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた戻り口2dから冷蔵室戻りダクト24を経て、冷却器収納室8の側方下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。
また、冷蔵温度帯室冷気制御手段20の第二の開口20bが開状態のとき、冷気は、冷蔵室上流ダクト23(後述)および野菜室送風ダクト25を経て、吹出口6cから野菜室6に送られる。なお、野菜室6を冷却した冷気は、戻り口6dを経て、冷却器収納室8の下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。ちなみに、野菜室6を循環する風量は、冷蔵室2を循環する風量や後述する冷凍温度帯室を循環する風量に比べて少なくなっている。
冷凍温度帯室冷気制御手段21が開状態のとき、冷気は、製氷室送風ダクト26aや上段冷凍室送風ダクト26bを経て、吹出口3c、4cからそれぞれ製氷室3、上段冷凍室4に送られる。また、下段冷凍室送風ダクト27を経て、吹出口5cから下段冷凍室5に送られる。このように、冷凍温度帯室冷気制御手段21は、後述する送風機カバー31の上方に取り付けられ、製氷室3への送風を容易にしている。
なお、製氷室3に製氷室送風ダクト26aを介して送風された冷気および上段冷凍室4に上段冷凍室送風ダクト26bを介して送風された冷気は、下段冷凍室5に下降する。そして、下段冷凍室5に下段冷凍室送風ダクト27を介して送風された冷気とともに、下段冷凍室5の奥下方に設けられた冷凍室戻り口28を介して、冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。
製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5を冷却した冷気は、下段冷凍室5の奥下方に設けられた冷凍室戻り口28を介して、冷却器収納室8に戻る。ちなみに、冷凍室戻り口28の横幅寸法は、冷却器7の幅寸法とほぼ等しい横幅である。
図4に示すように、吹出口3c、4c、5cが形成されている冷凍温度帯室背面仕切29は、上段冷凍室4、製氷室3および下段冷凍室5と、冷却器収納室8との間を区画する。
庫内送風機9が取り付けられている送風機支持部30は、冷却器収納室8と冷凍温度帯室背面仕切29との間を区画する。
送風機カバー31は、庫内送風機9の前面を覆うように配置されている。送風機カバー31と冷凍温度帯室背面仕切29との間には、庫内送風機9によって送風された冷気を吹出口3c、4c、5cに導くための、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26bおよび下段冷凍室送風ダクト27が形成されている。また、送風機カバー31の上部には、吹出口31aが形成されており、この吹出口31aに冷凍温度帯室冷気制御手段21が設けられている。
さらに、送風機カバー31は、庫内送風機9によって送風された冷気を冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に送風する役目も果たしている。即ち、送風機カバー31に設けられた冷凍温度帯室冷気制御手段21側に流れない冷気は、図4に示すように、冷蔵室上流ダクト23を経由して冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に導かれる。
また、送風機カバー31は、庫内送風機9の前面に整流部31bを備えている。整流部31bは、吹き出す冷気が引き起こす乱流を整流して、騒音の発生を防止するようになっている。
そして、冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21が開状態のとき、大部分の冷気が冷凍温度帯室冷気制御手段21側に送られて、残りの他の冷気が冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に導かれるように各送風ダクト等が構成されている。これにより、温度帯の異なる貯蔵室である冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5)および冷蔵温度帯室(冷蔵室2および野菜室6)に、1つの冷却器7で冷気を供給することができるようになっている。
以上説明したように、冷蔵庫本体1の各貯蔵室へ送風する冷気の切り替えは、冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21それぞれを適宜に開閉制御することにより行うことができるようになっている。
また、図4に示すように、冷却器7の下方には、除霜手段である除霜ヒータ35が設置されており、除霜ヒータ35の上方には、除霜水が除霜ヒータ35に滴下することを防止するために、上部カバー36が設けられている。
冷却器7およびその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜の除霜(融解)によって生じた除霜水は、冷却器収納室8の下部に備えられた樋32に流入した後に、排水管33を介して機械室50に配された蒸発皿34に達し、後述する圧縮機51や凝縮器52の熱により蒸発させられ、冷蔵庫外に排出されるようになっている。
<機械室>
図3に示すように、断熱箱体10の下部背面側には、機械室50が設けられている。機械室50には、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機51と、冷媒と空気とを熱交換させる凝縮器52と、凝縮器52における冷媒と空気の熱交換を促進させる庫外送風機53と、減圧手段である細管54と流量制御弁60と、が配置されている。
なお、圧縮機51、凝縮器52、細管54、および、流量制御弁60は、冷却器7や結露防止配管17と配管で接続され、冷媒が流通する冷媒経路(冷媒回路)が形成されるようになっている。なお、冷媒経路(冷媒回路)については、図5を用いて後述する。
<センサ・制御系>
図2に示すように、冷蔵庫本体1の天井壁上面側には、制御手段として、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御手段である制御基板41が配置されている。冷蔵庫には、庫外の温度環境(外気温度)を検知する外気温度センサ42、庫外の湿度環境(外気湿度)を検知する外気湿度センサ43、冷蔵室2の温度を検出する冷蔵室温度センサ44、野菜室6の温度を検出する野菜室温度センサ45、冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5)の温度を検出する冷凍室温度センサ46、冷却器7の温度を検出する冷却器温度センサ47等の温度センサが設けられ、検出した温度が制御基板41に入力されるようになっている。また、制御基板41は、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)、冷蔵室扉2aに設けたコントロールパネル40(図1参照)と接続されている。
そして、制御基板41は、前述のROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機51のON/OFFや運転速度の制御、冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21を個別に駆動するそれぞれの駆動モータ(図示せず)の制御、庫内送風機9のON/OFFや運転速度の制御、庫外送風機53のON/OFFや運転速度等の制御、扉開放状態を報知するアラーム(図示せず)のON/OFF、流量制御弁60の動作、等の制御を行うことにより、冷蔵庫全体の運転を制御することができるようになっている。
<冷媒経路(冷媒回路)>
次に、第一実施形態に係る流量制御弁60(図6等参照)を備える冷蔵庫の冷媒経路(冷媒回路)について、図5を用いて説明する。
図5は、第一実施形態に係る流量制御弁60を用いた冷媒経路を示す図である。
流量制御弁60は、2つの接続管(図9等を用いて後述する流入管68、流出管69)を備え、1つの流入口Aと、1つの流出口Bを備え、絞りを変化させることによって冷媒の流量を制御できる。流入口Aと流出口Bはともに丸穴とすることが最も加工しやすい点から好ましいが、これに制限されず、例えば楕円形状の穴や多角形の穴としても良い。
図5に示すように、圧縮機51の高圧側吐出口には凝縮器52と、凝縮器52の下流側に結露防止配管17を経由して圧力降下手段であるキャピラリ管54が接続され、流量制御弁60の流入管68を経由して流入口Aに接続される第一冷媒配管55と、流量制御弁60の流出口Bから流出管69を経由して冷却器7に接続され、冷却器7の下流側はキャピラリ管54に接触しつつ固定することで熱交換を行い、さらにその下流側は圧縮機51の低圧側吸入口に接続されている第二冷媒配管56を備えている。
キャピラリ管54と流量制御弁60とは所謂絞りを構成しており、キャピラリ管54は固定絞りであり、流量制御弁60は可変絞りであって、それらを直列に配置することで全体として可変絞りを構成している。冷媒経路(冷媒回路)の冷媒としては、例えば、イソブタンを用いることができる。
図5に示すように、圧縮機51により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器52に流入し、凝縮器52で空気(庫外空気)と熱交換することにより冷却される。凝縮器52から流出した冷媒は、第一冷媒配管55を経て、結露防止配管17に流入する。
ここで、結露防止配管17に流入した冷媒の温度(即ち、凝縮器52から流出した冷媒の温度)は、庫外空気よりも高温であるため、結露防止配管17に流入した冷媒は、冷蔵庫本体1の開口周縁部を加熱する。
そして、開口周縁部に放熱して結露防止配管17に流入時よりも低温となった冷媒は、結露防止配管17から流出して、第一冷媒配管55の残部を経て、細管である減圧手段(キャピラリ管)54を通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、流入管68から流量制御弁60に流入する。流量制御弁60を通過した後の冷媒は、流出管69から流出して第二冷媒配管56を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7a)に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換したのち、冷却器7に流入時よりも高温となった冷媒は、減圧手段であるキャピラリ管54との間で熱交換を行ってキャピラリ管54を冷却した後、圧縮機51に戻る。結露防止配管17を通る冷媒温度は、冷蔵庫本体1が設置された外気温度よりも高くなるので、外気が高温高湿な場合であっても、冷蔵庫本体1の開口周縁部の結露を防止することができる。
近年、冷蔵庫1の省エネは急激に進んでおり、例えば断熱箱体10に真空断熱材14を実装することによって断熱性を向上させることで、箱体10の壁面ないし扉2a、3a、4a、5a、6aを経由して外気から侵入する熱量を低減している。
また、扉2a、3a、4a、5a、6aの開閉や食品の追加などが行われない定常運転では、圧縮機51を低速で運転することで循環する冷媒量を少量とし、冷却器7と冷蔵庫1内で熱交換される熱量と、外気から断熱箱体10の壁面ないし扉2a、3a、4a、5a、6aを経由して冷蔵庫内に侵入する熱量とを等しくして、冷蔵庫内の温度を一定に保つことで冷却しすぎることの無いようにして省エネをはかっている。
今後、断熱箱体10の断熱性をさらに向上して省エネを進めるには、定常運転の際に圧縮機51をさらに低速で運転することで、さらに少量の熱量を安定的に熱交換して冷蔵庫内の温度を精度良く一定に制御することが求められる(定常運転)。
一方、扉を開閉すると、温かい外気が冷蔵庫内に侵入して冷蔵庫内の温度が上昇する。また、冷蔵庫内に新たな食品を追加した場合、それらの食品を室温から冷蔵室温度ないし冷凍室温度に冷却するまで熱量を奪う必要がある。これらの、外気の侵入によって冷蔵庫内に侵入する熱量や、追加した食品を冷却するために必要な熱量は、断熱箱体10の断熱の度合いには無関係であり、外気の温度、扉を開いている時間の長短、追加した食品の量、などによって決まる。
このような場合には、冷蔵室や冷凍室の温度を短時間の間に冷却することが好ましく、圧縮機51を高速で運転させて循環する冷媒量を多量とすることで冷却器の温度を下げる(強運転)。
今後、断熱性の向上によって定常運転に要する熱量がさらに低減されるのに比べ、強運転に要する熱量は低減しないので、定常運転と強運転の際の熱量の差ないし比率はさらに拡大する傾向にある。
次に、定常運転と強運転の際の圧縮機51の運転速度と、絞りの強弱と、冷却器7の温度との関係について説明する。
一般的に高圧の冷媒が絞りを通過すれば圧力降下し、断熱膨張することで温度が下がる。絞りが強ければ圧力降下が大きいので温度降下は大きく、絞りが弱ければ圧力降下は小さいので温度降下は小さい。一方、冷蔵庫内を冷却しすぎないためには、定常運転であっても強運転であっても冷却器7の温度を所定の温度一定に制御することが望ましい。
ところで、定常運転においては圧縮機51を低速で運転するため循環する冷媒量が少量なので、絞りを強くして圧力降下を大としないと冷却器7の温度が所定の温度まで低下しない。
一方、強運転においては圧縮機51を高速で運転するため循環する冷媒量が多量なので、絞りを定常運転に合わせると絞りが強すぎ、圧力降下が過大で冷却器7の温度が下がりすぎる。また、絞りが強すぎる状態で圧縮機51を運転すると冷媒流量が不足するために、冷却器7における熱交換によって冷媒の温度が上昇し、冷却器7の温度が上昇するとともに、圧縮機51の低圧側吸入口における冷媒温度も上昇するので圧縮機51の高圧側吐出口の温度が上昇し、圧縮機51の信頼性が低下する、という問題がある。
したがって、強運転の場合は定常運転の場合と比べて絞りを弱くして圧力降下を小とすることが望ましい。すなわち、強運転では弱い絞り、定常運転では強い絞り、と運転条件に応じて絞りを可変とすることで、冷却器7の温度を所定の温度一定に制御し、冷蔵庫内を無駄に冷却しないことでさらなる省エネが実現できる。
なお、上記では冷蔵庫を例示して説明したが、各実施形態で説明する流量制御弁はこれに限られず、空調機、冷凍空調システム、その他の機器に搭載可能である。
先に説明したように、さらに省エネを向上させるには、定常運転の際に圧縮機51をさらに低速で運転することで、さらに少量の熱量を安定的に熱交換して冷蔵庫内の温度を精度良く一定に保つことが求められる。このような状態を実現するには、定常運転においてはさらに強く絞りを絞るとともに、その絞りを冷却器7の温度に応じて高精度に制御することで、循環する冷媒量を適切に制御して、冷却器7の温度を高精度に一定に制御することが望ましい。
本実施形態における流量制御弁60によれば、省エネに適した、小流量の冷媒を高精度に制御できる流量制御弁を提供できる。
≪流量制御弁60≫
次に、第一実施形態に係る流量制御弁60の構成と動作について、図6から図17を用いて説明する。
図6は、第一実施形態に係る流量制御弁60の外観を示す斜視図である。図7は、図6のF−F断面図である。図8は、図6のG方向矢視図である。図9は、流量制御弁60の内部構成を示す斜視図であり、流量制御弁60からステータケース61と弁ケース66とを仮想的に取り外して透視した斜視図である。図10は、ロータピニオンギヤ75とアイドラギヤ79と弁体80の構成を示す斜視図であり、ロータ70から弁体80に至るまでのギヤを用いた駆動力の伝達手段の構成を説明する。
図6から図7に示すように、略円筒形状のステータケース61の内部には、コイルを設けたモータの固定子である略円筒形状のステータ62が形成されている。また、ステータケース61の一部は、外方に凸形状となるコネクタケース63を形成しており、コネクタケース63内には、ステータ62からの配線を外部に接続するコネクタピン64を有するコネクタ65が設けられている。
弁ケース66は、例えばステンレス材などの非磁性体金属で一体に形成されており、上端が閉じられて下端が開放した有底円筒形状である。弁ケース66の上側は、ステータ62の内周に嵌合し、弁ケース66の下側は、直径が上側よりも拡大された開口端となっている。この開口端には、円形の弁座プレート67が嵌合して、全周を溶接あるいはロウ付けによって密封接合されている。
図7および図8に示すように、弁座プレート67は、弁座プレート67の外周の外郭を構成する円盤形状の第一の弁座プレート67aと、第一の弁座プレート67aよりも直径が小さくかつ厚さが厚く、第一の弁座プレート67aの中心位置を内包する円盤形状の第二の弁座プレート67bと、を互いにロウ付けによって接合部を密封するように接合している。
図7に示すように、第一の弁座プレート67aには、1つの流入管68が、ロウ付けによって接合部を密封するように結合されて弁ケース66内部と連通している。また、第二の弁座プレート67bには、1つの流出管69が、ロウ付けによって接合部を密封するように結合されて弁ケース66内部と連通している。そして、図7および図8に示すように、流入管68と流出管69の一端は、弁座プレート67の一面に弁ケース66内側に向けて開口した流入口A、流出口Bに接続している。
図7に示すように、ロータ70は、マグネットを有するモータの回転子である。コネクタピン64を駆動回路(図示せず)に接続して通電すると、ステータ62に磁界が生じ、弁ケース66を介して磁力をロータ70に伝達してロータ70を回動するモータを構成する。このようなモータの構成の一例は、一般的なステッピングモータであり詳細な説明は省略するが、一定の角度毎に回動するようになっている。
弁体軸71は、ロータ70の回動中心軸であるとともに、後述する弁体80の回動中心軸である。弁体80の流出管69側には、第二の弁座プレート67bに摺接する弁体摺接面81が設けられている。
第一の弁座プレート67aと第二の弁座プレート67bとは、同軸に配置されており、第一の弁座プレート67aと第二の弁座プレート67bの中心位置には、弁体軸71の嵌合孔であるロータ軸穴72が第二の弁座プレート67bを貫通しないよう形成されている。また、弁ケース66上部の円筒有底部の略中央には、凹部であるロータ軸受73が形成されている。弁体軸71は、一端がロータ軸穴72に嵌合して支持されるとともに、他端がロータ軸受73と嵌合して支持される。
ここで、図8に示すように、流出口Bは、第二の弁座プレート67bの弁体軸71(ロータ軸穴72)から距離Rの位置に設けられている。
なお、流出口Bの位置は、流入口Aないしアイドラ軸78に対しては本実施形態の位置関係に限られるものではない。
図7および図8に示すように、第一の弁座プレート67aにおいて、弁体軸71(ロータ軸穴72)に対して流入管68(流入口A)の反対側には、後述するアイドラギヤ79の回動中心であるアイドラ軸78の嵌合孔が形成されており、アイドラ軸78の一端がロウ付けによって第一の弁座プレート67aに接合部を密封するように結合されている。なお、図7に示すように、アイドラ軸78の他端は固定されておらず、所謂、片持ちの構造となっている。
ロータ70は、ロータ駆動部74に支持され、弁体軸71を回動中心軸として、ロータ70とロータ駆動部74とが一体として回動するようになっている。また、ロータ駆動部74の下側の一部にロータピニオンギヤ75が形成されている。即ち、ロータ70が回動すると、ロータ駆動部74およびロータピニオンギヤ75も一体として回動するようになっている。
次に、図7から図9および図35を用いて、流入管68と、第二の弁座プレート67bないし弁体80と、アイドラ軸78ないしアイドラギヤ79、との好適な配置関係について説明する。図7から図9に示すように、流入管68は弁ケース66内部に連通しており、弁ケース66内部には流入口Aから高速に冷媒が噴出する。冷媒は弁ケース66内に流入した際には拡大されて流速は低下し、弁の回動位置に応じて、後述する円弧状溝82を経由して、流出口Bから流出管69へと流出される。ここで、流入口Aから噴出する冷媒により生じる流体力がアイドラギヤ79に作用すると、アイドラギヤ79が浮上したり、あるいは振動して弁体80に力が作用し、弁体80の第二の弁座プレート67bに対する押圧力が変化して封止性が低下したり冷媒流量が変動する恐れがある。
本実施形態では、弁ケース66の中心軸と同軸に配置された弁体80に対して、一方に流入口Aを設け、弁体80を挟んで他方にアイドラ軸78ないしアイドラギヤ79を設けた。このように配置したことにより、流入口Aの近傍にアイドラギヤ79を配置しないので、アイドラギヤ79は弁ケース66内に流入する冷媒による流体力を受けることがなく、アイドラギヤ79が浮上したり振動することが抑制され、弁体80の第二の弁座プレート67bに対する押圧力が変化しないので安定した封止性と流量制御ができ、信頼性の高い流量制御弁60を得ることができる。なお、流入口Aとアイドラギヤ79との位置関係は上記に限られず、流入口Aの平面視において、アイドラギヤ79と重ならなければ良い。
弁体80は、一面を弁体摺接面81(図10参照)として弁座プレート67と接しながら、弁体軸71を中心として回動するようになっている。弁体80が回動することで、弁座プレート67に設けられた流出口Bを絞る構成である。また、弁体80の弁座プレート67と接する面である弁体摺接面81(図10参照)は、外周の一部を切り欠いた空隙部93を備えた形状をなしており、第一の端部が前記空隙部93に設けられた開放端89であり、ケース66内部に連通し、第二の端部は弁体摺接面81の内部にある凹部であって、弁体軸穴85を回動中心とした円弧形状をなす円弧状溝82(図10参照)が設けられている。円弧状溝82の溝幅は、流出口Bの直径以下、好ましくは流出口Bの直径より小さい。
弁体摺接面81の平面視における形状は、空隙部93を備えていれば特に制限されず、図で例示する円形状の他、三角形、四角形等の多角形状、楕円、卵型、丸型多角形等の閉曲面形状、その他の形状を取り得て特に制限されない。また、弁体摺接面81の空隙部93は、流出口Bの略全部、好ましくは全部を弁体80の回動可能範囲で露出できるように設けられている。
円弧状溝82は弁体80が回動した際に第二の弁座プレート67bに開口した流出口Bの少なくとも一部と重なる位置に設けられ、弁体80が回動すると開放端89と流出口Bとは円弧状溝82を経由して連通する構成である。また、弁体80の弁座プレート67から離れた側には、弁体ギヤ83が設けられている。なお、本実施形態において、弁体80の「回動」で移動可能な方向は一方向であってもそれ以上であっても良い。
弁体摺接面81の好適な形状について、図35を用いてさらに詳細に説明する。図35は図11と同じく弁体摺接面81の平面視を示し、角度θ2の範囲は弁体摺接面81であり、角度θ1の範囲は弁体摺接面81の外周を切り欠いた空隙部93となる。空隙部93の一端に、円弧状溝82の開口端89が開口した構成である。角度θ1は、空隙部93が流出口Bを完全に露出しうる範囲に設けられ、好ましくは弁体摺接面81の角度誤差が生じた場合でも、開口端89が弁体摺接面81に覆われることなく流出口Bが全開される大きさである。かかる配置とすることにより、弁体80の回動誤差が生じた場合でも、流出口Bは確実に全開となるので、全開時の冷媒流量を確保した流量制御弁を提供できる。空隙部93は、流出口Bの全部を弁体80の回動によって露出できれば特にその形状は限られず、本実施形態で例示するように、弁体摺接面の一部が凹形状となる態様でも良いが、これに限られず、冷媒を流出口Bに供給できる態様として弁体摺接面の一部に穴をあけた態様でも良い。しかし、弁体摺接面の一部に穴をあけた態様は、穴の外周部分に荷重がかかる場合応力が集中するため、弁体摺接面の外周近傍にできる穴の外周部分が他の部分に比べて破損しやすい。特に弁体を樹脂を用いて製造する場合は、穴の外周にウェルドライン(穴両側から樹脂が回りこんで先端同士が接してできる接合面)が発生し、成形後の強度も低くなるため、この観点から弁体摺接面の一部が凹形状の方が好ましい。さらに、弁座プレート67と弁体80との接触面積を小さくして、板バネ86の付勢力とロータ70の自重による押圧力を大きくして、シール性を向上させる観点からも、弁体摺接面の一部が凹形状の方が好ましい。なお、凹形状としては、型形成、切削加工による形成等、任意の公知の手法を用いて形成することができる。
角度θ3の範囲には円弧状溝82が設けておらず、弁体80が弁体軸71のまわりに回動して流出口BがB’の位置になった場合は図14と同じ全閉状態を示す。弁体摺接面81の角度θ3の範囲は、流出口B’、および流出口B’の周囲に冷媒を封止するために必要な当接面を確保できるよう配置される。
ここで、θ1とθ3とをできるだけ小さくすればθ2を最大とすることができ、円弧状溝82の長さが最大となる。その結果、流量制御に係る弁体80の回動角度は最大となり、流量制御を高精度化できるので好適である。
図10に示すように、ロータ駆動部74に隣接して設けられたロータピニオンギヤ75は、ロータピニオンギヤ75の下端部の回動軸周囲に設けられた凸部であるロータ駆動部先端76が弁体80の上面に載置され、共通の中心軸である弁体軸71のまわりにそれぞれロータ駆動軸穴77と弁体軸穴85を介して回動自在に配置されている。
図7および図9に示すように、弁ケース66の上面内側に向けて放射状に腕を伸長した付勢手段である板バネ86がロータ70を支持し一体として回動するロータ駆動部74の上面に配置され、板バネ86の腕が弁ケース66の上面内側から受ける弁体軸71方向の反力をロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75を介して弁体80に加え、弁体80を弁座プレート67に対して押圧する。また、弁体80にはさらにロータ70の自重も併せて加わる。
ここで、ロータ駆動部先端76が弁体80と接触する位置は、弁体軸71の近傍であるため、弁体80は回動軸近傍で弁座プレート67に対して軸方向に押圧されるので、均一でバランスよく押圧されるようになっている。
さらに図35に示すように、弁体摺接面81の形状は、空隙部93以外は弁体軸71を中心とした半径Cの円弧であり、空隙部93までの弁体軸71からの距離はA(<C)となる。ここで、弁体80には、弁体軸71部にロータピニオンギヤ75を介して板バネ86による弁体軸71方向の反力とロータ70の自重も併せて加わる。ここでA寸法が小であるほど弁体軸71の位置は弁体摺接面81の図心、すなわち面積の中心位置からずれるので、弁体軸71に加わる板バネ86の反力とロータ70の自重とは弁体軸71近傍のみにしか加わらず、弁体軸71から遠い側にはわずかしか加わらないような偏った分布を示す。
一方、A寸法を拡大すれば、弁体軸71の位置は弁体摺接面81の図心に近づくので、板バネ86の反力とロータ70の自重が弁体軸71から遠い側にもより均一に加わるので、弁体摺接面81と弁座プレート67の当接が均一化して、確実な冷媒の封止ができ、高信頼の冷媒制御弁を提供できる。
弁体80と第二の弁座プレート67bの材料は特に制限されないが、摺接の際の冷媒シール性を高める観点から、例えば弁体80はPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、POM(ポリアセタール樹脂)等の各種公知の樹脂によって製造することが好ましく、特にPPSによって製造することが好ましい。また、第二の弁座プレート67bは各種公知の金属、例えばステンレス鋼によって製造することができる。また、円弧状溝82の加工精度の観点から、例えば弁体80はPPS、POM等の各種公知の樹脂によって製造することが好ましく、特にPPS樹脂によって製造することが好ましい。
アイドラ軸78にはアイドラ大歯車79bとアイドラピニオン79aとを有するアイドラギヤ79が回動自在に軸支されている。アイドラ大歯車79bはロータピニオンギヤ75と噛み合い、アイドラピニオン79aは弁体ギヤ83と噛み合って減速する。ロータ70からの回動トルクは、ロータピニオンギヤ75、アイドラ大歯車79b、アイドラピニオン79a、弁体ギヤ83の順に2段階に減速(2段減速)しながら伝達される。
ここで、ロータピニオンギヤ75の歯数をZ1、アイドラ大歯車79bの歯数をZ2、アイドラピニオン79aの歯数をZ3、弁体ギヤ83の歯数をZ4とすれば、全てのギヤのモジュールが同一であれば、Z1+Z2=Z3+Z4なる関係を満たせばロータピニオンギヤ75とアイドラ大歯車79bとの間の軸間距離と、アイドラピニオン79aと弁体ギヤ83との間の軸間距離とは等しくなるので、ロータピニオンギヤ75と弁体ギヤ83とを同軸に配置することができる。例えば、Z1=12、Z2=34、Z3=13、Z4=33、とすれば、Z1+Z2=Z3+Z4=46となるのでこの関係を満たすことができる。
ちなみに、このときのロータ70から弁体80にいたるまでの減速比は、(Z1×Z3)/(Z2×Z4)となり、前記した例では(12×13)/(34×33)=約1/7.2となる。即ち、弁体80はロータ70により生じるトルクの7.2倍のトルクで回動するので、回転トルクに余裕があり、弁体80の回動動作を確実にすることができる。また、弁体80の回動角度はロータ70の回動角度の約1/7.2となるので、弁体80の回動角度を精密に制御することができる。減速比を小さくするため、アイドラピニオン79aの歯数Z3は、アイドラ大歯車79bの歯数Z2に比べて少なくする。
すなわち、先に説明したようにロータ70とステータ62は一般的なステッピングモータなので所定の角度ごとに回動する構成であり、例えば1ステップが7.5゜毎に回動する構成である。減速比が約1/7.2゜であれば、ロータ70を1ステップの7.5゜回動した際の弁体80の回動角度は7.5/7.2=1.04゜/ステップとロータ70の回動ステップ角度より小となって弁体80を微小角度回動させることができ、高精度な弁体の制御が可能となる。
すなわち、ロータピニオンギヤ75からアイドラギヤ79を介して弁体歯車83まで2段階に減速する構成としたので、略円筒形状をなすケース66の直径を拡大することなくロータ70から弁体80への減速比を大とすることができる。
ここで、ケース66の内部には高圧の冷媒が流入するため、ケース66を大型化すると冷媒の圧力による荷重が増加し、ケース66や弁座プレート67に生じる応力が増加する。したがって、ケース66を大型化するためにはケース66や弁座プレート67の肉厚を拡大したり、あるいは弁座プレート67とケース66との接続強度を増加するなどの強度向上が必要となるので、ケース66は小型であることが望ましい。
ここで、一例として本実施例と同等な約1/7.2の減速比をロータピニオンギヤ75と弁体ギヤ83とが直接噛み合った特許文献3に記載の構成で得ようとすれば、弁体ギヤ83のギヤ歯数を2段減速の場合のZ4=33からZ4’=86に増加してZ1/Z4’=12/86=約1/7.2とする必要があり、弁体ギヤ83の直径を歯数の比である86/33=2.76倍に大型化する必要が生じてケース66の直径を拡大しなければならない。
すなわち、本実施形態における流量制御弁は、小型化に向き、かつ弁体の回転トルクに余裕があって回動動作が確実であり、さらに回動角度を精密に制御できる流量制御弁を提供できる効果がある。
また、図10に示すように、弁体80の一部は弁体ギヤ83の外周よりも凸形状のストッパ84が形成されており、弁体80が時計まわりまたは反時計まわりに最大角度回動した際には、アイドラギヤ79のアイドラピニオン79aよりも下側に突出した円筒状のアイドラストッパ79cに当接して弁体ギヤ83の回動角度を所定の角度範囲に制限するようになっている。
なお、弁体ギヤ83の回動角度は、後述する弁体80の流量制御動作に必要な回動角度の範囲に加えて、所定の角度例えば8°程度の角度を余分に回動してから当接して回動を停止するよう構成されても良い。
また、アイドラギヤ79のアイドラ軸78は、弁対80側での片持ちの構造であるが、アイドラギヤ79の軸方向の位置がロータ駆動部74側にずれた場合、アイドラ大歯車79bがロータ駆動部74と当接してそれ以上移動することができないようになっている。これにより、アイドラギヤ79が片持ちのアイドラ軸78から脱落することを防止するようになっている。なお、アイドラ大歯車79bの上面に円周状に突起部79sを形成しても良く、ロータ駆動部74に、円周状に突起部74sが形成しても良い。このようにすると、突起部79sが突起部74sに当接してそれ以上移動することができないようになる際、接触面積が小さくなる点で好ましい。
<流量制御弁60の動作>
次に、弁体80による流量制御動作の一実施形態について図11から図17を用いて説明する。なお、図11から図14において、説明のために弁座プレート67と接する弁体摺接面81にはハッチングを付加して図示している。
なお、流量を制御する際には絞りを変化するので、当然ながら圧力も同時に変化する。したがって、以下の説明においては流量制御弁における圧力降下について主に説明する。圧力降下が大きければ流出口における圧力は低くなって流量は小であり、圧力降下が小であれば流出口における圧力は高くなって流量は大である。
円弧状溝82は弁体軸71を中心とした円弧状をなして弁体摺接面81に設けられ、第一の端部は弁体摺接面81の端部に連通した開放端89であってケース66内部に連通している。
本実施形態においては、円弧状溝82の溝幅は図11のような平面視において一定であり、深さは、弁体軸71を中心とした円弧状溝82の直径方向に沿った任意の断面において一定である。これより本実施形態においては、円弧状溝82の断面積は一定である。ここで、円弧状溝82の断面積は、断面積90(図15参照。)であり、これは、例えば図11において、直径方向の断面で円弧状溝82を観察したときの円弧状溝82の面積として求めることができる。
円弧状溝82の溝幅は流出口Bの直径より小であり、円弧状溝82が配置された円の半径は、図11のような平面視における弁体軸71と流出口Bとの距離と略等しい。そして、例えば図13に示すように、円弧状溝82は、弁体軸を回動軸とする弁体摺接面81の回動により、開放端89から所定長さに亘って流出口Bの開口と重なるよう設けられている。断面積は流出口Bの開口面積より十分に小さく設定されており、溝に沿って流れる冷媒を絞ることができる。例えば流出口Bの開口面積を1mm2としたとき、円弧状溝82の断面積は例えば流出口Bの開口面積の3%である0.03mm2以上とすると好ましく、また、50%である0.5mm2以下とすると好ましい。上記下限値未満とすると、絞りが強すぎるため好ましくなく、上記上限値超とすると、絞りの効果が小さくなって好ましくない。なお、第一実施形態では円弧状溝82の溝幅、深さ及び半径Rを一定としたが、必ずしもこれに限られず、これらの一種類以上を少なくとも一回、変化させても良い。
断面積円弧状溝82は、弁体軸71を中心とする半径Rの円の一部を成す正確な円弧である必要はなく、弁体80が回動した後述する流量制御範囲において、流出口Bの開口と重なる範囲にあればよい。なお、円弧状溝82が流出口Bの開口と重ならない範囲に存在することを排除する趣旨では必ずしもなく、円弧状溝82は、弁体摺接面81の回動によって、開放端89から所定長さに亘って流出口Bの開口と重なり、途中から重ならなくなっても良い。本実施形態では、例えば図11ないし図14に示すように、円弧状溝82は、弁体摺接面81の回動によって、開放端89である第一の端部から、第二の端部までの長さに亘って流出口Bの開口と重なっているが、これに限られず、所望の流量制御特性を満たす長さに亘って重なれば、その後、第二の端部に至るまでのいずれかの位置において円弧状溝82と流出口Bの開口との重なりがなくなるように円弧状溝82が曲がっても良い。
図11においては流出口Bはケース66内部に開放された開状態を示す。
図12は弁体80が図11に示す開位置から図示反時計方向に回動し、開放端89が微小な角度だけ流出口Bの図示左端部から回動した状態であって、ケース66内の冷媒は開放端89で絞られて圧力降下した後、流出口Bに至るまでの微小な範囲すなわち弧長である距離L1(開放端89から流出口Bに至るまでの円弧状溝82の道のり。)の区間は円弧状溝82を通過し、流出口Bを通って流出管69に流出する。
図13はさらに図示反時計方向に所定角度回動し、ケース66内の冷媒は開放端89で絞られた後、流出口Bに至るまで弧長である距離L2の区間では円弧状溝82を通過し、流出口Bを通って流出管69に流出する。
なお、弧長とは、弁体摺接面81の平面視において、開放端89から、円弧状溝82と流出口Bが重なる最初の位置までの円弧状溝82の溝長さをいう(図12乃至図13参照。)。円弧状溝82の総長さは、溝長さL3である。
図14はさらに図示反時計方向に回動し、流出口Bは円弧状溝82の設けられていない範囲で弁体摺接面81によって塞がれた状態であり、冷媒は流れない閉止状態を示す。
ここで、図12から図13に示すように、円弧状溝82の一部が流出口B上にあって、冷媒が開放端89から流出口Bまでの円弧状溝82中を通過する状態が、冷媒が絞られて流量が調整できる流量制御領域となる。
図15により、流量制御領域における弁体摺接面81と、円弧状溝82と、開放端89と、流出口Bと、冷媒の流れについて説明する。図15は、円弧状溝82に沿って弁体80と第二の弁座プレート67bと流出口Bの位置関係の概略を示す模式断面図であり、円弧に沿った円弧状溝82の断面を展開して示す概略断面図である。
図15(a)は図12と同様に円弧状溝82が流出口B全体を覆い、開放端89は微小な距離L1だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態、図15(b)は図13と同様に円弧状溝82が流出口B全体を覆い、開放端89は弁体80の回動に対応した弧長L2だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態を示す。
さらに流出口Bの開放端89に近接した側、すなわち図示左端部92における円弧状溝82の断面積90の形状を模式的に示しており、図15に示した一例では半径r(rは不図示。)の半円形状であって、図15(a)、図15(b)ともに断面積90の形状は円弧に沿って同一である。円弧状溝82の全長は弧長である距離L3となる。
図12ないし図15(a)において、ケース66内の冷媒は矢印のように縮流となって開放端89に加速しつつ流入し、開放端89は流出口Bからたかだか微小な距離L1の近傍にあるので、流入した冷媒は即座に流出口Bの左端部92から流出口B内に減速しつつ拡散して流れる。微小な距離L1の間に断面積の小さい絞りを設けると、その上流と下流の間に圧力降下を生じて流量を制御できる。このように、流体の通過する断面積を急激に変化させることで圧力降下を実現する圧力降下部を、本明細書では第二の圧力降下部と呼ぶ。第二の圧力降下部としては、たとえばオリフィス等が挙げられる。
図13ないし図15(b)において、ケース66内の冷媒は矢印のように縮流となって開放端89に加速しつつ流入し、距離L2の間は円弧状溝82内を流れた後、流出口Bの左端部92から流出口B内に減速しつつ拡散して流れる。このような流れにおいては、前述の第二の圧力降下部による圧力降下に加えて、距離L2(最大で距離L3)の管路抵抗による圧力降下が加算される。本明細書では、このような管路抵抗による圧力降下を実現する圧力降下部を第一の圧力降下部と呼ぶ。第一の圧力降下部としては、例えば細管等が挙げられる。
第一の圧力降下部による圧力降下と第二の圧力降下部による圧力降下とによって流量を制御できる。
図12から図13、図15(a)、(b)により説明した、ケース66内から円弧状溝82を経由して流出口Bに至るまでの冷媒の圧力分布について図16により説明する。
図16(a)は図15に示した、ケース66内から円弧状溝82を経由して流出口Bに至るまでの冷媒流れを示す模式図であり、左端がケース66内、右端が流出口Bに相当し、それらを互いに連通する細管部が円弧状溝82に相当する。図16(a)は弁体80の回動によって円弧状溝82のうち冷媒が流れる長さが変化する構成を模式的に示したものであり、模式的には弁体80の回動は流出口Bの部分が図示左右方向に移動することと等価であり、実線が図13ないし図15(b)の状態に相当して円弧状溝82の長さはL2であり、破線は図12ないし図15(a)と同様に流出口がB’の位置に移動して、開放端89と流出口Bとの距離がL1に近接した状態を示している。
図16(b)は図16(a)の各部位における冷媒の圧力を示す模式図であり、横軸が開放端89からの距離であって、縦軸が冷媒圧力を示す。
図16(a)において、矢印で示したごとくケース66から縮流となって開放端89から円弧状溝82に流入した冷媒は、長さL2だけ円弧状溝82の中を流れた後に拡散しつつ、流出口Bに流入する。
図16(b)において、ケース66内の冷媒圧力をP1とすれば、円弧状溝82に流入した冷媒は円弧状溝82の壁面から管路抵抗となる摩擦抵抗を受けるので、圧力は徐々に低下して長さL2(開放端89から流出口Bに至るまでの円弧状溝82の道のり)の間に圧力降下する(第一の圧力降下部)。この圧力低下の程度は円弧状溝82の断面積の大小と、冷媒の流れる円弧状溝82の長さによって異なり、円弧状溝82の断面積が大きければ抵抗は少ないので圧力降下は少なく絞りは緩くなり、冷媒流量は増加する。一方、円弧状溝82の断面積が小さければ抵抗が大きいので圧力降下が大きく絞りが強くなり、冷媒流量は減少する。
ここで、本実施形態における円弧状溝82は円弧に沿って断面積90が一定なので、管路抵抗は長さに比例するので流出口Bに至るまでの円弧状溝82の範囲での圧力降下は直線的となる。そして最後に、冷媒が円弧状溝82終端から拡散しつつ流出口Bに流れるので、このとき拡散に伴って生じる渦によるエネルギ損失などで急激に圧力降下する(第二の圧力降下部)。
ここで、図15(a)に示すように開放端89が流出口Bの近傍にあって円弧状溝82の長さL2が微小距離L1の場合は、図16(a)および図16(b)の破線にて示すように、開放端89の近傍に流出口Bが位置するため、長さL1の範囲における管路抵抗による圧力降下p1’は僅かである(第一の圧力降下部)。その後円弧状溝82から拡散しつつ流出口Bに流れるので、このとき拡散に伴って生じる渦によるエネルギ損失などで急激に圧力降下し、圧力はp2’だけ低下する(第一の圧力降下部)。この圧力P2’は円弧状溝82の長さL2が微小距離L1なので、円弧状溝82の断面積90の断面積に相当したオリフィスによる圧力降下と同等である。その結果、流出口Bにおける冷媒圧力P2’はP2’=P1−(p1’+p2’)≒P1−p2’となる。すなわち、円弧状溝82の長さL2が微小距離L1のとき、円弧状溝82の通過による圧力降下は第二の圧力降下部による圧力降下p2’に略等しい。
一方、図15(b)に示すように開放端89と流出口Bとの長さL2が微小距離L1より大きい場合は、図16(a)および図16(b)の実線にて示すように、長さL2の範囲における管路抵抗によりp1の圧力降下が生じる(第一の圧力降下部)。その後円弧状溝82から拡散しつつ流出口Bに流れるので、このとき拡散に伴って生じる渦によるエネルギ損失などで急激に圧力降下し、圧力はp2だけ低下する(第二の圧力降下部)。その結果、流出口Bにおける冷媒圧力P2はP2=P1−(p1+p2)となる。すなわち、円弧状溝82の通過による圧力降下は第一の圧力降下部による圧力降下と第二の圧力降下部による圧力降下との合計に等しい。
断面積90の断面積は円弧状溝82において一様なので、第二の圧力降下部としての圧力降下は、円弧状溝82の弧長として採用し得る例えば15mm以下の範囲においては、弁体80の回動による、開放端89から流出口Bまでの円弧状溝82の弧長の変化によらず一定となる。そして、円弧状溝82の弧長によって第一の圧力降下部による圧力降下は可変であるから、冷媒圧力ないし冷媒流量を制御できる。
本実施形態における第二の圧力降下部による圧力降下(p2ないしp2’)と第一の圧力降下部による圧力降下(p1ないしp1’)とを比較すると、円弧状溝82の断面積90を一定としたので、流出口Bの面積に対する円弧状溝82の断面積を十分に小さくすれば、第二の圧力降下部による圧力降下(p2ないしp2’)の方が第一の圧力降下部による圧力降下(p1ないしp1’)よりも十分に大きくすることができる。したがって、図12から図13に示した流量制御領域において、流入口Aと流出口Bとの間の圧力降下の大部分は円弧状溝82の断面積90の第二の圧力降下部による圧力降下(p2ないしp2’)であり、第一実施形態においては円弧状溝82の断面積90の断面積は一様なので、p2ないしp2’は流量制御領域においては略等しい(p2≒p2’)。
弁体80を回動させることによる第一の圧力降下部による圧力降下(p1ないしp1’)は第二の圧力降下部による圧力降下(p2≒p2’)よりも微小に変化するので、流出口Bにおける冷媒圧力を大幅に変化させることはできないものの、第一の圧力降下部及び第二の圧力降下部によって圧力降下した時の冷媒の流出口Bでの圧力P2以上、殆ど第一の圧力降下部のみによって圧力降下した時の冷媒の流出口Bでの圧力P2’以下、の範囲で精度よく微調整することができる。
すなわち、円弧状溝82の断面積90の断面積を適切に選択することによって第二の圧力降下部による圧力降下(p2≒p2’)を適切に設定して流出口Bの圧力を所望の圧力とすることができる。また、円弧状溝82を一様断面の溝とすることで容易に微調整ができるので、制御精度の優れた流量制御弁を提供できる。
以上説明した第一実施形態の流量制御弁60の流量制御特性を図17のグラフにより説明する。
図17は第一実施形態に係る流量制御弁60の弁体80の回動角度と流出口Bにおける冷媒圧力との関係を示すグラフであって、横軸が弁体80回動角度であり、縦軸が流出口Bにおける冷媒圧力を示す。
グラフの左端は図11に対応する開状態であって、流出口Bにおける冷媒圧力はケース内圧力P1に等しい。右端は図14に対応する閉止状態であり、このときの冷媒圧力を0とする。
開状態から弁体80が回動して開放端89が流出口Bの上面を徐々に移動して図12の状態に至るまでは圧力は急激に低下する領域Cであり、図12に示すように弁摺接面81が開口端Bを覆って開放端89がオリフィスとして作用して流出口Bの冷媒圧力がP2’まで低下してから以降は流量制御域となる。第一実施形態においては円弧状溝82の断面積は一定なので、流量制御域における圧力降下p1は冷媒の流れる円弧状溝82の管路抵抗のみであり、圧力p1だけ徐々に低下する。
流量制御域における圧力降下の最大値は閉止直前の状態であり、その時の円弧状溝82の長さL3に対応する冷媒圧力をP3とする。
円弧状溝82の開放端89に対する他端は閉じているので、閉止状態に至る直前に流出口Bは急激に閉じられる、領域Dとなる。
図17に示すように、第一実施形態においては流量制御域における圧力の変化は少ないので、圧力をP3からP2’までのdPの範囲で精度良く微調整できる特性が得られる。
ここで、円弧状溝82の断面積を流出口Bに対して十分に小さくすることで、圧力降下を十分に大きくして冷媒の流量を微量に調整することができ、さらに流量ないし圧力を精度良く微調整することができる。
<作用・効果>
本実施形態によれば、円弧状溝82の第一の端部が開放端89であるため、流出口Bの全開に対応する弁体80の回動角度範囲が広く、例えばステップモータによる弁体80の回動制御の精度が高くなくとも流出量の全開制御が容易に実現できる。
また、本実施形態によれば、空隙部93を設けているため制御の誤差によって半開状態となることがないので、流出口Bの全部を弁体摺接面81から露出させる全開制御が容易である。このため、確実に全開とするに際して、上述の特許文献4のように溝幅を広くする必要がない。そして、上記の通り、円弧状溝82の断面積を流出口Bの開口の面積と比べて小さく、例えば50%以下で一定に設けることができる。このため、第一の圧力降下部及び第二の圧力降下部による圧力降下を大きくすることが容易であり、小流量制御を高精度に実現できる。
また、本実施形態によれば、弁体摺接面が空隙部93を備えるから、弁座プレート67と弁体80との接触面積が小さくなり、板バネ86の付勢力とロータ70の自重による押圧力が大きくなり、シール性が向上する。
図11から図17により説明したように、第一実施形態に係る流量制御弁60は、弁体80を回動させることにより、流入管68(流入口A)と流出管69b(流出口B)との間で、流出口Bがケース66内部に開放された開状態と、円弧状溝82の一部が流出口B上にあって、冷媒が開放端89から流出口Bまで円弧状溝82中を通過する、冷媒が絞られて流量が調整できる流量制御領域と、流出口Bが弁体摺接面81によって塞がれた状態であって冷媒は流れない閉止状態、とを切り替えることができる。
またさらに、円弧状溝82の断面積90の断面積に相当する第二の圧力降下部による圧力降下と、円弧状溝82を冷媒が流れることにより生じる第一の圧力降下部による圧力降下とを組み合わせることによって、所望の圧力降下を得られるとともに精度よく微調整することができる。
またさらに、ロータピニオンギヤ75からアイドラギヤ79を介して弁体歯車83まで2段階に減速する構成としたので、弁体80を微小角度ずつ回転させることができ、冷媒の流量を小流量でも精度よく微調整できる冷媒流量調整弁60を提供できる。また、この流量制御弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の流量制御が可能となる。
第一実施形態に係る流量制御弁60において、圧縮機51からの高圧の冷媒が、第一冷媒配管55(図5参照)、流入管68(図7参照)、流入口A(図8参照)を介して、弁ケース66内の空間に流入するようになっている。このため、弁ケース66内の弁体80には、弁体80を弁座プレート67に押圧する方向の力が加わる。これにより、弁体摺接面81と弁座プレート67との間の密着性能が向上して、冷媒の漏洩を低減することができる。
また、第一実施形態に係る流量制御弁60において、ロータ70およびロータ駆動部74を回転させるロータピニオンギヤ75を弁体80の上に重ねて、ロータピニオンギヤ75と弁体80とを同軸に共通の回転軸である弁体軸71のまわりに回動自在に配置し、弁体軸71と別に設けたアイドラ軸78のまわりにアイドラ大歯車79bとアイドラピニオン79aとを一体で設けたアイドラギヤ79を配置している。
そして、ロータピニオンギヤ75とアイドラ大歯車79bとを噛み合わせて減速し、さらにアイドラピニオン79aと弁体ギヤ83とを噛み合わせてさらに減速させるようになっている。これにより、ロータピニオンギヤ75、アイドラギヤ79、弁体ギヤ83の3つのギヤを、弁体軸71とアイドラ軸78の2本の軸のまわりに配置することができるので、2枚のギヤの投影面積に3枚のギヤを配置でき、流量制御弁60を小型化することができる。
さらに、ロータピニオンギヤ75から弁体ギヤ83までは2段階の減速を行うので、減速比が大きくなり、弁体80に伝達される回転トルクを大きくすることができるので、弁体80の回動動作を確実にすることができる。
また、弁体80と弁座(第二の弁座プレート67b)との摩擦が増加しても回転トルクが不足することがないようになっているので、弁体80に特段の低摩擦材料を用いる必要がなく、また、回転トルクの低いステータとロータの組み合わせであっても動作できるので、流量制御弁60を低価格化することができる。
またさらに、減速比が大きいのでロータ70を1ステップ回動した場合の弁体80の回動角度が小さくなるので、弁体80を微小角度ずつ回転させることができ、高精度な冷媒流量制御が可能となる。
また、図7に示すように、第一実施形態に係る流量制御弁60において、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)と弁体80とを共通の弁体軸71で同軸に配置し、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)を弁体80の上に載置して、板バネ86でロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)を付勢するようになっている。
これにより、弁体80は、板バネ86の付勢力とロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)の自重により、弁座(第二の弁座プレート67b)に対して付勢されるので、適度な押圧力とすることで、弁体摺接面81において冷媒を確実に閉塞する押圧を得ることができ、高精度な冷媒流量制御が可能となる。なお、付勢手段としては、板バネ86に限られず、種々の手段を採ることができる。例えば弁体軸71自体に質量のある材料を使用したり、弁体軸71に重りを取り付けたりしても良いし、弁体軸71まわりに、弁体軸上端より突出するコイルバネを付しても良い。
また、図7に示すように、第一実施形態に係る流量制御弁60において、弁体80を支持する弁体軸71は、弁体80と弁体摺接面81で接する弁座(第二の弁座プレート67b)に設けられたロータ軸穴72と、弁ケース66の上端に設けられた凹部であるロータ軸受73とで両端を支持される両持ち構造であり、弁体80の支持剛性や精度が得やすく、弁体摺接面81において冷媒を確実に閉塞することができる。
加えて、弁体軸71の周りをロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)が回転する構成であるため、ロータ軸穴72やロータ軸受73に高精度な軸受を設ける必要がなく、流量制御弁60を低価格化することができる。
加えて、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)と弁体80を同軸とすることにより、弁体軸71を長くすることができる。弁体軸71を長くすることにより、ロータ軸穴72やロータ軸受73の加工誤差に対する弁体軸71の傾きを小さくして、第二の弁座プレート67bに対する弁体軸71の直角度の精度を向上させることができるので、弁体80の精度が得やすく、弁体摺接面81において冷媒を確実に閉塞することができ、高精度な冷媒流量制御が可能となる。
また、図7に示すように、第一実施形態に係る流量制御弁60において、アイドラ軸78は片持ち構造となっており、流量制御弁60の組み立て性が向上する。なお、アイドラギヤ79が、ロータ駆動部74の方向に移動した場合でも、アイドラ大歯車79bがロータ駆動部74と当接するので、アイドラギヤ79の脱落を防止することができるようになっている。また、ロータ駆動部74に突起部74sを形成し、アイドラギヤ79に突起部79sを形成することにより、接触面積を小さくすることが望ましい。
≪第二実施形態≫
次に、第二実施形態に係る流量制御弁およびこれを備える機器について、図18から図21を用いて説明する。第一実施形態と同様の構成に関する説明は省略する。
図18(a)と図18(b)とは図6の矢印G方向から見た弁体80の弁体摺接面81と、第二実施形態における流出口Bと円弧状溝82aの関係を説明する図であって、図12ないし図13と同様に円弧状溝82aの一部が流出口B上にあって、冷媒が開放端89から流出口Bまで円弧状溝82aの中を通過する、冷媒が絞られて流量が調整できる流量制御領域を図示している。
図19は、図18に示した流量制御弁60において円弧状溝82aに沿って弁体80と第二の弁座プレート67bと流出口Bの位置関係の概略を示す模式断面図であり、円弧に沿った円弧状溝82aの断面を展開して示す概略断面図である。
弧長Lの円弧状溝82aの断面積90a、90b形状は一定ではなく、円弧状溝82aに沿って連続的に変化するテーパ状をなしていることである。第二実施形態では、開放端89において円弧状溝82aの断面積90aは最大となるよう配置されている。
図19(a)は図15(a)と同様に円弧状溝82aが流出口B全体を覆い、開放端89は微小な距離L1だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態、図19(b)は図15(b)と同様に円弧状溝82aが流出口B全体を覆い、開放端89は弧長L2だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態を示す。なお、円弧状溝82aは弧長である距離L3の範囲に設けられる構成である。
さらに弁体の回動角度に応じて、流出口Bの開放端89に近接した側、すなわち図示左端部92における円弧状溝82aの断面積90aないし90bの形状を模式的に示している。図19に示した例では、図19(a)の断面積90aの断面積は半円形状であって、図19(b)の状態の断面積90bよりも大きく、弁体80の回動とともに断面積90が変化する構成である。このように、第二実施形態では円弧状溝82aの溝幅及び/又は深さが変化して、断面積90が一定でない構成としている。図19に示した例では、円弧状溝82aの溝幅及び深さはテーパ状を実現するように変化している。
またさらに、最も第二の弁座プレート67b側における円弧状溝82aの溝幅を流出口Bの開口直径より小とすることで、流出口Bの開口面積と比して円弧状溝82aの断面積を十分に小とすることが容易である。なお、円弧状溝82aは正確な円弧である必要はなく、弁体80が回動した後述する流量制御範囲において、流出口Bの開口と重なる範囲にあればよい。
図18(a)ないし図19(a)において、ケース66内の冷媒は矢印のように縮流となって開放端89に加速しつつ流入し、開放端89は流出口Bからたかだか微小な距離L1の近傍にあるので、流入した冷媒は即座に流出口Bの左端部92から流出口B内に減速しつつ拡散して流れる。このように微小な距離L1の間に断面積の小さい絞りを設けたものは所謂オリフィスなのであって、その上流と下流の間に圧力降下を生じて流量を制御できる(第二の圧力降下部)。第二実施形態においては円弧状溝82aはテーパ状なので、流出口Bの左端部92における円弧状溝82aの断面積90aの断面積は最大となり、第二の圧力降下部としての圧力降下は小である。
図18(b)ないし図19(b)において、弁体80は図18(a)、図19(a)の位置より図示反時計方向に回動した位置であって、ケース66内の冷媒は矢印のように縮流となって開放端89に加速しつつ流入し、距離L2の間は円弧状溝82a内を流れた後、流出口Bの左端部92から流出口B内に減速しつつ拡散して流れる。第二実施形態においては円弧状溝82aはテーパ状であって断面積90の面積が回動とともに連続的に変化するので、流出口Bの左端部92における円弧状溝82aの断面積90bの断面積は図18(a)ないし図19(a)の状態よりも小であり、第二の圧力降下部としての圧力降下は大となって絞りが強くなる。
このような構成においては、前述の第二の圧力降下部としての圧力降下にさらに第一の圧力降下部による圧力降下が加算され、その合計の圧力降下によって流量ないし圧力を絞り制御できる。
図18から図19により説明した、ケース66内からテーパ状の円弧状溝82aを経由して流出口Bに至るまでの冷媒の圧力分布について説明する。
図20(a)は図19に示した、ケース66内から円弧状溝82aを経由して流出口Bに至るまでの冷媒流れを示す模式図であり、左端がケース66内、右端が流出口Bに相当し、それらを互いに連通する細管部が円弧状溝82aに相当する。弁体80の回動によって、円弧状溝82aの長さが変化する構成を模式的に示したものである。
図20(a)は弁体80の回動によって円弧状溝82aのうち冷媒が流れる長さと断面積とが変化する構成を模式的に示したものであり、模式的には弁体80の回動は流出口Bの部分が図示左右方向に移動することと等価であり、実線が図18(b)の状態に相当して円弧状溝82aの長さはL2であり、破線は図18(a)と同様に連通口がB’の位置に移動して、開放端89と流出口BとがL1に近接した状態を示している。
図20(b)は図20(a)の各部位における冷媒の圧力を示す模式図であり、横軸が開放端89からの距離であって、縦軸が冷媒圧力を示す。
図20(a)において、矢印で示したごとくケース66から縮流となって開放端89からテーパ状の円弧状溝82aに流入した冷媒は、弁の回動角度に応じて長さL2だけ円弧状溝82aの中を流れた後に拡散しつつ、流出口Bに流入する。
図20(b)において、ケース66内の冷媒圧力をP1とすれば、円弧状溝82aに流入した冷媒は円弧状溝82aの壁面から管路抵抗となる摩擦抵抗を受けるので、圧力は徐々に低下する(第一の圧力降下部)。
この圧力低下の程度は円弧状溝82aの断面積の大小と、冷媒の流れる円弧状溝82aの長さによって異なり、円弧状溝82aの断面積が大きければ抵抗は少ないので圧力降下は少なく絞りは緩くなり、冷媒流量は増加する。一方、円弧状溝82aの断面積が小さければ抵抗が大きいので圧力降下が大きく絞りが強くなり、冷媒流量は減少する。
第二実施形態においては円弧状溝82aは先細のテーパ状なので、冷媒が通過する円弧状溝82aの長さが長くなるとともに断面積が減少するので、円弧状溝82aの長さ変化によって生じる圧力降下(pa1及びpa1’)は第一実施形態と比べて大きい。そして、図20(b)に示すように、円弧状溝82aによる第一の圧力降下部(管路抵抗)に伴う圧力降下(pa1及びpa1’)は直線的ではなく、流出口Bに近接するに伴って大きくなるような曲線的傾向をもつ。
冷媒は円弧状溝82aから拡散しつつ流出口Bに流れるので、このとき拡散に伴って生じる渦によるエネルギ損失などで急激に圧力降下し、その結果流出口Bにおける冷媒圧力は低下する(第二の圧力降下部)。
ここで、図19(a)に示すように開放端89が流出口Bの近傍にあって円弧状溝82aの長さL2(開放端89から流出口Bに至るまでの円弧状溝82の道のり)が微小距離L1の場合は、図20(a)および図20(b)の破線にて示すように、開放端89の近傍に流出口Bが位置するため、長さL1の範囲における管路抵抗による圧力降下pa1’は僅かである(第一の圧力降下部)。その後円弧状溝82aから拡散しつつ流出口Bに流れるので、このとき拡散に伴って生じる渦によるエネルギ損失などで急激に圧力降下し、圧力はpa2’だけ低下する(第二の圧力降下部)。
この圧力pa2’は円弧状溝82aの長さL2が微小距離L1なので、円弧状溝82aの断面積90aの断面積に相当したオリフィスによる圧力降下と同等である(第二の圧力降下部)。その結果、流出口Bにおける冷媒圧力Pa2’はPa2’=P1−(pa1’+pa2’)≒P1−pa2’となる。第二実施形態においては、円弧状溝82はテーパ溝であって開放端89の面積が大なので、断面積90aの断面積に相当した第二の圧力降下部による圧力降下pa2’は、円弧状溝82aの長さが微小でないL2の場合の圧力降下pa2に比較して小さい。しかし、円弧状溝82aの長さL2が微小距離L1のとき、円弧状溝82の通過による圧力降下は第二の圧力降下部による圧力降下pa2’に略等しい。
一方、図20(b)に示すように開放端89と流出口Bとの長さL2が微小距離L1より大きい場合は、図20(a)および図20(b)の実線にて示すように、長さL2の範囲における管路抵抗によりpa1の圧力降下が生じる(第一の圧力降下部)。その後円弧状溝82aから拡散しつつ流出口Bに流れるので、このとき拡散に伴って生じる渦によるエネルギ損失などで急激に圧力降下し、圧力はpa2だけ低下する(第二の圧力降下部)。その結果、流出口Bにおける冷媒圧力P2はP2=P1−(pa1+pa2)となる。すなわち、円弧状溝82aの通過による圧力降下は第一の圧力降下部による圧力降下と第二の圧力降下部による圧力降下との合計に等しい。
すなわち、弁体80の回動とともに断面積90が連続的に変化するオリフィスとなるので第一実施形態と比べて弁体80の回動に伴う圧力降下が大きくなり、第一実施形態と同様の効果が得られるとともに、第一実施形態よりも圧力ないし流量の絞り調整範囲の大きい流量制御弁60を得ることができる。
本実施形態における第二の圧力降下部による圧力降下(pa2ないしpa2’)と第一の圧力降下部による圧力降下(pa1ないしpa1’)とを比較すると、円弧状溝82aの断面積90a、90bが連続的に変化するテーパ溝としたので、流出口Bの面積に対する円弧状溝82aの断面積を十分に小さくすれば、第二の圧力降下部による圧力降下(pa2’ないしpa2)を第一の圧力降下部による圧力降下(pa1ないしpa1’)よりも十分に大きくすることができる。したがって、図18に示した流量制御領域において、流入口Aと流出口Bとの間の圧力降下は概ね円弧状溝82の断面積90a、90bの第二の圧力降下部の圧力降下(pa2’ないしpa2)である。
先に述べたように第二実施形態においては円弧状溝82aの断面積90の断面積はテーパに応じて変化するので、第二の圧力降下部の圧力降下(pa2ないしpa2’)は弁体80の回動に応じて変化するので、圧力降下の大きい第二の圧力降下部の圧力降下を第一実施形態と比べて制御できる。すなわち、第一の圧力降下部による圧力降下を最大とした時の流出口Bにおける冷媒圧力P2以上、第一の圧力降下部による圧力降下を最小とした時の流出口Bにおける冷媒圧力Pa2’以下、の範囲で精度よく微調整することができるため、オリフィスによる圧力降下(pa2ないしpa2’)を適切に設定し、管路抵抗による圧力降下(pa1ないしpa1’)と協働して、圧力ないし流量の絞り調整範囲が大きく、かつ制御精度の優れた流量制御弁60を得ることができる。
以上説明した第二実施形態の流量制御弁60の流量制御特性を図21のグラフにより説明する。
図21は第二実施形態に係る流量制御弁60の弁体80回動角度と流出口Bにおける冷媒圧力との関係を示すグラフであって、横軸が弁体80回動角度であり、縦軸が流出口Bにおける冷媒圧力を示す。
グラフの左端は図11に対応する開状態であって、流出口Bにおける冷媒圧力はケース内圧力P1に等しい。右端は図14に対応する閉止状態であり冷媒圧力は0である。
開状態から弁体80が回動して開放端89が流出口Bの上面を徐々に移動して図18(a)の状態に至るまでは圧力は急激に低下する領域Eであり、図18(a)に示すように弁摺接面81が開口端Bを覆って開放端89がオリフィスとして作用して流出口Bの圧力がPa2’まで低下してから以降は流量制御域となる。
流量制御域における最大圧力Pa2’は、第一実施形態と比べて円弧状溝82aの断面積を大とすると絞りが弱いので、図17における圧力P2’より大となる。
流量制御域における圧力降下は円弧溝82aの弧長である距離L3の際に最大となり、その時の流出口Bにおける圧力はP3となる。Pa2からP3までの圧力降下はオリフィスの断面積変化による圧力降下に加えて円弧状溝82aを冷媒の流れる際の管路抵抗の合計となるので、流量制御域における圧力制御範囲dPaは、dPa=(Pa2’−P3)となる。
円弧状溝82aの開放端89に対する他端は閉じているので、閉止状態に至る直前に流出口Bは急激に閉じられて圧力が降下する領域Fとなる。
図21に示すように、第二実施形態においては流量制御域における圧力の変化が大なので、流量調整範囲が大きい特性が得られる。
<作用・効果>
本実施形態によっても、第一実施形態と同様の効果が得られる。
また、円弧状溝82aを、断面積90aないし90bの断面積が連続的に変化するテーパ形状としたので、第一の圧力降下部による圧力降下と、第二の圧力降下部による圧力降下とが、冷媒が円弧状溝82を流れる距離に比例して、より大きくなるため、流量制御が可能な範囲が大きくなるという効果を奏する。
≪第三実施形態≫
次に、第三実施形態に係る流量制御弁およびこれを備える機器について、図22から図25を用いて説明する。第一および第二実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図22(a)と図22(b)と図22(c)とは図6の矢印G方向から見た弁体80の弁体摺接面81と、第三実施形態における流出口Bと円弧状溝82の関係を説明する図であって、第一の端部を開放端89に接続された第一の円弧状溝82cの第二の端部には、第一の円弧状溝82cよりも断面積の小さい第二の円弧状溝82dの第一の端部が接続部82bを介して直列に接続され、第二の円弧状溝82dの第二の端部は閉じられており、第一の円弧状溝82cまたは第二の円弧状溝82dのいずれかの一部が流出口B上にあって、冷媒が開放端89から流出口Bまで円弧状溝82cないし82dを通過して、冷媒が絞られて流量ないし圧力が調整できる流量制御領域を図示している。第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの配置された範囲は弧長である距離L4の範囲であって、その範囲が流量制御領域となる。
図23は図15ないし図19と同様に、図22に示した流量制御弁60において円弧状溝82に沿って弁体80と第二の弁座プレート67bと流出口Bの位置関係の概略を示す模式断面図であり、円弧に沿った第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの断面を展開して示す概略断面図である。
図23(a)は第一の円弧状溝82cが流出口B全体を覆い、開放端89は微小な距離L1だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態、図23(b)は第一の円弧状溝82cが流出口B全体を覆い、開放端89は弁体の回動に対応した弧長L2だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態で、第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの境である接続部82b近傍に流出口Bが位置した状態、図23(c)は弁体がさらに回動して第二の円弧状溝82dが流出口B全体を覆い、開放端89は弁体の回動に対応した弧長L3だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態を示す。
さらに弁体の回動角度に応じて、流出口Bの図示左端部92における円弧状溝82aの断面積90cないし90dの形状を模式的に示しており、図23に示した例では、図23(a)ないし図23(b)の状態の断面積90cの断面積の方が図23(c)の状態の断面積90dよりも大きく、弁体80の回動とともに接続部82bを介して円弧状溝82cの断面積が2段階に変化する構成である。なお、本実施形態に限られず、円弧状溝82cの断面積が3段階以上に変化する構成であっても良い。
またさらに第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの溝幅を流出口Bの開口直径より小とすることで、流出口Bの開口面積と比して円弧状溝82cの断面積を十分に小とすることが容易である。なお、第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dは正確な円弧である必要はなく、弁体80が回動した後述する流量制御範囲において、流出口Bの開口と重なる範囲にあればよい。
図23(a)から図23(b)の状態に至るまでは第一の円弧状溝82cの断面積は一様なので、第一実施形態における図15(a)から図15(b)と同じく第一の円弧状溝82cの断面積90cの断面積の第二の圧力降下部による圧力降下と、第一の円弧状溝82cの長さL1からL2に応じた第一の圧力降下(管路抵抗)が生じる。
図23(c)に示した状態においては、第二の円弧状溝82dの断面積90dの第二の圧力降下部による圧力降下と、第一の円弧状溝82cおよび第二の円弧状溝82dの長さ合計L3に応じた第一の圧力降下(管路抵抗)が生じる。
ここで、第一の円弧状溝82cの断面積90cと第二の円弧状溝82dの断面積90dの断面積は90c>90dとなるようにすれば、図23(b)の状態から図23(c)の状態に弁体80が回動すると、接続部82bが流出口Bをまたいで第二の圧力降下部としての圧力降下が増大して絞りが急激に強くなる構成である。
このような構成においては、前述の第二の圧力降下部としての圧力降下にさらに第一の圧力降下(管路抵抗)による圧力降下が加算され、その合計の圧力降下によって流量ないし圧力を絞り制御できる。
図22から図23により説明した、ケース66内から断面積が2段階に変化する円弧状溝を経由して流出口Bに至るまでの冷媒の圧力分布について説明する。
図24(a)は図23に示した、ケース66内から第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dを経由して流出口Bに至るまでの冷媒流れを示す模式図であり、左端がケース66内、右端が流出口Bに相当し、それらを互いに連通する、段差の設けられた細管部が第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dに相当する。弁体80の回動によって、断面積が2段階に変化する円弧状溝82c、82dを冷媒の流れる長さが変化する構成を模式的に示したものである。
図24(a)は弁体80の回動によって第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dに冷媒が流れる長さが変化する構成を模式的に示したものであり、模式的には弁体80の回動は流出口Bの部分が図示左右方向に移動することと等価であり、実線が図23(c)の状態に相当して第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの長さはL3であり、一点鎖線は図23(b)と同様に連通口がB”の位置に移動して第一の円弧状溝82cの長さはL2であり、破線は図23(a)と同様に連通口がB’の位置に移動して、開放端89と流出口Bとが長さL1に近接した状態を示している。
図24(b)は図24(a)の各部位における冷媒の圧力を示す模式図であり、横軸が開放端89からの距離であって、縦軸が冷媒圧力を示す。
図24(a)において、矢印で示したごとくケース66から縮流となって開放端89から断面積が2段階に変化する第一の円弧状溝82cに流入した冷媒は、弁の回動角度に応じて長さL2ないしL3だけ第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの中を流れた後に拡散しつつ、流出口Bに流入する。
図24(b)において、ケース66内の冷媒圧力をP1とすれば、第一の円弧状溝82cに流入した冷媒は第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの壁面から管路抵抗となる摩擦抵抗を受けるので、圧力は徐々に低下して長さL3の間に圧力pb1だけ低下する。円弧状溝は断面積が2段階に変化する構成であり、管路抵抗は接続部82bの前後で急激に変化して長さL2より大なる範囲では増加するので、長さL2までの圧力降下pb1”と、長さL2からL3までの圧力降下pb3とを比較すると、長さあたりの圧力降下はpb3>pb1”なので、円弧状溝82c、82dによる管路抵抗に伴う圧力降下(pb1”ないしpb3)は直線的ではなく、接続部82bを境に流出口Bに近接するに伴って大きくなるよう屈曲した2直線からなる。
冷媒は第一の円弧状溝82cないし第二の円弧状溝82dから拡散しつつ流出口Bに流れるので、このとき拡散に伴って生じる渦によるエネルギ損失などで急激に圧力降下し、その結果流出口Bにおける冷媒圧力は低下する。
ここで、図22(a)に示すように開放端89が流出口Bの近傍にあって第一の円弧状溝82cの長さL2(開放端89から流出口Bに至るまでの円弧状溝82cの道のり)が微小距離L1の場合は、図24(a)および図24(b)の破線にて示すように、開放端89の近傍に流出口Bが位置するため、長さL1の範囲における管路抵抗による圧力降下pb1’は僅かであり、その後第一の円弧状溝82cから拡散しつつ流出口Bに流れるので、このとき拡散に伴って生じる渦によるエネルギ損失などで急激に圧力降下し、圧力はpb2’だけ低下する。この圧力pb2’は第一の円弧状溝82cの長さL1が小なので、第一の円弧状溝82cの断面積90cの断面積に相当した第二の圧力降下部による圧力降下と同等である。その結果、流出口Bにおける冷媒圧力Pb2’はPb2’=P1−(pb1’+pb2’)となる。第三実施形態においては円弧状溝の断面積は2段階に変化し、開放端89の面積が最大なので、断面積90cの断面積に相当した第二の圧力降下部による圧力降下pb2’は、断面積90dの断面積に相当したオリフィスによる圧力降下pb2に比して小さい。
図23(b)ないし図24(a)および図24(b)の一点鎖線にて示すように、円弧状溝82cの長さL2が微小距離L1より大きく、開放端89から接続部82b始点までの距離より小さい場合は、流出口Bが断面積の変化する接続部82b近傍の位置(図24(a)においてはB”の位置)では、管路抵抗による圧力降下はpb1”となり、第二の圧力降下部による圧力降下pb2”は断面積90cに相当した第二の圧力降下部による圧力降下pb2’と等しく、流出口Bにおける圧力Pb2”は、Pb2”=P1−(pb1”+pb2”)となる。
一方、図23(c)ないし図24(a)および図24(b)の実線にて示すように、第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの長さがL3(開放端89から接続部82bの終端までの距離より大きく、開放端89から円弧状溝82cと接続部82bと円弧状溝82dとの長さの和以下)の場合には、流出口Bの左端部92における円弧状溝82dの断面積90dは接続部82bを境に減少して絞りが強くなるので、断面積90dに相当した第二の圧力降下部による圧力降下pb2はpb2>pb2’(≒pb2”)であり、流出口Bにおける圧力P2=P1−(pb1+pb2)となる。
すなわち、弁体80の回動とともに面積が2段階に変化するオリフィスとなるので、弁体80の回動に伴う圧力降下の変化が大きく、圧力ないし流量の絞り調整範囲が2段階に変化する流量制御弁60を得ることができる。
またさらに第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの溝幅を流出口Bの開口直径より小とすることで、流出口Bの断面積と比して円弧状断面積を十分に小とすることが容易である。なお、第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dは正確な円弧である必要はなく、弁体80が回動した後述する流量制御範囲において、流出口Bの開口と重なる範囲にあればよい。
本実施形態におけるオリフィスによる圧力降下(pb2、pb2’ないしpb2”)と第一の圧力降下部による圧力降下(pb1、pb1’ ないしpb1”)とを比較すると、円弧状溝82c、82dの断面積90c、90dの断面積が2段階に変化する構成としたので、流出口Bの面積に対する円弧状溝82の断面積を十分に小さくすれば、第二の圧力降下部による圧力降下(pb2、pb2’ないしpb2”)を管路抵抗による圧力降下(pb1、pb1’ ないしpb1”)よりも十分に大きくすることができる。
したがって、図24に示した流量制御領域において、流入口Aと流出口Bとの間の圧力降下は概ね円弧状溝82の断面積90c、90dの第二の圧力降下部の圧力降下(pb2、pb2’ないしpb2”)であり、第一の圧力降下部による圧力降下(pb1、pb1’ ないしpb1”)は比較的小さい。第三実施形態においては弁体80の回動によって円弧状溝82の断面積90c、90dの断面積が2段階に変化することで、弱い絞りと強い絞りとの間で冷媒の圧力ないし流量が段階的に変化する。それぞれの絞りの状態の近傍で弁体80を微小に回動させることで第一の圧力降下部による圧力降下は第二の圧力降下部による圧力降下よりも微小に変化するので、弱い絞りと強い絞りの近傍で流出口Bにおける冷媒圧力を精度よく微調整することができる。
すなわち、円弧状溝の断面積が2段階又はそれ以上に変化する構成とすることで、断面積90c、90dを適切に選択できるようになり、第二の圧力降下部による圧力降下を適切に設定することができ、さらに第一の圧力降下部による圧力降下と協働して、圧力ないし流量を所望の値に設定できるとともに制御精度の優れた流量制御弁60を得ることができる。
以上説明した第三実施形態の流量制御弁60の流量制御特性を図25のグラフにより説明する。
図25は第三実施形態に係る流量制御弁60の弁体80回動角度と流出口Bにおける冷媒圧力との関係を示すグラフであって、横軸が弁体80の回動角度であり、縦軸が流出口Bにおける冷媒圧力を示す。
グラフの左端は第一実施形態の図11に対応する開状態であって、流出口Bにおける冷媒圧力はケース内圧力P1に等しい。右端は第一実施形態の図14に対応する閉止状態であり冷媒圧力は0である。
開状態から弁体80が回動して開放端89が流出口Bの上面を距離L1まで移動して図22(a)の状態に至るまでは圧力は急激に低下する領域Gであり、図22(a)に示すように弁摺接面81が開口端Bを覆って開放端89がオリフィスとして作用して流出口Bの圧力がPb2’まで低下してから以降は第一の流量制御域となる。第一の円弧状溝82cの断面積は一定なので、第一の流量制御域における圧力降下は冷媒の流れる第一の円弧状溝82cの管路抵抗のみであり、圧力Pb2’からPb2”まで徐々に低下する。
接続部82bが流出口Bの上を移動する範囲ではオリフィスの断面積が急激に減少するので圧力も急激に減少する領域Hとなり、図22(c)ないし図23(c)に示すように第二の円弧状溝82dが流出口Bを全て覆うと、断面積90dの断面積に相当するオリフィスとして作用して、図25における第二の流量制御域となる。
第二の円弧状溝82dの断面積は一定なので、第二の流量制御域における圧力降下は冷媒の流れる第二の円弧状溝82dの管路抵抗のみであり、オリフィスによる圧力降下よりも小さいので圧力は徐々に低下する。
円弧状溝82dの接続部82bに対する他端は閉じているので、閉止状態に至る直前に流出口Bは急激に閉じられる、領域Jとなる。
図25に示すように、第三実施形態においては段階的に圧力の異なる第一の流量制御域と第二の流量制御域とを備え、それぞれの流量制御域の範囲内においては弁体の回動に対する圧力の変化は小さいので、第一の流量制御域と第二の流量制御域における冷媒圧力をそれぞれ第一の所望の圧力と第二の所望の圧力に設定すれば、弁体80を微小に回動することでそれぞれの所望の圧力の近傍で圧力を微調整することができる。
ここで、第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの断面積を流出口Bに対して十分に小さくすることで、圧力降下を十分に大きくして冷媒の流量を高精度に調整することができ、さらに流量ないし圧力を精度良く微調整することができるので、特に小流量の範囲で流量ないし圧力を精度よく微調整することができる。
<作用・効果>
本実施形態によっても第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、図22から図25により説明したように、第三実施形態に係る流量制御弁60は、弁体80を回動させることにより、流入管68(流入口A)は流出管69b(流出口B)との間で、流出口Bがケース66内部に開放された開状態と、段階的に圧力の異なる第一の流量制御領域と、第二の流量制御領域と、流出口Bが弁体摺接面81によって塞がれた状態であって冷媒は流れない閉止状態と、を切り替えることができる。
またさらに、断面積が2段階以上に変化する第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dの断面積90cないし90dの断面積に相当するオリフィスによる圧力降下と、第一の円弧状溝82cと第二の円弧状溝82dを冷媒が流れることにより生じる管路抵抗による圧力降下とを組み合わせることによって、2段階以上の圧力降下を得られるとともにそれぞれの絞り状態を精度よく微調整することができる。
第三実施形態においては断面積を2段階に変化する円弧状溝の例について説明したが、2段階に限定されるものではなく、例えば3段階や4段階と多段階に断面積を変化させる構成であっても同様な多段階の圧力降下が得られる。
≪第四実施形態≫
次に、第四実施形態に係る流量制御弁およびこれを備える機器について、図26から図28を用いて説明する。第一乃至第三実施形態と同様の構成についての説明は省略する。
図26は図18(b)ないし図22(c)と同様に、図6の矢印G方向から見た弁体80の弁体摺接面81と、第四実施形態における流出口Bと円弧状溝82の関係を説明する図であって、テーパ溝と一様断面溝とが直列に接続されている。本実施形態では、開放端89側にテーパ溝を接続したが、これに限られず、開放端89側に一様断面溝の一端を接続し、一様断面溝の他端にテーパ溝を接続しても良い。
第一の円弧状溝82eは、一端を開放端89に接続され、他端を接続部82gに接続されており、開放端89側の断面積が接続部82g側の断面積より大なるテーパ溝であり、第二の円弧状溝82fは、一端は接続部82gに接続され他端は閉じられた一様断面の溝であり、接続部82gにおいて第一の円弧状溝82eと第二の円弧状溝82fとは例えば段差なく接続された構成である。第一の円弧状溝82eと第二の円弧状溝82fの合計長さは弧長である距離L4の範囲であって、その範囲が流量制御領域となる。
図27は、図15、図19ないし図23と同様に、図26に示した流量制御弁60において円弧状溝82に沿って弁体80と第二の弁座プレート67bと流出口Bの位置関係の概略を示す模式断面図であり、円弧に沿った第一の円弧状溝82eと第二の円弧状溝82fの断面を展開して示す概略断面図である。
図27(a)は、第一の円弧状溝82eが流出口B全体を覆い、開放端89は微小な距離L1だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態、図27(b)は、第二の円弧状溝82fが流出口B全体を覆い、開放端89は弁体の回動に対応した弧長L3(開放端89から第一の円弧状溝82eの終端までの道のりより長い)だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態を示す。
さらに弁体の回動角度に応じて、流出口Bの開放端89に近接した側、すなわち図示左端部92における第一の円弧状溝82eないし第二の円弧状溝82fの断面積90eないし90fの形状を模式的に示しており、図27に示した例では半円形状であって、第一の円弧状溝82eはテーパ溝なので開放端89近傍の断面積90eの断面積は最大であり、接続部82gに近接して断面積が減少し、接続部82gにおいては第二の円弧状溝82fの断面積と等しく、第一の円弧状溝82eと第二の円弧状溝82fとは例えば段差なく接続される。
第四実施形態の流量制御弁60の流量制御特性を図28のグラフにより説明する。図28は第四実施形態に係る流量制御弁60の弁体80の回動角度と流出口Bにおける冷媒圧力との関係を示すグラフであって、横軸が弁体80回動角度であり、縦軸が流出口Bにおける冷媒圧力を示す。
グラフの左端は第一実施形態の図11に対応する開状態であって、流出口Bにおける冷媒圧力はケース内圧力P1に等しい。右端は第一実施形態の図14に対応する閉止状態であって冷媒圧力は0である。
第四実施形態においては第一の円弧状溝82eはテーパ溝なので、第一流量制御域での圧力降下は図21に示したと同様に比較的大きく、第二の円弧状溝82fは一様断面溝なので第二流量制御域での圧力降下は図17に示したと同様に小さく、第一流量制御域と第二流量制御域との境界において、断面積は急激に変化しないので、弁体80の回動角に対して圧力降下の勾配の異なる屈曲した絞り特性をもつ流量制御特性が得られる。
またさらに第一の円弧状溝82eと第二の円弧状溝82fの溝幅を流出口Bの開口直径より小とすることで、流出口Bの開口面積と比して円弧状溝の断面積を十分に小とすることが容易である。なお、第一の円弧状溝82dと第二の円弧状溝82fは正確な円弧である必要はなく、弁体80が回動した後述する流量制御範囲において、流出口Bの開口と重なる範囲にあればよい。
開状態から弁体80が回動して開放端89が流出口Bの上面を距離L1まで移動して図27(a)の状態に至るまでは圧力は急激に低下する領域Kであり、弁摺接面81が開口端Bを覆って開放端89が第二の圧力降下部として作用して流出口Bの圧力がPc2’まで低下してから以降は第一の流量制御域となる。
さらに第二の流量制御域を経て、円弧状溝82dの接続部82bに対する他端は閉じているので、閉止状態に至る直前に流出口Bは急激に閉じられる、領域Lとなる。
このような流量制御特性を備えるので、第一の流量制御域では絞りが弱く、弁体80の回動に伴う圧力の変化が大なので、比較的大きな流量範囲では圧力調整範囲が大きい特性が得られ、一方第二流量制御域では絞りが強く、弁体80の回動にともなう圧力の変化が小なので、小流量の範囲では流量ないし圧力を精度よく微調整することができる。
<作用・効果>
本実施形態によっても第一実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態の構成によれば、開放端89側では第二の圧力降下部による圧力降下が比較的弱いことから、制御が可能な流量の上限が比較的高い。また、接続部82gを通過した後は一様溝であるため、小流量においては、第二の圧力降下部の影響は増加せず一定であり、第一の圧力降下部による圧力降下が増加するだけであるから、高精度な制御が可能である。
またさらに、第一の円弧状溝82eと第二の円弧状溝82fの断面積90e、90fの断面積に相当する第二の圧力降下部による圧力降下と、第一の円弧状溝82eと第二の円弧状溝82fを冷媒が流れることにより生じる第一の圧力降下部による圧力降下とを組み合わせることによって、所望の圧力降下を得られるとともに精度よく微調整することができる。
またさらに、ロータピニオンギヤ75からアイドラギヤ79を介して弁体歯車83まで2段階に減速する構成としたので、弁体80を微小角度ずつ回転させることができ、冷媒の流量が小流量でも精度よく微調整できる冷媒流量調整弁60を提供できる。また、この流量制御弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の流量制御が可能となる。
≪第五実施形態≫
次に、第五実施形態に係る流量制御弁およびこれを備える機器について、図29から図31を用いて説明する。第一乃至第四実施形態と同様の構成についての説明は省略する。
図29は図26と同様に、図6の矢印G方向から見た弁体80の弁体摺接面81と、第五実施形態における流出口Bと円弧状溝82の関係を説明する図であって、本実施形態における円弧状溝82hは非線形テーパ溝を備える。 第5実施形態においては非線形テーパ溝としたので境界は存在しないのであるが、説明のために、円弧状溝の一端を開放端89に接続し他端を変曲部82kに接続した第一の円弧状溝82hと、一端を変曲部82kに接続し他端を閉じた第二の円弧状溝82jとが変曲部82kにおいて円弧状溝82hの径の変化率が大きく異なる場合について説明する。第一の円弧状溝82hと第二の円弧状溝82jの合計長さは、弧長である距離L4の範囲であって、その範囲が流量制御領域となる。
図30は、図15、図19、図23、図27と同様に、図29に示した流量制御弁60において円弧状溝82に沿って弁体80と流出口Bの位置関係の概略を示す模式断面図であり、円弧に沿った第一の円弧状溝82hと第二の円弧状溝82jの断面を展開して示す概略断面図である。
図30(a)は、第一の円弧状溝82hが流出口B全体を覆い、開放端89は微小な距離L1だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態、図30(b)は、第二の円弧状溝82jが流出口B全体を覆い、開放端89は弁体の回動に対応した弧長L3だけ流出口Bの図示左端部92よりも突出した状態を示す。
さらに弁体の回動角度に応じて、流出口Bの開放端89に近接した側、すなわち図示左端部92における第一の円弧状溝82hないし第二の円弧状溝82jの断面積90gないし90hの形状を模式的に示している。図30に示した例では、第一の円弧状溝82hは変曲部82kに近接して断面積が比較的急激に減少するよう強いテーパが設けられ、変曲部82kにおいて第二の円弧状溝82jとは滑らかに連続的に接続して、変曲部82kから閉じた他端にいたるまでは、他端に近接するにしたがって断面積が比較的緩やかに減少するよう弱いテーパを備える。なお、本実施形態の非線形テーパはこれに限られず、例えば、指数関数テーパ、放物線テーパ等であっても良い。
第五実施形態の流量制御弁60の流量制御特性を図31のグラフにより説明する。
図31は、第五実施形態に係る流量制御弁60の弁体80回動角度と流出口Bにおける冷媒圧力との関係を示すグラフであって、横軸が弁体80回動角度であり、縦軸が流出口Bにおける冷媒圧力を示す。
グラフの左端は第一実施形態の図11に対応する開状態であって、流出口Bにおける冷媒圧力はケース内圧力P1に等しい。右端は第一実施形態の図14に対応する閉止状態であって冷媒圧力は0である。
第五実施形態においては第一の円弧状溝82hと第二の円弧状溝82jはともにテーパ溝であってなめらかに連続しており、例えば第一の円弧状溝82hはテーパが強く、第二の円弧状溝82jはテーパが弱いので、第一流量制御域での圧力降下は比較的大きく、第二流量制御域での圧力降下は比較的小さく、かつ第一の円弧状溝82hと第二の円弧状溝82jのテーパの度合いを適切に設けることで、弁体80を回動するとともに絞りが強くなるような曲線的な圧力降下特性が得られる。
またさらに第一の円弧状溝82hと第二の円弧状溝82jの溝幅を流出口Bの開口直径より小とすることで、流出口Bの開口面積と比して円弧状溝の断面積を十分に小とすることが容易である。なお、第一の円弧状溝82hと第二の円弧状溝82jは正確な円弧である必要はなく、弁体80が回動した後述する流量制御範囲において、流出口Bの開口と重なる範囲にあればよい。
開状態から弁体80が回動して開放端89が流出口Bの上面を距離L1まで移動して図30(a)の状態に至るまでは圧力は急激に低下する領域Mであり、弁摺接面81が開口端Bを覆って開放端89が第二の圧力降下部として作用して流出口Bの圧力がPd2’まで低下してから以降は第一の流量制御域となる。
さらに第二の流量制御域を経て、円弧状溝82dの接続部82bに対する他端は閉じているので、閉止状態に至る直前に流出口Bは急激に閉じられる、領域Nとなる。なお、第一の流量制御域及び第二の流量制御域は本実施形態の説明のために便宜上設けたものであって、これらの境界部分において可制御性等が低くなるわけではない。
このような流量制御特性を備えるので、第一の流量制御域では絞りが弱く、弁体80の回動に伴う圧力の変化が大なので、比較的大きな流量範囲では圧力調整範囲が大きい特性が得られ、一方第二の流量制御域では絞りが強く、弁体80の回動に伴う圧力の変化が小なので、流量の比較的小さな範囲では圧力調整範囲が小さいので、特に小流量の範囲で流量ないし圧力を精度よく微調整できる特性が得られる。
<作用・効果>
本実施形態によっても第一実施形態と同様の効果を奏することができる。また、非線形テーパとすることで、設計者の目的に合わせて、流量の可制御範囲、制御精度等を調整することができる。
第五実施形態に係る流量制御弁60は、絞りが弱い比較的大きな流量範囲では圧力調整範囲が大きく、絞りが強い小流量の範囲では流量ないし圧力を精度よく微調整できるので、圧力ないし流量を広い範囲で調整しやすく、かつ高精度な流量制御が可能である。
上記にて説明した第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態において、弁体回動角度と圧力の関係の相違を明らかに図示するために図36にまとめて示す。第一実施形態を実線、第二実施形態を一点鎖線、第3実施形態を破線で図示しており、円弧状溝82の形状を第一実施形態においては一様断面溝、第二実施形態においては開放端89が広い先細のテーパ溝、第三実施形態においては途中で断面積が変化する二段溝、の流量制御特性をそれぞれ示す。図36により明らかなように、円弧状溝82の断面形状を適切に設定することにより、種々の流量制御特性が得られる、という効果がある。
≪弁座構造≫
次に、第一実施形態から第五実施形態に係る冷媒切替弁60の弁座構造について、図32を用いて更に説明する。図32は、流量制御弁の第二の弁座プレート67bと弁体80と流出管69の断面を示す拡大部分断面図である。
図32に示すように、第二の弁座プレート67bの外周の第一の弁座プレート67aと嵌合する部分は、直径が縮小されて段差が設けられ、第一の弁座プレート67aと嵌合されて互いにロウ付けされて接合される。
第二の弁座プレート67bの中央には、貫通しない有底のロータ軸穴72が穿設され、弁体軸71を支持するようになっている。また、ロータ軸穴72に隣接して、流出管69の接続される連通孔88(流出管穴87)が開口されている。連通孔88の図示上端面が流出口Bとなっている。ここで、連通孔88(流出管穴87)は、弁体80が配置される側は、直径d0(例えば、φ1mm程度)の連通孔88が開口され、弁体80が配置される側の反対側は、直径(直径d1)が拡大(d1>d0)されており、流出管69が嵌合されてロウ付けされて接合される。
この流出管69の接続される連通孔88は、弁体80の弁体摺接面81に設けられた円弧状溝82に対応して配置するために、弁体軸71に近接した、図11にて説明した半径R(例えば、2−4mm程度)の位置に設ける必要がある。
一方、流出管69は冷媒配管として銅管を用いるのが一般的であり、流出管69を嵌合してロウ付けする流出管穴87は、連通孔88の内径より太い直径d1(例えば、φ3mm程度)であり、ロウ付けする際に第二の弁座プレート67bに対して位置決めするために、ある程度の深さt2(例えば、2mm程度)が必要となる。
ここで、第二の弁座プレート67bの厚さをt0、有底のロータ軸穴72の深さをt1、流出管69を嵌合される深さをt2とすれば、t0>(t1+t2)なる関係を満たせば、ロータ軸穴72と流出管穴87とが干渉して穴があいて流出管69をロウ付けする際にロータ軸穴72にロウが流れ込むことを防止でき、好適である。これは、例えば、t0=5mm、t1=t2=2mmとして実現できる。
なお、弁体軸71は、有底のロータ軸穴72に嵌合されて固定されるものであり、ロウ付けされないので、弁体軸71と第二の弁座プレート67bの接合部にロウが表面張力によって隅部にフィレット状にはみ出すことがなく、はみだしたロウによって弁体が第二の弁座プレート67bへの密着を妨げられることがない、という効果がある。
また、図6から図10に示す弁ケース66と第一の弁座プレート67aの外周とは、溶接、例えばTIG溶接(タングステン・不活性ガス溶接)やレーザ溶接によって密封される構成である。一方、弁体80やアイドラギヤ79は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などの耐熱性樹脂で製作される。弁体80の弁体摺接面81は、わずかな熱変形が生じても冷媒を封止できなくなるおそれがあるので、弁体80の温度上昇を抑制する構成が望ましい。
本実施形態(第一から第五実施形態)に係る流量制御弁60の構成では、弁体80は、ロータ70と同軸に配置され、弁座プレート67(第一の弁座プレート67a、第二の弁座プレート67b)の中心に設けられた弁体軸71のまわりに回動するように配置される構成であり、溶接される外周からは最も遠い位置に配置される。
これにより、溶接時の熱が最も伝わりにくく温度上昇しにくい位置に弁体80が配置されているので、弁ケース66と第一の弁座プレート67aの接合時における弁体80の熱変形を防止するという効果がある。
≪第六実施形態≫
次に、第六実施形態に係る流量制御弁およびこれを備える機器について、図33から図34を用いて説明する。第一乃至第五実施形態と同様の構成についての説明は省略する。
本実施形態では、第二の弁座プレート67bと弁体軸91と弁体80とはともにはロータ70と同軸ではなく、ロータピニオンギヤ75と弁体ギヤ83とが噛合った一段減速の構成となっている。
第一実施形態から第五実施形態の構成においてはロータピニオンから弁体ギヤまでが2段減速であることと比べ、第六実施形態においては1段減速なので減速比が小さいために弁体80の駆動トルクが小であり、かつロータの1ステップあたりの弁体の回動角度が大なることである。本実施形態においても第一実施形態と同様の効果を奏することができる。また、使用する部品点数が少ないため、製造コストの点で好ましい。
本発明は以下の態様を包含する。
第一に、弁体軸を回動軸として回動可能な弁体と、流出口を備える弁座プレートと、を備える流量制御弁であって、前記弁体は、前記弁座プレートに摺接する弁体摺接面を一方の面に有し、前記弁体摺接面は、第一の端部が前記弁体摺接面の空隙部に開口した開放端であり、前記弁体の回動によって、前記開放端から所定長さに亘って前記流出口と重なる円弧状溝を有しており、前記空隙部は、前記弁体の回動によって、前記流出口を露出可能であることを特徴とする流量制御弁。
このようにすることで、全開制御が容易であるため、円弧状溝の断面積を常に流出口Bの面積より常に小さくできるから、第一の圧力降下部及び第二の圧力降下部による圧力降下を大きくすることが容易であり、小流量制御を高精度に実現できる。また、弁体摺接面が空隙部を備えるから、弁座プレートと弁体との接触面積が小さくなり、押圧力が大きくなり、シール性が向上する。
第二に、第一の構成に、さらに、前記空隙部を、前記弁体摺接面の一部が凹形状となるように設け、該空隙部は、前記弁体の回動によって、前記流出口の全部を露出可能であることを特徴とする。
このようにすることで、第一の構成と同様の効果を奏することができる。さらに、空隙部に流入した冷媒による圧力が弁座プレートと弁体とのシールを阻害しないため、シール性がさらに向上する。
第三に、第一又は第二の構成に、さらに、前記弁体の回動によって、前記弁体摺接面は前記流出口の全部を閉塞可能であり、前記流出口の直径は、前記円弧状溝の溝幅より常に大きく、前記円弧状溝の断面積は、前記第一の端部から所定長さに亘って増加せず、かつ少なくとも一度減少することを特徴とする。
このようにすることで、第一又は第二の構成と同様の効果を奏することができる。さらに、流出口の全部を閉塞する全閉制御が可能であり、かつ、設計者の所望に応じた様々な流量制御を実現する流量制御弁を提供できる。
第四に、第一乃至第三の構成に、さらに、当該流量制御弁は、歯車機構を更に備え、該歯車機構は、前記弁体の前記弁体摺接面と異なる面に設けられた弁体ギヤと、前記弁体ギヤと対向する位置に設けられたロータピニオンギヤと、前記ロータピニオンギヤと噛合するアイドラ大歯車と、前記弁体ギヤと噛合するアイドラピニオンと、を備え、前記ロータピニオンギヤと、前記弁体ギヤとは、弁体軸を回動軸として回動可能であり、前記アイドラ大歯車と、前記アイドラピニオンとは、アイドラ軸を回動軸として回動可能であり、前記アイドラピニオンの歯数は、前記アイドラ大歯車の歯数より少ない歯車機構であって、前記弁座プレートは流入口を更に備え、該流入口は、該流入口の平面視において前記アイドラギヤと重ならない位置に設けられていることを特徴とする。
このようにすることで、第一乃至第三の構成と同様の効果を奏することができる。さらに、高精度なステッピングモータ制御が可能となり、かつ、流入冷媒による影響が低減された流量制御弁を提供できる。
第五に、第一乃至第四何れかに記載の流量制御弁を備える機器。
こうすることで、第一乃至第四の構成と同様の効果を奏する流量制御弁を備えた機器を提供できる。
7 冷却器(蒸発器)
17 結露防止配管(冷媒流通部)
51 圧縮機
52 凝縮器
54 減圧手段
55 第一冷媒配管
56 第二冷媒配管
60 流量制御弁
61 ステータケース
62 ステータ
63 コネクタケース
64 コネクタピン
65 コネクタ
66 弁ケース(ケース)
67 弁座プレート(ケース)
67a 第一の弁座プレート
67b 第二の弁座プレート(弁座)
68 流入管
69 流出管
70 ロータ
71 弁体軸
72 ロータ軸穴
73 ロータ軸受
74 ロータ駆動部
75 ロータピニオンギヤ
76 ロータ駆動部先端
77 ロータ駆動軸穴
78 アイドラ軸
79 アイドラギヤ
79a アイドラピニオン
79b アイドラ大歯車
79c アイドラストッパ
80 弁体
81 弁体摺接面
82 円弧状溝
83 弁体ギヤ
84 ストッパ
85 弁体軸穴
86 板バネ(付勢手段)
87 流出管穴
88 連通孔
89 開放端
90 断面積
91 弁体軸
92 左端部
93 空隙部
A 流入口(流入管接続部)
B 流出口(流出管接続部)

Claims (5)

  1. 弁体軸を回動軸として回動可能な弁体と、流出口を備える弁座プレートと、を備える流量制御弁であって、
    前記弁体は、前記弁座プレートに摺接する弁体摺接面を一方の面に有し、
    前記弁体摺接面は、第一の端部が前記弁体摺接面の空隙部に開口した開放端であり、前記弁体の回動によって、前記開放端から所定長さに亘って前記流出口と重なる円弧状溝を有しており、
    前記空隙部は、前記弁体の回動によって、前記流出口を露出可能であることを特徴とする流量制御弁。
  2. 前記空隙部を、前記弁体摺接面の一部が凹形状となるように設け、
    該空隙部は、前記弁体の回動によって、前記流出口の全部を露出可能であることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
  3. 前記弁体の回動によって、前記弁体摺接面は前記流出口の全部を閉塞可能であり、
    前記流出口の直径は、前記円弧状溝の溝幅より常に大きく、
    前記円弧状溝の断面積は、前記第一の端部から所定長さに亘って増加せず、かつ少なくとも一度減少することを特徴とする請求項2に記載の流量制御弁。
  4. 当該流量制御弁は、歯車機構を更に備え、
    該歯車機構は、
    前記弁体の前記弁体摺接面と異なる面に設けられた弁体ギヤと、
    前記弁体ギヤと対向する位置に設けられたロータピニオンギヤと、
    前記ロータピニオンギヤと噛合するアイドラ大歯車と、
    前記弁体ギヤと噛合するアイドラピニオンと、を備え、
    前記ロータピニオンギヤと、前記弁体ギヤとは、弁体軸を回動軸として回動可能であり、
    前記アイドラ大歯車と、前記アイドラピニオンとは、アイドラ軸を回動軸として回動可能であり、
    前記アイドラピニオンの歯数は、前記アイドラ大歯車の歯数より少ない歯車機構であって、
    前記弁座プレートは流入口を更に備え、該流入口は、該流入口の平面視において前記アイドラギヤと重ならない位置に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の流量制御弁。
  5. 請求項1乃至4何れか一項に記載の流量制御弁を備える機器。
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