JP2015074595A - 封着材料および真空複層ガラス - Google Patents

封着材料および真空複層ガラス Download PDF

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Abstract

【課題】接着強度が高く、発泡が抑制された封着材料を提供する。
【解決手段】封着材料は、粉砕されていない結晶性ビスマス系ガラスからなり、かつ低膨張充填材を含まないことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、封着材料および真空複層ガラスに関する。
従来、複層ガラスにおける封着材料として、低融点ガラスが使用されている。このような低融点ガラスとして、鉛系ガラス、バナジウム系ガラス、リン酸スズ系ガラス、ビスマス系ガラスが使用されている。これらのガラス系はガラス転移温度が低いことに特徴があるが、一般的なソーダ石灰ガラスに比べて膨張係数が大きいことから、低膨張充填材を必要とする。
また、鉛系ガラスは、ブラウン管のパネルとファンネルのシール材料として十分な実績を有するが、鉛を含むため環境上の観点から使用しないことが好ましい。バナジウム系ガラスについても、非常に高価であることから使用しないことが好ましい。
リン酸スズ系ガラスは、耐候性および接着強度が必ずしも十分でない。また、複層ガラスに使用される一般的なガラス板(ソーダ石灰ガラス板)に比べて特に熱膨張係数が大きいことから、熱膨張係数を低減するために低膨張充填材を併用する必要がある。低膨張充填材を併用する場合、低膨張充填材に付着して不純物が混入しやすい。不純物が混入すると、封着時の熱処理により不純物が気化して発泡が生じやすい。特に、間隙部が大気圧未満となる複層ガラス(真空複層ガラス)の場合、大気圧未満で封着が行われることから、さらに発泡が生じやすくなる。発泡が生じると、気密性が低下しやすくなり所望の特性が得られなくなる。
ビスマス系ガラスは、リン酸スズ系ガラスに比べて、耐候性および接着強度が良好である。しかし、リン酸スズ系ガラスと同様、特に低膨張充填材を併用する必要があり、低膨張充填材に付着して不純物が混入しやすい。なお、ビスマス系ガラスとして、結晶性、非結晶性のものが知られており、用途に応じて結晶性または非結晶性が選択される。例えば、封着後の再加熱による軟化流動を抑制する場合には、結晶性のものが選択される。(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開2006−321665号公報 特開2008−230943号公報
上記したように、複層ガラスにおける封着材料として、低融点ガラスが使用されている。しかし、低膨張充填材が併用される場合、低膨張充填材に付着して不純物が混入しやすい。
また、低融点ガラスとして、通常、ガラスフリットが使用される。しかし、ガラスフリットは、粉末であるため比表面積が大きいことから不純物が付着しやすく、不純物が混入しやすい。さらに、ガラスフリットは、有機バインダを含有するビヒクルが混合されてペーストとして使用されることから、有機バインダが不純物として残留しやすい。不純物が混入すると、封着時の熱処理により不純物が気化して発泡が生じやすい。発泡が生じると、複層ガラスの気密性が低下しやすくなり所望の特性が得られなくなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、接着強度が高く、かつ発泡が抑制された封着材料の提供を目的とする。また、本発明は、このような封着材料からなる封着層を有する真空複層ガラスの提供を目的とする。
本発明の封着材料は、粉砕されていない結晶性ビスマス系ガラスからなり、かつ低膨張充填材を含まないことを特徴とする。
本発明の真空複層ガラスは、少なくとも一対のガラス板と、この一対のガラス板間に配置され、一対のガラス板の間隙部を大気圧未満の圧力状態に保持する封着層とを有する。封着層は、本発明の封着材料からなる。
本発明によれば、接着強度が高く、かつ発泡が抑制された封着材料が提供される。また、本発明によれば、このような封着材料からなる封着層を有する真空複層ガラスが提供される。
真空複層ガラスの一実施形態を示す斜視図。 図1に示す真空複層ガラスの断面図。 図1、図2に示す真空複層ガラスの製造方法を説明する図。
以下、本発明の封着材料について説明する。
本発明の封着材料は、粉砕されていない結晶性ビスマス系ガラスからなり、かつ低膨張充填材を含まないことを特徴とする。ここで、本発明の封着材料は、少なくとも封着時に粉砕されていないことを必要とする。従って、粉砕されて封着に使用されるものは、本発明の封着材料から除かれる。
本発明の封着材料によれば、接着強度が高くなり、かつ発泡が抑制される。すなわち、ビスマス系ガラスが使用されることから、接着強度が高くなる。
また、結晶性を有することから、封着時に結晶が析出して熱膨張係数が低下する。これにより、一般的なソーダ石灰ガラスの熱膨張係数に近いものとなることから、低膨張充填材の使用を省略できる。また、低膨張充填材の使用が省略されることで、低膨張充填材の使用による不純物の混入が抑制される。なお、低膨張充填材とは、一般的に、封着材料を構成するガラスとは別に加えられるものであって、上記ガラスに比べて熱膨張係数が小さいものである。本発明における低膨張充填材とは、結晶性ビスマス系ガラスとは別に加えられるものであって、結晶析出後の結晶性ビスマス系ガラスよりも熱膨張係数が小さいものを意味する。本発明の封着材料は、少なくとも低膨張充填材を含んでいなければよいが、不純物の混入の原因となるものを含まないことが好ましく、通常、ガラスの構成成分以外の成分を含まないことが好ましい。
さらに、粉砕されていないことから比表面積が小さく、不純物が付着しにくくなり、粉砕による不純物の混入も抑制される。また、粉砕されていないことからビヒクルも不要となり、有機バインダの残留による不純物の混入も抑制される。このように不純物の混入が抑制されることから、不純物を原因とする発泡が抑制される。これにより、真空複層ガラス等における封着層の形成に使用したとき、気密性の良好な封着層を形成できる。
ここで、結晶性とは、示差熱分析(DTA、空気中、昇温速度10℃/分、室温から測定開始)で600℃までに結晶化ピークが発現することを意味する。通常、封着は600℃以下で行われることから、封着層に結晶が析出していれば結晶性のガラスが使用されたものと同視できる。
なお、結晶が析出すると、通常、熱膨張係数が低下する。従って、封着前に比べて熱膨張係数が低下していれば、結晶性のガラスが使用されたものと同視できる。また、通常、封着前の熱膨張係数は95×10−7/℃を超えることから、封着後の熱膨張係数が95×10−7/℃以下であれば結晶性のガラスが使用されたものと同視できる。なお、本明細書において、熱膨張係数とは、TMA装置により50〜350℃の温度範囲で測定される平均熱膨張係数を意味する。
本発明の封着材料は、少なくとも一対のガラス基板間に配置させるとき粉末状の材料を含んでいなければよく、製造段階での粉砕の有無は必ずしも問われない。しかし、製造段階で粉砕されていないことが好ましく、具体的には、ガラスの製造後に粉砕されていないことが好ましい。例えば、ガラスを粉砕してから再び溶融して製造されるものの場合、最終的な形態としては粉砕されていないとしても、製造段階で比表面積が大きくなるために不純物が付着しやすく、不純物の混入のおそれがある。製造段階で粉砕されていないことで、不純物の混入が抑制され、さらに不純物を原因とする発泡が抑制される。
ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、Bi、B、およびZnOを含むことが好ましい。上記成分を含むことで、封着時の熱処理により結晶が析出しやすくなる。なお、ビスマス系ガラスは、必要に応じて、上記成分以外の成分を含むことができる。
ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、モル%表示で、Bi 25〜45%、B 15〜40%、およびZnO 20〜50%を含むことが好ましい。上記割合によれば、さらに封着時の焼成により結晶が析出しやすくなる。本明細書において、単なる「%」表記はモル%を示すものである。
Biは、ガラスの軟化点を下げるための主要成分であり、また析出結晶の結晶構成成分となる。その含有量は25〜45%である。Biの含有量が25%以上の場合、ガラスの軟化点が低下して、低温での封着が容易になることに加えて、結晶化が起こりやすくなる。好ましくは30%以上であり、より好ましくは31.5%以上であり、さらに好ましくは33%以上である。また、Biの含有量が45%以下の場合、ガラス化しやすく、熱膨張係数が大きい12Bi・B結晶の析出が抑制される。好ましくは43%以下であり、より好ましくは42%以下であり、さらに好ましくは41%以下である。
は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを構成するために必須の成分である。その含有量は15〜40%である。Bの含有量が15%以上の場合、ガラス化しやすくなる。好ましくは20%以上であり、より好ましくは22%以上であり、さらに好ましくは24%以上である。また、Bの含有量が40%以下の場合、結晶化が起こりやすくなる。好ましくは33%以下であり、より好ましくは32%以下であり、さらに好ましくは31%以下である。
ZnOは、溶融時にガラスの失透を抑制する効果があり、また熱膨張係数が小さい結晶を析出させるために必須の成分である。その含有量は20〜50%である。ZnOの含有量が20%以上の場合、熱膨張係数が小さい結晶が析出しやすくなる。好ましくは30%以上であり、より好ましくは31.5%以上であり、さらに好ましくは33%以上である。また、ZnOの含有量が50%以下の場合、溶融時に失透が抑制される。好ましくは45%以下であり、より好ましくは44%以下であり、さらに好ましくは43%以下である。
モル比Bi/ZnOは、0.5〜2.0が好ましい。モル比Bi/ZnOが上記範囲内の場合、熱膨張係数が小さい結晶が析出しやすくなる。モル比Bi/ZnOは、0.6〜1.9がより好ましい。
モル比B/ZnOは、0.4〜1.6が好ましい。モル比B/ZnOが上記範囲内の場合、熱膨張係数が小さい結晶が析出しやすくなる。モル比B/ZnOは、0.5〜1.5がより好ましい。
ビスマス系ガラスは、上記成分以外にも、任意成分として、以下の成分を添加できる。
CuOは、溶融時の失透を抑制する効果を有する。また、CuOは、還元雰囲気(窒素やアルゴンなどによる置換により、酸素が少ない雰囲気)や真空中で、ビスマスガラスのビスマスの還元を防ぐ効果があり、酸化剤としての効果を有する。これにより、還元雰囲気や真空中で加熱を行っても、発泡現象が抑えられる効果を有する。その含有量は、0〜20%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0.1〜3%がさらに好ましい。CuOの含有量が20%以下の場合、ガラス組成のバランスが良好となり、溶融時の失透が抑制される。
Feは、溶融時の失透を抑制する効果を有する。その含有量は、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましく、0.1〜3%がさらに好ましい。Feの含有量が5%以下の場合、ガラス組成のバランスが良好となり、ガラスが熱的に安定する。
CeOは、酸化剤の効果を有し、溶解時に酸素を放出し、失透を抑制する。その含有量は、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましく、0.1〜3%がさらに好ましい。CeOの含有量が5%以下の場合、失透する結晶を制御できる。
SiO、Alは、耐候性を高める効果を有する。その含有量は、合量(SiOおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種)で、0〜7%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜3%がさらに好ましい。合量が7%以下の場合、ガラスの軟化点が低下して低温での封着が容易となり、また結晶化が起こりやすくなる。
ZrOおよびTiOは、封着時に結晶の核生成剤となる。その含有量は、合量(ZrOおよびTiOからなる群から選ばれる少なくとも1種)で、0〜10%が好ましく、0〜8%がより好ましく、0.1〜5%がさらに好ましい。合量が10%以下の場合、結晶の核生成剤となり、体積結晶化しやすくなる。
BaO、SrO、MgO、およびCaOは、溶融時の失透を抑制する効果を有する。その含有量は、合量(BaO、SrO、MgOおよびCaOからなる群から選ばれる少なくとも1種)で、6%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましい。合量が6%以下の場合、ガラスの軟化点が低下して低温での封着が容易となり、また結晶化が起こりやすくなる。
Sbは、結晶の析出時期を制御する効果を有する。その含有量は、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましく、0〜1%がさらに好ましい。Sbの含有量が5%以下の場合、ガラス組成のバランスが良好となり、失透が抑制されるとともに、結晶の析出時期が制御しやすくなる。
WOは、結晶の析出時期を制御する効果を有する。その含有量は、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましく、0〜1%がさらに好ましい。WOの含有量が5%以下の場合、ガラス組成のバランスが良好となり、失透が抑制されるとともに、結晶の析出時期が制御しやすくなる。
In、Gaは、結晶の析出時期を制御する効果を有する。その含有量は、合量(InおよびGaからなる群から選ばれる少なくとも1種)で、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましく、0〜1%がさらに好ましい。合量が5%以下の場合、ガラス組成のバランスが良好となり、失透が抑制されるとともに、結晶の析出時期が制御しやすくなる。
LiO、NaO、KO、CsO、MoO、La、Gd、Y等は、合量で10%まで含有できる。LiO、NaO、KO、およびCsO等のアルカリ金属酸化物は、ガラスの軟化点を低くする成分である。なお、アルカリ金属酸化物は、失透を促進する作用を有することから、その含有量は合量で2%以下が好ましい。La、GdおよびY等の希土類酸化物は、ガラスを熱的に安定化する成分であるが、これらの成分の合量が5%より多いと、ガラスの軟化点が高くなる。
ビスマス系ガラスは、Bi、B、およびZnOから選ばれる少なくとも1種からなる結晶を析出することが好ましい。このような結晶が析出すると、一般にビスマス系ガラスの熱膨張係数が小さくなるために好ましい。
一般に、ビスマス系ガラスを焼成した場合、α−Bi等のBi系結晶、2Bi・B、12Bi・B等のBi−B系結晶、2Bi・B・ZnO、Bi・B・2ZnO等のBi−B−ZnO系結晶、ZnO・B等のB−ZnO系結晶等が析出する。なお、12Bi・B結晶の熱膨張係数は約160×10−7/℃であり、結晶化前のビスマス系ガラスの熱膨張係数よりも大きい。しかし、ガラス組成の調整により、12Bi・B結晶の析出を抑制できる。
本発明の封着材料は、封着時の熱処理により熱膨張係数が95×10−7/℃以下となることが好ましく、75×10−7/℃以下となることがより好ましい。特に、450〜600℃の熱処理により75×10−7/℃以下となることが好ましく、450〜550℃の熱処理により75×10−7/℃以下となることがより好ましい。真空複層ガラス等に一般的に使用されるソーダ石灰ガラス板の熱膨張係数が85〜90×10−7/℃であることから、封着時の熱処理により熱膨張係数が95×10−7/℃以下となる場合、特に75×10−7/℃以下となる場合、真空複層ガラス等の製造に好適なものとなる。なお、封着材料の熱膨張係数、すなわち、熱処理前の熱膨張係数は、通常、95×10−7/℃を超えるものである。
また、本発明の封着材料は、ガラス転移点Tgが350〜420℃であることが好ましい。上記ガラス転移点Tgの場合、真空複層ガラス等の製造に好適な封着温度となる。ガラス転移点Tgは、360〜400℃がより好ましい。
さらに、本発明の封着材料は、表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で、0.5μm以下が好ましい。表面粗さが0.5μm以下の場合、真空複層ガラス等に使用されるガラス板との密着性が良好なるために好ましい。表面粗さは、0.3μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。
また、本発明の封着材料は、平均粒径が1〜40μm程度の同体積の粉砕物に比べて、カーボン量が半分以下であることが好ましい。特に、本発明の封着材料のカーボン量は、50ppm以下が好ましく、40ppm以下がより好ましく、30ppm以下がさらに好ましい。本発明の封着材料は、低膨張充填材を含まず、かつ粉砕されていないことから不純物の混入が抑制され、カーボンを初めとする不純物の含有量が極めて少なくなる。
封着材料の形状は、粉砕されていなければよく、従来のフリット状に対してバルク状であれば特に制限されない。なお、封着材料自体の生産性、封着時の作業性等の観点から、棒状、帯状等が好ましい。棒状、帯状等の場合、必ずしも直線状に延びるものに限られず、一部に屈曲部を有するものでもよいし、封着層と同様な枠状を有するものでもよい。
封着材料の長さは、封着層の周方向の長さに応じて適宜設定される。例えば、封着層が四角形状の場合、封着材料の長さは、封着層の1辺毎の長さでもよいし、1辺を複数に分割した長さでもよいし、4辺を合わせた長さでもよい。なお、封着材料の長さが短すぎると、多数の封着材料を繋ぎ合わせるようにして使用する必要があるために作業性が低下することから、封着材料の長さは5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。
封着材料の長手方向に対して垂直な断面の形状は、円形状、四角形状等、特に制限されない。なお、円形状の場合、封着時にガラス板上に配置したときに不安定となるために作業性が低下することから、四角形状等の多角形状が好ましい。また、所定の接着強度や気密性を有する封着層を形成する観点から、上記断面の面積は、0.1mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。通常、断面の面積は、0.1mmもあれば十分である。
本発明の封着材料は、例えば、所定のガラス組成となるように、酸化物、炭酸塩等の原料を混合し、900〜1300℃で溶融させた後、所定の形状に成形して製造される。成形方法は、所定の形状に成形できれば特に制限されず、溶融物を金型内に流し出して成形する方法でもよいし、溶融物をノズルから引出して成形する方法でもよい。また、原料の溶融後に直接成形する方法に限られず、一度冷却して固化させた後、再び溶融させて成形する方法でもよい。
なお、原料の溶融から封着材料の完成までの期間については、ガラスを粉砕する工程を行わないことが好ましい。ガラスを粉砕する工程が行われると、比表面積が大きくなるために不純物が付着しやすく、不純物の混入のおそれがある。
次に、本発明の封着材料が適用される真空複層ガラスについて説明する。
図1は、本発明の封着材料が適用される真空複層ガラスの一実施形態を示す斜視図であり、一部が切り欠かれた状態を示す一部切り欠き図である。図2は、図1に示す真空複層ガラスの側部断面図である。
真空複層ガラス10は、一対のガラス板11、12が間隙部13を介して対向配置される。一対のガラス板11、12は、その周縁部において封着層14により接合される。封着層14は、一対のガラス板11、12の間隙部13を減圧状態に保持する。また、封着層14は、本発明の封着材料からなる。
図示しないが、一対のガラス板11、12の間隙部13には、間隙部13の厚さを一定の厚さに維持するとともに、一対のガラス板11、12に加わる大気圧荷重を支えるために、円柱状等の圧力保持部材が間隔を開けて多数配置されてもよい。
本発明の封着材料は、このような真空複層ガラス10における封着層14の形成に好適に用いられる。本発明の封着材料によれば、一対のガラス板11、12が良好に接着される。また、本発明の封着材料によれば、特に、封着層14における発泡が抑制され、気密性に優れたものとなる。
ガラス板11、12の種類は、特に限定されないが、安価であることからソーダ石灰ガラス、特にフロート法により成形されるソーダ石灰ガラスが最も一般的である。
なお、ガラス板11、12は、必要に応じて所望の特性が付与されたものでもよい。具体的には、加熱処理、化学変性等により表面に圧縮応力層が形成された強化ガラス、ソーダ石灰ガラス成分に、コバルト、鉄、セレン、ニッケル等の微量金属が加えられた熱線吸収ガラス、不純物が低減されて可視光域において均一な分光特性を有する高透過ガラス、ロールアウト法により成形されて表面に独特の型模様を有する遮蔽性・意匠性が付与された型板ガラス、表面に細かな凹凸が設けられて反射が抑制された低反射ガラス、フロート法により成形されたガラスの表面がすり加工されて遮蔽性・意匠性が付与されたすりガラス、ガラス表面にTiO膜・TiN膜等が形成された熱線反射ガラス、フッ素をドープした酸化スズのような透明導電性酸化物膜、酸化物/銀/酸化物のような多層膜が形成されて長波長の熱放射を反射する特性が付与されたLow−Eガラス、金網または金属線が封入された網入りガラス、線入りガラス等が挙げられる。また、ガラス組成についても、ホウケイ酸ガラス、アルカリバリウムガラス、シリカガラス、リチウムアルミナケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラスでもよい。
ガラス板11、12の厚みは、使用するガラスの種類、必要とされる機械的強度等に応じて適宜選択することができる。一般的には、0.1〜20mm程度が好ましい。
圧力保持部材は、ガラス板11、12に加わる大気圧荷重を支えることができるものであればよい。圧力保持部材の構成材料として、公知の材料を使用できる。具体的には、鉄、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル、クロム、チタン等の金属材料、炭素鋼、クロム鋼、ニッケル鋼、ニッケルクロム鋼、マンガン鋼、クロムマンガン鋼、クロムモリブデン鋼、ケイ素鋼、真鍮、ハンダ、ジュラルミン等の合金材料、セラミックス材料、ガラス材料等が挙げられる。
次に、真空複層ガラス10の製造方法について説明する。
図3は、真空複層ガラス10の製造方法を説明するための斜視図である。
まず、一方のガラス板11の周縁部に、本発明の封着材料14aを枠状に配置する。例えば、ガラス板11の各辺に沿って1個ずつ、計4個の封着材料14aが配置される。個々の封着材料14aは、例えば、直線状に延びる棒状であり、長手方向に垂直な断面の形状が四角形状である。
なお、封着材料14aの断面形状は、必ずしも四角形状に限定されず、円形状等の他の形状でもよい。また、封着材料14aの長さは、ガラス板11の各辺と同様の長さである必要はなく、各辺よりも短いものであって繋ぎ合わせるようにして使用されるものでもよいし、ガラス板11の周縁部を一周するような切れ目のない連続した枠状形状でもよい。
封着材料14aの配置後、封着材料14aを介してガラス板11、12を積層して組立体10aとする。その後、例えば、内部が減圧状態の真空チャンバ内において、ガラス板12を上方から加圧しながら組立体10aを熱処理する。これにより、ガラス板11、12が封着層14によって接合されるとともに、間隙部13が減圧状態に保持された真空複層ガラス10が得られる。
熱処理条件は、封着層14に結晶を析出させることができれば必ずしも制限されないが、熱処理温度は、450〜600℃が好ましく、熱処理時間は、1〜60分が好ましい。このような熱処理温度および熱処理時間とすることで、結晶が析出しやすくなる。熱処理温度は、450〜550℃がより好ましく、熱処理時間は、10〜50分がより好ましい。
以上、本発明の封着材料を真空複層ガラスに適用した場合について説明したが、本発明の封着材料は、必ずしも間隙部が減圧状態に保持される真空複層ガラスへの適用に限られず、間隙部が減圧状態とならない複層ガラスに適用することもできる。また、本発明の封着材料は、複層ガラス、真空複層ガラスに限られず、一対のガラス板を接着する用途に広く適用できる。
以下、実施例を参照して詳細に説明する。
なお、本発明は、これらの実施例によって限定されない。
(例1〜15)
表1に示すガラス組成となるように原料となる酸化物または炭酸塩等を調合し、これを白金坩堝に入れて900〜1200℃で1時間溶融した。この溶融物について、一部を金型に流し出して、熱膨張係数、ガラス転移点Tg、屈伏点Atを測定するための試料とし、その他は薄板状に成形した後、ボールミルにて粉砕して、流動性を測定するための試料とした。なお、例1〜15は、本発明の実施例である。
上記試料を用いて、熱膨張係数、ガラス転移点Tg、屈伏点At、流動性を測定した。ここで、熱処理後の熱膨張係数は、結晶性の有無の指標となるものである。すなわち、熱処理後の熱膨張係数は、封着後の封着材料の熱膨張係数(封着層の熱膨張係数)に相当する。熱処理後の熱膨張係数が95×10−7/℃以下の場合、結晶の析出により熱膨張係数が低下したことから結晶性を有すると判断できる。
ガラス転移点Tg、屈伏点At、熱膨張係数は、TMA装置により測定した。また、熱膨張係数は、熱処理していないものと、500℃で30分間の熱処理を行ったものとの2種について、50〜350℃の範囲で測定を行った。流動性は、ガラス粉末を直径12.7mm(1/2インチ)の型でプレス成形してフローボタン(FB)を作製し、500℃、30分間の熱処理を行ったときの直径を測定した。
Figure 2015074595
表1から明らかなように、ガラス組成として、モル%表示で、Bi 25〜45%、B 15〜40%、ZnO 20〜50%を含むビスマス系ガラスによれば、流動性が良好で、かつ結晶性を有するものが得られる。
(例16〜21)
次に、表2に示すガラス組成となるように原料となる酸化物または炭酸塩等を調合し、白金坩堝に入れて900〜1200℃で1時間溶融した。この溶融物について、一部を金型に流し出してバルク状の試料(例16、18、20)とし、その他は薄板状に成形した後、ボールミルにて粉砕して、フリット状の試料とした(例17、19、21)。なお、バルク状試料の大きさは5mm×5mm×1mmであり、フリット状試料の平均粒径は5〜20μmである。また、例16、18、20が本発明の実施例であり、例17、19、21が比較例である。
上記試料を用いて、カーボン量を測定した。なお、カーボン量の測定は、カーボン計(HORIBA社製、商品名:EMIA−321V)を用いて行った。また、バルク状試料については、中心線平均粗さ(Ra)を測定した。なお、中心線平均粗さ(Ra)の測定は、表面粗さ測定機(株式会社小坂製作所、商品名:Surfcorder ET4000)を用いて行った。測定方法は、ISO4287(1997年)に準ずる。
ここで、カーボンは、封着層の形成に用いたときに、封着層に発泡を生じさせて気密性を低下させる原因となる不純物の代表例として取り上げたものである。カーボン量は、各種の不純物量の指標となり、カーボン量が多いほど各種の不純物量が多いことを示す。
Figure 2015074595
表2から明らかなように、バルク状の試料の場合、フリット状の試料に比べて、カーボン量が半減する。従って、封着材料をバルク状とすることで、フリット状のものに比べて各種の不純物量を低減でき、封着に使用したときに発泡を抑制でき、気密性に優れる封着層を形成できることがわかる。
10…真空複層ガラス、10a…組立体、11,12…ガラス板、13…間隙部、14…封着層、14a…封着材料。

Claims (8)

  1. 粉砕されていない結晶性ビスマス系ガラスからなり、かつ低膨張充填材を含まないことを特徴とする封着材料。
  2. 前記結晶性ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、Bi、B、およびZnOを含む請求項1記載の封着材料。
  3. 前記結晶性ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、モル%表示で、Bi 25〜45%、B 15〜40%、およびZnO 20〜50%を含む請求項2記載の封着材料。
  4. 前記結晶性ビスマス系ガラスは、Bi、B、およびZnOから選ばれる少なくとも1種からなる結晶を析出する請求項1乃至3のいずれか1項記載の封着材料。
  5. 前記封着材料は、カーボン量が50ppm以下である請求項1乃至4のいずれか1項記載の封着材料。
  6. 前記封着材料は、棒状または帯状を有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の封着材料。
  7. 前記封着材料は、真空複層ガラスにおける封着層の形成に用いられる請求項1乃至6のいずれか1項記載の封着材料。
  8. 一対のガラス板と、前記一対のガラス板間に配置され、前記一対のガラス板の間隙部を大気圧未満の圧力状態に保持する封着層とを有する真空複層ガラスであって、
    前記封着層が請求項1乃至7のいずれか1項記載の封着材料からなることを特徴とする真空複層ガラス。
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