JP2015072360A - 断面積急変部を備えた消音器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の消音器1は、媒体2を区画する第1側壁3と、第1側壁3の一側面3Aから張り出しかつ媒体2を囲繞して第1内部空間2Aを形成する第1周囲壁9と、第1側壁3中に設けられて第1断面積急変部5Aを形成しかつ第1周囲壁9の第1内部空間2Aと第1側壁3の他側面3Bとの間で媒体2の流通を可能にするオリフィス5と、を備える。さらに、消音器1は、オリフィス5の周縁5Eから第1内部空間2Aへ張り出した第1多孔質筒状体7を備え、かつ、第1多孔質筒状体7の張り出し長さLが、オリフィス5の径Dの0.1〜1倍の範囲に設定されていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
媒体を区画する第1側壁と、
第1側壁の一側面から張り出しかつ前記媒体を囲繞して第1内部空間を形成する第1周囲壁と、
第1側壁中に設けられて第1断面積急変部を形成しかつ第1周囲壁の第1内部空間と第1側壁の他側面との間で前記媒体の流通を可能にするオリフィスと、
を備えた消音器であって、かつ、
前記オリフィスの周縁から第1内部空間へ張り出した第1多孔質筒状体をさらに備え、
第1多孔質筒状体の張り出し長さが、前記オリフィスの径の0.1〜1倍の範囲に設定されていることを特徴とする消音器。
(態様2)
第1側壁の前記他側面から張り出しかつ前記媒体を囲繞して第2内部空間を形成する第2周囲壁と、をさらに備えることを特徴とする態様1に記載の消音器。
(態様3)
前記オリフィスの周縁から第2内部空間へ張り出した第1追加多孔質筒状体と、
をさらに備え、かつ、
第1追加多孔質筒状体の張り出し長さが、前記オリフィスの径の0.1〜1倍の範囲にされていることを特徴とする態様2に記載の消音器。
(態様4)
互いに離間して配置された状態で媒体を区画する第1・第2側壁と、
第1・第2側壁の一側面の間を連結しかつ前記媒体を囲繞して第1内部空間を形成する第1周囲壁と、
第1・第2側壁中に設けられて第1・第2断面積急変部を形成しかつ第1周囲壁の第1内部空間と第1・第2側壁の他側面との間で前記媒体の流通を可能にする第1・第2オリフィスと、
を備えた消音器であって、かつ、
第1・第2オリフィスの周縁から第1内部空間へ張り出した第1・第2多孔質筒状体をさらに備え、
第1・第2多孔質筒状体の張り出し長さが、第1・第2オリフィスの径の0.1〜1倍の範囲に夫々設定されていることを特徴とする消音器。
(態様5)
第1側壁の前記他側面から張り出しかつ前記媒体を囲繞して第2内部空間を形成する第2周囲壁と、
第2側壁の前記他側面から張り出しかつ前記媒体を囲繞して第3内部空間を形成する第3周囲壁と、
の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする態様4に記載の消音器。
(態様6)
第1・第2オリフィスの周縁から第2・第3内部空間へ張り出した第1・第2追加多孔質筒状体の少なくとも一方をさらに備え、かつ、
第1・第2追加多孔質筒状体の張り出し長さが、第1・第2オリフィスの径の0.1〜1倍の範囲に設定されていることを特徴とする態様5に記載の消音器。
(態様7)
互いに離間して配置された状態で媒体を区画する第1・第2側壁と、
第1・第2側壁の一側面の間を連結し前記媒体を囲繞して第1内部空間を形成する第1周囲壁と、
第1・第2側壁中に設けられて第1・第2断面積急変部を形成し、第1周囲壁の第1内部空間と第1・第2側壁の他側面との間で前記媒体の流通を可能にする第1・第2オリフィスと、
を備えた消音器であって、かつ、
第1内部空間の軸方向長さは第1・第2オリフィスの径よりも大きく、
第1・第2側壁の間に、第1内部空間を分割するようにオリフィス付きの追加側壁が少なくとも一つ設けられ、
各々の追加側壁の軸方向のピッチが、前記オリフィスの径の0.2〜2倍の範囲に設定されており、
隣接する前記オリフィスのいずれかの区間は多孔質筒状体で連結されていることを特徴とする消音器。
(態様8)
前記多孔質筒状体が不織布で作られていることを特徴とする態様1〜7のいずかに記載の消音器。
図1(a)は、実施例1の消音器1の断面構造を示した概略図である。実施例1の消音器1は、具体的には、互いに離間して配置された状態で媒体2を区画する第1・第2側壁3,4と、第1・第2側壁3,4の一側面3A,4Aの間に区画された媒体2を囲繞した第1内部空間2Aを形成する第1周囲壁9と、第1・第2側壁3,4中に設けられて第1周囲壁9の第1内部空間2A(以下の実施例によっては「拡張室」とも呼ぶ。)と第1・第2側壁3,4の他側面3B,4Bとの間で媒体2の流通を可能にする第1・第2オリフィス5,6と、を備える。
なお、図1(b)に、実施例1の変形例を示す。この変形例の消音器1は、図1の構成の他に、第1側壁3の他側面3Bから張り出しかつ媒体2を囲繞して第2内部空間2Bを形成する第2周囲壁25と、第2側壁4の他側面4Bから張り出しかつ媒体2を囲繞して第3内部空間2Cを形成する第3周囲壁35と、の少なくとも一方(図示では両方)を備えていてもよい。
なお、配管の一部分たる第1周囲壁9の管径(内直径)は、減音したい周波数に対して平面波が成立する直径以下に設定されていることが好ましい。例えば、配管(第1周囲壁9)の内直径が音波波長の0.58倍以下であれば音波は平面波として軸方向Oにのみ伝搬すると言える。
本発明者は、上述のように急拡大直後または急縮小直前の狭い領域5A,6Aでは半径方向の音波の伝搬が局所的に存在し、当該部分5A,6Aを音響的に特段の対処を施すことが最も肝要であることを見出し、本発明を想到したのである。
図2(a)は、実施例2の消音器1の構造を示した概略図である。具体的には、媒体2を区画する第1側壁3と、第1側壁3の一側面3Aから張り出しかつ媒体2を囲繞して第1内部空間2Aを形成する第1周囲壁9と、第1側壁3中に設けられて第1周囲壁9の第1内部空間2Aと第1側壁3の他側面3Bとの間で媒体2の流通を可能にするオリフィス5と、が設けられる。さらに、この消音器1は、オリフィス5の周縁5Eから第1内部空間2Aへ張り出した第1多孔質筒状体7を備え、かつ、第1多孔質筒状体7の張り出し長さLが、オリフィス5の径(内径)Dの0.1〜1倍の範囲に設定されていることを特徴とする。
図2(b)は、実施例2の変形例を示した概略図である。実施例2の変形例は、実施例2にて説明した上記各構成要素と略同様であるが、これらに加え、以下の構成要素を備える。
本発明者は、本発明の作用効果を確認するための実証試験を行った。
図3に、実証試験用の測定装置を示す。この測定装置は、4マイクロホンインピーダンス測定管を用いて音響透過損失(TL)の測定を行うものである。具体的には、測定装置は、内直径29mmを有したインピーダンス測定管(B&K 4206T型)内に、測定対象である消音器サンプルが設置され、サンプル前後の測定管壁面にマイクロホンが2本ずつ取り付けられた構成をしている。信号発生器及び増幅器にて基準信号による音波を発生させ、音波がサンプルを透過する前後の音圧を各マイクロホンで測定し、測定データをAD変換器及び計測ソフトウェアにてデータの取得・解析を行うことが可能である。このインピーダンス測定管において平面波が成立する周波数は6.8kHzまでである。従って、後述の測定結果(図5〜図8及び図10に示す各グラフ)に示す周波数範囲では平面波が成立していることになる。なお、ここで詳細は省略するが波動方程式に基づく理論計算も行い、上記測定装置を用いた実験結果との比較検討も行った。両者の傾向が一致し、理論的にも動作の説明が出来た。
図4(e)に示すように、側壁3(以下、「リング」とも呼ぶ。)にオリフィスのみが設けられたサンプル(実際には、オリフィスの内周縁には不織布7が設けられているが、リング3の外側へは突出させてはいないサンプル)を用意し比較例とした。一方、図4(a)〜(d)に示すように、リング3から不織布7が一方の外側へ軸方向Oに突出させたサンプル(L=5,10,15,35mm)を幾つか用意し、これらを実施例4とした。なお、図4(f)は、図4(a)〜(e)のサンプルの側面を示した図である。
次に、図6(a)及び(b)に示すように、断面積急縮小部と断面積急拡大部との間に挟まれ空間的に狭くなった領域(絞り長さは45mm)を有した管を用意し、断面積急縮小部の直前のみに不織布7(突出長さは5mm)を設置したサンプル(つまり、片側のみのサンプル(f))と、断面積急縮小部の直前及び断面積急拡大部の直後に不織布7(突出長さは夫々5mm)を設置したサンプル(つまり、両側付きサンプル(g))と、を実施例として用意し、これらの透過損失を上記装置で評価した。なお、不織布7を設置しない絞りのみのサンプル(不織布なしのサンプル(h))も比較例として用意し、この透過損失を上記装置で評価した。
次に、円筒管9内に上流側と下流側にオリフィス5,6付きの側壁3,4を設けた消音器1(二重オリフィス消音器とも呼ぶ。)を用意し(図1(a)を参照)、上流側オリフィス5直後の断面積急拡大部5Aと、下流側オリフィス6直前の断面積急縮小部6Aと、の双方に軸方向長さ5mm又は10mmを有した筒状多孔質体(筒状不織布)7,8を設けた。また、オリフィス5,6間のギャップが35mmの場合と55mmの場合の2つの消音器1を用意した。これらの筒状不織布7,8を設置した構成を実施例(後述の図7の各図では「eliminate」と表記)とした。
以上の実証試験において単純円筒状不織布7,8を使用したが、これ以外のものも用意した。具体的には、不織布7として、末広がりの円錐状を有するもの(図8(a)中央の図形を参照)やL字状断面を有するもの(図8(a)右側の図形を参照)を用意し、これらの透過損失を測定し、比較検討を行った。また、円筒状不織布7と同様の外形を有した筒状金網も併せて用意し、透過損失を測定した。
次に、図9(a)及び(b)に示すように膨張室2Aを有する円管(内径φ=29mm及び長さ80mm)に対し、膨張室2Aの両側壁3,4に円筒状不織布7,8を設けた消音器1に対して上述の測定法により透過損失を評価した。なお、不織布7,8は軸方向長さLが異なるもの(L=2.5mm、5mm、10mm、15mm、20mm、30mm)を幾つか用意した。なお、膨張室2Aの軸方向長さは80mmであり、全長80mmの不織布では膨張室2Aの一端3,4から他端まで円筒状不織布7を架け渡す従来の消音器(以下、ブリッジ型とも呼ぶ。)となり、これを比較例とした。さらに、不織布7,8を付加しないもの(つまり、L=0mm)も比較例として評価した。
また、図9(c)に示すように、前述の膨張室2A内を軸方向Oに仕切るように追加側壁(仕切り壁)41,42をさらに設けた消音器1(以下、「膨張型多段式消音器」とも呼ぶ。)を用意した。それぞれの仕切り壁41,42は、膨張室2Aの両側端3,4に設けられたオリフィス5,6と同径D(φ=29mm)のオリフィス51,52が設けられた構成をなす。つまり、この消音器1は、急拡大と急縮小を繰り返す断面積を有した拡張室2Aが軸方向Oに数個(図示では3個)連続して設けられた構成を有するものとなる。そして、円筒状不織布を全ての拡張室2A1,2A2,2A3に挿通するように消音器1内に設置した。拡張室2A1,2A2,2A3の軸方向長さ(言い換えれば、仕切り壁51,52間や仕切り壁51,52と側壁3,4と間のピッチP)はそれぞれ10mm、20mm、40mm、つまり、オリフィス径D(φ=29mm)より小さいかほぼ同程度の大きさ(0.4倍〜2倍)に設定した。
なお、本発明の消音器1には、以下の物性値を有した不織布7,8を使用することが好ましい。具体的には、本発明の不織布7,8は、表1に示す固有音響インピーダンスを有することが好ましい。なお、固有音響インピーダンスは、音圧(定常圧力からの音波による媒質の圧力変動)に対する媒質粒子速度の比(音圧/速度)を示し、例えば、固有音響インピーダンスが小さいほど,少ない音圧で粒子速度が大きくなる。つまり、固有音響インピーダンスは音に関する抵抗値を示す。
2 媒体
2A 第1内部空間(拡張室)
3,4 第1・第2側壁
5,6 第1・第2オリフィス
5A 第1断面積急変部(断面積急拡大部)
5E,6E 第1・第2オリフィスの周縁
6A 第2断面積急変部(断面積急縮小部)
7,8 第1・第2多孔質筒状体
9 第1周囲壁
25 第2周囲壁
27 第1追加多孔質筒状体
35 第3周囲壁
38 第2追加多孔質筒状体
41,42 追加側壁(仕切り壁)
51,52 追加側壁内のオリフィス
71,72,73 多孔質筒状体
D 第1・第2オリフィスの径
L 多孔質筒状体の軸方向長さ(張り出し長さ)
O 軸(管路の中心軸)
P 追加側壁間のピッチ又は追加側壁と側壁との間のピッチ
Claims (8)
- 媒体を区画する第1側壁と、
第1側壁の一側面から張り出しかつ前記媒体を囲繞して第1内部空間を形成する第1周囲壁と、
第1側壁中に設けられて第1断面積急変部を形成しかつ第1周囲壁の第1内部空間と第1側壁の他側面との間で前記媒体の流通を可能にするオリフィスと、
を備えた消音器であって、かつ、
前記オリフィスの周縁から第1内部空間へ張り出した第1多孔質筒状体をさらに備え、
第1多孔質筒状体の張り出し長さが、前記オリフィスの径の0.1〜1倍の範囲に設定されていることを特徴とする消音器。 - 第1側壁の前記他側面から張り出しかつ前記媒体を囲繞して第2内部空間を形成する第2周囲壁と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の消音器。
- 前記オリフィスの周縁から第2内部空間へ張り出した第1追加多孔質筒状体と、
をさらに備え、かつ、
第1追加多孔質筒状体の張り出し長さが、前記オリフィスの径の0.1〜1倍の範囲に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の消音器。 - 互いに離間して配置された状態で媒体を区画する第1・第2側壁と、
第1・第2側壁の一側面の間を連結しかつ前記媒体を囲繞して第1内部空間を形成する第1周囲壁と、
第1・第2側壁中に設けられて第1・第2断面積急変部を形成しかつ第1周囲壁の第1内部空間と第1・第2側壁の他側面との間で前記媒体の流通を可能にする第1・第2オリフィスと、
を備えた消音器であって、かつ、
第1・第2オリフィスの周縁から第1内部空間へ張り出した第1・第2多孔質筒状体をさらに備え、
第1・第2多孔質筒状体の張り出し長さが、第1・第2オリフィスの径の0.1〜1倍の範囲に夫々設定されていることを特徴とする消音器。 - 第1側壁の前記他側面から張り出しかつ前記媒体を囲繞して第2内部空間を形成する第2周囲壁と、
第2側壁の前記他側面から張り出しかつ前記媒体を囲繞して第3内部空間を形成する第3周囲壁と、
の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の消音器。 - 第1・第2オリフィスの周縁から第2・第3内部空間へ張り出した第1・第2追加多孔質筒状体の少なくとも一方をさらに備え、かつ、
第1・第2追加多孔質筒状体の張り出し長さが、第1・第2オリフィスの径の0.1〜1倍の範囲に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の消音器。 - 互いに離間して配置された状態で媒体を区画する第1・第2側壁と、
第1・第2側壁の一側面の間を連結し前記媒体を囲繞して第1内部空間を形成する第1周囲壁と、
第1・第2側壁中に設けられて第1・第2断面積急変部を形成し、第1周囲壁の第1内部空間と第1・第2側壁の他側面との間で前記媒体の流通を可能にする第1・第2オリフィスと、
を備えた消音器であって、かつ、
第1内部空間の軸方向長さは第1・第2オリフィスの径よりも大きく、
第1・第2側壁の間に、第1内部空間を分割するようにオリフィス付きの追加側壁が少なくとも一つ設けられ、
各々の追加側壁の軸方向のピッチが、前記オリフィスの径の0.2〜2倍の範囲に設定されており、
隣接する前記オリフィスのいずれかの区間は多孔質筒状体で連結されていることを特徴とする消音器。 - 前記多孔質筒状体が不織布で作られていることを特徴とする請求項1〜7のいずかに記載の消音器。
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