以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1には、第1実施形態のドレン1が軒樋2に取り付けられた状態が示されている。以下、この取り付け状態における方向を基準にし、軒樋2の長手方向を左右方向とし、軒樋2から見て建物側を後方、屋外側を前方として、ドレン1及びその取り付け構造について説明する。
本実施形態のドレン1が取り付けられる軒樋2は角樋である。軒樋2は、建物に取り付けられた軒樋吊具(不図示)に吊り下げられる。軒樋2は、底部20、前壁部21、及び後壁部22を有している。軒樋2の底部20は略水平である。屋外側に位置する前壁部21は、底部20の前端部から立ち上がり、上方に行く程前側に位置するように傾斜している。後壁部22は、底部20の後端部から立ち上がり、略鉛直である。
軒樋2の底部20には、上下に貫通する落とし口200が形成されている。落とし口200は例えばホールソー等を用いて平面視円形状に形成される。なお、落とし口200は非円形状に形成されてもよい。
図3に示されるように、ドレン1は排水筒3、突出部材4、通水部材5、及びねじ部材6を備えている。
図1に示されるように、排水筒3は、筒状部30と、筒状部30の上端部に設けられた当接部31とを有している。筒状部30は円筒状に形成されている。筒状部30の軸方向は、下方に行く程後側(建物側)に位置するように傾斜している。筒状部30の下流側部分(軸方向における下側部分)は、呼び樋7等の下流側の管材を連結可能な連結部300となっている。
当接部31は、略鉛直な縦板部310と、略水平な横板部311で構成されている。筒状部30の上縁部は、後端部が前方部よりも上方に突出している。縦板部310は、筒状部30の上縁部の後端部から下方に向かって突出しており、軒樋2の後壁部22と平行になるよう略鉛直である。横板部311は、縦板部310の下縁部から前方に向かって突出しており、軒樋2の底部20と平行になるよう略水平である。横板部311の左右両側は、筒状部30の後端部を除く上縁部に接続されている。筒状部30の上端部の後部は、当接部31によって塞がれている。
排水筒3の上端部の前部には、筒状部30の上縁部と横板部311で囲まれた、上下に貫通する上開口部32が形成されている。排水筒3内の空間は、上開口部32を介して上方に開放されている。
突出部材4は排水筒3の上端部から上方に突出している。突出部材4は、平面視で同一の仮想円上に間隔を介して配置された複数の支柱40で構成されている。本実施形態の突出部材4は、前後に配置された2本の支柱40で構成されている。
各支柱40は、排水筒3の上開口部32の内面から排水筒3の上方に突出している。各支柱40は、平面視で前記仮想円に沿った弧状の板状部400で主体が構成されている。
各支柱40の板状部400の下端部からは、嵌入部401が外側に向かって突出している。排水筒3の上開口部32の内面において、各支柱40の嵌入部401に対応する部分には、溝部33が形成されている。各支柱40の嵌入部401は、対応する溝部33に嵌め込まれ、各支柱40はこの状態で排水筒3に連結される。
突出部材4の上端部には、ねじ部41が形成されている。ねじ部41は、両支柱40の夫々の上端部の内側面に形成されたねじ溝部402によって構成されており、雌ねじである。なお、突出部材4は、仮想円上に間隔を介して配置される3本以上の支柱40で構成されてもよい。また、各支柱40は棒状であってもよい。
排水筒3は軒樋2の下側に配置される。排水筒3の横板部311は、軒樋2の底部20の下面に面接触する。これにより、排水筒3の上方への移動が規制される。排水筒3の縦片部310は、軒樋2の後壁部22の後面に面接触する。これにより、排水筒3の前方への移動が規制される。突出部材4は、軒樋2の下方から、落とし口200を通して、軒樋2の底部20よりも上方に突出する。
通水部材5は上下に開口した筒状に形成されている。本実施形態の通水部材5は落ち葉等のごみを捕集する機能を有するフィルター部材である。通水部材5は、ごみ除け部50と被嵌部51を有している。ごみ除け部50は、円環状の上下の枠部500、501を網状(格子状)の周壁部502で接続したものであり、全体として縦長円筒状に形成されている。ごみ除け部50の周壁部502には、網目(格子目)で構成された矩形状の通水孔503が全体に亘って多数形成されている。
被嵌部51は、ごみ除け部50の上端部に取り付けられている。被嵌部51は、図1に示されるように、ごみ除け部50の上端部の内周縁部から上方に突出しており、略円筒状に形成されている。被嵌部51の周壁部には、通水孔503が形成されていない。被嵌部51の内径は、円筒状のごみ除け部50の内径と略同じである。なお、被嵌部51は、ごみ除け部50と一体に形成されてもよい。
被嵌部51の内側には、被押圧部52が接続されている。被押圧部52は、被嵌部51の周壁部の左右両側部分の間に架け渡されている。なお、被押圧部52は、被嵌部51の左右いずれか一方の内面から突出するものであってもよい。また、被押圧部52は、ごみ除け部50の上部に形成されてもよい。
図1に示されるように、突出部材4の外側には、筒状の通水部材5が上方から嵌まる。具体的には、各支柱40のねじ溝部402が形成された上端部よりも下方の部分が、ごみ除け部50の内側に嵌まり込む。また、各支柱40の上端部が、被嵌部51の内側に嵌まり込む。
通水部材5を突出部材4に嵌めるには、軒樋2の底部20上に突出した突出部材4に通水部材5を嵌めることで行ってもよいし、軒樋2の底部20上に載置した通水部材5に排水筒3に設けられた突出部材4を差し込むことで行ってもよい。
通水部材5は、軒樋2の底部20上に載置される。この載置状態では、ごみ除け部50の水平な下端面が軒樋2の落とし口200の周縁部上に面接触する。通水部材5は、軒樋2よりも背が高い。このため、通水部材5が軒樋2の底部20上に載置されたとき、通水部材5の上端部である被嵌部51は、軒樋2の前壁部21及び後壁部22よりも上方に突出する。
通水部材5の上端部に形成された被押圧部52は、両支柱40の間に配置される。被押圧部52は、突出部材4のねじ部41の下端部と同レベル又はねじ部41よりもやや下方に配置される。
ねじ部材6は上下に開口した略円筒状に形成されている。ねじ部材6の下部の外周面には、雄ねじ60が形成されている。ねじ部材6の上部には、ねじ部材6を回転するときに施工者によって把持される把持部61が形成されている。
ねじ部材6は両支柱40の間(前記仮想円の径方向内側)にねじ込まれる。これにより、ねじ部材6の雄ねじ60は、各支柱40のねじ溝部402(ねじ部41)に螺合する。ねじ部材6は、その下端面が通水部材5の被押圧部52の上面に当接するまで、ねじ部41にねじ込まれる。突出部材4にねじ込まれたねじ部材6は、通水部材5の被押圧部52を、下方に向けて押圧する。これにより、軒樋2の底部20が、通水部材5の下端面と、排水筒3の横板部311との間で上下に挟まれて、ドレン1が軒樋2に固定される。
突出部材4にねじ込まれたねじ部材6は、各支柱40を外側に押圧する。これにより、各支柱40の上端部は、通水部材5の被嵌部51と、ねじ部材6の間に挟み込まれる。
排水筒3の連結部300には、例えば図1に示されるように呼び樋7の上流側端部が直接連結される。排水筒3は、その軸方向を鉛直方向に対して傾けた状態で、軒樋2に取り付けられるため、軒樋2に呼び樋7を連結するためのエルボー等の管材を省略することができる。なお、呼び樋7の下流側端部は、エルボーを介して竪樋の上端部に連結される。
図1に示されるようにドレン1が軒樋2に取り付けられた状態では、軒樋2を流れる雨水は、ドレン1を介して呼び樋7に流れる。具体的に、軒樋2を流れる雨水は、通水部材5の多数の通水孔503、両支柱40の間に形成された空間、及び軒樋2の落とし口200を介して排水筒3内に流れる。そして、この雨水は、排水筒3に接続された呼び樋7に流れる。
雨水が通水部材5の通水孔503を通過するときには、通水部材5の網状のごみ除け部50によって雨水に含まれる落ち葉等のごみが捕集される。このため、通水部材5よりも下流側の排水筒3や、排水筒3の下流側に配置される管材においては、ごみ等が詰まり難くなる。
以上説明した本実施形態のドレン1は、軒樋2の下方に配置されて軒樋2の底部20に形成された落とし口200に連通する排水筒3と、排水筒3から落とし口200を通して軒樋2の底部20より上方に突出する突出部材4とを備えている。突出部材4において軒樋2の底部20より上方に位置する箇所に、ねじ部41が形成されている。ドレン1は、軒樋2の底部20上に載置される通水可能な通水部材5と、ねじ部41に螺合されることで、通水部材5を介して軒樋2の底部20を下方に押圧するねじ部材6とをさらに備えている。
このドレン1は、排水筒3を軒樋2の下方に配置し、軒樋2の底部20から上方に突出した突出部材4のねじ部41にねじ部材6を螺合することにより、通水部材5と排水筒3で軒樋2の底部20を挟み込んで軒樋2に取り付けることができる。
また、ドレン1を軒樋2に取り付けた場合、ドレン1の取り付けに用いられるねじ部材6を、軒樋2の底部20より上方に配置することができる。すなわち、従来のように排水筒3の内側に部材をねじ込む必要がない。このため、排水筒3内の流路面積を大きくして排水性を高めることができる。
また、突出部材4のねじ部41を、軒樋2の底部20より上方に位置する箇所に形成したことにより、施工者がねじ部材6を締め込む際には、ねじ部材6を、軒樋2の奥部に手を入れることなく、軒樋2が邪魔になり難い高い位置で簡単に操作できる。
また、通水部材5は本実施形態のようにごみを捕集するフィルター部材であることが好ましい。このようにすることで、軒樋2の底部20を挟み込むための通水部材5を用いて雨水に含まれるごみを捕集することができる。
また、本実施形態のように、通水部材5とねじ部材6は、別体であることが好ましい。このようにすることで、ねじ部材6を締め込んだときに通水部材5に過大なトルクが加わり難くなり、ねじ部材6の締め込みに伴う通水部材5の変形や破損を生じ難くすることができる。
また、本実施形態のように、通水部材5が、突出部材4の外側に嵌め込み可能な筒状に形成されることが好ましい。このようにすることで、通水部材5を突出部材4の外側に嵌め込むだけで、通水部材5を平面視においてねじ部材6により押圧される適切な位置に位置決めして配置することができ、施工が容易になる。
また、本実施形態のように、突出部材4が、平面視で同一の仮想円上に配置される複数本の支柱40を有し、ねじ部41が各支柱40に形成されたねじ溝部402で構成された雌ねじであることが好ましい。このようにすると、ねじ部41に螺合したねじ部材6により、外側に押圧された各支柱40を通水部材5で支持することができ、ねじ部材6のねじ込みに伴う各支柱40の変形を生じ難くすることができる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。なお、以下の説明では第1実施形態と同一の構成については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
図4には本実施形態のドレン1が軒樋2に取り付けられた状態が示されている。本実施形態のドレン1が取り付けられる軒樋2は、半丸樋であって、断面半円弧状の底部23を有している。
排水筒3は、軸方向が下方程後方に位置するように傾斜した円筒状に形成されている。排水筒3の上端面34(上開口部32の周縁部上面)は、下方に凹んだ断面弧状の凹曲面となっている。本実施形態では、排水筒3の上端面34が、軒樋2の底部23の下面に当接する部分となっている。
突出部材4は筒部43と複数の支柱部44で構成されている。支柱部44は、平面視で同一の仮想円上に間隔を介して複数並べて設けられている。本実施形態では、排水筒3に計2本の支柱部44が設けられており、両支柱部44は、前後方向に間隔を介して配置されている。
各支柱部44は、上下に長い棒状であって、排水筒3と一体に形成されている。各支柱部44は、排水筒3の前側の内面から上開口部32を介して排水筒3の上方に突出している。
筒部43は上下に開口した円筒状に形成されている。各支柱部44の上端部は、筒部43に一体に接続されている。筒部43の外周面にはねじ部410が形成されている。ねじ部410は雄ねじである。
排水筒3の上端面34は、軒樋2の断面弧状の底部23の下面に沿って面接触した状態で当接される。これにより、排水筒3は前後方向の移動が規制され、図4に示される向きとなるよう位置決めされた状態で配置される。
本実施形態の通水部材5も落ち葉等のごみを捕集する機能を有するフィルター部材である。通水部材5は、上下の環状の枠部53,54同士を、周方向に複数設けられた柱部55で接続したものであり、全体として筒状に形成されている。通水部材5の上下の枠部53,54の内側には、平面視円形で上下に貫通する孔56が形成されている。通水部材5の複数の柱部55で構成された周壁部には、隣り合う柱部55の間に形成された通水孔503が周方向に多数形成されている。
通水部材5の下側の枠部54は、軒樋2の長手方向と直交する断面において、軒樋2の底部23の上面に沿う弧状に形成されている。枠部54の下面で構成された、通水部材5の下端面は、下方に凸となる断面弧状になっている。通水部材5は、下側の枠部54の下面を軒樋2の底部23の上面に面接触させた状態で、軒樋2の底部23上に載置される。
突出部材4は通水部材5の上下の枠部53、54の孔56に嵌め込まれる。突出部材4の上端部に形成された筒部43は、通水部材5の上側の枠部53よりも上方に突出する。
円筒状のねじ部材6の内周面には、雌ねじ62が形成されている。雌ねじ62は、突出部材4の筒部43のねじ部410に螺合される。ねじ部材6は、その下端面が通水部材5の上側の枠部53の上面に当接するまで、ねじ部410に締め込まれる。突出部材4に螺合されたねじ部材6は、通水部材5の上側の枠部53を下方に向けて押圧する。ねじ部材6によって下方に押圧された通水部材5の下側の枠部54の下面と、排水筒3の上端面との間には、軒樋2の底部23が上下に挟まれる。これにより、ドレン1が軒樋2に固定される。
図4に示されるようにドレン1が軒樋2に取り付けられた状態では、軒樋2を流れる雨水は、通水部材5の多数の通水孔503、両支柱部44の間に形成された空間、及び軒樋2の落とし口200を介して排水筒3内に流れる。そして、この雨水は、排水筒3に接続された呼び樋7に流れる。また、雨水が通水部材5の通水孔503を通過するときには、通水部材5の柱部55により、雨水に含まれる落ち葉等のごみが捕集される。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。なお、以下の説明では第1実施形態と同じ機能を有する要素については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
図5〜図7に示された本実施形態のドレン1は、通水部材5とは別に、フィルター部材8を備えている。
本実施形態の突出部材4は、図7に示されるように、筒部45と複数の支柱部46とを有している。支柱部46は、平面視で同一の仮想円上に間隔を介して複数並べて設けられている。本実施形態では計2本の支柱部46が設けられ、両支柱部46は前後方向に間隔を介して配置されている。各支柱部46は上下に長い板状である。
各支柱部46の下端部の左右両側には、前後に貫通し左右方向における外側に向かって開口した凹所460が形成されている。
排水筒3の上開口部32の内面において、各支柱部46の凹所460に対応する部分には、突起35が形成されている。各支柱部46の凹所460には対応する突起35が嵌め込まれ、各支柱部46はこの状態で排水筒3に連結される。
筒部45は上下に開口した略円筒状に形成されている。各支柱部46の上端部は、筒部45に一体に接続されている。各支柱部46の下部同士は接続部47を介して一体に接続されている。
筒部45の外周面にはねじ部411が形成されている。ねじ部411は雄ねじである。なお、突出部材4は、仮想円上に配置される3本以上の支柱部46で構成されてもよい。また、各支柱部46は棒状であってもよい。
図7に示されるように、通水部材5は、上下の板部90,91同士を複数の連結部92,93で連結したものである。上下の板部90,91は軒樋2の底部20と平行になるよう略水平である。上下の板部90,91の中央には、上下方向に貫通する挿通孔900,910が夫々形成されている。
本実施形態の通水部材5は計2つの連結部92,93を有している。連結部92は通水部材5の前側に設けられ、連結部93は通水部材5の後側に設けられている。各連結部92,93は縦長で厚み方向を前後方向とした矩形板状に形成されている。前側の連結部92は上下の板部90,91における前端部同士を連結しており、挿通孔900,910よりも前側に位置している。後側の連結部93は上下の板部90,91における後端部同士を連結しており、挿通孔900,910よりも後側に位置している。
図6に示されるように下側の板部91には、挿通孔910の周縁部から下方に向かって突出した位置決め筒部911が形成されている。位置決め筒部911は外周面が軒樋2の落とし口200の内周面に沿う筒状に形成されている。
通水部材5の下面部を構成する下側の板部91は、位置決め筒部911を落とし口200に嵌め込んだ状態で軒樋2の底部20上に載置される。これにより、板部91の挿通孔910は、排水筒3の内側に連通する。また、下側の板部91は、位置決め筒部911が落とし口200に嵌め込まれることで、軒樋2に対する水平方向の移動が規制される。
通水部材5の下側の挿通孔910には、落とし口200から上方に突出した突出部材4の両支柱部46が挿通される。通水部材5の上側の挿通孔900には落とし口200から上方に突出した突出部材4の筒部45が挿通される。
図7に示されるように、筒部45の下端部には、外方に突出した突部450が複数形成されている。これら突部450は、上側の板部90の挿通孔900の孔縁に形成された凹部901に嵌め込まれる。これにより、上側の板部90の周方向の位置が決まり、通水部材5が軒樋2に対して縦軸回りに回動することが規制される。
図6に示されるように円筒状のねじ部材6の内周面には、雌ねじ63が形成されている。雌ねじ63は、通水部材5の上面部を構成する上側の板部90よりもさらに上方に突出した筒部45のねじ部411に螺合される。ねじ部材6はその下端面が通水部材5の上側の板部90の上面に当接するまで、ねじ部411に締め込まれる。
突出部材4に螺合されたねじ部材6は、通水部材5の上側の板部90を下方に向けて押圧する。これにより、軒樋2の底部20は、通水部材5の下側の板部91の下面と、排水筒3の上端面とで挟まれ、排水筒3、突出部材4、通水部材5、及びねじ部材6が軒樋2に対して固定される。
フィルター部材8は通水部材5に対して着脱可能に固定される。図7に示されるようにフィルター部材8は、ごみ除け部80と軒樋固定部81を有している。ごみ除け部80は、後方及び下方に開口した籠状に形成されている。ごみ除け部80は網状(格子状)に形成されており、その全体に亘るように、網目(格子目)で構成された矩形状の通水孔804が多数形成されている。
ごみ除け部80は、後方に開口した半割筒状の壁部800と、壁部800で囲まれた空間の上方に配置される天井部801とで構成されている。
壁部800は、ごみ除け部80の前面を構成する前面部802と、ごみ除け部80の側面を構成する左右両側の側面部803で構成されている。両側面部803は前面部802の左右両側端部から後側に向かって突出している。両側面部803は、後方程互いに離れるように傾斜している。
天井部801は前端部が前面部802の上端部に接続され、両側端部が側面部803の上端部に接続されている。
フィルター部材8は、壁部800の下端面を軒樋2の底部20に面接触させた状態で軒樋2の底部20上に載置される。フィルター部材8の壁部800は通水部材5の後方を除く周囲を覆い、天井部801は通水部材5及びねじ部材6の上方を覆う。
壁部800の前面部802には、前後方向に貫通し下方に開口した開口部805が形成されている。開口部805は通水孔804よりも大きく、通水部材5の前側の連結部92に略合致する略矩形状に形成されている。
ごみ除け部80の開口部805には、通水部材5の前側の連結部92が嵌め込まれる。また、ごみ除け部80の開口部805の下端部は上方部よりも左右幅が大きくなっており、この部分には通水部材5の下側の板部91の前端部が嵌め込まれる。これによりフィルター部材8が通水部材5に対して左右方向の移動することが規制される。
フィルター部材8の両側の側面部803の後端面は、各側面部803の後端部において後側に突出した上下複数の横片部806の突出端面で構成されている。各側面部803の後端面は、前後方向に対して垂直な壁沿部807を構成している。
図5に示されるように、ごみ除け部80の両側の壁沿部807は、軒樋2の後壁部22の前面に対向して配置される。これにより、フィルター部材8は軒樋2によって後方への移動が規制される。
ごみ除け部80の両側の側面部803の後端部を構成する横片部806のうち、上端部に位置する横片部806以外の横片部806は軒樋2の後壁部22の上端部から前方に突出した後耳部220の下方に配置される。これによりフィルター部材8は、軒樋2の上方に抜け出難くなる。なお、両側の壁沿部807は、軒樋2の後壁部22の前面に当接してもよいし、軒樋2の後壁部22の前面の近傍に配置されてもよい。
軒樋固定部81は、ごみ除け部80の上面部を構成する天井部801から前方に向かって突出している。軒樋固定部81の前端部には、掛止部810が形成されている。掛止部810は軒樋2の前壁部21の上端部に形成された前耳部210に着脱可能に掛止され、これによりフィルター部材8は上下及び前方への移動が規制される。
すなわち、フィルター部材8は、開口部805に通水部材5を嵌め込み、両壁沿部807を軒樋2の後壁部22に沿わせ、軒樋固定部81の掛止部810を軒樋2の前耳部210に掛止することで、軒樋2及びこれに取り付けられた通水部材5の両者に固定される。このようにフィルター部材8を固定することで、通水部材5及びねじ部材6は、図5に示されるようにごみ除け部80、軒樋2の底部20、及び後壁部22に囲まれた空間に配置される。
また、前記のように通水部材5及び軒樋2に固定されたフィルター部材8は、ねじ部材6を突出部材4に螺合して排水筒3及び通水部材5を軒樋2に取り付けた状態のまま取り外すことができる。フィルター部材8を取り外すには、掛止部810を前耳部210から外してフィルター部材8を上方に引き上げ、これにより開口部805から通水部材5を外せばよい。
図5に示されるようにドレン1が軒樋2に取り付けられた状態では、軒樋2を流れる雨水は、フィルター部材8の壁部800の通水孔804を通過する。この雨水は、通水部材5の両連結部92,93の間、及び下側の挿通孔910を順に通り、軒樋2の落とし口200から排水筒3に排出される。ここで、軒樋2を流れる雨水がフィルター部材8の通水孔804を通過するときには、フィルター部材8の網状のごみ除け部80によって雨水に含まれる落ち葉等のごみが捕集される。
(第4実施形態)
次に第4実施形態について説明する。なお、以下の説明では第2実施形態と同じ機能を有する要素については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
図8〜図10に示された本実施形態のドレン1は、通水部材5とは別に、フィルター部材8を備えている。
図10に示されるように、通水部材5は、上下の板部95,96同士を複数の連結部97、98で連結したものである。上側の板部95は略水平である。下側の板部96は、軒樋2の底部23の上面と平行になるよう左右方向に直交する断面形状が円弧状になっている。上下の板部95,96の中央には、上下方向に貫通する挿通孔950,960が夫々形成されている。
通水部材5は計2つの連結部97,98を有している。連結部97は通水部材5の前側に設けられ、連結部98は通水部材5の後側に設けられている。各連結部97,98は縦長で厚み方向を前後方向とした板状に形成されている。前側の連結部97は上下の板部95,96における前端部同士を連結しており、挿通孔950,960よりも前側に位置している。後側の連結部98は上下の板部95,96における後端部同士を連結しており、挿通孔950,960よりも後側に位置している。
図9に示されるように、通水部材5の下面部を構成する下側の板部96は、挿通孔960を落とし口200に連通させた状態で軒樋2の底部23上に載置される。この載置状態では、下側の板部96の下面は、軒樋2の底部23の上面に面接触する。
通水部材5の上下の挿通孔950,960には、落とし口200から上方に突出した突出部材4の両支柱部44が挿通される。これにより、両支柱部44によって上下の板部95,96の水平方向の位置が決まり、通水部材5の水平方向の移動が規制される。
突出部材4の両支柱部44は、通水部材5の上下の挿通孔950,960の孔縁部の夫々に形成された凹部99,100(図10参照)に嵌め込まれる。これにより、上下の板部95,96の周方向の位置が決まり、通水部材5は突出部材4に対して縦軸回りに回動し難くなる。
突出部材4のねじ部410に締め込まれたねじ部材6は、通水部材5の上側の板部95を下方に向けて押圧する。これにより、軒樋2の底部23は、通水部材5の下側の板部96の下面と、排水筒3の上端面との間において上下に挟まれ、排水筒3、突出部材4、通水部材5、及びねじ部材6が軒樋2に対して固定される。
フィルター部材8は通水部材5に対して着脱可能に固定される。図10に示されるようにフィルター部材8は網状(格子状)に形成されており、その全体に亘るように、網目(格子目)で構成された矩形状の通水孔84が多数形成されている。
フィルター部材8は、左右に離間した側面部82と、側面部82の上端部同士を繋ぐ上面部83とで構成されている。図8に示されるように、フィルター部材8の左右の側面部82は、通水部材5の左右両側に配置される。各側面部82は左右方向から見て軒樋2の内面に合致する半円状に形成されている。フィルター部材8の各側面部82は、軒樋2の底部23上に載置される。このとき、各側面部82の円弧状の下面は、軒樋2の内面の周方向の全体に亘って接触した状態となり、これによりフィルター部材8の前後方向及び下方への移動が規制される。また、このように配置されたフィルター部材8の各側面部82は、左右方向から見たときに、軒樋2において雨水が流れる領域の全体に亘って配置され、通水部材5の左右両側を覆う。
図10に示されるように、フィルター部材8の上面部の中央部には、上下に貫通する嵌込孔830が形成されている。嵌込孔830は平面視円形の孔であって、その直径はねじ部材6の外径と略同じである。
フィルター部材8の嵌込孔830には、突出部材4に螺合したねじ部材6が嵌め込まれる。これによりフィルター部材8の通水部材5に対する水平方向の移動が規制される。
すなわち、フィルター部材8は、両側の側面部82を軒樋2の底部23上に載置して軒樋2の内側に嵌め込み、且つ、嵌込孔830にねじ部材6を嵌め込むことで、軒樋2及びこれに取り付けられた通水部材5の両者に対して固定される。このようにフィルター部材8を固定することで、通水部材5は、図8に示されるようにフィルター部材8と軒樋2とで囲まれた空間に配置される。
また、前記のように軒樋2及び通水部材5に対して固定されたフィルター部材8は、フィルター部材8を上方に持ち上げて、両側の側面部82を軒樋2から引き抜くことで簡単に取り外すことができる。
図8に示されるようにドレン1が軒樋2に取り付けられた状態では、軒樋2を流れる雨水は、フィルター部材8の側面部82の通水孔84を通過する。この雨水は、通水部材5の両連結部97,98の間、及び下側の挿通孔960を順に通り、軒樋2の落とし口200から排水筒3に排出される。ここで、軒樋2を流れる雨水がフィルター部材8の通水孔84を通過するときには、フィルター部材8の網状の側面部82によって雨水に含まれる落ち葉等のごみが捕集される。
なお、第1〜第4実施形態では、排水筒3の軸方向が鉛直方向に対して傾斜しているが、鉛直であってもよい。また、第1〜第4実施形態において、排水筒3に連結される下流側の管材は、呼び樋7に限られず、エルボー等の継手や竪樋であってもよい。また、第1〜第4実施形態における通水部材5は、ねじ部材6と一体に形成されてもよい。また、この他、第1〜第4実施形態におけるドレン1は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で設計変更可能である。