以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2には、本実施形態のドレン1を軒樋2に取り付けた、軒樋2の排水構造が示されている。以下、軒樋2の長手方向を左右方向とし、軒樋2から見て建物側を後方、屋外側を前方として説明する。
軒樋2は建物に取り付けられた軒樋吊具(不図示)に吊り下げられている。軒樋2は角樋であって、底部20、前壁部21、及び後壁部22を備えている。軒樋2の底部20は略水平である。屋外側に位置する前壁部21は、底部20の前端部から立ち上がり、上方に行く程前側に位置するように傾斜している。後壁部22は底部20の後端部から立ち上がり、底部20に対して垂直である。
前壁部21の上端部には、後側に突出した後に前側に折り返された前耳部210が形成されている。後壁部22の上端部には、前側に突出した後に下側に曲げられた後耳部220が形成されている。
図2に示されるように、軒樋2の底部20には、上下に貫通する落とし口200が形成されている。落とし口200は例えばホールソー等を用いて平面視円形状に形成される。なお、落とし口200は平面視非円形状に形成されてもよい。
ドレン1は排水筒3、突出部材4、通水部材5、ねじ部材6、及びフィルター部材8を備えている。排水筒3は、筒状部30と、筒状部30の上端部に設けられた当接部31を備えている。
筒状部30は円筒状に形成されている。筒状部30の軸方向は、下方に行く程後側(建物側)に位置するように傾斜している。筒状部30の下流側部分(軸方向における下側部分)は、呼び樋等の下流側の管材を連結可能な連結部300となっている。
当接部31は、略鉛直な縦板部310と、略水平な横板部311で構成されている。筒状部30の上縁部は、後端部が前方部よりも上方に突出している。縦板部310は、筒状部30の上縁部の後端部から下方に向かって突出している。縦板部310は軒樋2の後壁部22と平行であり、略鉛直に配置されている。横板部311は縦板部310の下縁部から前方に向かって突出している。横板部311の左右両側は、筒状部30の後端部を除く上縁部に繋がれている。筒状部30の上端部の後部は、当接部31によって塞がれている。
排水筒3の上端部の前部には、筒状部30の上縁部と横板部311で囲まれた、上下に貫通する上開口部32が形成されている。排水筒3内の空間は、上開口部32を介して上方に開放されている。
突出部材4は排水筒3の上端部から上方に突出している。図3に示されるように突出部材4は筒部45と複数の支柱部46を備えている。支柱部46は平面視で同一の仮想円上に間隔を介して配置されるように複数並べて設けられている。本実施形態では計2本の支柱部46が設けられ、両支柱部46は前後方向に間隔を介して配置されている。各支柱部46は上下に長い板状である。なお、突出部材4は、仮想円上に配置される3本以上の支柱部46を備えるものであってもよい。また、各支柱部46は棒状であってもよい。
各支柱部46は排水筒3の上開口部32の内面から排水筒3の上方に突出している。各支柱部46の下端部の左右両側には、前後に貫通し左右方向における内側に向かって凹んだ凹所460が形成されている。
排水筒3の上開口部32の内面において、各支柱部46の凹所460に対応する部分には、突起35が形成されている。各支柱部46の凹所460には、対応する突起35が嵌め込まれ、各支柱部46はこの状態で排水筒3に連結されている。なお、各支柱部46は、突起35を凹所460に嵌め込むことでのみ排水筒3に連結してもよいし、接着等の他の手段を併用して排水筒3に連結してもよい。
筒部45は上下に開口した略円筒状に形成されている。各支柱部46の上端部は、筒部45に一体に接続されている。各支柱部46の下部同士は、接続部47を介して一体に繋がれている。
筒部45の外周面には、ねじ部411が形成されている。ねじ部411は雄ねじである。
図2に示されるように排水筒3は、軒樋2の下側に配置されている。排水筒3の横板部311は、軒樋2の底部20の下面に接触している。これにより、排水筒3の上方への移動が規制されている。排水筒3の縦板部310は、軒樋2の後壁部22の後面に面接触している。これにより、排水筒3の前方への移動が規制されている。なお、前記面接触とは、面とこれに沿う面とが広い接触面積で接触することを意味する。
突出部材4は、軒樋2の下方から、落とし口200を通して、軒樋2の底部20よりも上方に突出している。
図3に示されるように、通水部材5は、上下の板部50,51同士を複数の連結部52,53で一体に繋いだものである。上下の板部50,51は、軒樋2の底部20と平行であり、略水平に配置されている。上下の板部50,51の中央には、上下方向に貫通する挿通孔500,510が夫々形成されている。
通水部材5は計2つの連結部52,53を備えている。連結部52は通水部材5の前側に設けられ、連結部53は通水部材5の後側に設けられている。各連結部52,53は縦長で厚み方向を前後方向とした矩形板状に形成されている。前側の連結部52は、上下の板部50,51における前端部同士を繋いでおり、挿通孔500,510の前側に位置している。後側の連結部53は、上下の板部50,51における後端部同士を繋いでおり、挿通孔500,510の後側に位置している。
図2に示されるように下側の板部51には、挿通孔510の周縁部から下方に向かって突出した位置決め筒部511が形成されている。位置決め筒部511は外周面が軒樋2の落とし口200の内周面に沿う筒状に形成されている。
通水部材5の下面部を構成する下側の板部51は、位置決め筒部511を落とし口200に嵌め込んだ状態で軒樋2の底部20上に載置されている。板部51の挿通孔510は、排水筒3の内側に連通している。板部51は、位置決め筒部511が落とし口200に嵌め込まれることで、軒樋2に対する水平方向の移動が規制されている。
通水部材5の後側の連結部53の後面、及び上下の板部50,51の後端面は、軒樋2の後壁部22の前面に沿って配置され、後壁部22に対向している。これにより、通水部材5は軒樋2によって後方への移動が規制されている。なお、通水部材5の後側の連結部53の後面、及び上下の板部50,51の後端面は、軒樋2の後壁部22の前面に接触してもよいし、非接触で軒樋2の後壁部22の前面近傍に配置されてもよい。
通水部材5の下側の挿通孔510には、落とし口200から上方に突出した突出部材4の両支柱部46が挿通されている。通水部材5の上側の挿通孔500には、落とし口200から上方に突出した突出部材4の筒部45が挿通されている。
なお、突出部材4を通水部材5の上下の挿通孔500,510に挿通する作業は、排水筒3に設けられた突出部材4を軒樋2の底部20上に突出させ、この突出部材4に対して通水部材5を移動することで行ってもよい。また、軒樋2の底部20上に載置した通水部材5に、排水筒3に設けられた突出部材4を差し込むことで、突出部材4を通水部材5の上下の挿通孔500,510に挿通してもよい。
図3に示されるように、筒部45の下端部には、外方に突出した突部450が複数形成されている。本実施形態では筒部45の左右両側に突部450が形成されている。これら突部450は、上側の板部50の挿通孔500の孔縁に形成された凹部501に嵌め込まれている。これにより、上側の板部50の周方向の位置が決まり、通水部材5が軒樋2に対して縦軸回りに回動することが規制されている。
ねじ部材6は上下に開口した略円筒状に形成されている。略円筒状のねじ部材6の内周面には、雌ねじ63が形成されている。ねじ部材6の上部には、ねじ部材6を回転するときに施工者によって把持される把持部61が形成されている。
図2に示されるように、ねじ部材6の雌ねじ63は、通水部材5の上面部を構成する上側の板部50よりもさらに上方に突出した筒部45のねじ部411に螺合されている。ねじ部材6はその下端面が通水部材5の上側の板部50の上面に当接するまで、ねじ部411に締め込まれている。
突出部材4に螺合されたねじ部材6は、通水部材5の上側の板部50を下方に向けて押圧する。これにより、軒樋2の底部20は、通水部材5の下側の板部51の下面と、排水筒3の上端面とで挟まれ、排水筒3、突出部材4、通水部材5、及びねじ部材6が軒樋2に対して固定されている。
フィルター部材8は通水部材5に対して着脱可能に固定されている。図3に示されるようにフィルター部材8は、フィルター部80と突部81を備えている。フィルター部80は、後方及び下方に開口した籠状に形成されている。フィルター部80には、その全体に亘るように網目(格子目)で構成された矩形状の通水孔804が多数形成されている。
フィルター部80は、半割筒状の壁部800と、壁部800で囲まれた空間の上方に配置された天井部801とで構成されている。
壁部800は、多数の縦片部808と多数の横片部806とで網状(格子状)に形成されている。壁部800は、フィルター部80の前面を構成する前面部802と、フィルター部80の側面を構成する左右両側の側面部803で構成されている。両側面部803は前面部802の左右両側端部から後側に向かって突出している。両側面部803は、後方に行く程互いに離れるように傾斜している。
天井部801は、前端部が前面部802の上端部に接続され、両側端部が側面部803の上端部に接続されている。
フィルター部材8は、壁部800の下端面を軒樋2の底部20に面接触させた状態で軒樋2の底部20上に載置されている。フィルター部材8の壁部800は、通水部材5の後方を除く周囲を覆い、天井部801は通水部材5及びねじ部材6の上方を覆っている。
壁部800の前面部802には、前後方向に貫通し下方に開口した開口部805が形成されている。開口部805は通水孔804よりも大きく、通水部材5の前側の連結部52に略合致する略矩形状に形成されている。
図2に示されるように、フィルター部80の開口部805には、通水部材5の前側の連結部52が嵌め込まれている。また、フィルター部80の開口部805の下端部は、上方部よりも左右幅が大きくなっており、この部分には通水部材5の下側の板部51の前端部が嵌め込まれている。これらにより、フィルター部材8の通水部材5に対する左右方向の移動が規制されている。すなわち、フィルター部材8の開口部805の周縁部は、フィルター部材8の通水部材5に対する位置を決めるための位置決め部を構成している。なお、位置決め部はフィルター部材8の開口部805の周縁部に限られない。
図3に示されるように、フィルター部材8の両側の側面部803の後端面は、夫々、壁沿部807を構成している。各壁沿部807は、側面部803の後端部において後側に突出した上下複数の横片部806の突出端面で構成されている。
両壁沿部807は軒樋2の長手方向である左右方向において離間して位置しており、図1に示されるように左右方向において落とし口200を挟んだ両側に配置されている。フィルター部材8において、両壁沿部807の中間部分に位置するフィルター部80(すなわち、前面部802及び両側面部803)は、軒樋2の後壁部22と反対側となる前側に向かって張り出している。
フィルター部材8の両側の壁沿部807は、軒樋2の後壁部22の前面に沿って配置され、後壁部22に対向している。このため、フィルター部材8の後方への移動は、軒樋2によって規制されている。なお、フィルター部材8の両側の壁沿部807は、軒樋2の後壁部22の前面に接触してもよいし、非接触で軒樋2の後壁部22の前面近傍に配置されてもよい。
フィルター部80の両側の側面部803の後端部を構成する上下複数の横片部806のうち、上端部に位置する2つの横片部806の間には、軒樋2の後耳部220が配置されている。これにより、フィルター部材8が上方に移動したときには、後耳部220の下方に配置された横片部806が後耳部220に当たってフィルター部材8の上方への移動が規制される。
突部81はフィルター部80の上面部を構成する天井部801から前方に向かって突出している。突部81は、左右に長い係止部810と、係止部810から後方に突出した複数の接続片部811を備えている。各接続片部811の後端部は、天井部801に繋がれている。係止部810の前面には、側断面三角形状の係止溝部812が形成されている。
係止部810は、係止溝部812に軒樋2の前耳部210に嵌め込むことで、軒樋2に着脱可能に係止されている。これにより、軒樋2によってフィルター部材8の前端部の上下両方向及び前方への移動が規制されている。
つまり、フィルター部材8は、開口部805に通水部材5を嵌め込み、両壁沿部807を軒樋2の後壁部22に沿わせ、突部81の係止部810を軒樋2の前耳部210に係止することで、軒樋2及びこれに取り付けられた通水部材5の両者に固定されている。
そして、フィルター部材8において、両壁沿部807の中間部分に位置するフィルター部80と、軒樋2の後壁部22とによって、軒樋2の落とし口200の上方空間10が囲まれており、この空間10に通水部材5及びねじ部材6が配置されている。
フィルター部材8は、ねじ部材6を突出部材4に螺合して排水筒3及び通水部材5を軒樋2に取り付けた状態のまま、通水部材5及び軒樋2から取り外すことができる。フィルター部材8を取り外すには、係止部810を前耳部210から外してフィルター部材8を上方に引き上げ、開口部805から通水部材5を外せばよい。
図2に示される排水筒3の連結部300には、例えば呼び樋の上流側端部が直接連結される。排水筒3は、その軸方向を鉛直方向に対して傾けた状態で、軒樋2に取り付けられている。このため、軒樋2に呼び樋を連結するためのエルボー等の管材を省略することができる。また、このようにエルボー等の管材を省略した場合、シンプルな外観を有する排水構造にすることができる。なお、呼び樋の下流側端部は、エルボーを介して竪樋の上端部に連結される。
ドレン1が軒樋2に取り付けられた状態では、軒樋2を流れる雨水は、フィルター部材8の壁部800の通水孔804を通過する。この雨水は、通水部材5の両連結部52,53の間、及び下側の挿通孔510を順に通って、軒樋2の落とし口200から排水筒3に流れ込み、呼び樋及び竪樋を介して排出される。
軒樋2を流れる雨水がフィルター部材8の通水孔804を通過するときには、フィルター部材8の網状のフィルター部80によって雨水に含まれる落ち葉等のごみが捕集される。このため、通水部材5よりも下流側の排水筒3や、排水筒3の下流側に配置された管材においては、ごみ等が詰まり難くなる。
以上説明した本実施形態のドレン1は、排水筒3、通水部材5、及びフィルター部材8を備えている。排水筒3は、軒樋2の下側に配置されて軒樋2の底部20に形成された落とし口200に連通する。通水部材5は、通水性を有し、軒樋2の底部20上に配置され、排水筒3に対して固定されて軒樋2の底部20を排水筒3との間に挟み込む。フィルター部材8は、軒樋2の底部20上に配置されて通水部材5に位置決めされ、ごみを捕集する。フィルター部材8が排水筒3に固定された通水部材5に対して着脱可能に構成される。
このドレン1の排水筒3及び通水部材5は、軒樋2の下側に配置した排水筒3に、軒樋2の底部20上に配置した通水部材5を固定し、軒樋2の底部20を通水部材5と排水筒3との間に挟み込むことで、軒樋2に固定される。また、フィルター部材8は軒樋2の底部20上に通水部材5に位置決めして設けられる。このドレン1は、軒樋2を流れる雨水を落とし口200を介して排水筒3から排出し、この雨水に含まれる落ち葉等のごみをフィルター部材8で捕集することができる。また、ドレン1は、排水筒3及び通水部材5を軒樋2に取り付けた状態のまま、フィルター部材8を通水部材5から取り外すことができる。このため、フィルター部材8で捕集したごみを取り除く作業を、フィルター部材8を取り外して簡単に行うことができる。
また、本実施形態のようにフィルター部材8が軒樋2に着脱可能に係止される係止部810を備えることが好ましい。このようにすることで、係止部810を軒樋2に係止して、フィルター部材8を通水部材5と軒樋2の両者に固定することができる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。なお、以下の説明では第1実施形態と同じ機能を有する要素については同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
図4に示されるように、本実施形態のドレン1が取り付けられる軒樋2は、半丸樋であって、断面半円弧状の底部23を備えている。
図5に示されるように、ドレン1の排水筒3は、軸方向が下方程後方に位置するように傾斜した円筒状に形成されている。排水筒3の上端面34(上開口部32の周縁部上面)は、下方に凹んだ断面弧状の凹曲面となっている。本実施形態では、排水筒3の上端面34が、軒樋2の底部23の下面に当接する部分を構成している。
突出部材4は筒部43と複数の支柱部44で構成されている。支柱部44は、平面視で同一の仮想円上に間隔を介して配置されるように複数並べて設けられている。本実施形態では、排水筒3に計2本の支柱部44が設けられており、両支柱部44は前後方向に間隔を介して配置されている。
各支柱部44は、上下に長い棒状であって、排水筒3と一体に形成されている。各支柱部44は、排水筒3の前側の内面から上開口部32を介して排水筒3の上方に突出している。
筒部43は上下に開口した円筒状に形成されている。各支柱部44の上端部は、筒部43に一体に接続されている。筒部43の外周面には、ねじ部410が形成されている。ねじ部410は雄ねじである。
図5に示されるように、排水筒3の上端面34は、軒樋2の断面弧状の底部23の下面に沿って面接触した状態で当接されている。これにより、排水筒3は前後方向の移動が規制され、その向きが決定されている。
図6に示されるように、通水部材5は、上下の板部55,56同士を複数の連結部57、58で連結したものである。上側の板部55は略水平である。下側の板部56は、左右方向に直交する断面形状が円弧状であり、軒樋2の底部23の上面と平行である。上下の板部55,56の中央には、上下方向に貫通する挿通孔550,560が夫々形成されている。
通水部材5は計2つの連結部57,58を備えている。連結部57は通水部材5の前側に設けられ、連結部58は通水部材5の後側に設けられている。各連結部57,58は縦長で厚み方向を前後方向とした板状に形成されている。前側の連結部57は、上下の板部55,56における前端部同士を繋いでおり、挿通孔550,560の前側に位置している。後側の連結部58は、上下の板部55,56における後端部同士を繋いでおり、挿通孔550,560の後側に位置している。
図5に示されるように、通水部材5の下面部を構成する下側の板部56は、挿通孔560を落とし口200に連通させた状態で軒樋2の底部23上に載置されている。下側の板部56の下面は、軒樋2の底部23の上面に面接触している。
通水部材5の上下の挿通孔550,560には、落とし口200から上方に突出した突出部材4の両支柱部44が挿通されている。上下の板部55,56の水平方向の位置は、両支柱部44によって決定されている。
図6に示されるように、通水部材5の上下の挿通孔550,560の孔縁部には、凹部551,561が形成されている。突出部材4の両支柱部44は、通水部材5の凹部551,561に嵌め込まれている。これにより、上下の板部55,56の周方向の位置が決まり、通水部材5の突出部材4に対する縦軸回りの回動が規制されている。
円筒状のねじ部材6の内周面には、雌ねじ62が形成されている。雌ねじ62は、図5に示されるように、突出部材4の筒部43のねじ部410に螺合されている。
ねじ部材6は、その下端面が通水部材5の上側の板部55の上面に当接するまで、ねじ部410に締め込まれている。突出部材4のねじ部410に締め込まれたねじ部材6は、通水部材5の上側の板部55を下方に向けて押圧している。これにより、軒樋2の底部23は、通水部材5の下側の板部56の下面と、排水筒3の上端面との間において上下に挟まれ、排水筒3、突出部材4、通水部材5、及びねじ部材6が軒樋2に対して固定されている。
フィルター部材8は通水部材5に対して着脱可能に固定されている。図6に示されるようにフィルター部材8は網状(格子状)に形成されている。フィルター部材8の全体には、網目(格子目)で構成された矩形状の通水孔84が多数形成されている。
フィルター部材8は、左右に離間した側面部82と、両側面部82の上端部同士を繋ぐ上面部83とで構成されている。図4に示されるように、フィルター部材8の左右の側面部82は、通水部材5の左右両側に配置されている。各側面部82は左右方向から見て軒樋2の内面に合致する半円状に形成されている。
フィルター部材8の各側面部82は、軒樋2の底部23上に載置されている。各側面部82の円弧状の下面は、軒樋2の内面の周方向の全体に亘って接触している。これによりフィルター部材8の前後方向及び下方への移動が規制されている。また、フィルター部材8の各側面部82は、左右方向から見たときに、軒樋2の内側に形成される空間の全体(雨水が流れる領域)に亘って配置され、通水部材5の左右両側を覆っている。
図6に示されるように、フィルター部材8の上面部の中央部には、上下に貫通する嵌込孔830が形成されている。嵌込孔830は平面視円形の孔であって、その直径はねじ部材6の外径よりも僅かに大きい。
図5に示されるように、フィルター部材8の嵌込孔830には、突出部材4に螺合されたねじ部材6が嵌め込まれている。これによりフィルター部材8の通水部材5に対する水平方向の移動が規制されている。
すなわち、フィルター部材8は、両側の側面部82を軒樋2の底部23上に載置して軒樋2の内側に嵌め込み、嵌込孔830にねじ部材6を嵌め込むことで、軒樋2及びこれに取り付けられた通水部材5の両者に対して固定されている。
フィルター部材8と軒樋2により、軒樋2の落とし口200の上方空間11が囲まれており、この空間11には通水部材5が配置されている。
軒樋2及び通水部材5に対して固定されたフィルター部材8は、フィルター部材8を上方に持ち上げて、ねじ部材6を嵌込孔830から外し且つ両側の側面部82を軒樋2から外すことで、簡単に取り外すことができる。
図4に示されるようにドレン1が軒樋2に取り付けられた状態では、軒樋2を流れる雨水は、フィルター部材8の側面部82の通水孔84を通過する。この雨水は、通水部材5の両連結部57,58の間、及び下側の挿通孔560を順に通り、軒樋2の落とし口200から排水筒3に排出される。ここで、軒樋2を流れる雨水がフィルター部材8の通水孔84を通過するときには、フィルター部材8の網状の側面部82によって雨水に含まれる落ち葉等のごみが捕集される。
本実施形態の軒樋2の排水構造にあっても、排水筒3とこれに固定された通水部材5とで軒樋2の底部20を挟み込み、排水筒3及び通水部材5を軒樋2に取り付けた状態のまま、フィルター部材8を通水部材5から取り外すことができる。従って、フィルター部材8で捕集したごみを取り除く作業を、排水筒3及び通水部材5を軒樋2に取り付けた状態のまま、フィルター部材8を取り外して、簡単に行うことができる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、排水筒3の軸方向が軒樋2の底部20と垂直な方向に対して傾斜しているが、平行であってもよい。また、第1実施形態及び第2実施形態において、排水筒3に連結される下流側の管材は、呼び樋に限られず、エルボー等の継手や竪樋であってもよい。また、第1実施形態及び第2実施形態における通水部材5は、ねじ部材6と一体に形成されてもよい。また、この他、第1実施形態及び第2実施形態におけるドレン1は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。