JP2015071920A - 改装サッシ枠及び既設サッシ枠の改装工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工期の短縮と改装費用の削減が図れるとともに、改装後のサッシ枠の開口面積を、従来工法のように小さくなることを可及的に防止しうるようにした改装サッシ枠を提供する。【解決手段】新設サッシ枠3における新設上枠3a、新設下枠3b及び左右の新設縦枠の外周面に突設した外向きの取付片31を、既設サッシ枠2における障子等用の案内レール9、10、13を切除した状態で、既設サッシ枠2の内向固定片8、12の室外側の側面に、ねじ34をもって固定することにより、既設サッシ枠2の枠内に新設サッシ枠3を取付ける。【選択図】 図1

Description

本発明は、建物躯体の開口部に取付けられた既設サッシ枠の枠内に、新設サッシ枠を取付けてなる改装サッシ枠及び既設サッシ枠を改装サッシ枠に改装する改装工法に関する。
建物のリフォーム時等に、防音性、断熱性、気密性等のサッシ性能の向上のために、既設サッシ枠を、サッシ性能の優れた新しいサッシ枠に改装する場合には、既設サッシ枠を建物躯体の開口部より撤去して、新設サッシ枠を取付ける改装工法が一般的である。しかし、この従来の工法では、既設サッシ枠の取外し作業や、新設サッシ枠の取付後における躯体の復旧作業等に手数を要し、工期が延びるばかりでなく、改装費用が嵩む。また、取外して不要となった既設サッシ枠、及びそれと共に建物躯体から取り外された外装材や内装材を、廃棄物として処分しなければならないので、その費用も嵩むという問題がある。
そのため、近年においては、既設サッシ枠を取付けた状態のまま、新設サッシ枠を取付けた改装サッシ枠や、既設サッシ枠の改装工法が種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許第5161161号公報 特開2008−223286号公報
上記特許文献1に記載されているものにおいては、既設サッシ枠に、方形に枠組みされた肉厚の下地枠を、既設サッシ枠の内周面をカバーするように取り付け、この下地枠の内周面に新設サッシ(改装サッシ)を取り付けているので、改装後のサッシ枠の開口面積が小さくなり、窓の採光や通風等の面で不利となる。また、既設サッシ枠の大きさや形状に対応して、下地枠を別途製作し、それを既設サッシ枠に取り付けなければならないので、工期が延びるとともに、改装費用が嵩む。
特許文献2に記載されているものにおいても、既設サッシ枠の内周面に、方形に枠組みされたアルミニウムの押出し型材よりなる肉薄のベース枠を取り付け、このベース枠の内周面に、新設サッシを取付けているので、特許文献1に記載されているものほどではないが、改装後のサッシ枠の開口面積が小さくなるという問題がある。また、上記と同様に、既設サッシ枠の大きさや形状に対応して、ベース枠を押出し成形により別途製作しなければならないので、工期が延びるとともに、改装費用が嵩む。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、既設サッシ枠を改装するに際し、工期の短縮と改装費用の削減が図れるとともに、改装後のサッシ枠の開口面積を、従来工法のように小さくなることを可及的に防止しうるようにした改装サッシ枠及び既設サッシ枠の改装工法を提供することを目的としている。
本発明の改装サッシ枠によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(1)建物躯体の方形をなす開口部に取付けられた、既設上枠、既設下枠及び左右の既設縦枠よりなる既設サッシ枠の枠内に、新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠よりなる新設サッシ枠を取付けてなる改装サッシ枠において、前記既設サッシ枠における既設上枠、既設下枠及び左右の既設縦枠は、内面に前記建物躯体の室外側の側面または前記開口部の内周面に取付けた枠材における室外側の側面に固定された内向固定片を有し、かつ前記既設上枠と既設下枠における前記内向固定片よりも室外側の内面には、内向固定片と平行をなすように内向きに突設された、障子等用の案内レールとを備え、前記新設サッシ枠における新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠の外周面に突設した外向きの取付片を、前記案内レールの少なくとも一部を切除した状態で前記内向固定片または開口部の内周面に取付けた前記枠材の室外側の側面に、ねじをもって固定することにより、前記既設サッシ枠の枠内に前記新設サッシ枠を取付ける。
(2)上記(1)項において、既設サッシ枠における左右の既設縦枠の内面に突出フィンが設けられているものにおいて、この突出フィン少なくとも一部を切除する。
(3)上記(1)または(2)項において、新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠の外周面における室内側の側縁に、室内方向を向く第2の取付片を設け、この第2の取付片を、建物躯体の開口部の内周面または開口部の内面に取付けた枠材の内周面に、ねじにより固定する。
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、外向きの取付片と内向固定片または枠材の室外側の側面との間にシール材を設ける。
また、本発明の既設サッシ枠の改装工法によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(5)建物躯体の方形をなす開口部に取付けられた既設サッシ枠を、上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の改装サッシ枠に改装する既設サッシ枠の改装工法であって、前記既設サッシ枠における既設上枠及び既設下枠に枠内方向に内向きに突設された、障子等用の案内レールの少なくとも一部を切除する工程と、新設サッシ枠における新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠を、前記既設サッシ枠内に室外側より挿入し、前記新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠の外向きの取付片を、前記既設サッシ枠における既設上枠、既設下枠及び左右の既設縦枠の内向固定片または開口部の内周面に取付けた枠材の室外側の側面に、ねじにより固定する工程とを備えるものとする。
(6)上記(5)項において、既設サッシ枠における左右の既設縦枠の内面に突出フィンが設けられているものにおいて、この突出フィン少なくとも一部を切除する。
(7)上記(5)または(6)項において、新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠の外周面における室内側の側縁に、室内方向を向く第2の取付片を設け、この第2の取付片を、建物躯体の開口部の内周面または開口部の内面に取付けた枠材の内周面に、ねじにより固定する工程を有する。
(8)上記(5)〜(7)項のいずれかにおいて、外向きの取付片と内向固定片または枠材の室外側の側面との間にシール材を介在させて、取付片と固定片とをねじにより固定する。
(9) 上記(5)〜(8)項のいずれかにおいて、既設サッシ枠の内周面と新設サッシ枠の外周面との間に形成される隙間を、断熱性の塞ぎ材により閉塞する。
本発明の改装サッシ枠及び既設サッシ枠の改装工法によれば、次のような効果が得られる。
(1)新設サッシ枠の外向きの取付片を、既設サッシ枠の内向固定片または開口部の内周面に取付けた枠材に直接固定しているので、従来工法のように、新設サッシ枠取付用の部材を別途製作してこれを既設サッシ枠に取付ける必要はなく、実質的に新設サッシ枠の施工のみで改装しうるので、工期が短縮されるとともに、改装費用が削減される。
(2)既設サッシ枠と新設サッシ枠との間に何らの部材を設ける必要がなく、既設サッシ枠の内周面に新設サッシ枠を近づけて取付けることができるので、従来工法のように、改装サッシ枠の開口面積が小さくなることを、可及的に防止することができ、窓の採光や通風等の面で有利となる。
(3)既設サッシ枠の障子等用の案内レール、更には必要に応じて既設縦枠の突出フィンの少なくとも一部を切除した状態で、新設サッシ枠の取付片を既設サッシ枠の内向固定片または枠材に固定するので、新設サッシ枠を既設サッシ枠内に室外側より挿入する際において、新設サッシ枠の外向きの取付片が案内レールや突出フィンと干渉することがなく、既設サッシ枠への新設サッシ枠の取付け作業が能率的となる。
本発明の改装工法により、外付けタイプの既設サッシ枠を改装サッシ枠に改装した第1の実施形態における躯体開口部の縦断面図である。 同じく、躯体開口部の横断面図である。 同じく、既設サッシ枠を改装サッシ枠に改装する前の縦断面図である。 本発明の改装工法により、内付けタイプの既設サッシ枠を改装サッシ枠に改装した第2の実施形態における躯体開口部の縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る改装サッシ枠の第1の実施形態、すなわち、外付けタイプの既設サッシ枠を、本発明の改装工法をもって改装サッシ枠に改装した実施例における躯体開口部の縦断面図、図2は、同じく躯体開口部の横断面図、図3は、同じく既設サッシ枠を改装サッシ枠に改装する前の縦断面図である。
図1〜図3に示すように、改装サッシ枠1は、アルミニウム等よりなる外付けタイプの既設サッシ枠2と、その内面側に取り付けられた新設サッシ枠3とからなっている。既設サッシ枠2は、建物躯体4の室外側の側面と、建物躯体4の方形をなす開口部5の内周面に取付けられた、枠材としての額縁6の室外側の側面とに、建物躯体4の外壁面に取付けた外装材7よりも外方に突出するようにして固定されている。
既設サッシ枠2は、既設上枠2a、既設下枠2b及び断面形状の等しい左右の既設縦枠2c、2cよりなる一般的な引違い窓用のもので、それらを方形に枠組みして形成されている。既設上枠2aの下面には、室内側から順に、額縁6の外側面に固定された内向固定片8と、図示しない既設内障子を案内する既設上部内レール9と、既設外障子を案内する既設上部外レール10と、既設網戸を案内する既設上部網戸レール11とが、互いに平行をなすようにして下向きに突設されている。なお、額縁6を省略した際には、内向固定片8は建物躯体4の室外側の側面に固定される。
既設下枠2bの上面は、下側の額縁6の上面と整合する位置から室外側に向かって漸次低くなる階段状の段差面とされ、この段差面には、室内側から順に、額縁6の外側面に固定された内向固定片12と、この内向固定片12と平行をなす既設内障子案内用の既設下部内レール13と、既設外障子案内用の既設下部外レール14と、既設網戸案内用の既設下部網戸レール15とが、それぞれ、上記既設上枠2aの内向固定片8及び各レール9、10、11と対向するようにして、上向きに突設されている。なお、図1においては、既設上部内レール9、既設上部外レール10、既設上部網戸レール11及び既設下部内レール13は、既設サッシ枠2を改装サッシ枠1に改装する際に切除してあるため、2点鎖線で示してある。
図2に示すように 左右の既設縦枠2c、2cの内面には、室内側から順に、額縁6の室外側の側面に固定された内向固定片16、16と、既設内障子用の内側突出フィン17、17と、既設外障子用の外側突出フィン18、18と、網戸用の網戸用突出フィン19、19とが、互いに平行をなすようにして左右方向内向きに突設されている。なお、図2においては、内側突出フィン17、外側突出フィン18及び網戸用突出フィン19は、既設サッシ枠2を改装サッシ枠1に改装する際に切除してあるため、2点鎖線で示してある。
上述した新設サッシ枠3は、塩化ビニル樹脂等よりなる引違い窓用のもので、ほぼ同一断面形状の新設上枠3a、新設下枠3b及び左右の新設縦枠3c、3cよりなり、それらを、額縁6の枠内に嵌め込みうる大きさに方形に枠組みして形成されている。
新設上枠3a、新設下枠3b及び左右の新設縦枠3cは、室内及び室外方向の幅寸法が既設サッシ枠2のそれよりも大とされた、ほぼ矩形中空状断面の枠本体20を有し、新設上枠3aにおける枠本体20の下面(内面)には、新設内障子Aを案内する新設上部内レール21、新設外障子Bを案内する新設上部外レール22及び図示しない網戸を案内する新設上部網戸レール23が、また新設下枠3bの枠本体20の上面(内面)には、新設内障子A案内用の新設下部内レール24、新設外障子B案内用の新設下部外レール25及び網戸案内用の新設下部網戸レール26が、それぞれ上下に対向するようにして突設されている。
図2に示すように、左右の新設縦枠3c、3cの枠本体20の対向面にも、新設内障子A用の新設側部内レール27と、新設外障子B用の新設側部外レール28と、網戸用の新設側部網戸レール29とが、対向状に内向きに突設されている。
また、上下左右の各枠本体20における室内側の端部の内周面には、立上がり片30が内向きに突設されている。
上下左右の各枠本体20における外周面の中間部には、外向き鍔状の第1取付片31が突設され、また各枠本体20の外周壁における室内側の側縁には、室内方向に延出する第2取付片32が突設されている。
次に、上記新設サッシ枠3を用いて、外付けタイプの既設サッシ枠2を改装サッシ枠1に改装する改装工法について説明する。
まず、既設サッシ枠2を、これに新設サッシ枠3を室外側から嵌装する際に支障とならない形状に加工する。
すなわち、図1〜図3に2点鎖線で示すように、新設サッシ枠3の外向き鍔状の第1取付片31と対向する、既設サッシ枠2に内向き突設された既設上部内レール9、既設上部外レール10、既設上部網戸レール11、既設下部内レール13、既設下部外レール14、内側突出フィン17、外側突出フィン18及び網戸用突出フィン19を、基端部において切除し、それらの各レールに第1取付片31が干渉しないようにする。既設サッシ枠2はアルミニウムまたは合成樹脂よりなり、かつ既設上部内レール9等の各レールの厚さも薄いので、各レールの基端部に鋭利なバリ取り工具等により長手方向の切込み溝を形成すれば、各レールを折り曲げて容易に切除することができる。なお、第1取付片31と干渉しなければ、既設上部内レール9、既設上部外レール10、既設上部網戸レール11、既設下部内レール13、既設下部外レール14、内側突出フィン17、外側突出フィン18及び網戸用突出フィン19は、その一部のみを切除することもある。
次いで、新設サッシ枠3における新設上枠3a、新設下枠3b及び左右の新設縦枠3cの第1取付片31の室内側の側面に、ゴムまたは合成樹脂製のシール材33を接着したのち、枠組みした新設サッシ枠3または個々の新設上枠3a、新設下枠3b及び左右の新設縦枠3cを室外側より額縁6内に挿入し、シール材33を、既設サッシ枠2の上下左右の内向固定片8、12、16の室外側の側面に当接させる。
次いで、図1及び図2に示すように、新設サッシ枠3の第1取付片31と、既設サッシ枠2の各内向固定片8、12、16とを、額縁6の室外側の側面に、複数のねじ34をもって室外側から共締めして固定するとともに、室内方向を向く第2取付片32を、額縁6の内周面に、複数のねじ34をもって固定する。これにより、既設サッシ枠2は改装サッシ枠1に改装され、既設サッシ枠2の内周面は、新設サッシ枠3の室外側のほぼ半分により覆われる。また、既設サッシ枠2の内向固定片8、12、16と、新設サッシ枠3の第1取付片31との固定部には、シール材33により止水ラインが形成される。
なお、この実施例では、新設上枠3a及び左右の新設縦枠3cと、額縁6の内面との間に隙間が形成されるため、この隙間にスペーサ35を挟入し、このスペーサ35を介して、第2取付片32を額縁6の内面に固定しているが、上側の額縁6が、隙間が形成されない厚さであれば、スペーサ35を省略して、第2取付片32を額縁6の内面に直接固定することができる。
このようにして、既設サッシ枠2の内側に新設サッシ枠3を取付けたのち、既設サッシ枠2の内周面と新設サッシ枠3の外周面との間に形成された隙間に閉塞処理を施す。すなわち、図1及び図2に示すように、第1取付片31よりも室外側において、既設上枠2aと新設上枠3aとの間に形成された隙間、既設下枠2bと新設下枠3bとの間に形成された室内側寄りの隙間、及び左右の既設縦枠2c、2cと新設縦枠3c、3cとの間に形成された隙間を、ポリウレタンやポリエチレン系発泡樹脂材よりなる断熱性を有する塞ぎ材36と、コーキング材37とにより塞ぐ。なお、既設下枠2bと新設下枠3bとの間の隙間は、塞ぎ材36のみにより塞いである。
これにより、既設サッシ枠2の内向固定片8、12、16と、新設サッシ枠3の第1取付片31との固定部に形成される止水ラインが、断熱性の塞ぎ材36により隠蔽される。その結果、止水ラインへの雨水の浸入と外気の入り込みが抑制され、かつ紫外線劣化が起きにくくなるので、長期間に亘り止水性能が維持される。なお、既設下枠2bにおける塞ぎ材36の外方の下面には、図1の2点鎖線で示すような下向きの水切りカバー38を取付けるのが好ましい。このような水切りカバー38を取付けると、雨水が塞ぎ材36方向に浸入するのが防止されるとともに、塞ぎ材36が室外側から目隠しされる。
次に、図4を参照して、内付けタイプの既設サッシ枠2を改装サッシ枠1に改装した第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材または同じ機能を有する部材には、上記と同じ符号を付すに止め、その詳細な説明は省略する。
この第2の実施形態の既設サッシ枠2は、ほぼ全体が建物躯体4の開口部5内に位置するように、すなわち開口部5における室外側のほぼ半分の内周面と当接するようにして、建物躯体4の室外側の側面と開口部5の内面とに固定されている。既設サッシ枠2よりも室内側において、開口部5の内周面には、枠材である額縁6が、既設サッシ枠2の室内側の側面と当接するようにして取付けられている。
この既設サッシ枠2における既設上枠2aと既設下枠2bにも、上記第1の実施形態と同様の内向固定片8、既設上部内レール9、既設上部外レール10、既設上部網戸レール11と、内向固定片12、既設下部内レール13、既設下部外レール14、既設下部網戸レール15とが、それぞれ上下に対向するようにして設けられている。なお、図4においては、既設上部内レール9、既設上部外レール10、既設上部網戸レール11及び既設下部内レール13は、既設サッシ枠2を改装サッシ枠1に改装する際に切除してあるため、2点鎖線で示してある。
図示を省略した左右の既設縦枠にも、上記第1の実施形態の内向固定片16、内側突出フィン17、外側突出フィン18、及び網戸用突出フィン19と同様のレールが設けられている。
既設サッシ枠2に新設サッシ枠3を取付けるには、上記第1の実施形態と同様に、既設サッシ枠2の既設上部内レール9、既設上部外レール10、既設上部網戸レール11及び既設下部内レール13を切除したのち、既設サッシ枠2内に、新設サッシ枠3を室外側より挿入し、新設サッシ枠3の第1取付片31を、シール材33を介して既設サッシ枠2の各内向固定片8、12に固定するとともに、新設サッシ枠3の第2取付片32を額縁6の内面に固定する。この際、既設の額縁6の板厚によっては、新設サッシ枠3の外周面と額縁6の内周面との間に隙間が形成され、第2取付片32の固定面がない場合がある。この際には、隙間に、図4に示すような木枠等の枠材39を室内側より嵌め込み、この枠材39に、第1取付片31と第2取付片32を固定するねじ34を締め込めばよい。
このようにして、内付けタイプの既設サッシ枠2を改装サッシ枠1に改装した後、第1実施形態と同様に、既設サッシ枠2の内周面と新設サッシ枠3の外周面との間に形成された隙間を、塞ぎ材36やコーキング材37により塞ぎ、既設サッシ枠2の内向固定片8、12と、新設サッシ枠3の第1取付片31との固定部に形成される止水ラインを隠蔽して外気が入り込むのを抑制する。
以上説明したように、上記第1、第2の実施形態の改装サッシ枠1及び改装工法によれば、いずれも、既設サッシ枠2と新設サッシ枠3との間に何らの別部材を設けることなく、新設サッシ枠3に設けた第1取付片31と第2取付片32とを、既設サッシ枠2に設けてある上下左右の内向固定片8、12、16と額縁6の内面とに、直接固定しているので、従来工法のように、改装サッシ枠1の開口面積の開口面積が小さくなることを、可及的に防止することができ、窓の採光や通風等の面で有利となる。
また、新設サッシ枠3取付用の部材を別途製作して、これを既設サッシ枠2に取付けたり、建物躯体4の額縁6や外装材7に加工を施したりすることなく、実質的に新設サッシ枠3の施工のみで改装しうるので、工期が短縮されるとともに、改装費用が削減される。
さらに、新設サッシ枠3の第1取付片31と既設サッシ枠2の内向固定片8、12、16との固定部に、シール材33による止水ラインが形成されるので、室外側から雨水等が室内側に浸入するのを防止することができる。
上記実施形態の既設サッシ枠の改装工法によると、新設サッシ枠3の第1取付片31と対向する、既設サッシ枠2に内向き突設された既設上部内レール9、既設上部外レール10、既設上部網戸レール11、既設下部内レール13、既設下部外レール14、内側突出フィン17、外側突出フィン18及び網戸用突出フィン19を、基端部において切除してから、新設サッシ枠3を取付けるので、第1取付片31を各レールと干渉させることなく、新設サッシ枠3を既設サッシ枠2に室外側から挿入して、第1取付片31を、既設サッシ枠2の内向固定片8、12、16に容易にねじ止めすることができる。
また、既設サッシ枠2への新設サッシ枠3の取付け作業を統一して標準化することができるので、改装作業を手際よく行うことができるとともに、改装サッシ枠1のサッシ性能が安定する。
本発明は、上述した外付けや内付けタイプの既設サッシ枠2の外、半外付けタイプの既設サッシ枠等にも適用することができる。また、上記のような既設サッシ枠2を、外開き窓、辷り出し窓、バルコニードア、テラスドア、ドレーキップ窓等の改装サッシ枠に改装する際にも適用することができる。
また、上記実施形態では、新設サッシ枠3に設けた第1取付片31を、既設サッシ枠2の上下左右の内向固定片8、12、16に固定しているが、例えば内向固定片8、12、16の突出寸法が小さく、第1取付片31の固定代が不足する場合には、第1取付片31を、額縁6または枠材39の室外側の側面に固定することもある。この際には、シール材33を、第1取付片31と額縁6または枠材39の室外側の側面との間に介在させればよい。
さらに、上記実施形態では、既設サッシ枠2における既設縦枠2cに、突出フィン17、18、19を有するものとしたが、このような突出フィン17、18、19を有していない既設サッシ枠2を、改装サッシ枠1に改装する際にも、本発明を適用することができる。この際には、既設上枠2aと既設下枠2bのレール9、10、11のみを切除して改装すればよいのは言うまでもない。
1 改装サッシ枠
2 既設サッシ枠
2a 既設上枠
2b 既設下枠
2c 既設縦枠
3 新設サッシ枠
3a 新設上枠
3b 新設下枠
3c 新設縦枠
4 建物躯体
5 開口部
6 額縁(枠材)
7 外装材
8 内向固定片
9 既設上部内レール
10 既設上部外レール
11 既設上部網戸レール
12 内向固定片
13 既設下部内レール
14 既設下部外レール
15 既設下部網戸レール
16 内向固定片
17 内側突出フィン
18 外側突出フィン
19 網戸用突出フィン
20 枠本体
21 新設上部内レール
22 新設上部外レール
23 新設上部網戸レール
24 新設下部内レール
25 新設下部外レール
26 新設下部網戸レール
27 新設側部内レール
28 新設側部外レール
29 新設側部網戸レール
30 立上がり片
31 第1取付片
32 第2取付片
33 シール材
34 ねじ
35 スペーサ
36 塞ぎ材
37 コーキング材
38 水切りカバー
39 枠材
A 新設内障子
B 新設外障子

Claims (9)

  1. 建物躯体の方形をなす開口部に取付けられた、既設上枠、既設下枠及び左右の既設縦枠よりなる既設サッシ枠の枠内に、新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠よりなる新設サッシ枠を取付けてなる改装サッシ枠において、
    前記既設サッシ枠における既設上枠、既設下枠及び左右の既設縦枠は、内面に前記建物躯体の室外側の側面または前記開口部の内周面に取付けた枠材における室外側の側面に固定された内向固定片を有し、かつ前記既設上枠と既設下枠における前記内向固定片よりも室外側の内面には、内向固定片と平行をなすように内向きに突設された、障子等用の案内レールとを備え、
    前記新設サッシ枠における新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠の外周面に突設した外向きの取付片を、前記案内レールの少なくとも一部を切除した状態で前記内向固定片または開口部の内周面に取付けた前記枠材の室外側の側面に、ねじをもって固定することにより、前記既設サッシ枠の枠内に前記新設サッシ枠を取付けたことを特徴とする改装サッシ枠。
  2. 既設サッシ枠における左右の既設縦枠の内面に突出フィンが設けられているものにおいて、この突出フィン少なくとも一部を切除することを特徴とする請求項1に記載の改装サッシ枠。
  3. 新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠の外周面における室内側の側縁に、室内方向を向く第2の取付片を設け、この第2の取付片を、建物躯体の開口部の内周面または開口部の内面に取付けた枠材の内周面に、ねじにより固定したことを特徴とする請求項1または2に記載の改装サッシ枠。
  4. 外向きの取付片と内向固定片または枠材の室外側の側面との間にシール材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の改装サッシ枠。
  5. 建物躯体の方形をなす開口部に取付けられた既設サッシ枠を、請求項1〜4のいずれかに記載の改装サッシ枠に改装する既設サッシ枠の改装工法であって、
    前記既設サッシ枠における既設上枠及び既設下枠に枠内方向に内向きに突設された、障子等用の案内レールの少なくとも一部を切除する工程と、
    新設サッシ枠における新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠を、前記既設サッシ枠内に室外側より挿入し、前記新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠の外向きの取付片を、前記既設サッシ枠における既設上枠、既設下枠及び左右の既設縦枠の内向固定片または開口部の内周面に取付けた枠材の室外側の側面に、ねじにより固定する工程
    とを備えることを特徴とする既設サッシ枠の改装工法。
  6. 既設サッシ枠における左右の既設縦枠の内面に突出フィンが設けられているものにおいて、この突出フィン少なくとも一部を切除することを特徴とする請求項5に記載の既設サッシ枠の改装工法。
  7. 新設上枠、新設下枠及び左右の新設縦枠の外周面における室内側の側縁に、室内方向を向く第2の取付片を設け、この第2の取付片を、建物躯体の開口部の内周面または開口部の内面に取付けた枠材の内周面に、ねじにより固定する工程を有することを特徴とする請求項5または6に記載の既設サッシ枠の改装工法。
  8. 取付片と内向固定片または枠材の室外側の側面との間にシール材を介在させて、取付片と内向固定片とをねじにより固定することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の既設サッシ枠の改装工法。
  9. 既設サッシ枠の内周面と新設サッシ枠の外周面との間に形成される隙間を、断熱性の塞ぎ材により閉塞することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の既設サッシ枠の改装工法。
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