JP2015069133A - 積層位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

積層位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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弘康 渡部
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弘康 渡部
慎也 井本
Shinya Imoto
慎也 井本
理浩 城島
Satohiro Shiroshima
理浩 城島
三佐和 裕二
Yuji Sansawa
裕二 三佐和
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Abstract

【課題】位相差ムラを生じさせることなく延伸された積層位相差フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】本発明の積層位相差フィルムの製造穂方法は、正または負の固有複屈折を有する樹脂を含む塗工液を基材層の少なくとも片面に塗布する塗工層積層工程と、この工程で得られた積層体を延伸する位相差発現工程とを含み、前記塗工液の温度25℃でのB型粘度計による粘度が10〜1000mPa・sであることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、画像表示分野等において好適に用いられる積層位相差フィルムの製造方法に関する。
従来から、画像表示分野等においては、延伸による高分子の配向により生じる複屈折を利用した光学フィルムが幅広く使用されている。しかし、延伸によって発現する位相差範囲には限界があるため、例えば視野角補償、色調補償など様々な光学設計上の要望に対応できない。
そこで様々な光学設計を可能にするために積層位相差フィルムが提案されている。例えば、主鎖に環構造を有する重合体(A)を含む第1の樹脂層と、複素芳香族基等の特定の基を有するα,β−不飽和単量体単位を有する重合体(B)を含む第2の樹脂層との積層体からなる位相差フィルムが提案されている(特許文献1)。
特開2011−242723号公報
ところで、本発明者らは、前記特許文献1の技術をさらに進め、視野角補償が可能な位相差フィルムについて検討を進めている。この積層位相差フィルムでは、第1の樹脂層の上に第2の樹脂層を塗布、乾燥することにより、第1の樹脂層の厚み方向位相差Rthを第2の樹脂層の厚み方向位相差Rthで打ち消して、積層フィルム全体の厚み方向位相差Rthをゼロに近づけることを目指している。しかし、さらに検討を進めると、第2の樹脂層(塗布層)を延伸することで厚み方向の位相差Rthを打ち消すことが可能である一方、延伸後の第2樹脂層(塗布層)に位相差の斑が生じる場合があることが判明した。具体的には、延伸後の積層フィルムを偏光版に挟んで見た時に筋状のムラ(スジムラ)が現れる現象が生じた。なお第2の樹脂層を塗布、乾燥した段階では、塗布ムラは存在しておらず、この現象は延伸以降に生じる現象であった。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、位相差ムラを生じさせることなく延伸された積層位相差フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、第2の樹脂層の粘度が延伸後の位相差のムラの原因になっていることを突き止めた。粘度が本発明の範囲を外れていると、塗布斑の面では問題がなくても、延伸後の位相差にムラが生じていた。これに対して、粘度を本発明の範囲に調整すると、塗布斑の面では違いがないにも拘わらず、乾燥後の延伸時の伸び現象の均一性に影響を及ぼすためか、意外にも延伸前よりも延伸後の方がムラを低減でき、ひいては位相差のムラを著しく抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)正または負の固有複屈折を有する樹脂を含む塗工液を基材層の少なくとも片面に塗布する塗工層積層工程と、この工程で得られた積層体を延伸する位相差発現工程とを含み、
前記塗工液の温度25℃でのB型粘度計による粘度が10〜1000mPa・sであることを特徴とする積層位相差フィルムの製造方法。
(2)前記塗工液が水系分散体を含む前記(1)に記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(3)前記塗工液がウレタン樹脂を含有する前記(1)または(2)に記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(4)前記塗工液が架橋剤を含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(5)前記位相差発現工程後に、塗工層が正の複屈折性を示し、基材層が負の複屈折性を示す前記(1)〜(4)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(6)前記基材層が負の固有複屈折を有する樹脂を含む前記(1)〜(5)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(7)前記基材層が主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体とスチレン系重合体の少なくとも一方を含む前記(1)〜(6)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(8)前記基材層が延伸フィルムである前記(1)〜(7)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(9)前記位相差発現工程では、前記積層体を1.3倍以上の倍率で延伸する前記(1)〜(8)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(10)前記位相差発現工程後の塗工層の膜厚が1μm以上である前記(1)〜(9)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(11)前記位相差発現工程後の積層位相差フィルムの面内位相差が70〜300nmである前記(1)〜(10)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
(12)前記位相差発現工程後の積層位相差フィルムの、下記式から求められるNZ係数が0.1以上0.9以下である前記(1)〜(11)のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
NZ係数=(Rth/Re)+0.5
(ここで、Reは波長550nmにおける面内位相差(nm)であり、Rthは波長550nmにおける厚み方向位相差(nm)である。)
なお本明細書において、面内位相差Reは、層またはフィルムの面内方向における遅相軸の屈折率をnx、進相軸の屈折率をny、層またはフィルムの厚さ(nm)をdとして、
Re=(nx−ny)×d
で示されるものであり、厚み方向位相差Rthは、層またはフィルムの面内方向における遅相軸の屈折率をnx、進相軸の屈折率をny、層の厚さ方向の屈折率をnz、層またはフィルムの厚さ(nm)をdとして、
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
で示されるものである。
本発明の製造方法では、延伸により面内位相差を発現しうる正または負の固有複屈折を有する樹脂を含む塗工液を基材層に塗布した後、延伸するにあたり、塗工液の粘度を特定範囲とするので、延伸による位相差ムラの増加抑制、さらには延伸前に既に生じていた位相差ムラの低減が可能になり、位相差ムラが極めて少なく偏光板に挟んだ時にも筋状のムラが現れない積層位相差フィルムを製造することができる。このような本発明の製造方法によれば、基材層を構成する樹脂、塗工液に含有させる樹脂、延伸条件等を適宜調整することにより、視野角補償、色調補償など所望の光学設計が容易になる。
なお、位相差ムラは、例えばフィルムの面内位相差を複数点(通常30点以上)で測定し、得られた測定値の最大値と最小値との差、もしくはその標準偏差で評価することができる。
本発明の製造方法は、正または負の固有複屈折を有する樹脂を含む塗工液を基材層の少なくとも片面に塗布する塗工層積層工程と、この工程で得られた積層体を延伸する位相差発現工程とを含む。この製造方法によれば、塗工液に含まれる樹脂の種類や含有量、塗工層の厚み、延伸条件(延伸倍率)等を調整することにより、延伸後の塗工層を所定量以上の位相差を発現するものとし、光学補償層として機能させることができる。そしてこの光学補償層と基材層とを積層することで、例えば後述するNZ係数を所定の範囲にコントロールして視野角補償を実現したり、波長分散性をコントロールして色調補償を実現したりすることが可能になる。
以下、各工程について順に説明する。なお以下において並列的に記載する具体例は、特に断りのない限り、当該並列的具体例のうち1種のみを用いてもよく、並列的具体例の2種以上を組み合わせて用いてもよいものとする。
1.塗工層積層工程
塗工層積層工程では、基材層に塗工液を塗工して、該基材層上に塗工層を形成する。
1.1基材層
基材層は、特に制限されるものではなく、例えば、基材層を構成する樹脂を公知のフィルム化方法(例えばTダイ法、インフレーション法等の溶融押出法など)でフィルム状に成膜することにより作製できる。例えばTダイ法を用いる場合、押出機の先端部にTダイを取り付け、このTダイから押し出したフィルムを巻き取ることで、ロール状に巻回させた未延伸フィルムを得ることができる。
基材層としては、この未延伸フィルムをそのまま用いてもよいし、さらに延伸を施し延伸フィルムとして用いてもよい。延伸フィルムを基材層として用いれば、得られる積層位相差フィルムの厚み方向位相差Rthを小さくして後述するNZ係数を好適な範囲に制御することが可能になり、視野角補償性に優れた位相差フィルムに設計することができる。このような視野角補償のほか、幅広い多様な光学設計の要望に応えうる点では、基材層は延伸フィルムであるのがよい。
基材層として延伸フィルムを用いる場合、延伸は一軸延伸が好ましい。この一軸延伸は、縦延伸(フィルム巻取り方向の延伸)であってもよいし、横延伸(フィルム幅方向の延伸)であってもよいが、好ましくは縦延伸とするのがよい。縦延伸の場合、フィルムの幅方向の変化を自由とする自由端一軸延伸でもよいし、フィルムの幅方向の変化を固定とする固定端一軸延伸でもよいが、基材層の位相差を大きく発現させるうえでは自由端一軸延伸が好ましい。延伸は、通常、加熱雰囲気下で行われる。なお、このとき延伸に供する未延伸フィルムの膜厚は、例えば50μm以上、400μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以上、300μm以下である。
基材層とする延伸フィルムの延伸倍率は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.5倍以上である。延伸倍率が低すぎると、位相差の発現が不充分になる虞がある。一方、延伸倍率が高くなるにつれ、位相差の発現性やフィルムの機械的強度は向上するが、ある程度高くなりすぎると、それらの向上効果は小さくなるので、前記延伸倍率は、好ましくは10倍以下、より好ましくは4倍以下である。
基材層として延伸フィルムを用いる場合、延伸温度は、未延伸フィルムのガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)の範囲内が好ましく、(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲内がより好ましく、(ガラス転移温度−10℃)〜(ガラス転移温度+40℃)の範囲内がさらに好ましい。基材層として用いる延伸フィルムの延伸温度が低すぎると、十分な延伸倍率が得られない虞があり、一方、高すぎると、フィルムの構成樹脂に流動(フロー)が起こり、安定な延伸が行えない虞がある。
なお、基材層として延伸フィルムを用いる場合、例えば後述する位相差発現工程における延伸と同様の手法や装置等を適宜採用すればよい。あるいは、基材層とする延伸フィルムの場合には、未延伸フィルムを得る際に巻き取りの温度および速度を制御して、フィルムの押し出し方向に延伸を加えることも可能であり、これを利用してフィルム化と延伸とを同時に行ってもよい。
基材層は、種々の光学設計を可能にする観点から、位相差(複屈折)を発現するものが好ましく、その場合、正の複屈折性を示すものであってもよいし、負の複屈折性を示すものであってもよい。例えば後述するNZ係数を所定の範囲に制御して視野角補償性に優れた位相差フィルムを得ようとする場合などには、基材層の複屈折性は塗工層の複屈折性と正負が異なることが好ましい。塗工層が正の複屈折性を有する場合は、基材層は負の複屈折性を示すものであることが好ましい。基材層を負の複屈折性を示すものとするには、基材層を形成する樹脂として、少なくとも負の固有複屈折を有するポリマーを用いればよい。
基材層を形成する樹脂は、特に制限されず、公知の負の固有複屈折を有するポリマーおよび正の固有複屈折を有するポリマーから適宜選択すればよい。上述したように、基材層を負の複屈折性を示すものとする場合には、少なくとも負の固有複屈折を有するポリマーを含んでいればよく、正の固有複屈折を有するポリマーと負の固有複屈折を有するポリマーの両方を含んでいるのがより好ましい。両方を含ませるには、例えば、正及び負の固有複屈折を有するポリマーをポリマーアロイにしたり、正及び負の固有複屈折を有するポリマーの各成分を共重合させればよい。
負の固有複屈折を有するポリマーとしては、典型的には、側鎖に環構造を備えた構造単位を有するポリマーが挙げられる。例えば、芳香族基(フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基など)または複素芳香族基(例えばカルバゾール基、ピリジン基、イミダゾール基、チオフェン基など)を有するα,β−不飽和単量体単位、N−ビニルラクタム単位等の負の固有複屈折性に寄与する構造単位を有するポリマーが挙げられる。具体的には、芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位としては、例えばスチレン単位が挙げられ、複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位としては、例えばN−ビニルカルバゾール単位、ビニルピリジン単位、ビニルイミダゾール単位およびビニルチオフェン単位が挙げられ、N−ビニルラクタム単位としては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−ε−カプロラクタム単位、N−ビニル−2−ピペリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−ω−ヘプタラクタム単位が挙げられる。これらの構造単位の中でも特にスチレン単位が負の位相差発現性に優れる点で好ましく、よって負の固有複屈折を有するポリマーはスチレン系重合体を含んでいることが望ましい。これら構造単位は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。なお、これら負の固有複屈折性に寄与する構造単位の含有率は、所望の光学特性(例えば層としての負の複屈折性)が得られるよう適宜設定すればよい。
負の固有複屈折を有するポリマーは、上述した負の固有複屈折性に寄与する構造単位のほかに、負の複屈折性を損なわない範囲において、他の構造単位を有していてもよい。他の構造単位としては、例えば、以下の単量体の重合により形成される構成単位が挙げられる。すなわち;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル)、メタクリル酸アルキルエステル(例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル)、アクリル酸アミノアルキルエステル(例えばアクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル)、メタクリル酸アミノアルキルエステル、アクリル酸とグリコールとのモノエステル、メタクリル酸とグリコールとのモノエステル(例えばメタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、グリコールジアリルエーテル、アクリロニトリル。
負の固有複屈折を有するポリマーは、上述した構造単位を導入しうる単量体成分を公知の重合方法および条件で重合することにより得ることができる。
正の固有複屈折を有するポリマーとしては、例えば、シクロオレフィン重合体、セルロース誘導体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体等が挙げられる。
基材層を形成する樹脂は、フィルムの耐熱性を高めるうえで、主鎖に環構造を有する重合体であることが好ましい。耐熱性が向上すれば、画像表示装置における光源などの発熱部近傍への配置が容易になるなど適用範囲が広がる。主鎖環構造を有する重合体としては、例えば、ポリエステル重合体、ポリカーボネート重合体、ポリアミド重合体、ポリイミド重合体、ポリフェニレンエーテル重合体、シクロオレフィン系重合体、セルロース系重合体、(メタ)アクリル系重合体等が挙げられ、透明性の観点からは、主鎖に環構造を有するシクロオレフィン系重合体、セルロース系重合体、(メタ)アクリル系重合体が好ましく、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体が特に好ましい。
主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報、特開2007−63541号公報、WO2007/26659号公報、WO2005/108438号公報、特開2006−131689号公報、特開昭57−153008号公報、特開2007−31537号公報に記載の重合体が例示でき、好ましくは(メタ)アクリル酸単位、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル単位、ヒドロキシメチル(メタ)アクリル酸などのヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸単位などを有する重合体が挙げられる。なお「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味するものとする。
(メタ)アクリル系重合体における主鎖環構造は、特に限定されないが、例えば、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、無水マレイン酸構造、N−置換マレイミド構造などが挙げられる。より好ましくは、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造のいずれかであり、特に好ましくはラクトン環構造(特に6員環構造)である。
ラクトン環構造は、例えば、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーAと、(メタ)アクリル酸系モノマーBとを重合(好ましくは共重合)して分子鎖にヒドロキシ基とエステル基またはカルボキシル基とを導入した後、これらヒドロキシ基とエステル基またはカルボキシル基との間で脱アルコールまたは脱水環化縮合を生じさせることにより形成できる。
(メタ)アクリル系重合体が主鎖にラクトン環構造を有する場合、当該重合体におけるラクトン環構造の含有率は、特に限定はされないが、例えば5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは20〜60質量%である。
基材層を形成する樹脂の重量平均分子量は、例えば、1,000〜300,000が好ましく、より好ましくは5,000〜250,000、さらに好ましくは10,000〜200,000である。
基材層のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性の観点から、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上、特に好ましくは120℃以上である。特に、後述する塗工液が水系分散体である場合には、水を除去するための乾燥温度を100℃以上にすることが好ましく、これに鑑みると、基材層のガラス転移温度(Tg)は100℃以上であることが好ましい。
基材層の厚みは、好ましくは20μm以上、300μm以下であり、より好ましくは30μm以上、200μm以下であり、さらに好ましくは40μm以上、200μm以下である。
基材層の波長550nmの光に対する面内位相差Reは、10nm以上であることが好ましく、より好ましくは20nm以上である。基材層の面内位相差Reが前記範囲であると、積層位相差フィルムの位相差を所望のレベルに設計し易くなり、積層位相差フィルムを薄膜化したり、波長分散性を改善する(波長分散性をフラットに近づけ、さらには逆波長分散性にする)など、所望の光学設計が容易になる。
1.2塗工液
本発明において前記基材層に塗布する塗工液は、正または負の固有複屈折を有する樹脂(以下「樹脂成分」と称することもある)を含むものである。塗工液にどのような樹脂を含有させるかは、所望する光学設計の内容に応じて決定すればよく、例えば、基材層に使用する樹脂の中から適宜選択して使用できる。またウレタン樹脂を使用してもよい。好ましい塗工液用樹脂は、正の固有複屈折を有する樹脂であり、特にウレタン樹脂である。一般に、ウレタン樹脂は位相差(複屈折)の発現性が高いので、ウレタン樹脂を含有させれば、塗工層の面内位相差をより大きく発現させることができる。またウレタン樹脂を含有させれば、塗工層ひいては積層位相差フィルムの機械的強度の向上を図ることもできる。
ウレタン樹脂としては、特に限定されないが、典型的には、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得た樹脂である。ここでポリオールおよびポリイソシアネートはそれぞれ1種のみであってもよいし2種以上であってもよく、ウレタン樹脂自体も1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記ポリオールとしては、分子中に水酸基(ヒドロキシ基)を2個以上有するものであれば、特に制限されず、例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、およびこれらの共重合体が挙げられる。
前記ポリアクリルポリオールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体と水酸基を有する単量体との共重合体が挙げられる。ここで(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等であることが挙げられる。水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。またポリアクリルポリオールは、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体および前記水酸基を有する単量体のほかに、さらに他の単量体が共重合されたものであってもよく、例えば、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびモノまたはジエステル類;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族単量体等を共重合させることができる。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸成分とポリオール成分との反応により得られるものが挙げられる。ここで多塩基酸成分としては、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、酒石酸、アルキルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸;オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの不飽和カルボン酸のダイマー酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;あるいは、これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライドなどの反応性誘導体;を用いることができる。ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1−メチル−1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−ブチレングリコール、1−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,5−ペンチレングリコール、2−メチル−1,5−ペンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコール、1,2−ジメチルブチレングリコール、1,3−ジメチルブチレングリコール、2,3−ジメチルブチレングリコール、1,4−ジメチルブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等を用いることができる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオール成分と、カーボネート化合物(例えば、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなど)、ホスゲンとの反応により得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。ポリカーボネートジオールの製造原料であるポリオール成分としては、ポリエステルポリオールの製造原料として先に例示したポリオール成分を用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを、用いることができる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールにアルキレンオキシドを開環重合して付加させることにより得られるものが挙げられる。ここで多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート;等が挙げられる。
さらにウレタン樹脂は、ポリオールおよびポリイソシアネートとともに、さらに他のポリオールあるいは鎖延長剤を反応させたものであってもよい。他のポリオールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど、3以上の水酸基を有するポリオールが挙げられる。鎖延長剤としては、例えば、ジアルキロールアルカン酸(例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールペンタン酸など)などのジヒドロキシカルボン酸;ジヒドロキシスクシン酸;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミンなどの脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンなどの脂環族ジアミン;キシリレンジアミン、トリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;等が挙げられる。
ウレタン樹脂を得る際の反応については、公知の方法を適宜採用すればよく、例えば、各成分を一度に反応させるワンショット法、段階的に反応させる多段法を採用することができる。またウレタン樹脂を得る際の各成分の使用量比等についても適宜設定すればよい。
ウレタン樹脂の分子量は、特に制限されないが、例えば数平均分子量で5千〜60万が好ましく、より好ましくは1万〜40万である。
ウレタン樹脂として、市販品を用いてもよく、例えば、三井化学ポリウレタン社製のタケラック(登録商標)(WS−4000、WS−5100等)、ADEKA社製のアデカボンタイター(登録商標)(HUX−550、HUX−541、HUX−522等)、第一工業製薬社製のスーパーフレックス(登録商標)(130、170等)等を使用することができる。
前記ウレタン樹脂は、塗工液に配合する全樹脂(固形分換算)100質量%に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
塗工液に含有させる樹脂成分は、位相差発現工程で延伸配向させることを考慮すると、ガラス転移温度が高いことが望ましい。塗工液に主成分(例えば、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上)として使用される樹脂のガラス転移温度は、好ましくは70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。
前記塗工液は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。これにより、積層位相差フィルムの位相差発現性、機械的強度、耐水性、耐久性を高めることができる。架橋剤としては、水溶性タイプのものが好ましく、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタン)トリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;オキサゾリン類;カルボジイミド類を用いることができる。例えば、ウレタン樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合、架橋剤としてはカルボキシル基と反応し得る基を有するポリマー(例えば(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン・アクリル系ポリマーなど)を用いることができる。カルボキシル基と反応し得る基には、有機アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等があり、オキサゾリン基が好ましい。架橋剤は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
前記架橋剤として、市販品を用いてもよく、例えば、オキサゾリン類として、日本触媒社製のエポクロス(登録商標)シリーズ(WS−700等)等が使用でき、カルボジイミド類として、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)等が使用できる。
塗工液中に架橋剤を含有させる場合、その含有量は、固形分換算で、樹脂成分(正または負の固有複屈折を有する樹脂)100質量部に対して、1質量部以上、50質量部以下であるのが好ましく、より好ましくは5質量部以上、40質量部以下である。
さらに前記塗工液は、フィルムの耐ブロッキング特性を改善する目的で、微粒子を含んでいてもよい。微粒子としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアなどの無機酸化物、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウムなどの無機系微粒子;シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂などの有機系微粒子;が挙げられる。中でもシリカが好ましく、さらにはコロイダルシリカを用いることがより好ましい。
さらに前記塗工液は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、粘度調整剤(水溶性高分子など)、レベリング剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、帯電防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
前記塗工液は水系媒体を含む溶液もしくは分散体であることが好ましく、特に水系分散体であることが好ましい。塗工液が水系媒体を含む溶液もしくは分散体であると、塗工液の取り扱いが容易になるとともに、有機溶剤の使用による爆発の危険性や環境および人体への負荷を回避できる。
前記水系媒体としては、水もしくは水と親水性の有機溶剤(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;アセトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;など)との混合溶媒を用いることができるが、特に水が好ましい。水と親水性の有機溶剤との混合溶媒を用いる場合には、親水性の有機溶剤の含有割合は、混合溶媒中50質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
塗工液が水系分散体である場合には、さらに、水系媒体中における樹脂の安定性を向上させる目的で、中和剤を含んでいてもよい。中和剤としては、例えば、アンモニア、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
本発明において前記基材層に塗布する塗工液は、温度25℃でのB型粘度計による粘度が10〜1000mPa・sである。塗工液の粘度が前記範囲であると、塗工後の延伸によって生じる位相差ムラを抑制し、さらに延伸前に所持していた位相差ムラも解消し、位相差ムラが抑制された積層位相差フィルムを製造することができる。塗工液の前記粘度は、好ましくは15mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上である。塗工液の前記粘度は、塗工し易さの観点から、好ましくは800mPa・s以下、より好ましくは600mPa・s以下、さらに好ましくは400mPa・s以下であるのがよい。
本発明において前記基材層に塗布する塗工液の表面張力は、10mN/m以上、75mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは20mN/m以上、72mN/m以下である。塗工液が水系分散体である場合、表面張力が前記範囲を外れると、塗布、乾燥後の塗布ムラが生じやすくなり、その結果、延伸後に得られた積層位相差フィルムに位相差ムラが生じやすくなる虞がある。塗工液の表面張力は、公知の接触角計(例えば、協和界面化学株式会社製「DM−500)など)を用いて懸滴法により測定することができる。
前記塗工液の固形分濃度は、15質量%以上、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上、50質量%以下である。塗工液の固形分濃度が前記範囲であると、粘度を上記範囲に制御し易くなり、位相差ムラを効率よく抑制することができる。
1.3.塗工方法
前記塗工液は、前記基材層の片面のみに塗工してもよいし、両面に塗工してもよい。具体的には、基材層の表面に前記塗工液を塗布し、乾燥させる。これにより基材層と塗工層(乾燥塗工膜)との積層体が得られる。なお、両面に塗工する場合には、片面ずつ塗工してもよいし、両面同時に塗工してもよい。
塗工液の塗布には、例えば、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法など公知の塗布方法を適用すればよい。
前記塗工液の塗布量は、乾燥膜厚が、例えば5μm以上、100μm以下となるようにするのが好ましく、より好ましくは10μm以上、60μm以下である。塗工液の塗布量が少ないと、得られる積層位相差フィルムにおける塗工層の膜厚が不十分となり、所望の量の位相差を発現し得ない虞があり、一方、多すぎると、塗布膜を均一に乾燥することが困難になる虞がある。
前記塗工液の供給量は10〜900g/minとすることが好ましい。塗工液の供給量が少ないと、連続的な製膜が困難になったり、塗布膜の均一性を損なったりする虞があり、一方、塗工液の供給量が多すぎると、塗布膜を均一に乾燥することが困難になる傾向がある。
前記塗工液を塗布する際の塗工速度は、特に制限されないが、例えば0.1〜10m/minが好ましい。塗工速度が遅すぎると、生産性を損なう虞があり、一方、塗工速度が速すぎると、フィルムの塗工均一性が低下する虞がある。
前記塗工液を塗布した後には、該塗工液中の溶媒を除去するために乾燥を行うことが望ましい。乾燥は、例えば、乾燥機、オーブンなど加熱手段を備えた公知の装置を用いて行うことができる。乾燥に用いる装置は、連続式、バッチ式のいずれであってもよく、また複数区画に分かれた乾燥装置を用いることもできる。
乾燥温度(加熱温度)や乾燥時間は、特に制限されないが、例えば乾燥温度は70℃〜200℃が好ましく、より好ましくは80℃〜150℃であり、乾燥時間(加熱時間)は30秒〜10分程度である。乾燥は、一定の加熱温度で行ってもよいし、加熱温度を勾配をつけて変更して行ってもよいし、加熱温度を段階的に変更して行ってもよい。加熱温度を変更する場合には、初期の加熱温度を低めに設定し、後半の加熱温度を高めに設定することが、乾燥時にフィルムにひび割れ等が生じることを回避できる点で好ましい。例えば、乾燥の初期段階では塗工液中の溶媒の沸点以下の温度とし、その後昇温して最終的に基材層のガラス転移温度(Tg)未満とすることが好ましい。また、熱風式の乾燥装置を用いる場合には、乾燥風量を1〜20m/minとするのが好ましい。乾燥風量が前記範囲よりも遅いと、乾燥が不十分となる虞があり、一方、前記範囲より速いと、フィルムの走行が乱れて乾燥不良が起こる虞がある。
このようにして得られた基材層と塗工層との積層体の波長550nmの光に対する面内位相差は、特に制限されないが、例えば700nm以下が好ましく、より好ましくは600nm以下である。基材層が延伸フィルムである場合には、300nm以上が好ましい。
2.位相差発現工程
位相差発現工程では、塗工層積層工程で得られた積層体を延伸する。これにより、塗工層に位相差を発現させる。
位相差発現工程における延伸は、一軸延伸であってもよいし、二軸延伸でもあってもよいが、一軸延伸であることが好ましい。さらに、基材層が一軸延伸フィルムである場合、位相差発現工程における延伸は、基材層の延伸方向と略直交する方向に一軸延伸することが好ましい。これにより、塗工層は一軸延伸され、基材層は二軸延伸されることになり、得られる積層位相差フィルムのNZ係数を後述する範囲に設定しやすくなる。
位相差発現工程における延伸には、特に制限なく公知の延伸機が使用できる。縦延伸機としては、例えばオーブン延伸機が好ましい。オーブン縦延伸機は、一般に、オーブンと、当該オーブンの入口側および出口側に各々設けられた搬送ロールとから構成される。オーブンの入口側の搬送ロールと、出口側の搬送ロールとの間に周速差を与えることによって、フィルムがその搬送方向に延伸される。横延伸機としては、例えばテンター延伸機が好ましい。テンター延伸機は、グリップ式でもピン式でも構わないが、フィルムの引き裂けが生じ難いことから、グリップ式が好ましい。グリップ式のテンター延伸機は、一般に、横延伸用のクリップ走行装置とオーブンとから構成される。クリップ走行装置では、フィルムの横端部がクリップで挟まれた状態で当該フィルムが搬送される。このとき、クリップ走行装置のガイドレールを開き、左右2列のクリップ間の距離を広げることによって、フィルムが横延伸される。
位相差発現工程における延伸の延伸倍率は、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.8倍以上である。延伸倍率が低すぎると、塗工層の位相差の発現が不充分になる虞がある。一方、延伸倍率が高くなるにつれ、位相差の発現性やフィルムの機械的強度は向上するが、ある程度高くなりすぎると、それらの向上効果は小さくなるので、前記延伸倍率は、好ましくは10倍以下、より好ましくは5倍以下、さらに好ましくは3.5倍以下である。
位相差発現工程における延伸は、通常、加熱雰囲気下で行われる。位相差発現工程における延伸の延伸温度は、基材層のガラス転移温度を(Tg)℃とすると、(Tg−30)℃〜(Tg+100)℃の範囲が好ましく、(Tg−20)℃〜(Tg+80)℃の範囲がより好ましく、(Tg−10)℃〜(Tg+40)℃の範囲がさらに好ましい。延伸温度が(Tg−30)℃未満の場合、十分な位相差を発現させるだけの延伸倍率が得られないことがある。延伸温度が(Tg+100)℃を超えると、基材層を構成する樹脂の流動(フロー)が起こり、安定した延伸が行えないことがある。
本発明の製造方法においては、基材層のフィルム化、塗工液の塗布、乾燥、および位相差発現工程における延伸を、一貫工程で行ってもよい。
本発明の製造方法において、上述した塗工液の塗布後の乾燥時の加熱と、位相差発現工程における延伸での加熱は、一方が他方を兼ねることが好ましい。これにより、より生産性を高めることが可能になる。また本来、塗工層積層工程と位相差発現工程でそれぞれ加熱するところを、上述のようにいずれか一方が他方を兼ねるようにすれば、加熱が1回ですむので、基材層にかかる熱履歴が抑えられ、熱履歴に起因する基材層の位相差の低下を抑制できるという効果も得られる。さらに、通常、塗工液の塗布後、乾燥する際の加熱は、基材層のガラス転移温度(Tg)未満で、且つ除去する溶媒の沸点以上の温度で行うことが望まれるが、例えば後述するインライン塗工方式においては、基材層のガラス転移温度に制約されることなく温度を上げて乾燥することができるため乾燥時間も短縮できる。
塗工液の塗布後の乾燥時の加熱と、位相差発現工程における延伸での加熱の一方が他方を兼ねるようにするには、所謂インライン塗工方式で、塗工液の塗布後の乾燥時の加熱と位相差発現工程における延伸とを連続して行い、1)塗工液を塗布した後、そのままの状態で(乾燥のための加熱を行うことなく)位相差発現工程の延伸に供するか、2)塗工液の塗布後に乾燥された加熱状態の積層体をそのまま直ちに位相差発現工程の延伸に供すればよい。前記1)の場合、位相差発現工程の延伸に供する積層体を所定の延伸温度に昇温するために設けられた延伸用の加熱ゾーンで、塗工液の乾燥(溶媒除去)を行うことができるので、通常、延伸用の加熱ゾーンとは別に設けられていた溶媒除去のための加熱ゾーン(加熱装置)が不要となり、工程が簡略化できる。一方、前記2)の場合、加熱状態の積層体は溶媒除去のための加熱ゾーンで既に昇温されているので、そのまま延伸用の加熱ゾーンを経ることなく、位相差発現工程の延伸に供することができ、工程が簡略化できる。好ましくは、前記1)の手法がよい。
3.積層位相差フィルム
本発明の製造方法で得られる積層位相差フィルムにおいて、塗工層(位相差発現工程で延伸された後の塗工層)の厚みは、好ましくは1μm以上、20μm以下であり、より好ましくは3μm以上、15μm以下である。前記塗工層の厚みが前記範囲よりも薄いと、十分に延伸されていないことが考えられ、ひいては十分な複屈折を発現させることができない虞がある。一方、前記塗工層の厚みが前記範囲よりも厚いと、乾燥時の必要熱量が大きくなり、基材層の位相差が低下しやすくなる傾向がある。
本発明の製造方法で得られる積層位相差フィルムにおいて、塗工層(位相差発現工程で延伸された後の塗工層)の波長550nmの光に対する面内位相差Reは、好ましくは10nm以上、300nm以下、より好ましくは20nm以上、250nm以下、さらに好ましくは30nm以上、200nm以下である。塗工層に前記範囲の面内位相差を発現させようとすると、位相差ムラが生じ易くなる傾向がある。よって、塗工層の面内位相差が前記範囲であると本発明の効果をより有意に活用することができる。なお前記塗工層の面内位相差Reは、例えば、当該塗工層のみからなる単層フィルムを別途作成し該単層フィルムのReを測定するか、あるいは基材層と塗工層との積層フィルムについてのReと、基材層単層についてのReとの差から算出することにより求めることができる。
本発明の積層位相差フィルムは、波長550nmの光に対する面内位相差Reが、70nm以上、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは80nm以上、290nm以下であり、さらに好ましくは90nm以上、280nm以下である。
本発明の積層位相差フィルムは、波長550nmの光に対する厚み方向位相差Rthが、絶対値で150nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは40nm以下である。積層位相差フィルムの厚み方向位相差Rthが前記範囲であると、優れた視野角補償性を発揮できる。
本発明の積層位相差フィルムは、下記式から求められるNZ係数が0.1以上0.9以下であることが好ましく、より好ましくは0.3以上0.8以下である。
NZ係数=(Rth/Re)+0.5
(ここで、Reは波長550nmにおける面内位相差(nm)であり、Rthは波長550nmにおける厚み方向位相差(nm)である。)
このNZ係数は上記のように面内位相差Reと厚み方向位相差Rthとで決まる値であり、NZ係数が前記範囲であれば優れた視野角補償性を発揮することが可能になる。
前記NZ係数を前記範囲に制御するには、塗工層が正の複屈折性を示し、基材層が負の複屈折性を示すように、各層の構成樹脂を選択すればよく、特に塗工層の構成する樹脂としてウレタン樹脂を用いるのがよい。塗工層が正の複屈折性を示し、基材層が負の複屈折性を示すようにすると、正複屈折性層(基材層)と負複屈折性層(塗工層)との打ち消し合いにより、積層フィルムのRthは0に近づくことになりNZ係数を前記範囲に制御することが可能になる。
本発明の製造方法で得られる積層位相差フィルムの厚さ(総膜厚)は、特に制限されないが、通常、10μm以上、200μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、150μm以下、さらに好ましくは30μm以上、120μm以下である。
本発明の積層位相差フィルムにおける前記塗工層と基材層との厚みの比率は、基材層の厚み(μm)/塗工層の厚み(μm)の値が1以上10以下であることが好ましく、より好ましくは3以上9以下、さらに好ましくは4以上8以下である。
本発明の製造方法においては、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上述のようにして得られた積層位相差フィルムに、公知の各種の機能性コーティング層を積層してもよい。機能性コーティング層としては、例えば、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層などが挙げられる。これら機能性コーティング層は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。これら機能性コーティング層は、好ましくは、前記基材層と前記塗工層との積層体の表面に形成される。
本発明の製造方法で得られる積層位相差フィルムの用途は特に限定されないが、例えば、VAモードやIPSモードの液晶表示装置(LCD)をはじめ、各種モードのLCDの光学補償(色調保障、視野角補償)に使用できる。また、LCD以外にも、様々な画像表示装置、光学装置に好適に使用できる。
複数の位相差フィルムを作製後に貼合して積層位相差フィルムとする場合、貼合時のフィルム貼り合わせ角度がずれたり、接着剤が必要になるのでフィルム厚みが増し工程も煩雑になるといった問題が生じるが、本発明の積層位相差フィルムによれば、貼合工程が不要であるので工程が簡略化でき、また延伸時に配向角が決定されるため層間の角度精度も高くなる。
本発明の積層位相差フィルムを用いて偏光板を作製する場合、両面に偏光子保護フィルムを有する偏光板と貼合してもよいし、本発明の積層位相差フィルムを偏光子保護フィルムとして片面に用いてもよい。
以下に、実施例および比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下では特にことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示す。
以下の実施例における各種物性の測定および評価は、以下の方法で行った。
<膜厚(厚み)>
フィルムまたは層の膜厚は、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて測定した。
<塗工液の粘度>
JIS K 7117準拠して、B型粘度計(東機産業製「BL−II型」)を用い、ロータの回転数を60rpmに設定して25℃にて測定した。
<フィルムの光学特性(面内位相差Re、厚み方向位相差Rth、NZ係数、位相差ムラ(Reムラ))>
(i)Re、Reムラ
測定対象(積層フィルムまたは積層位相差フィルム)から切り出した試験片について、波長550nmの光に対する面内位相差値Reを光学材料検査装置(大塚電子(株)製「RETS−100」)に自動XYステージを取り付け測定した。
具体的には、まず、積層フィルム(延伸前の積層体)の場合、フィルムの幅方向(フィルムの溶融押出時の幅方向)中央部から幅7cm×縦7cmの試験片を切り出し、積層位相差フィルム(延伸後の積層体)の場合は、積層フィルムを延伸した際の延伸倍率を考慮して幅7cmの積層フィルムに相当する大きさ(例えば延伸倍率が2.5倍なら幅17.5cm×縦7cm)の試験片をフィルムの幅方向中央部から切り出した。
そして、切り出したフィルムの幅方向(フィルムの溶融押出時の幅方向)全長にわたり5mm間隔で計測することとし、これをフィルムの長手方向(フィルムの溶融押出時の幅方向)の端部から0cmおよび2cmの位置で幅方向に沿って2列分測定した。例えば、切り出した試験片が幅7cm×縦7cmであれば、計測点の合計数は15点×2列=30点となり、切り出した試験片が幅17.5cm×縦7cmであれば、計測点の合計数は36点×2列=72点となる。これら全ての計測点で得られた測定値の平均値を面内位相差Reとした。また全ての計測点で得られた測定値から、最大値と最小値との差および標準偏差σを求め、それらでReムラを評価した。最大値と最小値との差、標準偏差σともに、値が小さいほど位相差ムラが少ないことを意味し、例えば、最大値と最小値との差が4nm以下、標準偏差σが1以下であれば、位相差ムラが極めて少ないと言える。
(ii)Rth、NZ係数
まず、屈折率計(アタゴ社製「デジタルアッベ屈折計DR−M2」)を用いて、基材層(基材フィルム)の測定波長550nmに対する平均屈折率を、23℃で、JIS K7142に準拠して測定した。
次に、積層位相差フィルムの波長550nmの光に対するフィルムの面内位相差値Re、厚み方向位相差値RthおよびNZ係数を、光学材料検査装置(大塚電子(株)製「RETS−100」)に自動回転傾斜ステージを取り付けて測定した。具体的には、上記で得た基材層の平均屈折率を入力し、積層フィルムの膜厚d(nm)、三次元屈折率nx、ny、nzの値を測定し、下記式より求めた(NZ係数を求めるにあたり、Reは当該測定で得られた値を用いた)。ここで、「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸に垂直な方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率であり、dは位相差フィルムの厚み(nm)である。なお厚さ方向位相差値Rthは、遅相軸を傾斜軸として40°傾斜させて測定した。
面内位相差Re=(nx−ny)×d
厚み方向位相差Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
NZ係数=(Rth/Re)+0.5
<固有複屈折>
樹脂の固有複屈折の正負は、測定対象とする樹脂で形成した一軸延伸フィルムについて、上記位相差測定を行い、遅相軸方向がフィルムの延伸方向と平行の場合(略平行の場合を含む)、樹脂の固有複屈折を正とし、遅相軸方向がフィルムの延伸方向と垂直の場合(略垂直の場合を含む)、樹脂の固有複屈折を負とした。
<目視によるスジムラの有無>
得られた積層位相差フィルムを2枚の偏光板に挟み、目視で観察し、スジムラの有無を確認した。具体的には、光源の上に1枚目の偏光板を置き、その上に積層位相差フィルムを載せ、さらにその上から2枚目の偏光板を、先に置いた1枚目の偏光板に対してパラレルニコルの配置またはクロスニコルの配置で重ね、観察した。次に、このパラレルニコルの配置またはクロスニコルの配置で重ねた状態の偏光板/積層位相差フィルム/偏光板において、それぞれ積層位相差フィルムのみを90度回転させて(つまり積層位相差フィルムの遅相軸を90度回転させて)、再度観察した。このように計4パターンの重ね方について観察したときに、全ての重ね方でスジムラが一切認められなかった場合を「○」、いずれかの重ね方で一部でもスジムラが認められた場合を「×」、と評価した。
<ガラス転移温度>
樹脂およびフィルムのガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して測定した。具体的には、示差走査熱量計(リガク社製「Thermo plus EVO DSC−8230」)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により求めた。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
<重量平均分子量>
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の測定条件で求めた。
測定システム:東ソー社製「GPCシステムHLC−8220」
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
溶媒流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製「PS−オリゴマーキット」)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製「TSK guardcolumn SuperHZ−L」)、分離カラム(東ソー社製「TSK Gel Super HZM−M」)、2本直列接続
リファレンス側カラム構成:リファレンスカラム(東ソー社製「TSK gel SuperH−RC」)
<ラクトン環含有率>
ラクトン環構造の含有率は、ダイナミックTG法により、以下のようにして求めた。まず、ラクトン環構造を有する重合体に対してダイナミックTG測定を実施し、150℃から300℃の間の重量減少率を測定して、得られた値を実測重量減少率(X)とした。150℃は、重合体に残存する水酸基およびエステル基が環化縮合反応を開始する温度であり、300℃は、重合体の熱分解が始まる温度である。他方、前駆体(環化縮合反応前の重合体)に含まれる全ての水酸基が脱アルコール反応を起こしてラクトン環が形成されたと仮定して、その反応による重量減少率(すなわち前駆体の脱アルコール環化縮合反応率が100%であったと仮定した重量減少率)を算出し、理論重量減少率(Y)とした。具体的には、理論重量減少率(Y)は、前駆体における、脱アルコール反応に関与する水酸基を有する構成単位の含有率から求めることができる。なお、前駆体の組成は、測定対象である重合体((メタ)アクリル重合体)の組成から導いた。そして式;[1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))]×100(%)により、重合体の脱アルコール反応率を算出した。測定対象である重合体において、求めた脱アルコール反応率の分だけラクトン環構造が形成されていると考えられる。そこで、前駆体における、脱アルコール反応に関与する水酸基を有する構成単位の含有率に、求めた脱アルコール反応率を乗じ、ラクトン環構造の重量に換算した値を、ラクトン環構造の含有率とした。
(製造例1:基材層形成用樹脂(P1)の調製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)40部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)10部、重合溶媒としてトルエン50部および酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブ(登録商標)2112」)0.025部を仕込み、この反応釜に窒素を通じつつ、105℃まで昇温した。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製「ルペロックス(登録商標)570」)0.05部を添加するとともに、前記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.10部を3時間かけて滴下しながら約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、滴下終了後、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、リン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業社製「Phoslex A−8」)0.05部を加え、約90〜110℃の還流下において2時間ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。次いで、得られた重合溶液を熱交換器に通して240℃まで昇温し、当該温度において環化縮合反応をさらに進行させた。
次に、得られた重合溶液を、バレル温度240℃、回転速度100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)で、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)を有し、第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダーが設けられ、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)がギアポンプを介して配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で70部/時の処理速度で導入し、脱揮を行った。脱揮に際しては、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂:スチレン単位/アクリロニトリル単位(質量比)=73/27、重量平均分子量22万)のペレットをサイドフィーダーから46.7部/時の投入速度で投入した。さらに脱揮の際には、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を1.06部/時の投入速度で第1ベントの後ろから投入し、イオン交換水を0.34部/時の投入速度で第2および第3ベントの後ろからそれぞれ投入した。ここで酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、フェノール系酸化防止剤として50部のペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製「イルガノックス(登録商標)1010」)と、環化触媒失活剤として35部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業社製「ニッカオクチクス亜鉛3.6%」)とを、トルエン200部に溶解させた溶液を用いた。
脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂を当該押出機の先端からポリマーフィルタで濾過しながら排出し、ペレタイザーによりペレット化することにより、透明なペレット状のアクリル系樹脂を得、これを基材層形成用樹脂(P1)とした。
得られたアクリル系樹脂(基材層形成用樹脂(P1))は、ラクトン環構造を主鎖に有するアクリル系重合体(ラクトン環構造の含有率:28.3質量%)を60質量%、スチレン−アクリロニトリル共重合体を40質量%含有するものであり、重量平均分子量(Mw)は16.0万、ガラス転移温度(Tg)は120℃であり、その固有複屈折は負であった。
(製造例2:塗工液(D1)の調製)
市販のウレタン樹脂分散体(ADEKA社製「アデカボンタイター(登録商標)HUX550」;固形分28質量%)90部と、架橋剤(日本触媒社製「エポクロス(登録商標)WS−700」;固形分25質量%)10部とを混合して、ウレタン樹脂を含有する塗工液(D1)とした。
この塗工液(D1)の固形分濃度は27.7質量%、粘度は27mPa・sであった。またこの塗工液(D1)に含まれるウレタン樹脂の固有複屈折は正であった。
(製造例3:塗工液(D2)の調製)
市販のウレタン樹脂分散体(ADEKA社製「アデカボンタイター(登録商標)HUX550」;固形分28質量%)90部と、架橋剤(日本触媒社製「エポクロス(登録商標)WS−700」;固形分25質量%)10部と、水100部とを混合して、ウレタン樹脂を含有する塗工液(D2)とした。
この塗工液(D2)の固形分濃度は13.9質量%、粘度は6mPa・sであった。またこの塗工液(D2)に含まれるウレタン樹脂の固有複屈折は正であった。
(実施例1)
製造例1で得られた基材層形成用樹脂(P1)を、先端部にポリマーフィルタ(濾過精度5μm)およびTダイを備えた単軸押出機を用いて270℃で溶融押出し、厚さ124μmの帯状の未延伸アクリル系樹脂フィルムを得た。次いで、得られた未延伸アクリル系樹脂フィルムを、二軸延伸機(東洋精機社製「X6−S」)を用いて、当該フィルムの縦方向(溶融押出時の流れ方向)に、延伸温度126.5℃、延伸倍率2.7倍で自由端一軸延伸して(第一延伸工程;縦延伸)、延伸フィルムを得、これを基材層(基材フィルム)とした。得られた延伸フィルムの膜厚は76μmであり、ガラス転移温度(Tg)は120℃であった。
次に、4区画の熱風式乾燥設備を備えた連続塗工機((株)ヒラノテクシード製)にスロットダイを取り付け、塗工液(D1)を吐出量36g/minで供給しながら、ロール状の基材フィルム(幅320mm)に幅280mmで塗工液(D1)を連続塗工し、続いて第1区画から第4区画までの乾燥設備を順に通過させることにより乾燥し、巻き取ることで、ロール状の積層フィルム(基材層と塗工層の積層体)を得た。このとき、塗工速度は3m/minとし、乾燥温度は第1区画が70℃、第2区画が90℃、第3区画が100℃、第4区画が100℃とし、それぞれの風速は第1区画が5m/min、第2区画が8/min、第3区画が10m/min、第4区画が12m/minとし、4区画合計の乾燥時間は2分間とした。積層フィルムの塗工層の乾燥膜厚は12μmであり、積層フィルム(塗工層積層体)の面内位相差Re、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
次いで、乾燥後の積層フィルムを、前記二軸延伸機を用いて、フィルムの横方向(溶融押出時の幅方向)に、延伸温度124℃、延伸倍率2.5倍で固定端一軸延伸した(第二延伸工程;横延伸)。
このようにして、アクリル系重合体からなる負の複屈折性を有する基材層と、ウレタン樹脂からなる正の複屈折性を有する塗工層との積層体である積層位相差フィルムを得た。
得られた積層位相差フィルムの膜厚、面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rth、NZ係数、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、厚さ145μmの帯状の未延伸アクリル系樹脂フィルムを得た。次いで、得られた未延伸アクリル系樹脂フィルムを、二軸延伸機(東洋精機社製「X6−S」)を用いて、当該フィルムの縦方向(溶融押出時の流れ方向)に、延伸温度130℃、延伸倍率2.7倍で自由端一軸延伸して(第一延伸工程;縦延伸)、延伸フィルムを得、これを基材層(基材フィルム)とした。得られた延伸フィルムの膜厚は89μmであり、ガラス転移温度(Tg)は120℃であった。
次に、4区画の熱風式乾燥設備を備えた連続塗工機((株)ヒラノテクシード製)にスロットダイを取り付け、塗工液(D1)を吐出量32g/minで供給しながら、ロール状の基材フィルム(幅320mm)に幅280mmで塗工液(D1)を連続塗工し、続いて第1区画から第4区画までの乾燥設備を順に通過させることにより乾燥し、巻き取ることで、ロール状の積層フィルム(基材層と塗工層の積層体)を得た。このとき、塗工速度は2m/minとし、乾燥温度は第1区画が70℃、第2区画が90℃、第3区画が100℃、第4区画が100℃とし、それぞれの風速は第1区画が5m/min、第2区画が8/min、第3区画が10m/min、第4区画が12m/minとし、4区画合計の乾燥時間は3分間とした。積層フィルムの塗工層の乾燥膜厚は16μmであり、積層フィルム(塗工層積層体)の面内位相差Re、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
次いで、乾燥後の積層フィルムを、前記二軸延伸機を用いて、フィルムの横方向(溶融押出時の幅方向)に、延伸温度128℃、延伸倍率2.1倍で固定端一軸延伸した(第二延伸工程;横延伸)。
このようにして、アクリル系重合体からなる負の複屈折性を有する基材層と、ウレタン樹脂からなる正の複屈折性を有する塗工層との積層体である積層位相差フィルムを得た。
得られた積層位相差フィルムの膜厚、面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rth、NZ係数、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
(実施例3)
実施例1と同様にして、厚さ192μmの帯状の未延伸アクリル系樹脂フィルムを得た。次いで、得られた未延伸アクリル系樹脂フィルムを、二軸延伸機(東洋精機社製「X6−S」)を用いて、当該フィルムの縦方向(溶融押出時の流れ方向)に、延伸温度123.5℃、延伸倍率2.7倍で自由端一軸延伸して(第一延伸工程;縦延伸)、延伸フィルムを得、これを基材層(基材フィルム)とした。得られた延伸フィルムの膜厚は118μmであり、ガラス転移温度(Tg)は120℃であった。
次に、4区画の熱風式乾燥設備を備えた連続塗工機((株)ヒラノテクシード製)にスロットダイを取り付け、塗工液(D1)を吐出量30g/minで供給しながら、ロール状の基材フィルム(幅320mm)に幅280mmで塗工液(D1)を連続塗工し、続いて第1区画から第4区画までの乾燥設備を順に通過させることにより乾燥し、巻き取ることで、ロール状の積層フィルム(基材層と塗工層の積層体)を得た。このとき、塗工速度は2m/minとし、乾燥温度は第1区画が70℃、第2区画が90℃、第3区画が100℃、第4区画が100℃とし、それぞれの風速は第1区画が5m/min、第2区画が8/min、第3区画が10m/min、第4区画が12m/minとし、4区画合計の乾燥時間は3分間とした。
このようにして基材層の一方の面に塗工層を積層した後、基材層のもう一方の面にも上記と同様の方法で塗工液(D1)を連続塗工、乾燥して、ロール状の積層フィルム(塗工層/基材層/塗工層の積層体)を得た。積層フィルムの塗工層の乾燥膜厚は片面15μm(両面合わせて30μm)であり、積層フィルム(塗工層積層体)の面内位相差Re、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
次いで、乾燥後の積層フィルムを、前記二軸延伸機を用いて、フィルムの横方向(溶融押出時の幅方向)に、延伸温度125℃、延伸倍率2.3倍で固定端一軸延伸した(第二延伸工程;横延伸)。
このようにして、アクリル系重合体からなる負の複屈折性を有する基材層の両面に、ウレタン樹脂からなる正の複屈折性を有する塗工層が積層された積層体である積層位相差フィルムを得た。
得られた積層位相差フィルムの膜厚、面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rth、NZ係数、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
(比較例1)
実施例1における塗工液(D1)に代えて塗工液(D2)を用い、その吐出量を30g/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系重合体からなる負の複屈折性を有する基材層と、ウレタン樹脂からなる正の複屈折性を有する塗工層との積層体である積層フィルムを得た。なお、塗工、乾燥後に得られた積層フィルムの塗工層の乾燥膜厚は5μmであり、その面内位相差Re、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
次いで、乾燥後の積層フィルムを、前記二軸延伸機を用いて、フィルムの横方向(溶融押出時の幅方向)に、延伸温度124℃、延伸倍率2.6倍で固定端一軸延伸した(第二延伸工程;横延伸)。
得られた積層位相差フィルムの膜厚、面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rth、NZ係数、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
(比較例2)
実施例1と同様にして、フィルムの膜厚が76μmであり、ガラス転移温度(Tg)が120℃である延伸フィルム(縦延伸フィルム)を得た。
次に、4区画の熱風式乾燥設備を備えた連続塗工機((株)ヒラノテクシード製)にスロットダイを取り付け、塗工液(D2)を吐出量30g/minで供給しながら、ロール状の基材フィルム(幅320mm)に幅280mmで塗工液(D2)を連続塗工し、続いて第1区画から第4区画までの乾燥設備を順に通過させることにより乾燥し、巻き取ることで、ロール状の積層フィルム(基材層と塗工層の積層体)を得た。このとき、塗工速度は3m/minとし、乾燥温度は第1区画が70℃、第2区画が90℃、第3区画が100℃、第4区画が100℃とし、それぞれの風速は第1区画が5m/min、第2区画が8/min、第3区画が10m/min、第4区画が12m/minとし、4区画合計の乾燥時間は3分間とした。
このようにして基材層の一方の面に塗工層を積層した後、基材層のもう一方の面にも上記と同様の方法で塗工液(D2)を連続塗工、乾燥して、ロール状の積層フィルム(塗工層/基材層/塗工層の積層体)を得た。積層フィルムの塗工層の乾燥膜厚は片面5μm(両面合わせて10μm)であり、積層フィルムの面内位相差Re、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
次いで、乾燥後の積層フィルムを、前記二軸延伸機を用いて、フィルムの横方向(溶融押出時の幅方向)に、延伸温度129℃、延伸倍率2.5倍で固定端一軸延伸した(第二延伸工程;横延伸)。
このようにして、アクリル系重合体からなる負の複屈折性を有する基材層の両面に、ウレタン樹脂からなる正の複屈折性を有する塗工層が積層された積層体である積層位相差フィルムを得た。
得られた積層位相差フィルムの膜厚、面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rth、NZ係数、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
(比較例3)
実施例1と同様にして、フィルムの膜厚が76μmであり、ガラス転移温度(Tg)が120℃である延伸フィルム(縦延伸フィルム)を得た。
次いで、得られた縦延伸フィルムを、前記二軸延伸機を用いて、フィルムの横方向(溶融押出時の幅方向)に、延伸温度124℃、延伸倍率2.5倍で固定端一軸延伸した(第二延伸工程;横延伸)。
このようにして、アクリル系重合体からなる負の複屈折性を有する基材層の両面に、ウレタン樹脂からなる正の複屈折性を有する塗工層が積層された積層体である積層位相差フィルムを得た。
得られた積層位相差フィルムの膜厚、面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rth、NZ係数、位相差ムラ(Reムラ)、目視によるスジムラの有無については表1に示す通りであった。
本発明の積層位相差フィルムは、従来の位相差フィルムと同様に、液晶表示装置(LCD)、有機ELディスプレイをはじめとする画像表示装置に幅広く使用できる。この積層位相差フィルムを使用した楕円偏光板により、画像表示装置における表示特性を改善できる。

Claims (12)

  1. 正または負の固有複屈折を有する樹脂を含む塗工液を基材層の少なくとも片面に塗布する塗工層積層工程と、この工程で得られた積層体を延伸する位相差発現工程とを含み、
    前記塗工液の温度25℃でのB型粘度計による粘度が10〜1000mPa・sであることを特徴とする積層位相差フィルムの製造方法。
  2. 前記塗工液が水系分散体を含有する請求項1に記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  3. 前記塗工液がウレタン樹脂を含有する請求項1または2に記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  4. 前記塗工液が架橋剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  5. 前記位相差発現工程後に、塗工層が正の複屈折性を示し、基材層が負の複屈折性を示す請求項1〜4のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  6. 前記基材層が負の固有複屈折を有する樹脂を含む請求項1〜5のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  7. 前記基材層が主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体とスチレン系重合体の少なくとも一方を含む請求項1〜6のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  8. 前記基材層が延伸フィルムである請求項1〜7のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  9. 前記位相差発現工程では、前記積層体を1.3倍以上の倍率で延伸する請求項1〜8のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  10. 前記位相差発現工程後の塗工層の膜厚が1μm以上である請求項1〜9のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  11. 前記位相差発現工程後の積層位相差フィルムの面内位相差が70〜300nmである請求項1〜10のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
  12. 前記位相差発現工程後の積層位相差フィルムの、下記式から求められるNZ係数が0.1以上0.9以下である請求項1〜11のいずれかに記載の積層位相差フィルムの製造方法。
    NZ係数=(Rth/Re)+0.5
    (ここで、Reは波長550nmにおける面内位相差(nm)であり、Rthは波長550nmにおける厚み方向位相差(nm)である。)
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