JP2015067769A - 熱可塑性樹脂体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタクリル酸メチルとN−置換マレイミドとのコポリマーである熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性樹脂体の製造方法であって、塊状重合の選択によるコポリマー形成のメリットが活かされながら、重合時に生成したゲルが除去され、含まれる異物の数が低減した樹脂体を製造する方法を提供する。
【解決手段】メタクリル酸メチル単量体およびN−置換マレイミド単量体を含む単量体混合物を連続的に重合反応器に供給し、当該混合物中の単量体を重合させてこれら単量体のコポリマーである熱可塑性樹脂を形成する連続重合工程と、連続重合工程により得た、ポリマー濃度60質量%以下の重合液を濾過する重合液濾過工程と、濾過後の重合液から未反応の単量体を含む揮発性成分を脱揮させて回収するとともに、上記熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を押出成形する脱揮・押出工程とを含む製造方法とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂体の製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの画像表示装置、赤外線センサーなどのセンサー類、および光導波路などに、光線透過性、光学的等方性、複屈折性、波長分散性などについて所望の特性(光学特性)を示す光学部材が使用される。光学部材として、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物から構成される熱可塑性樹脂体(例えば、熱可塑性樹脂フィルム)が一般的である。光学部材として使用される熱可塑性樹脂体(ペレットのような、さらなる成形工程を経て光学部材となる樹脂体が含まれる)では、樹脂体内の異物の量が可能な限り低いことが求められる。異物が、光学部材に光学的欠点が生じる原因となるためである。
光学的欠点となる異物の一つがゲルである。熱可塑性樹脂体に含まれるゲルの量を低減させることで、樹脂体の光学的欠点を減らすことができる。特許文献1には、熱可塑性樹脂体に含まれるゲルをはじめとする異物の量を低減させることを目的として、樹脂組成物の溶液濾過と溶融濾過とを併用する方法が開示されている。
これとは別に、光学フィルムをはじめとする光学部材に適した熱可塑性樹脂の一種に、メタクリル酸メチル(MMA)とN−置換マレイミドとのコポリマーがある。
特開2009-249548号公報
光学的欠点となる異物はゲルに限られない。例えば、熱可塑性樹脂を溶液重合により形成する場合、重合溶媒に含まれる異物が樹脂に残留して樹脂体の光学的欠点となりうる。重合溶媒を用いないか、あるいは溶液重合に比べるとごく少量の重合溶媒を使用する塊状重合(バルク重合)により樹脂を形成することで、重合溶媒に由来する異物の量を低減できる。また、MMAとN−置換マレイミドとのコポリマーについて、塊状重合ではN−置換マレイミドの重合性の低さが補完され、効率的なコポリマーの形成が期待される。さらに塊状重合では、バッチ重合を基本とする溶液重合とは異なり、連続的な樹脂の形成が可能である。しかし、熱可塑性樹脂を塊状重合により形成したとしてもゲルの問題は避けられない。特許文献1には、熱可塑性樹脂体に含まれるゲルの量を低減させる方法が開示されているが、当該方法では、塊状重合による上記メリットを活かしたゲルの除去までは考慮されていない。
本発明の目的の一つは、MMAとN−置換マレイミドとのコポリマーである熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物から構成される熱可塑性樹脂体の製造方法であって、塊状重合による上記コポリマー形成のメリットが活かされながら、重合時に発生したゲルが除去され、含まれる異物の数が低減した樹脂体を製造する方法の提供にある。
本発明の熱可塑性樹脂体の製造方法は:メタクリル酸メチル単量体およびN−置換マレイミド単量体を含む単量体混合物を連続的に重合反応器に供給し、前記混合物中の単量体を重合させて当該単量体のコポリマーである熱可塑性樹脂を形成する連続重合工程と;前記連続重合工程により得た、ポリマー濃度60モル%以下の重合液を濾過する重合液濾過工程と;前記濾過後の重合液から未反応の前記単量体を含む揮発性成分を脱揮させて回収するとともに、前記熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を押出成形する脱揮・押出工程と;を含む。
本発明の製造方法によれば、MMAとN−置換マレイミドとのコポリマーである熱可塑性樹脂を塊状重合により形成するメリットを活かしながら、重合時に発生したゲルが除去され、含まれる異物の数が低減した熱可塑性樹脂体が得られる。
本発明の製造方法では、メタクリル酸メチル(MMA)およびN−置換マレイミドのコポリマーである熱可塑性樹脂(A)を、連続的な塊状重合により形成する。具体的に、本発明の製造方法の連続重合工程では、MMA単量体およびN−置換マレイミド単量体を含む単量体混合物を連続的に重合反応器に供給し、当該混合物中の単量体であるMMA単量体およびN−置換マレイミド単量体を重合させてこれら単量体のコポリマーである熱可塑性樹脂(A)を形成する。このような、重合溶媒を用いないか、あるいは用いたとしても溶液重合に比べるとごく少量の重合溶媒を使用する塊状重合により、重合溶媒に由来する異物の量を低減できるとともに、連続的な樹脂(A)の形成が可能となる。
本発明の製造方法では、さらに、連続重合工程により得たポリマー濃度60質量%以下の重合液を濾過する重合液濾過工程と、濾過後の重合液から未反応の単量体を含む揮発成分を脱揮させて回収するとともに、残る熱可塑性樹脂(A)を含む樹脂組成物を押出成形する脱揮・押出工程と、を実施する。本発明の製造方法では、連続重合工程を含め、これら3つの工程の実施が重要である。
重合液濾過工程では、ポリマー濃度60質量%以下の重合液を濾過する。従来の塊状重合では、より高いポリマー濃度の重合液が形成される。塊状重合とするそもそもの理由が、純度が高いポリマーの効率的な形成にあるためである。しかし、従来の塊状重合で得られた高いポリマー濃度の重合液では、その粘度の高さから、当該液の濾過を実施することができない。一方、本発明の製造方法では、ポリマー濃度60質量%以下の重合液を濾過する。これにより、塊状重合により形成した重合液の濾過が可能となり、重合時に生成したゲルが取り除かれることで、最終的に得られた熱可塑性樹脂体におけるゲルの量(異物の数)が低減され、例えば、当該樹脂体および当該樹脂体をさらに成形して得た樹脂体における光学的欠点の発生が抑制される。
重合液濾過工程においてポリマー濃度60質量%以下の重合液を濾過するために、連続重合工程では、従来の塊状重合に比べて低い重合率での重合を実施する。連続塊状重合後、得られた重合液のポリマー濃度を60質量%以下に調整するために、重合液中の上記コポリマーを溶解する溶媒を重合液に加えることも可能であるが、これら溶媒に由来する異物の混入を防ぎ、塊状重合による上記メリットを最大限に活かすためには、連続重合工程においてMMA単量体およびN−置換マレイミド単量体を重合率(質量基準)60%以下で重合させることが好ましい。
そして本発明の製造方法では、低重合率とすることにより従来の塊状重合よりも増加した未反応の単量体を、脱揮・押出工程において揮発性成分として脱揮させて回収する。回収した単量体は、再び連続重合工程に供することができる。これにより、塊状重合による効率的なポリマー形成が、重合性が低いN−置換マレイミド単量体を使用し、かつ低重合率としながらも担保されることになる。このような、連続重合化、低重合率の重合液の濾過、未反応の単量体の回収、および回収した単量体の重合工程への再供給は、バッチ重合を原則とするとともに、大量に重合溶媒を含む系で進行する溶液重合では達成できない。
これに加えて本発明の製造方法では、連続重合工程、重合液濾過工程、および脱揮・押出工程を連続して実施することも可能であり、すなわち、原料であるMMA単量体およびN−置換マレイミド単量体から熱可塑性樹脂体を連続して製造することもできる。
本発明の製造方法は、本発明の効果が得られる限り、上述した3つの工程以外の工程を含んでいてもよい。
本発明の製造方法における各工程を、より具体的に説明する。
[連続重合工程]
連続重合工程では、MMA単量体およびN−置換マレイミド単量体のコポリマーである熱可塑性樹脂(A)を、連続的な塊状重合により形成する。塊状重合は、当業者が一般に塊状重合(バルク重合)と認識できる態様で実施すればよく、その詳細は限定されない。
塊状重合は、当該重合に供する単量体混合物に含まれる少なくとも1つの単量体を、重合により形成されるポリマーを溶解する媒体、場合によっては単量体混合物に含まれる他の単量体をも溶解する媒体、として使用する重合形式である。塊状重合は、単量体混合物に含まれる単量体および重合により形成されるポリマーを溶解する媒体として、一般に単量体混合物と同量以上の重合溶媒を使用する重合形式である溶液重合とは異なる。連続重合工程では、典型的には、MMA単量体およびN−置換マレイミド単量体から選ばれる少なくとも1つの単量体を溶解する溶媒(単量体を除く)を使用しない塊状重合を実施する。必要に応じて少量の溶媒、例えば、単量体混合物に含まれる単量体の総量に対して40質量%以下の溶媒、を使用してもよいが、溶媒に由来する異物の混入を抑制するなど、上述した塊状重合によるメリットを最大限に活かすためには、重合溶媒を使用しない塊状重合の実施とすることが好ましい。
また、塊状重合とすることで、連続重合とすることができるだけではなく、形成するコポリマーの純度を高めることができ、樹脂(A)の分子量および分子量分布の制御も容易となる。
連続重合工程では、上述したように従来の塊状重合に比べて低重合率で、MMA単量体およびN−置換マレイミド単量体の共重合を進行させる。重合率は、例えば、質量基準で75%以下である。ただし、質量基準で60%を超える重合率とした場合は、後の重合液濾過工程を実施するまでに、コポリマーを溶解する溶媒によってポリマー濃度が60質量%以下となるように重合液を希釈する必要がある。その際、溶媒に由来する異物が混入する可能性があることから、このような希釈を避け、連続塊状重合による上記メリットを最大限に活かすために、質量基準で60%以下の重合率とすることが好ましい。この場合、溶媒による重合液の希釈を避けることができる。別の側面から見れば、この場合、重合液濾過工程に適した重合液が連続重合工程で実現する。
連続重合工程に供する単量体混合物は、MMA単量体およびN−置換マレイミド単量体を含む。単量体混合物における各単量体の含有量は、得たいコポリマーの組成により調整できる。一例として、MMA単量体が50〜98質量%であり、N−置換マレイミド単量体が2〜50質量%である。単量体混合物におけるMMA単量体の含有量は、70〜95質量%が好ましく、75〜90質量%がより好ましい。単量体混合物におけるN−置換マレイミド単量体の含有量は、5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
N−置換マレイミド単量体は特に限定されず、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−トリブロモフェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、およびN−ベンジルマレイミドである。透明性および耐熱性に優れる熱可塑性樹脂体が得られることから、N−置換マレイミド単量体は、N−フェニルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミドから選ばれる少なくとも1種が好ましい。単量体混合物は、2種以上のN−置換マレイミド単量体を含んでいてもよい。
単量体混合物は、MMAおよびN−置換マレイミドの双方の単量体と共重合可能な単量体を含んでいてもよい。このとき、MMA、N−置換マレイミドおよび当該共重合可能な単量体のコポリマーが形成される。共重合可能な単量体は、例えば、他の(メタ)アクリル酸エステル単量体、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールである。単量体混合物は、これらの単量体を2種以上含んでいてもよい。単量体混合物がこれらの単量体を含む場合、単量体混合物におけるこれら単量体の含有量は、例えば10質量%以下であり、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
連続重合工程において重合反応器には、必要に応じ、単量体混合物とともに当該混合物以外の材料を供給することができる。当該材料は、例えば、重合開始剤および連鎖移動剤のような重合制御剤、ならびに酸化防止剤などの添加剤である。酸化防止剤は、例えば、有機リン系化合物である。これらの材料は、例えば、溶液として重合反応器に供給できる。重合反応器への供給は、単量体混合物と同時であっても個別であってもよい。
連続重合工程では、予め濾過した単量体混合物を重合反応器に供給してもよい。この場合、単量体混合物に含まれていた異物の混入が抑制される。重合反応器に単量体混合物以外の材料を併せて供給する場合、予め濾過した当該材料(例えば、予め濾過した開始剤溶液)を重合反応器に供給してもよい。この場合、当該材料に含まれていた異物の混入が抑制される。単量体混合物および上記材料の濾過は、例えば、メンブランフィルタにより実施できる。また、この際の濾過の精度は、0.2μm程度とすることが好ましい。
連続重合工程により形成された重合液は、MMA単位およびN−置換マレイミド単位を構成単位として有するコポリマー、例えばMMA/N−置換マレイミドコポリマーと、未反応の単量体、例えばMMA単量体およびN−置換マレイミド単量体、とを含む。
[重合液濾過工程]
重合液濾過工程では、連続重合工程により得たポリマー濃度60質量%以下の重合液を濾過する。連続重合工程の重合率が質量基準で60%を超える場合は、濾過工程を実施するまでに重合液のポリマー濃度が60質量%以下となるように当該重合液を希釈しておく。
重合液濾過工程において濾過する重合液のポリマー濃度が低いほど、当該工程における濾過の実施が容易となるが、濾過時のポリマー濃度を過度に低く設定すると、連続重合工程における重合率を過度に低く設定しなければならないことによって塊状重合による上記メリットが得られなくなったり、重合後の重合液の希釈の程度を過度に大きく設定しなければならないことによって、希釈に用いた溶媒に由来する異物の混入の程度が増したりする。これらの観点から、重合液濾過工程において濾過する重合液のポリマー濃度の下限は、例えば30質量%であり、40質量%程度が好ましい。すなわち、重合液濾過工程において濾過する重合液のポリマー濃度は、40〜60質量%が好ましい。また、この観点からは、連続重合工程における単量体の重合率は、質量基準で40%以上が好ましく、40〜60%がより好ましい。
重合液を濾過する具体的な方法は特に限定されない。重合液の濾過に用いるフィルタは、例えば、リーフディスクフィルタ、キャンドルフィルタ、パックディスクフィルタ、および円筒型フィルタである。なかでも、有効濾過面積が高いリーフディスクフィルタおよびキャンドルフィルタが好ましく、さらに省スペース化を実現できることからキャンドルフィルタがより好ましい。
フィルタ濾材は特に限定されない。例えば、ポリプロピレン、コットン、ポリエステル、ビスコースレーヨン、グラスファイバーなどの各種の繊維の不織布もしくはロービングヤーン巻回体、またはフェノール樹脂含浸セルロースからなる濾材、金属繊維の不織布を焼結した濾材、金属粉末を焼結した濾材、複数の金網を積層した濾材、これらの濾材を組み合わせたいわゆるハイブリッド型の濾材など、いずれの濾材も使用可能である。なかでも、耐久性および耐圧性に優れることから、金属繊維の不織布を焼結した濾材が好ましい。
重合液を濾過する精度は、例えば15μm以下であり、得られた樹脂体を光学フィルムなどの光学部材に使用することを想定すると、その光学的欠点の低減のために5μm以下が好ましい。濾過精度の下限は特に限定されないが、例えば0.2μmである。
重合液濾過工程は、連続重合工程に引き続いて連続的に実施することができる。
[脱揮・押出工程]
脱揮・押出工程では、濾過後の重合液から未反応の単量体を含む揮発性成分を脱揮させて回収するとともに、残る熱可塑性樹脂(MMA単位およびN−置換マレイミド単位を構成単位として有するコポリマー)を含む樹脂組成物を押出成形する。
揮発性成分を脱揮させて未反応の単量体を回収することにより、連続重合工程において重合率を下げたことが補完され、効率的なポリマー形成が可能となる。
揮発性成分の脱揮は、例えば、濾過後の重合液を加熱するとともに当該重合液の少なくとも一部を減圧雰囲気下におくことで実施できる。加熱の程度は、例えば、重合液の温度を150〜350℃とする程度であり、200〜300℃とする程度が好ましい。減圧雰囲気は、例えば、1.33〜931hPa(1〜700mmHg)の雰囲気であり、13.3〜798hPa(10〜600mmHg)の雰囲気が好ましい。減圧雰囲気が931hPaよりも大きいと、揮発性成分の脱揮が不十分となり、当該成分が残留しやすくなる。1.33hPaよりも低い減圧雰囲気は、工業的な実施が困難である。熱および減圧雰囲気により、重合液に含まれる揮発性成分が脱揮される。揮発性成分には、未反応の単量体が含まれる。この方法では、常温で一般に固体であるN−置換マレイミド単量体の回収も容易である。
脱揮後の単量体は、任意の方法により回収できる。回収は、例えば、配管、冷却器などを用いて、脱揮した揮発性成分を回収する回収経路を構築することで実施できる。回収経路の具体的な構成は、揮発性成分を回収できる限り、より具体的には揮発性成分中の未反応の単量体を回収できる限り、限定されない。
脱揮後の樹脂組成物の押出成形には、公知の溶融押出法を利用できる。
脱揮・押出工程では、連続重合工程において形成した熱可塑性樹脂(A)に、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂および/または添加剤を加えることができる。得られた樹脂体を光学用途に使用する場合(一度ペレットとして、さらに光学部材に成形する場合を含む)、その光学的透明性が保たれるように、熱可塑性樹脂(A)と新たに加える熱可塑性樹脂とが互いに相溶する必要があることに留意する。他の熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂などの含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性ポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース系ポリマー;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂などのゴム質重合体である。
添加剤は、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、耐電防止剤、可塑剤、流動化剤、着色剤、染料、難燃剤、フィラーである。他の熱可塑性樹脂の添加量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、例えば50質量部以下である。添加剤の添加量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、例えば5質量部以下である。他の熱可塑性樹脂を加えない場合、脱揮・押出成形では、連続重合工程において形成した熱可塑性樹脂(A)が押出成形される。
揮発性成分の脱揮と、脱揮後の樹脂組成物の押出成形とは、同時に実施しても個別に実施してもよい。脱揮および押出成形の同時実施は、例えば、ベント付き押出機の使用により可能である。具体的には、脱揮・押出工程にベント付き押出機を使用し、当該工程において、押出機内に導入した重合液を加熱するとともに少なくとも1つのベントを減圧して、当該減圧したベントから揮発性成分を脱揮させる。
このとき、脱揮する揮発性成分に比べて沸点が高い有機溶媒を重合液に添加し、当該有機溶媒を添加した後の重合液から揮発性成分および当該有機溶媒を脱揮してもよい。具体的には、例えば、脱揮・押出工程にベント付き押出機を使用し、当該工程において、押出機内にある重合液を加熱するとともに少なくとも1つのベントを減圧して、減圧したベントから揮発性成分を脱揮し、揮発性成分を脱揮する最も下流側のベントよりも上流側において、揮発性成分に比べて沸点が高い有機溶媒を重合液に添加してもよい。この場合、有機溶媒を添加する位置よりも下流側にある減圧ベントから、揮発性成分および添加した有機溶媒の双方が脱揮されるが、脱揮された揮発性成分および有機溶媒のうち、有機溶媒が揮発性成分よりも早く液化して揮発性成分を溶解する。このため、押出機のベント部およびベントからの揮発性成分の回収経路(例えば、配管)内への揮発性成分、特に未反応の単量体およびN−置換マレイミド単量体に由来する不純物、の付着を抑制することができる。N−置換マレイミド単量体に由来する不純物は、例えば、N−フェニルマレアミン酸、2−アニリノ−N−フェニルスクシンイミド、N−フェニルフマルアミン酸、N−(2,5−ジオキソ−1−フェニル−3−ピロリジニル)−N−フェニルマレアミン酸、シクロヘキシルアミノ無水コハク酸である。N−置換マレイミド単量体およびこれらの不純物は、一般に室温で固体であるため、このような方法の採用は特に効果が大きい。
脱揮・押出工程において、樹脂組成物を、ポリマーフィルタによる溶融濾過を経て押出成形してもよい。重合液濾過工程では、重合工程において生成した全てのゲルが濾過されるとは限らない。また、脱揮・押出工程では樹脂組成物に熱が加えられるため、当該工程において新たにゲルが生成する可能性がある。溶融濾過の併用によりこれらのゲルが取り除かれることで、最終的に得られた熱可塑性樹脂体におけるゲルの量(異物の数)が低減され、例えば、当該樹脂体および当該樹脂体をさらに成形して得た樹脂体における光学的欠点の発生が抑制される。なお、溶融濾過においても、樹脂組成物に生成した全てのゲルが取り除かれるとは限らない。
溶融濾過に使用するポリマーフィルタは特に限定されず、例えば重合液濾過工程の説明において上述した各種のフィルタを使用できる。有効濾過面積が大きく、かつ濾過時に生じる圧力損失を低減できることから、リーフディスクフィルタが好ましい。
溶融濾過の濾過精度は、例えば40μm以下であり、得られた熱可塑性樹脂体を光学部材として用いることを想定すると、その光学的欠点をより低減できることから15μm以下が好ましい。濾過精度の下限は特に限定されないが、例えば1μmである。
溶融濾過時の樹脂組成物の温度は特に限定されないが、例えば260〜310℃である。
脱揮・押出工程において形成する熱可塑性樹脂体の形態は特に限定されず、例えば、ペレットまたはフィルムである。ペレットは、例えば任意の成形工程に供することにより、異なる形状を有する成形体(樹脂体)に成形できる。フィルムは、例えば光学部材の一種である光学フィルムである。
脱揮・押出工程は、重合液濾過工程に引き続いて連続的に実施することができる。
[熱可塑性樹脂(A)および樹脂組成物]
本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、MMA単位およびN−置換マレイミド単位を構成単位として有するコポリマーである熱可塑性樹脂(A)を含む樹脂組成物から構成される。樹脂組成物における樹脂(A)の含有量は、75質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、熱可塑性樹脂(A)から構成されてもよい。
このコポリマーは、MMA単位に由来する高い光学的透明性と、N−置換マレイミド単位に由来する高い耐熱性とを示す。これらの特性は、本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体が、高い光学的透明性と高い耐熱性(例えば、高いガラス転移温度(Tg))とを示すことにつながる。
コポリマーを構成する全構成単位に占めるMMA単位の割合(コポリマーにおけるMMA単位の含有量)は、例えば、50〜98質量%であり、70〜95質量%が好ましく、75〜90質量%がより好ましい。コポリマーにおけるN−置換マレイミド単位の含有量は、例えば、2〜50質量%であり、5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
樹脂組成物は、上述のように、例えば樹脂(A)100質量部に対して50質量部以下の範囲で、樹脂(A)以外の他の熱可塑性樹脂を含むことができる。また、例えば樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下の範囲で、添加剤を含むことができる。
樹脂組成物の酸価は、0.5mmol/g以下であることが好ましい。この場合、樹脂(A)の重合時、および脱揮・押出工程のようなその後の加熱工程におけるゲルの生成を抑制できる。樹脂組成物の酸価は、例えば、単量体、重合開始剤、仕込み溶液を窒素置換法などにより脱酸素すること、または仕込むMMA単量体をスチレン系弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填した固定相に通液処理することで、低減できる。
[熱可塑性樹脂体]
本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、熱可塑性樹脂(A)を主成分として含む樹脂組成物により構成される成形体である。樹脂体の形状は特に限定されず、例えば、ペレットまたはフィルム(フィルムには、いわゆるシートが含まれる)である。
本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体の用途は特に限定されないが、当該樹脂体は光学用途に好適である。本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体では、ゲルなどの異物の量が少なく、光学的欠点が少ない光学部材とすることができる、あるいはそのような光学部材を形成できるためである。
光学部材の形状は特に限定されず、例えばフィルム(光学フィルム)である。光学フィルムの具体的な用途は特に限定されず、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの画像表示装置に用いられる複屈折フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、画素部(発光部)保護フィルム、偏光子保護フィルム、紫外線吸収フィルムである。
本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、以下のような熱可塑性樹脂体であってもよい。0.1μmの濾過精度で濾過精製した溶媒(例えばクロロホルム)に樹脂体を溶解させて、濃度1質量%の溶液としたときに、JIS B9925の規定に準拠のパーティクルカウンタにより測定した、当該溶液に含まれる粒径5〜10μmの粒子の個数が、樹脂体1gあたり200個以下の熱可塑性樹脂体。このような熱可塑性樹脂体は、光学部材(光学フィルム)に好適である。脱揮・押出工程における溶融濾過の併用など、さらなる濾過工程の追加により上記個数は、100個以下、50個以下、さらには40個以下とすることができる。
本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、当該樹脂体を構成する熱可塑性樹脂の組成によっては、以下の各特性を示す。
ガラス転移温度(Tg)について、その値は、例えば110℃以上であり、120℃以上、さらには130℃以上とすることができる。Tgは、例えば、コポリマーにおけるN−置換マレイミド単位の含有量により調整できる。
可視光透過率について、厚さ100μmのフィルムとしたときの波長500nmの光に対する透過率は、例えば80%以上であり、90%以上とすることも可能である。可視光透過率は、JIS K7361に準拠して求めることができる。
実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
最初に、本実施例において作製した熱可塑性樹脂体(ペレット)の評価方法を示す。
[ガラス転移温度(Tg)]
作製した熱可塑性樹脂体のTgは、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガスフロー(100mL/分)下、約10mgの試料を常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスにはα−アルミナを用いた。
[酸価]
作製した熱可塑性樹脂体を構成する樹脂(A)の酸価は、以下のようにして求めた。まず、作製したペレット0.3gを塩化メチレン37.5mLに溶解させ、得られた溶液にメタノール37.5mLを加えて全体が均一となるように攪拌した。次に、この溶液に、濃度0.1mmol%の水酸化ナトリウム水溶液5mLと、中和指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液数滴とを加えた後、濃度0.1mmol%の塩酸を用いて逆滴定を実施し、中和に要する塩酸の量から樹脂の酸価を求めた。
[MMA単量体中の有機酸の濃度]
一定量のMMA単量体をアセトンに溶解させ、これにメタノールを少量加えた溶液を試料として、自動滴定装置(平沼産業製、COM550)を用い、窒素雰囲気下における中和滴定法によりメタクリル酸としての有機酸の濃度を求めた。
[異物数]
作製した熱可塑性樹脂体に含まれる異物の数(樹脂体1gあたりの数)は、以下のようにして求めた。まず、作製したペレットを、0.1μmの濾過精度で濾過精製したクロロホルムに溶解させ、濃度1質量%の溶液を形成した。次に、この溶液に含まれる、粒径が5〜10μmの範囲にある粒子(この範囲の粒径を有する粒子は可視光域の光を遮蔽および散乱し、光学的欠点になりうる)の数をパーティクルカウンタ(PAMAS製、液体用光散乱式自動粒子計数器、型式:SVSS−C、センサー仕様:HCB−LD−50/50、液体用光散乱式自動粒子計数器の仕様を定めたJIS B9925の規定に準拠)により計測し、計測した粒子数をペレット1gあたりに換算した値を、熱可塑性樹脂体に含まれる異物の数とした。なお、ペレットをクロロホルムに溶解させる際には、予め濾過精製後のクロロホルムに含まれる上記粒子の数がゼロであることを上記パーティクルカウンタにより確認した。
(実施例1)
メタクリル酸換算で有機酸分が1ppm未満のメタクリル酸メチル(MMA)80質量部およびN−フェニルマレイミド(PMI)15質量部の単量体混合物95質量部、ならびに連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.15質量部を含む重合性原料と、MMA5質量部および重合開始剤である1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.012質量部を含む開始剤溶液とを、それぞれ別個に窒素置換法により脱酸素した。
次に、脱酸素された重合性原料および開始剤溶液を、それぞれ濾過精度0.2μmのメンブランフィルタにより濾過した後、平均滞留時間3時間の速度で連続的に重合反応器に供給し、重合温度118℃で当該反応器にて連続的に塊状重合反応を進行させ、MMA−PMIコポリマーを含む重合液を得た。重合率は質量基準で50%、すなわち、連続重合により得た重合液のMMA−PMIコポリマー濃度は50質量%であった。
次に、得られた重合液をギアポンプを用いてキャンドルフィルタに導入することで、重合液の濾過を実施した。キャンドルフィルタには、SUS316Lの焼結繊維からなる濾過精度5μmのフィルタを使用した。
次に、濾過後の重合液を210℃に加熱した後、1個のリアベントおよび4個のフォアベント(上流側から第1、第2、第3および第4ベントと称する)を有し、先端部にギアポンプを介して濾過精度5μmのリーフディスクフィルタを備えたベント付き二軸押出機(バレル温度240℃)に供給し、さらなる加熱と、ベント部の圧力13.3〜400hPaへの減圧とにより、重合液に含まれる未反応のMMA単量体およびPMI単量体を含む揮発性成分を脱揮させた。脱揮にあたっては、上流側のリアベントから下流側の第4ベントへと、各ベントにおける減圧の程度を下流側ほど大きくなるように設定した。下流側のベントほど、より沸点が高い物質が脱揮されることになる。リアベントおよび第1ベントから脱揮させた揮発性成分は、回収配管を通した後、コンデンサにより液化して回収した。その際、PMI単量体はMMA単量体に溶解した状態で液体として回収することができた。第3ベントおよび第4ベント、ならびにこれに接続された回収配管の壁面には、固体となったPMI単量体およびPMI単量体由来の不純物の付着が確認された。
脱揮完了後、押出機内で溶融状態にある樹脂を、押出機先端に配置されたリーフディスクフィルタを通して溶融濾過した後、ペレタイザーによりペレット化して、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−1)を得た。
得られたペレット(P−1)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ131℃および30個/gであった。
(実施例2)
脱揮完了後、樹脂ペレットを作製する際にリーフディスクフィルタによる溶融濾過を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−2)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−2)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ131℃および180個/gであった。
(実施例3)
重合反応器に供給する前に重合性原料および開始剤溶液の濾過を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−3)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−3)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ131℃および40個/gであった。
(実施例4)
単量体混合物の組成をMMA72質量部およびPMI23質量部とし、かつ連続重合の重合率を質量基準で60%とした(連続重合により得た重合液のMMA−PMIコポリマー濃度を60質量%とした)以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−4)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−4)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ150℃および26個/gであった。
(実施例5)
二軸押出機にて揮発性成分を脱揮させる際に、押出機の第3ベントよりも上流側に設けられた溶媒供給口からベンジルアルコール(沸点205℃)を供給した以外は実施例4と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−5)を得た。揮発性成分の脱揮中、各ベントの上部に取り付けられた点検用ガラス窓を観察したところ、いずれのガラス窓にも付着物は確認されなかった。リアベントおよび第1ベントから脱揮させた揮発性成分は、回収配管を通した後、コンデンサにより液化して回収した。その際、PMI単量体はMMA単量体に溶解した状態で液体として回収することができた。第3ベントおよび第4ベントから脱揮させた揮発性成分は、PMI単量体およびPMI単量体由来の不純物がベンジルアルコールに溶解した液体の状態で回収することができた。また、押出機による脱揮および押出成形を5時間実施した後、各ベントから、当該ベントを減圧するための真空装置に接続された回収配管を分解してその内面を確認したが、いずれのベントおよび回収配管の内面にも付着物は確認されなかった。
得られたペレット(P−5)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ150℃および33個/gであった。
(実施例6)
単量体混合物の組成をMMA85質量部およびPMI10質量部とし、かつ連続重合の重合率を質量基準で40%とした(連続重合により得た重合液のMMA−PMIコポリマー濃度を40質量%とした)以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−6)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−6)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ120℃および38個/gであった。また、ペレット(P−6)の酸価は0.3mmol/gであった。
(実施例7)
メタクリル酸換算で5ppmの有機酸分を含むMMAを使用した以外は実施例6と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−7)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−7)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ120℃および40個/gであった。また、ペレット(P−7)の酸価は0.5mmol/gであった。
(実施例8)
メタクリル酸換算で8ppmの有機酸分を含むMMAを使用した以外は実施例6と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−8)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−8)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ120℃および54個/gであった。また、ペレット(P−8)の酸価は0.6mmol/gであった。
(実施例9)
単量体混合物の組成をMMA73質量部およびN−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)22質量部とし、かつ連続重合の重合率を質量基準で60%とした(連続重合により得た重合液のMMA−PMIコポリマー濃度を60質量%とした)以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−9)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−9)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ135℃および28個/gであった。
(比較例1)
キャンドルフィルタによる重合液の濾過、および押出成形時のリーフディスクフィルタによる溶融濾過を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−10)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−10)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ131℃および800個/gであった。
(比較例2)
キャンドルフィルタによる重合液の濾過を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−11)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
得られたペレット(P−11)のTgおよび異物数を評価したところ、それぞれ131℃および300個/gであった。
(比較例3)
平均滞留時間を6時間とすることで連続重合の重合率を質量基準で70%とした以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーを濃度70質量%で含む重合液を得た。この重合液に対して、実施例1と同様にキャンドルフィルタによる濾過を試みたが、当該フィルタが破損して濾過ができなかった。
各実施例および比較例におけるモノマーの組成、重合液におけるポリマー濃度、各濾過の実施状況、ならびに作製したペレットの酸価、Tgおよび異物数を、以下の表1にまとめる。
Figure 2015067769
表1に示すように、重合液の濾過を実施しなかった比較例1,2では、得られたペレットにおける異物数が非常に多くなった。一方、連続重合で形成した重合液のポリマー濃度が60質量%を超えた比較例3では、重合液の濾過を実施することができなかった。
本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、例えば、光学部材または光学部材を製造する材料として使用することができる。

Claims (8)

  1. メタクリル酸メチル単量体およびN−置換マレイミド単量体を含む単量体混合物を連続的に重合反応器に供給し、前記混合物中の単量体を重合させて当該単量体のコポリマーである熱可塑性樹脂を形成する連続重合工程と、
    前記連続重合工程により得た、ポリマー濃度60質量%以下の重合液を濾過する重合液濾過工程と、
    前記濾過後の重合液から未反応の前記単量体を含む揮発性成分を脱揮させて回収するとともに、前記熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を押出成形する脱揮・押出工程と、を含む、熱可塑性樹脂体の製造方法。
  2. 前記連続重合工程において、前記混合物中の単量体を重合率(質量基準)60%以下で重合させる、請求項1に記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
  3. 前記脱揮・押出工程において、前記樹脂組成物を、ポリマーフィルタによる溶融濾過を経て押出成形する、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
  4. 前記連続重合工程において、濾過した前記単量体混合物を前記重合反応器に供給する、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
  5. 前記脱揮・押出工程にベント付き押出機を使用し、
    当該工程において、前記押出機内にある前記重合液を加熱するとともに少なくとも1つの前記ベントを減圧して、前記減圧したベントから前記揮発性成分を脱揮し、
    前記揮発性成分を脱揮する最も下流側のベントよりも上流側において、前記揮発性成分に比べて沸点が高い有機溶媒を前記重合液に添加する、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
  6. 前記樹脂組成物の酸価が0.5mmol/g以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
  7. 前記N−置換マレイミド単位が、N−フェニルマレイミド単位およびN−シクロヘキシルマレイミド単位から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
  8. 前記熱可塑性樹脂体がペレットまたはフィルムである、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
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