JP2015065921A - 調味料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】飲食品に効率的に「コク味」を付与できる調味料を提供する。【解決手段】小麦タンパク質原料をプロテアーゼおよびN−アセチルグルコサミニダーゼで処理することにより、「コク味」調味料を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、飲食品に「コク味」を付与できる調味料の製造方法に関する。
食品領域では呈味物質が古くから利用されてきた。特に、甘味(sweet taste)、塩味
(salty taste)、酸味(sour taste)、苦味(bitter taste)、うま味(umami)で表される5基本味(five basic taste)を有する物質やこれらを増強する物質が調味料として広く利用されている。
上記基本味では表せない味覚として「コク味」がある。「コク味」とは、5基本味だけでは表すことのできない、厚み(thickness)、ひろがり(growth(mouthfulness))、
持続性(continuity)、まとまり(harmony)等の基本味の周辺の味(marginal tastes)や風味(marginal flavor)をも増強した味覚をいう。
近年、食生活の多様化に伴い、飲食品に「コク味」を付与することのできる優れた「コク味」調味料へのニーズが高まっている。ここで、「コク味」調味料は、より高い「コク味」力価を持つことが産業上望まれる。また、「コク味」調味料は、その有効成分によって飲食品に「コク味」を付与する時間が異なり、その時間により飲食品に対する嗜好性も異なる。よって、「コク味」を付与する時間を変化させることは、より広い嗜好性ニーズに応える事ができる点で有益である。
これまでに、小麦等の植物タンパク質を加水分解して得られた「コク味」調味料から、「コク味」付与機能を有する糖ペプチドが見出され、それらの構造が同定されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、糖ペプチドを含む「コク味」調味料に対して糖鎖分解酵素を反応させた時に、「コク味」力価が向上する、または「コク味」を付与する時間が変化するとの報告はない。
WO2004/096836 WO2006/104022
本発明は、飲食品に効率的に「コク味」を付与できる調味料を提供することを課題とする。本発明は、特に、従来の小麦タンパク質を加水分解して得られた「コク味」調味料よりも、「コク味」力価が向上した、および/または、「コク味」を付与する時間が変化した「コク味」調味料を提供することを課題とする。「コク味」調味料の「コク味」力価を向上すれば、少量の使用で飲食品に充分な「コク味」を付与することを可能とし、産業上の便益をはかることができる。また、「コク味」を付与する時間を変化させれば、より広い嗜好性ニーズに対応することができる。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、小麦タンパク質の加水分解物をN−アセチルグルコサミニダーゼで処理することにより、「コク味」の力価が上昇すること、および/または、「コク味」を付与する時間が変化することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおり例示できる。
[1]
小麦タンパク質原料を、プロテアーゼおよびN−アセチルグルコサミニダーゼで処理することを含む、調味料の製造方法。
[2]
小麦タンパク質原料の加水分解物を、N−アセチルグルコサミニダーゼで処理することを含む、調味料の製造方法。
[3]
前記加水分解物が、小麦タンパク質原料をプロテアーゼで処理して得られる産物である、[2]に記載の方法。
[4]
前記N−アセチルグルコサミニダーゼが、リゾチームおよび/またはキチナーゼである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の方法により得られた調味料を飲食品またはその原料に添加することを含む、「コク味」の付与された飲食品の製造方法。
本発明により、飲食品に効率的に「コク味」を付与できる調味料が提供される。本発明により、特に、従来の小麦タンパク質を加水分解して得られた「コク味」調味料よりも、「コク味」力価が向上した、および/または、「コク味」を付与する時間が変化した「コク味」調味料が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明の方法
本発明の方法は、小麦由来のタンパク質の糖鎖をN−アセチルグルコサミニダーゼで分解することを特徴とする、調味料の製造方法である。
<1−1>本発明の方法の第1の態様
本発明の方法の第1の態様は、小麦タンパク質原料を、プロテアーゼ(protease)およびN−アセチルグルコサミニダーゼ(N-acetylglucosaminidase)で処理することを含む
、調味料の製造方法である。プロテアーゼによる処理を「プロテアーゼ処理」、N−アセチルグルコサミニダーゼによる処理を「N−アセチルグルコサミニダーゼ処理」ともいう。また、プロテアーゼ処理およびN−アセチルグルコサミニダーゼ処理を総称して、「酵素処理」ともいう。
<1−1−1>小麦タンパク質原料
「小麦タンパク質原料」とは、小麦由来のタンパク質を含有する原料をいう。小麦タンパク質原料は、小麦由来のタンパク質(小麦タンパク質)を含有する限り、特に制限されない。小麦タンパク質原料は、小麦タンパク質以外の成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。小麦タンパク質原料としては、未加工の小麦、小麦の加工品、それらから分離した小麦タンパク質が挙げられる。小麦の加工品としては、小麦粉が挙げられる。小麦タンパク質としては、グルテン、グルテニン、グリアジンが挙げられる。中でも、グルテンが好ましい。小麦タンパク質は、所望の程度に精製されていてよい。小麦タンパク質原料は、1種の小麦タンパク質を含有していてもよく、2種またはそれ以上の小麦タンパク質を含有していてもよい。小麦タンパク質原料としては、1種の小麦タンパク質原料を用いてもよく、2種またはそれ以上の小麦タンパク質原料を用いてもよい。
小麦タンパク質原料としては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。市販品としては、各種小麦粉(各社)や小麦グルテン「SWP−5A」(アミラム社)が挙げられる。
小麦の加工や小麦タンパク質の分離等の操作は、常法により行うことができる。例えば、グルテンは、水分の存在下で、グルテニンとグリアジンが結合することにより生成する。よって、例えば、小麦粉を水と混練することによりグルテンを生成させ、得られた混練物を水で洗浄して不純物を除去することにより、粗精製グルテンが得られる。
小麦タンパク質原料は、そのまま酵素処理に供してもよく、適宜前処理を行ってから酵素処理に供してもよい。前処理としては、例えば、加熱、蒸煮、粉砕、凍結、融解、乾燥が挙げられる。前処理は、小麦タンパク質原料の種類や性状等の諸条件に応じて、適宜選択できる。これらの前処理は、単独で行ってもよく、適宜組み合わせて行ってもよい。
<1−1−2>プロテアーゼ処理
「プロテアーゼ」とは、タンパク質のペプチド結合を加水分解する酵素をいう。プロテアーゼは、小麦由来のタンパク質のペプチド結合を加水分解できる限り、特に制限されない。プロテアーゼは、エンドペプチダーゼであってもよく、エキソペプチダーゼであってもよい。また、プロテアーゼには、プロテイナーゼ(proteinase)やペプチダーゼ(peptidase)と呼ばれるものも含む。プロテアーゼとして、具体的には、例えば、スブチリシ
ン(subtilisin)、キモトリプシン(chymotrypsin)、トリプシン(trypsin)等のセリ
ンプロテアーゼ(serine protease);パパイン(papain)、ブロメライン(bromelain)、カスパーゼ(caspase)、カルパイン(calpain)等のシステインプロテアーゼ(cysteine protease);ペプシン(pepsin)、カテプシン(cathepsin)等の酸性プロテアーゼ(acid protease);サーモリシン(thermolysin)等のメタロプロテアーゼ(metalloprotease)が挙げられる。プロテアーゼとしては、1種のプロテアーゼを用いてもよく、2種
またはそれ以上のプロテアーゼを用いてもよい。
プロテアーゼの由来は特に制限されず、微生物、動物、植物等いずれの由来のものを用いてもよい。また、プロテアーゼとしては、公知のプロテアーゼのホモログや人為的改変体を利用してもよい。プロテアーゼは、プロテアーゼ以外の成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。プロテアーゼとしては、例えば、プロテアーゼを産生する微生物の培養物、該培養物から分離した培養上清、該培養物から分離した菌体、該菌体の処理物、プロテアーゼを含有する農水畜産物、該農水畜産物の処理物、それらから分離したプロテアーゼが挙げられる。プロテアーゼは、所望の程度に精製されていてよい。
プロテアーゼを産生する微生物としては、アスペルギルス(Aspergillus)属真菌やバ
チルス(Bacillus)属細菌が挙げられる。アスペルギルス属真菌として、具体的には、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・グラウカス(Aspergillus glaucus)が挙げられる。プロテアーゼを産生する微生物は、本来
的にプロテアーゼを産生するものであってもよく、プロテアーゼを産生するように改変されたものであってもよい。プロテアーゼを産生する微生物は、例えば、プロテアーゼをコードする遺伝子を微生物に発現可能に導入することにより取得できる。遺伝子の導入は、例えば、同遺伝子を搭載したベクターを微生物に導入することや、遺伝子を微生物の染色体上に導入することにより達成できる。上記微生物のプロテアーゼおよびその他各種プロテアーゼのアミノ酸配列やそれらをコードする遺伝子の塩基配列は、例えば、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等の公用データベースから取得できる。
微生物の培養条件は、微生物が生育でき、プロテアーゼが産生される限り、特に制限されない。微生物は、例えば、細菌や真菌等の微生物を培養する通常の条件で培養することができる。具体的には、例えば、アスペルギルス属真菌の培養は、脱脂大豆を栄養源とする培地を利用し、28〜35℃で、10〜100時間行ってよい。
プロテアーゼとしては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。市販品としては、市販の酵素製剤や市販の種麹が挙げられる。市販の酵素製剤として、具体的には、例えば、アスペルギルス・オリゼー由来のプロテアーゼ製剤である「コクラーゼ・P」(三菱化学フーズ)が挙げられる。
プロテアーゼ処理により、小麦タンパク質のペプチド結合が加水分解される。プロテアーゼ処理の条件は、小麦タンパク質のペプチド結合を加水分解できる限り、特に制限されない。プロテアーゼ処理の条件は、小麦タンパク質原料の種類や性状、プロテアーゼの種類、および所望の分解率等の諸条件に応じて、適宜設定できる。プロテアーゼ処理は、例えば、水や緩衝液等の水性媒体中で行うことができる。プロテアーゼ処理のpHは、例えば、pH3〜10であってよい。プロテアーゼ処理の温度は、例えば、20〜70℃であってよい。プロテアーゼ処理の時間は、例えば、5時間以上、10時間以上、または20時間以上であってよく、200時間以下、100時間以下、または50時間以下であってよい。プロテアーゼ処理の時間は、例えば、20〜100時間であってよい。プロテアーゼの使用量は、37℃で1分間に1μgのチロシンに相当するFolin呈色を示すタンパク質分解物を生成する活性を「1 U」とした場合、小麦タンパク質1g当たり、例えば、100〜10000 Uであってよい。プロテアーゼ処理の具体的な条件としては、例えば、WO2004/096836やWO2006/104022に記載の条件を参照できる。プロテアーゼ処理は、静置で行ってもよく、
撹拌や振とうしながら行ってもよい。
また、プロテアーゼ処理は、プロテアーゼを産生する微生物による発酵により行われてもよい。すなわち、プロテアーゼ処理には、プロテアーゼを産生する微生物による発酵による、小麦タンパク質のペプチド結合の加水分解が含まれる。発酵には、上述したようなプロテアーゼを産生する微生物を用いることができる。中でも、味噌や醤油の醸造に一般的に用いられるアスペルギルス属真菌を好適に用いることができる。発酵条件は、小麦タンパク質のペプチド結合を加水分解できる限り、特に制限されない。発酵条件は、小麦タンパク質原料の種類や性状、微生物の種類、および所望の分解率等の諸条件に応じて、適宜設定できる。発酵は、例えば、味噌や醤油等の小麦を原料として用いる発酵調味料を製造する通常の条件で行うことができる。発酵の具体的な条件としては、例えば、特開平10-165137に記載の条件を参照できる。発酵の際には、適宜、副原料を用いてもよい。副原
料としては、例えば、大豆、大豆の加工品、塩化ナトリウムが挙げられる。
プロテアーゼ処理の進行は、例えば、WO2004/096836やWO2006/104022に開示された糖ペプチドの生成を指標として確認することができる。糖ペプチドとして、具体的には、後述する式(I)に示されるものが挙げられる。糖ペプチドの生成は、化合物の検出または同定に用いられる公知の手法により確認することができる。そのような手法としては、例えば、HPLC、LC/MS、GC/MS、NMRが挙げられる。これらの手法は、単独で用いてもよく、適宜組み合わせて用いてもよい。
プロテアーゼ処理によるタンパク質の加水分解は、本発明の効果が得られる程度に行われればよい。プロテアーゼ処理においては、用いたプロテアーゼの対象となるペプチド結合の全てが加水分解されてもよく、一部のみが加水分解されてもよい。プロテアーゼ処理においては、例えば、用いたプロテアーゼの対象となるペプチド結合の総数の、30%以上、50%以上、70%以上、90%以上、95%以上、または100%のペプチド結合が加水分解されてよい。
<1−1−3>N−アセチルグルコサミニダーゼ処理
「N−アセチルグルコサミニダーゼ」とは、糖鎖中の、N−アセチルグルコサミンと他の糖との間のグリコシド結合を加水分解する酵素をいう。N−アセチルグルコサミニダーゼは、小麦由来のタンパク質の糖鎖中の、N−アセチルグルコサミンと他の糖との間のグリコシド結合を加水分解できる限り、特に制限されない。他の糖は、N−アセチルグルコサミンであってもよく、そうでなくてもよい。グリコシド結合は、β−1,4−グリコシド結合であってよい。N−アセチルグルコサミニダーゼは、少なくとも、糖鎖中の、N−アセチルグルコサミン間のβ−1,4−グリコシド結合を加水分解する酵素であるのが好ましい。
N−アセチルグルコサミニダーゼとしては、リゾチーム(lysozyme)やキチナーゼ(chitinase)が挙げられる。「リゾチーム」とは、細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカ
ン中のN−アセチルグルコサミンとN−アセチルムラミン酸との間のβ−1,4−グリコシド結合、および、キトデキストリン中のN−アセチルグルコサミン間のβ−1,4−グリコシド結合を加水分解する酵素をいう(EC 3.2.1.17)。「キチナーゼ」とは、キチン
中のN−アセチルグルコサミン間のβ−1,4−グリコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素をいう(EC 3.2.1.14)。N−アセチルグルコサミニダーゼとしては、1種の
N−アセチルグルコサミニダーゼを用いてもよく、2種またはそれ以上のN−アセチルグルコサミニダーゼを用いてもよい。
N−アセチルグルコサミニダーゼの由来は特に制限されず、微生物、動物、植物等いずれの由来のものを用いてもよい。また、N−アセチルグルコサミニダーゼとしては、公知のN−アセチルグルコサミニダーゼのホモログや人為的改変体を利用してもよい。N−アセチルグルコサミニダーゼは、N−アセチルグルコサミニダーゼ以外の成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。N−アセチルグルコサミニダーゼとしては、例えば、N−アセチルグルコサミニダーゼを産生する微生物の培養物、該培養物から分離した培養上清、該培養物から分離した菌体、該菌体の処理物、N−アセチルグルコサミニダーゼを含有する農水畜産物、該農水畜産物の処理物、それらから分離したN−アセチルグルコサミニダーゼが挙げられる。N−アセチルグルコサミニダーゼは、所望の程度に精製されていてよい。
リゾチームを含有する農水畜産物としては、ニワトリの卵白が挙げられる。また、リゾチームとしては、ブタリゾチームやヒトリゾチームも挙げられる。
キチナーゼを産生する微生物としては、ストレプトマイセス(Streptomyces)属細菌、ビブリオ(Vibrio)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌が挙げられる。
N−アセチルグルコサミニダーゼを産生する微生物は、本来的にN−アセチルグルコサミニダーゼを産生するものであってもよく、N−アセチルグルコサミニダーゼを産生するように改変されたものであってもよい。N−アセチルグルコサミニダーゼを産生する微生物は、例えば、N−アセチルグルコサミニダーゼをコードする遺伝子を微生物に発現可能に導入することにより取得できる。遺伝子の導入は、例えば、同遺伝子を搭載したベクターを微生物に導入することや、遺伝子を微生物の染色体上に導入することにより達成できる。上記リゾチームやキチナーゼおよびその他各種N−アセチルグルコサミニダーゼのアミノ酸配列やそれらをコードする遺伝子の塩基配列は、例えば、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等の公用データベースから取得できる。
微生物の培養条件は、微生物が生育でき、N−アセチルグルコサミニダーゼが産生され
る限り、特に制限されない。微生物は、例えば、細菌や真菌等の微生物を培養する通常の条件で培養することができる。
N−アセチルグルコサミニダーゼとしては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。市販品としては、市販の酵素製剤が挙げられる。市販の酵素製剤として、具体的には、例えば、ニワトリ卵白由来リゾチーム(シグマ)やストレプトマイセス属細菌由来キチナーゼ製剤「デナチームCBB-P1」(ナガセケムテックス)が挙げられる。
N−アセチルグルコサミニダーゼ処理により、小麦タンパク質の糖鎖が加水分解される。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理の条件は、小麦タンパク質の糖鎖を加水分解できる限り、特に制限されない。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理の条件は、小麦タンパク質原料の種類や性状、N−アセチルグルコサミニダーゼの種類、および所望の分解率等の諸条件に応じて、適宜設定できる。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理は、例えば、水や緩衝液等の水性媒体中で行うことができる。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理のpHは、例えば、好ましくはpH2〜9、より好ましくはpH3〜7、さらに好ましくはpH4〜6であってよい。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理の温度は、例えば、好ましくは10〜80℃、より好ましくは30〜70℃、さらに好ましくは45〜65℃であってよい。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理の時間は、例えば、5時間以上、10時間以上、または20時間以上であってよく、200時間以下、100時間以下、または50時間以下であってよい。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理の時間は、例えば、20〜100時間であってよい。N−アセチルグルコサミニダーゼの使用量は、小麦タンパク質の量に対し、例えば、0.01%(w/w)以上、0.1%(w/w)以上、0.5%(w/w)以上、または1%(w/w)以上であってよく、50%(w/w)以下、30%(w/w)以下、10%(w/w)以下、または5%(w/w)以下であってよい。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理は、静置で行ってもよく、撹拌や振とうしながら行ってもよい。
N−アセチルグルコサミニダーゼ処理の進行は、例えば、糖鎖の遊離を指標として確認することができる。小麦タンパク質は、例えば、下記式(I)に示される糖鎖を有し得る(WO2004/096836、WO2006/104022)。式中、Manはマンノース残基を、Xylはキシロース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、Fucはフコース残基を、Xはペプチド残基を表す。N−アセチルグルコサミニダーゼは、同糖鎖中の、N−アセチルグルコサミン間のβ−1,4−グリコシド結合を加水分解し得る。よって、加水分解により遊離した糖鎖を検出することにより、N−アセチルグルコサミニダーゼ処理の進行を確認できる。糖鎖の遊離は、化合物の検出または同定に用いられる公知の手法により確認することができる。そのような手法としては、例えば、HPLC、LC/MS、GC/MS、NMRが挙げられる。これらの手法は、単独で用いてもよく、適宜組み合わせて用いてもよい。
Figure 2015065921
N−アセチルグルコサミニダーゼ処理による糖鎖の加水分解は、本発明の効果が得られる程度に行われればよい。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理においては、用いたN−アセチルグルコサミニダーゼの対象となるグリコシド結合の全てが加水分解されてもよく、一部のみが加水分解されてもよい。N−アセチルグルコサミニダーゼ処理においては、例えば、用いたN−アセチルグルコサミニダーゼの対象となるグリコシド結合の総数の、30%以上、50%以上、70%以上、90%以上、95%以上、または100%のグリコシド結合が加水分解されてよい。
プロテアーゼ処理およびN−アセチルグルコサミニダーゼ処理は、同時に行ってもよく、一部同時に行ってもよく、別個に行ってもよい。プロテアーゼ処理およびN−アセチルグルコサミニダーゼ処理は、いずれの順番で行ってもよい。例えば、先にプロテアーゼ処理を行い、次いで、N−アセチルグルコサミニダーゼ処理を行ってもよい。また、先にN−アセチルグルコサミニダーゼ処理を行い、次いで、プロテアーゼ処理を行ってもよい。なお、プロテアーゼ処理およびN−アセチルグルコサミニダーゼ処理の片方または両方が2回以上行われてもよい。例えば、まずプロテアーゼ処理を行い、次いでN−アセチルグルコサミニダーゼ処理を行い、さらに追加でプロテアーゼ処理を行ってもよい。
処理が2段階以上に分けて行われる場合、先の処理物は、そのまま後の処理に供してもよく、適宜処理を行ってから後の処理に供してもよい。処理としては、例えば、加熱、分画、希釈、濃縮、脱色、脱臭が挙げられる。分画としては、例えば、固形分の除去や分子量に基づく分離が挙げられる。処理は、小麦タンパク質原料の種類や性状、および酵素の種類等の諸条件に応じて、適宜選択できる。これらの処理は、単独で行ってもよく、適宜組み合わせて行ってもよい。
分画を行う場合、本発明の効果が得られるように、画分を分取すればよい。例えば、小麦タンパク質原料をプロテアーゼ処理して得られる、分子量1000〜30000、好ましくは分子量3000〜30000の糖ペプチドが「コク味」付与能を有することが知られている(WO2006/104022)。よって、先にプロテアーゼ処理を行う場合、プロテアーゼ
処理物から、そのような特定の分子量範囲の成分を回収して、N−アセチルグルコサミニダーゼ処理に供してもよい。
また、先にプロテアーゼ処理を行う場合、N−アセチルグルコサミニダーゼがプロテアーゼにより分解されないように、プロテアーゼを除去または失活させてからN−アセチルグルコサミニダーゼ処理を行うのが好ましい。プロテアーゼは、例えば、限外濾過により除去することができる。また、プロテアーゼは、例えば、加熱により失活させることができる。
また、酵素処理中に、小麦タンパク質原料や酵素等の成分を反応系に追加で添加してもよい。例えば、酵素処理中に、プロテアーゼおよび/またはN−アセチルグルコサミニダーゼを反応系に追加で添加してもよい。例えば、プロテアーゼ処理およびN−アセチルグルコサミニダーゼ処理の一部または全部を同時に行う場合、プロテアーゼにより分解されたN−アセチルグルコサミニダーゼを反応系に補填してもよい。
<1−2>本発明の方法の第2の態様
本発明の方法の第2の態様は、小麦タンパク質原料の加水分解物を、N−アセチルグルコサミニダーゼで処理することを含む、調味料の製造方法である。
「小麦タンパク質原料の加水分解物」とは、小麦タンパク質原料をプロテアーゼ処理により加水分解して得られるものをいう。小麦タンパク質原料については、本発明の方法の第1の態様における小麦タンパク質原料に関する記載を準用できる。プロテアーゼ処理に
ついては、本発明の方法の第1の態様におけるプロテアーゼ処理に関する記載を準用できる。
小麦タンパク質原料の加水分解物としては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。市販品としては、各種醤油、各種味噌、その他小麦を原料とする発酵調味料が挙げられる。市販品として、具体的には、例えば、小麦グルテン酵素分解調味料「粉末発酵うま味調味料PN」(キッコーマン社製;New Food Industry, 2000, Vol.42, No.11, pp.33-39)が挙げられる。
小麦タンパク質原料の加水分解物は、そのままN−アセチルグルコサミニダーゼ処理に供してもよく、適宜処理を行ってからN−アセチルグルコサミニダーゼ処理に供してもよい。処理については、本発明の方法の第1の態様における、酵素処理間に行われる処理に関する記載を準用できる。
<2>本発明の調味料
上述したような本発明の方法により、調味料が得られる。本発明の方法により得られる調味料を、「本発明の調味料」ともいう。本発明の調味料は、そのまま調味料として利用してもよく、適宜処理を行ってから調味料として利用してもよい。処理としては、例えば、加熱、分画、希釈、濃縮、脱色、脱臭が挙げられる。分画としては、例えば、固形分の除去や分子量に基づく分離が挙げられる。処理は、本発明の調味料の性状等の諸条件に応じて、適宜選択できる。これらの処理は、単独で行ってもよく、適宜組み合わせて行ってもよい。このような処理がなされたものも、本発明の調味料に包含される。
本発明の調味料は、単独で調味料として利用してもよく、他の成分と組み合わせて調味料として利用してもよい。「他の成分」は、経口摂取可能なものであれば特に制限されず、例えば、調味料、飲食品、または医薬品に配合して利用されるものを利用できる。
「他の成分」として、具体的には、例えば、砂糖、蜂蜜、メープルシロップ、スクロース、グルコース、フルクトース、異性化糖、オリゴ糖等の糖類;キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール類;天然または人工甘味料;食塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類;酢酸、クエン酸等の有機酸類およびその塩;グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸類およびその塩;イノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸等の核酸類およびその塩;食物繊維、pH緩衝剤、香料、食用油、エタノール、水が挙げられる。
また、「他の成分」としては、「コク味」付与活性を有する化合物やカルシウム受容体刺激活性を有する化合物が挙げられる。「コク味」付与活性を有する化合物として、具体的には、例えば、グルタチオン等のγ−グルタミルペプチドやアリインが挙げられる。カルシウム受容体刺激活性を有する化合物として、具体的には、例えば、カルシウム、カドリニウム等のカチオン;ポリアルギニン、ポリリジン等の塩基性ペプチド;プトレッシン、スペルミン、スペルミジン等のポリアミン;プロタミン等のタンパク質;フェニルアラニン、グルタチオン等のペプチド;シナカルセットが挙げられる。これらの化合物についても、塩を形成し得るものは塩の形態で利用されてもよい。
塩は、経口摂取可能なものであれば特に制限されない。例えば、カルボキシル基等の酸性基に対する塩としては、具体的には、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。また、例えば、アミノ基等の塩基性基に対する塩としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸との塩、酢酸
、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸、メチルマロン酸等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩が挙げられる。なお、塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
本発明の調味料の形態は特に制限されない。本発明の調味料は、例えば、粉末状、顆粒状、液状、ペースト状、キューブ状等のいかなる形態であってもよい。
本発明の調味料の組成は、本発明の効果が得られる限り特に制限されない。
本発明の調味料を添加することで、飲食品に「コク味」を付与することができる。また、本発明の調味料によれば、「コク味」の力価を高める効果および/または「コク味」の呈味質を変化させる効果が得られる。これらの効果を総称して、「本発明の効果」ともいう。
「「コク味」の力価を高める」とは、本発明の調味料と対照調味料をそれぞれ同濃度で飲食品に添加した場合に、本発明の調味料を添加した飲食品においては、対照調味料を添加した飲食品と比較して、「コク味」の強さが大きいことをいう。「「コク味」の呈味質を変化させる」とは、本発明の調味料を添加した飲食品においては、対照調味料を添加した飲食品と比較して、「コク味」の付与される時間が変化することをいう。「対照調味料」とは、N−アセチルグルコサミニダーゼ処理なしに製造された調味料であって、それ以外の製造条件は本発明の調味料の製造条件と同一であるものをいう。
<3>本発明の飲食品
本発明の調味料を利用して、「コク味」の付与された飲食品を製造できる。すなわち、本発明は、本発明の調味料を飲食品またはその原料に添加することを含む、「コク味」の付与された飲食品の製造方法を提供する。同方法により製造される飲食品を、「本発明の飲食品」ともいう。
飲食品としては、特に制限されず、あらゆる飲食品が包含される。飲食品としては、例えば、水、果汁、牛乳、茶、アルコール飲料、スープなどの飲料;ハム、ソーセージなどの食肉加工食品;かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品;バター、発酵乳、粉乳などの乳製品;パン、麺類、菓子等が挙げられる。
本発明の飲食品は、本発明の調味料を添加すること以外は、通常の飲食品と同様の原料を用い、同様の方法によって製造することができる。本発明の調味料の添加は、飲食品の製造工程のいずれの段階で行われてもよい。すなわち、本発明の調味料は、飲食品の原料に添加されてもよく、製造途中の飲食品に添加されてもよく、完成した飲食品に添加されてもよい。本発明の調味料は、1回のみ添加されてもよく、2またはそれ以上の回数に分けて添加されてもよい。
本発明の調味料の添加量は、飲食品に「コク味」を付与できる限り特に制限されず、飲食品の種類や本発明の調味料の組成等の諸条件に応じて適宜設定することができる。例えば、飲食品またはその原料に対して、本発明の調味料を0.01ppm〜50%添加してもよく、0.1ppm〜10%添加してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1:糖鎖加水分解による「コク味」付与効果の評価1
本実施例では、小麦グルテンの酵素分解物をN−アセチルグルコサミニダーゼで処理し、糖鎖加水分解が「コク味」の力価および「コク味」の呈味質に与える影響について評価した。
<1>サンプルの調製
<1−1>小麦グルテンの酵素分解物の調製
小麦グルテン酵素分解調味料Aは、WO2004/096836の実施例1の段落1に記載の方法に
準じ、小麦グルテン「SWP−5A」(アミラム社製)をアスペルギルス・オリゼー培養液で加水分解することにより、調製した。小麦グルテン酵素分解調味料Bは、WO2006/104022の実施例1の段落1に記載の方法に準じ、小麦グルテン「SWP−5A」(アミラム
社製)をアスペルギルス・オリゼー培養液で加水分解することにより、調製した。
<1−2>糖鎖加水分解処理
上記で得られた小麦グルテン酵素分解調味料A、Bを、以下の手順でN−アセチルグルコサミニダーゼ処理し、試験例1〜9の糖鎖加水分解処理溶液を調製した。N−アセチルグルコサミニダーゼとしては、ニワトリ卵白由来リゾチーム(シグマ)およびストレプトマイセス属細菌由来キチナーゼ製剤「デナチームCBB-P1」(ナガセケムテックス)を採用した。また、別途、参考例1〜2の糖鎖加水分解処理溶液を調製した。
(試験例1)小麦グルテン酵素分解調味料Aのリゾチーム処理
小麦グルテン酵素分解調味料A(1 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、20 mL)に溶解後、リゾチーム(10 mg)を加え、50 ℃ にて24時間撹拌後、90 ℃ にてさらに30分間
撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(試験例2)小麦グルテン酵素分解調味料Aのリゾチーム処理
小麦グルテン酵素分解調味料A(1 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、5 mL)に溶
解後、リゾチーム(10 mg)を加え、50 ℃ にて24時間撹拌後、90 ℃ にてさらに30分間
撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(試験例3)小麦グルテン酵素分解調味料Aのリゾチーム処理
小麦グルテン酵素分解調味料A(2 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、40 mL)に溶解後、リゾチーム(400 mg)を加え、50 ℃ にて24時間撹拌した。うち、20 mL分を90 ℃
にてさらに30分間撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解
処理溶液を得た。
(試験例4)小麦グルテン酵素分解調味料Aのリゾチーム処理
小麦グルテン酵素分解調味料A(1 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、20 mL)に溶解後、リゾチーム(10 mg)を加え、60 ℃ にて24時間撹拌した。うち、10 mL分を90 ℃ にてさらに30分間撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(試験例5)小麦グルテン酵素分解調味料Aのリゾチーム処理
小麦グルテン酵素分解調味料A(0.5 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、10 mL)に溶解後、リゾチーム(2.5 mg)を加え、60 ℃ にて24時間撹拌後、90 ℃ にてさらに30分間撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(試験例6)小麦グルテン酵素分解調味料Bのリゾチーム処理
小麦グルテン酵素分解調味料B(1 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、20 mL)に溶
解後、リゾチーム(10 mg)を加え、60 ℃ にて24時間撹拌後、90 ℃ にてさらに30分間
撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(試験例7)小麦グルテン酵素分解調味料Bのリゾチーム処理
小麦グルテン酵素分解調味料B(1 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、20 mL)に溶解後、リゾチーム(250 mg)を加え、60 ℃ にて32時間撹拌後、90 ℃ にてさらに30分間撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(試験例8)小麦グルテン酵素分解調味料Aのキチナーゼ処理
小麦グルテン酵素分解調味料A(1 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、20 mL)に溶解後、キチナーゼ(200 mg)を加え、40℃ にて16時間撹拌した。うち、10 mL分を90 ℃ にてさらに30分間撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(試験例9)小麦グルテン酵素分解調味料のリゾチーム処理
小麦グルテン酵素分解調味料「粉末発酵うま味調味料PN」(キッコーマン社製;New Food Industry, 2000, Vol.42, No.11, pp.33-39)(1 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、20 mL)に溶解後、リゾチーム(10 mg)を加え、50 ℃ にて24時間撹拌後、90 ℃
にてさらに30分間撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(参考例1)小麦グルテン酵素分解調味料Aのペクチナーゼ処理
小麦グルテン酵素分解調味料A(1 g)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 4、20 mL)に溶解後、ペクチナーゼ(東京化成)(250 mg)を加え、37 ℃ にて24時間撹拌後、90 ℃ にてさらに30分間撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
(参考例2)大豆酵素分解調味料のリゾチーム処理
大豆酵素分解調味料「コウジ・ベース」(味の素社製)(7 mL)をクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5、28 mL)に溶解後、リゾチーム(50 mg)を加え、50 ℃ にて24時間撹拌後、90 ℃ にてさらに30分間撹拌した。遠心により、不溶物を除去することにより、糖鎖加水分解処理溶液を得た。
<2>評価方法
評価ベースとして、NaCl 0.5% + MSG 0.2%の水溶液を用いた。評価ベースに、上記で
調製した各糖鎖加水分解処理溶液を添加し、評価サンプルとした。また、評価ベースに、糖鎖加水分解処理を行っていない各調味料を添加し、対照サンプルとした。各サンプルを100ppm(固形分換算、反応時5%→500倍希釈→100ppm)に調整し、「コク味」力価を0〜5
点で点数評価した。評価基準は、評価ベース単独での「コク味」力価を0.0点、各対照サ
ンプルの「コク味」力価を2.0点とした。
<3>結果
結果を表1に示す。小麦グルテンの酵素分解物をN−アセチルグルコサミニダーゼで処理することにより、「コク味」力価が向上することが明らかとなった。
Figure 2015065921
実施例2:糖鎖加水分解による「コク味」付与効果の評価2
本実施例では、小麦グルテンの酵素分解物とそのN−アセチルグルコサミニダーゼ処理物をそれぞれ飲食品に添加し、糖鎖加水分解が「コク味」の力価および「コク味」の呈味質に与える影響について評価した。
<1>サンプルの調製
評価ベースとして、以下の3種の飲食品を用いた。
(1)単純塩味・うま味水溶液(食塩 0.5%、MSG 0.2%)
(2)「麺の達人 炊き出し鶏ガラ醤油(袋)」(日清)のスープ;液体スープおよび粉末スープ(合計35.1g)を熱水 440g(通常は熱水 390g)で希釈して調製した。
(3)「マ・マー ミートソース」(日清フーズ)
上記各評価ベースに、実施例1で調製した小麦グルテン酵素分解調味料Aを終濃度0.026%で添加し、評価サンプル1とした。上記各評価ベースに、実施例1の試験例1で調製した小麦グルテン酵素分解調味料Aの糖鎖加水分解処理溶液を終濃度0.013%で添加し、評価サンプル2とした。
<2>評価方法
評価ベースと比較して、評価サンプル1および評価サンプル2の「コク味」を評価した。
<3>結果
結果を表2に示す。いずれの評価ベースを用いた場合も、評価サンプル1(小麦グルテン酵素分解調味料A;添加量0.026%)および評価サンプル2(糖鎖加水分解処理溶液;添加量0.013%)の「コク味」力価は同等であった。よって、小麦グルテンの酵素分解物をN−アセチルグルコサミニダーゼで処理することにより、「コク味」力価が向上することが再度確認された。また、小麦グルテンの酵素分解物をN−アセチルグルコサミニダーゼで処理することにより、「コク味」が付与される時間や、飲食品の風味が変化することが明らかとなった。
Figure 2015065921

Claims (5)

  1. 小麦タンパク質原料を、プロテアーゼおよびN−アセチルグルコサミニダーゼで処理することを含む、調味料の製造方法。
  2. 小麦タンパク質原料の加水分解物を、N−アセチルグルコサミニダーゼで処理することを含む、調味料の製造方法。
  3. 前記加水分解物が、小麦タンパク質原料をプロテアーゼで処理して得られる産物である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記N−アセチルグルコサミニダーゼが、リゾチームおよび/またはキチナーゼである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により得られた調味料を飲食品またはその原料に添加することを含む、コク味の付与された飲食品の製造方法。
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