JP2015065127A - 絶縁電線 - Google Patents

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敏晴 後藤
森下 滋宏
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【課題】絶縁被覆を構成する樹脂組成物の融点以上の温度に絶縁被覆が曝された場合であっても、絶縁被覆の溶融変形が抑制されている絶縁電線を提供する。【解決手段】導体と、導体の外周を被覆するように形成される絶縁被覆と、を備える絶縁電線であって、絶縁被覆は、樹脂組成物から形成されており、樹脂組成物は、末端にカルボキシル基を有するポリフェニレンサルファイド樹脂(A)と、αオレフィン(b1)およびポリフェニレンサルファイド樹脂(A)が有するカルボキシル基に付加反応するエポキシ基を有する不飽和酸グリシジルエステル(b2)を不飽和酸グリシジルエステル(b2)の質量比で0.5質量%以上40質量%以下含むオレフィン系共重合体(B)と、を含有し、ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)を含む連続相中にオレフィン系共重合体(B)を含む分散相が分散する相分離構造を有しており、樹脂組成物の300℃での粘弾性が5.0?104Pa・s以上である、絶縁電線である。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁電線に関する。
絶縁電線は、例えば電気機器への電力の供給や電気信号の伝達に用いられる。絶縁電線には、導体の外周を被覆するように絶縁被覆が形成されており、絶縁被覆には電気的特性だけでなく、耐熱性、機械特性、耐薬品性および難燃性などの諸特性が要求されている。
絶縁被覆の形成方法としては例えば焼付法や押出法などがある。焼付法では、導体の外周に絶縁塗料を塗布して絶縁塗料を焼き付けることで薄い絶縁被覆を形成し、この工程(塗布・焼付)を複数回行うことによって所定膜厚の絶縁被覆を形成する。押出法では、導体の外周に熱可塑性樹脂を所定の被覆厚で押出被覆することによって、所定膜厚の絶縁被覆を形成する。押出法によれば、塗布・焼付を複数回行う焼付法と比較して、1回の押出被覆で所定膜厚の絶縁被覆を形成できる。このため、膜厚の大きい絶縁被覆を形成する場合、一般に、押出法が用いられる。
近年、電気機器は高出力化のため高い電圧で駆動されるようになっている。この結果、電気機器では運転温度が上昇しており、用いられる絶縁電線は高温の環境に曝される傾向がある。このため、絶縁電線の絶縁被覆には高い耐熱性が要求される。
絶縁被覆の耐熱性を向上させるため、押出法で用いる熱可塑性樹脂としてスーパーエンプラが検討されており、この中でもポリフェニレンサルファイド(以下、PPS樹脂ともいう)が着目されている。PPS樹脂は高い機械特性および耐熱性を有するだけでなく、優れた耐薬品性や難燃性を有することから、絶縁被覆に用いる熱可塑性樹脂として好適である。
ただし、PPS樹脂は耐衝撃性などの靭性に劣るため、PPS樹脂から形成される絶縁被覆は衝撃に弱く割れやすいという問題がある。そこで、PPS樹脂の靭性を改善するため、PPS樹脂にエラストマを添加したPPS樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、PPS樹脂組成物は、PPS樹脂とエラストマとを混練することにより得られる。そして、PPS樹脂組成物では、混練により、硬く衝撃に弱いPPS樹脂中に柔らかく衝撃に強いエラストマが分散されており、PPS樹脂とエラストマとが所定の相分離構造を形成している。このようなPPS樹脂組成物によれば、強度(硬さ)と共に耐衝撃性に優れる絶縁被覆を形成することができる。
一方、特許文献1のPPS樹脂組成物では、靭性は改善されるが、半結晶性の熱可塑性樹脂を含むことから、融点以上の温度では弾性率が急激に低下して溶融変形が生じやすいという問題がある。PPS樹脂組成物から構成される絶縁被覆は、PPS樹脂のガラス転移温度(約90℃)よりも低い温度域では弾性率が高く、硬化した状態であるが、温度の上昇と共に弾性率が徐々に低下することにより軟化し始め、PPS樹脂の融点(約280℃)以上の温度域では弾性率が急激に低下することにより溶融変形してしまう。絶縁被覆の軟化および溶融(弾性率の低下)は、絶縁被覆を構成するPPS樹脂の分子鎖同士の結合が弱くなることによって生じる。PPS樹脂は、加熱により分子鎖同士の結合が徐々に弱くなることで軟化し、融点以上では分子鎖同士の結合がさらに弱くなり分子鎖が流動性を示すことで溶融する。
絶縁電線では、絶縁被覆が溶融変形してしまうと、導体が露出して短絡するおそれがある。このため、一般に、絶縁電線を電気機器などに適用する場合、絶縁被覆が溶融変形しないように、運転温度よりも高い融点を有する絶縁被覆が選択される。しかしながら、電気機器の不具合などの予測できない事態によって、機器内の温度が通常の運転温度よりも高くなってしまう場合がある。このとき、機器内の温度が絶縁被覆の融点以上の温度となると、絶縁被覆が溶融変形し、絶縁電線が短絡するおそれが高くなる。
このように、絶縁電線の絶縁被覆は、融点以上では弾性率が急激に低下しやすいため、予測できない温度上昇によって溶融変形し、絶縁電線の短絡を引き起こすおそれがある。
このような絶縁被覆の融点以上での弾性率の急激な低下を抑制する方法として、絶縁被覆を構成するPPS樹脂を架橋する方法が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。具体的には、PPS樹脂を空気中で高温加熱することにより架橋させる方法が開示されている。PPS樹脂を架橋すると、その融点は高くはできないものの、融点以上でのPPS樹脂の流動性を抑制することができる。すなわち、架橋では、PPS樹脂の分子鎖同士を化学結合しており、融点以上で分子鎖同士の結合が弱くなった場合であっても分子鎖同士の滑りを抑制することができる。これにより、架橋されたPPS樹脂では、融点以上での弾性率の急激な低下が抑制され、溶融変形が抑制されることになる。
絶縁被覆を架橋する方法としては、(1)予め架橋させたPPS樹脂を押出被覆する方法と、(2)PPS樹脂を導体上に押出被覆した後に架橋させる方法、の2つが考えられる。方法(1)では、PPS樹脂を空気中で高温加熱することにより架橋させ、その後、架橋させたPPS樹脂を導体の外周に押出被覆する。方法(2)では、導体の外周にPPS樹脂を押出被覆した後、押出被覆されたPPS樹脂を空気中で高温加熱することにより架橋させる。
特開昭58−154757号公報 特開2013−33607号公報
しかしながら、上記方法(1)および方法(2)では、融点以上でのPPS樹脂の溶融を抑制できるものの、以下に示すような問題が生じる。
方法(1)では、予め架橋されたPPS樹脂を押し出すことになるが、架橋されたPPS樹脂では溶融粘度が高く押出成形性が低いため、寸法精度のよい絶縁被覆を形成することが困難となる。
方法(2)では、PPS樹脂を押し出した後に架橋することになるが、架橋の際、押し出したPPS樹脂を高温に長時間曝す必要があるため、形成される絶縁被覆が溶融変形するおそれがある。
そもそも、方法(1)および方法(2)のように架橋する場合、PPS樹脂を空気中で長時間加熱する必要があるため、PPS樹脂では、架橋と同時に酸化劣化が生じてしまう。この結果、形成される絶縁被覆では、酸化劣化により機械特性や電気的特性が低下するおそれがある。
そこで、本発明は、絶縁被覆を構成する樹脂組成物の融点以上の温度に絶縁被覆が曝された場合であっても、絶縁被覆の溶融変形が抑制される絶縁電線を提供することを目的とする。
上述したように、架橋では、酸化劣化などが生じるといった問題はあるものの、樹脂の分子鎖同士を結合して強固な分子構造を形成することで、樹脂における融点以上での分子鎖の流動を抑制できるという一定の効果が得られている。このことから、樹脂における融点以上での分子鎖の流動を抑制する上で、樹脂の分子鎖同士を結合することは有効であると考えられる。そこで、本発明者らは、架橋に代わる方法であって、樹脂の分子鎖同士を結合させる方法について検討を行った。
その結果、分子末端にカルボキシル基を有するPPS樹脂と、エラストマとしてエポキシ基を有するオレフィン系共重合体と、を混錬した樹脂組成物がよいとの知見を得た。この樹脂組成物によれば、カルボキシル基とエポキシ基とが付加反応することでPPS樹脂とオレフィン系共重合体が結合する。これにより、架橋の場合と同様に、樹脂組成物の分子鎖同士が結合され、融点以上での分子鎖の流動が抑制される。しかも、この2つの樹脂を所定の条件で混練し、PPS樹脂中にオレフィン系共重合体を微細に分散させるほど、分子鎖同士がさらに結合され、分子鎖の流動がさらに抑制される。したがって、上記樹脂組成物から形成される絶縁被覆によれば、融点以上の温度に曝された場合であっても溶融変形が生じにくい。
本発明は、上記知見に基づき成されたもので、以下のとおりである。
本発明の第1の態様によれば、
導体と、前記導体の外周を被覆するように形成される絶縁被覆と、を備える絶縁電線であって、前記絶縁被覆は、樹脂組成物から形成されており、前記樹脂組成物は、末端にカルボキシル基を有するポリフェニレンサルファイド樹脂(A)と、αオレフィン(b1)および前記ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)が有する前記カルボキシル基に付加反応するエポキシ基を有する不飽和酸グリシジルエステル(b2)を前記不飽和酸グリシジルエステル(b2)の質量比で0.5質量%以上40質量%以下含むオレフィン系共重合体(B)と、を含有し、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)を含む連続相中に前記オレフィン系共重合体(B)を含む分散相が分散する相分離構造を有しており、前記樹脂組成物の300℃での粘弾性が5.0×10Pa・s以上である、絶縁電線が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
前記樹脂組成物は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)と前記オレフィン系共重合体(B)との合計100質量%に対し、前記オレフィン系共重合体(B)を5質量%以上30質量%以下含有する、第1の態様の絶縁電線が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
前記樹脂組成物の前記相分離構造において、前記オレフィン系共重合体(B)を含む前記分散相の大きさが100nm以上500nm以下である、第1又は第2の態様の絶縁電線が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
前記絶縁被覆は、前記導体の直上に形成される、第1〜第3の態様のいずれかの絶縁電線が提供される。
本発明によれば、絶縁被覆を構成する樹脂組成物の融点以上の温度に絶縁被覆が曝された場合であっても、絶縁被覆の溶融変形が抑制される絶縁電線が得られる。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面図である。
[1.絶縁電線]
以下、本発明の一実施形態に係る絶縁電線について図を参照しながら説明をする。図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面図である。
本実施形態の絶縁電線1は、導体10と、導体10の外周を被覆するように形成される絶縁被覆11と、を備えており、絶縁被覆11が所定の樹脂組成物から形成されている。
〈樹脂組成物〉
まず、絶縁被覆11を構成する樹脂組成物について説明をする。
樹脂組成物は、末端にカルボキシル基を有するポリフェニレンサルファイド樹脂(A)と、αオレフィン(b1)およびポリフェニレンサルファイド樹脂(A)が有するカルボキシル基に付加反応するエポキシ基を有する不飽和酸グリシジルエステル(b2)を不飽和酸グリシジルエステル(b2)の質量比で0.5質量%以上40質量%以下含むオレフィン系共重合体(B)と、を含有している。そして、樹脂組成物は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)とを所定のせん断速度で溶融混練することにより、ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)を含む連続相中にオレフィン系共重合体(B)を含む分散相が分散する相分離構造を有している。樹脂組成物では、溶融混練時にポリフェニレンサルファイド樹脂(A)のカルボキシル基とオレフィン系共重合体(B)のエポキシ基とが反応することにより、融点以上の温度における分子鎖の流動が抑制されることになる。これにより、樹脂組成物の300℃での粘弾性が5.0×10Pa・s以上となる。
ここで、樹脂組成物の相分離構造、および相分離構造を構成する各成分について説明をする。
(ポリフェニレンサルファイド樹脂(A))
本実施形態において、樹脂組成物は、連続相と分散相を含む相分離構造を有しており、ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)(以下、PPS樹脂(A)ともいう)は、連続相(海相)を構成している。
PPS樹脂(A)は、p−フェニレンサルファイドからなる繰り返し単位を含むポリマであり、優れた電気的特性、耐熱性、機械特性、および耐薬品性を有する。耐熱性をさらに向上させる観点からは、p−フェニレンサルファイドからなる繰り返し単位を85%以上含むことが好ましく、90%以上含むことがより好ましい。
PPS樹脂(A)は、その分子末端にカルボキシル基(−COOH)を有しており、カルボキシル基はオレフィン系共重合体(B)のエポキシ基と付加反応できる。付加反応によりPPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)とが結合することで、樹脂組成物の分子鎖同士が結合され、強固な分子構造を形成する。これにより、樹脂組成物では、融点以上での分子鎖の流動性が抑制され、弾性率の急激な低下が抑制される。
このPPS樹脂(A)は、ハロゲン化芳香族化合物にアルカリ金属硫化物を縮合反応させた後、反応物を酸処理することにより得られる。例えば、ハロゲン化芳香族化合物としてのp−ジクロロベンゼンに、アルカリ金属硫化物としての硫化ナトリウムを縮合反応させ、酢酸を用いて酸処理後に水洗することによって、反応物として分子末端にカルボキシル基(−COOH)を有するPPS樹脂(A)を得られる。なお、PPS樹脂には、縮合反応後の処理により、分子末端の構造が異なるものがある。例えば、上記と同様に縮合反応させた後、水洗すると、反応物として、カルボン酸金属末端(−COONa)を有するPPS樹脂を得られる。もしくは縮合反応させた後、酢酸カルシウム水溶液を用いて洗浄し、水洗すると、分子末端にカルボン酸金属末端基(−COOCa1/2)を有するPPS樹脂(A)を得られる。しかしながら、これらカルボン酸金属末端を有するPPS樹脂では、カルボン酸金属末端とオレフィン系共重合体(B)のエポキシ基との付加反応が進行しにくく、樹脂組成物の分子鎖同士が結合されにくい。これは、カルボン酸金属末端が安定であり、エポキシ基との反応性が低いためと考えられる。
樹脂組成物に含まれるPPS樹脂(A)の含有量は特に限定されない。PPS樹脂(A)の含有量は、PPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)の合計100質量%中、70質量%以上95質量%以下であることが好ましく、75質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。含有量をこの範囲とすることにより、樹脂組成物の相分離構造をより微細に形成することができる。また、所定量のPPS樹脂(A)を含有することにより、樹脂組成物における融点以下の温度における機械特性の低下を抑制できると共に、難燃性の低下も抑制できる。さらに、溶融させて押出す際の粘度(溶融粘度)が所定の範囲となるため、押出被覆の被覆厚を安定化でき、形成される絶縁被覆11の厚さを均一とすることができる。
(オレフィン系共重合体(B))
樹脂組成物は、連続相と分散相を含む相分離構造を有しており、オレフィン系共重合体(B)は、分散相(島相)を構成している。なお、分散相の形状は、例えば球状、鱗片状、繊維状など任意の形状となる。
オレフィン系共重合体(B)は、αオレフィン(b1)と不飽和酸グリシジルエステル(b2)とを、不飽和酸グリシジルエステル(b2)の質量比が0.5質量%以上40質量%以下となるように重合させて得られる共重合体である。オレフィン系共重合体(B)は、靭性を有しており、分散相として連続相中に分散することによって、連続相を構成するPPS樹脂(A)に靭性を付与し、耐衝撃性を向上させる。オレフィン系共重合体(B)では、不飽和酸グリシジルエステル(b2)の質量比が上記範囲外となると、樹脂組成物の耐衝撃性が低下する。
オレフィン系共重合体(B)は、エポキシ基を有する不飽和酸グリシジルエステル(b2)を所定量含有することによって、その分子鎖中に所定の割合でエポキシ基を有している。エポキシ基は、上述したように、PPS樹脂(A)における分子末端のカルボキシル基と付加反応できる。付加反応によりオレフィン系共重合体(B)とPPS樹脂(A)とが結合することで、樹脂組成物の分子鎖同士が結合され、強固な分子構造を形成する。これにより、樹脂組成物では、融点以上での分子鎖の流動性が抑制され、弾性率の急激な低下が抑制される。
オレフィン系共重合体(B)を構成するαオレフィン(b1)としては、特に限定されず、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテンなどが挙げられるが、その中でもエチレンが好ましい。不飽和酸グリシジルエステル(b2)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、その中でもメタクリル酸グリシジルが好ましい。つまり、オレフィン系共重合体(B)としては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体が好ましい。
樹脂組成物に含まれるオレフィン系共重合体(B)の含有量は特に限定されない。オレフィン系共重合体(B)の含有量は、PPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)の合計100質量%中、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。含有量をこの範囲とすることにより、オレフィン系共重合体(B)を分散相とした相分離構造を形成しやすくなる。含有量が上記範囲よりも少ないと、エポキシ基とカルボキシル基との付加反応が進行しにくく、樹脂組成物の分子鎖同士が十分に結合されないため、樹脂組成物の融点以上での分子鎖の流動性が抑制されないおそれがある。一方、含有量が上記範囲よりも多いと、樹脂組成物の分子鎖同士が結合されすぎるため、融点以上での分子鎖の流動性が失われることによって、樹脂組成物の溶融時の粘度(溶融粘度)が過度に大きくなるおそれがある。これにより、樹脂組成物の押出成形性が低下して押出被覆の被覆厚(絶縁被覆11の膜厚)が不安定となるおそれがある。また、PPS樹脂(A)の含有量の割合が減少するため、機械特性や難燃性などのPPS樹脂(A)に由来する特性が低下するおそれがある。
オレフィン系共重合体(B)は、PPS樹脂(A)が構成する連続相中に分散相として分散しているが、微細に分散するほどPPS樹脂(A)と付加反応しやすく、樹脂組成物の分子鎖同士がより結合される。これは、オレフィン系共重合体(B)が微細に分散することによりPPS樹脂(A)との界面が増加するためである。このことから、オレフィン系共重合体(B)が構成する分散相は、大きさが500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。また、分散相の大きさをこの範囲とすることにより、樹脂組成物の機械特性も向上できる。なお、分散相の大きさの下限値は、特に限定されない。
(相分離構造)
樹脂組成物は、上記PPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)を混練することにより得られ、PPS樹脂(A)を含む連続相中に、オレフィン系共重合体(B)を含む分散相が分散している相分離構造を有している。相分離構造において、連続相を構成するPPS樹脂(A)は、優れた電気的特性、耐熱性、機械特性、および耐薬品性を有する。分散相を構成するオレフィン系共重合体(B)は、靭性を有しており、分散相として連続相中に分散することによって、連続相を構成するPPS樹脂(A)に靭性を付与し、耐衝撃性を向上させる。
また、連続相を構成するPPS樹脂(A)と分散相を構成するオレフィン系共重合体(B)とは、カルボキシル基とエポキシ基とが付加反応することで結合している。具体的には、下記式(1)に示すように付加反応して結合している。
Figure 2015065127
上記式(1)に示すように、PPS樹脂(A)の分子末端のカルボキシル基とオレフィン系共重合体(B)の分子鎖中のエポキシ基とが付加反応することで、PPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)とは結合している。樹脂組成物では、PPS樹脂(A)中に分散相としてオレフィン系共重合体(B)が分散しており、その樹脂界面(連続相と分散相との界面)において付加反応が進行する。これにより、樹脂組成物の分子鎖同士が結合されて、融点以上での分子鎖の流動性が抑制される。具体的には、PPS樹脂(A)だけでは、融点(約280℃)で溶融してしまうところ、PPS樹脂(A)およびオレフィン系共重合体(B)を含有する樹脂組成物では、280℃では溶融せず、300℃での粘弾性が5.0×10Pa・s以上となる。なお、樹脂組成物の300℃での粘弾性において、上限値は特に限定されないが、大きすぎると樹脂組成物が硬いため押出成形性が低下することから、1.0×10Pa・s以下であることが好ましい。
(その他)
樹脂組成物は、上記PPS樹脂(A)やポリオレフィン系共重合体(B)以外に、その他添加剤を含有してもよい。その他添加剤としては、樹脂組成物の酸化劣化を抑制することを目的として酸化防止剤を含有してもよく、樹脂組成物のガラス転移温度以上における強度を向上させることを目的としてガラスフィラーを含有してもよい。これらの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
〈樹脂組成物の調製方法〉
次に、上記樹脂組成物の調製方法について説明をする。上記樹脂組成物は、PPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)を混練することにより調製される。具体的には、以下のように調製される。
まず、主成分であるPPS樹脂(A)と、オレフィン系共重合体(B)とを混合する。このときの添加量は、例えば、PPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)の合計が100質量%となるように、PPS樹脂(A)を70質量%以上95質量%以下、オレフィン系共重合体(B)を5質量%以上30質量%以下とするとよい。なお、その他添加剤を含有させる場合、PPS樹脂(A)等と共に添加するとよい。
続いて、PPS樹脂(A)およびオレフィン系共重合体(B)を所定の温度で加熱しながら所定のせん断速度で混練する。混練によりオレフィン系共重合体(B)をPPS樹脂(A)中に分散させることで、樹脂組成物に、PPS樹脂(A)を含む連続相中に、オレフィン系共重合体(B)を含む分散相が分散している相分離構造を形成する。この混練の際に、PPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)との付加反応が促進される。付加反応の促進と共に、樹脂組成物では粘度が徐々に高くなる。なお、この付加反応は、混練の際だけでなく、樹脂組成物を押し出す際の加熱によっても進行する。
混練の際のせん断速度は、特に限定されないが、相分離構造を微細とする上では速いことが好ましく、例えば100/s以上とする。せん断速度をこの範囲とすることにより、分散相の大きさを好ましく500nm以下、より好ましくは300nm以下とすることができる。一方、せん断速度が早すぎると、混練される樹脂組成物の分子量が低下するおそれがあるため、せん断速度を1000/s以下とすることが好ましい。
混練に用いる混練装置としては、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、二軸押出機などの汎用のものが挙げられるが、この中でも、スクリュー回転数が多く、せん断力が大きいことから、二軸押出機が好ましい。
混練の際の加熱温度は、樹脂組成物を溶融できる温度であればよい。例えば、280℃以上320℃以下とすることが好ましい。
混練後、冷却することにより、所定の相分離構造を有する樹脂組成物を得る。
〈導体〉
導体10としては、低酸素銅や無酸素銅等からなる銅線、銅合金線の他、銀等の他の金属線等を用いることができる。図1において、導体10は丸形状の断面を有する場合を示すが、本発明はこれに限定されず、例えば矩形状とすることもできる。導体10としては、複数の導線を撚り合わせた撚り線を用いることもできる。また、導体10の導体径は特に限定されず、用途に応じて最適な数値が適宜選択される。
〈絶縁被覆〉
絶縁被覆11は、導体10の外周を被覆するように形成されており、加熱で溶融させた上記樹脂組成物を導体10の外周に押し出すことにより形成される。上述したように、樹脂組成物では、上記2種類の樹脂が混錬されて所定の相分離構造が形成されることで、分子鎖同士が結合している。これにより、融点以上での樹脂組成物における分子鎖の流動性が抑制されることになり、融点以上での弾性率の急激な低下が抑制されている。このため、この樹脂組成物から構成される絶縁被覆11では、融点以上の温度においても、溶融変形が生じにくく、その形状が維持されやすい。
絶縁被覆11の厚さは、樹脂組成物の被覆厚さに対応する。絶縁被覆11の厚さは、用途に応じて最適な数値が適宜選択され、例えば100μm以上300μm以下とすることができる。
絶縁被覆11は、導体10の外周に密着層などを介して形成されてもよいが、図1に示すように導体10の直上に形成されることが好ましい。本実施形態では、絶縁被覆11は、導体10を構成する金属との密着性を付与するオレフィン系共重合体(B)を含有する樹脂組成物から形成されており、導体10との密着性に優れている。このため、絶縁被覆11は、密着層などを介さずに、導体10に直接形成することができる。
[2.本実施形態に係る効果]
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態の絶縁電線1において、絶縁被覆11は、所定のPPS樹脂(A)およびオレフィン系共重合体(B)を混練して得られ、所定の相分離構造を有する樹脂組成物から形成されている。樹脂組成物では、相分離構造(連続層と分散相)の樹脂界面において、連続層を構成するPPS樹脂(A)と分散相を構成するオレフィン系共重合体(B)とが付加反応しており、分子鎖同士が結合されている。これにより、融点以上での樹脂組成物における分子鎖の流動性が抑制される。したがって、この樹脂組成物から形成される絶縁被覆11では、融点以上での溶融変形が抑制される。
また、絶縁被覆11は所定の樹脂組成物から形成されることにより、融点以上での溶融変形が抑制されるだけでなく、PPS樹脂(A)に由来する機械特性や難燃性などの諸特性、およびオレフィン系共重合体(B)に由来する耐衝撃性にも優れる。
上記実施形態において、樹脂組成物における300℃での粘弾性は5.0×10Pa・s以上であることが好ましい。PPS樹脂(A)は融点(約280℃)で溶融することになるが、本実施形態においてはPPS樹脂(A)にオレフィン系共重合体(B)が分散されていることで、300℃であっても溶融せず、所定の粘弾性を有する。
上記実施形態において、絶縁被覆11を構成する樹脂組成物は、PPS樹脂(A)とオレフィン系共重合体(B)との合計100質量%中、オレフィン系共重合体(B)を5質量%以上30質量%以下含有することが好ましい。樹脂組成物では、分子鎖同士が結合されるものの、オレフィン系共重合体(B)の含有量が所定範囲内であるため、樹脂組成物の溶融時における粘度(溶融粘度)が押出成形性を損ねない程度となる。このため、樹脂組成物を溶融させて押出被覆する際の被覆厚が安定し、形成される絶縁被覆11の膜厚が外周方向で均一となる。
上記実施形態において、樹脂組成物の相分離構造では、オレフィン系共重合体(B)を含む分散相の大きさが100nm以上500nm以下であることが好ましい。オレフィン系共重合体(B)が微細な分散相を形成することにより、樹脂組成物では分子鎖同士がより結合されると共に、機械特性も向上する。
上記実施形態において、絶縁被覆11は、導体10の直上に形成されることが好ましい。絶縁被覆11が所定の樹脂組成物から形成されており、導体10との密着性が高いため、絶縁被覆11を導体10の直上に形成することができる。
次に、本発明の実施例を説明する。本実施例では、所定の樹脂組成物を調整し、それを用いて絶縁電線を製造し、製造された絶縁電線について評価を行った。これらの実施例は、本発明に係る絶縁電線の一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(1)材料
以下の実施例および比較例で用いた材料は次の通りである。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)として、次のものを用いた。
・ポリフェニレンサルファイド樹脂(カルボキシル基末端):東レ株式会社製
・ポリフェニレンサルファイド樹脂(カルボン酸金属塩末端):東レ株式会社製
オレフィン系共重合体(B)として、次のものを用いた。
・エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体(メタクリル酸グリシジルを12質量%含有):住友化学社製「ボンドファーストE」
(2)樹脂組成物の調製
まず、上記材料を所定の割合で配合し、所定の混練条件で混練することによって、絶縁被覆に用いる樹脂組成物を調製した。配合および混練条件について、以下の表1に示す。
Figure 2015065127
実施例1では、表1に示すように、PPS樹脂(カルボキシル基末端)90質量%、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体10質量%をラボスケールの二軸押出機に投入し、スクリュー回転数をコントロールしながら、せん断速度400/sで混練することにより、所定の相分離構造が形成された樹脂組成物を調製した。混練の際には、投入する原料の分解温度を考慮し、樹脂組成物が劣化しないような温度で加熱した。混練後、樹脂組成物を冷却し、ペレット状に形成した。
実施例2では、樹脂の添加量の比率を変更して、PPS樹脂(カルボキシル基末端)を80質量%、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体を20質量%用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製した。なお、実施例2では、せん断速度は400/sとした。
実施例3では、樹脂の添加量の比率を変更して、PPS樹脂(カルボキシル基末端)を70質量%、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体を30質量%用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製した。なお、実施例3では、せん断速度は400/sとした。
比較例1では、PPS樹脂(カルボキシル基末端)を100質量%用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製した。なお、比較例1では、せん断速度は400/sとした。
比較例2では、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体を100質量%用いて、加熱温度200℃で混練した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製した。なお、比較例2では、せん断速度は400/sとした。
比較例3では、PPS樹脂(カルボン酸金属塩末端)を100質量%用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製した。なお、比較例3では、せん断速度は400/sとした。
比較例4では、PPS樹脂(カルボン酸金属塩末端)を90質量%、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体を10質量%用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製した。なお、比較例4では、せん断速度は400/sとした。
比較例5では、PPS樹脂(カルボキシル基末端)を60質量%、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体を40質量%用いた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製した。なお、比較例5では、せん断速度は400/sとした。
比較例6では、PPS樹脂(カルボキシル基末端)を90質量%、PPS樹脂(カルボン酸金属塩末端)を10質量%用いて、単軸混練機で混練した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製した。なお、比較例6では、せん断速度は60/sとした。
(3)絶縁電線の製造
上記で調製された樹脂組成物を用いて、絶縁電線を製造した。
具体的には、押出機により、調製された樹脂組成物を銅線(丸型断面、外径1.25mm)からなる導体の外周に押出被覆することにより、導体に絶縁被覆(厚さ:150μm)が直接形成された絶縁電線を製造した。なお、押出被覆時の温度を300℃とした。
(4)評価方法
調製された樹脂組成物、および製造された絶縁電線について、以下の方法により評価した。
(外観)
絶縁電線の外観を評価するため、絶縁被覆の平滑性を判断した。平滑性の判断においては、絶縁電線の表面(絶縁被覆)に照明を照射し、表面からの反射を目視することにより確認した。表面が平滑なものを「◎:優」、肉眼でわずかにざらついているものを「○:良」、凹凸が酷いものを「×:不可」とした。
(粘弾性)
絶縁被覆を構成する樹脂組成物の粘弾性は、樹脂組成物を押し出して形成した樹脂成形体(直径2mm、長さ約50mm)を用いて測定した。具体的には、この樹脂成形体を動的粘弾性測定装置(アイティ計測制御株式会社「DVA−200」)に取付け、加振周波数1Hz、昇温速度10℃/分で室温から300℃まで昇温させた。このときに得られた樹脂成形体の貯蔵弾性率を粘弾性として測定した。
(室温〜300℃昇降温2サイクル後の形状評価)
融点以上での絶縁被覆の溶融変形を評価するため、室温から300℃までの昇降温2サイクル後の形状を評価した。具体的には、絶縁被覆から切り出した切片を金属容器に取り、25℃→300℃→25℃→300→25℃の温度サイクルを10℃/分の昇降温速度で行い、試験後の切片の形状を観察した。なお、300℃と25℃の折り返し時には1分間その温度で保持した。切片の形状を観察し、形状が維持されているものを合格「○」、溶融して変形が生じたものを不合格「×」とした。
(分散相の大きさ)
絶縁被覆における分散相の大きさを測定した。具体的には、絶縁被覆をミクロトームにより切削して形成した平滑断面を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ社「SPA300HV」)に取り付け、DFM(Dynamic Force Mode)用のカンチレバーSI−DN40を用いて位相差像を取得した。取得した位相差像から、連続相(PPS樹脂)と分散相(オレフィン系共重合体)とを識別し、分散相の大きさを測定した。
(5)評価結果
実施例1〜3では、表1に示すように、絶縁被覆を構成する樹脂組成物が所定の相分離構造を有していることが確認された。また、樹脂組成物の300℃での粘弾性が所定の値であり、融点以上の温度であっても溶融しないことが確認された。そして、絶縁被覆では25℃〜300℃の昇降温を2サイクル行った後であっても、溶融変形が確認されなかった。また、特に実施例1および実施例2では、樹脂組成物の押出成形性がよく、被覆厚が安定していたため、形成される絶縁被覆の外観が良好であった。なお、実施例3では、実施例1と比較して分散相の大きさが大きいためか、押出成形性が低く、外観が「○」となったことが確認された。
これに対して、比較例1〜4、6では、融点以上での樹脂組成物の分子鎖の流動を十分に抑制できないため、融点以上の環境に曝されて溶融変形したことが確認された。比較例5では、オレフィン系共重合体(B)の含有量が多く、樹脂組成物の融点以上での溶融が抑制されたことが確認されたが、樹脂組成物の粘弾性が大きすぎるため、絶縁被覆を押出成形できないことが確認された。
1 絶縁電線
10 導体
11 絶縁被覆

Claims (4)

  1. 導体と、前記導体の外周を被覆するように形成される絶縁被覆と、を備える絶縁電線であって、
    前記絶縁被覆は、樹脂組成物から形成されており、
    前記樹脂組成物は、末端にカルボキシル基を有するポリフェニレンサルファイド樹脂(A)と、αオレフィン(b1)および前記ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)が有する前記カルボキシル基に付加反応するエポキシ基を有する不飽和酸グリシジルエステル(b2)を前記不飽和酸グリシジルエステル(b2)の質量比で0.5質量%以上40質量%以下含むオレフィン系共重合体(B)と、を含有し、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)を含む連続相中に前記オレフィン系共重合体(B)を含む分散相が分散する相分離構造を有しており、
    前記樹脂組成物の300℃での粘弾性が5.0×10Pa・s以上である
    ことを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記樹脂組成物は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂(A)と前記オレフィン系共重合体(B)との合計100質量%に対し、前記オレフィン系共重合体(B)を5質量%以上30質量%以下含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記樹脂組成物の前記相分離構造において、前記オレフィン系共重合体(B)を含む前記分散相の大きさが100nm以上500nm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁電線。
  4. 前記絶縁被覆は、前記導体の直上に形成される
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁電線。
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