JP2017191718A - 絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性および柔軟性に優れる絶縁電線を提供すること。【解決手段】導体の周囲がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体を含む絶縁層で被覆されている絶縁電線であって、絶縁層がさらにエラストマーを含む。エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体が挙げられる。【選択図】なし
Description
本発明は、自動車等の車両において好適に用いられる絶縁電線に関し、さらに詳しくは、ハイブリッド車や電気自動車におけるパワーケーブルなどの比較的径が太い絶縁電線として好適な絶縁電線に関するものである。
耐熱性、耐薬品性に優れるフッ素樹脂は、自動車等の車両に使用される絶縁電線の絶縁材料として用いられることがある。
従来知られるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシトリフルオロエチレンの共重合体(PFA)がある。これらは耐熱性に優れるが、柔軟性に劣っている。このため、これらは細径電線の絶縁材料として適用することができても、太物のパワーケーブルなどの絶縁材料としては、柔軟性の不足により適用することが困難である。
本発明の解決しようとする課題は、耐摩耗性および柔軟性に優れる絶縁電線を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る絶縁電線は、導体の周囲がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体を含む絶縁層で被覆されている絶縁電線であって、前記絶縁層がさらにエラストマーを含有することを要旨とするものである。
前記エラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーの少なくとも1種であることが好ましい。前記エラストマーは、ポリエチレン系エラストマー、ポリプロピレン系エラストマー、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体の少なくとも1種であることが好ましい。前記エラストマーの含有量は、前記エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体100質量部に対し、1〜300質量部の範囲内であることが好ましい。前記導体の断面積は、3mm2以上であることが好ましい。
本発明に係る絶縁電線によれば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体を含む絶縁層がさらにエラストマーを含むので、耐摩耗性および柔軟性に優れる。よって、パワーケーブルなどの太物電線でも柔軟性に優れる。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る絶縁電線は、導体の周囲がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体を含む絶縁層で被覆されている絶縁電線である。本発明に係る絶縁電線は、導体とこの導体の周囲を被覆する絶縁層とを有している。絶縁層は、電線被覆である。絶縁層は、ベースポリマーとしてエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFE樹脂ということがある)およびエラストマーを含む。本発明に係る絶縁電線は、絶縁層のベースポリマーとしてETFE樹脂を用いていることから、耐熱性、耐摩耗性に優れる。また、絶縁層のベースポリマーとしてETFE樹脂にエラストマーを配合していることから、硬さが緩和され、耐摩耗性を損なわない範囲で柔軟性を向上させることができる。
ETFE樹脂は、特に限定されるものではなく、市販のものなどを用いることができる。例えばダイキン工業のEP−506、EP−521、EP−526、EP−610や、旭硝子のC−55AP、C−88AP、C−55AXPなどを用いることができる。ETFE樹脂は、モノマーの一部がエチレンであり、このため、分子内にC−H結合を有する。ETFE樹脂は、耐熱性、耐摩耗性に優れるなどの観点から、曲げ弾性率400MPa以上であることが好ましい。より好ましくは500MPa以上である。
エラストマーは、ETFE樹脂と併用可能なものであれば特に限定されるものではないが、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーなどが好ましいものとして挙げられる。エラストマーは、これらのうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、分子内にC−H結合を有するETFE樹脂と相溶性が良好な炭化水素系であるなどの観点から、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーが、ETFE樹脂と併用するエラストマーとしてより好ましい。さらに、炭化水素系でもETFE樹脂と同じく芳香環を有していないものであることから、スチレン系熱可塑性エラストマーよりもオレフィン系熱可塑性エラストマーのほうが相溶性の点でより好ましい。ETFE樹脂との相溶性が良好なほど、エラストマーの分散性に優れ、柔軟化の効果に優れる。エラストマーは、柔軟性の向上効果に優れるなどの観点から、曲げ弾性率20MPa以下であることが好ましい。より好ましくは10MPa以下である。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリエチレン系エラストマー、ポリプロピレン系エラストマー、アクリル系エラストマーなどが挙げられる。これらは、オレフィン系熱可塑性エラストマーとして1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、柔軟性の向上効果により優れることから、ポリプロピレン系エラストマーがより好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、特に限定されるものではなく、市販のものなどを用いることができる。ポリエチレン系エラストマーとしては、例えば、住友化学のVL100、VL102、VL200、VL700、VL800、CX1001、CX2001、CX3007、CX3502、CX5505などが挙げられる。ポリプロピレン系エラストマーとしては、例えば、住友化学のT3712、T3722、T3522や、エクソンモービルのVM6102などが挙げられる。その他のオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、住友化学のエスポレックス3675、3785、3775、4675、4785、4855などが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(SEP)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体(SEPS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体(SEEPS)などが挙げられる。これらは、スチレン系熱可塑性エラストマーとして1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらは、ソフトセグメントに不飽和結合を含まないか、ソフトセグメントの不飽和結合の量が低減されているので、耐熱性、耐候性に優れる。これらのうちでは、分岐が少なくETFE樹脂への分散性が向上するなどの観点から、SEBSが特に好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、特に限定されるものではなく、市販のものを用いることができる。例えば、旭化成ケミカルズのH1052、H1062、H1053、H1041、H1051、H1043(以上、SEBS)、M1911、M1913、M1943(以上、酸変性SEBS)、クラレのS4099、S4077、S4055(以上、SEEPS)、S2006、S2004(以上、SEPS)、S2005、S1001(以上、SEP)、S8006、S8004、S8007、S8076、S8104(以上、SEBS)などを用いることができる。
エラストマーは、酸変性されていてもよい。酸変性されていると、導体と絶縁層の密着性がより良好になる。また、フィラーを含む場合にはフィラーの分散性が向上するので、柔軟性を維持しつつ耐摩耗性を向上することができる。酸変性剤としては、不飽和カルボン酸やその誘導体を用いることができる。不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸変性剤のうちでは、マレイン酸、無水マレイン酸(MAH)が好ましい。
エラストマーに酸変性剤を導入する方法としては、グラフト法や直接法などが挙げられる。酸変性剤による変性量としては、エラストマー全体に対して0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.2〜10質量%の範囲内、さらに好ましくは0.2〜5質量%の範囲内である。
エラストマーの含有量は、ETFE樹脂100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましい。より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上である。1質量部以上であると、柔軟性の向上効果に優れる。また、パワーケーブルなどの太物電線においても柔軟性の向上効果に優れるなどの観点から、ETFE樹脂100質量部に対し、50質量部以上であることが好ましい。より好ましくは80質量部以上、さらに好ましくは100質量部以上である。また、エラストマーの含有量は、ETFE樹脂100質量部に対し、400質量部以下であることが好ましい。より好ましくは350質量部以下、さらに好ましくは300質量部以下である。400質量部以下であると、ETFE樹脂による耐熱性、耐摩耗性が高いレベルで確保される。また、300質量部以下であると、ETFE樹脂による耐熱性、耐摩耗性がさらに高いレベルで確保される。そして、エラストマーの含有量が、ETFE樹脂100質量部に対し、1〜300質量部の範囲内であると、耐熱性、耐摩耗性、柔軟性を高度に両立できる。
絶縁電線の絶縁層には、本願発明を阻害しない範囲内であれば、ETFE樹脂とエラストマー以外に他のポリマーを含んでいてもよいが、他のポリマーは含まないほうが好ましい。絶縁電線の絶縁層には、ETFE樹脂とエラストマー以外に、絶縁層の特性を損なわない範囲で、添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、例えば電線被覆材として用いられる、一般的な顔料、酸化防止剤、滑剤、難燃剤等が挙げられる。また、無機フィラーを添加して耐摩耗性を向上することもできる。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらは無機フィラーとして1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。無機フィラーの含有量は、耐摩耗性の向上効果に優れるなどの観点から、ETFE樹脂100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましい。より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。一方、柔軟性の低下を抑えるなどの観点から、ETFE樹脂100質量部に対し、30質量部以下であることが好ましい。より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。無機フィラーの平均粒子径は、分散性の観点から、10μm以下であることが好ましい。また、取扱い性などの観点から、0.01μm以上であることが好ましい。フィラーの平均粒子径は、レーザー光散乱法により測定することができる。
絶縁電線の絶縁層を形成するための樹脂組成物は、各成分を例えばバンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押し出し機、二軸混練押し出し機、ロール等の通常の混練機で溶融混練することにより均一に分散されたものとして得ることができる。この際、ETFE樹脂のペレットとエラストマーのペレットを予めドライブレンドしておくと、均一に分散しやすい。
絶縁電線の絶縁層は、例えば、絶縁層を形成するための樹脂組成物を、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などからなる導体の外周に押出被覆することにより形成することができる。この際、予めペレット化しておいた絶縁層を形成するための樹脂組成物を用いて押出被覆してもよいが、各成分を押出成形時に混合し、続いて導体の外周に押出被覆してもよい。
以上のような本発明に係る絶縁電線によれば、ETFE樹脂を含む絶縁層がさらにエラストマーを含むので、耐摩耗性および柔軟性に優れる。よって、パワーケーブルなどの太物電線でも柔軟性に優れる。エラストマーのうちでもオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。ETFE樹脂は分子内にC−H結合を有するので、PFAやFEPなどのパーフルオロ樹脂と比べてこれら炭化水素系のエラストマーとの相溶性が良好であり、柔軟性の向上効果に優れる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記態様の絶縁電線は、単一層の絶縁層から構成したが、本発明の絶縁電線は、2層以上の絶縁層から構成してもよい。
本発明に係る絶縁電線は、自動車、電子・電気機器に使用される絶縁電線に利用することができる。特に、ETFE樹脂の耐熱性を維持したまま柔軟性を向上させた絶縁電線であるため、耐熱性および柔軟性が要求されるところに適用される絶縁電線として好適である。このような絶縁電線としては、パワーケーブルなどが挙げられる。パワーケーブルは、ハイブリッド車や電気自動車のエンジンとバッテリーとを繋ぐものであり、高電圧、大電流の電気が流れるため、比較的太物の絶縁電線となる。そして、高い耐熱性と太物でも柔軟性に優れる特性が求められる。
パワーケーブルなどに好適な比較的径が太い絶縁電線の導体断面積は、3mm2以上である。この場合、絶縁層の厚みは、導体断面積に応じて適宜設定される。例えば導体断面積が3mm2の場合、絶縁層の厚みとしては、0.5mm以上である。また、導体断面積が15mm2の場合、絶縁層の厚みとしては、1.0mm以上である。
絶縁電線の柔軟性の指標としては、500mmの長さに切り出した試験片を曲げ半径100mmに固定し、ロードセルで応力を印加し、曲げ半径が50mmになるまで押さえたときの最大荷重(N)の値が30N以下であることが好ましい。より好ましくは25N以下、さらに好ましくは20N以下、15N以下である。上記最大荷重(N)の値が30N以下であると、パワーケーブルなどに好適な比較的径が太い絶縁電線においても、取扱い時などの曲げ応力による亀裂の発生が抑えられる。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
〔実施例1〜10〕
表1に示す配合組成となるように、ETFE樹脂とエラストマーを二軸混練機で混合し、ストランドカットすることによりペレットを得た。その後、このペレットを押出成形機のホッパーに投入し、押出成形機により、軟銅線を171本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積15mm2)の外周に1.1mm厚で押出被覆した。以上により、実施例1〜10の絶縁電線を得た。
表1に示す配合組成となるように、ETFE樹脂とエラストマーを二軸混練機で混合し、ストランドカットすることによりペレットを得た。その後、このペレットを押出成形機のホッパーに投入し、押出成形機により、軟銅線を171本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積15mm2)の外周に1.1mm厚で押出被覆した。以上により、実施例1〜10の絶縁電線を得た。
〔比較例1〜4〕
実施例と同様に、表2に示すETFE樹脂を導体(断面積15mm2)の外周に押出被覆した。
実施例と同様に、表2に示すETFE樹脂を導体(断面積15mm2)の外周に押出被覆した。
〔参考例1〕
実施例と同様に、表1に示すFEP樹脂とエラストマーを導体(断面積15mm2)の外周に押出被覆した。
実施例と同様に、表1に示すFEP樹脂とエラストマーを導体(断面積15mm2)の外周に押出被覆した。
〔表1及び表2の成分〕
(ETFE樹脂)
・ダイキン工業製:EP−506
・ダイキン工業製:EP−610
・旭硝子製:C−55AP
・旭硝子製:C−88AP
(エラストマー)
・酸変性SEBS:旭化成ケミカルズ製「M1913」
・SEEPS:クラレ製「S4099」
・SEPS:クラレ製「S2006」
・PE系:住友化学製「VL100」
・PP系:エクソンモービル製「VM6102」
・PA系:ダイセルエボニック製「E40−S3」
(FEP樹脂)
・ダイキン工業製:NP−20
(無機フィラー)
・白艶華CC:白石カルシウム製
(ETFE樹脂)
・ダイキン工業製:EP−506
・ダイキン工業製:EP−610
・旭硝子製:C−55AP
・旭硝子製:C−88AP
(エラストマー)
・酸変性SEBS:旭化成ケミカルズ製「M1913」
・SEEPS:クラレ製「S4099」
・SEPS:クラレ製「S2006」
・PE系:住友化学製「VL100」
・PP系:エクソンモービル製「VM6102」
・PA系:ダイセルエボニック製「E40−S3」
(FEP樹脂)
・ダイキン工業製:NP−20
(無機フィラー)
・白艶華CC:白石カルシウム製
実施例、比較例、参考例の絶縁電線について、柔軟性を評価した。また、あわせて耐摩耗性を評価した。その結果を表1〜2に合わせて示す。尚、試験方法及び評価は、下記の通りである。
〔柔軟性試験方法〕
実施例、比較例の絶縁電線を500mmの長さに切り出して試験片とし、曲げ半径100mmに固定した。次いで、ロードセルで応力を印加し、曲げ半径が50mmになるまで押さえたときの最大荷重(N)を測定した。最大荷重が30N以下である場合を柔軟性が良好である「○」とし、最大荷重が20N以下である場合を柔軟性が特に良好である「◎」とした。また、最大荷重が30N超で、絶縁層に割れが生じた場合を柔軟性が不良である「×」とした。
実施例、比較例の絶縁電線を500mmの長さに切り出して試験片とし、曲げ半径100mmに固定した。次いで、ロードセルで応力を印加し、曲げ半径が50mmになるまで押さえたときの最大荷重(N)を測定した。最大荷重が30N以下である場合を柔軟性が良好である「○」とし、最大荷重が20N以下である場合を柔軟性が特に良好である「◎」とした。また、最大荷重が30N超で、絶縁層に割れが生じた場合を柔軟性が不良である「×」とした。
〔耐摩耗性試験方法〕
社団法人自動車技術規格「JASO D618」に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、実施例、比較例の絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で試験片の被覆材(絶縁層)に対し軸方向に10mm以上の長さでブレードを毎分50回の速さで往復させ、導体に接するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかかる荷重は、7Nとした。回数については1500回以上のものを合格「○」とし、1500回未満のものを不合格「×」とした。また、回数が2000回以上のものは特に優れる「◎」とした。
社団法人自動車技術規格「JASO D618」に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、実施例、比較例の絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で試験片の被覆材(絶縁層)に対し軸方向に10mm以上の長さでブレードを毎分50回の速さで往復させ、導体に接するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかかる荷重は、7Nとした。回数については1500回以上のものを合格「○」とし、1500回未満のものを不合格「×」とした。また、回数が2000回以上のものは特に優れる「◎」とした。
比較例は、絶縁層のポリマーがETFE樹脂のみで構成されているため、硬く柔軟性が悪い。このため、柔軟性試験において割れが生じた。これに対し、実施例は、絶縁層のポリマーがETFE樹脂とともにエラストマーを含むため、ETFE樹脂による耐摩耗性を確保しつつ、柔軟性の向上を図ることができた。特に、エラストマーの含有量がETFE樹脂100質量部に対し200質量部以上300質量部以下の範囲内である実施例4、5では、柔軟性の指標として測定された最大荷重が20N以下であり、かつ、耐摩耗性試験において2000回以上の往復回数となる特性を有していることがわかった。すなわち、柔軟性と耐摩耗性を高度に両立していることがわかった。
また、実施例2,8から、エラストマーとしては、アミド系より炭化水素系のほうが柔軟性向上の面で優れることがわかる。また、実施例4と参考例1から、フッ素樹脂としてはパーフルオロ樹脂よりもC−H結合を有するETFE樹脂のほうが炭化水素系のエラストマーとの併用において柔軟性向上の面で優れることがわかる。また、実施例9,10から、酸変性のエラストマーを用いると、柔軟性を維持しつつ耐摩耗性を向上できることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
Claims (5)
- 導体の周囲がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体を含む絶縁層で被覆されている絶縁電線であって、前記絶縁層がさらにエラストマーを含むことを特徴とする絶縁電線。
- 前記エラストマーが、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
- 前記エラストマーが、ポリエチレン系エラストマー、ポリプロピレン系エラストマー、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
- 前記エラストマーの含有量が、前記エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体100質量部に対し、1〜300質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記導体の断面積が、3mm2以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
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