JP2016091973A - 絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】架橋シリコーンゴムを含む絶縁層を有する絶縁電線において、耐バッテリー液性に優れる絶縁電線を提供すること。【解決手段】導体の周囲が架橋シリコーンゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、絶縁層の表面に、フッ素原子含有化合物からなる薄膜が形成されている。【選択図】なし

Description

本発明は絶縁電線に関し、さらに詳しくは、自動車等の車両に好適に用いられる絶縁電線に関するものである。
自動車等の車両に使用される絶縁電線の絶縁材料には、塩化ビニル樹脂やハロゲン系難燃剤を配合したコンパウンドなどのハロゲンを含むものが用いられている。ハロゲンを含む絶縁材料は、焼却廃棄した場合に腐食性ガスを発生することがある。そこで、環境保護などの観点から、ハロゲンを含まない絶縁材料を用いる試みがある。
例えば特許文献1には、絶縁電線の絶縁材料として、未架橋のシリコーンゴムに水酸化アルミニウムを配合したノンハロゲン系の絶縁材料を用いることが記載されている。未架橋のシリコーンゴムは、被覆材として成形した後、架橋される。
特許第3555101号公報
架橋シリコーンゴムを絶縁層に用いた絶縁電線は、耐バッテリー液性が悪いという問題があった。そのため、絶縁電線の耐バッテリー液性を向上させることが要望されている。
本発明の解決しようとする課題は、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層を有する絶縁電線において、耐バッテリー液性に優れる絶縁電線を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る絶縁電線は、導体の周囲が架橋シリコーンゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、前記絶縁層の表面に、フッ素原子含有化合物からなる薄膜が形成されていることを要旨とするものである。
前記薄膜の厚みは、20μm以下であることが好ましい。また、前記薄膜の厚みは、0.05μm以上10μm未満であることが好ましい。そして、前記フッ素原子含有化合物は、有機溶剤に溶解して溶液を形成するものであり、該溶液を塗布することにより前記薄膜を形成可能なものであることが好ましい。前記フッ素原子含有化合物は、1種以上のフルオロオレフィンを、オレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリレート、メタアクリレートのうちの少なくとも1種以上と共重合して得られる共重合体であることが好ましい。また、前記フッ素原子含有化合物は、フルオロオレフィン−アクリレート共重合体、フルオロオレフィン−メタアクリレート共重合体、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、フルオロオレフィン−ビニルエステル共重合体のうちの少なくとも1種以上であることが好ましい。前記絶縁層において、シリカを含む架橋シリコーンゴムのショアA硬度が50以上であり、前記絶縁層中に、シリカ以外のフィラーを含有していないことが好ましい。あるいは、前記絶縁層中にシリカ以外のフィラーを含有していてもよい。
本発明に係る絶縁電線によれば、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層の表面にフッ素原子含有化合物からなる薄膜が形成されているため、希硫酸からなるバッテリー液を弾く撥水作用を奏し、希硫酸からなるバッテリー液が架橋シリコーンゴムを含む絶縁層に接触しにくくなるため、絶縁層へのバッテリー液の浸入が抑えられる。これにより、耐バッテリー液性に優れる。また、タック性を有する絶縁層の表面にフッ素原子含有化合物からなる薄膜を形成したので、複数本の絶縁電線の絶縁層間における接着も抑えられる。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る絶縁電線は、導体とこの導体の周囲を被覆する絶縁層とを有している。絶縁層は、架橋シリコーンゴムを含有している。絶縁層の表面には、フッ素原子含有化合物からなる薄膜が形成されている。
架橋シリコーンゴムを含む絶縁層の表面に形成された、フッ素原子含有化合物からなる薄膜が、希硫酸からなるバッテリー液を弾く撥水作用を奏し、希硫酸からなるバッテリー液が架橋シリコーンゴムを含む絶縁層に接触しにくくなるため、絶縁層へのバッテリー液の浸入が抑えられる。これにより、耐バッテリー液性に優れる。また、タック性を有する絶縁層の表面にフッ素原子含有化合物からなる薄膜を形成したので、複数本の絶縁電線の絶縁層間における接着も抑えられる。また、タック性を有する絶縁層の表面の摩擦係数を下げる効果も奏する。
本発明に係る絶縁電線において、絶縁電線に求められる耐熱性や耐摩耗性は、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層によって確保する。この絶縁層の表面に形成する、フッ素原子含有化合物からなる薄膜は、絶縁電線の耐バッテリー液性を確保するものであり、絶縁層の表面にバッテリー液が接触しないようにするものであり、この観点から、絶縁層の表面を薄く覆っていれば十分である。このため、薄膜としている。絶縁層の表面を覆っている膜が薄いことでシリコーンゴムの柔らかさを確保しやすい。また、密着性に優れる。また、コストを抑えることができる。また、オンラインでコートしたとしても設備改造が少なくてすむ。
絶縁層の表面に形成する薄膜の厚みは、20μm以下とすることができる。好ましくは10μm以下、より好ましくは10μm未満、さらに好ましくは8μm以下である。また、薄膜の厚みは、より優れた耐バッテリー液性を確保できるなどの観点から、0.05μm以上が好ましい。より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上である。
絶縁層の表面に薄膜を形成するには、フッ素原子含有化合物が有機溶剤に溶解して溶液を形成するものであり、その溶液を塗布することが好ましい。これにより、フッ素原子含有化合物からなる被膜を薄く均一に形成することができる。薄膜を均一に形成することで、絶縁電線の外観悪化を抑えることができる。なお、有機溶剤は、溶液の塗布後に、乾燥によって除去される。
有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、フッ素系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤などが挙げられる。フッ素系溶剤としては、アルキルフルオロアルキルエーテルなどが挙げられる。芳香族炭化水素系溶剤としては、キシレンなどが挙げられる。エステル系溶剤としては、酢酸ブチルなどが挙げられる。有機溶剤としては、フッ素原子含有化合物からなる薄膜を形成しやすいなどの観点から、沸点が100℃以下の低沸点のものが好ましい。
溶液の固形分濃度としては、特に限定されるものではないが、絶縁層の表面に十分な被膜として形成される、均一な被膜を形成しやすいなどの観点から、0.5質量%以上であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上である。一方、絶縁層の表面に塗布しやすい、均一な被膜を形成しやすいなどの観点から、80質量%以下であることが好ましい。より好ましくは70質量%以下である。
フッ素原子含有化合物としては、フッ素樹脂、フッ素ゴムなどの、比較的高分子の、フッ素原子含有重合体や、非重合性化合物である、比較的低分子の、フッ素原子含有非重合体などが挙げられる。これらは、フッ素原子含有化合物として単独で用いてもよいし、2以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、絶縁層の表面に薄膜として維持されやすいなどの観点から、フッ素原子含有重合体が好ましい。なお、フッ素原子含有非重合体としては、パーフルオロポリエーテルなどが挙げられる。
フッ素原子含有重合体としては、フルオロオレフィンの単独重合体(ホモポリマー)、フルオロオレフィンの共重合体(コポリマー)などが挙げられる。フルオロオレフィンの共重合体としては、2種以上のフルオロオレフィンを共重合して得られる共重合体、1種以上のフルオロオレフィンを、オレフィン(炭化水素モノマー、非フッ素系)、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリレート、メタアクリレートのうちの少なくとも1種以上と共重合して得られる共重合体などが挙げられる。フルオロオレフィンの共重合体は、フルオロオレフィン、オレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリレート、メタアクリレート以外のモノマーを共重合成分として共重合されたものであってもよい。
フッ素原子含有重合体としては、有機溶剤に溶解して溶液を形成することにより薄膜を形成しやすいなどの観点から、1種以上のフルオロオレフィンを、オレフィン(炭化水素モノマー、非フッ素系)、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリレート、メタアクリレートのうちの少なくとも1種以上と共重合して得られる共重合体が好ましい。さらに、1種以上のフルオロオレフィンを、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリレート、メタアクリレートのうちの少なくとも1種以上と共重合して得られる共重合体が好ましい。
1種以上のフルオロオレフィンを、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリレート、メタアクリレートのうちの少なくとも1種以上と共重合して得られる共重合体としては、フルオロオレフィン−アクリレート共重合体、フルオロオレフィン−メタアクリレート共重合体、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、フルオロオレフィン−ビニルエステル共重合体、フルオロオレフィン−メタアクリルビニルエステル共重合体などが挙げられる。
フッ素原子含有重合体において、フルオロオレフィンとの共重合成分が、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリレート、メタアクリレートであると、重合体の側鎖に種々の官能基を導入でき、有機溶剤への溶解性の向上、架橋形成などが可能となる。
フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などが挙げられる。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどが挙げられる。
ビニルエーテルとしては、下記の一般式1に示すものが挙げられる。
(化1)
CH=CH−O−R (1)
一般式1において、Rとしては、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基などが挙げられる。Rは、炭素数1〜20程度のものが挙げられる。
ビニルエステルとしては、下記の一般式2に示すものが挙げられる。
(化2)
CH=CH−O−CO−R (2)
一般式2において、Rとしては、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基などが挙げられる。Rは、炭素数1〜20程度のものが挙げられる。
アクリレートとしては、下記の一般式3に示すものが挙げられる。
(化3)
CH=CH−CO−O−R (3)
一般式3において、Rとしては、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基などが挙げられる。Rは、炭素数1〜20程度のものが挙げられる。
メタアクリレートとしては、下記の一般式4に示すものが挙げられる。
(化3)
CH=C(CH)−CO−O−R (4)
一般式4において、Rとしては、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基などが挙げられる。Rは、炭素数1〜20程度のものが挙げられる。
フッ素原子含有重合体としては、具体的には、例えば、東亜合成のXCS2010、XCS3000、XCS3500、ザフロンFC−220、FC−275、FC−575、FC−250、FC−351、FC−2200、SZ−10、SZ−50、SZ−81、XSZ−15、XSZ−82、XSZ−86、ダイキン工業のオプトエースWP100、WP130、WP140、WP150、WP200、WP230、WP240、WP250、ゼッフルGK570、GK510、スリーエムのノベック2702、ノベック1700、ノベック1720などが挙げられる。
絶縁層は、シリカ以外のフィラーを含有しない構成であってもよいし、シリカ以外のフィラーを含有する構成であってもよい。本発明は、絶縁層の表面に形成したフッ素原子含有化合物からなる薄膜により耐バッテリー液性を改善するものであり、シリカ以外のフィラーを含有しない構成においても、耐バッテリー液性を改善することができる。シリカ以外のフィラーを含有しない構成であると、耐寒性(低温特性)を確保しやすい。
絶縁層がシリカ以外のフィラーを含有しない構成である場合には、耐摩耗性の観点から、シリカを含む架橋シリコーンゴムのショアA硬度は50以上であることが好ましい。シリコーンゴムに配合するシリカ量を増量することにより、シリカを含む架橋シリコーンゴムのショアA硬度を高くすることができる。シリカを含む架橋シリコーンゴムのショアA硬度は、耐摩耗性の観点から、より好ましくは55以上、さらに好ましくは60以上である。一方、絶縁電線の柔軟性、耐寒性を確保するなどの観点から、シリカを含む架橋シリコーンゴムのショアA硬度は、80以下であることが好ましい。より好ましくは75以下、さらに好ましくは70以下である。ショアA硬度は、JIS K6253に規定される、デュロメータタイプAスプリング式硬さ試験で測定される硬さである。
絶縁層がシリカ以外のフィラーを含有する構成である場合には、フィラーによる耐バッテリー液性の改善効果も期待できる。バッテリー液によるシリコーンゴムの劣化は、希硫酸によるシロキサン結合の加水分解が要因と推測される。シリカは、シリコーンゴムと同様、シロキサン結合を有するため、耐バッテリー液性の改善に効果がない。シリカ以外のフィラーは、シロキサン結合を有していないものであるため、バッテリー液の希硫酸によって加水分解されず、配合することによってバッテリー液による絶縁層の劣化を抑える効果が期待できる。
シリカ以外のフィラーとしては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。シリカも含めたフィラーの平均粒子径は、シリコーンゴム中の分散性の観点から、10μm以下であることが好ましい。また、取扱い性などの観点から、0.01μm以上であることが好ましい。フィラーの平均粒子径は、レーザー光散乱法により測定することができる。
シリカ以外のフィラーの含有量としては、耐摩耗性に優れるなどの観点から、架橋シリコーンゴム(シリカを含む場合には、シリカを含めた量で)100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましい。より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。一方、外観悪化を抑える、柔軟性、耐寒性を確保するなどの観点から、架橋シリコーンゴム(シリカを含む場合には、シリカを含めた量で)100質量部に対し、100質量部以下であることが好ましい。より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
絶縁層は、未架橋のシリコーンゴムを含む絶縁層用のゴム組成物を用いて形成される。未架橋のシリコーンゴムは、架橋剤を混練した後、加熱架橋させることで弾性体となるミラブル型(加熱架橋型)、或いは架橋前は液状である液状ゴム型のいずれを用いてもよい。液状ゴム型シリコーンゴムは、室温付近で架橋が可能な室温架橋型(RTV)と、混合後100℃付近で加熱すると架橋する低温架橋型(LTV)がある。
未架橋のシリコーンゴムとしては、ミラブル型シリコーンゴムが好ましい。ミラブル型シリコーンゴムは、架橋温度が180℃以上と比較的高温であり安定性が良いので、混練の際の混合がし易く、作業性に優れるという利点がある。これに対し、液状ゴム型シリコーンゴムは、架橋温度が通常120℃程度と低温であるため、安定性が低く混練の際の発熱を低く抑制する必要があり、温度管理などの面から作業性にやや劣る。ミラブル型シリコーンゴムは、直鎖状のオルガノポリシロキサンを主原料(生ゴム)として、補強剤、充填剤(増量剤)、分散促進剤、その他添加剤などを配合したゴムコンパウンドとして市販されているものを用いてもよい。
絶縁層用のゴム組成物において、未架橋のシリコーンゴムは、加熱等により架橋することが可能であるが、架橋剤(加硫剤)を用いて架橋しても良い。
架橋剤は、未架橋のゴムの種類や架橋条件などに応じて適宜選択することができる。架橋剤としては、例えば、有機過酸化物などのラジカル発生剤、金属石けん、アミン、チオール、チオカルバミン酸塩、有機カルボン酸などの化合物を挙げることができる。架橋剤としては、有機過酸化物などが、架橋速度の向上の点から好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジへキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド、n−ブチル4,4−ジ(t―ブチルパーオキサイド)バレレートなどのパーオキシケタールなどを挙げることができる。
架橋剤の配合量は、適宜決定することができる。架橋剤の配合量は、例えば、未架橋のゴムと架橋剤の合計量に対し、0.01〜10質量%の範囲で配合するのが好ましい。
絶縁層は、架橋シリコーンゴムの他に、絶縁層の特性を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有していても良いし、含有していなくてもよい。
絶縁層は、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、まず、絶縁層を形成するための絶縁層用のゴム組成物を調製する。次いで、調製したゴム組成物を導体の周囲に押出して、導体の周囲に未架橋ゴムを含む被覆層を成形する。次いで、加熱などの架橋手段により、被覆層の未架橋ゴムを架橋する。これにより、導体の周囲に架橋ゴムを含む絶縁層が形成される。絶縁層は、押出成形に代えて、導体の周囲に絶縁層用のゴム組成物を塗工して被覆層を形成し、加熱などの架橋手段により被覆層の未架橋ゴムを架橋することによっても形成することができる。
絶縁層用のゴム組成物は、未架橋のシリコーンゴムと、必要に応じて配合される架橋剤、フィラーなどとを混練することにより調製することができる。ゴム組成物の成分を混練する際には、例えば、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸混練押出機、ロールなどの通常の混練機を用いることができる。
絶縁層用のゴム組成物の押出成形には、通常の絶縁電線の製造に用いられる電線押出成形機などを用いることができる。導体は、通常の絶縁電線に使用されるものを利用できる。例えば、銅系材料やアルミニウム系材料よりなる単線の導体や撚線の導体を挙げることができる。また、導体の径や絶縁層の厚みなどは特に限定されず、絶縁電線の用途などに応じて適宜決めることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記態様の絶縁電線は、単一層の絶縁層から構成したが、本発明の絶縁電線は、2層以上の絶縁層から構成してもよい。
本発明に係る絶縁電線は、自動車、電子・電気機器に使用される絶縁電線に利用することができる。特に、耐バッテリー液性に優れ、バッテリー液が被水するところでの使用に適する。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
〔実施例1〜7〕
表1に示す配合組成となるように各成分を混合することにより、未架橋のシリコーンゴムを含む絶縁層用のゴム組成物を調製した。次いで、押出成形機を用いて、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積0.5mm)の外周に絶縁層用のゴム組成物を0.2mm厚で押出被覆し、200℃×4時間の条件で熱処理を行うことにより、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層を形成した。次いで、架橋シリコーンゴムを含むこの絶縁層の表面にフッ素原子含有化合物の溶液を塗工し、有機溶剤を乾燥除去することにより、フッ素原子含有化合物からなる薄膜を形成した。以上により、実施例1〜7の絶縁電線を得た。
〔比較例1〜7〕
表2に示す配合組成となるように各成分を混合することにより、未架橋のシリコーンゴムを含む絶縁層用の組成物を調製した。次いで、実施例と同様にして、導体の外周に架橋シリコーンゴムを含む絶縁層を形成した。これにより、比較例1〜7の絶縁電線を得た。比較例1〜7の絶縁電線は、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層の表面に、フッ素原子含有化合物からなる薄膜を形成していないものである。
実施例1〜7、比較例1〜7の絶縁電線について、耐バッテリー液性を評価した。また、あわせて耐寒性、耐摩耗性を評価した。その結果を表1及び表2に合わせて示す。尚、表1及び表2の各成分組成、試験方法及び評価は、下記の通りである。
〔表1及び表2の成分〕
・シリコーンゴム1:旭化成ワッカーシリコーン社製、R401−50(硬さ50、タイプAデュロメーター、以下同じ)
・シリコーンゴム2:旭化成ワッカーシリコーン社製、R401−60(硬さ60)
・シリコーンゴム3:旭化成ワッカーシリコーン社製、R401−70(硬さ70)
・シリコーンゴム4:旭化成ワッカーシリコーン社製、R401−80(硬さ80)
・シリコーンゴム5:旭化成ワッカーシリコーン社製、R401−40(硬さ40)
・シリコーンゴム6:旭化成ワッカーシリコーン社製、R401−30(硬さ30)
・シリコーンゴム7:旭化成ワッカーシリコーン社製、R401−20(硬さ20)
・シリコーンゴム8:KCC社製、SH0030U(硬さ30)
・架橋剤:日本油脂社製、パークミルD
(薄膜形成用材料)
・XCS2010:東亜合成製、酢酸ブチル溶液、固形分濃度5質量%
・WP100:ダイキン工業製、エチルノナフルオロイソブチルエーテル溶液、固形分濃度10質量%
・GK570:ダイキン工業製、酢酸ブチル溶液、固形分濃度65質量%
・ノベック2702:スリーエム製、エチルノナフルオロブチルエーテル溶液、固形分濃度2質量%
・FC−220:東亜合成製、キシレン溶液、固形分濃度60質量%
〔耐寒性試験方法〕
JIS C3005に準拠して行った。すなわち作製した絶縁電線を38mmの長さに切断し試験片とした。この試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本の試験片を用いて、5本の試験片が全て割れた温度を耐寒温度とした。
〔耐摩耗性試験方法〕
社団法人自動車技術規格「JASO D618」に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、実施例、比較例の絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で試験片の被覆材(絶縁層)に対し軸方向に10mm以上の長さでブレードを毎分50回の速さで往復させ、導体に接するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかかる荷重は、7Nとした。回数については200回以上のものを合格「○」とし、200回未満のものを不合格「×」とした。また、回数が300回以上のものは特に優れる「◎」とした。
〔耐バッテリー液性〕
ISO6722(2011年版)のメソッド2に準拠して行った。すなわち、密度1.26の硫酸水溶液を絶縁電線の絶縁層に垂らして90℃の恒温槽に投入し、8時間後、16時間後、32時間後にそれぞれ再度硫酸水溶液を垂らして恒温槽に投入するのを繰り返し、48時間後に取り出した。その後、3%の塩水に10分間浸漬後、1kV×1分間の耐電圧試験を実施した。絶縁破壊しなかったものを良好「○」とし、絶縁破壊したものを不良「×」とした。
Figure 2016091973
Figure 2016091973
比較例1〜7に示すように、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層は、バッテリー液に対する耐性が低いことがわかる。これに対し、実施例のように、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層の表面に、フッ素原子含有化合物からなる薄膜を形成したことで、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層のバッテリー液に対する耐性が改善されることがわかる。また、実施例の絶縁層は、シリカを含む架橋シリコーンゴムのショアA硬度が50以上であるため、耐摩耗性にも優れている。また、耐寒性にも優れることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (8)

  1. 導体の周囲が架橋シリコーンゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、
    前記絶縁層の表面に、フッ素原子含有化合物からなる薄膜が形成されていることを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記薄膜の厚みが、20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記薄膜の厚みが、0.05μm以上10μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
  4. 前記フッ素原子含有化合物が、有機溶剤に溶解して溶液を形成するものであり、該溶液を塗布することにより前記薄膜を形成可能なものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  5. 前記フッ素原子含有化合物が、1種以上のフルオロオレフィンを、オレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリレート、メタアクリレートのうちの少なくとも1種以上と共重合して得られる共重合体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  6. 前記フッ素原子含有化合物が、フルオロオレフィン−アクリレート共重合体、フルオロオレフィン−メタアクリレート共重合体、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、フルオロオレフィン−ビニルエステル共重合体のうちの少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  7. 前記絶縁層において、シリカを含む架橋シリコーンゴムのショアA硬度が50以上であり、前記絶縁層中にシリカ以外のフィラーを含有していないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  8. 前記絶縁層中にシリカ以外のフィラーを含有していることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
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WO2018230659A1 (ja) * 2017-06-14 2018-12-20 クラレノリタケデンタル株式会社 光学的立体造形装置用の容器

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