JP2015064516A - 感光性シロキサン組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、樹脂フィルム等を用いた場合であってもその反りを抑制しながら、高い硬度、基板接着性及び透明度を備える硬化膜の形成を実現可能な、感光性シロキサン組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、(a)カルボキシル基を有するトリアルコキシシランと、メタアクリル基及び/又はアクリル基を有するトリアルコキシシランと、を含むトリアルコキシシランを、加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサン、(b)光ラジカル開始剤、(c)(メタ)アクリロイル基及びイソシアヌレート構造を有する化合物、及び、(d)無機粒子、を含有する、感光性シロキサン組成物を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、感光性シロキサン組成物に関する。
静電容量式タッチパネルでは、製造工程における高温処理により、透明度の高いITO膜を形成することができる。一方で静電容量式タッチパネルは、抵抗膜式タッチパネルのように外部の衝撃を緩和する層を有しないことから、高硬度な表面保護膜を備えることが要求される。
静電容量式タッチパネルとしては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜付きガラスを基板に用いた、無機系のSiO2又はSiNx等の表面保護膜を有するものが知られている。しかし、CVD(Chmial Vapor Deposition)等の方法による無機系表面保護膜の形成は、膨大なエネルギーを必要とし、かつ、材料が感光性を有しないことに起因するプロセス数の増加もあって、極めて高コストなものであった。
SiO2等の代替材料としては、例えば、重合性基を有するオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及びその他添加剤を含有する、UV硬化型コーティング組成物(特許文献1)が知られている。この組成物は、200℃以上に加熱した場合において、ガラス基板等に対する接着性に優れ、高い硬度かつ透明度の表面保護膜を得ることができる。
しかしながら、上記のUV硬化型コーティング組成物はガラス基板に対する使用を想定したものであるところ、これを樹脂フィルム等に塗布した場合においては、樹脂フィルム等の反りが問題となるものであった。また、200℃以上での熱硬化を前提とするものであることから、耐熱性に劣る樹脂フィルムや接着剤と組み合わせて使用することは困難であり、これを120℃以下の低温域で熱硬化した硬化膜の硬度や基板接着性は、静電容量式タッチパネルの表面保護膜として全く不十分なものであった。
タッチパネル以外の用途においては、120℃以下での熱硬化が可能な、プリント配線基板用のソルダーレジスト(特許文献2及び3)が知られているが、タッチパネル用途における視認性や衝撃耐性が必要とされるものではないことから、これをタッチパネル用途へ転用することは合理的ではなかった。
そこで本発明は、樹脂フィルム等を用いた場合であってもその反りを抑制しながら、高い硬度、基板接着性及び透明度を備える硬化膜の形成を実現可能な、感光性シロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討をした結果、特定の置換基を有するトリアルコキシシランを含むトリアルコキシシランを、加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサンをはじめとする成分からなる組成物が、上記課題の解決に極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、(a)カルボキシル基を有するトリアルコキシシランと、メタアクリル基及び/又はアクリル基を有するトリアルコキシシランと、を含むトリアルコキシシランを、加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサン、(b)光ラジカル開始剤、(c)(メタ)アクリロイル基及びイソシアヌレート構造を有する化合物、及び、(d)無機粒子、を含有する、感光性シロキサン組成物を提供する。
本発明の感光性シロキサン組成物によれば、樹脂フィルム等の反りを抑制しながら硬化膜を形成することができ、かつ、120℃程度の熱硬化においても、硬度、基板接着性及び透明度が顕著に高い硬化膜を形成することが可能となる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(a)カルボキシル基を有するトリアルコキシシランと、メタアクリル基及び/又はアクリル基を有するトリアルコキシシランと、を含むトリアルコキシシランを、加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサン、(b)光ラジカル開始剤、(c)(メタ)アクリロイル基及びイソシアヌレート構造を有する化合物、及び、(d)無機粒子、を含有することを特徴とする。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(a)カルボキシル基を有するトリアルコキシシランと、メタアクリル基及び/又はアクリル基を有するトリアルコキシシランと、を含むトリアルコキシシランを、加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサンを含有する。
カルボキシル基を有するトリアルコキシシランとしては、例えば、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリフェノキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシシリルプロピルフタル酸無水物、3−トリメトキシシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物又は4−トリメトキシシリル酪酸が挙げられる。
トリアルコキシシランを加水分解及び縮合させる方法としては、例えば、トリアルコキシシラン化合物に、溶剤、水及び必要に応じて触媒を添加し、加熱撹拌する方法が挙げられる。撹拌中、必要に応じて蒸留により加水分解副生物(メタノール等のアルコール)や縮合副生成物(水)を留去しても構わない。
必要に応じて添加される触媒としては、酸触媒又は塩基触媒が好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸若しくは多価カルボン酸又はそれらの無水物あるいはイオン交換樹脂が挙げられる。塩基触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシラン又はイオン交換樹脂が挙げられる。
塗膜性及び貯蔵安定性の点から、得られたポリシロキサン溶液には触媒が含まれないことが好ましい。必要に応じて、これらの除去を行っても構わない。アルコールや水の除去方法としては、例えば、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して、得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法が挙げられる。触媒の除去方法としては、例えば、イオン交換樹脂で処理する方法が挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(b)光重合開始剤を含有する。ここで光重合開始剤とは、光(紫外線及び電子線を含む)により分解及び/又は反応し、ラジカルを発生させる化合物をいう。光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−フォスフィンオキサイド、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジルメトキシエチルアセタール、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイル若しくはエオシン又はメチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸若しくはトリエタノールアミン等の還元剤との組み合わせが挙げられる。硬化膜の硬度をより高くするためには、α−アミノアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル化合物、アミノ基を有するベンゾフェノン化合物又はアミノ基を有する安息香酸エステル化合物が好ましい。
α−アミノアルキルフェノン化合物としては、例えば、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド又はビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−フォスフィンオキサイドが挙げられる。オキシムエステル化合物のとしては、例えば、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム又はエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)が挙げられる。アミノ基を有するベンゾフェノン化合物としては、例えば、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン又は4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。アミノ基を有する安息香酸エステル化合物としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート又はp−ジエチルアミノ安息香酸エチルが挙げられる。
本発明の感光性シロキサン材料は、(c)(メタ)アクリロイル基及びイソシアヌレート構造を有する化合物を含有する。(メタ)アクロイル基及びイソシアヌレート構造を有する化合物としては、例えば、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、エトキシ化イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸EO変性ジリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート又はトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(d)無機粒子を含有する。(d)無機粒子を含有することで、感光性シロキサン組成物を用いて得られる硬化膜等の屈折率の調整が容易となる。屈折率の調整をより容易なものとするためには、(d)無機粒子がシリカ粒子、酸化ジルコニア粒子又は酸化チタン粒子であることが好ましい。(d)無機粒子の平均粒子径は、1〜200nmであることが好ましく、透過率の高い硬化膜を得るためには、1〜70nmであることがより好ましい。(d)無機粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
(d)無機粒子は適当なナノ粒子粉体を調達し、ビーズミル等の分散機を用いて粉砕又は分散することができる。市販品のナノ粒子粉体としては、例えば、sicastar(シリカ粒子:コアフロント株式会社製)、レオロシール(シリカ粒子;株式会社トクヤマ製)、UEP−100(酸化ジルコニウム粒子;第一稀元素化学工業株式会社製)又はSTR−100N(酸化チタン粒子;堺化学工業株式会社製)が挙げられる。
また、(d)無機粒子は、分散体として調達することもできる。調達可能な(d)無機粒子の分散体としては、例えば、IPA−ST、MIBK−ST、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL若しくはPGM−ST(以上シリカ粒子、いずれも日産化学工業(株)製)、“オスカル”101、“オスカル”105、“オスカル”106若しくは“カタロイド”−S(以上シリカ粒子;いずれも触媒化成工業(株)製)、“クォートロン”PL−1−IPA、PL−1−TOL,PL−2L−PGME、PL−2L−MEK,PL−2L若しくはGP−2L(以上シリカ粒子、いずれも扶桑化学工業(株)製)、“オプトレイク”(登録商標)TR−502、“オプトレイク”TR−503、“オプトレイク”TR−504、“オプトレイク”TR−513、“オプトレイク”TR−520、“オプトレイク”TR−527、“オプトレイク”TR−528、“オプトレイク”TR−529、“オプトレイク”TR−544若しくは“オプトレイク”TR−550(以上酸化チタン粒子;いずれも日揮触媒化成工業株式会社製)、“バイラール”Zr−C20(酸化チタン粒子;平均粒径=20nm;多木化学(株)製)、ZSL−10A(酸化チタン粒子;平均粒径=60−100nm;第一稀元素株式会社製)、ナノユースOZ−30M(酸化チタン粒子;平均粒径=7nm;日産化学工業(株)製)、SZR−M若しくはSZR−K(以上酸化ジルコニウム粒子;いずれも堺化学(株)製)、HXU−120JC(酸化ジルコニア粒子;住友大阪セメント(株)製)、ZR−010(酸化ジルコニア粒子;株式会社ソーラー)又はZRPMA(ジルコニア粒子;シーアイ化成株式会社)が挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、溶剤を含有しても構わない。本発明の感光性シロキサン組成物を加熱硬化させた硬化膜中に溶剤が残存すると、硬度や基板との接着性が経時的に損なわれることから、感光性シロキサン組成物中における、1気圧下の沸点が200℃以下の化合物に対して、1気圧下の沸点が130℃以下の溶剤が、50質量%以上であることが好ましい。また、感光性シロキサン組成物中における全化合物に対して、1気圧下の沸点が130〜200℃の溶剤が、25質量%以下であることがより好ましい。1気圧下の沸点が130℃以下の溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」)、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」)、メチルエチルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n−プロピルアセテート、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン、ベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル又はエチレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。1気圧下の沸点が130〜200℃の溶剤としては、例えば、アミルアルコール、酢酸アミル、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸2−メトキシメチル、酢酸2−エトキシエチル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、1−メトキシプロピル−2−アセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテル又はプロピレングリコールモノプロピルエーテルが挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、現像時の密着性や得られる硬化膜の耐湿熱性を向上させるため、一般式(1)で表される金属キレート化合物を含有することが好ましい。
(Mは、金属原子を示し、R1はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基又はアルケニル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルコキシ基であり、jは、金属原子Mの原子価であり、kは、0〜jの整数である。)
金属原子Mとしては、得られる硬化膜の透明度の観点から、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、コバルト、モリブデン、ランタン、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、現像時の密着性や得られる硬化膜の耐湿熱性の観点から、ジルコニウム又はアルミニウムがより好ましい。
金属原子Mとしては、得られる硬化膜の透明度の観点から、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、コバルト、モリブデン、ランタン、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、現像時の密着性や得られる硬化膜の耐湿熱性の観点から、ジルコニウム又はアルミニウムがより好ましい。
一般式(1)で表される金属キレート化合物が有するR1〜R3におけるアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルコキシ基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R1としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、オクタデカニル基、フェニル基、ビニル基、アリル基又はオレイル基が挙げられるが、金属キレート化合物の安定性の観点から、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−オクタデシル基又はフェニル基が好ましい。R2及びR3としては、例えば、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ビニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−オクタデシル基又はベンジルオキシ基が挙げられるが金属キレート化合物の合成容易性や安定性の観点から、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基又はn−オクタデシル基が好ましい。
金属原子Mがジルコニウムであるジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテトラフェノキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムテトラメチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラメチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルマロネート、ジルコニウムテトラベンゾイルアセトネート、ジルコニウムテトラジベンゾイルメタネート、ジルコニウムモノn−ブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムモノn−ブトキシエチルアセトアセテートビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムモノn−ブトキシトリス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムモノn−ブトキシトリス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジ(n−ブトキシ)ビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジ(n−ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジ(n−ブトキシ)ビス(エチルマロネート)、ジルコニウムジ(n−ブトキシ)ビス(ベンゾイルアセトネート)又はジルコニウムジ(n−ブトキシ)ビス(ジベンゾイルメタネート)が挙げられる。
金属原子Mがアルミニウムであるアルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムトリスイソプロポキシド、アルミニウムトリスn−プロポキサイド、アルミニウムトリスsec−ブトキシド、アルミニウムトリスn−ブトキシド、アルミニウムトリスフェノキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスメチルアセトアセテート、アルミニウムトリスメチルマロネート、アルミニウムトリスエチルマロネート、アルミニウムエチルアセテートジ(イソプロポキシド)、アルミニウムアセチルアセトネート)ジ(イソプロポキシド)、アルミニウムメチルアセトアセテートジ(イソプロポキシド)、アルミニウムオクタデシルアセトアセテートジ(イソプロピレート)又はアルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。
金属原子Mがチタンであるチタンキレート化合物としては、例えば、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラsec−ブトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンテトラ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、チタンテトラメチルアセトアセテート、チタンテトラエチルアセトアセテート、チタンテトラメチルマロネート、チタンテトラエチルマロネート、チタンテトラベンゾイルアセトネート、チタンテトラジベンゾイルメタネート、チタンモノn−ブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンモノn−ブトキシエチルアセトアセテートビス(アセチルアセトネート)、チタンモノn−ブトキシトリス(アセチルアセトネート)、チタンモノn−ブトキシトリス(アセチルアセトネート)、チタンジ(n−ブトキシ)ビス(エチルアセトアセテート)、チタンジ(n−ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタンジ(n−ブトキシ)ビス(エチルマロネート)、チタンジ(n−ブトキシ)ビス(ベンゾイルアセトネート)、チタンジ(n−ブトキシ)ビス(ジベンゾイルメタネート)又はチタンテトラ−2−エチルへキシルオキシドが挙げられる。
上記のような金属キレート化合物の中でも、各種溶剤への溶解性及び/又は化合物の安定性の観点から、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラフェノキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムテトラメチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムモノノルマルブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンテトラ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、チタンテトラメチルマロネート、チタンテトラエチルマロネート、チタンテトラエチルアセトアセテート、チタンジノルマルブトキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンモノノルマルブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスメチルアセトアセテート、アルミニウムトリスメチルマロネート、アルミニウムトリスエチルマロネート、アルミニウムエチルアセテートジ(イソプロポキシド)、アルミニウムアセチルアセトネート)ジ(イソプロポキシド)、アルミニウムメチルアセトアセテートジ(イソプロポキシド)、アルミニウムオクタデシルアセトアセテートジ(イソプロピレート)又はアルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)が好ましく、金属キレート錯体がより好ましい。
本発明感光性シロキサン組成物は、架橋密度の向上による硬化膜の高硬度化や、疎水性/親水性を適宜調整してパターン加工性を向上させるため、多官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,2−[9H−フルオレン−9,9−ジイルビス(1,4−フェニレン)ビスオキシ]ジエタノールジ(メタ)アクリレート(以下、「MM−1」)、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート又はペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、その効果を損なわない範囲で、光酸発生剤を含有しても構わない。光酸発生剤とは、露光時に結合開裂を起こして酸を発生する化合物をいい、より具体的には、露光波長365nm(i線)、405nm(h線)若しくは436nm(g線又はこれらの混合線の照射によって酸を発生する化合物をいう。酸はシラノールの脱水縮合を促進する触媒として機能するため、熱硬化時に酸が存在することで未反応のシラノール基の縮合が促進され、硬化膜の架橋度が高くなる。それにより、硬化膜の表面硬度や耐薬品性が向上する。また熱硬化時のパターンだれが抑制され、パターン解像度が向上する。発生させる酸としては、パーフルオロアルキルスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸等の強酸が好ましい。
光酸発生剤としては、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、SI−109、PI−105、PI−106、PI−109、NAI−100、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI−01、PAI−101、PAI−106若しくはPAI−1001(いずれもみどり化学(株)製)、SP−077若しくはSP−082(いずれも(株)ADEKA製)、TPS−PFBS(東洋合成工業(株)製)、CGI−MDT若しくはCGI−NIT(いずれもチバジャパン(株)製)又はWPAG−281、WPAG−336、WPAG−339、WPAG−342、WPAG−344、WPAG−350、WPAG−370、WPAG−372、WPAG−449、WPAG−469、WPAG−505若しくはWPAG−506(いずれも和光純薬工業(株)製)が挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、増感剤を含有しても構わない。増感剤としては、熱処理により気化する、又は、膜に残存した場合においても、光照射によって退色する増感剤が好ましい。このような増感剤としては、例えば、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)等のクマリン、9,10−アントラキノン等のアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン若しくはベンズアルデヒド等の芳香族ケトン又はビフェニル、1,4−ジメチルナフタレン、9−フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9−メトキシアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(4−メトキシフェニル)アントラセン、9,10−ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン(DPA、川崎化成(株)製)、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA、川崎化成(株)製)、9,10−ジペンタオキシアントラセン、2−t−ブチル−9,10−ジブトキシアントラセン若しくは9,10−ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセン等の縮合芳香族が挙げられる。
また増感剤は、高感度を達成できるという点、及び、光照射によって二量化して退色するという点から、アントラセン系化合物が好ましい。また、9,10位が水素であるアントラセン系化合物は熱に不安定であるので、9,10−二置換アントラセン系化合物がより好ましく、増感剤の溶解性の向上及び光二量化反応の反応性の点から、一般式(2)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン系化合物がさらに好ましい。
(R4〜R11はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアリール基又は炭素数1〜20のアシル基であり、R12及びR13はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルコキシ基である。)
一般式(2)で表される化合物が有するR4〜R11におけるアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はアシル基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R4〜R11におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基又はn−プロピル基が挙げられる。R4〜R11におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペンチルオキシ基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。R4〜R11におけるアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。化合物の気化性、光二量化の反応性の点から、R8〜R15は、水素又は炭素数は1〜6のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はアシル基が好ましく、R4、R7、R8及びR11は水素がより好ましい。
一般式(2)で表される化合物が有するR4〜R11におけるアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はアシル基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R4〜R11におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基又はn−プロピル基が挙げられる。R4〜R11におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペンチルオキシ基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。R4〜R11におけるアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。化合物の気化性、光二量化の反応性の点から、R8〜R15は、水素又は炭素数は1〜6のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はアシル基が好ましく、R4、R7、R8及びR11は水素がより好ましい。
一般式(2)で表される化合物が有するR12及びR13におけるアルコキシ基は、他の置換基により置換されていても構わない。R12及びR13におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペンチルオキシ基が挙げられるが、化合物の溶解性と光二量化による退色反応の点から、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
増感剤の添加量は、(a)ポリシロキサンに対して、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜1質量%がより好ましい。この範囲を外れると、透明度が低下したり、感度が低下したりする。
本発明の感光性シロキサン組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、熱架橋性化合物を含有しても構わない。熱架橋性化合物とは、熱硬化時にポリシロキサンを架橋する化合物であり、架橋によりポリシロキサン骨格中に取り込まれる化合物をいう。感光性シロキサン組成物が熱架橋性化合物を含有することによって、硬化膜の架橋度が高くなり、硬化膜の耐溶剤性が向上する。
本発明の感光性シロキサン組成物の製造方法について説明する。まず、(b)光ラジカル開始剤、及び、必要に応じて光酸発生剤や増感剤を秤量する。そこに、必要に応じて溶剤や界面活性剤を添加し、撹拌して溶解した後、(a)ポリシロキサンを添加し、さらに撹拌して均一な溶液とすることで、感光性シロキサン組成物が得られる。
本発明の感光性シロキサン組成物を用いた、硬化膜の形成方法について説明する。感光性シロキサン組成物を、スピナー又はスリット等の公知の方法によって下地基板上に塗布し、ホットプレート又はオーブン等の加熱装置でプリベークする。プリベークは、50〜120℃の範囲で30秒〜30分間行い、プリベーク後の膜厚は、0.1〜15μmとするのが好ましい。
プリベーク後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)又はパラレルライトマスクアライナー(PLA)等の紫外可視露光機を用い、10〜4000J/m2程度(波長365nm露光量換算)の露光量で、所望のマスクを介してパターン露光する。
露光後、現像により未露光部を溶解させることで、ネガパターンが得られる。ここで現像の方法としては、シャワー、ディップ又はパドル等の方法で、露光後の膜を現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。アルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩若しくはホウ酸塩等の無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン若しくはジエタノールアミン等のアミン類又は水酸化テトラメチルアンモニウム若しくはコリン等の4級アンモニウム塩を含む水溶液が挙げられる。また、現像後は水でリンスすることが好ましく、必要であればホットプレート又はオーブン等の加熱装置で、50〜150℃の範囲で脱水乾燥ベークを行っても構わない。
その後、ブリーチング露光を行っても構わない。ブリーチング露光を行うことによって、膜中に残存する未反応のラジカル開始剤が反応し、膜の硬化がさらに進行する。ブリーチング露光の方法としては、例えば、PLA等の紫外可視露光機を用い、100〜20000J/m2程度(波長365nm露光量換算)の露光量で、全面を露光する方法が挙げられる。ブリーチング露光をした膜は必要に応じて、ホットプレート又はオーブン等の加熱装置で、50〜150℃の範囲で30秒〜30分間ソフトベークを行った後、さらにホットプレート又はオーブン等の加熱装置で、80〜180℃の範囲で10分から1時間程度キュアすることで、パターニングされた硬化膜を得ることができる。
本発明の感光性シロキサン組成物から形成される硬化膜は、各種保護膜又は絶縁膜等に用いることができるが、高い硬度及び透明度を有することから、タッチパネル用保護膜として好適に用いることができる。タッチパネルの方式としては、例えば、抵抗膜式、光学式、電磁誘導式又は静電容量式が挙げられるが、静電容量式タッチパネルは高い硬度が求められることから、本発明の感光性シロキサン組成物から形成される硬化膜を特に好適に用いることができる。
本発明の感光性シロキサン組成物から形成される硬化膜は、各種保護膜又は絶縁膜等に用いることができるが、高い硬度及び透明度を有することから、タッチパネル用保護膜として好適に用いることができる。タッチパネルの方式としては、例えば、抵抗膜式、光学式、電磁誘導式又は静電容量式が挙げられるが、静電容量式タッチパネルは高い硬度が求められることから、本発明の感光性シロキサン組成物から形成される硬化膜を特に好適に用いることができる。
以下に本発明をその実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の様態はこれらに限定されるものではない。
(合成例1) ポリシロキサン溶液(PS−1)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを47.67g(0.35mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸26.23g(0.10mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35mol)、ダイアセトンアルコール(以下、「DAA」)を180.56g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら、水55.8gにリン酸0.401g(仕込みモノマーに対して0.2質量部)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。40℃で1時間撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、さらにオイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−1)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(以下、「Mw」)をGPCにより測定したところ5000(ポリスチレン換算)であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを47.67g(0.35mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸26.23g(0.10mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35mol)、ダイアセトンアルコール(以下、「DAA」)を180.56g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら、水55.8gにリン酸0.401g(仕込みモノマーに対して0.2質量部)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。40℃で1時間撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、さらにオイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−1)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(以下、「Mw」)をGPCにより測定したところ5000(ポリスチレン換算)であった。
(合成例2) ポリシロキサン溶液(PS−2)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを34.05g(0.20mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、4−トリメトキシシリル酪酸を41.66g(0.20mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35mol)、DAAを182.22g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら水54.0gにリン酸0.395g(仕込みモノマーに対して0.2質量%)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。次いで合成例1と同条件で加熱撹拌したところ、副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−2)を得た。なお、得られたポリマーのMwは6000(ポリスチレン換算)であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを34.05g(0.20mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、4−トリメトキシシリル酪酸を41.66g(0.20mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35mol)、DAAを182.22g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら水54.0gにリン酸0.395g(仕込みモノマーに対して0.2質量%)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。次いで合成例1と同条件で加熱撹拌したところ、副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−2)を得た。なお、得られたポリマーのMwは6000(ポリスチレン換算)であった。
(合成例3) ポリシロキサン溶液(PS−3)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを47.67g(0.35mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を26.23g(0.10mol)、アリルトリメトキシシランを56.79g(0.35mol)、PGMEを157.25g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら、水55.8gにリン酸0.341g(仕込みモノマーに対して0.2質量部)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。次いで合成例1と同条件で加熱撹拌したところ、副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−3)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5500(ポリスチレン換算)であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを47.67g(0.35mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を26.23g(0.10mol)、アリルトリメトキシシランを56.79g(0.35mol)、PGMEを157.25g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら、水55.8gにリン酸0.341g(仕込みモノマーに対して0.2質量部)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。次いで合成例1と同条件で加熱撹拌したところ、副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−3)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5500(ポリスチレン換算)であった。
(合成例4) ポリシロキサン溶液(PS−4)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを74.23g(0.55mol)、フェニルトリメトキシシランを69.41g(0.35mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシランを21.82g(0.1mol)、PGMEを132.4g仕込み、室温で撹拌しながら、水52.02gにリン酸0.319gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。40℃で30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから35分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−4)を得た。得られたポリマーのMwは4300であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを74.23g(0.55mol)、フェニルトリメトキシシランを69.41g(0.35mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシランを21.82g(0.1mol)、PGMEを132.4g仕込み、室温で撹拌しながら、水52.02gにリン酸0.319gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。40℃で30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから35分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−4)を得た。得られたポリマーのMwは4300であった。
(合成例5) ポリシロキサン溶液(PS−5)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.50mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.10mol)、PGMEを180g仕込み、撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。さらに撹拌しながら、水55.80gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.30質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。40℃で30分撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、さらにオイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−5)を得た。得られたポリマーのMwは2500であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.50mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.10mol)、PGMEを180g仕込み、撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。さらに撹拌しながら、水55.80gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.30質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。40℃で30分撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、さらにオイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−5)を得た。得られたポリマーのMwは2500であった。
(合成例6) ポリシロキサン溶液(PS−6)の合成
500mLの三口フラスコにアリルトリメトキシシランを74.5g(0.3mol)、ジメチルジメトキシシランを24.0g(0.2mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを13.1g(0.05mol)、ジフェニルジメトキシシランを97、4g(0.4mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を13.1g(0.05mol)、PGMEを99.4g仕込み、撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。さらに撹拌しながら、水45gにリン酸3.33g(仕込みモノマーに対して0.13質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。40℃で30分撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、さらにオイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−6)を得た。得られたポリマーのMwは2500であった。
500mLの三口フラスコにアリルトリメトキシシランを74.5g(0.3mol)、ジメチルジメトキシシランを24.0g(0.2mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを13.1g(0.05mol)、ジフェニルジメトキシシランを97、4g(0.4mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸を13.1g(0.05mol)、PGMEを99.4g仕込み、撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。さらに撹拌しながら、水45gにリン酸3.33g(仕込みモノマーに対して0.13質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。40℃で30分撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、さらにオイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−6)を得た。得られたポリマーのMwは2500であった。
(合成例7) ポリシロキサン溶液(PS−7)の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を付した、2Lのセパラブルフラスコを90℃に加熱し、そこへ、末端エポキシポリシロキサン(信越化学KF−105)を490g、アクリル酸を75.0g、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.2g、トリフェニルホスフィンを5g及びPGMEを400g、からなる混合溶液を、空気を吹き込みながら3時間かけて滴下した。滴下後10時間反応させて、ポリシロキサンアクリレート溶液を得た。得られたポリシロキサンアクリレート溶液に、コハク酸無水物を95g加えて、さらに80℃で8時間反応させた後、固形分濃度が50質量%になるようにPGMEを加えてポリシロキサン溶液(PS−7)を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を付した、2Lのセパラブルフラスコを90℃に加熱し、そこへ、末端エポキシポリシロキサン(信越化学KF−105)を490g、アクリル酸を75.0g、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.2g、トリフェニルホスフィンを5g及びPGMEを400g、からなる混合溶液を、空気を吹き込みながら3時間かけて滴下した。滴下後10時間反応させて、ポリシロキサンアクリレート溶液を得た。得られたポリシロキサンアクリレート溶液に、コハク酸無水物を95g加えて、さらに80℃で8時間反応させた後、固形分濃度が50質量%になるようにPGMEを加えてポリシロキサン溶液(PS−7)を得た。
(実施例1)
黄色灯下、表1記載の組成に従って、合成例1で得られたポリシロキサン溶液(PS−1)等を混合及び撹拌して均一溶液とした後、0.45μmのフィルターで濾過して組成物1を調製した。
黄色灯下、表1記載の組成に従って、合成例1で得られたポリシロキサン溶液(PS−1)等を混合及び撹拌して均一溶液とした後、0.45μmのフィルターで濾過して組成物1を調製した。
調製した組成物1を、単層Crをスパッタにより成膜したガラス基板((株)倉元製作所製)、OA−10ガラス板(日本電気硝子(株)製)、ITO基板(三容真空工業(株)製)、4インチシリコンウエハー基板及び100μmのCOPフィルム(日本ゼオン(株)製)にITOをスパッタしたフィルムのそれぞれに、スピンコーター(1H−360S;ミカサ(株)製)を用いて任意の回転数でスピンコートした後、ホットプレート(SCW−636;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて100℃で2分間プリベークし、膜を作製した。単層Crをスパッタにより成膜したガラス基板上に作製した膜の膜厚を、ラムダエースSTM−602(大日本スクリーン製)を用いて屈折率1.55にて測定し、その値をプリベーク後の膜厚とした。
各基板及びフィルム上に作製した膜をマスクアライナー(PEM−6M;ユニオン光学(株)製)を用いて露光した。ITO基板については、0.2mm角の正方形パターンを0.2mm間隔で形成するためのパターン形成用マスクを介して、膜の半分をパターン露光し、残り半分はマスクを介さずに全面露光した。単層Crをスパッタにより成膜したガラス基板、OA−10ガラス板、4インチシリコンウエハー基板及び100μmのCOPフィルムにITOをスパッタしたフィルムについては、マスクを介さずに膜を全面露光した。なお、露光量はいずれもi線照度計にて200mJ/cm2になるようにした。
その後、各基板及びフィルムを自動現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であるELM−D(三菱ガス化学(株)製)で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。リンス後の、単層Crをスパッタにより成膜したガラス基板上に作製した膜の膜厚を、ラムダエースSTM−602を用いて屈折率1.55にて測定し、その値を現像後膜厚とした。
上記のプリベーク後の膜厚、及び、現像後の膜厚の値を用いて、以下の計算式(A)に従って算出した残膜率を、表2に示す。なお、残膜率が過度に小さいと、現像ムラに起因してタッチパネル用途等において視認性が悪化することから、残膜率は85%以上であることが好ましい。
残膜率(%) = 現像後膜厚÷プリベーク後膜厚×100 ・・・ (A)
その後、オーブン(IHPS−222;タバイエスペック(株)製)を120℃に設定し、各基板及びフィルムをオーブンに投入して120℃で60分加熱し、膜厚2.5μmの硬化膜又はパターン硬化膜を形成した。
残膜率(%) = 現像後膜厚÷プリベーク後膜厚×100 ・・・ (A)
その後、オーブン(IHPS−222;タバイエスペック(株)製)を120℃に設定し、各基板及びフィルムをオーブンに投入して120℃で60分加熱し、膜厚2.5μmの硬化膜又はパターン硬化膜を形成した。
形成した硬化膜の感光特性及び硬化膜特性の評価結果を、表2に示す。なお、各特性は、以下の方法により評価した。
(パターニング評価)
ITO基板上に形成したパターン硬化膜を光学顕微鏡で観察し、以下の判断基準に基づき3段階評価をした。なお、パターン間に残渣がある場合には、真空プラズマ装置又は洗浄装置を用いて残渣を除去する必要が生じる。
○ : パターンが形成されており、かつ、パターン間に溶け残りや残渣がないもの
△ : パターンが形成されているが、パターン間に残渣があるもの
× : 正方形パターンが隣のパターンと繋がっているもの、パターン間に溶け残りの残膜があるもの、又は、パターンが形成されていないもの
(光線透過率の測定)
MultiSpec−1500((株)島津製作所)を用いて、まずOA−10ガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次にOA−10ガラス板上に形成した硬化膜を、シングルビームを用いて波長400nmでの光線測定し、リファレンスとの差異を、硬化膜の波長400nmにおける膜厚2μm当たりの光線透過率とした。なお、波長400nmにおける膜厚2μm当たりの光線透過率は、95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。光線透過率が90%未満であると、タッチパネルやディスプレイ用途で使用する場合、バックライトが通過する際に色変化が起こり、白色表示が黄色味を帯びてしまう。
ITO基板上に形成したパターン硬化膜を光学顕微鏡で観察し、以下の判断基準に基づき3段階評価をした。なお、パターン間に残渣がある場合には、真空プラズマ装置又は洗浄装置を用いて残渣を除去する必要が生じる。
○ : パターンが形成されており、かつ、パターン間に溶け残りや残渣がないもの
△ : パターンが形成されているが、パターン間に残渣があるもの
× : 正方形パターンが隣のパターンと繋がっているもの、パターン間に溶け残りの残膜があるもの、又は、パターンが形成されていないもの
(光線透過率の測定)
MultiSpec−1500((株)島津製作所)を用いて、まずOA−10ガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次にOA−10ガラス板上に形成した硬化膜を、シングルビームを用いて波長400nmでの光線測定し、リファレンスとの差異を、硬化膜の波長400nmにおける膜厚2μm当たりの光線透過率とした。なお、波長400nmにおける膜厚2μm当たりの光線透過率は、95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。光線透過率が90%未満であると、タッチパネルやディスプレイ用途で使用する場合、バックライトが通過する際に色変化が起こり、白色表示が黄色味を帯びてしまう。
(ITOフィルムへの密着性評価)
100μmのCOPフィルム上にITOをスパッタしたフィルム上に形成した硬化膜について、JIS K5600−5−6(1999年)に準拠して、5B〜0Bの6段階評価(数字が大きい程、密着性が高い)によるクロスカット試験を行った。なお、密着性が2B以下であると、硬化膜の剥離によるタッチパネルの動作不良等を引き起こしかねないため、密着性は3B以上であることが好ましく、4B以上であることがより好ましい。
100μmのCOPフィルム上にITOをスパッタしたフィルム上に形成した硬化膜について、JIS K5600−5−6(1999年)に準拠して、5B〜0Bの6段階評価(数字が大きい程、密着性が高い)によるクロスカット試験を行った。なお、密着性が2B以下であると、硬化膜の剥離によるタッチパネルの動作不良等を引き起こしかねないため、密着性は3B以上であることが好ましく、4B以上であることがより好ましい。
(硬度測定)
ITO基板上に形成した硬化膜について、JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して鉛筆硬度を測定した。負荷加重は500gとした。なお、硬化膜は傷がつかないよう、HB以上の鉛筆硬度を有することが好ましく、2H以上の硬度を有することがより好ましい。
ITO基板上に形成した硬化膜について、JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して鉛筆硬度を測定した。負荷加重は500gとした。なお、硬化膜は傷がつかないよう、HB以上の鉛筆硬度を有することが好ましく、2H以上の硬度を有することがより好ましい。
(ストレス値測定)
硬化膜を形成した4インチシリコンウエハーの基板の反りを、FLX2908(KLAtencor社製)を用いて測定し、ストレス値すなわち硬化膜の応力を測定した。なお、ストレス値が過度に大きいと、硬化膜形成後の製造工程での取り扱いに支障が生じることから、ストレス値は25Mpa以下であることが好ましく、20Mpa以下であることがより好ましい。
硬化膜を形成した4インチシリコンウエハーの基板の反りを、FLX2908(KLAtencor社製)を用いて測定し、ストレス値すなわち硬化膜の応力を測定した。なお、ストレス値が過度に大きいと、硬化膜形成後の製造工程での取り扱いに支障が生じることから、ストレス値は25Mpa以下であることが好ましく、20Mpa以下であることがより好ましい。
(実施例2〜9及び比較例1〜7)
組成物1と同様に、組成物2〜16を、表1に記載の組成にて調製した。得られた各組成物を用いて、実施例1と同様にして各組成物の評価を行った。それぞれの結果を表2に示す。比較例5については現像時に膜が現像液に溶解してしまったため、残膜率とパターニング評価のみを実施した。
組成物1と同様に、組成物2〜16を、表1に記載の組成にて調製した。得られた各組成物を用いて、実施例1と同様にして各組成物の評価を行った。それぞれの結果を表2に示す。比較例5については現像時に膜が現像液に溶解してしまったため、残膜率とパターニング評価のみを実施した。
本発明の感光性シロキサン組成物を硬化して形成される硬化膜は、タッチパネル用保護膜、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート若しくは反射防止フィルム等の各種保護膜、光学フィルター、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜又はカラーフィルター用フォトスペーサーとして好適に用いられる。
Claims (8)
- (a)カルボキシル基を有するトリアルコキシシランと、メタアクリル基及び/又はアクリル基を有するトリアルコキシシランと、を含むトリアルコキシシランを、加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサン、
(b)光ラジカル開始剤、
(c)(メタ)アクリロイル基及びイソシアヌレート構造を有する化合物、及び、
(d)無機粒子、を含有する、感光性シロキサン組成物。 - 多官能(メタ)アクリル化合物を含有する、請求項1又は2記載の感光性シロキサン組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項記載の感光性シロキサン組成物から形成された、硬化膜。
- 請求項1〜3のいずれか一項記載のポリシロキサン組成物を、電極付フィルム又はガラスに塗布し、露光及び加熱をする、硬化膜の製造方法。
- 前記加熱の温度が、100〜180℃である、請求項5記載の硬化膜の製造方法。
- 請求項4〜6のいずれか一項記載の硬化膜を具備する、電子部品。
- 請求項4〜6のいずれか一項記載の硬化膜を具備する、タッチパネル。
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JP2013199236A JP2015064516A (ja) | 2013-09-26 | 2013-09-26 | 感光性シロキサン組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022154442A1 (ko) * | 2021-01-15 | 2022-07-21 | 한국전기연구원 | 유기 실록산 바인더 기반 광감성 솔더레지스트 및 그 제조방법 |
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-
2013
- 2013-09-26 JP JP2013199236A patent/JP2015064516A/ja active Pending
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CN110573964A (zh) * | 2017-05-24 | 2019-12-13 | 东丽株式会社 | 负型感光性树脂组合物及固化膜 |
KR20200010212A (ko) | 2017-05-24 | 2020-01-30 | 도레이 카부시키가이샤 | 네가티브형 감광성 수지 조성물 및 경화막 |
US20210080829A1 (en) * | 2017-05-24 | 2021-03-18 | Toray Industries, Inc. | Negative photosensitive resin composition and cured film |
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