JP2015063517A - 創傷治癒剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 GAGAGS配列(1)並びに下記アミノ酸配列(X)及び/又は下記アミノ酸配列(X’)を有するタンパク質(A)を含む創傷治癒剤であって、
円二色性スペクトル法により求められる(A)中のβターン構造とランダムコイル構造との合計の割合が60〜85%であり、(A)の全アミノ酸数に対する全ての(X)中のアミノ酸数と全ての(X’)のアミノ酸数の合計数の割合が50〜70%であり、かさ密度が1〜30mg/cm3であり、水分含有率が0〜20重量%である創傷治癒剤。
アミノ酸配列(X):3種の特定の配列からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):(X)中の特定数のアミノ酸がリシン及び又はアルギニンで置換されたアミノ酸配列。
【選択図】なし
Description
このように、滲出液のコントロールが創傷治癒にとって非常に重要な因子である。また、滲出液に含まれる種々の成長・増殖因子(bFGF及びTGF−β等)を創部に留まらせ、治癒を早めることができるため、滲出液を創傷部に留まらせ、かつ適度な湿潤環境を作り出すような創傷治癒剤が求められている。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)、GVGVP配列(3)及びGAHGPAGPK配列(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):前記アミノ酸配列(X)中の1個のアミノ酸がリシン(K)もしくはアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列又は前記アミノ酸配列(X)中の2個のアミノ酸がリシン(K)及び/又はアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)、GVGVP配列(3)及びGAHGPAGPK配列(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):前記アミノ酸配列(X)中の1個のアミノ酸がリシン(K)もしくはアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列又は前記アミノ酸配列(X)中の2個のアミノ酸がリシン(K)及び/又はアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列。
タンパク質(A)中のβターン構造とランダムコイル構造との合計の割合は、創傷面を適度な湿潤環境を保つ観点から、通常60〜85%であり、好ましくは65〜80%、さらに好ましくは70〜75%である。
上記割合は、タンパク質(A)をリフォールディングすることによって増加させることができる。また、変性剤や熱等で変性させることによって低下させることができる。
タンパク質(A)中のβターン構造とランダムコイル構造との合計の割合は、下記測定法によって求める。
タンパク質を0.3mg/mlとなるように脱イオン水(4℃)に溶解し、タンパク質の水溶液を作製する。作製したタンパク質の水溶液を円二色性スペクトル測定器(日本分光株式会社製、「J−820」)にて測定し(測定温度:4℃)、二次構造解析プログラム(JWSSE型:日本分光株式会社製)にてβターン構造の割合とランダムコイル構造の割合とを算出し、これらの合計をβターン構造とランダムコイル構造との合計の割合とする。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)、GVGVP配列(3)及びGAHGPAGPK配列(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)中の1個のアミノ酸がリシン(K)もしくはアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列又はアミノ酸配列(X)中の2個のアミノ酸がリシン(K)もしくはアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列。
なお、タンパク質(A)は、アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)をそれぞれ複数個有していてもよく、複数個ある場合のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、アミノ酸配列(X)とアミノ酸配列(X’)とを共に有していてもよい。
アミノ酸配列(X’)は、創傷面を適度な湿潤環境を保つ観点から、GKGVP配列(7)、GKGKP配列(8)及びGRGRP配列(10)からなる群より選ばれる少なくとも1種の配列が好ましく、さらに好ましくはGKGVP配列(7)及び/又はGKGKP配列(8)である。
ポリペプチド鎖(Y’):ポリペプチド鎖(Y)中のの全アミノ酸数の0.1〜20%のアミノ酸がリシン(K)及び/又はアルギニン(R)で置換されたポリペプチド鎖。
タンパク質(A)1分子中に、ポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、ポリペプチド鎖(Y)は同一でも異なっていても良く、(VPGVG)b配列、(GVGVP)c配列及び(GAHGPAGPK)d配列からなる群から選ばれる1種を有してもよく、2種以上を有してもいい。
また、タンパク質(A)中にポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、アミノ酸配列(X)の連続する個数は、ポリペプチド鎖(Y)ごとに同一でも異なっていてもよい。すなわち、アミノ配列(X)の連続する個数b〜dが同じポリペプチド鎖(Y)を複数有してもよく、b〜dが異なるポリペプチド鎖(Y)を複数有してもよい。
ポリペプチド鎖(Y)としては、創傷面を適度な湿潤環境を保つ観点から、(VPGVG)b配列及び/又は(GVGVP)c配列が好ましい。
ポリペプチド鎖(Y’)において、ポリペプチド鎖(Y)中の全アミノ酸数に対するリシン(K)及びアルギニン(R)で置換されたアミノ酸数の合計数の割合は、創傷面を適度な湿潤環境を保つ観点から、0.5〜10%が好ましく、さらに好ましくは1〜5%である。
タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのアミノ酸配列(X)中のアミノ酸数及び全てのアミノ酸配列(X’)中のアミノ酸配列の合計数の割合は、プロテインシークエンサーによって求めることができる。具体的には、下記の測定法により求めることができる。
特定のアミノ酸残基で切断出来る切断方法から2種類以上を用いて、タンパク質(A)を30残基以下程度まで分解する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した後、プロテインシークエンサーにてアミノ酸配列を読み取る。得られたアミノ酸配列からペプチドマッピングして、タンパク質(A)の全配列を決定する。その後、以下記載の測定式にてタンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのアミノ酸配列(X)中のアミノ酸数及び全てのアミノ酸配列(X’)中のアミノ酸数の合計数の割合を算出する。
タンパク質(A)中の全てのアミノ酸配列(X)中のアミノ酸数及び全てのアミノ酸配列(X’)中のアミノ酸数の合計数の割合(%)=[{アミノ酸配列(X)の数}×{アミノ酸配列(X)中のアミノ酸数}+{アミノ酸配列(X’)の数}×{アミノ酸(X’)中のアミノ酸数}]/{タンパク質(A)中の全アミノ酸の数}×100
まず、各種類のアミノ酸配列(X)について、「{アミノ酸配列(X)の数}×{アミノ酸配列(X)中のアミノ酸数}」を求める。その全種類についての合計値を、上記式中の「{アミノ酸配列(X)の数}×{アミノ酸配列(X)中のアミノ酸数}」とする。
タンパク質(A)が、複数種類のアミノ酸配列(X)に対応する複数種類のアミノ酸配列(X’)を有する場合も同様にして、上記式中の「{アミノ酸配列(X’)の数}×{アミノ酸配列(X’)中のアミノ酸数}」を求める。
タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(1)中のアミノ酸数の割合は、プロテインシークエンサーによって求めることができる。具体的には、下記の測定法により求める。
特定のアミノ酸残基で切断出来る切断方法の2種類以上を用いて、タンパク質(A)を30残基以下程度まで分解する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した後、プロテインシークエンサーにてアミノ酸配列を読み取る。得られたアミノ酸配列からペプチドマッピングして、タンパク質(A)の全配列を決定する。その後、以下記載の測定式にてタンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(1)中のアミノ酸数の割合を算出する。
タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(1)中のアミノ酸数の割合(%)=[{GAGAGS配列(1)の数×6}/{タンパク質(A)中の全アミノ酸の数}×100
ポリペプチド鎖(S)において、GAGAGS配列(1)が連続する個数は、創傷面を適度な湿潤環境を保つ観点から、2〜100個が好ましく、さらに好ましくは2〜50個であり、特に好ましくは2〜10個である。
タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全ての介在アミノ酸配列(Z)中のアミノ酸数の割合[Σ{(介在アミノ酸配列(Z)中のアミノ酸の数)×(介在アミノ酸配列(Z)の数)}/{タンパク質(A)中の全アミノ酸数}×100]は、創傷面を適度な湿潤環境を保つ観点から、0〜25%が好ましく、さらに好ましくは0〜22.5%であり、特に好ましくは0〜15%である。
以下に、各精製タグ(i)とそのタグを認識結合するリガンド(ii)との組み合わせの一例を示す。
(i−1)グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GTS) (ii−1)グルタチオン
(i−2)マルトース結合タンパク質(MBP) (ii−2)アミロース
(i−3)HQタグ (ii−3)ニッケル
(i−4)Mycタグ (ii−4)抗Myc抗体
(i−5)HAタグ (ii−5)抗HA抗体
(i−6)FLAGタグ (ii−6)抗FLAG抗体
(i−7)6×Hisタグ (ii−7)ニッケル又はコバルト
前記精製タグ配列の導入方法としては、発現用ベクターにおけるタンパク質(A)をコードする核酸の5’又は3’末端に精製タグをコードする核酸を挿入する方法や市販の精製タグ導入用ベクターを使用する方法等が挙げられる。
(A1)アミノ酸配列(X)がGVGVP配列(3)であるタンパク質
(A11)GVGVP配列(3)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y1)中のアミノ酸がリシン(K)で置換されたポリペプチド鎖(Y’1)とGAGAGS配列(1)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(S1)とを有するタンパク質
(A11−1)GVGVP配列(3)が8個連続した(GVGVP)8配列(17)のポリペプチド鎖(Y11)の1個のアミノ酸がリシン(K)で置換された(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)(Y’11)と、GAGAGS配列(1)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(S1)を有するタンパク質
(A11−1−1)GAGAGS配列(1)が4個連続した(GAGAGS)4配列(5)と(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)とを有するタンパク質
具体的には、下記タンパク質が含まれる。
(i)(GAGAGS)4配列(5)を12個及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)を13個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、(GAGAGS)2配列(14)が化学結合した分子質量が約80kDaの配列(23)のタンパク質(SELP8K)
(ii)(GAGAGS)2配列(14)及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)をそれぞれ17個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子質量が約82kDaの配列(15)のタンパク質(SELP0K)
(A11−2−1)GAGAGS配列(1)が4個連続した(GAGAGS)4配列(5)と(GVGVP)6GKGVP(GVGVP)5配列(26)とを有するタンパク質
(i)(GAGAGS)4配列(5)を12個及び(GVGVP)6GKGVP(GVGVP)5配列(26)を13個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、(GAGAGS)2配列(14)が化学結合した分子質量が約105kDaの配列(24)のタンパク質
具体的には、下記タンパク質が含まれる。
(i)(GAGAGS)8配列(16)及び(GVGVP)40配列(27)をそれぞれ5個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子質量が約110kDaの配列(18)のタンパク質(SELP6.1)
(A21)VPGVG配列(2)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y2)とGAGAGS配列(1)を有するタンパク質
(i)GAGAGS配列(1)、(VPGVG)4配列(20)及び(VPGVG)8配列(21)をそれぞれ40個有し、これらが配列(20)、配列(1)、配列(21)の順に結合したブロックが40個化学結合してなる構造を有する分子質量約200kDaの配列(22)のタンパク質(ELP1.1)
創傷治癒剤中の無機塩の含有量は、細胞親和性の観点から、創傷治癒剤の重量を基準として0〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜1重量%、特に好ましくは0〜0.5重量%である。
リン酸塩としては、リン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等が挙げられる。
創傷治癒剤中のリン酸(塩)の含有量は、細胞親和性の観点から、創傷治癒剤の重量を基準として0〜2重量%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.5重量%、特に好ましくは0.001〜0.05重量%である。
糖としては、公知の糖を用いることができ、例えば、単糖(トリオース、テトロース、ペプトース、ヘキソース及びヘプトース等)、オリゴ糖及び多糖(デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン、キシログルカン及びキサンタンガム等)等が挙げられる。
抗菌剤としては、公知の抗菌剤を用いることができ、例えば、銀イオン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、ペニシリン及びストレプトマイシン等が挙げられる。
抗菌剤の含有量は、創傷治癒剤の重量を基準として、創傷治癒の観点から、0.001〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.1重量%である。
本発明の創傷治癒剤のかさ密度は、通常1〜30mg/cm3であり、創傷治癒剤のかさ密度を本範囲にすることで、吸収した滲出液を適度に創傷部に留まらせることができる。滲出液吸収の観点から、好ましくは5〜30mg/cm3である。
尚、本発明の創傷治癒剤のかさ密度は、後述の方法により測定することができる。
創傷治癒剤中の水分含有率は、下記測定方法によって求めることができる。
<創傷治癒剤中の水分含有率の測定方法>
創傷治癒剤0.1gの水分含有率を微量水分測定装置(平沼産業社製、「AQ−2200」)にて測定する。
本発明の創傷治癒剤のかさ密度は、タンパク質水溶液中のタンパク質(A)の含有量を調整することで所望の値にすることができる。
タンパク質水溶液中のタンパク質(A)の含有量は、細胞親和性の観点から、タンパク質水溶液の重量を基準として、0.1〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3重量%である。
タンパク質水溶液中の糖の含有量は、滲出液吸収の観点から、タンパク質水溶液の重量を基準として、0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
タンパク質水溶液中の抗菌剤の含有量は、創傷治癒の観点から、タンパク質水溶液の重量を基準として、0.00001〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0001〜0.1重量%である。
凍結乾燥には、一次乾燥と二次乾燥がある。一次乾燥とは、試料表面から氷を昇華させるものである。二次乾燥とは、分子間に結合している水を除くものである。
凍結乾燥において、一次乾燥の温度は、タンパク質の立体構造維持の観点から、0℃以下が好ましく、さらに好ましくは−10℃以下である。また、二次乾燥の温度は、タンパク質の立体構造維持の観点から、10〜30℃が好ましく、さらに好ましくは、10〜20℃である。
凍結乾燥時間は、タンパク質の立体構造維持の観点から、一次乾燥と二次乾燥との合計で、12〜480時間が好ましく、さらに好ましくは18〜420時間である。
[SELP8Kタンパク質(A1−1)の作製]
○SELP8Kタンパク質(A1)の生産
特許第4088341号公報の実施例記載の方法に準じて、SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345を作製した。
作製したプラスミドを大腸菌にトランスフォーメーションし、SELP8K生産株を得た。以下、このSELP8K生産株を用いて、タンパク質(A)の1種である配列(23)のSELP8Kタンパク質(A1)を生産する方法を示す。
30℃で生育させたSELP8K生産株の一夜培養液を使用して、250mlフラスコ中のLB培地50mlに接種した。カナマイシンを最終濃度50μg/mlとなるように加え、該培養液を30℃で攪拌しながら(200rpm)培養した。培養液が濁度OD600=0.8(吸光度計UV1700:島津製作所製を使用)となった時に、40mlを42℃に前もって温めたフラスコに移し、同じ温度で約2時間培養した。培養した培養液を氷上で冷却し、培養液の濁度OD600を測定し、遠心分離にて大腸菌を集菌した。
集菌した大腸菌を用い、下記1:菌体溶解、2:遠心分離による不溶性細片の除去、3:硫安沈殿、4:限外濾過、5:陰イオン交換クロマトグラフィー、6:限外濾過、7:凍結乾燥により大腸菌バイオマスからタンパク質を精製した。このようにして、分子質量が約80kDaの配列(23)のタンパク質(A1)の精製物であるSELP8Kタンパク質(A1−1)を得た。
集菌した大腸菌100gに対して、脱イオン水200gを加えて、高圧ホモジナイザー(55MPa)にて菌体溶解し、溶解した菌体を含む菌体溶解液を得た。その後、菌体溶解液を氷酢酸にてpH4.0に調整した。
さらに菌体溶解液を遠心分離(6300rpm、4℃、30分間)して、上清を回収した。
回収した上清に硫安濃度が25重量%となるように飽和硫安溶液を投入した。その後、8〜12時間静置した後、遠心分離にて沈殿物を回収した。回収した沈殿物を脱イオン水に溶解した。溶解した液に対して、同様に硫安濃度が25重量%となるように飽和硫安溶液を投入した。その後、8〜12時間静置した後、遠心分離にて沈殿物を回収した。回収した沈殿物を脱イオン水に溶解し、溶液を得た。
3で得た溶液を分子質量30,000カットの限外濾過装置(ホロファーバー:GEヘルスケア製)に供した。3で得た溶液に対して、10倍量の脱イオン水を用いて、限外濾過を実施し、限外濾過後のタンパク質を得た。
限外濾過後のタンパク質を10mM酢酸ナトリウム緩衝液に溶解して20g/Lとし、陰イオン交換カラムHiPrepSP XL16/10(GEヘルスケア社製)をセットしたAKTAPrime(アマシャム社製)に供した。溶出液として500mM 10mM酢酸ナトリウム緩衝液を用いて、溶出画分を回収した。
5で得た溶液を上記「4:限外濾過」と同様にして処理し、限外濾過後のタンパク質を得た。
タンパク質を脱イオン水に溶解して5g/Lとし、水位が15mm以下となるようにステンレス製のバットに入れる。その後、凍結乾燥機(日本テクノサービス社製)に入れて、−40℃、16時間かけて凍結させる。凍結後、真空度が8Pa以下、−20℃で、90時間かけて1次乾燥、真空度が8Pa以下、20℃で、24時間かけて2次乾燥させ、精製したSELP8Kタンパク質(A1−1)を得た。
得られたSELP8Kタンパク質(A1−1)を下記の手順で同定した。
ラビット抗SELP8K抗体及びC末端配列の6×Hisタグに対するラビット抗6×His抗体(Roland社製)を用いたウエスタンブロット法により分析した。ウエスタンブロット法の手順は下記の通りとした。見かけ分子質量80kDaの位置に、各抗体に抗体反応性を示すバンドが見られた。
また、アミノ酸分析システム(Prominence島津製作所製)を用いたアミノ酸組成分析より得られたSELP8Kタンパク質(A1−1)のアミノ酸の組成比率(実測値)と、合成遺伝子配列から推測されるSELP8Kタンパク質(A1−1)のアミノ酸の組成比率(理論値)を表1に示す。
これらから、SELP8Kタンパク質(A1−1)はGVGVP配列(3)が8個連続したポリペプチド鎖(Y)中のバリン(V)のうち1個がリシン(K)に置換された(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)のポリペプチド鎖(Y’11)を13個及びGAGAGS配列(1)が4個連続した(GAGAGS)4配列(5)のポリペプチド鎖(Y11)を12個有し、これらが交互に化学結合してなる配列(23)のタンパク質であることを確認した。
ウエスタンブロット用サンプル20μLに3×SDS処理バッファ(150mM Tris HCl(pH6.8)、300mM ジチオスレイトール、6% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.3% ブロモフェノールブルー、及び30% グリセロールを含む)10μLを添加して95℃で5分間加温し、泳動用試料を調製した。この泳動用試料15μLを用いてSDS−PAGEを行った。泳動後のゲルをフッ化ポリビニリデンメンブレンにトランスファー(以下、「メンブレン」と略記)し、これをブロッキングバッファ(20mM Tris(pH7.6)、137mM NaCl、0.1% Tween20、及び5% スキムミルクを含む)に浸漬して1時間室温で振蕩することによりメンブレンのブロッキング処理を行った。ブロッキング処理後、メンブレンをTBS−T(20mM Tris(pH7.6)、137mM NaCl、及び0.1% Tween20を含む)で2分間洗浄した。次に、メンブレンを一次抗体溶液(一次抗体:抗SELP8K抗体及び抗His−tag抗体(Rockland社製)をTBS−Tで500分の1に希釈した溶液)に浸漬し、4℃で一晩静置して抗体反応を行った。反応後、このメンブレンをTBS−Tで5分間、4回洗浄した後、一次抗体に結合可能であり且つ標識酵素として西洋ワサビペルオキシダーゼを結合させた二次抗体の溶液(二次抗体:ECL anti−rabbit IgG HRP linked F(ab’)2 fragment(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)をTBS−Tで2000分の1に希釈した溶液)にメンブレンを浸漬し、30分間室温で静置して抗体反応を行った。反応後、メンブレンをTBS−Tで5分間、4回洗浄した後、ECL−Advance Western Blotting Detection Kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)により酵素反応を行った。ルミノメーターForECL(アマシャム社製)を用いて、高感度インスタント黒白フィルム(富士フイルム株式会社製)に感光させ、バンドを可視化した。肉眼でバンドが確認できない場合、SELP8Kタンパク質(A1−1)が分解吸収され、無くなったと判断した。
得られたSELP8Kタンパク質(A1−1)を用いて下記の手順でβターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した。
<βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合の測定>
SELP8Kタンパク質(A1−1)を0.3mg/mlとなるように脱イオン水(4℃)に溶解し、SELP8Kタンパク質(A1−1)水溶液を作製した。作製したSELP8Kタンパク質(A1−1)水溶液を円二色性スペクトル測定器(日本分光:J−820)にて測定し(測定温度:4℃)、二次構造解析プログラム(JWSSE型:日本分光株式会社製)を用いて、βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を算出した。結果を表2に示す。
製造例1の「SELP8Kタンパク質(A1−1)の作製」において、「SELP8Kタンパク質(A1)の精製」の「5:陰イオン交換クロマトグラフィー」と「6:限外濾過」との間に、下記「5−2:リフォールディング(大希釈法)」を行う以外は同様にして、SELP8Kタンパク質(A1−2)を作製し、βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した。結果を表2に示す。
5−2:リフォールディング(大希釈法)
陰イオン交換クロマトグラフィーの溶出画分をタンパク質変性剤である10Mウレア溶液にて、6Mウレア溶液となるように調製し、12時間、4℃で静置した。調製した溶液を透析膜(Viskase Companies,Inc.社製)に投入し、溶出画分の10倍容量の脱イオン水にて12時間、透析した。その後、脱イオン水を捨て、新たに溶出画分の10倍容量の脱イオン水にて12時間、透析した。この操作を残り3回、計5回の透析を繰り返した後、透析膜中の溶液を回収した。
製造例1の「SELP8Kタンパク質(A1−1)の作製」において、「SELP8Kタンパク質(A1)の精製」の「5:陰イオン交換クロマトグラフィー」と「6:限外濾過」との間に、下記「5−3:リフォールディング(大希釈法)」を行う以外は同様にして、SELP8Kタンパク質(A1−3)を作製し、βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した。結果を表2に示す。
5−3:リフォールディング(大希釈法)
陰イオン交換クロマトグラフィーの溶出画分をタンパク質変性剤である10Mウレア溶液にて、6Mウレア溶液となるように調製し、12時間、4℃で静置した。調製した溶液を透析膜(Viskase Companies,Inc.社製)に投入し、溶出画分の10倍容量の脱イオン水にて12時間、透析した。その後、脱イオン水を捨て、新たに溶出画分の3倍容量の脱イオン水にて12時間、透析した。溶出画分の3倍容量の脱イオン水による透析を残り5回繰り返した後、透析膜中の溶液を回収した。
製造例1の「SELP8Kタンパク質(A1−1)の作製」において、「SELP8Kタンパク質(A1)の精製」の「5:陰イオン交換クロマトグラフィー」に代えて下記「5’:アフィニティクロマトグラフィー」とする以外は同様にして、SELP8Kタンパク質(A1−4)を作製し、βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した。結果を表2に示す。
5’:アフィニティクロマトグラフィー
「4:限外濾過」後のタンパク質を、His−tagを用いたアフィニティクロマトグラフィー(GEヘルスケア社製、Ni Sepharose 6 Fast Flow)にて精製し、溶出画分を回収した。
製造例1の「SELP8Kタンパク質(A1−1)の作製」において、「SELP8Kタンパク質(A1)の精製」の「5:陰イオン交換クロマトグラフィー」に代えて下記「5’’:アフィニティクロマトグラフィー」とする以外は同様にして、SELP8Kタンパク質(A1’−1)を作製し、βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した。結果を表2に示す。
5’’:アフィニティクロマトグラフィー
「4:限外濾過」後のタンパク質を、His−tagを用いたアフィニティクロマトグラフィー(クロンテック社製、TALON(登録商標)Single Step Columns)にて精製し、溶出画分を回収した。
製造例1の「SELP8Kタンパク質(A1−1)の作製」において、「SELP8Kタンパク質(A1)の精製」の「3:硫安沈殿、4:限外濾過、5:陰イオン交換クロマトグラフィー」を実施せず、上記「5’:アフィニティクロマトグラフィー」行う以外は同様にして、SELP8Kタンパク質(A1’−2)を作製し、βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した。結果を表2に示す。
製造例1の「SELP8Kタンパク質(A1−1)の作製」において、「SELP8Kタンパク質(A1)の精製」の「5:陰イオン交換クロマトグラフィー」を実施しない以外は同様にして、SELP8Kタンパク質(A1’−3)を作製し、βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した。結果を表2に示す。
製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「ELP1.2をコードしたプラスミドpPT0102−2」を用いる以外は同様にして、分子質量が約37kDaの配列(25)のELP1.2タンパク質(A’−1)を得た。βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した結果を表2に示す。
製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「SLP4.1をコードしたpSY1398−1」を用いる以外は同様にして、分子質量が約93kDaの配列(19)のSLP4.1タンパク質(A’−2)を得た。βターン構造とランダムコイル構造の合計の割合を測定した結果を表2に示す。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液(NaCl:8g/L、KCl:0.2g/L、pH7.4)に溶解し(1mg/ml)、タンパク質水溶液(1)を得た。タンパク質水溶液(1)を24穴プレート(IWAKI社製)に入れた。その後、凍結乾燥機(日本テクノサービス社製)に入れて、−40℃、16時間かけて凍結させた。凍結後、真空度が8Pa以下、−20℃で、90時間かけて1次乾燥し、真空度が8Pa以下、20℃で、24時間かけて2次乾燥させ、創傷治癒剤(1)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(2)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(2)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(2)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(10mg/ml)、タンパク質水溶液(3)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(3)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(3)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(1mg/ml)、タンパク質水溶液(4)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(4)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(4)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(5)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(5)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(5)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(10mg/ml)、タンパク質水溶液(6)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(6)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(6)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(1mg/ml)、タンパク質水溶液(7)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(7)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(7)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(8)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(8)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(8)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(10mg/ml)、タンパク質水溶液(9)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(9)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(9)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(25mg/ml)、タンパク質水溶液(10)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(10)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(10)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(12.5mg/ml)、タンパク質水溶液(11)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(11)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(11)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(30mg/ml)、タンパク質水溶液(12)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(12)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(12)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−2)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(13)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(13)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(13)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−3)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(14)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(14)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(14)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−4)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(15)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(15)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(15)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(0.01mg/ml)、タンパク質水溶液(1’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(1’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(1’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(150mg/ml)、タンパク質水溶液(2’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(2’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(2’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(3’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(3’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(3’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(4’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(4’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(4’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(50mg/ml)、タンパク質水溶液(5’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(5’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(5’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(100mg/ml)、タンパク質水溶液(6’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(6’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(6’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1’−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(7’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(7’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(7’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1’−2)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(8’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(8’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(8’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A1’−3)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(9’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(9’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(9’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A’−1)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(10’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(10’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(10’)を得た。
SELP8Kタンパク質(A’−2)を、20mMリン酸緩衝液に溶解し(5mg/ml)、タンパク質水溶液(11’)を得た。
実施例1において、「タンパク質水溶液(1)」に代えて「タンパク質水溶液(11’)」を用いる以外は同様にして、創傷治癒剤(11’)を得た。
○かさ密度の測定
予め重量[(G1)、単位:g]を小数点以下1桁まで測定した50mL容量の遠沈管[アズワン(株)製]に、タンパク質水溶液(1)〜(15)及び(1’)〜(11’)をそれぞれ10ml入れ、実施例1〜12及び比較例1〜9の条件で凍結乾燥させた。
凍結乾燥後の遠沈管の重さ(G2)(単位:g)をそれぞれ小数点以下1桁まで測定した。また、遠沈管中の創傷治癒剤の体積(Vol)(ml)を、遠沈管の目盛りから読み取った。
得られた重量(G1)、(G2)及び体積(V)から、下記式によりかさ密度を算出し、結果を表3に示す。
かさ密度(g/ml)={(G2)−(G1)}/(Vol)
○創傷治癒剤中の水分含有率の測定
創傷治癒剤(1)〜(15)及び(1’)〜(11’)をそれぞれ0.1g用いて、微量水分測定装置(平沼産業社製、「AQ−2200」)にて創傷治癒剤中の水分含有率を測定した。評価結果を表3に示す。
○肉芽組織高及び上皮化長の測定
(健常モルモットを用いた全層欠損層モデルでの治療試験)
健常モルモット♀ std Hartley(日本エスエルシー社製)7週齢を麻酔下で除毛し、消毒したモルモット背部皮膚に脂肪層が完全に露出した創面10mm×10mmの全層皮膚欠損創を作製し、止血、乾燥した後、創傷面に創傷治癒剤(1)〜(15)及び(1’)〜(11’)を各々置き、ポリウレタンフィルムを貼付した。その後、各創傷部の上にガーゼをのせて、ナイロン糸で創傷部周囲と固定した。治療期間5、10日目に検体を擬死させ、創傷部を含む皮膚を採取し、病理標本(HE染色)を作製した。それぞれの創傷治癒剤について、病理標本を11個作製した。
作製した治療期間5日目の病理標本用いて、パニキュラス(筋様膜)からの肉芽組織高をマイクロルーラーを使用して測定した。評価結果は表3に示す。なお、評価結果は、病理標本11個の平均値である。
また、治療期間10日目の病理標本用いて、正常組織から伸長した上皮化長をマイクロルーラーを使用して測定した。評価結果は表3に示す。なお、評価結果は、病理標本11個の平均値である。
○水分保持率の測定
(湿潤環境維持評価)
10mm角の創傷治癒剤(1)〜(15)及び(1’)〜(11’)に100μLの生理食塩水をたらし、37℃、湿度50%の環境下にて5日間静置した。その後、創傷治癒剤中に含まれている水分量[(J)、単位:μL]について、微量水分測定装置を用いて測定した。測定した水分量(J)から、水分保持率(%)を算出した。結果を表3に示す。
水分保持率(%)=創傷治癒剤中に含まれている水分量(J)/100(μL)×100
Claims (8)
- GAGAGS配列(1)並びに下記アミノ酸配列(X)及び/又は下記アミノ酸配列(X’)を有するタンパク質(A)を含む創傷治癒剤であって、
円二色性スペクトル法により求められる前記タンパク質(A)中のβターン構造とランダムコイル構造との合計の割合が60〜85%であり、前記タンパク質(A)の全アミノ酸数に対する全ての前記アミノ酸配列(X)中のアミノ酸数と全ての前記アミノ酸配列(X’)のアミノ酸数の合計数の割合が50〜70%であり、創傷治癒剤のかさ密度が1〜30mg/cm3であり、創傷治癒剤中の水分含有率が0〜20重量%である創傷治癒剤。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)、GVGVP配列(3)及びGAHGPAGPK配列(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):前記アミノ酸配列(X)中の1個のアミノ酸がリシン(K)もしくはアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列又は前記アミノ酸配列(X)中の2個のアミノ酸がリシン(K)及び/又はアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列。 - 前記GAGAGS配列(1)の個数と前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比[GAGAGS配列(1):{アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計}]が1:2〜1:6である請求項1に記載の創傷治癒剤。
- 前記タンパク質(A)が、前記アミノ酸配列(X)の1種が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、
前記タンパク質(A)中の前記ポリペプチド鎖(Y)と前記ポリペプチド鎖(Y’)との合計個数が1〜100個である請求項1又は2に記載の創傷治癒剤。
ポリペプチド鎖(Y’):前記ポリペプチド鎖(Y)中の全アミノ酸数の0.1〜20%のアミノ酸がリシン(K)及び/又はアルギニン(R)で置換されたポリペプチド鎖。 - 前記タンパク質(A)が、前記GAGAGS配列(1)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(S)を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の創傷治癒剤。
- 前記タンパク質(A)のSDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法による分子質量が15〜200kDaである請求項1〜4のいずれかに記載の創傷治癒剤。
- 前記タンパク質(A)の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(1)中のアミノ酸数の割合が5〜50%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の創傷治癒剤。
- 前記タンパク質(A)が、(GAGAGS)4配列(5)及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)を有するタンパク質(A11−1−1)である請求項1〜6のいずれか1項に記載の創傷治癒剤。
- GAGAGS配列(1)並びに下記アミノ酸配列(X)及び/又は下記アミノ酸配列(X’)を有するタンパク質(A)であって、円二色性スペクトル法により求められる前記タンパク質(A)中のβターン構造とランダムコイル構造との合計の割合が60〜85%であり、前記タンパク質(A)の全アミノ酸数に対する全てのアミノ酸配列(X)中のアミノ酸数及び全てのアミノ酸配列(X’)中のアミノ酸数の合計数の割合が50〜70%であるタンパク質(A)を含有する水溶液を凍結乾燥する工程を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の創傷治癒剤の製造方法。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)、GVGVP配列(3)及びGAHGPAGPK配列(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):前記アミノ酸配列(X)中の1個のアミノ酸がリシン(K)もしくはアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列又は前記アミノ酸配列(X)中の2個のアミノ酸がリシン(K)及び/又はアルギニン(R)で置換されたアミノ酸配列。
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