JP2015063276A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Takashi Tsuchida
剛史 土田
睦樹 杉本
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睦樹 杉本
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Abstract

【課題】優れた転がり抵抗性および耐空気透過性を維持しつつ、軽量化され、耐久性が向上された空気入りタイヤを提供する。【解決手段】本発明は、カーカス層と、カーカス層のタイヤ半径方向内側に配置されるインナーライナー層と、インナーライナー層のタイヤ半径方向内側に配置される保護ゴム層とを備える空気入りタイヤであって、インナーライナー層は、スチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体60質量%以上99質量%以下と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1質量%以上40質量%以下とを含むポリマー混合物100質量部に対して、有機化処理粘土鉱物0.1質量部以上50質量部以下を含むポリマー組成物からなり、厚みが0.05mm以上0.5mm以下であり、保護ゴム層は、トレッド部に対応する領域の厚みが、トレッド部に対応する領域以外の厚みよりも大きい空気入りタイヤである。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、より特定的には、インナーライナーの損傷を防止できる空気入りタイヤに関する。
インナーライナー層は、空気入りタイヤの内部に配され、タイヤ内部から外部への空気漏れの量(空気透過量)を低減して耐空気透過性を向上させる働きを担うタイヤ部材である。
インナーライナー層は、リム組み作業等の際に工具類が接触して損傷を生じやすく、また、パンク修理等においてタイヤ内面をバフ処理する際にも損傷を受けやすい部材である。インナーライナー層の損傷は、タイヤの耐空気透過性を大きく低下させ、さらに耐久性も低下させる。したがって、インナーライナー層には、耐空気透過性とともに耐久性も求められている。
一方、近年における車の低燃費化に対する強い社会的要請からタイヤの軽量化が求められており、インナーライナー層においても軽量化が要求されている。従来、チューブレスの空気入りタイヤのインナーライナー層には一般的に、耐空気透過性が比較的高いブチル系ゴムが使用されてきたが、ブチル系ゴムは比重が大きいため、タイヤを重くし、タイヤの転がり抵抗が上昇して燃費を悪化させる一因となっていた。
そこで、インナーライナー層の特性を改善すべく、様々な技術が提案されている。
特許文献1(特開平08−258506号公報)には、ポリ塩化ビニリデンのような熱可塑性樹脂からなるフィルムを空気入りタイヤのインナーライナー層(空気透過防止層)に用いることが記載されている。熱可塑性樹脂は、ブチル系ゴムに比べて耐空気透過性の面でより優れており、また、これを適用したインナーライナー層によれば、ブチル系ゴムを用いる場合と比較してタイヤの軽量化も可能である。
しかし、熱可塑性樹脂からなるインナーライナー層は、耐屈曲疲労性を確保するために極めて薄くする必要があり、このため、タイヤの作製時や修理時に損傷を生じやすかった。また、タイヤ使用時にショルダー部近傍に大きなせん断歪が作用するため、インナーライナー層とカーカス層との接着界面で剥離が発生しやすくなり、タイヤの空気漏れが発生しやすいという問題もあった。
特許文献2(特開平09−019987号公報)には、ガスバリヤー層(A)及びその両面に配置される接着層(B)からなる積層フィルム(インナーライナー層)と、カーカス層のようなゴム層(R)とを含む積層体であって、接着層(B)とゴム層(R)とが加熱接着されてなる積層体が記載されており、ガスバリヤー層(A)の両側に接着層(B)を設けることで、インナーライナー層の重ね合わせ部において接着層(B)同士が接触するようになり、加熱によって強固に接着されるので、空気圧保持性を向上できることが述べられている。しかし、このインナーライナー層の重ね合わせのための接着層(B)は、加硫工程においてブラダーと加熱状態で接触することになり、ブラダーに粘着するという問題があった。
特許文献3(特許第2999188号明細書)には、エラストマー組成物(A)を分散相、2種以上の熱可塑性樹脂のブレンドからなる熱可塑性樹脂組成物(B)をマトリックスとする熱可塑性エラストマー組成物を空気入りタイヤの空気透過防止層に用いることが記載されている。上記2種以上の熱可塑性樹脂にはナイロン樹脂が用いられる。
しかし、ナイロン樹脂は室温で硬いため、当該熱可塑性エラストマー組成物は、空気入りタイヤのインナーライナー層としては不向きである。また、この熱可塑性エラストマー組成物は、カーカス層のようなゴム層に加硫接着させることができないため、仮にこの熱可塑性エラストマー組成物をインナーライナー層に用いた場合には、ゴム層との接着のための加硫用接着層を別途設ける必要がある。このため、タイヤ構造及びタイヤ製造工程が複雑となり、生産性の観点からも不利であった。
特許文献4(特開2008−024219号公報)には、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のような柔軟樹脂が分散されたエチレン−ビニルアルコール共重合体層の両面に熱可塑性ウレタン系エラストマー層を積層し、この積層体を、ブチルゴム等を含む接着剤組成物を用いてゴム状弾性体層に接着してなるインナーライナー層が記載されている。
しかしながら、柔軟樹脂が分散されたエチレン−ビニルアルコール共重合体は接着力が低いため、熱可塑性ウレタン系エラストマー層との剥離が生じやすい傾向にある。また、柔軟樹脂が分散されているものの、マトリックスであるエチレン−ビニルアルコール共重合体自体は耐屈曲疲労性に乏しいため、当該インナーライナー層は、耐屈曲性に関してなお改善の余地があった。さらに、接着剤組成物を用いて上記積層体をゴム状弾性体層に接着するという別途の工程が必要であり、生産性の観点からも不利であった。
特許文献5(特開2005−343379号公報)には、ゴム組成物を含む熱可塑性樹脂からなるインナーライナー層において、ショルダー部における厚さ寸法をタイヤクラウン部における厚さ寸法よりも大きくすることにより、低温耐久性を向上させ得ることが記載されている。
しかしながら、インナーライナー層の一部の厚さ寸法を大きくすることは、空気入りタイヤの重量増加、ひいてはタイヤの転がり抵抗の上昇を伴うため、燃費を悪化させる要因となる。
特許文献6(特開2009−279977号公報)には、タイヤ内面に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる熱可塑性樹脂フィルム層(インナーライナー層)を設け、その熱可塑性樹脂フィルム層の内面に保護ゴム層を積層した構成において、熱可塑性樹脂フィルム層又は保護ゴム層の少なくとも一方の厚さを変化させることにより、上述したような場面でのインナーライナー部の損傷を防止できることが記載されている。しかしながら、インナーライナー層の一部を厚くすることに伴い燃費性能が悪化するという問題があり、また、タイヤの耐久性の面でもなお改善の余地があった。
特開平08−258506号公報 特開平09−019987号公報 特許第2999188号明細書 特開2008−024219号公報 特開2005−343379号公報 特開2009−279977号公報
そこで本発明の目的は、優れた転がり抵抗性および耐空気透過性を維持しつつ、軽量化され、耐久性が向上された空気入りタイヤを提供することができる。
本発明は、カーカス層と、カーカス層のタイヤ半径方向内側に配置されるインナーライナー層と、インナーライナー層のタイヤ半径方向内側に配置される保護ゴム層とを備える空気入りタイヤであって、インナーライナー層は、スチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体60質量%以上99質量%以下と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1質量%以上40質量%以下とを含むポリマー混合物100質量部に対して、有機化処理粘土鉱物0.1質量部以上50質量部以下を含むポリマー組成物からなり、厚みが0.05mm以上0.5mm以下であり、保護ゴム層は、トレッド部に対応する領域の厚みが、トレッド部に対応する領域以外の厚みよりも大きい空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、インナーライナー層は、トレッド部に対応する領域以外の少なくとも一部の厚みが、トレッド部に対応する領域の厚みよりも大きい。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、ポリマー混合物が、エチレン‐ビニルアルコール共重合体15質量%以上30質量%以下を含む。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、スチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体がスチレン成分を10質量%以上30質量%以下の範囲で含む。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、ポリアミド系ポリマーがポリアミド成分とポリエーテル成分からなるブロック共重合体である。
本発明では、保護ゴム層を部分的に厚くしたため、パンク修理時などにインナーライナーが損傷することを防止できる。なお、保護ゴム層を部分的に厚くするため、保護ゴム層の重量が増加するが、インナーライナーにスチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体、ポリアミド系ポリマーおよび有機化処理粘土鉱物を用いることで、厚みを薄くできるため、タイヤ全体としての重量増加を抑制し、タイヤの優れた転がり抵抗性を維持することができる。
さらに、優れた空気遮断性を維持したまま、隣接するカーカスプライとの接着性の向上、タイヤ耐久性およびビード耐久性の向上を図ることが出来る。
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤのタイヤ子午線方向の断面図である。
<空気入りタイヤ>
図1は、本発明の一実施の形態における空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の半断面図である。
図1は重荷重用空気入りタイヤを示し、1はトレッド部、2はショルダー部、3はサイドウォール部、4はビード部、5はカーカス層、10はバットレス部である。カーカス層5は、ビード部4に埋設された左右一対のビードコア6間に装架され、その両端部をそれぞれビードコア6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返すようにしている。トレッド部1には、カーカス層5の外側に、4層からなるベルト層7がタイヤ1周にわたって配置されている。トレッド部1には、ベルト層7の外側にトレッドゴムを配置し、タイヤ全幅で3本の主溝9がタイヤ周方向に延長するように形成されている。カーカス層5のタイヤ半径方向内側には、空気透過防止用のインナーライナー層11が内貼りされ、さらに、そのタイヤ半径方向内側に、保護ゴム層12が配置されている。
<インナーライナー層>
本発明の一実施の形態において、インナーライナー層は、スチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体(以下、SIBSともいう)60質量%以上99質量%以下と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1質量%以上40質量%以下とを含むポリマー混合物100質量部に対して、有機化処理粘土鉱物0.1質量部以上50質量部以下を含むポリマー組成物からなる。
<ポリマー混合物>
(スチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体)
本発明の一実施の形態において、ポリマー混合物はスチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体(SIBS)を含む。SIBSのイソブチレン部位由来により、SIBSを含むポリマー混合物およびポリマー組成物は優れた耐空気透過性と耐久性を有する。また、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され、優れた耐久性を有する。
さらに本発明の一実施の形態においては、該ポリマー組成物を空気入りタイヤに使用する場合、SIBSを含有させることにより耐空気透過性を確保するため、たとえばハロゲン化ブチルゴム等の、従来耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用しないか、使用する場合にも使用量の低減が可能である。これによってタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。
本発明の一実施の形態において、ポリマー混合物中のSIBSの含有量は60質量%以上99質量%以下である。SIBSの含有量が60質量%以上であることにより、優れた耐空気透過性と耐久性を得ることができる。また、耐空気透過性と耐久性がより良好になる点で、ポリマー混合物中のSIBSの含有量は含有量は70質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
SIBSは一般的にスチレンを10質量%以上40質量%以下含む。本発明の一実施の形態において、SIBSはスチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であることが、耐空気透過性と耐久性がより良好になるため好ましい。SIBSの重量平均分子量は50,000以上100,000以下であることが好ましい。
SIBSは、イソブチレンとスチレンのモル比(イソブチレン/スチレン)が、該共重合体のゴム弾性の点から40/60〜95/5であることが好ましい。SIBSにおいて、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱い(重合度が10,000未満では液状になる)の点からイソブチレンでは10,000〜150,000程度、またスチレンでは10,000〜30,000程度であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。
例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。このほかにも、リビングカチオン重合法によるビニル化合物重合体の製造法が、例えば、米国特許第4,946,899号、米国特許第5,219,948号、特開平3−174403号公報などに記載されている。
SIBSは分子内に芳香族以外の二重結合を有していないために、ポリブタジエンなどの分子内に二重結合を有している重合体に比べて紫外線に対する安定性が高く、従って耐候性が良好である。さらに分子内に二重結合を有しておらず、飽和系のゴム状ポリマーであるにも関わらず、波長589nmの光の20℃での屈折率(nD)は、ポリマーハンドブック(1989年:ワイリー(Polymer Handbook, Willy,1989))によると、1.506である。これは他の飽和系のゴム状ポリマー、例えば、エチレン−ブテン共重合体に比べて有意に高い。
(ポリアミド系ポリマー)
本発明の一実施の形態において、ポリマー混合物はポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマーを含む。ポリアミド系ポリマーのポリアミド部位由来の寄与により、ポリアミド系ポリマーを含むポリマー混合物およびポリマー組成物は不飽和ポリマーと接着可能となり、隣接ゴムとの接着性が向上する。
本発明の一実施の形態において、ポリマー混合物中のポリアミド系ポリマーの含有量は1質量%以上40質量%以下である。ポリアミド系ポリマーの含有量が40質量%以下であることにより、耐久性と接着性とが両立されたポリマー混合物を得られる。また、耐久性と接着性が確保でき、耐空気透過性に優れるSIBSとエチレン−ビニルアルコール共重合体をより多く配合できる点で、ポリアミド系ポリマーの含有量は3質量%以上20質量%以下が好ましい。
ポリアミド系ポリマーのショアD硬度は70以下である。ショアD硬度が70を超えるとタイヤ屈曲時および移動時の亀裂性に劣るため好ましくない。ショアD硬度の範囲は、好ましくは15〜70、さらに好ましくは18〜70、より好ましくは20〜70、特に好ましくは25〜70である。
ポリアミド系ポリマーは、ポリエーテルアミドエラストマーを50質量%以上含むことが好ましい。ここでポリエーテルアミドエラストマーとは、トリブロックポリエーテルジアミン化合物(成分A)、ポリアミド形成性モノマー(成分B)、及びジカルボン酸化合物(成分C)を重合して得られるポリアミド成分とポリエーテル成分からなるブロック共重合体である。
前記トリブロックポリエーテルジアミン化合物(成分A)は、下記式(I)で表されることが好ましい。
Figure 2015063276
(式(I)中、aは1〜20の整数、bは4〜50の整数、およびcは1〜20の整数をそれぞれ表わす。)
前記ポリアミド形成性モノマー(成分B)は、下記式(II)で表わされるアミノカルボン酸化合物および下記式(III)で表わされるラクタム化合物の少なくともいずれかであることが好ましい。
Figure 2015063276
(式(II)中、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
Figure 2015063276
(式(III)中、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
前記ジカルボン酸化合物(成分C)は、下記式(IV)で表わされる化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物および脂環族ジカルボン酸化合物の少なくともいずれかであることが好ましい。
Figure 2015063276
(式(IV)中、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わし、yは0または1を表わす。)
ポリアミド系ポリマーがポリアミド成分に由来するハードセグメント、ポリエーテル成分に由来するソフトセグメントを有するポリアミド系ポリマーであると、結晶性が低くなり、このため、破断伸びEBが高く、低温から高温領域まで柔軟性を示すポリアミド系ポリマーを得ることができる。
また、ポリアミド系ポリマーはタイヤ加硫温度(140〜180℃)で流動性が高まり、凹凸面との濡れ性が高まるため、隣接ゴムとの接着性においても優れた効果を発揮することができる。
本発明の一実施の形態において、ポリアミド系ポリマーは、公知のポリアミド系ポリマーを用いることができる。ポリアミド系ポリマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ナイロンからなるポリアミドブロックと、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンから選ばれる少なくとも1種のポリエーテルブロックとから構成されるエラストマーなどを用いることができる。
ポリアミド系ポリマーの製法に関しては特に限定されず、特開昭56−65026号公報、特開昭55−133424号公報、特開昭63−95251号公報等に開示されている方法を利用することができる。
(エチレン−ビニルアルコール共重合体)
本発明の一実施の形態において、ポリマー混合物はエチレン−ビニルアルコール共重合体を15質量%以上30質量%以下の範囲内で含むことが好ましい。ポリマー混合物中のエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量が15質量%以上であることにより、ポリマー組成物のガスバリアー性が確保される。また該含有量が30質量%以下であることにより、ポリマー組成物の作製時の混練性が確保されるとともに、タイヤのインナーライナー層において機械強度等の基本性能が確保され、タイヤの耐久性が向上する。該含有量は、さらに20質量%以上、さらに25質量%以上が好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン由来部位により、ポリマー混合物中の他の成分との相溶性が良好に付与され、エチレン−ビニルアルコール共重合体はポリマー組成物中に微細な分散サイズで存在することができる。一方、該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、ビニルアルコール由来部位の寄与により良好なガスバリアー性を有する。すなわち、本発明の一実施の形態においては、ポリマー組成物中に、ガスバリアー性に優れるエチレン−ビニルアルコール共重合体が微細なサイズで島状に分散していることにより、タイヤのインナーライナー層が薄くされた場合でも良好なガスバリアー性が発現される。これによりタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、下記式(V)
Figure 2015063276
(式中、mおよびnはそれぞれ独立して1〜100の整数であり、xは1〜1000の整数である。)で表わされるエチレン−ビニルアルコール共重合体であることが好ましい。
式(V)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体を構成するためにmおよびnは1以上の整数とされる。一方、mおよびnがそれぞれ100以下の整数であることにより、ポリマー混合物中の他の成分との相溶性とガスバリアー性とが両立されたエチレン−ビニルアルコール共重合体が得られる。ポリマー混合物中の他の成分との相溶性がより良好になる点で、mは、さらに5以上であることが好ましい。また、ガスバリアー性がより良好になる点で、nは、さらに5以上であることが好ましい。一方、ビニルアルコール由来部位によるガスバリアー性の効果を損なわないという観点から、mは、さらに95以下、さらに80以下であることが好ましい。また、エチレン由来部位によるポリマー混合物中の他の成分との良好な相溶性を損なわないという観点から、nは、さらに95以下、さらに80以下であることが好ましい。
式(V)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体を構成するためにxは1以上の整数である。一方、xが1000以下の整数であることにより、ポリマー組成物の作製時の混練性が確保され、エチレン−ビニルアルコール共重合体が均一に分散されたポリマー組成物が得られる。ポリマー混合物中の他の成分との相溶性およびガスバリアー性を良好にするという観点から、xは、10以上であることがさらに好ましい。また、混練性が良好であるという観点から、xは、500以下であることが好ましく、100以下であることがさらに好ましい。
式(V)で表されるエチレン−ビニルアルコール共重合体は、他の成分と共重合体を形成した状態でポリマー組成物中に含有されても良く、この場合のエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量とは、一般式(V)で表される構造部分の含有量を意味する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体の分子構造は、たとえば赤外吸収スペクトル(IR)や核磁気共鳴スペクトル(NMR)等により確認することができる。
(その他の配合剤)
本発明の一実施の形態で用いるポリマー混合物は、SIBSおよびポリアミド系ポリマーに加えて、他のポリマーまたは樹脂を含んでも良い。例えば、SIBSとポリアミド系ポリマーに加えて、ナイロン、PET、クロロブチルゴム、天然ゴム、エチレンプロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等を配合することができる。
<ポリマー組成物>
本発明の一実施の形態において、ポリマー組成物は、ポリマー混合物100質量部に対して、有機化処理粘土鉱物0.1質量部以上50質量部以下を含む。
(有機化処理粘土鉱物)
有機化処理粘土鉱物とは、有機化合物をインターカレートした層状粘土鉱物である。有機化合物が層状粘土鉱物の層間にインターカレートすることにより、層間が広がり、ポリマーへの分散性が向上する。
層状粘土鉱物は、層状珪酸塩鉱物の一種で、結晶構造は珪酸四面体層−アルミナ八面体層−珪酸四面体層の3層が積み重なっており、その単位層は厚さ約10Å(1nm)、広がり0.1〜1μmという極めて薄い板状になっている。
層状粘土鉱物の代表としてモンモリロナイトが挙げられる。モンモリロナイトは結晶構造中のアルミナ八面体層の中心原子であるAlの一部がMgに置換されることで陽電荷不足となり、各結晶層自体は負に帯電しているが、結晶層間にNa+・K+・Ca2+・Mg2+などの陽イオンを挟むことで電荷不足を中和し、安定状態となる。そのため、モンモリロナイトは結晶層が何層も重なり合った状態で存在している。
モンモリロナイトの板状結晶層表面に水が接触すると、層間の交換性陽イオンに水分子が水和し、層間が膨張する。また、モンモリロナイトの陽イオン交換性を利用して層間に有機化合物をインターカレートすることで、層間が広がり、有機溶媒やポリマーへの分散性が向上する。
層状粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト(特にナトリウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイトおよびカルシウムモンモリロナイト)、ベントナイト、カオリナイト、ノンライト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、サウコナイト、ソボカイト、スティブンサイト、スビンフォルダイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土などといったフィロシリケート類、イライトおよびイライト/スメクタイトの混合物(レクトライト、タロソバイト、レディカイトおよび前記粘土化合物とイライトとの混合物)などの雲母鉱物類またはアタパルジャイトおよびセピオライトハイドロタルサイト系層状化合物などが挙げられる。なかでもスメクタイト系粘土が好ましく、特にモンモリロナイト系粘土が好ましい。また、スメクタイト系粘土鉱物を含むベントナイトを用いても良い。これら層状粘土鉱物は一般には天然鉱物を採取して所定の精製操作を経て得られる。これらの合成粘土は区別なく使用できる。
インターカラントとして使用できる有機化合物としては、イオン化しやすい極性基を分子内に有する有機化合物が挙げられる。極性基を有する有機化合物は、スメクタイト系粘土鉱物の酸素イオンなど負イオンで覆われた層の表面との間で強い相互作用を起こし、層状粘土鉱物の層間へ入り込み(インターカレート)、層間を押し広げて膨張させるものと考えられている。
有機化合物としては、炭素原子を6個以上有するアルキル基を有し、末端にイオン化する極性基を有するものが好ましい。たとえば、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有するものや、アルデヒド類、アミン類、アミド類または4級アンモニウム塩が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する有機化合物としては、オクチルアルコール、ノニルアルコールなどの脂肪族アルコール、アルキル基が置換した芳香族アルコールなどのアルコール類のほか、フェノール類などが挙げられる。
カルボキシル基を有する有機化合物としては、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸などの直鎖状脂肪族、オレイン酸などの直鎖状アルケン酸、リノールエライジン酸などのジエン酸、トリエン酸などのポリ不飽和脂肪族酸などが挙げられる。
アルデヒド類としてはヘキシルアルデヒドなどが挙げられる。
アミン類またはアミド類としては、1以上のアミンまたはアミドを有する極性有機化合物、たとえばアルキルアミン、アミノシクロアルカンおよびアミノシクロアルカン置換体、環状脂肪族ジアミン、脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルジアリールアミン、脂肪族アミドなどが挙げられ、一級、二級、および/または三級アミンまたはアミドが含まれる。中でも、アルキルアミン、脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルジアリールアミンが好ましい。上記有機化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
好ましいアミン類としては、1−ヘキシルアミン、1−ヘプチルアミン、1−オクチルアミン、1−ノミルアミン、1−ドデシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、1−オクタデシルアミン、オレイルアミンなどの一級アミン、ジ−n−ドデシルアミン、ジ−n−ヘキサデシルアミン、ジ−n−オクタデシルアミンなどの二級アミン、ジメチル−n−オクチルアミン、ジメチル−n−デシルアミン、ジメチル−n−テトラデシルアミン、ジメチル−n−ヘキサデシルアミン、ジメチル−n−オクタデシルアミン、ジメチルオレイルアミンなどの三級アミン、ジ−n−デシルメチルアミンジココアルキルメチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ヘキサデシルアミンなどの脂肪族アミンが挙げられる。
好ましいアミド類としては、ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミド、ノニルアミド、ラウラミド、ミリスタミド、パルミタミド、ステラミド、パルミアミド、オレアミド、リノレアミドなどが挙げられる。
また、極性基を有する有機化合物としてニトリル基またはラクタム基を有するもの、ピリジン類、エステル類、界面活性剤類、エーテル類などを使用することもできる。
4級アンモニウム塩としては、たとえばジメチルジステアリルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルベンジルオクタデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
層状粘土鉱物に有機化合物をインターカレートする方法としては、公知の方法を採用することができる。たとえばモンモリロナイト系粘土鉱物と有機化合物とを接触させるために、予め層状粘土鉱物にその質量の10質量%から20倍程度の水を含ませて、その後有機化合物とモンモリロナイト系粘土鉱物とを接触させ、有機化処理粘土鉱物を得る方法がある。
有機化処理粘土鉱物中の有機化合物の陽イオン交換量は、50〜200meg/100gが好ましい。
有機化処理粘土鉱物の配合量は、ポリマー混合物100質量部に対して0.1質量部以上50質量部以下であり、さらに0.5質量部以上30質量部以下が好ましい。有機化処理粘土鉱物の配合量が0.1質量部未満であると、ポリマー組成物の空気透過性、高温時の引張特性が低下する。また、有機化処理粘土鉱物の配合量が50質量部を超えると、ポリマー組成物の硬度が大きくなりすぎて屈曲疲労性が低下する。
(その他の配合剤)
本発明の一実施の形態におけるポリマー組成物には、その他の補強剤、加硫剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、カップリング剤などの一般のポリマー組成物に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
(ポリマー組成物の作製方法)
本発明の一実施の形態におけるポリマー組成物は、所定の配合処方にしたがったポリマー混合物を、2軸押出機にてペレット化した後、Tダイ押出機またはインフレーション共押出機を用いて作製することができる。
<インナーライナー層の厚み>
インナーライナー層の厚みは、0.05mm以上0.5mm以下であり、0.2mm以上0.4mm以下が好ましい。インナーライナー層の厚みが0.05mm未満であると、生タイヤの加硫時に、インナーライナー層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じるおそれがある。一方、インナーライナー層の厚みが0.5mmを超えると、タイヤ重量が増加し、低燃費性能が低下する傾向にある。
インナーライナー層は、全域が略均一な厚みであってもよいが、空気漏れが起こりやすい領域に応じて、タイヤ子午線方向断面で厚みを変化させるようにしてもよい。このように空気漏れが起こりやすい領域に応じて厚さを調整することにより、空気漏れに伴う周辺のゴム部材の酸化劣化の抑制が可能になりタイヤ耐久性を向上することができる。
インナーライナー層の厚みは、たとえば、トレッド部に対応する領域以外の少なくとも一部の厚みが、トレッド部に対応する領域の厚みよりも大きいことが好ましい。
インナーライナー層のトレッド部に対応する領域とは、図1において、インナーライナー層11中、トレッド部1のタイヤ半径方向内側に位置する領域1’に該当する領域を意味する。また、インナーライナー層のトレッド部に対応する領域以外とは、たとえば、図1において、インナーライナー層11中、バットレス部10のタイヤ半径方向内側に位置する領域10’、サイドウォール部3のタイヤ半径方向内側に位置する領域3’、ビード部4のタイヤ半径方向内側に位置する領域4’を意味する。
サイドウォール部3およびトレッド部1の主溝9下は、ゴム部材の厚さが薄いため、空気透過量が多くなりやすい。また、ショルダー部2からバットレス部10の領域およびビード部4は、空気漏れが起きると周辺のゴム部材の酸化劣化により構成部材のタイヤ耐久性が低下しやすい。従って、これら領域の熱可塑性樹脂フィルム層を厚肉にすることにより、空気透過防止性を向上すると共に、ゴム部材の酸化劣化を抑制することにより耐久性を向上することができる。
インナーライナー層のトレッド部に対応する領域の厚みとは、たとえば図1では、インナーライナー層の領域1’の厚みを意味する。該厚みは0.05mm以上0.075mm未満にすることが好ましい。
インナーライナー層のトレッド部に対応する領域以外の厚みとは、たとえば図1では、インナーライナー層中のバットレス部のタイヤ半径方向内側に位置する領域10’の厚み、サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に位置する領域3’の厚み、ビード部のタイヤ半径方向内側に位置する領域4’の厚みを意味する。該厚みは0.05mm以上が好ましく、0.075mm以上がさらに好ましい。
インナーライナー層の厚さを部分的に厚くする方法は、特に限定されるものではなく、インナーライナー層を複数枚積層してもよいし、部分的に厚くなるように押出成形してもよい。
<保護ゴム層>
本発明の一実施の形態において、前記インナーライナー層のタイヤ内側に保護ゴム層が配置される。インナーライナー層の内側に保護ゴム層が配置されていることにより、極薄のインナーライナー層の損傷を防止することができる。
保護ゴム層はトレッド部に対応する領域の厚みが、トレッド部に対応する領域以外の厚みよりも大きい。このため、パンク修理作業においてタイヤ内面をバフ処理した場合でもインナーライナー層を損傷させないようにすることができる。また、保護ゴム層のトレッド部に対応する領域の厚みを大きくし、その他の領域の厚みを小さくすることにより、タイヤ重量の増加を抑制することができる。
保護ゴム層のトレッド部に対応する領域とは、図1において、保護ゴム層12中、トレッド部1のタイヤ半径方向内側に位置する領域1’に該当する領域を意味する。また、保護ゴム層のトレッド部に対応する領域以外とは、たとえば、図1において、保護ゴム層12中、バットレス部10のタイヤ半径方向内側に位置する領域10’、サイドウォール部3のタイヤ半径方向内側に位置する領域3’、ビード部4のタイヤ半径方向内側に位置する領域4’を意味する。
保護ゴム層のトレッド部に対応する領域の厚みとは、たとえば図1では、保護ゴム層の領域1’の厚みを意味する。該厚みは0.5mmより大きくすることが好ましく、1.0mm以上1.5mm以下にすることがさらに好ましい。
保護ゴム層のトレッド部に対応する領域以外の厚みとは、たとえば図1では、保護ゴム層中のバットレス部のタイヤ半径方向内側に位置する領域10’の厚み、サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に位置する領域3’の厚み、ビード部のタイヤ半径方向内側に位置する領域4’の厚みを意味する。該厚みは1.0mm未満が好ましく、0.2mm以0.5mm以下にすることがさらに好ましい。
保護ゴム層の厚さを部分的に厚くする方法は、特に限定されるものではなく、保護ゴム層を複数枚積層してもよいし、部分的に厚くなるように押出成形してもよい。
保護ゴム層のゴム成分としては、たとえば、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを用いることが好ましい。保護ゴム層は、前記ゴム成分に加えて、補強剤、加硫剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、カップリング剤などの一般のゴム組成物に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
<空気入りタイヤの製造方法>
空気入りタイヤは、本発明のポリマー組成物をインナーライナーに用いて、通常の方法によって製造される。インナーライナー層は、ポリマー組成物の配合成分を、Tダイ押出機(温度条件:130℃〜200℃)にてシート状(フィルム状)に押出加工し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼りあわせ、未架橋タイヤを形成する。この未架橋タイヤを加硫機中で加熱加圧することによって空気入りタイヤを製造できる。
<配合剤の準備>
SIBSとして、カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102(ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)」を準備した。
ポリアミド系ポリマーとして、宇部興産社製の「UBESTA XPA 9040(ショアーD硬度40)」を準備した。
エチレン−ビニルアルコール共重合体として、クラレ社製の「エバールE105」を準備した。
有機化処理粘土鉱物として、レオックス(Rheox)社製の「ベントン34(BENTONE34)」を準備した。ここで層状粘土鉱物は、ヘクトライト粘土鉱物、有機化合物はジメチルジステアリルアンモニウム塩であり、有機化合物の陽イオン交換量が100meg/100gである。
無機粘土鉱物として、クニミネ工業(株)の「クニピアF」(ベントナイト)を用いた。
<空気入りタイヤの製造>
表1の配合に従って、各種配合剤を2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃、フィルムゲージ:0.3mm)にて、表1〜表4に示す厚みを有するインナーライナー層を作製した。なお、表1〜表4中、厚み(mm)とは、インナーライナー層の各領域における平均厚みを意味する。
保護ゴム層は、ブチルゴム(空気透過係率が5.5×10−12cc・cm/cm・sec・cmHg)を用いて、表1〜表4に示す厚みを有するように作製した。
得られたインナーライナー層を95/65R15サイズのタイヤのインナーライナー部分に適用し、さらにインナーライナー層のタイヤ半径方向内側に保護ゴム層を貼り付けたのち、170℃で20分間プレス成形し、タイヤを作製した。
Figure 2015063276
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<性能評価>
得られたタイヤに関し、以下の性能評価をおこなった。
(タイヤ重量)
比較例57のタイヤ重量を基準(100)として、各配合のタイヤ重量を指数で表示した。この指数が大きいほど軽いことを意味する。
(耐空気透過性)
得られたタイヤをリム(22.5×7.50)に装着し、初期圧力900kPa、室温21℃、無負荷条件にて3ヶ月間静置する間、4日毎に内圧を測定した。初期圧力P0(kPa)、測定圧力Pt(kPa)、経過時間t(日)として、下記式(1)により回帰係数αを算出した。
Pt/P0=exp(−αt) (1)
得られた回帰係数αから、t=30(日)として、下記の式(2)により1ヶ月当たりの圧力低下率β(%/月)を算出した。
β=(1−exp(−αt))×100 (2)
得られたβの値を比較例57の値を基準(100)として、各配合の耐空気透過性能を指数で表示した。この指数が大きいほど、耐空気透過性能が優れていることを意味する。
(タイヤ耐久性)
得られたタイヤをリム(22.5×7.50)に装着し、JIS D4230に準拠する室内ドラム試験機(ドラム径1707mm)にかけて、酸素濃度60%に調製した空気を充填して空気圧をJATMA規定空気圧900kPaにし、JATMA規定負荷能力の150%を負荷し、速度81km/hの条件で、タイヤ故障を起こすまでの走行距離を測定した。得られた走行距離を比較例57の値を基準(100)として、各配合のタイヤ耐久性を指数で表示した。この指数が大きいほど、タイヤ耐久性が優れていることを意味する。100とする指数にした。
(ビード耐久性)
前記タイヤ耐久性試験を行なった後、故障が発生した空気入りタイヤを解体し、ビード部のチェーファーセパレーションの発生数を目視評価した。得られた結果を、比較例57の値を基準(100)として、各配合のビード耐久性を指数で表示した。この指数が大きいほど、ビード耐久性が優れていることを意味する。
(転がり抵抗性)
転がり抵抗性は、インナーライナー層と保護ゴム層を貼り付けた積層体を用いて測定した。積層体について、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例57のtanδを基準(100)として、各配合の転がり抵抗性を指数で表示した。この指数が大きいほど、転がり抵抗が低減されていることを意味する。
<評価結果>
実施例1〜5は、比較例57に比べて、タイヤ重量および耐空気透過性能が同等程度であり、タイヤ耐久性およびビード耐久性が向上した。転がり抵抗性は比較例57と同等であった。
実施例6〜10は、比較例57に比べて、耐空気透過性能、タイヤ耐久性およびビード耐久性が向上した。タイヤ重量および転がり抵抗性は比較例57と同等であった。
実施例11〜15は、耐空気透過性能、タイヤ耐久性およびビード耐久性が向上した。タイヤ重量および転がり抵抗性は比較例57と同等であった。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤのほか、トラック・バス用、重機用等の空気入りタイヤとして用いることができる。
1 トレッド部、2 ショルダー部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 カーカス層、6 ビードコア、7 ベルト層、10 バットレス部、11 インナーライナー層、12 保護ゴム層。

Claims (5)

  1. カーカス層と、前記カーカス層のタイヤ半径方向内側に配置されるインナーライナー層と、前記インナーライナー層のタイヤ半径方向内側に配置される保護ゴム層とを備える空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナー層は、スチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体60質量%以上99質量%以下と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1質量%以上40質量%以下とを含むポリマー混合物100質量部に対して、有機化処理粘土鉱物0.1質量部以上50質量部以下を含むポリマー組成物からなり、厚みが0.05mm以上0.5mm以下であり、
    前記保護ゴム層は、トレッド部に対応する領域の厚みが、トレッド部に対応する領域以外の厚みよりも大きい、空気入りタイヤ。
  2. 前記インナーライナー層は、トレッド部に対応する領域以外の少なくとも一部の厚みが、トレッド部に対応する領域の厚みよりも大きい、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ポリマー混合物が、エチレン‐ビニルアルコール共重合体15質量%以上30質量%以下を含む、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記スチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体がスチレン成分を10質量%以上30質量%以下の範囲で含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ポリアミド系ポリマーがポリアミド成分とポリエーテル成分からなるブロック共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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