JP2015062539A - インプラント - Google Patents

インプラント Download PDF

Info

Publication number
JP2015062539A
JP2015062539A JP2013198055A JP2013198055A JP2015062539A JP 2015062539 A JP2015062539 A JP 2015062539A JP 2013198055 A JP2013198055 A JP 2013198055A JP 2013198055 A JP2013198055 A JP 2013198055A JP 2015062539 A JP2015062539 A JP 2015062539A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
implant
container
ultrasonic wave
living body
bone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013198055A
Other languages
English (en)
Inventor
康之 本間
Yasuyuki Honma
康之 本間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP2013198055A priority Critical patent/JP2015062539A/ja
Publication of JP2015062539A publication Critical patent/JP2015062539A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Prostheses (AREA)
  • Surgical Instruments (AREA)

Abstract

【課題】インプラントに当接される骨において、超音波を生体外部から到達させることが困難な箇所への超音波の照射を可能にするインプラントの提供。
【解決手段】注入時には流動性を備え注入後に硬化する充填材の注入によって拡張変形可能に構成され、拡張変形後に少なくとも外表面の一部が骨に当接した状態で生体内に留置される容器と、生体外部から前記容器へ向けて照射された超音波を前記骨の側へ向けて反射する反射部と、を有するインプラントである。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体内に留置可能なインプラントに関する。
椎間板や靭帯等の後退性変性により脊柱管が狭窄する疾患として腰部脊柱管狭窄症がある。腰部脊柱管狭窄症は、腰痛、下肢痛、間欠性跛行等の症状を引き起こす。腰部脊柱管狭窄症の治療は、脊柱管を狭くしている部分の脊椎を部分的に切除する手術(椎弓切除術)や、脊椎を固定する手術(脊椎固定術)によるものが主流である。近年、椎弓切除術や脊椎固定術と比較して相対的に低侵襲な術式として、棘突起間に金属製のスペーサインプラントを留置することにより棘突起間の間隔を保持し、脊髄神経や神経根の圧迫を解除する方法が開発された。しかしながら、当該方法は、スペーサインプラントを棘突起間に留置するために背中の筋肉及び靭帯を切開する必要がある。従って、患者への侵襲度が依然として高く、入院も長期的になる。
このような課題に対して、より低侵襲に棘突起間にスペーサインプラントを挿入し、留置する方法が提案されている。例えば、下記に示す特許文献1には、充填材の充填によって拡張可能なバルーンをスペーサインプラントとして用いた方法が開示されている。当該方法では、バルーンが折りたたまれた状態で経皮的に棘突起間に挿入されるため、生体内への挿入を低侵襲に行うことができる。棘突起間に挿入された後、骨セメント等の充填材の充填によってバルーンが拡張される。充填材は充填後に硬化するため、バルーンは拡張された状態を保持することができる。その結果、バルーンが留置された棘突起間の間隔が保持される。
米国特許出願公開第2009/0118833号明細書
充填材の充填によって拡張可能なバルーンをインプラントとして用いる方法は、棘突起に限らず、種々の骨に対して適用することができる。インプラントとして機能するために、硬化後の充填材は、生体が動くことによって骨からインプラントに付与される圧力で容易に変形しないように所定の剛性を有する。そのため、インプラントに付与される圧力の反力として、インプラントに当接される骨には、生体の動きに応じてインプラントから応力負荷が繰り返し作用する。その結果、インプラントに当接される骨が損傷する可能性がある。また、骨が損傷しないように硬化後の充填材の剛性を低くしても、骨粗鬆症などにより骨の強度が低下することで同様に損傷する可能性がある。骨が損傷することによって、疼痛などが生じる。また、損傷によって骨が脆くなると近傍の骨や軟組織を支持する力を失い、インプラントを留置することにより保持されていた骨の位置が所定の位置からずれてしまう可能性がある。その結果、インプラントを利用した治療の有効性が低下する。
骨の損傷は自然に治癒し得るが、治癒するよりも早く損傷が進行してしまう場合がある。その結果、損傷が悪化するとともに、骨折に至ってしまう場合もある。骨の損傷の治癒を促進する低侵襲な方法として、一般に、超音波を照射する方法が知られている。当該方法では、骨の損傷箇所に生体の外部から超音波を照射することにより損傷の治癒を促進する。しかしながら、上述したような骨の損傷は、インプラントとの当接箇所において生じる。そして、インプラントとの当接箇所は、周辺を生体外部から照射された超音波が透過しにくい骨や軟組織などによって囲まれていることが多い。そのため、それらの部位に阻まれて、骨の損傷個所に生体の外部から超音波を照射することが困難なことが多い。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、インプラントに当接される骨において、超音波を生体外部から到達させることが困難な箇所への超音波の照射を可能にするインプラントの提供を目的とする。
上記の目的は、下記(1)〜(7)のいずれかの本発明により達成される。
(1)注入時には流動性を備え注入後に硬化する充填材の注入によって拡張変形可能に構成され、拡張変形後に少なくとも外表面の一部が骨に当接した状態で生体内に留置される容器と、生体外部から前記容器へ向けて照射された超音波を前記骨の側へ向けて反射する反射部と、を有するインプラント。
(2)前記容器および前記充填材は、前記超音波を透過する材料によって構成されており、前記反射部は、前記容器の内腔に少なくとも設けられる、(1)に記載のインプラント。
(3)前記反射部は、前記超音波の焦点を前記骨において形成するように前記超音波を反射する反射曲面を有する、(1)または(2)に記載のインプラント。
(4)前記反射部は、前記容器の拡張変形に伴って所定の形状に展開するように予め形状付けされた形状記憶性を有する、(1)〜(3)のいずれか1つに記載のインプラント。
(5)前記容器は、前記反射部をなす所定の流体が導入される導入空間を区画する区画部材と、前記導入空間内へ前記所定の流体を導入するための導入口と、を有する(1)〜(4)のいずれか1つに記載のインプラント。
(6)前記反射部は、前記容器の外周部に少なくとも設けられる、(1)〜(5)のいずれか1つに記載のインプラント。
(7)前記容器は、生体内の隣接する棘突起間に留置されることにより前記棘突起間の間隔を保持する間隔保持具を構成する、(1)〜(6)のいずれか1つに記載のインプラント。
上記(1)に記載の発明に係るインプラントは、容器に向けて照射された超音波を当該インプラントに当接される骨の側へ向けて反射することができる。そのため、インプラントに当接される骨において、超音波を生体外部から到達させることが困難な箇所への超音波の照射が可能になる。
また、上記(2)に記載の発明によれば、反射部が容器の内腔に収まる範囲で反射部の形状を容器の形状に関わらず自由に設定することができる。そして、容器に向けて照射された超音波の反射後の進行方向は、反射部の形状に応じて定まる。従って、当該発明によれば、インプラントに当接される骨において、容器に向けて照射された超音波が反射されて照射される箇所を選択的に設定することができる。
また、上記(3)に記載の発明によれば、反射部が超音波の焦点を骨において形成するように超音波を反射する反射曲面を有する。それにより、生体外部から照射された超音波を所定の部位に集中して照射できる。従って、当該発明によれば、より効果的に超音波による骨の損傷の治癒が促進される。
また、上記(4)に記載の発明によれば、反射部は、予め形状付けされた形状記憶性を有するため、容器の拡張変形に伴って所定の形状に展開する。それにより、展開のための追加の操作なしに反射部を展開させることができる。
また、上記(5)に記載の発明によれば、導入空間内に導入された流体が反射部をなす。反射部の超音波に対する反射特性は、導入される流体によって定まる。従って、当該発明に係るインプラントを生体内に留置する際に、導入空間内に導入される流体を選択することにより反射部の超音波に対する反射特性を選択的に設定することが可能になる。
また、上記(6)に記載の発明によれば、容器の外周を利用して反射部が構成される。そのため、容器に占める反射部の割合を効率的に増やすことができる。それにより、容器に照射される超音波のうち、インプラントに当接される骨の側に反射される超音波の割合を増加させることができる。その結果、より効果的に骨の損傷の治癒を促進することができる。
また、上記(7)に記載の発明によれば、容器が生体内の隣接する棘突起間に留置されることにより棘突起間の間隔を保持する間隔保持具を構成する。従って、当該発明に係るインプラントは、棘突起間の間隔を保持するのに好適に使用することができる。
本発明の第1実施形態に係るインプラントを説明するための概観斜視図である。 図1の2A−2A線に沿う断面図である。 図1の2B−2B線に沿う断面図である。 第1実施形態に係るインプラントの拡張前の様子を説明するための概観斜視図である。 第1実施形態に係るインプラントの拡張する様子を説明するための図であって、展開前の反射部を示す断面図である。 第1実施形態に係るインプラントの拡張する様子を説明するための図であって、展開中の反射部を示す断面図である。 第1実施形態に係るインプラントの拡張する様子を説明するための図であって、展開後の反射部を示す断面図である。 第1実施形態に係るインプラントが適用される生体の棘突起を説明するための図であって、生体の背中を模式的に示す図である。 第1実施形態に係るインプラントが適用される生体の棘突起を説明するための図であって、図4Aに示された棘突起の周辺部分を拡大して示す図である。 第1実施形態に係るインプラントが適用される生体の棘突起を説明するための図であって、生体の棘突起およびその周辺部を模式的に示す図である。 針組立体を示す図であって、穿刺部材が備えられた処置具の側面図である。 針組立体を示す図であって、処置具とともに用いられる補助部材の側面図である。 針組立体を示す図であって、処置具と補助部材を組み付けて構成される針組立体の側面図である。 生体に穿刺部材を穿刺する前の状態を示す図である。 生体に穿刺部材を穿刺した後の状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを生体内に導入した後の状態を示す図である。 補助部材を基端方向に引き戻し、補助部材から第1実施形態に係るインプラントを露出させた状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを拡張させた状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを留置した状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを留置した状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを使用した超音波による骨折治療の様子を説明する概略図である。 目標部位に第1実施形態に係るインプラントを留置した後の図であって、反射部の作用を説明する概略図である。 目標部位に第1実施形態の変形例に係るインプラントを留置した後の図であって、反射部の作用を説明する斜視図である。 第1実施形態の変形例に係るインプラントを説明する図であって、ガイド部材を説明する上断面図である。 第1実施形態の変形例に係るインプラントを留置した後の図であって、ガイド部材の作用を説明する上断面図である。 本発明の第2実施形態に係るインプラントの概観斜視図である。 第2実施形態に係るインプラントの側断面図である。 目標部位に第2実施形態に係るインプラントを留置した後の図であって、反射部の作用を説明する概略図である。 本発明の第3実施形態に係るインプラントの概観斜視図である。 第3実施形態に係るインプラントの側断面図である。 目標部位に第3実施形態に係るインプラントを留置した後の図であって、反射部の作用を説明する概略図である。 第3実施形態の変形例に係るインプラントの断面図である。 第3実施形態の変形例に係るインプラントの断面図である。 第3実施形態の変形例に係るインプラントの断面図である。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1及び図2は本発明の第1実施形態に係るインプラントの構成の説明に供する図であり、図5A〜図5Cは腰部脊柱管狭窄症の説明に供する図であり、図6〜図13はインプラントの留置手順の説明に供する図である。
本実施形態においては、腰部脊柱管狭窄症(腰部脊椎管狭窄症)の治療を目的として用いられる棘突起間の間隔保持用スペーサに本発明の第一実施形態に係るインプラント1が適用される場合を例に挙げて説明する。
まず、図5A〜図5Cを参照して腰部脊柱管狭窄症について説明する。図5Aは、生体の背中側から腰椎を透視した様子を模式的に示す図である。図5Bは、図5Aに示された棘突起の周辺部分を拡大して示す図である。図5Cは、腰椎の一部である棘突起の配列方向(背骨の延伸方向)と直交する方向における生体の断面(横断面)を模式的に示す図である。
生体120の背中121には背骨の延伸方向に沿って複数の腰椎126が配列されている。また、この腰椎126は、前半分の椎体125と後半分の椎弓板127とが椎弓根128を介して連結された構成を有している。椎弓板127には、棘突起123、肋骨(横)突起131、上関節突起132、下関節突起133などの各種の突起が形成されている。腰椎126は、正常では軽く生体120の前方側に弯曲した形となる。また、隣接する腰椎126は、椎間板(椎間円板)129を介して連結されており、ある腰椎126と当該腰椎126に隣接する腰椎126とは、椎間板129や、上関節突起132及び下関節突起133の間に存在する椎間関節等によってずれないようになっている。
例えば、スポーツなどで繰り返し腰椎126に負荷が掛かって疲労骨折等が生じたような場合には、椎弓根128の部分で椎体125と椎弓板127とが分離してしまう腰椎分離症や、椎間関節の変形や椎間板129の変性によって上側に位置する腰椎126が固定されにくくなり、ずれが生じる腰椎変性すべり症が引き起こされることがある。これら腰椎分離症や腰椎変性すべり症が生じたり、腰椎126の周囲に配置される靱帯が加齢に伴い変性したりすることにより、脊柱管が狭窄し、腰部脊柱管狭窄症の症状である間欠性跛行が引き起こされることがある。
上記のような腰部脊柱管狭窄症に対する治療方法として、隣接する2つの棘突起123間に間隔を保持するためのスペーサとして機能し得るインプラント1を留置することにより、脊柱管の狭窄を抑える治療方法が提案されている。本実施形態では、充填材20が充填された拡張変形可能な容器10を隣接する棘突起123間に留置してインプラント1として利用する例を説明する。
また、本実施形態に係るインプラント1には超音波151を所定の方向へ反射するための反射部30が設けられている(図1、図14を参照)。この反射部30を設けることにより、隣接する棘突起123間にインプラント1を留置させた状態において生体外部から容器に向けて照射された超音波151を棘突起123の所定の位置へ到達させることを可能にしている。
ここで、反射部30について説明する。
棘突起123においてインプラント1が当接される部位においては生体の動きに応じた応力負荷が作用し易くなるため、インプラント1が留置されることにより骨折等の損傷が招かれる虞がある。骨折等を治療する方法として、骨の損傷部位に対して超音波を照射して治癒を促進する超音波治療方法が一般的に知られている。インプラント1の留置に伴う棘突起123の損傷の治癒を促進する方法として、上記の超音波治療方法を採用することは可能である。しかしながら、棘突起123の治療に利用する場合、次のような理由により損傷部位に対して超音波151を作用させることが困難になる。
図14に示すように、隣接する棘突起123間にインプラント1を留置すると、棘突起123においてインプラント1が当接した部位(目標部位)は、棘突起123の表面側の部分123Sに囲まれた状態となる。このため、生体120の表面側から目標部位に向けて照射された超音波151は、棘突起123の表面側の部分123Sに照射される。一般的に、棘突起123の表面側の部分123Sに隣接する生体組織120Tの音響インピーダンスと棘突起123の音響インピーダンスは異なる。そして、超音波は、等しい音響インピーダンスを有する媒質間の境界面は透過するが、異なる音響インピーダンスを有する媒質間の境界面では反射されるという性質を有する。そのため、生体120の外部から棘突起123の目標部位に向けて照射された超音波151は、棘突起123の表面側の部分123Sにおいて反射される。従って、棘突起123の目標部位に対して超音波151を到達させて十分に作用させることができない。その結果、有効な治療効果を得ることができなくなる。このような理由により、本実施形態では、生体120の外部から照射された超音波151を棘突起123の目標部位に向けて反射させることにより目標部位に対して好適に超音波を作用させることを可能にする反射部30をインプラント1に設けている。
次に、本実施形態に係るインプラント1の全体構成について説明する。
本実施形態に係るインプラント1は、概説すると、図1及び図2に示すように、棘突起123間に留置可能なインプラント1であって、注入時には流動性を備え注入後に硬化する充填材20の注入によって拡張変形可能に構成され、拡張変形後に少なくとも外表面の一部が骨に当接した状態で生体内に留置される容器10と、生体120の外部から容器10へ向けて照射された超音波151(図14参照)を棘突起123の側へ向けて反射する反射部30と、を有する。以下、本実施形態に係るインプラント1について詳述する。なお、図面では、充填材20として後述する硬化剤21が用いられている場合を図示している。また、図1では、後述する長尺体40及び第1コネクタC1は省略している。
インプラント1は、収縮させた状態で生体120内へ導入され、棘突起123近傍の留置目標位置へ位置決めされた後、充填材20による拡張作業を円滑に行うために造影剤90(不図示)によって予備的に拡張されて(以下、プレ拡張と称する場合がある)、造影剤90が排出された後に、充填材20が導入されることによって再拡張され、拡張された状態で生体120内へ留置される(図12、図13参照)。
インプラント1は、上述したように、容器10と、反射部30と、を有する。また、インプラント1の充填材20の導入方向の近位側には、図2Aに示すように、長尺体40から充填材20または造影剤90が導入されるための注入口1aが設けられている。
容器10は、長尺体40を介して導入される充填材20又は造影剤90によって拡張される。容器10は、生体120の棘突起123間に配置可能な胴部11と、胴部11よりも充填材20の導入方向の近位側(図1の上側)に配置される一の側部12と、胴部11よりも充填材20の導入方向の遠位側(図1の下側)に配置される他の側部13と、を有する。拡張後の容器10は、図1に示すように、外形形状がダンベル型(略H型)形状となる。胴部11において、隣接する棘突起123の間隔が保持され、一の側部12及び他の側部13において棘突起123が挟み込まれる(図12、図13参照)。したがって、インプラント1を留置後、インプラント1に位置ずれが生じることを防止できる。
容器10は、充填材20または造影剤90が注入されて拡張でき、かつ周囲の組織である棘間靱帯や黄色靱帯、棘突起123などの組織及び椎体125の移動に伴う外圧に耐えることができる材料で構成される。そして、容器10は、生体組織120Tを介して入射される超音波151を透過できるように、生体組織120Tの音響インピーダンスと可能な限り等しい音響インピーダンスを有する材料により構成することが好ましい。このような材料として、例えば、塩化ビニル、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、スチレンーエチレンーブチレンースチレン共重合体(SEBS)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン共重合体(SEPS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ナイロンなどのポリアミド樹脂及びポリアミドエラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂及びポリエステルエラストマー、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、ゴム、シリコーンエラストマー、フッ素ゴム、フッ素樹脂などを使用することができる。
また、容器10はX線造影性を有することが望ましい。容器10にX線造影性を付与する方法は既存の方法を適宜適用することができるが、例えば白金などのマーカーを容器10に設置してもよい。容器10にX線造影性を付与することにより、容器10が棘突起123間に配置される状態をX線透視下で確認することができる。例えば、容器10がポリアミドエラストマーなどの熱可塑性樹脂を用いてブロー成型で成形される場合、硫酸バリウム等の放射線不透過物質をあらかじめ熱可塑性樹脂に混練しておき、この混練樹脂を用いて容器10を成形することもできる。また、容器10がPET繊維等の織物で作製される場合、硫酸バリウム等の放射線不透過物質をあらかじめPET樹脂に混練しておき、この混練樹脂を用いて紡績したPET繊維により容器10の全部もしくは一部を成形することもできる。また、容器10内に導入される充填材20がX線造影性を有していてもよい。
造影剤90を排出した後におけるインプラント1の拡張は、固体や流体(気体、液体、ゲル)等の各種の充填材20をインプラント1に充填することによってなされる。充填材20は、容器10を介して入射される超音波151を透過できるように、容器10の音響インピーダンスと可能な限り等しい音響インピーダンスを有する材料により構成することが好ましい。また、拡張状態を長期に亘って維持させるために、固体、またはインプラント1への導入時には流動体で導入後に硬化する硬化剤21を充填材20として用いることが好ましい。
さらに、充填材20は、下記特性の少なくとも一つを有することが好ましい:(a)患者に安全である;(b)組織への損傷が少ないもしくはない;(c)患者の体温に近い温度(約35〜42℃)で硬化可能である;(d)収縮や拡張が起こらず、硬化した形状を維持できる;(e)注入してから1〜60分、好ましくは5〜30分、より好ましくは10分以内に硬化する;(f)溶媒として水、緩衝溶液、生理食塩液、造影剤、またはオリーブ油、ひまし油などの油脂類が使用できる。
充填材20として用いられる流体は、例えば、生理食塩水、造影剤、オリーブ油、ひまし油、プロスタグランジンE1製剤、ステロイド剤、ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、抗炎症剤、鎮痛薬、麻酔薬、ゼラチン、寒天、デンプン、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、ポリオキシエチレン系などの合成ポリマー系、ポリアクリル酸ナトリウム、ハイドロゲルなどの吸水性材料、血液、骨、筋肉、その他細胞、またはそれらの粉末、プロテアーゼなどにより溶解した溶液、ポリ乳酸、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジオキサノン、ポリ乳酸グリコール酸共重合体、またはメチルセルロース、多糖など生体材料または生体吸収性材料、ポリビニルアルコールとホウ酸との混合物などが挙げられる。または、これら材料を公知の方法により溶解した溶液を使用することもできる。
充填材20として用いられる固体は、例えば、粒状のポリマー、粒状のセラミックなどが挙げられる。インプラント1内へ導入された後、インプラント1の留置された状態が体動により損なわれることなく維持されるため、インプラント1を拡張させた状態で長期にわたって棘突起123間のスペーサとして機能させることができる。
硬化剤21を構成する材料は、容器10を介して入射される超音波151を透過できるように、容器10の音響インピーダンスと可能な限り等しい音響インピーダンスを有する材料により構成することが好ましい。硬化剤21の具体例としては、(g)二液混合架橋ポリマー;(h)ホットメルト接着剤;(i)ウレタンエラストマー;(j)光硬化性樹脂;(k)アクリル系樹脂などが挙げられる。
上記(g)において、二液混合架橋ポリマーとしては、芳香族ジエポキシド樹脂または脂肪族ジエポキシド樹脂と、アミン化合物が挙げられ、反応性基を有する液状のポリオルガノシロキサンと、架橋剤と、硬化触媒と、の組み合わせが好ましい。前記ポリオルガノシロキサンとしては、主鎖シロキサンの官能基にメチル基、ビニル基、水酸基、ケトン基等を有するものが挙げられるが、付加型としてビニル基を有するものが好ましい。また架橋剤としては、水素基を持ったポリシロキサン等が用いられる。触媒としては、白金化合物、有機金属系化合物等が用いられる。さらに、反応制御剤、補強用シリカ、その他の充填材かつ/または添加材等を含有してもよい。
上記(h)において、ホットメルト接着剤としては、水と反応して硬化できる材料と水との組み合わせ、またはEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)系、PO(ポリオレフィン)系、PA(ポリアミド)系、SR(合成ゴム)系、ACR(アクリル)系、PUR(ポリウレタン・湿気硬化型)系等が挙げられる。
上記(i)において、ウレタンエラストマーとしては、ポリオールと芳香族ポリイソシアネートとから誘導される重合体が好ましい。
上記(j)において、光重合性モノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、エチレン性不飽和カルボン酸など挙げられ、重合促進剤、架橋剤、光重合開始剤などを必要により使用することができる。
上記(k)において、アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどのモノマーを公知の方法で重合したものが挙げられる。
導入時には流動体で導入後に硬化する硬化剤21を充填材20として用いることにより、充填材20に固体を用いる場合と同様にインプラント1を拡張させた状態で長期にわたって棘突起123間のスペーサとして機能させることができる。
なお、容器10に充填材20又は造影剤90を導入する長尺体40を構成する材料は、特に制限されないが、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、コバルトクロムまたはコバルトクロム合金のような金属材料、塩化ビニル、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、スチレンーエチレンーブチレンースチレン共重合体(SEBS)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン共重合体(SEPS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ナイロンなどのポリアミド樹脂及びポリアミドエラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂及びポリエステルエラストマー、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、ゴム、シリコーンエラストマー、フッ素ゴム、フッ素樹脂などの軟性材料を用いることができる。
反射部30は、容器10の内腔に設けられている。図15に示すように、反射部30は、棘突起123において容器10との当接箇所に焦点F1を有する放物面(回転放物面)から構成される反射曲面31を有する。
反射部30は、充填材20を介して入射される超音波151を反射することができるように、充填材20の音響インピーダンスと可能な限り異なる音響インピーダンスを有する材料により構成することが好ましい。さらに、反射部30は、容器10の拡張変形に伴って所定の形状に展開するように予め形状付けされた形状記憶性を有する材料で構成されていることが好ましい。そのような形状記憶性を有する材料としては、例えば、Ni-Ti合金、Cu-Zn-Al合金、ゴムメタルがある。
図3は、拡張前のインプラント1を示す。拡張前において、反射部30は図3に示すように容器10の内腔において折りたたまれた状態にある。容器10へ充填材20が充填されるのに伴って容器10は拡張する。それに伴って、折りたたまれていた反射部30も図4に示すように展開していく。図4Aは折りたたまれた状態の反射部30を示す断面図。図4Cは、展開後の反射部30を示す断面図。そして、図4Bは、展開中の反射部30を示す断面図である。反射部30は、拡張変形に伴って所定の形状に展開するように予め形状付けされた形状記憶性を有しているため、展開後に所定の形状になる。反射部30は、固定部32を介して容器10に固定されている。
本実施形態に係るインプラント1は、上述した材料や形成方法により形成することができる。例えば、樹脂製のチューブをブロー成形することにより容器10を製造する。そして、形状記憶合金を溶解して金型に流し込んで冷却することにより成型後、熱処理によって形状記憶性を付して形状記憶合金製の反射部30を製造する。その後、製造した反射部30を、注入口1aを介して折りたたんだ状態で容器10内に挿入する。そして、固定部32を介して反射部30を容器10に固定することによりインプラント1を製造することができる。
次に、本実施形態に係るインプラント1の留置手順を、図6〜図13を参照して説明する。
まず、インプラント1を生体120内に留置する作業を行う術者は、図6A〜図6Cに示すように、処置具60と補助部材70とによって構成される針組立体50を準備する。
図6A〜図6Cには、穿刺部材61を備える処置具60と、処置具60とともに用いられる補助部材70と、処置具60及び補助部材70を組み合わせて構成される針組立体50とが示される。この針組立体50は、隣接する棘突起123間へインプラント1を導入するために使用することができる(図7、図8参照)。
図6Aに示すように、処置具60は、所定の曲率で湾曲した穿刺部材61と、穿刺部材61の基端側に設けられた把持部63とを有している。穿刺部材61は、このように他の部材と組み合わせて使用されるものであってもよいし、例えば、穿刺部材61のみによって湾曲針や穿刺具等の処置具を構成するものであってもよい。
穿刺部材61は、基端側から先端側へ向けて外径が徐々に細くなるように構成されており、その先端には針先65が形成されている。処置具60の把持部63は、処置具60の使用に際して、使用者が把持することができるように構成されていればよく、図示される構造に限定されることはない。
穿刺部材61は、把持部63に対して接続・分離可能に構成することができる。穿刺部材61と把持部63とを接続・分離可能にする構成としては、例えば、穿刺部材61の基端を把持部63に対してネジ留めや嵌め込みによって機械式に接続する構成を採用することができる。
穿刺部材61を構成する材料は、生体120に穿刺可能な材料であればよく、特に限定されないが、例えば、SUS、チタン、マグネシウム、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、などの金属材料や、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネートウレタン(PCU)、強化ポリフェニレン(SRP)、炭素またはガラス繊維強化ポリマー、などの樹脂材料を挙げることができる。
把持部63を構成する材料としては、特に限定されないが、所定の金属材料や、硬質のプラスチック材料などを使用することができる。
図6Bに示すように、補助部材70は、処置具60の穿刺部材61と略同一の曲率で湾曲した挿入部71と、挿入部71の先端側に形成された先端開口部73aと、挿入部71の基端側に形成された基端開口部73bと、挿入部71の基端側に設けられ、処置具60の把持部63に対して接続・分離可能な接続部75と、挿入部71の内部に形成されたルーメン77とを有するように構成することができる。
補助部材70の挿入部71を構成する材料としては、例えば、先に説明した処置具60の穿刺部材61と同様の材料を使用することができる。
図6Cに示すように、補助部材70のルーメン77内には処置具60の穿刺部材61を挿入することができる。補助部材70の挿入部71の長さは、穿刺部材61の長さよりも短く形成されている。このため、穿刺部材61がルーメン77内に挿入された状態では、補助部材70の先端開口部73aから穿刺部材61の針先65が所定の長さだけ露出される。
また、ルーメン77内に穿刺部材61を挿入した状態とすることにより、処置具60に設けられた連結部67と補助部材70に設けられた接続部75とを介して処置具60と補助部材70とを組み付けることが可能になっている。補助部材70の接続部75は、例えば、処置具60の連結部67に対して嵌合により機械的に接続できるように構成されているが、処置具60に対して接続・分離可能に構成されていれば特にその構成は限定されない。
次に、術者は、図7に示すように、生体120の上側の所定の位置に針組立体50を準備する。なお、補助部材70に挿入された穿刺部材61は図中において簡略化して示している。
次に、図8に示すように、生体120に対して穿刺部材61の針先65を刺入し、補助部材70の先端開口部73aが棘突起123を越えて穿刺方向の遠位側(図中の左側)に到達する位置まで穿刺部材61を移動させる。
次に、処置具60を補助部材70から分離させ、穿刺部材61を補助部材70のルーメン77から抜去する。
次に、図9に示すように、インプラント1を、補助部材70のルーメン77を介して生体120内に導入し、棘突起123間に対向する位置まで案内する。インプラント1の導入に先立ち、長尺体40とインプラント1とを連結させる。長尺体40とインプラント1との連結は、上述したように第1コネクタC1を介して接続することによって行う(図1参照)。長尺体40と容器10は、第1コネクタC1によって液密・気密に連結される。第1コネクタC1はネジ勘合や一方弁など、公知の構造を用いることができる。
次に、図10に示すように、補助部材70を基端方向に引き戻し、補助部材70からインプラント1を露出させる。このとき、補助部材70の先端を生体120内に穿刺した状態としてもよいし、図10に示すように、生体120外に完全に抜去した状態としてもよい。
次に、図11に示すように、容器10内へ長尺体40を介して造影剤90を導入することによってインプラント1をプレ拡張させる。このとき、反射部30は、容器10の拡張に伴って図4A〜図4Cに示すように展開する。造影剤90の容器10への導入は、造影剤用供給装置51によって行われる。造影剤用供給装置51には、公知のインデフレーターなどを使用することができる。また、造影剤用供給装置51を使用する場合、第2コネクタC2を介して長尺体40と造影剤用供給装置51との接続が液密・気密に行われる。すなわち、造影剤90は造影剤用供給装置51によって、長尺体40を介して容器10内に導入される。
造影剤90を導入して容器10をプレ拡張させた状態で、X線透視を行うことにより、インプラント1の導入位置や最終的な拡張形状を確認することができる。
次に、容器10内から長尺体40を介して造影剤90を排出することによってインプラント1を収縮させる。このとき、図10に示す状態となる。そして、反射部30は、図4Aに示すように折りたたまれた状態に戻る。
次に、第2コネクタC2に連結される造影剤用供給装置51を充填材用供給装置52に取り換え、容器10内へ長尺体40を介して充填材20を導入することによってインプラント1を拡張させる。このとき、図11に示す状態となる。また、反射部30は、容器10の拡張に伴って図4A〜図4Cに示すように再び展開する。展開後、反射部30は、展開した状態を維持する。充填材20の容器10への導入は、充填材用供給装置52によって行われる。充填材用供給装置52には、公知のインデフレーターなどを使用することができる。
なお、上述した充填材用供給装置52は充填材20が流動体であるときに用いられる。充填材20が流動性を有していない場合は、充填材用供給装置52を用いずに、インプラント1内へ充填材20を流し込んだり、押し込んだり、または噴霧することによって導入を行うことが可能である。この場合も、反射部30は、容器10の拡張に伴って図4A〜図4Cに示すように展開する。
次に、術者は、容器10と長尺体40との連結を解除し、長尺体40、補助部材70の順に、または長尺体40及び補助部材70を同時に生体120内から抜去し、図12、図13に示すように、生体120内にインプラント1を留置する。このとき、第1コネクタC1も、長尺体40に付随して生体120内から抜去される。インプラント1は、棘突起123の間に留置され、棘突起123間の間隔を保持するためのスペーサとして作用する。
インプラント1を棘突起123間に留置した後、任意のタイミングで本実施形態に係るインプラント1を使用して、棘突起123の損傷の治癒を促進する治療を行うことができる。図14及び図15は、本実施形態に係るインプラント1を使用した超音波治療の様子を示す概略図である。図15では、充填材20を省略して示している。
図14及び図15に示すように、超音波照射装置150を使用して、棘突起123間に留置されているインプラント1に向けて超音波151を照射する。超音波照射装置150には、超音波151の出射端となるプローブ152が備えられた公知の超音波骨折治療装置を使用することができる。図14に示した超音波照射装置150は、超音波151の出射を操作するコントローラー153を有する。コントローラー153を操作することにより、プローブ152から超音波151を任意のタイミングで生体120内に出射させることができる。
インプラント1に向けて照射された超音波151は、反射部30の反射曲面31によって棘突起123の側へ向けて反射される。上述したように、反射曲面31は、棘突起123において容器10との当接箇所に焦点F1を有する放物面から構成される。そのため、反射曲面31によって反射された超音波151は、棘突起123において容器10との当接箇所に焦点を形成するように照射される。その結果、棘突起123において超音波151が照射された箇所の損傷の治癒を効率的に促進することができる。
本実施形態に係るインプラント1を使用することにより、以下のような治療方法を提供することが可能になる。
(i)硬化した充填材により拡張変形した状態が維持されており、かつ、外表面の少なくとも一部が骨に当接した状態で生体内に留置されたインプラントへ向けて超音波を照射し、前記インプラントに設けられた反射部により前記超音波を反射させて、前記骨において前記インプラントが当接した部位に対して前記超音波を照射させる、超音波治療方法。
(ii)隣接する棘突起間に留置された前記インプラントへ向けて超音波を照射し、隣接する前記棘突起の少なくとも一方の棘突起に対して前記超音波を照射させる、超音波治療方法。
上述したように、本実施形態に係るインプラント1は、容器10に向けて照射された超音波151をインプラント1に当接される棘突起123の側へ向けて反射することができる。そのため、インプラント1に当接される棘突起123において、超音波151を生体120の外部から到達させることが困難な箇所への超音波151の照射が可能になる。
また、本実施形態によれば、反射部30が容器10の内腔に収まる範囲で反射部30の形状を容器10の形状に関わらず自由に設定することができる。そして、容器10に向けて照射された超音波151の反射後の進行方向は、反射部30の形状に応じて定まる。従って、本実施形態によれば、インプラント1に当接される棘突起123において、容器10に向けて照射された超音波151が反射されて照射される箇所を選択的に設定することができる。
また、本実施形態によれば、反射部30が超音波151の焦点F1を棘突起123において形成するように超音波151を反射する反射曲面31を有する。それにより、生体120の外部から照射された超音波151を所定の部位に集中して照射できる。従って、本実施形態によれば、より効果的に超音波151による棘突起123の損傷の治癒が促進される。
また、本実施形態によれば、反射部30は、予め形状付けされた形状記憶性を有するため、容器10の拡張変形に伴って所定の形状に展開する。それにより、展開のための追加の操作なしに反射部30を展開させることができる。
また、本実施形態によれば、容器10が生体120内の隣接する棘突起123間に留置されることにより棘突起123間の間隔を保持する間隔保持具を構成する。従って、本実施形態に係るインプラント1は、棘突起123間の間隔を保持するのに好適に使用することができる。
<変形例1>
前述した第1実施形態の反射部30の構成は、生体120の外部から照射された超音波151を反射して棘突起123に超音波151を照射できるものであれば、特に限定されない。
例えば、反射部30は、複数の反射曲面を有していてもよい。図16は、反射部30が、一の棘突起123a(図16中の左側に示す棘突起)において容器10との当接箇所に焦点F1を有する放物面から構成される反射曲面33と、他の棘突起123b(図16中の右側に示す棘突起)において容器10との当接箇所に焦点F2を有する放物面から構成される反射曲面34とを有する場合を示す。当該構成によれば、インプラント1に向けて照射された超音波151の一部は反射部30の反射曲面33によって反射されて、一の棘突起123aにおいて容器10との当接箇所に焦点を形成するように照射される。また、インプラント1に向けて照射された超音波151の他の一部は、反射部30の反射曲面34によって反射されて、他の棘突起123bにおいて容器10との当接箇所に焦点を形成するように照射される。このように、インプラント1に向けて照射された超音波151を複数の部位に集中して照射することができるため、超音波151による骨の損傷の治癒をより一層効率的に促進することができる。
<変形例2>
さらに、前述した第1実施形態及び変形例1に係るインプラント1は、図17及び図18に示すように、反射部30を折りたたんで格納するガイド部材80を有していてもよい。ガイド部材80には、長尺状の操作部材81が取り付けられている。長尺状の操作部材81は、長尺体40を介して生体120の外部から操作することができる。図18に示すように、反射部30は、容器10の拡張後、ガイド部材80を長尺状の操作部材81によって矢印の方向に移動させることで展開する。ガイド部材80及び長尺状の操作部材81は、反射部30を展開させた後に、長尺体40を介して生体120の外部へ取り出される。あるいは、長尺体40を生体120の外部へ取り出すときに合わせて、ガイド部材80及び長尺状の操作部材81も一緒に取り出してもよい。
当該構成によれば、反射部30は、容器10の拡張後、ガイド部材80を移動させることによって展開する。従って、容器10の拡張に伴って展開させることが難しい形状を有する反射部30であっても、容易に展開させることが可能になる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るインプラント200を説明する。第1実施形態において説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係るインプラント200は、容器210と反射部230の構成が第1実施形態に係るインプラント1と相違する。
図19〜図21を参照して、第2実施形態に係るインプラント200の容器210は、反射部230をなす所定の流体231が導入される導入空間232を区画する区画部材211と、導入空間232内へ前記所定の流体231を導入するための導入口212と、を有する。また、容器210には、導入口212から導入空間232に連通するルーメン213が設けられている。なお、図面では、充填材20として硬化剤21が用いられている場合を図示している。また、図19では、長尺体40及び第1コネクタC1は省略している。
容器210の材料は、第1実施形態の容器10の材料と同様のものを使用することができる。
区画部材211は、膜により構成されている。区画部材211の材料は、充填材20を介して入射される超音波151を透過できるように、充填材20の音響インピーダンスと可能な限り等しい音響インピーダンスを有する材料により構成することが好ましい。このような材料として、例えば、第1実施形態の容器10の材料と同様のものを使用することができる。
導入口212は、容器210の側部12に設けられている。導入口212には、第3コネクタC3を介して長尺体241が接続される。長尺体241と容器10は、第3コネクタC3によって液密・気密に連結される。反射部230をなす所定の流体231は、長尺体241から導入口212及びルーメン213を介して導入空間232内に導入される。
反射部230をなす所定の流体231は、区画部材211を介して入射される超音波151を反射することができるように、区画部材211の音響インピーダンスと可能な限り異なる音響インピーダンスを有する材料により構成することが好ましい。このような材料として、例えば、空気、窒素、酸素、二酸化炭素などの気体を使用することができる。また、X線不透過性造影剤を用いてもよい。X線不透過性造影剤として、例えば、形態水溶性ヨード製剤、油性ヨード製剤などが挙げられる。
第2実施形態に係るインプラント200の留置方法は第1実施形態と同じであるため省略する。
インプラント200を目標部位に留置した後、任意のタイミングで本実施形態に係るインプラント200を使用して、棘突起123の損傷の治癒を促進する治療を行うことができる。図21は、本実施形態に係るインプラント200を使用した超音波治療の様子を示す概略図である。図21では、充填材20は省略している。図21に示すように、超音波照射装置150を使用して、棘突起123間に留置されているインプラント200に向けて超音波151を照射する。照射された超音波151は、反射部230をなす流体231によって反射されて、棘突起123において容器210との当接箇所に照射される。棘突起123において超音波151が照射された部位の損傷の治癒がより一層効率的に促進される。
上述したように、本実施形態によれば、導入空間232内に導入された流体231が反射部230をなす。反射部230の超音波151に対する反射特性は、導入される流体231によって定まる。従って、本実施形態に係るインプラント200を生体120内に留置する際に、導入空間232内に導入される流体231を選択することにより反射部230の超音波151に対する反射特性を選択的に設定することが可能になる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るインプラント300を説明する。第1実施形態において説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態に係るインプラント300は、容器310と反射部330の構成が第1実施形態に係るインプラント1と相違する。
図22及び図23を参照して、第3実施形態に係るインプラント300の容器310の外周の一部が反射部330をなす。なお、図面では、充填材20として硬化剤21が用いられている場合を図示している。また、図22では、長尺体40及び第1コネクタC1は省略している。
容器310の材料は、第1実施形態の容器10の材料と同様のものを使用することができる。
反射部330は、充填材20を介して入射される超音波151を反射することができるように、充填材20の音響インピーダンスと可能な限り異なる音響インピーダンスを有する材料により構成することが好ましい。このような材料として、例えば、SUS、チタン、マグネシウム、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、などの金属材料や、Ni-Ti合金、Cu-Zn-Al合金、ゴムメタル、などの形状記憶金属材料を使用することができる。
第3実施形態に係るインプラント300の留置方法は第1実施形態と同じであるため省略する。
インプラント300を目標部位に留置した後、任意のタイミングで本実施形態に係るインプラント300を使用して、棘突起123の損傷の治癒を促進する治療を行うことができる。図24は、本実施形態に係るインプラント300を使用した超音波治療の様子を示す概略図である。図24では、充填材20を省略して示している。図24に示すように、超音波照射装置150を使用して、棘突起123間に留置されているインプラント300に向けて超音波151を照射する。照射された超音波151は、反射部330によって反射されて、棘突起123において容器310との当接箇所に照射される。棘突起123において超音波151が照射された箇所の損傷の治癒が促進される。
上述したように、本実施形態によれば、容器310の外周を利用して反射部330が構成される。そのため、容器310に占める反射部330の割合を効率的に増やすことができる。それにより、容器310に照射される超音波151のうち、インプラント300に当接される棘突起123の側に反射される超音波151の割合を増加させることができる。その結果、より効果的に棘突起123の損傷の治癒を促進することができる。
なお、反射部330の構成は、生体120の外部から照射された超音波151を棘突起123の側へ向けて反射するものであれば特に限定されない。図25及び図26に示すように、容器310の内面又は外面の少なくとも一部に反射部330を設けてもよい。図25及び図26では、充填材20を省略して示している。当該構成によっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、容器310の外周が複数の層で構成されている場合、当該複数の層の少なくとも1部が反射部330をなしていてもよい。例えば、図27は、容器310の外周が内層314、中層315及び外層316の3つの層で構成されている場合を示している。この場合、内層314、中層315及び外層316の少なくとも一部が反射部330をなしていてもよい。
また、この場合において、容器310の内面をなす層と、容器310の外面をなす層に挟まれた層の一部が反射部330をなすときには、当該反射部330は流体で構成されていてもよい。例えば、図27に示すように容器310の外周が上述した3つの層で構成されている場合において、中層315の一部が反射部330をなすとき、反射部330は流体で構成されていてもよい。この場合、第2実施形態の反射部230をなす流体231と同様の材料により反射部330を構成することができる。反射部330をなす領域への流体の導入は、第2実施形態と同様の構成で行うことができる。すなわち、容器310に導入口212及び導入口212から反射部330をなす領域へと連通するルーメン213を設けることにより、導入口212及びルーメン213を介して反射部330をなす流体を導入することができる。当該構成によっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本願発明に係るインプラントを実施形態及び各変形例を通じて説明したが、本願発明に係るインプラントはこれらの構成のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することが可能である。
例えば、第1実施形態の反射部30、第2実施形態の反射部230、そして第3実施形態に係る反射部330を選択的に組み合わせて1つの容器310に設けてもよい。当該構成によって、生体120の外部から照射された超音波151を反射して、選択的に棘突起123の異なる複数の部位に超音波151を照射できる。
上述した実施形態及び変形例によって奏される効果は、棘突起間に留置した場合に限らない。例えば、頭蓋骨、頸椎、肩峰下、肋骨、恥骨等の骨間、変形性関節症や肩板損傷等により拡張を必要とする軟骨間、スポーツ障害や手術などにより欠損した軟骨内、髄腔内や骨折や手術等により発生した骨腔内、または筋肉内、靭帯内、脈管内、消化管内等に配置された場合においても同様の効果を奏する。すなわち、生体の骨に当接して留置されるインプラントであれば、どのようなインプラントにおいても上述した実施形態及び変形例によって奏される効果が発揮される。
1 インプラント、
10、210、310 容器、
20 充填材、
21 硬化剤、
30、230、330 反射部、
80 ガイド部材、
90 造影剤、
100 被検者、
120 生体、
121 背中、
123 棘突起、
130 生体表面、
151 超音波、
211 区画部材、
212 導入口、
232 導入空間。

Claims (7)

  1. 注入時には流動性を備え注入後に硬化する充填材の注入によって拡張変形可能に構成され、拡張変形後に少なくとも外表面の一部が骨に当接した状態で生体内に留置される容器と、
    生体外部から前記容器へ向けて照射された超音波を前記骨の側へ向けて反射する反射部と、を有するインプラント。
  2. 前記容器および前記充填材は、前記超音波を透過する材料によって構成されており、
    前記反射部は、前記容器の内腔に少なくとも設けられる、請求項1に記載のインプラント。
  3. 前記反射部は、前記超音波の焦点を前記骨において形成するように前記超音波を反射する反射曲面を有する、請求項1または請求項2に記載のインプラント。
  4. 前記反射部は、前記容器の拡張変形に伴って所定の形状に展開するように予め形状付けされた形状記憶性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインプラント。
  5. 前記容器は、前記反射部をなす所定の流体が導入される導入空間を区画する区画部材と、
    前記導入空間内へ前記所定の流体を導入するための導入口と、を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のインプラント。
  6. 前記反射部は、前記容器の外周部に少なくとも設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインプラント。
  7. 前記容器は、生体内の隣接する棘突起間に留置されることにより前記棘突起間の間隔を保持する間隔保持具を構成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインプラント。
JP2013198055A 2013-09-25 2013-09-25 インプラント Pending JP2015062539A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013198055A JP2015062539A (ja) 2013-09-25 2013-09-25 インプラント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013198055A JP2015062539A (ja) 2013-09-25 2013-09-25 インプラント

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015062539A true JP2015062539A (ja) 2015-04-09

Family

ID=52831014

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013198055A Pending JP2015062539A (ja) 2013-09-25 2013-09-25 インプラント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015062539A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5159320B2 (ja) 三次元の移植可能な骨支持体
JP5544411B2 (ja) 骨に補強材を配送する装置および方法
JP5615809B2 (ja) 膨張式棘突起間スペーサ
AU2006203086B2 (en) Insertion devices and method of use
JP5989548B2 (ja) 棘突起間拡張デバイス
US20090299373A1 (en) Kyphoplasty banded balloon catheter
KR20120028873A (ko) 최소 침습성 척추 보강 및 안정화 시스템 및 방법
CN105163689A (zh) 与融合和动态稳定球囊一起使用的成角环和结合薄片
JP2001258915A (ja) 整形外科インプラント及びそれを骨に移植する方法
JP2007044544A (ja) 骨折した骨および/または病変した骨を処置するためのデバイス
JP2008541939A (ja) 体内切除補綴具
JP2015066145A (ja) 骨治療システム
US20110190776A1 (en) Interosteal and intramedullary implants and method of implanting same
US9186260B2 (en) Implant and implant assembly
JP2010531713A (ja) 脊椎ロッド、挿入装置、および使用方法
JP6151617B2 (ja) 骨治療システム
JP2015062539A (ja) インプラント
US9833329B2 (en) Implant assembly
JP2015062502A (ja) インプラント及びインプラント組立体
JP2015062503A (ja) インプラント
JP2015062538A (ja) インプラント
JP2014200323A (ja) インプラント
JP6173150B2 (ja) 骨治療システム
JP2014200285A (ja) インプラント組立体
JP2015066116A (ja) 骨治療システム