JP2015062538A - インプラント - Google Patents

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Abstract

【課題】生体の骨及び/又は軟組織への繰り返し応力による損傷を防止及び治療することのできるインプラントの提供。
【解決手段】生体の骨および/または軟組織に対して薬理学的作用を及ぼす物質と硬化反応後に多孔質の弾性体をなす硬化材とを含む充填材の注入によって拡張変形可能に構成され、拡張変形後に少なくとも外表面の一部が骨に当接した状態で生体内に留置される容器と、容器に設けられ、生体が体動した際に容器に付与される外圧によって薬理学的作用を及ぼす物質を容器の外部へ放出する放出部と、を有するインプラントである。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体内に留置可能なインプラントに関する。
椎間板や靭帯等の後退性変性により脊柱管が狭窄する疾患として腰部脊柱管狭窄症がある。腰部脊柱管狭窄症は、腰痛、下肢痛、間欠性跛行等の症状を引き起こす。腰部脊柱管狭窄症の治療は、脊柱管を狭くしている部分の脊椎を部分的に切除する手術(椎弓切除術)や、脊椎を固定する手術(脊椎固定術)によるものが主流である。近年、椎弓切除術や脊椎固定術と比較して相対的に低侵襲な術式として、棘突起間に金属製のスペーサインプラントを留置することにより棘突起間の間隔を保持し、脊髄神経や神経根の圧迫を解除する方法が開発された。しかしながら、当該方法は、スペーサインプラントを棘突起間に留置するために背中の筋肉及び靭帯を切開する必要がある。従って、患者への侵襲度が依然として高く、入院も長期的になる。
このような課題に対して、より低侵襲に棘突起間にスペーサインプラントを挿入し、留置する方法が提案されている。例えば、下記に示す特許文献1には、充填材の充填によって拡張可能なバルーンをスペーサインプラントとして用いた方法が開示されている。当該方法では、バルーンが折りたたまれた状態で経皮的に棘突起間に挿入されるため、生体内への挿入を低侵襲に行うことができる。棘突起間に挿入された後、骨セメント等の充填材の充填によってバルーンが拡張される。充填材は充填後に硬化するため、バルーンは拡張された状態を保持することができる。その結果、バルーンが留置された棘突起間の間隔が保持される。
米国特許出願公開第2009/0118833号明細書
充填材の充填によって拡張可能なバルーンをインプラントとして用いる方法は、棘突起に限らず、種々の骨や軟組織に対して適用することができる。インプラントとして機能するために、硬化後の充填材は、生体が動くことによって骨や軟組織からインプラントに付与される圧力で容易に変形しないように所定の剛性を有する。そのため、インプラントに付与される圧力の反力として、インプラントに当接される骨や軟組織には、生体の動きに応じてインプラントから応力負荷が繰り返し作用する。その結果、インプラントに当接される骨や軟組織が損傷する可能性がある。また、骨や軟組織が損傷しないように硬化後の充填材の剛性を低くしても、骨粗鬆症などにより骨や軟組織の強度が低下することで同様に損傷する可能性がある。また、損傷によって骨や軟組織が脆くなると近傍の骨や軟組織を支持する力を失い、インプラントを留置することにより保持されていた骨や軟組織の位置が所定の位置からずれてしまう可能性がある。その結果、インプラントを利用した治療の有効性が低下する。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、生体の骨及び/又は軟組織への繰り返し応力による損傷を防止及び治療することのできるインプラントの提供を目的とする。
上記の目的は、下記(1)〜(10)のいずれかの本発明により達成される。
(1)生体の骨および/または軟組織に対して薬理学的作用を及ぼす物質と硬化反応後に多孔質の弾性体をなす硬化材とを含む充填材の注入によって拡張変形可能に構成され、拡張変形後に少なくとも外表面の一部が骨に当接した状態で生体内に留置される容器と、前記容器に設けられ、生体が体動した際に前記容器に付与される外圧によって前記薬理学的作用を及ぼす物質を前記容器の外部へ放出する放出部と、を有するインプラント。
(2)前記放出部は、前記容器において前記骨に当接される当接領域に少なくとも設けられる、(1)に記載のインプラント。
(3)前記放出部は、前記当接領域において外圧が他の部位よりも大きく作用する外圧作用部に設けられる、(2)に記載のインプラント。
(4)拡張変形後の前記容器の形状が、略H型または略ダンベル型のように凸部および凹部を有する形状であって、前記凹部の内側の少なくとも1ヶ所に、前記放出部を有する、(1)〜(3)のいずれか1つに記載のインプラント。
(5)前記薬理学的作用を及ぼす物質は、前記放出部から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成する、(1)〜(4)のいずれか1つに記載のインプラント。
(6)前記薬理学的作用を及ぼす物質は、前記硬化材よりも大きな比重を有する、(5)に記載のインプラント。
(7)前記薬理学的作用を及ぼす物質は、前記硬化材よりも小さな比重を有する、(5)に記載のインプラント。
(8)前記放出部は、前記容器内外に連通する細孔を有する、(1)〜(7)のいずれか1つに記載のインプラント。
(9)生分解性の材料によって構成され所定の期間に亘って当該放出部からの前記充填材の放出を防止する封止部をさらに有する(1)〜(8)のいずれか1つに記載のインプラント。
(10)前記容器は、生体内の隣接する棘突起間に留置されることにより前記棘突起間の間隔を保持する間隔保持具を構成する、(1)〜(9)のいずれか1つに記載のインプラント。
上記(1)に記載の発明によれば、生体内に留置された容器から薬理学的作用を及ぼす物質が放出される。放出された薬理学的作用を及ぼす物質は、生体の骨及び/又は軟組織に到達して薬理学的な作用を及ぼす。それにより、インプラントからの繰り返し応力による生体の骨及び/又は軟組織の損傷を、薬理学的に防止及び治療することができる。
また、薬理学的作用を及ぼす物質は、生体が体動した際に容器に付与される外圧によって放出される。それにより、薬理学的作用を及ぼす物質が生体の体動による外圧の付与の有無に関わらず放出される場合と比較して、長期間に亘って薬理学的作用を及ぼす物質を生体内に放出することができる。
上記(2)に記載の発明によれば、繰り返し応力による骨及び/又は軟組織の損傷が発生しやすい、骨及び/又は軟組織とインプラントとの当接領域に放出部が少なくとも設けられる。それにより、インプラントからの繰り返し応力による生体の骨及び/又は軟組織の損傷を、効果的に防止及び治療することができる。
上記(3)に記載の発明によれば、当接領域において外圧が他の部位よりも大きく作用する外圧作用部に放出部が設けられる。従って、当該発明によれば、インプラントからの繰り返し応力による生体の骨及び/又は軟組織の損傷を、より効果的に防止及び治療することができる。
上記(4)に記載の発明によれば、拡張変形後の容器が有する凹部を生体の骨及び/又は軟組織に当接させて留置することにより、留置後のインプラントの位置ずれを防止することができる。さらに、生体の骨及び/又は軟組織に当接される凹部の内側に放出部が設けられる。そのため、インプラントからの繰り返し応力による生体の骨及び/又は軟組織の損傷をより効果的に防止及び治療することができる。
上記(5)に記載の発明に係るインプラントは、薬理学的作用を及ぼす物質の量が放出部から遠ざかるにしたがって多くなる状態で生体内に留置される。薬理学的作用を及ぼす物質と放出部との距離を長くすることで、薬理学的作用を及ぼす物質が放出部から放出されるまでの時間を長くすることができる。従って、当該発明によれば、より長期間に亘って薬理学的作用を及ぼす物質を放出することができる。
上記(6)に記載の発明によれば、薬理学的作用を及ぼす物質が硬化材より大きな比重を有する。それにより、薬理学的作用を及ぼす物質が、インプラントからみて重力の作用方向とは反対の側に配置された放出部から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成した状態で、当該発明に係るインプラントを生体内に留置することが容易になる。
上記(7)に記載の発明によれば、薬理学的作用を及ぼす物質が硬化材より小さな比重を有する。それにより、薬理学的作用を及ぼす物質が、インプラントからみて重力の作用方向の側に配置された放出部から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成した状態で、当該発明に係るインプラントを生体内に留置することが容易になる。
上記(8)に記載の発明によれば、放出部が容器内外に連通する細孔を有する。細孔は、容器内面側の細孔の開口部付近に存在する薬理学的作用を及ぼす物質を毛細管現象により細孔内に吸い上げて留めておくことができる。それにより、生体が体動した際に容器に付与される外圧によって、薬理学的作用を及ぼす物質が放出されやすくなる。
上記(9)に記載の発明によれば、インプラントが生体内に留置されてから所定の期間に亘って放出部からの充填材の放出を封止部が防止する。従って、当該発明によれば、繰り返し応力による生体の骨及び/又は軟組織の損傷をより効果的に長期間に亘って防止及び治療することができる。
上記(10)に記載の発明によれば、容器が生体内の隣接する棘突起間に留置されることにより棘突起間の間隔を保持する間隔保持具を構成する。従って、当該発明に係るインプラントは、棘突起間の間隔を保持するのに好適に使用することができる。
本発明の第1実施形態に係るインプラントを説明するための図であって、棘突起間に留置されたインプラントを模式的に示す図である。 第1実施形態に係るインプラントの側断面図である。 図1の2B−2B線に沿うインプラントの断面図である。 第1実施形態に係るインプラントを説明するための図であって、図1の矢印3A方向における放出部の拡大図である。 図2Aの破線部3Bによって囲まれる部分の拡大断面図である。 第1実施形態に係るインプラントが適用される生体の棘突起を説明するための図であって、生体の背中を模式的に示す図である。 第1実施形態に係るインプラントが適用される生体の棘突起を説明するための図であって、図4Aに示された棘突起の周辺部分を拡大して示す図である。 第1実施形態に係るインプラントが適用される生体の棘突起を説明するための図であって、生体の棘突起およびその周辺部を模式的に示す図である。 針組立体を示す図であって、穿刺部材が備えられた処置具の側面図である。 針組立体を示す図であって、処置具とともに用いられるガイド部材の側面図である。 針組立体を示す図であって、処置具とガイド部材を組み付けて構成される針組立体の側面図である。 生体に穿刺部材を穿刺する前の状態を示す図である。 生体に穿刺部材を穿刺した後の状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを生体内に導入した後の状態を示す図である。 ガイド部材を基端方向に引き戻し、ガイド部材から第1実施形態に係るインプラントを露出させた状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを拡張させた状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを留置した状態を示す図である。 第1実施形態に係るインプラントを留置した状態を示す図である。 棘突起間に留置された第1実施形態に係るインプラントを示す図であって、放出部の作用を説明する断面図である。 棘突起間に留置された第1実施形態に係るインプラントを示す図であって、放出部の作用を説明する拡大断面図である。 第2実施形態に係るインプラントを棘突起間に留置する手技を説明する図であって、手技を行う際の患者の姿勢を示す概略図である。 第2実施形態に係るインプラントを棘突起間に留置する手技を説明する図であって、第2実施形態に係るインプラントに充填材を導入した状態を示す図である。 棘突起間に留置された第2実施形態に係るインプラントを示す図であって、薬理学的作用を及ぼす物質の濃度勾配を示す断面図である。 棘突起間に留置された第2実施形態の変形例に係るインプラントを示す図であって、薬理学的作用を及ぼす物質の濃度勾配を示す断面図である。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
図1〜図3は本発明の第1実施形態に係るインプラントの構成の説明に供する図であり、図4A〜図4Cは腰部脊柱管狭窄症の説明に供する図であり、図5〜図12はインプラントの留置手順の説明に供する図である。
本実施形態においては、腰部脊柱管狭窄症(腰部脊椎管狭窄症)の治療を目的として用いられる棘突起間の間隔保持用スペーサに本発明の第一実施形態に係るインプラント1が適用される場合を例に挙げて説明する。
まず、図4A〜図4Cを参照して腰部脊柱管狭窄症について説明する。図4Aは、生体の背中側から腰椎を透視した様子を模式的に示す図である。図4Bは、図4Aに示された棘突起の周辺部分を拡大して示す図である。図4Cは、腰椎の一部である棘突起の配列方向(背骨の延伸方向)と直交する方向における生体の断面(横断面)を模式的に示す図である。
生体120の背中121には背骨の延伸方向に沿って複数の腰椎126が配列されている。また、この腰椎126は、前半分の椎体125と後半分の椎弓板127とが椎弓根128を介して連結された構成を有している。椎弓板127には、棘突起123、肋骨(横)突起131、上関節突起132、下関節突起133などの各種の突起が形成されている。腰椎126は、正常では軽く生体120の前方側に弯曲した形となる。また、隣接する腰椎126は、椎間板(椎間円板)129を介して連結されており、ある腰椎126と当該腰椎126に隣接する腰椎126とは、椎間板129や、上関節突起132及び下関節突起133の間に存在する椎間関節等によってずれないようになっている。
例えば、スポーツなどで繰り返し腰椎126に負荷が掛かって疲労骨折等が生じたような場合には、椎弓根128の部分で椎体125と椎弓板127とが分離してしまう腰椎分離症や、椎間関節の変形や椎間板129の変性によって上側に位置する腰椎126が固定されにくくなり、ずれが生じる腰椎変性すべり症が引き起こされることがある。これら腰椎分離症や腰椎変性すべり症が生じたり、腰椎126の周囲に配置される靱帯が加齢に伴い変性したりすることにより、脊柱管が狭窄し、腰部脊柱管狭窄症の症状である間欠性跛行が引き起こされることがある。
上記のような腰部脊柱管狭窄症に対する治療方法として、隣接する2つの棘突起123間に間隔を保持するためのスペーサとして機能し得るインプラントを留置することにより、脊柱管の狭窄を抑える治療方法が提案されている。本実施形態では、充填材20が充填された拡張変形可能な容器10を隣接する棘突起123間に留置してインプラントとして利用する例を説明する。
次に、本実施形態に係るインプラント1の構成について説明する。
本実施形態に係るインプラント1は、概説すると、図1〜図3に示すように、棘突起123間に留置可能なインプラントであって、容器10と、放出部30と、を有する。容器10は、充填材20または造影剤90の注入によって拡張変形可能に構成され、拡張変形後に少なくとも容器10の外表面10aの一部が棘突起123に当接した状態で生体内に留置される。充填材20は、生体の骨および/または軟組織に対して薬理学的作用を及ぼす物質21と、硬化反応後に多孔質の弾性体をなす硬化材22と、を含む。放出部30は、容器10に設けられ、生体が体動した際に容器10に付与される外圧によって薬理学的作用を及ぼす物質21を容器10の外部へ放出する。放出部30は、細孔31を有する。放出部30には、細孔31を覆うように封止部32が設けられている。また、インプラント1の充填材20の導入方向の近位側には、図2に示すように、長尺体40から充填材20が導入されるための導入口1aが設けられている。以下、本実施形態に係るインプラント1について詳述する。なお、図2では、薬理学的作用を及ぼす物質21の図示は省略している。
インプラント1は、収縮させた状態で生体120内へ導入され、棘突起123近傍の留置目標位置へ位置決めされる。そして、充填材20による拡張作業を円滑に行うために造影剤90(不図示)によって予備的に拡張される(以下、プレ拡張と称する場合がある)。造影剤90は、プレ拡張後に排出される。造影剤90が排出された後、インプラント1は充填材20が導入されることによって再拡張され、拡張された状態で生体120内へ留置される(図9、10参照)。充填材20及び造影剤90は、長尺体40を介して容器10に導入される。
容器10は、生体120の棘突起123間に配置可能な胴部11と、胴部11よりも充填材20の導入方向の近位側(図1の上側)に配置される一の側部12と、胴部11よりも充填材20の導入方向の遠位側(図1の下側)に配置される他の側部13と、を有する。拡張後の容器10は、図1及び図2に示すように、外形形状がダンベル型(略H型)形状となる。胴部11において、隣接する棘突起123の間隔が保持され、一の側部12及び他の側部13において棘突起123が挟み込まれる(図11〜図13参照)。したがって、インプラント1を留置後、インプラント1に位置ずれが生じることを防止できる。
容器10の材質は、充填材20または造影剤90が注入されて拡張でき、かつ周囲の組織である棘間靱帯や黄色靱帯、棘突起123などの組織及び椎体125の移動に伴う外圧に耐えられる素材であれば特に制限されることはなく、塩化ビニル、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、スチレンーエチレンーブチレンースチレン共重合体(SEBS)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン共重合体(SEPS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ナイロンなどのポリアミド樹脂及びポリアミドエラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂及びポリエステルエラストマー、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、ゴム、シリコーンエラストマー、フッ素ゴム、フッ素樹脂などであることが好ましい。
また、容器10は、X線造影性を有することが望ましい。容器10にX線造影性を付与する方法は既存の方法を適宜適用することができるが、例えば白金などのマーカーを容器10に設置してもよい。容器10にX線造影性を付与することにより、容器10が棘突起123間に配置される状態をX線透視下で確認することができる。例えば、容器10がポリアミドエラストマーなどの熱可塑性樹脂を用いてブロー成型で成形される場合、硫酸バリウム等の放射線不透過物質をあらかじめ熱可塑性樹脂に混練しておき、この混練樹脂を用いて容器10を成形することもできる。また、容器10がPET繊維等の織物で作製される場合、硫酸バリウム等の放射線不透過物質をあらかじめPET樹脂に混練しておき、この混練樹脂を用いて紡績したPET繊維により容器10の全部もしくは一部を成形することもできる。また、容器10内に導入される充填材20がX線造影性を有していてもよい。
充填材20は、薬理学的作用を及ぼす物質21及び硬化材22を含む。
薬理学的作用を及ぼす物質21は、有利には、骨形成を促進する薬剤、骨吸収を抑制する薬剤、疼痛を緩和する薬剤、瘢痕化を防止する薬剤、あるいはその組み合わせを含むことができる。骨形成を促進する薬剤としては、例えば、テリパラチド又はその誘導体、活性型ビタミンD、ビタミンK2、セマフォリン3A、βクリプトキサンチン、リコンビナントヒトFGF−2(rhFGF−2)などがある。骨吸収を抑制する薬剤としては、例えば、ビスホスホネート又はその誘導体、エストロゲン、イプリフラボン、塩酸ラロキシフェン、カルシトニン又はその誘導体、セマフォリン3Aなどがある。疼痛を緩和する薬剤としては、例えば、カルシトニン又はその誘導体、メサドン塩酸塩、タペンタドール塩酸塩、ブプレノルフィン塩酸塩、オキシコドン塩酸塩、塩化ストロンチウム、ジクロフェナクナトリウム、ペンタゾシンなどがある。また、瘢痕化を防止する薬剤としては、例えば、非ステロイド系抗炎症剤、ヘパリン類似物質、フルドロキシコルチド、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルなどがある。
硬化材22は、棘突起123間に留置された後において、棘突起123間の間隔を保持するのに必要な弾性を有する。充填材20が硬化材22を含むことによって、インプラント1を拡張させた状態で長期に亘って棘突起123間のスペーサインプラントとして機能させることができる。
硬化材22は、下記特性の少なくとも一つを有することが好ましい:(a)患者に安全である;(b)組織への損傷が少ないもしくはない;(c)患者の体温に近い温度(約35〜42℃)で硬化可能である;(d)収縮や拡張が起こらず、硬化した形状を維持できる;(e)注入してから1〜60分、好ましくは5〜30分、より好ましくは10分以内に硬化する;(f)溶媒として水、緩衝溶液、生理食塩液、造影剤、またはオリーブ油、ひまし油などの油脂類が使用できる。
硬化材22の材質は、硬化反応後に多孔質の弾性体をなす材料であれば、特に限定されない。硬化材22は、導入時には流動体であることが好ましい。硬化材22の具体例としては二液混合架橋ポリマーが挙げられ、反応性基を有する液状のポリオルガノシロキサンと、架橋剤と、硬化触媒と、の組み合わせが好ましい。前記ポリオルガノシロキサンとしては、主鎖シロキサンの官能基にメチル基、ビニル基、水酸基、ケトン基等を有するものが挙げられるが、付加型としてビニル基を有するものが好ましい。また架橋剤としては、水素基を持ったポリシロキサン等が用いられる。触媒としては、白金化合物、有機金属系化合物等が用いられる。さらに、反応制御剤、補強用シリカ、その他の充填材かつ/または添加材等を含有してもよい。また、低比重化ポリオルガノシロキサンが、比重を低減させた材料として好ましい。
容器10に充填材20又は造影剤90を導入する長尺体40を構成する材質は、特に制限されないが、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、コバルトクロムまたはコバルトクロム合金のような金属材料、塩化ビニル、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、スチレンーエチレンーブチレンースチレン共重合体(SEBS)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン共重合体(SEPS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ナイロンなどのポリアミド樹脂及びポリアミドエラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂及びポリエステルエラストマー、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、ゴム、シリコーンエラストマー、フッ素ゴム、フッ素樹脂などの軟性材料を用いることができる。
図2及び図13に示すように、容器10は、外表面10aの一部をなす当接部10a1及び当接部10a2において棘突起123に当接する。
図2A及び図2Bに示すように、放出部30は、当接部10a1及び当接部10a2に設けられる。図1及び図2Aに示すように、容器10は、胴部11においてくびれを有している。そのため、当接部10a1及び当接部10a2の断面は凹部形状をなしている。放出部30は、当接部10a1及び当接部10a2をなす凹部の底部に設けられている。当接部10a1及び当接部10a2において棘突起123から受ける圧力は、凹部の底部に近づくほど一般的に強くなる。すなわち、放出部30は、当接部10a1及び当接部10a2において、棘突起123から受ける圧力が他の領域よりも大きく作用する領域に設けられている。
図3Aは、図1の矢印3Aの方向からみた封止部32がない状態の放出部30の拡大図を示す。図3Bは、図2Aにおいて破線の円で囲まれた部分を拡大した断面図を示す。図3A及び図3Bに示すように、放出部30は複数の細孔31を有している。細孔31は、容器の外表面10aから内表面10bに連通している。
容器10が体動によって棘突起123から圧力を受けると、細孔31の内表面10b側の開口部付近に存在する薬理学的作用を及ぼす物質21が、細孔31を通過して容器10の外側に放出される。その後、細孔31の内表面10b側の開口部付近に向かって、近傍に存在する薬理学的作用を及ぼす物質21が移動する。薬理学的作用を及ぼす物質21は、多孔質の弾性体をなす硬化材22の中を拡散しながら徐々に移動する。移動によって薬理学的作用を及ぼす物質21の量が減少した場所には、その近傍から薬理学的作用を及ぼす物質21が移動してくる。このように、薬理学的作用を及ぼす物質21は、放出部30から放出されるまで、硬化材22の中を徐々に移動する。また、細孔31の内表面10b側の開口部付近に移動した薬理学的作用を及ぼす物質21の一部は、細孔31の途中まで毛細管現象により吸い上げられて細孔31内に留まる。
封止部32の材質は、生分解性の材料であれば特に限定されない。封止部32を構成する生分解性の材料として、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、キトサンなどがある。
図1、図2、及び図3Bに示すように、細孔31の外表面10a側の開口部は、留置直後は、封止部32によって覆われた状態にある。それにより、インプラント1が棘突起123間に留置された直後は、細孔31を通過して放出される薬理学的作用を及ぼす物質21の量が抑制される。封止部32は、留置された後、経時的に分解される。封止部32が分解されるのに伴って、細孔31が露出される。細孔31が露出されると、薬理学的作用を及ぼす物質21が、細孔31を通過して容器10の外部へ放出されるようになる。
造影剤90は、X線不透過性を有する。それにより、X線造影下でX線造影性を有する容器10の拡張状態を視認することができ、インプラント1を安全かつ確実に留置することができる。なお、本実施形態では、充填材20を導入する前に容器10をプレ拡張させるための流体として造影剤90を用いたが、長尺体40を介して容器10内部に導入したり排出したりすることが可能な液体であれば、特に造影剤90に限定されない。
本実施形態に係るインプラント1は、上述した材料や形成方法により形成させることができる。例えば、樹脂製のチューブをブロー成形することにより容器10を製造する。そして、容器10の放出部30に物理的な加工によって細孔31を形成する。さらに、放出部30に封止部32を接着すれば、インプラント1を製造することができる。
次に、本実施形態に係るインプラント1の留置手順を、図5〜図12を参照して説明する。
まず、インプラント1を生体120内に留置する作業を行う術者は、図5A〜図5Cに示すように、処置具60とガイド部材70とによって構成される針組立体50を準備する。
図5A〜図5Cには、穿刺部材61を備える処置具60と、処置具60とともに用いられるガイド部材70と、処置具60及びガイド部材70を組み合わせて構成される針組立体50とが示される。この針組立体50は、隣接する棘突起123間へインプラント1を導入するために使用することができる(図6、7を参照)。
図5Aに示すように、処置具60は、所定の曲率で湾曲した穿刺部材61と、穿刺部材61の基端側に設けられた把持部63とを有している。穿刺部材61は、このように他の部材と組み合わせて使用されるものであってもよいし、例えば、穿刺部材61のみによって湾曲針や穿刺具等の処置具を構成するものであってもよい。
穿刺部材61は、基端側から先端側へ向けて外径が徐々に細くなるように構成されており、その先端には針先65が形成されている。処置具60の把持部63は、処置具60の使用に際して、使用者が把持することができるように構成されていればよく、図示される構造に限定されることはない。
穿刺部材61は、把持部63に対して接続・分離可能に構成することができる。穿刺部材61と把持部63とを接続・分離可能にする構成としては、例えば、穿刺部材61の基端を把持部63に対してネジ留めや嵌め込みによって機械式に接続する構成を採用することができる。
穿刺部材61を構成する材料は、生体120に穿刺可能な材料であればよく、特に限定されないが、例えば、SUS、チタン、マグネシウム、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、などの金属材料や、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネートウレタン(PCU)、強化ポリフェニレン(SRP)、炭素またはガラス繊維強化ポリマー、などの樹脂材料を挙げることができる。
把持部63を構成する材料としては、特に限定されないが、所定の金属材料や、硬質のプラスチック材料などを使用することができる。
図5Bに示すように、ガイド部材70は、処置具60の穿刺部材61と略同一の曲率で湾曲した挿入部71と、挿入部71の先端側に形成された先端開口部73aと、挿入部71の基端側に形成された基端開口部73bと、挿入部71の基端側に設けられ、処置具60の把持部63に対して接続・分離可能な接続部75と、挿入部71の内部に形成されたルーメン77とを有するように構成することができる。
ガイド部材70の挿入部71を構成する材料としては、例えば、先に説明した処置具60の穿刺部材61と同様の材料を使用することができる。
図5Cに示すように、ガイド部材70のルーメン77内には処置具60の穿刺部材61を挿入することができる。ガイド部材70の挿入部71の長さは、穿刺部材61の長さよりも短く形成されている。このため、穿刺部材61がルーメン77内に挿入された状態では、ガイド部材70の先端開口部73aから穿刺部材61の針先65が所定の長さだけ露出される。
また、ルーメン77内に穿刺部材61を挿入した状態とすることにより、処置具60に設けられた連結部67とガイド部材70に設けられた接続部75とを介して処置具60とガイド部材70とを組み付けることが可能になっている。ガイド部材70の接続部75は、例えば、処置具60の連結部67に対して嵌合により機械的に接続できるように構成されているが、処置具60に対して接続・分離可能に構成されていれば特にその構成は限定されない。
次に、図6に示すように、生体120の上側の所定の位置に針組立体50を準備する。なお、ガイド部材70に挿入された穿刺部材61は図中において簡略化して示している。
次に、図7に示すように、生体120に対して穿刺部材61の針先65を刺入し、ガイド部材70の先端開口部73aが棘突起123を越えて穿刺方向の遠位側(図中の左側)に到達する位置まで穿刺部材61を移動させる。
次に、処置具60をガイド部材70から分離させ、穿刺部材61をガイド部材70のルーメン77から抜去する。
次に、図8に示すように、インプラント1を、ガイド部材70のルーメン77を介して生体120内に導入し、棘突起123間に対向する位置まで案内する。インプラント1の導入に先立ち、長尺体40とインプラント1とを連結させる。長尺体40とインプラント1との連結は、第1コネクタC1を介して接続することによって行う(図1参照)。長尺体40と容器10は、第1コネクタC1によって液密・気密に連結される。第1コネクタC1はネジ嵌合や一方弁など、公知の構造を用いることができる。
次に、図9に示すように、ガイド部材70を基端方向に引き戻し、ガイド部材70からインプラント1を露出させる。このとき、ガイド部材70の先端を生体120内に穿刺した状態としてもよいし、図9に示すように、生体120外に完全に抜去した状態としてもよい。
次に、図10に示すように、容器10内へ長尺体40を介して造影剤90を導入することによってインプラント1をプレ拡張させる。造影剤90の容器10への導入は、造影剤用供給装置51によって行われる。造影剤用供給装置51には、公知のインデフレーターなどを使用することができる。また、造影剤用供給装置51を使用する場合、第2コネクタC2を介して長尺体40と造影剤用供給装置51との接続が液密・気密に行われる。すなわち、造影剤90は造影剤用供給装置51によって、長尺体40を介して容器10内に導入される。
造影剤90を導入して容器10をプレ拡張させた状態で、X線透視を行うことにより、インプラント1の導入位置や最終的な拡張形状を確認することができる。
次に、容器10内から長尺体40を介して造影剤90を排出することによってインプラント1を収縮させる。このとき、図9に示す状態となる。
次に、第2コネクタC2に連結される造影剤用供給装置51を充填材用供給装置52に取り換え、容器10内へ長尺体40を介して充填材90を導入することによってインプラント1を拡張させる。このとき、図10に示す状態となる。充填材20の容器10への導入は、充填材用供給装置52によって行われる。充填材用供給装置52には、公知のインデフレーターなどを使用することができる。
なお、上述した充填材用供給装置52は充填材22が流動体であるときに用いられる。充填材22が流動性を有していない場合は、充填材用供給装置52を用いずに、インプラント1内へ充填材22を流し込んだり、押し込んだり、または噴霧することによって導入を行うことが可能である。
次に、術者は、容器10と長尺体40との連結を解除し、長尺体40、ガイド部材70の順に、または長尺体40及びガイド部材70を同時に生体120内から引去し、図11、図12に示すように、生体120内にインプラント1を留置する。インプラント1は、棘突起123の間に留置され、棘突起123間の間隔を保持するためのスペーサとして作用する。
図13及び図14は、棘突起123間に留置されて所定の期間が経過した後のインプラント1を示している。封止部32は、所定の期間の経過とともに分解される。封止部32が分解されるのに伴って、細孔31が露出される。細孔31が露出されると、薬理学的作用を及ぼす物質21が容器10の外部へ放出されるようになる。放出部30は棘突起123に当接しているから、薬理学的作用を及ぼす物質21は細孔31を通過して棘突起123に到達する。そして、薬理学的作用を及ぼす物質21は、棘突起123に対して所定の作用を及ぼす。なお、図13では、薬理学的作用を及ぼす物質21の図示は省略している。
上述したように、本実施形態によれば、生体120内に留置された容器10から薬理学的作用を及ぼす物質21が放出される。放出された薬理学的作用を及ぼす物質21は、棘突起123に到達して薬理学的な作用を及ぼす。それにより、インプラント1からの繰り返し応力による棘突起123の損傷を、薬理学的に防止及び治療することができる。
また、薬理学的作用を及ぼす物質21は、生体120が体動した際に容器10に付与される外圧によって放出される。それにより、薬理学的作用を及ぼす物質21が生体120の体動による外圧の付与の有無に関わらず放出される場合と比較して、長期間に亘って薬理学的作用を及ぼす物質21を生体120内に放出することができる。
さらに、充填材20は、硬化反応後に多孔質の弾性体をなす硬化材22を含む。薬理学的作用を及ぼす物質21は、硬化反応後に多孔質の弾性体をなす硬化材22の中を拡散しながら徐々に移動する。そのため、より長期間に亘って薬理学的作用を及ぼす物質21を生体120内に放出することができる。
また、本実施形態によれば、棘突起123とインプラント1との当接部10a1及び当接部10a2に放出部30が設けられる。従って、本実施形態によれば、インプラント1からの繰り返し応力による棘突起123の損傷を、効果的に防止及び治療することができる。
また、本実施形態によれば、当接部10a1及び当接部10a2において外圧が他の部位よりも大きく作用する外圧作用部に放出部30が設けられる。従って、本実施形態によれば、インプラント1からの繰り返し応力による棘突起123の損傷を、より効果的に防止及び治療することができる。
また、本実施形態によれば、拡張変形後の容器10が有する凹部を棘突起123に当接させて留置することにより、留置後のインプラント1の位置ずれを防止することができる。
さらに、棘突起123に当接される凹部の内側に放出部30が設けられる。そのため、インプラント1からの繰り返し応力による棘突起123の損傷をより効果的に防止及び治療することができる。
また、本実施形態によれば、放出部30が容器10の内外に連通する細孔31を有する。細孔31は、容器10の内面10b側の細孔31の開口部付近に存在する薬理学的作用を及ぼす物質21を毛細管現象により細孔31内に吸い上げて留めておくことができる。それにより、生体120が体動した際に容器10に付与される外圧によって、薬理学的作用を及ぼす物質21が放出されやすくなる。
また、本実施形態によれば、インプラント1が生体120内に留置されてから所定の期間に亘って放出部30からの充填材20の放出を封止部32が防止する。従って、本実施形態によれば、繰り返し応力による生体120の棘突起123の損傷をより効果的に長期間に亘って防止及び治療することができる。
また、本実施形態によれば、容器10が生体120内の隣接する棘突起123間に留置されることにより棘突起123間の間隔を保持する間隔保持具を構成する。従って、本実施形態に係るインプラント1は、棘突起123間の間隔を保持するのに好適に使用することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るインプラント200を説明する。第1実施形態において説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係るインプラント200は、容器10への導入後に充填材20とは異なる状態を形成する充填材220によって拡張される。具体的には、充填材220は、容器10への導入後に、充填材220に含まれる薬理学的作用を及ぼす物質221が、インプラント200に設けられる放出部230から遠ざかるにしたがって所定の濃度分布を形成する点において相違する。以下、本実施形態に係るインプラント200について詳述する。
充填材220は、上述した薬理学的作用を及ぼす物質221と、硬化材222を含む。
図17を参照して、薬理学的作用を及ぼす物質221は、容器10へ導入された充填材220において、放出部230から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成する。220aは、薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度が低い領域である。220cは、薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度が高い領域である。そして、220bは、薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度が、220aよりも高く220cよりも低い領域である。図17では、薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度を3段階で示しているが、薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度勾配は連続的に変化していてもよい。なお、図17では、薬理学的作用を及ぼす物質221の図示は省略している。
図17を参照して、放出部230は、留置後に容器10と棘突起123が当接する箇所のうち、薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度が低い側の当接箇所に配置されるように容器10に設けられている。放出部230は、細孔31を有する。また、放出部230に、封止部32を設けてもよい。
充填材220における薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度勾配は、種々の方法で形成することができる。
例えば、薬理学的作用を及ぼす物質221の比重が硬化材222の比重よりも大きくなるように、薬理学的作用を及ぼす物質221と硬化材222の材質を選択する。そのような薬理学的作用を及ぼす物質221と硬化材222の材質の組合せとして、例えば、次のような組合せがある。すなわち、薬理学的作用を及ぼす物質21として用いることのできる薬剤として第1実施形態において例示した薬剤を、薬理学的作用を及ぼす物質221として用いる。そして、硬化材222として、低比重化ポリオルガノシロキサンを用いるという組合せである。
そして、インプラント200を棘突起123間に留置する際に、重力を利用して薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度勾配を形成する。重力を利用した濃度勾配の形成方法は種々のものが考えられる。例えば、第1実施形態に係るインプラント1を棘突起123間に留置する手技として上述した手順を、図15に示すような座位の状態で行う方法がある。
図16は、第1実施形態に係るインプラント1を棘突起123間に留置する手技として上述した手順を座位の状態で行って、充填材220を第2実施形態に係るインプラント200に導入した直後の状態を示す。座位の状態で行っていることにより、図16における重力の作用方向は矢印Gの方向である。インプラント200は、放出部230がインプラント200からみて重力の作用方向とは反対の方向に位置する棘突起123と当接するように配置されている。導入した直後において、硬化材232は流動性を有した状態にある。従って、薬理学的作用を及ぼす物質221は、硬化材222が硬化する前に重力により充填材220において矢印Gの方向へ移動する。その結果、硬化材222が硬化した後において、薬理学的作用を及ぼす物質221は、図17に示すように放出部230から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成する。そして、インプラント200は、薬理学的作用を及ぼす物質221が放出部230から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成した状態で棘突起123間に留置される。
上述したように、本実施形態によれば、薬理学的作用を及ぼす物質221の量が放出部230から遠ざかるにしたがって多くなる状態で生体120内に留置される。薬理学的作用を及ぼす物質221と放出部230との距離を長くすることで、薬理学的作用を及ぼす物質221が放出部230から放出されるまでの時間を長くすることができる。従って、本実施形態によれば、より長期間に亘って薬理学的作用を及ぼす物質221を放出することができる。
また、本実施形態によれば、薬理学的作用を及ぼす物質221が硬化材222より大きな比重を有する。それにより、薬理学的作用を及ぼす物質221が、インプラントからみて重力の作用方向とは反対の側に配置された放出部230から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成した状態で、本実施形態に係るインプラント200を生体120内に留置することが容易になる。
なお、薬理学的作用を及ぼす物質221の比重が、硬化材222の比重よりも小さくなるように、薬理学的作用を及ぼす物質221と硬化材222の組合せを選択してもよい。薬理学的作用を及ぼす物質221の比重が硬化材222の比重よりも小さくなるような薬理学的作用を及ぼす物質221と硬化材222の組合せとして、例えば、次のような組合せがある。すなわち、薬理学的作用を及ぼす物質21として用いることのできる薬剤として第1実施形態において例示した薬剤を、薬理学的作用を及ぼす物質221として用いる。そして、硬化材222として、ポリオルガノシロキサンを用いるという組合せである。
当該構成の充填材220によっても、第1実施形態に係るインプラント1を棘突起123間に留置する手技として上述した手順を座位の状態で行うことで、薬理学的作用を及ぼす物質221が放出部230から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成した状態でインプラント200を棘突起123間に留置することができる。
このとき、図18に示すように、インプラント200は、放出部230がインプラント200からみて重力の作用方向に位置する棘突起123と当接するように留置される。充填材220を導入した直後において、硬化材222は流動性を有した状態にある。従って、薬理学的作用を及ぼす物質221は、硬化材222が硬化する前に重力により充填材220において重力の作用方向とは反対の方向へ移動する。その結果、硬化材222が硬化した後において、薬理学的作用を及ぼす物質221は、図18に示すように放出部230から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成する。なお、図18において、220aは薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度が低い領域、220cは薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度が高い領域、220bは薬理学的作用を及ぼす物質221の濃度が220aよりも高く220cよりも低い領域である。なお、図18では、薬理学的作用を及ぼす物質221の図示は省略している。
当該構成によれば、薬理学的作用を及ぼす物質221が硬化材222より小さな比重を有する。それにより、薬理学的作用を及ぼす物質221が、インプラント200からみて重力の作用方向の側に配置された放出部230から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成した状態で、本実施形態に係るインプラント200を生体120内に留置することが容易になる。
以上、本願発明に係るインプラントを実施形態及び各変形例を通じて説明したが、本願発明に係るインプラントはこれらの構成のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することが可能である。
例えば、容器10に、導入口1aとは別に、薬理学的作用を及ぼす物質21又は221を注入するための注入ポートを設けてもよい。注入ポートの形態は特に限定されない。例えば、容器10に孔を設け、当該孔にゴム栓によって封をすることにより実施することができる。留置後のインプラントへの体外からの薬理学的作用を及ぼす物質21又は221の注入は、注射によって体外から行うことができる。すなわち、ゴム栓を介して注射針を孔に進入させ、注射針を介して薬理学的作用を及ぼす物質21又は221を充填材に注入することができる。当該構成によって、留置後のインプラント1又はインプラント200へ体外から薬理学的作用21又は221を及ぼす物質を補充することができる。従って、より長期間に亘って薬理学的作用を及ぼす物質21又は221を生体内に放出することができる。
また、上記構成に係る注入ポートを放出部230から離れた箇所に設置し、当該注入ポートを介して放出部230から離れた領域に薬理学的作用を及ぼす物質221を注入することにより、第2実施形態において説明したような所定の濃度勾配をインプラント内に形成することも可能である。なお、この場合において、薬理学的作用を及ぼす物質221には、薬理学的作用を及ぼす物質21として用いることのできる薬剤として第1実施形態において例示した薬剤と同様のものを用いることができる。また、硬化材222には、第1実施形態の硬化材22の材質と同様のものを使用することができる。
また、インプラント1又はインプラント200を留置する際に、インプラント1又はインプラント200の長軸まわりの回転を調整するための係合手段を設けてもよい。係合手段の形態は特に限定されない。例えば、容器10と長尺体40との接続箇所である第1コネクタC1に凹凸部を設けて、容器10が長尺体40に対して相対的に回転しないように実施することができる。容器10の回転の調整は、長尺体40を介して体外からトルクを加えることで行うことができる。当該構成によって、インプラント1又はインプラント200の長軸まわりの回転を調整できる。それにより、放出部30又は放出部230を、棘突起123に適切に当接させた状態でインプラント1又はインプラント200を棘突起123間に留置しやすくなる。
上述した実施形態及び変形例によって奏される効果は、棘突起間に留置した場合に限らない。例えば、頭蓋骨、頸椎、肩峰下、肋骨、恥骨等の骨間、変形性関節症や肩板損傷等により拡張を必要とする軟骨間、スポーツ障害や手術などにより欠損した軟骨内、髄腔内や骨折や手術等により発生した骨腔内、または筋肉内、靭帯内、脈管内、消化管内等に配置された場合においても同様の効果を奏する。すなわち、生体の骨および/または軟組織に当接して留置されるインプラントであれば、どのようなインプラントにおいても上述した実施形態及び変形例によって奏される効果が発揮されることはいうまでもない。
1 インプラント、
10 容器、
10a 外表面、
10a1、10a2 当接部、
20、220 充填材、
21、221 薬理学的作用を及ぼす物質、
22、222 硬化材、
30、230 放出部、
31 細孔、
32 封止部、
90 造影剤、
100 被検者、
120 生体、
121 背中、
123 棘突起、
130 生体表面。

Claims (10)

  1. 生体の骨および/または軟組織に対して薬理学的作用を及ぼす物質と硬化反応後に多孔質の弾性体をなす硬化材とを含む充填材の注入によって拡張変形可能に構成され、拡張変形後に少なくとも外表面の一部が骨に当接した状態で生体内に留置される容器と、
    前記容器に設けられ、生体が体動した際に前記容器に付与される外圧によって前記薬理学的作用を及ぼす物質を前記容器の外部へ放出する放出部と、を有するインプラント。
  2. 前記放出部は、前記容器において前記骨に当接される当接領域に少なくとも設けられる、請求項1に記載のインプラント。
  3. 前記放出部は、前記当接領域において外圧が他の部位よりも大きく作用する外圧作用部に設けられる、請求項2に記載のインプラント。
  4. 拡張変形後の前記容器の形状が、略H型または略ダンベル型のように凸部および凹部を有する形状であって、前記凹部の内側の少なくとも1ヶ所に、前記放出部を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインプラント。
  5. 前記薬理学的作用を及ぼす物質は、前記放出部から遠ざかるにしたがって濃度が濃くなる所定の濃度勾配を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインプラント。
  6. 前記薬理学的作用を及ぼす物質は、前記硬化材よりも大きな比重を有する、請求項5に記載のインプラント。
  7. 前記薬理学的作用を及ぼす物質は、前記硬化材よりも小さな比重を有する、請求項5に記載のインプラント。
  8. 前記放出部は、前記容器内外に連通する細孔を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインプラント。
  9. 生分解性の材料によって構成され所定の期間に亘って当該放出部からの前記充填材の放出を防止する封止部をさらに有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のインプラント。
  10. 前記容器は、生体内の隣接する棘突起間に留置されることにより前記棘突起間の間隔を保持する間隔保持具を構成する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインプラント。
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