JP2015066145A - 骨治療システム - Google Patents

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Abstract

【課題】骨の治療対象に骨用充填材料を硬化した状態で容易且つ精度よく留置する。【解決手段】骨治療システム10は、留置デバイス14と展開操作デバイス16とを含む。留置デバイス14は、橈骨100の空間108に留置される骨用充填材料を流通可能な流路38を有するシャフト30と、シャフト30の先端部に設けられ流路38を介して骨用充填材料が充填される充填用バルーン32とを備える。展開操作デバイス16は、流路38に挿入可能に構成され骨用充填材料が充填された後の充填用バルーン32を破ることで骨用充填材料を露出させる。【選択図】図1

Description

本発明は、骨の治療部位に骨用充填材料を留置するための骨治療システムに関する。
骨密度が低下等して骨粗鬆症になると、例えば、転んだ際に手をつくことで手首を骨折(橈骨遠位端骨折)してしまうことがある。現在、橈骨遠位端骨折の治療では、骨折した主骨片と末梢骨片とを跨ぐようにプレート(主にロッキングプレート)を配置し、プレートと各骨をスクリューで整復固定するプレート固定術が採用されている。しかしながら、プレートは、骨外に設置されるため、その周辺組織(屈筋腱、伸筋腱等)をスクリューやプレートの端部等により傷付けるおそれがある。また、この腱断裂等の合併症を回避するためプレートの抜釘が必要な症例も少なくなく、その場合、プレート設置時と抜釘時の2度にわたって皮膚を切開し、手術を行う必要がある。
このため、骨折の治療では、より低侵襲で合併症の少ない治療が要望されており、例えば、特許文献1に開示されているように骨用充填材料を骨の内部に留置し、骨同士の接合を促す方法が提案されている。特許文献1に開示のデバイスは、生体吸収性材料により構成されたバルーンをデバイスの先端部に備える。治療では、骨用充填材料を充填した状態のバルーンを骨の内部に留置する。留置後にバルーンが生体に吸収されると、バルーン内で硬化した骨用充填材料が露出し骨内部から骨折箇所を先のプレート固定術におけるプレートやスクリューに代わって支持すると共に骨接合が促される。
特表2006−505339号公報
ところで、特許文献1に開示の治療では、生体吸収性材料のバルーンに骨用充填材料を充填した状態で留置するため、骨用充填材料が効果を発揮するのに多大な時間がかかり、治療期間が大幅に長くなる。すなわち、骨の内部に対しては、本来、バルーンから骨用充填材料を露出して留置することが望ましい。
しかしながら、親水性が高い骨用充填材料の場合は、硬化前の流動性を有する状態(液状やペースト状)でバルーンから露出されると、体内において比較的簡単に崩壊し分散してしまい、骨同士を接合することが困難となる。そのため、骨用充填材料による治療では、骨用充填材料をバルーンに充填した後に留置可能な程度に硬化させる必要があるが、この場合は、大型化且つ硬化した状態の骨用充填材料を骨の内部でバルーンから露出し留置することが難しくなる。
本発明は、骨用充填材料による治療に関連してなされたものであり、骨の治療対象に対し硬化した骨用充填材料を容易に留置することにより、骨を一層良好に治療することができる骨治療システムを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る骨治療システムは、骨の治療部位に留置される骨用充填材料を流通可能なルーメンを有するシャフトと、前記シャフトの先端側に設けられ前記ルーメンを介して前記骨用充填材料が充填されるバルーンとを備える留置デバイスと、前記ルーメンに挿入可能に構成され前記骨用充填材料が充填された後の前記バルーンを破ることで前記骨用充填材料を露出させる展開操作デバイスとを含むことを特徴とする。
上記によれば、骨治療システムは、留置デバイスと展開操作デバイスを備えることで、骨の治療部位に対し硬化状態の骨用充填材料を容易に留置することができる。すなわち、骨の治療では、留置デバイスのバルーンを骨の治療部位に配置して、骨用充填材料をバルーン内に充填し、骨用充填材料が硬化する前に展開操作デバイスをルーメン内に挿入する。これにより、骨用充填材料が硬化した際には、骨用充填材料内に空洞部が形成され、この空洞部を介して展開操作デバイスによりバルーンを破る作業を行うことができる。その結果、硬化状態の骨用充填材料がバルーンから容易に露出されて骨の治療部位に留置されることになり、骨を一層良好に治療することが可能となる。特に、注入時に体液と接触すると崩壊や硬化不良が起こりやすい骨用充填材料を、体液の影響を抑え、より確実に硬化した状態で骨内に留置することができ、骨折部位の強度向上と治療効果を高めることができる。
この場合、前記バルーンは、伸縮性を有する材料により構成されることが好ましい。
このように、バルーンが伸縮性を有することにより、収縮状態で骨の内部にバルーンを容易に挿入することができる。また、バルーンが拡張状態となり展開操作デバイスによって破る操作がなされた際には、破れたバルーンが収縮するようにシャフト側に移動することで、骨の内部からバルーンを簡単に回収することができる。
また、前記展開操作デバイスは、前記ルーメン及び前記バルーン内に挿入可能であると共に、拡張状態の前記バルーンの内面に先端部が近接又は当接可能な挿入部材を含むとよい。
このように、骨治療システムは、挿入部材を含むことで、骨用充填材料を充填した後に、挿入部材を挿入した状態で骨用充填材料を硬化することができる。その結果、バルーンに通じる空洞部を、硬化した骨用充填材料に簡単に形成することができるので、この空洞部を利用してバルーンに対する展開操作を容易に行うことができる。
上記構成に加えて、前記展開操作デバイスは、前記骨用充填材料から前記挿入部材の引き抜きに伴って形成された空洞部の内側を案内されて前記バルーンを破る針部材をさらに含むことが好ましい。
これにより、硬化状態の骨用充填材料を骨の内部に展開する場合に、針部材でバルーンを簡単に破ることができ、骨用充填材料をスムーズに露出することができる。
あるいは、前記展開操作デバイスは、前記骨用充填材料から前記挿入部材の引き抜きに伴って形成された空洞部に前記バルーンを溶解させる溶解液を流通させることにより前記バルーンを破るように構成してもよい。
このように、空洞部に対し溶解液を流通させても、バルーンを簡単に破ることができ、骨用充填材料をスムーズに露出することができる。
また、前記挿入部材は、軸方向に貫通路を有する管状体であり、前記展開操作デバイスは、前記貫通路に挿入されて前記バルーンを破る針部材をさらに含む構成であってもよい。
このように、挿入部材が貫通路を有し、貫通路に挿入された針部材がバルーンを破ることで、硬化した骨用充填材料に対し挿入部材を挿入した状態でバルーンを破ることができ、骨用充填材料の露出をより迅速に行うことが可能となる。
さらに、前記バルーンは、拡張状態において、前記挿入部材の先端部が当接又は近接する部分の肉厚が、前記バルーンと前記シャフトの取付部分付近の肉厚よりも薄いことが好ましい。
このように、バルーンは空洞部に接する又は近接する部分の肉厚が薄く形成されていることで、展開操作デバイスにより骨用充填材料をバルーンから露出する際にバルーンを容易に破ることができる。破裂後、バルーンは、肉厚が厚い箇所であるシャフトの取付位置側に良好に移動するので、バルーンの回収を容易に行うこともできる。
さらに、前記挿入部材の外周面には、硬化した前記骨用充填材料に対し潤滑性を有する挿入部材用潤滑剤が塗布されていることが好ましい。
このように、挿入部材の外周面に挿入部材用潤滑剤が塗布されていることで、硬化した骨用充填材料から挿入部材を容易に引き抜くことが可能となる。
またさらに、前記バルーンは、放射線(X線)撮影下に前記バルーンを認識可能な造影部を有していてもよい。
このように、バルーンが造影部を有することで、骨用充填材料を充填した際のバルーンの拡張状態、バルーンの破裂、バルーンの骨内への残留等を容易に認識することが可能となる。
本発明によれば、骨治療システムは、骨の治療対象に対し硬化した骨用充填材料を容易に留置することにより、骨を一層良好に治療することができる。
本発明の一実施形態に係る骨治療システムの全体構成を示す側面図である。 図2Aは、図1の骨治療システムが適用される橈骨遠位端骨折を説明する概略図であり、図2Bは、図2Aの橈骨遠位端骨折の治療の流れを説明する第1説明図であり、図2Cは、図2Bに続く治療の流れを説明する第2説明図であり、図2Dは、図2Cに続く治療の流れを説明する第3説明図である。 図1の骨治療システムの留置デバイスの側面断面図である。 図4Aは、図3の留置デバイスの先端部を拡大して示す部分断面図であり、図4Bは、図3の留置デバイスの充填用バルーンの拡張状態を示す部分断面図である。 図5Aは、図4AのVA−VA線断面図であり、図5Bは、図5Aに続き骨用充填材料の充填時の充填用バルーンの変形を示す断面図である。 図6Aは、図1の骨治療システムによる骨用充填材料の留置処置を示す第1説明図であり、図6Bは、図6Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第2説明図である。 図7Aは、図6Bに続く骨用充填材料の留置処置を示す第3説明図であり、図7Bは、図7Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第4説明図である。 図8Aは、図7Bに続く骨用充填材料の留置処置を示す第5説明図であり、図8Bは、図8Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第6説明図である。 図9Aは、図8Bに続く骨用充填材料の留置処置を示す第7説明図であり、図9Bは、図9Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第8説明図である。 図10Aは、第1変形例に係る留置デバイスを示す側面断面図であり、図10Bは、第2変形例に係る留置デバイスを示す側面断面図である。 図11Aは、第3変形例に係る留置デバイスを示す側面断面図であり、図11Bは、第4変形例に係る留置デバイスを示す側面断面図である。 図12Aは、第5変形例に係る留置デバイスを示す第1説明図であり、図12Bは、第5変形例に係る留置デバイスを示す第2説明図である。 図13Aは、第6変形例に係る留置デバイスを示す側面断面図であり、図13Bは、第7変形例に係る留置デバイスを示す側面断面図である。 他の実施形態に係る骨治療システムの留置デバイスの側面断面図である。 図15Aは、図14の留置デバイスによる骨用充填材料の留置処置を示す第1説明図であり、図15Bは、図15Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第2説明図であり、図15Cは、図15Bに続く骨用充填材料の留置処置を示す第3説明図である。 図16Aは、図15Cに続く骨用充填材料の留置処置を示す第4説明図であり、図16Bは、図16Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第5説明図であり、図16Cは、図16Bに続く骨用充填材料の留置処置を示す第6説明図である。
以下、本発明に係る骨治療システムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る骨治療システム10は、図1に示す複数のデバイスにより、患者の骨折箇所に対し骨用充填材料C(留置材料:図2C参照)による低侵襲な治療を施すシステムである。すなわち、術者は、骨治療システム10の複数のデバイスを所定のタイミングで使用して、骨用充填材料Cを骨の内部に留置する手技を行う。留置された骨用充填材料Cは、時間経過に伴い骨を治療する。
ここで、本明細書中における「骨用充填材料」とは、初期時に骨の治療部位に充填可能(例えば、液状やペースト状)であり、時間経過により硬化(例えば、固形化や半固形化)する性質のものを指す。そして、「骨用充填材料」は、留置した骨に対し、融着、吸収、置換又は組織化等して、骨の治療(接合の他に、接合促進、増強等のように骨の改善も含む)を施すことが可能な材料である。
この骨用充填材料Cの材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリル樹脂(PMMA)や、α型リン酸三カルシウム(TCP)、β型TCP、水酸アパタイト等のリン酸カルシウムセメント(CPC)を好適に適用することができる。特に、CPCは、ペースト状から比較的短時間に固形化し、固形化状態から骨に徐々に結合(吸収)されて、最終的には自家骨に置換されることにより骨を接合することができるので好適である。なお、骨用充填材料Cの概念には、いわゆる「骨セメント」が含まれる。骨セメントは、狭義では上記のPMMAを指すが、広義ではPMMA及びCPCを含む。
骨治療システム10を用いた治療対象としては、例えば、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)が挙げられる。勿論、この骨治療システム10は、橈骨遠位端骨折の治療に限定されず、他の骨折箇所の治療や骨粗鬆症の骨を増強するために適用することができる。また、治療部位も骨の内部に限定されず、骨用充填材料Cを留置可能な様々な位置を対象とし得る。さらに、人以外にも他の動物の骨の治療に適用できることは勿論である。
なお、以下の説明において、骨治療システム10の各デバイスの方向を示す場合には、図1中の左側を「先端」側、図1中の右側を「基端」側と呼ぶ。
ここで、本発明に係る骨治療システム10の理解の容易化のために、先に、骨用充填材料Cの留置による橈骨遠位端骨折の治療の概要を説明する。図2Aに示すように、人体は、肘よりも遠位側の上肢の骨として、親指寄りに位置する橈骨100と、小指寄りに位置する尺骨102とを有する。橈骨100は、胴体部100aと、この胴体部100aの両端側に胴体部100aよりも太い遠位端部100b及び近位端部(図示せず)を備えている。橈骨100の骨粗鬆症は、骨の外周面側の緻密質104に対し内側の海綿質106の骨組織が失われ骨密度が低下した状態となることである。
橈骨遠位端骨折は、衝撃等を受けて、胴体部100aと遠位端部100bの連結部分の緻密質104が破壊(分断又は亀裂等)することで生じる。具体的な骨折状態としては、胴体部100aに対し分断した遠位端部100bが位置ずれする閉鎖骨折(コレース骨折も含む)や開放骨折、又は遠位端部100b内に胴体部100aがめり込む嵌入骨折等が挙げられる。
橈骨遠位端骨折の治療では、図2Bに示すように、胴体部100aに対しずれてしまった遠位端部100bの位置を元に戻す整復作業を行う。これにより、胴体部100aと遠位端部100bは、相互に正常な位置に配置される(以下、整復後状態という)。
この整復後状態で、胴体部100aと遠位端部100bの位置を維持して、骨治療システム10を使用し、図2Cに示すように骨用充填材料Cの留置処置を実施する。この留置処置については後に詳述するが、概略的には、骨治療システム10により、整復後状態の橈骨100内に空間108を形成し、空間108内に骨用充填材料Cを留置する作業を行う。この作業では、空間108に配置した充填用バルーン32(図1参照)にペースト状の骨用充填材料Cを充填し、所定時間経過後に硬化状態として充填用バルーン32から露出する。そして、充填用バルーン32を空間108から回収すると、硬化状態の骨用充填材料Cのみが空間108内に留置される。
骨用充填材料Cの留置後は、手首をギプス等により固定して、その固定状態を所定期間継続する。この期間中に、骨用充填材料Cは、橈骨100内の留置箇所周辺の骨に容易且つ確実に接触して吸収される。吸収された骨用充填材料Cは、徐々に自家骨に置換されていき、橈骨100内を増強すると共に、胴体部100aと遠位端部100bを接合する。この骨用充填材料Cを留置する治療では、骨折箇所の周辺組織への影響が低減され、金属製のプレートやビス等を用いて骨折箇所を固定する従来の治療方法よりも安全に治療することができる。
図1に戻り、次に、骨治療システム10の構成について具体的に説明していく。骨治療システム10は、上述した留置処置を実施する、すなわち未硬化状態の骨用充填材料Cを硬化状態として骨内に留置する骨用充填材料留置術を行うための治療用キットである。この骨治療システム10は、空間形成デバイス12、留置デバイス14及び展開操作デバイス16を備える。
なお、骨治療システム10は、上記のデバイスの他にも、幾つかの図示しないデバイスを適用し得る。例えば、骨折箇所周辺の生体組織を切開又は穿孔する開閉具、橈骨100の緻密質104を穿孔するドリル、ドリルや空間形成デバイス12等の案内経路を構築するカニューレ、整復後状態の骨の位置を維持する固定具等を含んでもよい。これらのデバイスは、公知のものを適用することができるので、詳細な説明は省略する。
空間形成デバイス12は、整復後状態の橈骨100の内部に、骨用充填材料Cを留置するための空間108(図7A参照)を先行して形成するデバイスである。この空間形成デバイス12は、シャフト18と、シャフト18の先端側に設けられた空間形成用バルーン20と、シャフト18の基端側に設けられたハブ22(把持部)と、ハブ22に接続される拡縮操作装置24とを有する。
シャフト18は、体外から橈骨100の内部に到達可能な長さを有する細長い管状部材である。シャフト18は、体外から橈骨100内に簡単にアプローチするため、剛性を有する材料(例えば、硬質プラスチック、金属材)により構成されることが好ましい。このシャフト18の内部には、拡張用流体を流通させる内腔26が軸方向に沿って貫通形成されている。
空間形成用バルーン20は、シャフト18の先端部側面に取り付けられた膜材である。空間形成用バルーン20の内側部分には、内腔26が連通しており、この内腔26を介して拡張用流体の流入及び排出が可能となっている。これにより、空間形成用バルーン20は、シャフト18の先端部側面において径方向外側に膨らみ、拡張状態で球形状を呈する。なお、拡張状態の空間形成用バルーン20の形状は、略球形状に限らず、側面視で楕円形状等でもよく、全体として丸みを帯びた形状であればよい。また、拡張状態の空間形成用バルーン20の横断面形状は、円形(略円形を含む)に限らず、楕円形状であってもよい。
空間形成用バルーン20は、例えば、非伸縮性を有する材料により構成される。非伸縮性を有する材料としては、織物、編物、不織布、紙材のような繊維性多孔質膜、その他、非繊維性多孔質膜、高分子シートのような緻密膜等が挙げられる。なお、空間形成用バルーン20は、伸縮性を有する材料により構成されてもよい。伸縮性を有する材料としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等が挙げられる。
また、空間形成用バルーン20に供給される拡張用流体も、特に限定されるものではなく、例えば、X線造影剤や生理食塩水等が挙げられる。特に、X線造影剤は、X線撮影下に、空間形成デバイス12が橈骨100内でどの程度拡張したかを造影することが可能であり、後の骨用充填材料Cの充填量を設定する観点からも有効である。
シャフト18の基端側に設けられるハブ22は、手技時に術者が操作し易いようにシャフト18よりも大径に形成されている。また、ハブ22は、拡縮操作装置24を接続するため、Y型コネクタとして形成され、その内部には拡縮操作装置24から供給される拡張用流体を内腔26に流動させる導入空間部22aが設けられている。
拡縮操作装置24は、例えば、シリンジによって構成され、ハブ22(Y型コネクタ)の導入ポート28に接続される。拡縮操作装置24は、術者の操作により、拡張用流体をシャフト18側に供給し、さらに供給した拡張用流体を吸引する機能を有する。例えば、拡縮操作装置24がシリンジの場合、術者は、押し子(図示せず)を押し出す操作により拡張用流体をシリンジから流出させて空間形成用バルーン20に供給する。また、術者は、拡張流体の供給後に、押し子から手を離す(又は押し子を引く)ことで拡張用流体を吸引する操作を行う。
なお、拡縮操作装置24は、空間形成用バルーン20への拡張用流体の供給量に対応して、骨用充填材料Cの充填量を示す(あるいは、拡張用流体の供給量そのものを示す)ように構成されるとよい。すなわち、空間形成デバイス12により形成される橈骨100内の空間108の体積は、拡張用流体の供給量と概ね同量であるため、後に骨用充填材料Cを充填する際の指標とすることができる。例えば、拡縮操作装置24は、シリンジの目盛りに骨用充填材料Cの充填量を併記し、拡張用流体を最も供給したときに押し子の進出位置を自動マーキングする構成とする。これにより、示された骨用充填材料Cの充填量に基づき、後に、骨用充填材料Cを精度よく充填することが可能となる。
空間形成デバイス12の空間形成用バルーン20は、橈骨100内に挿入されるまで収縮状態とされ、橈骨100内において拡張用流体の供給に基づき拡張する。空間形成用バルーン20は、この拡張中に橈骨100内の骨組織を破砕する。骨粗鬆症の橈骨100内の海綿質106は脆くなっており、空間形成用バルーン20の膨張によって比較的容易に破砕される。一方、空間形成用バルーン20は、充分な強度を有することで、破裂や穴開き等の破損を生じない。これにより、橈骨100内には、空間形成用バルーン20の拡張に応じた空間108が形成される。
空間形成デバイス12の使用後は、図1及び図3に示す骨治療システム10の留置デバイス14が使用される。留置デバイス14は、橈骨100内に形成された空間108に骨用充填材料Cを留置する機能を有する。この留置デバイス14は、シャフト30と、シャフト30の先端側に設けられた充填用バルーン32と、シャフト30の基端側に設けられた把持部34と、把持部34に接続される供給装置36とを含む。
シャフト30は、空間形成デバイス12のシャフト18と略同じ長さ及び太さに形成され、その剛性も同程度に設定される。シャフト18、30の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅系合金等の金属材料や、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂、PEEK、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂材料が挙げられる。
シャフト30の内部には、ペースト状の骨用充填材料Cを流通可能な流路38(ルーメン)が軸方向に沿って貫通形成されている。この流路38は、展開操作デバイス16よりも充分に大きな内径を有し、骨用充填材料Cの充満状態で展開操作デバイス16も通過させる。流路38の内径は、例えば、2〜5mmが望ましく、より望ましくは2.5〜4.5mmに設定するとよい。
また、シャフト30の先端部には、図3及び図4Aに示すように、先端チップ40が取り付けられている。先端チップ40は、シャフト30の外径よりも太い基部側がシャフト30の外周面に固着され、この基部から先端に向かって先細りとなるテーパ状に形成されている。
この先端チップ40は、シャフト30よりも柔軟な材料により構成されている。先端チップ40の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましく、ウレタン樹脂やポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ナイロンエラストマー等のエラストマー材料により構成するとよい。また、先端チップ40は、X線造影性の造影部材が取り付けられる、又はX線造影性を有する材料が含まれるように構成されるとよい。これにより、術者は、留置デバイス14の挿入時や骨用充填材料Cの充填時に、留置デバイス14の先端部の位置を容易に認識することができる。
先端チップ40の外面は、収縮状態の充填用バルーン32により覆われる。柔軟性を有する先端チップ40は、充填用バルーン32を内側から傷付けないように支持する。また、先端チップ40は、充填用バルーン32を皺がなく張った状態で内側から支持するので、充填用バルーン32をスムーズに膨張させることができる。開口部40aを有する先端チップ40の内腔は、シャフト30の流路38と連通している。開口部40aは、流路38を流動してきた骨用充填材料Cを先端方向に吐出することで、充填用バルーン32をシャフト30より先端側で拡張させる。
充填用バルーン32は、伸縮性を有し、先端チップ40の外面に接触する収縮状態から、骨用充填材料Cの供給により先端チップ40から離間する拡張状態へと移行可能である。充填用バルーン32の基端部は、固定筒42により固定されており、図4Bに示すように、充填用バルーン32は、骨用充填材料Cが供給されると球形状を呈するように拡張する。この拡張状態では、シャフト30の先端及び先端チップ40が充填用バルーン32内の基端側に位置することになる。
充填用バルーン32は、空間形成用バルーン20よりも柔軟に構成されており、拡張時には大きく伸びて(弾性変形して)薄肉となる。従って、充填用バルーン32は、橈骨100内で拡張した際には、空間108の形状に応じて適宜変形した3次元形状となる。充填用バルーン32の構成材料は、特に限定されないが、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましく、そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ナイロンエラストマー、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。
拡張状態の充填用バルーン32は、展開操作デバイス16により簡単に割れる(破裂する)ように構成されている。この充填用バルーン32が割れることで、充填後に硬化した骨用充填材料Cが橈骨100の空間108に露出される。充填用バルーン32は、基端部が固定筒42に強固に固定されているので、割れた後も留置デバイス14との取付状態が維持され、留置デバイス14の引き抜きに伴い、橈骨100内から回収される。
固定筒42は、充填用バルーン32の基端部(固定部分33)を囲うように取り付けられ、シャフト30との間で充填用バルーン32を挟み込んで固定する。この固定筒42は、充填用バルーン32の基端部を強固に保持するように、シャフト30の軸方向に沿って所定長さを有する。図4Aに示すように、固定筒42の充填用バルーン32に接触する内面には、軸方向に延びる溝部44が形成されている。
この溝部44は、骨用充填材料Cの充填時にシャフト30や充填用バルーン32に存在する空気を抜く気体排出部46として機能する。溝部44は、図5Aに示すように、固定筒42の内周面の周方向に沿って複数設けられている。充填用バルーン32は、各溝部44の間に隣接する固定壁42aにより固定されている。
充填用バルーン32の固定部分33は、骨用充填材料Cの供給前は、全周にわたってシャフト30の外周面に密着している。そして、骨用充填材料Cを供給した際には、流路38に内在する空気が充填用バルーン32側に押し出され、図5Bに示すように、固定部分33を溝部44に向けて弾性変形させることで、空気排出路48が形成される。これにより、空気を、空気排出路48を介して固定筒42よりも基端側に排出して、骨用充填材料Cに空気が混じることを低減する。この溝部44は、深さや幅が適度に小さく設定されることで、空気排出路48からの骨用充填材料Cの漏れを防ぐことができる。
図3に戻り、留置デバイス14は、橈骨100内の挿入時に、シャフト30、充填用バルーン32、先端チップ40を保護する管状のシース50を備える。シース50は、固定筒42の外径よりも大きな内径の収容ルーメン52(収容部)を有し、シャフト30や充填用バルーン32を摺動自在に収容する。
シース50は、シャフト30よりも若干短い長さ(先端チップ40から把持部34の先端付近に至る長さ)に形成されている。シース50の基端部には、径方向外側に突出する操作板50a(シース操作部)が設けられている。シース50は、術者により操作板50aが基端方向又は先端方向に操作されることで、シャフト30と相対的に進退する。充填用バルーン32は、シース50の後退によりシース50の先端から露出される。
留置デバイス14の把持部34は、空間形成デバイス12と同様にY型コネクタとして構成されている。把持部34の内部には、シャフト30の流路38に連通する導入空間部54が貫通形成されている。把持部34は、収容ルーメン52の内径よりも小径の外径に形成された先端筒部56と、先端筒部56の基端に連なり先端筒部56よりも大径の胴体筒部58とを有する。そのため、先端筒部56と胴体筒部58の間には、シース50の基端部に対向しシース50の後退限界を規定する段差60が形成される。
胴体筒部58は、留置デバイス14の使用時に術者が把持する部位であり、シャフト30の軸心部に一致するように形成されている。この胴体筒部58の基端側は、展開操作デバイス16を流路38に挿入可能とする挿入ポート62として構成されている。
挿入ポート62の基端外周面には、雄ネジ部62aが形成されており、この雄ネジ部62aに対し雌ネジ部64aを有した案内部材64が取り付けられる。案内部材64は、取付状態で導入空間部54の軸心に一致する挿入孔64bを備え、この挿入孔64bは、展開操作デバイス16(マンドレル70)の外径よりも若干大きい内径に形成される。案内部材64と把持部34との間には、弁体66が設けられる。弁体66は、展開操作デバイス16の挿入を許容及び案内する一方で、骨用充填材料Cの漏洩を防ぐ機能を有する。
また、胴体筒部58の側部には、斜め基端方向に突出する注入ポート68が設けられている。注入ポート68は、骨用充填材料Cを導入空間部54に導入するための導入路68aを内部に有し、その基端部には、供給装置36が着脱自在に装着される取付部(ルアーロック機構)が設けられている。
供給装置36は、骨用充填材料Cを充填するための装置であり、拡縮操作装置24と同様に、例えばシリンジによって構成される。供給装置36は、術者により押し子が押出し操作されることで、注入ポート68の取付部に取り付けられた先端部から骨用充填材料Cを排出する。これにより、骨用充填材料Cは、導入路68a及び導入空間部54を介してシャフト30の流路38に供給される。
流路38に供給された骨用充填材料Cは、シャフト30の先端方向に流動する。この際、シャフト30内の空気は、上述したように気体排出部46によってシャフト30及び充填用バルーン32の外部(シース50の収容ルーメン52)に排出される。よって、骨用充填材料Cはスムーズに先端方向に導かれ、充填用バルーン32の内部に充填される。充填用バルーン32は、骨用充填材料Cの充填に伴い、シャフト30の先端部で図4Bに示すような拡張状態となる。そして、充填された骨用充填材料Cは、所定時間(例えば、5〜15分程度)経過すると、橈骨100内に留置可能な程度まで硬化した状態となる。
図1に戻り、展開操作デバイス16は、上記の硬化状態の骨用充填材料Cを橈骨100の空間108に露出させるためのデバイスである。この展開操作デバイス16は、骨用充填材料Cの硬化前に挿入されるマンドレル70(挿入部材)と、骨用充填材料Cが硬化してマンドレル70を引き抜いた後に挿入される針部材80とにより構成される。
マンドレル70は、細長い直線状に形成された棒部材であり、長手方向の長さが留置デバイス14よりも長く、また外径が留置デバイス14の流路38の内径よりも小径な長尺部71を有する。マンドレル70は、留置デバイス14の流路38を通して、拡張した充填用バルーン32の先端側内面まで挿入される。このマンドレル70は、ペースト状の骨用充填材料Cに挿入されることで、骨用充填材料Cが硬化すると、骨用充填材料Cの内部に通路72(図8B参照)を形成する。通路72は、把持部34(挿入ポート62)の基端部から拡張状態の充填用バルーン32まで達する直線状の空洞部に形成される。
マンドレル70の長尺部71は、充填用バルーン32に対するマンドレル70の相対位置を認識することが容易となるように、X線造影性を有する材料により構成されことが好ましい。また、マンドレル70の先端部70aは、拡張状態の充填用バルーン32に接触しても割れないように、丸角に形成されているとよい。
マンドレル70は、挿入時に、把持部34に取り付けられた案内部材64及び弁体66により姿勢が案内される。また、先端部70aが充填用バルーン32に達した状態では、基端部が弁体66に保持されることで骨用充填材料Cの硬化までの姿勢が良好に維持される。長尺部71の基端部には、マンドレル70の進出操作を容易に行うため、マンドレル70よりも大径の操作部74が取り付けられることが好ましい。操作部74は、案内部材64の挿入孔64bの内径に一致する外径に形成されることで、マンドレル70の挿入状態で挿入孔64bに保持されるように構成されてもよい。
マンドレル70は、留置デバイス14への挿入後に所定時間経過して硬化した骨用充填材料Cに通路72を形成すると、術者により留置デバイス14から引き抜かれる。長尺部71の外周面は滑らかに形成されており、マンドレル70を多少振動や回転させることで、比較的容易に引き抜くことができる。なお、長尺部71は、硬化した骨用充填材料Cに対して相対移動を容易とする潤滑剤71a(挿入部材用潤滑剤)が塗布されていてもよい。潤滑剤71aとしては、例えばシリコンオイル等が挙げられる。マンドレル70の引抜き後は、通路72に対し針部材80が挿入される。
針部材80は、マンドレル70と同様に、細長い直線状に形成され、先端部に鋭利な針先82を有する。針部材80の外径は、マンドレル70の外径よりも多少小径に形成されており、マンドレル70によって形成された骨用充填材料Cの通路72をスムーズに通過することが可能である。針部材80の針先82は、留置デバイス14を先端方向に移動して、拡張状態の充填用バルーン32に接触することで、充填用バルーン32を簡単に割ることができる。なお、針部材80の摺動性を高めるために、針部材80の外周面には、マンドレル70と同様に潤滑剤71aが塗布されていてもよい。
マンドレル70や針部材80の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えばステンレス鋼等の金属材等により構成されるとよい。また、針部材80も、X線造影性を有していることが好ましい。これにより、針部材80の進出操作時に、針先82が充填用バルーン32に達して、充填用バルーン32を割ったことを認識することができる。
本実施形態に係る骨治療システム10は、基本的には、以上のように構成されるものであり、次にこの骨治療システム10の作用効果について説明する。
以下では、骨治療システム10による骨治療の一例として、骨用充填材料Cの留置による橈骨遠位端骨折の治療を説明する。留置処置の前は、図2Bに示すように、術者が橈骨100の骨折箇所を整復し、胴体部100aと遠位端部100bを正常な位置関係とする。そして、整復後状態の橈骨100に留置処理を実施する。なお、以降の留置処置においては、X線撮影が実施され橈骨100の骨折箇所の状態をX線撮影画像でリアルタイムに確認している。
留置処置では、図6Aに示すように、まず空間形成デバイス12を使用する。術者は、整復後状態を保持して皮膚を切開し、橈骨100の緻密質104に対し、空間形成デバイス12及び留置デバイス14を挿入するための孔110を、ドリル等により形成する。孔110は、骨折によりヒビが形成された箇所に沿って穿孔されるとよい。これにより、後に空間形成デバイス12や留置デバイス14を孔110に容易に挿入することができる。なお、橈骨100に対する孔110の穿孔方向、換言すれば空間形成デバイス12や留置デバイス14の挿入方向は、特に限定されるものではなく、骨折状況に応じて適宜設定してよい。
孔110の形成後は、空間形成デバイス12を孔110に挿入する。この際、空間形成用バルーン20は収縮状態となっており、空間形成デバイス12の先端部が橈骨100内に容易に挿入される。また橈骨100の内部は、骨粗鬆症により海綿質106が脆いことで、空間形成デバイス12の進出を許容する。
術者は、図6Bに示すように、空間形成デバイス12の先端部を橈骨100の奥(孔110と反対側の緻密質104)まで挿入すると、拡張用流体を供給して空間形成用バルーン20の拡張を行う。空間形成用バルーン20は、充分な強度を有するため、拡張する際に拡張用流体の供給圧によって脆くなっている海綿質106を破砕する。これにより、橈骨100の内部には、空間形成用バルーン20の拡張量(体積)に応じた空間108が形成される。空間108の形成後は、空間形成用バルーン20を収縮して、空間形成デバイス12を橈骨100の内部から引き抜く。
次に、図7Aに示すように、空間形成デバイス12に代えて留置デバイス14を使用する。術者は、シース50の収容ルーメン52にシャフト30及び充填用バルーン32を収容した状態で、橈骨100に向けて留置デバイス14を進出させ、孔110(図6A参照)に挿入する。この際、シース50も橈骨100内に挿入することで、充填用バルーン32の損傷を回避することができ、また橈骨100に対するデバイスの挿入量を体外から認識することができる。なお、留置デバイス14の挿入では、橈骨100の外側でシース50を孔110の位置合わせに用い、シャフト30や充填用バルーン32をシース50に対し進出させて橈骨100内に挿入してもよい。
留置デバイス14の先端部が、空間108に挿入されると、シース50の操作板50aを基端方向に後退移動させて、シャフト30の先端部(収縮状態の充填用バルーン32)を空間108内に露出させる。シース50は、基端部が把持部34の段差60に接触するまで後退操作されることで、充填用バルーン32を確実に拡張可能とする。
シース50を後退した後、術者は、供給装置36を操作して、図7Bに示すように、シャフト30の流路38を通してペースト状の骨用充填材料Cを充填用バルーン32に供給する。なお、以下の処置の説明では、ペースト状の骨用充填材料についてC1を付し、硬化状態(少なくとも体液で崩壊しない程度の硬化状態又はそれ以上に硬化した状態)の骨用充填材料についてC2を付す。骨用充填材料C1の供給時には、流路38内の空気が、気体排出部46(図5B参照)によりシース50の収容ルーメン52に抜けて、シース50の基端部から体外に排気される。
充填用バルーン32は、骨用充填材料C1が内側に充填されることにより、シャフト30の先端において空間108の形状に対応して拡張していく。充填用バルーン32の拡張量は、空間108の体積に略一致する又は若干小さくなる程度に設定されるとよい。これにより、骨用充填材料C1を充填し過ぎることで、骨用充填材料C2と橈骨100の内面との間で充填用バルーン32を強く圧迫することが防止され、後の充填用バルーン32の回収を円滑に行うことができる。
充填用バルーン32の拡張後は、留置デバイス14の挿入ポート62からマンドレル70(展開操作デバイス16)を挿入する。術者は、留置デバイス14の流路38を介して、マンドレル70を先端方向に進出操作し、図8Aに示すように、先端部70aが充填用バルーン32の内面に接触することで進出を停止する。マンドレル70は、X線造影下で先端部70aの位置が確認されることで、充填用バルーン32に対し不必要に押し出される等して、骨用充填材料C1の硬化前に充填用バルーン32を割ることを防ぐことができる。
なお、マンドレル70を留置デバイス14に挿入するタイミングは、特に限定されるものではなく、例えば、骨用充填材料C1を充填する前に予め挿入しておいてもよく、骨用充填材料C1の充填中に挿入してもよい。これにより、骨用充填材料C1の充填後にマンドレル70を挿入した際に骨用充填材料C1の液圧が高まることを抑えることができる。
マンドレル70の挿入後は、所定時間待機することにより骨用充填材料C1を硬化させる。骨用充填材料Cは、例えば、硬化型のCPCであれば、10分前後で体液により容易に崩壊しない程度に硬化するため、患者にとって大きな負担とはならない。
所定時間経過後、術者は、硬化状態の骨用充填材料C2からマンドレル70を引き抜く操作を行う。直線状に形成されたマンドレル70は、骨用充填材料C2に引っ掛かる等の不都合がなく、留置デバイス14の軸方向に沿って円滑に引き抜かれる。
マンドレル70を引き抜くと、図8Bに示すように、硬化状態の骨用充填材料C2の内部には通路72が形成される。通路72は、マンドレル70が挿入されていた留置デバイス14の挿入ポート62に通じており、術者は、挿入ポート62から針部材80を挿入することで、通路72に沿って針部材80を進出させることができる。
通路72は、充填用バルーン32の内面まで直線状に形成されており、術者は、通路72に沿って針部材80を円滑に進出操作し、通路72に対向する充填用バルーン32の略正中位置に針先82を簡単に接触させることができる。この針先82の接触により、充填用バルーン32は、図9Aに示すように空間108の奥側から割れる。なお、図9Aは、充填用バルーン32が破裂した直後の状態を示している。針先82は、拡張状態の充填用バルーン32の中で最も伸びている部分を刺すことになり、充填用バルーン32は、積極的に破裂が促される。これにより、硬化状態の骨用充填材料C2が空間108内に露出される。
伸縮性を有する充填用バルーン32は、留置デバイス14の先端側(遠位側)から割れることで、割れた膜部分(破裂片32a)がシャフト30に固定された基端部側に移動するように作用する。すなわち、破裂片32aは、空間108内を移動してシャフト30側に近づくことになり、骨用充填材料C2を積極的に露出させる。また、留置デバイス14は、基端部側に移動した充填用バルーン32(破裂片32a)を容易に回収することが可能となる。
骨用充填材料C2を露出した後は、図9Bに示すように、針部材80を通路72から引き抜き、さらに留置デバイス14を橈骨100内から引き抜く。これにより、橈骨100の空間108には、硬化状態の骨用充填材料C2が留置される。
硬化状態の骨用充填材料C2は、橈骨100内周辺の骨に吸収され、その後徐々に自家骨に置換されていく。その結果、橈骨100は、胴体部100aと遠位端部100bの接合がなされる。
以上のように、本実施形態に係る骨治療システム10によれば、留置デバイス14と展開操作デバイス16を備えることで、橈骨100に対し硬化状態の骨用充填材料C2を簡単に留置することができる。すなわち、骨折の治療では、骨用充填材料Cを充填用バルーン32内に充填して骨用充填材料Cが硬化する前に、シャフト30の流路38内にマンドレル70を挿入する。このため、骨用充填材料Cが硬化した際に、骨用充填材料C内に通路72が形成され、針部材80を通路72に挿入して充填用バルーン32を破裂することができ、骨用充填材料Cを容易に露出させる。これにより、硬化状態の骨用充填材料Cを空間108に精度よく留置して、骨を良好に治療することができる。特に、注入時に体液と接触すると崩壊や硬化不良が起こりやすい骨用充填材料Cを、体液の影響を抑え、より確実に硬化した状態で橈骨100内に留置することができ、骨折部位の強度向上と治療効果を高めることができる。
留置デバイス14は、シャフト30と固定筒42の間で充填用バルーン32を強固に固定することができる。よって、充填用バルーン32内に骨用充填材料Cを確実に充填することが可能となり、骨用充填材料Cを充填用バルーン32から露出した後に充填用バルーン32を容易に回収することができる。
また、留置デバイス14は、柔軟な先端チップ40がシャフト30の先端に取り付けられていることで、充填用バルーン32の内側を傷付けることなく支持することができる。さらに、留置デバイス14は、シース50を備えることで、留置デバイス14の挿入時にシース50により充填用バルーン32を保護することができる。そして、挿入後は、シース50を後退することで充填用バルーン32の拡張を容易に行うことができる。
なお、本発明に係る骨治療システム10は、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変形例及び応用例をとり得る。以下、骨治療システム10の変形例について具体例を幾つか説明していく。なお、以降の説明において、本実施形態に係る骨治療システム10と同一の構成又は同一の機能を有する構成については、同じ符号を付しその詳細な説明を省略する。
図10Aに示す第1変形例に係る留置デバイス14Aは、シャフト120に先端チップ40を備えず、シャフト120の先端部の外周面に充填用バルーン32を取り付けた構成となっている。このシャフト30の先端部外周面側の角部120aは丸角に形成されており、収縮状態の充填用バルーン32を張った状態で支持し、充填用バルーン32を容易に拡張可能としている。このように、留置デバイス14Aは、先端チップ40を省いた構成とすることで、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。また、固定筒42と充填用バルーン32の先端位置が概ね一致しているため、留置される骨用充填材料C2内には、展開操作デバイス16の外径に相当する空孔のみが形成され、図9Bのように先端チップ40に相当する大きな空孔が残らないので骨用充填材料C2の強度を増すことができる。
さらに、固定筒122は、留置デバイス14Aの挿入時に充填用バルーン32を保護することができる。よって、留置デバイス14Aは、シース50を省いた構成とすることもできる。
図10Bに示す第2変形例に係る留置デバイス14Bは、第1変形例のシャフト120を有すると共に、充填用バルーン130が非伸縮性素材によって構成されている。このため、充填用バルーン130は、留置デバイス14Bの橈骨100内への送達時に、シャフト120内に収容されていることが好ましい。これにより、非伸縮性の充填用バルーン130でも、橈骨100等に引っ掛かることなく橈骨100内に挿入される。また、シャフト120の流路38を流動してきた骨用充填材料Cは、充填用バルーン130を押し出しつつシャフト120の先端方向に拡張させることができる。充填用バルーン130は、針部材80が穿刺されることにより破れるように作用し、留置デバイス14Bを後退移動すると、破れた部分から骨用充填材料を露出することができる。
図11Aに示す第3変形例に係る留置デバイス14Cは、拡張状態における充填用バルーン140の肉厚が部位に応じて異なるように構成されている。具体的には、シャフト30から最も離間する箇所140a(図11A中の通路72の先端部周辺)が薄肉に形成され、シャフト30と近接する箇所140b(固定筒42が固定する基端部周辺)が厚肉に形成されている。このように拡張状態における充填用バルーン140の肉厚を変えることで、充填用バルーン140の破裂や充填用バルーン140の回収を一層容易に行うことができる。
すなわち、針部材80は、充填用バルーン140の薄肉の箇所140aを刺すことになり、充填用バルーン140は容易に割れて破断が促される。また、割れた充填用バルーン140は、厚肉の箇所140b(基端部)が高い弾性力で引き込むため、割れた際の破裂片を基端側に容易に移動させることができる。
図11Bに示す第4変形例に係る留置デバイス14Dは、充填用バルーン150の外周面及び内周面に潤滑剤塗布層152、154を設けた構成となっている。外周面側の潤滑剤塗布層152は、橈骨100に対して充填用バルーン150を滑らせるものであり、内周面側の潤滑剤塗布層154は、硬化状態の骨用充填材料Cに対して充填用バルーン150を滑らせるものである。潤滑剤塗布層152、154は、充填用バルーン150が割れた際に、充填用バルーン150の基端側への移動を促進し、充填用バルーン150の回収を一層確実に実施することができる。なお、潤滑剤は、充填用バルーン150の外周面又は内周面のいずれか一方だけに塗布してもよいことは勿論である。
図12A、図12Bに示す第5変形例に係る留置デバイス14Eは、拡張状態における充填用バルーン160の先端部周辺にX線造影性を有する造影マーカ162(造影部)を設けた構成となっている。造影マーカ162は、例えばCu、Au、Pt等の金属材により薄い膜を形成することで構成し得る。このように造影マーカ162を設けることで、骨用充填材料Cの充填時には、シャフト30からの造影マーカ162の離間を確認して、充填用バルーン160の拡張状態を認識することができる。
そして、充填用バルーン160を割った際には、充填用バルーン160の縮小(基端側への移動)に連れて造影マーカ162も移動するので、充填用バルーン160が割れたことを確認することができる。また、造影マーカ162を確認することで、充填用バルーン160の破裂片が骨の内部に残ったことも認識することができる。なお、充填用バルーン160に設ける造影部の位置や範囲は、特に限定されるものではなく、例えば、充填用バルーン160全体に設けてもよい。
図13Aに示す第6変形例に係る展開操作デバイス16Aは、マンドレル70による骨用充填材料Cの通路72の形成後に、通路72を介して充填用バルーン32を破裂(溶解)する溶解液170を供給する構成となっている。溶解液170としては、充填用バルーン32の構成材料にもよるが、例えば充填用バルーン32がスチレン系エストラマーであれば、ダイズ油やリピオドール(登録商標)等が挙げられる。このように展開操作デバイス16Aは、針部材80に変えて溶解液170の供給により骨用充填材料Cを露出せてもよい。要するに、充填用バルーン32を割る構成は、特に限定されるものではく、種々の構成を採用し得る。例えば、上述した針部材80に代わる作用部材として、先端部に加熱部を備えたデバイスを通路72に挿入し、当該加熱部により充填用バルーン32の一部を切り、破裂させてもよい。あるいは、他の作用部材として、先端部に鋏機構を備えたデバイスを通路72に挿入し、当該鋏機構により充填用バルーン32の一部を切り、破裂させてもよい。
図13Bに示す第7変形例に係る展開操作デバイス16Bは、マンドレル180が軸方向に沿って貫通路180aを有する管状体に構成されている。このマンドレル180は、種々の効果を得ることができ、例えば、骨用充填材料Cの充填前にマンドレル180を挿入しておけば、骨用充填材料Cの充填時に、貫通路180aを介して流路38の空気を排出することができる。また、針部材182を移動可能に貫通路180aに収容する構成とすれば、骨用充填材料Cの硬化後に、針部材182を進出させて充填用バルーン32を直ぐに割ることができる。
また、本発明に係る骨治療システム10の他の変形例として、留置デバイス14を操作するための把持部34は、Y型コネクタに限定されず種々の構造を採用し得る。例えば、把持部は、1つのポートからなるハブとして構成され、ポートの内部に弾性的に進退可能なピストン性を有する弁体を備えた構造を採ることができる。この場合、弁体は、ポートへの供給装置36の接続時に先端側に押し込まれることで開口し、供給装置36の接続解除に伴い弾性復帰することで閉塞する接続口を有し、骨用充填材料Cの漏洩を防ぐ構成であるとよい。これにより、供給装置36からの骨用充填材料Cの供給と、供給後のマンドレル70や針部材80の挿入とを1ポートの把持部で実現することができる。
図14に示す他の実施形態に係る骨治療システム10Aは、1つのポートを有する留置デバイス200に展開操作デバイス202であるマンドレル204を収容し、マンドレル204を介して骨用充填材料Cを供給する構成となっている。なお、図示は省略するものの、骨治療システム10Aは、図1に示す骨治療システム10と同様に、空間形成デバイス12や針部材80(展開操作デバイス202)を含むものである。
留置デバイス200は、シャフト206、充填用バルーン208、固定筒210及び把持部212を有する。シャフト206は、収縮状態の充填用バルーン208を支持する大径の先端部(大径部)を有する。シャフト206の内部には、軸方向に沿って中空部214(ルーメン)が貫通形成されている。充填用バルーン208は、図1に示す充填用バルーン32と同一の構成であり、その基端部が固定筒210に固定され固定筒210の先端方向に拡張可能となっている。
把持部212は、シャフト206の外径に装着可能な内径に形成された導入空間部216を有し、シャフト206の基端部に固着される。導入空間部216を構成する把持部212の壁部には、導入空間部216と外部を連通し、骨用充填材料Cの供給時に中空部214等に内在する空気を排出する連通孔218(気体排出部)が設けられている。また、把持部212の基端側には、図3に示す把持部34と同様に案内部材64及び弁体66が設けられている。
なお、この留置デバイス200は、図1に示すシース50を省いた構成であるが、勿論、シャフト206や充填用バルーン208がシースに収容された構成であってもよい。
一方、マンドレル204は、中空部214に対し挿脱自在な筒状に形成されている。マンドレル204は、基端側が留置デバイス200の基端部から突出し得る充分な長さを有する胴体筒部220と、胴体筒部220の先端側に連なり胴体筒部220よりも細い先端筒部222とを含む。また、胴体筒部220と先端筒部222の間には、先端方向に緩やかに小径となり両者を連ねるテーパ部221が形成されている。
マンドレル204の内部には、軸方向に貫通形成された流路224が設けられている。流路224は、胴体筒部220と先端筒部222の外径に応じて、先端部分が狭く形成されている。また、胴体筒部220の基端部には、骨用充填材料Cを供給する供給装置36を接続するためのハブ226が設けられている。
他の実施形態に係る骨治療システム10Aは、上記のように構成されており、以下この骨治療システム10Aの作用及び効果について説明する。骨治療システム10Aの留置デバイス200は、図1に示す骨治療システム10と同様に、空間形成デバイス12により橈骨100内に空間108を形成した後、空間形成デバイス12に代えて使用される。
術者は、マンドレル204がセットされた留置デバイス200の把持部212を把持操作して、図15Aに示すように、その先端部を橈骨100の空間108に挿入する。シャフト206の先端部(大径部)を空間108に挿入した後、マンドレル204のハブ226に供給装置36を接続し、マンドレル204の流路224にペースト状の骨用充填材料C1を供給する。
供給されて骨用充填材料C1は、図15Bに示すように、流路224を介してマンドレル204の先端部から流動し、さらに充填用バルーン208に充填されて充填用バルーン208を拡張する。マンドレル204から骨用充填材料C1が流出する際には、シャフト206や充填用バルーン208に存在する空気が中空部214を通って基端方向に流動し、把持部212の連通孔218から排出される。これにより、充填用バルーン208内に骨用充填材料C1がスムーズに充填される。
骨用充填材料C1の充填後(又は充填中)、図15Cに示すように、術者はマンドレル204を進出操作し、マンドレル204の先端部を充填用バルーン208の先端部に接触させる。その後は、所定時間待機することにより骨用充填材料Cを硬化させ、硬化状態の骨用充填材料C2からマンドレル204を引き抜く。これにより、図16Aに示すように、硬化状態の骨用充填材料C2の内部には通路228が形成される。
図16Bに示すように、この通路228には、マンドレル204に代えて針部材80が挿入される。針部材80の針先82は、通路228が対向する充填用バルーン208の先端部に進出して接触することで、空間108の奥側から充填用バルーン208を割る。この際、通路228は、マンドレル204の外形に基づき先端側が狭く構築されるが、テーパ部221により緩やかに狭まるように形成されることで、針部材80は円滑に進出操作される。硬化状態の骨用充填材料C2は、充填用バルーン208が割られることで空間108内に露出される。
骨用充填材料Cを露出した後は、図16Cに示すように、針部材80を通路228から引き抜き、さらに留置デバイス200を橈骨100内から引き抜く。これにより、橈骨100の空間108には、硬化状態の骨用充填材料C2が留置される。
以上のように、他の実施形態に係る骨治療システム10Aでも、骨治療システム10と同様の作用効果を得ることができる。また、この骨治療システム10Aでは、ペースト状の骨用充填材料C1を、直線状のマンドレル204の内部を介して流動させることができ、充填用バルーン208への充填を円滑に行うことができる。
なお、骨治療システム10Aでも、図1に示す骨治療システム10の部分的な構成(先端チップ40等)や上述した図10A〜図13Bに示す変形例等を適用することができ、また種々の変形例や応用例を採用し得ることは勿論である。例えば、マンドレル204は、軸方向に均一な太さを有する形状に形成してもよい。また、マンドレル204は、針部材80を通すことが可能な中空部214を有し、中空部214を介して充填用バルーン208を割る構成としてもよい。要するに、留置デバイスとマンドレルは、軸方向に相対移動可能な2重管構造の形態でもよく、あるいは留置デバイス、マンドレル及び針部材は、軸方向に相対移動可能な3重管構造の形態でもよい。
上述した実施形態では、骨用充填材料Cが硬化状態となってから、すなわち体液で崩壊しない程度に硬化した状態となった以降に充填用バルーン32を骨内で破裂させたが、骨用充填材料Cが体液で崩壊しない程度に硬化するよりも前に充填用バルーン32を骨内で破裂させてもよい。この方法によっても、バルーンを使わずに骨用充填材料Cを骨内に導入した場合と比べて、高い治療効果が得られる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10、10A…骨治療システム 12…空間形成デバイス
14、14A〜14E、200…留置デバイス
16、16A、16B、202…展開操作デバイス
30、120、206…シャフト
32、130、140、150、160、208…充填用バルーン
38…流路 40…先端チップ
42、122、210…固定筒 50…シース
70、180、204…マンドレル 72、228…通路
80、182…針部材 100…橈骨
108…空間 152、154…潤滑剤塗布層
162…造影マーカ 170…溶解液
C…骨用充填材料

Claims (9)

  1. 骨の治療部位に留置される骨用充填材料を流通可能なルーメンを有するシャフトと、前記シャフトの先端側に設けられ前記ルーメンを介して前記骨用充填材料が充填されるバルーンとを備える留置デバイスと、
    前記ルーメンに挿入可能に構成され前記骨用充填材料が充填された後の前記バルーンを破ることで前記骨用充填材料を露出させる展開操作デバイスとを含む
    ことを特徴とする骨治療システム。
  2. 請求項1記載の骨治療システムにおいて、
    前記バルーンは、伸縮性を有する材料により構成される
    ことを特徴とする骨治療システム。
  3. 請求項1又は2記載の骨治療システムにおいて、
    前記展開操作デバイスは、前記ルーメン及び前記バルーン内に挿入可能であると共に、拡張状態の前記バルーンの内面に先端部が近接又は当接可能な挿入部材を含む
    ことを特徴とする骨治療システム。
  4. 請求項3記載の骨治療システムにおいて、
    前記展開操作デバイスは、前記骨用充填材料から前記挿入部材の引き抜きに伴って形成された空洞部の内側を案内されて前記バルーンを破る針部材をさらに含む
    ことを特徴とする骨治療システム。
  5. 請求項3記載の骨治療システムにおいて、
    前記展開操作デバイスは、前記骨用充填材料から前記挿入部材の引き抜きに伴って形成された空洞部に前記バルーンを溶解させる溶解液を流通させることにより前記バルーンを破る
    ことを特徴とする骨治療システム。
  6. 請求項3記載の骨治療システムにおいて、
    前記挿入部材は、軸方向に貫通路を有する管状体であり、
    前記展開操作デバイスは、前記貫通路に挿入されて前記バルーンを破る針部材をさらに含む
    ことを特徴とする骨治療システム。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項に記載の骨治療システムにおいて、
    前記バルーンは、拡張状態において、前記挿入部材の先端部が当接又は近接する部分の肉厚が、前記バルーンと前記シャフトの取付部分付近の肉厚よりも薄い
    ことを特徴とする骨治療システム。
  8. 請求項3〜7のいずれか1項に記載の骨治療システムにおいて、
    前記挿入部材の外周面には、硬化した前記骨用充填材料に対し潤滑性を有する挿入部材用潤滑剤が塗布されている
    ことを特徴とする骨治療システム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の骨治療システムにおいて、
    前記バルーンは、放射線撮影下に前記バルーンを認識可能な造影部を有する
    ことを特徴とする骨治療システム。
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