JP2015066111A - 骨治療システム - Google Patents

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Abstract

【課題】骨の治療対象に対し硬化した骨用充填材料を容易に留置する。【解決手段】骨治療システム10は、骨用充填材料Cを流通可能な流路38を有するシャフト30と、流路38を介して骨用充填材料が充填される充填室33を有する充填用バルーン32とを有する。充填用バルーン32は、第1及び第2分割片40、41により構成され、充填室33を略閉塞し且つ所定操作に基づき充填室33を開放する重ね合わせ部44を備える。そして、重ね合わせ部44は、操作糸46により操作されて充填室33を開放する。【選択図】図3

Description

本発明は、骨の治療部位に骨用充填材料を留置するための骨治療システムに関する。
骨密度が低下等して骨粗鬆症になると、例えば、転んだ際に手をつくことで手首を骨折(橈骨遠位端骨折)してしまうことがある。現在、橈骨遠位端骨折の治療では、骨折した主骨片と末梢骨片とを跨ぐようにプレート(主にロッキングプレート)を配置し、プレートと各骨をスクリューで整復固定するプレート固定術が採用されている。しかしながら、プレートは、骨外に設置されるため、その周辺組織(屈筋腱、伸筋腱等)をスクリューやプレートの端部等により傷付けるおそれがある。また、この腱断裂等の合併症を回避するためプレートの抜釘が必要な症例も少なくなく、その場合、プレート設置時と抜釘時の2度にわたって皮膚を切開し、手術を行う必要がある。
このため、骨折の治療では、より低侵襲で合併症の少ない治療が要望されており、例えば、特許文献1に開示されているように骨用充填材料を骨の内部に留置し、骨同士の接合を促す方法が提案されている。特許文献1に開示のデバイスは、生体吸収性材料により構成されたバルーンをデバイスの先端部に備える。治療では、骨用充填材料を充填した状態のバルーンを骨の内部に留置する。留置後にバルーンが生体に吸収されると、バルーン内で硬化した骨用充填材料が露出し骨内部から骨折箇所を先のプレート固定術におけるプレートやスクリューに代わって支持すると共に骨接合が促される。
特表2006−505339号公報
ところで、特許文献1に開示の治療では、生体吸収性材料のバルーンに骨用充填材料を充填した状態で留置するため、骨用充填材料が効果を発揮するのに多大な時間がかかり、治療期間が大幅に長くなる。すなわち、骨の内部に対しては、本来、バルーンから骨用充填材料を露出して留置することが望ましい。
しかしながら、親水性が高い骨用充填材料の場合は、硬化前の流動性を有する状態(液状やペースト状)でバルーンから露出されると、体内において比較的簡単に崩壊し分散してしまい、骨同士を接合することが困難となる。そのため、骨用充填材料による治療では、骨用充填材料をバルーンに充填した後に留置可能な程度に硬化させる必要があるが、この場合は、大型化且つ硬化した状態の骨用充填材料を骨の内部でバルーンから露出し留置することが難しくなる。
本発明は、骨用充填材料による治療に関連してなされたものであり、骨の治療対象に対し硬化した骨用充填材料を容易に留置することにより、骨を一層良好に治療することができる骨治療システムを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、骨の治療部位に留置される骨用充填材料を流通可能なルーメンを有するシャフトと、前記シャフトの先端側に設けられ、前記ルーメンを介して前記骨用充填材料が充填される充填室と、前記充填室を露出する開放口とを有するバルーンと、前記バルーンに設けられ、前記開放口を略閉塞して前記充填室の閉塞状態を形成する閉塞部と、前記閉塞部を操作して前記開放口を開放可能な開放操作部とを含むことを特徴とする。
上記によれば、骨治療システムは、バルーンに設けられた開放口を略閉塞する閉塞部と、閉塞部を操作して開放口を開放可能な開放操作部を備えることで、骨の治療部位に対し硬化状態の骨用充填材料を容易に留置することができる。すなわち、骨の治療では、未硬化状態の骨用充填材料をバルーン内に充填し骨用充填材料が硬化した後に、開放操作部により閉塞部を開放することで、硬化状態の骨用充填材料がバルーンから簡単に露出される。
また、骨治療システムは、バルーンに予め形成されている開放口から骨用充填材料を露出するので、露出時にバルーンが破れることによる破片の発生を防ぐことができる。つまり、骨用充填材料を留置する際に、開放状態のバルーンを確実に回収することができ、硬化状態の骨用充填材料のみを骨の治療部位に留置することが可能となる。これにより、骨を良好に治療することができる。
この場合、前記バルーンは、前記骨用充填材料の充填に伴う拡張状態で、前記骨用充填材料の周面に沿って相互に分離可能な複数の分割片により構成されるとよい。
バルーンは、複数の分割片の分離により充填室を大きく開放することができる。よって、バルーンから骨用充填材料を確実に露出させ且つバルーンの回収性をより向上することができる。
上記構成に加えて、前記閉塞部は、前記複数の分割片が相互に重なり合う重ね合わせ部であり、前記開放操作部は、前記重ね合わせ部を縫うことで前記開放口を閉塞し、前記重ね合わせ部から抜去されることで前記開放口を開放可能とする操作糸であるとよい。
バルーンは、重ね合わせ部を有することで、充填室の閉塞状態を良好に維持することができる。そして、重ね合わせ部を縫い合わせる操作糸を抜去することにより、複数の分割片をスムーズに分離させて骨用充填材料を露出させることができる。
また、前記シャフトは、前記シャフトの軸方向に沿って前記操作糸を挿通可能な糸用ルーメンを内部に備えることが好ましい。
骨治療システムは、糸用ルーメンを備えることで、操作糸の操作時における操作糸に対する負荷を可及的に低減することができる。
さらに、前記糸用ルーメンは、前記充填室に連通することが好ましい。
骨治療システムは、糸用ルーメンが充填室に連通することで、糸用ルーメンを介して、ルーメン及び充填室に存在する気体を外部に排出することができる。
あるいは、前記閉塞部は、前記分割片の縁部同士を接続し、且つ接続状態を解除可能なファスナーであり、前記開放操作部は、前記ファスナーに沿って移動することで接続状態を解除する可動部と、前記可動部を引っ張り可能な引っ張り部材とにより構成されてもよい。
このように、閉塞部がファスナーであることで、充填室をより確実に閉塞して骨用充填材料の漏れを防ぐことができる。また、開放操作部の引っ張り部材を引っ張ることで可動部を容易に移動させることが可能となり、ファスナーを簡単に開放することができる。
また、前記閉塞部は、前記開放口を閉塞するように前記バルーンを縛ることで構成され、前記開放操作部は、前記バルーンの縛った状態を解除する構成であってもよい。
開放操作部は、バルーンの縛った部分を解除することで、開放口を簡単に開放することができる。
さらに、前記開放口は、前記閉塞部の開放に伴い、前記バルーンの先端側から開放されることが好ましい。
骨治療システムは、バルーンの先端側から開放口が開放されることで、骨用充填材料を留置する際にバルーンを基端方向に引き抜くと、先端側から骨用充填材料をスムーズに露出していくことができる。
ここで、前記バルーンは、前記シャフトの側面に設けられ、前記骨用充填材料の充填に伴い前記シャフトの側方に拡張してもよい。
このように、バルーンは、シャフトの側面に設けられることで、シャフトにより強固に固定された状態で拡張することができる。バルーンの拡張状態を一層確実に維持した状態で、開放操作部により閉塞部を開放することができる。
また、前記充填室を構成する前記バルーンの内面には、前記骨用充填材料に対し潤滑性を有する潤滑剤塗布層が形成されているとよい。
このように、バルーンの内面に潤滑剤が塗布されていることで、バルーンの開放後に骨用充填材料に対しバルーンを円滑に移動させて回収することができる。
さらに、前記開放操作部は、前記シャフトに対して相対移動又は相対回転可能な操作部材であり、前記操作部材の相対移動又は相対回転の動力を前記閉塞部に伝達することで前記開放口を開放する構成とすることもできる。
このように、シャフトに対して相対移動又は相対回転可能な操作部材の動力を伝達して充填室を開放することで、より簡単な操作で骨用充填材料を露出することができる。
本発明によれば、骨治療システムは、骨の治療対象に対し硬化した骨用充填材料を容易に留置することにより、骨を一層良好に治療することができる。
本発明の一実施形態に係る骨治療システムの全体構成を示す側面図である。 図2Aは、図1の骨治療システムが適用される橈骨遠位端骨折を説明する概略図であり、図2Bは、図2Aの橈骨遠位端骨折の治療の流れを説明する第1説明図であり、図2Cは、図2Bに続く治療の流れを説明する第2説明図であり、図2Dは、図2Cに続く治療の流れを説明する第3説明図である。 図3Aは、図1の留置デバイスの先端部を拡大して示す部分斜視図であり、図3Bは、図3Aの充填用バルーンの拡張状態を示す部分斜視図であり、図3Cは、図3Bの充填用バルーンによる骨用充填材料の露出状態を示す部分斜視図である。 図1の骨治療システムの留置デバイスの側面断面図である。 図5Aは、図4の留置デバイスに骨用充填材料を充填した状態を示す側面断面図であり、図5Bは、他の充填用バルーンの収容状態を示す側面断面図である。 図6Aは、図1の骨治療デバイスによる骨用充填材料の留置処置を示す第1説明図であり、図6Bは、図6Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第2説明図である。 図7Aは、図6Bに続く骨用充填材料の留置処置を示す第3説明図であり、図7Bは、図7Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第4説明図である。 図8Aは、図7Bに続く骨用充填材料の留置処置を示す第5説明図であり、図8Bは、図8Aに続く骨用充填材料の留置処置を示す第6説明図である。 図9Aは、第1変形例に係る留置デバイスを示す第1側面図であり、図9Bは、第1変形例に係る留置デバイスを示す第2側面図である。 図10Aは、第2変形例に係る留置デバイスを示す第1側面図であり、図10Bは、第2変形例に係る留置デバイスを示す第2側面図である。 図11Aは、第3変形例に係る留置デバイスを示す第1側面図であり、図11Bは、第3変形例に係る留置デバイスを示す第2側面図である。 図12Aは、第4変形例に係る留置デバイスを示す側面図であり、図12Bは、第5変形例に係る留置デバイスを示す側面図である。
以下、本発明に係る骨治療システムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る骨治療システム10は、図1に示す複数のデバイスにより、患者の骨折箇所に対し骨用充填材料C(留置材料:図2C参照)による低侵襲な治療を施すシステムである。すなわち、術者は、骨治療システム10の複数のデバイスを所定のタイミングで使用して、骨用充填材料Cを骨の内部に留置する手技を行う。留置された骨用充填材料Cは、時間経過にともない骨を治療する。
ここで、本明細書中における「骨用充填材料」とは、初期時に骨の治療部位に充填可能(例えば、液状やペースト状)であり、時間経過により硬化(例えば、固形化や半固形化)する性質のものを指す。そして、「骨用充填材料」は、留置した骨に対し、融着、吸収、置換又は組織化等して、骨の治療(接合の他に、接合促進、増強等のように骨の改善も含む)を施すことが可能な材料である。
この骨用充填材料Cの材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリル樹脂(PMMA)や、α型リン酸三カルシウム(TCP)、β型TCP、水酸アパタイト等のリン酸カルシウムセメント(CPC)を好適に適用することができる。特に、CPCは、ペースト状から比較的短時間に固形化し、固形化状態から骨に徐々に結合(吸収)されて、最終的には自家骨に置換されることにより骨を接合することができるので好適である。なお、骨用充填材料Cの概念には、いわゆる「骨セメント」が含まれる。骨セメントは、狭義では上記のPMMAを指すが、広義ではPMMA及びCPCを含む。
骨治療システム10を用いた治療対象としては、例えば、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)が挙げられる。勿論、この骨治療システム10は、橈骨遠位端骨折の治療に限定されず、他の骨折箇所の治療や骨粗鬆症の骨を増強するために適用することができる。また、治療部位も骨の内部に限定されず、骨用充填材料Cを留置可能な様々な位置を対象とし得る。さらに、人以外にも他の動物の骨の治療に適用できることは勿論である。
なお、以下の説明において、骨治療システム10の各デバイスの方向を示す場合には、図1中の左側を「先端」側、図1中の右側を「基端」側と呼ぶ。
ここで、本発明に係る骨治療システム10の理解の容易化のために、先に、骨用充填材料Cの留置による橈骨遠位端骨折の治療の概要を説明する。図2Aに示すように、人体は、肘よりも遠位側の上肢の骨として、親指寄りに位置する橈骨100と、小指寄りに位置する尺骨102とを有する。橈骨100は、胴体部100aと、この胴体部100aの両端側に胴体部100aよりも太い遠位端部100b及び近位端部(図示せず)を備えている。橈骨100の骨粗鬆症は、骨の外周面側の緻密質104に対し内側の海綿質106の骨組織が失われ骨密度が低下した状態となることである。
橈骨遠位端骨折は、衝撃等を受けて、胴体部100aと遠位端部100bの連結部分の緻密質104が破壊(分断又は亀裂等)することで生じる。具体的な骨折状態としては、胴体部100aに対し分断した遠位端部100bが位置ずれする閉鎖骨折(コレース骨折も含む)又は開放骨折、又は遠位端部100b内に胴体部100aがめり込む嵌入骨折等が挙げられる。
橈骨遠位端骨折の治療では、図2Bに示すように、胴体部100aに対しずれてしまった遠位端部100bの位置を元に戻す整復作業を行う。これにより、胴体部100aと遠位端部100bは、相互に正常な位置に配置される(以下、整復後状態という)。
この整復後状態で、胴体部100aと遠位端部100bの位置を維持して、骨治療システム10を使用し、図2Cに示すように骨用充填材料Cの留置処置を実施する。この留置処置については後に詳述するが、概略的には、骨治療システム10により、整復後状態の橈骨100内に空間108を形成し、空間108内に骨用充填材料Cを留置する作業を行う。この作業では、空間108に配置した充填用バルーン32(図1参照)にペースト状の骨用充填材料Cを充填し、所定時間経過後に硬化状態として充填用バルーン32から露出する。そして、充填用バルーン32を空間108から回収すると、硬化状態の骨用充填材料Cのみが空間108内に留置される。
骨用充填材料Cの留置後は、手首をギプス等により固定して、その固定状態を所定期間継続する。この期間中に、骨用充填材料Cは、橈骨100内の留置箇所周辺の骨に容易且つ確実に接触して吸収される。吸収された骨用充填材料Cは、徐々に自家骨に置換されていき、橈骨100内を増強すると共に、胴体部100aと遠位端部100bを接合する。この骨用充填材料Cを留置する治療では、骨折箇所の周辺組織への影響が低減され、金属製のプレートやビス等を用いて骨折箇所を固定する従来の治療方法よりも安全に治療することができる。
図1に戻り、次に、骨治療システム10の構成について具体的に説明していく。骨治療システム10は、上述した留置処置を実施する、すなわち未硬化状態の骨用充填材料Cを硬化状態として骨内に留置する骨用充填材料留置術を行うための治療用キットである。この骨治療システム10は、空間形成デバイス12と、留置デバイス14とを備える。
なお、骨治療システム10は、上記のデバイスの他にも、幾つかの図示しないデバイスを適用し得る。例えば、骨折箇所周辺の生体組織を切開又は穿孔する開閉具、橈骨100の緻密質104を穿孔するドリル、ドリルや空間形成デバイス12等の案内経路を構築するカニューレ、整復後状態の骨の位置を維持する固定具等を含んでもよい。これらのデバイスは、公知のものを適用することができるので、詳細な説明は省略する。
空間形成デバイス12は、整復後状態の橈骨100の内部に、骨用充填材料Cを留置するための空間108(図6B参照)を先行して形成するデバイスである。この空間形成デバイス12は、シャフト18と、シャフト18の先端側に設けられた空間形成用バルーン20と、シャフト18の基端側に設けられたハブ22(把持部)と、ハブ22に接続される拡縮操作装置24とを有する。
シャフト18は、体外から橈骨100の内部に到達可能な長さを有する細長い管状部材である。シャフト18は、体外から橈骨100内に簡単にアプローチするため、剛性を有する材料(例えば、硬質プラスチック、金属材)により構成されることが好ましい。このシャフト18の内部には、拡張用流体を流通させる内腔26が軸方向に沿って貫通形成されている。
空間形成用バルーン20は、シャフト18の先端部側面に取り付けられた膜材である。空間形成用バルーン20の内側部分には、内腔26が連通しており、この内腔26を介して拡張用流体の流入及び排出が可能となっている。これにより、空間形成用バルーン20は、シャフト18の先端部側面において径方向外側に膨らみ、拡張状態で球形状を呈する。なお、拡張状態の空間形成用バルーン20の形状は、略球形状に限らず、側面視で楕円形状等でもよく、全体として丸みを帯びた形状であればよい。また、拡張状態の空間形成用バルーン20の横断面形状は、円形(略円形を含む)に限らず、楕円形状であってもよい。
空間形成用バルーン20は、例えば、非伸縮性を有する材料により構成される。非伸縮性を有する材料としては、織物、編物、不織布、紙材のような繊維性多孔質膜、その他、非繊維性多孔質膜、高分子シートのような緻密膜等が挙げられる。なお、空間形成用バルーン20は、伸縮性を有する材料により構成されてもよい。伸縮性を有する材料としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等が挙げられる。
また、空間形成用バルーン20に供給される拡張用流体も、特に限定されるものではなく、例えば、放射線(X線)造影剤や生理食塩水等が挙げられる。特に、X線造影剤は、X線撮影下に、空間形成デバイス12が橈骨100内でどの程度拡張したかを造影することが可能であり、後の骨用充填材料Cの充填量を設定する観点からも有効である。
シャフト18の基端側に設けられるハブ22は、手技時に術者が操作し易いようにシャフト18よりも大径に形成されている。また、ハブ22は、拡縮操作装置24を接続するため、Y型コネクタとして形成され、その内部には拡縮操作装置24から供給される拡張用流体を内腔26に流動させる導入空間部22aが設けられている。
拡縮操作装置24は、例えば、シリンジによって構成され、ハブ22(Y型コネクタ)の導入ポート28に接続される。拡縮操作装置24は、術者の操作により、拡張用流体をシャフト18側に供給し、さらに供給した拡張用流体を吸引する機能を有する。例えば、拡縮操作装置24がシリンジの場合、術者は、押し子(図示せず)を押し出す操作により拡張用流体をシリンジから流出させて空間形成用バルーン20に供給する。また、術者は、拡張流体の供給後に、押し子から手を離す(又は押し子を引く)ことで拡張用流体を吸引する操作を行う。
なお、拡縮操作装置24は、空間形成用バルーン20への拡張用流体の供給量に対応して、骨用充填材料Cの充填量を示す(あるいは、拡張用流体の供給量そのものを示す)ように構成されるとよい。すなわち、空間形成デバイス12により形成される橈骨100内の空間108の体積は、拡張用流体の供給量と概ね同量であるため、後に骨用充填材料Cを充填する際の指標とすることができる。例えば、拡縮操作装置24は、シリンジの押し子の目盛りに骨用充填材料Cの充填量を併記し、拡張用流体を最も供給したときに押し子の進出位置を自動マーキングする構成とする。これにより、示された骨用充填材料Cの充填量に基づき、後に、骨用充填材料Cを精度よく充填することが可能となる。
一方、骨治療システム10の留置デバイス14は、橈骨100内の空間108に、骨用充填材料Cを留置する機能を有する。この留置デバイス14は、シャフト30と、シャフト30の先端側に設けられた充填用バルーン32と、シャフト30の基端側に設けられた把持部34と、把持部34に接続される供給装置36とを有する。
図3A及び図3Bに示すように、充填用バルーン32は、未硬化状態の骨用充填材料Cが充填される充填室33を有し、シャフト30内での収縮状態から骨用充填材料Cの充填にともないシャフト30の先端に膨らむ拡張状態に移行する。この充填用バルーン32は、硬化状態の骨用充填材料Cを露出するために、2つに分割された分割片(第1分割片40、第2分割片41)により構成されている。第1分割片40と第2分割片41は、互いが重なり合う重ね合わせ部44(閉塞部)を有する。この重ね合わせ部44は操作糸46(開放操作部)により縫い付けられている。
充填用バルーン32は、図3Bに示す拡張状態で重ね合わせ部44の操作糸46が抜かれることで、図3Cに示すように、第1分割片40と第2分割片41が相互に離間自在となり充填室33を開放可能とする。これにより、充填室33に充填された骨用充填材料Cが、第1分割片40と第2分割片41の間から露出される。以下、この留置デバイス14の構成について具体的に説明していく。
図1及び図4に示すように、シャフト30は、空間形成デバイス12のシャフト18と略同じ長さ及び太さに形成され、その剛性も同程度に設定される。シャフト18、30の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅系合金等の金属材料や、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂、PEEK、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂材料が挙げられる。
シャフト30の内部には、ペースト状の骨用充填材料Cを流通可能な流路38(ルーメン)が軸方向に沿って貫通形成され、さらにこの流路38を間に挟んで軸方向に貫通する一対の貫通路39(糸用ルーメン)が設けられている。流路38は、シャフト30の先端部に設けられた先端開口38aに連通している。流路38の内径は、例えば、2〜5mmが望ましく、より望ましくは2.5〜4.5mmに設定するとよい。
充填用バルーン32は、骨用充填材料Cの充填前は、折り畳まれた(しぼんだ)収縮状態(図3Aも参照)となっており、骨用充填材料Cが充填されると拡張して球形状(拡張状態:図3Bも参照)に移行する。すなわち、流路38に連通する充填用バルーン32の内側部分が、上述した充填用バルーン32の充填室33を構成する。
また、充填用バルーン32は、上述したように、第1及び第2分割片40、41により構成される。図3Bに示すように、第1分割片40と第2分割片41は、共に略半球形状(椀状)の袋に形成されており、重ね合わせ部44を形成すること(充填室33の閉塞状態)で、1つの球形状を呈する。
第1及び第2分割片40、41は、充分な可撓性と若干の伸縮性を有する材料により構成されるとよい。第1及び第2分割片40、41の構成材料は、特に限定されるものではなく、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましく、そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。また、第1分割片40と第2分割片41は、空間形成用バルーン20よりも柔軟に構成され、橈骨100内で拡張した際には、空間108の形状に応じて適宜変形した3次元形状となる。
また、充填用バルーン32(第1分割片40と第2分割片41)の外面及び内面には、潤滑剤塗布層47、48が設けられることが好ましい。外面側の潤滑剤塗布層47は、橈骨100に対する充填用バルーン32の滑りを向上し、内面側の潤滑剤塗布層48は、硬化状態の骨用充填材料Cに対する充填用バルーン32の滑りを向上する。なお、潤滑剤は、充填用バルーン32の外面又は内面のいずれか一方だけに塗布されていてもよいことは勿論である。
図3Cに示すように、充填用バルーン32は、第1及び第2分割片40、41の間に充填室33を開放する開放口33aを有する。重ね合わせ部44は、この開放口33aを閉塞する閉塞部である。この重ね合わせ部44は、第1分割片40の椀状の開口を構成する縁部40aと、第2分割片41の椀状の開口を構成する縁部41aとが相互に所定間隔離間することで充填用バルーン32の中間部を周回する。重ね合わせ部44の周回方向と直交する方向の周長は、例えば、充填用バルーン32の外周の周長の1/10〜1/2程度であるとよい。これにより、第1分割片40と第2分割片41が充填室33内の空気を排出しつつ骨用充填材料Cの漏れを抑制する適度な摩擦力で接触し合い、充填室33の密封状態が容易に維持される。すなわち、骨用充填材料Cの充填にともない、第1分割片40と第2分割片41の重ね合わせ部44の隙間から空気が排出されることになり、骨用充填材料Cをスムーズに充填することが可能となる。
図4に示すように、第1及び第2分割片40、41は、操作糸46により重ね合わせ部44を形成したまま収縮状態とされ、後述するシース50の収容ルーメン52内に折り畳まれて収容される。また、図5Aに示すように骨用充填材料Cを充填室33に充填した際に、第1及び第2分割片40、41は、操作糸46により重ね合わせ部44(すなわち充填室33の閉塞状態)を維持したまま、充填用バルーン32を拡張させる。
操作糸46は、長手方向に伸び難い材質により構成された線状部材であり、第1及び第2分割片40、41の重ね合わせ部44の幅方向中間部をなみ縫い(ぐし縫い)により連結する。この操作糸46は、シャフト30の全長の2倍以上の長さを有し、重ね合わせ部44を閉塞する略中間領域46aが留置デバイス14の先端部に位置する一方で、両端部が留置デバイス14(把持部34)の基端部から外部に露出されている。なお、操作糸46は、一端部がシャフト30の先端外周面に仮留めされ、この一端部から充填用バルーン32の縫付部を通って基端方向に延びる基端部が、把持部34から外部に露出される構成でもよい。つまり把持部34からは操作糸46が1本だけ露出する。操作糸46の仮留めは、術者が強く引っ張ることで解除可能となっている。これにより、術者は操作糸46を容易に取り扱うことができ、また貫通路39を1本だけ形成すればよくなるので、留置デバイス14の製造コストが低廉化する。
具体的には、操作糸46は、図4に示すように、充填用バルーン32の縫い付け部分(略中間領域46a)からシャフト30の外側を回り、シャフト30の側面に形成された側孔39aからシャフト30内に挿入される。シャフト30の側孔39aは貫通路39に連通するように形成されている。このため、操作糸46の略中間領域46aを挟んだ両側の延出部46bが、一対の貫通路39をそれぞれ通ってシャフト30を基端方向に延び、把持部34の基端面から外部に露出される。
操作糸46は、両側の延出部46bのうちいずれか一方を基端方向に引っ張ると、他方が貫通路39を介して先端方向に移動する。そして、この引っ張りを継続すると、操作糸46は、充填用バルーン32の重ね合わせ部44のなみ縫い箇所を順次抜けることになり、重ね合わせ部44から充填室33を開放させる。操作糸46の材料としては、天然繊維や化学繊維系が挙げられるが、これに限定されず、樹脂材料を適用してもよく、あるいはNiTi等の弾性金属により作成してもよい。
また、充填用バルーン32(第1分割片40と第2分割片41)の基端部は、固定筒42により固定されている。固定筒42は、充填用バルーン32の基端部を周方向に覆い、シャフト30との間で充填用バルーン32を挟み込む。この固定筒42は、充填用バルーン32の基端部を強固に保持するように、シャフト30の軸方向に沿って所定長さを有する。上述した側孔39aは、この固定筒42よりも基端側に設けられている。
図1に戻り、留置デバイス14は、橈骨100内の挿入時に、シャフト30、充填用バルーン32及び操作糸46を保護する管状のシース50を備える。シース50は、固定筒42の外径よりも大きな内径の収容ルーメン52(収容部)を有し、シャフト30や充填用バルーン32を摺動自在に収容する。
シース50は、シャフト30よりも若干短い長さに形成されている。シース50の基端部には、径方向外側に突出する操作板50a(シース操作部)が設けられている。シース50は、術者により操作板50aが基端方向又は先端方向に操作されることで、シャフト30と相対的に進退する。充填用バルーン32は、シース50の後退によりシース50の先端から露出される。収容ルーメン52の先端部には、図4に示すように、充填用バルーン32が収縮状態で収容される。なお、図5Bに示すように、充填用バルーン32は、収縮状態で、先端開口38aを介して流路38内に収容されていてもよい。
留置デバイス14の把持部34は、シャフト30を容易に操作するため、シャフト30よりも大径のハブとして構成されている。把持部34の内部にはシャフト30が挿入され、このシャフト30は軸方向に沿って把持部34の基端部に至っている。把持部34は、収容ルーメン52の内径よりも小径の外径に形成された先端筒部56と、先端筒部56の基端に連なり先端筒部56よりも大径の胴体筒部58とを有する。そのため、先端筒部56と胴体筒部58の間には、シース50の基端部に対向しシース50の後退限界を規定する段差60が形成される。
胴体筒部58の基端部は、供給装置36に接続されるポートに構成されている。供給装置36は、骨用充填材料Cを充填するための装置であり、拡縮操作装置24と同様に、例えばシリンジによって構成される。供給装置36は、術者により押し子が押出し操作されることで、胴体筒部58内を延びるシャフト30の流路38に骨用充填材料Cを供給する。これにより、骨用充填材料Cは、流路38を先端方向に向かい、充填用バルーン32に充填される。
なお、シャフト30に設けられた貫通路39は、シャフト30の先端面まで延び、先端面に形成された先端開口39bに連通している。この先端開口39bは、充填用バルーン32に骨用充填材料Cが供給された際に、流路38及び充填室33に存在する空気を貫通路39に取り込む。この空気は、貫通路39を介して、留置デバイス14の基端方向に流動し外部に排出される。
本実施形態に係る骨治療システム10は、基本的には、以上のように構成されるものであり、次にこの骨治療システム10の作用効果について説明する。
以下では、骨治療システム10による骨治療の一例として、骨用充填材料Cの留置による橈骨遠位端骨折の治療を説明する。留置処置の前は、図2Bに示すように、術者が橈骨100の骨折箇所を整復し、胴体部100aと遠位端部100bを正常な位置関係とする。そして、整復後状態の橈骨100に留置処理を実施する。なお、以降の留置処置においては、X線撮影が実施され橈骨100の骨折箇所の状態をX線撮影画像でリアルタイムに確認している。
留置処置では、図6Aに示すように、まず空間形成デバイス12を使用する。術者は、整復後状態を保持して皮膚を切開し、橈骨100の緻密質104に対し、空間形成デバイス12及び留置デバイス14を挿入するための孔110をドリル等により形成する。孔110は、骨折によりヒビが形成された箇所に沿って穿孔されるとよい。これにより、後に空間形成デバイス12や留置デバイス14を孔110に容易に挿入することができる。なお、橈骨100に対する孔110の穿孔方向、換言すれば空間形成デバイス12や留置デバイス14の挿入方向は、特に限定されるものではなく、骨折状況に応じて適宜設定してよい。
孔110の形成後は、空間形成デバイス12を孔110に挿入する。この際、空間形成用バルーン20は収縮状態となっており、空間形成デバイス12の先端部が橈骨100内に容易に挿入される。また橈骨100の内部は、骨粗鬆症により海綿質106が脆いことで、空間形成デバイス12の進出を許容する。
術者は、図6Bに示すように、空間形成デバイス12の先端部を橈骨100の奥(孔110と反対側の緻密質104)まで挿入すると、拡張用流体を供給して空間形成用バルーン20の拡張を行う。空間形成用バルーン20は、充分な強度を有するため、拡張する際に拡張用流体の供給圧によって脆くなっている海綿質106を破砕する。これにより、橈骨100の内部には、空間形成用バルーン20の拡張量(体積)に応じた空間108が形成される。空間108の形成後は、空間形成用バルーン20を収縮して、空間形成デバイス12を橈骨100の内部から引き抜く。
次に、図7Aに示すように、空間形成デバイス12に代えて留置デバイス14を使用する。術者は、シース50の収容ルーメン52にシャフト30及び充填用バルーン32を収容した状態で、橈骨100に向けて留置デバイス14を進出させ、孔110に挿入する。この際、シース50を橈骨100の奥(孔110と反対側の緻密質104)まで挿入する。
留置デバイス14の先端部が空間108の奥まで挿入されると、術者は、シース50の操作板50aを基端方向に後退して、シャフト30の先端部(収縮状態の充填用バルーン32)を空間108内に露出させる。シース50は、基端部が把持部34の段差60に接触するまで後退操作されることで、充填用バルーン32を確実に拡張可能とする。
シース50を後退した後、術者は、供給装置36を操作して、図5A及び図7Bに示すように、シャフト30の流路38を通して骨用充填材料Cを充填用バルーン32に供給する。なお、以下の処置の説明では、ペースト状の骨用充填材料についてC1を付し、硬化状態(少なくとも体液で崩壊しない程度の硬化状態又はそれ以上に硬化した状態)の骨用充填材料についてC2を付す。
骨用充填材料C1の供給時には、流路38及び充填室33内の空気が、シャフト30の先端開口39bから取り込まれて貫通路39に流入される。貫通路39に流入した空気は、貫通路39を基端方向に流動して基端方向に向かい、体外に露出されているシャフト30(把持部34)の基端部から排出される。なお、空気は、貫通路39に連なる側孔39aからシース50の収容ルーメン52にも抜けて、シース50の基端部からも排出される。すなわち、貫通路39は気体排出部として機能する。また貫通路39に加えて、空気は、重ね合わせ部44の隙間からも外部に排出される。これにより、骨用充填材料Cは、流路38内をスムーズに流動することができ、充填用バルーン32に迅速に充填される。さらに、骨用充填材料Cに空気が混じることが低減されるので、硬化状態の骨用充填材料Cの表面に気泡等により凹凸が形成されることが抑止される。
充填用バルーン32は、骨用充填材料C1が内側に充填されることにより、シャフト30の先端において空間108の形状に対応して拡張していく。充填用バルーン32の拡張量は、空間108の体積に略一致する又は多少小さくなる程度に設定されるとよい。これにより、骨用充填材料C1を充填し過ぎることで、骨用充填材料C2の充填部と橈骨100の内面との間で充填用バルーン32を強く圧迫することが防止され、後の充填用バルーン32の回収を円滑に行うことができる。
充填用バルーン32の拡張後は、所定時間待機することにより骨用充填材料C1を硬化させる。骨用充填材料は、例えば、硬化型のCPCであれば、10分前後で体液により容易に崩壊しない程度に硬化するため、患者にとって大きな負担とはならない。
所定時間経過後は、硬化状態の骨用充填材料C2を充填用バルーン32から露出させる操作を行う。この場合、術者は、把持部34の基端部から導出されている一対の操作糸46の両側の延出部46bのうちいずれか一方を引っ張る。この引張りを続けると、重ね合わせ部44のなみ縫い箇所から操作糸46が順次抜去され、図8Aに示すように、操作糸46に縫い付けられていた第1分割片40と第2分割片41が相互に分離可能となる。これにより、第1分割片40と第2分割片41は、相互の縁部40a、41aの間の開放口33aから充填室33を開放(すなわち、骨用充填材料C2を露出)することができる。
この充填用バルーン32の開放状態で、術者は、留置デバイス14(把持部34)を基端方向に後退移動する。この後退移動力は、シャフト30を介して分離した第1及び第2分割片40、41に伝達され、第1及び第2分割片40、41は、骨用充填材料Cの表面に沿って相互に離間しつつ空間108内を孔110側に移動する。この移動にともない硬化状態の骨用充填材料C2が、開放口33aから空間108に露出されていき、最終的には、図8Bに示すように、分離した第1及び第2分割片40、41は空間108から離脱する。その結果、空間108内には、第1及び第2分割片40、41の破片等が残ることなく、硬化状態の骨用充填材料Cのみが留置される。
また、第1分割片40と第2分割片41の外面及び内面には潤滑剤塗布層47、48が形成されているため、第1及び第2分割片40、41のスムーズな引き抜きを促すことができる。よって、充填用バルーン32の回収を一層確実なものとさせる。
硬化状態の骨用充填材料Cは、橈骨100内周辺の骨に吸収され、その後徐々に自家骨に置換されていく。その結果、橈骨100は、胴体部100aと遠位端部100bの接合がなされる。
以上のように、本実施形態に係る骨治療システム10は、充填用バルーン32内の開放口33aを略閉塞する重ね合わせ部44と、重ね合わせ部44を操作して開放口33aを開放する操作糸46を備える。そのため、骨の治療では、重ね合わせ部44により閉塞した充填用バルーン32内に未硬化状態の骨用充填材料C1を充填して硬化させ、操作糸46の抜去操作により重ね合わせ部44の閉塞を解除することができる。これにより、硬化状態の骨用充填材料C2が充填用バルーン32から簡単に露出される。
また、骨治療システム10は、重ね合わせ部44から骨用充填材料C2を露出するので、回収時に充填用バルーン32が破れて破片が生じることを防ぐことができる。つまり、骨用充填材料C2を留置する際に、開放状態の充填用バルーン32を確実に回収することができ、骨用充填材料C2のみを橈骨100内に留置することが可能となる。従って、骨を良好に治療することができる。
そして、充填用バルーン32は、複数の分割片(第1分割片40と第2分割片41)の分離により充填室33を大きく開放することができる。よって、充填用バルーン32から骨用充填材料C2を確実に露出させ且つ充填用バルーン32の回収性をより向上することができる。
また、骨治療システム10は、流路38とは別に貫通路39を備えることで、操作糸46の操作時における操作糸46に対する負荷を可及的に低減することができる。さらに、貫通路39が充填室33に連通する先端開口39bを有することで、先端開口39bを介して流路38及び充填室33に存在する空気を貫通路39に取り込み、貫通路39を通してシャフト30の基端方向に排出することができる。
なお、本発明に係る骨治療システム10は、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変形例及び応用例をとり得る。例えば、本実施形態に係る充填用バルーン32は、2つの分割片に分離する構成であったが、これに限定されず3以上の分割片に分離してもよい。この場合、操作糸46も各分割片を接続して充填室33を閉塞するように適宜の形態(本数、縫合経路又は縫合の方法等)をとり得る。
以下、骨治療システム10の変形例について具体例を幾つか説明していく。なお、以降の説明において、本実施形態に係る骨治療システム10と同一の構成又は同一の機能を有する構成については、同じ符号を付しその詳細な説明を省略する。
図9A及び図9Bに示す第1変形例に係る留置デバイス14Aは、充填用バルーン120の開放口122を先端部に備えた袋状に形成されている点で図1に示す留置デバイス14と異なる。すなわち、充填用バルーン120は、複数の分割片に分割する構成となっておらず、シャフト30の先端に対し最も離間する位置にある先端部の開放口122が開閉する構成となっている。充填用バルーン120の充填室124は、骨用充填材料Cの充填前に、操作糸46が開放口122を閉塞するようにこの開放口122付近の膜を束ねて縛り部126(閉塞部)を形成することで閉塞されている。
操作糸46は、術者により把持部34の基端側から露出する両側の延出部46bのうち一方が基端方向に引っ張られることで、縛り部126に対する締め付けを解除する。これにより、充填用バルーン32は、縛り部126がなくなり開放口122を開放する。開放口122は、骨用充填材料Cを露出可能な広さに形成されており、留置デバイス14Aは骨用充填材料Cを簡単に露出することができる。
第1変形例に係る留置デバイス14Aは、このように充填用バルーン120を1つの袋状に構成することで、留置デバイス14Aの引き抜きに伴う充填用バルーン120の回収をより確実に行うことができる。つまり、一連の袋状に形成された充填用バルーン120は、シャフト30の後退力が一部に局所的にかかっても他の部分が引っ張ることで、充填用バルーン120の破れを抑える。よって、硬化状態の骨用充填材料Cを骨内に良好に留置することができる。
図10A及び図10Bに示す第2変形例に係る留置デバイス14Bは、充填用バルーン130をシャフト132の先端側側面に設けた点で、図1に示す留置デバイス14と異なる。この充填用バルーン130は、骨用充填材料Cを充填用バルーン130の充填室134に充填した状態で、シャフト132の側方に拡張して紡錘状を呈する。
また、充填用バルーン130は、第1分割片135と第2分割片136とに分割可能に構成され、シャフト132の軸方向に平行して充填用バルーン130を周回する重ね合わせ部137(閉塞部)を有する。重ね合わせ部137は、操作糸46が縫い付けられることで充填室134(開放口134a)を閉塞する。操作糸46は、その一端がシャフト132の先端部に仮留めされており、その他端が留置デバイス14Bの把持部34(図1参照)から導出されている。操作糸46は、操作者により他端が基端方向に引かれることで、シャフト132に仮留めされた一端が仮留めから解放され、さらに縫い付けていた重ね合わせ部137から抜去される。これにより、第1及び第2分割片135、136は重ね合わせ部137で分離して、その間から骨用充填材料Cを露出することができる。
このように、充填用バルーン130は、シャフト132の側面に設けられることで、シャフト132により強固に固定された状態で拡張し、また操作糸46を引き抜くことができる。このため、第1及び第2分割片135、136を大きく引き離すように作用させることができ、骨用充填材料Cの露出をスムーズに行うことができる。
図11A及び図11Bに示す第3変形例に係る留置デバイス14Cは、第1分割片141と第2分割片142(充填用バルーン140)が、相互の縁部141a、142aをファスナー144(閉塞部)によって閉塞される点で図1に示す留置デバイス14と異なる。また、留置デバイス14Cは、シャフト30の外側を囲うように外筒146(操作部材)を備え、この外筒146に充填用バルーン32の基端部が取り付けられている。シャフト30と外筒146は、互いに相対移動及び相対回転が可能となっている。
留置デバイス14Cは、骨用充填材料Cの充填時には、ファスナー144が閉塞されていることで骨用充填材料Cを充填用バルーン140の充填室148に良好に充填させる。そして、骨用充填材料Cが硬化した段階で、シャフト30と相対的に外筒146を後退移動させる(あるいは相対回転させる)操作を行う。その結果、硬化状態の骨用充填材料Cに対する充填用バルーン140の接触圧によりファスナー144(充填室148の開放口148a)が開放される。第1分割片141と第2分割片142は、シャフト30の先端側から分離して、その間から骨用充填材料Cを露出することができる。
なお、このような外筒146の動作による充填用バルーン140の開放は、ファスナー144を有する構成に限定されないことは勿論である。例えば、図1に示す操作糸46を有する構成でも、操作糸46の両端部を外筒146に取り付けて、外筒146が後退移動した際に一端が外れるようにしておけば、重ね合わせ部44の縫い付け箇所から操作糸46を抜去することができる。また、留置デバイスは、充填用バルーンの破れ(分割片の形成)を促す構成、例えばミシン目やナイロン紐のような樹脂の結晶配向を設けておき、操作糸や外筒を後退して充填用バルーンから骨用充填材料Cを露出する形態とすることもできる。
図12Aに示す第4変形例に係る留置デバイス14Dは、第1分割片151と第2分割片152(充填用バルーン150)の縁部151a、152aを閉塞するファスナー154(閉塞部)が、スライダ156(可動部)により開放可能となっている点で図1に示す留置デバイス14と異なる。このスライダ156には、操作糸46が連結されており、充填用バルーン150の拡張状態で操作糸46を基端方向に引っ張るとスライダ156が基端方向に移動してファスナー154を開放する。これにより、第1分割片151と第2分割片152は、先端側から分離して、その間の開放口158aから充填室158内に充填されている骨用充填材料Cを露出することができる。
図12Bに示す第5変形例に係る留置デバイス14Eは、図9A及び図9Bに示す充填用バルーン120と同様に、先端に開放口162を有する充填用バルーン160を備える。この充填用バルーン160は、開放口162を閉塞するために先端部分の膜を捻り込んで纏め部164(閉塞部)を形成しており、この纏め部164は、流路38及び充填用バルーン160の充填室166を通って軸方向に延びる操作糸168に留められることで閉塞状態を維持している。操作糸168は、骨用充填材料Cが硬化した状態でも基端方向に移動可能な剛性と滑り性を有しており、基端方向に引っ張られると纏め部164から外れる構成となっている。これにより、充填用バルーン160は、開放口162を開放して骨用充填材料Cを露出することができる。
上述した実施形態では、骨用充填材料Cが硬化状態となってから、すなわち体液で崩壊しない程度に硬化した状態となった以降に充填用バルーン32を骨内で破裂させたが、骨用充填材料Cが体液で崩壊しない程度に硬化するよりも前に充填用バルーン32を骨内で破裂させてもよい。この方法によっても、バルーンを使わずに骨用充填材料Cを骨内に導入した場合と比べて、高い治療効果が得られる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10…骨治療システム 14、14A〜14E…留置デバイス
30、132…シャフト
32、120、130、140、150、160…充填用バルーン
33、124、134、148、158、166…充填室
33a、122、134a、148a、158a、162…開放口
38…流路 39…貫通路
39b…先端開口
40、135、141、151…第1分割片
41、136、142、152…第2分割片
44、137…重ね合わせ部 46、168…操作糸
47、48…潤滑剤塗布層 126…縛り部
144、154…ファスナー 146…外筒
156…スライダ 164…纏め部
C…骨用充填材料

Claims (11)

  1. 骨の治療部位に留置される骨用充填材料を流通可能なルーメンを有するシャフトと、
    前記シャフトの先端側に設けられ、前記ルーメンを介して前記骨用充填材料が充填される充填室と、前記充填室を露出する開放口とを有するバルーンと、
    前記バルーンに設けられ、前記開放口を略閉塞して前記充填室の閉塞状態を形成する閉塞部と、
    前記閉塞部を操作して前記開放口を開放可能な開放操作部とを含む
    ことを特徴とする骨治療システム。
  2. 請求項1記載の骨治療システムにおいて、
    前記バルーンは、前記骨用充填材料の充填に伴う拡張状態で、前記骨用充填材料の周面に沿って相互に分離可能な複数の分割片により構成される
    ことを特徴とする骨治療システム。
  3. 請求項2記載の骨治療システムにおいて、
    前記閉塞部は、前記複数の分割片が相互に重なり合う重ね合わせ部であり、
    前記開放操作部は、前記重ね合わせ部を縫うことで前記開放口を閉塞し、前記重ね合わせ部から抜去されることで前記開放口を開放可能とする操作糸である
    ことを特徴とする骨治療システム。
  4. 請求項3記載の骨治療システムにおいて、
    前記シャフトは、前記シャフトの軸方向に沿って前記操作糸を挿通可能な糸用ルーメンを内部に備える
    ことを特徴とする骨治療システム。
  5. 請求項4記載の骨治療システムにおいて、
    前記糸用ルーメンは、前記充填室に連通する
    ことを特徴とする骨治療システム。
  6. 請求項2記載の骨治療システムにおいて、
    前記閉塞部は、前記分割片の縁部同士を接続し、且つ接続状態を解除可能なファスナーであり、
    前記開放操作部は、前記ファスナーに沿って移動することで接続状態を解除する可動部と、前記可動部を引っ張り可能な引っ張り部材とにより構成される
    ことを特徴とする骨治療システム。
  7. 請求項1記載の骨治療システムにおいて、
    前記閉塞部は、前記開放口を閉塞するように前記バルーンを縛ることで構成され、
    前記開放操作部は、前記バルーンの縛った状態を解除する
    ことを特徴とする骨治療システム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の骨治療システムにおいて、
    前記開放口は、前記閉塞部の開放に伴い、前記バルーンの先端側から開放される
    ことを特徴とする骨治療システム。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の骨治療システムにおいて、
    前記バルーンは、前記シャフトの側面に設けられ、前記骨用充填材料の充填に伴い前記シャフトの側方に拡張する
    ことを特徴とする骨治療システム。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の骨治療システムにおいて、
    前記充填室を構成する前記バルーンの内面には、前記骨用充填材料に対し潤滑性を有する潤滑剤塗布層が形成されている
    ことを特徴とする骨治療システム。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の骨治療システムにおいて、
    前記開放操作部は、前記シャフトに対して相対移動又は相対回転可能な操作部材であり、前記操作部材の相対移動又は相対回転の動力を前記閉塞部に伝達することで前記開放口を開放する
    ことを特徴とする骨治療システム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105343992A (zh) * 2015-09-29 2016-02-24 上海凯利泰医疗科技股份有限公司 一种可调节高压扩张球囊囊袋
CN106333740A (zh) * 2016-09-28 2017-01-18 上海凯利泰医疗科技股份有限公司 一种可取出囊袋和一种骨填充物推注系统

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