JP2015059201A - ポリアミド樹脂組成物およびこれを用いた発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性が向上し、表面平滑性および金属光沢性に優れ、得られた発泡成形体が剛性と表面平滑性のバランスに優れるポリアミド樹脂組成物の提供。【解決手段】ポリアミド樹脂(A)100質量部、層状珪酸塩(B)1〜7質量部、板状フィラー(C)0.05〜20質量部及びメタリック顔料(D)0.5〜5質量部を含むポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成されるものであり、板状フィラー(C)が、タルク及び/又はマイカである。ポリアミド樹脂(A)が6−アミノカプロン酸単位と11−アミノウンデカン酸単位及び12−アミノドデカン酸単位から構成される共重合体であるポリアミド樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、剛性が向上し、表面平滑性および金属光沢性に優れるポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、機械特性、耐薬品性、耐熱性、成形加工性など優れた特性を有しており、従来から自動車分品、電子電機部品などに広く利用されている。これらの特性を活かして軽量化を図る手段として、ポリアミド樹脂に発泡剤を添加して成形した、ポリアミド樹脂発泡体が提案されている。例えば、特許文献1〜3にはポリアミドなどの樹脂に繊維状強化材と発泡剤を配合されてなる樹脂組成物およびそれらからなる発泡体が記載されている。さらに、特許文献4には熱膨張性マイクロカプセルを含む繊維強化樹脂組成物が記載されている。
本発明者らは以下のようなことを見出した。
特許文献1〜4のような樹脂組成物は、用いるポリアミド樹脂を発泡することで軽量を図ることはできた。しかしながら、実用化レベルの強度、剛性向上のために多くの強化材を配合し表面平滑性に損なわれ、意匠性に優れる発泡成形体を得ることは難しかった。
本発明は、剛性が向上し、表面平滑性および金属光沢性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
特許文献1〜4のような樹脂組成物は、用いるポリアミド樹脂を発泡することで軽量を図ることはできた。しかしながら、実用化レベルの強度、剛性向上のために多くの強化材を配合し表面平滑性に損なわれ、意匠性に優れる発泡成形体を得ることは難しかった。
本発明は、剛性が向上し、表面平滑性および金属光沢性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂(A)100質量部、層状珪酸塩(B)1〜7質量部、板状フィラー(C)0.05〜20質量部およびメタリック顔料(D)0.5〜5質量部を含むポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成されるものであり、板状フィラー(C)が、タルクおよび/またはマイカであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成される共重合体であることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド樹脂(A)が、6−アミノカプロン酸単位と、11−アミノウンデカン酸単位および/または12−アミノドデカン酸単位とから構成される共重合体であり、ポリアミド樹脂(A)における6−アミノカプロン酸単位の含有量が、60〜90質量%であることを特徴とする(2)のポリアミド樹脂組成物。
(4)層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母、モンモリロナイト、およびヘクトライトから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(5)メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、およびそれらの酸化物、ならびにチタンコーティングされたマイカから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のポリアミド樹脂組成物と発泡剤(E)とからなる発泡性ポリアミド樹脂組成物。
(7)(6)の発泡性ポリアミド樹脂組成物より得られる発泡成形体。
(8)(6)の発泡性ポリアミド樹脂組成物を射出コアバック式の射出成形方法を用いて成形することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
(9)発泡セルを有するコア部が発泡セルを有さないスキン部で包含されてなることを特徴とする(7)の発泡成形体。
(2)ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成される共重合体であることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド樹脂(A)が、6−アミノカプロン酸単位と、11−アミノウンデカン酸単位および/または12−アミノドデカン酸単位とから構成される共重合体であり、ポリアミド樹脂(A)における6−アミノカプロン酸単位の含有量が、60〜90質量%であることを特徴とする(2)のポリアミド樹脂組成物。
(4)層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母、モンモリロナイト、およびヘクトライトから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(5)メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、およびそれらの酸化物、ならびにチタンコーティングされたマイカから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のポリアミド樹脂組成物と発泡剤(E)とからなる発泡性ポリアミド樹脂組成物。
(7)(6)の発泡性ポリアミド樹脂組成物より得られる発泡成形体。
(8)(6)の発泡性ポリアミド樹脂組成物を射出コアバック式の射出成形方法を用いて成形することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
(9)発泡セルを有するコア部が発泡セルを有さないスキン部で包含されてなることを特徴とする(7)の発泡成形体。
本発明によれば、剛性が向上し、表面平滑性および金属光沢性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。このようなポリアミド樹脂組成物は、特に発泡成形性に優れており、得られる発泡成形体は剛性と表面平滑性のバランスに優れるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
ポリアミド樹脂(A)を構成するアミノカルボン酸単位としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、等が挙げられる。ポリアミド樹脂組成物に含有される膨潤性層状珪酸塩(B)を均一に分散させる効果が高いことから、6−アミノカプロン酸を構成単位として含有することが好ましく、また、得られる成形体の固化速度を調整する効果が高いことから、11−アミノウンデカン酸および/または12−アミノドデカン酸を構成単位として含有することが好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂(A)は、上記アミノカルボン酸単位の2種以上から構成される共重合体でも、また上記アミノカルボン酸単位から構成される重合体を2種以上用いてそれらを溶融混合したものであってもよい。ポリアミド樹脂(A)として特に共重合体を使用すると、発泡成形を行ったとしても表面平滑性に優れた成形体を得ることができる。
ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成される共重合体である場合、上記の理由から、6−アミノカプロン酸単位と、11−アミノウンデカン酸単位および/または12−アミノドデカン酸単位とから構成される共重合体であることが好ましい。すなわち、ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド6/ポリアミド11コポリマー(ナイロン6/11)、またはポリアミド6/ポリアミド12コポリマー(ナイロン6/12)、またはポリアミド6/ポリアミド11/ポリアミド12コポリマー(ナイロン6/11/12)であることが好ましい。
ポリアミド樹脂(A)における6−アミノカプロン酸単位の含有量は、60〜90質量%であることが好ましく、65〜87質量%であることがより好ましく、70〜85質量%であることがさらに好ましい。6−アミノカプロン酸単位の含有量が、60質量%未満であると、得られる発泡成形体は、剛性と耐熱性が低下し、一方、90質量%を超えると、固化速度が速すぎるので良好な発泡成形性が得られず表面平滑性が低下する。
本発明におけるポリアミド樹脂(A)は、上記のように、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成されるが、本発明の効果を損なわない範囲で、ジアミン単位とジカルボン酸単位を含有してもよい。ジアミン単位としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等が挙げられ、ジカルボン酸単位としては、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。すなわち、本発明におけるポリアミド樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)等が共重合されていても、また溶融混合されていてもよい。
ポリアミド樹脂(A)の分子量の指標である相対粘度は、特に制限されないが、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度は、1.5〜5.0 の範囲であることが好ましく、2.0〜4.0の範囲であることがより好ましい。相対粘度が1.5未満では均一な発泡セルが生成しにくく、発泡成形性が低下し、また、機械的特性も低下するので好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、得られる成形体に金属光沢を付与するために、メタリック顔料(D)を含有するが、メタリック顔料(D)とともに、特定量の層状珪酸塩(B)を同時に含有することが必要である。層状珪酸塩(B)を含有することにより、メタリック顔料(D)の発色性を向上することができ、成形体の意匠性を高めることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を構成する層状珪酸塩(B)は、天然に産出するものでも人工的に合成あるいは変成されたものでもよく、例えばスメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等)、バーミキュライト族(バーミキュライト等)、雲母族(フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等)、脆雲母族(マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等)、緑泥石族(ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモナイト、ニマイト等)が挙げられる。本発明においてはNa型あるいはLi型膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトやヘクトライトが特に好適に用いられ、2種以上を併用してもよい。
本発明において好適に用いられる膨潤性フッ素雲母は一般的に次式で示される構造式を有するものである。
Ma(MgXLib)Si4OYFZ
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0である。)
Ma(MgXLib)Si4OYFZ
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0である。)
このような膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物を混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母の結晶成長させる溶融法が挙げられる。
また、タルク〔Mg3Si4O10(OH)2〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2-149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタルクと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲を外れる場合には膨潤性フッ素雲母の生成収率が低下する傾向にある。
また、タルク〔Mg3Si4O10(OH)2〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2-149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタルクと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲を外れる場合には膨潤性フッ素雲母の生成収率が低下する傾向にある。
本発明に用いるモンモリロナイトは次式で表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等を用いて精製することにより得ることができる。
MaSi(Al2−aMg)O10(OH)2・nH20
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnH2Oで表した。)
またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
MaSi(Al2−aMg)O10(OH)2・nH20
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnH2Oで表した。)
またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
本発明に用いるヘクトライトは次式で表されるもので、天然に得られるものであってもよいし、合成により得られるものであってもよい。
Na0.66(Mg5.34Li0.66)Si8O20(OH)4・nH2O
ヘクトライトは珪酸塩を主成分とする負に帯電した珪酸塩層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、その他の層状珪酸塩と比較すると、水酸基を多く含むため層間に水分子が入り込みやすく(すなわち、親水性が高く)、膨潤しやすい。加えて、その他の層状珪酸塩と比較すると、粒径も小さい。
Na0.66(Mg5.34Li0.66)Si8O20(OH)4・nH2O
ヘクトライトは珪酸塩を主成分とする負に帯電した珪酸塩層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、その他の層状珪酸塩と比較すると、水酸基を多く含むため層間に水分子が入り込みやすく(すなわち、親水性が高く)、膨潤しやすい。加えて、その他の層状珪酸塩と比較すると、粒径も小さい。
本発明のポリアミド樹脂組成物における層状珪酸塩(B)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、1〜7質量部であることが必要であり、1.5〜6.5質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがより好ましい。層状珪酸塩(B)の含有量が1質量%未満では、得られる成形体の輝度が向上せず意匠性が低下する。また、理由は明らかでないが、発泡セルが大きくなり表面平滑性が低下する等、発泡成形性が劣る傾向がある。一方、90質量%を超えると、溶融粘度が低下するために表面平滑性が極端に低下する。
本発明のポリアミド樹脂組成物を構成する板状フィラー(C)は、タルクおよび/またはマイカである。タルク、マイカは特に制限はなく公知のものを用いることができる。本発明のポリアミド樹脂組成物で用いるタルクは、発泡成形時の形成される発泡セルのサイズを微細にしかも均一に整える効果を発現するものであるが、そのような効果を発現するためには、タルクの平均粒子径は0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましく、1〜5μmであることがさらに好ましい。また、本発明のポリアミド樹脂組成物で用いるマイカは、発泡成形時の形成される発泡セルの剛性を高め、得られる発泡成形体の表面平滑性を高める効果を発現するものであるが、そのような効果を発現するためには、マイカの平均粒子径は5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物における板状フィラー(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜20質量部であることが必要であり、0.1〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。板状フィラー(C)の含有量が0.05質量部未満では、発泡成形性の向上または得られる成形体の表面平滑性を改善する効果が乏しく、一方、20質量部を超えると、得られる成形体の金属光沢性が損なわれる。なお、上記板状フィラー(C)の含有量は、タルク、マイカのいずれか一方を用いた場合には、用いた板状フィラーの含有量であり、タルク、マイカを併用した場合には、タルクとマイカの合計の含有量である。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、タルク、マイカのいずれか一方を用いるか、タルクとマイカを併用するかは、成形加工性、または得られる発泡成形体の特性に応じて任意に選択することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、タルク、マイカのいずれか一方を用いるか、タルクとマイカを併用するかは、成形加工性、または得られる発泡成形体の特性に応じて任意に選択することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を構成するメタリック顔料(D)は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。メタリック顔料(D)としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、および銅よりなる一群の金属の何れか、もしくは複数、もしくはこれらの一群の金属を用いた合金、もしくはこれらの一群の金属またはその合金の酸化物、窒化物、硫化物、または炭化物の何れかからなる金属粉顔料が挙げられる。その他、チタンコーティングされたマイカも用いることができる。中でも、ポリアミド樹脂組成物の光沢度向上の効果が優れる点で、メタリック顔料(D)として、アルミニウム、鉄、それらの酸化物、チタンコーティングされたマイカが好ましく用いられ、2種以上を併用してもよい。
なお、メタリック顔料(D)として用いるチタンコーティングされたマイカと、前記板状フィラー(C)として用いるマイカは明確に区別されるものとする。区別の判断基準は、マイカ表面にチタンコーティングの有無による。ただし、板状フィラー(C)としてタルクのみを用い、メタリック顔料(D)としてチタンコーティングされたマイカ用いた場合、チタンコーティングされたマイカは、本来の機能である金属光沢性の付与のみならず、得られる成形体の表面平滑性向上に対しても効果が発現することが期待できる。
なお、メタリック顔料(D)として用いるチタンコーティングされたマイカと、前記板状フィラー(C)として用いるマイカは明確に区別されるものとする。区別の判断基準は、マイカ表面にチタンコーティングの有無による。ただし、板状フィラー(C)としてタルクのみを用い、メタリック顔料(D)としてチタンコーティングされたマイカ用いた場合、チタンコーティングされたマイカは、本来の機能である金属光沢性の付与のみならず、得られる成形体の表面平滑性向上に対しても効果が発現することが期待できる。
メタリック顔料(D)の平均粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、2〜80μmであることがより好ましく、3〜60μmであることがさらに好ましく、4〜40μmであることが特に好ましい。平均粒子径が1μm未満のメタリック顔料(D)は、光沢度を向上する効果が低く、また得ることが難しい。一方、メタリック顔料(D)の平均粒子径が60μmを超えると、ポリアミド樹脂組成物を得る際のハンドリングが難しくなり、原料メタリック顔料(D)が有していた平均粒子径を維持しながら溶融混合をすることが困難となる。また、溶融混合ができたとしても、得られるポリアミド樹脂組成物の成形体は、光沢度が高いものの、意匠性に劣る傾向が高い。
メタリック顔料(D)の平均粒子径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装社製)により測定が可能である。
メタリック顔料(D)の平均厚みは1〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。平均厚みが1μm未満のメタリック顔料(D)は、剛性に劣り、溶融混合した際に、形状を保つことが難しくなり、したがって、十分な光沢度を有する成形体を得ることが難しくなる。一方、平均厚みが30μmを超えるメタリック顔料(D)は、その配向が低下し、得られる成形体は、輝度に劣ったものとなる。
メタリック顔料(D)の平均厚みは、電子顕微鏡によるメタリック顔料50個測定の単純平均により算出することができる。
メタリック顔料(D)の平均厚みは、電子顕微鏡によるメタリック顔料50個測定の単純平均により算出することができる。
メタリック顔料(D)のアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)は、2〜60であることが好ましく、2〜50であることがより好ましく、2〜30であることがさらに好ましい。アスペクト比が2未満であると、得られる成形体の輝度は劣ったものとなる。アスペクト比が60を超えるものは工業的に得ることは難しく、また得られたとしても分散安定性が劣り、得られる成形体の表面平滑性が損なわれたものとなる。
メタリック顔料(D)のアスペクト比は、前記平均粒径の値を前記平均厚み値で除することにより求めることができる。
メタリック顔料(D)のアスペクト比は、前記平均粒径の値を前記平均厚み値で除することにより求めることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物におけるメタリック顔料(D)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.5〜5質量部であることが必要であり、0.7〜4質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましい。メタリック顔料(D)の含有量が0.5質量部未満では、得られる成形体は、輝度が不足する。一方、5質量部を超えると、成形体は、輝度が過剰となり意匠性が損なわれる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記のように、メタリック顔料を含むとともに、ポリアミド樹脂が2種以上のアミノカルボン酸単位から構成され、また膨潤性層状珪酸塩を含むため、剛性を有しながら、輝度に優れるポリアミド樹脂成形体が得られる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体は、屋外使用条件下における耐候性が極めて向上したものである。
ポリアミド樹脂成形体は、通常、屋外や太陽光を直接浴びる環境下で長期にわたって使用されると、成形体表面にクレージングといわれるヒビ割れ状の欠陥が発生する。軽度のクレージングは、意匠性を損ねるだけであるが、重度のクレージングは成形体の機械特性を大きく低下させる。特に、メタリック顔料を含有する成形体は、メタリック顔料を起点として、クレージングが顕著に発生するという問題があった。しかしながら、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いると、成形体におけるクレージングの発生を効果的に抑制ができる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体は、屋外使用条件下における耐候性が極めて向上したものである。
ポリアミド樹脂成形体は、通常、屋外や太陽光を直接浴びる環境下で長期にわたって使用されると、成形体表面にクレージングといわれるヒビ割れ状の欠陥が発生する。軽度のクレージングは、意匠性を損ねるだけであるが、重度のクレージングは成形体の機械特性を大きく低下させる。特に、メタリック顔料を含有する成形体は、メタリック顔料を起点として、クレージングが顕著に発生するという問題があった。しかしながら、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いると、成形体におけるクレージングの発生を効果的に抑制ができる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂(A)として、6−アミノカプロン酸単位と、11−アミノウンデカン酸単位および/または12−アミノドデカン酸単位とを有するものを使用すると、成形体の表面平滑性を向上する効果や耐候性を向上する効果を大きくすることができる。通常、メタリック顔料を含有する樹脂組成物の射出成形体においては、射出成形の金型を流動する溶融樹脂が合流した際に、その合流部でメタリック顔料(D)が特定の方向に配向することにより、成形体の表面平滑性が部分的に低下し、意匠性を損ねることが多かった。本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記ポリアミド樹脂(A)を使用するため、成形体の耐候性のみならず、溶融樹脂の流動に伴う表面平滑性の改善もでき、巾広い用途での適用が可能である。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、発泡剤(E)を配合することで、ポリアミド樹脂組成物を発泡させることができる。
発泡剤(E)としては、たとえば、熱分解型発泡剤として、アゾ、N−ニトロソ、複素環式窒素含有及びスルホニルヒドラジド基のような分解しうる基を含有する有機化合物、炭酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物を挙げることができる。その具体例としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)セミカルバジド、4−トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、5−フェニルテトラゾール、トリヒドラジノトリアジン、4−トルエンスルフォニルアザイド、4,4’−ジフェニルジスルフォニルアザイドなどである。
また、発泡剤(E)としては、ガス状フルオロカーボン、窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、アルゴンなど常温で気体のものや、液状フルオロカーボン、ペンタンなどの常温で液体のものも使用できる。
発泡剤(E)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)と膨潤性層状珪酸塩(B)の合計100質量部に対して0.05〜2質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。発泡剤(E)の配合が0.05質量部未満では発泡させるガスの量が少なく、発泡倍率が上がらず質量減少効果が得られない場合がある。発泡剤(E)の配合が2質量部を超えると、得られる発泡成形体の機械的強度の低下、シルバーストリークの発生等、表面平滑性を損ねる場合があるため好ましくない。
発泡成形体は、常法により成形して発泡成形体とされる。例えば、ポリアミド樹脂組成物を、ペレット状にした後、発泡剤と混合し、次いでこの混合物を成形機中に供給、溶融し、射出成形して発泡成形体を得ることができる。また、発泡剤が気体や液体であるときには、溶融樹脂中に発泡剤を直接加えて均一分散液を得、次いで射出成形により発泡成形体とすることができる。
発泡成形体の機械的強度、表面平滑性を向上させるためには、発泡セルが存在するコア部を発泡セルが存在しないスキン部で包括した形態とする必要がある。このような発泡成形体は、例えば、射出成形機において、溶融した発泡性ポリアミド樹脂組成物を金型キャビティに射出し、溶融樹脂が流動末端付近に到達した時点で0.2〜1.0sの間、20〜100MPaの保圧をかけ、次いで金型キャビティに隣接した金型コア部を10〜100mm/sの速度で、中型キャビティの厚みが拡張する方向へ後退させる射出コアバック式の射出成形方法で得ることができる。ここで、ダイプレートの後退距離と金型キャビティの初期深さより次式を用いて求められる値を設定発泡倍率(X)と定義する。
設定発泡倍率(X)=(初期深さ+ダイプレートの後退距離)/(初期深さ)
設定発泡倍率(X)=(初期深さ+ダイプレートの後退距離)/(初期深さ)
また、このときの発泡の実倍率(Y)は、未発泡体の密度(ρ0)と発泡成形体の密度(ρ1)の比(ρ0/ρ1)として算出することができる。発泡の実倍率は1.15〜3.00であることが好ましく、1.25〜2.60であることがより好ましい。発泡の実倍率が1.15未満であると、発泡成形体の軽量化効果が不十分であり、3.00を超えると、発泡成形体中でコア部の発泡セルが粗大化する場合や、スキン部が薄くなる場合があり、発泡成形体の機械的強度が低下する。
設定発泡倍率(X)、発泡の実倍率(Y)より算出される発泡効率(Y/X)は、表面平滑性の指標となるものであり、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。発泡効率(Y/X)が85%以上であることにより、金型内で発泡する発泡成形体が、金型との密着性を増し、発泡成形体の表面平滑性が向上し、成形体表面の光沢度が向上し、意匠性が向上する。
コア部の発泡セルの平均気泡径は表面平滑性を高める上で、0.1mm以下であることが好ましく、0.09mm以下であることがより好ましく、0.08mm以下であることがさらに好ましい。平均気泡径が0.1mmを超えると、発泡成形体の表面平滑性が低下し、光沢度が低下するため意匠性が低下する。なお、発泡セルの最大気泡径は表面平滑性を向上させるために1.0mm以下であることが好ましい。発泡セルの最大気泡径が1.0mmを超えると表面平滑性が低下し意匠性が損なわれるばかりか、機械的強度が低下することもある。
本発明の発泡性成形用ポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、他の重合体を添加してもよい。このような重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレンなどのエラストマー、およびこれらの無水マレイン酸などによる酸変性物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−フェニルマレイミド共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、ワラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの強化材、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型安定剤等を添加してもよい。
本発明の発泡性成形用ポリアミド樹脂組成物は、剛性が向上し、表面平滑性および金属光沢性に優れるため、電気・電子機器分野や、自動車分野、あるいは機械分野などにおける各種部品として用いることができる。また、発泡成形性にも優れており、得られる発泡成形体は剛性と表面平滑性のバランスにも優れているため、電気・電子機器、機械での各種筐体、ハウジングとして軽量化しつつ剛性を保って用いることができ、さらには、耐候性にも優れるため、自動車の内外装部品として好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた原料を示す。
実施例および比較例で用いた原料を示す。
1.原料
(1)ポリアミド樹脂モノマー成分
・ε−カプロラクタム(宇部興産社製)
・11−アミノウンデカン酸(純正化学社製)
・12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)
(1)ポリアミド樹脂モノマー成分
・ε−カプロラクタム(宇部興産社製)
・11−アミノウンデカン酸(純正化学社製)
・12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)
(2)ポリアミド樹脂
・ポリアミド6樹脂(ユニチカ社製A1030BRL)
・ポリアミド12樹脂(宇部興産社製)
・ポリアミド6樹脂(ユニチカ社製A1030BRL)
・ポリアミド12樹脂(宇部興産社製)
(3)層状珪酸塩
・B−1:膨潤性フッ素雲母(コープケミカル社製ME−100)
・B−2:モンモリロナイト(ホージュン社製ベンゲルHV)
・B−3:ヘクトライト(Elementis Specialities社製BentoneHC)
・B−1:膨潤性フッ素雲母(コープケミカル社製ME−100)
・B−2:モンモリロナイト(ホージュン社製ベンゲルHV)
・B−3:ヘクトライト(Elementis Specialities社製BentoneHC)
(4)板状フィラー
・C−1:マイカ(山口雲母社製SYA−21R)、平均粒子径27μm
・C−2:タルク(日本タルク社製MICRO ACE K−1)、平均粒子径7.4μm
・C−1:マイカ(山口雲母社製SYA−21R)、平均粒子径27μm
・C−2:タルク(日本タルク社製MICRO ACE K−1)、平均粒子径7.4μm
(5)メタリック顔料
・D−1:アルミ粉末マスターバッチ(東洋アルミニウム社製NME020N9)、ポリエチレンに対しアルミ粉末(平均粒径20μm)を70質量%練り込んだもの。
・D−2:パール顔料(メルクジャパン社製イリオジン#100)、平均粒径20μmのマイカ表面にチタンを0.3μmコーティングしたもの。
・D−1:アルミ粉末マスターバッチ(東洋アルミニウム社製NME020N9)、ポリエチレンに対しアルミ粉末(平均粒径20μm)を70質量%練り込んだもの。
・D−2:パール顔料(メルクジャパン社製イリオジン#100)、平均粒径20μmのマイカ表面にチタンを0.3μmコーティングしたもの。
(6)発泡剤
・ADCA:アゾジカルボンアミド(永和化成工業社製ビニホールAC#3)
・ADCA:アゾジカルボンアミド(永和化成工業社製ビニホールAC#3)
2.試験方法
(1)未発泡状態(ソリッド)でのポリアミド樹脂組成物の密度(ρ0)
ポリアミド樹脂組成物の樹脂ペレットを1g準備し、乾式自動密度計(島津製作所社製アキュピックII 134型)を用い、気体置換型ピクノメータ法により測定した。
(1)未発泡状態(ソリッド)でのポリアミド樹脂組成物の密度(ρ0)
ポリアミド樹脂組成物の樹脂ペレットを1g準備し、乾式自動密度計(島津製作所社製アキュピックII 134型)を用い、気体置換型ピクノメータ法により測定した。
(2)設定発泡倍率(X)
射出成型機のダイプレートの後退距離から次式により算出した。初期厚みはキャビティの深さであり、前述の通り1.6mmである。
設定発泡倍率=(初期厚み+ダイプレートの後退距離)/(初期厚み)
射出成型機のダイプレートの後退距離から次式により算出した。初期厚みはキャビティの深さであり、前述の通り1.6mmである。
設定発泡倍率=(初期厚み+ダイプレートの後退距離)/(初期厚み)
(3)曲げ弾性率
長さ127mm、幅12.7mm、厚み1.6mmのキャビティを有する金型で試験片を作成し、ASTM D−790に準拠して測定した。曲げ弾性率は3.0GPa以上であることが好ましい。
長さ127mm、幅12.7mm、厚み1.6mmのキャビティを有する金型で試験片を作成し、ASTM D−790に準拠して測定した。曲げ弾性率は3.0GPa以上であることが好ましい。
(4)発泡成形体の密度(ρ1)
前述の試験片から10×10mmの切片を切り出し、乾式自動密度計(島津製作所社製アキュピックII 134型)を用い、気体置換型ピクノメータ法により測定した。
前述の試験片から10×10mmの切片を切り出し、乾式自動密度計(島津製作所社製アキュピックII 134型)を用い、気体置換型ピクノメータ法により測定した。
(5)発泡の実倍率(Y)
未発泡状態(ソリッド)でのポリアミド樹脂組成物の密度ρ0と、発泡成形体の密度ρ1より発泡の実倍率(ρ0/ρ1)を算出した。ただし、(ρ0/ρ1)=Yとする。
発泡の実倍率は、2.2以上であることが好ましい。
未発泡状態(ソリッド)でのポリアミド樹脂組成物の密度ρ0と、発泡成形体の密度ρ1より発泡の実倍率(ρ0/ρ1)を算出した。ただし、(ρ0/ρ1)=Yとする。
発泡の実倍率は、2.2以上であることが好ましい。
(6)発泡効率
設定発泡倍率(X)、発泡の実倍率(Y)より発泡効率(Y/X)を算出した。
設定発泡倍率(X)、発泡の実倍率(Y)より発泡効率(Y/X)を算出した。
(7)発泡セルの最大径
前述の試験片を厚み方向に切断し、切断面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社VHX−500型)で観察し、切断面に現れた発泡セルのうち最も大きな発泡セルの最大長さを測定し、各発泡成形体の発泡セルの最大径とした。
前述の試験片を厚み方向に切断し、切断面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社VHX−500型)で観察し、切断面に現れた発泡セルのうち最も大きな発泡セルの最大長さを測定し、各発泡成形体の発泡セルの最大径とした。
(8)表面平滑性
前述の試験片の表面粗さを表面粗さ測定器(ミツトヨ社製SJ−310型)で測定して、算術表面粗さRaを測定した。Raは0.1μm以下であることが好ましい。
前述の試験片の表面粗さを表面粗さ測定器(ミツトヨ社製SJ−310型)で測定して、算術表面粗さRaを測定した。Raは0.1μm以下であることが好ましい。
(9)表面光沢度
JIS Z 8741に基づき、光沢度計(日本電色社製グロスメーターVG7000型)を用い、板状成形体の表面光沢度の測定を行った。光沢度は、実用的には90%以上であることが好ましい。
JIS Z 8741に基づき、光沢度計(日本電色社製グロスメーターVG7000型)を用い、板状成形体の表面光沢度の測定を行った。光沢度は、実用的には90%以上であることが好ましい。
(10)輝度
照度1000Lxである蛍光灯下で板状成形体の法線とのなす角度45°の方向から観察し、肉眼にて輝度を官能評価した。
5:ギラギラ感を有するが、過剰である。
4:ギラギラ感を有するが、やや過剰である。
3:適度なギラギラ感を有する。
2:金属特有の輝きが不足する。
1:金属特有の輝きを有さない。
照度1000Lxである蛍光灯下で板状成形体の法線とのなす角度45°の方向から観察し、肉眼にて輝度を官能評価した。
5:ギラギラ感を有するが、過剰である。
4:ギラギラ感を有するが、やや過剰である。
3:適度なギラギラ感を有する。
2:金属特有の輝きが不足する。
1:金属特有の輝きを有さない。
製造例1
ε−カプロラクタム90質量部、12−アミノドデカン酸10質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、層状珪酸塩(B−1)5質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合を行ない、層状珪酸塩を5.3質量%含有するポリアミド樹脂(P−1)を得た。その結果を表1に示す。
ε−カプロラクタム90質量部、12−アミノドデカン酸10質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、層状珪酸塩(B−1)5質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合を行ない、層状珪酸塩を5.3質量%含有するポリアミド樹脂(P−1)を得た。その結果を表1に示す。
製造例2〜15
表1の組成に従って製造例1と同様に、ポリアミド樹脂(P−2)〜(P−15)を得た。
表1の組成に従って製造例1と同様に、ポリアミド樹脂(P−2)〜(P−15)を得た。
実施例1
層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂(P−1)100質量部、板状フィラー(C−1)10質量部、メタリック顔料(D−1)1質量部を一括混合し、単軸押出機(池貝社製FS−30型)で溶融混練を行い、ダイスよりストランド状に押出しした後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/hにて行った。
得られたポリアミド樹脂組成物116.3質量部に対し、発泡剤ADCAが0.3質量部となるようにドライブレンドし、シャットオフノズルを搭載した射出成形機(FANUC社製S−2000i型)に投入し、シリンダー温度250℃、金型温度100℃の条件で射出成型した。このとき、0.2sで試験片の流動末端まで充填し、次いで75MPaで0.5秒間の保圧工程を経て、その直後に60mm/sで射出成型機のダイプレートを設定発泡倍率2.5倍になるように後退させた。得られた試験片を各性能評価に供した。その結果を表2に示す。
層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂(P−1)100質量部、板状フィラー(C−1)10質量部、メタリック顔料(D−1)1質量部を一括混合し、単軸押出機(池貝社製FS−30型)で溶融混練を行い、ダイスよりストランド状に押出しした後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/hにて行った。
得られたポリアミド樹脂組成物116.3質量部に対し、発泡剤ADCAが0.3質量部となるようにドライブレンドし、シャットオフノズルを搭載した射出成形機(FANUC社製S−2000i型)に投入し、シリンダー温度250℃、金型温度100℃の条件で射出成型した。このとき、0.2sで試験片の流動末端まで充填し、次いで75MPaで0.5秒間の保圧工程を経て、その直後に60mm/sで射出成型機のダイプレートを設定発泡倍率2.5倍になるように後退させた。得られた試験片を各性能評価に供した。その結果を表2に示す。
実施例2〜27
用いるポリアミド樹脂、板状フィラー、メタリック顔料の種類と比率を表2、3に示すようにした以外は、実施例1と同様にして溶融混練を行った後、得られたポリアミド樹脂組成物と発泡剤を所定の配合とし射出成形を行った後、試験片を作成し、各性能評価を行った。その結果を表2、3に示す。
なお、実施例21では、製造例で得た層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂は用いず、ポリアミド6樹脂、ポリアミド12樹脂、層状珪酸塩、板状フィラーおよびメタリック顔料が所定比率となるよう一括混合し、溶融混練を行い、各性能評価を行った。
用いるポリアミド樹脂、板状フィラー、メタリック顔料の種類と比率を表2、3に示すようにした以外は、実施例1と同様にして溶融混練を行った後、得られたポリアミド樹脂組成物と発泡剤を所定の配合とし射出成形を行った後、試験片を作成し、各性能評価を行った。その結果を表2、3に示す。
なお、実施例21では、製造例で得た層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂は用いず、ポリアミド6樹脂、ポリアミド12樹脂、層状珪酸塩、板状フィラーおよびメタリック顔料が所定比率となるよう一括混合し、溶融混練を行い、各性能評価を行った。
比較例1〜9
用いるポリアミド樹脂、板状フィラー、メタリック顔料の種類と比率を表4に示すようにした以外は、実施例1と同様にして溶融混練を行った後、得られたポリアミド樹脂組成物と発泡剤を所定の配合とし射出成形を行った後、試験片を作成し、各性能評価を行った。その結果を表4に示す。
用いるポリアミド樹脂、板状フィラー、メタリック顔料の種類と比率を表4に示すようにした以外は、実施例1と同様にして溶融混練を行った後、得られたポリアミド樹脂組成物と発泡剤を所定の配合とし射出成形を行った後、試験片を作成し、各性能評価を行った。その結果を表4に示す。
実施例1〜27は本発明の要件を満たすポリアミド樹脂組成物を用いたため発泡成形性に優れ、得られた発泡成形体は剛性(曲げ弾性率)と表面平滑性のバランスに優れた。また、金属光沢(表面光沢度、輝度)が向上し意匠性を高めることができた。
比較例1は、板状フィラーの配合量が過少であったため、発泡セルが大きくなってしまい、表面平滑性が低下し、意匠性に劣るものとなった。
比較例2は、板状フィラーの配合量が過多であったため、表面平滑性、輝度が低下し、意匠性に劣るものとなった。
比較例3は、メタリック顔料の配合量が過少であったため、輝度が低下した。
比較例4は、メタリック顔料の配合量が過多であったため、輝度が過剰なものとなり、意匠性が低下した。
比較例5は、2種以上のアミノカルボン酸単位を有するポリアミド樹脂を用いず、ポリアミド6を単独で用いたため、発泡成形性が不十分で表面平滑性が低下し、意匠性に劣るものとなった。
比較例6は、2種以上のアミノカルボン酸単位を有するポリアミド樹脂を用いず、ポリアミド12を単独で用いたため、剛性に劣るものとなった。
比較例7は、層状珪酸塩の含有量が過少であったため、発泡成形性が不十分で剛性に劣るものとなった。また、輝度が不十分であった。
比較例8は、層状珪酸塩の含有量が過多であったため、表面平滑性に劣るものとなった。
比較例9は、板状フィラーを含有しなかったため、発泡セルが過度に大きくなり、剛性が劣った。また、表面平滑性が低下し輝度が劣った。
Claims (9)
- ポリアミド樹脂(A)100質量部、層状珪酸塩(B)1〜7質量部、板状フィラー(C)0.05〜20質量部およびメタリック顔料(D)0.5〜5質量部を含むポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成されるものであり、板状フィラー(C)が、タルクおよび/またはマイカであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成される共重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)が、6−アミノカプロン酸単位と、11−アミノウンデカン酸単位および/または12−アミノドデカン酸単位とから構成される共重合体であり、ポリアミド樹脂(A)における6−アミノカプロン酸単位の含有量が、60〜90質量%であることを特徴とする請求項2記載のポリアミド樹脂組成物。
- 層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母、モンモリロナイト、およびヘクトライトから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、およびそれらの酸化物、ならびにチタンコーティングされたマイカから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜5いずれか記載のポリアミド樹脂組成物と発泡剤(E)とからなる発泡性ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項6記載の発泡性ポリアミド樹脂組成物より得られる発泡成形体。
- 請求項6記載の発泡性ポリアミド樹脂組成物を射出コアバック式の射出成形方法を用いて成形することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
- 発泡セルを有するコア部が発泡セルを有さないスキン部で包含されてなることを特徴とする請求項7記載の発泡成形体。
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