JP2015058695A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置の信頼性を低下させること無く、低コストで効率的に空吸引を行うことができるインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】キャップ部材51の弾性部材51aに溝部53を設け、その溝部53と吸収体52とを密接させて、空吸引時に吸収体52の側面からの空気の流入を防止する。
【選択図】図6

Description

本発明は、記録手段からインクを吐出し記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置に関し、詳しくは、吸引回復処理を行う回復装置を備えたインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置は、インクを吐出可能な複数のノズルを高密度に配置した記録ヘッドを用いて高精細な画像を形成することができる。このインクジェット記録装置で用いられる記録ヘッドの吐出口面には、ノズル内のインク滴を吐出するための吐出口が複数個形成されている。吐出口からインクを吐出するインクジェット記録装置では、インク吐出が行われない状態が継続すると、ノズル内のインクが増粘あるいは固化することがある。インクの増粘や固化がノズル内に生じた場合、ノズルからの正常なインク吐出が阻害される可能性がある。
このような現象を防ぐため、インクが吐出されていない状態が一定時間以上継続した場合に、ノズル内の増粘あるいは固化したインクを吸い出すことによって、ノズル内のインクをリフレッシュさせる回復処理が行われている。このような処理は、一般的に吸引回復処理と呼ばれ、この処理を実施する装置を一般的に吸引回復装置と称している。
インクジェット記録装置の吸引回復装置は、吐出口が形成されている記録ヘッドの吐出口面に密接して吐出口の周囲を覆うキャップユニットと、キャップユニットと吐出口面とによって形成されている空間内に負圧を発生させる負圧発生手段とを備える。そして、キャップユニットには吸引回復の補助を行う吸収体が備えられており、吸収体は機外へのインク漏れを防ぐためにインクを保持する機能と、吸引回復時のノズルからのインクの引き出しを補助する機能と、キャップ内の保湿機能とを同時に備える。一般的にキャップ内は、残留インクの周囲への漏れによって汚染が生じるのを防止のためや、吸収体内のインクが吐出面に再転写して吐出口を汚染する事を防止するために、常に一定量以上のインクを受容可能な状態である必要がある。
そのため吐出口面をキャップから隔離させた状態において、負圧発生手段によりキャップ内の排出口を介して吸引を行い吸収体に保持されたキャップ内のインクを排出する「空吸引」と呼ばれる処理を定期的に実施する。この時、記録ヘッドの吐出口面は暴露状態になるため、その処理にかかる時間および処理の回数を最小限に抑えるために効率的なインクの吸引を行う事が求められる。
しかしながら、空吸引によってキャップ内における吸収体の排出口近傍のインクが排出されてしまうと、その排出口近傍の抵抗が低くなり、排出口近傍から空気を引きこんでしまう。そのため、吸収体の排出口から遠い部分でインクが残ってしまうという問題があった。この問題を解決する方法としてキャップ内にスリットの入ったシート状の部材を追加することにより排出口から離れた部分に対しても吸収体内のインクを吸引可能にするものがある(特許文献1)。シート材に入ったスリットは排出口と連通するような配置となっており、スリット部を介して空気およびインクが流れるため排出口から遠い部分のインクも吸引可能とするものである。
特開2004−230844号公報
しかしながら特許文献1に記載の吸引回復装置では、吸収体がキャップ部材底面に対して密接する構成ではあるが、側面等では吸収体とキャップ部材との間に隙間が生じていた。そのため吸収体全体から全てのインクを引ききる前に、吸収体の側面部から空気を引きこんでしまうため、空吸引は効率的なものではなかった。また近年は記録速度の高速化が求められ、紙幅方向と同じ長さを持ったラインヘッドを用いたラインプリンタの需要が高まっている。そのため長尺化した記録ヘッドに対応するために、キャップユニットが長尺化した際には排出口から遠い部位は更にインクの吸収が困難となる。
よって本発明は、効率的に空吸引を行うことができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
そのため本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出して記録を行う記録手段と、弾性部材と該弾性部材の内部に吸収体とを備え、前記記録手段に前記弾性部材を密接して前記記録手段の記録状態を回復させる回復手段と、を備えたインクジェット記録装置において、前記弾性部材は係合部を備え、該係合部が弾性変形して前記吸収体の一部と係合することで、前記吸収体の位置決めを行うことを特徴とする。
本発明によればインクジェット記録装置は、キャップ部材の弾性部材に溝部を設け、その溝部と吸収体とを密接させて、空吸引時に吸収体の側面からの空気の流入を防止する。これによって効率的に空吸引を行うことができるインクジェット記録装置を実現することができる。
インクジェット記録装置が組み込まれたプリンタの一例を示す正面図である。 図1のプリンタの電気的な系統を示すブロック図である。 吸引回復装置を備えたインクジェット記録装置の模式図である。 (a)、(b)は、吸収体とキャップ部材を示した斜視図である。 (a)から(d)は、吸収体とキャップ部材を示す図である。 図5(a)のC−Cでの断面を拡大して示した断面図である。 (a)、(b)は、記録ヘッドとキャップ部材とを示した図である。 インクジェットプリンタの吸引回復シーケンスを示すフローチャートである。 (a)、(b)は、吸収体が挿入されたキャップ部材を示した図である。
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録装置が組み込まれたプリンタの一例を模式的に示す正面図である。以下、図面を参照して、本発明のインクジェット記録装置が組み込まれたプリンタの一例を説明する。
プリンタ10は、このプリンタ10に画像情報を送るホストPC(パソコン)12に接続されている。プリンタ10には、4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yが記録媒体(ここではロ−ル紙)Pの搬送方向(矢印A方向)に並んで配置されている。なお、記録ヘッドは4つに限定するものではなく、単数でも、複数備えられていてもよい。4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yからは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクが吐出される。これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、所謂ラインヘッドであり、図1の紙面に交差する方向(矢印A方向に交差する方向(本実施形態においては直交する方向))に延びており、各ヘッドの複数の吐出口(インクを吐出するためのノズル)は矢印A方向に配列されている。これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの長さは、プリンタ10で記録できる記録媒体のうち最大の幅(図1の紙面に直交する方向の長さ)よりもやや長い。また、これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、画像形成中は固定されて動かない。
4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yから安定してインクを吐出できるように、プリンタ10には、吸引回復装置70が組み込まれている。この回復ユニット40によって、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yからのインク吐出状態を初期のインク吐出状態に回復する。吸引回復装置70には、回復動作のときに4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのインク吐出口形成面22Ks、22Cs、22Ms、22Ysからインクを除去するキャップユニット50が備えられている。キャップユニット50は各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに独立して設けられており、図1の例では4色分(即ち、6つのキャッピング機構50)が示されている。キャッピング機構50は、周知のブレード、インク除去部材、ブレード保持部材、キャップ等から構成されている。また、本発明における記録ヘッドは各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに供給されるインクを貯留しているインクカートリッジ28K、28C、28M、28Yを各記録ヘッドに直接接続したオンキャリッジタイプである。各インクカートリッジ28K、28C、28M、28Yは、中のインクが無くなった場合などには、記録ヘッドから取り外して交換することができる。
ロ−ル紙Pは、ロール紙供給ユニット24から供給され、プリンタ10に組み込まれた搬送機構26によって矢印A方向に搬送される。搬送機構26は、ロ−ル紙Pを載置して搬送する搬送ベルト26a、この搬送ベルト26aを回転させる搬送モータ26b、搬送ベルト26aに張力を与えるローラ26cなどから構成されている。ロ−ル紙Pに画像を形成する際には、搬送中のロ−ル紙Pの記録開始位置がブラックの記録ヘッド22Kの下に到達した後に、記録データ(画像情報)に基づいて記録ヘッド22Kからブラックインクを選択的に吐出する。同様に記録ヘッド22C、記録ヘッド22M、記録ヘッド22Yの順に、各色のインクを吐出してカラー画像をロ−ル紙Pに形成する。プリンタ10には、上記の部品、部材の他、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yにインクを供給したり回復動作をしたりするための各種ポンプなどが備えられている。
図2は、図1のプリンタの電気的な系統を示すブロック図である。以下、図面を参照して、プリンタ10の電気的な系統を説明する。ホストPC12から送信された記録データやコマンドは、インターフェイスコントローラ102を介してCPU100に受信される。CPU100は、プリンタ10の記録データの受信、記録動作、ロ−ル紙Pのハンドリング等全般の制御を掌る演算処理装置である。CPU100では、受信したコマンドを解析した後に、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ106にビットマップ展開して描画する。記録前の動作処理では、出力ポート114、モータ駆動部116を介してキャッピングモータ122とヘッドアップダウンモータ118を駆動し、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yをキャッピング機構50から離して記録位置に移動させる。
続いて、出力ポート114、モータ駆動部116を介してロ−ル紙Pを繰り出すロールモータ(図示せず)および低速度でロ−ル紙Pを搬送する搬送モータ120等を駆動してロ−ル紙Pを記録位置に搬送する。一定速度で搬送されるロ−ル紙Pにインクを吐出し始めるタイミング(記録タイミング)を決定するための先端検知センサ(図示せず)でロ−ル紙Pの先端位置を検出する。その後、ロ−ル紙Pの搬送に同期して、CPU100はイメージメモリ106から対応する色の記録データを順次に読み出し、この読み出したデータを各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに記録ヘッド制御回路112を経由して(介して)転送する。
CPU100の動作はプログラムROM104に記憶された処理プログラムに基づいて実行される。プログラムROM104には、制御フローに対応する処理プログラムおよびテーブルなどが記憶されている。また、作業用のメモリとしてワークRAM108を使用する。各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのクリーニングや回復動作時に、CPU100は、出力ポート114、モータ駆動部116を介してポンプモータ124を駆動し、インクの加圧、吸引等の制御を行う。
図3は、吸引回復装置を備えたインクジェット記録装置の模式図である。記録ヘッド22の直下には、吸引回復装置70が配置されている。吸引回復装置70には、記録ヘッド22の記録状態を回復させる際に付与する圧力を発生させるための圧力発生手段61が、インクチューブ64を介しキャップユニット50の排出口56に接続されている。インクチューブ64と圧力発生手段61との間には、圧力発生手段61で発生させた圧力を一時的に蓄える圧力調整室63と、圧力調整室63内に蓄積した圧力を瞬時に記録ヘッド22に付与するために、流路を遮断可能な回復弁62が備えられている。以上、圧力発生手段61、圧力調整室63、回復弁62によってポンプユニット60が構成されている。圧力発生手段61としては、シンプルな構成かつ待機時においても流路を遮断可能な、チューブポンプ等が一般的に使用されるが、これは特に限定するものではなく圧力が発生可能なものであればよい。
吸引回復装置70には、記録ヘッド22に対応した位置に、記録ヘッド吐出面22sを乾燥から守り、かつ負圧発生手段61で発生させた圧力を記録ヘッド22に付与するためのキャップユニット50が設けられている。キャップユニット50は、キャップフレーム53と、記録ヘッド22の記録ヘッド吐出面22sを封止可能なであり、インクを受けるインク受け部材としてのキャップ部材51等で構成されている。またキャップ部材51内には、吸収体52が備えられており、キャップ部材51の底面には排出口56が開いている。排出口56とキャップフレーム53は、変形可能な蛇腹形状の弾性ジョイント部材55にて接続されている。そのため、記録ヘッド22に接触した後、所定量を押し込んだ状態でも、キャップ部材とキャップフレーム405の流路は常に連結された状態を維持可能である。尚、本実施形態では、流路連結の弾性ジョイントを蛇腹状としたが、形状はこれに限定するものではなく、キャップユニットの移動に追従しつつ、クリーニングフレームとの流路を連結しているものであればよい。また、記録ヘッド吐出面をキャップ部材51で封止するためには、一定の押圧力が必要となるためバネ54にてキャップ部材はヘッド吐出面22sを押圧する。
図4(a)、(b)は、吸収体52とキャップ部材51を示した斜視図である。図4を参照してキャップ部材51およびキャップ部材51内部に備えられた吸収体52の構成について説明する。キャップ部材51は、弾性変形可能な弾性部材51aとその弾性部材51aを支持する樹脂部材51bとから構成され、弾性部材51aと樹脂部材51bは、二色成形により製作され一体化した部材である。尚、本実施形態ではキャップ部材51を二色成形にて製作した一体部材を採用しているが、これに限定するものでなく、2部材から構成されていてもよい。吸収体52をキャップ部材51の弾性部材51a内部に図4(a)で示される矢印の方向に挿入することで、図4(b)で示すセット後の状態となる。この場合、吸収体52のセット状態は、弾性部材51aのリブを目視確認することで一目瞭然となる。このリブについては別途図6を参照して詳細に説明を行う。
図5(a)から(d)は、吸収体52とキャップ部材51を示しており、(a)は吸収体52とキャップ部材51とを上方から見た図、(b)は(a)のC−Cでの断面図、(c)は吸収体52とキャップ部材51の係合部における拡大図、(d)は(b)のHから見た断面図である。図5(a)から(d)を参照して、吸収体52とキャップ部材51およびキャップ部材51内の吸収体52の位置を規制する方法について説明する。吸収体52は硬質の多孔質材によって形成されており、キャップ部材51の弾性部材51aと係合するための凸部57を備えている。この凸部57は、吸収体52の長手方向(記録ヘッド22のノズルの配列方向)と交差する2方向(矢印A方向及びA方向と逆方向)に突出した部分であり、吸収体52の長手方向に延在するように構成されている。また、キャップ部材51の弾性部材51aは、吸収体52の凸部57と係合する溝部53を備えている。溝部53は、円弧状の溝を備えておりキャップ部材51の長手方向の内側側面に連続して設けられている。
吸収体52をキャップ部材51に対して挿入すると、キャップ部材51の弾性部材51aに設けられた溝部53に対し、吸収体52の凸部57が係合する。弾性部材51aは、吸収体52に対し柔らかい材質でできているため、挿入された吸収体52の凸部57に押された溝部53は弾性変形する。つまり、吸収体52がキャップ部材51に挿入されると、吸収体52とキャップ部材51とは圧接する。その際、溝部53の溝を形成している円弧の中心位置より上方となる位置で、弾性部材51aと吸収体52とは係合するため、弾性変形した弾性部材51aに押圧され、吸収体52は、図5(b)の矢印で示される下向きの成分を含んだ方向に力を受ける。吸収体52は弾性部材51aから力を受け、樹脂部材51bの突き当て部である底面58に突きあたり、Z方向(上下方向)の位置決めが行われる。また吸収体52のX方向(矢印A方向及びA方向と逆方向)における位置は、キャップ部材51の弾性部材51a、吸収体52ともに対称形状であるので、左右で同一の反力(X方向成分の反力)が吸収体52に対し働くため、吸収体52は、キャップ部材51のほぼ中心位置に位置する。なお、弾性部材51aのヤング率は、吸収体52のヤング率に比べ5分の1以下であることが望ましい。こうすることで、弾性体51aと吸収体52との最適な接触圧を得ることができる。本実施形態においては、図5(b)の矢印で示される力を吸収体52が受けることによって、吸収体52はキャップ部材51に対するX方向の位置決めがなされるように構成されている。しかし本発明はこれに限らず、吸収体52のZ方向の位置決めは弾性体51aの力で底面58に吸収体52が当接することにより行われ、吸収体52のX方向の位置決めは底面58と吸収体52とが嵌合することによって行われるようにしてもよい。
図5(d)のG1、G2(線で示された箇所)は、吸収体52が弾性部材51aと線接触している箇所を示している。吸収体52は、長手方向における両側部(凸部57)全域に亘って弾性部材51aと圧接している。こうすることで、長手方向における両側部に吸収体52とキャップ部材51との間に隙間が生じることがなく、空吸引時に吸収体52の両側部より空気を引き込むことを防いでいる。
なお、本実施形態では長手方向における両側部で吸収体52が弾性部材51aと接触している構成を示したが、長手方向における両側部および短手方向における両端部で、吸収体52が弾性部材51aと接触する構成でもよい。
また、本実施形態では、溝部53における溝の形状は円弧状としたが、これに限定するものではなく、V時形状や矩形状の溝などのように吸収体52の凸部57を受け入れることができ、下向きの成分を含んだ方向に力を吸収体52に加えられる形状であればよい。
図6は、図5(a)のC−Cでの断面を拡大して示した断面図である。図6を参照して吸収体52の抜け防止のリブ51cの形状について説明を行う。リブ51cは、環状に構成された弾性部材51b内壁に設けられた溝部53の溝面の延長上で、キャップ部材51の中心方向に延びるように(環状の弾性部材51bの内側に延びるように)設けられている。つまり、リブ51cは弾性部材51bの内側から、吸収体52の長手方向と交差する方向に突出するように延びている。吸収体52がキャップ部材51に完全に挿入されていない場合には、このリブ51cは吸収体52の凸部57に押圧されて変形し、図5(a)のようにリブ51cを確認することができない。しかし、吸収体52の凸部57がキャップ部材51の溝部53に係合した状態では、リブ51cは吸収体52の凸部57の上部に位置し、図5(a)のように視認できる状態となる。そのため、組み立て時の吸収体52の挿入不良を一目で確認することができる。またリブ51cは、完成品を輸送する際に、完成品が衝撃を受けた場合、吸収体52がキャップ部材51から抜けおちる事を防止する。
なお、本実施形態でリブ51cは、キャップ部材51の弾性部材51aの内周に沿って部分的に設けられているが、これに限定するものではなく、弾性部材51aの内周全周に亘って連続して設けられていてもよい。
図7(a)、(b)は、記録ヘッド22とキャップ部材51とを示した図である。本実施形態においては、記録ヘッド22がキャップ部材51に対し相対的に(矢印B方向に)移動する構成として説明を行うが、これに限定するものではなく、キャップ部材51が相対的に記録ヘッド22に対して移動してもよい。記録ヘッド22は、キャップ部材51に対し上下に移動可能であって、図7(a)は、記録ヘッド22がキャップ部材51に対し密接した状態を示している。図7(a)に示される記録ヘッド22の位置は、記録ヘッド22の吐出口のクリーニングまたはプリンタの待機状態時の位置である。図7(b)は、記録ヘッド22がキャップ部材51から隔離された状態を示しており、キャップ部材51が空吸引を行う時の記録ヘッド22の位置である。
図8は、インクジェットプリンタにおける一般的な吸引回復のシーケンスを示したフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って吸引回復のシーケンスを説明する。記録ヘッド22に記録不良が起きた場合、または定期的な時間経過をプリンタが検知した場合には、ステップS1001で吸引回復実行の指令がCUP100より命ぜられて、クリーニングが開始される。その後ステップS1002で回復弁62を閉じて、ステップS1003で圧力発生手段61により負圧を発生させ、圧力調整室63内の圧力が低下させる。そして、ステップS1004で所定時間待機して、圧力調整室63内が規定圧力に到達後、ステップS1005で圧力発生手段61の動作を終了させ、ステップS1006で回復弁62を開状態とする。この時、記録ヘッド22の吐出面22sとキャップ部材51との相対位置は、図7(a)で示される状態である。ステップS1007で所定時間待機することで、圧力調整室63に貯留された負圧はインクチューブ64を介して記録ヘッド22の吐出面22aとキャップ部材51内に伝搬される。そして、記録ヘッド22の吐出口よりインクが排出され、吐出口のクリーニングが完了する。吐出口より排出されたインクの一部は、インクチューブ64を通り圧力調整室63まで引き込まれ、残りは、キャップ部材51内の吸収体51に保持された状態となる。この時、吸収体52は、飽和状態となりインクをこれ以上受容できない状態である。
次に、吸収体52に保持されているインクの吸引を行う。ステップS1008で回復弁62を閉状態とし、ステップS1009で圧力発生手段61により、圧力調整室63に負圧を貯留する。ステップS10010で所定時間待機して、ステップS10011で圧力発生手段の動作を停止させる。そして、ステップS10012で記録ヘッド22を移動させてキャップ部材51と離間させる。その後ステップS10013で、再度回復弁62を開状態とし、ステップS10014で所定時間待機してキャップ部材51に負圧を付与する。負圧が付与されると吸収体52内のインクが圧力調整室63に引き込まれる。最後に回復弁62を開けた状態で圧力発生手段61により負圧を発生させる。これによってインクチューブ64内に残ったインクを排出して、ステップS10015で記録ヘッド22を移動させてキャップ部材51と密着させて、ステップS10016で吸引回復のシーケンスが終了する。
図9(a)、(b)は、吸収体52が挿入されたキャップ部材51を示した図である。以下、図9を参照して本実施形態における空吸引時のインクおよび空気の流れを説明する。吸収体52がインクを保持した状態では、吸収体52に含まれているインクが抵抗体となるため、圧力調整室63と連通した排出口56より負圧が付与されると、排出口56と連通する吸収体52の下部の空間Eが一様に負圧となる。そして、空間Eの負圧に引かれて、吸収体52の空間Eと接する部分からインクが排出される。その際、吸収体52では、上部の露出面Fから空気が引き込まれる。空間Eから吸収体52に対して一様に負圧がかかるため、吸収体52内のインクは排出口56の位置に関係なく均一に吸引される。この時、吸収体52と弾性部材51aとは密接しているため、吸収体52の側面から空気を引きこむ事を防止している。
図9(b)は、図5(a)のD−D断面を示した図であり、空吸引時の空気の流れを示している。図9(a)と同様、吸収体52の下に設けられた空間Eが一様に負圧となるため、吸収体52の長手方向全域において、上から下への空気の流れが発生する。これによって、排出口56の近傍のインクが局所的に吸引されて排出されることを防止し、吸収体52に含まれているインクは均一に排出される。
このように、キャップ部材51の弾性部材51aに溝部53を設け、その溝部53と吸収体52とを密接させて、空吸引時に吸収体52の側面からの空気の流入を防止する。これによって、装置の信頼性を低下させること無く、低コストで効率的に空吸引を行うことができるインクジェット記録装置を実現することができた。
10 プリンタ
51 キャップ部材
52 吸収体
53 溝部
54 バネ
61 圧力発生手段
62 回復弁
63 圧力調整室
90 排出口

Claims (7)

  1. インクを吐出して記録を行う記録手段と、
    弾性部材を有し、前記記録手段に前記弾性部材を密接して前記記録手段からのインクを受けるインク受け部材と、
    前記インク受け部材の内部に設けられ、インクを吸収するための吸収体と、を備え、
    前記弾性部材は係合部を有し、該係合部が弾性変形して前記吸収体の一部と係合することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記吸収体は凸部を備えており、該凸部が前記弾性部材の前記係合部を弾性変形させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記インク受け部材は排出口を備えており、前記吸収体と前記排出口との間には空間が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記空間は、前記吸収体の一部の面の長手方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記弾性部材のヤング率が前記吸収体のヤング率に比べ5分の1以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記係合部は溝であり、前記弾性部材は、前記係合部の溝面を延長した面を備えたリブを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インク受け部材は、前記弾性部材を備えたキャップ部材を備えており、該キャップ部材は前記弾性部材と樹脂部材との二色成形により形成されている事を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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JP2019171787A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 キヤノン株式会社 液体吐出装置、回復装置、および回復方法

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JP2019171787A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 キヤノン株式会社 液体吐出装置、回復装置、および回復方法
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