以下、図面を参照して、実施形態に係る医用画像診断システム及び架台搬送装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像診断システムの構成を示す斜視図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用画像診断システムは、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30と、搬送部40と、レール50a及び50bとを有する。
ここで、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを併せて医用画像診断装置と呼ぶ場合がある。なお、以下では、医用画像診断装置が、X線CT(Computed Tomography)装置である場合を説明する。また、図1に示すように、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。すなわち、X軸は水平方向を示し、Y軸は鉛直方向を示し、Z軸は架台装置10の進行方向を示す。直交座標系において、矢印で示す方向を正方向とする。
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する。寝台装置20は、被検体Pを載せる。コンソール装置30は、操作者によるX線CT装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された投影データからCT画像データを再構成する。レール50a及びレール50bは、架台装置10の走行路である。
図1に示すように、床面には、溝70a及び溝70bが設けられている。そして、第1の実施形態に係るレール50aは溝70a内の底面に敷設され、レール50bは溝70b内の底面に敷設されている。かかる場合、レール50a及び50bは、例えばシート状に加工された材料で形成される。なお、溝70a及び溝70bを区別しない場合には、溝70と表記し、レール50a及びレール50bを区別しない場合には、レール50と表記する。
このような、医用画像診断システムでは、例えば、架台装置10は、レール50上を走行し、寝台装置20に載置された被検体Pを撮影可能な位置まで移動する。そして、X線CT装置は、寝台に載置された被検体Pを撮影する。続いて、架台装置10は、医師が手術を行うスペースを確保できるようにレール50上を走行し寝台装置20から離れた位置まで移動する。続いて、医師などの利用者は、例えば、X線CT装置が撮影した医用画像を用いて手術部位を特定し、特定した部位を手術する。また、特定した部位が医師によって手術された後、手術された部位の撮影を行う場合がある。かかる場合、架台装置10は、レール50上を走行し、寝台装置20に載置された被検体Pを撮影可能な位置まで再び移動する。
ここで、架台装置10は、車輪で駆動してレール50上を自走する。以下では、架台装置10の駆動方式について説明する。
図1に示す架台装置10は、搬送部40を内蔵しており、この搬送部40が車輪によってベルト方式で駆動する。図1では、架台装置10を実線で示し、架台装置10に内蔵される搬送部40を破線で示す。搬送部40は、図1において破線で示す駆動モータ41と駆動部42aと駆動部42bとを有し、架台装置10に内蔵される。ここで、第1の実施形態に係る搬送部40は、ベルト方式で駆動する。そして、このような医用画像診断システムでは、架台装置10が搬送部40によってレール50上を走行し、寝台装置20に載置された被検体Pの撮影位置まで移動する。なお、図1では、レール50の左端を初期位置として、架台装置10がレール50をZ軸の正方向に走行中である場合を示す。
駆動モータ41は、駆動部42a及び駆動部42bに接続する。駆動モータ41は、架台装置10を有するX線CT装置からの指示に基づいて、動力を発生させて、駆動部42a及び駆動部42bに動力を伝達する。駆動部42a及び駆動部42bは、駆動モータ41が発生させた動力によって駆動し、レール50a及びレール50b上をZ軸方向に走行することで、架台装置10を搬送する。なお、駆動部42aと駆動部42bとを区別しない場合には、駆動部42と表記する。
レール50a及び50bは、架台装置10が走行する走行路である。レール50a及び50bは、駆動部42が走行可能な材質で構成されればよく、例えば溝70に敷設可能なシート状に加工された材料で形成され、架台装置10の重みに耐えられることが望ましい。ここで、Z軸の正方向を進行方向とした場合、レール50aは進行方向右側のレールであり、レール50bは進行方向左側のレールである。また、レール50には、所定の間隔ごとに凸部が形成される。この凸部の詳細について後述する。
また、図1に示すように、レール50aは、レールカバー90aによって覆われており、レール50bは、レールカバー90bによって覆われている。なお、レールカバー90a及びレールカバー90bを区別しない場合には、レールカバー90と表記する。また、図1では、レール50を図示するために、レールカバー90の一部を切り欠いて図示している。
より具体的には、架台装置10が走行中であるレール50では、レールカバー90は、架台装置10内に引き込まれている。ここで、架台装置10がレール50上を走行する際に、図1中には図示していない移動ベース100は、架台装置10の下部から引き込んだレールカバー90a及びレールカバー90bの下を移動する。
一方、架台装置10が走行中ではないレール50を覆っているレールカバー90は、床面に接触している。このように、架台装置10が走行中ではないレール50では、レールカバー90が床面と同一の高さで接触することで、作業者が側壁71及び72につまずくことや側壁71及び72によって転倒することを防止できる。このようなレールカバー90a及びレールカバー90bは、例えばポリウレタンなどの材質で形成される。また、レールカバー90a及びレールカバー90bのレール50側の面を裏面とした場合、レールカバー90a及びレールカバー90bの裏面には、例えば、SCM435(クロムモリブデン鋼)などの強度を確保するための補強板(例えば、補強用のリブ)が取り付けられることが望ましい。この補強板により、作業者は、床面と接触しているレールカバー90上を移動することができる。
図2は、第1の実施形態に係る医用画像診断システムを示す正面図である。図2では、架台装置10がレール50上を走行する場合の正面図を示す。なお、図2に示す例では、レールカバー90の図示を省略する。図2に示すように、床面には溝70a及び溝70bが設けられる。そして、溝70aには、レール50aが敷設され、溝70bには、レール50bが敷設される。また、架台装置10の駆動部42aは、駆動モータ41から動力を得てレール50a上を走行し、架台装置10の駆動部42bは、駆動モータ41から動力を得てレール50b上を走行する。
ここで、駆動部42aの床面側の略1/4は、溝70aが有する側壁71a及び72aに挟まれて支持される。同様に、駆動部42bの床面側の略1/4は、溝70bが有する側壁71b及び側壁72bに挟まれて支持される。これにより、駆動部42は、Z軸方向に走行する際、レール50上の軌道から外れることなく走行可能となる。また、側壁71a及び側壁72aには、レールカバー90aを支持するためのL字状の切り欠きが設けられており、側壁71b及び側壁72bには、レールカバー90bを支持するためのL字状の切り欠きが設けられている。なお、側壁71a及び側壁71bを区別しない場合には側壁71と表記し、側壁72a及び側壁72bを区別しない場合には側壁72と表記する。また、駆動部42のうち、側壁71及び72に挟まれる部分は、駆動部42の1/4に限定されるものではなく、駆動部42が軌道から外れることなく走行可能であるように側壁71及び72に駆動部42が挟まれていればよい。
次に、図3を用いて、駆動部42の詳細について説明する。図3は、第1の実施形態に係る駆動部42を示す斜視図である。図3では、駆動部42と、レール50とを図示している。また、図3に示す例では、説明の便宜上、側壁51及び側壁52の図示を省略している。なお、図3に示すように、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。すなわち、X軸は水平方向を示し、Y軸は鉛直方向を示し、Z軸は架台装置10の進行方向を示す。直交座標系において、矢印で示す方向を正方向とする。
図3に示すように、駆動部42aは、前輪43aと、後輪44aと、駆動ベルト45aとを有する。同様に、駆動部42bは、前輪43bと、後輪44bと、駆動ベルト45bとを有する。なお、前輪43aと前輪43bとを区別しない場合には、前輪43と表記する。また、後輪44aと後輪44bとを区別しない場合には、後輪44と表記する。また、駆動ベルト45aと駆動ベルト45bとを区別しない場合には、駆動ベルト45と表記する。
前輪43は、駆動モータ41から動力を得ることによって回転する駆動輪である。同様に、後輪44は、駆動モータ41から動力を得ることによって回転する駆動輪である。ここで、駆動モータ41は、前輪43及び後輪44の回転方向が、同じ方向となるように動力を伝達する。
駆動ベルト45は、前輪43及び後輪44との周囲に巻装される無限軌道帯である。駆動ベルト45は、前輪43及び後輪44の回転に応じて、前輪43及び後輪44の周囲を回転する。例えば、前輪43及び後輪44が、図3中のA方向に回転する動力を得ることで、駆動ベルト45は、前輪43及び後輪44の周囲を進行方向の正方向に回転する。この結果、駆動部42は、進行方向を正方向に移動する。また、例えば、前輪43及び後輪44が、図3中のB方向に回転する動力を得ることで、駆動ベルト45は、前輪43及び後輪44の周囲を進行方向の負方向に回転する。この結果、駆動部42は、進行方向を負方向に移動する。
なお、駆動部42において、前輪43或いは後輪44のいずれか一方の対のみを駆動輪とし、他方の対を従動輪としてもよい。例えば、前輪43a及び43bの対を駆動輪とし、後輪44a及び44bの対を従動輪としてもよい。かかる場合、駆動輪は、駆動モータ41から動力を得ることによって回転し、従動輪は、駆動輪が回転して駆動ベルト45を引っ張ることによって生じる力に応じて回転する。
また、駆動ベルト45には、所定の間隔ごとに凸部46が形成される。また、隣接する凸部46の間には凹部47が形成される。ここで、凸部46の幅は、凹部47の幅と同じ長さである。そして、図3に示すように、レール50には、所定の間隔ごとに凸部53が形成される。また、隣接する凸部53の間には凹部54が形成される。ここで、凸部53の幅は、凹部54の幅と同じ長さであり、凸部53の幅は、凸部46の幅と同じ長さである。すなわち、図3に示す例では、凸部46の幅、凹部47の幅、凸部53の幅及び凹部54の幅の長さは一致する。このため、駆動部42がレール50上を走行中に、駆動ベルト45の凸部46は、レール50の凹部54と嵌合し、駆動ベルト45の凹部47は、レール50の凸部53と嵌合する。この結果、駆動ベルト45は、レール50上での滑りを防止できる。なお、凸部46の幅、凹部47の幅、凸部53の幅及び凹部54の幅の長さが一致していなくても、凸部46の幅と凹部54の幅の長さ、或いは凹部47の幅と凸部53の幅の長さが、嵌合可能な程度に一致していればよい。
更に、駆動ベルト45及びレール50の少なくともいずれか一方を耐滑性のあるゴム素材で構成するようにしてもよい。かかる場合、このゴム素材は、予め設計された動摩擦係数を有する。これにより、駆動部42は、例えば、手術中に被検体Pの血液などがレール50上に散布された場合でも、レール50上での滑りを防止できる。
図4は、第1の実施形態に係る駆動部42を示す斜視図である。図4では、レール50上を走行する駆動部42を拡大して図示している。なお、図4では、側壁71aの一部を切り欠いて図示している。図4に示すように、側壁71aの進行方向の内側には、エンコーダ60が設置される。エンコーダ60は、例えば、直線状のバーコードでありZ軸方向における距離を示す位置情報が示される。
また、図4に示すように、架台装置10は、読取部48を有する。例えば、読取部48は、架台装置10がレール50上の走行を停止した際に、側壁71aの進行方向の内側に設置されたエンコーダ60に示された位置情報を光学的に読み取る。そして、読取部48は、読み取った位置情報をコンソール装置30に受け渡す。これにより、X線CT装置は、架台装置10が移動した場合、移動先での位置情報(絶対位置)を把握することができる。この結果、例えば、X線CT装置は、寝台装置20に載置された被検体Pを撮影可能な位置まで架台装置10を位置づけさせることが可能となる。また、X線CT装置は、架台装置10がレール50上を走行中にスリップした場合、或いは停止する際にスリップした場合でも、架台装置10が停止した正確な位置を特定することができる。これにより、X線CT装置は、停止した位置から寝台装置20に載置された被検体Pを撮影可能な位置まで架台装置10を移動させることが可能となる。
なお、エンコーダ60が設置される位置は、図4に図示した位置に限定されるものではなく適宜変更可能である。かかる場合、読取部48が設置される場所も、エンコーダ60が取り付けられる位置に応じて、適宜変更される。例えば、エンコーダ60は、他の側壁に設置されてもよい。具体的には、エンコーダ60は、側壁72aの進行方向の内側に設置されてもよい。或いは、例えば、エンコーダ60は、床面において、架台装置10の進行方向と並行するように設置されてもよい。かかる場合、読取部48は、例えば、架台装置10の底部に設置される。或いは、エンコーダ60は、架台装置10が設置された空間内の側壁において、架台装置10の進行方向と並行するように設置されてもよい。かかる場合、読取部48は、例えば、架台装置10においてエンコーダ60を読み取り可能な側面に設置される。或いは、例えば、エンコーダ60は、天井において、架台装置10の進行方向と並行するように設置されてもよい。かかる場合、読取部48は、例えば、架台装置10の上面部に設置される。また、読取部48を設置する数は、図4に図示した数に限定されるものではない。また、読取部48は、エンコーダ60と接触することで位置情報を読み取る接触式であってもよい。
次に、図5を用いて、移動ベース100の詳細について説明する。図5は、第1の実施形態に係る移動ベース100を示す斜視図である。なお、図5では、架台装置10の図示を省略する。図5に示すように、移動ベース100は、収納部101と、収納部102と、基板部103とを有する。収納部101の内部には、駆動部42aを収納可能なスペースが設けられており、このスペースに駆動部42aが収納される。また、収納部102の内部には、駆動部42bを収納可能なスペースが設けられており、このスペースに駆動部42bが収納される。基板部103は、収納部101と収納部102とを連結する。
そして、収納部101及び収納部102においてZ軸方向の正方向側の側面、Y軸方向の正方向側の側面及びZ軸方向の負方向側の側面には、ガイドローラ群104が設けられている。そして、レールカバー90は、このガイドローラ群104を覆うように据え付けられる。これにより架台装置10がレール50上を走行するに伴い、移動ベース100はレールカバー90の下を移動する。ここで、移動ベース100は、ガイドローラ群104によってガイドされることでレールカバー90の下を移動する。また、架台装置10がレール50上を走行する際には、収納部101及び収納部102によって駆動部42が収納されるので、レールカバー90が駆動部42に干渉することを防止できる。なお、収納部101及び収納部102にはY軸方向の負方向側の側面は設けられていない。また、移動ベース100に設けられるガイドローラ群104の数は、図5に図示した数に限定されるものではない。また、ガイドローラ群104は、コンソール装置30によって回転するように制御されてもよい。
また、図5では図示しないが、収納部101において収納部102と対向する側面には、駆動モータ41から供給される動力を駆動部42aに伝達するための機構と、駆動部42aとが接続可能となるように貫通孔が設けられている。同様に、収納部102において収納部101と対向する側面には、駆動モータ41から供給される動力を駆動部42bに伝達するための機構と、駆動部42bとが接続可能となるように貫通孔が設けられている。
次に、図6を用いて、レールカバー90と床面に設けられた溝70との接触について説明する。図6は、第1の実施形態に係る溝70a及びレールカバー90aの正面図である。なお、図6では、駆動部42の図示を省略する。図6に示すように、床面には、溝70aが設けられている。この溝70aの側壁71a及び側壁72aには、L字状の切り欠きが設けられている。そして、レールカバー90aの一方の端部が、側壁71aのL字状の切り欠きと接触し、レールカバー90aの他方の端部が、側壁72aのL字状の切り欠きと接触することで、レールカバー90は、床面と同じ高さに支持される。これにより、床面をフリーにすることが可能となる。この結果、作業者が側壁71及び72につまずくことや側壁71及び72によって転倒することを防止できる。
図7は、第1の実施形態に係る医用画像診断システムの機能構成を示す機能ブロック図である。なお、図7に示す例では、レール50の図示を省略し、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30と、架台装置10に内蔵された搬送部40とを図示する。
架台装置10は、X線照射制御部11と、X線発生装置12と、X線検出器13と、収集部14と、回転フレーム15と、架台駆動部16とを有する。
回転フレーム15は、X線発生装置12とX線検出器13とを被検体Pの周囲で回転可能に支持する。回転フレーム15は、X線発生装置12とX線検出器13とを被検体Pを挟んで対向支持し、後述する架台駆動部16によって被検体Pを中心とした円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置である。X線発生装置12は、X線管球12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。X線検出器13は、X線発生装置12から曝射され被検体Pを透過したX線を検出する。具体的には、X線検出器13は、2次元状に配列されたX線検出素子により、X線管球12aから曝射されて被検体Pを透過したX線を検出する。
X線照射制御部11は、高電圧発生部として、X線管球12aに高電圧を供給する装置であり、X線管球12aは、X線照射制御部11から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御部11は、X線管球12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。また、X線照射制御部11は、コリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。X線照射制御部11の制御により、X線管球12aは、フル再構成用に被検体Pの全周囲でX線を連続曝射したり、ハーフ再構成用にハーフ再構成可能な曝射範囲(180度+ファン角)でX線を連続曝射したりすることが可能である。
架台駆動部16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置12とX線検出器13とを旋回させる。
収集部14は、DAS(Data Acquisition System)であり、X線検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。
搬送部40は、駆動モータ41と、駆動部42a及び駆動部42bとを有する。駆動モータ41は、架台装置10を有するX線CT装置からの指示に基づいて、動力を発生させて、駆動部42に動力を伝達する。具体的には、駆動モータ41は、スキャン制御部33からの指示に基づいて、動力を発生させる。
駆動部42a及び駆動部42bは、駆動モータ41が発生させた動力によって駆動し、レール50上をZ軸方向に走行することで、架台装置10を搬送する。
寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、天板22と、寝台駆動装置21とを有する。天板22は、被検体Pが載置される板である。寝台駆動装置21は、後述するスキャン制御部33の制御のもと、天板22をX軸方向又はY軸方向へ移動可能である。
コンソール装置30は、入力装置31と、表示装置32と、スキャン制御部33と、前処理部34と、投影データ記憶部35と、画像生成部36と、画像記憶部37と、制御部38とを有する。
入力装置31は、X線CT装置の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、ボタン、ペダル(フットスイッチ)等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、制御部38に転送する。
表示装置32は、操作者が参照するモニタであり、制御部38による制御のもと、X線CT画像データを操作者に表示したり、入力装置31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、操作者は、検査情報登録用のGUIに、天板22に載置された被検体Pの撮影時における体位等の検査情報を、入力装置31を用いて入力する。
スキャン制御部33は、後述する制御部38の制御のもと、X線照射制御部11、架台駆動部16、収集部14、寝台駆動装置21及び搬送部40の動作を制御することで、架台装置10における投影データの収集処理を制御する。
前処理部34は、収集部14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。
投影データ記憶部35は、前処理部34により生成された補正済みの投影データを記憶する。また、投影データ記憶部35は、収集部14により収集された投影データも記憶する。
画像生成部36は、投影データ記憶部35が記憶する投影データを用いて各種画像データを生成する処理部である。
上述したように、第1の実施形態によれば、架台装置10は、車輪によってベルト方式で駆動し、レール50上を移動する。このため、レール50には架台装置10を走行させるためのスクリューを床下に埋設する必要がない。このため、床面工事での工数を削減しレールを設置する工事を簡素化でき、レールを設置する工事のコストを削減することができる。更に、既にスクリュー方式で駆動するX線CT装置を備えた施設では、床面に溝が設けられていることが多い。このようなことから、例えば、スクリュー方式で駆動するX線CT装置を、ベルト方式の駆動に変更して使用する場合、床面に設けられた溝にレール50を敷設するだけでよく、床を掘り起こさなくてもよい。このため、レールを設置する工事を更に簡素化でき、レールを設置する工事のコストを更に削減することができる。
また、第1の実施形態によれば、既設の溝を利用して、架台装置10を走行させる。ここで、側壁71及び72は、溝70内に設けられるので床面上に露出することはない。更に、第1の実施形態では、レールカバー90が床面に設けられた溝70を覆うことで、作業者が側壁71及び72につまずくことや側壁71及び72によって転倒することを防止できる。また、レールカバー90が床面に設けられた溝70を覆うことで、溝70内を保護することができる。この結果、例えば、医師による手術が行われる最中に、被検体Pの血液や手術中に用いられる液性物質がレール50に滴下することを防止できる。これにより、衛生面での向上が期待できる。
なお、第1の実施形態においては、架台装置10が、レールカバー90を有する例を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、架台装置10は、レールカバー90を有さなくてもよい。かかる場合、架台装置10は、移動ベース100を有さなくてもよく、側壁71及び72にはレールカバー90を支持する切り欠きが設けられていなくてもよい。
また、医師による手術が行われる最中に、被検体Pの血液や手術中に用いられる液性物質が床面に滴下する場合がある。ここで、溝70がレールカバー90で覆われていなければ、レール50には被検体Pの血液や手術中に用いられる液性物質が滴下する場合がある。このような場合、溝70には内清掃の際に作業の妨げになるスクリューが設けられていないので、X線CT装置が走行するレール50の清掃を容易化することができる。これにより、衛生面での向上が期待できる。
また、第1の実施形態によれば、駆動ベルト45及びレール50の少なくともいずれか一方を耐滑性のあるゴム素材で構成することにより、駆動部42は、例えば、手術中に被検体Pの血液などがレール50上に散布された場合でも、レール50上での滑りを防止できる。
また、第1の実施形態によれば、読取部48は、架台装置10がレール50上の走行を停止した際に、エンコーダ60に示された位置情報を光学的に読み取り、読み取った位置情報をコンソール装置30に受け渡す。これにより、X線CT装置は、架台装置10が移動した場合、移動先での位置情報(絶対位置)を把握することができる。これにより、X線CT装置は、架台装置10がレール50上を走行中にスリップした場合、或いは停止する際にスリップした場合でも、架台装置10が停止した位置から寝台装置20に載置された被検体Pを撮影可能な位置まで架台装置10を移動させることが可能となる。
なお、第1の実施形態では、溝70内にシート状に加工された材料で形成されるレール50を敷設する場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、レール50を敷設せずに溝70自体をレールとして用い、架台装置10を走行させてもよい。
また、第1の実施形態では、溝70a及び溝70bの2つの溝を設けて、架台装置10を走行させる場合について説明したが、設ける溝を1つにして架台装置10を走行させてもよい。図8は、第1の実施形態に係る医用画像診断システムを示す正面図の別例である。図8に示すように、例えば、1つの溝として溝70cを設ける。そして、この溝70cにレール50a及びレール50bを敷設する。駆動部42aがレール50aを走行し、駆動部42bがレール50bを走行する。また、溝70cは、側壁71a及び側壁71bを有する。この側壁71a及び側壁71bによって、駆動部42は、Z軸方向に走行する際、レール50上の軌道から外れることなく走行可能となる。
また、図8のように設ける溝を1つにして架台装置10を走行させる場合、レールカバーは、溝全体を覆うようにする。かかる場合の移動ベースについて図9を用いて説明する。図9は、第1の実施形態に係る移動ベースを示す斜視図の別例である。なお、図9では、図5に示した各部と同様の構成については同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。図9に示すように、移動ベース200は、図5に示した移動ベース100が有する各部に加えて更に、Z軸方向の正方向側の基板201及びZ軸方向の負方向側の基板202を有する。また、ガイドローラ群104は、収納部101のZ軸方向の正方向側の側面と、収納部102のZ軸方向の正方向側の側面と、基板201とを横断するように設けられている。また、ガイドローラ群104は、収納部101のY軸方向の正方向側の側面と、収納部102のY軸方向の正方向側の側面と、基板103とを横断するように設けられている。また、ガイドローラ群104は、収納部101のZ軸方向の負方向側の側面と、収納部102のZ軸方向の負方向側の側面と、基板202とを横断するように設けられている。そして、レールカバー190は、このガイドローラ群104を覆うように据え付けられる。これにより架台装置10がレール50上を走行するに伴い、移動ベース200はレールカバー90の下を移動する。ここで、移動ベース200は、ガイドローラ群104によってガイドされることでレールカバー190の下を移動する。なお、移動ベース200に設けられるガイドローラ群104の数は、図9に図示した数に限定されるものではない。また、ガイドローラ群104は、コンソール装置30によって回転するように制御されてもよい。また、設ける溝を1つにして架台装置10を走行させる場合、架台装置10は、レールカバー190を有さなくてもよい。かかる場合、架台装置10は、移動ベース200を有さなくてもよく、側壁71及び72にはレールカバー190を支持する切り欠きが設けられていなくてもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、架台装置10は、溝70内の底面に敷設されたレール50上を走行するものとして説明した。ところで、X線CT装置を備えていない施設に、新たにX線CT装置を設置する場合には、溝を掘り起こすことなく床面に直接レールを敷設してもよいものである。このようなことから、第2の実施形態では、車輪によってベルト方式で駆動するX線CT装置が、床面に直接敷設されたレール上を走行する場合について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る医用画像診断システムの構成を示す斜視図である。図10に示すように、第2の実施形態に係る医用画像診断システムは、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30と、搬送部40と、レール50a及びレール50bとを有する。ここで、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを併せて医用画像診断装置と呼ぶ場合がある。なお、以下では、医用画像診断装置がX線CT装置である場合を説明する。また、レール50a及びレール50bを区別しない場合には、レール50と表記する場合がある。
また、図10に示すように、レール50aは、レールカバー90aによって覆われており、レール50bは、レールカバー90bによって覆われている。なお、レールカバー90a及びレールカバー90bを区別しない場合には、レールカバー90と表記する場合がある。また、図10では、レール50を図示するために、レールカバー90の一部を切り欠いて図示している。
図10では、図1と同様に、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。すなわち、X軸は鉛直方向を示し、Y軸は水平方向を示し、Z軸は架台装置10の進行方向を示す。直交座標系において、矢印で示す方向を正方向とする。第2の実施形態に係る架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置30は、第1の実施形態に係る架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置30と同様である。
レール50a及び50bは、架台装置10が走行する走行路である。レール50a及び50bは、駆動部42が走行可能な材質で構成されればよく、例えば床面に敷設可能なシート状に加工された材料で形成され、架台装置10の重みに耐えられることが望ましい。ここで、Z軸の正方向を進行方向とした場合、レール50aは進行方向右側のレールであり、レール50bは進行方向左側のレールである。
また、このレール50には、側壁が設けられる。例えば、レール50aには、進行方向に対して外側の側壁51aと進行方向に対して内側の側壁52aとが設けられる。また、レール50bには、進行方向に対して外側の側壁51bと進行方向に対して内側の側壁52bとが設けられる。なお、側壁51a及び51bを区別しない場合には側壁51と表記し、側壁52a及び52bを区別しない場合には側壁52と表記する。また、レール50には、所定の間隔ごとに凸部が形成される。
図11は、第2の実施形態に係る医用画像診断システムを示す正面図である。図11では、架台装置10がレール50上を走行中である場合の正面図を示す。図11に示すように、床面にはレール50a及び50bが敷設されている。また、架台装置10の駆動部42aは、駆動モータ41から動力を得てレール50a上を走行し、架台装置10の駆動部42bは、駆動モータ41から動力を得てレール50b上を走行する。
ここで、駆動部42aの床面側の略1/4は、レール50aに設けられた側壁51aと側壁52aとに挟まれて支持される。同様に、駆動部42bの床面側の略1/4は、レール50bに設けられた側壁51bと側壁52bとに挟まれて支持される。これにより、駆動部42は、Z軸方向に走行する際、レール50上の軌道から外れることなく走行可能となる。なお、駆動部42のうち、側壁51と側壁52とで挟まれる部分は、駆動部42の1/4に限定されるものではなく、駆動部42が軌道から外れることなく走行可能であるように側壁51と側壁52とに駆動部42が挟まれていればよい。
なお、レール50に設けられる側壁の数は、図10や図11に図示した数に限定されるものではない。例えば、各レール50a及び50bの進行方向に対して内側だけに側壁を設けてもよい。具体的には、図10に示す側壁52a及び52bだけを設けてもよい。或いは、レール50a及び50bの進行方向に対して外側だけに側壁を設けてもよい。具体的には、図10に示す側壁51a及び51bだけを設けてもよい。
上述したように、第2の実施形態によれば、架台装置10は、車輪によってベルト方式で駆動し、レール50上を移動する。このため、レール50には架台装置10を走行させるためのスクリューが設けられていない。また、医師による手術が行われる最中に、被検体Pの血液や手術中に用いられる液性物質が床面上やレール50内に滴下する場合がある。かかる場合、レール50には清掃の際に作業の妨げになるスクリューが設けられていないので、X線CT装置が走行するレール50の清掃を容易化することができる。これにより、衛生面での向上が期待できる。
また、第2の実施形態によれば、架台装置10を車輪によってベルト方式で駆動させる方式であるので、スクリューを床下に埋設する必要がない。言い換えると、床を掘り起こさなくてもよく、レールを設置する工事を簡素化し、床面工事での工数及びコストを削減することができる。
また、第2の実施形態によれば、レール50に側壁が設けられるので、架台装置10は、レールから外れることなく走行可能である。また、第2の実施形態によれば、駆動ベルト45及びレール50に、凹部、凸部がそれぞれ設けられ、互いに嵌合するので、レール上での滑りを防止することができる。
また、第2の実施形態によれば、駆動ベルト45及びレール50の少なくともいずれか一方を耐滑性のあるゴム素材で構成することにより、駆動部42は、例えば、手術中に被検体Pの血液などがレール50上に散布された場合でも、レール50上での滑りを防止できる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、駆動部42が無限軌道帯を有し、車輪によってベルト方式で駆動する場合を説明した。ところで、駆動部42は、車輪で駆動してレール50上を走行する場合、必ずしも無限軌道帯を有していなくてもよい。言い換えると、駆動部42は、車輪で駆動してレール50上を走行する場合、ベルト方式とは異なる方式で駆動してもよい。このようなことから、第3の実施形態では、駆動部42が無限軌道帯を有さずに、車輪の外周にゴム素材のタイヤが形成されたタイヤ方式で駆動する場合について説明する。
図12は、第3の実施形態に係る医用画像診断システムの構成を示す斜視図である。図12に示すように、第3の実施形態に係る医用画像診断システムは、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30と、搬送部40と、レール80a及びレール80bとを有する。なお、図12では、寝台装置20及びコンソール装置30の図示を省略している。ここで、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを併せて医用画像診断装置と呼ぶ場合がある。なお、以下では、医用画像診断装置がX線CT装置である場合を説明する。また、レール80a及びレール80bを区別しない場合には、レール80と表記する。
また、図12に示すように、レール80aは、レールカバー90aによって覆われており、レール80bは、レールカバー90bによって覆われている。なお、レールカバー90a及びレールカバー90bを区別しない場合には、レールカバー90と表記する。また、図12では、レール80を図示するために、レールカバー90の一部を切り欠いて図示している。
図12では、図1と同様に、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。すなわち、X軸は水平方向を示し、Y軸は鉛直方向を示し、Z軸は架台装置10の進行方向を示す。直交座標系において、矢印で示す方向を正方向とする。第3の実施形態に係る寝台装置20及びコンソール装置30は、第1の実施形態に係る寝台装置20及びコンソール装置30と同様である。
第3の実施形態に係る架台装置10は、駆動モータ41と、駆動部42aと、駆動部42bとを含んだ搬送部40を内蔵する。第3の実施形態に係る駆動モータは、第1の実施形態に係る駆動モータ41と同様である。第3の実施形態に係る駆動部42aは、前輪43a及び後輪44aを有し、タイヤ方式で駆動する。ここで、前輪43a及び後輪44aは、タイヤ部材とホイール部材とから構成される。同様に、駆動部42bは、前輪43b及び後輪44bを有し、タイヤ方式で駆動する。同様に、前輪43b及び後輪44bは、タイヤ部材とホイール部材とから構成される。
前輪43及び後輪44は、駆動モータ41から動力を得て回転する。例えば、前輪43及び後輪44は、図12中のA方向に回転する動力を得ることで、進行方向の正方向に回転する。この結果、駆動部42は、進行方向を正方向に移動する。また、例えば、前輪43及び後輪44は、図12中のB方向に回転する動力を得ることで、進行方向の負方向に回転する。この結果、駆動部42は、進行方向を負方向に移動する。
なお、駆動部42において、前輪43或いは後輪44のいずれか一方の対のみを駆動輪とし、他方を従動輪としてもよい。例えば、前輪43a及び43bの対を駆動輪とし、後輪44a及び44bの対を従動輪としてもよい。かかる場合、駆動輪は、駆動モータ41から動力を得ることによって回転し、従動輪は、駆動輪が進行することによって生じる力に応じて回転する。
また、前輪43及び後輪44のタイヤ部材には、所定のトレッドパターンが刻まれていてもよい。これにより、前輪43及び後輪44は、仮にレール80上に液体が散布されていても、液体を排出してレール80との接触を密にする。これにより、前輪43及び後輪44は、レール80上での滑りを防止できる。また、前輪43及び後輪44のタイヤ部材は、耐滑性のあるゴム素材で形成されている。なお、このゴム素材は、予め設計された動摩擦係数を有する。これにより、前輪43及び後輪44は、例えば、手術中に被検体Pの血液などがレール80上に散布された場合でも、レール80上での滑りを防止できる。
レール80a及びレール80bは、架台装置10が走行する走行路である。レール80a及びレール80bは、駆動部42が走行可能な材質で構成されればよく、例えば床面に敷設可能なシート状に加工された材料で形成されることが望ましい。ここで、Z軸の正方向を進行方向とした場合、レール80aは進行方向右側のレールであり、レール80bは進行方向左側のレールである。なお、レール80には、エンコーダ60が設置されてもよい。エンコーダ60は、例えば、直線状のバーコードでありZ軸方向における距離を示す位置情報が示される。
また、このレール80には、側壁が設けられる。例えば、レール80aには、進行方向に対して外側の側壁81aと進行方向に対して内側の側壁82aとが設けられる。また、レール80bには、進行方向に対して外側の側壁81bと進行方向に対して内側の側壁82bとが設けられる。なお、側壁81a及び81bを区別しない場合には側壁81と表記し、側壁82a及び82bを区別しない場合には側壁82と表記する。また、図12では詳細な図示は省略するが、側壁81及び側壁82にはレールカバー90を支持する切り欠きが設けられている。
上述したように、第3の実施形態によれば、駆動部42は、前輪及び後輪の生じた動力で回転し、架台装置10を移動させる。このため、レール80には清掃の際に作業の妨げになるスクリューを省略可能になる。この結果、第3の実施形態によれば、X線CT装置が走行するレールの清掃を容易化することができる。
なお、第3の実施形態では、床面に敷設されたレール80上を走行する場合について説明したが、架台装置10が走行するレールは、床面に敷設されていなくてもよい。例えば、架台装置10は、床面に設けられた溝に敷設されたレール上を走行するようにしてもよい。なお、駆動部42は、床面に設けられた溝自体をレールとして用いて走行することで、架台装置10を移動させてもよい。
(第4の実施形態)
上述した実施形態では、架台装置10が、車輪で駆動してレール50及びレール80上を自走する例について説明した。ところで、スクリューを設けずに架台装置10を駆動させる方式は、車輪で駆動する場合に限定されるものではない。例えば、架台装置10は、リニアモータを用いて駆動してもよい。そこで、第4の実施形態では、架台装置10が、リニアモータを用いてレール上を自走する場合について説明する。
図13は、第4の実施形態に係る医用画像診断システムの構成を示す斜視図である。図13に示すように、第4の実施形態に係る医用画像診断システムは、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30と、搬送部140と、レール150a及びレール150bとを有する。ここで、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを併せて医用画像診断装置と呼ぶ場合がある。なお、以下では、医用画像診断装置がX線CT装置である場合を説明する。また、レール150a及びレール150bを区別しない場合には、レール150と表記する場合がある。
また、図13に示すように、レール150aは、レールカバー90aによって覆われており、レール150bは、レールカバー90bによって覆われている。なお、レールカバー90a及びレールカバー90bを区別しない場合には、レールカバー90と表記する。また、図13では、レール150を図示するために、レールカバー90の一部を切り欠いて図示している。
図13では、図1と同様に、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。すなわち、X軸は鉛直方向を示し、Y軸は水平方向を示し、Z軸は架台装置10の進行方向を示す。直交座標系において、矢印で示す方向を正方向とする。なお、第4の実施形態に係る架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置30は、第1の実施形態に係る架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置30と同様である。
第4の実施形態に係るレール150は、磁石群151及び磁石群152を有する。なお、図13に示す例では、磁石群151を斜線で示し、磁石群152を白抜きで示す。磁石群151及び磁石群152は、厚さ方向(Y軸方向)に着磁した複数の永久磁石を架台装置10の走行方向(Z軸方向)に沿って交互に配置されて形成される。磁石群151の着磁の方向と、磁石群152の着磁の方向とが異なる。
第4の実施形態に係る搬送部140は、電流制御部141と、電機子部142aと、電機子部142bとを有する。なお、電機子部142aと電機子部142bとを区別しない場合には、電機子部142と記載する場合がある。
電流制御部141は、電機子部142aと電機子部142bとに電流を流す。電機子部142a及び電機子部142bには、図示しないコイルが装着されている。このコイルは、コイルの巻き線方向が磁石群153による磁束と直交するように装着される。そして、電流制御部141によってコイルに電流が流されることで、コイルの巻き線方向が磁石群153による磁束と直交しているので、電機子部142a及び電機子部142bは、フレミングの左手の法則により、レール150に沿う方向に駆動力を受ける。言い換えると、電機子部142a及び電機子部142bは、通電により移動磁界を発生させて駆動する。この結果、搬送部140は、レール150上をZ軸方向に移動する。なお、電流制御部142は、コイルに流す電流の向きを制御することで、Z軸方向における架台装置10の移動方向を制御する。
図14は、第4の実施形態に係る医用画像診断システムの機能構成を示す機能ブロック図である。なお、図14に示す例では、レール150の図示を省略し、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30と、架台装置10に内蔵された搬送部140とを図示する。なお、図14において、図7と同様の機能を有する各部については、図7と同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
搬送部140は、電流制御部141と、電機子部142aと、電機子部142bとを有する。電流制御部141は、架台装置10を有するX線CT装置からの指示に基づいて、電流を発生させて、電機子部142に電流を流す。具体的には、電流制御部141は、スキャン制御部33からの指示に基づいて、電流を発生させ、発生させた電流を電機子部142に流す。電機子部142a及び電機子部142bは、電流制御部141が発生させた電流によって駆動力を受けることで、レール50上をZ軸方向に移動することで、架台装置10を搬送する。
上述したように、第4の実施形態によれば、架台装置10は、リニアモータで駆動し、レール150上を移動する。このため、レール150には架台装置10を走行させるためのスクリューが設けられていない。また、医師による手術が行われる最中に、被検体Pの血液や手術中に用いられる液性物質が床面上やレール150内に滴下する場合がある。かかる場合、レール150には清掃の際に作業の妨げになるスクリューが設けられていないので、X線CT装置が走行するレール150の清掃を容易化することができる。これにより、衛生面での向上が期待できる。
また、第4の実施形態によれば、架台装置10をリニアモータで駆動させる方式であるので、スクリューを床下に埋設する必要がない。言い換えると、レールを設置する工事を簡素化し、床面工事での工数及びコストを削減することができる。
また、第4の実施形態によれば、リニアモータで駆動することにより、走行時に架台装置10の滑りを防止できる。更に、第4の実施形態によれば、リニアモータで駆動することにより、例えば、手術中に被検体Pの血液などがレール50上に散布された場合でも、レール50上での滑りを防止できる。
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
上述した実施形態においては、医用画像診断装置がX線CT装置である場合を想定して説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、架台装置を有する医用画像診断装置であれば、同様に適用することができる。例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置、PET装置とMRI装置とが一体化されたPET−MRI装置等にも、同様に適用することができる。
また、上述した実施形態においては、架台装置10に搬送部40及び搬送部140が内蔵される例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、搬送部40及び搬送部140は、架台装置10外側の側面に外付けされてもよい。また、架台装置10から搬送部40及び搬送部140の機能を独立させてもよい。例えば、医用画像診断装置とは別に架台搬送装置が設けられ、架台搬送装置が、搬送部と、レールとを備える。かかる場合、例えば、搬送部を有する箱型の筐体上に、既設の架台装置を固定すればよい。既設の架台装置であっても、簡単に、移動可能な架台装置に切り替えることができる。
また、上述した実施形態においては、レール50及びレール80には側壁が設けられる例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、レール50及びレール80には、側壁が設けられなくてもよい。
また、上述した実施形態においては、レール50、レール80及びレール150が、レールカバー90で覆われている例を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、レール50、レール80及びレール150がレールカバー90で覆われていなくてもよい。かかる場合、架台装置10は、移動ベース100を有さずに構成されなくてもよく、側壁71及び72、側壁51及び側壁52、及び側壁81及び側壁82にはレールカバー90を支持する切り欠きが設けられていなくてもよい。
また、上述した実施形態においては、駆動ベルト45には、凸部46と凹部47とが形成され、レール50には、凸部53と凹部54とが形成される例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、レール50の方だけに凸部53を有するようにしてもよく、或いは駆動ベルト45だけに凸部46を有するようにしてもよい。或いは、レール50の方だけに凹部54を有するようにしてもよく、或いは駆動ベルト45だけに凹部47を有するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、駆動ベルト45及びレール50の少なくともいずれか一方を耐滑性のあるゴム素材で構成する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、駆動ベルト45及びレール50は、耐滑性のあるゴム素材で構成されなくてもよい。
また、上述した実施形態においては、読取部48は、架台装置10がレール50上の走行を停止した際に、エンコーダ60に示された位置情報を光学的に読み取る例を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、読取部48は、磁気的に或いはレーダーなどを用いて、位置情報を読み取るようにしてもよい。なお、医用画像診断システムでは、エンコーダ60及び読取部48を設けなくてもよい。
また、上述した実施形態においては、レールの数が2つである例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、レールの数は、1つでも、あるいは3つ以上でもよい。
また、上述した実施形態においては、寝台装置20は床面に固定で据え付けられる例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、寝台装置が搬送部を内蔵する、若しくは、寝台装置に搬送部が外付けされてもよい。かかる場合、寝台装置は、車輪によってベルト方式若しくはタイヤ方式で駆動し、床面上に敷設されたレール、若しくは、床面の溝を利用したレール上を走行する。
また、上述した実施形態においては、駆動モータ41から動力を得る自走式を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、車輪を備えた架台装置を手動によってレール上を走行させてもよい。あるいは、手動によって走行する機構を自走式と併せて備えてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、医用画像診断装置が走行するレールの清掃を容易化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。