JP2015057560A - シール構造、このシール構造を備える原子炉建屋、この原子炉建屋を備える原子力発電プラント、及び、シール構造の施工方法 - Google Patents

シール構造、このシール構造を備える原子炉建屋、この原子炉建屋を備える原子力発電プラント、及び、シール構造の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明のシール構造は、耐火部材と壁面と間に間隙が生じた場合でも耐火性を確保することができる。【解決手段】壁部10に形成された孔部13を挿通するように軸線Oに沿って延びる配設部材2と、配設部材2の外周面と孔部13の内周面との空間を閉塞する耐火シール材3と、壁部10における軸線O方向一方側で配設部材2の外周面に固定されて、壁部10に接するとともに内側に軸線O方向他方側から凹む凹部51が形成された耐火部材5と、凹部51内に設けられ、熱によって膨張する第一熱膨張耐火材6とを備える。配設部材2と壁部10とが軸線O方向に相対移動することで形成される耐火部材5と壁部10との間隙を介して第一熱膨張耐火材6に熱が伝搬することで、第一熱膨張耐火材6が膨張する。【選択図】図1

Description

本発明は、シール構造、このシール構造を備える原子炉建屋、この原子炉建屋を備える原子力発電プラント、及び、シール構造の施工方法に関する。
建屋等の外壁を構成する壁部等の構造物には、建屋の内外に貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に配設部材を挿通することで建屋の屋外から屋内又は屋内から屋外への流体等の供給や排出を可能としている。この際、貫通孔と配設部材との間には、火災等が発生した際に貫通孔を介して火炎や煙等が流入することを防ぐために、貫通孔の内周面と配設部材の外周面との間の隙間に耐火シール材を設けたシール構造が構成されている。
このようなシール構造としては、例えば、特許文献1では、配設部材の周囲にウレタンフォーム等の保温材を巻き、その周りから部分的に熱膨張耐火シートを巻き付けている。さらに、熱膨張耐火シートに重ねて断熱シートを巻き付けている。そして、配設部材と貫通孔との間に耐火シール材を注入し固定することでシール構造を構成する方法が開示されている。
このようなシール構造は、火災によって生じる火炎やガス等が貫通孔から流通してしまうことを防ぐだけではなく、火炎や熱によって保温材が溶融して失われることで隙間が再び生じたとしても、熱膨張性耐火シートを膨張させることによって隙間を閉塞させて火炎や煙の流入を防ぐことができる。
また、特許文献2では、配設部材のような長尺体が挿通される貫通孔が形成された壁面に、熱膨張耐火材として熱膨張性閉塞材を配置するシール構造が開示されている。このシール構造では、貫通孔の内部ではなく壁面に接して配置された熱膨張性閉塞材を膨張させることで、壁面の一方側から覆うように、貫通孔を効果的に閉塞することができる。また、このシール構造は、壁面に設けた熱膨張性閉塞材を収容する金属製等の環状保持枠を有している。この管状保持枠は、取り付け部としてハトメ等の抜け防止手段によって壁面に固定されている。これにより、熱膨張性閉塞材を壁面に接した状態で固定している。
特開2011−122414号公報 特開2011−074969号公報
ところで、このようなシール構造では、設備の安全上の問題から耐火時間のさらなる向上が求められている。しかし、既設のシール構造を撤去して新たに耐火性の高いシール構造を施工することは費用や時間の面で難しい。そのため、既設のシール構造に対しては、耐火シール材が設けられている貫通孔を覆うように耐火部材を追加して設置することで耐火性を向上する案が考えられている。
しかしながら、このようなシール構造では、耐火部材を事後的に設置していることで、貫通孔を有する壁面に対してシール性を確保するよう密着させて耐火部材を固定することが困難である。そのため、火災が地震によって生じた場合には、地震の振動によって建屋だけでなく配設部材も大きく振動することで、火災が発生する前に耐火部材が固定された配設部材は壁面に対して相対移動してしまう。その結果、耐火部材と壁面との間が離間して、火災が発生する前に間隙を生じてしまう。これにより、耐火部材を超えて火炎が耐火シール材の設けられている貫通穴まで流入してしまい、追加した耐火部材を作用させることができず、耐火性を十分に確保できないという問題を有している。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、耐火部材と壁面と間に間隙が生じた場合に耐火性を確保することが可能なシール構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一の態様におけるシール構造は、壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞する耐火シール材と、前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに内側に前記軸線方向他方側から凹む凹部が形成された耐火部材と、前記凹部内に設けられ、熱によって膨張する第一熱膨張耐火材とを備え、前記配設部材と壁部とが軸線方向に相対移動することで形成される前記耐火部材と前記壁部との間隙を介して前記第一熱膨張耐火材に熱が伝搬することで、前記第一熱膨張耐火材が膨張する。
このような構成のシール構造によれば、地震等によって配設部材が壁部に対して相対移動し、配設部材に固定された耐火部材の軸線方向他方側と壁部との間に間隙が生じても、耐火部材の軸線方向他方側から凹む凹部に設けられた第一熱膨張耐火材によって間隙を閉塞することができる。具体的には、火炎が間隙を侵入して耐火シール材に影響を与える前に、火炎の熱によって耐火部材の凹部に設けられた第一熱膨張耐火材が膨張させることができる。これにより、第一熱膨張耐火材を間隙で膨張させることで確実に間隙を閉塞することができ、耐火部材と壁部との間に間隙が生じた場合に耐火性を確保することができる。
また、上記シール構造は、前記凹部に収まるように前記耐火シール材に密着して固定され、熱によって膨張する第二熱膨張耐火材を備えていてもよい。
このような構成のシール構造によれば、第二熱膨張耐火材を耐火シール材に密着するよう固定することで、耐火部材と壁部との間に生じた間隙に火炎が侵入した際に、第二熱膨張耐火材によって耐火シール材が火炎に直接曝されることを防ぐことができる。これにより、耐火シール材を直接火炎に曝すことなく、第一熱膨張耐火材及び第二熱膨張耐火材によって間隙を閉塞して、耐火部材と壁部との間に間隙が生じた場合に耐火性をより確実に確保することができる。
さらに、上記シール構造は、前記耐火シール材に密着して固定され、熱によって変形をしない耐熱部材を備えていてもよい。
このような構成のシール構造によれば、熱によって変形をしない耐熱部材が耐火シール材に密着して固定されていることで、第一熱膨張耐火材が膨張するまでの間、耐火シール材を直接火炎に曝されることを防止できる。これにより、耐火部材と壁部との間に間隙が生じた場合に第一熱膨張耐火材によって間隙を閉塞するまでの耐火性を向上することができる。
また、上記シール構造は、前記配設部材の外周面に固定される断熱材を備え、前記耐火部材は、前記断熱材を介して前記配設部材の外周面に固定されてもよい。
このような構成のシール構造によれば、配設部材の外周面に固定される断熱材を介して耐火部材を配設部材の外周面に固定することで、火災等が発生した際に配設部材を介して熱が伝わることを防止することができる。即ち、配設部材を介して第一熱膨張耐火材に熱が伝わることを断熱材によって防止できる。そのため、耐火部材と壁部との間隙に侵入した火炎の熱のみに第一熱膨張部材を反応させることができる。これにより、間隙に侵入した火炎に対した火炎等の熱によって、確実に第一熱膨張部材を膨張させることができるため、耐火部材と壁部との間に間隙が生じた場合に間隙を確実に閉塞することができる。
さらに、本発明の他の態様におけるシール構造は、壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞する耐火シール材と、前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに内側に空隙部が形成された耐火部材と、前記空隙部内に設けられ、熱によって膨張する第一熱膨張耐火材と、前記空隙部における前記軸線方向他方側の開口部からの前記第一熱膨張耐火材の脱落を抑制する脱落防止部と、を備え、前記配設部材と壁部とが軸線方向に相対移動することで形成される前記耐火部材と前記壁部との間隙を介して前記第一熱膨張耐火材に熱が伝搬することで、前記第一熱膨張耐火材が膨張する。
このような構成のシール構造によれば、地震等によって配設部材が壁部に対して相対移動し、配設部材に固定された耐火部材の軸線方向他方側と壁部との間に間隙が生じても、耐火部材の空隙部に設けられた第一熱膨張耐火材によって間隙を閉塞することができる。具体的には、火炎が間隙を侵入して耐火シール材に影響を与える前に、火炎の熱によって耐火部材の空隙部に設けられた第一熱膨張耐火材が膨張させることができる。さらに、第一熱膨張耐火材の脱落を抑制する脱落防止部を空隙部の開口に設けることで、間隙が生じたときに第一熱膨張耐火材が空隙部から飛び出して落下してしまうことを防止することができる。したがって、地震等によって配設部材が壁部に対して相対移動し、耐火部材の軸線方向他方側の面と壁部の表面との間に間隙が生じても、第一熱膨張耐火材を脱落させることなく、空隙部内に留まらせたまま間隙に向かって膨張させることができる。これにより、第一熱膨張耐火材を間隙で膨張させることで間隙を閉塞することができ、耐火部材と壁部との間に間隙が生じた場合に耐火性を高い精度で確保することができる。
また、上記シール構造では、前記脱落防止部が、前記耐火部材の前記軸線方向他方側に接して配置されて前記開口部まで貫通する支持孔部が形成され、前記第一熱膨張耐火材を前記軸線方向一方側に向かって支持する支持部材を有していてもよい。
このような構成のシール構造によれば、支持部材によって第一熱膨張耐火材を支持しながら、支持孔部によって開口部を閉塞せずに開放した状態を維持している。したがって、地震等によって配設部材が壁部に対して相対移動し、耐火部材と壁部との間に間隙が生じても、支持部材によって空隙部内に向かって支持しているため、第一熱膨張耐火材を脱落させることない。さらに、第一熱膨張耐火材に熱が伝搬して膨張した場合には、支持孔部が設けられていることで、第一熱膨張耐火材が間隙に向かって膨張することを阻害することがない。これらにより、耐火部材と壁部との間に間隙が生じた場合に、第一熱膨張耐火材を空隙部から落下させることなく、耐火性を高い精度で確保することが容易にできる。
さらに、上記シール構造では、前記脱落防止部が、前記空隙部が前記軸線方向他方側に向かうにしたがって縮径することで形成されることを含んでもよい。
このような構成のシール構造によれば、開口部を空隙部の軸線方向一方側の空間に対して狭くすることができる。そのため、地震等の振動によって軸線方向に振動した場合であっても、第一熱膨張耐火材の開口部から軸線方向他方側への移動を阻害でき、第一熱膨張耐火材を間隙に脱落させることない。さらに、第一熱膨張耐火材に熱が伝搬して膨張した場合には、開口部は狭くなっているだけで閉塞されているわけではないため、第一熱膨張耐火材が間隙に向かって膨張することを阻害することがない。これらにより、耐火部材と壁部との間に間隙が生じた場合に、第一熱膨張耐火材を空隙部から落下させることなく、耐火性を高い精度で確保することが容易にできる。
また、上記シール構造では、前記脱落防止部が、前記空隙部内で前記第一熱膨張耐火材に向かって径方向に突出して形成される突出部を有していてもよい。
このような構成のシール構造によれば、突出部は、第一熱膨張耐火材に食い込んで引っ掛かり、位置を固定することができる。そのため、地震等の振動によって軸線方向に振動した場合であっても、突出部が第一熱膨張耐火材に引っ掛かり軸線方向の移動を阻害でき、第一熱膨張耐火材を間隙に脱落させることない。さらに、第一熱膨張耐火材に熱が伝搬して膨張した場合には、開口部が開放されているため、第一熱膨張耐火材が間隙に向かって膨張することを阻害することがない。これらにより、耐火部材と壁部との間に間隙が生じた場合に、第一熱膨張耐火材を空隙部から落下させることなく、耐火性を高い精度で確保することが容易にできる。
さらに、上記シール構造では、前記脱落防止部は、前記開口部を閉塞する閉塞部を備え、前記閉塞部は、熱を受けることで、前記開口部を開放してもよい。
このような構成のシール構造によれば、熱を受けることで開口部を開放することで、第一熱膨張耐火材が膨張することを阻害することなく開口部を閉塞することができ、第一熱膨張耐火材が空隙部から飛び出すことを抑えることができる。
また、本発明の他の態様における原子炉建屋は、前記シール構造を備える。
さらに、本発明の他の態様における原子力発電プラントは、前記原子炉建屋を備える。
さらに、本発明の他の態様におけるシール構造の施工方法は、壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞するシール材と、前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに内側に前記軸線方向他方側から凹む凹部が形成された耐火部材と、前記凹部内に設けられ、熱によって膨張する第一熱膨張耐火材とを備えるシール構造の施工方法であって、前記耐火部材の凹部に前記第一熱膨張耐火材を径方向に複数積層して固定する熱膨張耐火材固定工程と、前記熱膨張耐火材固定工程の後に、前記耐火部材の径方向外側から周方向にわたってバンド部材を巻きつけて前記耐火部材を前記配設部材の外周面に固定する耐火部材固定工程と、を備える。
このような工程のシール構造の施工方法によれば、第一熱膨張耐火材を凹部に設けた耐火部材を配設部材に容易に設置することができる。
本発明のシール構造によれば、第一熱膨張部材を耐火部材の凹部に設けることで間隙を第一熱膨張耐火材によって閉塞し、耐火部材と壁面との間に間隙が生じた場合でも耐火性を確保することができる。
本発明の第一実施形態に係るシール構造を示す断面図である。 本発明の第一実施形態に係るシール構造が相対移動した状態を示す断面図である。 本発明の第一実施形態に係るシール構造の第一熱膨張耐火材が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るシール構造を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るシール構造が相対移動した状態を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るシール構造の第二熱膨張耐火材が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るシール構造の第一熱膨張耐火材が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第三実施形態に係るシール構造を示す断面図である。 本発明の第三実施形態に係るシール構造が相対移動した状態を示す断面図である。 本発明の第三実施形態に係るシール構造の第一熱膨張耐火材が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第四実施形態に係るシール構造を示す断面図である。 本発明の第四実施形態に係るシール構造の施工方法の熱膨張耐火材固定工程を示す斜視図である。 本発明の第四実施形態に係るシール構造の施工方法の耐火部材固定工程を示す斜視図である。 本発明の変形例に係るシール構造を示す断面図である。 本発明の第五実施形態におけるシール構造を示す断面図である。 本発明の第五実施形態における脱落防止部を示す斜視図である。 本発明の第五実施形態におけるシール構造が相対移動した状態を示す断面図である。 本発明の第五実施形態におけるシール構造の熱膨張耐火材が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第六実施形態におけるシール構造を示す断面図である。 本発明の第六実施形態におけるシール構造が相対移動した状態を示す断面図である。 本発明の第七実施形態におけるシール構造を示す断面図である。 本発明の第七実施形態における脱落防止部を示す断面図で、同図(a)は図21のA−A断面における断面図、同図(b)は図21のB−B断面における断面図である。 本発明の第七実施形態におけるシール構造が相対移動した状態を示す断面図である。 本発明の第八実施形態におけるシール構造を示す断面図である。 本発明の第八実施形態における脱落防止部を示す斜視図である。 本発明の第八実施形態におけるシール構造の熱膨張耐火材が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第八実施形態の第一変形例におけるシール構造を示す断面図である。 本発明の第八実施形態の第一変形例における脱落防止部を示す斜視図である。 本発明の第八実施形態の第二変形例におけるシール構造を示す断面図である。 本発明の第八実施形態の第二変形例における脱落防止部を示す斜視図である。
以下、本発明に係る第一実施形態について図1を参照して説明する。
図1に示すように、第一実施形態のシール構造1は、原子力発電プラントにおいて、原子炉やタービン設備等を収めた原子炉建屋等の壁を構成して孔部13を有する構造物である壁部10と、原子炉建屋等の壁の軸線O方向一方側から他方側に跨って孔部13に挿通されている配設部材2と、孔部13と配設部材2との間の空間を閉塞している耐火シール材3とを備えている。さらに、シール構造1は、孔部13内の耐火シール材3よりも軸線O方向一方側に配置されて軸線O方向他方側から凹む凹部(空隙部)51が形成された耐火部材5と、耐火部材5の凹部51に設けられる第一熱膨張耐火材6と、耐火部材5を径方向外側から配設部材2に固定するバンド部材7とを備えている。
ここで、本実施形態では、壁部10に対して耐火部材5が設けられている側であり、壁部10に対して火災が発生すると想定している側を軸線O方向一方側(図1紙面左側)とし、壁部10に対して耐火部材5が設けられていない側を軸線O方向他方側(図1紙面右側)とする。
壁部10には、軸線O方向一方側を向いて鉛直面に沿って延在する表面11と、軸線O方向他方側を向いて鉛直面に沿って延在する裏面12と、表面11から裏面12に向かって軸線Oを中心とする円形状をなして壁部10を貫通するよう形成された孔部13である貫通孔(孔部)13(以下、単に貫通孔13とする)とが形成されている。
配設部材2は、貫通孔13を軸線O方向一方側から軸線O方向他方側にわたって挿通するように軸線Oに沿って延びている。本実施形態では、配設部材2として、軸線Oを中心とする円筒状をなして延在する配管が設けられている。
耐火シール材3は、配設部材2の外周面と貫通孔13との内周面との間の空間に充填されて、貫通孔13の軸線O方向の一方側である壁部10の表面11側の開口を封止して、表面11側から貫通孔13の軸線O方向の中心部分まで充填されている。即ち、耐火シール材3は、配設部材2の外周面と貫通孔13の内周面とに接着され固定されており、配設部材2と貫通孔13との間の空間を閉塞している。
なお、本実施形態で用いられる耐火シール材3は、公知の建築用シール材等が用いられれば良い。
断熱材4は、配設部材2の外周面に周方向にわたって巻きつけられている第一断熱材41と、第一断熱材41を介して配設部材2の外周面に周方向にわたって巻きつけられている第二断熱材42とを有している。
第一断熱材41は、シート状をなしており、壁部10の表面11から軸線O方向一方側に向かって、配設部材2の外周面に周方向にわたって巻きつけられて固定されている。
第二断熱材42は、シート状をなしており、後述する耐火部材5よりも軸線O方向一方側で、第一断熱材41に重ねるように配設部材2の外周面に周方向にわたって巻きつけられて固定されている。
第一断熱材41及び第二断熱材42は、例えば、発泡ポリエチレン等の発泡プラスチック保温材のように、市販の配管を被覆する断熱材料や保温材料が好ましい。
耐火部材5は、壁部10における軸線O方向一方側である表面11で配設部材2の外周面に固定されて、壁部10の表面11及び耐火シール材3に密着するよう接する。そして、耐火部材5は、径方向内側に軸線O方向他方側から凹む凹部51が形成されている。耐火部材5は、軸線Oを中心に貫通する穴部が設けられて軸線O方向に沿って延在する円柱状をなしており、軸線Oを通過する面で分割可能とされている。耐火部材5には、軸線Oを中心として断面円形をなして軸線O方向他方側の面から凹む凹部51が形成されている。本実施形態で用いられる耐火部材5としては、配管に用いられる断熱布団が好ましく、例えば、外側がシリカクロスであるシルテックス(登録商標)を用いて、内部にアルミナシリカ系の原料を繊維化し積層したファインフレックス(登録商標)を詰めたもの等が挙げられる。
第一熱膨張耐火材6は、耐火部材5の凹部51内に設けられており、火炎の熱が伝搬することによって膨張する。本実施形態で用いられる第一熱膨張耐火材6は、粘土のようにパテ状をなしており、凹部51に詰められている。第一熱膨張耐火材6は、凹部51に一定量が均一に詰められていれば良く、隙間なく凹部51に詰められていてもよいが、必ず隙間なく凹部51に詰められている必要はない。本実施形態の第一熱膨張耐火材6は、図1に示すように、断面形状において凹部51の四隅に隙間が生じる程度の量が詰められている。本実施形態で用いられる第一熱膨張耐火材6としては、火炎のように200℃〜300℃以上の熱が伝搬することによって少なくとも倍以上に膨張する熱膨張性の耐火材料であり、例えば、ファイヤーシャットパテFSPやヒートメルサイレンス等が挙げられる。
バンド部材7は、分割されている耐火部材5を径方向外側から配設部材2に対して固定している。具体的には、バンド部材7は、帯状をなして長時間高温に曝されても変形しない材料であり、耐火部材5の外周面に周方向にわたって巻き付くことで耐火部材5を分離しないよう配設部材2の外周面に固定している。
次に、上記構成の第一実施形態のシール構造1の作用について説明する。
上記のような第一実施形態のシール構造1では、図1に示すように、配設部材2と貫通孔13との間の空間は、耐火シール材3が充填され隙間なく閉塞されている。そして、凹部51に第一熱膨張耐火材6を設けた耐火部材5は、壁部10の表面11と隙間なく密着するよう接して配置されている。耐火部材5は、バンド部材7が径方向外側に巻き付くことで配設部材2の外周面に固定されている。
しかし、図2に示すように、地震による火災が発生すると、地震の振動によって配設部材2が振動して壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線O方向他方側の面とが離間して間隙Gが形成される。
その後、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙Gが形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線O方向一方側で火災が発生し、火炎が間隙Gに侵入し始める。ここで、耐火部材5の凹部51が軸線O方向他方側から凹んでいるために、凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6は間隙Gに侵入した火炎に曝される。そのため、耐火部材5の凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6に間隙Gに侵入してきた火炎による熱が伝搬し、第一熱膨張耐火材6は膨張を開始する。
図3に示すように、膨張を開始した第一熱膨張耐火材6は、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、第一熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが閉塞され、耐火シール材3に火災や熱が到達して損傷するような影響を与えることが防止される。
上記のようなシール構造1によれば、地震等によって配設部材2が壁部10に対して相対移動し、配設部材2の外周面に固定された耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に間隙Gが生じても、耐火部材5の軸線O方向他方側から凹む凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6によって間隙Gを閉塞することができる。具体的には、火炎や熱が間隙Gに侵入して耐火シール材3に到達して損傷するような影響を与える前に、火炎の熱が伝搬することによって耐火部材5の凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6を膨張させることができる。これにより、第一熱膨張耐火材6を間隙Gで膨張させることで確実に間隙Gを閉塞することができ、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に耐火性を確保することができる。
また、配設部材2の外周面に固定される第一断熱材41を介して耐火部材5を配設部材2の外周面に固定することで、火災が発生した際に配設部材2を介して熱が伝わることを防止することができる。即ち、配設部材2を介して第一熱膨張耐火材6に熱が伝わることを断熱材4である第一断熱材41によって防止できる。そのため、耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に生じた間隙Gに侵入した火炎の熱のみに第一熱膨張耐火材6を反応させることができる。これにより、間隙Gに侵入した火炎の熱によって、確実に第一熱膨張耐火材6を膨張させることができるため、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に間隙Gを確実に閉塞することができる。
さらに、耐火部材5の軸線O方向一方側で第一断熱材41と第二断熱材42とを重ねて設けることで、軸線O方向一方側から配設部材2を介して熱が伝わることをより確実に防止することができる。これにより、間隙Gに侵入した火炎に対した火炎等の熱によって、第一熱膨張耐火材6を膨張させて間隙Gをより確実に閉塞させることができる。
次に、図4を参照して第二実施形態のシール構造1aについて説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第二実施形態のシール構造1aは、耐火シール材3に密着して固定される第二熱膨張耐火材8を有する点について、第一実施形態と相違する。
即ち、第二実施形態のシール構造1aは、図4に示すように、耐火部材5の凹部51に、第一熱膨張耐火材6と、耐火シール材3に密着して第一熱膨張耐火材6よりも軸線O方向他方側に配置される第二熱膨張耐火材8とを備えている。
第二熱膨張耐火材8は、軸線O方向と直交する断面形状が凹部51と同形状のリング形状で、シート状をなしており、凹部51に収まるように形成されている。第二熱膨張耐火材8は、耐火シール材3及び壁部10の表面11に密着するよう固定されている。即ち、耐火部材5が壁部10の表面11に接するよう配設部材2に固定されることで、第二熱膨張耐火材8は、耐火部材5によって覆われて凹部51に収まるように配置されている。そして、第二熱膨張耐火材8は、熱が伝搬することによって膨張する熱膨張性の耐火材料が用いられている。本実施形態で用いられる第二熱膨張耐火材8としては、市販の熱膨張シートが用いられれば良い。
なお、第二熱膨張耐火材8が、膨張する温度は特に定めるものではなく、例えば、第一熱膨張耐火材6と同等の温度で膨張するものでも良く、第一熱膨張耐火材6よりも高い温度や低い温度で膨張しても良い。
次に、上記構成の第二実施形態のシール構造1aの作用について説明する。
上記のような第二実施形態のシール構造1aでは、第一実施形態と同様に、地震による火災が発生すると、図5に示すように、地震の振動によって配設部材2が振動して壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線O方向他方側の面とが離間する。この際、第二熱膨張耐火材8は耐火シール材3及び壁部10の表面11に密着して固定されているため、第二熱膨張耐火材8のみが壁部10の表面11から離間しない。即ち、耐火部材5と第二熱膨張耐火材8との間に間隙Gが形成される。
その後、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙Gが形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線O方向一方側で火災が発生し、耐火部材5と第二熱膨張耐火材8との間の間隙Gに火炎や熱が侵入し始める。ここで、耐火シール材3に第二熱膨張耐火材8が密着して固定されていることで、侵入した火炎に耐火シール材3が直接曝されることなく、第一熱膨張耐火材6と第二熱膨張耐火材8とが火炎や熱に曝される。そして、第一熱膨張耐火材6が第二熱膨張耐火材8の何れか一方が膨張を開始する。本実施形態では、図6に示すように、間隙Gに侵入してきた火炎による熱が伝搬し、先に第二熱膨張耐火材8が膨張を開始している。膨張を開始した第二熱膨張耐火材8は、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進み、壁部10に固定された第二熱膨張耐火材8と耐火部材5との間隙Gを閉塞する。
そして、さらに火災が続くと、第二熱膨張耐火材8が燃え尽きて再び間隙Gが生じることで、耐火部材5の凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6にまで火炎による熱等が伝わる。そのため、図7に示すように、第一熱膨張耐火材6は膨張を開始し、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、第一熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが引き続き閉塞され、耐火シール材3に火災による火炎や熱が到達して損傷するような影響を与えることが防止される。
上記のようなシール構造1aによれば、第二熱膨張耐火材8を耐火シール材3に密着するよう固定することで、耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に生じた間隙Gに火炎が侵入した際に、第二熱膨張耐火材8によって耐火シール材3が火炎や熱に直接曝されることを防ぐことができる。これにより、耐火シール材3を直接火炎や熱に曝すことなく、第一熱膨張耐火材6及び第二熱膨張耐火材8によって間隙Gを閉塞して、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に耐火性をより確実に確保することができる。
また、第一熱膨張耐火材6よりも第二熱膨張耐火材8の膨張開始温度を低くすることで、第二熱膨張耐火材8をより早く膨張させることができる。そのため、耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間の間隙Gを第二熱膨張耐火材8によって閉塞することができる。そして、火災が続いて第二熱膨張耐火材8が燃えてしまっても第二熱膨張耐火材8によって再び間隙Gを塞ぐことができる。これにより、耐火シール材3を長時間にわたって直接火炎に曝すことなく、間隙Gを閉塞することができ、耐火性を長時間にわたって確保することができる。
次に、図8を参照して第三実施形態のシール構造1bについて説明する。
第三実施形態においては第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第三実施形態のシール構造1bは、耐火シール材3に密着して固定される耐熱部材9を有する点について、第一実施形態及び第二実施形態と相違する。
即ち、第三実施形態のシール構造1bは、図8に示すように、耐火部材5の凹部51に、耐火シール材3に密着して第一熱膨張耐火材6よりも軸線O方向他方側に配置される耐熱部材9を備えている。
耐熱部材9は、軸線O方向と直交する断面形状が凹部51と同形状の板状をなす熱によって変形をしない耐熱ボード材である。本実施形態で用いられる耐熱部材9としては少なくとも200℃以上の高温に数時間曝されても形状が変わらない耐熱性を有する材料構成されており、熱によって膨張等の変形をしない市販の耐熱ボードが用いられる。耐熱部材9は、耐火シール材3に密着して耐火シール材3の表面側の面をすべて覆うように固定されている。
次に、上記構成の第三実施形態のシール構造1bの作用について説明する。
上記のような第三実施形態のシール構造1bでは、第一実施形態と同様に、地震による火災が発生すると、図9に示すように、地震の振動によって配設部材2が振動して、壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線O方向他方側の面とが離間する。この際、耐熱部材9は耐火シール材3及び壁部10の表面11に密着して固定されているため、耐熱部材9のみは壁部10の表面11から離間しない。即ち、耐火部材5と耐熱部材9との間に空間が形成されるように間隙Gが形成される。
その後、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙Gが形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線O方向一方側で火災が発生すると、耐火部材5と耐熱部材9との間の間隙Gに火炎や熱が侵入し始める。ここで、耐火シール材3に耐熱部材9が密着して固定されていることで、侵入した火炎や熱は耐火シール材3に直接曝されずに、第一熱膨張耐火材6が火炎や熱に曝される。
そして、耐火部材5の凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6に火炎による熱等が伝わる。そのため、図10に示すように、第一熱膨張耐火材6は膨張を開始し、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、第一熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが引き続き閉塞され、耐火シール材3に火災による火炎や熱が到達することを防止される。
上記のようなシール構造1bによれば、熱によって変形をしない耐熱部材9が耐火シール材3に密着して固定されていることで、耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に間隙Gが生じ、火炎や熱が間隙Gに侵入しても第一熱膨張耐火材6が膨張するまでの間、耐火シール材3を直接火炎や熱に曝されることを防止できる。そのため、第一熱膨張耐火材6が膨張するまでに多少時間を有しても耐火シール材3が保護される。これにより、耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に間隙Gが生じた場合に第一熱膨張耐火材6によって間隙Gを閉塞するまでの耐火性を向上することができる。
次に、図11を参照して第四実施形態のシール構造1cについて説明する。
第四実施形態においては第一実施形態から第三実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第四実施形態から第三実施形態のシール構造1cは、第一熱膨張耐火材6の形状について、第一実施形態と相違する。
即ち、第四実施形態のシール構造1cは、図11に示すように、耐火部材5の凹部51に第一熱膨張耐火材6として短冊状をなす矩形第一熱膨張耐火材61が径方向に複数積層されて固定されている。
矩形第一熱膨張耐火材61は、短冊状をなしており第一熱膨張耐火材6と同様の材料から構成されている。矩形第一熱膨張耐火材61は、短冊状の長手方向を周方向に沿わせて、厚み方向が径方向を向くように凹部51の内周面に沿って配置されている。矩形第一熱膨張耐火材61は、径方向に五列、軸線O方向に三列にわたって耐火部材5の凹部51に積層されて敷き詰められている。
なお、矩形第一熱膨張耐火材61は、シート状をなす市販の熱膨張性の耐火材を用いても良い。
ここで、第四実施形態のシール構造1cの施工方法について説明する。
第四実施形態のシール構造1cの施工方法は、壁部10の孔部13を挿通する第一断熱材41が外周面に巻かれた配設部材2に対して、孔部13と配設部材2との間の空間が耐火シール材3によって閉塞されている既設のシール構造1cに対して施工される。
第四実施形態のシール構造1cの施工方法は、耐火部材5の凹部51に矩形第一熱膨張耐火材61を径方向に複数積層して固定する熱膨張耐火材固定工程S1と、耐火部材5の径方向外側から周方向にわたってバンド部材7を巻きつけて耐火部材5を配設部材2の外周面に固定する耐火部材固定工程S2とを備える。
熱膨張耐火材固定工程S1は、図12に示すように、凹部51が形成されて半円筒状をなす耐火部材5の凹部51内周面に沿って矩形第一熱膨張耐火材61を複数積層して敷き詰める。即ち、軸線Oを中心に貫通する穴部が設けられて軸線O方向に沿って延在する円柱状をなす耐火部材5は、二つに分割されており、軸線Oを中心として断面半円形をなして軸線O方向他方側の面から凹んで凹部51が形成されている。そこで、この分割された耐火部材5の凹部51の内周面に沿うように矩形第一熱膨張耐火材61を貼り付けている。熱膨張耐火材固定工程S1は、矩形第一熱膨張耐火材61を凹部51の内周面から径方向内側に向かって五層、軸線O方向に沿って三層にわたって順次複数積層して固定し、凹部51に敷き詰めている。
耐火部材固定工程S2は、図13に示すように、熱膨張耐火材固定工程S1の後に、矩形第一熱膨張耐火材61が凹部51に敷き詰められた耐火部材5をバンド部材7によって配設部材2に固定する。具体的には、矩形第一熱膨張耐火材61が固定された耐火部材5を、分割された側である耐火部材5の孔部13側が軸線Oを向き、配設部材2を中心として凹部51が壁部10の表面11である軸線O方向他方側を向くように配置する。そして、耐火部材5の凹部51が設けられている側の面が壁部10の表面11に接する位置で、分割された二つの耐火部材5を合わせて耐火部材5の径方向外側から周方向にわたってバンド部材7を巻きつける。そして、バンド部材7の両端を貼り合せることで耐火部材5を配設部材2の外周面に固定する。
上記のような第四実施形態のシール構造1cでは、第一熱膨張耐火材6として矩形第一熱膨張耐火材61を用いることで、分割された耐火部材5の凹部51に小さな矩形第一熱膨張耐火材61を貼り付けていくことで、第一熱膨張耐火材6を敷き詰めることができる。そして、矩形第一熱膨張耐火材61は熱によって数倍に膨張するため、積層される矩形第一熱膨張耐火材61同士を隙間なく敷き詰める必要もなく、容易に敷き詰めることできる。これにより、第一熱膨張耐火材6を凹部51に設けた耐火部材5を配設部材2に容易に設置することができる。
なお、本発明は上記第一実施形態から第四実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記第一実施形態から第四実施形態の変形例として配設部材2に断熱材4を固定せずに直接耐火部材5を固定する構造が挙げられる。
即ち、変形例のシール構造1dは、図14に示すように、配設部材2に断熱材4が巻き付けられていない。そして、配設部材2の外周面に耐火部材5が直接固定されている。耐火部材5に形成される凹部51は、第一実施形態の凹部51と異なる変形凹部510が形成されている。
変形凹部510は、凹部51と異なり、軸線O方向他方側の面から軸線Oを中心とするリング状をなして凹んでいる。即ち、変形凹部510は、耐火部材5の径方向外側及び内側の両方に耐火部材5が残るように形成されている。
このような構造とすることで、断熱材4が巻き付かれていない配設部材2に第一熱膨張耐火材6を設けた耐火部材5を設置しても、配設部材2から伝わる熱によって第一熱膨張耐火材6が誤って膨張することを防止できる。これにより、間隙Gを介して侵入する火炎の熱のみによって第一熱膨張耐火材6を反応させることができ、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に確実に間隙Gを閉塞して耐火性を確保することができる。
次に、図15を参照して第五実施形態のシール構造1eについて説明する。
第四実施形態においては第一実施形態から第四実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第四実施形態のシール構造1eは、第一熱膨張耐火材6の脱落を抑制する脱落防止部20を有する点について、第一実施形態から第四実施形態と相違する。
即ち、第四実施形態のシール構造1eは、凹部(空隙部)51における軸線O方向他方側の開口部51aからの第一熱膨張耐火材6の脱落を抑制する脱落防止部20を備えている。
脱落防止部20は、耐火部材5の軸線O方向他方側に接して凹部51の開口部51aを覆うように配置される。脱落防止部20は、開口部51aにおいて第一熱膨張耐火材6を軸線O方向一方側に向かって支持する支持部材21を有する。
支持部材21は、図16に示すように、開口部51aを複数に分割するよう網形状を有している。支持部材21は、網形状によって開口部51aまで貫通する小さな開口が支持孔部213cとして複数形成されている。具体的には、支持部材21は、耐火部材5に固定される外周環状部211と、外周環状部211の内側に配置される内周環状部212と、外周環状部211と内周環状部212との間に配置される網部213とを有している。
外周環状部211は、耐火部材5の軸線O方向他方側に接して固定され、軸線Oを中心とするリング形状をなしている。本実施形態における外周環状部211は、耐火部材5の軸線O方向他方側と壁部10の表面11に挟まれる位置に配置されている。外周環状部211は、内周が凹部51の開口部51aよりも径方向に大きくなるようなリング形状をなしている。即ち、外周環状部211は、開口部51aを閉塞しないように、開口部51aよりも径方向外側に配置されている。
内周環状部212は、配設部材2の外周面に接して配置され、軸線Oを中心とするリング形状をなしている。本実施形態における内周環状部212は、第一断熱材41の軸線O方向他方側と壁部10の表面11に挟まれる位置に配置されている。内周環状部212は、外周が凹部51の開口部51aよりも径方向に小さくなるようなリング形状をなしている。即ち、内周環状部212は、開口部51aを閉塞しないように、開口部51aよりも径方向内側に配置されている。
網部213は、凹部51の開口部51aを軸線O方向他方側から覆うように外周環状部211と内周環状部212との径方向の間に網形状に形成されている。網部213は、ワイヤーによって形成されている。網部213は、同心円状に配置される複数の横糸部213aと、内周環状部212から外周環状部211に向かって放射状に配置される複数の縦糸部213bとを有している。網部213は、複数の横糸部213aと縦糸部213bとによって、開口部51aまで貫通する支持孔部213cを形成する網形状を構成している。
横糸部213aは、軸線Oを中心として円形状に複数形成される。本実施形態における横糸部213aは、内周環状部212の外周と外周環状部211の内周との間で、径方向に等間隔に離間して配置される。具体的には、横糸部213aは、同心円状に軸線Oを中心に二段にわたって形成されている。ここで、内周環状部212側である内側の横糸部213aを第一横糸部、外周環状部211側である外側の横糸部213aを第二横糸部とする。即ち、横糸部213aは、内周環状部212の外周と第一横糸部との間に第一層目の空間を形成し、第一横糸部と第二横糸部との間に第二層目の空間を形成し、第二横糸部と外周環状部211の内周と間に第三層目の空間を形成している。
縦糸部213bは、軸線Oを中心として放射状に複数配置される。本実施形態における縦糸部213bは、内周環状部212の外周と第一横糸部との間の第一層目の空間や、第一横糸部と第二横糸部との間の第二層目の空間や、第二横糸部と外周環状部211の内周と間の第三層目の空間に、周方向に等間隔に離間して配置される。縦糸部213bは、径方向に隣接する異なる層の空間ごとに、縦糸部213bが重ならないよう周方向に互い違いに配置されている。例えば、本実施形態では、第一層目の空間に配置される縦糸部213bは、第二層目の空間に配置される縦糸部213bに対して周方向にずれて配置される。そして、第三層目の空間に配置される縦糸部213bは、第二層目の空間に配置される縦糸部213bに対して周方向にずれて配置されつつ、第一層目の空間に配置される縦糸部213bに対しては周方向の同じ位置に配置される。
次に、上記構成の第五実施形態のシール構造1eの作用について説明する。
上記のような第五実施形態のシール構造1eでは、図15に示すように、配設部材2と貫通孔13との間の空間は、耐火シール材3が充填され隙間なく閉塞されている。そして、凹部51に第一熱膨張耐火材6を設けた耐火部材5は、壁部10の表面11と隙間なく密着するよう接して配置されている。耐火部材5は、バンド部材7が径方向外側に巻き付くことで配設部材2の外周面に固定されている。
しかし、図17に示すように、地震による火災が発生すると、地震の振動によって配設部材2が振動して壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線O方向他方側の面とが離間して間隙Gが形成される。ここで、脱落防止部20である支持部材21は、軸線O方向の振動が生じても、耐火部材5の凹部51に詰められた第一熱膨張耐火材6を間隙Gに向かって飛び出さないよう凹部51内である軸線O方向他方側に向かって網部213によって支持する。
その後、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙Gが形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線O方向一方側で火災が発生し、火炎が間隙Gに侵入し始める。ここで、耐火部材5の凹部51が軸線O方向他方側から凹んでいるために、凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6は間隙Gに侵入した火炎に曝される。そのため、耐火部材5の凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6に間隙Gに侵入してきた火炎による熱が伝搬し、第一熱膨張耐火材6は膨張を開始する。
図18に示すように、膨張を開始した第一熱膨張耐火材6は、支持部材21の網部213によって形成されている支持孔部213cから間隙Gに飛び出す。間隙Gに飛び出した第一熱膨張耐火材6は、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、第一熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが閉塞され、耐火シール材3に火災や熱が到達して損傷するような影響を与えることが防止される。
従来、第一熱膨張耐火材6を耐火部材5の凹部51に配置している場合、耐火部材5と壁部10の表面11との間が離間して間隙Gを生じてしまうと、間隙Gから第一熱膨張耐火材6の一部が落下してしまい、耐火性を十分に確保できないおそれがある。
一方、上記のようなシール構造1eによれば、地震等によって配設部材2が壁部10に対して相対移動し、配設部材2の外周面に固定された耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に間隙Gが生じても、耐火部材5の軸線O方向他方側から凹む凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6によって間隙Gを閉塞することができる。具体的には、火炎や熱が間隙Gに侵入して耐火シール材3に到達して損傷するような影響を与える前に、火炎の熱が伝搬することによって耐火部材5の凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6を膨張させることができる。さらに、第一熱膨張耐火材6の脱落を抑制する脱落防止部20を耐火部材5の凹部51の開口部51aに設けることで、間隙Gが生じたときに第一熱膨張耐火材6が凹部51から飛び出して落下してしまうことを防止することができる。したがって、地震等によって配設部材2が壁部10に対して相対移動し、耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に間隙Gが生じても、第一熱膨張耐火材6を脱落させることなく、凹部51内に留まらせたまま間隙Gに向かって膨張させることができる。これにより、第一熱膨張耐火材6を間隙Gで膨張させることで間隙Gを閉塞することができ、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に耐火性を高い精度で確保することができる。
また、脱落防止部20が支持部材21であることで、網部213によって第一熱膨張耐火材6を支持している。即ち、凹部51の開口部51aを網部213で覆って横糸部213aと縦糸部213bとによって第一熱膨張耐火材6を支持している。そして、横糸部213aと縦糸部213bとによって形成される支持孔部213cによって開口部51aを閉塞せずに開放した状態を維持している。したがって、地震等によって配設部材2が壁部10に対して相対移動し、耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に間隙Gが生じても、網部213の横糸部213aと縦糸部213bとによって凹部51内に向かって支持しているため、第一熱膨張耐火材6を脱落させることない。さらに、第一熱膨張耐火材6に熱が伝搬して膨張した場合には、支持孔部213cが設けられていることで、第一熱膨張耐火材6が間隙Gに向かって膨張することを阻害することがない。これらにより、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に、第一熱膨張耐火材6を凹部51から落下させることなく、耐火性を高い精度で確保することが容易にできる。
さらに、配設部材2の外周面に固定される第一断熱材41を介して耐火部材5を配設部材2の外周面に固定することで、火災が発生した際に配設部材2を介して熱が伝わることを防止することができる。即ち、配設部材2を介して第一熱膨張耐火材6に熱が伝わることを断熱材4である第一断熱材41によって防止できる。そのため、耐火部材5の軸線O方向他方側の面と壁部10の表面11との間に生じた間隙Gに侵入した火炎の熱のみに第一熱膨張耐火材6を反応させることができる。これにより、間隙Gに侵入した火炎の熱によって、高い精度で第一熱膨張耐火材6を膨張させることができるため、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に間隙Gをより高い精度で閉塞することができる。
また、耐火部材5の軸線O方向一方側で第一断熱材41と第二断熱材42とを重ねて設けることで、軸線O方向一方側から配設部材2を介して熱が伝わることをより確実に防止することができる。これにより、間隙Gに侵入した火炎に対した火炎等の熱によって、第一熱膨張耐火材6を膨張させて間隙Gをより一層高い精度で閉塞させることができる。
なお、支持部材21は、本実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、単純に平板形状をなす部材に開口部51aまで貫通する支持孔部213cが形成された構造としてもよい。即ち、支持部材21は、凹部51の開口部51aを完全に閉塞せずに、内部に詰められた第一熱膨張耐火材6を軸線O方向一方側に向かって支持することができれば良い。
次に、図19及び図20を参照して第六実施形態のシール構造1fについて説明する。
第六実施形態においては第一実施形態から第五実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第六実施形態のシール構造1fは、脱落防止部20の構成について、第一実施形態から第五実施形態と相違する。
即ち、第六実施形態のシール構造1fは、図19に示すように、脱落防止部20として、耐火部材5の凹部51の内周面に、軸線O方向他方側に向かうにしたがって縮径する縮径部22が形成されている。
縮径部22は、凹部51の内周面に形成され、軸線O方向他方側に向かって開口部51aを狭めるように縮径している。本実施形態における縮径部22は、凹部51と一体に形成されている。具体的には、縮径部22は、第一実施形態における凹部51の内周面が、軸線O方向一方側の底面から軸線O方向他方側の開口部51aに向かって徐々に内側にせり出して、凹部51を縮径している。即ち、縮径部22は、耐火部材5の凹部51の開口部51aを軸線O方向他方側の底部に比べて狭くするよう形成されている。
次に、上記構成の第六実施形態のシール構造1fの作用について説明する。
上記のような第六実施形態のシール構造1fでは、図20に示すように、第五実施形態と同様に、地震による火災が発生すると、地震の振動によって配設部材2が振動して壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線O方向他方側の面とが離間して間隙Gが形成される。ここで、脱落防止部20として凹部51に形成される縮径部22によって、凹部51の形状は、開口部51aに向かうにしたがって縮径している。そのため、凹部51に詰められている第一熱膨張耐火材6は、軸線O方向の振動が生じても、開口部51aで軸線O方向他方側への移動が抑制されて間隙Gへ飛び出さない。
その後、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙Gが形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線O方向一方側で火災が発生し、火炎が間隙Gに侵入し始める。ここで、耐火部材5の凹部51が軸線O方向他方側から凹んでいるために、凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6は間隙Gに侵入した火炎に曝される。そのため、耐火部材5の凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6に間隙Gに侵入してきた火炎による熱が伝搬し、第一熱膨張耐火材6は膨張を開始する。
膨張を開始した第一熱膨張耐火材6は、縮径部22によって狭められた開口部51aから間隙Gに飛び出す。間隙Gに飛び出した第一熱膨張耐火材6は、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、第一熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが閉塞され、耐火シール材3に火災や熱が到達して損傷するような影響を与えることが防止される。
上記のようなシール構造1fによれば、脱落防止部20として凹部51に軸線O方向他方側に向かうにしたがって縮径する縮径部22を形成することで、開口部51aを凹部51の軸線O方向一方側の空間に対して狭くすることができる。そのため、地震等の振動によって軸線O方向に振動した場合であっても、開口部51aが狭められていることで、第一熱膨張耐火材6の開口部51aから軸線O方向他方側への移動を阻害でき、第一熱膨張耐火材6を間隙Gに脱落させることない。さらに、第一熱膨張耐火材6に熱が伝搬して膨張した場合には、開口部51aは狭くなっているだけで閉塞されているわけではないため、第一熱膨張耐火材6が間隙Gに向かって膨張することを阻害することがない。これらにより、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に、第一熱膨張耐火材6を凹部51から落下させることなく、耐火性を高い精度で確保することが容易にできる。
なお、縮径部22は、本実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、周方向に複数離間して凹部51の内周面から突出して形成されるリブ形状としてもよい。
次に、図21から図23を参照して第七実施形態のシール構造1gについて説明する。
第七実施形態においては第一実施形態から第六実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第七実施形態のシール構造1gは、脱落防止部20の構成について、第一実施形態から第六実施形態と相違する。
即ち、第七実施形態のシール構造1gは、図21に示すように、脱落防止部20として、第一熱膨張耐火材6の位置を凹部51内で固定する位置固定部23を有している。
位置固定部23は、凹部51に詰められた第一熱膨張耐火材6が凹部51から移動しないように位置を固定している。位置固定部23は、耐火部材5の内部に固定される円板部231と、円板部231から軸線O方向他方側に向かって突出する第一円筒部232とを有している。また、位置固定部23は、第一円筒部232よりも径方向の外側で円板部231から軸線O方向他方側に向かって突出する第二円筒部233と、第二円筒部233よりも径方向の外側で円板部231から軸線O方向他方側に向かって突出する第三円筒部234と、第三円筒部234よりも径方向の外側で円板部231から軸線O方向他方側に向かって突出する第四円筒部235と、を有している。また、位置固定部23は、第一円筒部232、第二円筒部233、第三円筒部234にそれぞれ設けられる突出部236を有している。
円板部231は、位置固定部23を耐火部材5に対して固定している。円板部231は、軸線Oを中心とした円板形状をなしており、耐火部材5と同様に、軸線Oを中心に貫通する穴部が形成されている。円板部231は、耐火部材5の内部に突出することなく埋め込まれるように配置されている。
第一円筒部232は、円板部231の軸線O方向他方側の面から、軸線Oを中心とする円筒形状をなして突出している。第一円筒部232は、内周面が第一断熱材41の外周面に接する位置に配置されている。即ち、第一円筒部232は、外周面の一部が凹部51内に位置するように配置されている。
第二円筒部233は、円板部231の軸線O方向他方側の面から、第一円筒部232よりも径の大きい軸線Oを中心とする円筒形状をなして突出している。第二円筒部233は、第一断熱材41の外周面と凹部51の内周面との径方向の中間の位置に配置されている。即ち、第二円筒部233は、一部が凹部51内に位置するように配置されている。
第三円筒部234は、円板部231の軸線O方向他方側の面から、第二円筒部233よりも径の大きい軸線Oを中心とする円筒形状をなして突出している。第三円筒部234は、外周面が凹部51の内周面に接する位置に配置されている。即ち、第三円筒部234は、内周面の一部が凹部51内に位置するように配置されている。
第四円筒部235は、円板部231の軸線O方向他方側の面から、第三円筒部234よりも径の大きい軸線Oを中心とする円筒形状をなして突出している。第四円筒部235は、耐火部材5から突出することなく埋め込まれるように配置されている。
突出部236は、凹部51内で第一熱膨張耐火材6に向かって径方向に突出して形成される。突出部236は、第二円筒部233や第三円筒部234の内周面に形成される第一突出部236aと、第一円筒部232や第二円筒部233の外周面に形成される第二突出部236bとを有している。
第一突出部236aは、図22(a)に示すように、断面矩形状をなして第二円筒部233や第三円筒部234の内周面から突出して複数形成されている。具体的には、第一突出部236aは、第二円筒部233や第三円筒部234の内周面上に、軸線O方向及び周方向に離間して複数配置されている。第一突出部236aは、矩形状をなす断面の長辺が軸線Oに対して傾斜して配置されている。
第二突出部236bは、図22(b)に示すように、断面矩形状をなして第一円筒部232や第二円筒部233の外周面から突出して複数形成されている。具体的には、第二突出部236bは、第一円筒部232や第二円筒部233の外周面上に、軸線O方向及び周方向に離間して複数配置されている。第二突出部236bは、第一突出部236aと平行に、矩形状をなす断面の長辺が軸線Oに対して傾斜して配置されている。
次に、上記構成の第七実施形態のシール構造1gの作用について説明する。
上記のような第七実施形態のシール構造1gでは、耐火部材5の凹部51に設けられる第一熱膨張耐火材6は、凹部51内に位置固定部23の第一円筒部232と、第二円筒部233と第三円筒部234とが突出していることで、第一円筒部232の外周面と第二円筒部233の内周面との間の空間、及び第二円筒部233の外周面と第三円筒部234の内周面との間の空間に詰められている。
そして、第五実施形態と同様に、図23に示すように、地震による火災が発生すると、地震の振動によって配設部材2が振動して壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線O方向他方側の面とが離間して間隙Gが形成される。ここで、脱落防止部20として位置固定部23が設けられていることで、凹部51に詰められている第一熱膨張耐火材6は、軸線O方向の振動が生じても、第一突出部236aと第二突出部236bとが食い込んで引っ掛かっているために、凹部51内での移動が抑制される。そのため、第一熱膨張耐火材6は、凹部51から間隙Gへ飛び出さない。
その後、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙Gが形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線O方向一方側で火災が発生し、火炎が間隙Gに侵入し始める。ここで、耐火部材5の凹部51が軸線O方向他方側から凹んでいるために、凹部51に設けられた位置固定部23の間に埋め込まれた第一熱膨張耐火材6は間隙Gに侵入した火炎に曝される。そのため、耐火部材5の凹部51に設けられた第一熱膨張耐火材6に間隙Gに侵入してきた火炎による熱が伝搬し、第一熱膨張耐火材6は膨張を開始する。
膨張を開始した第一熱膨張耐火材6は、第一円筒部232の外周面と第二円筒部233の内周面との間の空間、及び第二円筒部233の外周面と第三円筒部234の内周面との間の空間から間隙Gに飛び出す。間隙Gに飛び出した第一熱膨張耐火材6は、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、第一熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが閉塞され、耐火シール材3に火災や熱が到達して損傷するような影響を与えることが防止される。
上記のようなシール構造1gによれば、脱落防止部20として位置固定部23の突出部236が第一熱膨張耐火材6に向かって径方向に凹部51内で突出していることで、突出部236は、第一熱膨張耐火材6に食い込んで引っ掛かり、位置を固定することができる。具体的には、凹部51内の第一円筒部232の外周面と第二円筒部233の内周面との間の空間では、第二円筒部233の内周面に設けられた第一突出部236aと、第一円筒部232の外周面に設けられた第二突出部236bが、第一熱膨張耐火材6に食い込んでいる。同様に、凹部51内の第二円筒部233の外周面と第三円筒部234の内周面との間の空間でも、第三円筒部234の内周面に設けられた第一突出部236aと、第二円筒部233の外周面に設けられた第二突出部236bが、第一熱膨張耐火材6に食い込んでいる。そのため、地震等の振動によって軸線O方向に振動した場合であっても、第一突出部236aと第二突出部236bとが第一熱膨張耐火材6に引っ掛かり軸線O方向の移動を阻害でき、第一熱膨張耐火材6を間隙Gに脱落させることない。さらに、第一熱膨張耐火材6に熱が伝搬して膨張した場合には、開口部51aが開放されているため、第一熱膨張耐火材6が間隙Gに向かって膨張することを阻害することがない。これらにより、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に、第一熱膨張耐火材6を凹部51から落下させることなく、耐火性を高い精度で確保することが容易にできる。
また、第一突出部236aと第二突出部236bとは軸線Oに対して傾いて配置されているため、軸線Oと平行に配置されている場合よりも、第一熱膨張耐火材6が軸線O方向に移動した場合に第一熱膨張耐火材6に与える抵抗が大きくなる。一方、第一突出部236aと第二突出部236bとに沿って軸線Oに対して傾いて移動する場合には、軸線O方向に移動する場合に比べて、抵抗が小さくなる。そのため、間隙Gが形成される場合のように、地震等の振動によって配設部材2が軸線O方向に振動しても、凹部51内の第一熱膨張耐火材6の移動を阻害することができる。そして、火災が発生して第一熱膨張耐火材6が膨張する場合には、軸線Oに対して傾いた方向に第一熱膨張耐火材6を膨張させることができ、膨張することを妨げることがない。これにより、第一熱膨張耐火材6を間隙Gで膨張させることで間隙Gを閉塞することができ、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に耐火性をより一層高い精度で確保することができる。
なお、突出部236は、本実施形態のように、軸線Oに対して傾いて複数配置されることに限定されるものではない。例えば、突出部236は、ピン形状をなして突出させてもよく、周方向にわたってフランジ状に一つ突出させてもよい。
次に、図24から図26を参照して第八実施形態のシール構造1hについて説明する。
第八実施形態においては第一実施形態から第七実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第八実施形態のシール構造1hは、脱落防止部20の構成について、第一実施形態から第七実施形態と相違する。
即ち、第八実施形態のシール構造1hは、図24に示すように、脱落防止部20として、耐火部材5の凹部51の開口部51aを閉塞する閉塞部24を有している。
閉塞部24は、図25に示すように、耐火部材5の軸線O方向他方側に接して凹部51を耐火部材5ごと覆うように配置される。閉塞部24は、凹部51に収容された第一熱膨張耐火材6が開口部51aから出てこないように開口部51aを閉塞している。閉塞部24は、熱を受けて燃えて焼失する材料で構成されている。具体的には、本実施形態の閉塞部24は、半円形状のシート材である閉塞部本体24aと、閉塞部本体24aの中心を半円形状に切り欠いて形成される半円切り欠き部24bと、閉塞部本体24aの外周側の90°離れた位置を矩形状に切り欠いて形成される矩形切り欠き部24cとを有する。
本実施形態では、閉塞部24は、二枚の閉塞部本体24aを利用して開口部51aを隙間なく閉塞している。より具体的には、閉塞部24は、二枚の閉塞部本体24aを耐火部材5の軸線O方向他方側で、配設部材2を介して半円切り欠き部24bを対向させるように配置している。閉塞部24は、二枚の閉塞部本体24aが重ならないように並べた状態で、軸線O方向他方側からステープラー25を打ち、複数箇所で接続されている。そして、閉塞部24は、閉塞部本体24aの矩形切り欠き部24cが形成された外周側を軸線O方向一方側に耐火部材5の外周面に対して折り返し、折り返した部分に径方向に向かってステープラー25が打たれていることによって耐火部材5に固定されている。即ち、二枚の閉塞部本体24aは、軸線O方向から見た形状が配設部材2を挿通させる孔が形成されたリング状となるように耐火部材5に対して固定されている。
次に、上記構成の第八実施形態のシール構造1hの作用について説明する。
上記のような第八実施形態のシール構造1hでは、耐火部材5の凹部51に設けられる第一熱膨張耐火材6は、閉塞部24によって開口部51aが閉塞された状態で凹部51内に収容されている。
そして、第五実施形態と同様に、地震による火災が発生すると、地震の振動によって配設部材2が振動して壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線O方向他方側の面とが離間して間隙Gが形成される。ここで、凹部51に詰められている第一熱膨張耐火材6は、軸線O方向の振動が生じても、脱落防止部20として閉塞部24が設けられていることで開口部51aが閉塞されているために、凹部51から間隙Gへ飛び出さない。
その後、図26に示すように、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙Gが形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線O方向一方側で火災が発生し、火炎が間隙Gに侵入し始める。そのため、開口部51aを閉塞している閉塞部24は、火炎に曝され、熱を受けて燃える。その結果、閉塞部24は焼失し、凹部51の開口部51aが開放される。閉塞部24が熱を受けて焼失すると同時に、凹部51に収容されている第一熱膨張耐火材6も間隙Gに侵入した火炎の熱を受ける。そのため、火炎による熱が第一熱膨張耐火材6に伝搬し、第一熱膨張耐火材6は膨張を開始する。閉塞部24が焼失して開口部51aが開放されていることで、第一熱膨張耐火材6はその膨張を妨げられることなく、間隙Gに飛び出す。間隙Gに飛び出した第一熱膨張耐火材6は、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、第一熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが閉塞され、耐火シール材3に火災や熱が到達して損傷するような影響を与えることが防止される。
上記のようなシール構造1hによれば、脱落防止部20として閉塞部24を用いることで、凹部51の開口部51aを隙間なく閉塞することができ、第一熱膨張耐火材6が凹部51から飛び出すことを抑えることができる。具体的には、地震等によって間隙Gが生じた状態で軸線O方向に振動した場合であっても、閉塞部24が凹部51の開口部51aを閉塞しているため、第一熱膨張耐火材6が開口部51aよりも軸線O方向側に移動することを阻害でき、第一熱膨張耐火材6を間隙Gに脱落させることない。さらに、第一熱膨張耐火材6に熱が伝搬して膨張した場合には、閉塞部24にも熱が伝搬しているため、閉塞部24が焼失しており、開口部51aが開放されている。そのため、閉塞部24は、第一熱膨張耐火材6が間隙Gに向かって膨張することを阻害することがない。これらにより、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に、第一熱膨張耐火材6を凹部51から落下させることなく、耐火性を高い精度で確保することが容易にできる。
次に、図27及び図28を参照して第八実施形態の第一変形例について説明する。
第八実施形態の第一変形例においては第一実施形態から第八実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第八実施形態の第一変形例は、閉塞部24を耐火部材5へ固定する構造について第八実施形態と相違する。
第八実施形態の第一変形例のシール構造1iでは、閉塞部241の形状が、第八実施形態の閉塞部24の形状が異なっている。具体的には、閉塞部241は、矩形切り欠き部24cが形成されておらず、半円形状のシート材である閉塞部本体241aと、閉塞部本体241aの中心を半円形状に切り欠いて形成される半円切り欠き部241bとを有している。
また、第八実施形態の第一変形例の耐火部材5には、外周面に環状の閉塞固定部52が形成されている。
閉塞固定部52は、耐火部材5の外周面において軸線O方向他方側からリング状なして一体に形成されている。
そして、第八実施形態の第一変形例の閉塞部241では、二枚の閉塞部本体241aが重ならないように配設部材2を介して半円切り欠き部241bを対向させて並べた状態で、軸線O方向他方側から打たれたステープラー25のみによって固定されている。具体的には、閉塞部241は、第八実施形態と同様に、二枚の閉塞部本体241aを互いにステープラー25によって複数箇所で接続した後に、閉塞固定部52に対して軸線O方向他方側から周方向にステープラー25が複数打つことで、耐火部材5に対して固定されている。
次に、図29及び図30を参照して第八実施形態の第二変形例について説明する。
第八実施形態の第二変形例においては第一実施形態から第八実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第八実施形態の第二変形例は、閉塞部24を耐火部材5へ固定する構造について第八実施形態及び第八実施形態の第一変形例とも相違する。
第八実施形態の第二変形例のシール構造1jでは、閉塞部242が、第八実施形態の第一変形例の閉塞部241と同じ二枚の閉塞部本体241aを有している。そして、第八実施形態の第二変形例の閉塞部242では、二枚の閉塞部本体241aがステープラー25によって接続された状態で不燃性バンド26によって固定されている。
不燃性バンド26は、熱を受けても変形等をしない材料で形成されている。不燃性バンド26は、紐状をなしており、両端に孔が形成されている。
具体的には、第八実施形態の第二変形例の閉塞部242では、二枚の閉塞部本体241aが、複数の不燃性バンド26によって耐火部材5に固定されている。より具体的には、耐火部材5の径方向の内側と第一断熱材41との間で、不燃性バンド26は、一端側の孔がピンやボタン等の固定部材27が挿通された状態で固定される。そして、不燃性バンド26は、軸線O方向他方側から閉塞部242に対して巻き付けられ、他端側の孔に固定部材27を挿通させて、耐火部材5の径方向の外側の外周面に対して固定される。
なお、第八実施形態、第八実施形態の第一変形例及び第二変形例の閉塞部24、241、242は、二枚の閉塞部本体24a、241aを貼り合せることに限定されるものではなく、開口部51aを閉塞していればよい。例えば、90°回転させて、互いに重なるように四枚の閉塞部本体24a、241aを貼り合せて固定してもよい。このように、閉塞部本体24a、241aを軸線O方向に重ねて貼り合せることで閉塞部24、241、242の強度を向上させることができる。
また、閉塞部24、241、242は、熱を受けて燃える材料に限定されるものではなく、熱を受けた際に、第一熱膨張耐火材6が膨張することを妨げなければよい。例えば、閉塞部24、241、242は、高膨張率の熱膨張材で構成されており、熱を受けることで、延びるように膨張して強度がなくなって第一熱膨張耐火材6の膨張を阻害しない構成としてもよい。
さらに、閉塞部24、241、242の固定方法は、第八実施形態、第八実施形態の第一変形例及び第二変形例に限定されるものでなく、開口部51aを閉塞することができればよい。例えば、エポキシや弾性接着材によって閉塞部本体24a、241aを耐火部材5に貼り合せて固定してもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、本実施形態では、原子炉建屋の壁部10にシール構造1からシール構造1jを形成したが、これに限られるものではなく、原子炉建屋の床部や天井部にシール構造1からシール構造1jを設けても良い。
また、本実施形態では、孔部13を壁面に設けられた貫通孔13としたがこれに限られるものではなく、原子炉建屋の壁部10等の構造物の表面11から窪んで形成される空間であっても良い。
さらに、孔部13である貫通孔13の軸線Oに直交する断面形状は円形をなしているが、他の断面形状であっても良い。
また、配設部材2は、円筒状をなす配管に限られるものではなく、例えば、断面が矩形状の配管であったり、配管ではなくケーブル等であったりしても良い。
さらに、本実施形態においては、バンド部材7を用いて分割されている耐火部材5を径方向外側から配設部材2に対して固定しているが、バンド部材7を用いることに限定されるものではない。例えば、バンド部材7を用いず分割されている耐火部材5同士を貼り合せたりする等、他の固定方法を用いても良い。
また、第二熱膨張耐火材8は、熱膨張シートのみではなく、平板状をなす耐熱部材とシート状をなす熱膨張シートとが複数積層されて形成されていても良い。このような構成とすることで、軸線O方向に沿って膨張させることができる。
第一熱膨張耐火材6は、本実施形態のように、粘土のようにパテ状をなしていたり、矩形第一熱膨張耐火材61のように短冊状をなして積層したりすることで、耐火部材5の凹部51に詰められるものに限定されない。例えば、長尺のシート状をなすように帯状に形成されていても良い。このように、帯状をなしていることで、配設部材2に外周面に何層にもわたってロール状に積層するよう巻き付けて固定することができ、第一熱膨張耐火材6を容易に取り付けることができる。そして、第一熱膨張耐火材6を配設部材2に取り付けた後に、第一熱膨張耐火材6を覆うように耐火部材5を取り付けることで、第一熱膨張耐火材6を凹部51に設けた耐火部材5を配設部材2に容易に設置することができる。
1…シール構造 O…軸線 10…壁部 11…表面 12…裏面 13…貫通孔 13…孔部 2…配設部材 3…耐火シール材 4…断熱材 41…第一断熱材 42…第二断熱材 5…耐火部材 51…凹部(空隙部) 6…第一熱膨張耐火材 7…バンド部材 G…間隙 8…第二熱膨張耐火材 9…耐熱部材 61…矩形第一熱膨張耐火材 510…変形凹部 S1…熱膨張耐火材固定工程 S2…耐火部材固定工程 20…脱落防止部 21…支持部材 211…外周環状部 212…内周環状部 213…網部 213a…横糸部 213b…縦糸部 213c…支持孔部 22…縮径部 23…位置固定部 231…円板部 232…第一円筒部 233…第二円筒部 234…第三円筒部 235…第四円筒部 236…突出部 236a…第一突出部 236b…第二突出部 24、241、242…閉塞部 24a…閉塞部本体 24b…半円切り欠き部 24c…矩形切り欠き部 25…ステープラー 26…不燃性バンド 27…固定部材

Claims (12)

  1. 壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、
    前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞する耐火シール材と、
    前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに内側に前記軸線方向他方側から凹む凹部が形成された耐火部材と、
    前記凹部内に設けられ、熱によって膨張する第一熱膨張耐火材とを備え、
    前記配設部材と壁部とが軸線方向に相対移動することで形成される前記耐火部材と前記壁部との間隙を介して前記第一熱膨張耐火材に熱が伝搬することで、前記第一熱膨張耐火材が膨張するシール構造。
  2. 前記凹部に収まるように前記耐火シール材に密着して固定され、熱によって膨張する第二熱膨張耐火材を備える請求項1に記載のシール構造。
  3. 前記耐火シール材に密着して固定され、熱によって変形をしない耐熱部材を備える請求項1に記載のシール構造。
  4. 前記配設部材の外周面に固定される断熱材を備え、
    前記耐火部材は、前記断熱材を介して前記配設部材の外周面に固定される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシール構造。
  5. 壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、
    前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞する耐火シール材と、
    前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに内側に空隙部が形成された耐火部材と、
    前記空隙部内に設けられ、熱によって膨張する第一熱膨張耐火材と、
    前記空隙部における前記軸線方向他方側の開口部からの前記第一熱膨張耐火材の脱落を抑制する脱落防止部と、を備え、
    前記配設部材と壁部とが軸線方向に相対移動することで形成される前記耐火部材と前記壁部との間隙を介して前記第一熱膨張耐火材に熱が伝搬することで、前記第一熱膨張耐火材が膨張するシール構造。
  6. 前記脱落防止部は、
    前記耐火部材の前記軸線方向他方側に接して配置されて前記開口部まで貫通する支持孔部が形成され、前記第一熱膨張耐火材を前記軸線方向一方側に向かって支持する支持部材を有する請求項5に記載のシール構造。
  7. 前記脱落防止部は、前記空隙部が前記軸線方向他方側に向かうにしたがって縮径することで形成されることを含む請求項5または6のシール構造。
  8. 前記脱落防止部は、前記空隙部内で前記第一熱膨張耐火材に向かって径方向に突出して形成される突出部を有する請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のシール構造。
  9. 前記脱落防止部は、前記開口部を閉塞する閉塞部を備え、
    前記閉塞部は、熱を受けることで、前記開口部を開放する請求項5から請求項8のいずれか一項に記載のシール構造。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のシール構造を備える原子炉建屋。
  11. 請求項10に記載の原子炉建屋を備える原子力発電プラント。
  12. 壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、
    前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞するシール材と、
    前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに内側に前記軸線方向他方側から凹む凹部が形成された耐火部材と、
    前記凹部内に設けられ、熱によって膨張する第一熱膨張耐火材とを備えるシール構造の施工方法であって、
    前記耐火部材の凹部に前記第一熱膨張耐火材を径方向に複数積層して固定する熱膨張耐火材固定工程と、
    前記熱膨張耐火材固定工程の後に、前記耐火部材の径方向外側から周方向にわたってバンド部材を巻きつけて前記耐火部材を前記配設部材の外周面に固定する耐火部材固定工程と、を備えるシール構造の施工方法。
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