JP2017180818A - シール構造、シール構造を備える建屋、及び建屋を備える発電プラント - Google Patents
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Abstract
Description
火災等が発生した際に貫通孔を介して火炎や煙等が流入することを防ぐために、貫通孔の内周面と配設部材の外周面との間の隙間には不燃性又は難燃性の耐火シール材が設けられている。
特許文献1には、このような場合において、火災防御を可能とするシール構造が記載されている。このシール構造は、配設部材の外周面に固定されている耐火部材と、耐火部材の壁面を向く面に形成された凹部に充填された熱膨張耐火材と、を備えている。このシール構造は、火災による熱により熱膨張耐火材が膨張することによって、耐火シール材を防護する。
また、拘束部材によって耐火部材の径方向の移動が拘束されることによって、凹部内に設けられた熱膨張耐火材が崩れるのを防止することができる。
また、拘束部材が筒状固定部材を介して配設部材に固定されていることによって、より強固に耐火部材を拘束することができる。
また、縦糸部は、一の横糸部の径方向外側の縦糸部と、一の横糸部の径方向外側の縦糸部との周方向の位置が異なっている。これにより、熱により膨張した熱膨張耐火材が網部によって分断される際に、大きな塊となって分断されることなく、熱膨張耐火材をバランスよく膨張させることができる。
また、拘束部材によって耐火部材の径方向の移動が拘束されることによって、凹部内に設けられた熱膨張耐火材が崩れるのを防止することができる。
また、拘束部材が筒状固定部材を介して配設部材に固定されていることによって、より強固に耐火部材を拘束することができる。
以下、本発明の第一の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の発電プラント100は、原子力を用いて発電を行うプラントであるが、発電プラントとしてはこれに限ることはない。
本実施形態の発電プラント100は、原子炉として、例えば、加圧水型原子炉101を有している。加圧水型原子炉101は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用して高温高圧水とし、高温高圧水を蒸気発生器103に送って熱交換により蒸気を発生させて蒸気タービン用発電機105へ送って発電する。
発電プラント100は、蒸気発生器103で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン104と、蒸気タービン104の駆動で発電する蒸気タービン用発電機105と、蒸気タービン104からの蒸気を水に戻す復水器106と、を建屋109の外部に備えている。
なお、以下の説明において、配設部材2の軸線Oが延びている方向を軸線方向Daとする。また、軸線Oに直交する方向を径方向とし、径方向で軸線から遠ざかる側を径方向外側と言い、径方向で軸線Oに近づく側を径方向内側という。
また、軸線方向Daであって、壁部10に対して建屋109の内部側であり、壁部10に対して火災が発生すると想定している側を軸線方向一方側Da1(図1紙面左側)とし、壁部10に対して建屋109の外部側を軸線方向他方側Da2(図1紙面右側)とする。
シール構造1は、配設部材2の外周面に周方向に巻きつけられている断熱材4と、壁部貫通孔13内の耐火シール材3よりも軸線方向一方側Da1に配置されて軸線方向他方側Da2から凹む凹部51(空隙部)が形成された耐火部材5と、耐火部材5の凹部51に設けられる熱膨張耐火材6と、配設部材2に固定された筒状固定部材7と、筒状固定部材7に固定されて、耐火部材5の径方向の移動を拘束する拘束部材8と、を備えている。
配設部材2は、壁部貫通孔13を軸線方向一方側Da1から軸線方向他方側Da2にわたって挿通するように軸線Oに沿って延びている。本実施形態では、配設部材2として、軸線Oを中心とする円筒状をなして延在する配管が設けられている。
耐火シール材3としては、公知の建築用シール材等を用いることができる。
第一断熱材41及び第二断熱材42は、シート状をなしている。第一断熱材41は、壁部10の表面11から軸線方向一方側Da1に向かって、配設部材2の外周面に周方向に巻きつけられている。
第二断熱材42は、耐火部材5よりも軸線方向一方側Da1で、第一断熱材41及び筒状固定部材7に重ねるように配設部材2の外周面に周方向に巻きつけられている。
第一断熱材41及び第二断熱材42としては、例えば、アルミナシリカ系の原料を繊維化し積層したファインフレックス(登録商標)をブランケット状に成形した断熱材料や保温材料を用いることができる。
耐火部材5としては、配管に用いられる断熱布団を用いることができる。断熱布団としては、例えば、外側がシリカクロスであるシルテックス(登録商標)を用いて、内部にアルミナシリカ系の原料を繊維化し積層したファインフレックス(登録商標)を詰めたもの等が挙げられる。
熱膨張耐火材6としては、火炎のように200℃〜300℃以上の熱が伝搬することによって少なくとも倍以上に膨張する熱膨張性の耐火材料であり、例えば、ファイヤーシャットパテFSPやヒートメルサイレンス等が挙げられる。
筒状固定部材7の内径は、第一断熱材41が巻き付けられた配設部材2に筒状固定部材7を取り付けた際に、第一断熱材41が僅かに圧縮される程度に設定されている。筒状固定部材7の外周側には、第二断熱材42が巻き付けられている。
固定部16は、円筒部15の周方向の両端辺から径方向外側に突出している。第一筒状固定部材71と第二筒状固定部材72とは、固定部16を介して、ボルト17及びナット18を用いて締結されている。
ワイヤ固定部19は、筒状固定部材7の外周面に周方向に間隔をあけて複数(本実施形態の場合4つ)設けられている。ワイヤ固定部19は、軸線方向他方側Da2の端部に形成されている。ワイヤ固定部19の位置は、筒状固定部材7の外周面であればよく、例えば、軸線方向一方側Da1の端部に設けてもよい。また、ワイヤ固定部19の形状は、ワイヤを固定することができればこれに限ることはない。例えば、筒状固定部材7に直接的に貫通孔を形成してもよい。
図4に示すように、環状部材9は、金属板を環状に切り出した形状をなす。換言すれば、環状部材9は、円板状をなし、中央部に円形の貫通孔である熱膨張耐火材用孔21が形成されている。環状部材9に熱膨張耐火材用孔21が形成されていることによって、熱膨張耐火材6の膨張が妨げられることはない。
なお、第一ワイヤ20を耐火部材5に縫い付けてもよい。第一ワイヤ20を耐火部材5に縫い付けることによって、耐火部材5の拘束力を高めることができる。
筒状固定部材7、第一ワイヤ20、及び環状部材9は、長時間高温に曝されても変形しない材料によって形成されている。
第一実施形態のシール構造1では、図2に示すように、配設部材2と壁部貫通孔13との間の空間は、耐火シール材3が充填され隙間なく閉塞されている。そして、凹部51に熱膨張耐火材6を設けた耐火部材5は、壁部10の表面11と隙間なく密着するよう接して配置されている。
しかし、図5に示すように、地震による火災が発生すると、地震の振動によって配設部材2が振動して壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線方向他方側Da2の面とが離間して間隙Gが形成される。
また、拘束部材8が筒状固定部材7を介して配設部材2に固定されていることによって、より強固に耐火部材5を拘束することができる。
また、第一ワイヤ20によって耐火部材5の外周面5aを拘束することができる。また、環状部材9によって耐火部材5の径方向他方側への移動を拘束することができる。
次に、図7及び図8を参照して第二の実施形態のシール構造1Bについて説明する。第二の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。また、第二の実施形態以降の図においては、断熱材4を省略する。
本実施形態のシール構造1は、環状部材9が第一環状部材9aと第二環状部材9bとからなり、第一環状部材9aと第二環状部材9bが軸線方向他方側Da2から見て熱膨張耐火材6の一部を覆うように形成されている点について、第一の実施形態と相違する。
第一環状部材9aは、軸線方向他方側Da2から見て熱膨張耐火材6の径方向外側の端部を覆うように形成されている。第一環状部材9aの外径は、凹部51の内径よりもやや大きく、第一環状部材9aの内径は、凹部51の内径よりもやや小さい。即ち、第一環状部材9aは、軸線方向Daから見て、第一環状部材9aの内側が熱膨張耐火材6と重なるように形成されている。
第二環状部材9bと、筒状固定部材7とは、第二ワイヤ23で接続されている。第二ワイヤ23は、第一断熱材41の外周面に沿うとともに、軸線方向Daに延在するように配置されている。
次に、図9及び図10を参照して第三の実施形態のシール構造1Cについて説明する。第三の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
本実施形態の拘束部材8Cは、第一ワイヤ20をガイドする複数のガイド部材25と、耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bに面接触するように配置され、第一ワイヤ20を軸線方向他方側Da2から支持する複数の板状部材26と、を有している。
ガイド部材25の内径は、第一ワイヤ20の外径よりも十分大きい。
また、耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bを覆う板状部材26を配置することによって、耐火部材5の変形を更に抑制することができる。
図11に示すように、本変形例のガイド部材25Aは、断面U字状をなす長尺状のガイド部材本体28と、ガイド部材本体28の長手方向の両端部に形成された板状部29と、を有している。
ガイド部材本体28は、軸線方向Daに延在する矩形状のガイド部材底部30と、ガイド部材底部30の長手方向に沿う両側辺からガイド部材底部30に直交する方向に立ち上がる一対のガイド部材側部31と、を有している。
板状部29は、ガイド部材底部30の長手方向の両端部から、ガイド部材側部31とは反対側に立ち上がるように形成されている。
本変形例によれば、ガイド部材25Aを板金加工によって形成することができる。
図12に示すように、本変形例の板状部材26Aは、耐火部材5の軸線方向一方側Da1を向く面5bの径方向外側に、配置されている。板状部材26Aは、周方向に隣り合う板状部材26Aとオーバーラップするように形成されている。板状部材26Aは扇状に形成することが好ましい。
次に、図13及び図14を参照して第四の実施形態のシール構造1Dについて説明する。第四の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態の筒状固定部材7Dは、円筒部15Dの軸線方向Daの長さが第一実施形態の円筒部15(図2参照)より長い。筒状固定部材7Dは、軸線方向Daにおいて耐火部材5の軸線方向他方側を向く面5cまで延在している。即ち、本実施形態の筒状固定部材7Dは、径方向から見て耐火部材5とオーバーラップするように形成されている。
次に、図15及び図16を参照して第五の実施形態のシール構造1Eについて説明する。第五の実施形態においては、第四の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図15に示すように、本実施形態の拘束部材8Eは、第一ワイヤ20から分岐する熱膨張耐火材固定ワイヤ34を有している。熱膨張耐火材固定ワイヤ34は、環状部材9と筒状固定部材7Dとを接続する第一ワイヤ20の分岐部35から分岐している。
次に、図17及び図18を参照して第六の実施形態のシール構造1Fについて説明する。第六の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図17に示すように、本実施形態の拘束部材8Fは、第一ワイヤ20から分岐する複数(本実施形態は2本)の耐火部材固定ワイヤ36を有している。耐火部材固定ワイヤ36の分岐部35Fは、第一ワイヤ20のうち耐火部材5の外周面5aに沿う部位に位置している。周方向に延在する耐火部材固定ワイヤ36の途中に図22に示すような引張コイルばね53及びターンバックル54を設けてもよい。
耐火部材固定ワイヤ36は、第二の実施形態−第五の実施形態の拘束部材8にも適用することができる。
上記実施形態によれば、耐火部材5の外周面からの拘束力をより強めることができる。
次に、図19及び図20を参照して第六の実施形態のシール構造1Gについて説明する。第六の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図19及び図20に示すように、本実施形態の拘束部材8Gは、筒状固定部材7に支持部材38を介して固定された、複数(本実施形態は4つ)の押え棒39(棒状部材)を備えている。なお、図19及び図20においては、第一断熱材41及び第二断熱材42(図2参照)を省略している。
支持部材38の径方向内側の根元は、第一補強部材45によって補強されている。第一補強部材45は、支持部材38の軸線方向一方側を向く面と、筒状固定部材7の外周面に、例えば、溶接によって固定されている。支持部材38と筒状固定部材7との少なくとも一方と、第一補強部材45とは、例えば、螺子によって締結してもよい。
周方向に隣り合う支持部材38同士を第二補強部材46で補強することもできる。
押え棒39の一方の端面には、軸線方向Daに沿って雌螺子穴が形成されている。各々の押え棒39は、径方向から耐火部材5を保持するように配置されている。具体的には、押え棒39は、押え棒39の径方向内側が耐火部材5を僅かに圧縮するような位置に固定されている。
なお、押え棒39の断面形状は、円形に限ることはない。例えば、断面矩形状の板状の押え棒39を用いて、押え棒39の平面が耐火部材5の外周面5aに接するように配置してもよい。押え棒39を板状とすることによって、押え棒39の軽量化を図り、設置作業を容易とすることができる。
また、長孔44に沿って押え棒39を径方向に移動させることによって、押え棒39から耐火部材5に与える圧力を調整することができる。
次に、図21及び図22を参照して第八の実施形態のシール構造1Hについて説明する。第八の実施形態においては、第七の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図21及び図22に示すように、本実施形態の拘束部材8Hは、複数の押え棒39を径方向外側から締め付ける複数(本実施形態は3本)の締め付けワイヤ48を有している。
締め付けワイヤ48は、複数の押え棒39を径方向外側から締め付けるように配置されている。締め付けワイヤ48の端部同士は、引張コイルばね53及びターンバックル54を介して接続されている。
締め付けワイヤ48の数は、耐火部材5の軸線方向Daの長さ等に応じて適宜変更することができる。締め付けワイヤ48は、1本でもよいし、4本以上でもよい。
また、締め付けワイヤ48の両端部を引張コイルばね53を介して接続することによって、締め付けワイヤ48に適度な張力を与えることができる。また、締め付けワイヤ48の両端部をターンバックル54を介して接続することによって締め付けワイヤ48の長さを容易に調整することができる。
次に、図23及び図24を参照して第九の実施形態のシール構造1Jについて説明する。第九の実施形態においては、第七の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図23及び図24に示すように、本実施形態の拘束部材8Jの支持部材38Jは、筒状固定部材7に固定された2本の横梁部材55と、2本の横梁部材55に固定された2本の縦梁部材56から構成されている。押え棒39は、2本の横梁部材55及び2本の縦梁部材56のそれぞれの両端に取り付けられている。
上記実施形態によれば、支持部材38Jを骨組み構造としたことによって、支持部材38Jの強度を向上させることができる。
次に、図25及び図26を参照して第十の実施形態のシール構造1Kについて説明する。第十の実施形態においては、第九の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図25及び図26に示すように、本実施形態の拘束部材8Kは、横梁部材55及び縦梁部材56と、横梁部材55及び縦梁部材56に固定された差し込み棒59(棒状部材)を備えている。差し込み棒59は、耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bから耐火部材5の内部に突き刺されるように配置されている。
次に、図27及び図28を参照して第十一の実施形態のシール構造1Lについて説明する。第十一の実施形態においては、第七の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図27及び図28に示すように、本実施形態の拘束部材8Lは、耐火部材5の外周面5aを覆う円筒形状の耐火部材カバー61(筒状拘束部材)と、耐火部材カバー61と筒状固定部材7とを接続する支持板62(支持部材)とを備えている。
支持板62は、支持板62の主面と筒状固定部材7の中心軸とが直交するように、筒状固定部材7の軸線方向他方側Da2の端部に、例えば、溶接によって接合されている。支持板62の外周は、耐火部材カバー61の軸線方向一方側Da1の端部に、周方向全周に亘って、例えば、溶接によって接合されている。
なお、耐火部材カバー61の軽量化を図るために、耐火部材カバー61に規則的に複数の孔を形成してもよい。即ち、耐火部材カバー61をパンチングメタルによって形成してもよい。支持板62も同様に、パンチングメタルによって形成してもよい。
次に、図29及び図30を参照して第十二の実施形態のシール構造1Mについて説明する。第十二の実施形態においては、第七の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図29及び図30に示すように、本実施形態の拘束部材8Mは、基端側が筒状固定部材7の外周面7aに固定され、先端側が耐火部材5の外周面5aに当接するように形成された弾性を有する複数のバネ状押え部材64(バネ状部材)である。
バネ状押え部材64は、周方向に間隔をあけて複数固定されている。バネ状押え部材64は、例えば、20°−30°間隔で取り付けることが好ましい。
なお、本実施形態のバネ状押え部材64は、断面円形の棒状をなすものとしたが、これに限ることはない。バネ状押え部材64は、例えば、板バネを変形させて形成することもできる。
次に、図31を参照して第十三の実施形態のシール構造1Nについて説明する。第十三の実施形態においては、第十二の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図31に示すように、本実施形態のバネ状押え部材64Nは、耐火部材5の軸線方向Daの動きを抑制する鉤状部68を有している。
上記実施形態によれば、バネ状押え部材64Nの軸線方向他方側Da2に設けられた鉤状部68によって、耐火部材5の軸線方向Daの移動を拘束することができる。
次に、図32を参照して第十四の実施形態のシール構造1Pについて説明する。第十四の実施形態においては、第十三の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図32に示すように、本実施形態の拘束部材8Pは、筒状固定部材7に固定された複数のバネ状押え部材64Nに巻き付けられたバネ締め付けワイヤ73を有している。
また、バネ締め付けワイヤ73の両端部を引張コイルばね53を介して接続することによって、バネ締め付けワイヤ73に適度な張力を与えることができる。また、バネ締め付けワイヤ73の両端部をターンバックル54を介して接続することによってバネ締め付けワイヤ73の長さを容易に調整することができる。
また、本実施形態では、壁部貫通孔13を壁面に設けられた貫通孔としたがこれに限られるものではなく、建屋109の壁部10等の構造物の表面11から窪んで形成される空間であっても良い。
さらに、壁部貫通孔13は軸線に直交する断面形状が円形をなしているが、他の断面形状であっても良い。
また、配設部材2は、円筒状をなす配管に限られるものではなく、例えば、断面が矩形状の配管であったり、配管ではなくケーブル等であったりしても良い。
次に、図33及び図34を参照して第十五の実施形態のシール構造1Qについて説明する。第十五の実施形態においては、第九の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図33及び図34に示すように、本実施形態の拘束部材8Qは、支持部材38Jの横梁部材55と縦梁部材56に対して摺動可能な押え棒39Q(棒状部材)と、押え棒39Qの軸線方向他方側Da2に固定されている外側環状部材81と、外側環状部材81の径方向内側に配置されている内側環状部材82と、外側環状部材81と内側環状部材82とを接続する複数の接続部材83と、外側環状部材81と内側環状部材82との間の熱膨張耐火材6の軸線方向他方側Da2に固定されている網部84と、を有している。
押え棒39Qは、支持部材38Jに対して摺動可能に接続されている。
押え棒本体39aは円柱状をなしている。押え棒本体39aの直径は、梁貫通孔85の内径よりも小さい。スライド制限部86は、押え棒本体39aの直径及び梁貫通孔85の内径よりも大きな部材である。
フランジ部82bは、円筒部82aの軸線方向他方側Da2の端部から、径方向外側に突出している。内側環状部材82の一部であるフランジ部82bは、軸線方向Daから見て、熱膨張耐火材6と重なるように形成されている。
接続部材第一部83aの軸線方向他方側Da2の端部は、外側環状部材81に固定されている。接続部材第二部83bの径方向内側の端部は、内側環状部材82の円筒部82aの外周面に固定されている。
ここで、内側環状部材82側である内側の横糸部84aを第一横糸部、外側環状部材81側である外側の横糸部84aを第二横糸部とする。横糸部84aは、内側環状部材82の外周と第一横糸部との間に第一層目の空間を形成し、第一横糸部と第二横糸部との間に第二層目の空間を形成し、第二横糸部と、外側環状部材81の内周と間に第三層目の空間を形成している。
即ち、縦糸部84bは、一の横糸部84aの径方向外側の縦糸部84bと、一の横糸部84aの径方向外側の縦糸部84bとの周方向の位置が異なっている。
上記のような第十五実施形態のシール構造1Qでは、図35に示すように、地震の振動によって配設部材2が振動して支持部材38Jと壁部10とが近づく方向に相対移動すると、押え棒39Qの軸線方向他方側Da2(外側環状部材81)が壁部10に押されることにより、支持部材38Jに対して押え棒39Qが軸線方向一方側Da1に相対移動する。これにより、シール構造1Qの耐火部材5は軸線方向Daに圧縮されるものの、シール構造1Qの拘束部材8Q、特に、支持部材38Jの変形が抑制される。
ここで、本実施形態のシール構造1Qは、外側環状部材81、内側環状部材82、及び網部84を有しているため、耐火部材5の凹部51に詰められた熱膨張耐火材6を間隙Gに向かって飛び出さない。
ここで、耐火部材5の凹部51が軸線方向他方側Da2から凹んでいるために、凹部51に設けられた熱膨張耐火材6は間隙Gに侵入した火炎に曝される。そのため、耐火部材5の凹部51に設けられた熱膨張耐火材6に間隙Gに侵入してきた火炎による熱が伝搬し、熱膨張耐火材6は膨張を開始する。
また、一の横糸部84aの径方向外側の縦糸部84bと、一の横糸部84aの径方向外側の縦糸部84bとの周方向の位置が異なっている。これにより、熱により膨張した熱膨張耐火材6が網部84によって分断される際に、大きな塊となって分断されることなく、熱膨張耐火材6をバランスよく膨張させることができる。
2 配設部材
2a 蒸気配管
2b 給水配管
3 耐火シール材
4 断熱材
5 耐火部材
5a 外周面
6 熱膨張耐火材
7,7D 筒状固定部材
8 拘束部材
9 環状部材
9a 第一環状部材
9b 第二環状部材
10 壁部
11 表面
12 裏面
13 壁部貫通孔(孔部)
15,15D 円筒部
16 固定部
17 ボルト
18 ナット
19 ワイヤ固定部
20 第一ワイヤ
21 熱膨張耐火材用孔
22 ワイヤ固定孔
23 第二ワイヤ
25,25A ガイド部材
26,26A 板状部材
27 ワイヤ挿通孔
28 ガイド部材本体
29 板状部
30 ガイド部材底部
31 ガイド部材側部
32 フランジ部
34 熱膨張耐火材固定ワイヤ
35,35F 分岐部
36 耐火部材固定ワイヤ
38,38J 支持部材
39 押え棒
39a 押え棒本体
41 第一断熱材
42 第二断熱材
44 長孔
45 第一補強部材
46 第二補強部材
48 締め付けワイヤ
49 ワイヤ溝
51 凹部
53 引張コイルばね
54 ターンバックル
55 横梁部材
56 縦梁部材
57 第二長孔
58 第三長孔
59 差し込み棒
61 耐火部材カバー
62 支持板
64,64N バネ状押え部材
65 基部
66,66N 押え部
67 接続部
68 鉤状部
69 第一押圧部
70 第二押圧部
71 第一筒状固定部材
72 第二筒状固定部材
73 バネ締め付けワイヤ
81 外側環状部材
82 内側環状部材
82a 円筒部
82b フランジ部
83 接続部材
84 網部
84a 横糸部
84b 縦糸部
84c 支持孔部
86 スライド制限部
100 発電プラント
101 加圧水型原子炉
109 建屋
Da 軸線方向
Da1 軸線方向一方側
Da2 軸線方向他方側
O 軸線
Claims (18)
- 壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、
前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞する耐火シール材と、
前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに径方向内側に前記軸線方向他方側から凹む凹部が形成された耐火部材と、
前記凹部内に設けられ、熱によって膨張する熱膨張耐火材と、
前記耐火部材の前記軸線方向一方側で、前記配設部材の外周面に固定された筒状をなす筒状固定部材と、
前記筒状固定部材に固定されて、前記耐火部材の径方向の移動を拘束する拘束部材と、を備えるシール構造。 - 前記拘束部材は、前記筒状固定部材の外周面に周方向に間隔をあけて複数設けられて、径方向外側に突出する複数の支持部材と、
各々の前記支持部材の径方向外側に固定され、前記軸線方向に延在して前記耐火部材の外周側を拘束する複数の長尺状の棒状部材と、を有する請求項1に記載のシール構造。 - 前記棒状部材は、前記棒状部材の径方向を向く面が前記耐火部材の外周面に当接する位置に固定されている請求項2に記載のシール構造。
- 前記棒状部材は、前記支持部材に対して摺動可能に接続されている請求項3に記載のシール構造。
- 複数の前記棒状部材の前記軸線方向他方側に固定され、径方向内側に前記配設部材が挿通される外側環状部材と、
前記外側環状部材の径方向内側に配置され、径方向内側に前記配設部材が挿通される内側環状部材と、
前記外側環状部材と前記内側環状部材とを接続する接続部材と、
前記外側環状部材と前記内側環状部材との間の前記熱膨張耐火材の前記軸線方向他方側に固定されている網部と、有し、
前記網部は、同心円状に配置されている複数の横糸部と、径方向に沿って放射状に配置されている複数の縦糸部と、を有し、
一の前記横糸部の径方向外側の前記縦糸部と、前記一の横糸部の径方向外側の前記縦糸部との周方向の位置が異なっている請求項4に記載のシール構造。 - 前記外側環状部材の一部及び前記内側環状部材の一部は、前記軸線方向から見て前記熱膨張耐火材と重なっている請求項5に記載のシール構造。
- 前記棒状部材は、軸線方向他方側の端部が尖るように形成されており、前記耐火部材の軸線方向一方側を向く面から耐火部材の内部に突き刺されるように配置されている請求項2に記載のシール構造。
- 前記拘束部材は、径方向内側に前記配設部材が挿通され、前記凹部を除く前記耐火部材の軸線方向他方側を向く面に当接する環状の環状部材と、
周方向に間隔をあけて複数配置され、前記耐火部材の外周面に沿って軸線方向に延在して前記筒状固定部材と前記環状部材とを接続するワイヤと、を有する請求項1に記載のシール構造。 - 前記環状部材は、軸線方向他方側から見て前記熱膨張耐火材の径方向外側の端部を覆うように形成されている請求項8に記載のシール構造。
- 前記耐火部材の軸線方向の長さと同じ長さを有し、前記耐火部材の外周面に沿って軸線方向に延在して前記ワイヤを径方向内側から支持するガイド部材を有する請求項8又は請求項9に記載のシール構造。
- 前記耐火部材の軸線方向一方側を向く面を覆い、前記ワイヤを軸線方向他方側から支持する板状部材を有する請求項10に記載のシール構造。
- 前記筒状固定部材は、軸線方向において前記耐火部材の軸線方向他方側を向く面まで延在しており、
前記筒状固定部材の軸線方向他方側の端部には、径方向外側に突出するフランジ部が形成されている請求項8から請求項11のいずれか一項に記載のシール構造。 - 前記ワイヤのうち前記耐火部材の外周面に沿う部位から分岐し、径方向内側に向かって前記耐火部材及び前記熱膨張耐火材を貫通して前記筒状固定部材に接続される熱膨張耐火材固定ワイヤを有する請求項12に記載のシール構造。
- 前記ワイヤのうち前記耐火部材の外周面に沿う部位から分岐し、前記耐火部材の外周面の全周に亘って周方向に延在して前記ワイヤを互いに接続する耐火部材固定ワイヤを有する請求項8から請求項13のいずれか一項に記載のシール構造。
- 前記拘束部材は、前記耐火部材の外周面を覆う筒状拘束部材と、
前記筒状拘束部材と前記筒状固定部材とを接続する支持部材と、を有する請求項1に記載のシール構造。 - 前記拘束部材は、基端側が前記筒状固定部材の外周面に固定され、先端側が前記耐火部材の外周面に当接するように形成された弾性を有するバネ状部材である請求項1に記載のシール構造。
- 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のシール構造を備える建屋。
- 請求項17に記載の建屋を備える発電プラント。
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