JP2017180818A - シール構造、シール構造を備える建屋、及び建屋を備える発電プラント - Google Patents

シール構造、シール構造を備える建屋、及び建屋を備える発電プラント Download PDF

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Abstract

【課題】耐火部材と壁面と間に間隙が生じた場合に耐火性を確保することが可能なシール構造において、熱膨張耐火材が崩れることを防止する。【解決手段】壁部10に形成された孔部13を挿通するように軸線Oに沿って延びる配設部材2と、配設部材2の外周面と孔部13の内周面との空間を閉塞する耐火シール材3と、壁部10における軸線方向一方側Da1で配設部材2の外周面に固定されて、壁部10に接するとともに径方向内側に軸線方向他方側Da2から凹む凹部51が形成された耐火部材5と、凹部51内に設けられ、熱によって膨張する熱膨張耐火材6と、耐火部材5の軸線方向一方側Da1で、配設部材2の外周面に固定された筒状をなす筒状固定部材7と、筒状固定部材7に固定されて、耐火部材5の径方向の移動を拘束する拘束部材8と、を備えるシール構造1を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、シール構造、シール構造を備える建屋、及び建屋を備える発電プラントに関する。
建屋等の外壁を構成する壁部等の構造物は、壁部に形成された貫通孔に配設部材を挿通することで建屋の屋外から屋内又は屋内から屋外への流体等の供給や排出を可能としている。
火災等が発生した際に貫通孔を介して火炎や煙等が流入することを防ぐために、貫通孔の内周面と配設部材の外周面との間の隙間には不燃性又は難燃性の耐火シール材が設けられている。
ところで、大地震等の振動によって建屋だけでなく配設部材も大きく振動すると、火災が発生する前に耐火シール材が固定された配設部材は壁面に対して相対移動してしまう。
特許文献1には、このような場合において、火災防御を可能とするシール構造が記載されている。このシール構造は、配設部材の外周面に固定されている耐火部材と、耐火部材の壁面を向く面に形成された凹部に充填された熱膨張耐火材と、を備えている。このシール構造は、火災による熱により熱膨張耐火材が膨張することによって、耐火シール材を防護する。
特開2015−57560号公報
しかしながら、上記従来のシール構造においては、熱膨張耐火材を保持する耐火部材の拘束力が大きくないため、大きな地震による振動が印加されると、耐火部材が変形して熱膨張耐火材が崩れるという課題がある。
本発明は、耐火部材と壁面と間に間隙が生じた場合に耐火性を確保することが可能なシール構造において、熱膨張耐火材が崩れることを防止することができるシール構造、シール構造を備える建屋、及び建屋を備える発電プラントを提供することを目的とする。
本発明の第一の態様によれば、シール構造は、壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞する耐火シール材と、前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに径方向内側に前記軸線方向他方側から凹む凹部が形成された耐火部材と、前記凹部内に設けられ、熱によって膨張する熱膨張耐火材と、前記耐火部材の前記軸線方向一方側で、前記配設部材の外周面に固定された筒状をなす筒状固定部材と、前記筒状固定部材に固定されて、前記耐火部材の径方向の移動を拘束する拘束部材と、を備える。
このような構成によれば、地震等によって配設部材が壁部に対して相対移動し、配設部材に固定された耐火部材の軸線方向他方側と壁部との間に間隙が生じても、耐火部材の軸線方向他方側から凹む凹部に設けられた熱膨張耐火材によって間隙を閉塞することができる。
また、拘束部材によって耐火部材の径方向の移動が拘束されることによって、凹部内に設けられた熱膨張耐火材が崩れるのを防止することができる。
また、拘束部材が筒状固定部材を介して配設部材に固定されていることによって、より強固に耐火部材を拘束することができる。
上記シール構造において、前記棒状部材は、前記支持部材に対して摺動可能に接続されていてよい。
このような構成によれば、支持部材と壁部とが近づく方向に相対移動して、棒状部材が壁部に当接することにより支持部材が変形するのを抑制することができる。
上記シール構造において、複数の前記棒状部材の前記軸線方向他方側に固定され、径方向内側に前記配設部材が挿通される外側環状部材と、前記外側環状部材の径方向内側に配置され、径方向内側に前記配設部材が挿通される内側環状部材と、前記外側環状部材と前記内側環状部材とを接続する接続部材と、前記外側環状部材と前記内側環状部材との間の前記熱膨張耐火材の前記軸線方向他方側に固定されている網部と、有し、前記網部は、同心円状に配置されている複数の横糸部と、径方向に沿って放射状に配置されている複数の縦糸部と、を有し、一の前記横糸部の径方向外側の前記縦糸部と、前記一の横糸部の径方向外側の前記縦糸部との周方向の位置が異なってよい。
このような構成によれば、網部が設けられていることによって、耐火部材の凹部内に設けられている熱膨張耐火材が飛び出すのを抑制することができる。
また、縦糸部は、一の横糸部の径方向外側の縦糸部と、一の横糸部の径方向外側の縦糸部との周方向の位置が異なっている。これにより、熱により膨張した熱膨張耐火材が網部によって分断される際に、大きな塊となって分断されることなく、熱膨張耐火材をバランスよく膨張させることができる。
上記シール構造において、前記外側環状部材の一部及び前記内側環状部材の一部は、前記軸線方向から見て前記熱膨張耐火材と重なっていてよい。
このような構成によれば、外側環状部材と内側環状部材とで、耐火部材の凹部内に設けられている熱膨張耐火材が飛び出すのを抑制することができる。
上記シール構造において、前記拘束部材は、径方向内側に前記配設部材が挿通され、前記凹部を除く前記耐火部材の軸線方向他方側を向く面に当接する環状の環状部材と、周方向に間隔をあけて複数配置され、前記耐火部材の外周面に沿って軸線方向に延在して前記筒状固定部材と前記環状部材とを接続するワイヤと、を有してよい。
このような構成によれば、ワイヤによって耐火部材の外周面を拘束することができる。また、環状部材によって耐火部材の軸線方向他方側への移動を拘束することができる。
上記シール構造において、前記環状部材は、軸線方向他方側から見て前記熱膨張耐火材の径方向外側の端部を覆うように形成されてよい。
このような構成によれば、耐火部材及び熱膨張耐火材の軸線方向他方側への移動を拘束することができる。
上記シール構造において、前記耐火部材の軸線方向の長さと同じ長さを有し、前記耐火部材の外周面に沿って軸線方向に延在して前記ワイヤを径方向内側から支持するガイド部材を有してよい。
このような構成によれば、耐火部材の軸線方向の収縮を抑制することができる。
上記シール構造において、前記耐火部材の軸線方向一方側を向く面を覆い、前記ワイヤを軸線方向他方側から支持する板状部材を有してよい。
このような構成によれば、耐火部材の変形を更に抑制することができる。
上記シール構造において、前記筒状固定部材は、軸線方向において前記耐火部材の軸線方向他方側を向く面まで延在しており、前記筒状固定部材の軸線方向他方側の端部には、径方向外側に突出するフランジ部が形成されてよい。
このような構成によれば、筒状固定部材を用いて熱膨張耐火材の軸線方向の移動を拘束することができる。
上記シール構造において、前記ワイヤのうち前記耐火部材の外周面に沿う部位から分岐し、径方向内側に向かって前記耐火部材及び前記熱膨張耐火材を貫通して前記筒状固定部材に接続される熱膨張耐火材固定ワイヤを有してよい。
このような構成によれば、熱膨張耐火材の軸線方向一方側の軸線方向の移動が拘束される。これにより、熱膨張耐火材の飛び出しを防止することができる。
上記シール構造において、前記ワイヤのうち前記耐火部材の外周面に沿う部位から分岐し、前記耐火部材の外周面の全周に亘って周方向に延在して前記ワイヤを互いに接続する耐火部材固定ワイヤを有してよい。
このような構成によれば、耐火部材の外周面からの拘束力をより強めることができる。
上記シール構造において、前記拘束部材は、前記筒状固定部材の外周面に周方向に間隔をあけて複数設けられて、径方向外側に突出する複数の支持部材と、各々の前記支持部材の径方向外側に固定され、前記軸線方向に延在して前記耐火部材の外周側を拘束する複数の長尺状の棒状部材と、を有してよい。
このような構成によれば、棒状部材によって耐火部材の外周側を拘束することができる。
上記シール構造において、前記棒状部材は、前記棒状部材の径方向を向く面が前記耐火部材の外周面に当接する位置に固定されてよい。
このような構成によれば、棒状部材によって耐火部材の外周面を拘束することができる。
上記シール構造において、前記棒状部材は、軸線方向他方側の端部が尖るように形成されており、前記耐火部材の軸線方向一方側を向く面から耐火部材の内部に突き刺されるように配置されてよい。
上記シール構造において、前記拘束部材は、前記耐火部材の外周面を覆う筒状拘束部材と、前記筒状拘束部材と前記筒状固定部材とを接続する支持部材と、を有してよい。
このような構成によれば、耐火部材の変形を周方向全周に亘って拘束することができる。
上記シール構造において、前記拘束部材は、基端側が前記筒状固定部材の外周面に固定され、先端側が前記耐火部材の外周面に当接するように形成された弾性を有するバネ状部材であってよい。
本発明の他の態様によれば、建屋は、前記のシール構造を備える。
本発明の他の態様によれば、発電プラントは、前記建屋を備える。
本発明によれば、地震等によって配設部材が壁部に対して相対移動し、配設部材に固定された耐火部材の軸線方向他方側と壁部との間に間隙が生じても、耐火部材の軸線方向他方側から凹む凹部に設けられた熱膨張耐火材によって間隙を閉塞することができる。
また、拘束部材によって耐火部材の径方向の移動が拘束されることによって、凹部内に設けられた熱膨張耐火材が崩れるのを防止することができる。
また、拘束部材が筒状固定部材を介して配設部材に固定されていることによって、より強固に耐火部材を拘束することができる。
本発明の第一の実施形態の原子力発電プラントの概略構成図である。 本発明の第一の実施形態のシール構造を示す断面図である。 図2のIII−III断面図であり、本発明の第一の実施形態の筒状固定部材を示す図である。 図2のIV−IV断面図であり、本発明の第一の実施形態の環状部材を示す図である。 本発明の第一の実施形態のシール構造が相対移動した状態を示す断面図である。 本発明の第一の実施形態のシール構造の熱膨張耐火材が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第二の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第二の実施形態のシール構造の拘束部材を示す正面図である。 本発明の第三の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第三の実施形態のシール構造の拘束部材を示す正面図である。 本発明の第三の実施形態の第一の変形例のガイド部材を示す斜視図である。 本発明の第三の実施形態の第二の変形例の板状部材を示す正面図である。 本発明の第四の実施形態のシール構造の筒状固定部材を示す側面図である。 本発明の第四の実施形態のシール構造の筒状固定部材を示す斜視図である。 本発明の第五の実施形態のシール構造の熱膨張耐火材固定ワイヤを示す断面図である。 図15のXVI−XVI断面図であり、本発明の第五の実施形態のシール構造の熱膨張耐火材固定ワイヤを軸線方向から見た断面図である。 本発明の第六の実施形態のシール構造の耐火部材固定ワイヤを示す断面図である。 本発明の第六の実施形態のシール構造の耐火部材固定ワイヤを軸線方向から見た断面図である。 本発明の第七の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第七の実施形態のシール構造の拘束部材を示す正面図である。 本発明の第八の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第八の実施形態のシール構造の拘束部材を示す正面図である。 本発明の第九の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第九の実施形態のシール構造の拘束部材を示す正面図である。 本発明の第十の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第十の実施形態のシール構造の拘束部材を示す正面図である。 本発明の第十一の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第十一の実施形態のシール構造の拘束部材を示す正面図である。 本発明の第十二の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第十二の実施形態のシール構造の拘束部材を示す正面図である。 本発明の第十三の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第十四の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 本発明の第十五の実施形態のシール構造の拘束部材を示す断面図である。 図33のXXXIV−XXXIV断面図であり、本発明の第十五の実施形態のシール構造を軸線方向他方側から見た図である。 本発明の第十五の実施形態のシール構造が相対移動した状態を示す断面図である。 本発明の第十五の実施形態のシール構造の熱膨張耐火材が膨張した状態を示す断面図である。
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の第一の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の発電プラント100は、原子力を用いて発電を行うプラントであるが、発電プラントとしてはこれに限ることはない。
本実施形態の発電プラント100は、原子炉として、例えば、加圧水型原子炉101を有している。加圧水型原子炉101は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用して高温高圧水とし、高温高圧水を蒸気発生器103に送って熱交換により蒸気を発生させて蒸気タービン用発電機105へ送って発電する。
図1に示すように、本実施形態の発電プラント100は、加圧水型原子炉101と、加圧器102と、蒸気発生器103と、を建屋109(原子炉格納容器)の内部に備えている。加圧器102は、加圧水型原子炉101の原子炉圧力容器110内の一次冷却水(軽水)の沸騰を抑えるために一次冷却水を加圧する。蒸気発生器103は、一次冷却水の熱により二次冷却水を蒸気にする。
発電プラント100は、蒸気発生器103で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン104と、蒸気タービン104の駆動で発電する蒸気タービン用発電機105と、蒸気タービン104からの蒸気を水に戻す復水器106と、を建屋109の外部に備えている。
蒸気発生器103と蒸気タービン104とは、建屋109の内外に延在する配設部材である蒸気配管2aで接続されている。復水器106と蒸気タービン104とは、給水配管2bで接続されている。蒸気配管2a及び給水配管2bは、建屋109の壁部10を貫通している。
図2に示すように、第一の実施形態のシール構造1は、発電プラント100(図1参照)において、建屋109等の壁部10を貫通する配設部材2である配管と、壁部10に形成された壁部貫通孔13(孔部)との間を封止する構造である。
なお、以下の説明において、配設部材2の軸線Oが延びている方向を軸線方向Daとする。また、軸線Oに直交する方向を径方向とし、径方向で軸線から遠ざかる側を径方向外側と言い、径方向で軸線Oに近づく側を径方向内側という。
また、軸線方向Daであって、壁部10に対して建屋109の内部側であり、壁部10に対して火災が発生すると想定している側を軸線方向一方側Da1(図1紙面左側)とし、壁部10に対して建屋109の外部側を軸線方向他方側Da2(図1紙面右側)とする。
シール構造1は、軸線方向一方側Da1から軸線方向他方側Da2に跨って壁部貫通孔13に挿通されている配設部材2と、壁部貫通孔13と配設部材2との間の空間を閉塞している耐火シール材3とを備えている。
シール構造1は、配設部材2の外周面に周方向に巻きつけられている断熱材4と、壁部貫通孔13内の耐火シール材3よりも軸線方向一方側Da1に配置されて軸線方向他方側Da2から凹む凹部51(空隙部)が形成された耐火部材5と、耐火部材5の凹部51に設けられる熱膨張耐火材6と、配設部材2に固定された筒状固定部材7と、筒状固定部材7に固定されて、耐火部材5の径方向の移動を拘束する拘束部材8と、を備えている。
壁部10には、軸線方向一方側Da1を向いて鉛直面に沿って延在する表面11と、軸線方向他方側Da2を向いて鉛直面に沿って延在する裏面12と、表面11から裏面12に向かって軸線Oを中心とする円形状をなして壁部10を貫通するよう形成された孔部である壁部貫通孔13とが形成されている。
配設部材2は、壁部貫通孔13を軸線方向一方側Da1から軸線方向他方側Da2にわたって挿通するように軸線Oに沿って延びている。本実施形態では、配設部材2として、軸線Oを中心とする円筒状をなして延在する配管が設けられている。
耐火シール材3は、配設部材2の外周面と壁部貫通孔13との内周面との間の空間に充填されている。耐火シール材3は、壁部貫通孔13の軸線方向一方側Da1である壁部10の表面11側の開口を封止して、表面11側から壁部貫通孔13の軸線方向Daの中心部分まで充填されている。耐火シール材3は、配設部材2の外周面と壁部貫通孔13の内周面とに接着により固定されており、配設部材2と壁部貫通孔13との間の空間を閉塞している。
耐火シール材3としては、公知の建築用シール材等を用いることができる。
断熱材4は、配設部材2の外周面に周方向に巻きつけられている第一断熱材41と、第一断熱材41を介して配設部材2の外周面に周方向に巻きつけられている第二断熱材42とを有している。
第一断熱材41及び第二断熱材42は、シート状をなしている。第一断熱材41は、壁部10の表面11から軸線方向一方側Da1に向かって、配設部材2の外周面に周方向に巻きつけられている。
第二断熱材42は、耐火部材5よりも軸線方向一方側Da1で、第一断熱材41及び筒状固定部材7に重ねるように配設部材2の外周面に周方向に巻きつけられている。
第一断熱材41及び第二断熱材42としては、例えば、アルミナシリカ系の原料を繊維化し積層したファインフレックス(登録商標)をブランケット状に成形した断熱材料や保温材料を用いることができる。
耐火部材5は、壁部10における軸線方向一方側Da1で配設部材2の外周面に固定されている。耐火部材5は、壁部10の表面11に密着している。耐火部材5は、耐火シール材3に密着してもよい。なお、図2に示す耐火部材5は、拘束部材8の構成を明確にするために、壁部10の表面11に密着していないが、実際は耐火部材5は壁部10の表面11に密着している。
耐火部材5には、軸線Oを中心として断面円形をなして径方向内側に軸線方向他方側Da2の面から凹む凹部51が形成されている。耐火部材5は、軸線Oを中心に貫通する穴部が設けられて軸線方向Daに沿って延在する円柱状をなしている。耐火部材5は、軸線Oを含む面で分割可能である。
耐火部材5としては、配管に用いられる断熱布団を用いることができる。断熱布団としては、例えば、外側がシリカクロスであるシルテックス(登録商標)を用いて、内部にアルミナシリカ系の原料を繊維化し積層したファインフレックス(登録商標)を詰めたもの等が挙げられる。
熱膨張耐火材6は、耐火部材5の凹部51に配置されており、火炎の熱が伝搬することによって膨張する。本実施形態で用いられる熱膨張耐火材6は、粘土のようにパテ状をなしており、凹部51に充填されている。熱膨張耐火材6は、凹部51に一定量が均一に詰められていれば良く、隙間なく凹部51に詰められていてもよいが、必ず隙間なく凹部51に詰められている必要はない。本実施形態の熱膨張耐火材6は、図2に示すように、断面形状において凹部51の四隅に隙間が生じる程度の量が詰められている。
熱膨張耐火材6としては、火炎のように200℃〜300℃以上の熱が伝搬することによって少なくとも倍以上に膨張する熱膨張性の耐火材料であり、例えば、ファイヤーシャットパテFSPやヒートメルサイレンス等が挙げられる。
筒状固定部材7は、耐火部材5の軸線方向一方側Da1で、第一断熱材41を介して配設部材2の外周面に固定されている円筒状をなす部材である。筒状固定部材7は、拘束部材8と協働して耐火部材5の外周を保持する機能を有している。なお、筒状固定部材7の形状は円筒状に限ることはなく、複数の平面状板を筒状に組み合わせたものとしてもよい。
筒状固定部材7の内径は、第一断熱材41が巻き付けられた配設部材2に筒状固定部材7を取り付けた際に、第一断熱材41が僅かに圧縮される程度に設定されている。筒状固定部材7の外周側には、第二断熱材42が巻き付けられている。
図3に示すように、筒状固定部材7は、軸線Oを含む面で第一筒状固定部材71と、第二筒状固定部材72とに2分割されている。第一筒状固定部材71及び第二筒状固定部材72は、円筒を2分割した形状をなす円筒部15と、円筒部15の周方向の両端辺に設けられた固定部16と、を有している。
固定部16は、円筒部15の周方向の両端辺から径方向外側に突出している。第一筒状固定部材71と第二筒状固定部材72とは、固定部16を介して、ボルト17及びナット18を用いて締結されている。
筒状固定部材7は、ワイヤを固定するためのワイヤ固定部19を有している。ワイヤ固定部19は、筒状固定部材7の外周面に形成された突起と突起に形成された貫通孔とから構成されている。
ワイヤ固定部19は、筒状固定部材7の外周面に周方向に間隔をあけて複数(本実施形態の場合4つ)設けられている。ワイヤ固定部19は、軸線方向他方側Da2の端部に形成されている。ワイヤ固定部19の位置は、筒状固定部材7の外周面であればよく、例えば、軸線方向一方側Da1の端部に設けてもよい。また、ワイヤ固定部19の形状は、ワイヤを固定することができればこれに限ることはない。例えば、筒状固定部材7に直接的に貫通孔を形成してもよい。
拘束部材8は、径方向内側に配設部材2が挿通され、凹部51を除く耐火部材5の軸線方向他方側を向く面5cに当接する環状の環状部材9と、周方向に間隔をあけて複数配置され、耐火部材5の外周面5aに沿って軸線方向Daに延在して筒状固定部材7と環状部材9とを接続する複数の第一ワイヤ20と、を有している。
図4に示すように、環状部材9は、金属板を環状に切り出した形状をなす。換言すれば、環状部材9は、円板状をなし、中央部に円形の貫通孔である熱膨張耐火材用孔21が形成されている。環状部材9に熱膨張耐火材用孔21が形成されていることによって、熱膨張耐火材6の膨張が妨げられることはない。
環状部材9の外径は、耐火部材5の外径よりも小さい。環状部材9の内径は、耐火部材5の内径よりも大きい。環状部材9には、第一ワイヤ20を固定するための貫通孔であるワイヤ固定孔22が形成されている。ワイヤ固定孔22の周方向における位置は、筒状固定部材7のワイヤ固定部19に対応している。ワイヤ固定孔22は、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態の場合4つ)設けられている。
第一ワイヤ20は、筒状固定部材7のワイヤ固定部19のうち一つと環状部材9のワイヤ固定孔22のうち一つとを接続する。第一ワイヤ20の経路は、環状部材9側から順に、耐火部材5の軸線方向他方側を向く面5c、耐火部材5の外周面5a、及び耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bである。換言すれば、第一ワイヤ20は、耐火部材5の外周面5aに沿うとともに、軸線方向Daに延在するように配置されている。なお、図2に示す第一ワイヤ20は、耐火部材5から離間しているが、実際は第一ワイヤ20は耐火部材5の外面に密着している。
なお、第一ワイヤ20を耐火部材5に縫い付けてもよい。第一ワイヤ20を耐火部材5に縫い付けることによって、耐火部材5の拘束力を高めることができる。
第一ワイヤ20によって接続されるワイヤ固定部19とワイヤ固定孔22とは周方向の位置が一致している。第一ワイヤ20は、第一ワイヤ20に適度な張力がかかるように、長さが調整されている。具体的には、第一ワイヤ20は、耐火部材5が環状部材9によって僅かに圧縮される程度の長さに調整されている。
筒状固定部材7、第一ワイヤ20、及び環状部材9は、長時間高温に曝されても変形しない材料によって形成されている。
次に、第一の実施形態のシール構造1の作用について説明する。
第一実施形態のシール構造1では、図2に示すように、配設部材2と壁部貫通孔13との間の空間は、耐火シール材3が充填され隙間なく閉塞されている。そして、凹部51に熱膨張耐火材6を設けた耐火部材5は、壁部10の表面11と隙間なく密着するよう接して配置されている。
しかし、図5に示すように、地震による火災が発生すると、地震の振動によって配設部材2が振動して壁部10に対して相対移動する。配設部材2が壁部10に対して相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線方向他方側Da2の面とが離間して間隙Gが形成される。
その後、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙が形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線方向一方側Da1で火災が発生し、火炎が間隙Gに侵入し始める。ここで、耐火部材5の凹部51が軸線方向他方側Da2から凹んでいるために、凹部51に設けられた熱膨張耐火材6は間隙Gに侵入した火炎に曝される。そのため、耐火部材5の凹部51に設けられた熱膨張耐火材6に間隙Gに侵入してきた火炎による熱が伝搬し、熱膨張耐火材6は膨張を開始する。
図6に示すように、膨張を開始した熱膨張耐火材6は、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが閉塞され、耐火シール材3に火災や熱が到達して損傷するような影響を与えることが防止される。
上記のようなシール構造1によれば、地震等によって配設部材2が壁部10に対して相対移動し、配設部材2の外周面に固定された耐火部材5の軸線方向他方側Da2の面と壁部10の表面11との間に間隙Gが生じても、耐火部材5の軸線方向他方側Da2から凹む凹部51に設けられた熱膨張耐火材6によって間隙Gを閉塞することができる。具体的には、火炎や熱が間隙Gに侵入して耐火シール材3に到達して損傷するような影響を与える前に、火炎の熱が伝搬することによって耐火部材5の凹部51に設けられた熱膨張耐火材6を膨張させることができる。これにより、熱膨張耐火材6を間隙Gで膨張させることで確実に間隙Gを閉塞することができ、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に耐火性を確保することができる。
また、拘束部材8によって耐火部材5の径方向の移動が拘束されることによって、凹部51内に設けられた熱膨張耐火材6が崩れるのを防止することができる。
また、拘束部材8が筒状固定部材7を介して配設部材2に固定されていることによって、より強固に耐火部材5を拘束することができる。
また、第一ワイヤ20によって耐火部材5の外周面5aを拘束することができる。また、環状部材9によって耐火部材5の径方向他方側への移動を拘束することができる。
また、配設部材2の外周面に固定される第一断熱材41を介して耐火部材5を配設部材2の外周面に固定することで、火災が発生した際に配設部材2を介して熱が伝わることを防止することができる。即ち、配設部材2を介して熱膨張耐火材6に熱が伝わることを断熱材4である第一断熱材41によって防止できる。そのため、耐火部材5の軸線方向他方側Da2の面と壁部10の表面11との間に生じた間隙Gに侵入した火炎の熱のみに熱膨張耐火材6を反応させることができる。これにより、間隙Gに侵入した火炎の熱によって、確実に熱膨張耐火材6を膨張させることができるため、耐火部材5と壁部10との間に間隙Gが生じた場合に間隙Gを確実に閉塞することができる。
さらに、耐火部材5の軸線方向一方側Da1で第一断熱材41と第二断熱材42とを重ねて設けることで、軸線方向一方側Da1から配設部材2を介して熱が伝わることをより確実に防止することができる。これにより、間隙Gに侵入した火炎に対した火炎等の熱によって、熱膨張耐火材6を膨張させて間隙Gをより確実に閉塞させることができる。
〔第二の実施形態〕
次に、図7及び図8を参照して第二の実施形態のシール構造1Bについて説明する。第二の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。また、第二の実施形態以降の図においては、断熱材4を省略する。
本実施形態のシール構造1は、環状部材9が第一環状部材9aと第二環状部材9bとからなり、第一環状部材9aと第二環状部材9bが軸線方向他方側Da2から見て熱膨張耐火材6の一部を覆うように形成されている点について、第一の実施形態と相違する。
図7及び図8に示すように、第二の実施形態の拘束部材8Bは、第一の実施形態の環状部材9の代替として、第一環状部材9a及び第二環状部材9bを有している。
第一環状部材9aは、軸線方向他方側Da2から見て熱膨張耐火材6の径方向外側の端部を覆うように形成されている。第一環状部材9aの外径は、凹部51の内径よりもやや大きく、第一環状部材9aの内径は、凹部51の内径よりもやや小さい。即ち、第一環状部材9aは、軸線方向Daから見て、第一環状部材9aの内側が熱膨張耐火材6と重なるように形成されている。
第二環状部材9bの外径は、第一断熱材41の外径よりもやや大きく、第二環状部材9bの内径は、配設部材2の外径よりもやや大きい。即ち、第二環状部材9bは、軸線方向Daから見て、第二環状部材9bの外側が熱膨張耐火材6と重なるように形成されている。
第二環状部材9bと、筒状固定部材7とは、第二ワイヤ23で接続されている。第二ワイヤ23は、第一断熱材41の外周面に沿うとともに、軸線方向Daに延在するように配置されている。
上記実施形態によれば、耐火部材5及び熱膨張耐火材6の軸線方向他方側Da2への移動を拘束することができる。
〔第三の実施形態〕
次に、図9及び図10を参照して第三の実施形態のシール構造1Cについて説明する。第三の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
本実施形態の拘束部材8Cは、第一ワイヤ20をガイドする複数のガイド部材25と、耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bに面接触するように配置され、第一ワイヤ20を軸線方向他方側Da2から支持する複数の板状部材26と、を有している。
ガイド部材25は、内部に第一ワイヤ20が挿通される管状の部材である。ガイド部材25は、第一ワイヤ20によって耐火部材5が過剰に撓むのを防止する機能を有する。ガイド部材25の長さは、耐火部材5の軸線方向Daの長さと略同一である。ガイド部材25は、第一ワイヤ20を径方向内側から支持する機能を有している。
ガイド部材25の内径は、第一ワイヤ20の外径よりも十分大きい。
板状部材26は、耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bの径方向内側に、第一ワイヤ20に沿うように配置されている。板状部材26には、第一ワイヤ20を挿通するためのワイヤ挿通孔27が設けられている。第一ワイヤ20を板状部材26のワイヤ挿通孔27に挿通させることによって、板状部材26を耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bに密着させることができる。
上記実施形態によれば、耐火部材5の外周面5aに軸線方向Daに沿うように第一ワイヤ20をガイドするガイド部材25を配置することによって、耐火部材5の軸線方向Daの収縮を抑制することができる。
また、耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bを覆う板状部材26を配置することによって、耐火部材5の変形を更に抑制することができる。
上記実施形態の第一の変形例について説明する。
図11に示すように、本変形例のガイド部材25Aは、断面U字状をなす長尺状のガイド部材本体28と、ガイド部材本体28の長手方向の両端部に形成された板状部29と、を有している。
ガイド部材本体28は、軸線方向Daに延在する矩形状のガイド部材底部30と、ガイド部材底部30の長手方向に沿う両側辺からガイド部材底部30に直交する方向に立ち上がる一対のガイド部材側部31と、を有している。
板状部29は、ガイド部材底部30の長手方向の両端部から、ガイド部材側部31とは反対側に立ち上がるように形成されている。
本変形例によれば、ガイド部材25Aを板金加工によって形成することができる。
次に、上記実施形態の第二の変形例について説明する。
図12に示すように、本変形例の板状部材26Aは、耐火部材5の軸線方向一方側Da1を向く面5bの径方向外側に、配置されている。板状部材26Aは、周方向に隣り合う板状部材26Aとオーバーラップするように形成されている。板状部材26Aは扇状に形成することが好ましい。
〔第四の実施形態〕
次に、図13及び図14を参照して第四の実施形態のシール構造1Dについて説明する。第四の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態の筒状固定部材7Dは、円筒部15Dの軸線方向Daの長さが第一実施形態の円筒部15(図2参照)より長い。筒状固定部材7Dは、軸線方向Daにおいて耐火部材5の軸線方向他方側を向く面5cまで延在している。即ち、本実施形態の筒状固定部材7Dは、径方向から見て耐火部材5とオーバーラップするように形成されている。
図14に示すように、円筒部15Dの軸線方向他方側Da2の端部には、径方向外側に突出するフランジ部32が形成されている。フランジ部32は、円筒部15Dの軸線方向他方側Da2の端部において、周方向の全体に亘って形成されている。フランジ部32は、熱膨張耐火材6の飛び出しを防止する。なお、フランジ部32は、周方向の全体に亘って形成されている必要はなく、周方向の一部にのみ形成してもよい。
上記実施形態によれば、筒状固定部材7Dを用いて熱膨張耐火材6の移動を拘束して、熱膨張耐火材6の飛び出しを防止することができる。
〔第五の実施形態〕
次に、図15及び図16を参照して第五の実施形態のシール構造1Eについて説明する。第五の実施形態においては、第四の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図15に示すように、本実施形態の拘束部材8Eは、第一ワイヤ20から分岐する熱膨張耐火材固定ワイヤ34を有している。熱膨張耐火材固定ワイヤ34は、環状部材9と筒状固定部材7Dとを接続する第一ワイヤ20の分岐部35から分岐している。
第一ワイヤ20の分岐部35の位置は、軸線方向Daにおいて、第一ワイヤ20の耐火部材5の外周面5aに沿う部位であり、熱膨張耐火材6の中心位置と同じである。図16に示すように、熱膨張耐火材固定ワイヤ34は、分岐部35から径方向内側に向かって耐火部材5及び熱膨張耐火材6を貫通して、径方向に延在している。熱膨張耐火材固定ワイヤ34は、筒状固定部材7Dの外周面に、固定されている。
上記実施形態によれば、熱膨張耐火材6の軸線方向一方側の軸線方向Daの移動が拘束される。これにより、熱膨張耐火材6の飛び出しを防止することができる。
〔第六の実施形態〕
次に、図17及び図18を参照して第六の実施形態のシール構造1Fについて説明する。第六の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図17に示すように、本実施形態の拘束部材8Fは、第一ワイヤ20から分岐する複数(本実施形態は2本)の耐火部材固定ワイヤ36を有している。耐火部材固定ワイヤ36の分岐部35Fは、第一ワイヤ20のうち耐火部材5の外周面5aに沿う部位に位置している。周方向に延在する耐火部材固定ワイヤ36の途中に図22に示すような引張コイルばね53及びターンバックル54を設けてもよい。
図18に示すように、耐火部材固定ワイヤ36は、耐火部材5の外周面5aの全周に亘って、周方向に延在している。耐火部材固定ワイヤ36は、複数の第一ワイヤ20に固定されている。耐火部材固定ワイヤ36の長さは、耐火部材5を僅かに圧縮する程度の張力となるように、調節されている。耐火部材固定ワイヤ36の数は、1本でもよいし、3本以上としてもよい。
耐火部材固定ワイヤ36は、第二の実施形態−第五の実施形態の拘束部材8にも適用することができる。
上記実施形態によれば、耐火部材5の外周面からの拘束力をより強めることができる。
〔第七の実施形態〕
次に、図19及び図20を参照して第六の実施形態のシール構造1Gについて説明する。第六の実施形態においては、第一の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図19及び図20に示すように、本実施形態の拘束部材8Gは、筒状固定部材7に支持部材38を介して固定された、複数(本実施形態は4つ)の押え棒39(棒状部材)を備えている。なお、図19及び図20においては、第一断熱材41及び第二断熱材42(図2参照)を省略している。
支持部材38は、筒状固定部材7の外周面に周方向に間隔をあけて複数設けられている。支持部材38は、筒状固定部材7の軸線方向他方側Da2の端部の外周面から径方向外側に突出する部材である。支持部材38の径方向外側には、軸線方向Daに貫通するとともに径方向に延在する、長孔44が形成されている。
支持部材38の径方向内側の根元は、第一補強部材45によって補強されている。第一補強部材45は、支持部材38の軸線方向一方側を向く面と、筒状固定部材7の外周面に、例えば、溶接によって固定されている。支持部材38と筒状固定部材7との少なくとも一方と、第一補強部材45とは、例えば、螺子によって締結してもよい。
周方向に隣り合う支持部材38同士を第二補強部材46で補強することもできる。
各々の押え棒39は、支持部材38の径方向外側に固定され、軸線方向Daに延在して耐火部材5の外周側を拘束する長尺状の部材である。押え棒39は、押え棒39の径方向を向く面が耐火部材5の外周面5aに当接する位置に固定されている。
押え棒39の一方の端面には、軸線方向Daに沿って雌螺子穴が形成されている。各々の押え棒39は、径方向から耐火部材5を保持するように配置されている。具体的には、押え棒39は、押え棒39の径方向内側が耐火部材5を僅かに圧縮するような位置に固定されている。
押え棒39は、ボルト47によって支持部材38に固定されている。押え棒39の数は、耐火部材5の外径等に応じて適宜変更することができる。
なお、押え棒39の断面形状は、円形に限ることはない。例えば、断面矩形状の板状の押え棒39を用いて、押え棒39の平面が耐火部材5の外周面5aに接するように配置してもよい。押え棒39を板状とすることによって、押え棒39の軽量化を図り、設置作業を容易とすることができる。
上記実施形態によれば、軸線方向Daに延在する押え棒39によって耐火部材5の外周面5aを径方向から拘束することができる。
また、長孔44に沿って押え棒39を径方向に移動させることによって、押え棒39から耐火部材5に与える圧力を調整することができる。
〔第八の実施形態〕
次に、図21及び図22を参照して第八の実施形態のシール構造1Hについて説明する。第八の実施形態においては、第七の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図21及び図22に示すように、本実施形態の拘束部材8Hは、複数の押え棒39を径方向外側から締め付ける複数(本実施形態は3本)の締め付けワイヤ48を有している。
本実施形態の押え棒39には、複数のワイヤ溝49が形成されている。ワイヤ溝49は、押え棒39の外周面に形成され、周方向に延在する凹状の溝である。ワイヤ溝49は、締め付けワイヤ48の外径よりも大きな幅、及び締め付けワイヤ48の外径よりも大きな深さで形成されている。
締め付けワイヤ48は、複数の押え棒39を径方向外側から締め付けるように配置されている。締め付けワイヤ48の端部同士は、引張コイルばね53及びターンバックル54を介して接続されている。
締め付けワイヤ48の数は、耐火部材5の軸線方向Daの長さ等に応じて適宜変更することができる。締め付けワイヤ48は、1本でもよいし、4本以上でもよい。
上記実施形態によれば、締め付けワイヤ48を用いて耐火部材5の外周面5aを拘束することができる。
また、締め付けワイヤ48の両端部を引張コイルばね53を介して接続することによって、締め付けワイヤ48に適度な張力を与えることができる。また、締め付けワイヤ48の両端部をターンバックル54を介して接続することによって締め付けワイヤ48の長さを容易に調整することができる。
〔第九の実施形態〕
次に、図23及び図24を参照して第九の実施形態のシール構造1Jについて説明する。第九の実施形態においては、第七の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図23及び図24に示すように、本実施形態の拘束部材8Jの支持部材38Jは、筒状固定部材7に固定された2本の横梁部材55と、2本の横梁部材55に固定された2本の縦梁部材56から構成されている。押え棒39は、2本の横梁部材55及び2本の縦梁部材56のそれぞれの両端に取り付けられている。
2本の横梁部材55は、長尺状の板状部材であり、互いに平行となるように、かつ、水平方向に延在するように、筒状固定部材7の外周面に、例えば、溶接によって接合されている。横梁部材55の長手方向の両端部には、軸線方向Daに貫通する第二長孔57が形成されている。第二長孔57は、横梁部材55の長手方向に長さを有する貫通孔である。
2本の縦梁部材56は、長尺状の板状部材であり、互いに平行となるように、かつ、横梁部材55と直交するように、横梁部材55に固定されている。縦梁部材56と横梁部材55とは、例えば、ボルト60によって固定することができる。縦梁部材56の長手方向の両端部には、軸線方向Daに貫通する第三長孔58が形成されている。第三長孔58は、縦梁部材56の長手方向に長さを有する貫通孔である。
なお、本実施形態の横梁部材55は、水平方向に延在するように固定されているが、横梁部材55が互いに平行であれば、これに限ることはなく、横梁部材55が鉛直方向に延在するようにしてもよい。
上記実施形態によれば、支持部材38Jを骨組み構造としたことによって、支持部材38Jの強度を向上させることができる。
〔第十の実施形態〕
次に、図25及び図26を参照して第十の実施形態のシール構造1Kについて説明する。第十の実施形態においては、第九の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図25及び図26に示すように、本実施形態の拘束部材8Kは、横梁部材55及び縦梁部材56と、横梁部材55及び縦梁部材56に固定された差し込み棒59(棒状部材)を備えている。差し込み棒59は、耐火部材5の軸線方向一方側を向く面5bから耐火部材5の内部に突き刺されるように配置されている。
差し込み棒59の軸線方向他方側Da2の端部は、頂点が軸線方向他方側Da2を向く円錐状に形成されている。即ち、差し込み棒59の軸線方向他方側Da2の端部は、軸線方向他方側Da2に向かうに従って漸次直径が細くなり、先端が尖るように形成されている。
上記実施形態によれば、差し込み棒59を耐火部材5に突き刺す構造としたことによって、耐火部材5の径方向の移動と周方向の移動を拘束することができる。
〔第十一の実施形態〕
次に、図27及び図28を参照して第十一の実施形態のシール構造1Lについて説明する。第十一の実施形態においては、第七の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図27及び図28に示すように、本実施形態の拘束部材8Lは、耐火部材5の外周面5aを覆う円筒形状の耐火部材カバー61(筒状拘束部材)と、耐火部材カバー61と筒状固定部材7とを接続する支持板62(支持部材)とを備えている。
耐火部材カバー61は、薄板によって形成された円筒形状の部材である。耐火部材カバー61は、筒状固定部材7(図3参照)と同様に2分割されている。耐火部材カバー61の内径は、耐火部材5を僅かに圧縮する程度に設定されている。耐火部材カバー61の軸線方向Daの長さは、耐火部材5の軸線方向Daの長さを略同一である。
支持板62は、薄板によって形成された円形の板である。支持板62には、支持板62の外形と同心状に形成された支持板貫通孔62aが形成されている。支持板貫通孔62aの直径は、筒状固定部材7の外径と略同じである。
支持板62は、支持板62の主面と筒状固定部材7の中心軸とが直交するように、筒状固定部材7の軸線方向他方側Da2の端部に、例えば、溶接によって接合されている。支持板62の外周は、耐火部材カバー61の軸線方向一方側Da1の端部に、周方向全周に亘って、例えば、溶接によって接合されている。
上記実施形態によれば、耐火部材5の変形を周方向全周に亘って拘束することができる。
なお、耐火部材カバー61の軽量化を図るために、耐火部材カバー61に規則的に複数の孔を形成してもよい。即ち、耐火部材カバー61をパンチングメタルによって形成してもよい。支持板62も同様に、パンチングメタルによって形成してもよい。
〔第十二の実施形態〕
次に、図29及び図30を参照して第十二の実施形態のシール構造1Mについて説明する。第十二の実施形態においては、第七の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図29及び図30に示すように、本実施形態の拘束部材8Mは、基端側が筒状固定部材7の外周面7aに固定され、先端側が耐火部材5の外周面5aに当接するように形成された弾性を有する複数のバネ状押え部材64(バネ状部材)である。
バネ状押え部材64は、複数個所が湾曲した棒状をなし、ばね鋼鋼材のようなばね性能を有する材料によって形成されている。バネ状押え部材64は、筒状固定部材7の外周面7aに固定される基部65と、耐火部材5の外周面5aを押さえる押え部66と、基部65と押え部66とを接続する接続部67と、を有している。
基部65は、軸線方向一方側Da1にて直線状をなす部位である。押え部66は、基部65の両端部にて固定された状態で、先端部が耐火部材5の外周面5aの軸線方向Daの略中央を径方向内側に押圧するように形成されている。
バネ状押え部材64は、周方向に間隔をあけて複数固定されている。バネ状押え部材64は、例えば、20°−30°間隔で取り付けることが好ましい。
なお、本実施形態のバネ状押え部材64は、断面円形の棒状をなすものとしたが、これに限ることはない。バネ状押え部材64は、例えば、板バネを変形させて形成することもできる。
上記実施形態によれば、耐火部材5の外周面5aがバネ状押え部材64の押え部66により径方向外側から押圧されることによって、耐火部材5を拘束して変形を抑制することができる。
〔第十三の実施形態〕
次に、図31を参照して第十三の実施形態のシール構造1Nについて説明する。第十三の実施形態においては、第十二の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図31に示すように、本実施形態のバネ状押え部材64Nは、耐火部材5の軸線方向Daの動きを抑制する鉤状部68を有している。
鉤状部68はバネ状押え部材64Nの軸線方向他方側Da2の端部に設けられている。鉤状部68は、バネ状押え部材64Nの軸線方向他方側Da2の端部から径方向内側に突出するように形成されている。
本実施形態の押え部66Nは、複数個所で耐火部材5の外周面5aに接するように形成されている。押え部66Nは、耐火部材5の外周面5aの軸線方向一方側Da1の端部と、軸線方向Daにおける中央部近傍を押さえるように形成されている。押え部66Nは、軸線方向他方側Da2に端部に設けられた鉤状部68と、耐火部材5の外周面5aの軸線方向一方側Da1の端部を径方向内側に押圧する第一押圧部69と、鉤状部68と第一押圧部69との間に形成されて軸線方向Daの両側から径方向内側に湾曲するように形成された第二押圧部70と、を有している。
上記実施形態によれば、バネ状押え部材64Nの軸線方向他方側Da2に設けられた鉤状部68によって、耐火部材5の軸線方向Daの移動を拘束することができる。
〔第十四の実施形態〕
次に、図32を参照して第十四の実施形態のシール構造1Pについて説明する。第十四の実施形態においては、第十三の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図32に示すように、本実施形態の拘束部材8Pは、筒状固定部材7に固定された複数のバネ状押え部材64Nに巻き付けられたバネ締め付けワイヤ73を有している。
バネ締め付けワイヤ73は、バネ状押え部材64Nの押え部66において径方向内側に湾曲している部位に巻き付けられている。バネ締め付けワイヤ73の端部同士は、第八実施形態の締め付けワイヤ48と同様に、引張コイルばね53及びターンバックル54を介して接続されている。
上記実施形態によれば、バネ状押え部材64Nの剛性を増加させることができる。
また、バネ締め付けワイヤ73の両端部を引張コイルばね53を介して接続することによって、バネ締め付けワイヤ73に適度な張力を与えることができる。また、バネ締め付けワイヤ73の両端部をターンバックル54を介して接続することによってバネ締め付けワイヤ73の長さを容易に調整することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、本実施形態では、建屋109の壁部10にシール構造1を形成したが、これに限られるものではなく、建屋109の床部や天井部にシール構造1を設けても良い。
また、本実施形態では、壁部貫通孔13を壁面に設けられた貫通孔としたがこれに限られるものではなく、建屋109の壁部10等の構造物の表面11から窪んで形成される空間であっても良い。
さらに、壁部貫通孔13は軸線に直交する断面形状が円形をなしているが、他の断面形状であっても良い。
また、配設部材2は、円筒状をなす配管に限られるものではなく、例えば、断面が矩形状の配管であったり、配管ではなくケーブル等であったりしても良い。
熱膨張耐火材6は、本実施形態のように、粘土のようにパテ状をなしているものに限定されない。例えば、短冊状をなす熱膨張耐火材6を積層して耐火部材5の凹部51に詰めたり、長尺のシート状をなすように帯状に形成されていても良い。
〔第十五の実施形態〕
次に、図33及び図34を参照して第十五の実施形態のシール構造1Qについて説明する。第十五の実施形態においては、第九の実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分については詳細な説明を省略する。
図33及び図34に示すように、本実施形態の拘束部材8Qは、支持部材38Jの横梁部材55と縦梁部材56に対して摺動可能な押え棒39Q(棒状部材)と、押え棒39Qの軸線方向他方側Da2に固定されている外側環状部材81と、外側環状部材81の径方向内側に配置されている内側環状部材82と、外側環状部材81と内側環状部材82とを接続する複数の接続部材83と、外側環状部材81と内側環状部材82との間の熱膨張耐火材6の軸線方向他方側Da2に固定されている網部84と、を有している。
押え棒39Qは、支持部材38Jに対して摺動可能に接続されている。
押え棒39Qは、横梁部材55及び縦梁部材56に形成されている梁貫通孔85に挿通されている。押え棒39Qは、押え棒本体39aと、押え棒本体39aの軸線方向一方側Da1の端部に設けられているスライド制限部86と、を有している。
押え棒本体39aは円柱状をなしている。押え棒本体39aの直径は、梁貫通孔85の内径よりも小さい。スライド制限部86は、押え棒本体39aの直径及び梁貫通孔85の内径よりも大きな部材である。
外側環状部材81は、押え棒本体39aの軸線方向他方側Da2の端部に固定されている円板状の部材である。外側環状部材81は、軸線方向他方側Da2から耐火部材5の軸線方向他方側Da2を向く面5cを支持している。外側環状部材81の主面は軸線Oと直交している。外側環状部材81には、配設部材2が挿通される貫通孔81aが形成されている。貫通孔81aの内径は、凹部51(空隙部)の軸線方向他方側Da2の開口部51aの直径よりも小さい。即ち、外側環状部材81の一部は、軸線方向Daから見て、熱膨張耐火材6と重なっている。
内側環状部材82は、第一断熱材41と熱膨張耐火材6との間に配置されている円筒形状の円筒部82aと円筒部82aの軸線方向他方側Da2の端部に形成されているフランジ部82bと、を有している。
フランジ部82bは、円筒部82aの軸線方向他方側Da2の端部から、径方向外側に突出している。内側環状部材82の一部であるフランジ部82bは、軸線方向Daから見て、熱膨張耐火材6と重なるように形成されている。
接続部材83は、外側環状部材81と内側環状部材82とを接続する金具である。複数の接続部材83は、周方向に間隔をあけて配置されている。接続部材83は、凹部51の内周面に沿って軸線方向Daに延びる接続部材第一部83aと凹部51の軸線方向他方側Da2を向く面に沿って径方向に延びる接続部材第二部83bと、を有している。
接続部材第一部83aの軸線方向他方側Da2の端部は、外側環状部材81に固定されている。接続部材第二部83bの径方向内側の端部は、内側環状部材82の円筒部82aの外周面に固定されている。
押え棒39Qがスライド移動することによって、押え棒39に固定されている外側環状部材81、接続部材83、及び内側環状部材82も移動する。
網部84は、凹部51の開口部51aを軸線方向他方側Da2から覆うように外側環状部材81と内側環状部材82との径方向の間に網形状に形成されている。網部84は、ワイヤーによって形成されている。網部84は、同心円状に配置される複数の横糸部84aと、内側環状部材82から外側環状部材81に向かって放射状に配置される複数の縦糸部84bとを有している。網部84は、複数の横糸部84aと縦糸部84bとによって、複数の支持孔部84cを形成する網形状を構成している。
横糸部84aは、軸線Oを中心として円形状に複数形成される。本実施形態における横糸部84aは、内側環状部材82の外周と外側環状部材81の内周との間で、径方向に等間隔に離間して配置される。具体的には、横糸部84aは、同心円状に軸線Oを中心に二段にわたって形成されている。
ここで、内側環状部材82側である内側の横糸部84aを第一横糸部、外側環状部材81側である外側の横糸部84aを第二横糸部とする。横糸部84aは、内側環状部材82の外周と第一横糸部との間に第一層目の空間を形成し、第一横糸部と第二横糸部との間に第二層目の空間を形成し、第二横糸部と、外側環状部材81の内周と間に第三層目の空間を形成している。
縦糸部84bは、軸線Oを中心として放射状に複数配置される。本実施形態における縦糸部84bは、内側環状部材82の外周と第一横糸部との間の第一層目の空間や、第一横糸部と第二横糸部との間の第二層目の空間や、第二横糸部と外側環状部材81の内周と間の第三層目の空間に、周方向に等間隔に離間して配置される。
縦糸部84bは、径方向に隣接する異なる層の空間ごとに、縦糸部84bが重ならないよう周方向に互い違いに配置されている。例えば、本実施形態では、第一層目の空間に配置される縦糸部84bは、第二層目の空間に配置される縦糸部84bに対して周方向にずれて配置される。そして、第三層目の空間に配置される縦糸部84bは、第二層目の空間に配置される縦糸部84bに対して周方向にずれて配置されつつ、第一層目の空間に配置される縦糸部84bに対しては周方向の同じ位置に配置される。
即ち、縦糸部84bは、一の横糸部84aの径方向外側の縦糸部84bと、一の横糸部84aの径方向外側の縦糸部84bとの周方向の位置が異なっている。
次に、上記構成の第十五実施形態のシール構造1Qの作用について説明する。
上記のような第十五実施形態のシール構造1Qでは、図35に示すように、地震の振動によって配設部材2が振動して支持部材38Jと壁部10とが近づく方向に相対移動すると、押え棒39Qの軸線方向他方側Da2(外側環状部材81)が壁部10に押されることにより、支持部材38Jに対して押え棒39Qが軸線方向一方側Da1に相対移動する。これにより、シール構造1Qの耐火部材5は軸線方向Daに圧縮されるものの、シール構造1Qの拘束部材8Q、特に、支持部材38Jの変形が抑制される。
また、配設部材2が壁部10に対して軸線方向一方側Da1に相対移動することにより、耐火部材5も配設部材2とともに移動し、壁部10の表面11と耐火部材5の軸線方向他方側Da2の面とが離間して間隙Gが形成される。
ここで、本実施形態のシール構造1Qは、外側環状部材81、内側環状部材82、及び網部84を有しているため、耐火部材5の凹部51に詰められた熱膨張耐火材6を間隙Gに向かって飛び出さない。
図36に示すように、耐火部材5と壁部10の表面11と間に間隙Gが形成されている状態で、壁部10の表面11に面した軸線方向一方側Da1で火災が発生すると、火炎が間隙Gに侵入し始める。
ここで、耐火部材5の凹部51が軸線方向他方側Da2から凹んでいるために、凹部51に設けられた熱膨張耐火材6は間隙Gに侵入した火炎に曝される。そのため、耐火部材5の凹部51に設けられた熱膨張耐火材6に間隙Gに侵入してきた火炎による熱が伝搬し、熱膨張耐火材6は膨張を開始する。
膨張を開始した熱膨張耐火材6は、網部84によって形成されている支持孔部84cから間隙Gに飛び出す。間隙Gに飛び出した熱膨張耐火材6は、間隙G内を壁部10に沿って膨張しながら進む。そして、熱膨張耐火材6が、間隙G内で膨張することで壁部10と耐火部材5との間隙Gが閉塞され、耐火シール材3に火災や熱が到達して損傷するような影響を与えることが防止される。
上記実施形態によれば、押え棒39Qが支持部材38Jに対して摺動可能に接続されている。これにより、支持部材38Jと壁部10とが近づく方向に相対移動して、押え棒39Qが壁部10に当接することにより支持部材38Jが変形するのを抑制することができる。また、支持部材38Jの変形に伴って、筒状固定部材7に巻き付けられている第二断熱材42がずれるのを抑制することができる。
また、拘束部材8Qに網部84が設けられていることによって、耐火部材5の凹部51内に設けられている熱膨張耐火材6が飛び出すのを抑制することができる。
また、一の横糸部84aの径方向外側の縦糸部84bと、一の横糸部84aの径方向外側の縦糸部84bとの周方向の位置が異なっている。これにより、熱により膨張した熱膨張耐火材6が網部84によって分断される際に、大きな塊となって分断されることなく、熱膨張耐火材6をバランスよく膨張させることができる。
また、外側環状部材81の一部及び内側環状部材82の一部が軸線方向Daから見て熱膨張耐火材6と重なっていることによって、外側環状部材81と内側環状部材82とで、熱膨張耐火材6が飛び出すのを抑制することができる。
なお、上記実施形態において、網部84は必ずしも設ける必要はない。即ち、外側環状部材81と内側環状部材82とで熱膨張耐火材6が飛び出すのを抑制する構成としてもよい。このような構成とすることによって、熱膨張耐火材6が熱により膨張する際に、より膨張し易くなる。
本発明は、シール構造に関するものであり、ガスタービンまたは蒸気タービン等を収容する建屋および建屋を備えた発電プラント、化学プラントならびに船舶などにおいて有益に利用することができる。
1 シール構造
2 配設部材
2a 蒸気配管
2b 給水配管
3 耐火シール材
4 断熱材
5 耐火部材
5a 外周面
6 熱膨張耐火材
7,7D 筒状固定部材
8 拘束部材
9 環状部材
9a 第一環状部材
9b 第二環状部材
10 壁部
11 表面
12 裏面
13 壁部貫通孔(孔部)
15,15D 円筒部
16 固定部
17 ボルト
18 ナット
19 ワイヤ固定部
20 第一ワイヤ
21 熱膨張耐火材用孔
22 ワイヤ固定孔
23 第二ワイヤ
25,25A ガイド部材
26,26A 板状部材
27 ワイヤ挿通孔
28 ガイド部材本体
29 板状部
30 ガイド部材底部
31 ガイド部材側部
32 フランジ部
34 熱膨張耐火材固定ワイヤ
35,35F 分岐部
36 耐火部材固定ワイヤ
38,38J 支持部材
39 押え棒
39a 押え棒本体
41 第一断熱材
42 第二断熱材
44 長孔
45 第一補強部材
46 第二補強部材
48 締め付けワイヤ
49 ワイヤ溝
51 凹部
53 引張コイルばね
54 ターンバックル
55 横梁部材
56 縦梁部材
57 第二長孔
58 第三長孔
59 差し込み棒
61 耐火部材カバー
62 支持板
64,64N バネ状押え部材
65 基部
66,66N 押え部
67 接続部
68 鉤状部
69 第一押圧部
70 第二押圧部
71 第一筒状固定部材
72 第二筒状固定部材
73 バネ締め付けワイヤ
81 外側環状部材
82 内側環状部材
82a 円筒部
82b フランジ部
83 接続部材
84 網部
84a 横糸部
84b 縦糸部
84c 支持孔部
86 スライド制限部
100 発電プラント
101 加圧水型原子炉
109 建屋
Da 軸線方向
Da1 軸線方向一方側
Da2 軸線方向他方側
O 軸線

Claims (18)

  1. 壁部に形成された孔部を挿通するように軸線に沿って延びる配設部材と、
    前記配設部材の外周面と前記孔部の内周面との空間を閉塞する耐火シール材と、
    前記壁部における前記軸線方向一方側で前記配設部材の外周面に固定されて、前記壁部に接するとともに径方向内側に前記軸線方向他方側から凹む凹部が形成された耐火部材と、
    前記凹部内に設けられ、熱によって膨張する熱膨張耐火材と、
    前記耐火部材の前記軸線方向一方側で、前記配設部材の外周面に固定された筒状をなす筒状固定部材と、
    前記筒状固定部材に固定されて、前記耐火部材の径方向の移動を拘束する拘束部材と、を備えるシール構造。
  2. 前記拘束部材は、前記筒状固定部材の外周面に周方向に間隔をあけて複数設けられて、径方向外側に突出する複数の支持部材と、
    各々の前記支持部材の径方向外側に固定され、前記軸線方向に延在して前記耐火部材の外周側を拘束する複数の長尺状の棒状部材と、を有する請求項1に記載のシール構造。
  3. 前記棒状部材は、前記棒状部材の径方向を向く面が前記耐火部材の外周面に当接する位置に固定されている請求項2に記載のシール構造。
  4. 前記棒状部材は、前記支持部材に対して摺動可能に接続されている請求項3に記載のシール構造。
  5. 複数の前記棒状部材の前記軸線方向他方側に固定され、径方向内側に前記配設部材が挿通される外側環状部材と、
    前記外側環状部材の径方向内側に配置され、径方向内側に前記配設部材が挿通される内側環状部材と、
    前記外側環状部材と前記内側環状部材とを接続する接続部材と、
    前記外側環状部材と前記内側環状部材との間の前記熱膨張耐火材の前記軸線方向他方側に固定されている網部と、有し、
    前記網部は、同心円状に配置されている複数の横糸部と、径方向に沿って放射状に配置されている複数の縦糸部と、を有し、
    一の前記横糸部の径方向外側の前記縦糸部と、前記一の横糸部の径方向外側の前記縦糸部との周方向の位置が異なっている請求項4に記載のシール構造。
  6. 前記外側環状部材の一部及び前記内側環状部材の一部は、前記軸線方向から見て前記熱膨張耐火材と重なっている請求項5に記載のシール構造。
  7. 前記棒状部材は、軸線方向他方側の端部が尖るように形成されており、前記耐火部材の軸線方向一方側を向く面から耐火部材の内部に突き刺されるように配置されている請求項2に記載のシール構造。
  8. 前記拘束部材は、径方向内側に前記配設部材が挿通され、前記凹部を除く前記耐火部材の軸線方向他方側を向く面に当接する環状の環状部材と、
    周方向に間隔をあけて複数配置され、前記耐火部材の外周面に沿って軸線方向に延在して前記筒状固定部材と前記環状部材とを接続するワイヤと、を有する請求項1に記載のシール構造。
  9. 前記環状部材は、軸線方向他方側から見て前記熱膨張耐火材の径方向外側の端部を覆うように形成されている請求項8に記載のシール構造。
  10. 前記耐火部材の軸線方向の長さと同じ長さを有し、前記耐火部材の外周面に沿って軸線方向に延在して前記ワイヤを径方向内側から支持するガイド部材を有する請求項8又は請求項9に記載のシール構造。
  11. 前記耐火部材の軸線方向一方側を向く面を覆い、前記ワイヤを軸線方向他方側から支持する板状部材を有する請求項10に記載のシール構造。
  12. 前記筒状固定部材は、軸線方向において前記耐火部材の軸線方向他方側を向く面まで延在しており、
    前記筒状固定部材の軸線方向他方側の端部には、径方向外側に突出するフランジ部が形成されている請求項8から請求項11のいずれか一項に記載のシール構造。
  13. 前記ワイヤのうち前記耐火部材の外周面に沿う部位から分岐し、径方向内側に向かって前記耐火部材及び前記熱膨張耐火材を貫通して前記筒状固定部材に接続される熱膨張耐火材固定ワイヤを有する請求項12に記載のシール構造。
  14. 前記ワイヤのうち前記耐火部材の外周面に沿う部位から分岐し、前記耐火部材の外周面の全周に亘って周方向に延在して前記ワイヤを互いに接続する耐火部材固定ワイヤを有する請求項8から請求項13のいずれか一項に記載のシール構造。
  15. 前記拘束部材は、前記耐火部材の外周面を覆う筒状拘束部材と、
    前記筒状拘束部材と前記筒状固定部材とを接続する支持部材と、を有する請求項1に記載のシール構造。
  16. 前記拘束部材は、基端側が前記筒状固定部材の外周面に固定され、先端側が前記耐火部材の外周面に当接するように形成された弾性を有するバネ状部材である請求項1に記載のシール構造。
  17. 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のシール構造を備える建屋。
  18. 請求項17に記載の建屋を備える発電プラント。
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