JP2015055739A - マイクロレンズ素子、光変調装置およびプロジェクター - Google Patents

マイクロレンズ素子、光変調装置およびプロジェクター Download PDF

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Abstract

【課題】スペックルノイズが少なく、光利用効率が高いプロジェクターに用いて好適なマイクロレンズ素子を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロレンズ素子は、第1のマイクロレンズ層11を備え、第1のマイクロレンズ層11は、周辺領域に設けられた第1のマイクロレンズ18と、中心領域に設けられた第2のマイクロレンズ19と、を含む。第2のマイクロレンズ19に入射してマイクロレンズ素子から射出された光の角度分布の均一性は、第1のマイクロレンズ18に入射してマイクロレンズ素子から射出された光の角度分布の均一性よりも高く、第1のマイクロレンズ18に入射してマイクロレンズ素子から射出された光の中心強度は、第2のマイクロレンズ19に入射してマイクロレンズ素子から射出された光の中心強度よりも高い。
【選択図】図2

Description

本発明は、マイクロレンズ素子、光変調装置およびプロジェクターに関する。
近年、映像の高輝度化を図る目的で、プロジェクターの光源としてレーザー光源を用いることが検討されている。ところが、レーザー光源から射出される光は可干渉性を有するため、スペックルノイズが発生し、表示品位が低下することが問題となる。スペックルノイズは、投写光学系から射出された光が被投写面上で散乱し、散乱光が干渉して生じるノイズである。
この種のスペックルノイズを低減する手段として、投写光学系の射出瞳面における光強度の空間分布を均一化するための拡散光学素子を備えた投写型映像表示装置が開示されている(下記の特許文献1参照)。また、液晶ライトバルブを構成する薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)アレイ基板上に回折光学素子や光拡散層を形成し、透過光を拡散させることによりスペックルノイズを低減するプロジェクターが開示されている(下記の特許文献2参照)。
一方、液晶パネルに対向して配置されるマイクロレンズアレイにおいて、偏光解消の低減、光利用効率の確保を目的として、曲率半径が異なる複数種のマイクロレンズが周期的に配置されたプロジェクター装置が開示されている(下記の特許文献3参照)。
特開2011−180281号公報 特開2010−39137号公報 特開2005−352392号公報
レーザー光源等の固体光源を用いたプロジェクターにおいて、スペックルノイズの低減は一つの課題であるが、それに加え、例えば投写光学系でのケラレを低減することで光利用効率を向上することが要求されている。しかしながら、上記の従来技術はこの要求を満足できるものではなかった。
例えば特許文献1の投写型映像表示装置では、光強度の空間分布を均一化するため、拡散光学素子を光路上に配置する必要がある。この場合、拡散光学素子を追加したことにより光利用効率が低下する。同様に、特許文献2のプロジェクターにおいても、回折光学素子や光拡散層を用いることにより光利用効率が低下する。TFT基板上に回折光学素子や光拡散層を形成しなければならず、製造プロセスが複雑になる、という別の問題もある。特許文献3のプロジェクター装置は、スペックルノイズについて何ら考慮されておらず、スペックルノイズを低減できるものではない。
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであって、スペックルノイズが少なく、光利用効率が高いプロジェクターを提供することを目的の一つとする。また、この種のプロジェクターに用いて好適なマイクロレンズ素子および光変調装置を提供することを目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子は、複数の画素を含む光変調領域を備えた光変調素子に設けられるマイクロレンズ素子であって、第1のマイクロレンズ層を備え、前記第1のマイクロレンズ層は、前記マイクロレンズ素子の周辺領域に設けられた第1のマイクロレンズと、前記マイクロレンズ素子の中心領域に設けられた第2のマイクロレンズと、を含み、前記第2のマイクロレンズに入射して前記マイクロレンズ素子から射出された光の角度分布の均一性が、前記第1のマイクロレンズに入射して前記マイクロレンズ素子から射出された光の角度分布の均一性よりも高く、前記第1のマイクロレンズに入射して前記マイクロレンズ素子から射出された光の中心強度が、前記第2のマイクロレンズに入射して前記マイクロレンズ素子から射出された光の中心強度よりも高いことを特徴とする。
プロジェクターにおいて、投写光学系の射出瞳における照度(強度)分布はスペックルノイズの大きさに影響する。スペックルノイズを小さくするためには、射出瞳における照度分布の均一性を高めることが有効である。また、投写光学系に入射する光の角度分布の均一性が高いほど、射出瞳における照度分布の均一性が高い。従って、本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子を用いた場合、第2のマイクロレンズに入射してマイクロレンズ素子から射出された光の角度分布の均一性が、第1のマイクロレンズに入射してマイクロレンズ素子から射出された光の角度分布の均一性よりも高いため、マイクロレンズ素子の中心領域においては、マイクロレンズ素子の周辺領域よりも、スペックルノイズを低減する効果が高い。
プロジェクターにおいて、投写光学系に向かって進む光のうち、大きな角度の成分は投写光学系などの光学素子によってけられるため、有効に利用することができない。しかし、本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子を用いた場合、第1のマイクロレンズに入射してマイクロレンズ素子から射出された光の中心強度が、第2のマイクロレンズに入射してマイクロレンズ素子から射出された光の中心強度よりも高いため、マイクロレンズ素子の周辺領域から射出された光の利用効率を向上させることができる。これにより、全体としてスペックルノイズが少なく、全体として光利用効率が高い光変調装置およびプロジェクターを構成することができる。
また、本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子において、第1のマイクロレンズおよび第2のマイクロレンズの各々が、平凸レンズで構成され、第1のマイクロレンズの凸面の一部が平坦面であってもよい。
上記の構成によれば、例えばマイクロレンズ素子に平行光を入射させた場合、平坦面から第1のマイクロレンズに入射した光は、マイクロレンズ素子から平行光のまま射出される。また、平坦面以外の凸面から第1のマイクロレンズに入射し、マイクロレンズ素子から射出される光は焦点に向けて集束する。その結果、例えば投写光学系等、後段の光学系でけられる光が少なくなり、光利用効率をさらに向上させることができる。その結果、全体としてスペックルノイズが少なく、全体として光利用効率が高い光変調装置およびプロジェクターを構成することができる。
本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子において、前記第2のマイクロレンズの凸面の一部が平坦面であり、前記第1のマイクロレンズの前記平坦面の面積が、前記第2のマイクロレンズの前記平坦面の面積よりも大きい構成としてもよい。
上記の構成によれば、光変調領域の中心領域の画素に対応する第2のマイクロレンズも、凸面の一部が平坦面となっている。この場合、第2のマイクロレンズに入射した光についても、平行光のまま射出される光束が発生する。しかしながら、第1のマイクロレンズの平坦面の面積が第2のマイクロレンズの平坦面の面積よりも大きいため、平行光のまま射出される光束の割合は、第1のマイクロレンズの方が第2のマイクロレンズよりも多くなる。したがって、スペックルノイズの低減効果については第2のマイクロレンズが第1のマイクロレンズよりも相対的に大きく、光利用効率の向上効果については第1のマイクロレンズが第2のマイクロレンズよりも相対的に大きくなる。その結果、全体としてスペックルノイズが少なく、全体として光利用効率が高い光変調装置およびプロジェクターを構成することができる。
本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子において、前記第1のマイクロレンズの屈折率が、前記第2のマイクロレンズの屈折率よりも小さい構成としてもよい。
上記の構成によれば、光変調領域の中心領域の画素に対応する第2のマイクロレンズの屈折率は相対的に大きい。そのため、第2のマイクロレンズを透過した光は角度分布が拡がり、瞳位置での照度分布がより均一になる。その結果、スペックルノイズを低減することができる。一方、光変調領域の周辺領域の画素に対応する第1のマイクロレンズの屈折率は相対的に小さい。そのため、第1のマイクロレンズを透過した光の角度分布は、第2のマイクロレンズを透過した光の角度分布に比べて小さくなる。その結果、例えば投写光学系等、後段の光学系にけられる光が少なくなり、光利用効率を向上させることができる。その結果、全体としてスペックルノイズが少なく、全体として光利用効率が高い光変調装置およびプロジェクターを構成することができる。
本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子において、第2のマイクロレンズ層をさらに備え、前記周辺領域における前記第2のマイクロレンズ層の屈折力は、前記中心領域における前記第2のマイクロレンズ層の屈折力よりも大きい構成としてもよい。
上記の構成によれば、例えば光変調素子に平行光を入射させた場合、光入射側の第1のマイクロレンズ層により平行光が所定の角度分布をもった光に変換されて光変調素子に入射し、さらに第2のマイクロレンズ層に入射する。周辺領域における第2のマイクロレンズ層の屈折力は、中心領域における第2のマイクロレンズ層の屈折力よりも大きいため、第2のマイクロレンズ層の周辺領域に入射した光は、再度角度分布が狭い光に変換されてマイクロレンズ素子から射出される。そのため、例えば投写レンズ等、後段の光学素子にけられる光が少なくなり、光利用効率を向上させることができる。一方、マイクロレンズ素子の中心領域から射出された光の角度分布は、マイクロレンズ素子の周辺領域から射出された角度分布よりも広く、かつ均一性が高い。そのため、高いスペックルノイズ低減効果が得られる。その結果、全体としてスペックルノイズが少なく、全体として光利用効率が高い光変調装置およびプロジェクターを構成することができる。
本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子において、前記第2のマイクロレンズ層は、前記周辺領域に設けられた第1の凸レンズを含んでいてもよい。
上記の構成によれば、周辺領域に設けられた第1の凸レンズによって、周辺領域における第2のマイクロレンズ層の屈折力を中心領域における第2のマイクロレンズ層の屈折力よりも大きくする構成を実現することができる。
本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子において、前記第2のマイクロレンズ層は、前記中心領域に設けられた第2の凸レンズをさらに含み、前記第2の凸レンズの屈折力は前記第1の凸レンズの屈折力よりも小さい構成としてもよい。
この構成によれば、第2のマイクロレンズ層は中心領域に設けられた第2の凸レンズを含むため、第2の凸レンズを含まない第2のマイクロレンズ層を用いた場合と比べ、光変調領域の中心領域から射出された光についても角度分布が狭まる光に変換される作用が生じる。その場合でも、第2の凸レンズの屈折力は第1の凸レンズの屈折力よりも小さいため、第2のマイクロレンズ層の周辺領域に入射した光は、中心領域に入射した光に比べて角度分布がより狭い光に変換される。
本発明の第1の態様のマイクロレンズ素子において、前記第2のマイクロレンズ層は、前記中心領域に設けられた凹レンズを含んでいてもよい。
この構成によれば、第2のマイクロレンズ層は中心領域に設けられた凹レンズを含んでおり、中心領域から射出される光は、凹レンズの作用によって角度分布がより大きい光に変換される。そのため、スペックルノイズをより効果的に低減できる。一方、周辺領域からの射出光は凹レンズに入射しないため、角度分布がより大きい光に変換されることはない。そのため、例えば投写光学系等、後段の光学系にけられる光は多くならない。このように、スペックルノイズを低減でき、かつ、光利用効率の向上が図れる。
本発明の第1の態様の光変調装置は、複数の画素を含む光変調領域を備えた光変調素子と、マイクロレンズ素子と、を備え、前記マイクロレンズ素子が、本発明の一つの態様のマイクロレンズ素子であることを特徴とする。
この構成によれば、本発明の第1の態様の光変調装置が本発明の一つの態様のマイクロレンズ素子を備えているため、スペックルノイズを低減でき、かつ、光利用効率の向上を図ることができる。
本発明の第1の態様の光変調装置において、前記マイクロレンズ素子は、第1のマイクロレンズ層を備えたマイクロレンズ素子であり、前記マイクロレンズ素子は前記光変調素子の光入射側に設けられていることが望ましい。
この構成によれば、第1のマイクロレンズ層により光変調素子の各画素に光を効率良く入射させることができ、光利用効率を向上させることができる。
本発明の第1の態様の光変調装置において、前記マイクロレンズ素子は、第1のマイクロレンズ層と第2のマイクロレンズ層とを備えたマイクロレンズ素子であり、前記第1のマイクロレンズ層は前記光変調素子の光入射側に設けられ、前記第2のマイクロレンズ層は前記光変調素子の光射出側に設けられていることが望ましい。
この構成によれば、第1のマイクロレンズ層として、例えば中心領域と周辺領域とで同一の凸レンズを用いることができ、光変調素子の各画素に光を効率良く入射させることができ、光利用効率を向上させることができる。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、光源装置と、前記光源装置からの光を変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学系と、を備え、前記光変調装置が、上記本発明の一つの態様の光変調装置であることを特徴とする。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光変調装置を備えているため、表示品質に優れ、光利用効率が高いプロジェクターを実現できる。
本発明の第1実施形態のプロジェクターの構成を示す模式図である。 第1実施形態のプロジェクターに用いるマイクロレンズ素子を示す斜視図である。 マイクロレンズ素子の平面図である。 マイクロレンズ素子の作用を説明するための図である。 (A)〜(C)液晶ライトバルブからの射出光の角度分布のシミュレーション結果を示す図である。 第2実施形態のマイクロレンズ素子を示す斜視図である。 マイクロレンズ素子の平面図である。 第3実施形態のマイクロレンズ素子を示す斜視図である。 マイクロレンズ素子の平面図である。 (A)〜(C)液晶ライトバルブからの射出光の角度分布のシミュレーション結果を示す図である。 第4実施形態のマイクロレンズ素子を示す斜視図である。 マイクロレンズ素子を構成するマイクロレンズの変形例を示す斜視図である。 図11のマイクロレンズを示す模式図である。 第5実施形態の光変調装置を示す断面図である。 第5実施形態の変形例の光変調装置を示す断面図である。 第6実施形態の光変調装置を示す断面図である。 マイクロレンズ素子の変形例を示す平面図である。 マイクロレンズ素子の他の変形例を示す平面図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、レーザー光源を用いた液晶プロジェクターである。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
図1に示すように、第1実施形態のプロジェクター1は、赤色光を射出する光源装置2R、緑色光を射出する光源装置2G、青色光を射出する光源装置2Bと、赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、青色光用光変調装置3Bと、色合成素子4と、投写光学系5と、を備えている。すなわち、プロジェクター1は、光源装置と光変調装置との組を、赤(R)、緑(G)、青(B)の色光毎に備え、合計で3組備えている。本明細書では、赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、青色光用光変調装置3Bを、光変調装置3と称することがある。
プロジェクター1は、概略すると以下のように動作する。
光源装置2R、光源装置2G、光源装置2Bの各々から射出された色光は、各色光に対応する赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、青色光用光変調装置3Bに入射し、変調される。赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、青色光用光変調装置3Bにより変調された色光は、色合成素子4に入射して合成される。色合成素子4により合成された画像を内包した光は、投写光学系5により壁やスクリーン等の被投写面6に拡大投写され、フルカラーの投写画像が表示される。
以下、プロジェクター1の各構成要素について説明する。
光源装置2R、光源装置2G、光源装置2Bの各々は、対応する色光を射出する赤色光源部7R、緑色光源部7G、青色光源部7Bと、計算機生成ホログラム8(Computer Generated Hologram, 以下、CGHと略記する)と、平行化レンズ9と、を備えている。赤色光源部7R、緑色光源部7G、青色光源部7Bの各々は、複数のレーザー光源(図示略)を有し、コヒーレント光であるレーザー光を射出する。赤色光源部7R、緑色光源部7G、青色光源部7Bでは、例えば複数のレーザー光源をアレイ状に配列することにより、高出力のレーザー光を得ることができる。赤色光源部7Rは、赤色光を射出する複数の赤色レーザー光源を有する。緑色光源部7Gは、緑色光を射出する複数の緑色レーザー光源を有する。青色光源部7Bは、青色光を射出する複数の青色レーザー光源を有する。
CGH8は、領域毎に異なる回折パターンが形成された回折光学素子である。CGH8は、CGH8から射出される光の照明領域が赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、青色光用光変調装置3Bの各々の光変調領域に合致するようにビームを成型する。平行化レンズ9は、赤色光源部7R、緑色光源部7G、青色光源部7Bの各々から射出されたレーザー光を平行化し、赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、青色光用光変調装置3Bに向けて射出する。
光変調装置は、赤色光用光変調装置3Rと、緑色光用光変調装置3Gと、青色光用光変調装置3Bと、を含んでいる。赤色光用光変調装置3Rと緑色光用光変調装置3Gと青色光用光変調装置3Bとは同一の構成である。赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、青色光用光変調装置3Bの各々は、入射側偏光板(図示略)と、第1のマイクロレンズ層11と、液晶ライトバルブ12と、射出側偏光板(図示略)と、を備えている。液晶ライトバルブ12は、マトリクス状に配置された複数の画素を有し、これら複数の画素の形成領域が光変調領域である。第1のマイクロレンズ層11は、液晶ライトバルブ12の光入射側に配置されている。第1のマイクロレンズ層11は、液晶ライトバルブ12の光入射側の面に密着して配置されていてもよいし、液晶ライトバルブ12の光入射側の面から離間して配置されていてもよい。入射側偏光板、射出側偏光板は周知の偏光板を用いることができるが、例えば耐熱性の高い無機偏光板を用いることが望ましい。本実施形態の第1のマイクロレンズ層11は、特許請求の範囲におけるマイクロレンズ素子に相当し、液晶ライトバルブ12は、特許請求の範囲における光変調素子に相当する。
以下、説明の便宜上、光変調領域のうちの周辺領域と第1のマイクロレンズ層11の周辺領域とを第1の領域、光変調領域のうちの中心領域と第1のマイクロレンズ層11の中心領域とを第2の領域、と称することがある。また、第1の領域と第2の領域との間の領域を第3の領域と称することがある。なお、平面視において、光変調領域のうち周辺領域と第1のマイクロレンズ層11の周辺領域とは互いに重なり合い、光変調領域のうち中心領域と第1のマイクロレンズ層11の中心領域とは互いに重なり合うものとする。
図2に示すように、液晶ライトバルブ12は、画素毎に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)が形成されたTFTアレイ基板14と、対向基板15と、TFTアレイ基板14と対向基板15との間に挟持された液晶層16と、を備えている。液晶ライトバルブ12は、透過型の液晶パネルで構成される。液晶ライトバルブ12は、画像信号を供給するパーソナルコンピューター等の信号源(図示略)と電気的に接続されている。液晶ライトバルブ12は、画像信号に基づき、入射光を画素毎に変調して画像を形成する。赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、および青色光用光変調装置3Bは、それぞれ赤色画像、緑色画像、および青色画像を形成する。赤色光用光変調装置3R、緑色光用光変調装置3G、青色光用光変調装置3Bの各々により変調された色光は、色合成素子4に入射する。
図2に示すように、第1のマイクロレンズ層11は、アレイ状に配置された複数のマイクロレンズを有する。ここでは、液晶ライトバルブ12は、6行6列に配置された複数の画素を有し、第1のマイクロレンズ層11は、6行6列に配置された複数のマイクロレンズを有するものとする。複数のマイクロレンズの各々は、液晶ライトバルブ12の画素の位置に対応して配置されている。複数のマイクロレンズは、第1の領域に設けられた複数の第1のマイクロレンズ18と、第2の領域に設けられた複数の第2のマイクロレンズ19と、第3の領域に設けられた複数の第3のマイクロレンズ20と、を含む。第1のマイクロレンズ18、第2のマイクロレンズ19、第3のマイクロレンズ20の各々は、平凸レンズで構成されている。
第1のマイクロレンズ18は、円錐台状の形状を有する。よって、第1のマイクロレンズ18の凸面18aの一部である中心部分は、第1のマイクロレンズ18の平面18bに略平行な平坦面18cとなっている。第3のマイクロレンズ20は、円錐台状の形状を有する。よって、第3のマイクロレンズ20の凸面20aの一部である中心部分は、第3のマイクロレンズ20の平面20bに略平行な平坦面20cとなっている。第2のマイクロレンズ19は、円錐状の形状を有する。第2のマイクロレンズ19の凸面19aは、第2のマイクロレンズ19の平面19bに対して傾斜した傾斜面となっている。
本実施形態の例では、図3に示すように、第1のマイクロレンズ18は、最も外側の1行目および最も外側の1列目に配置されている。第3のマイクロレンズ20は、外側から2行目および外側から2列目に配置されている。第2のマイクロレンズ19は、中央の2行2列に配置されている。
以下の説明では、第1のマイクロレンズ18および第3のマイクロレンズ20の形状をなす円錐台の互いに平行な2つの面のうち、面積が狭い方の面を上面と称し、面積が広い方の面を下面と称し、上面および下面に対して傾斜した面を傾斜面と称する。また、第2のマイクロレンズ19の形状をなす円錐の底面を下面と称し、下面に対して傾斜した面を傾斜面と称する。
第1のマイクロレンズ18、第2のマイクロレンズ19、および第3のマイクロレンズ20の全てにおいて、下面に対する傾斜面の傾斜角度は同一である。言い換えると、第1のマイクロレンズ18と第3のマイクロレンズ20とは、第2のマイクロレンズ19の形状である円錐を下面(平面19b)に平行な面で切断したときの円錐台の形状を有している。また、ともに円錐台状の形状を有する第1のマイクロレンズ18と第3のマイクロレンズ20とを比較すると、第1のマイクロレンズ18の上面(平坦面18c)の面積は、第3のマイクロレンズ20の上面(平坦面20c)の面積よりも大きい。
第2のマイクロレンズ19の頂点は尖っており、第2のマイクロレンズ19は平坦面を有していない。ただし、第2のマイクロレンズ19の形状を上面(平坦面)の面積が0(ゼロ)の円錐台とみなせば、第1のマイクロレンズ18、第2のマイクロレンズ19、および第3のマイクロレンズ20の上面の面積は、第2の領域、第3の領域、第1の領域の順に、マイクロレンズ素子の中央から周辺に向けて、大きくなっていると言い換えることもできる。
この構成を実現する場合、第1のマイクロレンズ18、第2のマイクロレンズ19、第3のマイクロレンズ20において、下面の直径を同一にし、下面から上面もしくは頂点までの高さを、第2の領域、第3の領域、第1の領域の順に、第1のマイクロレンズ層11の中央から周辺に向けて低くしてもよい。もしくは、下面から上面もしくは頂点までの高さを同一にし、下面の直径を、第2の領域、第3の領域、第1の領域の順に、第1のマイクロレンズ層11の中央から周辺に向けて大きくしてもよい。
図1に戻って、色合成素子4は、ダイクロイックプリズム等により構成される。ダイクロイックプリズムは、4つの三角柱プリズムが互いに貼り合わされた構成を有する。三角柱プリズムが互いに貼り合わされる面は、ダイクロイックプリズムの内面になる。ダイクロイックプリズムの内面に、赤色光が反射し緑色光が透過するミラー面と、青色光が反射し緑色光が透過するミラー面と、が互いに直交して設けられている。ダイクロイックプリズムに入射した緑色光は、ミラー面を透過して直進して射出される。ダイクロイックプリズムに入射した赤色光および青色光は、ミラー面で選択的に反射あるいは透過し、緑色光の射出方向と同じ方向に射出される。
このようにして、画像情報を内包した3つの色光LR,色光LG,色光LBが重ね合わされて合成される。合成された光は、投写光学系5によって被投写面6に拡大投写され、被投写面6上に画像が形成される。
本実施形態のプロジェクター1は、以上のような構成となっている。
以下、本実施形態の第1のマイクロレンズ層11の作用を説明する。
図4は、第1のマイクロレンズ層11のうち、周辺領域の第1のマイクロレンズ18と中心領域の第2のマイクロレンズ19を抜き出した模式図である。第1のマイクロレンズ18の平面18bと第2のマイクロレンズ19の平面19bとを含む平面を基準面Fとする。ここで、基準面Fに対して垂直に、第1のマイクロレンズ層11の上面側から第1のマイクロレンズ層11へ入射する光L0を考える。
まず初めに、スペックルノイズを低減する効果について説明する。
光変調装置3から射出される光の角度分布の拡がりが大きく、かつ、光が広がっている角度範囲において光強度の角度依存性が小さい程、スペックルコントラストが低くなり、スクリーン上でのちらつきが少なくなる。以下に説明するように、マイクロレンズの形状によって、スペックルノイズを低減する効果が異なる。
第1のマイクロレンズ18は円錐台状であり、光L0が入射する面のうち平坦面18cは、光L0の中心軸に垂直な平面である。そのため、第1のマイクロレンズ18に入射した光のうち、傾斜面に入射した光L0は屈折して第1のマイクロレンズ18から射出されるが、平坦面18cに入射した光L0はそのまま直進して第1のマイクロレンズ18から射出される。このように、第1のマイクロレンズ18は、入射光L0の一部を拡散させることなく射出させる作用を有する。
一方、第2のマイクロレンズ19は円錐状であり、光L0が入射する面の全てが傾斜面である。そのため、第2のマイクロレンズ19に入射した光L0は、略全ての成分が屈折して第2のマイクロレンズ19から射出される。つまり、第2のマイクロレンズ19は第1のマイクロレンズ18よりも多くの光を拡散させる作用を有する。
本発明者らは、スペックルノイズを低減する効果とマイクロレンズの形状との関係を調べるために、シミュレーションを行った。シミュレーションでは、所定の角度分布を有する光L0を基準面Fに対して垂直に、第1のマイクロレンズ層11の上面側から第1のマイクロレンズ層11へ入射させたときの、マイクロレンズからの射出光の角度分布を求めた。さらに、得られた角度分布から、角度分布の均一性および中心強度を計算した。マイクロレンズに入射する光L0として、強度が高い箇所と強度が低い箇所とが交互に配置され、全体としてチェッカーフラッグ状の角度分布パターンを持つ光を用いた。
図5(A)、図5(B)、図5(C)は、1個のマイクロレンズからの射出光の強度の角度分布を示す図である。角度分布図の横軸、縦軸は、光軸に垂直でかつ互いに直交する2方向における射出角度である。角度分布図において、白く見える箇所は強度が高い箇所、黒く見える箇所は強度が低い箇所をそれぞれ示している。
図5(A)は、第2のマイクロレンズ19の角度分布図である。図5(B)は、第3のマイクロレンズ20の角度分布図である。図5(C)は、第1のマイクロレンズ18の角度分布図である。シミュレーション条件は、各マイクロレンズの下面から上面までの高さを6μmで同一とし、かつ傾斜面の傾斜角度を同一とした。第2のマイクロレンズ19については、上面の直径を0(上面を持たない円錐形)、下面の直径を16.4μmとした。第3のマイクロレンズ20については、上面の直径を4μm、下面の直径を20.4μmとした。第1のマイクロレンズ18については、上面の直径を6μm、下面の直径を22.4μmとした。
上記の各部の寸法、角度分布の均一性および中心強度を[表1]に示す。角度分布の均一性は、第2のマイクロレンズの角度分布の均一性を1としたときの相対値で示した。中心強度は、角度分布図において中心(0,0)から5度以内の矩形の角度範囲に収まる光の光量の全体に対する割合を示している。
図5に示したように、各マイクロレンズの傾斜面の傾斜角度は同一であるため、射出光の角度分布の拡がり(光線束の拡がり角)は略同じである。しかし、図5および表1からわかるように、上面(平坦面)を持たない第2のマイクロレンズ19の場合、角度分布の均一性が相対的に高く、上面(平坦面)の面積が大きい第1のマイクロレンズ18の場合、角度分布の均一性が相対的に低い。角度分布の均一性が高い、ということは、光が広がっている角度範囲において光強度の角度依存性が小さいということを意味する。このように、第2のマイクロレンズ19は、第1のマイクロレンズ18よりも角度分布の均一性が高く、スペックルノイズの低減効果が高い。
次に、光利用効率を向上させる効果について説明する。
光変調装置3から射出される光のうち射出角度が大きい成分は、投写光学系5でけられるため、利用することができない。表1からわかるように、第1のマイクロレンズ18は、第2のマイクロレンズ19よりも射出光の中心強度が高く、すなわち射出角度が大きい成分が少ない。従って、第1のマイクロレンズ18は、第2のマイクロレンズ19よりも光利用効率の向上効果が高い。第3のマイクロレンズは、第2のマイクロレンズと第1のマイクロレンズの中間の特性を有する。
以上、説明したように、第2のマイクロレンズ19は、第1のマイクロレンズ18よりもスペックルノイズの低減効果が高く、第1のマイクロレンズ18は、第2のマイクロレンズ19よりも光利用効率の向上効果が高い。ここで、被投写面6に投写される画像のスペックルノイズを低減するために、光変調装置3の全ての画素に第2のマイクロレンズ19を設けることが考えられる。ところが、投写光学系5でけられることによる光の利用効率の低下は、周辺領域で顕著であるため、光変調装置3の全ての画素に第2のマイクロレンズ19を設けた場合、画像の周辺領域が中心領域と比べて暗くなってしまう。これに対し、周辺領域に第1のマイクロレンズ18を設けた場合、周辺領域に第2のマイクロレンズ19を設けた場合よりも、投写光学系5でけられる光の割合が少なくなる。
そこで、本実施形態による第1のマイクロレンズ層11は、第1の領域に第1のマイクロレンズ18を備え、第2の領域に第2のマイクロレンズ19を備える。第1のマイクロレンズ18は、第2のマイクロレンズ19よりもスペックルノイズを低減する効果が小さいものの、スペックルノイズを低減する効果を持っている。従って、第1のマイクロレンズ層11を用いることによって、画像のスペックルノイズが全体として低減されるとともに、照明光の利用効率が全体として高いプロジェクターを実現できる。画像の中心領域では、画像の周辺領域よりもスペックルノイズが大きく低減され、画像の周辺領域でも高い光利用効率が得られる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図6、図7を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、マイクロレンズ素子の構成が第1実施形態と異なる。
図6、図7において第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
第1実施形態では、第1のマイクロレンズ層を構成するマイクロレンズが円錐状もしくは円錐台状であった。これに対して、本実施形態では、第1のマイクロレンズ層を構成するマイクロレンズが四角錐状もしくは四角錐台状である。
図6、図7に示すように、第1のマイクロレンズ層23は、アレイ状に配置された複数のマイクロレンズを有する。複数のマイクロレンズの各々は、液晶ライトバルブ12の画素の位置に対応して配置されている。複数のマイクロレンズは、光変調領域の第1の領域に設けられた複数の第1のマイクロレンズ24と、光変調領域の第2の領域に設けられた複数の第2のマイクロレンズ25と、光変調領域の第3の領域に設けられた複数の第3のマイクロレンズ26と、を含む。第1のマイクロレンズ24、第2のマイクロレンズ25、第3のマイクロレンズ26の各々は、平凸レンズで構成されている。
本実施形態の例では、図7に示すように、第1のマイクロレンズ24は、最も外側の1行目および最も外側の1列目に配置されている。第3のマイクロレンズ26は、外側から2行目および外側から2列目に配置されている。第2のマイクロレンズ25は、中央の2行2列に配置されている。
第1のマイクロレンズ24は、四角錐台状の形状を有する。よって、第1のマイクロレンズ24の凸面24aの一部である中心部分は、第1のマイクロレンズ24の平面24bに略平行な平坦面24cとなっている。第3のマイクロレンズ26は、四角錐台状の形状を有する。よって、第3のマイクロレンズ26の凸面26aの一部である中心部分は、第3のマイクロレンズ26の平面26bに略平行な平坦面26cとなっている。第2のマイクロレンズ25は、四角錐状の形状を有する。第2のマイクロレンズ25の凸面25aは、第2のマイクロレンズ25の平面25bに対して傾斜した傾斜面となっている。
以下の説明では、第1のマイクロレンズ24および第3のマイクロレンズ26の形状をなす四角錐台の互いに平行な2つの面のうち、面積が狭い方の面を上面と称し、面積が広い方の面を下面と称し、上面および下面に対して傾斜した面を傾斜面と称する。また、第2のマイクロレンズ25の形状をなす四角錐の底面を下面と称し、下面に対して傾斜した面を傾斜面と称する。
第1のマイクロレンズ24、第2のマイクロレンズ25、および第3のマイクロレンズ26の全てにおいて、下面に対する傾斜面の傾斜角度は同一である。また、四角錐台状の第1のマイクロレンズ24と第3のマイクロレンズ26とを比較すると、第1のマイクロレンズ24の平坦面24cの面積は、第3のマイクロレンズ26の平坦面26cの面積よりも大きい。言い換えると、第1のマイクロレンズ24と第3のマイクロレンズ26とは、第2のマイクロレンズ25の形状である四角錐を平面25bに平行な面で切断したときの四角錐台の形状を有している。また、第2のマイクロレンズ25の形状を上面(平坦面)の面積が0(ゼロ)の四角錐台とみなせば、第1のマイクロレンズ24、第2のマイクロレンズ25、および第3のマイクロレンズ26の上面の面積は、第2の領域、第3の領域、第1の領域の順に、第1のマイクロレンズ層23の中央から周辺に向けて、大きくなっていると言うこともできる。
この構成を実現する場合、第1のマイクロレンズ24、第2のマイクロレンズ25、および第3のマイクロレンズ26において、下面の寸法を同一にし、下面から上面もしくは頂点までの高さを、第2の領域、第3の領域、第1の領域の順に、第1のマイクロレンズ層23の中央から周辺に向けて低くしてもよい。もしくは、下面から上面もしくは頂点までの高さを同一にし、下面の寸法を、第2の領域、第3の領域、第1の領域の順に、第1のマイクロレンズ層23の中央から周辺に向けて大きくしてもよい。
以下、本実施形態の第1のマイクロレンズ層23の作用を説明する。各マイクロレンズの形状は第1実施形態で説明した第1のマイクロレンズ層11の各マイクロレンズの形状と異なるが、基本的な特性は同じである。すなわち、第1のマイクロレンズ24は、入射光L0の一部を拡散させることなく射出させる作用を有する。また、第2のマイクロレンズ25は第1のマイクロレンズ24よりも多くの光を拡散させる作用を有する。
本発明者らは、第1実施形態と同様にシミュレーションを行った。第1実施形態で行ったシミュレーションと異なる点は、マイクロレンズの形状と各部の寸法である。その結果について以下、説明する。
本シミュレーションでは、各マイクロレンズの下面から上面までの高さを10μmで同一とし、かつ傾斜面の傾斜角度を同一とした。第2のマイクロレンズ25については、上面の一辺の長さを0(上面を持たない四角錐形)、下面の一辺の長さを16.4μmとした。第3のマイクロレンズ26については、上面の一辺の長さを4μm、下面の一辺の長さを20.4μmとした。第1のマイクロレンズ24については、上面の一辺の長さを6μm、下面の一辺の長さを22.4μmとした。
上記の各部の寸法、および角度分布の均一性および中心強度を[表2]に示す。
表2に示したように、上面(平坦面)を持たない第2のマイクロレンズ25の場合、角度分布の均一性が相対的に高く、中心強度が相対的に低い。一方、上面(平坦面)を持つ第1のマイクロレンズ24の場合、角度分布の均一性が相対的に低く、中心強度が相対的に高い。したがって、第2のマイクロレンズ25は、第1のマイクロレンズ24よりも角度分布の均一性が高く、スペックルノイズの低減効果が高い。また、第1のマイクロレンズ24は、第2のマイクロレンズ25よりも光利用効率が高い。そして、第3のマイクロレンズ26は、第2のマイクロレンズ25と第1のマイクロレンズ24の中間の特性を有する。
そこで、第1の領域に第1のマイクロレンズ24を備え、第2の領域に第2のマイクロレンズ25を備える第1のマイクロレンズ層23を用いることによって、画像のスペックルノイズが全体として低減されるとともに、照明光の利用効率が全体として高いプロジェクターを実現できる。
なお、第2実施形態では、四角錐状もしくは四角錐台状のマイクロレンズを用いる例を示したが、三角錐、五角錐等、他の角錐状もしくは角錐台状のマイクロレンズを用いることができる。
第1、第2実施形態では、マイクロレンズ素子の中央領域に平坦な上面が存在しない円錐状もしくは四角錐状のマイクロレンズを配置したが、この構成に代えて、マイクロレンズ素子の中央領域にも、周辺領域と同様、平坦な上面を有する円錐台状もしくは四角錐台状のマイクロレンズを配置してもよい。その場合、中央領域に配置されたマイクロレンズの上面の面積が、周辺領域に配置されたマイクロレンズの上面の面積よりも小さければよい。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図8〜図10を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、マイクロレンズ素子の構成が第1実施形態と異なる。
図8〜図10において第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
第1実施形態、第2実施形態では、第1のマイクロレンズ層を構成する複数のマイクロレンズの形状が、周辺領域に設けられたマイクロレンズと中央領域に設けられたマイクロレンズとで異なっていた。これに対して、本実施形態では、第1のマイクロレンズ層を構成する複数のマイクロレンズの形状は全て同一である。また、屈折率は、周辺領域に設けられたマイクロレンズと中央領域に設けられたマイクロレンズとで異なっている。
図8、図9に示すように、第1のマイクロレンズ層29は、アレイ状に配置された複数のマイクロレンズを有する。複数のマイクロレンズの各々は、液晶ライトバルブ12の画素の位置に対応して配置されている。複数のマイクロレンズは、光変調領域の第1の領域に設けられた複数の第1のマイクロレンズ30と、光変調領域の第2の領域に設けられた複数の第2のマイクロレンズ31と、光変調領域の第3の領域に設けられた複数の第3のマイクロレンズ32と、を含む。第1のマイクロレンズ30、第2のマイクロレンズ31、および第3のマイクロレンズ32は、全て円錐状の形状を有する。
本実施形態の例では、図9に示すように、第1のマイクロレンズ30は、最も外側の1行および最も外側の1列に配置されている。第3のマイクロレンズ32は、外側から2行目および外側から2列目に配置されている。第2のマイクロレンズ31は、中央の2行2列に配置されている。
第1のマイクロレンズ30、第2のマイクロレンズ31、および第3のマイクロレンズ32の各々の屈折率は、中央領域から周辺領域に向けて順次小さくなっている。すなわち、第1のマイクロレンズ30の屈折率をn1、第2のマイクロレンズ31の屈折率をn2、第3のマイクロレンズ32の屈折率をn3とすると、n1<n3<n2の関係を満たしている。
マイクロレンズを構成する一般的な透明材料の屈折率は、例えば1.5〜1.6程度である。マイクロレンズが例えば屈折率1.5の樹脂で構成され、マイクロレンズの光入射側に空気が存在していたとすると、光は、屈折率1.0の空気と屈折率1.5の樹脂との界面を透過してマイクロレンズに入射する。したがって、マイクロレンズの屈折率が大きい場合、光入射側に存在する物質との屈折率差が大きくなり、マイクロレンズに入射した光は大きい角度で屈折する。逆に、マイクロレンズの屈折率が小さい場合、光入射側に存在する物質との屈折率差が小さくなり、マイクロレンズに入射した光は小さい角度で屈折する。この傾向は、マイクロレンズの光入射側に空気が存在している場合に限らず、マイクロレンズの屈折率よりも小さい屈折率の物質が存在する場合も同様である。
したがって、屈折率が大きいマイクロレンズは、光の拡散の度合いが大きく、マイクロレンズから射出される光の角度分布の拡がりが大きくなる。本実施形態の場合、中心領域の第2のマイクロレンズ31は、屈折率が相対的に大きいため、スペックルノイズの低減効果が大きい。一方、屈折率が小さいマイクロレンズは、光の拡散の度合いが小さく、マイクロレンズから射出される光の角度分布の拡がりが小さくなる。本実施形態の場合、周辺領域の第1のマイクロレンズ30は屈折率が相対的に小さいため、光の射出角度が比較的小さい。そのため、後段の光学素子にけられる光が少なくなり、周辺領域に第2のマイクロレンズ31を設けた場合よりも光利用効率が高い。本実施形態の第1のマイクロレンズ層29の使用により、画像のスペックルノイズが全体として低減されるとともに、照明光の利用効率が全体として高いプロジェクターを実現できる。
本発明者らは、第1実施形態と同様にシミュレーションを行った。第1実施形態で行ったシミュレーションと異なる点は、マイクロレンズの形状と屈折率である。その結果について以下、説明する。
図10(A)、図10(B)、図10(C)は、1個のマイクロレンズからの射出光の強度の角度分布を示す図である。
図10(A)は、第1のマイクロレンズ30の角度分布図である。図10(B)は、第3のマイクロレンズ32の角度分布図である。図10(C)は、第2のマイクロレンズ31の角度分布図である。シミュレーションでは、各マイクロレンズの形状を円錐型で同一とし、マイクロレンズの光入射側に屈折率が1.46の物質が存在するものとした。屈折率が1.46の物質は、例えばマイクロレンズを他の部材に固定するための光学接着剤を想定している。第1のマイクロレンズ30の屈折率を1.5とした。第3のマイクロレンズ32の屈折率を1.55とした。第2のマイクロレンズ31の屈折率を1.62とした。
上記の屈折率、および角度分布の均一性および中心強度を[表3]に示す。角度分布の均一性は、第1のマイクロレンズ30の角度分布の均一性を1としたときの相対値で示した。
図10に示したように、各マイクロレンズの形状は同一であるが屈折率が異なるため、射出光の角度分布の拡がり(光線束の拡がり角)がマイクロレンズによって異なる。図10および表3からわかるように、第2のマイクロレンズ31の場合、角度分布の均一性が相対的に高く、中心強度が相対的に低い。第1のマイクロレンズ30の場合、角度分布の均一性が相対的に低く、中心強度が相対的に高い。このように、屈折率の高い第2のマイクロレンズ31は、屈折率の低い第1のマイクロレンズ30よりも角度分布の均一性が高く、スペックルノイズの低減効果が高いことが確認された。一方、屈折率の低い第1のマイクロレンズ30は、屈折率の高い第2のマイクロレンズ31よりも射出光の中心強度が高く、光利用効率の向上効果が高いことが確認された。第3のマイクロレンズ32は、第2のマイクロレンズ31と第1のマイクロレンズ30の中間の特性を有することが確認された。
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図11を用いて説明する。
第4実施形態のマイクロレンズ素子の個々のマイクロレンズの形状が第3実施形態と異なる。
図11において第3実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態では、第1のマイクロレンズ層を構成するマイクロレンズの形状が円錐状であった。これに対して、第4実施形態では、第1のマイクロレンズ層を構成するマイクロレンズが四角錐状である。
図11に示すように、第1のマイクロレンズ層35は、アレイ状に配置された複数のマイクロレンズを有する。複数のマイクロレンズの各々は、液晶ライトバルブ12の画素の位置に対応して配置されている。複数のマイクロレンズは、液晶ライトバルブ12の光変調領域における第1の領域に設けられた複数の第1のマイクロレンズ36と、第2の領域に設けられた複数の第2のマイクロレンズ37と、第3の領域に設けられた複数の第3のマイクロレンズ38と、を含む。第1のマイクロレンズ36、第2のマイクロレンズ37、および第3のマイクロレンズ38は、全て四角錐状の形状を有する。
本実施形態の例では、図11に示すように、第1のマイクロレンズ36は、最も外側の1行および最も外側の1列に配置されている。第3のマイクロレンズ38は、外側から2行目および外側から2列目に配置されている。第2のマイクロレンズ37は、中央の2行2列に配置されている。
第1のマイクロレンズ36、第2のマイクロレンズ37、および第3のマイクロレンズ38の屈折率は、中央領域から周辺領域に向けて順次小さくなっている。すなわち、第1のマイクロレンズ36の屈折率をn1、第2のマイクロレンズ37の屈折率をn2、第3のマイクロレンズ38の屈折率をn3とすると、n1<n3<n2の関係を満たしている。
本実施形態においても、第1のマイクロレンズ層35の使用により、画像のスペックルノイズが全体として低減されるとともに、照明光の利用効率が全体として高いプロジェクターを実現できる、という第1〜第3実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第3実施形態、第4実施形態では、マイクロレンズの形状を円錐状もしくは四角錐状としたが、マイクロレンズの形状はこれらに限るものではない。マイクロレンズの変形例として、例えば図12に示すように、中心部42aは湾曲面を有する凸レンズ状であり、周辺部42bは円錐台状であるマイクロレンズ42を用いてもよい。
本発明者らは、本変形例のマイクロレンズについても、第1実施形態と同様にシミュレーションを行った。その結果について以下、説明する。
マイクロレンズ42の各種パラメーターとして、図13に示すように、下面から中心部42aの頂点までの高さtを4.1μm、周辺部42bの傾斜面の下面に対する傾斜角度θを52°、下面の直径wを11.4μm、マイクロレンズ42の下面と液晶ライトバルブ12との距離zを14μmとした。第4実施形態と同様、マイクロレンズの屈折率を場所によって変えた。第1のマイクロレンズの屈折率を1.5とした。第3のマイクロレンズの屈折率を1.55とした。第2のマイクロレンズの屈折率を1.62とした。
上記の屈折率、および角度分布の均一性および中心強度[表4]に示す。角度分布の均一性は、第2のマイクロレンズの角度分布の均一性を1としたときの相対値で示した。
表4に示したように、屈折率が高い第2のマイクロレンズは、屈折率の低い第1のマイクロレンズよりも角度分布の均一性が高く、スペックルノイズの低減効果が高い。屈折率が低い第1のマイクロレンズは、屈折率が高い第2のマイクロレンズよりも中心強度が高く、光利用効率の向上効果が高い。第3のマイクロレンズは、第2のマイクロレンズと第1のマイクロレンズの中間の特性を有する。よって、マイクロレンズの形状によらず、屈折率の違いに応じて第3実施形態、第4実施形態と同様の傾向を示すことが判った。
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図14を用いて説明する。
第5実施形態の光変調装置の構成は第1実施形態と同様であるが、マイクロレンズ素子の構成が第1実施形態と異なる。
図14において第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
上記実施形態では液晶ライトバルブの詳細な説明を省略したが、液晶ライトバルブは、マトリクス状に配置された複数の画素を区画する遮光層、いわゆるブラックマトリクスを備えている。液晶ライトバルブにおいて光利用効率を高めるためには液晶ライトバルブに入射した光がブラックマトリクスでけられないようにする必要がある。そのため、入射した平行光をブラックマトリクスの開口部に集めるためのマイクロレンズを、液晶ライトバルブの光入射側に設けることが重要である。この観点から、第1〜第4実施形態においては、第1のマイクロレンズ層が液晶ライトバルブの光入射側に設けられていた。
図14に示すように、本実施形態の光変調装置45は、液晶ライトバルブ12と、第1のマイクロレンズ層46と、第2のマイクロレンズ層47と、を備えている。第1のマイクロレンズ層46と第2のマイクロレンズ層47とは、マイクロレンズ素子を構成する。液晶ライトバルブ12は、複数の画素を含む光変調領域を備えている。第1のマイクロレンズ層46は、液晶ライトバルブ12の光入射側に設けられている。第2のマイクロレンズ層47は、液晶ライトバルブ12の光射出側に設けられている。なお、図14ないし図16では便宜上、液晶ライトバルブ12は3行3列に配置された複数の画素を有するものとして描いている。この場合、中央の1個の画素が配置されている領域が中心領域に相当し、残りの画素が配置されている領域が周辺領域に相当する。
第1のマイクロレンズ層46は、液晶ライトバルブ12の光変調領域の全ての画素に対応して設けられた複数のマイクロレンズ48を備えている。1つの画素に1つのマイクロレンズ48が設けられている。本実施形態の第1のマイクロレンズ層46は、第1〜第4実施形態の第1のマイクロレンズ層と異なり、第1のマイクロレンズ層46を構成する全てのマイクロレンズ48の形状および屈折率は同一である。マイクロレンズ48の形状は特に限定されるものではなく、例えば球面を有する一般的な形状の凸レンズを用いてもよいし、第1〜第4実施形態で用いたような形状の平凸レンズを用いてもよい。
第2のマイクロレンズ層47は、TFTアレイ基板14の上に設けられている。第2のマイクロレンズ層47は、周辺領域に対応する領域47aと、中心領域に対応する領域47bとを備えている。領域47aには複数の第1の凸レンズ49が設けられている。また、領域47bには空気層が設けられており、領域47bの屈折力を0とみなすことができる。したがって、領域47aの屈折力は領域47bの屈折力よりも大きい。複数の第1の凸レンズ49は、液晶ライトバルブ12の光変調領域の周辺領域の複数の画素に対応して設けられている。周辺領域の1つの画素に1つの第1の凸レンズ49が設けられている。また、領域47bは、液晶ライトバルブ12の光変調領域の中心領域に配置されている。即ち、周辺領域における第2のマイクロレンズ層47の屈折力は、中心領域における第2のマイクロレンズ層47の屈折力よりも大きい。第1の凸レンズ49の形状は特に限定されるものではなく、例えば球面を有する一般的な形状の凸レンズを用いることができる。また本実施形態では、領域47bに空気層を設けているが、空気層の代わりに屈折力を持たない光透過性の部材を領域47bに設けてもよい。また、第1の凸レンズ49を最外周からどの領域まで設けるかについては、特に限定されることなく、適宜決定することができる。つまり、周辺領域と中心領域との間の境界は適宜決定することができる。
本実施形態の光変調装置45の場合、光入射側の第1のマイクロレンズ層46の各マイクロレンズ48に入射した光L0は、ブラックマトリクス(図示略)の開口部を透過できる程度に集束され、液晶ライトバルブ12から所定の角度分布を持って射出される。液晶ライトバルブ12の周辺領域から射出された光は、第2のマイクロレンズ層47の第1の凸レンズ49を透過することによって角度分布がより狭い光、すなわち、平行光により近い光L1に変換され、マイクロレンズ素子(第2のマイクロレンズ層47)から射出される。一方、液晶ライトバルブ12の中心領域から所定の角度分布を持って射出された光L2は、領域47bを透過して、比較的広い角度分布を維持したままの状態でマイクロレンズ素子から射出される。
本実施形態の光変調装置45においては、光変調領域の中心領域から射出される光L2は、光変調領域の周辺領域から射出される光L1よりも広い角度分布と高い角度分布の均一性とを持つ。そのため、中心領域では周辺領域よりも高いスペックルノイズの低減効果が得られる。一方、光変調領域の周辺領域から射出される光L1は、光変調領域の中心領域から射出される光L2よりも狭い角度分布を持つ。そのため、周辺領域では後段の投写光学系にけられる光が少なく、比較的高い光利用効率が得られる。光変調装置45を使用することにより、画像のスペックルノイズが全体として低減されるとともに、照明光の利用効率が全体として高いプロジェクターを実現できる。
本実施形態の光変調装置45は、液晶ライトバルブ12の光射出側の中心領域に第1の凸レンズ49を備えていない。これに対して、図15に示すように、変形例の光変調装置52では、第2のマイクロレンズ層53が、屈折力が比較的大きい領域53aに設けられた第1の凸レンズ49に加えて、屈折力が比較的小さい領域53bに第2の凸レンズ54を備えていてもよい。ただし、第2の凸レンズ54の屈折力は第1の凸レンズ49の屈折力よりも小さい。この場合、液晶ライトバルブ12の中心領域から射出された光L3は、周辺領域から射出された光L1と同様、第2のマイクロレンズ層53の第2の凸レンズ54を透過することによって角度分布がより狭い光、すなわち、平行光により近い光に変換され、射出される。
ただし、中心領域と周辺領域とで射出光の角度分布を比較すると、第2の凸レンズ54は第1の凸レンズ49よりも屈折力が小さいため、中心領域での射出光L3の角度分布は、周辺領域での射出光L1の角度分布よりも広い。その結果、中心領域では周辺領域よりも高いスペックルノイズの低減効果が得られる。一方、光変調領域の周辺領域から射出される光L1は、光変調領域の中心領域から射出される光L3よりも狭い角度分布を持つ。そのため、周辺領域では後段の投写光学系にけられる光が中心領域よりも少なく、比較的高い光利用効率が得られる。
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態について、図16を用いて説明する。
第6実施形態の光変調装置の基本構成は第5実施形態と同様であり、光射出側の第2のマイクロレンズ層の構成が第5実施形態と異なる。
図16において第5実施形態で用いた図14と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図16に示すように、本実施形態の光変調装置57は、液晶ライトバルブ12と、第1のマイクロレンズ層46と、第2のマイクロレンズ層58と、を備えている。第1のマイクロレンズ層46と第2のマイクロレンズ層58とは、マイクロレンズ素子を構成する。液晶ライトバルブ12は、複数の画素を含む光変調領域を備えている。第1のマイクロレンズ層46は、液晶ライトバルブ12の光入射側に設けられている。第2のマイクロレンズ層58は、液晶ライトバルブ12の光射出側に設けられている。第1のマイクロレンズ層46の構成は、第5実施形態と同様である。
第2のマイクロレンズ層58は、周辺領域に対応する領域58aと、中心領域に対応する領域58bとを備えている。領域58aには空気層が設けられており、領域58aの屈折力を0とみなすことができる。また、領域58bには、負の屈折力を持つ凹レンズ59が設けられている。従って、領域58aの屈折力は領域58bの屈折力よりも大きいと言うことができる。複数の凹レンズ59は、液晶ライトバルブ12の光変調領域の中心領域の画素に対応して設けられている。中心領域の1つの画素に1つの凹レンズ59が設けられている。また、領域58aは、液晶ライトバルブ12の光変調領域の周辺領域に配置されている。即ち、周辺領域における第2のマイクロレンズ層58の屈折力は、中心領域における第2のマイクロレンズ層58の屈折力よりも大きい。凹レンズの形状は特に限定されるものではなく、例えば球面を有する一般的な形状の凹レンズを用いることができる。また本実施形態では、領域58aに空気層を設けているが、空気層の代わりに屈折力を持たない光透過性の部材を領域58aに設けてもよい。また、凹レンズの形成範囲については、特に限定されることなく、適宜決定することができる。つまり、周辺領域と中心領域との間の境界は適宜決定することができる。
本実施形態の光変調装置57の場合、光入射側の第1のマイクロレンズ層46のマイクロレンズ48に入射した光は、ブラックマトリクス(図示略)の開口部を透過できる程度に集束され、液晶ライトバルブ12から所定の角度分布を持って射出される。液晶ライトバルブ12の周辺領域から射出された光は、領域58aを透過して、マイクロレンズ48で決まる角度分布を維持したままの状態でマイクロレンズ素子から射出される。一方、液晶ライトバルブ12の中心領域から射出された光は、第2のマイクロレンズ層58の凹レンズ59を透過することによって角度分布がより拡がった光L4に変換され、マイクロレンズ素子から射出される。
本実施形態の光変調装置57においては、光変調領域の中心領域から射出される光L4は、光変調領域の周辺領域から射出される光L2よりも広い角度分布と高い角度分布の均一性とを持つ。そのため、中心領域では周辺領域よりも高いスペックルノイズの低減効果が得られる。一方、光変調領域の周辺領域から射出される光L2は、光変調領域の中心領域から射出される光L4よりも狭い角度分布を持つ。そのため、周辺領域では後段の投写光学系にけられる光が少なく、比較的高い光利用効率が得られる。光変調装置57を使用することにより、画像のスペックルノイズが全体として低減されるとともに、照明光の利用効率が全体として高いプロジェクターを実現できる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記第1〜第4実施形態では、矩形状の光変調領域に対して、第1の領域、第2の領域、および第3の領域各々の輪郭は矩形であったが、この配置に限られない。図17に示したように、矩形状の光変調領域Mに対して、第1の領域の輪郭R1、第2の領域の輪郭R2、および第3の領域の輪郭R3を例えば円形としてもよい。
また、図18に示したように、矩形状の光変調領域Mを長手方向に分割し、第2の領域H2を挟むように2つの第1の領域H1を配置してもよい。また、このように、必ずしも第3の領域を設定する必要は無い。つまり、第3のマイクロレンズは必須ではない。
上記実施形態では、光変調領域の周辺領域と中心領域とでマイクロレンズの形状、屈折率のいずれか一方を異ならせた構成のマイクロレンズ素子を例示したが、この構成に代えて、光変調領域の周辺領域と中心領域とでマイクロレンズの形状、屈折率の双方を異ならせた構成のマイクロレンズ素子を採用してもよい。例えば光変調領域の周辺領域のマイクロレンズの上面の面積を大きく、かつ屈折率を小さくし、中心領域のマイクロレンズの上面の面積を小さく、かつ屈折率を大きくしてもよい。
第1、第2実施形態では、第1のマイクロレンズと第2のマイクロレンズにおいて、下面に対する傾斜面の傾斜角度は同一であったが、これに限らない。第1のマイクロレンズの傾斜角度を第2のマイクロレンズの傾斜角度より小さくしてもよい。
図15で示した第5実施形態の変形例では、第1の凸レンズ49と第2の凸レンズ54を備えていたが、これに限らない。第2の凸レンズ54に代えて、図16に示した凹レンズ59を設けてもよい。
その他、第1のマイクロレンズ層、第2のマイクロレンズ層、光変調装置、およびプロジェクターの各種構成要素の形状、数、配置、材料等については、上記実施形態で例示したものに限らず、適宜変更が可能である。
1…プロジェクター、2R,2G,2B…光源装置、3R,3G,3B,45,52,57…光変調装置、5…投写光学系、11,23,29,35…第1のマイクロレンズ層、12…液晶ライトバルブ(光変調素子)、18,24,30,36…第1のマイクロレンズ、19,25,31,37…第2のマイクロレンズ、42…マイクロレンズ、47,53,58…第2のマイクロレンズ層、49…第1の凸レンズ、54,59…第2の凸レンズ

Claims (12)

  1. 複数の画素を含む光変調領域を備えた光変調素子に設けられるマイクロレンズ素子であって、
    第1のマイクロレンズ層を備え、
    前記第1のマイクロレンズ層は、前記マイクロレンズ素子の周辺領域に設けられた第1のマイクロレンズと、前記マイクロレンズ素子の中心領域に設けられた第2のマイクロレンズと、を含み、
    前記第2のマイクロレンズに入射して前記マイクロレンズ素子から射出された光の角度分布の均一性が、前記第1のマイクロレンズに入射して前記マイクロレンズ素子から射出された光の角度分布の均一性よりも高く、
    前記第1のマイクロレンズに入射して前記マイクロレンズ素子から射出された光の中心強度が、前記第2のマイクロレンズに入射して前記マイクロレンズ素子から射出された光の中心強度よりも高いことを特徴とするマイクロレンズ素子。
  2. 前記第1のマイクロレンズおよび前記第2のマイクロレンズの各々が、平凸レンズで構成され、
    前記第1のマイクロレンズの凸面の一部が平坦面であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズ素子。
  3. 前記第2のマイクロレンズの凸面の一部が平坦面であり、
    前記第1のマイクロレンズの前記平坦面の面積が、前記第2のマイクロレンズの前記平坦面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のマイクロレンズ素子。
  4. 前記第1のマイクロレンズの屈折率が、前記第2のマイクロレンズの屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のマイクロレンズ素子。
  5. 第2のマイクロレンズ層をさらに備え、
    前記周辺領域における前記第2のマイクロレンズ層の屈折力は、前記中心領域における前記第2のマイクロレンズ層の屈折力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズ素子。
  6. 前記第2のマイクロレンズ層は、前記周辺領域に設けられた第1の凸レンズを含むことを特徴とする請求項5に記載のマイクロレンズ素子。
  7. 前記第2のマイクロレンズ層は、前記中心領域に設けられた第2の凸レンズをさらに含み、
    前記第2の凸レンズの屈折力は前記第1の凸レンズの屈折力よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズ素子。
  8. 前記第2のマイクロレンズ層は、前記中心領域に設けられた凹レンズを含むことを特徴とする請求項5または6に記載のマイクロレンズ素子。
  9. 複数の画素を含む光変調領域を備えた光変調素子と、
    前記光変調素子に設けられたマイクロレンズ素子と、を備え、
    前記マイクロレンズ素子が、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のマイクロレンズ素子であることを特徴とする光変調装置。
  10. 前記マイクロレンズ素子が、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のマイクロレンズ素子であり、
    前記マイクロレンズ素子は前記光変調素子の光入射側に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の光変調装置。
  11. 前記マイクロレンズ素子が、請求項5から請求項8までのいずれか一項に記載のマイクロレンズ素子であり、
    前記第1のマイクロレンズ層は前記光変調素子の光入射側に設けられ、
    前記第2のマイクロレンズ層は前記光変調素子の光射出側に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の光変調装置。
  12. 光源装置と、
    前記光源装置からの光を変調する光変調装置と、
    前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学系と、を備え、
    前記光変調装置が、請求項9から請求項11までのいずれか一項に記載の光変調装置であることを特徴とするプロジェクター。
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