以下に添付図面を参照して、画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の画像処理システム100の構成の一例を示す図である。本実施形態の画像処理システム100は、画像処理装置1及びホスト装置10を備える。画像処理装置1及びホスト装置10は、有線又は無線によって互いに通信可能な状態に接続されている。ホスト装置10は、画像データを画像処理装置1に送信する。画像処理装置1は、コントローラ部2及びエンジン部3を備える。コントローラ部2は、ホスト装置10から画像データを受信し、当該画像データを画像処理して色材画像データを生成し、当該色材画像データをエンジン部3に送信する。色材画像データは、印刷する画像の各画素の色材の記録量を表すデータである。色材画像データには、有色色材画像データ及び透明色材画像データがある。有色色材画像データ及び透明色材画像データの詳細については後述する。エンジン部3は、コントローラ部2から色材画像データを受信して、色材画像データに応じた画像を紙等の記録媒体に記録する。
図2は、第1実施形態の画像処理装置1のコントローラ部2のハードウェア構成の一例を示す図である。
コントローラ部2は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、ネットワークI/F(Interface)105、操作表示パネル106及びバス107を備える。CPU101、ROM102、RAM103、HDD104、ネットワークI/F(Interface)105及び操作表示パネル106は、バス107を介して互いに接続されている。
CPU101は、プログラムを実行する。ROM102には、システム起動プログラム等が記憶されている。システム起動プログラムは、画像処理装置1のシステムを制御するシステムプログラムを起動するプログラムである。RAM103は、CPU101がプログラムを実行するときに使用するメモリである。HDD104は、画像処理装置1の補助記憶装置である。HDD104は、画像処理装置1が画像を処理するための画像処理プログラム等のアプリケーションプログラム、画像処理装置1のシステムプログラム、及び各種のデータ等を記憶する。なお、HDD104は、光学ドライブやフラッシュメモリ等でもよい。光学ドライブが読み出し又は書き込みする記録媒体は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disk Recordable)及びDVD(Digital Versatile Disk)等である。ネットワークI/F105は、ホスト装置10等の外部機器と各種の情報を送受信する。操作表示パネル106は、ユーザからの操作入力を受け付ける。
なお、ROM102に記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
図3は、第1実施形態の画像処理装置1のエンジン部3のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態のエンジン部3は、プリンタ部12、給紙部13、スキャナ部14及び排紙部15を備える。
プリンタ部12は、カートリッジ121、感光体ドラム122、帯電部123、現像部124、中間転写ベルト125、二次転写ローラ126及び定着部127を備える。定着部127は、加圧ローラ1271及び定着ベルト1272を備える。
カートリッジ121は、5つのカートリッジ121C、121M、121Y、121K、及び121Tを備える。4つのカートリッジ121C、121M、121Y及び121Kは、有色色材を収容する。有色色材は、例えば有色トナーである。カートリッジ121Cは、シアン(C)色の色材を収容する。カートリッジ121Mは、マゼンタ(M)色の色材を収容する。カートリッジ121Yは、イエロー(Y)色の色材を収容する。カートリッジ121Kは、黒(K)色の色材を収容する。カートリッジ121Tは、透明(T)色材を収容する。本実施形態の透明色材は、無色透明の色材であり、着色剤を含まない樹脂から生成される色材である。透明色材は、例えばクリアトナーである。なお、以下では、カートリッジ121C、121M、121Y、121K、及び121Tのうち任意のカートリッジを「カートリッジ121」という。
感光体ドラム122は、C色、M色、Y色、K色、及びTの各色材の種類に対応した5つの感光体ドラム122C、122M、122Y、122K、及び122Tを備える。なお、以下では、感光体ドラム122C、122M、122Y、122K、及び122T、のうち任意の感光体ドラムを「感光体ドラム122」という。感光体ドラム122は後述の帯電部123により一様に帯電させられたのち、コントローラ部2から受信した色材画像データに応じた静電潜像が感光体ドラム122の表面に形成される。感光体ドラム122の表面に形成された静電潜像に、後述の現像部124が色材を付着させることにより画像が形成される。
帯電部123は、C色、M色、Y色、K色、及びTの各色材の種類に対応した5つの帯電部123C、123M、123Y、123K、及び123Tを備える。なお、以下では、帯電部123C、123M、123Y、123K、及び123Tのうち任意の帯電部を「帯電部123」という。帯電部123は、電圧を印加させられて、感光体ドラム122の表面を帯電させる。
現像部124は、C色、M色、Y色、K色、及びTの各色材の種類に対応した5つの現像部124C、124M、124Y、124K、及び124Tを備える。なお、以下では、現像部124C、124M、124Y、124K、及び124Tのうち任意の帯電部を「現像部124」という。現像部124は、カートリッジ121の色材を帯電部123によって帯電された感光体ドラム122に付着させることにより、各感光体ドラム122の表面に画像を形成する。
中間転写ベルト125は、感光体ドラム122に当接しながら搬送される。これにより、感光体ドラム122に形成された画像が中間転写ベルト125に転写される。
二次転写ローラ126は、後述する給紙部13から搬送された記録媒体を、中間転写ベ
ルト125との間に挟み込むことにより、中間転写ベルト125に形成された画像を記録媒体に転写し、画像が形成された記録媒体を定着部127に送る。
定着部127は、加圧ローラ1271及び定着ベルト1272を備える。定着部127は、二次転写ローラ126から送られた記録媒体に画像を定着させる。加圧ローラ1271は、定着ベルト1272に記録媒体を押し当て、熱を付与することにより、記録媒体に色材を付着させることによって画像を定着させる。定着ベルト1272は、加圧ローラ1271との間に記録媒体を押し当てることにより、記録媒体に画像を定着させる。
続いて、給紙部13のハードウェア構成を説明する。給紙部13は、給紙トレイ131、給紙ローラ132、給紙ベルト133及びレジストローラ134を備える。給紙部13は、用紙等の記録媒体をプリンタ部12に供給する。
給紙トレイ131は、用紙等の記録媒体を収容する。給紙ローラ132は、給紙トレイ131に収容されている用紙を取り出し、給紙ベルト133に載置する。給紙ベルト133は、用紙を搬送しレジストローラ134に差し入れる。レジストローラ134は、用紙を中間転写ベルト125と二次転写ローラ126との間に送り入れる。
スキャナ部14は、コンタクトガラス141及び読取センサ142を備える。スキャナ部14は、用紙等に記載された画像情報を読み取る。コンタクトガラス141には、画像が記載された用紙が載置される。読取センサ142は、コンタクトガラス141に載置さ
れた用紙に記載された画像から画像情報を読み取る。
排紙部15は、定着部127で画像が定着された記録媒体を排紙し、排紙された記録媒
体を格納する。
図4は、第1実施形態の画像処理装置1のコントローラ部2のブロック図である。本実施形態のコントローラ部2は、受信部21、第1生成部22、第2生成部23、設定部24、記憶部25、補正部26及び送信部27を備える。
受信部21は、第1画像データ及び第2画像データをホスト装置10から受信する。第1画像データは、有色色材を使用して形成する画像を示す。第1画像データは、用紙等の被画像記録媒体に着色色材で形成すべき画像を表す情報であり、RGBやCMYK等の表色形式や単色の濃淡形式で表現された、ビットマップ形式やベクトル形式のデータである。第2画像データは、透明色材を使用して形成する画像を示す。第2画像データは、用紙等の被画像記録媒体に透明色材で形成すべき画像を表す情報であり、単色の濃淡形式で表現されたビットマップ形式やベクトル形式等のデータである。受信部21は、第1画像データを第1生成部22に送信する。受信部21は、第2画像データを第2生成部23に送信する。
第1生成部22は、第1画像データから、各画素の有色色材の記録量を表す有色色材画像データを、有色色材の色毎に生成する。有色色材画像データは、例えば、各画素のCMYK等の着色色材の記録量をビットマップ形式で表したデータである。第1生成部22は、有色色材画像データを補正部26に送信する。
第2生成部23は、第2画像データから、各画素の透明色材の記録量を表す透明色材画像データを生成する。第2生成部23は、透明色材画像データを補正部26に送信する。透明色材画像データは、例えば、各画素の透明色材の記録量をビットマップ形式で表したデータである。
なお、本実施形態の画像処理装置1の説明では、有色色材の記録量や透明色材の記録量を網点面積率で表現する。したがって、各色材の記録量が取りうる値の範囲は、0%〜100%であるが、本願実施形態の画像処理装置1では0%〜100%に限らない。例えば、着色色材の記録量や透明色材の記録量を8bitで表現し、各色材の記録量が取りうる値の範囲を0〜255としてもよい。
設定部24は、有色色材画像データの有色色材記録量と、透明色材画像データの透明色材記録量とを合わせた色材画像データの色材記録量について、色材の記録量の上限を示す色材記録総量と、透明色材に割り当て可能な記録量の上限を示す透明色材最大記録量とを画像処理装置1に設定する。記憶部25は、設定部24が画像処理装置1に設定した色材記録総量と透明色材最大記録量とを記憶する。色材記録総量は、例えば260%である。また、透明色材最大記録量は、例えば100%である。
なお、設定部24が設定する色材記録総量は、上述の操作表示パネル106によりユーザの操作入力によって設定してもよい。また、設定部24が、被画像記録部材の種類に応じて記録総量を決定するためのテーブルを記憶部25に記憶しておき、被画像記録部材の種類に応じて記録総量を決定してもよい。
補正部26は、有色色材画像データを第1生成部22から受信する。また、補正部26は、透明色材画像データを第2生成部23から受信する。また、補正部26は、色材記録総量と透明色材最大記録量とを記憶部25から読み出す。補正部26は、有色色材画像データの有色色材の記録量と、色材記録総量と、透明色材最大記録量とに基づいて、透明色材画像データの各画素の透明色材の記録量を補正する。ここで、有色色材の記録量は、シアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色及び黒(K)色の色材の記録量である。
具体的には、本実施形態の補正部26は、色材画像データの各画素について、透明色材の記録量を次の式(1)により補正する。
(補正後の透明色材の記録量)=(補正前の透明色材の記録量)×{Tmax/(透明色材最大記録量)} ・・・(1)
ここで、Tmaxは、次の式(2)により定義する。
Tmax=(色材記録総量)−(有色色材の記録量) ・・・(2)
ただし、Tmax<0ならTmax=0とし、Tmax≧(透明色材最大記録量)ならTmax=(透明色材最大記録量)とする。以下、Tmaxを「透明色材割当可能記録量」という。
図5Aは、第1実施形態の透明色材割当可能記録量(Tmax)の一例を示す図である。図5Bは、第1実施形態の補正部26の透明色材記録量の補正方法の例を示す図である。
まず、図5Aについて説明する。図5Aのx軸は、有色色材記録量(Scol)を表す。図5Aのy軸は、色材記録量を表す。Sallは、色材記録総量を表す。また、図5Aの例では、透明色材最大記録量を100(%)としている。
有色色材記録量(Scol)≦色材記録総量(Sall)−100のとき、透明色材割当可能記録量(Tmax)=100(%)である。
色材記録総量(Sall)−100<有色色材記録量(Scol)≦色材記録総量(Sall)のとき、透明色材割当可能記録量(Tmax)=色材記録総量(Sall)−有色色材記録量(Scol)(%)である。
有色色材記録量(Scol)>色材記録総量(Sall)のとき、透明色材割当可能記録量(Tmax)=0(%)である。
次に、図5Bについて説明する。図5Bのx軸は、補正前の透明色材記録量t(%)を表す。図5Bのy軸は、補正後の透明色材記録量t’(%)を表す。図5Bの100は、透明色材最大記録量を表す。関数41は、上述の式(1)によって透明色材記録量tを透明色材記録量t’に補正した場合を表す。式(1)を表す関数41は線形変換である。しかしながら、有色色材画像データの有色色材の記録量と、色材記録総量と、透明色材最大記録量とに基づいて、透明色材画像データの各画素の透明色材の記録量を補正する式は、式(1)に限られず、関数42や関数43で表されるような非線形な式でもよい。
図4に戻り、補正部26は、有色色材画像データ及び補正後の透明色材画像データを送信部27に送信する。送信部27は、有色色材画像データ及び補正後の透明色材画像データを補正部26から受信すると、有色色材画像データ及び補正後の透明色材画像データをエンジン部3に送信する。これにより、エンジン部3は、有色色材画像データ及び補正後の透明色材画像データに応じた画像を紙等の記録媒体に記録する。
本実施形態の画像処理装置1は、補正部26が、透明色材の記録量が透明色材割当可能記録量(Tmax)を超えるか否かによらずに、透明色材割当可能記録量(Tmax)の範囲内に透明色材記録量を補正する(図5B参照)ので、画像全体としての統一感や階調性を失わせることなく、透明色材の量を調整することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の画像処理システム100について説明する。本実施形態の画像処理システム100の構成は、第1実施形態の画像処理システム100と同じであるため説明を省略する。また、本実施形態の画像処理装置1のコントローラ部2及びエンジン部3のハードウェア構成についても第1実施形態の画像処理システム100と同じであるため説明を省略する。
図6は、第2実施形態の画像処理装置1のコントローラ部2のブロック図である。本実施形態の画像処理装置1のコントローラ部2は、第1実施形態の画像処理装置1のコントローラ部2の構成に保証部28が追加されている。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる箇所について説明する。
保証部28は、記憶部25から透明色材割当可能記録量(Tmax)の保証量を読み出し、当該保証量を補正部26に送信する。透明色材割当可能記録量の保証量は、補正部26が、色材記録量が色材記録総量を超えないようにするために、透明色材割当可能記録量を決定するときの下限値である。例えば、透明色材最大記録量が100(%)であり、かつ保証量が100(%)である場合、補正部26は、常に、透明色材割当可能記録量(Tmax)=透明色材最大記録量=100(%)とする。この場合は、補正部26が、透明色材の記録量を最優先にする場合である。
また、透明色材最大記録量が100(%)であり、かつ保証量が50(%)である場合、補正部26は、色材記録量が色材記録総量を超えないようにするために、透明色材割当可能記録量(Tmax)を50(%)まで下げることができる。この場合は、補正部26が、透明色材の記録量と有色色材の記録量とを同程度に補正する場合である。
また、透明色材最大記録量が100(%)であり、かつ保証量が0(%)である場合、補正部26は、色材記録量が色材記録総量を超えないようにするために、透明色材割当可能記録量(Tmax)を0(%)まで下げることができる。この場合は、補正部26が、有色色材の記録量を最優先にする場合である。
なお、保証部28は、記憶部25に予め記憶されている保証量を読み出さずに、保証量を上述の操作表示パネル106によりユーザから受け付けてもよい。
補正部26は、有色色材画像データを第1生成部22から受信する。また、補正部26は、透明色材画像データを第2生成部23から受信する。また、補正部26は、色材記録総量と透明色材最大記録量とを記憶部25から読み出す。また、補正部26は、透明色材記録量の保証量を保証部28から受信する。補正部26は、第1実施形態の補正部26と同様にして、有色色材画像データの有色色材の記録量と、色材記録総量と、透明色材最大記録量とに基づいて、透明色材画像データの各画素の透明色材の記録量を補正する。補正部26は、補正後の各画素の透明色材の記録量を補正するときに、式(1)に使用する透明色材割当可能記録量(Tmax)が、透明色材割当可能記録量(Tmax)の保証量より小さい場合、Tmaxを修正する。具体的には、透明色材最大記録量をTgauとすると、補正部26は、透明色材割当可能記録量Tmaxを、例えば、Tgau>TmaxならTmax’=Tgauとし、Tgau≦TmaxならTmax’=Tmaxとすることにより修正する。
補正部26は、透明色材割当可能記録量Tmax’を使用して、上述の式(1)により透明色材の記録量tを透明色材の記録量t’に補正する。
補正部26は、透明色材割当可能記録量をTmax’にしたときに、補正後の透明色材の記録量と、有色色材の記録量とを合わせた色材記録量が、色材記録総量よりも大きい場合、有色色材の記録量を削減する補正を行う。補正部26は、補正後の透明色材の記録量t’及び色材記録総量に基づいて有色色材の記録量を補正する。具体的には、例えば、補正部26は次の式(3)により有色色材の記録量を補正する。
Sall<t’+Scolなら、
k’=k
c’=c×(Sall−t’)/Scol
m’=m×(Sall−t’)/Scol
y’=y×(Sall−t’)/Scol ・・・(3)
Sall≧t’+Scolなら、
k’=k
c’=c
m’=m
y’=y
ただし、Sallは、色材記録総量であり、kは黒(K)色色材の記録量であり、cはシアン(C)色色材の記録量であり、mはマゼンタ(M)色色材の記録量であり、yはイエロー(Y)色色材の記録量であり、Scolは、有色色材記録量(k+c+m+y)である。
なお、式(3)において、黒(K)色色材の記録量を補正しないようにする理由は、黒(K)色色材の記録量を削減すると、補正前と補正後の画像の違いが顕著に現れやすく、画像に及ぼす影響が大きいためである。なお、式(3)は、補正式の一例であり、補正部26は、式(3)に限られず任意の補正式で有色色材の記録量を補正してもよい。
本実施形態の画像処理装置1は、保証部28が、透明色材割当可能記録量の下限値を保証するので、透明色材の記録量を減らしすぎないようにするとともに、画像全体としての統一感や階調性を失わせることなく、透明色材の量を調整することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の画像処理システム100について説明する。本実施形態の説明では、有色色材を有色トナー、透明色材をクリアトナーとして説明する。しかしながら、色材は、トナーに限られず任意の色材でもよい。
まず、本実施の形態に係る画像処理システム100の構成について説明する。図7は、第3実施形態の画像処理システム100の構成の一例を示す図である。本実施形態の画像処理システム100は、プリンタ制御装置(DFE:Digital Front End)50(以下、「DFE50」という。)と、インタフェースコントローラ(MIC:Mechanism I/F Contoroller)60(以下、「MIC60」という。)と、プリンタ機70とを備える。
ホスト装置10は、画像データ(後述の印刷データ)をDFE50に送信する装置である。ホスト装置10は、例えばPC(Personal Computer)等である。DFE50は、MIC60を介してプリンタ機70と通信し、プリンタ機70による画像の形成を制御する。DFE50は、画像データをホスト装置10から受信する。DFE50は、当該画像データから、画像の各画素の有色トナーの記録量を表す有色トナー画像データと、画像の各画素のクリアトナーの記録量を表すクリアトナー画像データとを生成する。DFE50は、MIC60を介して有色トナー画像データ及びクリアトナー画像データを送信する。プリンタ機70は、有色トナー画像データ及びクリアトナー画像データをMIC60を介してDFE50から受信する。
プリンタ機70は、カートリッジ、作像ユニット、露光器及び定着機を備える。作像ユニットは、感光体、帯電器、現像器及び感光体クリーナを備える。カートリッジは、CMYKの4つの有色トナーと、クリアトナーとを収容する。本実施形態では、有色トナーはCMYK各色の有色トナーである。クリアトナーは、色材を含まない透明な(無色の)トナーである。なお、透明(無色)とは、例えば、透過率が70%以上であることを示す。
プリンタ機70は、MIC60を介してDFE50から受信した有色トナー画像データ及びクリアトナー画像データに応じた画像を、転写紙等の記録媒体上に形成する。具体的には、プリンタ機70は、帯電器により感光体を帯電させ、露光器から光ビームを照射してトナー像を感光体上に形成する。プリンタ機70は、当該トナー像を記録媒体に転写し、当該記録媒体を定着機によって所定の範囲内の温度(通常温度)で加熱及び加圧して、当該記録媒体にトナー像を定着させる。これにより、プリンタ機70は記録媒体上に画像を形成する。このようなプリンタ機70の構成については周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ここで、DFE50が、ホスト装置10から受信する画像データ(原稿データ)について説明する。ホスト装置10は、予めインストールされた画像処理アプリケーション(後述する画像処理部212、版データ生成部214、印刷データ生成部215等)により画像データを生成し、当該画像データをDFE50に送信する。画像処理アプリケーションは、RGB版やCMYK版等の各色版における各色の濃度の値(濃度値という)を画素毎に規定した画像データだけでなく、特色版の画像データを取り扱うことが可能である。特色版の画像データは、CMYKやRGB等の基本的なカラーの他に、白、金、銀といった特殊なトナーやインクを付着させるための画像データであり、このような特殊なトナーやインクを搭載したプリンタ向けのデータである。なお、色再現性を向上させるためにCMYKの基本カラーに、特色としてRを追加することや、RGBの基本カラーに、特色としてYを追加することもある。通常、クリアトナーも特色の1つとして取り扱われていた。
本実施形態の画像処理システム100では、この特色としてのクリアトナーを、転写紙に付与する視覚的、又は触覚的な効果である表面効果を形成するため、並びに、転写紙に、上記表面効果以外のウォータマークやテクスチャ等の透明画像を形成するために用いる。
このため、ホスト装置10の画像処理アプリケーションは、入力された画像データに対
して、有色版の画像データの他、特色版の画像データとして、ユーザの指定により、光沢
制御版の画像データ及び/又はクリア版の画像データを生成する。
ここで、有色版の画像データ、光沢制御版の画像データ及びクリア版の画像データについて説明する。
図8は、有色版の画像データの一例を示す図である。有色版の画像データは、画素毎にRGBやCMYK等の有色の濃度値を規定した画像データである。有色版の画像データが示す画像は、有色トナーを使用して形成される。この有色版の画像データでは、ユーザによる色の指定に応じて、1画素の有色の濃度値を、基本カラー毎に8ビットで表現する。例えば、1画素の有色の濃度値を、RGBを利用して表現する場合、Rを8ビット、Gを8ビット、Bを8ビットで表現する。図8の例では、「A」、「B」、「C」等の描画オブジェクト毎に、ユーザが画像処理アプリケーションにより指定した色に対応する濃度値が付与される。
また、光沢制御版の画像データは、転写紙に付与する視覚的又は触覚的な効果である表面効果の種類を特定した画像データである。光沢制御版の画像データが示す画像は、クリアトナーを使用して形成される。
この光沢制御版の画像データは、RGBやCMYK等により画像を表す有色版の画像データと同様に、画素毎に8ビットで「0」〜「255」の範囲の濃度値で画像を表す。ただし、光沢制御版の画像データでは、この濃度値に、表面効果の種類が対応付けられている(濃度値は16ビットや32ビット、又は0〜100%で表してもよい)。
また、同一の表面効果を与えたい範囲には、実際に付着するクリアトナーの濃度と関係なく同一の値が設定されるため、領域を示すデータがなくとも必要に応じて画像データから容易に領域が特定できる。すなわち、光沢制御版によって、表面効果の種類と、表面効果を与える領域とが表される(領域を表すデータを別途付与してもよい)。
ホスト装置10は、ユーザが画像処理アプリケーションにより指定した描画オブジェクトに対する表面効果の種類を、描画オブジェクト毎に光沢等の表面効果を表す濃度値として設定し、ベクター形式の光沢制御版の画像データ(光沢制御版データ)を生成する。
この光沢制御版の画像データを構成する各画素は、有色版の画像データの画素に対応する。なお、各画像データにおいては各画素の表す濃度値が画素値となる。また、色版の画像データ及び光沢制御版は共にページ単位で構成される。
表面効果の種類としては、大別して、光沢の有無に関するものや、表面保護や、情報を埋め込んだ透かしや、テクスチャ等がある。ここで、光沢の有無に関する表面効果について説明する。
図9は、光沢の有無に関する表面効果の種類の一例を示す図である。図9の例では、光沢の有無に関する表面効果の種類は、大別して3種類あり、光沢の度合い(光沢度)が高い順に、鏡面光沢(PG:Premium Gloss)、ベタ光沢(G:Gloss)、網点マット(M:Matt)がある。以下、鏡面光沢を「PG」、ベタ光沢を「G」、網点マットを「M」という。
鏡面光沢やベタ光沢は、光沢を与える度合いが高く、逆に、網点マットは、光沢を抑える。図9中において、鏡面光沢はその光沢度Gsが80以上、ベタ光沢は一次色又は二次色のなすベタ光沢度、網点マットは一次色、かつ網点30%の光沢度を表す。また、光沢度の偏差をΔGsで表し、10以下とした。光沢を与える度合いが高い表面効果には、高い濃度値が対応し、光沢を抑える表面効果には、低い濃度値が対応する。透かしやテクスチャ等の表面効果には、その中間の濃度値が対応する。
透かしの例は、文字や地紋等である。テクスチャは、文字や模様を表すものであり、視覚的効果の他、触覚的効果を与えることが可能である。テクスチャの例は、ステンドグラスのパターン等である。表面保護は、鏡面光沢やベタ光沢を代用する。なお、表面効果を与える画像の領域や、その領域に与える表面効果の種類は、画像処理アプリケーションを介してユーザにより指定される。画像処理アプリケーションを実行するホスト装置10は、ユーザにより指定された領域を構成する描画オブジェクトについて、ユーザが指定した表面効果に対応する濃度値を設定することにより、光沢制御版の画像データを生成する。濃度値と表面効果の種類との対応関係については後述する。
図10は、光沢制御版の画像データの一例を示す図である。図10の光沢制御版の例では、ユーザにより、描画オブジェクト「ABC」に表面効果「PG(鏡面光沢)」が付与され、描画オブジェクト「(長方形の図形)」に表面効果「G(ベタ光沢)」が付与され、描画オブジェクト「(円形の図形)」に表面効果「M(網点マット)」が付与された例を示している。なお、各表面効果に設定された濃度値は、後述の濃度値選択テーブル(図15参照)で、表面効果の種類に対応して定められた濃度値である。
図11は、クリア版の画像データの一例を示す説明図である。クリア版の画像データは、上記表面効果以外のウォータマークやテクスチャ等の透明画像を示す画像データである。クリア版の画像データが示す画像は、クリアトナーを使用して形成する。図11の例は、ウォータマーク「Sale」を示す。
ホスト装置10は、特色版の画像データ(光沢制御版の画像データ及びクリア版の画像データ)を画像処理アプリケーションにより、有色版の画像データとは別のプレーンで生成する。また、ホスト装置10は、有色版の画像データ、光沢制御版の画像データ及びクリア版の画像データを、PDF(Portable Document Format)形式で表し、各版のPDFの画像データを統合して原稿データとして生成する。なお、各版の画像データのデータ形式は、PDFに限定されるものではなく任意の形式でよい。
次に、ホスト装置10の詳細について説明する。図12は、ホスト装置10の構成の一例を示すブロック図である。ホスト装置10は、I/F部201、記憶部202、入力部203、表示部204及び制御部205を備える。
I/F部201は、DFE50との間で通信を行うためのインタフェース装置である。記憶部202は各種のデータを記憶するハードディスクドライブ装置(HDD)やメモリ等の記憶媒体である。入力部203は、ユーザが各種の操作入力を行うための入力デバイスであり、例えばキーボードやマウス等で構成される。表示部204は、各種画面を表示するための表示デバイスであり、例えば液晶パネル等で構成される。
制御部205は、CPU、ROM及びRAM等で構成されるコンピュータである。制御部205はホスト装置10全体を制御する。制御部205は、入力制御部211、画像処理部212、表示制御部213、版データ生成部214及び印刷データ生成部215を備える。入力制御部211及び表示制御部213は、CPUがROM等に格納されたオペレーティングシステムのプログラムを読み出して実行することにより実現する。画像処理部212、版データ生成部214及び印刷データ生成部215は、CPUがROM等に格納された上述の画像処理アプリケーションのプログラムを読み出して実行することにより実現する。ここで、版データ生成部214は、例えば、画像処理アプリケーションにインストールされたプラグインの機能として提供される。なお、これらの各部のうちの少なくとも一部を個別の回路(ハードウェア)で実現してもよい。
入力制御部211は、入力部203がユーザから受け付けた入力に応じた入力情報を受信する。例えば、ユーザは、入力部203を操作することにより、記憶部202に記憶された画像(例えば写真、文字、図形、これらを合成した画像等)のうち表面効果を与える画像を指定する画像指定情報を入力する。なお、画像指定情報は、入力部203によりユーザから受け付けずに、その他の方法により設定してもよい。
表示制御部213は、各種情報を表示部204に表示する制御を行う。例えば、表示制御部213は、入力制御部211が画像指定情報を受け付けた場合、その画像指定情報で指定された画像を記憶部202から読み出し、その読み出した画像を画面上に表示するように表示部204を制御する。
ユーザは、表示部204に表示された画像を確認しながら、入力部203を操作することにより、表面効果を与える領域及び当該表面効果の種類を指定する表面効果指定情報を入力する。なお、表面効果指定情報は、入力部203によりユーザから受け付けずに、その他の方法により設定してもよい。
図13及び図14を参照して、ユーザから表面効果指定情報の入力を受け付ける場合について説明する。図13は、第3実施形態のホスト装置10が操作入力を受け付けるときに表示する画像の一例を示す図である。図14は、第3実施形態のホスト装置10が表面効果指定情報の操作入力を受け付けるときに表示する画像の一例を示す図である。
図13は、Adobe System(R)社が販売しているIllustratorにプラグインを組み込んだ場合に表示される画像の例である。図13の例では、有色版の画像データによって表される画像が表示され、ユーザが入力部203を介してマーカ追加ボタンを押下して、表面効果を与えたい領域を指定する操作入力を行うことで、表面効果を与える領域が指定される。ユーザは表面効果を与える全ての領域に対してこのような操作入力を行う。そして、ホスト装置10の表示制御部213は、指定された領域毎に、図14に例示される画像を表示部204に表示させる。
図14の例は、表面効果を与える領域として指定された領域を示す画像情報と、表面効果指定情報の入力を受け付けるための表示情報とを含む。入力部203は、表面効果を与える領域毎に表面効果の種類を指定する操作入力を受け付ける。図9の鏡面光沢やベタ光沢は、図14では「インバースマスク」と表記されており、図9の鏡面光沢やベタ光沢を除く他の効果は、図14のステンドグラス、万線パターン、網目パターン、モザイクスタイル、及びハーフトーンとして表記されている。
図12に戻り、画像処理部212は、入力部203が受け付けたユーザの入力に基づいて画像処理を行う。
版データ生成部214は、有色版の画像データ、光沢制御版の画像データ及びクリア版の画像データを生成する。すなわち、版データ生成部214は、入力制御部211が、画像に含まれる描画オブジェクトの色指定を示す情報を入力部203から受信した場合、当該色指定を示す情報に従って有色版の画像データを生成する。
また、版データ生成部214は、入力制御部211が、表面効果以外のウォータマーク
やテクスチャ等の透明画像、及び透明画像を付与する領域の指定を示す情報を入力部203から受信した場合、当該領域の指定を示す情報に従って、透明画像及び透明画像を付与する転写紙の領域を示すクリア版の画像データを生成する。
また、版データ生成部214は、入力制御部211が、表面効果指定情報(表面効果を与える領域及び当該表面効果の種類を示す情報)を入力部203から受信した場合、当該表面効果指定情報に基づいて、表面効果が与えられる転写紙の領域及び当該表面効果の種類を示す光沢制御版の画像データを生成する。版データ生成部214は、光沢制御値で示す表面効果を付与する領域を、対象画像の画像データの描画オブジェクトの単位で指定した光沢制御版の画像データを生成する。
記憶部202は、ユーザにより指定された表面効果の種類と、当該表面効果の種類に対応する光沢制御版の濃度値とを含む濃度値選択テーブルを記憶する。図15は、第3実施形態の濃度値選択テーブルの一例を示す図である。図15の例では、ユーザにより「PG」(鏡面光沢)が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「98%」であり、「G」(ベタ光沢)が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「90%」であり、「M」(網点マット)が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「16%」である。
この濃度値選択テーブルは、DFE50で記憶されている表面効果選択テーブル(後述の図21)の一部のデータである。制御部205は、所定のタイミングで表面効果選択テーブルを取得し、当該表面効果選択テーブルから濃度値選択テーブルを生成し、記憶部202に記憶する。なお、インターネット等のネットワーク上のストレージサーバ(クラウドシステム)に表面効果選択テーブルを保存しておき、制御部205が当該サーバから表面効果選択テーブルを取得して、当該表面効果選択テーブルから濃度値選択テーブルを生成してもよい。ただし、DFE50で記憶されている表面効果選択テーブルと、ストレージサーバ(クラウドシステム)から取得する表面効果選択テーブルとは同じデータである必要がある。
図12に戻り、版データ生成部214は、図15に示す濃度値選択テーブルを参照して、ユーザにより所定の表面効果が指定された描画オブジェクトの濃度値(光沢制御値)を、当該表面効果の種類に応じた値に設定して光沢制御版の画像データを生成する。
例えば、ユーザにより、図8に示した有色版の画像データのうち、「ABC」と表示される領域に「PG」、長方形の領域に「G」、円形の領域に「M」を与えることが指定された場合を想定する。この場合、版データ生成部214は、ユーザにより「PG」が指定された描画オブジェクト(「ABC」)の濃度値を「98%」に設定し、「G」が指定された描画オブジェクト(「長方形」)の濃度値を「90%」に設定し、「M」が指定された描画オブジェクト(「円形」)の濃度値を「16%」に設定して光沢制御版の画像データを生成する。
版データ生成部214で生成された光沢制御版の画像データは、点の座標と、それを結ぶ線や面の方程式のパラメータ、及び塗り潰しや特殊効果等を示す描画オブジェクトの集合として表現されるベクター形式のデータである。図10は、この光沢制御版の画像データをイメージとして示した図である。版データ生成部214は、光沢制御版の画像データと、有色版の画像データと、クリア版の画像データとを統合した原稿データを生成して印刷データ生成部215へ渡す。
印刷データ生成部215は、原稿データに基づいて印刷データを生成する。印刷データ
は、有色版の画像データと、ジョブコマンドとを少なくとも含み、更に光沢制御版の画像データ又は/及びクリア版の画像データを含む。ジョブコマンドは、例えばプリンタの設定、集約の設定、及び両面の設定等をプリンタに指定する情報を含む。
図16は、第3実施形態の印刷データの構成例を概念的に示す図である。図16の例では、ジョブコマンドとして、JDF(Job Definition Format)が用いられている。しかしながら、ジョブコマンドはJDFに限られず任意のジョブコマンドでよい。図16に示すJDFは、集約の設定として「片面印刷・ステープル有り」を指定するコマンドである。また、印刷データは、PostScript(登録商標)のようなページ記述言語(PDL)に変換されてもよいし、DFE50が対応していれば、PDF形式のままでもよい。
次に、ホスト装置10が印刷データを生成する処理について説明する。図17は、第3実施形態のホスト装置10が印刷データを生成する方法を示すフローチャートである。なお、図17の例は、透明画像の指定がなく、クリア版の画像データを生成しない場合である。
まず、入力制御部211が入力部203から画像指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS11:Yes)、表示制御部213は、受け付けた画像指定情報で指定された有色版の画像を表示するように表示部204を制御する(ステップS12)。入力制御部211が入力部203から画像指定情報の入力を受け付けていない場合(ステップS11:No)、表示制御部213は、入力制御部211が画像指定情報の入力を受け付けるまで待つ。
次に、入力制御部211が表面効果指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS13:Yes)、版データ生成部214は、受け付けた表面効果指定情報に基づいて、光沢制御版の画像データを生成する(ステップS14)。入力制御部211が表面効果指定情報の入力を受け付けていない場合(ステップS13:No)、表示制御部213は、入力制御部211が表面効果指定情報の入力を受け付けるまで待つ。
ここで、ステップS14における光沢制御版の生成処理の詳細について説明する。図18は、第3実施形態のホスト装置10が光沢制御版の画像データを生成する方法を示すフローチャートである。まず、版データ生成部214は、表面効果指定情報により表面効果が付与された画像内の描画オブジェクトとその座標を特定する(ステップS21)。描画オブジェクトとその座標の特定は、例えば、画像処理部212が描画オブジェクトの描画する際に使用する描画コマンド、及び当該描画コマンドに設定された座標値等を用いる。描画コマンドは、例えばオペレーティングシステムで提供される。
次に、版データ生成部214は、記憶部202に記憶されている濃度値選択テーブルを参照して、表面効果指定情報でユーザが指定した表面効果に対応する濃度値(光沢制御値)を決定する(ステップS22)。
そして、版データ生成部214は、光沢制御版の画像データ(当初は空データ)に、描画オブジェクトと、表面効果に対応して決定された濃度値とを対応付けて登録する(ステップS23)。
次に、版データ生成部214は、画像に存在する全ての描画オブジェクトに上記ステップS21からS23までの処理を完了したか否かを判断する(ステップS24)。そして、まだ完了していない場合は(ステップS24:No)、版データ生成部214は、画像中でまだ未処理の次の描画オブジェクトを選択して(ステップS25)、ステップS21からS23までの処理を実行する。
そして、ステップS24において、版データ生成部214は、画像中の全ての描画オブジェクトに上記ステップS21からS23までの処理を完了したと判断した場合は(ステップS24:Yes)、版データ生成部214は、光沢制御版の画像データの生成を完了する。これにより、図14の画像で受け付けた表面効果指定情報に応じた光沢制御版の画像データ(図10参照)が生成される。また、図19は、図10の光沢制御版の画像データの描画オブジェクト、座標及び濃度値との対応関係を示す図である。例えば、描画オブジェクト「A,B,C」の位置を示す座標は、(x1,y1)−(x2,y2)であり、当該座標で特定される領域の濃度値が98%であることを示す。
図17に戻り、光沢制御版の画像データが生成されたら、版データ生成部214は、光
沢制御版の画像データと、有色版の画像データとを統合した原稿データを生成して印刷デ
ータ生成部215へ渡す。そして、印刷データ生成部215は、当該原稿データに基づいて印刷データを生成する(ステップS15)。
次に、DFE50の構成について説明する。図20は、第3実施形態のDFEの構成の一例を示す図である。本実施形態のDFE50は、受信部501、第1生成部502、第2生成部503、保証部507、設定部509、算出部511、第1補正部512、第2補正部513、TRC514及びハーフトーンエンジン515を備える。また、DFE50は、パターン情報505、表面効果選択テーブル508、トナー記録総量情報510、クリアトナー最大記録量情報516及びハーフトーン処理選択テーブル517を、図20では図示されていない記憶部に記憶する。
受信部501は、上述の印刷データをホスト装置10から受信する。本実施形態のDFE50が受信する印刷データは、ホスト装置10の説明で上述したクリア版の画像データを含まないものとして説明する。すなわち、DFE50が受信する印刷データは、有色版の画像データを少なくとも含み、画像に表面効果を与える場合は、更に光沢制御版の画像データを含む。受信部501は、有色版の画像データを第1生成部502に送信する。また、受信部501は、印刷データに光沢制御版の画像データが含まれる場合、光沢制御版の画像データを第2生成部503に送信する。
第1生成部502は、有色版の画像データを言語解釈して、ベクター形式で表現される画像データをラスタ形式に変換するとともに、RGB形式等で表現された色空間をCMYK形式の色空間に変換する。第1生成部502は、1画素の濃度値を8ビットで表現した有色トナー画像データをCMYKの色毎に出力し、当該有色トナー画像データを第1補正部512、第2生成部503及び算出部511に送信する。また、第1生成部502は、言語解釈した際に抽出された画像領域毎の文字、写真及びグラフィックス等のオブジェクトの種類を示す情報、当該オブジェクトの座標を含むオブジェクト情報を出力し、当該オブジェクト情報を設定部509、TRC514及びハーフトーンエンジン515に送信する。
第2生成部503は、変換部504及び生成部506を備える。変換部504は、光沢制御版の画像データを言語解釈して、ベクター形式からラスタ形式に変換する。変換部504は、ラスタ形式の画像データを生成部506及び保証部507に送信する。生成部506は、変換部504からラスタ形式の光沢制御版の画像データを受信し、第1生成部502からラスタ形式の有色トナー画像データを受信する。
生成部506は、パターン情報505及び表面効果選択テーブル508を参照して、光沢制御版の画像データからクリアトナー画像データを生成する。クリアトナー画像データは、画像の各画素のクリアトナーの記録量を表すデータである。
パターン情報505は、透かし文字、地紋パターン及び触覚パターン等のパターンの画像データである。生成部506は、当該パターンを含むクリアトナー画像データを生成する際にパターン情報505を参照する。
図21は、第3実施形態の表面効果選択テーブル508の一例を示す図である。表面効果選択テーブル508は、濃度(%)、濃度値(代表値、数値範囲)、効果、形態及び保証量のフィールドを有する。
濃度(%)は、表面効果の光沢の強さを示す情報である。図21の例は、濃度(%)は2%単位である。濃度値(代表値、数値範囲)は、濃度(%)を0〜255の数値で表した情報である。数値範囲は、2%単位の濃度に対応する濃度値の範囲である。代表値は、当該数値範囲の濃度値を代表する値である。効果は、濃度(%)単位に対応付けられている表面効果の種類を表す情報である。
形態は、当該効果を実現するためにクリアトナーをどのような形態で付着させるかを示す情報である。保証量は、トナー記録量がトナー記録総量を超えないようにするために、クリアトナー割当可能記録量(第1及び第2実施形態で説明したTmaxに相当)を決定するときの下限値である。
表面効果選択テーブル508では、濃度(%)単位に表面効果が対応付けられている。具体的には、濃度率が84%以上となる濃度値の範囲(「212」〜「255」)に対して光沢を与える表面効果(鏡面効果及びベタ効果)が対応付けられている。また、濃度率が16%以下となる濃度値の範囲(「1」〜「43」)に対して光沢を抑える表面効果(網点マット)が対応付けられている。また、濃度率が20%〜80%となる濃度値の範囲には、テクスチャや地紋透かし等の表面効果が対応付けられている。
より具体的には、例えば、「238」〜「255」の画素値に対しては表面効果として鏡面光沢(PM:Premium Gross)が対応付けられており、このうち、「238」〜「242」の画素値、「243」〜「247」の画素値及び「248」〜「255」の画素値の3つの範囲に対して各々異なるタイプの鏡面光沢が対応付けられている。また、「212」〜「232」の画素値に対しては、ベタ光沢(G:Gross)が対応付けられており、このうち、「212」〜「216」の画素値、「217」〜「221」の画素値、「222」〜「227」の画素値及び「228」〜「232」の画素値の4つの範囲に対して各々異なるタイプのベタ光沢が対応付けられている。また、「23」〜「43」の画素値に対しては、網点マット(M:Matt)が対応付けられており、このうち、「23」〜「28」の画素値、「29」〜「33」の画素値、「34」〜「38」の画素値及び「39」〜「43」の画素値の4つの範囲に対して各々異なるタイプの網点マットが対応付けられている。「0」の濃度値には、表面効果を与えないことが対応付けられている。
次に、表面効果選択テーブル508の形態フィールド及び保証量フィールドについて具体的に説明する。図21の例では、例えば、濃度値が「248」〜「255」である場合、生成部506が生成するクリアトナー画像データの形態はハーフトーン100%(=ベタ)であり、保証量は100%である。これにより、記録部材の全面にクリアトナーが記録され、かつ、クリアトナーの記録量が100%保証されるので、クリアトナーにより鏡面光沢タイプAを実現できる。
また、濃度値が「228」〜「232」である場合、生成部506が生成するクリアトナー画像データはインバースマスク1であり、保証量は0%である。
ここで、インバースマスクについて説明する。インバースマスクは、表面効果を与える領域について、生成部506が当該領域を構成するCMYK各色の有色版の画像データの画素の濃度値を全て加算し、その加算値を所定値から差し引いて作成する画像データである。インバースマスクにより、表面効果を与える領域を構成する各画素上のCMYKの各トナー、及びクリアトナーを合わせたトナー記録量が、表面効果を与える領域で均一になるようにする。
インバースマスクの作成方法の例について説明する。まず、インバースマスクの1つ目の例について説明する。
Clr=100−(C+M+Y+K) ただし、Clr<0となる場合、Clr=0
・・・(4)
式(4)のClr,C,M,Y,Kは、各画素の濃度値(0〜255)から換算されるクリアトナー、及び、C,M,Y,Kの各有色トナーそれぞれの濃度率(%)を表す。式(4)によりインバースマスクを作成することにより、C,M,Y,Kの各トナー記録量の合計が100%以下である場合、表面効果を与える領域の有色トナー記録量とクリアトナー記録量とを合わせたトナー記録量が100(%)にすることができる。
なお、C,M,Y,Kの各有色トナー記録量の合計が100%以上である場合は、Clr=0となるため、その濃度率は0%になる。しかしながら、C,M,Y,Kの各有色トナー記録量の合計が100%以上である場合は、濃度率が0%であっても光沢を生じさせることができる。これは、C,M,Y,Kの各有色トナー記録量が100%を超えている部分を、定着処理により平滑化させるためである。これにより、当該領域においてトナーの記録量の差による表面の凸凹がなくなり、光の正反射による光沢が生じる。
なお、式(4)の右辺の第1項に100(%)以外の数値を設定してもよい。
次に、インバースマスクの2つ目の例について説明する。
Clr=100 ・・・(5)
式(5)のClrは、各画素の濃度値(0〜255)から換算されるクリアトナーの濃度率(%)を表す。式(5)によりインバースマスクを作成することにより、各画素にクリアトナーを均一に付着させることができる。各画素にクリアトナーを均一に付着させるインバースマスクをベタマスクという。なお、式(5)に100(%)以外の数値を設定してもよい。
次に、インバースマスクの3つ目の例について説明する。
Clr=100×{(100−C)/100}×{(100−M)/100}×{(100−Y)/100}×{(100−K)/100} ・・・(6)
式(6)のClr,C,M,Y,Kは、各画素の濃度値(0〜255)から換算されるクリアトナー、及び、C,M,Y,Kの各有色トナーそれぞれの濃度率(%)を表す。ここで、(100−C)/100は、Cの地肌露出率を示し、(100−M)/100は、Mの地肌露出率を示し、(100−Y)/100は、Yの地肌露出率を示し、(100−K)/100はKの地肌露出率を示す。
図21に戻り、濃度値が「228」〜「232」の場合に使用するインバースマスク1は、例えば、生成部506が上述の式(4)により作成する。インバースマスクは、CMYKの有色トナーの少ない領域ほど、クリアトナーを多く載せるために使用される。これは、CMYKのトナーが多い領域ではCMYKのトナーの影響である程度光沢が得られるが、CMYKのトナーが少ない領域では低光沢となるためである。インバースマスクを使用すると、CMYKの有色トナーが多い領域では、クリアトナーが元々載らない。そのため、図21の表面効果選択テーブル508の例では、インバースマスク1〜4の保証量が0%に設定されている。
また、表面効果が網点マットである場合、生成部506が生成するクリアトナー画像データは、低面積率のハーフトーン(網点)を表すので、保証量は0%である。
生成部506は、図21の表面効果選択テーブルを参照し、各画素の表す濃度値から、CMYK各色の有色トナー画像データを合わせた有色トナー画像データからインバースマスク、パターン画像、又はベタマスク等を適宜生成する。これにより、生成部506は、クリアトナーを付着させるためクリアトナー画像データを生成する。
保証部507は、ラスタ形式の光沢制御版の画像データを変換部504から受信する。保証部507は、当該画像データの各画素の8ビットで表された濃度値を使用して、表面効果選択テーブル508の濃度値を検索し、検索されたレコードの保証量を取得する。すなわち、保証部507は、当該画像データの各画素(領域)の濃度値から表面効果を特定し、特定された表面効果に対応する保証量を取得する。保証部507は、画像領域に与える表面効果の種類毎の保証量を第2補正部513に送信する。
設定部509は、第1生成部502からオブジェクト情報を受信し、オブジェクトの種類に応じて予め記憶されたトナー記録総量情報を、当該オブジェクトの座標に対応する画素(領域)毎に設定する。トナー記録総量情報は、プリンタ機70が記録部材に記録することができる限界のトナーの記録量を示す情報である。なお、設定部509が設定するトナー記録総量情報は、オブジェクトの種類に応じて予め記憶されたトナー記録総量情報に限られない。例えば、ユーザの操作入力から取得したトナー記録総量情報を設定してもよい。
図22は、オブジェクト毎に定義されるトナー記録総量の一例を示す図である。図22の例は、オブジェクトが写真の場合はトナー記録総量が260%であり、オブジェクトが文字の場合はトナー記録総量が200%であり、オブジェクトがグラフィックスの場合はトナー記録総量が240%である。
算出部511は、第1生成部502から受信した有色トナー画像データと、設定部509により設定されたトナー記録総量情報とに基づいて、各画素のクリアトナー割当可能記録量(第1及び第2実施形態で説明したTmaxに相当)を算出する。具体的には、算出部511は、各画素のクリアトナー割当可能記録量を、例えば上述の式(2)により算出する。
第2補正部513は、クリアトナー画像データを生成部506から受信し、画像領域に与える表面効果の種類毎の保証量を保証部507から受信し、クリアトナー割当可能記録量を算出部511から受信する。また、第2補正部513は、クリアトナー最大記録量情報を図20では図示されていない記憶部から取得する。クリアトナー最大記録量情報は、第1実施形態で説明した透明色材最大記録量に相当する情報である。クリアトナー最大記録量は、例えば100(%)である。
第2補正部513は、各画素のクリアトナー割当可能記録量について、当該画素の当該クリアトナー割当可能記録量と、当該画素を含む領域に対応する保証量を比較する。第2補正部513は、当該クリアトナー割当可能記録量が当該保証量以上である場合、当該クリアトナー割当可能記録量の値をそのまま使用する。また、第2補正部513は、当該クリアトナー割当可能記録量が当該保証量より小さい場合、クリアトナー割当可能記録量を当該保証量の値に修正する。
第2補正部513は、当該保証量に応じて修正したクリアトナー割当可能記録量とクリアトナー最大記録量に基づいて、各画素のクリアトナー記録量を補正する。第2補正部513は、例えば、上述の式(1)により各画素のクリアトナー記録量を補正する。第2補正部513は、補正後のクリアトナー画像データを第1補正部512及びTRC514に送信する。
第1補正部512は、CMYK各色の有色トナー画像データを第1生成部502から受信し、補正後のクリアトナー画像情報を第2補正部513から受信する。また、第1補正部512は、設定部509が設定したトナー記録総量情報を図示されていない記憶部から読み出す。
第1補正部512は、各画素について、補正後のクリアトナー記録量と、CMYK各色の有色トナー記録量とを合わせたトナー記録量が、トナー記録総量よりも大きい場合、有色トナーの記録量を削減する補正を行う。第1補正部512は、例えば上述の式(3)により有色トナー記録量を補正する。第1補正部512は、補正後のCMYK各色の有色トナー画像データをTRC514に送信する。
TRC514は、オブジェクト情報を第1生成部502から受信し、CMYK各色の有色トナー画像データを第1補正部512から受信し、クリアトナー画像データを第2補正部513から受信する。TRC514は、オブジェクト情報が示すオブジェクトの種類に応じて、キャリブレーションにより生成された1D−LUTのガンマカーブによるガンマ補正を有色トナー画像データ及びクリアトナー画像データに行う。TRC514は、ガンマ補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及びガンマ補正後のクリアトナー画像データをハーフトーンエンジン515に送信する。
ハーフトーンエンジン515は、ガンマ補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及びガンマ補正後のクリアトナー画像データをTRC514から受信し、オブジェクト情報を第1生成部502から受信する。また、ハーフトーンエンジン515は、ハーフトーン処理選択テーブルを図示されていない記憶部から読み出す。
図23は、第3実施形態のハーフトーン処理選択テーブルの一例を示す図である。ハーフトーン処理選択テーブルは、オブジェクト及びトナーの種類毎にハーフトーン処理を行う際のパラメータ(線数、形状及び角度)を定義したテーブルである。例えば、オブジェクトの種類が写真であり、トナーの種類がシアン(C)色である場合、ハーフトーンエンジン515は、線数を190、形状を網点パターン、角度を72度としてハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理は、画像に含まれるオブジェクトの種類に応じて、当該オブジェクトの領域を構成する画素の画素値を2ビットで表すデータ形式に変換する処理である。なお、当該2ビットは一例であり、他のビット数でもよい。
ハーフトーンエンジン515は、オブジェクト情報が示すオブジェクトの種類、及びトナー画像データのトナーの種類を使用して、ハーフトーン処理選択テーブルからハーフトーン処理に使用するパラメータ(線数、形状及び角度)を決定する。より具体的には、ハーフトーンエンジン515は、まず、オブジェクト情報からオブジェクトの種類を示す画素毎の属性情報を取得する。次に、ハーフトーンエンジン515は、当該画素の属性情報に対応するトナー画像データの画素のトナーの種類を取得する。次に、ハーフトーンエンジン515は、オブジェクトの種類を示す画素毎の属性情報と、当該画素のトナーの種類を使用して、ハーフトーン処理選択テーブルからハーフトーン処理に使用するパラメータ(線数、形状及び角度)を決定する。ハーフトーンエンジン515は、当該パラメータを使用してトナー画像データにハーフトーン処理を行う。ハーフトーンエンジン515は、ハーフトーン処理後のトナー画像データ(CMYK各色の有色トナー画像データ、及びクリアトナー画像データ)をMIC60に送信する。
図24は、第3実施形態の画像処理方法の一例を示すフローチャートである。受信部501は、上述の印刷データをホスト装置10から受信する(ステップS31)。受信部501は、当該印刷データに含まれるCMYK各色の有色版の画像データを第1生成部502に送信する。受信部501は、当該印刷データに含まれる光沢制御版の画像データを第2生成部503(変換部504)に送信する。
第1生成部502は、有色版の画像データを言語解釈して、上述の有色トナー画像データを生成するとともに、言語解釈した際に得られた上述のオブジェクト情報を生成する(ステップS32)。第1生成部502は、当該有色トナー画像データを第1補正部512、第2生成部503の生成部506、及び算出部511に送信し、当該オブジェクト情報を設定部509、TRC514及びハーフトーンエンジン515に送信する。
第2生成部503は、光沢制御版の画像データから、上述のクリアトナー画像データを生成する(ステップS33)。
ここで、ステップS33の処理の詳細について説明する。図25は、第3実施形態のクリアトナー画像データの生成方法の一例を示すフローチャートである。第2生成部503(変換部504)は、描画オブジェクトに濃度値を対応付けるデータ形式(図19参照)を、当該描画オブジェクトの座標に対応する画素の濃度値で表すデータ形式に変換する(ステップS51)。すなわち、第2生成部503(変換部504)は、光沢制御版の画像データのデータ形式をラスタ形式に変換する。
第2生成部503(変換部504)は、全ての描画オブジェクトについて、ステップS51の処理をしたか否かを判定する(ステップS52)。全ての描画オブジェクトについてステップS51の処理をしていない場合(ステップS52:No)、次の描画オブジェクトを選択(ステップS53)し、ステップS51に戻る。全ての描画オブジェクトについてステップS51の処理をした場合(ステップS52:Yes)は、各画素に濃度値を対応させたデータ形式であるラスタ形式の光沢制御版の画像データを出力する(ステップS54)。変換部504は、当該ラスタ形式の画像データを生成部506に送信する。生成部506は、当該ラスタ形式の画像データを受信し、CMYK各色の有色トナー画像データを第1生成部502から受信する。生成部506は、上述の表面効果選択テーブル508及びパターン情報505を参照して、当該ラスタ形式の画像データ及びCMYK各色の有色トナー画像データからクリアトナー画像データを生成する(ステップS55)。
図24に戻り、保証部507は、ラスタ形式の光沢制御版の画像データを第2生成部503(変換部504)から受信する。保証部507は、当該画像データの各画素の8ビットで表された濃度値を使用して、表面効果選択テーブル508の濃度値を検索し、検索されたレコードの保証量を取得する(ステップS34)。保証部507は、画像領域に与える表面効果の種類毎の保証量を第2補正部513に送信する。
設定部509は、第1生成部502からオブジェクト情報を受信し、オブジェクトの種類に応じて予め記憶されたトナー記録総量情報を、当該オブジェクトの座標に対応する画素(領域)毎に設定する。算出部511は、設定部509により設定されたトナー記録総量情報を図20では図示されていない記憶部から取得する(ステップS35)。算出部511は、ラスタ形式の有色トナー画像データを第1生成部502から受信する。算出部511は、ラスタ形式の有色トナー画像データと、トナー記録総量情報とに基づいて、各画素のクリアトナー割当可能記録量を算出する(ステップS36)。すなわち、算出部511は、トナー記録総量情報が示すトナー記録総量から、ラスタ形式の有色トナー画像データが示す有色トナーの記録量を減算することによりクリアトナー割当可能記録量を算出する。算出部511は、当該クリアトナー割当可能記録量を第2補正部513に送信する。
第2補正部513は、クリアトナー画像データを生成部506から受信し、画像領域に与える表面効果の種類毎の保証量を保証部507から受信し、クリアトナー割当可能記録量を算出部511から受信する。また、第2補正部513は、上述のクリアトナー最大記録量情報を図20では図示されていない記憶部から取得する(ステップS37)。第2補正部513は、当該保証量に応じて修正したクリアトナー割当可能記録量とクリアトナー最大記録量に基づいて、各画素のクリアトナー記録量を補正する(ステップS38)。第2補正部513は、補正後のクリアトナー画像データを第1補正部512及びTRC514に送信する。
第1補正部512は、CMYK各色の有色トナー画像データを第1生成部502から受信し、補正後のクリアトナー画像情報を第2補正部513から受信する。また、第1補正部512は、設定部509が設定したトナー記録総量情報を図示されていない記憶部から読み出す。
第1補正部512は、各画素について、補正後のクリアトナー記録量と、CMYK各色の有色トナー記録量とを合わせたトナー記録量が、トナー記録総量よりも大きいか否かを判定する(ステップS39)。トナー記録量が、トナー記録総量よりも大きい場合(ステップS39:Yes)、第1補正部512は、例えば上述の式(3)により有色トナー記録量を補正する(ステップS40)。第1補正部512は、補正後のCMYK各色の有色トナー画像データをTRC514に送信する。トナー記録量が、トナー記録総量以下である場合(ステップS39:No)、ステップS41に進む。
TRC514は、オブジェクト情報を第1生成部502から受信し、CMYK各色の有色トナー画像データを第1補正部512から受信し、クリアトナー画像データを第2補正部513から受信する。TRC514は、オブジェクト情報が示すオブジェクトの種類に応じて、キャリブレーションにより生成された1D−LUTのガンマカーブによるガンマ補正を有色トナー画像データ及びクリアトナー画像データに行う(ステップS41)。TRC514は、ガンマ補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及びガンマ補正後のクリアトナー画像データをハーフトーンエンジン515に送信する。
ハーフトーンエンジン515は、ガンマ補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及びガンマ補正後のクリアトナー画像データをTRC514から受信し、オブジェクト情報を第1生成部502から受信する。ハーフトーンエンジン515は、オブジェクト情報が示すオブジェクトの種類、及びトナー画像データのトナーの種類を使用して、上述のハーフトーン処理選択テーブルからハーフトーン処理に使用するパラメータ(線数、形状及び角度)を決定する。ハーフトーンエンジン515は、当該パラメータを使用してトナー画像データにハーフトーン処理を行う(ステップS42)。
本実施形態の画像処理システム100は、保証部507が、表面効果の種類に応じてクリアトナー割当可能記録量の下限値を保証する。これにより、クリアトナーが画像に与える表面効果をできる限り維持できるようにするとともに、画像全体としての統一感や階調性を失わせることなく、クリアトナーの記録量を調整することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の画像処理システム100について説明する。本実施形態の画像処理システム100は、第3実施形態の画像処理システム100の処理の一部を、クラウドシステムを利用して実現する。
図26は、第4実施形態の画像処理システム100の構成の一例を示す図である。本実施形態の画像処理システム100は、ホスト装置10、DFE50,MIC60、プリンタ機70、及びクラウドシステム上のサーバ装置80を備える。クラウドシステム上のサーバ装置80は、第3実施形態のDFE50の機能ブロックの一部を備えている。ホスト装置10、MIC60及びプリンタ機70については第3実施形態の画像処理システム100と同じであるため説明を省略する。
図27は、第4実施形態のサーバ装置80の構成の一例を示す図である。サーバ装置80は、受信部801、第1生成部802、第2生成部803、保証部807、設定部809、算出部811、第1補正部812、第2補正部813及び送信部821を備える。また、サーバ装置80は、パターン情報805、表面効果選択テーブル808、トナー記録総量情報810及びクリアトナー最大記録量情報816を、図27では図示されていない記憶部に記憶する。
本実施形態のサーバ装置80は、第3実施形態のDFE50の処理のうち、TRC514によるガンマ補正、及びハーフトーンエンジン515によるハーフトーン処理以外の処理を行う。受信部801、第1生成部802、第2生成部803、保証部807、設定部809、算出部811、第1補正部812及び第2補正部813については、第3実施形態のDFE50の受信部501、第1生成部502、第2生成部503、保証部507、設定部509、算出部511、第1補正部512及び第2補正部513と同じであるため説明を省略する。また、パターン情報805、表面効果選択テーブル808、トナー記録総量情報810及びクリアトナー最大記録量情報816についても、第3実施形態のDFE50のパターン情報505、表面効果選択テーブル508、トナー記録総量情報510及びクリアトナー最大記録量情報516と同じであるため説明を省略する。
送信部821は、上述のオブジェクト情報を第1生成部802から受信し、補正後のCMYK各色の有色トナー画像データを第1補正部812から受信し、補正後のクリアトナー画像データを第2補正部813から受信する。送信部821は、オブジェクト情報、補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及び補正後のクリアトナー画像データをDFE50に送信する。
図28は、第4実施形態のDFE50の構成の一例を示す図である。本実施形態のDFE50は、受信部501、TRC514及びハーフトーンエンジン515を備える。また、DFE50は、ハーフトーン処理選択テーブル517を図28では図示されていない記憶部に記憶する。
受信部501は、オブジェクト情報、補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及び補正後のクリアトナー画像データをサーバ装置80から受信する。受信部501は、補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及び補正後のクリアトナー画像データをTRC514に送信する。また、受信部501は、オブジェクト情報をTRC514及びハーフトーンエンジン515に送信する。TRC514、ハーフトーンエンジン515、及びハーフトーン処理選択テーブル517については、第3実施形態のDFE50と同じであるため説明を省略する。
図29は、第4実施形態の画像処理方法の一例を示すシーケンス図である。ホスト装置10は、上述の印刷データを生成する(ステップS61)。印刷データの生成処理の詳細については、第3実施形態の説明と同じであるため説明を省略する。ホスト装置10は、印刷データをサーバ装置80に送信する(ステップS62)。
サーバ装置80は、印刷データをサーバ装置80から受信する。次に、サーバ装置80は、有色トナー画像データとオブジェクト情報の生成処理を行う(ステップS63)。ここで、有色トナー画像データとオブジェクト情報の生成処理は、第1生成部802が行う処理である。処理の詳細については、第3実施形態の説明と同じであるため省略する。次に、サーバ装置80は、クリアトナー画像データの生成処理を行う(ステップS64)。ここで、クリアトナー画像データ生成処理は、第2生成部803が行う処理である。処理の詳細については、第3実施形態の説明と同じであるため省略する。次に、サーバ装置80は、トナー記録量の補正処理を行う(ステップS65)。ここで、トナー記録量の補正処理は、保証部807、設定部809、算出部811、第1補正部812及び第2補正部813が行う処理である。処理の詳細については、第3実施形態の説明と同じであるため省略する。次に、サーバ装置80の送信部821は、オブジェクト情報、補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及び補正後のクリアトナー画像データをDFE50に送信する(ステップS66)。
DFE50は、オブジェクト情報、補正後のCMYK各色の有色トナー画像データ、及び補正後のクリアトナー画像データをサーバ装置80から受信する。DFE50のTRC514は、上述のガンマ補正の処理を行う(ステップS67)。処理の詳細については、第3実施形態の説明と同じであるため省略する。次に、DFE50のハーフトーンエンジン515は、上述のハーフトーン処理を行う(ステップS68)。処理の詳細については、第3実施形態の説明と同じであるため省略する。
本実施形態の画像処理システム100によれば、クラウドシステム上のサーバ装置80でトナー記録量の補正処理等を行うことにより、サーバ装置80を複数の画像処理システム100で共通に使用することができる。これにより、表面効果選択テーブル等の管理を一元化することによる運用コストの削減、及びハードウェアコストの削減等の効果が期待できる。
なお、クラウドシステム上のサーバ装置80で行う処理の組み合わせは、本実施形態の組み合わせに限られず、DFE50の処理の一部の任意の組み合わせでよい。例えば、第3実施形態のDFE50の機能ブロックのうち、DFE50は、第1生成部502及び第2生成部503を備え、クラウドシステム上のサーバ装置80は、第1生成部502及び第2生成部503以外の機能ブロックを備えるように構成してもよい。すなわち、DFE50は、ホスト装置10から印刷データを受信し、当該印刷データから有色トナー画像データ及びクリアトナー画像データを生成してサーバ装置80に送信する。サーバ装置80は、有色トナー画像データ及びクリアトナー画像データをDFE50から受信し、当該有色トナー画像データ及び当該クリアトナー画像データを、必要に応じて補正する(第1補正部812及び第2補正部813の処理)。サーバ装置80は、補正後の有色トナー画像データ及び補正後のクリアトナー画像データをDFE50に送信する。これにより、画像処理システム100を、有色トナー画像データ及びクリアトナー画像データの生成を行うDFE50と、当該有色トナー画像データ及び当該クリアトナー画像データの補正を行うサーバ装置80として構成することができる。
また、DFE50の全ての処理を、クラウドシステム上のサーバ装置80で行ってもよい。また、クラウドシステム上のサーバ装置80を複数台で構成して、サーバ装置80の処理の負荷を分散させてもよい。
最後に、第3及び第4実施形態のホスト装置10及びDFE50、並びに第4実施形態のサーバ装置80のハードウェア構成について説明する。図30は、第3及び第4実施形態のホスト装置10及びDFE50、並びに第4実施形態のサーバ装置80のハードウェア構成の一例を示す図である。
ホスト装置10、DFE50及びサーバ装置80のハードウェア構成は、通常のコンピュータが備えるハードウェアの構成となっている。すなわち、ホスト装置10、DFE50及びサーバ装置80は、制御装置51、主記憶装置52、補助記憶装置53、表示装置54及び入力装置55を備える。制御装置51は、装置全体を制御するCPU等である。主記憶装置52は、各種データや各種プログラムを記憶するROMやRAM等である。補助記憶装置53は、各種データや各種プログラムを記憶するHDD等である。表示装置54は、ディスプレイ装置等である。入力装置55は、キーボードやマウス等である。
上記実施の形態のホスト装置10で実行される画像処理プログラム(画像処理アプリケーションを含む。以下同。)は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供される。
また、上記実施の形態のホスト装置10で実行される画像処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態のホスト装置10で実行される画像処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
また、上記実施の形態のホスト装置10で実行される画像処理プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
上記実施の形態のホスト装置10で実行される画像処理プログラムは、上述した各部(画像処理部、版データ生成部、印刷データ生成部、入力制御部、表示制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、画像処理部、版データ生成部、印刷データ生成部、入力制御部、表示制御部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
また、上記実施の形態のDFE50又はサーバ装置80で実行される印刷制御処理は、ハードウェアで実現する他、ソフトウェアとしての印刷制御プログラムで実現してもよい。この場合において、上記実施の形態のDFE50又はサーバ装置80で実行される印刷制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
上記実施の形態のDFE50又はサーバ装置80で実行される印刷制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供するように構成してもよい。
さらに、上記実施の形態のDFE50又はサーバ装置80で実行される印刷制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態のDFE50又はサーバ装置80で実行される印刷制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
上記実施の形態のDFE50又はサーバ装置80で実行される印刷制御プログラムは、上述した各部(受信部501、第1生成部502、第2生成部503、保証部507、設定部509、算出部511、第1補正部512、第2補正部513、TRC514及びハーフトーンエンジン515)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから印刷制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、受信部501、第1生成部502、第2生成部503、保証部507、設定部509、算出部511、第1補正部512、第2補正部513、TRC514及びハーフトーンエンジン515として主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、以下に例示するような種々の
変形が可能である。
上述した実施の形態の画像形成システムにおいては、CMYKの複数の色のトナーを用いて画像を形成するようにしたが、1色のトナーを用いて画像を形成するようにしても良い。