JP2015055437A - 開扉装置及びこれを備えた機器 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、モータの駆動力を利用して伝達歯車を順逆両方向に回動させ、その順方向の回動時に第1の突出部材を前進させると同時に第二の突出部材を後退させる装置が記載されている。この装置は、第1の突出部材を突出させた際に第1の扉を開き、第二の突出部材を突出させた際に第二の扉を開く構成となっている。
特許文献2には、電磁ソレノイドにより磁性体からなるプランジャーを押し出して扉を開く装置が記載されている。
特許文献3には、モータの回転力をラックピニオン機構により往復直進駆動力に変換し、これによりロッドを押し出して扉を開く装置が記載されている。
また、特許文献2の装置は、電磁ソレノイドによりプランジャーを移動させる構成であるために、プランジャーを引き込むスペースを電磁ソレノイドの後方に設ける必要がある。そのため装置が大型化する課題がある。
また、特許文献3の装置では、ピニオンとラックとの噛み合いでロッドの突出動作を開始すると同時にロッドの突出力が減少するので、開き始めの負荷が大きい扉を滑らかで唐突感がなく開くことができない課題がある。
まず、本発明の実施形態に係る開扉装置を説明する前に、本実施形態に係る開扉装置を備える冷蔵庫の全体構成について説明する。この「冷蔵庫」は、特許請求の範囲にいう「開扉装置を備えた機器」に相当する。
図1は、本発明の実施形態における冷蔵庫の正面図である。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、上方から、冷蔵室2と、左右に並べた製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5と、野菜室6と、を有している。なお、一例として、冷蔵室2及び野菜室6は、およそ3〜5℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
また、冷蔵室扉2aには、左開扉スイッチ48aが設けられ、冷蔵室扉2bには、右開扉スイッチ48bが設けられている。
図2に示すように、冷蔵庫1の庫外と庫内は、内箱10aと外箱10bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。また、冷蔵庫1の断熱箱体10は複数の真空断熱材14を実装している。
図3に示すように、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、図3中、破線で示すように冷蔵庫1の各貯蔵室の背面側に設けられている。
冷却器7の冷気がどの貯蔵室へ送られるかは、冷蔵温度帯室冷気制御手段20及び冷凍温度帯室冷気制御手段21により制御されるようになっている。
図4に示すように、吹出口3c,4c,5cが形成されている冷凍温度帯室背面仕切29は、上段冷凍室4、製氷室3及び下段冷凍室5と、冷却器収納室8との間を区画する。
庫内送風機9が取り付けられている送風機支持部30は、冷却器収納室8と冷凍温度帯室背面仕切29との間を区画する。
また、送風機カバー31は、庫内送風機9の前面に整流部31bを備えている。整流部31bは、吹き出す冷気が引き起こす乱流を整流して、騒音の発生を防止するようになっている。
冷却器7及びその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜の除霜(融解)によって生じた除霜水は、冷却器収納室8の下部に備えられた樋32に流入した後に、排水管33を介して機械室50に配された蒸発皿34に達し、次に説明する圧縮機51(図3参照)や凝縮器52(図3参照)の熱により蒸発させられ、冷凍機外に排出されるようになっている。
なお、圧縮機51、凝縮器52、減圧手段54は、冷却器7(蒸発器)と配管で接続され、冷媒が流通する冷媒経路(冷媒回路)が形成されるようになっている。
図5は、図1のB方向から見た冷蔵庫の平面図である。
図5に示すように、開扉装置60は、扉2aと扉2bとにそれぞれ対応した突出部材61a、61bを備えている。突出部材61a、61bは、開扉装置60に収納された状態から扉2a,2bに向けて突出するように動作し、冷蔵室扉2a,2bの上端近傍を押して扉2a,2bを押し開く。
なお、扉2aは、特許請求の範囲にいう「第一の扉」に相当し、扉2bは、特許請求の範囲にいう「第二の扉」に相当する。
この開扉装置60については、後に更に詳しく説明する。
この回転シキリ18は、扉2aに設けられた回転シキリ支点19のまわりに回動自在に軸支されている。扉2aが閉じた際には回転シキリ18は、扉2aと平行に位置して扉2aと右側の扉2bの間の隙間を塞ぐ。
また、使用者が扉2aを開くと、回転シキリ18は図示しないカムの作用によって、回転シキリ支点19のまわりに扉2aと略直交する位置まで回動する。回転シキリ18は、扉2bと干渉することなく開く。
左側の扉2aに開扉装置60の突出部材61aが最大突出し量H2だけ作用した際に、最大開角度θdmaxで開いた扉2aを図5中、破線で表している。
まず、扉2a,2bにそれぞれ設けられている閉じ手段としてのクローザについて説明する。
図6(a)から(c)に示すように、クローザ37は扉2aのヒンジ17aの下端部に設けられている。冷蔵庫1には固定されたクローザ受け金具38aが取り付けられており、その一部には滑らかな曲面形状で形成されたカム部38bが設けられている。
扉2aには樹脂等の弾性材料で形成された変形部39bを有するクローザ弾性体39aが設けられている。
この力は扉2aのヒンジ17aに対しては時計回り方向、すなわち扉2aを開く方向に働くので、使用者は、閉じつつある扉2aからの反力が途中から重くなるように感じる。
次いで、図6(c)に示すように、クローザ弾性体39aとカム部38bとの接点が中性点を過ぎても更に扉2aが閉じられると、クローザ弾性体39aにはカム部38bから矢印Fc方向の力が加わる。この力は、扉2aの回動支点に対して扉2aを閉じる方向(本図では反時計回りCCW)のモーメントを形成するので、扉2aはこのモーメントにより閉じられ方向に付勢されることとなる。
次に、本実施形態における開扉装置60について詳細に説明する。
図7は、本実施形態の開扉装置の斜視図である。図8は、開扉装置の平面図である。
以下の開扉装置60の説明における前後上下左右の方向は、この開扉装置60が取り付けられた冷蔵庫1(図2及び図3参照)の前後上下左右に一致させた、図7に示す前後上下左右の方向を基準とする。
モータ82は回転モータであって、その回転軸が正逆両方向に回転するものであればその種類は特に制限はない。本実施形態でのモータ82としては、例えばブラシ式の直流モータをであって、端子に印加する電圧の極性を反転することで正転方向と逆転方向との両方向に回転することができるものを想定している。
減速歯車列83は、モータ82の回転を減速しつつ、その動力を大歯車76に伝達するものである。
本実施形態での減速歯車列83は、ウォームギヤ84と、ウォームホイール85と、第二の歯車87と、第三の大歯車88aと、第三の小歯車88bと、第四の大歯車90aと、第四の小歯車90bと、を備えている。
図8及び図9に示すように、ウォームギヤ84は、モータ82の回転軸に設けられ、第一の歯車であるウォームホイール85と噛み合っている。平歯車である第二の歯車87はウォームホイール85と一体に設けられ、ウォームホイール85と第二の歯車87は共にウォームホイール軸86のまわりに回転自在に軸支されている。
つまり、減速歯車列83は、前記のように、モータ82の回転力を減速しつつ、大歯車76に伝達する構成となっている。
ウォームギヤ84の回転方向は、一例としてウォームギヤ84に設けられた螺旋状の歯がこれと噛み合うウォームホイール85を、図8で表す平面視で左回りに回転させる方向を実線矢印で示している。例えばウォームギヤ84の歯が、一般的なネジとは逆の左ネジの螺旋である場合には、ウォームギヤ84の先端側から見てモータ82を時計回りに回転すればよく、本実施例においてはこのような回転方向を「正転方向」と称するものとする。
なお言うまでも無く、「正転」「逆転」というのは本実施形態の説明の便宜上のことであり、かかる表現に限定されるものではない。
なお、本実施形態でのモータ82は、減速歯車列83に対して図8で表す平面視で左側面寄りに配置したが、本発明はこのような配置に限定されるものではなく、右側面寄りに、又は中央寄りに配置することもできる。
図10は、開扉装置の大歯車と間欠駆動歯車とを示す斜視図である。
図10に示すように、大歯車76の外周において角度θ0の範囲には、厚さ方向の全幅において歯車の歯76Aが設けられている。角度θ0の範囲外においては、厚さ方向にケース62に近接した側、すなわち図示下方略1/2にのみ歯76Aと連続した一連の歯76Bが全周にわたって設けられている。そして、図示上方略1/2には歯は設けられておらず、歯76Bの歯底円と同じか、又は歯底円よりも小さい円筒状の摺動面76Cが設けられている。摺動面76Cと全幅に設けられた歯76Aとの境界には、摺動面76Cよりも内周側に凹んだ切欠部76Dが設けられている。
ちなみに、カバーストッパ71は、図9に示すように、カバー69から大歯車76に向けて内側に凸となるように形成された切片である。
このメカストッパとしてのカバーストッパ71によって、大歯車76の回転角度範囲は、原点位置から±θ6までに制限されることとなる。
図11は、図8のD−D断面図である。
図10及び図11に示すように、間欠駆動歯車78a(第一の間欠駆動歯車)は、回転板中心74aのまわりに回動自在に軸支され、間欠駆動歯車78b(第二の間欠駆動歯車)は、回転板中心74bのまわりに回動自在に軸支されている。
この状態で大歯車76が回動しても、間欠駆動歯車78a,78bのストッパ部80a,80bの先端面(凹面)は大歯車76の摺動面76Cを摺動するだけなので間欠駆動歯車78a,78bは回転しない。
そうすると、「原点位置」から時計回り、ないし反時計回りにそれぞれ角度θ2の範囲で大歯車76が回転する場合には、間欠駆動歯車78a,78bは回転駆動することなくロックした状態を保つ。
なお、大歯車76の歯76Aと間欠駆動歯車78a,78bの歯79a,79bとが噛み合う角度θ0の範囲は、特許請求の範囲にいう「第一の角度範囲」及び「第二の角度範囲」に相当する。つまり、間欠駆動歯車78aは、「第一の角度範囲」においてのみ大歯車76と噛み合って回転(回動)し、「第一の角度範囲」以外は大歯車76と噛み合わず回転(回動)しない。そして、間欠駆動歯車78bは、「第二の角度範囲」においてのみ大歯車76と噛み合って回転(回動)し、「第二の角度範囲」以外は大歯車76と噛み合わず回転(回動)しない。
そして、後記するように、モータ82からの駆動力は、大歯車76の回転方向が時計方向なのか反時計方向なのかに応じて、間欠駆動歯車78a,78bのいずれかに伝達されることとなる。
図8及び図11に示すように、開扉装置60は、間欠駆動歯車78a,78bからの駆動力を突出部材61a,61bに伝達する、一対の回転板73a,73bと、一対の連結板65a,65bと、を備えている。
これらの回転板73a,73b及び連結板65a,65bは、図8及び図11に示すように、開扉装置60内で左右対称の形状となっていること以外は同一の構造を有しているので、ここでは左側の回転板73a及び連結板65aについてのみ詳細に説明して右側の回転板73b及び連結板65bについてはその記載を省略する。
図12に示すように、回転板73a周囲には、連結板65aの歯101A〜101P(合計歯数13)に噛み合う歯102a〜102q(合計歯数14)が形成されている。
更に具体的には、回転板73aに設けられた歯102aから歯102qまでの噛み合いピッチ円半径を、図12に示すraからrqとした場合に(aからqはアルファベット順に並ぶところ図中、rbからrpは図示省略)、ra<rb<rc<rd<re<rf<rg<rh<rj<rk<rm<rn<rp<rqの関係式を満たしている。
なお、回転板73aの歯102a〜102qの歯列が描く曲線は、アルキメデス螺旋、双曲螺旋、インボリュート曲線等とすることができるが、前記関係式を満足していれば、これらに限定されるものではない。
また、連結板65aは、略三角形状をなしており、第一の辺である左側面の一辺にはガイドレール66aと互いに摺動自在に嵌合する凹部ないしは凸部を備えている。また、第二の辺である前面側の一辺には、突出部材61aの後端部が接合されている。また、残りの第3の辺には、回転板73aが回転する際に、その歯102a〜102q(図12参照)と噛み合う歯101A〜101P(図12参照)が形成されている。つまり、図12に示すように、回転板73aの歯102a〜102qが回転板中心74aから徐々に半径を拡大するよう形成されているので、連結板65aの歯101A〜101Pの歯列は、前方から後方に向かうに従って、回転板73aの左側(ケース62の左右方向外側)に向かうように傾斜するテーパ状になっている。
なお、回転板73aの歯数、及び連結板65aの歯数は、これら14及び13に限定されるものではないが、駆動側である回転板73aの歯数は、従動側である連結板65aの歯数よりも1つ多く設けることが望ましい。このように回転板73a及び連結板65aの歯数を設定することで、回転板73aの歯は、連結板65aの歯を常に両側から挟んで噛み合うこととなる。これにより回転板73aの時計回り及び反時計まわりの両方向の回転動作が安定し、回転板73aから連結板65aへの駆動力の伝達が効率よく行われることとなる。
図12に示すように、回転板73aの内周側の歯102aと歯102bとの間に、連結板65aの前端側の歯101Aが噛み合っている。この図12に示す回転板73a及び連結板65aの状態では、後記するように、突出部材61aが開扉装置60のケース62に引き込んだ状態となるので、図12に示す回転板73a及び連結板65aの位置は、前記の「原点位置」となる。
図7及び図8に示すように、突出部材61a,61bは、例えば四角形等の多角形断面あるいは円形断面を有する細長いロッドであって、上半体のカバー69と下半体のケース62とで形成される前記ハウジング内の左側及び右側のそれぞれに沿うように配置されている。
突出部材61a,61bは、開扉装置60の前後方向に沿って移動可能なように、連結板65a,65bを介してガイドレール66a,66bに摺動可能に支持されている。
また、突出部材61a,61bの前端は、ケース62及びカバー69に跨るようにハウジング前面に設けられた開口63a,63b(図8参照)を介してハウジングの外側に臨んでいる。
また、突出部材61a,61bには、その長手方向に沿うように、例えばステンレス製の丸棒からなる補強部材68a,68bが取り付けられ、突出部材61a,61bは、この補強部材68a,68bにより補強されている。
図13は、図9のE−E断面図である。
図13に示すように、先端部材64aは、前記ハウジングの前面に形成される開口63aを介してハウジングの外側に臨む突出部材61aの前端を覆うように配置されている。
本体取付穴59を介して開扉装置60を冷蔵庫1に取り付ける方法としては、図14に示すように、ケース62とカバー69とをゴムブシュ58を介して挟み込み、冷蔵庫1の上面から突出した円筒状のボス57に段付きネジ56を用いて締め付ける方法が挙げられる。このような方法によって開扉装置60を冷蔵庫1に取り付けると、開扉装置60の駆動時に万一振動が発生するとしても、その振動が冷蔵庫1に伝達するのを防止することができる。
図15(a)は、大歯車に係合するスイッチレバー及び検知スイッチを備える検知スイッチ動作部の斜視図であり、大歯車を斜め下方から見上げた様子を示す斜視図、図15(b)は、検知スイッチ動作部の分解斜視図である。図16は、開扉装置におけるカム部とスイッチレバーとの配置説明図である。なお、図15(a)及び図16は、原点位置における大歯車に係るスイッチレバーの状態を表している。
このスイッチ突起96Aa,96Abには、それぞれ検知スイッチ95a及び検知スイッチ95bが対向するように設けられている。この検知スイッチ95a,95bは、例えばタクトスイッチで構成されている。つまり、スイッチレバー96aのスイッチ突起96Abが検知スイッチ95aに接触するとスイッチONとなり、離れるとスイッチOFFとなる。また、スイッチレバー96bのスイッチ突起96Abが検知スイッチ95bに接触すると、スイッチONとなり、離れるとスイッチOFFとなる。
そして、大歯車76と共にカム部99が回転すると、この第一周面99a及び第二周面99bには、スイッチレバー先端部96Ca,96Cbが摺接するようになっている。
つまり、カム部99の第一周面99aはOFF面を形成し、第二周面99bはON面を形成することとなる。
すなわち、大歯車76を回転するとカム部99が回転するのでスイッチレバー96a,96bが回動し、大歯車76の回転角度に応じて、検知スイッチ95a,95bをON/OFFすることができる。
また、原点位置のスイッチレバー先端部96Ca,96Cb(図5(a)参照)は、大歯車中心軸77を中心に、角度φ1をなす2点でカム部99の第一周面99a(OFF面)と接している。
ここで、大歯車76ないしカム部99の「原点位置」からの回動角度が±θ1の範囲においては、検知スイッチ95a,95bは共にOFFであり、この角度±θ1の範囲を「原点範囲」と称することとする。
図17(a)から(f)は、開扉装置における大歯車と間欠駆動歯車とスイッチレバーとの位置関係を模式的に示す平面図である。なお、図17(a)から(f)は、大歯車76を時計回りに回転させて左側の間欠駆動歯車78aを回転駆動して、左側の突出部材61aを突出させて左側の扉2aの開扉動作を行う動作を示している。また、図17(a)から(f)においては、大歯車76の摺動面76Cと、切欠部76Dと、間欠駆動歯車78の駆動に係る部分の歯76Aのみを示している。
また、図19は、図17(a)から(f)で表した開扉動作と左右対称の開扉動作(右側の扉2bの開扉動作)におけるカム部99の反時計回りの回転動作を、「原点位置」から図示右方への移動動作として描かれている。
また、図18の(a)から(f)で示した各状態及び図19の(a)から(f)で示した各状態は、図17(a)から図17(f)における各状態に対応している。
図18の「(a)原点位置」の欄において、検知スイッチ95a,95b(図18中の表記は検知A、検知B)は、共に対応したスイッチレバー先端部96Ca,96Cbがカム部99の凸部(第一周面99a(OFF面))の範囲にある。つまり、前記したように、検知スイッチ95a,95bは、カム部99の凸部(第一周面99a(OFF面))上にあって、共にOFF状態であることを黒丸で示している(検知A/B=OFF/OFF)。
検知スイッチ95b(検知B)がOFFからONに変化したことで、大歯車76が「原点範囲」から外れて時計回りに回転していることが確認できる(検知A/B=OFF/ON)。
図19の「(a)原点位置」の欄において、検知スイッチ95a,95bは、共に対応したスイッチレバー先端部96Ca,96Cbがカム部99の凸部(第一周面99a(OFF面))範囲にある。つまり、カム部99によってスイッチレバー96a,96bは、前記したように、カム部99の凸部に押されて変位してOFFになる。つまり、前記したように、検知スイッチ95a,95bは、カム部99の凸部(第一周面99a(OFF面))上にあって、共にOFF状態であることを黒丸で示している(検知A/B=OFF/OFF)。
検知スイッチ95aがOFFからONに変化したことで、大歯車76が「原点範囲」から外れて反時計方向(CCW方向)に回動していることが確認できる(検知A/B=ON/OFF)。
最大動作角度θ5は、大歯車ストッパ76Eとカバーストッパ71によるメカストッパとで設定される大歯車76の回転角度範囲θ6よりも小さく設定される(θ5<θ6)。
ここで、検知スイッチ95a,95bがOFF/OFFであれば、大歯車76及びカム部99が角度±θ1の範囲内にあり、大歯車76は左右いずれの間欠駆動歯車78a,78bとも噛合っていないので、左右の突出部材61a、61bはいずれも引き込んだ位置にあることが確認できる。したがって、検知スイッチ95a,95bが共にOFF/OFFであれば、開扉装置60は「原点範囲」にある、と確認できる。
ちなみに、図20の(1)の欄及び図20の(5)の欄に示すように、検知スイッチ95a,95b(検知A/B)がON/ONであれば、開扉装置60による開扉動作が完了して、突出部材61a又は突出部材61bのいずれかが最大突出した状態にあることが確認できる。
「原点位置」の開扉装置60(図17(a)参照)では、図8に示したように、大歯車76はいずれの間欠駆動歯車78a,78bとも噛み合っておらず、左右の突出部材61a,61bは、まだ突出していない。検知スイッチ95a,95b(検知A/B))は、OFF/OFFになっている(図18(a)参照)。
図21に示すように、前記の「原点位置」(θ=0)の状態(図17(a)参照)から更にモータ82が正転方向に駆動して、大歯車76及びカム部99が「原点位置」から時計回りに角度θ1(図17(b)参照)となるように回転すると、大歯車76の切欠部76Daが間欠駆動歯車78aのストッパ部80aに近接した状態となる。この状態では、大歯車76はいずれの間欠駆動歯車78a,78bともまだ噛み合っておらず(図17(a)参照)、左右の突出部材61a,61bは、まだ突出していない。
検知スイッチ95aはOFFであり、検知スイッチ95bはONである(図18(c)参照)。
検知スイッチ95aはOFFであり、検知スイッチ95bはONである(図18(d)参照)。
図25に示すように、前記の状態(図24参照)でモータ82への通電が停止してからモータ82が停止するまでの間に、大歯車76及びカム部99は、「原点位置」(θ=0)から時計回りに角度θ5(図17(f)参照)となるように回転する。そして、間欠駆動歯車78a及び回転板73aは、反時計回りに回転する。これにより左側の突出部材61aは、前記の状態(図24参照)よりも更に突出して最大突出量H2に達する。
検知スイッチ95a,95bの出力は共にONとなっている(図18(f)参照)。
開扉装置60は、このような図21から図25までの一連の工程によって左側の扉2aの開扉動作を終了する。
図26から図30は、右側の突出部材の突出動作を説明するための平面図である。
図26に示すように、前記の「原点位置」(θ=0)の状態(図17(a)参照)から更にモータ82が逆転方向に駆動して、大歯車76及びカム部99が「原点位置」から反時計回りに角度θ1(図17(b)のθ1と同じ)となるように回転すると、大歯車76の切欠部76Dbが間欠駆動歯車78bのストッパ部80bに近接した状態となる。この状態では、大歯車76はいずれの間欠駆動歯車78a,78bともまだ噛み合っておらず、左右の突出部材61a,61bは、まだ突出していない。
検知スイッチ95aはONであり、検知スイッチ95bはOFFである(図19(c)参照)。
検知スイッチ95aはONであり、検知スイッチ95bはOFFである(図19(d)参照)。
図30に示すように、前記の状態(図29参照)でモータ82への通電が停止してからモータ82が停止するまでの間に、大歯車76及びカム部99は、「原点位置」(θ=0)から反時計回りに角度θ5(図17(f)のθ5と同じ)となるように回転する。そして、間欠駆動歯車78b及び回転板73bは、時計方向に回転する。これにより右側の突出部材61bは、前記の状態(図29参照)よりも更に突出して最大突出量H2に達する。
検知スイッチ95a,95bの出力は共にONとなっている(図19(f)参照)。
開扉装置60は、このような図26から図30までの一連の工程によって右側の扉2bの開扉動作を終了する。
図31の(a)〜(e)は、本実施形態の開扉装置による左右の冷蔵室扉の開扉動作の説明図である。
その結果、図31(b)に示すように、左側の扉2aに対応した突出部材61aが突出して、扉2aが時計回り(CW方向)に回動して開く。扉2aは、突出部材61aの突出速度に応じた時計回り(CW方向)の角速度をもつ。
図32は、閉鎖された冷蔵室扉を開く際の、扉の開角度と開扉力との関係を示すグラフである。
図32に示すように、グラフの横軸は扉2a,2bの開角度であり、θd=0が扉2a,2bが閉じた状態であり、θdmaxが最大開角度である。このθdmax(最大開角度)は、例えば扉2a,2bが図示しないストッパや、冷蔵庫1の設置場所に近接した図示しない壁面等に当接した場合の開角度を表す。θ1は、クローザ37(図6参照)が扉2a,2bに閉じ力を生じさせる角度ψ2(図6(b)参照)である。θ2は、開扉装置60の突出部材61a,61bによって扉2a,2bが押し開かれる角度である。
したがって、扉2a,2bの開扉力は、開き始めのθd=0において最大であり、クローザ範囲であるθ1までの間に急激に減少し、最大開角度であるθdmaxまではほぼ一様な摩擦トルクが生じる。
このように、物体が一定の力を受けながら加減速する運動は全て等加速度運動なので、日常的に目にしている運動であるためごく自然なものと感じられる。したがって、扉2a,2bは、等加速度運動に近似した開き動作を行うことで、自然な印象を与える開扉動作となる。
t=t2からt=t3に至るまでの間、扉2a,2bは突出部材61a,61bによる加速は行われない。t=t2からt=t3に至るまでの間は、扉2a,2bが惰性で開き続ける惰性範囲となる。
扉2a,2bが惰性で開く間、一定の摩擦トルクによって減速するので、その惰性範囲の間の角速度は時間と共に一様に減少し、グラフは右下がりの直線となる。t=t3においてストッパ等に当接して扉2a,2bが停止するまでは、t=t2以降t=t3までの間は、負の方向への等加速度運動となる。
なお、ヒンジ17a,17bにおける摩擦係数が無視してよいほど小さい場合には、減速範囲において角速度は減少しないから、角速度は破線で示すように最大角速度ωdmaxのままで一定となる。
一般に、人の反射時間は0.4秒から0.5秒であり、これは例えば自動車を運転している際に、危険を察知してブレーキが必要と判断した時点から、アクセルペダルから足を動かすまでの時間として知られている。
すなわち、モータ82に通電して突出部材61a,61bが突出動作を開始し、扉2a,2bが開き始めて最大の速度ないし最大の角速度ωdmaxに到達するまでの突出動作時間Tは、0.3秒以上、0.7秒以下とすることが好適である。
次に、回転板73a,73bの回転動作により連結板65a,65bと突出部材61a,61bとが移動して扉2a,2bが開く動作について説明する。なお、以下では、扉2aが開く動作についてのみ説明し、この扉2aと同様に動作する扉2bについての説明は省略する。
そして、回転板73aは、前記したように、逆転方向に(時計回りに)回転して、図34(f)から図34(b)の状態を経て図34(a)に示した原点位置に復帰する。
前記したように、連結板65aと回転板73aのそれぞれに設けられた歯101Aから101P、及び歯102aから102qは、半径がraと最も小さい歯101Aと歯102aから噛み合いが始まる。最終的に半径が最大のrqに至るまで、半径が徐々に増加しつつ噛み合っていく。この際、回転板73aの回転動作は、連結板65aと突出部材61aの直線動作に変換される。
図35(a)は、突出部材が突出する際の、速度と時間との関係を示すグラフである。横軸は時間であり、縦軸は突出部材の突出速度である。図35(b)は、突出部材が突出する際の、力と時間との関係を示すグラフである。横軸は時間であり、縦軸は突出部材の突出力である。なお、図35(a)及び(b)中、t=0は図34(a)の状態を示し、突出部材61aが動作し始めた時点である。Tは、突出部材61aが最大の速度ないし最大の角速度ωdmaxに到達するまでの時間[T=(t2−t1)]である(但し、t1は図34(a)の状態になるまでの時間であり、t2は図34(f)となるまでの時間である)。
ω=(N/60)×2π ・・・・(式1)
で表される。
この時の突出部材61aの速度は、連結板65aの歯101A〜101Pに噛み合う回転板73aの歯102a〜102qのピッチ円半径の接線方向速度となる。
したがって、図35(a)に示すt1(図34(a)の状態になるまでの時間)における突出部材61aの速度Vaは、ピッチ円半径raの部分の接線方向速度となるので、
Va=ω×ra=(N/60)×2π×ra ・・・・(式2)
となる。このVaはごく低速であり、速度0の停止状態から加速される。
Vq=ω×rq=(N/60)×2π×rq ・・・・(式3)
となる。
また、前記のように、ピッチ円半径raからrqは、ra<rb<rc<rd<re<rf<rg<rh<rj<rk<rm<rn<rp<rqの関係があるので、例えばrb/raの比、rc/rbの比のように、隣接した歯のピッチ円半径が概ね一様に増加するようにすれば、回転板73aの角速度に比例して突出部材61aの突出速度は増加する。
そして、この開扉装置60においては、前記したようにt=t2となると、モータ82停止により回転板73aが一旦停止し、その後、モータ82が逆回転することにより突出部材61aが原点に復帰する。
つまり、突出部材61aの突出力は、図35(b)に示すように、t=t1における突出し力Paが最大値となる。また、突出部材61aの突出力は、連結板65aと噛み合う回転板73aのピッチ円半径がraからrqに増加するに伴って減少する。そして、突出部材61aの突出力は、t=t2において最小値Pqとなるような、一様な減少傾向をもつ。
なお、以上の説明においては、左側の突出部材61aの動作について説明したが、右側の突出部材61bについても左右対称となる以外は左側の突出部材61aと同様に動作する。
図36(a)は、左側の突出部材を突き出す際の、突出部材の速度と左側冷蔵室扉の端部の速度との関係を示す説明図であり、図36(b)は、右側の突出部材を突き出す際の、突出部材の速度と右側冷蔵室扉の端部の速度との関係を示す説明図である。
ωda=V/(2×π×Rda)=Wa/(2×π×Lda) ・・・・(式4)
Wa=(Lda/Rda)×V ・・・・(式5)
となる。
つまり、接線方向速度Waは、ヒンジ17aを基準位置とした際の扉2aの幅と突出部材61aの取付位置との比(Lda/Rda)に比例する。
したがって、突出部材61aが等加速度運動に近似した運動を行えば、扉2aの扉端部も等加速度運動に近似した運動を行うので、自然な開き方を得ることができる。
Waq=(Lda/Rda)×Vq ・・・・(式6)
で表される。
図36(b)に示すように、突出部材61bの突出速度をV(mm/sec)、ヒンジ17bから突出部材61bまでの距離をRdb(mm)、ヒンジ17bから最も離れた扉端部までの距離をLdb(mm)、ヒンジ17bから最も離れた扉端部での接線方向速度をWb(mm/sec)、冷蔵室扉2bの角速度をωdb(rad/sec)、とすると、次式(7)が成立する。
ωdb=V/(2×π×Rdb)=Wb/(2×π×Ldb) ・・・・(式7)
Wb=(Ldb/Rdb)×V ・・・・(式8)
となる。
つまり、接線方向速度Wbは、ヒンジ17bを基準位置とした際の扉2bの幅と突出部材61bの取付位置との比(Ldb/Rdb)に比例する。
したがって、突出部材61bが等加速度運動に近似した運動を行えば、扉2bの扉端部も等加速度運動に近似した運動を行うので、扉2bは自然な開き方を行うことができる。
Wbq=(Ldb/Rdb)×Vq ・・・・(式9)
で表される。
したがって、開扉装置60は、特段の速度制御を行うことなく、モータ82を正転又は逆転方向に一定速度で回転すれば自然な開扉動作を行うことができる。
よって、この開扉装置60によれば、制御回路を簡素化することができる。また、開扉装置60によれば、安価な構成で開扉動作に自然な印象を与えることができる。
再び図8に戻って、開扉装置60は、1つのモータ82の正転方向又は逆転方向に回転する際の駆動力を、大歯車76と間欠駆動歯車78a,78bとに伝達して扉2a,2bに対応した突出部材61a、61bの突出動作を行う。
突出部材61a、61bは、開扉装置60のケース62の左側面と右側面に近接して配置されており、その間隔は図36に示すGであり、一定の値となる。このGの値は、例えば、150mmから180mm程度に設定することができる。
開扉装置60により扉2a,扉2bの開扉動作を行う際、使用者は冷蔵庫1の正面に立ち、扉2a,2bの扉境界72a,72b(図36(a)及び(b)参照)の前辺りから手を伸ばして左開扉スイッチ48a又は右開扉スイッチ48bを操作する。
G=Ga+Gb ・・・・(式10)
Rda=Lda−Ga ・・・・(式11)
Rdb=Ldb−Gb ・・・・(式12)
Waq=(Lda/Rda)×Vq={Lda/(Lda−Ga)}×Vq ・・・・(式13)
が導かれ、(式9)より
Wbq=(Ldb/Rdb)×Vq={Ldb/(Ldb−Gb)}×Vq ・・・・(式14)
が導かれる。
{Lda/(Lda−Ga)}=(Ldb/(Ldb−Gb)} ・・・・(式15)
となり、式を展開して更に(式10)を代入すると
Lda×{Ldb−(G−Ga)}=Ldb×(Lda−Ga)
Lda×(G−Ga)=Ldb×Ga
Lda×G=(Lda+Ldb)×Ga
ゆえに、Ga=G×{Lda/(Lda+Ldb)} ・・・・(式16)
となる。
前記したように、扉2a,2bの開き力特性(図32参照)は、扉2a,2bの開き始めはマグネットが吸着したドアパッキン15を引きはがすための開き力が必要なので開き力は大きい。しかし、わずかでも扉2a,2bが開けばマグネットの磁気吸着力は急激に低下するので、開き力は急激に小さくなる。
図34(a)から(f)に示したように、連結板65aと回転板73aの歯の噛み合いは、最も小さいピッチ半径raで始まり、最も大きいピッチ半径rqにまで至る。その間、ピッチ半径が徐々に増加しながら、回転板73aの回転動作は、連結板65a及び突出部材61aの直線動作に変換される。
開扉装置60は、開扉動作の突出動作時間Tが0.3秒以上になるように、減速歯車の減速比を設定しているので、扉ポケット13に食品が何も入っておらず、扉2a,2bの自重のみの最も軽量な場合であっても、突出動作時間Tは0.3秒以下にはならない。
したがって、開扉装置60によれば、扉2a,2bが0.3秒以下の短時間に加速して唐突に開くことはない。
図37は、開扉装置の好適な一例を模式的に示す平面図である。なお、図37は、図8と異なって、回転板73a,73bの図示を省略し、大歯車76、連結板65を簡略化して描いている。
その最も広い空間に、モータ82と減速歯車列83と配線スペース81とが、背面に沿って直列に配置されているので、その空間を最大に有効利用することができる。
このような開扉装置60によれば、ケース62の前後方向の長さが連結板65a、65bの前後方向長さの略2倍でよいので、ケース62の前後方向の長さを低減して、開扉装置60の小型化を図ることができるという効果がある。
次に、開扉装置60を制御するための制御系の構成について説明する。
前記したように、制御基板41(図2参照)は、冷蔵庫1の天井壁の上面側に取り付けられている。
図38に示すように、制御部としての制御基板41は、商用電源から所定電圧の直流等を生成する電源42に接続されている。また、制御基板41は、例えば温度調整を行う押しボタンスイッチ等の操作手段43aと、例えばLED等の表示手段43bと、を備えるコントロールパネル40に接続されている。
コントロールパネル40には扉が半ドア状態になっていることを使用者に知らせるための報知手段が配置されている。この報知手段としては、例えば、ブザー、ランプ等が挙げられる。
次に、実施形態の開扉装置60において、電源42を投入した際の初期化動作の制御について説明する。図39は、開扉装置の初期化動作の制御手順を示すフローチャートである。
図39に示すように、開扉装置60に電源が投入されることで制御部としての制御基板41が起動すると、この制御部は初期化プログラムを実行する。
まず、制御部は、検知スイッチ95a,95bや温度センサ44,45,46,47、扉センサ49の状態を確認して初期設定を開始する(ステップS101)。
そして、制御部は、モータ82の過電流を検出した場合には(ステップS105のYes)、突出部材61aが最大突出量H2で突出した状態、すなわち図20(1)の状態であって、大歯車ストッパ76Eがカバーストッパ71に当接してモータ82が強制的に停止したと確認できるので、ステップS106に移る。
なお、ステップS105では、モータ82の過電流が検出されたか否かの判断に代えて、所定時間が経由しても検知スイッチ95a,95bがON/ONのままであるか否かの判断を採用することもできる。
次いで、制御部は、所定時間経過後、検知スイッチ95a(図39中、検知Aと称する)が、ONからOFFになったか否かを確認し(ステップS107)、検知スイッチ95aがOFFになっていれば(ステップS107のYes)、ステップS108に移る。また、検知スイッチ95aがOFFになっていなければ(ステップS107のNo)、このステップS107の判断を繰り返す。
ステップS109では、制御部は、大歯車76が原点位置になく左側の間欠駆動歯車78aと噛合った位置にあることを確認する。
そして、制御部は、検知スイッチ95bがONからOFFになったか否かを確認し(ステップS111)、検知スイッチ95bがOFFになったら(ステップS111のYes)、図20(3)の状態である原点位置なので、ステップS112に移る。また、検知スイッチ95bがOFFになっていない場合には(ステップS111のNo)、ステップS110に戻る。
また、前記のステップS103において、制御部は、検知スイッチ95a,95bがON/ONではなく、OFF/ONであると確認した場合には、次のステップS114に移る。
ステップS115では、制御部は、大歯車76が原点位置になく右側の間欠駆動歯車78bと噛合った位置にあることを確認する。
そして、制御部は、検知スイッチ95aがONからOFFになったか否かを確認し(ステップS117)、検知スイッチ95aがOFFになったら(ステップS117のYes)、図20(3)の状態である原点位置なので、ステップS118に移る。また、検知スイッチ95aがOFFになっていない場合には(ステップS117のNo)、ステップS116に戻る。
以上の制御部が行う初期化動作により、大歯車76は、間欠駆動歯車78a,78bのいずれとも噛合わない、「原点範囲」(検知A/B=OFF/OFF状態)となる。
次に、左側の扉2aを開く開扉動作(左側開扉動作)について説明する。
図40は、開扉装置の制御部が行う左側開扉動作の制御手順を示すフローチャートである。使用者が左開扉スイッチ48aを操作することによって制御基板41(制御部)は左側の扉2aの開扉プログラムを実行する。
ステップS123においては、制御部は、モータ82を正転方向、すなわち大歯車76が原点位置から間欠駆動歯車78aと噛合う方向に回転する極性に通電する。
ステップS126においては、制御部は、検知スイッチ95aがOFFからONになったか否かを監視する。そして、ONになった場合には(ステップS126のYes)、図20(1)の状態となるので、制御部はステップS127に移る。また、制御部は、検知スイッチ95aがONになっていない場合には(ステップS126のNo)、このステップS126を繰り返す。
ステップS129においては、制御部は、検知スイッチ95aがONからOFFになるのを監視する。そして、OFFになったら(ステップS129のYes)、図20(2)の状態となるので、引き込み動作中と確認して次のステップS130に移る。また、制御部は、検知スイッチ95aがOFFになっていない場合には(ステップS129のNo)、このステップS129を繰り返す。
ステップS131においては、制御部は、大歯車76が「原点範囲」に復帰したこと(検知A/BがOFF/OFF)を確認し、モータ82を停止して(ステップS132)、左側の扉2aを開く左側開扉動作を完了する。
次に、右側の扉2bを開く開扉動作(右側開扉動作)について説明する。
図41は、開扉装置の制御部が行う右側開扉動作の制御手順を示すフローチャートである。使用者が右開扉スイッチ48bを操作することによって制御基板41(制御部)は右側の扉2bの開扉プログラムを実行する。
ステップS223においては、制御部は、モータ82を逆転方向、すなわち大歯車76が原点位置から間欠駆動歯車78bと噛合う方向に回転する極性に通電する。
ステップS226においては、制御部は、検知スイッチ95bがOFFからONになったか否かを監視する。そして、ONになった場合には(ステップS226のYes)、図20(5)の状態となるので、制御部はステップS227に移る。また、制御部は、検知スイッチ95bがONになっていない場合には(ステップS226のNo)、このステップS226を繰り返す。
ステップS229においては、制御部は、検知スイッチ95bがONからOFFになるのを監視する。そして、OFFになったら(ステップS229のYes)、図20(4)の状態となるので、引き込み動作中と確認して次のステップS230に移る。また、制御部は、検知スイッチ95bがOFFになっていない場合には(ステップS229のNo)、このステップS229を繰り返す。
ステップS231においては、制御部は、大歯車76が「原点範囲」に復帰したこと(検知A/BがOFF/OFF)を確認し、モータ82を停止して(ステップS232)、右側の扉2bを開く右側開扉動作を完了する。
図42は、開扉装置における左側開扉動作時の、開扉スイッチ、検知スイッチ、及びモータの各動作を示すタイミングチャートである。
図42に示すように、t=0における開扉装置60は、初期化が既に行われて、原点位置にある。
引き続きモータ82を正転方向である時計回り(CW方向)に回転すると、t=tcで大歯車76と間欠駆動歯車78aとが噛合う。間欠駆動歯車78aと回転板73aとが反時計回り(CCW方向)に回転し始め、突出部材61aが突出動作を開始して扉2aが開き始める。
その後、t=tgでモータ82を逆転方向に回転させ、大歯車76を反時計回り(CCW方向)に回転させることで、突出部材61aは引込み始める。
t=thで検知スイッチ95aがONからOFFになり、更にt=tjで突出部材61aは引き込んで、間欠駆動歯車78aと大歯車76との噛み合いは終了する。
以上により、開扉装置60による左側の扉2aの開扉動作が完了する。
図43は、開扉装置における右側開扉動作時の、開扉スイッチ、検知スイッチ、及びモータの各動作を示すタイミングチャートである。
図43に示すように、t=0における開扉装置60は、初期化が既に行われて、原点位置にある。
引き続きモータ82を逆転方向である反時計回り(CCW方向)に回転すると、t=tcで大歯車76と間欠駆動歯車78bとが噛合う。間欠駆動歯車78bと回転板73bとが時計回り(CW方向)に回転し始め、突出部材61bが突出動作を開始して扉2bが開き始める。
その後、t=tgでモータ82を正転方向に回転させ、大歯車76を時計回り(CW方向)に回転させることで、突出部材61aは引込み始める。
t=tkで検知スイッチ95aがONからOFFになって、大歯車76が原点位置近傍にあることが確認できる。これにより、t=tmまでの所定時間経過してからモータ82を停止すれば、大歯車76は原点位置に復帰する。
以上により、開扉装置60による右側の扉2bの開扉動作が完了する。
本実施形態によれば、観音開き式の2枚の扉2a,2bを電動で開くことが可能であり、扉2a,2bの開き方が滑らかで唐突感がない。また、扉2a,2bの内側に収納された食品量の多寡による開き時間の差が少なく、安定して開扉動作を行うことができる。
具体的には、モータ82を正転方向に回転させて大歯車76と左側の間欠駆動歯車78aとを回転させ、これにより左側の突出部材61a(第一の突出部材)を突出させて左側の扉2aを開くことができる。
次に、突出部材61a,61bによって扉2a,2bの開扉動作を行う際の、突出部材61a,61bからの押し力を受ける扉2a,2bに設ける当接面の好適な形状について説明する。
開扉装置60が開扉動作を開始して、突出部材61aの先端は、当接面93と接触した状態となる。この際、当接面93は突出部材61aと直交しているから、突出力Pは当接面93と直交しており、突出部材61aに対して圧縮力となる。
開扉装置60が開扉動作を開始して、突出部材61aの先端が当接面93と接触すると、当接面94と突出部材61aとの接触位置における突出し力Pは、当接面94と直交するので、図44(a)で示した平面からなる当接面94と同様に、突出部材61aに対して圧縮力となる。
なお、以上の説明は、左側の扉2aを開く場合について説明したが、右側の扉2bを開く場合についても左側の扉2aと左右対称となる以外は同様に構成することができ、同様の効果を奏することができる。
図46は、防水リブを有する開扉装置の平面図である。なお、図46においては、図8と異なって、大歯車76と間欠駆動歯車78a,78bとを取り除いた状態を図示している。
第一の範囲105は、開扉装置60の左側における、突出部材61a、連結板65a、及び回転板73aの動作・回動範囲であり、便宜上、ハッチングを施している。
第三の範囲107は、開扉装置60の右側における、突出部材61b、連結板65b、及び回転板73bの動作・回動範囲であり、便宜上、ハッチングを施している。
第二の範囲106は、前記第一の範囲105と前記第三の範囲107との間に形成され、図示しない電気配線によって接続されるモータ82、検知スイッチ95a,95b、及び配線スペース81が配置される範囲である。
防水リブ55aは、第一の範囲105と、第二の範囲106とを区画するように、その一端がケース62の前面と接続され、他端がケース62の背面と接続されている。
ケース62には突出部材61a,61bが突出動作を行うための開口63a,63bが形成されているので、この開口63a,63bから水等の液体が第一の範囲105又は第三の範囲107に侵入した場合でも、この液体は防水リブ55a,55bによって第二の範囲106に侵入することを妨げることができる。
つまり、この開扉装置60によれば、モータ82、検知スイッチ95a,95b、及び配線スペース81を含む第二の範囲106への液体の侵入を防止することができるので、電気配線が液体によってショートすることを確実に防止することができ、信頼性が向上する。
図47は、回転板及び連結板の変形例を示す平面図である。図48の(a)から(f)は、変形例に係る回転板及び連結板の動作説明図である。なお、図48の(a)から(f)中、符号raから符号rqは、連結板65aの連結板65aに設けられた歯201A〜201Pと、回転板73aに設けられた歯202a〜歯202qとの噛み合いピッチ円半径を表している。
更に具体的には、図48(a)から(f)に示すように、回転板73aに設けられた歯202aから歯202qまでの噛み合いピッチ円半径を、raからrqとした場合に、ra=rb<rc<rd<re<rf<rg<rh<rj<rk<rm<rn<rp<rqの関係式を満たすように設定している。
また、図47に示すように、連結板65aに設けられた歯201Aから歯201Bにわたる区間はテーパ状になっていない。
図48(a)に示すように、回転板73aは原点位置にある。前記したように、左開扉スイッチ48aが使用者により操作されて回転板73aが反時計方向に回転を開始する。
そして、回転板73aは、前記したように、逆転方向に(時計回りに)回転して、図48(f)から図48(b)の状態を経て図48(a)に示した原点位置に復帰する。
その後、図48(f)の状態になる時間t2までは、突出部材61aは、等加速度運動に近似した加速運動を行う。突出部材61aの速度Vqは、ピッチ円半径rqの部分の接線方向速度であり、前記式3で示されるVqと等しい。
また、前記実施形態では、開扉装置60を備える機器として、冷蔵庫1を例にとって説明したが、本発明は互いに隣接する複数の扉を有するものであれば、冷蔵庫1以外の電気機器や家具等であってもよい。
2a 冷蔵室扉(第一の扉)
2b 冷蔵室扉(第二の扉)
18 回転シキリ
37 クローザ
40 コントロールパネル
41 制御基板
48a 左開扉スイッチ
48b 右開扉スイッチ
55a 防水リブ
55b 防水リブ
60 開扉装置
61a 突出部材(第一の突出部材)
61b 突出部材(第二の突出部材)
64a 先端部材
64b 先端部材
65a 連結板
65b 連結板
73a 回転板
73b 回転板
76 大歯車
78a 間欠駆動歯車(第一の間欠駆動歯車)
78b 間欠駆動歯車(第二の間欠駆動歯車)
82 モータ
83 減速歯車列
95a 検知スイッチ
95b 検知スイッチ
96a スイッチレバー
96b スイッチレバー
96Ca スイッチレバー先端部
96Cb スイッチレバー先端部
97 検知スプリング
99 カム部
105 第一の範囲
106 第二の範囲
107 第三の範囲
モータ82は回転モータであって、その回転軸が正逆両方向に回転するものであればその種類は特に制限はない。本実施形態でのモータ82としては、例えばブラシ式の直流モータであって、端子に印加する電圧の極性を反転することで正転方向と逆転方向との両方向に回転することができるものを想定している。
つまり、減速歯車列83は、前記のように、モータ82の回転力を減速しつつ、大歯車76に伝達する構成となっている。
Claims (5)
- 正逆両回転が可能なモータと、
前記モータの回転を減速しつつ前記モータの駆動力を伝達する減速歯車列と、
前記減速歯車列を介して前記モータの駆動力が伝達されて正逆両回転が可能な大歯車と、
前記大歯車の第一の角度範囲で前記大歯車と噛み合って回動する第一の間欠駆動歯車と、
前記第一の角度範囲とは異なる第二の角度範囲で前記大歯車と噛み合って回動する第二の間欠駆動歯車と、
前記第一の間欠駆動歯車から駆動力を伝達されて、第一の扉に向けて突出することで前記第一の扉を押し開く第一の突出部材と、
前記第二の間欠駆動歯車から駆動力を伝達されて、第二の扉に向けて突出することで前記第二の扉を押し開く第二の突出部材と、
を備え、
前記モータの回転方向に対応して第一の突出部材又は第二の突出部材のいずれかの突出動作を行って、前記第一の扉及び前記第二の扉を開放することを特徴とする開扉装置。 - 請求項1に記載の開扉装置において、
前記第一の突出部材が突出動作を開始してから前記第一の突出部材の突出速度が最大速度となるまでの動作時間と、
前記第二の突出部材が突出動作を開始してから前記第二の突出部材の突出速度が最大速度となるまでの動作時間と、
は共に0.3秒以上、0.7秒以下であることを特徴とする開扉装置。 - 請求項1に記載の開扉装置において、
前記第一の扉及び前記第二の扉のそれぞれは、扉全閉前の第一の角度の範囲内では閉じ方向への回転トルクを付与するクローザを更に備え、
前記第一の突出部材又は前記第二の突出部材によって前記第一の扉又は前記第二の扉を開く角度は、前記第一の角度よりも大であることを特徴とする開扉装置。 - 請求項1に記載の開扉装置において、
前記第一の突出部材又は前記第二の突出部材が突出動作を開始してから、その開始時の突出速度と突出力とを一定に維持する第一の区間と、
この第一の区間に連続し、前記突出速度が時間と共に増加し、かつ前記突出力が時間と共に減少する第二の区間と、
を備えることを特徴とする開扉装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の開扉装置を備えることを特徴とする機器。
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