JP2015055276A - 車輪用軸受の密封装置 - Google Patents

車輪用軸受の密封装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015055276A
JP2015055276A JP2013188017A JP2013188017A JP2015055276A JP 2015055276 A JP2015055276 A JP 2015055276A JP 2013188017 A JP2013188017 A JP 2013188017A JP 2013188017 A JP2013188017 A JP 2013188017A JP 2015055276 A JP2015055276 A JP 2015055276A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sealing device
seal
wheel bearing
slinger
lip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013188017A
Other languages
English (en)
Inventor
英範 柄澤
Hidenori Karasawa
英範 柄澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2013188017A priority Critical patent/JP2015055276A/ja
Publication of JP2015055276A publication Critical patent/JP2015055276A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sealing Of Bearings (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)
  • Sealing Using Fluids, Sealing Without Contact, And Removal Of Oil (AREA)

Abstract

【課題】パックシールの低トルク化による車両の低燃費化を図ると共に、シール性を維持して長寿命化を図った車輪用軸受の密封装置を提供する。【解決手段】内輪25の外周面が、スリンガ15の円筒部15aが圧入される小径面23aと、この小径面23aから径方向外方に突出する段部26で構成され、この段部26の壁面26aが当該段部26の外周面に対して45?〜60?の範囲の傾斜角αに設定されると共に、シール部材17の複数のシールリップが、芯金16の内径部16bの端部から径方向外方のインナー側に傾斜して延び、スリンガ15の立板部15bのアウター側の側面に摺接する一対のアキシアルリップ17a、17bと、芯金16の内径部16bの端部から径方向外方のアウター側に傾斜して延び、段部26の壁面26aに摺接するアキシアルリップ17cのみで構成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受の密封装置、詳しくは、軸受部に装着された密封装置のシール性を確保すると共に、軸受の低トルク化を図ったに車輪用軸受の密封装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を複列の転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。また、車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
こうした車輪用軸受では、軸受内部に封入されたグリースの漏れを防止すると共に、外部から雨水やダスト等の侵入を防止するために密封装置が装着されている。近年、自動車のメンテナンスフリー化が進み、車輪用軸受装置においてもさらなる長寿命化は要求されるようになっている。例えば、密封装置のシール性と耐久性を高めることにより、軸受寿命の向上を図ることができる。
こうした問題を解決した車輪用軸受の密封装置を図5に示す。この密封装置51は、互いに対向配置されたスリンガ52と環状のシール板53とからなる。スリンガ52は、鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、内輪54に圧入される円筒部52aと、この円筒部52aから径方向外方に延びる立板部52bとからなる。
一方、シール板53は断面略L字状に形成されて外方部材55に装着され、芯金56と、この芯金56に加硫接着されたシール部材57とからなる。芯金56は、鋼板からプレス加工にて形成され、外方部材55の端部に内嵌された円筒部56aと、この円筒部56aから径方向内方に延びる立板部56bとからなる。
シール部材57は弾性部材からなり、スリンガ52の立板部52bに摺接する第1および第2のサイドリップ57a、57bを有している。これら第1および第2のサイドリップ57a、57bは、芯金56の立板部56bから外径側に傾斜して形成され、それらの先端がスリンガ52の立板部52bにシメシロを持って摺接している。
また、シール部材57は芯金56の円筒部56aの外表面に回り込んで固着され、気密性の向上を図ると共に、芯金56の立板部56bの内縁にまで回り込んで固着され、且つ、スリンガ52の円筒部52a側に向かって突出したグリースリップ57cが形成されている。このグリースリップ57cは、先端がスリンガ52の円筒部52aに対して僅かな隙間を介して対峙した状態とされ、非接触となっている。係る隙間によりラビリンスシール58が構成され、軸受内部に封入されたグリースが外部に漏洩するのを防止している。
グリースリップ57cとスリンガ52とが非接触とされているため、密封装置51によるシールトルクを著しく低減させることができると共に、スリンガ52における立板部52bの外縁と芯金56とにおいても、僅かな径方向隙間を介して対峙させ、ラビリンスシール59が構成され、外部から雨水やダスト等が直接第1および第2のサイドリップ57a、57bに降りかかるのを防止している。
このように、従来のようなダストリップを廃止すると共に、スリンガ52の立板部52bにシメシロを持って摺接する複数のサイドリップ57a、57bを有し、且つ、グリースリップ57cとスリンガ52とが非接触とされつつラビリンスシール58が形成されているため、密封装置51のシール性を維持すると共に、軸受のさらなる低トルク化を図ることができる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−187218号公報
一般的に、グリースリップのようにラジアル方向接触の場合、回転体、ここでは、内輪54およびスリンガ52にラジアル荷重が負荷された時の偏心によってラジアルリップに負荷される力の影響が大きく、特に繰り返し荷重が負荷された時、この偏心にラジアルリップが追随できず、グリース漏れの原因になる恐れがあるため、ある程度のリップ剛性が必要となり、その緊迫力も高くなる。このような課題に対し、この従来の密封装置51では、グリースリップ57cとスリンガ52とが非接触とされているため、回転体の偏心の影響を受けず、また、シールトルクを低減させることができるが、グリースリップ57cの非接触化によって密封装置51のシール性が低下する恐れがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ラジアルリップを廃止し、グリースリップをはじめ複数のシールリップを回転体の偏心に対する影響を受け難いアキシアルリップとすることに着眼し、パックシールの低トルク化による車両の低燃費化を図ると共に、シール性を維持して長寿命化を図った車輪用軸受の密封装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受に装着され、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部を密封する車輪用軸受の密封装置であって、前記密封装置が、断面がL字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板とスリンガとからなるシールで構成され、前記シール板が、前記外方部材の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、複数のシールリップを有するシール部材を備えると共に、前記スリンガが、前記内方部材の外周面に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなる車輪用軸受の密封装置において、前記シール部材の複数のシールリップが、前記芯金の内径側から径方向外方のインナー側に傾斜して延び、前記スリンガの立板部のアウター側の側面に摺接するアキシアルリップと、前記芯金の内径側から径方向外方のアウター側に傾斜して延び、前記内方部材に設けられた壁面に摺接するアキシアルリップのみで構成されている。
このように、車輪用軸受に装着され、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部を密封する車輪用軸受の密封装置であって、密封装置が、断面がL字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板とスリンガとからなるシールで構成され、シール板が、外方部材の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、複数のシールリップを有するシール部材を備えると共に、スリンガが、内方部材の外周面に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなる車輪用軸受の密封装置において、シール部材の複数のシールリップが、芯金の内径側から径方向外方のインナー側に傾斜して延び、スリンガの立板部のアウター側の側面に摺接するアキシアルリップと、芯金の内径側から径方向外方のアウター側に傾斜して延び、内方部材に設けられた壁面に摺接するアキシアルリップのみで構成されているので、回転体の偏心による影響をなくし、ラジアルリップに比べリップ剛性を必要としないアキシアルリップで構成されていることにより、パックシールの低トルク化による車両の低燃費化を図ると共に、シール性を維持して長寿命化を図った車輪用軸受の密封装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記シール部材の内径部が平坦面に形成され、前記スリンガの円筒部と径方向隙間を介して対峙し、ラビリンスシールを構成していれば、シール性を一層確保することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記内方部材の外周面にディフレクタが圧入され、このディフレクタが鋼板からプレス加工にて断面がL字状に形成されると共に、前記内方部材の外周面に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなり、この立板部の側面に前記アキシアルリップが摺接されていても良い。
また、請求項4に記載の発明のように、前記内方部材の外周面が、前記スリンガの円筒部が圧入される小径面と、この小径面から径方向外方に延びる壁面を備えた段部で構成され、この段部の壁面に前記アキシアルリップが摺接されていれば、回転体の偏心によってもリップに作用する力を受け難く、密封装置の低トルク化を図ると共に、シール性を維持することができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記段部の壁面が当該段部の外周面に対して45°〜60°の範囲の傾斜角に設定されていれば、段部の加工性が向上すると共に、回転体の偏心によるリップに作用する力を受け難くなり、リップの緊迫力のバラツキを抑制することができる。
また、請求項6に記載の発明のように、前記段部の壁面が総型の研削砥石によって前記内方部材の内側転走面と同時研削されていれば、内方部材に対する壁面の偏心を防止することができ、リップの緊迫力のバラツキを一層抑制することができる。
本発明に係る車輪用軸受の密封装置は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受に装着され、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部を密封する車輪用軸受の密封装置であって、前記密封装置が、断面がL字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板とスリンガとからなるシールで構成され、前記シール板が、前記外方部材の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、複数のシールリップを有するシール部材を備えると共に、前記スリンガが、前記内方部材の外周面に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなる車輪用軸受の密封装置において、前記シール部材の複数のシールリップが、前記芯金の内径側から径方向外方のインナー側に傾斜して延び、前記スリンガの立板部のアウター側の側面に摺接するアキシアルリップと、前記芯金の内径側から径方向外方のアウター側に傾斜して延び、前記内方部材に設けられた壁面に摺接するアキシアルリップのみで構成されているので、回転体の偏心による影響をなくし、ラジアルリップに比べリップ剛性を必要としないアキシアルリップで構成されていることにより、パックシールの低トルク化による車両の低燃費化を図ると共に、シール性を維持して長寿命化を図った車輪用軸受の密封装置を提供することができる。
本発明に係る密封装置を備えた車輪用軸受の一実施形態を示す縦断面図である。 図1の密封装置を示す要部拡大図である。 図2の密封装置の変形例を示す要部拡大図である。 図3の密封装置の変形例を示す要部拡大図である。 従来の密封装置を示す要部拡大図である。
外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受に装着され、前記外方部材と内輪との間に形成される環状空間の開口部を密封する車輪用軸受の密封装置であって、前記密封装置が、断面がL字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板とスリンガとからなるシールで構成され、前記シール板が、前記外方部材の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、複数のシールリップを有するシール部材を備えると共に、前記スリンガが、前記内輪の外周面に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなる車輪用軸受の密封装置において、前記内輪の外周面が、前記スリンガの円筒部が圧入される小径面と、この小径面から径方向外方に突出する段部で構成され、この段部の壁面が当該段部の外周面に対して45°〜60°の範囲の傾斜角に設定されると共に、前記シール部材の複数のシールリップが、前記芯金の内径側から径方向外方のインナー側に傾斜して延び、前記スリンガの立板部のアウター側の側面に摺接する一対のアキシアルリップと、前記芯金の内径側から径方向外方のアウター側に傾斜して延び、前記段部の壁面に摺接するアキシアルリップのみで構成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る密封装置を備えた車輪用軸受の一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の密封装置を示す要部拡大図、図3は、図2の密封装置の変形例を示す要部拡大図、図4は、図3の密封装置の変形例を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
図1に示す車輪用軸受は駆動輪側の第3世代と称され、内方部材1と外方部材10、および両部材1、10間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)6、6とを備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に圧入固定された内輪3とからなる。
ハブ輪2は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、この車輪取付フランジ4の円周等配位置に車輪を固定するためのハブボルト5が植設されている。また、ハブ輪2の外周には一方(アウター側)の内側転走面2aと、この内側転走面2aから軸方向に延びる円筒状の小径段部2bが形成され、内周にはトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)2cが形成されている。内輪3は外周に他方(インナー側)の内側転走面3aが形成され、ハブ輪2の小径段部2bに所定のシメシロを介して圧入されている。
ハブ輪2は、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、後述するシール8のシールランド部となる車輪取付フランジ4のインナー側の基部11をはじめ、アウター側の内側転走面2aから小径段部2bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、車輪取付フランジ4の基部11の耐摩耗性が向上するばかりでなく、車輪取付フランジ4に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有することになり、ハブ輪2の強度・耐久性が向上する。一方、内輪3および転動体6はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで、内輪3は58〜64HRC、転動体6は62〜67HRCの範囲で硬化処理されている。
外方部材10は、外周に車体(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ10bを一体に有し、内周に前記内方部材1の内側転走面2a、3aに対向する複列の外側転走面10a、10aが一体に形成されている。この外方部材10は、ハブ輪2と同様、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面10a、10aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。そして、それぞれの転走面10a、2aと10a、3a間に複列の転動体6、6が収容され、保持器7、7によりこれら複列の転動体6、6が転動自在に保持されている。また、外方部材10と内方部材1との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、9が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
なお、ここでは、転動体6にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず、転動体6に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受で構成されていても良い。また、ここでは、ハブ輪2の外周に直接内側転走面2aが形成された第3世代構造を例示したが、図示はしないが、ハブ輪の小径段部に一対の内輪が圧入固定された第1世代または第2世代構造であっても良い。
本実施形態では、アウター側のシール(密封装置)8は、芯金12と、この芯金12に一体に加硫接着されたシール部材13とからなる一体型の密封装置で構成されている。芯金12は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、外方部材10のアウター側の端部内周に所定のシメシロを介して圧入される円筒状の嵌合部12aと、この嵌合部12aの端部から径方向内方に延びる内径部12bとを有している。そして、内径部12bから嵌合部12aに亙る外表面を覆うように、シール部材13が回り込んで接合され、所謂ハーフメタル構造をなしている。これにより、嵌合部12aの気密性を高めて軸受内部を保護することができる。
一方、シール部材13は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延び、円弧状に形成された車輪取付フランジ4の基部11に摺接されるサイドリップ13aとダストリップ13b、および軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップ13cを一体に備えている。なお、シール部材13の材質としては、例示したNBR以外にも、例えば、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等をはじめ、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等を例示することができる。
また、インナー側のシール(密封装置)9は、図2に拡大して示すように、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板14とスリンガ15とからなる、所謂パックシールと呼称される複合型の密封装置で構成されている。
環状のシール板14は、外方部材10のインナー側の端部内周に圧入された芯金16と、この芯金16に一体に加硫接着されたシール部材17とからなる。芯金16は、フェライト系ステンレス鋼板やオーステナイト系ステンレス鋼板、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、外方部材10の端部内周に所定のシメシロを介して圧入される円筒状の嵌合部16aと、この嵌合部16aの端部から径方向内方に延びる内径部16bを有している。そして、芯金16の嵌合部16aの先端部が薄肉に形成されると共に、この先端部を覆うようにシール部材17が回り込んで接合されハーフメタル構造をなしている。
一方、スリンガ15は、フェライト系ステンレス鋼板、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、内輪3の外周面に圧入される円筒部15aと、この円筒部15aから径方向外方に延びる立板部15bとからなる。なお、スリンガ15の立板部15bの外縁は、シール部材14と僅かな径方向隙間を介して対峙し、ラビリンスシール18を構成している。そして、この立板部15bのインナー側の側面に磁気エンコーダ19が加硫接着等で一体に接合されている。磁気エンコーダ19は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入され、周方向に交互に磁極N、Sが着磁されて車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。
シール部材17はNBR等の合成ゴムからなり、芯金16の内径部16bの端部から径方向外方のインナー側に傾斜して延び、スリンガ15の立板部15bのアウター側の側面19に所定の軸方向シメシロを介して摺接する一対のサイドリップ(アキシアルリップ)17a、17bと、これら一対のサイドリップ17a、17bの反対側で、芯金16の内径部16bの端部から径方向外方のアウター側に傾斜して延びるサイドリップ(アキシアルリップ)17cを備えている。そして、シール部材17の内径部17dが平坦面に形成され、スリンガ15の円筒部15aと僅かな径方向隙間を介して対峙し、ラビリンスシール21を構成している。
また、内輪3の外周面にディフレクタ20が圧入されている。このディフレクタ20はスリンガ15の近傍に配設され、フェライト系ステンレス鋼板やオーステナイト系ステンレス鋼板、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成されると共に、内輪3の外周面に圧入される円筒部20aと、この円筒部20aから径方向外方に延びる立板部20bとからなる。そして、グリースリップとなるシール部材17のサイドリップ17cがこの立板部20bのインナー側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接している。
本実施形態では、従来のようなスリンガの円筒部に摺接するラジアルリップからなるグリースリップを廃止し、インナー側の一対のサイドリップ17a、17bがスリンガ15の立板部15bに摺接されると共に、アウター側のサイドリップ17cがディフレクタ20の立板部20bに摺接されている。このようにすると、従来のラジアル方向接触では、径方向での接触のため回転体の偏芯(径方向の加重がかかった場合のことを考える)によってリップにかかる力の影響が大きく、繰り返し荷重がかかった際に軸偏芯にリップが追随できず、漏れの原因になったりする可能性があるため、ある程度リップの剛性が必要となり、緊迫力が高くなるが、本願のアキシアル方向接触では、回転体の径方向偏芯によっても、リップに対する力には影響しないため、ラジアルリップほど剛性を必要とせず、結果として緊迫力を低くできる。従って、低トルクとすることが可能となる。このように本実施形態によれば、内輪3およびスリンガ15の回転体の偏心による影響をなくし、ラジアルリップに比べリップ剛性を必要としないアキシアルリップで構成されているので、パックシールの低トルク化による車両の低燃費化を図ると共に、シール性を維持して長寿命化を図った車輪用軸受の密封装置を提供することができる。
図3に、前述した密封装置9(図2)の変形例を示す。なお、この実施形態は、前述した実施形態と基本的にはディフレクタの構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この密封装置22は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板14とスリンガ15とからなるパックシールを構成している。ここで、前述した別体のディフレクタ20に変えて内輪23の外周面に段部24が一体に形成されている。具体的には、内輪23の外周面には、スリンガ15の円筒部15aが圧入される小径面23aと、この小径面23aから突出する段部24が形成されている。そして、この段部24の垂直に延びる壁面(摺接面)24aにシール部材17のサイドリップ17cが所定の軸方向シメシロを介して摺接している。
本実施形態では、グリースリップとなるサイドリップ17cが内輪23に一体に形成された垂直に延びる段部24の壁面に摺接されているので、回転体の偏心によってもリップに作用する力を受け難く、密封装置22の低トルク化を図ると共に、シール性を維持することができる。
図4に、前述した密封装置22(図3)の変形例を示す。なお、この実施形態は、前述した実施形態と基本的には段部の形状が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この密封装置22は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板14とスリンガ15とからなるパックシールを構成している。ここで、内輪25の外周面に段部26が一体に形成されている。具体的には、内輪25の外周面には、スリンガ15の円筒部15aが圧入される小径面23aと、この小径面23aから突出する段部26が形成されている。この段部26の壁面(摺接面)26aは、総型の研削砥石(図示せず)によって内輪25の内側転走面3aと同時研削され、段部26の外周面26bに対して所定の傾斜角αに形成されている。そして、この壁面26aにサイドリップ17cが所定の軸方向シメシロを介して摺接している。
ここで、壁面26aの傾斜角αは45°〜60°の範囲に設定されている。なお、傾斜角αが60°を超えると内輪25の加工性が低下すると共に、45°未満では、回転体の偏心によるリップに作用する力を受け易くなり、緊迫力のバラツキを誘発して好ましくない。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受の密封装置は、内輪回転タイプ、外輪回転タイプの第1世代、第2世代、あるいは内輪回転タイプの第3世代、4世代構造の車輪用軸受に適用することができる。
1 内方部材
2 ハブ輪
2a、3a 内側転走面
2b 小径段部
2c セレーション
3、23、25 内輪
4 車輪取付フランジ
5 ハブボルト
6 転動体
7 保持器
8 アウター側のシール
9、22 インナー側のシール
10 外方部材
10a 外側転走面
10b 車体取付フランジ
11 車輪取付フランジのインナー側の基部
12、16 芯金
12a、16a 嵌合部
12b、16b 内径部
13、17 シール部材
13a、17a、17b、17c サイドリップ
13b ダストリップ
13c グリースリップ
14 シール板
15 スリンガ
15a、20a 円筒部
15b、20b 立板部
17d 内径部
18、21 ラビリンスシール
19 磁気エンコーダ
20 ディフレクタ
23a 内輪の小径面
24、26 段部
24a、26a 段部の壁面
26b 段部の外周面
51 密封装置
52 スリンガ
52a、56a 円筒部
52b、56b 立板部
53 シール板
54 内輪
55 外方部材
56 芯金
56a 嵌合部
56b 立板部
57 シール部材
57a 第1のサイドリップ
57b 第2のサイドリップ
57c グリースリップ
58、59 ラビリンスシール
α 段部の壁面の傾斜角

Claims (6)

  1. 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受に装着され、
    前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部を密封する車輪用軸受の密封装置であって、
    前記密封装置が、断面がL字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板とスリンガとからなるシールで構成され、
    前記シール板が、前記外方部材の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延びる内径部からなる芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合され、複数のシールリップを有するシール部材を備えると共に、
    前記スリンガが、前記内方部材の外周面に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなる車輪用軸受の密封装置において、
    前記シール部材の複数のシールリップが、前記芯金の内径側から径方向外方のインナー側に傾斜して延び、前記スリンガの立板部のアウター側の側面に摺接するアキシアルリップと、前記芯金の内径側から径方向外方のアウター側に傾斜して延び、前記内方部材に設けられた壁面に摺接するアキシアルリップのみで構成されていることを特徴とする車輪用軸受の密封装置。
  2. 前記シール部材の内径部が平坦面に形成され、前記スリンガの円筒部と径方向隙間を介して対峙し、ラビリンスシールを構成している請求項1に記載の車輪用軸受の密封装置。
  3. 前記内方部材の外周面にディフレクタが圧入され、このディフレクタが鋼板からプレス加工にて断面がL字状に形成されると共に、前記内方部材の外周面に圧入される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなり、この立板部の側面に前記アキシアルリップが摺接されている請求項1に記載の車輪用軸受の密封装置。
  4. 前記内方部材の外周面が、前記スリンガの円筒部が圧入される小径面と、この小径面から径方向外方に延びる壁面を備えた段部で構成され、この段部の壁面に前記アキシアルリップが摺接されている請求項1に記載の密封装置。
  5. 前記段部の壁面が当該段部の外周面に対して45°〜60°の範囲の傾斜角に設定されている請求項4に記載の車輪用軸受の密封装置。
  6. 前記段部の壁面が総型の研削砥石によって前記内方部材の内側転走面と同時研削されている請求項4または5に記載の車輪用軸受の密封装置。
JP2013188017A 2013-09-11 2013-09-11 車輪用軸受の密封装置 Pending JP2015055276A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013188017A JP2015055276A (ja) 2013-09-11 2013-09-11 車輪用軸受の密封装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013188017A JP2015055276A (ja) 2013-09-11 2013-09-11 車輪用軸受の密封装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015055276A true JP2015055276A (ja) 2015-03-23

Family

ID=52819835

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013188017A Pending JP2015055276A (ja) 2013-09-11 2013-09-11 車輪用軸受の密封装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015055276A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024043577A1 (ko) * 2022-08-22 2024-02-29 주식회사 일진글로벌 비동축 씰링립을 갖는 씰링부재를 구비하는 차량용 휠베어링

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024043577A1 (ko) * 2022-08-22 2024-02-29 주식회사 일진글로벌 비동축 씰링립을 갖는 씰링부재를 구비하는 차량용 휠베어링

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6275465B2 (ja) 密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置
JP6603078B2 (ja) 車輪用軸受装置
JP6717524B2 (ja) 車輪用軸受装置
JP5964120B2 (ja) 車輪用軸受の密封装置
JP6730786B2 (ja) 車輪用軸受装置
JP2012207769A (ja) 車輪用軸受装置
JP2016186319A (ja) 密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置
JP6336768B2 (ja) 密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置
JP2012056411A (ja) 車輪用軸受装置
JP5557668B2 (ja) 車輪用軸受装置
JP6126827B2 (ja) 車輪用軸受の密封装置
JP2014240679A (ja) 車輪用軸受装置
JP2011007272A (ja) 車輪用軸受装置
JP2015137754A (ja) 車輪用軸受装置
JP2012112494A (ja) 車輪用軸受の密封装置
JP2011069422A (ja) 車輪用軸受装置
JP2011088513A (ja) 車輪用軸受シールおよびそれを備えた車輪用軸受装置
JP2016003709A (ja) 車輪用軸受装置
JP2015059644A (ja) 密封装置およびこれを備えた車輪用軸受装置
JP2011148409A (ja) 車輪用軸受装置
JP6114605B2 (ja) 車輪用軸受の密封装置
JP2013050132A (ja) 車輪用軸受シール
JP2012017019A (ja) 車輪用軸受装置
JP2015055276A (ja) 車輪用軸受の密封装置
JP2012154373A (ja) 車輪用軸受シール