JP2015055228A - 触媒コンバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】メタル担体の変形を抑制した触媒コンバータを提供する。【解決手段】金属製の網目状箔を巻回して形成されたメタル担体50を備えた触媒コンバータであって、メタル担体50には、外周を軸方向に切断するスリット53が周方向全周にわたって形成される。スリット53を形成することで、メタル担体50の変形を抑制することができる。更にスリット53を形成するメタル担体50の端部の一部は、径方向外側にある保持マット40側に突出する突出部54を形成する。メタル担体50を保持マット40によって保持した場合に、突出部54が保持マット40に刺さり、メタル担体50と保持マット40とが機械的に結合する。そのため、保持マット40に対するメタル担体50の軸方向への移動が抑制される。【選択図】図5
Description
本発明は触媒コンバータに関するものである。
従来、金属製の網目状のエキスパンドメタルを用いた筒状のメタル担体を備えた触媒コンバータが特許文献1に開示されている。
触媒コンバータに、温度が高い排気ガスが流入すると、排気ガスはメタル担体(エキスパンドメタル)の網目を通って径方向に拡散しつつ、軸方向に沿って流れる。
排気ガスはメタル担体で径方向に拡散されるが、軸方向における排気ガスの流速は均一ではなく、径方向内側の流速は径方向外側の流速よりも高くなる。従って、径方向内側のメタル担体の温度は、径方向外側のメタル担体の温度よりも高く、径方向内側のメタル担体の熱膨張量は、径方向外側のメタル担体の熱膨張量よりも大きい。
径方向内側のメタル担体が軸方向に沿って伸びると、熱膨張量に違いに起因して発生する応力によって、軸方向における中央付近のメタル担体が径方向内側に収縮して、メタル担体は変形する。このようにメタル担体が変形すると、メタル担体とメタル担体を保持する保持部材との間に隙間が生じ、メタル担体が保持部材に対して軸方向にずれるおそれがある。
本発明はこのような問題点を解決するために発明されたもので、メタル担体の変形を抑制し、メタル担体が保持部材などに対して軸方向にずれることを抑制することを目的とする。
本発明のある態様に係る触媒コンバータは、金属製の網目状箔を巻回して形成されたメタル担体を備えた触媒コンバータであって、メタル担体には、メタル担体の外周を軸方向に切断するスリットが周方向に形成される。
この態様によると、周方向に沿ってスリットを形成することで、温度が高い例えば排気ガスが触媒コンバータに流入した場合でも、メタル担体の変形を抑制することができる。そのため、例えばメタル担体が保持マットに対して軸方向にずれることを抑制することができる。
以下に、本発明の実施形態の触媒コンバータ10について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態の触媒コンバータ10を備えるエンジン20の吸排気系の説明図である。
エンジン20は、吸気管21からの空気が導入され、この空気と燃料とを混合した混合気をシリンダ内で爆発的に燃焼させることにより回転エネルギーを発生する。燃焼後の排気は、マニホルド22から排気管23へと流れ、消音器24を経由してエンドパイプ25から排出される。
排気管23には触媒コンバータ10が備えられる。触媒コンバータ10は、メタル担体50を備え、メタル担体50の表面に貴金属粒子等からなる触媒を担持させることにより、排気中の未燃焼成分や窒素酸化物等を、窒素、二酸化炭素、水等の無害な物質へと酸化、還元する。触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等が用いられる。
図2は、本発明の実施形態の触媒コンバータ10の説明図である。
触媒コンバータ10は、略円筒形状のケース30に、メタル担体50が収装されて構成される。また、触媒コンバータ10は、ケース30とメタル担体50との間に断熱性の保持マット40を備える。
メタル担体50は、網目状に形成された金属素材である網目状箔からなるメッシュ材51と、網目状に形成された金属素材である網目状箔を波形形状に加工したメッシュ材52とを重ねて巻回して、略円筒状のハニカム形状に形成される。ここで、ハニカム形状とは、図2に示すように、メッシュ材51とメッシュ材52との間を気体が流入可能なように隙間が形成された形状を意味する。メタル担体50の最外周部は、メッシュ材51のみを多重に巻回して形成される。なお、メタル担体50の最外周部は、メッシュ材52のみを多重に巻回して形成してもよい。
ここで、本実施形態のメタル担体50の構造について図3を用いて説明する。
図3は、本発明の実施形態のメタル担体50を構成するメッシュ材51の説明図である。図3はメッシュ材51の上面図を示した図である。
メッシュ材51は、網目状箔(エキスパンドメタル)によって構成される。網目状箔とは、薄板の金属箔に等間隔に切断しながら、押し広げることにより規則正しい網目形状が形成されたものである。
図3に示すように、メッシュ材51は、細線(ストランド)により連結され多数の菱形状の開口(以下、網目と言う。)を有する網目状箔として構成されている。この菱形状の開口は長目方向と短目方向を有する。メッシュ材51は、メタル担体50において、長目方向が排気の流れ方向(矢印で示す)となるように配向される。なお、メッシュ材52は、この図3に示す網目状箔に、その溝方向が排気流れ方向となるように、さらに波形形状の凹凸が形成される。
メタル担体50の外周には、図4に示すように周方向に沿ってスリット53が形成されている。図4はメタル担体50の概略正面図である。スリット53は、全周にわたって形成され、メタル担体50の外周を軸方向に切断する。スリット53を設けることで、メタル担体50は径方向内側では軸方向に連続しているが、径方向外側ではスリット53によって2つに分断されている。本実施形態では1本のスリット53が形成されているが、複数のスリット53を形成してもよい。また、スリット53の深さは、メタル担体50における熱分布などに基づいて適宜設定される。
スリット53を形成するメタル担体50の端部の一部は、図5に示すように径方向外側、つまり保持マット40側に曲げられ、保持マット40側に突出する突出部54を形成する。図5は、スリット53の拡大図である。突出部54を形成することで、メタル担体50を保持マット40によって保持した場合に、突出部54が保持マット40に刺さり、メタル担体50と保持マット40とが機械的に結合する。そのため、保持マット40に対するメタル担体50の軸方向への移動が抑制される。図5においては、スリット53を形成する一方の端部にのみ突出部54を形成したが、もう一方の端部にも突出部54を形成してもよい。
ケース30とメタル担体50との間には断熱性の保持マット40が備えられている。保持マット40は、ケース30の内側にメタル担体50を保持する。
保持マット40は、例えばセラミックスやグラスウール等からなる断熱性の素材から構成される。保持マット40は、メタル担体50を外周側から包み込んでメタル担体50の形状を維持することにより、メタル担体50を保持し、破損防止をする。
保持マット40は、ケース30とメタル担体50との間を断熱することにより、外気に晒されるケース30によりメタル担体50の温度が下がることを抑制して、触媒効率を高める。
メタル担体50は、その外周側に保持マット40を備えた状態でケース30に圧入され、保持マット40の弾性によってメタル担体50がケース30内部に保持される。
次に、メタル担体50の製造方法について図6を用いて説明する。図6は、製造時におけるメタル担体50示す図である。
メタル担体50は、図6に示すように、網目状に形成された金属素材である網目状箔からなるメッシュ材51と、網目状に形成された金属素材である網目状箔を波形形状に加工したメッシュ材52とを積層し、その一辺を始点として円筒形状に巻回される。なお、最外周においては、メッシュ材51のみを多重巻きしている。
このとき、メッシュ材51は、長目方向が排気の流れ方向(矢印で示す)に配向される。メッシュ材52は、溝方向が排気流れ方向となるように配置される。
そして、メタル担体50の外周に周方向に沿って切り込みを入れてスリット53を形成し、スリット53を形成するメタル担体50の端部の一部を径方向外側に曲げて突出部54を形成する。その後、ウォッシュコート等により貴金属からなる触媒を担持させる。
このようにして構成されたメタル担体50は、図2に示すように、径方向外側に保持マット40が備えられる。
このようにして保持マット40が備えられたメタル担体50を、ケース30に圧入する。保持マット40により、メタル担体50をケース30の内面に保持することができる。
なお、メタル担体50の製造方法は、上記方法に限られず、例えばメッシュ材51にスリット53を形成した後に、メッシュ材51とメッシュ材52とを積層して円筒形状に巻回してもよい。
本実施形態の作用について説明する。
触媒コンバータ10に流入した排気は、メッシュ材51、52の網目を通って径方向に拡散しつつ、軸方向に沿って流れる。排気は径方向に拡散するが、径方向内側の排気の流速は、径方向外側の排気の流速よりも高く、径方向内側のメタル担体50は径方向外側のメタル担体50よりも温度が高くなる。そのため、径方向内側のメタル担体50は径方向外側のメタル担体50と比較して、熱膨張量が大きくなる。
メタル担体50の外周にスリット53を形成していない場合には、図7に示すように、径方向内側のメタル担体50が熱膨張により軸方向に沿って伸びると、これに伴って発生する応力によって、軸方向における中央付近のメタル担体50が径方向内側に収縮し、メタル担体50が変形する。図7においては、変形前のメタル担体50の外形を実線で示し、変形後のメタル担体50の外形を破線で示す。このようにメタル担体50が変形すると中央付近のメタル担体50と保持マット40との間に隙間が生じ、保持マット40によってメタル担体50をケース30の内面に保持することが困難となる。
本実施形態では、メタル担体50の外周に周方向に沿ってスリット53を形成することで、径方向内側のメタル担体50が軸方向に沿って伸びた場合でも、径方向外側のメタル担体50に発生する応力をスリット53によって吸収し、メタル担体50が径方向内側に収縮することを抑制する。
本発明の実施形態の効果について説明する。
メタル担体50の外周に周方向に沿ってスリット53を形成することで、排気が流入して径方向内側のメタル担体50が軸方向に沿って伸びた場合でも、軸方向における中央付近のメタル担体50が径方向内側に収縮することを抑制し、メタル担体50が変形することを抑制することができる。これにより、メタル担体50と保持マット40との間に隙間が生じることを抑制し、保持マット40に対してメタル担体50が軸方向にずれることを抑制することができる。また、外周側のメタル担体50の軸方向の伸びをスリット53によって吸収することができる。
メタル担体50の最外周部は、メッシュ材51を多重巻きにして形成される。そのため、メタル担体0の剛性を高くし、排気が流入した場合に、保持マット40の膨張による面圧によってメタル担体50が変形することを抑制することができる。
スリット53を形成するメタル担体50の端部の一部を径方向外側に曲げて突出部54を形成することで、突出部54を保持マット40に刺してメタル担体50と保持マット40とを機械的に結合し、メタル担体50が保持マット40に対して軸方向にずれることを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
10 触媒コンバータ
40 保持マット(保持部材)
50 メタル担体
53 スリット
54 突出部
40 保持マット(保持部材)
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Claims (3)
- 金属製の網目状箔を巻回して形成されたメタル担体を備えた触媒コンバータであって、
前記メタル担体には、前記メタル担体の外周を軸方向に切断するスリットが周方向に形成されることを特徴とする触媒コンバータ。 - 請求項1に記載の触媒コンバータであって、
前記メタル担体は、網目状の平箔と、網目状の波箔とを重ね合わせて巻回されて形成されたハニカム形状であり、
前記メタル担体の最外周部は、前記平箔、前記波箔のいずれか一方が多重に巻かれて形成されることを特徴とする触媒コンバータ。 - 請求項1または2に記載の触媒コンバータであって、
前記メタル担体を外周側から保持する保持部材を備え、
前記メタル担体は、前記スリットを形成する端部を前記保持部材側に突出させて形成する突出部を備えることを特徴とする触媒コンバータ。
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2013
- 2013-09-13 JP JP2013190339A patent/JP2015055228A/ja active Pending
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