JP2015054560A - 乗員拘束装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ショルダベルトの拘束性能の低下を抑制することと、乗員に与える違和感を抑制することとを両立できる乗員拘束装置を提供する。
【解決手段】衝突予測手段と、衝突方向予測手段と、シートバック22における左右の肩部のうちの一方である所定肩部23から、所定肩部と左右方向において逆側に位置するシートバックの所定腰部26にわたって、乗員30の拘束を行うショルダベルト11と、ショルダベルトのうち所定肩部に対応する部分である拘束部11aのシートバックに対する相対位置を調整する調整手段3と、を備える。調整手段は、障害物との衝突が予測される場合、衝突方向が車幅方向において座席の所定腰部側である場合には、当該座席のシートバックに対して拘束部を所定腰部側に移動させる一方、衝突方向が車幅方向において座席の所定肩部側である場合には、当該座席のシートバックに対して拘束部を所定腰部側に移動させない。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗員拘束装置に関する。
従来、乗員拘束装置がある。例えば、特許文献1には、ショルダベルトおよび該ショルダベルトにつながるラップベルトを有する3点式シートベルト装置であって、衝突時あるいは衝突予知時に、ショルダベルトを上方へ移動させる移動手段を有する自動車用3点式シートベルト装置の技術が開示されている。特許文献1の自動車用3点式シートベルト装置によれば、車両の衝突時に乗員の上体が強く前傾することを抑制できるとされている。
特開2010−179726号公報
ここで、車外の障害物と衝突する際の衝突方向にかかわらずショルダベルトを上方へ移動させると、運転者に違和感を与える可能性がある。例えば、障害物が自車両に対して斜め方向や横方向から衝突してくると、衝突時に乗員が座席に対して車幅方向に相対移動する。その相対移動の方向によっては、ショルダベルトから乗員の肩が抜ける可能性が低いにもかかわらず、上方へ移動されたショルダベルトが乗員の首に接触した状態で、相対移動によって乗員の首がショルダベルトに押し付けられるなどして、乗員が違和感を覚える可能性がある。
本発明の目的は、ショルダベルトにより乗員を拘束する拘束性能の低下を抑制することと、乗員に与える違和感を抑制することとを両立することができる乗員拘束装置を提供することである。
本発明の乗員拘束装置は、自車両が今後車外の障害物と衝突することを予測する衝突予測手段と、前記自車両を基準として、前記自車両の車幅方向において前記自車両と前記障害物とが衝突する方向である衝突方向を予測する衝突方向予測手段と、前記自車両の座席のシートバックにおける左右の肩部のうちの一方である所定肩部から、前記所定肩部と左右方向において逆側に位置する前記シートバックの腰部である所定腰部にわたって、乗員の拘束を行うショルダベルトと、前記ショルダベルトのうち前記所定肩部に対応する部分である拘束部の前記シートバックに対する相対位置を調整する調整手段と、を備え、前記調整手段は、前記障害物との衝突が予測される場合、前記衝突方向が前記車幅方向において前記座席の前記所定腰部側である場合には、当該座席の前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させる一方、前記衝突方向が前記車幅方向において前記座席の前記所定肩部側である場合には、当該座席の前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させないことを特徴とする。
上記乗員拘束装置において、前記調整手段は、前記所定肩部側に設けられ前記ショルダベルトを保持するショルダベルトアンカを上方に移動させることにより、前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させることが好ましい。
上記乗員拘束装置において、前記調整手段は、前記座席を下方に移動させることにより、前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させることが好ましい。
上記乗員拘束装置において、前記調整手段は、前記衝突方向が前記車幅方向において前記座席の前記所定腰部側である条件に加えて、前記自車両に対する前記障害物の相対移動の方向と、前記自車両の前後方向とのなす角度の大きさが所定角度以上である条件が成立する場合に、当該座席の前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させることが好ましい。
本発明に係る乗員拘束装置は、衝突予測手段と、衝突方向予測手段と、シートバックにおける左右の肩部のうちの一方である所定肩部から、所定肩部と左右方向において逆側に位置するシートバックの腰部である所定腰部にわたって、乗員の拘束を行うショルダベルトと、ショルダベルトのうち所定肩部に対応する部分である拘束部のシートバックに対する相対位置を調整する調整手段と、を備える。
調整手段は、障害物との衝突が予測される場合、衝突方向が車幅方向において座席の所定腰部側である場合には、当該座席のシートバックに対して拘束部を所定腰部側に移動させる一方、衝突方向が車幅方向において座席の所定肩部側である場合には、当該座席のシートバックに対して拘束部を所定腰部側に移動させない。本発明に係る乗員拘束装置によれば、ショルダベルトにより乗員を拘束する拘束性能の低下を抑制することと、乗員に与える違和感を抑制することとを両立することができるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態に係る乗員拘束装置の概略構成図である。 図2は、第1実施形態に係る乗員拘束装置のブロック図である。 図3は、衝突方向の説明図である。 図4は、衝突時の移動方向の説明図である。 図5は、第1実施形態の乗員拘束装置の動作を示すフローチャートである。 図6は、車両右側からの衝突を示す図である。 図7は、第2実施形態に係る乗員拘束装置の概略構成図である。 図8は、第2実施形態に係る乗員拘束装置のブロック図である。 図9は、第2実施形態に係る乗員拘束装置において拘束部を移動させた後の状態を示す図である。 図10は、第2実施形態に係る乗員拘束装置の動作を示すフローチャートである。 図11は、第3実施形態に係る乗員拘束装置の概略構成図である。 図12は、第3実施形態に係る乗員拘束装置のブロック図である。 図13は、第3実施形態に係る乗員拘束装置の動作を示すフローチャートである。 図14は、第4実施形態に係る乗員拘束装置の概略構成図である。
以下に、本発明の実施形態に係る乗員拘束装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図6を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、乗員拘束装置に関する。図1は、本発明の第1実施形態に係る乗員拘束装置の概略構成図、図2は、第1実施形態に係る乗員拘束装置のブロック図、図3は、衝突方向の説明図、図4は、衝突時の移動方向の説明図、図5は、第1実施形態の乗員拘束装置の動作を示すフローチャート、図6は、車両右側からの衝突を示す図である。
本実施形態に係る乗員拘束装置10は、図3に示す自車両100に設けられ、車両において乗員を拘束する拘束装置である。図1に示すように、本実施形態に係る乗員拘束装置10は、乗員30の拘束を行うショルダベルト11と、調整手段3とを含んで構成されている。また、乗員拘束装置10は、図2に示す予測手段1を含んで構成されている。本実施形態に係る乗員拘束装置10は、更に、図2に示すアンカー制御用ECU2を含んで構成されている。本実施形態では、予測手段1が、衝突予測手段および衝突方向予測手段としての機能を有している。
衝突予測手段の機能は、自車両100が今後車外の障害物と衝突することを予測することである。衝突方向予測手段の機能は、自車両100の車幅方向において自車両100と障害物とが衝突する方向である衝突方向(図3の符号θ参照)を予測することである。
図1は、座席20の正面側(自車両100の車両前方)から見た図である。乗員30は、座席20に座った状態で、ショルダベルト11によって拘束される。図1には、自車両100の複数の座席20のうち、運転者用の座席20である運転座席20Aが示されている。運転座席20A以外の座席についても、構成要素は運転座席20Aと同様である。座席20は、シートクッション21と、シートバック22とを含んで構成されている。シートクッション21は、乗員30を下方から支持する。より具体的には、シートクッション21は、座面21aを有しており、座面21aに着座した乗員30を下方から支持する。シートバック22は、背もたれとしての機能を有し、乗員30の背中側を支持する。
シートバック22は、肩部23,24と、腰部25,26とを有する。肩部23,24は、シートバック22における上部である。肩部23,24は、乗員30が座席20に着席した状態で乗員30の肩部31,32を支持する部分である。シートバック22における左右の肩部23,24のうちの一方(図1では、車両右側)の肩部23は、乗員30の右側の肩部31を支持する。シートバック22における他方(車両左側)の肩部24は、乗員30の左側の肩部32を支持する。
腰部25,26は、シートバック22における下部である。腰部25,26は、乗員30が座席20に着席した状態で乗員30の腰部33,34を支持する部分である。シートバック22における左右の腰部25,26のうちの一方(図1では、車両右側)の腰部25は、乗員30の右側の腰部33を支持する。シートバック22における他方(図1では、車両左側)の腰部26は、乗員30の左側の腰部34を支持する。
ショルダベルト11は、座席20に着座した乗員30を拘束する拘束手段である。ショルダベルト11は、座席20のシートバック22における左右の肩部23,24のうちの一方である所定肩部23から、所定肩部23と左右方向において逆側に位置するシートバック22の腰部である所定腰部26にわたって、乗員30の拘束を行う。ショルダベルト11は、シートバック22に対して所定肩部23から所定腰部26にわたって斜めに掛け渡されることで、乗員30の一方の肩部31から、肩部31と左右方向において逆側に位置する他方の腰部34にわたって、乗員30の拘束を行う。
本実施形態の自車両100は、運転座席20Aが車室内において車両右側に配置された、所謂右ハンドル車両である。このような車両右側に配置された運転座席20Aの場合、所定肩部23は、シートバック22の車両右側の肩部であり、所定腰部26は、シートバック22の車両左側の腰部である。なお、運転座席20A以外の座席20では、所定肩部23がシートバック22の車両左側の肩部、所定腰部26がシートバック22の車両右側の腰部であるものもある。
バックル13は、ショルダベルト11を保持する保持手段である。バックル13は、ショルダベルト11に対してスライド可能に装着されたタングプレートと連結することで、ショルダベルト11を保持する。バックル13は、ショルダベルト11における所定腰部26に対応する部分11bを保持する。
拘束部11aは、ショルダベルト11のうち、シートバック22における所定肩部23に対応する部分である。拘束部11aは、バックル13がショルダベルト11を保持した状態、すなわち所定肩部23から所定腰部26にわたってショルダベルト11が掛け渡された状態で、所定肩部23に対応する部分である。言い換えると、拘束部11aは、自車両100の前後方向において所定肩部23と対向する部分であり、正面視において所定肩部23と重なる部分である。拘束部11aは、乗員30の左右の肩部31,32のうち、シートバック22の所定肩部23によって支持される肩部31を拘束する。すなわち、拘束部11aは、ショルダベルト11により乗員30の肩部31を拘束する拘束位置36に対応するものでもある。
調整手段3は、シートバック22に対するショルダベルト11の位置を調整する。本実施形態の調整手段3は、ショルダベルト11を保持するショルダベルトアンカ12を上下方向に移動させるアクチュエータである。ショルダベルトアンカ12は、シートバック22に対して所定肩部23側に設けられショルダベルト11を保持する部材である。ショルダベルトアンカ12は、自車両100の車体内側に配置されている。本実施形態のショルダベルトアンカ12は、車体のピラー、例えばBピラー(センタピラー)に配置されている。
本実施形態のショルダベルトアンカ12は、可逆性のある電動アジャスタブルアンカである。ショルダベルトアンカ12は、ピラーに配置されたレール等によって上下方向に移動自在に支持されている。調整手段3は、ピラーに対してショルダベルトアンカ12を上下方向に移動させるアクチュエータである。調整手段3によってショルダベルトアンカ12が上下動されることにより、シートバック22および乗員30に対してショルダベルト11が上下方向に相対移動する。
本実施形態の調整手段3は、電動式の回転モータおよびギヤ機構等を含んで構成されている。調整手段3のモータの回転力は、ギヤ機構によって上下方向の力に変換されてショルダベルトアンカ12に伝達される。調整手段3は、モータが発生させる回転力によって、ショルダベルトアンカ12を上下方向の可動範囲内の任意の位置に移動させることができる。自車両100には、ショルダベルトアンカ12の位置を調節する入力手段、例えばスイッチが設けられている。乗員30は、入力手段を操作することにより、調整手段3を作動させて、ショルダベルトアンカ12の上下方向における位置を所望の位置に調節することができる。
調整手段3は、図2に示すアンカー制御用ECU2によって制御される。アンカー制御用ECU2は、調整手段3と電気的に接続されており、調整手段3の動作を制御する。アンカー制御用ECU2は、例えば、調整手段3に対してショルダベルトアンカ12の移動方向および移動速度、移動量等の目標値を指令する。ショルダベルトアンカ12の移動方向、移動速度および移動量は、調整手段3のモータの回転方向、回転速度および回転量にそれぞれ対応している。
調整手段3は、アンカー制御用ECU2からの指令に応じてモータの回転方向および回転速度を決定し、当該回転方向および回転速度で動作するようにモータを回転駆動する。また、調整手段3は、ショルダベルトアンカ12の目標移動量から換算されたモータの目標回転量だけモータを回転させることにより、ショルダベルトアンカ12を指令された移動量だけ移動させることができる。
図2に示す予測手段1は、自車両100が今後車外の障害物と衝突することを予測する衝突予測手段としての機能を有する。また、予測手段1は、自車両100を基準として、自車両100の車幅方向において自車両100と障害物とが衝突する方向である衝突方向を予測する衝突方向予測手段としての機能を有する。
本実施形態の予測手段1は、予防安全ECU4と、レーダー5と、カメラ6と、レーザー7とを含んで構成されている。予測手段1は、更に、衝突方向が予知できる予知センサ8を含んで構成されている。予防安全ECU4は、コンピュータを有する電子制御ユニットである。予防安全ECU4は、レーダー5、カメラ6、レーザー7、および予知センサ8の少なくとも1つの検出結果に基づいて、自車両100に対する障害物の衝突を予測する。
レーダー5は、例えば、ミリ波レーダー等のレーダーセンサである。レーダー5は、自車両100の周辺に存在する障害物、例えば、他の車両や物体、構造物等を検出する。レーダー5は、自車両100と検出対象物との距離、相対速度および方向を検知する。レーダー5の検出結果を示す信号は、予防安全ECU4に対して出力される。予防安全ECU4は、レーダー5の検出結果に基づいて、自車両100が今後車外の障害物と衝突することを予測する。
カメラ6は、自車両100の周辺を撮像する撮像手段である。カメラ6は、自車両100の周辺を撮像して画像データを生成する。カメラ6によって生成された画像データは、予防安全ECU4に送られる。予防安全ECU4は、取得した画像データに基づいて、自車両100が今後車外の障害物と衝突することを予測する。予防安全ECU4は、例えば、画像データに対して画像処理を施すことにより、画像データ中の障害物を抽出する。予防安全ECU4は、抽出された障害物が今後自車両100と衝突することを予測する。例えば、連続的に撮像された複数の画像データに基づいて、自車両100に対する障害物の相対位置の変化や、その変化速度を算出し、当該算出結果に基づいて衝突を予測することが可能である。
レーザー7は、自車両100の周辺に存在する障害物を検出するレーザーセンサである。レーザー7は、自車両100と検出対象物との距離、相対速度および方向を検知する。レーザー7の検出結果を示す信号は、予防安全ECU4に対して出力される。予防安全ECU4は、レーザー7の検出結果に基づいて、自車両100が今後車外の障害物と衝突することを予測する。
予知センサ8は、上記において例示したレーダー5、カメラ6およびレーザー7とは異なる検出方法によって、自車両100に対する障害物の相対位置や相対速度を検出することが好ましい。予防安全ECU4は、予知センサ8の検出結果に基づいて、自車両100に対する障害物の衝突を予測するようにしてもよい。
また、予防安全ECU4は、レーダー5、カメラ6、レーザー7、および予知センサ8の少なくとも1つの検出結果に基づいて、自車両100を基準として、自車両100の車幅方向において自車両100と障害物とが衝突する方向である衝突方向を予測する。予防安全ECU4は、検出された障害物と自車両100との相対位置の変化に基づいて、衝突方向を予測する。
図3を参照して、衝突方向について説明する。図3には、自車両100と他の車両(以下「相手車両」と称する。)101との衝突を予測する場合の衝突方向θが示されている。相手車両101は、検出される障害物の一例である。予防安全ECU4は、自車両100に対する相手車両101の相対移動の方向Y1と、自車両100の前後方向とのなす角度を衝突方向θ[°]として算出する。以下、自車両100に対する相手車両101の相対移動の方向Y1を単に「相対移動方向Y1」と称する。相対移動方向Y1は、自車両100の進行方向および進行速度と、相手車両101の進行方向および進行速度とにより決まる。
衝突方向θは、自車両100に対して相手車両101が正面から衝突する場合を0とする。本実施形態では、相手車両101が、自車両100に対して、車両左側から衝突する場合の衝突方向θを正の角度、車両右側から衝突する場合の衝突方向θを負の角度として計算する。なお、車両左側とは、自車両100の前方を向いたときの左側を示し、車両右側とは、自車両100の前方を向いたときの右側を示す。
図3に示す自車両100は、右ハンドル車である。自車両100の複数の座席20のうち、運転座席20Aは自車両100の車室内における右側前部に配置されている。従って、図3に示す相手車両101は、自車両100に対して左側から衝突してくる。この場合、衝突方向θは、正の角度として算出される。衝突方向θの絶対値が小さい程、相手車両101が自車両100の正面方向に近い方向から衝突してくる。また、衝突方向θの絶対値が90°に近い程、相手車両101は自車両100に対して真横に近い方向から衝突してくることとなる。
ここで、例えば図3に示すように、相手車両101が自車両100に対して斜め方向から衝突してくる(斜突)場合や、横方向から衝突してくる場合、乗員30は衝突時に慣性により相手車両101の方向に移動する。乗員30は、それまでの自車両100の進行方向に移動し続けようとする一方で、自車両100は相手車両101との衝突により、衝突方向θの側と反対側に移動しようとする。図3に示す例では、乗員30が自車両100の前方に移動するのに対して、自車両100は、相手車両101との衝突により、車両右側に向けて移動する。これにより、自車両100を基準として、乗員30が相手車両101側(車両左側)に相対移動してしまう。
相手車両101が自車両100に対して車両左側から衝突してきた場合、図4に示すように、運転座席20Aに座る乗員30(運転者)は、矢印Y2で示すように、衝突時にシートバック22に対して車両左側に相対移動する。これにより、乗員30の肩部31に対するショルダベルト11の拘束部11aの掛かり代が小さくなるなど、ショルダベルト11が乗員30を拘束する度合が低下し、乗員30に対する拘束性能が低下してしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態に係る乗員拘束装置10は、障害物との衝突時に、以下に説明するように、調整手段3によって拘束部11aの位置を調整する。これにより、乗員拘束装置10は、斜突等の不規則衝突時に乗員30に対する拘束性能が低下してしまうことを抑制することができる。
図1に示すように、調整手段3は、アンカー制御用ECU2の指令に応じてショルダベルトアンカ12の上下方向の位置を調整することで、シートバック22に対する拘束部11aの位置を調整する。例えば、ショルダベルトアンカ12を実線で示す位置から破線で示す位置まで上方に移動した場合、拘束部11aは、矢印Y3で示すように、シートバック22に対して所定腰部26側に相対移動する。つまり、調整手段3は、ショルダベルトアンカ12を上方に移動させることにより、シートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させる。このような拘束部11aの車幅方向における移動により、ショルダベルト11が乗員30の肩部31を拘束する拘束位置36は、相対的に所定腰部26側に移動することが期待される。すなわち、拘束位置36は、肩部31における腕側(車両右側)から首部35側(車両左側)に移動すると考えられる。
衝突前に予めショルダベルト11を所定腰部26側に移動させておくことにより、衝突時に乗員30がシートバック22に対して相対移動したとしても、肩部31に対するショルダベルト11の掛かり代が低下してしまうことなどが抑制される。よって、乗員30に対するショルダベルト11の拘束性能の低下が抑制可能となる。
ここで、衝突時に、衝突方向θにかかわらずショルダベルト11を移動させてしまうと、乗員30が違和感を覚える可能性がある。例えば、上述したように車両左側から相手車両101等の障害物が衝突してくる場合であれば、運転座席20A等の車両右側に配置された座席20の乗員30に対しては、ショルダベルト11の拘束部11aを移動させることで、ショルダベルト11による拘束性能の低下を抑制することができる。一方、自車両100に対して車両右側から障害物が衝突してくると、運転者等は、シートバック22に対して、図4に矢印Y2で示す方向と反対方向、すなわち車両右側に向けて相対移動する。この場合には、乗員30の肩部31に対するショルダベルト11の掛かり代は大きくなると考えられ、衝突時にショルダベルト11から肩部31が抜ける可能性は低い。それにもかかわらず、衝突前にショルダベルト11を上方へ移動させてしまうと、上方へ移動されたショルダベルト11が乗員30の首部35に接触した状態で、衝突時の相対移動によって乗員30の首部35がショルダベルト11に押し付けられるなどして、乗員30に不快感を与えてしまう可能性がある。
本実施形態に係る乗員拘束装置10は、衝突方向θに応じて、各座席20のショルダベルト11の拘束部11aを移動させるか否かを異ならせる。乗員拘束装置10のアンカー制御用ECU2は、障害物との衝突が予測される場合、衝突方向θが車幅方向において座席20の所定腰部26側である場合には、調整手段3を作動させて、当該座席20のシートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させる。一方、アンカー制御用ECU2は、障害物との衝突が予測される場合、衝突方向θが車幅方向において座席20の所定肩部23側である場合には、当該座席20のシートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させない。
なお、本明細書において、「衝突方向θが車幅方向において座席20の所定腰部26側である」とは、当該座席20の車幅方向の中心を基準として、車幅方向の所定腰部26側から障害物が自車両100に対して衝突してくることを示している。例えば、車両右側に配置された運転座席20A(図1参照)を例に説明すると、自車両100に対して車両左側から障害物が衝突してくる場合、運転座席20Aに着座した乗員30から見て、車幅方向の所定腰部26側から障害物が衝突してくることとなり、「衝突方向θが車幅方向において座席20の所定腰部26側である」衝突状況となる。一方、「衝突方向θが車幅方向において所定肩部23側である」とは、当該座席20の車幅方向の中心を基準として、車幅方向の所定肩部23側から障害物が自車両100に対して衝突してくることを示している。例えば、車両右側に配置された運転座席20A(図1参照)を例に説明すると、自車両100に対して車両右側から障害物が衝突してくる場合、運転座席20Aに着座した乗員30から見て、車幅方向の所定肩部23側から障害物が衝突してくることとなり、「衝突方向θが車幅方向において所定肩部23側である」衝突状況となる。
つまり、アンカー制御用ECU2は、衝突時に乗員30がシートバック22に対して所定腰部26側に相対移動するような衝突方向θでの衝突時には、調整手段3によって拘束部11aを予め所定腰部26側に移動させる。言い換えると、アンカー制御用ECU2は、衝突時の乗員30のシートバック22に対する相対移動の方向と同じ方向に予め拘束部11aを移動させておく。これにより、衝突時に乗員30がシートバック22に対して相対移動したときのショルダベルト11による拘束性能の低下が抑制される。
一方、アンカー制御用ECU2は、衝突時に乗員30がシートバック22に対して所定肩部23側に相対移動するような衝突方向θでの衝突時には、調整手段3によって拘束部11aを所定腰部26側に移動させない。これにより、衝突時に乗員30がシートバック22に対して相対移動したときに乗員30に違和感を与えてしまうことが抑制される。
図5を参照して、第1実施形態の制御について説明する。図5に示す制御フローは、例えば、走行中に所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS10では、予防安全ECU4により、衝突可能性のある物標があるか否かが判定される。予防安全ECU4は、レーダー5、カメラ6、レーザー7、および予知センサ8の少なくとも1つの検出結果に基づいて、自車両100の周辺に、自車両100に衝突する可能性がある障害物等の物標(以下、「衝突物標」と称する。)があるか否かを判定する。ステップS10の判定の結果、衝突物標があると判定された場合(ステップS10−Y)にはステップS20に進み、そうでない場合(ステップS10−N)にはステップS60に進む。
ステップS20では、予防安全ECU4により、衝突物標は、反衝突側であるか否かが判定される。ここで、衝突物標が「反衝突側である」とは、各座席20について、衝突物標が自車両100に対して車幅方向の所定腰部26側から衝突してくること、言い換えると、各座席20について、衝突時に乗員30がシートバック22に対して相対移動することで肩部31がショルダベルト11から抜けやすくなる衝突方向θであることを示す。具体的に、車両右側に配置された運転座席20A(図1参照)について説明すると、衝突物標が車両左側から衝突してくる場合、当該衝突物標は「反衝突側」であり、衝突物標が車両右側や正面から衝突してくる場合、当該衝突物標は「反衝突側」ではない。
予防安全ECU4は、自車両100の各座席20について、ステップS20の判定を行う。予防安全ECU4は、例えば、所定腰部26がシートバック22の車両右側である一群の座席20と、所定腰部26がシートバック22の車両左側である一群の座席20とに分けて、ステップS20の判定を行う。なお、一群の座席20は、1つの座席20のみを構成要素とするものであってもよい。例えば、自車両100が、車両右側に配置された運転座席20Aと、車両左側に配置された搭乗者座席(助手席)20の2つだけを有する車両である場合、所定腰部26がシートバック22の車両左側である一群の座席20には運転座席20Aの1つのみが含まれ、所定腰部26がシートバック22の車両右側である一群の座席20には搭乗者座席20の1つのみが含まれる。
予防安全ECU4は、判定対象の座席20について、衝突方向θが車幅方向において所定腰部26側である場合に当該座席20についてステップS20で肯定判定を行う。一方、予防安全ECU4は、判定対象の座席20について、衝突方向θが車幅方向において所定腰部26側でない場合に当該座席20についてステップS20で否定判定を行う。言い換えると、予防安全ECU4は、衝突方向θが車幅方向において所定肩部23側である場合、および衝突方向θが0である場合など、衝突方向θが車両左側でも車両右側でもない場合にステップS20で否定判定を行う。ステップS20の判定の結果、衝突物標が反衝突側であると判定された場合(ステップS20−Y)にはステップS30に進み、そうでない場合(ステップS20−N)にはステップS60に進む。
ステップS30では、予防安全ECU4により、自車両100と相手車両101のなす角度(衝突方向θの絶対値)が所定角度θ1以上であるか否かが判定される。自車両100と相手車両101とのなす角度は、図3を参照して説明したように、自車両100に対する相手車両101の相対移動の方向Y1と、自車両100の前後方向とのなす角度である。所定角度θ1は、例えば、車両の諸元等に基づいて予め定められている。自車両100の車重や重心位置等によって、相手車両101等の障害物と衝突した場合の反動(自車両100の動き)が異なる。所定角度θ1は、例えば、衝突時の反動によって、乗員30がシートバック22に対して車幅方向に所定距離以上相対移動すると予測される衝突方向θの大きさの下限である。ステップS30の判定の結果、なす角度が所定角度θ1以上であると判定された場合(ステップS30−Y)にはステップS40に進み、そうでない場合(ステップS30−N)にはステップS60に進む。
ステップS40では、予防安全ECU4により、衝突時間TTCが閾値α以下であるか否かが判定される。衝突時間TTCは、相手車両101等の衝突物標と自車両100とが衝突するまでの時間である。衝突時間TTCは、自車両100と相手車両101との相対速度および相対距離に基づいて算出される。閾値αは、例えば、乗員30に与える違和感を抑制する観点から定められる。衝突時間TTCが長く、衝突回避を行う時間が十分にあるにもかかわらずショルダベルトアンカ12を上方に移動させてしまうと、乗員30がショルダベルト11の移動に対して違和感を覚える可能性がある。従って、閾値αの上限は、あまり長すぎない時間、例えば1[sec]から2[sec]の間の時間とすることが好ましい。
一方、自車両100が実際に障害物と衝突するまでに、ショルダベルトアンカ12の移動を完了させるためには、ある程度の時間を要する。閾値αの下限は、シートバック22に対する拘束部11aの目標相対移動量と、ショルダベルトアンカ12の移動速度(例えば、最大移動速度)に基づいて定められる。閾値αは、例えば、障害物との接近を回避するブレーキ操作が開始される平均的なタイミングに基づいて定められる。ステップS40の判定の結果、衝突時間TTCが閾値α以下であると判定された場合(ステップS40−Y)にはステップS50に進み、そうでない場合(ステップS40−N)にはステップS60に進む。
ステップS50では、予防安全ECU4により、ショルダベルトアンカ12が上方に駆動される。予防安全ECU4は、アンカー制御用ECU2に対して、ステップS20で衝突方向θが所定腰部26側であると判定された座席20のショルダベルトアンカ12を上方に駆動する指令を出力する。例えば、図3に示すように衝突方向θが運転座席20A側と反対側の車両左側からの衝突を示す値である場合、予防安全ECU4は、運転座席20Aを含む車両右側に配置された座席20について、ショルダベルトアンカ12を上方に移動させる指令を出力する。
アンカー制御用ECU2は、調整手段3を駆動して、衝突方向θが所定腰部26側であると判定された座席20のショルダベルトアンカ12を上方に移動させる。このときのショルダベルトアンカ12の移動速度は、通常時にショルダベルトアンカ12の位置を調整するときの移動速度よりも高速であることが好ましい。すなわち、乗員30の操作入力に応じてショルダベルトアンカ12を移動させる移動速度に対して、衝突に備えてショルダベルトアンカ12を上方に移動させる移動速度が高速(例えば、最大速度)であることが好ましい。ステップS50が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS60では、予防安全ECU4により、ショルダベルトアンカ12が初期位置に駆動される。衝突方向θが所定肩部23側である座席20については、ショルダベルトアンカ12の位置が初期位置から変更されない。ここで、初期位置は、例えば、ステップS10で衝突物標があると判定される前の位置、すなわち、乗員30の操作入力によって設定された位置である。
また、調整手段3が駆動されて一時的にショルダベルトアンカ12が上方に移動されたものの、ステップS10乃至S40のいずれかで否定判定されるようになった場合には、移動されていたショルダベルトアンカ12が下方に移動されて初期位置に戻される。移動されていたショルダベルトアンカ12を初期位置に戻すことにより、乗員30がショルダベルト11の位置変化に対して違和感を覚えないようにすることができる。ステップS60が実行されると、本制御フローは終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る乗員拘束装置10の調整手段3は、障害物との衝突が予測される(ステップS10−Y)場合、衝突方向θが車幅方向において座席20の所定腰部26側である(ステップS20−Y)場合には、アンカー制御用ECU2の指令に応じて当該座席20のシートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させる(ステップS50)。一方、調整手段3は、衝突方向θが車幅方向において座席20の所定肩部23側である場合(ステップS20−N)には、当該座席20のシートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させない(ステップS60)ように、アンカー制御用ECU2によって指令される。よって、本実施形態に係る乗員拘束装置10は、ショルダベルト11による乗員30に対する拘束性能の低下を抑制することと、乗員30に与える違和感を抑制することとを両立することができる。
また、本実施形態では、衝突方向θが車幅方向において座席20の所定腰部26側である条件(ステップS20−Y)に加えて、衝突方向θの大きさが所定角度θ1以上である条件(ステップS30−Y)が成立する場合に、アンカー制御用ECU2の指令に応じて調整手段3が当該座席20のシートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に相対移動させる。従って、衝突時に乗員30がシートバック22に対して車幅方向に大きく相対移動するような衝突条件である場合には、ショルダベルトアンカ12が上方に移動される。一方、衝突時に乗員30がシートバック22に対して車幅方向に大きく相対移動しないような衝突条件である場合には、ショルダベルトアンカ12が上方に移動されない。よって、本実施形態に係る乗員拘束装置10は、ショルダベルト11による乗員30に対する拘束性能の低下を抑制することと、乗員30に与える違和感を抑制することとを両立することができる。
なお、図6に示すように、相手車両101等の障害物が車両右側から衝突してくる場合には、車両左側に配置された座席20など、所定腰部26が車両右側である座席20について、ショルダベルトアンカ12を上方に移動させるようにすればよい。
本実施形態では、所定角度θ1が車両に応じた一定値である場合について説明したが、所定角度θ1は、走行状態等に応じて可変であってもよい。例えば、所定角度θ1は、自車両100と障害物との相対速度に応じて変化してもよい。相対速度が大きい場合の所定角度θ1は、相対角度が小さい場合の所定角度θ1よりも小さな角度であることが好ましい。相対速度が大きい場合には、衝突方向θが同じであっても乗員30が自車両100に対して相対移動する速度および量が大きくなる可能性が高い。従って、相対速度が大きい場合に相対速度が小さい場合よりも所定角度θ1を小さくするようにすれば、衝突方向θの大きさが小さくても相対速度が大きいために乗員30の相対移動速度および量が大きくなる場合に、ショルダベルトアンカ12を上方に移動させて拘束性能の低下を抑制することができる。
本実施形態では、衝突方向θが、角度の大きさを含むものであったが、これには限定されない。衝突方向θは、例えば、障害物が自車両100に対して左右方向のいずれから衝突するかを示すものであってもよい。すなわち、衝突方向θは、車両左側からの障害物の衝突(一例として、+1)か、車両右側からの障害物の衝突(一例として、−1)であるか、車両前後方向からの障害物の衝突(一例として、0)であるかのいずれかの値を取るものであってもよい。
[第2実施形態]
図7から図10を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図7は、第2実施形態に係る乗員拘束装置の概略構成図、図8は、第2実施形態に係る乗員拘束装置のブロック図、図9は、第2実施形態に係る乗員拘束装置において拘束部を移動させた後の状態を示す図、図10は、第2実施形態に係る乗員拘束装置の動作を示すフローチャートである。第2実施形態の乗員拘束装置40において、上記第1実施形態の乗員拘束装置10と異なる点は、調整手段41が座席20を下方に移動させることにより、シートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させる点である。
図7に示すように、乗員拘束装置40は、上記第1実施形態の調整手段3に代えて、調整手段41を有する。第2実施形態の座席20は、パワーシートであり、シートクッション21を上下方向に移動させる機能を有する。調整手段41は、シートクッション21を上下方向に移動させるアクチュエータである。調整手段41は、例えばモータの駆動力によってシートクッション21を上下方向に移動させる。シートクッション21が上下方向に移動すると、シートクッション21に連結されたシートバック22がシートクッション21と共に移動する。これにより、座席20の全体が上下方向に移動する。
図8に示すように、乗員拘束装置40は、上記第1実施形態のアンカー制御用ECU2に代えてパワーシート制御用ECU42を有する。パワーシート制御用ECU42は、パワーシートアクチュエータとしての調整手段41を制御する。
予防安全ECU4は、ショルダベルト11の拘束部11aを所定腰部26側に移動させる場合、座席20を下方に移動させる。座席20が下方に移動すると、図9に示すように、座面21aの位置が、高さ位置H1から高さ位置H2に下がる。これにより、乗員30が、ショルダベルトアンカ12に対して、相対的に下方に移動する。すると、シートバック22に対して拘束部11aが所定腰部26側に移動する。この拘束部11aの移動により、ショルダベルト11が乗員30の肩部31を拘束する拘束位置36が、図9に矢印Y4で示すように、所定腰部26側に移動することが期待される。なお、本実施形態では、バックル13は、シートクッション21と接続されており、シートクッション21と共に上下動する。ただし、シートクッション21が上下動してもバックル13が上下動しないように、バックル13が車室内の床面等に接続されていてもよい。
図10を参照して、第2実施形態の動作について説明する。図10に示す制御フローは、例えば、走行中に所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS110からステップS140は、上記第1実施形態(図5)のステップS10からステップS40と同様とすることができる。すなわち、予防安全ECU4は、衝突する可能性のある物標があると判定(ステップS110−Y)し、衝突物標が反衝突側であると判定(ステップS120−Y)し、自車両100と相手車両101のなす角度が所定角度θ2以上であると判定(ステップS130−Y)し、衝突時間TTCが閾値β以下であると判定(ステップS140−Y)すると、ステップS150に進む。また、ステップS110乃至S140の何れかにおいて否定判定がなされると、ステップS160に進む。なお、本実施形態の所定角度θ2は、上記第1実施形態の所定角度θ1と異なる値であってもよい。また、閾値βは、上記第1実施形態の閾値αと異なる値であってもよい。例えば、閾値βは、座席20の下降速度に応じて適宜設定されてもよい。
ステップS150では、予防安全ECU4により、パワーシートクッション部が下方に駆動される。予防安全ECU4は、パワーシート制御用ECU42に対して、ステップS120で衝突方向θが所定腰部26側であると判定された座席20を下方に駆動する指令を出力する。パワーシート制御用ECU42は、調整手段41を駆動して、衝突方向θが所定腰部26側であると判定された座席20を下方に移動させる。
このときの座席20の移動速度は、通常時に座席20を調整するときの移動速度よりも高速であることが好ましい。すなわち、乗員30の操作入力に応じて座席20を移動させる移動速度に対して、衝突に備えて座席20を下方に移動させる移動速度が高速(例えば、最大速度)であることが好ましい。ステップS150が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS160では、予防安全ECU4により、パワーシートクッション部が初期位置へ駆動される。衝突方向θが所定肩部23側である座席20については、座席20の高さ位置が初期位置から変更されない。ここで、初期位置は、例えば、ステップS110で衝突物標があると判定される前の座席20の高さ位置、すなわち、乗員30の操作入力によって設定された位置である。
また、調整手段41が駆動されて座席20が一時的に下方に移動されたものの、ステップS110乃至S140のいずれかで否定判定がなされるようになった場合には、移動されていた座席20が上方に移動されて初期位置に戻される。移動されていた座席20の位置を初期位置に戻すことにより、乗員30が座席20の位置変化に対して違和感を覚えないようにすることができる。ステップS160が実行されると、本制御フローは終了する。
[第3実施形態]
図11から図13を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記第1乃至第2実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図11は、第3実施形態に係る乗員拘束装置の概略構成図、図12は、第3実施形態に係る乗員拘束装置のブロック図、図13は、第3実施形態に係る乗員拘束装置の動作を示すフローチャートである。第3実施形態の乗員拘束装置50は、上記第1実施形態の調整手段3と上記第2実施形態の調整手段41の両方を備える。
図11に示すように、乗員拘束装置50は、調整手段3と調整手段41とを備える。調整手段3は、ショルダベルトアンカ12を上下方向に移動させることによりシートバック22に対する拘束部11aの車幅方向の相対位置を調整する。調整手段41は、座席20を上下方向に移動させることによりシートバック22に対する拘束部11aの車幅方向の相対位置を調整する。
図12に示す統合制御用ECU52は、上記第1実施形態のアンカー制御用ECU2の機能および上記第2実施形態のパワーシート制御用ECU42の機能を有する。予測手段1は、衝突予測時に、統合制御用ECU52に対して調整手段3,41を駆動するよう指令する。統合制御用ECU52は、予測手段1の指令に基づき調整手段3および調整手段41に対して動作指令を出力する。
図13を参照して、第3実施形態の動作について説明する。図13に示す制御フローは、例えば、走行中に所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS210からステップS240は、上記第1実施形態(図5)のステップS10からステップS40と同様とすることができる。すなわち、予防安全ECU4は、衝突する可能性のある物標があると判定(ステップS210−Y)し、衝突物標が反衝突側であると判定(ステップS220−Y)し、自車両100と相手車両101のなす角度が所定角度θ3以上であると判定(ステップS230−Y)し、衝突時間TTCが閾値γ以下であると判定(ステップS240−Y)すると、ステップS250に進む。また、ステップS210乃至S240の何れかにおいて否定判定がなされると、ステップS270に進む。
ステップS250では、予防安全ECU4により、ショルダベルトアンカ12が上方に駆動される。予防安全ECU4は、統合制御用ECU52に対して、ステップS220で衝突方向θが所定腰部26側であると判定された座席20のショルダベルトアンカ12を上方に駆動する指令を出力する。統合制御用ECU52は、調整手段3を駆動して、衝突方向θが所定腰部26側であると判定された座席20のショルダベルトアンカ12を上方に移動させる。ステップS250が実行されると、ステップS260に進む。
ステップS260では、予防安全ECU4により、パワーシートクッション部が下方に駆動される。予防安全ECU4は、統合制御用ECU52に対して、ステップS220で衝突方向θが所定腰部26側であると判定された座席20を下方に駆動する指令を出力する。統合制御用ECU52は、調整手段41を駆動して、衝突方向θが所定腰部26側であると判定された座席20を下方に移動させる。ステップS260が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS270では、予防安全ECU4により、ショルダベルトアンカ12が初期位置に駆動される。衝突方向θが所定肩部23側である座席20については、ショルダベルトアンカ12の位置が初期位置から変更されない。また、調整手段3が駆動されて一時的にショルダベルトアンカ12が上方に移動されたものの、ステップS210乃至S240のいずれかで否定判定されるようになった場合には、移動されていたショルダベルトアンカ12が下方に移動されて初期位置に戻される。ステップS270が実行されると、ステップS280に進む。
ステップS280では、予防安全ECU4により、パワーシートクッション部が初期位置へ駆動される。衝突方向θが所定肩部23側である座席20については、座席20の高さ位置が初期位置から変更されない。また、調整手段41が駆動されて座席20が一時的に下方に移動されたものの、ステップS210乃至S240のいずれかで否定判定がなされるようになった場合には、移動されていた座席20が上方に移動されて初期位置に戻される。ステップS280が実行されると、本制御フローは終了する。
本実施形態に係る乗員拘束装置50は、ショルダベルトアンカ12を上下動させる調整手段3と座席20を上下動させる調整手段41とを協調制御させることで、拘束部11aをシートバック22に対して応答性よく相対移動させることができる。
所定角度θ3は、上記各実施形態の所定角度θ1,θ2と異なる角度であってもよい。また、閾値γは、上記各実施形態の閾値α,βと異なる値であってもよい。閾値γは、例えば、ショルダベルトアンカ12の上方への移動速度と、座席20の下方への移動速度とに基づいて定められる。
[第4実施形態]
図14を参照して、第4実施形態について説明する。第4実施形態については、上記第1乃至第3実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図14は、第4実施形態に係る乗員拘束装置の概略構成図である。第4実施形態の乗員拘束装置60において、上記第1実施形態の乗員拘束装置10と異なる点は、ショルダベルトアンカ61が車幅方向(シートバック22の左右方向)に移動する点である。
図14に示すように、乗員拘束装置60は、上記第1実施形態のショルダベルトアンカ12に代えて、ショルダベルトアンカ61を有する。また、乗員拘束装置60は、上記第1実施形態の調整手段3に代えて、調整手段62を有する。
ショルダベルトアンカ61は、シートバック22に対して、シートバック22の左右方向に相対移動可能である。ショルダベルトアンカ61は、例えば、シートバック22に配置され、左右方向に延在するレールによって支持されている。調整手段62は、ショルダベルトアンカ61をシートバック22に対して左右方向に相対移動させる。調整手段62は、例えば、モータの駆動力によってショルダベルトアンカ61を移動させる。調整手段62は、例えば、上記第1実施形態のアンカー制御用ECU2によって制御される。
調整手段62がショルダベルトアンカ61をシートバック22に対して所定腰部26側に相対移動させると、拘束部11aがシートバック22に対して所定腰部26側に相対移動する。これにより、ショルダベルト11が乗員30の肩部31を拘束する拘束位置36が、乗員30の首部35側に移動することが期待できる。調整手段62は、各座席20について、衝突方向θが車幅方向において所定腰部26側である場合、アンカー制御用ECU2の指令に応じて、その座席20のシートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させる一方、衝突方向θが所定肩部23側である場合には、当該座席20のシートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させない。
また、調整手段62は、衝突方向θが車幅方向において座席20の所定腰部26側である条件に加えて、衝突方向θの大きさが所定角度θ4以上である条件が成立する場合に、アンカー制御用ECU2の指令によって当該座席20のシートバック22に対して拘束部11aを所定腰部26側に移動させることが好ましい。
上記の各実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。例えば、上記第4実施形態のショルダベルトアンカ61および調整手段62は、上記第2実施形態の調整手段41と組み合わせられてもよい。
1 予測手段(衝突予測手段、衝突方向予測手段)
2 アンカー制御用ECU
3,41,62 調整手段
4 予防安全ECU
5 レーダー
6 カメラ
7 レーザー
8 予知センサ
10,40,50,60 乗員拘束装置
11 ショルダベルト
11a 拘束部
12,61 ショルダベルトアンカ
20 座席
21 シートクッション
22 シートバック
23 所定肩部
26 所定腰部
30 乗員
31、32 肩部
33,34 腰部
35 首部
36 拘束位置
42 パワーシート制御用ECU

Claims (4)

  1. 自車両が今後車外の障害物と衝突することを予測する衝突予測手段と、
    前記自車両を基準として、前記自車両の車幅方向において前記自車両と前記障害物とが衝突する方向である衝突方向を予測する衝突方向予測手段と、
    前記自車両の座席のシートバックにおける左右の肩部のうちの一方である所定肩部から、前記所定肩部と左右方向において逆側に位置する前記シートバックの腰部である所定腰部にわたって、乗員の拘束を行うショルダベルトと、
    前記ショルダベルトのうち前記所定肩部に対応する部分である拘束部の前記シートバックに対する相対位置を調整する調整手段と、を備え、
    前記調整手段は、前記障害物との衝突が予測される場合、前記衝突方向が前記車幅方向において前記座席の前記所定腰部側である場合には、当該座席の前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させる一方、前記衝突方向が前記車幅方向において前記座席の前記所定肩部側である場合には、当該座席の前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させない
    ことを特徴とする乗員拘束装置。
  2. 前記調整手段は、前記所定肩部側に設けられ前記ショルダベルトを保持するショルダベルトアンカを上方に移動させることにより、前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させる
    請求項1に記載の乗員拘束装置。
  3. 前記調整手段は、前記座席を下方に移動させることにより、前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させる
    請求項1または2に記載の乗員拘束装置。
  4. 前記調整手段は、前記衝突方向が前記車幅方向において前記座席の前記所定腰部側である条件に加えて、前記自車両に対する前記障害物の相対移動の方向と、前記自車両の前後方向とのなす角度の大きさが所定角度以上である条件が成立する場合に、当該座席の前記シートバックに対して前記拘束部を前記所定腰部側に移動させる
    請求項1から3のいずれか1項に記載の乗員拘束装置。
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