JP2015054460A - 複合成形部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】実用上十分な生産性を確保しながら、繰り返し温度変化が生じる環境下においても、優れた耐久性と摺動性とを有する金属−樹脂複合成形部品の提供。
【解決手段】結晶性樹脂組成物を含む部材(I)と、前記結晶性樹脂組成物とは常温下での線膨張係数が30×10-6(1/℃)以上異なる材料(M)を含む部材(II)とを具備し、前記部材(I)と前記部材(II)とが、複合成形により接合されており、前記部材(I)が摺動部を有している複合成形部品であり、結晶性樹脂組成物が、結晶性樹脂(A)と、PVT特性で50℃の比容積(V50)と、90℃の比容積(V90)との差ΔVが、ΔV>0.05cm3/gである化合物(B)とを含む、複合成形部品。前記結晶性樹脂組成物が、メルトフローレートが1.5〜20g/10分である、ポリオキシメチレン樹脂を含むもので前記結晶性樹脂組成物(A)100質量部に対し、0.3〜3.0質量部含む。
【選択図】図7

Description

本発明は、複合成形部品に関する。
樹脂は、金属と比較して低比重であり、錆にくく、加工性に優れる等の利点を有している。
これに対して、金属類(金属やカーボンファイバー等を含有する樹脂を含む)は、幅広い温度範囲で安定した機械的強度・剛性を示し、かつ通電性や電磁波シールド性に優れる等の利点を有している。
上述したような、樹脂と金属類の双方の利点を生かすべく、金属類と樹脂とを一体化した成形体を得る技術として、複合成形(金属類の部品を挿入した射出成形金型に熱可塑性樹脂を射出するインサート成形、アウトサート成形、多色成形)により、樹脂と金属との複合成形体である摺動部品を製造する技術が知られている。
近年、射出成形技術やロボット技術による生産性の改善により、電気機器や電気機器部品、自動車部品及びその他の工業部品を中心に広範囲の用途に、上述したような複合成形によって製造された複合成形体よりなる摺動部品が用いられている。
例えば、剛性と耐熱性を有する金属と、消毒液との耐腐食性を有する合成樹脂とからなる消毒用鋏(例えば、特許文献1参照。)、機械的強度や電磁シールド作用を有する金属と、内外装の加工性に優れた合成樹脂とからなる携帯電話等の電子機器筐体(例えば、特許文献2参照。)、及び剛直な金属キャリアパネルと機能部品を締結するためのプラスチックとからなるドアモジュール(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。
上述したような金属と樹脂との複合成形によって製造された各種部品は、温度変化を受ける環境にさらされた場合を前提として、主として金属類については、線膨張係数の変化(温度が1℃上昇することによる物体の長さや体積が膨張する割合)を考慮することが必要である。
樹脂と金属類とでは、線膨張の変化が大きく異なる。例えば、鉄の線膨張係数が10×10-6〜15×10-6/Kであるのに対して、結晶性樹脂の代表であるポリオキシメチレン樹脂の線膨張係数は80×10-6〜160×10-6/Kである。
また、樹脂は、射出成形されるときに歪が内包され、成形後の温度変化によりこの歪が緩和されることにより、成形体の寸法が変化する場合がある。
さらに結晶性樹脂においては、温度が高くなると、後結晶化による収縮により寸法が変化する場合がある。
上述したような温度変化に伴う樹脂と金属類との性状の違いは、複合成形により得られた部品(本明細書中、複合成形部品と記載する。)の中で、それぞれの寸法変化の違いとなり、部品の外観の悪化を生じたり、接合部に変形を生じたりするおそれがある。
さらには複合成形部品の機械的特性に低下を生じ、耐久性を著しく低下させるおそれがある。
このため、複合成形部品、特に摺動部品における樹脂と金属類との一体化技術について、従来種々の技術の検討がなされている。例えば、複合成形する金属類の表面にアンカー処理をして複合成形部品を得る方法、樹脂と金属類との界面に特定のプライマー処理を施し複合成形部品を得る方法、特定の樹脂組成物を用いて複合成形部品を得る方法等が挙げられる。
特開2001−314489号公報 特開2001−298277号公報 特開2000−43569号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されている複合成形部品では、繰り返し温度変化が生じる環境下で使用すると、白化により表面性に変化が生じたりして十分な耐久性が得られないという問題を有している。また、クラックにより平滑性が低下し、十分な摺動性が確保できないという問題も有している。また、各種表面処理によって生産性も低いという問題も有している。
そこで、本発明においては、実用上十分な生産性を確保しながら、繰り返し温度変化が生じる環境下においても、優れた耐久性と摺動性とを有する複合成形部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の問題について鋭意研究を重ねた結果、結晶性樹脂(A)と、特定の比容積挙動を示す化合物(B)とを含む結晶性樹脂組成物により形成された部材(I)と、前記結晶性樹脂組成物とは線膨張係数において所定の数値以上異なる材料(M)を含む部材(II)により成る複合成形部品が、繰り返し温度変化が生じる環境下においても優れた耐久性と摺動性とを有し、上記従来技術の問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
結晶性樹脂組成物を含む部材(I)と、
前記結晶性樹脂組成物とは常温下での線膨張係数が30×10-6(1/℃)以上異なる材料(M)を含む部材(II)と、
を、具備し、
前記部材(I)と前記部材(II)とが、複合成形により接合されており、前記部材(I)が摺動部を有している複合成形部品であって、
前記結晶性樹脂組成物が、結晶性樹脂(A)と、PVT特性で50℃の比容積(V50)と、90℃の比容積(V90)との差ΔVが、ΔV>0.05cm3/gである化合物(B)とを含む、複合成形部品。
〔2〕
前記結晶性樹脂組成物が、ポリオキシメチレン樹脂(a)を含む、前記〔1〕に記載の複合成形部品。
〔3〕
前記ポリオキシメチレン樹脂(a)のメルトフローレートが1.5〜20g/10分である、前記〔2〕に記載の複合成形部品。
〔4〕
前記結晶性樹脂組成物が、
前記結晶性樹脂(A)100質量部に対し、前記化合物(B)を0.3〜3.0質量部含む、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の複合成形部品。
〔5〕
前記結晶性樹脂組成物が、PVT特性で、50℃の比容積(V50)と、90℃の比容積(V90)との差ΔVが、ΔV>0.09cm3/gである化合物(B)を含む、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の複合成形部品。
〔6〕
前記結晶性樹脂組成物が、融点が300℃より高い結晶核剤を含む、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の複合成形部品。
〔7〕
前記部材(I)が有する前記摺動部が、前記部材(I)とは異なる材質の摺動相手材と摺動するようになされている、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の複合成形部品。
〔8〕
前記摺動相手材の材質が、ポリアミド系樹脂又はポリエステル系樹脂である、前記〔7〕に記載の複合成形部品。
〔9〕
前記摺動相手材が、繊維加工品である、前記〔7〕又は〔8〕に記載の複合成形部品。
本発明によれば、実用上十分な生産性を確保しつつ、繰り返し温度変化が生じる環境下においても優れた耐久性と摺動性とを有する複合成形部品が得られる。
本実施形態の複合成形部品の具体的な一形態を示す。 本実施形態の複合成形部品の他の一形態を示す。 本実施形態の複合成形部品の他の一形態を示す。 本実施形態の複合成形部品の他の一形態を示す。 本実施形態の複合成形部品の他の一形態を示す。 (a)部材(II)の一例の正面図を示す。(b)部材(II)の一例の側面図を示す。(c)部材(II)の一例の下部側面図を示す。 (a)複合成形部品の一例の正面図を示す。(b)複合生計部品の一例の側面図を示す。(c)線分A−A´における複合成形部品の断面図を示す。(d)複合成形部品の上部断面図を示す。(e)線分B−B´における複合成形部品の断面図を示す。 実施例における強度の評価に用いた複合成形部品の概略図を示す。 実施例における摺動性の評価の状態図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」を言う。)について、図を参照して詳細に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
各図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、各図面に示す位置関係に基づくものとし、さらに図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
〔複合成形部品〕
本実施形態の複合成形部品は、
結晶性樹脂組成物を含む部材(I)と、
前記結晶性樹脂組成物とは常温下での線膨張係数が30×10-6(1/℃)以上異なる材料(M)を含む部材(II)とを具備し、
前記部材(I)と前記部材(II)とが複合成形により接合されており、前記部材(I)が摺動部を有している。
前記結晶性樹脂組成物は、結晶性樹脂(A)と、PVT特性で、50℃の比容積(V50)と、90℃の比容積(V90)との差ΔVが、ΔV>0.05cm3/gである化合物(B)を含む。
〈複合成形部品の部材(I)〉
本実施形態の複合成形部品を構成する部材(I)は、後述する結晶性樹脂組成物を含む。
<結晶性樹脂組成物>
本実施形態の複合成形部品の部材(I)は、結晶性樹脂組成物を含み、当該結晶性樹脂組成物は、結晶性樹脂(A)と、特定のPVT特性を有する化合物(B)と、必要に応じてその他の添加剤(C)とを含む。
(結晶性樹脂(A))
前記結晶性樹脂組成物は、主成分として、下記の結晶性樹脂(A)を含む。
結晶性樹脂(A)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン(PE、PP)、ポリオキシメチレン(ホモポリマー、コポリマー)、ポリエステル(PBT、PET)、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリエステルが好ましく、ポリオキシメチレンがより好ましい。
以下、特に結晶性が高く、結晶性樹脂(A)として好適なポリオキシメチレン(a)について説明する。
前記ポリオキシメチレン(a)としては、オキシメチレン基のみを主鎖に有したポリオキシメチレンホモポリマー(a−1)、又は、好ましくは分子中に炭素数2以上のオキシアルキレンユニットを有する、ポリオキシメチレンコポリマー(a−2)が挙げられる。
特に、本実施形態においては、ポリオキシメチレン(a)が、オキシメチレンユニット100molに対して、0〜2.0molのコモノマーユニットを含有していることが好ましい。より好ましくは0〜1.5mol、さらに好ましくは0〜1.3molである。
オキシメチレンユニット以外のコモノマーユニットの含有量が前記範囲内であることにより、本実施形態の複合成形部品は、実用上十分な生産性を確保しながら、優れた耐久性及び摺動性が得られる傾向にある。
ポリオキシメチレン(a)は、安定剤(s)を含むことが好ましい。安定剤(s)については、後述する。
前記コモノマーユニットの定量については、1H−NMR法を用いて、以下の手順で求めることができる。
すなわち、ポリオキシメチレン(a)を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)により濃度1.5質量%となるように24時間かけて溶解させ、この溶解液を用いて1H−NMR解析を行い、オキシメチレンユニットと、オキシメチレンユニット以外のコモノマーユニット(例えば、オキシアルキレンユニット)と、の帰属ピ−クの積分値の比率から、オキシメチレンユニット100mol(x)に対するコモノマーユニット(y)のmol割合(y/x)を求めることができる。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン(a)は、メルトフローレート(MFR)(ASTM1238、温度190℃)が、1〜25g/10分であることが好ましく、1.5〜20g/10分であることがより好ましく、2〜15g/10分であることがさらに好ましい。
ポリオキシメチレン(a)のMFRを上記範囲内とすることにより、本実施形態の複合成形部品において、実用上十分な生産性を確保しながら、優れた耐久性及び摺動性が得られる傾向にある。
前記ポリオキシメチレンホモポリマー(a−1)の得る方法としては、公知の重合法が適用できる。例えば、特公昭47−6420号公報又は特公昭47−10059号公報に記載の方法等を用いることにより、末端が安定化されていない粗ポリオキシメチレンが得られ、この粗ポリオキシメチレンの末端を安定化させることにより、ポリオキシメチレンホモポリマー(a−1)が得られる。末端安定化の方法としては、公知の方法が適用でき、例えば、特公昭63−452号公報に記載又は米国特許第3,459,709号明細書、米国特許第3,172,736号明細書に記載の方法等を用いて実施することができる。
前記ポリオキシメチレンコポリマー(a−2)を得る方法としては、公知の重合法、が適用できる。例えば、米国特許第3027352号明細書又は米国特許第3803094号明細書、独国特許発明第1161421号明細書、独国特許発明第1495228号明細書、独国特許発明第1720358、独国特許発明第3018898号明細書、特開昭58−98322号公報、及び特開平7−70267号公報に記載の方法等を用いることにより、ポリオキシメチレンコポリマー(a−2)の末端が安定化されていない状態の粗ポリマーが得られる。末端安定化の方法としては、公知の方法が適用でき、例えば、国際公開第98/42781号公報、特開2000−063463号公報、特開2000−063464号公報、特開2007−112959号公報、特開2006−299107号公報、特開2006−282836号公報、特開2006−257166号公報に記載された方法等を用いて実施することができる。
結晶性樹脂(A)は、安定剤(s)を含んでいることが好ましい。
安定剤(s)を含むことにより、本実施形態の複合成形部品は、生産性が向上し、優れた耐久性及び摺動性が得られる傾向にある。
安定剤(s)の含有量は、結晶性樹脂(A)としてポリオキシメチレン(a)を用いた場合、当該ポリオキシメチレン100質量部に対し、0.0005質量部以上5質量部未満が好ましく、0.001質量部以上2質量部未満がより好ましく、0.002質量部以上1質量部未満がさらに好ましい。
前記安定剤(s)としては、結晶性樹脂組成物やこれを用いた複合成形部品を生産する上で、残留するホルムアルデヒドやこれが変性して生じる蟻酸等の、複合成形部品の生産性や耐久性に悪影響を与える生成物を捕捉又はその影響を抑制する機能を有するものが好ましい。
このような安定剤(s)としては、例えば、反応性窒素含有化合物、無機酸の金属塩、金属酸化物及び有機酸の金属塩等が挙げられる。これらのなかでも、安定剤が不純物として酸を極力含まない、及び/又は安定剤が酸を発生し難い化合物が好ましく、このような安定剤を前安定剤中の50質量%以上含むことが好ましい。不純物として酸を極力含まない、及び/又は酸を発生し難い安定剤としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、反応性窒素含有化合物が挙げられ、例えば、ポリアミド系樹脂、アクリルアミド系重合体、アミノトリアジン系化合物等が挙げられる。
安定剤は1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(化合物(B))
前記結晶性樹脂組成物は、上述した結晶性樹脂(A)とともに化合物(B)を含む。
化合物(B)は、PVD特性、具体的には、50℃の比容積(V50)と90℃の比容積(V90)との差ΔV((V90)−(V50))が0.05cm3/g以上である。好ましくはΔVが0.09cm3/g以上であり、より好ましくは0.11cm3/g以上である。
前記範囲の比容積の差ΔVを有する化合物(B)を用いることにより、より一層耐久性に優れる複合成形部品を得ることができる。
上述した結晶性樹脂(A)は、成形後に得られる成形体を長時間放置したり、高温雰囲気下に曝したりすると、後収縮、すなわち二次収縮を生じる。しかし、前記範囲の比容積の差ΔVを有する化合物(B)を添加した結晶性樹脂組成物においては、前記収縮や二次収縮が効果的に抑制される。この効果は物質の分子サイズや結晶性樹脂(A)との相溶性などにより異なるが、一般的には、前記比容積の差ΔVが大きい化合物(B)が、本実施形態の複合成形部品の耐久性の向上には効果的である。
なお、化合物(B)の比容積値は、下記の記載方法により測定することができる。
測定装置としては、東洋精機製作所製「PVT TEST SYSTEM」を用いることができる。
具体的には、化合物(B)を110℃まで昇温したシリンダーに投入し、溶融、脱泡させ、10MPaの圧力をかけ、温度、圧力が安定したらシリンダー内の試料体積を測定することとし、90℃から50℃まで降温させながら5℃毎に体積を測定する。
ここで、50℃と90℃の比容積(cm3/g)の差((V90)−(V50))を算出することによりΔVが得られる。
化合物(B)としては、融点が35〜100℃である化合物が好ましく、以下に限定されるものではないが、例えば、融点が35〜100℃の範囲にある脂肪酸エステル化合物、脂肪酸アミド化合物、低分子量ポリエチレン等が好適な例として挙げられる。
具体的には、ミリスチン酸セチル(融点49℃)、ラウリン酸アミド(融点87℃)、低分子量ポリエチレン(融点98℃)、ポリエチレングリコール(融点55℃)が挙げられる。
より好ましくは、融点が40℃〜95℃の範囲にある脂肪酸エステル化合物、脂肪酸アミド化合物、低分子量ポリエチレン等、さらに好ましくは、融点が45℃〜90℃の範囲にある脂肪酸エステル化合物、脂肪酸アミド化合物が挙げられる。
融点が前記範囲にある化合物(B)を用いることにより、本実施形態の複合成形部品において優れた耐久性が得られる。
なお、化合物(B)の融点は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
化合物(B)は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また化合物(B)は、本実施形態の複合成形部品を構成する結晶性樹脂組成物から採取し、上記ΔVを測定することができる。
例えば、結晶性樹脂(A)がポリオキシメチレンの場合、下記の方法により得ることができる。
結晶性樹脂組成物をHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)に溶解し、不溶分を濾過し、固形分を回収し、これにより得られた物質の比容積を測定する。
一方、不溶分を回収した濾液については、濾液中のポリオキシメチレンを再沈殿させ、さらにこれを濾過し、残った濾液を風乾することで得られた物質の比容積を測定する。
本実施形態に用いる結晶性樹脂組成物において、化合物(B)の含有量は、生産性及び耐久性の観点から、結晶性樹脂(A)100質量部に対して0.1〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.3〜3.0質量部、さらに好ましくは0.4〜2.5質量部である。
(その他の添加剤(C))
本実施形態において用いる結晶性樹脂組成物は、上述した結晶性樹脂(A)、化合物(B)に加え、必要に応じてその他の添加剤(C)を含有してもよい。
その他の添加剤(C)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、耐候(光)剤、潤滑剤、無機・有機の充填剤・結晶核剤、離型剤・帯電防止剤、顔料・染料といった外観改良剤、導電剤、難燃剤等が挙げられる。
結晶性樹脂組成物中の添加剤(C)の含有量は、結晶性樹脂(A)100質量部に対し、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
添加剤(C)の含有量を上記範囲にすることにより、結晶性樹脂組成物を用いて製造された部材(I)を含む本実施形態の複合成形部品は、実用上十分な生産性を確保しながら、優れた耐久性及び摺動性が得られる傾向にある。
添加剤(C)としては、無機・有機の充填剤、結晶核剤が好ましく、特に、融点・分解点が300℃以上の結晶核材がさらに好ましい。
添加剤(C)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<結晶性樹脂組成物の製造方法>
結晶性樹脂組成物は、上述のように、結晶性樹脂(A)と化合物(B)とを含有し、さらに必要に応じて上記その他の添加剤(C)を含有する。
以下においては、結晶性樹脂(A)、化合物(B)及びその他の添加剤(C)を全て含有する結晶性樹脂組成物の製造方法を示す。
上記の結晶性樹脂(A)、化合物(B)、及びその他の添加剤(C)の混合は、結晶性樹脂(A)の造粒時に、(B)成分、及び(C)成分を添加し、溶融混練することにより行ってもよい。
また、(A)成分の造粒後に、ヘンシェルミキサー、タンブラーやV字型ブレンダーを用いて(A)成分〜(C)成分を混合した後、ニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機や多軸押出機を用いて溶融混錬することにより、結晶性樹脂組成物を得ることもできる。
また、結晶性樹脂(A)に対する(B)成分及び(C)成分の分散性を高めるために、混合する結晶性樹脂(A)のペレットの一部又は全量を粉砕して予め混合した後、溶融混合してもよい。この場合、展着剤を用いてさらに分散性を高めてもよい。このような展着剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素、これらの変性物及びこれらの混合物、並びにポリオールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
前記溶融混練の温度は、結晶性樹脂(A)の融点の30〜50℃高い温度であることが好ましい。さらに、品質や作業環境を保持する観点から、不活性ガスによる置換や、一段又は多段ベントで脱気することが好ましい。
さらに、本実施形態に用いる結晶性樹脂組成物は、本実施形態の複合成形部品からも得られる。例えば、複合成形部品における、部材(I)のみを取り出し、これを粉砕し、得られたフレークをペレットの代わりに使用してもかまわない。また粉砕したフレークの一部を上記より得られたペレットに混合してもよい。
本実施形態の複合成形部品は、上述したように、結晶性樹脂組成物を含む部材(I)と、当該結晶性樹脂組成物とは線膨張係数が30×10-6(1/℃)以上異なる材料(M)を含む部材(II)とを具備している。
結晶性樹脂組成物の常温下での線膨張係数は、既存の方法により測定することができる。例えば、TMA法、すなわち、物質の温度を常温:20℃〜30℃に変化させながら、非振動的な荷重を加えてその物質の変形を温度の関数として測定する方法が挙げられる。
〈複合成形部品の部材(II)〉
本実施形態の複合成形部品を形成する部材(II)は、材料(M)を含む。
<材料(M)>
材料(M)は、部材(I)を構成する結晶性樹脂組成物と常温下での線膨張係数が30×10-6(1/℃)以上異なる材料であり、40×10-6(1/℃)以上離れた材料がより好ましく、50×10-6(1/℃)以上離れた材料がより好ましい。このような材料(M)を含むことにより、本発明の効果をより発現することができる。
ここで「常温」とは、20℃〜30℃を言う。
例えば、結晶性樹脂組成物の常温下での線膨張係数が100×10-6(1/℃)の場合、部材(II)を構成する、常温下での線膨張係数が30×10-6(1/℃)以上異なる材料(M)は、線膨張係数が70×10-6(1/℃)以下又は130×10-6(1/℃)以上の材料となる。
さらに具体的には、結晶性樹脂組成物がポリオキシメチレン樹脂組成物であり、常温下での線膨張係数が110×10―6(1/℃)である場合、常温下での線膨張係数が140×10-6(1/℃)以上になる材料(M)としては、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリブチレン、熱可塑性エラストマー(オレフィン系、エステル系、アミド系など)などが挙げられる。
また、常温下での線膨張係数が80×10-6(1/℃)以下になる材料(M)としては、熱硬化性樹脂(エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系等)、各種エンプラ樹脂、フィラー強化系樹脂(スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂等)、金属類(鉄系、ステンレス合金、銅、アルミ等)、ガラス・セラミック・鉱物類等が挙げられる。
特に、フィラー系樹脂、金属類、ガラス・セラミック・鉱物類等が好ましい。
本実施形態の複合成形部品においては、部材(I)を構成する結晶性樹脂組成物と常温下での線膨張係数が大きく離れた材料により構成される部材(II)を選択されることによりで、大きな効果が得られる傾向にある。
〈複合成形部品の部材(II)の製造方法〉
部材(II)は、従来公知の成形方法によって製造できるが、バリ等が少なく、滑らかな表面性を有するように製造することが好ましい。
部材(II)の製造方法としては、材料(M)が上記樹脂類の場合、多様な公知の成形方法が挙げられる。
当該成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、多色成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法が挙げられる。
また、部材(II)として成形せず、部材(II)の材料をペレットやフレークとした状態で、上述した結晶性樹脂組成物との多色成形により、一つの装置を用い、一回の工程によって本実施形態の複合成形部品まで製造してもよい。
このような多色成形を行う際の成形条件としては、通常、相手材である部材(II)を形成する樹脂が成形される推奨条件を用いる。例えば、部材(II)の材料(M)が熱可塑性樹脂の場合、樹脂温度が融点または軟化点より10℃以上、分解温度より10℃以下の範囲で行う。部材(II)の材料(M)が熱硬化性樹脂の場合、硬化剤に合わせた硬化温度および硬化時間で成形を行う。さらに、表面硬度や意匠性向上等のためにメッキやコーティング処理等を施してもよい。
材料(M)が上記金属類の場合、多様な公知の加工法が挙げられる。当該加工法としては、特に制限されないが、鋳造(砂型、金型、ダイキャスト、精密鋳造等)や塑性加工(圧延、引抜き、押出し、打抜き等)や切り出し等がある。また、表面硬度を高めるため、焼入れ・焼き戻しや鍛造等を施してもよい。さらに、サビ抑制や意匠性向上等のためにメッキやコーティング処理等を施してもよい。
材料(M)が上記ガラス・セラミック・鉱物類の場合、多様な公知の加工法が挙げられる。当該加工法としては、特に制限されないが、ガラスの場合溶融成形、セラミックスの場合溶融成形後焼成、鉱物の場合切り出し等がある。さらに、平滑性や表面硬度向上等のためにメッキやコーティング処理等を施してもよい。
〔複合成形部品の製造方法〕
本実施形態の複合成形部品は、上述した結晶性樹脂組成物を含む部材(I)と、材料(M)を含む部材(II)とを具備している。
複合成形部品を製造する方法としては、上述したように、材料(M)が樹脂の場合、多色成形用の射出成形機を用いて、結晶性樹脂組成物と、材料(M)とを、一つの装置、一回の工程により、部材(I)と部材(II)とを同時に成形することにより、複合成形部品を製造する方法が挙げられる。また、縦型又は横型などの複合成形機を用いて、予め製造しておいた部材(II)を型内にセットし、ここに結晶性樹脂組成物を複合成形(インサート成形、アウトサート成形)することにより、部材(I)を成形することに合わせて複合成形部品を製造してもよい。
これらの多色成形や複合成形を基本とし、射出圧縮成形、加飾成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形等の種々の方法を組み合わせてもよい。
〔複合成形部品の使用態様〕
本実施形態の複合成形部品は、部材(I)に摺動部を有する。
この摺動部における摺動形態は、連続的、断続的、間欠的、又は可逆的な動きのいずれであってもよい。
例えば、手動又は動力源により、直線運動・回転運動を行うような連続的な動きや往復運動、断続運動、可逆回転を行うような作動と停止とを繰り返し行うような動きが挙げられる。
ここでの動きとは、複合成形部品からみて、摺動相手がどのように動いているかに依存する。例えば、レコード針とレコードとが摺動する場合を例に挙げると、レコード針から見るとレコードは連続的な動きとなる。
また、本実施形態の複合成形部品は、摺動相手との接触面が、線又は面である場合の接触形態に用いられることが好ましい。接触面とは、巨視的に見たときの複合成形部品と摺動相手とが接触する又は離れるとき摺動前又は摺動後の接触する形状をいう。例えば、上記同様レコード針とレコードとが摺動する場合を例に挙げると、接触面は点となる。
本実施形態の複合成形部品は、接触形態が点ではなく、線又は面であり面圧が比較的小さいことにより、引掻くような摺動による摩耗が抑制される傾向にある。
本実施形態の複合成形部品の部材(I)の摺動部は、部材(I)を構成する結晶性樹脂組成物と異なる材質の相手材(本明細書において、摺動相手材と記載する。)と摺動することが好ましい。
異なる材質の摺動相手材と摺動することにより、凝着摩耗による摩耗粉の発生を、効果的に低下させることができる。特に好ましい摺動相手材の材質としては、ポリアミド系樹脂又はポリエステル系樹脂である。
また、好ましい摺動相手材の形態としては、樹脂成形品や金属加工品、紐状物、テープ・ベルト状物等の繊維加工品が挙げられる。
本実施形態の複合成形部品は、上記好ましい使用形態とすることにより、実用上十分な生産性を確保しながら、優れた耐久性及び摺動性が得られる傾向を示す。
〔複合成形部品の具体的な形態〕
本実施形態の複合成形部品の具体的な形態の例を、図1〜図5に示す。
図1〜5において、複合成形部品の結晶性樹脂組成物により構成される部材(I)は、結晶性樹脂組成物を含む部材であり、部材(II)は、材料(M)を含む部材である。摺動相手材は、複合成形部品の部材(I)の摺動部と摺動する部材の一部分であり、各図においてこれを摺動部品と表す。
また各図において、摺動する動きを可逆的に記載しているが、それぞれ連続的、断続的又はそれらの複合的な動きでもかまわない。
図1は、ネジやピン構造をもつ強度・剛性の高い材質の、芯の部分に相当する部材(II)に、結晶性樹脂組成物が複合成形され、部材(I)が部材(II)の周囲を覆う形態となった構成を有している。
この部材(I)に、フック状の摺動部品が、矢印方向に摺動している状態を示している。
図2は、ローレット部をもつ強度・剛性の高い材質の、軸の部分に相当する部材(II)に、結晶性樹脂組成物が複合成形され、部材(I)が、部材(II)の頂上部を覆う形態となった構成を有している。
部材(I)は、歯車形状を有しており、当該部材(I)とは別の歯車状の摺動部品が、矢印方向に摺動している状態を示している。
図3は、固定用の穴部をもつ強度・剛性の高い材質のプレートである部材(II)に、結晶性樹脂組成物が複合成形され、部材(I)が、部材(II)の一側面部を覆う形態となった構成を有している。部材(I)は、円柱形状を有し、当該円柱形状の部材(I)の側面が摺動部となっており、他のシート状の摺動部品が、矢印方向に摺動し、部材(I)によりシート状物がガイドされている状態を示している。
図4は、強度・剛性の高い材質の軸の部分である部材(II)に、結晶性樹脂組成物が複合成形され、部材(I)が、部材(II)の側面を覆う形態となった構成を有している。部材(I)は、軸である部材(II)方向に側面の中央部がへこんだ曲面を有しており、当該曲面が部材(I)の摺動部となっており、当該摺動部において、他の紐状の摺動部品が矢印方向に摺動し、部材(I)が、当該紐状の摺動部品をガイドしている状態を示している。
図5は、車輪状の部材(I)に、低剛性・高伸度の材質を外側にタイヤ状に複合成形し、部材(II)が部材(I)の側面部分を覆う形態となった構成を有している。
部材(I)は、中央に貫通孔を有しており、当該貫通孔を構成する面が部材(I)の摺動部となっており、当該摺動部において、他の軸状の摺動部品が矢印方向に摺動し、部材(I)が軸受けとして機能している状態を示している。
〔用途〕
本実施形態の複合成形部品の用途としては、例えば、電気機器、自動車部品やその他の種々の機構部品、また容器、カバー、ケース、扉等の一部に可動機能を有した部品が挙げられる。
特に部品の部位としては、摺動を行う軸部、軸受け部、軸穴部、ローラ部、ブッシュ部、ワッシャー部、ベルト部、締結部等に使用されることが好ましい。
さらに、レバー・ハンドル・ペダルのような正転・反転部品、車輪や歯車のような回転部品、ベルト・テープ類の巻出し・巻き取り・ガイド部品、組み付け・取り外しといった嵌合部品に使用されることが好ましい。
以下、本発明を具体的な実施例と比較例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例における複合成形部品に含まれる部材(I)及び部材(II)について説明する。
〔部材(I)〕
部材(I)は、結晶性樹脂組成物(P)より形成され、これを調製するための原料としては、下記に示す結晶性樹脂(A)と、化合物(B)、及び添加剤(C)とを用いた。
(部材(I)を形成する結晶性樹脂組成物(P)の原料)
<1.結晶性樹脂(A)>
結晶性樹脂(A)としては、ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)、ポリオキシメチレンコポリマー(A−2)、ポリアミド(A−3)を用いた。
前記(A−1)、(A−2)のポリオキシメチレン系ポリマーとしては、後述するポリオキシメチレンホモポリマー(A−1−1〜A−1−5)及びポリオキシメチレンコポリマー(A−2−1〜A−2−3)を用いた。
また、ポリアミド(A−3)としては後述するポリアミドを用いた。
用いた結晶性樹脂(A)、及び比較参考のために用いたポリオキシメチレンコポリマー(A’)(旭化成ケミカルズ製ポリオキシメチレン樹脂一般中粘度コポリマーテナック4520)のメルトフローレート(MFR)、コモノマー比率を、下記表1に示す。
メルトフローレート、コモノマー比率の測定方法については後述する。
[(A−1−1〜A−1−5)ポリオキシメチレンホモポリマーの合成]
<重合工程>
ポリオキシメチレンホモポリマーは、以下のようにして調製した。
撹拌機を付帯したジャケット付き5Lタンク重合器に、n−ヘキサンを2L満たし、循環ライン(内径:6mm、長さ:2.5m)を設けた。
前記n−ヘキサンをポンプにより20L/hrで循環させた。
この循環ラインに脱水したホルムアルデヒドガス200g/hrを直接供給した。
また、触媒(ジメチルジステアリルアンモニウムアセテート)をホルムアルデヒドガスに対し、モル比で1×10-5〜1×10-4の範囲で調整を行い、反応器直前の循環ラインに供給した。
さらに、連鎖移動剤(無水酢酸)を、末端安定化工程に送られる重合スラリーの減少分を補うために、供給するヘキサンに添加し、0.13〜0.52g/hrの範囲で調整を行い、連続的にフィードした。
この状態で、58℃で重合を行い、(A−1−1)の粗ポリマーを含む重合スラリーを得た。
また、結晶性樹脂のメルトフローレートを、下記表1に記載のように調整した以外は、上記同様の操作を行い、(A−1−2〜A−1−5)の粗ポリマーを含む重合スラリーもそれぞれ得た。なお、メルトフローレートの調整は、連鎖移動剤や重合触媒の添加量を制御することにより行った。続く、末端安定化工程や、造粒工程については(A−1−1)の粗ポリマーと同様の処理を行った。
ポリオキシメチレンホモポリマーのメルトフローレートの測定は、得られたペレットを測定前に80℃、2時間オーブン(エスペック(株)社製、GPH−102)にて乾燥し、このペレットをメルトインデクサ(東洋精機(株)社製、F−W01)を用いて、ISO1133(条件D・温度190℃)に準拠して測定した。
<末端安定化工程>
上述のようにして得られた重合スラリーを、ヘキサンと無水酢酸との1対1混合物中で140℃×2時間反応させ、分子末端をアセチル化することにより安定化を行った。
反応後のポリマーを濾取し、濾取したポリマーを、2mmHg以下に減圧し、80℃に設定した減圧乾燥機で3時間かけて乾燥を行い、ポリオキシメチレンホモポリマーのパウダーを得た。
<造粒工程>
さらにこのパウダー100質量部と、安定剤としてイルガノックス245(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製)0.2質量部と、H−3(旭化成ファインケム(株)社製)0.2質量部とをヘンシェルミキサーにて1分間混合した。
その後、得られた混合物を、200℃に設定したベント付きスクリュー型二軸押出機(プラスチック工業(株)社製 BT−30、L/D=44、L:二軸押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:二軸押出機の内径(m)。以下、同じ。)にてスクリュー回転数80rpmとし、24アンペアで溶融混練してポリオキシメチレンホモポリマー(A−1−1〜A−1−5)のペレットを得た。原料投入からペレット採取まで、できるだけ酸素の混入を避けて操作を行った。
[(A−2−1〜A−2−3)ポリオキシメチレンコポリマーの合成]
<重合工程>
ポリオキシメチレンコポリマーは、以下のようにして調製した。
まず、熱媒を通すことのできるジャケット付セルフ・クリーニングタイプの二軸パドル型連続混合反応機(スクリュー径3インチ、径に対する長さの比(L/D)=10)を80℃に調整した。
主モノマーとしてトリオキサンを3750g/hr、コモノマーとして1,3−ジオキソランを25〜150g/hr、かつ、連鎖移動剤(メチラール)を2.0〜8.0g/hrの範囲で調整を行い、前記連続混合反応機に連続的にフィードした。
また、重合触媒として三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートの1質量%シクロヘキサン溶液を、当該触媒がトリオキサン1molに対して2.0×10-5molになるように、前記連続混合反応機に添加して重合を行い、(A−2−1)の重合フレークを得た。
造粒により得られるペレットのメルトフローレートとコモノマー量を、下記表1に示すように調整した以外は、上記同様の操作を行い、(A−2−2)及び(A−2−3)の重合フレークも得た。なお、メルトフローレートの調整は、連鎖移動剤や重合触媒の添加量を制御することにより行った。メルトフローレートの測定は、ポリオキシメチレンホモポリマーと同様にして行った。
得られた重合フレークを粉砕した後、トリエチルアミン1質量%水溶液中に、前記粉砕物を投入して撹拌し、重合触媒を失活させた。その後、重合フレークを含むトリエチルアミン1質量%水溶液を、濾過、洗浄及び乾燥を順次行い、粗ポリマーを得た。
<末端安定化工程>
得られた粗ポリマー1質量部に対し、第4級アンモニウム化合物としてトリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム蟻酸塩を、下記数式(α)を用いて窒素の量に換算した場合に20ppmとなる量相当を添加し、均一に混合した後120℃で3時間乾燥し、乾燥ポリマーを得た。
第4級アンモニウム化合物の添加量=P×14/Q ・・・(α)
(式(α)中、Pは第4級アンモニウム化合物の粗ポリマーに対する濃度(質量ppm)を表し、「14」は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表す。)
次に、得られた乾燥ポリマーを用いて末端安定化を以下のとおり実施した。
ベント付きスクリュー型二軸押出機(プラスチック工業社製、BT−30、L/D=44、設定温度200℃、回転数80rpm)の前段部分に、得られた乾燥ポリマーを添加し、さらに当該乾燥ポリマー100質量部に対して0.5質量部の水を添加し、ポリマー末端を安定化させつつ減圧脱気を行って、乾燥ポリマーを得た。
<造粒工程>
次に、上記乾燥ポリマー100質量部に対し、安定剤としてイルガノックス245(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製)0.2質量部と、H−3(旭化成ファインケム(株)社製)0.2質量部とを予めヘンシェルミキサーにて1分間混合した。
得られた混合物を、上記二軸押出機の後段部分にあるサイドフィーダーから添加し、200℃に設定したベント付きスクリュー型二軸押出機(プラスチック工業(株)社製 BT−30、L/D=44)にてスクリュー回転数80rpmとし、24アンペアで溶融混練してポリオキシメチレンコポリマーのペレットを得た。
原料投入からペレット採取まで、できるだけ酸素の混入を避けて操作を行った。
上記コモノマー量の調整により得られた3種のポリオキシメチレンコポリマーにおけるオキシメチレンユニットa(100mol)に対するオキシアルキレンユニットb(mol)の割合(以下「b/a」とも記す。)を下記表1に示す。なお、表1中、当該「b/a」をコモノマー比率と記載する。
ここで(b/a)は、以下のようにして求めた。
得られたポリオキシメチレンコポリマーを、溶媒であるヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)−d2(D化率97%、和光純薬98%assay)中に、24時間かけて溶解させることにより、ポリオキシメチレンコポリマーの1.5質量%溶液を調製した。上記のポリオキシメチレンコポリマーの1.5質量%溶液を検体として、JEOL−400核磁気共鳴分光計(1H:400MHz)を用い、55℃及び積算回数500回の条件下、オキシメチレンユニットaと、当該ユニットaを除くオキシアルキレンユニットbとの帰属ピークを積分した。このようにして得られた積分値から、オキシメチレンユニットa(100mol)に対するオキシアルキレンユニットb(mol)の割合を求めた。
[(A−3)ポリアミド]
市販の旭化成ケミカルズ(株)製レオナ1402s(ポリアミド66)を用いた。
<2.化合物(B)>
化合物(B)として用いた(B−1)〜(B−6)を以下に挙げる。
(B−1):ミリスチン酸セチル(融点:49℃、ΔV=0.16cm3/g)。
(B−2):ラウリン酸アミド(融点:87℃、ΔV=0.11cm3/g)。
(B−3):低分子量ポリエチレン(融点:100℃、ΔV=0.08cm3/g)。
(B−4):PE-グラフト-PS(融点:105℃、ΔV=0.02cm3/g)。
(B−5):ポリエチレングリコール(融点:55℃、ΔV=0.03cm3/g)。
(B−6):ミリスチン酸メチル(融点:25℃以下、ΔV=0.04cm3/g)。
なお、ΔVは、50℃の比容積((V50)cm3/g)と90℃の比容積((V90)cm3/g)との差((V90)−(V50))である。
前記比容積ΔVは、東洋精機製作所製「PVT TEST SYSTEM」を用い、以下の方法で測定した。
まず化合物(B)を110℃まで昇温したシリンダーに投入し、10MPaの圧力をかけ、温度、圧力が安定したらシリンダー内の試料体積を測定することとし、90℃から50℃までは降温させながら5℃毎に化合物(B)の体積を測定した。
ここで、同一の測定対象である化合物(B)の50℃の比容積と、90℃の比容積との差をΔVとして算出した。
また、化合物(B)の融点は、高感度型示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)社製、商品名「EXSTAR DSC7020」)を用い、以下の方法で測定した。まず、化合物(B)を常温から110℃まで昇温し1分間その温度で保持し、その後化合物(B)を0℃まで冷却し、再度2.5℃/分の速度にて昇温し、その時のスペクトルのピークの温度を化合物(B)の融点とした。ピークがでない化合物については、ホットプレートにて25℃より5℃毎に110℃まで加温し、この5℃毎にスパチュラーにて状態を確認した。表面が柔らかくなっている場合は、この温度を融点とした。常温で液状のものは融点を25℃以下と判断した。
<3.添加剤(C)>
(C−1):結晶核剤(電気化学工業(株)製、デンカボロンナイトライド、融点・分解点:300℃<)。
(C−2):結晶核剤(日本タルク(株)製、MSタルク、融点・分解点:300℃<)。
(部材(I)用の結晶性樹脂組成物の調合)
結晶性樹脂(A)100質量部と、化合物(B)、及び必要に応じて添加剤(C)を、下記表2に示す組成に従い、融点に対して30℃高く設定したベント付きスクリュー型二軸押出機(BT−30、プラスチック工業(株)社製;L/D=44)を用いて、スクリュー回転数を100rpmとし、24アンペアで、前記混合物を溶融混練して、結晶性樹脂組成物(P)のペレット状サンプルを得た。
結晶性樹脂組成物(P0)については、比較として一般中粘度ポリオキシメチレン樹脂コポリマーとして、旭化成ケミカルズ(社)製テナックC4520のペレットを上記結晶性樹脂組成物と同様に再度押出しを行い、同様のペレット状サンプルを得た。
<結晶性樹脂組成物の線膨張係数>
上述のようにして得られた結晶性樹脂組成物の線膨張係数を測定した。
測定には、熱機械分析装置TMA−60H(島津製作所(株)製)を用いて、後述する複合成形部品の樹脂部分から流動方向のサンプルを切り出して、20℃〜30℃での線膨張係数を求めた。測定結果を下記表2に示す。
〔部材(II)〕
部材(II)を形成する材料(M)として、以下の(M−1)〜(M−4)を使用した。
材料(M)の線膨張係数は、上記と同様に、熱機械分析装置TMA−60H(島津製作所(株)製)を用いて、常温/20℃〜30℃の温度条件下で、部材(II)からサンプルを切り出して測定した。
(M−1):ステンレス鋼(SUS304、線膨張係数:17×10-6/℃)
(M−2):レオナ1402G(旭化成ケミカルズ社(株)製、ポリアミド66/GF30%、線膨張係数:30×10-6/℃)
(M−3):テナックC CF454(旭化成ケミカルズ(株)社製、ポリオキシメチレンコポリマー/CF20%、線膨張係数:40×10-6/℃)
(M−4):部材(I)で得られたP1(ポリオキシメチレンホモポリマー、線膨張係数
:110×10-6/℃)
(部材(II)の製造)
上記材料(M−1)については、市販されている1mmの平板を購入し、部材(II)とした。
上記材料(M−2)〜(M−4)については、市販のペレットをそれぞれ購入し、射出成形機(日本製鋼所(株)製J110AD)を用いて、融点に対して25℃高くシリンダー温度を設定し、金型温度80℃、冷却時間30秒として、80mm×80mm×1mm平板を成形した。
上述のようにして成形した厚さ1mm平板を用いて、図6に示すように、二箇所の窓部61、62を有する形状の部材(II)を機械加工した。
図6(a)は部材(II)の正面図、図6(b)は部材(II)の側面図、図6(c)は、前記図6(b)の下部側面図を示す。
前記窓部61、62及び全周囲の角部は、R=0.5のコーナ処理を行った。
窓部61、62は、それぞれバリが残っていないことを確認した。
上記材料(M−2)〜(M−4)については、図6に示す部材(II)の上下方向に樹脂が流動配向しているように機械加工を行った。
図6に示す寸法は、各部位の寸法の一例(単位:mm)を示すものとし、本発明は、当該寸法例に限定されるものではない。
〔複合成形部品の製造〕
上述のようにして製造した部材(II)をインサートして、上記結晶性樹脂組成物(P)を、射出成形機(日本製鋼所(株)製J110AD)を用いて、融点に対して25℃高くシリンダー温度を設定し、金型温度80℃、冷却時間30秒として、図7に示す複合成形部品を製造した。
複合成形部品の製造に用いる型には、図7中、B´の部分に、5×2mmmのゲートを設けた。
図7(a)は複合成形部品の正面図、図7(b)は複合成形部品の側面図、図7(c)は線分A−A´における複合成形部品の断面図、図7(d)は、複合成形部品の上部断面図、図7(e)は線分B−B´における複合成形部品の断面図を示す。
複合成形部品の製造の際には、上記結晶性樹脂組成物を十分に充填し、バリが出ていないことを確認しながら行った。
〔複合成形部品の評価〕
複合成形部品について、以下のとおり評価を行った。
評価結果を、下記表3、表4に示した。
(複合成形部品の生産性の評価)
複合成形部品の生産性の評価を、以下の<結晶性樹脂組成物の生産性>及び<複合成形部品の品質評価>により行った。
<結晶性樹脂組成物の生産性評価>
結晶性樹脂組成物の生産性評価は、押出機のトルクを25アンペアで一定となるように調整して造粒したときの、結晶性樹脂組成物の単位時間当たりの平均造粒量、ストランドの状態、並びにペレットの外観及び臭気により、総合的に行った。
評価基準としては、市販されている一般中粘度ポリオキシメチレン樹脂(P):(テナックC4520)を押出し機に通したときの生産性の評価と比較して、以下のように規定した。
以下の評価基準に従って、結晶性樹脂組成物の生産性評価を行った。
評価基準
○:テナックC4520の生産性に比して、良好の場合
◇:テナックC4520の生産性と同等のレベルであった場合
△:テナックC4520の生産性に比して、若干低下した場合
なお、上記「良好」とは、テナックC4520と比較した場合、単位時間当たりの平均造粒量の増加が10%以上であった状態を言う。
上記「若干低下」とは、テナックC4520と比較した場合、単位時間当たりの平均造粒量の低下が20%〜40%以内である、または得られたストランドにフクレや切れがなく安定して巻き取りが可能であり作業性を低下させなかったものの、得られたペレットに多少の切子があったり、臭気があったりした状態を言う。
<複合成形部品の品質評価>
結晶性樹脂組成物を用いて製造した上記複合成形部品の品質評価は、当該複合成形部品の外観(シルバーやフローマーク等)や、着色等を目視で確認し、以下の評価基準に従って総合的に行った。
なお、評価は製造した複合成形部品サンプルの評価の5つの平均をとった。
評価基準
○:金型転写性が良く平滑性・光沢性等外観が良好だった場合
◇:市販のポリオキシメチレン樹脂テナックC4520と同等の場合
△:実用上問題ないが、シルバーやフローマークが確認された場合
(複合成形部品の強度評価)
複合成形部品の強度は、初期強度により評価した。
<複合成形部品の初期強度評価>
複合成形部品の初期強度評価は、ASTM D638に準拠して、万能試験機(島津製作所(株)社製オートグラフAGS−X)により、試験速度50mm/minで、図8に示すようにして、引張試験を行ったときの最大発生荷重で評価を行った。
評価は複合成形部品のサンプル数N=5で行い、その平均をとった。
評価基準
○:一般中粘度ポリオキシメチレン樹脂テナックC4520より荷重が10%以上向上した場合
◇:一般中粘度ポリオキシメチレン樹脂テナックC4520と同等の荷重であった場合(600N)
△:一般中粘度ポリオキシメチレン樹脂テナックC4520より荷重が10%以上低下した場合
(複合成形部品の耐久性評価)
複合成形部品の耐久性評価としては、当該複合成形部品を恒温恒湿槽(エスペック(株)社製低温恒温恒湿器PL−2J)を用いて、冷熱サイクル試験を、1サイクル:−30℃×2時間、23℃×2時間、90℃×2時間、23℃×2時間として、50サイクル実施し、このときの外観変化と強度変化により評価を行った。
評価は複合成形部品のサンプル数N=5で行い、その平均をとった。
<複合成形部品の外観変化評価>
冷熱サイクル試験後の外観を目視にて確認し、総合的に行った。
評価基準
○:試験前と大きく変化がなく良好の場合
◇:部材(I)と部材(II)において広い面積で多少の変色が確認されたがガタがない場合
△:部材(I)において多少の白化がみられる及び/又は多少のガタがある場合
×:部材(I)にクラック・亀裂が発生及び/又は大きく意匠性が低下している場合
<複合成形部品の強度変化評価>
上述した冷熱サイクル試験後の外観変化評価において、△以上の評価を得た複合成形部品を用いて、上述した<複合成形部品の初期強度評価>と同様の操作を行い、引張試験を行った。
上記<複合成形部品の初期強度評価>により得られた最大発生荷重対する、当該冷熱サイクル試験後の最大発生荷重がどの程度変化したかにより評価を行った。
評価は製造した複合成形部品の5つのサンプルの平均をとった。
評価基準
○:初期強度に対し、5%以上向上していた場合
◇:初期強度と同等であった場合
△:初期強度に対し低下が10%未満であった場合
×:初期強度に対し、低下が10%以上であった場合
(複合成形部品の摺動性の評価)
上述した冷熱サイクル試験後の複合成形部品を用いて、摺動性の評価を往復動摺動試験機(東測精密社製AFT−15MS型)により実施した。
図7(a)中、「左―――右」に示すように、複合成形部品の摺動性は、部材(I)の当該左右方向に、後述する摺動相手材を摺動させた際の摩擦係数を測定することにより評価した。
図8及び図9に摺動性の評価の状態図を示す。図8に示すように、部材(II)の端部及び部材(I)の端部をそれぞれ上記試験機のチャック部に取り付け、複合成形部品を固定した。
摺動相手材としては、下記の(1)〜(4)の部材を用いた。
(1)ポリエステル樹脂
(2)ポリオキシメチレン樹脂
(3)ステンレス
(4)ポリエステル生地
測定条件は、往復距離20mm、往復動速度10mm/sec、荷重2kg、環境温度23℃、湿度50%とし、図9に示す矢印方向に、前記部材(I)に摺動相手材を摺動させた。
評価は、往復回数100回のときの摩擦係数を測定することにより行った。
なお、前記摺動相手材である(1)ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート:東洋紡(株)社製バイロペットEMC532)、(2)ポリオキシメチレン樹脂(ポリオキシメチレン樹脂コポリマー:旭化成ケミカルズ(株)社製テナックC4520) については、射出成形することにより摺動部位のピン部を作製した。当該射出成形は、射出成形機(東洋機械金属社製、TI−30G)を用いて、シリンダー温度は融点より25℃高く設定し、金型温度80℃を目安として実施した。ピン先端部は直径5mmの半球とした。
(3)ステンレスについては、SUS304のSUS球(直径5mm)を用いた。
(4)ポリエステル生地(ポリエチレンテレフタレート生地:川口細巾織物(株)社製綾織タイプPI)については、測定装置の摺動部先端に生地を装着し同様に評価を実施した。
評価基準
○:部材(I)が、P0(一般中粘度ポリオキシメチレン樹脂コポリマーテナックC4520)の場合より摩擦係数が30%以上小さくなった場合
◇:部材(I)が、P0(一般中粘度ポリオキシメチレン樹脂コポリマーテナックC4520)の場合より摩擦係数が10%以上20%未満小さくなった場合
△:部材(I)が、P0(一般中粘度ポリオキシメチレン樹脂コポリマーテナックC4520)の場合より、同等又はそれより大きい摩擦係数であった場合(0.3<)
表3、4に示すように、実施例1〜22においては、実用上十分な生産性を確保しながら、優れた耐久性及び摺動性が得られた。
特に、実施例1、参考例2の結果から、部材(II)が、本発明の特性を有することで、部材(I)の組成の効果が得られることがわかった。
本発明の複合成形部品は、電気機器、自動車部品等の摺動部、特にレバー・ハンドル・ペダルのような正転・反転部品、車輪や歯車のような回転部品、ベルト・テープ類の巻出し・巻き取り・ガイド部品、組み付け・取り外しといった嵌合部品及びそれらの一部等からなる群より選択される1種以上の複合成形部品として、産業上の利用可能性を有する。
61 部材(II)の窓部
62 部材(II)の窓部

Claims (9)

  1. 結晶性樹脂組成物を含む部材(I)と、
    前記結晶性樹脂組成物とは常温下での線膨張係数が30×10-6(1/℃)以上異なる材料(M)を含む部材(II)と、
    を、具備し、
    前記部材(I)と前記部材(II)とが、複合成形により接合されており、前記部材(I)が摺動部を有している複合成形部品であって、
    前記結晶性樹脂組成物が、結晶性樹脂(A)と、PVT特性で50℃の比容積(V50)と、90℃の比容積(V90)との差ΔVが、ΔV>0.05cm3/gである化合物(B)とを含む、複合成形部品。
  2. 前記結晶性樹脂組成物が、ポリオキシメチレン樹脂(a)を含む、請求項1に記載の複合成形部品。
  3. 前記ポリオキシメチレン樹脂(a)のメルトフローレートが1.5〜20g/10分である、請求項2に記載の複合成形部品。
  4. 前記結晶性樹脂組成物が、
    前記結晶性樹脂(A)100質量部に対し、前記化合物(B)を0.3〜3.0質量部含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合成形部品。
  5. 前記結晶性樹脂組成物が、PVT特性で、50℃の比容積(V50)と、90℃の比容積(V90)との差ΔVが、ΔV>0.09cm3/gである化合物(B)を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合成形部品。
  6. 前記結晶性樹脂組成物が、融点が300℃より高い結晶核剤を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合成形部品。
  7. 前記部材(I)が有する前記摺動部が、
    前記部材(I)とは異なる材質の摺動相手材と摺動するようになされている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の複合成形部品。
  8. 前記摺動相手材の材質が、ポリアミド系樹脂又はポリエステル系樹脂である、請求項7に記載の複合成形部品。
  9. 前記摺動相手材が、繊維加工品である、請求項7又は8に記載の複合成形部品。
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