JP2015053211A - リチウムイオン電池用電解液及びそれを用いたリチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池用電解液及びそれを用いたリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性が高く、高エネルギー密度の、リチウムイオン電池用電解液及びそれを用いたリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】リチウム塩を有機溶媒に溶解した電解液中に、難燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子を含むリチウムイオン電池用電解液。難燃化剤含有多孔質材料の難燃化剤が、燐含有化合物を含む前記のリチウムイオン電池用電解液。熱可塑性樹脂の融点が、70〜150℃である前記のリチウムイオン電池用電解液。【選択図】図1

Description

本発明は、高エネルギー密度かつ安全性の高い、リチウムイオン電池用電解液及びそれを用いたリチウムイオン電池に関する。
近年、携帯電話やノートパソコン等移動情報端末などの発展は目覚しく電気自動車やハイブリッド自動車などの実用化に伴って、一次電池のみならず電源として使用されるニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池も大きく需要を伸ばしている。各種二次電池の中でも、リチウムイオン電池に代表される非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量化であるということから、広く使用されるようになってきている。
これらの非水電解質二次電池においては、安全対策が重要である。前記安全対策としては、例えば、外部衝撃による電池の短絡、又は電池の過大電圧、過大充電電流、逆接続電圧の印加による電池内部の温度上昇を防止する目的から、バイメタル式サーマルプロテクタ又はPTC(サーミスタ)素子が装着されている。
また、過充電が起こった場合には、電池内部において正極上での電解質溶液の酸化分解が開始してガスが発生し、電池の温度が上昇する可能性がある。更に、発生するガスにより、電池缶内圧が高くなる可能性がある。そのため、温度上昇及び電池缶内圧上昇が生じ難いリチウムイオン電池の開発が望まれている。
この要求に応えるべく、様々な製造方法が提案されている。例えば特許文献1では、マイクロカプセル中に難燃剤を有し、非水電解液中に分散させることにより、電池の異常な圧力上昇に際して、発火等が生じない、非水電解液二次電池を提供できることが開示されている。また特許文献2では、非水電解液に、温度が上昇したときに難燃化剤を放出するマイクロカプセルを含有させることによって、安全性を保ったリチウムイオン電池の作製が可能であることが開示されている。
特開2010−73595号公報 特開平06−283206号公報 特開平09−045369号公報
上記特許文献1においてマイクロカプセルの壁材には感圧性物質を用いられているが、何らかの不具合により非水電解液が漏出した場合、火点が接近してもマイクロカプセルの内包物が放出されにくく、非水電解液の燃焼が抑制できない可能性がある。
また、上記特許文献2および3においてマイクロカプセルの壁材には、感熱性物質を使用し、壁材が溶解する温度に達した際に内包物を放出することができるが、充放電に伴う電極の膨張収縮又は、移動体に搭載した場合の加速度による電池の構成材料との接触により、壁材が破壊されて内包物が溶出し、電池特性を損なう可能性がある。
本発明の目的は、安全性が高く、高エネルギー密度の、リチウムイオン電池用電解液及びそれを用いたリチウムイオン電池を提供することである。
本発明者は、上記従来の問題点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、リチウム電池の非水電解液(電解液)に、難燃性を発現する難燃化剤を多孔質材料に含浸し、さらに温度が上昇した時に前記難燃剤を放出できるような熱可塑性樹脂で被覆を施した粒子を含有することによって、異常温度に上昇したときに、可燃性の電解液の燃焼を防止できることを見いだした。
すなわち本発明は、リチウム塩を有機溶媒に溶解した電解液中に、難燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子(以下、難燃化剤含有マクロカプセルという場合もある)を含むリチウムイオン電池用電解液に関する。
前記難燃化剤含有多孔質材料の難燃化剤は、難燃性をより向上できる観点から、燐含有化合物であることが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂の融点が、安全性をより向上できる観点から、70〜150℃であることが好ましい。
前記難燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子の粒径は、電池性能を維持できる観点から、1〜500μmであることが好ましい。
また、前記前記難燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子の含有量は、電池性能を維持できる観点から、前記電解液に対して、1〜30質量%であることが好ましい。
また、本発明は、負極活物質を有する負極と、正極活物質を有する正極と、上記のリチウムイオン電池用電解液とを有するリチウムイオン電池に関する。
本発明によれば、安全性の高く、高エネルギー密度のリチウムイオン電池用電解液及びそれを用いたリチウムイオン電池を提供することが出来る。
本発明のリチウムイオン電池の基本構成図である。 本発明実施の形態であるリチウムイオン電池を構成する正極、負極およびセパレータを示す斜視図である。 本発明の実施の形態であるリチウムイオン電池を示す斜視図である。
(電池の構成)
図1に、本発明のリチウムイオン電池の基本構成図を示した。図1において、101は負極活物質から成る負極、102は負極集電体、103は正極活物質からなる正極、104は正極集電体、105は電解質溶液(電解液)、106は負極端子、107は正極端子、108はセパレーター、109は電池ケース、110は前記難燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子(以下、難燃化剤含有マイクロカプセルという場合もある)である。
(電池反応)
リチウムイオン電池では、放電反応において、電解液105中のリチウムイオンがセパレーター108を透過し正極103の正極活物質に挿入され、それと同時に負極活物質から脱離したリチウムイオンが電解質105中に溶け出る。一方、充電反応では、電解液105中のリチウムイオンがセパレーター108を透過して負極活物質に挿入され、同時に正極の正極活物質103層間のリウチムイオンが電解質105中に溶け出す。
(電池の発熱)
デンドライトが成長して電池内部で短絡した場合、電池が破損して短絡した場合、電池を接続した外部回路が短絡した場合など、短絡が生じた場合には電池が発熱することになる。本発明の電池では、電池の温度上昇によって、電池内の難燃化剤含有マイクロカプセルの熱可塑性樹脂が溶けるか破れて開口されて難燃化剤が放出される。放出された難燃化剤が、難燃剤である場合には、電池の温度が異常に上昇したときに、発火するのを抑えることが可能となる。
上述した本発明の難燃化剤含有マイクロカプセルによる安全の技術は、二次電池ばかりではなく、難燃化剤含有マイクロカプセルが開口する温度に達する発熱を伴う反応を持ったものであれば種々の一次電池においても有効である。
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂は、難燃化剤含有マクロカプセルの壁膜材として機能する。この壁膜材は、電池が異常温度に達したときに、破れるか解けて開口し、難燃化剤を放出できるものであることが好ましい。具体的材料としては、直鎖状ポリエチレン、オレフィン等のオレゴマー、ポリ−ベンジリデンチオデカメチレンサルファイド、ポリ−1、2−シクロヘキシレンサルファイド、ポリ−シクロプロピレンジメチレンテレフタレイト、ポリ−デカメチレンフタルアミド、ポリ−エチレン2、2´−ジベンゾエイト、ポリ−(オキシジエチレン)−オキシ−p−フェニレンオキシド、ステアリン酸カルシウム、カルナバろう、などが使用できる。上記オレフィンのオレゴマーとしては、オレゴ(メチレン)、オレゴ(エチレン)、オレゴ(シクメアルカン)、オレゴ(パーフルオロ−n−アルカン)、オレゴ(ω−クロロ−パーフルオロ−n−アルカン)、オレゴ(セミフルオロリネネイティッドn−アルカン)、等の繰り返し単位が10から500程度のものが使用できる。
上記壁膜材料としては、電池の電解液に溶解しない材料を選択する必要がある。また、電池の安全が維持できる最高温度に合わせて、材料融点から壁膜材料を選択することも必要である。
上記熱可塑性樹脂の融点は、70〜150℃の範囲のものを選んで使用するのが好ましく、100〜130℃の範囲のものを選んで使用するのがより好ましい。
また、難燃化剤含有マイクロカプセルの粒径は、電池性能を低下させず安全性を維持させる為、難燃化剤含有マイクロカプセルの大きさは好ましくは、1〜500μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。難燃化剤含有マイクロカプセルの含有量は、電池性能を低下させず安全性を維持させる観点から、電解液の総量に対して1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
[多孔質材料]
上記多孔質材料としては、難燃化剤に溶解しない材料を選択する必要がある。具体的材料としては、壁膜材料と同じ材料で多孔質であるもの、70〜150℃に融点を有さない材料等が挙げられる。前記70〜150℃に融点を有さない材料としては、例えばセルロース、若しくはポリイミドを主成分とする不織布、発泡スチレン・ブタジエンゴム等が挙げられる。
[難燃化剤]
難燃化剤としては、沃素、臭素、塩素、ハロゲン化合物のハロゲン系難燃化剤、リンを含有する難燃化剤などが使用できる。ハロゲン系難燃化剤では、フッ素化合物不活性液体であるパーフルオロカーボンが電解反応に影響を与えないことから、特に有効である。
上記パーフルオロカーボンとしては、C12、C14、C16、C18、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン(C16O)、パーフルオロトリブチルアミン(CN、パーフルオロトリプロピルアミン(CN、パーフルオリネイティッドエーテル、パーフルオロメチルデカリン、パーフルオロデカリン等が挙げられる。
上記リン系難燃化剤としては、赤りん、黄りん等の他に、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート等のりん酸化合物、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、等の亜りん酸化合物、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリ(ジクロロプロピル)ホスフェート、などが挙げられる。
[難燃化剤含有マイクロカプセルの製造方法]
前記難燃化剤含有マイクロカプセルの製造方法の例としては、以下のような方法が挙げられる。まず、難燃化剤を直接芯材に吸収させる、又は壁膜材料が溶けない溶媒に溶解した難燃化剤に芯材を加えて前記溶液を吸収させる(以下、「難燃化剤含有芯材」という。)。次に、前記難燃化剤含有芯材を、壁膜材料が溶媒に溶解した溶液に添加して分散させ、この分散液を水やアルコールなどの溶媒に撹拌しながら滴下し、ろ過または遠心分離し減圧乾燥して難燃化剤含有マイクロカプセルを調製する。マイクロカプセル内には前述の難燃化剤のほかに、モノマーや難燃剤を混合してもよい。
(集電体)
集電体材質としては、カーボン、ステンレススチール、チタン、ニッケル、銅、アルミニウム、白金、金等の導電材を使用することができる。集電体形状としては、繊維状、多孔状またはメッシュ状等が使用できる。
(正極)
正極は、正極活物質と導電体粉と結着剤を混合して、必要に応じて溶媒を添加し、集電体と成形して形成する。
正極活物質としては、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム等のリチウム遷移金属複合酸化物、これらリチウム遷移金属複合酸化物のリチウム原子及び/又は遷移金属原子の一部を、一種類以上の他種元素で置換したリチウム遷移金属複合酸化物、これらリチウム遷移金属複合酸化物の表面を他の化合物で表面被覆したリチウム遷移金属複合酸化物、等リチウムの吸蔵及び放出をすることができる材料であれば特に限定されない。
(導電体粉)
導電体粉の役割は、活物質が導電性に乏しい場合に、電子伝導を補助し、集電を容易にすることである。導電体粉としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉などの各種炭素材、ニッケル、チタン、銅、ステンレススチール、等の金属材料が使用できる。導電体粉の活物質に対する重量混合比率は1以下が好ましい。
(結着剤)
結着剤は、活物質の成形性が悪い場合に、活物質粉同士を接着し、充放電サイクルにおいてクラックが生じて集電体から脱落するのを防ぐ役割を有している。結着剤の材料としては、溶媒に安定な、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン樹脂等が挙げられる。上記樹脂は、液状または溶液状、あるいは低融点のものを使用した方が、結着剤の極中の含有率を下げることができ、電池の容量を向上することができる。液状あるいは溶媒に溶解する樹脂の具体例としては、ポリエチレンやポリプロピレンのほかに、エーテル結合を有するフッ素樹脂やシリコーン樹脂が挙げられる。特に、エーテル結合を有するフッ素樹脂を使用した場合は溶媒に溶解させて低濃度で使用できるために、正極中の含有率を下げるとともに空隙率を上げることができる。
(負極活物質)
負極活物質には、(1)黒鉛あるいは非晶質炭素等の炭素系の材料、(2)チタン酸リチウム(LiTi12)のようなリチウムの挿入・脱離が可能なリチウム遷移金属酸化物系の材料、(3)スズ、シリコンのような金属・合金系材料、を用いることができる。
(セパレーター)
セパレーターは、負極と正極の短絡を防ぐ役割を持っている。また、電解液を保持する役目を有する場合もある。セパレーターは電池反応に関与するイオンが移動できる細孔を有し、電解液に不溶で安定である必要があるため、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素樹脂等の不織布あるいはミクロポア構造の材料のものが用いられている。また、微細孔を有する金属酸化物フィルムあるいは金属酸化物を複合化した樹脂フィルムも使用できる。
(電解質)
電解質はそのままの状態で使用する場合のほかに、溶媒に溶解した溶液や溶液にポリマーなどのゲル化剤を添加して固定化したものを使用する。通常、溶媒に電解質を溶かした電解質溶液(電解液)を多孔性のセパレーターに保液させて使用する。電解質または電解液の導電率は高ければ高いほど好ましく、少なくとも25℃での導電率は1×10−3S/cm以上あることが好ましく、5×10−3S/cm以上あることがより好ましい。
電解質には、リチウムイオン(Li+)と、アニオンから成る塩及びその混合塩を用いる。使用するアニオンとしては、無機系アニオンのBF 、PF 、AsF 、ClO 、有機系アニオンのB(C 、CHSO 、CFSO 、N(SOF) 、N(SOCF 、N(SOCFCF 等から選択することが出来る。上記塩は、減圧下で加熱したりして、十分な脱水と脱酸素を行っておくことが望ましい。
電解質の溶媒としては、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエトキシエタン、クロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサルオキシド、ジメトキシエタン、ギ酸メチル、3−メチル−2−オキダゾリジノン、2−メチルテトラヒドロフラン、二酸化イオウ、塩化ホスホリル、塩化チオニル、塩化スルフリル、等が一般に用いられており、これらを単独、若しくは2種類以上を任意の配合比で混合して使用することができる。
上記溶媒は、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、五酸化リン、塩化カルシウム等で脱水するか、溶媒によっては、不活性ガス中で、アルカリ金属共存下で蒸留して不純物除去と脱水をも行うのがよい。
(電池の形状及び構造)
電池の形状としては、扁平型や円筒型や直方形型、シート型等の電池がある。なお作製する電極サイズ、電極群形状、電池形状は任意に選定することができ、上記の構成に限定されるものではない。
(電解液の難燃性試験)
電解液の安全性評価試験として、UL94HBを模擬した試験方法を用いた。ガラスフィルターを短冊状に切り、そのガラスフィルターにマイクロカプセルを分散した電解液を含浸して水平に保持し、端部に接炎して離した後の燃焼の進行速度により難燃性の有無を確認する試験。
(電池安全性評価)
電池の安全性評価試験としては、以下の試験がある。
(短絡試験)
電池を満充電にした後、正極と負極を銅線で短絡して、電池温度が上昇しても破裂、発火の有無を確認する試験。
(釘さし試験)
充電した電池に、直径3ミリメートルの釘を貫通させて、電池温度が上昇しても破裂、発火の有無を確認する試験。
(高温貯蔵試験)
100℃で5時間、電池を貯蔵して、電池の温度が130℃以上にならないこと、発煙、破裂、発火のないことの確認試験。
(過充電試験)
10時間で端子電圧5.0ボルト、カットオフで24時間充電して、電池温度が上昇しても発火のないことの確認試験。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子の作製)
まず、熱可塑性樹脂に直鎖状ポリエチレン(融点が95〜130℃)を、多孔質材に70体積%の空孔率を有する発泡スチレン・ブタジエンゴム(発泡SBR)を、難燃化剤にりん酸トリエチルを用いて、難燃化剤含有マイクロカプセルを以下の手法で調製した。まず、発泡SBRを液体窒素で十分に冷やして粉砕機にかけ、平均粒径(D50)が約100μmになるまで粉砕した。次に粉砕した発泡SBRの粉末に、りん酸トリエチルを65体積%となるように含浸させ、難燃化剤含有発泡SBRを調整した。次に直鎖状ポリエチレンを80℃のキシレンで溶解させたポリエチレン溶液を調整した。このポリエチレン溶液に難燃化剤含有発泡SBRを投入して均一に分散させ、これをエタノール中に滴下してコロイド溶液を調整した。得られたコロイド溶液を分離ろ過した後、残留物を減圧乾燥して燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子を調製した。
(電解液の作製)
本発明で使用した非水電解液は、非水溶媒として環状カーボネートであるエチレンカーボネートと鎖状カーボネートであるジメチルカーボネートを体積比で2:3に混合した混合溶媒を使用した。またその溶媒に、電解質として、LiPFを1mol/Lとなるように溶解し、さらに上記難燃化剤含有マイクロカプセルを加え、難燃化剤含有マイクロカプセル(粒子)の含有量が20質量%となる電解液を作製した。
次に、図2に示した概略断面図構造のリチウムイオン電池を作製した。
(正極の作成)
正極活物質として、平均粒径が20μmのマンガン酸リチウムを使用した。活物質と、導電助剤としてアセチレンブラック、結着剤としてポリフッ化ビニリデンをそれぞれ88:6:6の質量比で分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン中に分散させ混合しスラリを作製する。このスラリを正極集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上に塗布し、乾燥して分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンを蒸発・乾燥気化させた後、ロールプレスにより所定の活物質密度の正極合剤を得る。
図2に示すように、これを幅30mm、長さ45mmに切断して正極203とし、この正極に正極端子207を取り付けた。
(負極の作製)
リチウムの挿入脱離が可能な炭素材料活物質として、難黒鉛化炭素である平均粒径10μmのカーボトロンPを使用した。活物質と結着剤としてポリフッ化ビニリデンを92:8の質量比で分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン中に分散させ混合しスラリを作製する。このスラリを負極集電体となる厚さ10μmの銅箔上に塗布し、乾燥して分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンを蒸発・乾燥気化させた後、ロールプレスにより所定の活物質密度の負極合剤を得る。
図2に示すように、これを幅31mm、長さ46mmに切断して負極201とし、この負極に負極端子206を取り付けた。
(電極群の作製)
作製した正極203と負極201とを、厚さ30μm、幅35mm、長さ50mmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータ208を介して対向させ、積層状の電極群を作製した。
(評価用電池の作製)
この電極群を、図3に示すように、アルミニウム製のラミネートフィルム209で構成された電池容器内に収容させると共に、この電池容器内に電解液を1ml注入後、上記の正極端子207と負極端子206とを外部に取り出すようにして上記の電池容器の開口部を封口させて、試験用の電池を得た。アルミニウム製のラミネートフィルム209は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/シーラント層(ポリプロピレン等)の積層体である。
なお作製する電極サイズ、電極群形状、電池形状は任意に選定することができ、上記の構成に限定されるものではない。
(実施例2)
熱可塑性樹脂として、オレゴ(セミフルオロリネイティッドn−アルカン):F−[CF−[CH−H(m=12、n=20)を、多孔質材料として多孔質ポリエチレンシートを、難燃化剤に亜りん酸トリメチルを用いて、下記の方法で難燃化剤含有マイクロカプセルを調製した以外は、実施例1と同様にして電解液およびリチウムイオン電池を作製した。
多孔質ポリエチレンシートを裁断機で200μm四方に切断し、ここに亜リン酸トリメチルを含浸させ、難燃化剤含有多孔質ポリエチレンを調整した。次にオレゴ(セミフルオロリネイティッドn−アルカン)のジメチルサルフォキシド溶液にアゾビスイソブチロニトリルを添加した溶液を調整した。このジメチルサルフォキシド溶液に難燃化剤含有多孔質ポリエチレンを投入して均一に分散させ、これをエタノール中に滴下してコロイド溶液を調整した。得られたコロイド溶液を分離ろ過した後、残留物を減圧乾燥して難燃化剤含有マクロカプセルを調製した。
(実施例3)
実施例1で作成したリチウムイオン電池を鉄板上に電極が水平になるように置き、正極端子207と負極端子206以外の部分を、木製ハンマーを用いてラミネートフィルム209が破れない程度の力で5回叩いた後、後述する試験に用いた。
(比較例1)
非水溶媒として環状カーボネートであるエチレンカーボネートと鎖状カーボネートであるジメチルカーボネートを体積比で2:3に混合した混合溶媒を使用し、またその溶媒に、電解質として、LiPFを1mol/Lとなるように溶解した。この非水電解液にりん酸トリエチルを13質量%加えて難燃剤含有電解液を作製した。その後のリチウムイオン電池の作成は実施例1と同様に行った。
(比較例2)
多孔質材料を使用せず、下記の方法で作製した以外は、実施例1と同様にして電解液およびイオン電池を作製した。
熱可塑性樹脂に直鎖状ポリエチレンを、難燃化剤にりん酸トリエチルを用いて、直鎖状ポリエチレンのキシレン溶液にりん酸トリエチルを滴下して調製した溶液を、エチルアルコール中に滴下してコロイド溶液を調製した。得られたコロイド溶液を分離ろ過した後、残留物減圧乾燥して芯材を有さない難燃化剤マイクロカプセルを調製した。その後、実施例3と同様にしてリチウムイオン電池を作製した。
(比較例3)
芯材を有さない難燃化剤含有マイクロカプセルを下記の方法で作成して用いた以外は、実施例1と同様にして電解液およびイオン電池を作製した。
まず、熱可塑性樹脂に直鎖状ポリエチレン(融点が95〜130℃)を80℃のキシレンで溶解させたポリエチレン溶液を調整した。このポリエチレン溶液に難燃化剤であるリン酸トリエチルを投入し、更にこれをエタノール中に滴下してコロイド溶液を調整した。得られたコロイド溶液を分離ろ過した後、残留物を減圧乾燥して芯材を有さない難燃化剤含有マクロカプセルを調製した。
(電解液の難燃性試験)
電解液の安全性評価試験として、UL94HBを模擬した試験方法を用いた。ガラスフィルターを短冊状に切り、そのガラスフィルターにマイクロカプセルを分散した電解液を含浸して水平に保持し、端部に接炎して離した後の燃焼の進行速度により難燃性の有無を確認したところ、実施例1〜3及び比較例1〜2に用いた電解液はいずれも良好な結果を示したのに対して、比較例3の電解液は、他の電解液に比べて燃焼時間がやや長く、難燃化の効果が小さいことがわかった。
(リチウムイオン電池の電池特性評価)
実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した各リチウムイオン電池について、20サイクルの充放電を繰り返した。実施例1〜3、及び比較例3のリチウムイオン電池は良好な試験結果を得ることができたが、比較例1と2は、実施例1〜3、及び比較例3に比べて放電容量が劣っていた。比較例1が劣っているのは、りん酸トリエチルが電解液に溶解することで電池特性が悪化したためであり、比較例2は、多孔質材(芯材)がないため、ハンマーで叩くことによりマイクロカプセルが開口し、りん酸トリエチルが流出したと考えられる。
(リチウムイオン電池の安全性評価)
電池特性評価に用いたリチウムイオン電池と同じ組成の電池を用い、これらを充電した後、安全性を以下の試験方法で評価した。
<短絡試験>
25℃と85℃で、充電の後、正極と負極を銅線で短絡して、電池温度を観察した。いずれのリチウムイオン電池も電池温度が上昇しても発火しないことを確認した。
<釘さし試験>
充電した電池に、直径3ミリメートルの釘を貫通させて、電池温度が上昇しても破裂、発火がないかを確認した。実施例〜3及び比較例1〜2は電池温度が上昇しても発火しないが、比較例4は温度上昇幅が大きく一時的に発火した。
<燃焼試験>
充電した電池をガスバーナーで30秒加熱して、激しい燃焼が起きないかを確認した。実施例1〜3及び比較例1〜2は一時的に発火してもすぐに消炎するが、比較例3は発火した後に消炎するまでにより長時間を要した。
<過充電>
10時間率で端子電圧5.0ボルト、カットオフで24時間充電して、電池温度が上昇しても発火しないことを確認した。
以上の安全性の評価試験の結果から、本発明のリチウムイオン電池は、難燃化剤をマイクロカプセル化することにより、電池特性と安全性を両立することがわかった。また、本発明のマイクロカプセルは、外力によるカプセルの破壊とそれに伴う電池特性の悪化を回避できることがわかった。
101、201 負極
102 負極集電体
103、203 正極
104 正極集電体
105 電解液(電解質溶液)
106、206 負極端子
107、207 正極端子
108、208 セパレーター
109 電池ケース
110 粒子(マイクロカプセル)
209 ラミネートフィルム

Claims (6)

  1. リチウム塩を有機溶媒に溶解した電解液中に、難燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子を含むリチウムイオン電池用電解液。
  2. 難燃化剤含有多孔質材料の難燃化剤が、燐含有化合物を含む請求項1に記載のリチウムイオン電池用電解液。
  3. 熱可塑性樹脂の融点が、70〜150℃である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用電解液。
  4. 難燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子の粒径が、1〜500μmである請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用電解液。
  5. 難燃化剤含有多孔質材料を熱可塑性樹脂で被覆した粒子の含有量が、電解液に対して、1〜30質量%である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用電解液。
  6. 負極活物質を有する負極と、正極活物質を有する正極と、請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン電池用電解液とを有するリチウムイオン電池。
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