JP2015053024A - タッチセンサ装置、電子機器、位置算出方法及び位置算出プログラム - Google Patents

タッチセンサ装置、電子機器、位置算出方法及び位置算出プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】掌の接近に伴う影響によってドラッグ操作時を含めた位置精度を改善した静電容量方式タッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチオン判定された直後に、掌の影響を受けた第1の検出位置と掌の影響を除去した正確な第2の検出位置を算出し、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置を基に補正値を計算する。前記タッチオン判定された時点からタッチオフ判定される時点までは逐次、掌の影響を受けた第1の検出位置を一旦算出し、前記補正値により補正して、第3の検出位置を算出することによって、ドラッグ操作時の位置精度を改善する。
【選択図】図13

Description

本発明は、静電容量方式のタッチセンサ装置に関する。また、本発明は、そのタッチセンサ装置を備えた電子機器に関する。
タッチセンサ装置は、指先やペンなどの指示体を用いて指し示された位置座標、又は指し示す動作の有無を検出する装置であり、通常、液晶ディスプレイ(以下「LCD(Liquid Crystal Display)」という。)やプラズマディスプレイ(以下「PDP(Plasma Display panel)」という。)や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下「有機ELディスプレイ」という。)等の面表示装置と組み合わせて用いられる。
タッチセンサ装置の出力をコンピュータに入力し、コンピュータによって表示装置の表示内容を制御したり機器を制御したりすることにより、使い勝手の良いマンマシン・インターフェイスが実現される。現在はゲーム機、携帯情報端末、券売機、ATM(Automated Teller Machine)、カーナビゲーションなど、日常生活において広く利用されている。また、コンピュータの高性能化やネットワーク接続環境の普及とともに、電子機器で供給されるサービスが多様化し、これに伴いタッチセンサ装置を備えた表示装置のニーズが拡大し続けている。
タッチセンサ装置の方式として、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波方式、電磁誘導方式などが知られている。タッチセンサ装置の中でも、静電容量方式のタッチセンサ装置は、薄いガラスやプラスチックなどを通して指示体の接触を感知することが可能であり、接触の際に強く押さなくても感知するので、繰り返し入力(接触)に対する耐久性に優れている。このような特徴から、静電容量方式のタッチセンサ装置は、工業用製品や白物家電などの多くのアプリケーション領域において広く使用されている。
静電容量方式のタッチセンサ装置は、投影容量方式(Projected capacitive type)と表面容量方式(Surface capacitive type)に分類される。
投影容量方式は、X−Y透明電極をマトリクス形状で形成した方式である。X透明電極とY透明電極とはガラスや絶縁層を介して形成されており、X−Y透明電極に指示体が近づくと、電極間の静電容量が増加し、X−Yのラインの静電容量の変化をコントローラが検知し、指示体の位置を検出する。
一方、表面容量方式は、絶縁性透明基板と、その表面に形成された均一な透明導電層と、その上面に形成された薄い絶縁層(保護層)とで構成する。このタッチセンサ装置を駆動する際は、その透明導電層の四隅に交流電圧を印加する。指示体でタッチセンサ装置の表面を触れると、透明導電層と指示体とによって形成される静電容量を介して、指示体に微小電流が流れる。この微小電流は、透明導電層の四隅のそれぞれから指示体が接触した点へ流れる。そして、信号処理回路によって、これらの電流の和から接触の存在の有無を検出する。また、これらの電流の比から、タッチ位置の座標を計算する。ここで、透明導電層の各隅に流れる電流は、信号処理回路によって電流に比例する信号に変換される。このような表面容量方式に関する技術については、例えば、特許文献1に開示されている。
しかし、タッチセンサ装置の表面と指先が接触すると、実際には指先以外の人体の一部である、手全体や腕(以下「掌」という。)もタッチセンサ装置の表面に接近するので、透明導電層と掌との間にも容量が形成される。このように、透明導電層と掌との間にも容量が形成されると、掌の接近に伴う電流が流れて信号処理回路で検出される電流に重畳するので、そのまま検出位置を求めると指先が指した位置座標に対して、検出位置がずれるという問題がある。例えば特許文献2、3には、タッチスクリーン上のタッチ位置の精度を改善する技術が開示されている。
特許文献2には、指先の接触前後の信号の時間的な特徴によって、位置を補正する技術が開示されている。
特許文献3には、タッチセンサ装置の表面に指先が接触する直前の信号変化の傾向を基にして、掌の接近に伴う信号を推定し、取得した全体の信号から、推定した掌の接近に伴う信号を減算して、位置を算出する、という技術が開示されている。
特許文献4には、投影容量方式のタッチパネルが開示されており、そこでは掌、具体的には非タッチ部位である指の第二関節から付け根部分の近接により発生する静電容量の影響により、検出されるタッチ位置がずれることが記載されている。このような不都合を解決するために、最も発生容量の大きいセンサの発生容量と、その周囲のセンサの発生容量との大きさから、指示体の傾斜方向、傾斜角度を推定し、センサの発生容量を補正する。ただし、特許文献4に記載の技術を適用するには、投影容量方式のようにセンサが複数必要であり、すなわち、透明導電体で形成される複数のセンサが互いに分離されている必要がある。したがって、特許文献4に記載の技術は、センサが単一である表面容量方式に適用できない。
特公平01−019176号公報 特表2008−543226号公報 特開2012−104102号公報 特開2012−146026号公報
以下の分析は、本発明の観点から与えられる。特許文献3に記載されている検出位置の算出方法においては、指先で軽くタッチセンサ装置表面をたたくタップと呼ばれる操作や、画面上をしばらく指先で押さえて静止する操作については、位置精度が改善される。しかしながら、指先の接触に引き続いて接触させながら指をスライドする、すなわちドラッグ操作をすると、タッチダウンしたタッチ位置から指の位置が遠ざかるにつれて検出位置のずれが大きくなるので、ドラッグ操作については特許文献3に記載の技術を非適用とした場合と比べてかえって位置精度が悪化する。
特許文献3の技術を適用した場合に、ドラッグ操作で位置精度が悪い原因を次のように分析した。タッチに引き続きドラッグ操作をすると、タッチスクリーン上で指先の位置座標が変化する。指先の位置座標の変化に応じて、信号処理回路で取得される4つのタッチ信号がそれぞれ変化する。しかし、掌の位置も変化するので、タッチスクリーン上でタッチセンサ(透明導電層)と掌の間に形成される容量の位置が変わり、信号処理回路で取得される4つの信号に重畳する掌の接近に伴う信号もそれぞれ変化する。つまり、ドラッグ操作中は、指先の接触に伴う信号と掌の接近に伴う信号との両方が変化するため、これらの内訳が不明である。
しかし、特許文献3においては、信号処理回路で取得する変化する信号と一定値である推定した掌の接近に伴う信号とを使用して検出位置を求める。したがって、“タッチオン判定の直前に推測した掌の接近に伴う信号”と“ドラッグ操作し位置が変化した後の掌の接近に伴う信号”との差異が位置精度を悪化させる。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、掌の接近に伴う影響によって、ドラッグ操作時に位置精度が悪いことである。
本発明に係るタッチセンサ装置は、
付随部分を有する指示体のタッチの有無及び当該指示体のタッチ位置に応じてインピーダンスが変化するタッチパネルと、
このタッチパネルにおける前記インピーダンスに基づく検出信号を一定時間ごとに出力する検出回路と、
この検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルに触れたことを示すタッチオンを判定するタッチオン判定部と、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルから離れたことを示すタッチオフを判定するタッチオフ判定部と、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を受けた前記タッチ位置である第1の検出位置を算出する第1の位置算出部と、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置である第2の検出位置を算出する第2の位置算出部と、
前記第1及び第2の位置算出部で算出された前記第1及び第2の検出位置に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置を得るための補正値を算出する補正値算出部と、
前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定されてから前記タッチオフ判定部で前記タッチオフが判定されるまでの間、前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出しつつ、前記補正値算出部で算出された前記補正値を用いて当該第1の検出位置を補正することにより第3の検出位置を算出する第3の位置算出部と、
を備えたものである。
本発明に係る電子機器は、本発明に係るタッチセンサ装置を備えたものである。
本発明によれば、指示体の付随部分の接近に伴う影響に対して、指示体のドラッグ操作中も位置精度を改善できる。
実施形態1のタッチセンサ装置を示す機能ブロック図である。 実施形態1の位置算出方法及び位置算出プログラムを示すフローチャートである。 実施形態1の電子機器を示す概略斜視図である。 図3のIV−IV”線における概略断面図である。 実施形態1の電子機器におけるタッチセンサ機能の等価回路図である。 実施形態1における電流検出回路及びその周辺機能の概略ブロック図である。 実施形態1のタッチセンサ装置における電圧波形の一例を示すグラフである。 実施形態1におけるベースライン補正を説明する模式図である。 実施形態1おけるfa(iT)〜fd(iT)及びf(iT)の関係を説明する模式図である。 実施形態1のタッチセンサ装置の動作及び制御方法並びにタッチセンサ装置を動作させるためのプログラムを説明するためのフローチャート(その1)である。 実施形態1のタッチセンサ装置の動作及び制御方法並びにタッチセンサ装置を動作させるためのプログラムを説明するためのフローチャート(その2)である。 実施形態1におけるタッチ前後のf[iT]の時間変化を示すグラフである。 実施形態1における図10及び図11のアルゴリズムを説明するための概念図である。 実施形態1においてタッチに引き続きドラッグしたときの位置Xの時間経過を示すグラフである。 実施形態1においてタッチに引き続きドラッグしたときの電流の時間経過を示すグラフである。 実施形態2のタッチセンサ装置を動作させるためのプログラムを説明するための概念図である。 実施形態2のタッチセンサ装置を動作させるためのプログラムを示すフローチャートである。 実施形態3のタッチセンサ装置を動作させるためのプログラムを示すフローチャートである。 実施例1において指示体に導電体を使用した場合の1次元の位置検出を示す模式図である。 実施例1における1次元の位置検出の等価回路図である。 実施例1におけるタッチパネルを指で接触した場合の1次元の位置検出を示す模式図である。 実施例1において指先の接触に伴う電流成分を計算する模式図である。 実施例1において掌の接近に伴う電流成分を計算する模式図である。 実施例1においてタッチ直後の位置を算出する模式図である。 実施例1においてドラッグ後の位置を算出する模式図である。 実施例1における設定した位置と計算した位置との関係を示すグラフである。 実施例2における検査装置を示す斜視図である。 実施例2において指示体毎に検出回路を使用して静電容量測定する時の検査装置を示す斜視図である。 実施例2における指示体からタッチパネル表面までの距離と静電容量との関係を示すグラフである。 実施例2における検査装置を使用してタッチ(Xo=0.6)する状態を示す斜視図である。 実施例2における検査装置を使用してドラッグ(Xc=0.3)する状態を示す斜視図である。 実施例2において掌の接近に伴う影響を消去した時の検査装置を示す斜視図である。 実施例2における検査装置を使用した検出位置の結果一覧表である。 実施形態4における、図35のXXXIV-XXXIV線に沿った投影容量式タッチパネル付LCDを示す断面模式図である。 実施形態4の電子機器を構成する投影容量式タッチセンサ装置付LCDにおける、投影容量式タッチセンサ装置を示す平面模式図である。 実施形態4の投影容量式タッチセンサ装置による位置座標の補正の概要を示す平面模式図であり、図36(a)はタッチオン判定直後の状態を示し、図36(b)はタッチオン判定からタッチオフ判定までの状態を示す。 実施形態4における、図38のXXXVII-XXXVII線に沿ったカバーガラス一体型投影容量式タッチパネル付LCDを示す断面模式図である。 実施形態4の電子機器を構成するカバーガラス一体型投影容量式タッチセンサ装置付LCDにおける、カバーガラス一体型投影容量式タッチセンサ装置を示す平面模式図である。 実施形態1による位置精度Paを示すグラフ(一覧表)である。 実施形態2によるドラッグ操作時の位置精度Paと調整値AVとの関係を示すグラフである。 実施形態2による位置精度Paを示すグラフ(一覧表)である。 実施形態3によるタッチした手の判定結果を示すグラフである。 実施形態3による位置精度Paを示すグラフ(一覧表)である。
<実施形態1>
図1は、実施形態1のタッチセンサ装置を示す機能ブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
本実施形態1のタッチセンサ装置100は、付随部分10aを有する指示体10のタッチの有無及び指示体10のタッチ位置X,Yに応じてインピーダンス11が変化するタッチパネル101と、タッチパネル101におけるインピーダンス11に基づく検出信号12を一定時間ごとに出力する検出回路102と、検出回路102から出力された検出信号12に基づき、指示体10がタッチパネル101に触れたことを示すタッチオン13を判定するタッチオン判定部103と、検出回路102から出力された検出信号12に基づき、指示体10がタッチパネル101から離れたことを示すタッチオフ14を判定するタッチオフ判定部104と、検出回路102から出力された検出信号12に基づき、付随部分10aの影響を受けたタッチ位置X,Yである第1の検出位置15を算出する第1の位置算出部105と、検出回路102から出力された検出信号12に基づき、付随部分10aの影響を除いたタッチ位置X,Yである第2の検出位置16を算出する第2の位置算出部106と、タッチオン判定部103でタッチオン13が判定された直後に、第1及び第2の位置算出部105,106で算出された第1及び第2の検出位置15,16に基づき、付随部分10aの影響を除いたタッチ位置X,Yを得るための補正値17を算出する補正値算出部107と、タッチオン判定部103でタッチオン13が判定されてからタッチオフ判定部104でタッチオフ14が判定されるまでの間、検出回路102から出力された検出信号12に基づき第1の検出位置15を算出しつつ、補正値算出部107で算出された補正値17を用いて第1の検出位置15を補正することにより第3の検出位置18を算出する第3の位置算出部108と、を備えている。ここで、インピーダンス11は、図5に示すインピーダンス面39において、タッチ位置座標に対応する箇所から各電極38までのインピーダンスを示す。
第1及び第3の位置算出部105,108は、指示体10がタッチパネル101から十分に離れた状態における検出信号12をベースラインとし、タッチオン判定部103でタッチオン13が判定された後の検出信号12から前記ベースラインを減算した第1の信号を算出し、この第1の信号に基づき第1の検出位置15を算出する、としてもよい。
第2の位置算出部106は、タッチオン判定部103でタッチオン13が判定される直前にインピーダンス11に含まれる静電容量が緩やかに増加することに伴う検出信号12の変化に基づき、付随部分10aの接近に伴う信号を算出し、タッチオン判定部103でタッチオン13が判定された直後の検出信号12から付随部分10aの接近に伴う信号を減算して第2の信号を算出し、この第2の信号に基づき第2の検出位置16を算出する、としてもよい。
補正値算出部107が補正値17を算出する際に用いる、第1の検出位置15及び第2の検出位置16は、検出回路102から同一時刻に出力された検出信号12に基づき算出される、としてもよい。
補正値算出部107が補正値17を算出する際に用いる、第1の検出位置15及び第2の検出位置16は、検出回路102から同一時刻に出力された検出信号12乃至当該同一時刻から6番目に出力された検出信号12に基づき算出される、としてもよい。
補正値算出部107が補正値17を算出する際に用いる、第1の検出位置15は、検出回路102から同一時刻に出力された検出信号12乃至当該同一時刻から6番目に出力された検出信号12に基づき、前記第1の信号の平均値を算出し、この平均値に基づき算出される、としてもよい。
補正値算出部107が補正値17を算出する際に用いる、第2の検出位置16は、検出回路102から同一時刻に出力された検出信号12乃至当該同一時刻から6番目に出力された検出信号12に基づき、前記第2の信号の平均値を算出し、この平均値に基づき算出される、としてもよい。
第1及び第2の位置算出部105,106は、検出信号12に基づき、第1の検出位置(X1[nT],Y1[nT])及び第2の検出位置(X2[nT],Y2[nT])を算出し、補正値算出部107は、第1の検出位置(X1[nT],Y1[nT])及び第2の検出位置(X2[nT],Y2[nT])に基づき、補正値(X2[nT]−X1[nT],Y2[nT]−Y1[nT])を算出し、第3の位置算出部108は、タッチオン判定部103でタッチオン13が判定されてからi番目の検出信号12に基づき第1の検出位置(X1[iT],Y1[iT])を算出しつつ、補正値(X2[nT]−X1[nT],Y2[nT]−Y1[nT])を用いて当該第1の検出位置(X1[iT],Y1[iT])を補正する次式により第3の検出位置(X3[iT],Y3[iT])を算出する、
X3[iT]=X1[iT]+(X2[nT]−X1[nT])
Y3[iT]=Y1[iT]+(Y2[nT]−Y1[nT])
としてもよい。
図2は、実施形態1の位置算出方法及び位置算出プログラムを示すフローチャートである。以下、図1及び図2に基づき説明する。
本実施形態1の位置算出方法は、本実施形態1のタッチセンサ装置100の動作を方法の発明として捉えたものである。すなわち、本実施形態1の位置算出方法は、検出回路102から出力された検出信号12に基づき、指示体10がタッチパネル101に触れたことを示すタッチオン13を判定するタッチオン判定ステップS01と、検出回路102から出力された検出信号12に基づき、指示体10がタッチパネル101から離れたことを示すタッチオフ14を判定するタッチオフ判定ステップS06と、検出回路102から出力された検出信号12に基づき、付随部分10aの影響を受けたタッチ位置X,Yである第1の検出位置15を算出する第1の位置算出ステップS02と、検出回路102から出力された検出信号12に基づき、付随部分10aの影響を除いたタッチ位置X,Yである第2の検出位置16を算出する第2の位置算出ステップS03と、タッチオン判定ステップS01でタッチオン13が判定され直後に、第1及び第2の位置算出ステップS02,S03で算出された第1及び第2の検出位置15,16に基づき、付随部分10aの影響を除いたタッチ位置X,Yを得るための補正値17を算出する補正値算出ステップS04と、タッチオン判定ステップS01でタッチオン13が判定されてからタッチオフ判定ステップS06でタッチオフ14が判定されるまでの間、検出回路102から出力された検出信号12に基づき第1の検出位置15を算出しつつ、補正値算出ステップS04で算出された補正値17を用いて第1の検出位置15を補正することにより第3の検出位置18を算出する第3の位置算出ステップS05と、を備えている。
本実施形態1の位置算出プログラムは、本実施形態1の位置算出方法の各ステップをコンピュータ110に実行させるためのものであり、言い換えると、本実施形態1のタッチセンサ装置100の各部としてコンピュータ110を機能させるためのものである。本プログラムは、非一時的な記録媒体(non-transitory storage medium)、例えば半導体メモリなどに記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
本実施形態1の位置算出方法及び位置算出プログラムは、前述したタッチセンサ装置100の多様な形態と実質的に同じ形態を採ることができる。また、後述する他の実施形態及び実施例における位置算出方法及び位置算出プログラムも、タッチセンサ装置の形態と実質的に同じ形態を採ることができる。
以下、本実施形態1について詳細かつ具体的に説明する。
[構成]
実施形態1のタッチセンサ装置及び電子機器について説明する。以下においては、実施形態1の電子機器についてモニタを例にして説明する。図3に、実施形態1の電子機器の概略斜視図を示す。図4に、図3のIV−IV″線に沿った実施形態1の電子機器の概略断面図を示す。図5に、実施形態1の電子機器におけるタッチセンサ機能の等価回路図を示す。図6に、電流検出回路及びその周辺機能の概略ブロック図を示す。
図4に示す概略断面図においては、本実施形態1の電子機器1は、本実施形態1のタッチセンサ装置100を備える。タッチセンサ装置100は、タッチパネル101とFPC(Flexible Printed Circuit)7と電源装置20とメイン基板19とコントローラ21とからなる。
図5のタッチセンサ機能の等価回路図においては、タッチパネル101は、絶縁性透明基板41上に、透明導電層などのインピーダンス面39と、インピーダンス面39の四隅に設けられる複数の電極38と、インピーダンス面39の表面を覆う保護層37と、を有する。交流電圧源である発振器27が出力する交流電圧は、複数の電極38を介してインピーダンス面39に印加される。指示体23がタッチパネル101の表面に接触(近接)すると、指示体23とインピーダンス面39との間に静電容量25が形成される。タッチセンサ装置100の電流検出部は、複数の電極38に流れる電流をそれぞれ検出する複数の電流検出回路29a〜29dを有する。複数の電極38に流れる電流の総和は、指示体23とインピーダンス面39との間に形成される静電容量25に比例する。複数の電流検出回路29a〜29dの各出力は、標本化(サンプリング)と量子化によって、非連続な数値(デジタル信号)に変換される。これらの数値を基に静電容量25に比例する信号(以下「信号」とする。)が計算される。この信号は一定の周波数30〜120Hzで出力される。なお、本実施形態1にいうインピーダンス面39とは、三次元的構造をも含み、例えば、表示部に対応する領域においてパターニングしていない透明導電層のことをいう。以下、インピーダンス面39を透明導電層39と言い換える。電流検出回路29a〜29dをまとめて電流検出回路29という。
図4に示す電子機器1の概略断面図においては、タッチパネル101の外周の上面と、電子機器1の筐体3の内部とが接着されることで、タッチパネル101が支持されている。ここで、筐体3の材質は例えばプラスチックとすることができる。プラスチックは、高分子化合物から成り、絶縁体である。また、タッチパネル101の下側に、表示装置としてLCD5が設けられている。図4においては、タッチパネル101とLCD5との間を離しているが、タッチパネル101とLCD5との間に接着フィルムを使って、これらをラミネート加工などで貼り合わせてもよい。その場合は、タッチパネル101とLCD5との間に空気層が入らないので、LCD5からタッチパネル101への光の透過率を高められるという利点がある。LCD5は、CRT(Cathode Ray Tube)やPDPなど他の表示装置に比べて薄くて軽いので、電子機器1に搭載するのに適している。LCD5に用いる液晶パネルは、二枚のガラス板の間に液晶を封入し、電圧をかけることによって液晶分子の向きを変え、光の透過率を増減させることで画像を表示する構造になっている。液晶を照明するために、液晶パネルの背面にバックライトが設けられている。二枚のガラス基板は、一般にTFT(Thin Film Transistor)基板と対向基板とからなる。このように、背面からの面状のバックライト光を液晶パネルで変調し画像を表示する透過型のLCDを例にとって説明したが、前述のTFT基板上に反射板となる金属電極を形成し、周囲光を表示に利用する反射型LCDとしてもよい。また、その反射板に網点状に微細な穴を開けることにより、透過・反射兼用とした半透過型LCDとしてもよい。
タッチパネル101としては、絶縁性透明基板41上にスパッタ法などにより透明導電層39が形成されたものを用いることができる。ここで、透明導電層39の材料は、例えばITO(Indium Tin Oxide)とすることができる。透明導電層39の厚みは10nm〜300nmとすることができ、そのシート抵抗は100Ω〜1000Ωとすることができる。透明導電層39の四隅には、それぞれ異方性導電性フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)などの導電性の接着材料を介して、FPC7の端子部(電極38)が接続されている。あるいは、透明導電層39の四隅に、金属から成る電極を形成してもよい。この場合の金属は、銀やチタンなどの、ITOに対して接触抵抗が低い材料が好ましい。また、金属から成る配線を形成し、透明導電層39の外周を引き廻してもよい。その場合、配線とITOとを絶縁するために、配線下のITOがパターニングされるか、配線とITOの間に絶縁層が設けられる。
更に、透明導電層39を被覆する保護層37を形成する。保護層37にはガラス、プラスチック、樹脂などを用いることができる。ここで、保護層37の厚さは2.0mm以下が好ましい。また、保護層37を省き、透明導電層39を表面に露出させてもよい。更に、保護層37の厚さを薄くするほど、接触した指示体23と透明導電層39との間に形成される静電容量25が増加するので、タッチセンサ機能の信号対雑音比(S/N)を高めることができる。一方、保護層37の厚さを厚くするほど、指示体23による繰り返し入力に対する耐久性を高めることができる。
図4に示す形態においては、FPC7は、タッチパネル101とメイン基板19とが離れているために、電気信号を伝達する配線として形成されている。ここでは、空間的制約のために配線や基板を曲げる必要がある箇所があるために、FPC7を用いると好ましい。FPC7は、一般的には、柔軟性があり大きく変形させることが可能なプリント基板であり、厚みが12μ〜50μmのフィルム状の絶縁性透明基板の上に接着層を形成し、更にその上に導体箔を形成した構造である。FPC7の端子部やハンダ部以外の部分は、絶縁体を被せて保護されている。
透明導電層39から電極38を介して引き出されたFPC7のもう一方の端子部は、メイン基板19上のコネクタを介して、タッチセンサ装置100用のコントローラ21の入力側に接続されている。メイン基板19は、液晶パネル、バックライトなどから成るLCDモジュールと、コネクタを介して接続されている(不図示)。電源装置20は、コネクタを使わずにメイン基板19と接続されている。電源装置20とメイン基板19との間には、正電源電圧+3V〜+15V、負電源電圧−15V〜−3V及び、基準電圧0Vの配線を接続することができる。
また、メイン基板19は、表面実装基板から成り、図6に示す形態のマイクロコントローラ58やフラッシュメモリを内蔵したICチップ、ディスプレイのインターフェース用IC、電源制御IC、タッチセンサ装置100用のコントローラ21、発振回路ICの主要な機能を持つチップなどを実装している。あるいは、コントローラ21をFPC7上などに設けた薄型プリント配線基板上に、メイン基板19を実装してもよい。
図5に示す形態においては、4つの電流検出回路29a〜29dが透明導電層39の四隅の夫々に電極38を介して電気的に接続されている。また、発振回路ICの出力端子(発振器27)が電流検出回路29を介して透明導電層39の四隅に電気的に接続されている。ここで、交流電圧は、正弦波電圧とし、その振幅を0.5V〜2V、その周波数を20kHz〜200kHzの間で設定することができる。
図6に示す形態においては、電流検出回路29cは、前段である電流−電圧変換回路28cと、後段であるAC−DC変換回路54cとを有する。また、AC−DC変換回路54cの出力端子は、マイクロコントローラ58に内蔵されたアナログ−デジタル変換回路56に入力されている。ここで、アナログ−デジタル変換回路56はマルチチャンネル入力可能であり、AC−DC変換回路54a〜54dの4つの出力が入力されている。
また、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)60は、マイクロコントローラ58の中心的な処理装置であり、アナログ−デジタル変換回路56及びフラッシュメモリ62などと接続されている。フラッシュメモリ62には、タッチセンサ装置100の本実施形態1の位置検出プログラムを含むプログラムが保存されている。そのプログラムの保存にはフラッシュメモリ62のように、電源をオフしても、データを保持できる不揮発性のメモリが使用される。
なお、発振器27及び電流検出回路29(29a〜29d)は図1における検出回路102の一例であり、マイクロコントローラ58は図1におけるコンピュータ110の一例であり、指示体(指)23は図1における指示体10の一例であり、「掌」は図1における付随部分10aの一例である。
次に、タッチセンサ装置100を含む電子機器1の動作について、主に図5に示す形態を参照して詳細に説明する。
発振器27から透明導電層39に正弦波電圧が印加され、透明導電層39が均一な電圧に保たれる。指示体23が保護層37の表面に接触すると、保護層37を介して、指示体23と透明導電層39との間に5pF〜50pFの静電容量25が形成される。また、指示体23が指先である場合、人体は水分を多く含み、導電性であるため、指示体23の接触により形成された静電容量25が人体の電位に接続される。また、人体は接地効果があるので静電容量25の一端が接地される。ここで、発振器27から出力される正弦波電圧の周波数が100kHzの場合、人体のインピーダンスは数kΩである。一方、静電容量25が5pF〜50pFの場合、静電容量25のインピーダンスは30k〜300kΩとなる。したがって、静電容量25のインピーダンスは人体のインピーダンスよりも1桁から2桁程度高いので、人体のインピーダンスの影響は無視される。
タッチに伴う電流は、透明導電層39を介して電流検出回路29a〜29dに夫々電流ia〜idとして分流する。電流ia〜idは、図5に示す形態の電流検出回路29a〜29dで検出される電流である。すなわち、電流iaは電流検出回路29a、電流ibは電流検出回路29b、電流icは電流検出回路29c、電流idは電流検出回路29dで、それぞれ検出された電流である。電流ia〜idの比率は透明導電層39の抵抗Ra〜Rdに応じて変化し、抵抗Ra〜Rdはタッチパネル101上に接触した指示体23の位置に応じて変化する。タッチ位置に関する演算の一例は次の式A1、式A2となる。
X=k1+k2・(ib+ic)/(ia+ib+ic+id) (式A1)
Y=k3+k4・(ia+ib)/(ia+ib+ic+id) (式A2)
ここで、Xはタッチ位置のX座標、YはY座標であり、k1〜k4は定数である。定数k1〜k4は次に示すキャリブレーションによって求められる。タッチパネル101上の測定点(X,Y)をタッチし、その時の電流ia〜idを測定する。X,Y,ia〜idを式A1、式A2に代入すると、定数k1〜k4の関係式が求められる。測定点数を2点とすれば、定数k1〜k4を求められる。また、測定点数が2点より多い場合は、最小二乗法を使用して定数k1〜k4を求めるが、測定点数が多くなるにつれて、測定誤差の影響が低減されて、定数k1〜k4を算出する精度を高めることができる。ここで、電流ia〜idは、後述する、マイクロコントローラ58で取得される検出信号ha[iT]〜hd[iT]に比例する。
タッチセンサ装置100における電圧波形の一例を図7に示す。図7に示す例においては、タッチの検出期間を3ミリ秒とし、タッチの検出期間の周期を16ミリ秒とした、タッチの検出期間は3ミリ秒であるので、タッチの検出を行わない休止期間は残りの13ミリ秒となる。
図7に示す例のVinは発振器27の出力波形であり、Voutは、電流検出回路29に含まれる電流−電圧変換回路28の出力波形である。ここでは、Vinの周波数を100kHzとし、振幅を1Vとした。このとき、タッチの存在無しの場合は、例えば、Voutの振幅は3Vであり、タッチの存在有りの場合は、Voutの振幅は6Vとなる。すなわち、タッチに伴って振幅が3V増加する。ここで、タッチの存在無しの場合に生じるVoutの振幅3Vは、透明導電層39から見た人体以外の容量、すなわち浮遊容量が存在するため、及び、電流−電圧変換回路28のVoutにVinが出力されるためである。このように実際は、指示体23、及び掌などの人体の接近が無くても、アナログ−デジタル変換回路56の出力にある程度の電圧が生じる。
図6に示す形態においては、電流−電圧変換回路28cの出力は交流電圧であるので、その後段のAC−DC変換回路54a〜54dによって交流電圧を直流電圧に変換する。更に、AC−DC変換回路54a〜54dの直流電圧出力はアナログ信号であるので、その後段のアナログ−デジタル変換回路56によってアナログ信号をデジタル信号に変換する。次に、変換されたデジタル信号を基にしてCPU60で演算処理する。これらの電流検出回路29からCPU60までの信号処理によって、タッチを判定する1周期において、電流検出回路29に流れる電流ia〜idの各々が、その電流の大きさに比例する数値(検出信号)に変換される。
CPU60は、各々の検出信号を基に、タッチの存在の感知、タッチ位置に関する演算を実行する。電子機器1の電源が投入された後、CPU60によってフラッシュメモリ62からプログラム(本実施形態1の位置算出プログラムを含む。)が読み出され、これらのマイクロコントローラ58による動作(本実施形態1の位置算出方法を含む。)が繰り返し実行される。フラッシュメモリ62内にOS(Operating System)が保存されており、これが読み出される場合は、CPU60がOSを介してマウスイベント等の指示を出す。マウスイベントとは、タッチして算出した検出位置を基にマウス(マウスカーソル)の移動、タップ操作によるマウスクリックダウン、マウスクリックアップ等である。このようにして、マイクロコントローラ58によって、アナログ−デジタル変換からマウスイベントまでの処理が、所定の周波数60Hzで自動運転される。
次に、図6に示す形態を参照して、透明導電層39から見た浮遊容量(寄生容量)の存在について説明する。電流−電圧変換回路28cは、オペアンプ50と抵抗素子52で構成されており、オペアンプ50の反転入力端子と透明導電層39とが電気的に接続されている。オペアンプ50の反転入力端子と透明導電層39とは、FPC7などの配線を介して接続されているが、配線間やグランド35との間で寄生容量26を形成する。FPC7から寄生容量26を介してグランド35に電流が流れるので、電流−電圧変換回路28cに流れる電流に、寄生容量26に伴う電流が含まれる。
電流−電圧変換回路28に流れる電流は、CPU60で扱う検出信号に比例するので、検出信号は寄生容量26に伴う信号を含む。寄生容量26に伴う信号はタッチされた位置座標に無関係であるので、各検出信号を使用して、そのまま検出位置を求めると、位置がずれるという問題がある。
この対策として寄生容量26に伴う信号をベースラインとして保持して、新たに取得した検出信号から差し引く、ベースライン補正を実行する。ここでは、電流検出回路29a〜29dに対応するアナログ−デジタル変換回路56の出力を検出信号ha(iT)〜hd(iT)と表記する。ha(iT)〜hd(iT)を一般化してhch(iT)とする(ch=a,b,c,d)。検出信号ha(iT)〜hd(iT)の総和をh(iT)とする(式A3)。
d
h(iT)=Σhch[iT] (式A3)
ch=a
また、タッチセンサ装置100が、指示体23、及び掌などの人体の接近が無いと判断した場合に取得した検出信号ha(iT)〜hd(iT)を、ベースラインBa(iT)〜Bd(iT)と表記する。ベースラインBa(iT)〜Bd(iT)の総和をB(iT)とする(式A4)。Ba(iT)〜Bd(iT)を一般化して、Bch(iT)とする(ch=a,b,c,d)。
d
B(iT)=ΣBch[iT] (式A4)
ch=a
検出信号hch(iT)からベースラインBch(iT)を減算した結果を第1の信号fch(iT)とする(式A5)。fch(iT)、hch(iT)、Bch(iT)の関係を説明するグラフを図8に示す。
hch(iT)=fch(iT)+Bch(iT) (式A5)
ここで、第1の信号fch(iT)はfa(iT)〜fd(iT)を一般化した変数であり(ch=a,b,c,d)、fa(iT)〜fd(iT)の総和をf(iT)とする(式A6)。fa(iT)〜fd(iT)、f(iT)の関係を説明するグラフを図9に示す。
d
f(iT)=Σfch[iT] (式A6)
ch=a
次に、本実施形態1の位置算出方法の一例としてタッチセンサ装置100の動作及び制御方法、並びに、本実施形態1の位置算出プログラムの一例としてタッチセンサ装置100を動作させるためのプログラムについて説明する。本実施形態1のタッチセンサ装置の動作及び制御方法並びにタッチセンサ装置を動作させるためのプログラムを説明するためのフローチャートを図10及び図11に示す。
本実施形態1においては、位置算出に関するステップのみに第1の信号fch[iT]を使用し、フローチャートの各ステップの説明では、極力、4チャンネル信号の合計値f[iT]を使用する。タッチ前後のf[iT]の時間変化を図12に示す。ここで、デジタル化された信号であるf[iT]を次に示す手順で静電容量に換算した。まず、図5に示す形態において、指示体23の代わりにコンデンサを接続し、デジタル信号f[iT]を測定する。このとき、コンデンサの静電容量を変えてデジタル信号f[iT]を測定すると、コンデンサの静電容量の表示値とデジタル信号f[iT]とは比例関係にあった。このデジタル信号f[iT]と静電容量との関係を示す傾きを基に換算係数を求め、デジタル信号f[iT]を静電容量に換算した。
図10乃至図12に示す形態を参照して、プログラムの各ステップを説明する。
まず、タッチパネルのプログラムを開始後、タッチオフ判定する(SA01)。続いて、i回目のタッチ判定の判断において、信号を取得し、信号の出力値f[iT]を算出する(SA02)。続いて、1サイクル(T=16ミリ秒)当たりの信号f[iT]の差分値g1[iT]を算出する(SA03)。ここで、信号の差分値g1[iT]は、g1[iT]=f[iT]−f[(i−1)T]で算出される。続いて、差分値g1[iT]と第4閾値th4とを比較する(SA04)。ここで、第4閾値th4は、f[iT]が緩やかに変化しているか否か、すなわち掌の接近に伴い信号が変化しているか否かを判断する閾値である。
ステップSA04において、差分値g1[iT]が第4閾値th4以下である場合、ステップSA05でiを1つカウントアップしてから、ステップSA02に戻る。一方、差分値g1[iT]が第4閾値th4より大きい場合、iをmに代入し、f[iT]が急上昇し始める第1変化点をmTより1T前である時刻(m−1)Tにおけるf[(m−1)T]とする(SA06、図12)。本実施形態1では、第1変化点f[(m−1)T]を掌の接近に伴う信号とする。
又は、信号の出力値f[iT]が第1変化点を過ぎて急上昇してからも、第1変化点以前の緩やかな上昇の傾向をもとに第1変化点から時刻iTまで外挿する外挿値を求めて、掌の接近に伴う信号としてもよい。ここでは、単位時間(i−m+1)T、及び第1変化点の信号の出力値f[(m−1)T]をもとに、外挿値を2*f[(m−1)T]]−f[(2m−i−2)T]とする。外挿値を求めることで、指先とパネル表面との接触に伴って、信号が急上昇している間も、指だけでなく掌もパネル表面に対して接近するので、この区間における掌の信号成分の増加を見込むことにより、より正確に掌の接近に伴う信号を推測することができる。なお、本明細書において「*」は乗算を意味する記号である。
続いて、iを1つカウントアップし(SA07)、ステップSA02と同様にして信号を取得し、信号の出力値f[iT]を算出する(SA08)。続いて、ステップSA03と同様にして、差分値g1[iT]を算出する(SA09)。続いて、差分値g1[iT]と第4閾値th4とを比較する(SA10)。ここでは、差分値g1[iT]が第4閾値th4以上である場合、iを1つカウントアップしてから(SA11)、SA08に戻る。
一方、差分値g1[iT]が第4閾値th4より小さい場合、信号の出力値f[iT]と第1変化点f[(m−1)T]との差を求める。続いて、差(f[iT]−f[(m−1)T])と第3閾値th3と比較する(SA12)。差(f[iT]−f[(m−1)T])が第3閾値th3以下である場合、iを1つカウントアップしてから(SA13)、SA02に戻る。これは、タッチオン判定の閾値に達しないため、タッチオン判定を始めからやり直すことに相当する。
一方、差(f[iT]−f[(m−1)T])が第3閾値th3より大きい場合、iをnに代入し、タッチオン判定する(SA15)。ここで、タッチオン判定か否かを判断する時間は(n−m)Tとなる。また、第3閾値th3は第4閾値th4を使用して次の式A7で与えられる。
th3=th4*max(n−m) (式A7)
ここで、max(n−m)は(n−m)の上限値であり、(n−m)Tの上限値をmax{(n−m)T}とする。例えば、T=16ミリ秒とし、max(n−m)=5と設定した場合、max{(n−m)T}=5*16ミリ秒=80ミリ秒となる。第3閾値th3を1.5pFと設定した場合、第4閾値th4は、0.3pF(=th3/max(n−m)=1.5pF/5)となる。
続いて、第1の信号fch[nT]を基に第1の検出位置X1[nT],Y1[nT]を算出する(SA16)。ここで、検出位置の算出に式A1及び式A2を使用する。以降においても信号を基に検出位置を求めるときに、式A1及び式A2を使用するが、便宜上記載を省略する。また、サイクルiにおける第1の信号fch[iT]を基に算出される位置座標を第1の検出位置X1[iT],Y1[iT]と定義する。
続いて、第2の信号(fch[nT]−fch[(m−1)T])を基に第2の検出位置X2[nT],Y2[nT]を算出する(SA17)。ここで、サイクルiにおける第2の信号(fch[iT]−fch[(m−1)T])を基に算出される位置座標を第2の検出位置X2[iT],Y2[iT]と定義する。
第1の検出位置X1[nT],Y1[nT]及び第2の検出位置X2[nT],Y2[nT]は、後述するステップSA31で位置補正に使用する。ここで、位置補正に使用する第1の検出位置X1[nT],Y1[nT]及び第2の検出位置X2[nT],Y2[nT]がタッチオン判定されたサイクルi=nで算出されたように、同一サイクルi内で算出されることが好ましい。この理由は、サイクルiを揃えると、第1の検出位置及び第2の検出位置を求める際に使う、第1の信号に共通の値fch[iT]が使用されるために、使用する第1の信号の間に誤差が生じず、より正確な補正値を算出できるからである。
また、位置補正に使用する第1の検出位置及び第2の検出位置は、タッチオン判定されたサイクルi=n−1乃至n+6のいずれかで算出されるのが好ましい。まず、サイクルiの下限がn−1である根拠について述べる。サイクルi=n−1において、ステップSA10のg1[iT]<th4がFALSEとなるが、サイクルi=nにおいては、ステップSA10のg1[iT]<th4がTRUEとなるので、サイクルi≧n−1で第1の信号fch[iT]が急上昇後、ほぼ一定となるとともに、第1の信号fch[(n−1)T]からfch[nT]への変化がth4以下と小さい。タッチに伴い、第1の信号fch[iT]が急上昇後、ほぼ一定となると、掌の接近に伴う信号fch[(m−1)T]に対する、第2の信号(fch[nT]−fch[(m−1)T])の比(fch[nT]−fch[(m−1)T])/fch[(m−1)T]がほぼ極大となる。いわゆる信号対雑音比(S/N)が高くなるので、掌の接近に伴う影響を排除した第2の信号をもとに算出される、第2の検出位置がより正確になる。そして、タッチオン判定後の第2の検出位置が正しいほど、補正値がより正確になる。
一方ここで、サイクルiの上限がn+6である根拠を説明する。タッチに引き続きドラッグ操作する可能性があり、ドラッグ操作するとタッチオン判定直後から検出位置が変わる。人はタッチ後ドラッグ操作に移行するのに一般に0.1秒はかかるため、ドラッグ操作に移行するまでのサイクル数が上限値=n+0.1秒/T(16m秒)≒n+6となる。
また、第1の信号fch[iT]は、交流電源ラインから混入する雑音が重畳し、変動する。サイクル数i=n−1〜n+6に対応する第1の信号fch[(n−1)T]〜fch[(n+6)T]をいずれかの範囲で平均化することによって、ランダムな雑音を相殺することができる。したがって、平均化した第1の信号を使用して、第1の検出位置を求める、又は、平均化した第2の信号を使用して、第2の検出位置を求める、ことが好ましい。
続いて、f[nT]*αをタッチオフ判定の第1閾値th1とし記憶する(SA18)。ここで、αは、タッチオフ判定の第1閾値th1を計算するための定数である。例えば、αは予め0.6に設定する。続いて、iを1つカウントアップする(SA19)。ここまでで、タッチオン判定が確定したので、続いてタッチオフ判定に入る。続いて、ステップSA02と同様にして、信号の出力値f[iT]を取得する(SA20)。続いて、ステップSA03と同様にして、差分値g1[iT]を算出する(SA21)。
続いて、信号の出力値f[iT]と第1閾値th1とを比較する(SA22)。信号の出力値f[iT]が第1閾値th1より小さい場合、iを1つカウントアップ(SA23)してから、ステップSA01に戻る。すなわち、タッチオフ判定され、次のタッチオン待ちとなる。
一方、信号の出力値f[iT]が第1閾値th1以上である場合、タッチオフ判定せずに位置を算出する(SA30〜SA35)。ステップSA30では、第1の信号fch[iT]を基に第1の検出位置X1[iT],Y1[iT]を算出する。
続いて、第1の検出位置X1[iT],Y1[iT]をベースにして、ステップSA16で算出した第1の検出位置X1[nT],Y1[nT]、ステップSA17で算出した第2の検出位置X2[nT],Y2[nT]を使用して補正する。第3の検出位置X3[iT]=X1[iT]+(X2[nT]−X1[nT])、及び、Y3[iT]=Y1[iT]+(Y2[nT]−Y1[nT])と計算される(SA31)。ここで、本実施形態1の補正をした位置座標を第3の検出位置と定義する。
続いて、第3の検出位置X3[iT],Y3[iT]にポインタの位置を決定する(SA32)。続いて、SA21で算出した差分値g1[iT]と0とを比較する(SA33)。差分値g1[iT]が0以下である場合、ステップSA34を経由せずに、ステップSA35に進む。一方、差分値g1[iT]が0より大きい場合、f[iT]*αを新たなタッチオフ判定の第1閾値th1とする(SA34)。続いて、ステップSA35でiを1つカウントアップしてから、ステップSA20に戻る。
次に、本実施形態1の図10及び図11のアルゴリズムの概念図を図13に示す。図10及び図11のアルゴリズムの作用を図13示す概念図を使用して説明する。右人指し指でタッチする場合、右人指し指の指先に対して、右手の掌は右手前にあるので、掌の影響を受けて、算出される第1の検出位置が右手前にずれる。タッチしてからドラッグ操作している間で、タッチする手が右手から左手に変わることや、右人指し指が右手の他の指に変わることがない。すなわち、ドラッグに伴って掌も移動するものの、指先と掌との相対的な位置関係が概ね一定に保たれる。本アルゴリズムは、タッチしてからドラッグしている間で掌の位置への影響が一定であるという考えに基づいており、タッチオン判定された直後に補正値を算出し、タッチオフ判定されるまでの位置算出の補正に使用する。
[動作]
図10及び図11に示すアルゴリズムを使用し、動作をシミュレーションした。アナログ(表面)容量方式の1次元(X方向)の位置算出の原理を使用し、後述する実施例1で導出する式又は定義する変数を使用する。タッチに引き続きドラッグしたときの検出位置の時間経過を図14に示す。このときの各電流の時間経過を図15に示す。
図14に示す検出位置の時間経過を参照すると、時間経過が0〜1.05秒は非タッチの区間であるので、検出位置は算出されないが、タッチの区間である時間経過が1.05〜2.5秒の区間で検出位置が算出される。図14に示すグラフ中の“設定位置Xc”は、実際に指先が接触した正確な位置座標を示す。
図15に示す各電流の時間経過を参照すると、時間経過が0〜0.5秒の区間ではタッチパネルから人体が十分に離れており、電流ia,ibはともに0μAであった。ここで、透明導電層39から見た人体以外の容量、すなわち浮遊容量(電流)はベースライン補正によってキャンセルされている。
時間経過が0.5〜1.0秒の区間では、タッチパネルに掌が接近し、電流ia,ibが増加した。この区間では指先が接触しておらず、指先の接触に伴う電流成分ifa=ifb=0である。ここで、後述する実施例1に示す式K24より、電流iaは指先の接触に伴う電流ifaと掌の接近に伴う電流ihaとからなるので、ia=ihaとなる。電流ibも同様にib=ihbとなる。時間経過が1.0秒では、ia=iha=0.39μA、ib=ihb=0.91μAとなった。
時間経過が1.0〜1.05秒間の50ミリ秒という比較的短い区間で、指先の接触に伴い電流ia,ibが急増し、時間経過が1.05秒でia=1.9μA、ib=3.17μAとなり、電流ia,ibが時間経過に対して一定となった。16ミリ秒後、時間経過が1.066秒となった時にタッチオン判定された。このときの図10及び図11に示すアルゴリズムで算出した第3の検出位置は、図14に示す検出位置の時間経過を参照すると0.6となり、設定位置Xcと一致した。
時間経過が1.05〜1.55秒の区間で、指先がタッチパネルの表面に触れて静止しており、電流ia,ib並びに図10及び図11に示すアルゴリズムで算出した第3の検出位置が変化しない。
時間経過が1.55〜2.05秒の区間で、ドラッグ操作し指先はXc=0.6から0.3に移動し、この間で図10及び図11に示すアルゴリズムで算出した第3の検出位置も設定位置Xcと一致した。この区間では、図15の電流の時間経過を参照すると、電流iaが1.9μAから3.42μA、ihaが0.39μAから0.78μA、ibが3.17μAから1.65μA、ihbが0.91μAから0.52μA、と大きく変化する。電流iha,ihbも変化する原因は、ドラッグに伴って掌の位置(容量)も移動するためである。
次に、特許文献3の段落0163〜0188に記載されている対策で、ドラッグ操作した後の位置座標である第2の検出位置がずれる原因を分析した。図15に示す電流の時間経過に、掌の接近に伴う電流を加えた目的は、ドラッグ操作の際に、掌の接近に伴う電流も変化することを説明するためである。
図15に示す電流の時間経過においては、ドラッグ操作後の設定位置Xcを既知として、Xcを基にして掌の接近に伴う電流iha,ihbを計算している。しかし、実際には、電流検出回路29及びこれに続く信号処理では、電流ia,ibのみが求められ、iha,ihbは求めることができない。すなわち、検出位置を求めるのに電流ia、ibのみしか使えない。時間経過が1.55〜2.05秒の区間のように、ドラッグ操作によって、“指先の接触に伴う電流”と“掌の接近に伴う電流”の両方が変化すると、これらの内訳を算出することは不可能である。したがって、“指先の接触に伴う電流”を抽出する、特許文献3に記載されている対策では、ドラッグ操作した位置座標を変更した場合に、正確に検出位置を求めることできない。
次に、時間経過が2.05〜2.5秒でドラッグ操作し、指先は0.3から0.5と反対方向に戻した場合、本実施形態1のアルゴリズムで算出した第3の検出位置も設定位置Xcと一致した。時間経過が1.55〜2.05秒の区間と同様に、電流ia,iha,ib,ihbが大きく変化する。図10及び図11に示す、位置を補正するアルゴリズムを使用して、ドラッグ操作時の検出位置を正確に求められることを示した。
次に、12.1インチタッチパネルを使用して、ドラッグ操作時の位置精度を測定した。右手の人指し指を使用して、タッチパネルの中央をタッチし、タッチパネル上の等間隔の点(基準点48点)に向けて順次ドラッグした後に、検出位置を取得した。48点の基準点から検出位置の差(ずれ)の平均値を算出した。本実施形態1の図10及び図11に示すアルゴリズムを非適用の場合、ずれの平均値はX方向で+7.2mm、Y方向で−10.7mmと大きい。ここで、タッチパネルの中央を原点(X,Y)=(0mm,0mm)として、タッチパネルの上方向をYの正(+)方向とし、タッチパネルの右方向をXの正(+)方向とした。一方、本実施形態1の図10及び図11に示すアルゴリズムを適用する場合、X方向で+3.0mm、Y方向で−1.0mmと大幅にずれが低減した。また、特許文献3に示すアルゴリズムを適用した場合のずれの平均値は、X方向で+33.4mm、Y方向で+11.5mmであり、本実施形態1の図10及び図11に示すアルゴリズムを非適用とした場合よりもかえって悪化した。
以上より本実施形態1の図10及び図11に示すアルゴリズムを使用することによって、掌の接近に伴う影響に対して、ドラッグ操作中も位置精度を改善できる。
<実施形態2>
次に、実施形態2のタッチセンサ装置について説明する。まず、図1を用いて、本実施形態2の概要を説明する。補正値算出部107は、第1の検出位置15に対応する予め定められた調整値を用いて、補正値17を調整する。第3の位置算出部108は、この調整された補正値17を用いて、当該第3の位置算出部108で算出された第1の検出位置15を補正することにより、第3の検出位置18を算出する。以下、本実施形態2について詳しく説明する。
本実施形態2のタッチセンサ装置の動作及び制御方法並びにタッチセンサ装置を動作させるためのプログラムの概念図を図16に示す。図16に係わるプログラムのフローチャートを図17に示す。以下、実施形態1と実質的に同様の構成に関しては実施形態1と同じ符号を使用し、実施形態1と異なる部分について主に述べる。
実施形態1の図10及び図11に示すプログラムを実施した場合、タッチに引き続きドラッグ操作したとき、タッチパネルの中央付近での位置精度に比べて、タッチパネルの周辺部での位置精度が低下する。この原因は、ドラッグに伴って掌も移動し、タッチパネル内のタッチする箇所によって掌の影響が異なるためである。具体的には、タッチパネルの下端にタッチする場合は、タッチする指に連なる掌や腕が額縁に隠れるので、掌の影響が小さい。一方、タッチパネルの上端にタッチする場合は、タッチする指に連なる掌や腕がタッチパネル上のより大きな領域を覆うので、掌や腕の接近に伴う影響が大きい。
これに対して、本実施形態2では、実施形態1と同様に、タッチオン判定直後に掌の影響を受けた第1の検出位置と掌の影響を除去した第2の検出位置を算出し、補正値を求める。そして、前記タッチオン判定からタッチオフ判定されるまでに、逐次計算される掌の影響を受けた第1の検出位置のタッチパネル内の位置座標によって、前記補正値を調整する。
具体的には図17に示すフローチャートを参照して説明する。実施形態1の図10及び図11に示すフローチャートSA00〜SA30及びSA32〜S35は同様であるので、図17のフローチャートではそれらの共通部分を省く。
図17に示すフローチャートを参照して、まず、ステップSA30でfch[iT]を基に、第1の検出位置X1[iT],Y1[iT]を算出する。続いて、ステップSB01において、第2の検出位置X2[nT]<第1の検出位置X1[nT]の場合、掌の接近に伴い第1の検出位置が右方向にずれるとして、ステップSB02に進む。ステップSB02において、第3の検出位置X3[iT]を次の式B1で求める。
X3[iT]=Xw−(Xw−X2[nT])/(Xw―X1[nT])*(Xw−X1[iT]) (式B1)
ここで、図16に示す概念図において、Xwを123(mm)とした。123(mm)はX方向の表示部のサイズH=264(mm)の半分の長さであり、図16に示す概念図の場合、表示部の右端で補正値がゼロとなり、表示部の左端で補正値が極大となる。また、XwはH/2乃至2*Hで設定されるのが好ましい。図16に示す概念図において、Xw=123(mm)では、補正値が小さな表示部の右端のエリアをタッチしてから、補正値が大きな表示部の左端に向けてドラッグ操作すると、表示部の左端で補正が過剰になる場合がある。この場合は、Xwを大きくすることによって、過剰な補正を緩和できる。
一方、ステップSB01において、FALSEの場合、ステップSB03に進み、第3の検出位置X3[iT]を次の式B2で算出する。
X3[iT]=−Xw+(Xw+X2[nT])/(Xw+X1[nT])*(Xw+X1[iT]) (式B2)
ステップSB02又はSB03において、第3の検出位置X3[iT]を算出後、ステップSB04に進む。ステップSB04において、第2の検出位置Y2[nT]>第1の検出位置Y1[nT]の場合、掌の接近に伴い第1の検出位置が下方向にずれるとして、ステップSB05に進む。ステップSB05において、第3の検出位置を次の式B3で算出する。
Y3[iT]=―Yw+(Yw+Y2[nT])/(Yw+Y1[nT])*(Yw+Y1[iT]) (式B3)
ここで、図16に示す概念図において、Ywを92(mm)とした。92(mm)はY方向の表示部のサイズV=184(mm)の半分の長さであり、図16の概念図を参照すると、X方向と同様に表示部の下端で補正値がゼロとなり、表示部の上端で補正値が極大となる。Xwと同様にYwもV/2乃至2*Vで設定されることが好ましい。
一方、ステップSB04において、FALSEの場合、ステップSB06に進み、第3の検出位置Y3[iT]を次の式B4で算出する。
Y3[iT]=Yw−(Yw−Y2[nT])/(Yw―Y1[nT])*(Yw−Y1[iT]) (式B4)
ステップSB05又はSB06において、第3の検出位置Y3[iT]を算出後、ステップSA32に進む。
本実施形態2の作用は、パネルの手前側では掌や腕が額縁に隠れて掌の影響が小さくなり、タッチパネルの上方では掌の影響が大きくなる現象を見込んで、タッチパネル内で補正値を調整するということである。本実施形態2を使用することによって、タッチパネル面内の掌の影響の差異を補正し、より正確に位置を検出できる。
<実施形態3>
次に、実施形態3のタッチセンサ装置について説明する。まず、図1を用いて本実施形態3の概要を説明する。指示体10が付随部分10aの無い理想的な指示体である場合の一組の第1の定数と、指示体10が人の指である場合の複数組の第2の定数とが,予め定められている。第1及び第2の位置算出部105,106は、前記一組の第1の定数を用いて、検出信号12に基づき第1及び第2の検出位置15,16を算出する。第3の位置算出部108は、第1及び第2の位置算出部105,106で算出された第1及び第2の検出位置15,16の大小関係に応じて前記複数組の第2の定数のうちから一組の第2の定数を選択し、当該一組の第2の定数を用いて、検出信号12に基づき第1の検出位置15を算出する。以下、本実施形態3について詳しく説明する。
本実施形態3のタッチセンサ装置の動作及び制御方法並びにタッチセンサ装置を動作させるためのプログラムのフローチャートを図18に示す。以下、実施形態1と実質的に同様の構成に関しては実施形態1と同じ符号を使用し、実施形態1と異なる部分について主に述べる。
実施形態2の説明で述べたように、実施形態1の図10及び図11に示すプログラムを実施すると、タッチする箇所によって掌の影響が異なる。これに対して、本実施形態3では、指示体に実際に指を使用してキャリブレーションを実施し、式A1及びA2の定数を求める。ここで求めた定数を第2の定数とし、これをドラッグ操作時の位置算出に使用する。
ただし、タッチする手が右手か左手かによって掌の接近に伴う影響が異なるので、タッチオン判定直後に、タッチする手が右手か左手かを自動判定する。自動判定する際には、導電体のような掌の影響を含まない理想的な指示体を使って、予め求めた定数を使用する。ここで求めた定数を第1の定数とする。そして、タッチする手が右手か左手かを自動判定した後からタッチオフ判定するまでは、判定された手によって求めた第2の定数を使用する。
まず、実施形態1に示すキャリブレーションと同様に、タッチパネル101上の測定点(X、Y)に、導電体のように掌の影響を含まない理想的な指示体を配置して、電流ia〜idを測定する。測定したX,Y及びia〜idを、式A1及び式A2に代入して、定数k1〜k4を求める。理想的な指示体を使用し、求めた定数k1〜k4をk1導〜k4導とする。
また、タッチパネル101上の測定点(X,Y)を実際に右手の人差指でタッチし、測定した電流ia〜idをia右〜id右とする。測定したia右〜id右及びX,Yを、式A1及び式A2に代入して、求めた定数k1〜k4をk1右〜k4右とする。また、左手についても同様に、測定した電流ia〜idをia左〜id左とし、求めた定数k1〜k4をk1左〜k4左とする。
ここで、キャリブレーションの際に、実際に指を指示体として使用するか、又は指と掌を模擬した指示体を製作して使用してもよい。また、タッチする手が左手か右手の判定が難しい場合に、定数k1平〜k4平を使用する。k1平〜k4平は次のように算出される。式A1に示すX=k1+k2・(ib+ic)/(ia+ib+ic+id)について、規格値U=(ib+ic)/(ia+ib+ic+id)とおくと、式A1は次の式C1となる。
X=k1+k2・U (式C1)
規格値Uに示す電流ia〜idに、右手で測定した電流値ia右〜id右を代入して、規格値U右=(ib右+ic右)/(ia右+ib右+ic右+id右)とする。同様に、左手で測定した電流値ia左〜id左を代入して、規格値U左=(ib左+ic左)/(ia左+ib左+ic左+id左)とする。次に、U右とU左を平均化して、規格値U平は次の式C2となる。
規格値U平=(U右+U左)/2 (式C2)
式C2に示す規格値U平を式C1の規格値Uに代入すると、X=k1平+k2平*(U右+U左)/2となる。
ここで、U右にia右〜id右、U左にia左〜id左を代入すると、定数k1平、k2平の関係式が求まる。そして、タッチパネル上を2点以上で測定することによって、定数k1平、k2平が求まる。
また、式A2に示すY=k3+k4・(ia+ib)/(ia+ib+ic+id)についても、規格値V=(ia+ib)/(ia+ib+ic+id)とおくと、式A2は次の式C3となる。
Y=k3+k4・V (式C3)
規格値U平と同様に、規格値V平は次の式C4となる。
規格値V平=(V右+V左)/2 (式C4)
式C4に示す規格値V平を式C3のVに代入すると、Y=k3平+k4平*(V右+V左)/2となる。
ここで、V右にia右〜id右、V左にia左〜id左を代入すると、定数k3平、k4平の関係式が求まる。そして、タッチパネル上を2点以上で測定することによって、定数k3平、k4平が求める。
次に、図18の実施形態3のプログラムのフローチャートを参照して、説明する。ステップSA00〜SA12及びタッチオフ判定に関するフロー(SA33等)は実施形態1に示す図10及び図11と同様であるので、図18に示すフローチャートでは記載を省く。
まず、ステップSA15でタッチオン判定された後、第1の信号fch[nT]を基に、第1の検出位置X1[nT],Y1[nT]を算出する(SA16)。続いて、第2の信号(fch[nT]―f[(m−1)T])を基に、第2の検出位置X2[nT],Y2[nT]を算出する(SA17)。ここで、ステップSA16,SA17において、それぞれ検出位置を算出する際に、指示体に導電体のような掌の影響を含まない理想的な指示体を使用して算出したk1導〜k4導を使用する。
ステップSC01では、ステップSA16,SA17で算出した第1の検出位置X1[nT]及び第2の検出位置X2[nT]を使用してXthと比較し、|X2[nT]−X1[nT]|<Xthを判断する。ここで、Xthは、表示部のX方向のサイズH×3%とした。ここでサイズH×3%とした場合はタッチする手が左手か右手を判定する精度が1〜5%であったので、所望の精度に応じてサイズH×1〜5%の間の値を使用することが好ましい。
ステップSC01がTRUEの場合、ステップSC03に進み、定数k1〜k4にk1平〜k4平を代入する。ステップSC01,SC03を実施する目的は、タッチする手が左手か右手か誤判定した場合の影響を軽減するためである。
ステップSC01での比較がFALSEの場合、ステップSC02に進む。X2[nT]<X1[nT]の場合、ステップSC04に進み、定数k1〜k4にk1右〜k4右を代入する。一方、ステップSC02の比較がFALSEの場合、ステップSC05に進み、定数k1〜k4にk1左〜k4左を代入する。
このように、ステップSC03乃至SC05で定数k1〜k4に代入する値を選択した後に、サイクルiをカウントアップする(SC06)。
続いて、信号f[iT]を取得する(SC07)。ステップSC08では、第1の信号fch[iT]を基に、第1の検出位置X1[iT],Y1[iT]を算出する。ここで、ステップSC03乃至SC05で数値を代入した定数k1〜k4を使用して、位置を算出する。続いて、ステップSC08で算出した第1の検出位置X1[iT],Y1[iT]を、次の第3の検出位置に代入する。X3[iT]=X1[iT],Y3[iT]=Y1[iT](SC09)。
また、実施形態1のステップSA31と同様に、第3の検出位置を求めてもよい。X3[iT]=X1[iT]+X2[nT]−X1[nT](SA31)。ここで、Y3[iT]についても同様であるので記載を省く。また、ステップSA16ではk1導〜k4導を使用して、X1[nT]を算出したが、ステップSC03乃至SC05で数値を代入した定数k1〜k4を使用してX1[nT]を求め、これをステップSA31の式に代入してX3[iT]を算出すると、タッチ判定直後の検出位置の誤差を補正できる。続いて、ステップSC10ではサイクルiをカウントアップし、ステップSC07に戻る。
本実施形態3に係わるプログラムを使用することによって、予め指示体に指を使用し掌の影響を見込んだ補正を行えるので、ドラッグ操作した後でも、正確な位置を検出できるという効果がある。
<実施例1>
本実施例1では、透明導電層に流れる電流と位置座標との関係を示す数式を導出する。ここで、アナログ(表面)容量方式の1次元の位置算出の原理を使用する。なお、便宜上X座標を使用して位置座標を記載するが、X座標と同様の計算方法でY座標も算出することができる。図19は1次元の原理を示す側面図である。図19では指示体24に、掌の接近の影響が無い理想的な指示体(導電体)を使用した。
[理想的な指示体を使用した場合の位置の算出]
図19を参照すると、絶縁性透明基板41上に透明導電層39が形成され、透明導電層39の左端の座標をX=0とし、右端の座標をX=1とする。透明導電層39の両端のインピーダンスをRとする。透明導電層39の両端はそれぞれ、電流検出回路29と発振器27が直列に接続される。
透明導電層39上に保護層37があり、指示体24が保護層37の表面に接触すると保護層37を介して指示体24と透明導電層39の間に静電容量Cfが形成される。図19の指示体24に直方体形状の導電体が使用され、この導電体には銅などの低インピーダンスの材料が使用される。指示体24の上端は電流検出回路29の基準電位(GND)35に接続される。
表示部の領域をX=0.1〜0.9とし、指示体24が接触する座標をXとすると、Xの範囲はX=0.1〜0.9となる。表示領域外のX=0〜0.1及び0.9〜1.0の領域も、表示部の領域と同様に、透明導電層39上に保護層37が形成され、保護層37の表面は外部に露出している。
透明導電層39の左端(X=0)から指示体24が接触している座標(Xc)までの距離はXcであり、この間の透明導電層39のインピーダンスRaはRa=R*Xcとなる。一方、透明導電層39の右端(X=1)から指示体24が接触している座標(Xc)までの距離は(1−Xc)であり、この間の透明導電層39のインピーダンスRbはRb=(1−Xc)*Rとなる。
図19に対応する等価回路図を図20に示す。発振器27の出力の振幅をvとし、周波数をfとし、それぞれの電流検出回路29で検出される電流の振幅をia,ibとする。ここで、Ra,Rbは並列接続されて、Raに電流ia、Rbに電流ibがそれぞれ流れる。
次に、検出するia,ibを基に検出位置を求める数式を導出する。タッチに伴う容量Cfのインピーダンスは1/(j*ω*Cf)である。ここで、ωは角周波数であり、ω=2*π*fである。ここで、jは虚数である。RaとRbの並列回路の合成抵抗はRa//Rbである。つまり、Ra//Rb=(Ra*Rb)/(R+Rb)である。次に、Ra、Rbのそれぞれに直列接続される電流検出回路29のインピーダンスを0と近似する。1/(j*ω*Cf)とRa//Rbは直列接続されるので、これらの直列インピーダンスは1/(j*ω*Cf)+Ra//Rbとなる。1/(j*ω*Cf)+Ra//Rbは等価回路図の全体のインピーダンスであり、発振器27の出力vが印加されるのでv=if{1/(j*ω*Cf)+Ra//Rb}が成り立つ。ここで、ifは等価回路図の全体に流れる電流であり、if=ia+ibである。ifについてまとめると、次の式K1が成り立つ。
if=v/{1/(j*ω*Cf)+Ra//Rb} (式K1)
次に、1/(j*ω*Cf)に印加される電圧をvfとおくと、Ra//Rbに印加される電圧は(v−vf)であり、流れる電流ifとの関係より、次の式K2がなりたつ。
v−vf=if*Ra//Rb (式K2)
また、v−vfはRa,Rbそれぞれに印加されるので、次の式K3,式K4が成り立つ。
v−vf=ia*Ra (式K3)
v−vf=ib*Rb (式K4)
式K1〜式K3より、if及びvfを消去すると、次の式K5となる。
ia=v/{1/(j*ω*Cf)+Ra//Rb}*{Rb/(Ra+Rb)} (式K5)
ここで、例えばRa=Rb=500Ω、f=100kHz、Cf=6pFとすると、
Ra//Rb=250Ω、|1/(j*ω*Cf)|≒265Ωと、Ra//Rb<<1/(j*ω*Cf)である。式K5より、1/(ω*Cf)+Ra//Rb≒1/(ω*Cf)と近似し、Ra=R*Xc,Rb=R*(1−Xc)を代入するとiaの式K6が導出される。
ia=ω*Cf*v*{Rb/(Ra+Rb)}=ω*Cf*v*(1−Xc) (式K6)
ibについても同様に、ibの式K7が導出される。
ib=ω*Cf*v*{Ra/(Ra+Rb)}=ω*Cf*v*Xc (式K7)
次に、式K6、式K7をib/(ia+ib)に代入すると、次の式K8となる。
ib/(ia+ib) (式K8)
式K8より、電流検出回路29で検出したia,ibを基に位置座標Xcを算出可能である。式K8にはタッチに伴う容量Cfが含まれず、タッチに伴う容量Cfの差異が位置座標Xcに影響しない。
[第1の検出位置の数式の導出]
次に、指でタッチし掌の影響を受ける第1の検出位置の数式を導出する。図21は指で接触した場合の1次元の位置検出を示す側面図である。指先が保護層37の表面に接触している位置をXとする。指先以外の人体の接近に伴う影響から、問題解決に必要な部分だけを抜き出して次のように抽象化(モデル化)する。指先の接触に伴う容量をCfとし、掌の接近に伴う容量Chは次の式K11で与えられる値とする。
Ch=Cf*β (式K11)
ここで、βはCfの係数である。指先の位置をXcとしたとき、指先から掌がhだけ離れていると定義すると、掌の位置がXc+hとなる。具体的には、図21のように、タッチする手が右手の場合はhが正の値となり、タッチする手が左手の場合はhが負の値となる。また、hの値はタッチする人の掌の大きさなどにも依存する。
検出されるia,ibには、指先の接触に伴う電流と掌の接近に伴う電流とが含まれる。まず、図21から掌の接近に伴う容量Chを消去して、指先の接触に伴う電流ifa,ifbを計算する(図22)。iaの式K6と同様に、ifaは次の式K20となる。
ifa=ω*Cf*v*(1−Xc) (式K20)
同様に、ibの式K7と同様に、ifbは次の式K21となる。
ifb=ω*Cf*v*Xc (式K21)
次に、図21に示す指先の接触に伴う容量Cfを削除して、掌の接近に伴う電流iha,ihbを計算する(図23)。CfをChに、Xcを(Xc+h)に置き換えると、式K6より、ihaは次の式K22となる。
iha=ω*β*Cf*v*(1−Xc−h) (式K22)
式K7より、ihbは次の式K23となる。
ihb=ω*β*Cf*v*(Xc+h) (式K23)
検出される電流は、指先の接触伴う電流と掌の接近に伴う電流との合計であるから、次の式K24、式K25が成り立つ。
ia=ifa+iha (式K24)
ib=ifb+ihb (式K25)
式K24に式K20及び式K22を代入すると、iaが次の式K26となる。
ia=ω*Cf*v*{1+β−β*h−Xc(1+β)} (式K26)
式K25に、式K21及び式K23を代入すると、ibが次の式K27となる。
ib=ω*Cf*v*{Xc+β(x+h)} (式K27)
次に、式K26及び式K27をib/(ia+ib)に代入すると、次の掌の影響を受ける第1の検出位置X1の式K28が求まる。
ib/(ia+ib)=Xc+(β*h)/(1+β)=X1 (式K28)
式K28を参照すると、指先の位置はXcであるから、Xcに対して掌の接近に伴い(β*h)/(1+β)だけ位置がずれることがわかる。(β*h)/(1+β)に使用されているβ,hは掌の接近に伴う影響を示す要素であるので、位置ずれは掌の接近に伴う影響を示す要素β,hに依存することがわかる。
[特許文献3を使用した検出位置の導出]
次に、掌の接近に伴う位置ずれに対して、特許文献3の段落0163〜0188に記載されている技術を適用した、第2の検出位置の数式を導出する。特許文献3の対策は、指先が接触する前に、信号が緩やかに変化する傾向を基に掌の接近に伴う信号を推定する。具体的には、指先が接触後に、取得した信号から掌の接近に伴う信号を減算した数値を基に、位置を算出する。
なお、指先の接触する位置座標はXcとしたが、タッチオン判定後の位置をXoとおく。ここで、Xc=Xoとなる場合は、タッチオン判定直後、及び、ドラッグ操作後に一旦位置座標が変更しても元の位置座標に戻る時である。このように位置の変数を、XcとXoと別々に定義した目的は、指先の位置座標Xcはドラッグ操作後に任意の位置座標に変更可能であるのに対し、掌の接近に伴う信号を推定した時の指先の位置は、必ずタッチ直後の位置Xoとなり、ドラッグ操作後に変更は不可能であり、XcとXoは必ずしも一致しないためである。
図24はタッチ直後の側面図であり(Xo=0.6)、図25はドラッグ操作後の側面図である(Xc=0.3)。タッチ直後における掌の接近に伴う電流iha(Xo)を求める。ここで、iha(Xo)はXoの関数である。式K22にXc=Xoを代入すると、次の式K30となる。
iha(Xo)=ω*β*Cf*v*(1−Xo−h) (式K30)
式K26に示すia(X)から式K30に示すiha(Xo)を減算すると、次の式K31となる。
ia(Xc)={ifa(Xc)+iha(Xc)}−iha(Xo)=ω*Cf*v*(1−Xc−β*Xc+β*Xo) (式K31)
ib(X)についても同様に、次の式K32が求まる。
ib(Xc)=ω*Cf*v*(C+β*Xc−β*Xo) (式K32)
式K31及び式K32をib(Xc)/{ia(Xc)+ib(Xc)}に代入すると、第2の検出位置X2の式K33が求まる。
ib(Xc)/{ia(Xc)+ib(Xc)}=Xc+β(Xc−Xo)=X2 (式K33)
[位置の数式の比較]
次に、本実施例1において導出した数式をグラフに図示して、効果及び課題を説明する。図26の横軸は設定した位置Xcであり、縦軸は数式によって求めた検出位置である。
図26に式K8の指示体24に導電体を使用し、位置が正確な算出式Xc、式K28に示す掌の影響を受ける第1の検出位置Xc+(β*h)/(1+β)、式K33に示す第2の検出位置Xc+β(Xc−Xo)を示す。ここで、β=0.5、h=0.1、初期位置をXo=0.6とした。式K33を参照すると、第2の検出位置においてXc=Xoの時は、ib(Xo)/{ia(Xo)+ib(Xo)}=Xoとなって、正確な位置と一致している。ただし、設定したXcがXoから遠ざかるにつれて正確な位置Xcから第2の検出位置X2が大きくずれる。タッチ直後の位置ずれは解消するものの、タッチに引き続いてドラッグすると、式K28の掌の影響を受けた位置Xc+(β*h)/(1+β)と比べて、かえって位置ずれが悪化する。
[実施形態1に示す第3の検出位置の数式]
次に、図10及び図11のフローチャートに示すアルゴリズムを使用した場合の位置の数式を導出する。フローチャートの第3の検出位置X3[iT]はステップSA31に記載の次の式K34で表される。
X3[iT]=X1[iT]+X2[nT]−X1[nT] (式K34)
次に、式K34にあるX1[iT]、X2[nT]、X1[nT]を個別に求める。タッチオン判定された時刻nTにおいて、掌の影響を受けた第1の検出位置X1[nT]は、式K28にXc=Xoを代入してX1[nT]=Xo+(β*h)/(1+β)となる。掌の接近に伴う信号を除去し算出した第2の検出位置は式K33にXc=Xoを代入してX2[nT]=Xoである。時刻iTにおける掌の影響を受けた第1の検出位置は式K28より、X1[iT]=Xc+(β*h)/(1+β)である。X1[iT]、X2[nT]、X1[nT]を式K34に代入すると、第3の検出位置X3[iT]が次の式K35で求まる。
X3[iT]={Xc+(β*h)/(1+β)}+Xo−{Xo+(β*h)/(1+β)}=Xc (式K35)
式K35より、掌の接近に伴う要素は除去されており、タッチに引き続きドラッグして設定される位置が変わっても、指先が接触している位置を正確に算出できることを証明した。
<実施例2>
まず、図1を用いて本実施例2の概要を説明する。指示体10として指先を模擬した第1の導電体を用い、付随部分10aとして掌を模擬した第2の導電体を用いる。そして、第1の導電体をタッチパネル101の表面に接触させると同時に、第2の導電体をタッチパネル101の表面に接近させ、第1の導電体をタッチパネル101の表面でドラッグ操作することにより当該第1の導電体の位置を変更し、この状態で算出した第3の検出位置18を推測値とする。そして、この状態から第2の導電体をタッチパネル101の表面から十分に離すことにより算出した第3の検出位置18の変化を、シフト値とする。このとき、第3の検出位置18の実測値と、推測値と、シフト値との間には、次の不等式が成り立つ。
|(実測値―推測値)/シフト値|<0.5
以下、本実施例2について詳しく説明する。
本実施例2においては、実施形態1に記載した図10及び図11のアルゴリズムの位置補正の機能を検査した。検査に使用した検査装置の斜視図を図27に示す。検査装置の動作を説明する斜視図をそれぞれ図28、図30乃至図32に示す。なお、実施例1で定義した変数を本実施例2においても使用する。
検査装置90は、主にステージ84及びアーム88からなる。ステージ84上に、タッチパネル101の表面側を上に向けて、タッチパネルディスプレイと呼ばれるタッチセンサ装置100が配置される。タッチセンサ装置100に搭載されるタッチパネル101には、実施形態1に記載した図10及び図11のアルゴリズムが搭載されている。
アーム88は指先を模擬した指示体70aを昇降させるACモーター(不図示)を内蔵している。指示体70aの先端部72aと、検査装置90における回路のグランド(基準電位ノード)とが、電気的に接続される。先端部72aの下面がタッチパネル101の表面と接触するまで、指示体70aは降下可能である。
指先を模擬した指示体70aの本体部74aの表面は絶縁性である。本体部74aの側面に、距離センサ装置82aが取り付けられている。距離センサ装置82aは、タッチパネル101の表面から先端部72aの下面までの距離Laを測定する。ステージ84を平面方向に移動することによって、タッチパネル101の中の指示体70aの位置座標(Xc、Yc)を任意に指定可能である。
検査装置90にはマイクロコントローラ(不図示)が内蔵されており、マイクロコントローラに組み込まれたプログラムにより、ステージ84の平面方向の移動の制御、指示体70aの昇降の制御、距離センサ装置82aによるタッチパネル101の表面から先端部72aの下面までの距離Laの測定、及び、電流検出回路29を使用した電流の測定を自動制御可能である。
指先を模擬した指示体70a(第1の導電体)の先端部72aの下面の寸法を6mm□とした。また、アーム88は、掌を模擬した指示体70b(第2の導電体)も支持している。指先を模擬した指示体70aと同様に、掌を模擬した指示体70bも先端部72b、本体部74b、距離センサ装置82bを備える。掌を模擬した指示体70bの下面の寸法を100mm□とした。距離センサ装置82bは、タッチパネル101の表面から先端部72bの下面までの距離Lbを測定する。
始めに、タッチパネル101から指示体70a(70b)までの距離La(Lb)を変えながら静電容量を測定した。ここで、静電容量はタッチパネル101の透明導電層39(図5)に流れる電流の合計値に比例する。タッチパネル101の透明導電層に流れる電流を測定するために、タッチパネル101がFPC7を介して、電流検出回路29の入力と接続されている。電流検出回路29を使用して、タッチパネル101の透明導電層に流れる電流を測定する。通常、タッチセンサ装置100を使用する場合は、FPC7はタッチセンサ装置100内の電流検出回路29に接続する。
まず、図28に示すように指示体70aの影響を無視するため、指示体70aをアーム88から取り外し、タッチパネル101から十分に遠ざけて、指示体70bについて評価した。指示体70bを昇降させて距離Lb、電流検出回路29で測定した電流を基に静電容量を算出した。指示体70aについても同様に指示体70bを取り外して測定した。測定結果を図29に示す。図29の縦軸は静電容量、横軸は距離La,Lbである。指示体70aがタッチパネル101の表面と接触した時(La=0mm)、静電容量は6.4pFであった。指示体70bがタッチパネル101からLb=40mmまで接近した時、静電容量は2.2pFであった。式K11より、β=Ch/Cf=2.2pF/6.4pF=0.34と算出される。なお、図29の静電容量の測定結果は、指示体70a,70bから透明導電層までの距離、すなわち保護層37(図5)の厚さを始めとしてタッチパネル101の表面構造に依存する。
なお、掌の接近に伴う影響は、掌を模擬した指示体70bとタッチパネル101との間に形成される静電容量の大きさに依存する。この掌の接近に伴う静電容量は、掌を模擬した指示体70bの接触面積、及び、指示体70bとタッチパネル101との距離に依存する。したがって、掌の接近に伴う影響は、タッチパネル101と指先を模擬した指示体70bとの押し圧力の変化に依存しない課題である。具体的には、押し圧力をゼロに保っても、タッチ直後に押し圧力が短期間で強くしても、掌の接近に伴う影響の課題は変わらない。
次に、アーム88に指示体70aと指示体70bとの両方を取り付ける。ここで、指示体70aと指示体70bとのX方向の配置関係をh=0.1とした。指示体70aに対して、指示体70bの高さを常に40mm高くなる関係を維持する。
図30に示すように、指示体70aをタッチパネル101の表面へ接触(La=0mm)させ、これと連動して指示体70bを下げてタッチパネル101に接近させた(Lb=40mm)。指示体70aの位置座標をXo=0.6とした(ステップ1)。指示体70aがタッチパネル101の表面に接触した直後に、指示体70aに対応する位置Xo=0.6に、タッチパネル101のポインタ(第3の検出位置)が重なったので、タッチ直後で検出位置が正確であることを確認した。ここで、検査装置90を使用した検出位置の結果一覧表を図33に示す。
次に、ステージ84を移動し、指示体70aの位置座標をXc=0.3とした(図31、ステップ2)。ここで、指示体70aの先端部72aをタッチパネル101の表面に接触させつつ、指示体70aをXo=0.6からXc=0.3にスライドする、すなわちドラッグ操作を模擬する。ドラッグ操作後の第3の検出位置X3は0.3であり、これは指示体70aの位置座標Xcと一致した。
次に、指示体70aの高さはLa=0mmのままで、Lb=40mmの高さにあった指示体70bを上げて、タッチパネル101から指示体70bを十分に遠ざける(図32、ステップ3)。この時、ポインタ(第3の検出位置)が、X方向に−0.026だけシフトし、0.274となった。
続いて、図32の状態での第3の検出位置の実測値と、次に求める推測値とを比較する。まず、検出位置を算出する各々のアルゴリズムに対して、図32の状態での第3の検出位置の数式を導出する。図32の状態では、指示体70bを遠ざけて、掌の接近に伴う影響を消している。そのため、第3の検出位置は、式K28の掌の接近に伴う位置のずれ(β*h)/(1+β)の負の数である、−(β*h)/(1+β)だけシフトする。
図10及び図11のアルゴリズムを使用して算出した式K35より、第3の検出位置の計算値(推測値)をXsとすると、Xsは次の式K36で求められる。
Xs=Xc−(β*h)/(1+β) (式K36)
ここで、Xc=0.3、h=0.1、及び、図29で算出したβ=0.34を代入すると、推測値はXs=0.274となり、これは第3の検出位置の実測値と一致した。すわなち、推測値と実測値が一致することによって、図10及び図11の機能を確認した。
また、第2の導電体70bを上げてタッチパネル101から離したときに第3の検出位置がシフトするシフト値、及び、実測値と推測値との差異を定量化する指標として、|(実測値―推測値Xs)/シフト値|を使用する。
実施形態1に示す図10及び図11のアルゴリズムでは、|(実測値―推測値Xs)/シフト値|=|(0.274−0.274)/(−0.026)|=0であった。
一方で、図10及び図11に示すアルゴリズムを非適用とした場合のポインタの位置(第1の検出位置)を測定した。図30に示すように、指示体70aを位置Xo=0.6にタッチしたとき、第1の検出位置は0.626となった。図31に示すように、指示体70aを位置Xc=0.3にドラッグしたとき、第1の検出位置は0.326であった。図32に示すように、指示体70bを上げて、タッチパネル101から指示体70bを十分に遠ざけたとき、第1の検出位置は0.3となり、これは式K36及び図29の測定値から算出されるXs=0.274と一致しなかった。また、シフト値は−0.026であった。ここで、|(実測値―推測値)/シフト値|=|(0.3−0.274)/−0.026|=1であった。
次に、特許文献3に示すアルゴリズムを使用した場合のポインタの位置(第2の検出位置)を測定した。図30に示すように、指示体70aが位置Xo=0.6にタッチしたとき、第2の検出位置は0.6となり、両者が一致した。図31に示すように、指示体70aが位置Xc=0.3にドラッグ操作したとき、第2の検出位置は0.197であった。図32に示すように、指示体70bを上げて、タッチパネル101から指示体70bを十分に遠ざけたとき、第2の検出位置は0.171、シフト値は―0.026であり、これは式K36及び図29の測定値から算出されるXs=0.274と一致しなかった。ここで、|(実測値―推測値Xs)/シフト値|=|(0.171−0.274)/(−0.026)|=3.96であった。
|(実測値―推測値Xs)/シフト値|は、実施形態1の図10及び図11に示すアルゴリズムで0(ゼロ)であり、特許文献3の位置を算出するアルゴリズムで3.96であり、これらの2つのアルゴリズムを非適用とすると1であった。検査装置90を使用して実施形態1の図10及び図11に示すアルゴリズムを他のアルゴリズムと判別するためには、次の式K37の不等式に示すように、一定の測定誤差を考慮すると、0と1の中間の値である0.5より小さいことが好ましい。
|(実測値―推測値Xs)/シフト値|<0.5 (式K37)
以上より、本実施例2において、検査装置90を使用して、実施形態1の図10及び図11に記載したアルゴリズムを搭載したタッチセンサ装置100の位置補正機能を確認した。
<実施形態4>
次に、実施形態4のタッチセンサ装置及び電子機器について説明する。実施形態1〜3においては、表面型静電容量方式タッチセンサ装置を例にとって説明した。これに対し、本実施形態4においては、投影型静電容量方式タッチセンサ装置(以下、「投影容量式タッチセンサ装置」という。)に本発明のアルゴリズムを適用した形態について、図34乃至図38を参照して説明する。
図35は、本実施形態4の電子機器の一部をなす投影容量式タッチセンサ装置付LCD162の平面模式図である。図35のXXXIV-XXXIV線に沿った断面模式図であり、投影容量式タッチパネル付LCD162の断面を示す図を図34に示す。
図34の断面模式図を参照して、実施形態4における投影容量式タッチパネルの膜構成を説明する。投影容量式タッチパネルの基板であるタッチパネル基板157の表裏に透明導電膜を形成し、それぞれの透明導電膜をX透明電極156とY透明電極158とにパターニングして投影容量式タッチパネル164を構成した。ここで、タッチパネル基板157が投影容量式タッチパネル164を支持する支持基板となる。そして、X透明電極156の面にカバーガラス154を貼り付けるとともに、Y透明電極158の面にLCD5を貼り付ける。ここで、貼り付ける面に光学粘着剤を使用した。タッチパネル基板157及びカバーガラス154は、それぞれ絶縁性基板の一例である。
また、X透明電極156及びY透明電極158の材料は、例えばITOが使用される。ただし、これらの電極は必ずしも透明でなくてもよく、例えば銅を使用してもよい。また、カバーガラス154の素材は、必ずしもガラスでなくてもよく、例えばアクリルであってもよい。
次に、本実施形態4における投影容量式タッチセンサ装置付LCDの平面模式図(図35)を参照して説明する。図35においては、投影容量式タッチセンサ装置の動作原理を簡潔に示すため、図34に示したカバーガラス154及びLCD5を省略した。本実施形態4における投影容量式タッチセンサ装置は、X透明電極156及びY透明電極158を使用してマトリクス形状で形成されている。X透明電極156及びY透明電極158に指示体23が近づくと、指示体23付近のX透明電極156とY透明電極158との間の静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化をコントローラ160が検知し、指示体23の位置座標を検出する。ここで、X透明電極156によってX(横)座標方向の位置座標を検出し、Y透明電極158によってY(縦)座標方向の位置座標を検出する。
次に、各々のX透明電極156で検出した静電容量をX方向にプロットしたグラフを、図35中の中央下に示す。Y方向についても同様にグラフを作成し図35の左に示す。X透明電極156及びY透明電極158どちらにおいても、指示体23の接触点に最も近い透明導電極において、静電容量値が極大値となる。ただし、静電容量値が極大となる透明電極の座標に基づき、そのままタッチ座標を決定すると、位置座標の分解能は、平行に並ぶ透明電極間のピッチとなるので低くなり得る。これに対して、複数の透明電極において検出した静電容量に基づきタッチ座標を決定すると、位置座標の分解能を高めることができる。例えば、複数の透明電極の座標と静電容量値との関係を近似して、近似式からピーク位置を算出し、そのピーク位置を位置座標とすることによって、より細かく位置座標を決定することができる。
ここで、X透明電極156及びY透明電極158をセンサ電極とし、個々の透明電極の静電容量値を検出する、投影容量式タッチパネルにおいて、自己容量方式と呼ばれる方式を説明したが、相互容量方式であってもよい。相互容量方式は、X透明電極及びY透明電極のうち、一方の透明電極を一本ずつ走査しながら電圧を印加し、他方の透明電極に流れる電流値を検出する方式である。
また、図35の平面模式図においては、X透明電極156又はY透明電極158の幅が一定である例を示したが、菱形(ダイヤモンド形)又はジグゾーパズル形などのパターンを使用してもよい。
次に、本実施形態4の投影容量式タッチセンサ装置における位置座標の補正の説明を図36に示す。図36を参照して、投影容量式タッチセンサ装置における位置座標の補正の概要を説明する。図36において、符号150はマウスポインタである。
図36(a)は、タッチオン判定直後の状態を示す。透明電極で検出される静電容量には、掌の接近に伴う成分が含まれる。それゆえ、実際のタッチ点に対して、検出位置座標がずれる(第1の検出位置)。そこで、タッチオン判定される直前、すなわち掌が接近し指先がタッチする前の状態の信号を使用して、測定した信号から減算する。その減算された信号に指先のタッチに伴う信号が抽出されており、正確な位置座標を算出できる(第2の検出位置)。このとき、タッチオン判定直後の第1の検出位置(X1[nT],Y1[nT])と第2の検出位置(X2[nT],Y2[nT])とを記憶しておいて、タッチオン判定されてからタッチオフ判定されるまでの検出位置座標の補正に使用する。ここで、添え字のnはタッチ判定された検出期間の番号iである。また、Tは検出期間の周期を示す。すなわち、nTはタッチオン判定直後の時刻を示す。
図36(b)は、タッチオン判定からタッチオフ判定までの状態を示す。タッチに引き続き、指先をタッチパネルの表面でなぞる、ドラッグ操作をしたとき、検出期間毎に算出した第1の検出位置(X1[iT],Y1[iT])を一旦算出して、タッチオン判定直後に算出し記憶した第1の検出位置(X1[nT],Y1[nT])及び第2の検出位置(X2[nT],Y2[nT])を検出位置の補正に使用する。そのようにして、補正した座標を第3の検出位置とする。ここで、第3の検出位置は、(X3[iT]=X1[iT]+(X2[nT]−X1[nT]),Y3[iT]=Y1[iT]+(Y2[nT]−Y1[nT]))である。
なお、図34乃至図36においては、投影容量式タッチパネル164に、タッチパネル基板157及びカバーガラス154の二枚の基板を使用した。一方で、タッチパネル基板157を省略して、カバーガラス154の基板一枚とする、カバーガラス一体型としてもよい。カバーガラス一体型投影容量式タッチパネルを用いた投影容量式タッチセンサ装置付LCDの平面模式図を図38に示す。また、図38のXXXVII-XXXVII線に沿った断面模式図であり、カバーガラス一体型投影容量式タッチパネル付LCDの断面を示す図を図37に示す。
図37を参照すると、カバーガラス154の片面に、図37の下方向にX透明電極156、絶縁層159、Y透明電極158の順序で積層する。ここで、カバーガラス154が投影容量式タッチパネル164を支持する支持基板となる。このように、カバーガラス一体型タッチパネルとすると、投影容量式タッチパネル付LCD162の厚みが薄くなる利点がある。
また、図34に示した投影容量式タッチパネル付LCD162は、投影容量式タッチパネル164とLCD5を貼り合わせた外付けの構成であるが、LCD内に形成した透明導電層をタッチセンサに使用した内蔵型であってもよい。例えば、対向基板の表に形成した対向電極、又は対向基板の裏面に形成した裏面透明導電膜を、タッチセンサに利用する。又は、薄膜トランジスタ基板上に形成した透明導電層を使用する。
本実施形態4によれば、投影容量方式タッチセンサ装置においてタップ操作又はドラッグ操作時に生じる、掌の接近に伴う検出位置座標のずれに対して、本発明のアルゴリズムを使用することによって、タッチ位置精度を高めることができる。
<実施例3>
実施例3においては、実施形態1〜3で用いたアルゴリズムを搭載したタッチセンサ装置において、タッチパネルの表面を指先でタッチし、タッチセンサ装置が検出した位置座標を求めて、実施形態1〜3の発明の効果を定量的に説明する。
[評価方法]
まず、タッチ位置精度の評価方法を説明する。実施形態1のタッチセンサ装置による位置精度の測定結果を図39に示す。この図39の一覧表の縦方向の各行に、実施形態1による位置精度(最下行)の他に、特許文献3の技術を搭載したタッチセンサ装置による位置精度(下から2行目)、及びこれらの掌の接近に伴う影響の対策を搭載しない場合の位置精度(下から3行目)を示す。また、図39の一覧表の横方向の各列に、タッチしてから指先の位置を変えずに、指先をタッチパネルから離す、タップ操作時の位置精度(中央列)、及び、タッチに引き続き指先をタッチパネルの表面上をなぞりながら、指先の位置を変えるドラッグ操作時の位置精度(右列)を示す。
次に、図39の一覧表に示すグラフについて説明する。グラフの横軸はx位置座標、縦軸はy位置座標を示す。このグラフの(x位置座標,y位置座標)=(0,0)を表示部の中央とし、グラフの横軸の範囲は−123mm〜+123mm、縦軸の範囲は−92mm〜+92mmであり、このグラフの範囲が12.1型の表示部に対応している。
タッチするタッチ点を、基準座標P[q]=(X[q],Y[q])とし、x座標とy座標の要素を持つ2元ベクトルで表す。ここで、添え字のqは1,2・・・48と基準座標P[q]の番号を示す。ここで、基準座標P[q]を等間隔に48箇所設定した。グラフ中に、矩形の格子が横方向(x位置座標方向)に8箇所、縦方向(y位置座標方向)に6箇所、すなわち横8×縦6の合計48箇所、点線で図示され、それぞれの格子の中央を基準座標P[q]とした。
基準座標P[q]をタッチして、検出期間毎にタッチセンサ装置が(x[iT],y[iT])を出力する。ここで、Tを検出周期とし、iを整数とする。また、(x[iT],y[iT])は、ポインタの座標を決定する最終的な座標を示し、第1の検出位置(X1[iT],Y1[iT])乃至第3の検出位置(X3[iT],Y3[iT])が適宜代入される。
検出周期T=1/60秒、測定時間t=1秒間、すなわち測定サンプル数を60(=測定時間/検出周期)として、(x[(i−59)T],y[(i−59)T])〜(x[iT],y[iT])を出力した。この60サンプルの平均値を検出位置座標p=(x[q],y[q])とする。p[q]はx座標とy座標の要素を持つ2元ベクトルで表す。添え字のqは基準座標P[q]に対応している。
実施例3における指示体を、右手の人差し指の指先とした。タップ操作については、基準座標P[q]をタッチして、以下の式F1に基づき位置精度Paを算出した。
qtotal
位置精度Pa(%)=(Σ|p[q]−P[q]|)
q=1 /(qtotal*Lactive*100) (式F1)
ここで、基準座標P[q]の数をqtotal(=48)とする。検出位置座標p[q]と基準座標P[q]との差(p[q]−P[q])は、位置のずれを示すベクトルであり、ベクトルの大きさ|p[q]−P[q]|に変換する。続いて、タッチ可能な範囲を示すアクティブエリアの対角線長Lactiveで除算した、|p[q]−P[q]|/Lactiveは基準座標P[q]毎の位置精度を示す。すべての基準座標P[q]の位置精度を加算後、qtotalで除算し平均化する。なお、単位をパーセントとするため、100で除算する。この式F1で計算される値を位置精度Paとする。
ドラッグ操作については、はじめのタッチ座標を表示部の中央(x位置座標,y位置座標)=(0,0)として、このタッチに引き続きドラッグして、基準座標P[q]に指先を移動してから指を静止し、1秒間測定して、基準座標P[q]毎に位置精度Paを算出した。
[評価結果]
次に、評価結果を図面を交えて説明する。
[実施形態1に対応]
続いて、図39を参照して位置精度Paを比較する。対策方法が“掌の接近に伴う対策無し”の場合、タップ操作時とドラッグ操作のどちらも、検出位置座標p[q]の計算方法が同じであるので、共通のグラフを示した(図39の上段)。基準座標P[q]に対して検出位置座標p[q]が概ね右下方向に大きくずれている。この原因は、タッチした、右手の人差し指の指先に対して、右手の手や腕が右下方向にあり、手や腕と透明導電層の間に形成される静電容量の影響を大きく受けるためである。このときの位置精度Paは3.4%であった。
次に、特許文献3の技術を搭載した場合の結果を参照する(図39の中段)。タップ操作時の位置精度Paは1.1%と改善した。また、“掌の接近に伴う対策無し”の検出位置座標p[q]に見られた右下方向へのずれる傾向が見られない。ただし、ドラッグ操作時については、位置精度Paが11.6%と非常に高く、“掌の接近に伴う対策無し”の位置精度Pa=3.4%と比べてかえって悪化した。すなわち、特許文献3の技術では、タップ操作時の位置精度Paは改善するものの、ドラッグ操作時の位置精度Paが大幅に悪化するので、ドラッグ操作を使うタッチセンサ装置には不向きであるといえる。
次に、実施形態1の技術を搭載した場合の結果を参照する(図39の下段)。タップ操作時の位置精度Paは1.1%、ドラッグ操作時の位置精度Pa=1.8%と、“掌の接近に伴う対策無し”の結果と比べて、タップ操作時及びドラック操作時のどちらの場合においても、位置精度Paが改善している。また、特許文献3の技術に対しては、タップ操作時において同等の位置精度Pa=1.1%を維持しつつ、ドラッグ操作時においては、位置精度Paが11.6%から1.8%に改善したと言える。
[実施形態2に対応]
次に、実施形態2におけるアルゴリズムを搭載したタッチセンサ装置の位置精度について、図40及び図41を参照して説明する。図40は、実施形態2における、位置精度Paと調整値AVとの関係である。図41は、実施形態2における、タッチセンサ装置の検出位置座標p[q]のパネル面内分布と位置精度Paを示す一覧表である。
図40のグラフの縦軸はドラッグ操作時の位置精度Paを示し、横軸は調整値AVを示す。この調整値AVは式F2で示される。
調整値AV=Xw/Dw (式F2)
ここで、Xwは実施形態2の式B1における、X3[iT]=Xw−(Xw−X2[nT])/(Xw―X1[nT])×(Xw−X1[iT])で使用されるパラメータである。また、Dwは表示部の幅を示し、ここでは、Dw=264mmである。
また、調整値AVは式F3でも示すことができる。
調整値AV=Yw/Dh (F3)
ここで、Ywは実施形態2の式B3における、Y3[iT]=―Yw+(Yw+Y2[nT])/(Yw+Y1[nT])×(Yw+Y1[iT])で使用されるパラメータである。また、Dhは表示部の高さを示し、ここでは、Dh=184mmである。
比較のために、図39における実施形態1のアルゴリズムを搭載した場合のドラッグ操作時の位置精度Pa=1.8%を、点線を使用して図40のグラフに示す。
図40のグラフを参照すると、調整値AV=0.5付近で位置精度Paが急降下し、調整値AV≧0.78において、実施形態1による位置精度Pa=1.8%より優れている。また、位置精度Paが極小値(1.4%)をとる、調整値AVはCV=1.5であった。このときの検出位置座標p[q]のパネル面分布を図41に示す。図41の中央列はタップ操作時、右列はドラッグ操作時である。
[実施形態3に対応]
次に、実施形態3におけるアルゴリズムを搭載したタッチセンサ装置の位置精度について、図42及び図43を参照して説明する。図42は、実施形態3における、タッチした手の判定結果を示す。図43は、実施形態3における、検出位置座標p[q]のパネル面内分布と位置精度Paを示す一覧表である。ここでは、右手の人差し指の指先でタッチパネルの表面をタッチした。
図42に示す、タッチした手の判定結果のパネル面内分布を参照する。判定結果の記入欄は横方向に8箇所、縦方向に6箇所あり、横方向がX座標方向、縦方向がY座標方向とし、基準座標P[q]に対応している。
次に、判定方法について説明する。実施形態3に記載の通り、図18ステップSA16,SA17において、第1の検出位置X1[nT]及び第2の検出位置X2[nT]を算出後、(X2[nT]−X1[nT])というようにこれらの差を求めてから、この差をXthと比較する(図18ステップSC01,SC02)。ここで予め、Xth=5mmと設定した(表示部の幅Dwと比較すると、これはXth/Dw=5mm/123mm≒1.9%に相当する)。
図18ステップSC01において、|X2[nT]−X1[nT]|<Xthを満たす場合、図42に示す、タッチした基準座標P[q]に対応する記入欄に“平”と記入する。図18ステップSC02において、X2[nT]<X1[nT]の場合、タッチした手を右手と判定し、タッチした基準座標P[q]に対応する記入欄に“右”と記入する。さもなければ、タッチした手を左手と判定し“左”と記入する。判定結果については、48箇所の基準座標P[q]の中で、“右”と判定した数は、20箇所、“平”と判定した数は28箇所、“左”と判定した数は、0箇所であった。すなわち、右手の人差し指でタッチしており、逆の判定である“左”は発生しなかった。
タッチした手の判定結果に基づき、図18ステップSC03,SC04において、使用する信号と座標との関係(定数k1〜k4)を自動で選択して、位置座標p[q]を検出した。
このときの、検出位置座標p[q]のパネル面内分布を、図43に示す。ドラッグ操作時の位置精度Pa(右列)は1.0%と、タップ操作時の位置精度Pa=1.1%(中央列)と同程度となった。この要因は、タッチした手を“右”と判定した箇所は、位置ずれが大きいものの、実施形態3による補正の効果が大きいためである。
<総括>
本発明における課題を解決するための手段は、次のように表現することもできる。
本発明の第1視点によれば、指示体との間に静電容量が形成されるタッチセンサと、
前記タッチセンサからサイクル毎に逐次取得される複数の検出信号と、を有し、
掌の影響を受けた第1の検出位置と掌の影響を除去した第2の検出位置を算出し、
タッチオン判定された直後に算出した、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置を使用して補正値を計算し、
前記タッチオン判定されてからタッチオフ判定されるまでに、前記第1の検出位置を逐次算出し、
前記逐次算出される第1の検出位置は前記補正値で補正されて、第3の検出位置が算出される、タッチセンサ装置が提供される。
本発明の第2視点によれば、指先を模擬した第1の導電体を前記タッチセンサ装置の表面に接触させると同時に、掌を模擬した第2の導電体を前記タッチセンサ装置の表面に接近させて、
前記第1の導電体を前記タッチセンサ装置の表面でドラッグ操作し位置を変更した後に、
前記第2の導電体を上昇し、前記タッチセンサ装置の表面から十分に離した時の検出位置の実測値を求め、
前記第1の導電体と前記タッチセンサ装置の表面を接触させて測定した第1の静電容量と、前記第2の導電体と前記タッチセンサ装置を接近させて測定した第2の静電容量と、を使用して前記第3の検出位置の推測値を求め、
前記実測値と前記推測値が一致する、タッチセンサ装置が提供される。
本発明の第3視点によれば、上記第1視点に係るタッチセンサ装置を備える電子機器が提供される。
以上、上記各実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態及び実施例の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
上記の実施形態及び実施例の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
[付記1]付随部分を有する指示体のタッチの有無及び当該指示体のタッチ位置に応じてインピーダンスが変化するタッチパネルと、
このタッチパネルにおける前記インピーダンスに基づく検出信号を一定時間ごとに出力する検出回路と、
この検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルに触れたことを示すタッチオンを判定するタッチオン判定部と、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルから離れたことを示すタッチオフを判定するタッチオフ判定部と、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を受けた前記タッチ位置である第1の検出位置を算出する第1の位置算出部と、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置である第2の検出位置を算出する第2の位置算出部と、
前記第1及び第2の位置算出部で算出された前記第1及び第2の検出位置に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置を得るための補正値を算出する補正値算出部と、
前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定されてから前記タッチオフ判定部で前記タッチオフが判定されるまでの間、前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出しつつ、前記補正値算出部で算出された前記補正値を用いて当該第1の検出位置を補正することにより第3の検出位置を算出する第3の位置算出部と、
を備えたタッチセンサ装置。
[付記2]前記第1及び第3の位置算出部は、
前記指示体が前記タッチパネルから十分に離れた状態における前記検出信号をベースラインとし、
前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定された後の前記検出信号から前記ベースラインを減算した第1の信号を算出し、
この第1の信号に基づき前記第1の検出位置を算出する、
付記1記載のタッチセンサ装置。
[付記3]前記第2の位置算出部は、
前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定される直前に前記インピーダンスに含まれる静電容量が緩やかに増加することに伴う前記検出信号の変化に基づき、前記付随部分の接近に伴う信号を算出し、
前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定された直後の前記検出信号から前記付随部分の接近に伴う信号を減算して第2の信号を算出し、
この第2の信号に基づき前記第2の検出位置を算出する、
付記1又は2記載のタッチセンサ装置。
[付記4]前記補正値算出部が前記補正値を算出する際に用いる、前記第1及び第2の検出位置は、前記検出回路から同一時刻に出力された前記検出信号に基づき算出される、
付記1乃至3のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
[付記5]前記補正値算出部が前記補正値を算出する際に用いる、前記第1及び第2の検出位置は、前記検出回路から同一時刻に出力された前記検出信号乃至当該同一時刻から6番目に出力された前記検出信号に基づき算出される、
付記1乃至3のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
[付記6]前記補正値算出部が前記補正値を算出する際に用いる、前記第1の検出位置は、前記検出回路から同一時刻に出力された前記検出信号乃至当該同一時刻から6番目に出力された前記検出信号に基づき、前記第1の信号の平均値を算出し、
この平均値に基づき算出される、
付記2記載のタッチセンサ装置。
[付記7]前記補正値算出部が前記補正値を算出する際に用いる、前記第2の検出位置は、前記検出回路から同一時刻に出力された前記検出信号乃至当該同一時刻から6番目に出力された前記検出信号に基づき、前記第2の信号の平均値を算出し、
この平均値に基づき算出される、
付記3記載のタッチセンサ装置。
[付記8]前記第1及び第2の位置算出部は、前記検出信号に基づき、前記第1の検出位置(X1[nT],Y1[nT])及び前記第2の検出位置(X2[nT],Y2[nT])を算出し、
前記補正値算出部は、前記第1の検出位置(X1[nT],Y1[nT])及び前記第2の検出位置(X2[nT],Y2[nT])に基づき、前記補正値(X2[nT]−X1[nT],Y2[nT]−Y1[nT])を算出し、
前記第3の位置算出部は、前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定されてからi番目の前記検出信号に基づき前記第1の検出位置(X1[iT],Y1[iT])を算出しつつ、前記補正値(X2[nT]−X1[nT],Y2[nT]−Y1[nT])を用いて当該第1の検出位置(X1[iT],Y1[iT])を補正する次式により前記第3の検出位置(X3[iT],Y3[iT])を算出する、
X3[iT]=X1[iT]+(X2[nT]−X1[nT])
Y3[iT]=Y1[iT]+(Y2[nT]−Y1[nT])
付記1乃至7のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
[付記9](実施形態2)前記補正値算出部は、前記第1の検出位置に対応する予め定められた調整値を用いて、前記補正値を調整し、
前記第3の位置算出部は、この調整された前記補正値を用いて、当該第3の位置算出部で算出された前記第1の検出位置を補正することにより、前記第3の検出位置を算出する、
付記1乃至8のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
[付記10](実施形態3)前記指示体が前記付随部分の無い理想的な指示体である場合の一組の第1の定数と、前記指示体が人の指である場合の複数組の第2の定数とが予め定められ、
前記第1及び第2の位置算出部は、前記一組の第1の定数を用いて、前記検出信号に基づき前記第1及び前記第2の検出位置を算出し、
前記第3の位置算出部は、前記第1及び第2の位置算出部で算出された前記第1及び前記第2の検出位置の大小関係に応じて前記複数組の第2の定数のうちから一組の第2の定数を選択し、当該一組の第2の定数を用いて、前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出する、
付記1乃至9のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
[付記11](実施例2)前記指示体として指先を模擬した第1の導電体を用い、前記付随部分として掌を模擬した第2の導電体を用い、
前記第1の導電体を前記タッチパネルの表面に接触させると同時に、前記第2の導電体を前記タッチパネルの表面に接近させ、前記第1の導電体を前記タッチパネルの表面でドラッグ操作することにより当該第1の導電体の位置を変更し、この状態で算出した前記第3の検出位置を推測値とし、
この状態から前記第2の導電体を前記タッチパネルの表面から十分に離すことにより算出した前記第3の検出位置の変化をシフト値としたとき、
当該第3の検出位置の実測値と、前記推測値と、前記シフト値との間には、次の不等式が成り立つ、
|(実測値―推測値)/シフト値|<0.5
付記1乃至10のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
[付記12]付記1乃至11のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置を備えた電子機器。
[付記13]付随部分を有する指示体のタッチの有無及び当該指示体のタッチ位置に応じてインピーダンスが変化するタッチパネルと、このタッチパネルにおける前記インピーダンスに基づく検出信号を一定時間ごとに出力する検出回路と、を備えるタッチセンサ装置に用いられる位置算出方法であって、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルに触れたことを示すタッチオンを判定するタッチオン判定ステップと、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルから離れたことを示すタッチオフを判定するタッチオフ判定ステップと、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を受けた前記タッチ位置である第1の検出位置を算出する第1の位置算出ステップと、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置である第2の検出位置を算出する第2の位置算出ステップと、
前記タッチオン判定ステップで前記タッチオンが判定され直後に、前記第1及び第2の位置算出ステップで算出された前記第1及び第2の検出位置に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置を得るための補正値を算出する補正値算出ステップと、
前記タッチオン判定ステップで前記タッチオンが判定されてから前記タッチオフ判定ステップで前記タッチオフが判定されるまでの間、前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出しつつ、前記補正値算出ステップで算出された前記補正値を用いて当該第1の検出位置を補正することにより第3の検出位置を算出する第3の位置算出ステップと、
を含む位置算出方法。
[付記14]付随部分を有する指示体のタッチの有無及び当該指示体のタッチ位置に応じてインピーダンスが変化するタッチパネルと、このタッチパネルにおける前記インピーダンスに基づく検出信号を一定時間ごとに出力する検出回路と、コンピュータと、を備えるタッチセンサ装置に用いられる位置算出プログラムであって、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルに触れたことを示すタッチオンを判定するタッチオン判定ステップと、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルから離れたことを示すタッチオフを判定するタッチオフ判定ステップと、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を受けた前記タッチ位置である第1の検出位置を算出する第1の位置算出ステップと、
前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置である第2の検出位置を算出する第2の位置算出ステップと、
前記タッチオン判定ステップで前記タッチオンが判定され直後に、前記第1及び第2の位置算出ステップで算出された前記第1及び第2の検出位置に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置を得るための補正値を算出する補正値算出ステップと、
前記タッチオン判定ステップで前記タッチオンが判定されてから前記タッチオフ判定ステップで前記タッチオフが判定されるまでの間、前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出しつつ、前記補正値算出ステップで算出された前記補正値を用いて当該第1の検出位置を補正することにより第3の検出位置を算出する第3の位置算出ステップと、
を前記コンピュータに実行させるための位置算出プログラム。
[付記21]指示体との間に静電容量が形成されるタッチセンサと、
前記タッチセンサから一定のサイクル毎に逐次取得される複数の検出信号と、を有し、
掌の影響を受けた第1の検出位置と掌の影響を除去した第2の検出位置とを算出し、
タッチオン判定された直後に算出した、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置とを使用して補正値を計算し、
前記タッチオン判定されてからタッチオフ判定されるまでに、前記第1の検出位置を逐次算出し、
前記逐次算出される第1の検出位置は前記補正値で補正されて、第3の検出位置が算出される、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
[付記22]前記タッチセンサから人体が十分に離れている時点で取得される前記検出信号をベースラインとし、前記タッチオン判定時点の前記検出信号から前記ベースラインを減算した第1の信号を算出し、
前記第1の信号を基に、前記第1の検出位置が算出される、
ことを特徴とする付記21記載のタッチセンサ装置。
[付記23]前記タッチオン判定される直前の時点で緩やかに上昇する前記検出信号を基に、掌の接近に伴う信号を計算し、
前記タッチオン判定時点の前記検出信号から前記掌の接近に伴う信号を減算した第2の信号を算出し、
前記第2の信号を基に、第2の検出位置が計算される、
ことを特徴とする付記21記載のタッチセンサ装置。
[付記24]前記第1の検出位置と前記第2の検出位置が同一のサイクルiで算出される、
ことを特徴とする付記21記載のタッチセンサ装置。
[付記25]前記第1の検出位置と前記第2の検出位置が、同一のサイクルi=n−1乃至n+6の時点で算出される、
ことを特徴とする付記24記載のタッチセンサ装置。
[付記26]前記第1の検出位置又は前記第2の検出位置が、サイクルi=n−1乃至n+6のいずれかの範囲で計算された前記第1の信号又は前記第2の信号の平均値を基に、算出される、
ことを特徴とする付記25記載のタッチセンサ装置。
[付記27]前記第3の検出位置を(X3[iT],Y3[iT])とするとき、前記第3の検出位置が下記の式を使用して算出される、
ことを特徴とする付記24記載のタッチセンサ装置。
X3[iT]=X1[iT]+(X2[nT]−X1[nT])
Y3[iT]=Y1[iT]+(Y2[nT]−Y1[nT])
ここで、(X1[nT],Y1[nT])は前記タッチオン判定直後に算出される掌の影響を受けた前記第1の検出位置、(X2[nT],Y2[nT])は前記タッチオン判定直後の掌の影響を除去した前記第2の検出位置、(X1[iT],Y1[iT])は前記タッチオン判定された時点からタッチオフ判定される時点までにサイクルi毎に算出される掌の影響を受けた前記第1の検出位置である。
[付記28](実施形態2)前記タッチオン判定後に算出される前記第1の検出位置と前記第2の検出位置を基に算出された補正値を、前記タッチオン判定された時点から前記タッチオフ判定される時点までに逐次算出される前記第1の検出位置を基に調整し、この調整された補正値を使用して前記第3の検出位置が算出される、
ことを特徴とする付記21記載のタッチセンサ装置。
[付記29](実施形態3)理想指示体を使用した第1の定数と、
人の指を使用した第2の定数と、を有し
前記タッチオン判定直後に、前記第1の定数を使用して、前記第1の検出位置及び前記第2の検出位置を算出し、
前記第1の検出位置及び前記第2の検出位置を基に補正値を算出し、
前記タッチオン判定された時点から前期タッチオフ判定される時点までは、
前記第2の定数を使用して前記第1の検出位置を基にして、前記第3の検出位置が算出される、
ことを特徴とする付記21記載のタッチセンサ装置。
[付記30](実施例2)指先を模擬した第1の導電体をタッチセンサ装置の表面に接触させると同時に、掌を模擬した第2の導電体を前記タッチセンサ装置の表面に接近させる第1のステップと、
前記第1の導電体を前記タッチセンサ装置の表面でドラッグ操作し位置を変更する第2のステップと、
前記第2の導電体を上昇し、前記タッチセンサ装置の表面から十分に離す第3のステップと、
前記第1の導電体と前記タッチセンサ装置の表面を接触させて測定した第1の静電容量と、前記第2の導電体と前記タッチセンサ装置を接近させて測定した第2の静電容量と、を使用して、前記第1のステップから前記第3のステップの順序で実施された後の第3の検出位置の推測値を求める第4のステップと、を有し、
前記第1のステップから前記第3のステップの順序で実施された後に、検出位置である実測値を求め、前記第1の導電体の位置座標を基準とする前記実測値のシフト値を算出し、前記実測値と前記推測値の差分値を計算し、以下に示す不等式を満たす、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
|(実測値―推測値)/シフト値|<0.5
[付記31]付記21〜付記30のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置を備える、
ことを特徴とする電子機器。
本発明は、表示面上において指示体を用いて指し示された位置座標を検出する面表示装置、又は指し示す動作の有無を検出する面表示装置に利用可能である。また、本発明の活用例として、ゲーム機、携帯情報端末、PDA、カーナビゲーション、ノートパソコン、携帯DVDプレーヤ、飛行機やバスの客席に取り付けるテレビ・ゲーム機、ファクトリ・オートメーション(FA)機器に使用されるタッチセンサ機能が挙げられる。
10 指示体
10a 付随部分
11 インピーダンス
12 検出信号
13 タッチオン
14 タッチオフ
15 第1の検出位置
16 第2の検出位置
17 補正値
18 第3の検出位置
X,Y タッチ位置
100 タッチセンサ装置
101 タッチパネル
102 検出回路
103 タッチオン判定部
104 タッチオフ判定部
105 第1の位置算出部
106 第2の位置算出部
107 補正値算出部
108 第3の位置算出部
110 コンピュータ
1 電子機器
3 筐体
5 LCD
7 FPC
19 メイン基板
20 電源装置
21 コントローラ
23 指(指示体)
24 導電体(指示体)
25 タッチに伴う静電容量
26 寄生容量
27 発振器(交流電圧源)
28c 電流−電圧変換回路
29,29a〜29d 電流検出回路(電流検出部)
35 グランド電位(アース電位)
37 保護層(カバーガラス)
38 電極
39 透明導電層(インピーダンス面)
41 絶縁性透明基板
50 オペアンプ
52 抵抗素子
54a〜54d AC−DC変換回路
56 アナログ−デジタル変換回路
58 マイクロコントローラ
60 CPU
62 フラッシュメモリ
70a 指先を模擬した指示体(第1の導電体)
70b 掌を模擬した指示体(第2の導電体)
72a 指先を模擬した指示体70aの先端部
72b 掌を模擬した指示体70bの先端部
74a 指先を模擬した指示体70aの本体部
74b 掌を模擬した指示体70bの本体部
82a,82b 距離センサ装置
84 ステージ
88 アーム
90 検査装置
150 マウスポインタ
154 カバーガラス(絶縁性基板)
156 X透明電極
157 タッチパネル基板(絶縁性基板)
158 Y透明電極
159 絶縁層
160 コントローラ
162 投影容量式タッチパネル付LCD
163 投影容量式タッチセンサ装置付LCD
164 投影容量式タッチパネル

Claims (17)

  1. 付随部分を有する指示体のタッチの有無及び当該指示体のタッチ位置に応じてインピーダンスが変化するタッチパネルと、
    このタッチパネルにおける前記インピーダンスに基づく検出信号を一定時間ごとに出力する検出回路と、
    この検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルに触れたことを示すタッチオンを判定するタッチオン判定部と、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルから離れたことを示すタッチオフを判定するタッチオフ判定部と、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を受けた前記タッチ位置である第1の検出位置を算出する第1の位置算出部と、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置である第2の検出位置を算出する第2の位置算出部と、
    前記第1及び第2の位置算出部で算出された前記第1及び第2の検出位置に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置を得るための補正値を算出する補正値算出部と、
    前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定されてから前記タッチオフ判定部で前記タッチオフが判定されるまでの間、前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出しつつ、前記補正値算出部で算出された前記補正値を用いて当該第1の検出位置を補正することにより第3の検出位置を算出する第3の位置算出部と、
    を備えたタッチセンサ装置。
  2. 前記第1及び第3の位置算出部は、
    前記指示体が前記タッチパネルから十分に離れた状態における前記検出信号をベースラインとし、
    前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定された後の前記検出信号から前記ベースラインを減算した第1の信号を算出し、
    この第1の信号に基づき前記第1の検出位置を算出する、
    請求項1記載のタッチセンサ装置。
  3. 前記第2の位置算出部は、
    前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定される直前に前記インピーダンスに含まれる静電容量が緩やかに増加することに伴う前記検出信号の変化に基づき、前記付随部分の接近に伴う信号を算出し、
    前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定された直後の前記検出信号から前記付随部分の接近に伴う信号を減算して第2の信号を算出し、
    この第2の信号に基づき前記第2の検出位置を算出する、
    請求項1又は2記載のタッチセンサ装置。
  4. 前記補正値算出部が前記補正値を算出する際に用いる、前記第1及び第2の検出位置は、前記検出回路から同一時刻に出力された前記検出信号に基づき算出される、
    請求項1乃至3のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
  5. 前記補正値算出部が前記補正値を算出する際に用いる、前記第1及び第2の検出位置は、前記検出回路から同一時刻に出力された前記検出信号乃至当該同一時刻から6番目の検出期間で出力された前記検出信号に基づき算出される、
    請求項1乃至3のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
  6. 前記補正値算出部が前記補正値を算出する際に用いる、前記第1の検出位置は、前記検出回路から同一時刻に出力された前記検出信号乃至当該同一時刻から6番目の検出期間で出力された前記検出信号に基づき、前記第1の信号の平均値を算出し、
    この平均値に基づき算出される、
    請求項2記載のタッチセンサ装置。
  7. 前記補正値算出部が前記補正値を算出する際に用いる、前記第2の検出位置は、前記検出回路から同一時刻に出力された前記検出信号乃至当該同一時刻から6番目の検出期間で出力された前記検出信号に基づき、前記第2の信号の平均値を算出し、
    この平均値に基づき算出される、
    請求項3記載のタッチセンサ装置。
  8. 前記第1及び第2の位置算出部は、前記検出信号に基づき、前記第1の検出位置(X1[nT],Y1[nT])及び前記第2の検出位置(X2[nT],Y2[nT])を算出し、
    前記nTはタッチオン判定直後の時刻であり、
    前記補正値算出部は、前記第1の検出位置(X1[nT],Y1[nT])及び前記第2の検出位置(X2[nT],Y2[nT])に基づき、前記補正値(X2[nT]−X1[nT],Y2[nT]−Y1[nT])を算出し、
    前記第3の位置算出部は、前記タッチオン判定部で前記タッチオンが判定されてからi番目の前記検出信号に基づき前記第1の検出位置(X1[iT],Y1[iT])を算出しつつ、前記補正値(X2[nT]−X1[nT],Y2[nT]−Y1[nT])を用いて当該第1の検出位置(X1[iT],Y1[iT])を補正する次式により前記第3の検出位置(X3[iT],Y3[iT])を算出する、
    X3[iT]=X1[iT]+(X2[nT]−X1[nT])
    Y3[iT]=Y1[iT]+(Y2[nT]−Y1[nT])
    請求項1乃至7のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
  9. 前記補正値算出部は、前記第1の検出位置に対応する予め定められた調整値AVを用いて、前記補正値を調整し、
    前記第3の位置算出部は、この調整された前記補正値を用いて、当該第3の位置算出部で算出された前記第1の検出位置を補正することにより、前記第3の検出位置を算出する、
    請求項1乃至8のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
  10. 前記調整値AVがAV≧0.78である、
    請求項9記載のタッチセンサ装置。
  11. 前記指示体が前記付随部分の無い理想的な指示体である場合の一組の第1の定数と、前記指示体が人の指である場合の複数組の第2の定数とが予め定められ、
    前記第1及び第2の位置算出部は、前記一組の第1の定数を用いて、前記検出信号に基づき前記第1及び前記第2の検出位置を算出し、
    前記第3の位置算出部は、前記第1及び第2の位置算出部で算出された前記第1及び前記第2の検出位置の大小関係に応じて前記複数組の第2の定数のうちから一組の第2の定数を選択し、当該一組の第2の定数を用いて、前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出する、
    請求項1乃至10のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
  12. 前記タッチパネルは
    前記インピーダンスが変化するインピーダンス面と、
    このインピーダンス面の外周に形成した複数の電極と、
    これらの電極に流れる電流を検出する検出回路と、
    を有する、
    請求項1乃至11のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
  13. 前記タッチパネルは
    支持基板と、
    この支持基板に配列された、第1の方向に延在する形状の複数のX電極及び第2の方向に延在する形状の複数のY電極と、
    前記X電極と前記Y電極とが絶縁体を介して交差する交差部と、
    を有する、
    請求項1乃至11のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
  14. 前記指示体として指先を模擬した第1の導電体を用い、前記付随部分として掌を模擬した第2の導電体を用い、
    前記第1の導電体を前記タッチパネルの表面に接触させると同時に、前記第2の導電体を前記タッチパネルの表面に接近させ、前記第1の導電体を前記タッチパネルの表面でドラッグ操作することにより当該第1の導電体の位置を変更し、この状態で算出した前記第3の検出位置を推測値とし、
    この状態から前記第2の導電体を前記タッチパネルの表面から十分に離すことにより算出した前記第3の検出位置の変化をシフト値としたとき、
    当該第3の検出位置の実測値と、前記推測値と、前記シフト値との間には、次の不等式が成り立つ、
    |(実測値―推測値)/シフト値|<0.5
    請求項1乃至13のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置。
  15. 請求項1乃至14のいずれか一つに記載のタッチセンサ装置を備えた電子機器。
  16. 付随部分を有する指示体のタッチの有無及び当該指示体のタッチ位置に応じてインピーダンスが変化するタッチパネルと、このタッチパネルにおける前記インピーダンスに基づく検出信号を一定時間ごとに出力する検出回路と、を備えるタッチセンサ装置に用いられる位置算出方法であって、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルに触れたことを示すタッチオンを判定するタッチオン判定ステップと、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルから離れたことを示すタッチオフを判定するタッチオフ判定ステップと、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を受けた前記タッチ位置である第1の検出位置を算出する第1の位置算出ステップと、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置である第2の検出位置を算出する第2の位置算出ステップと、
    前記タッチオン判定ステップで前記タッチオンが判定された直後に、前記第1及び第2の位置算出ステップで算出された前記第1及び第2の検出位置に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置を得るための補正値を算出する補正値算出ステップと、
    前記タッチオン判定ステップで前記タッチオンが判定されてから前記タッチオフ判定ステップで前記タッチオフが判定されるまでの間、前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出しつつ、前記補正値算出ステップで算出された前記補正値を用いて当該第1の検出位置を補正することにより第3の検出位置を算出する第3の位置算出ステップと、
    を含む位置算出方法。
  17. 付随部分を有する指示体のタッチの有無及び当該指示体のタッチ位置に応じてインピーダンスが変化するタッチパネルと、このタッチパネルにおける前記インピーダンスに基づく検出信号を一定時間ごとに出力する検出回路と、コンピュータと、を備えるタッチセンサ装置に用いられる位置算出プログラムであって、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルに触れたことを示すタッチオンを判定するタッチオン判定ステップと、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記指示体が前記タッチパネルから離れたことを示すタッチオフを判定するタッチオフ判定ステップと、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を受けた前記タッチ位置である第1の検出位置を算出する第1の位置算出ステップと、
    前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置である第2の検出位置を算出する第2の位置算出ステップと、
    前記タッチオン判定ステップで前記タッチオンが判定された直後に、前記第1及び第2の位置算出ステップで算出された前記第1及び第2の検出位置に基づき、前記付随部分の影響を除いた前記タッチ位置を得るための補正値を算出する補正値算出ステップと、
    前記タッチオン判定ステップで前記タッチオンが判定されてから前記タッチオフ判定ステップで前記タッチオフが判定されるまでの間、前記検出回路から出力された前記検出信号に基づき前記第1の検出位置を算出しつつ、前記補正値算出ステップで算出された前記補正値を用いて当該第1の検出位置を補正することにより第3の検出位置を算出する第3の位置算出ステップと、
    を前記コンピュータに実行させるための位置算出プログラム。
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