JP2015051510A - 小片薄膜の製造方法及び小片薄膜分散液 - Google Patents

小片薄膜の製造方法及び小片薄膜分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】厚さがナノメートルオーダーの薄膜であっても、乾燥状態で基体から剥離して小片に切断することができる小片薄膜の製造方法を提供する。【解決手段】製造方法を、フィルム形成剤を含有する薄膜原液を調製する原液調製工程と、調製された薄膜原液をベースフィルム3上にコーティングし乾燥させて薄膜1とする薄膜形成工程と、ベースフィルム3を全厚さにわたり切断することなく、ベースフィルム3に支持された薄膜1を切断する剥離前切断工程と、ベースフィルム3上の薄膜1に、通気性を有するキャリアフィル4ムを重ね合わせ、キャリアフィルム4を通して吸気した状態でベースフィルム3をキャリアフィルム4に対して離反する方向に相対的に移動させ、ベースフィルム3から薄膜1を剥離すると共に、薄膜1をキャリアフィルム4に支持させる剥離工程とを具備する構成とする。【選択図】図1

Description

本発明は、厚さがナノメートルオーダーの薄膜であっても小片にすることができる小片薄膜の製造方法、及び、該製造方法により製造された小片薄膜の新規な用途である小片薄膜分散液に関するものである。
可食フィルムや医薬フィルムなど一般的な高分子フィルムの製造方法は、ベースフィルムなど平滑な面を有する基体上に目的とするフィルム(薄膜)を形成した後、基体からフィルムを剥離するというものである。しかしながら、厚さがナノメートルオーダーの薄いフィルムであるとハンドリングがしにくく、基体上に形成させた後に基体からフィルムを剥離することが困難である。そのため、目的とするフィルム上に、特定の溶剤に可溶な支持膜を積層することによって、ハンドリングが可能な厚さとして基体から剥離し、その後に溶剤に浸漬して支持膜を溶解させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
この技術では、例えば、SiO基体上に数十nm厚さのポリ乳酸フィルムを形成し、その上に水溶性であるポリビニルアルコールで支持膜を積層して、ハンドリングが可能な厚さのフィルムとし、このフィルムを基体から剥離した後、純水に浸漬してポリビニルアルコールの支持膜を溶解させている。このような製造方法は、目的とするフィルムを基体から剥離した後に、支持膜を溶媒に浸漬して溶解させる工程が必要であり、剥離後も溶媒に浮遊させた状態で容器ごと輸送する必要があるため、時間や手間を要しコストが嵩むという問題があった。また、支持膜を溶解させた溶剤を乾燥させる際に、目的のフィルムが収縮し破断する等、損傷を受けるおそれがあった。そのため、厚さがナノメートルオーダーのフィルムであっても、乾燥状態で基体から剥離できる技術が要請されていた。
また、可食フィルムや医薬フィルムは、一回の使用に適した大きさ・形状に切断されて使用されることが多いが、フィルムがナノメートルオーダーの薄いフィルムであると、ハンドリングがしにくく、切断が困難であるという問題があった。そのため、厚さがナノメートルオーダーのフィルムであっても、小片に切断できる技術が要請されていた。
一方、本出願人は、可食性フィルムや経口投与用の医薬フィルムに加え、種々の用途のフィルム製品を提案し、実施している(例えば、特許文献2,3参照)。厚さがナノメートルオーダーのフィルムを乾燥状態で基体から剥離し、且つ、小片に切断することができれば、更に新たなフィルム製品を提供することができると期待される。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、厚さがナノメートルオーダーのフィルム(薄膜)であっても、乾燥状態で基体から剥離して小片に切断することができる小片薄膜の製造方法、及び、該製造方法で製造された小片薄膜の新規な用途である小片薄膜分散液の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる小片薄膜の製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)は、「フィルム形成剤を含有する液体をベースフィルム上にコーティングし乾燥させて薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記ベースフィルム上に形成された前記薄膜上に、通気性を有するキャリアフィルムを重ね合わせ、該キャリアフィルムを通して吸気した状態で前記ベースフィルムを前記キャリアフィルムに対して離反する方向に相対的に移動させ、前記ベースフィルムから前記薄膜を剥離すると共に、前記薄膜を前記キャリアフィルムに支持させる剥離工程と、該剥離工程の前に行われ、前記ベースフィルムに支持された前記薄膜を、前記ベースフィルムを全厚さにわたり切断することなく切断する剥離前切断工程、及び、前記剥離工程の後に行われ、前記キャリアフィルムに支持された前記薄膜を、前記キャリアフィルムを切断することなく又は前記キャリアフィルムと共に切断する剥離後切断工程の何れか一方とを具備する」ものである。
「フィルム形成剤」としては、ポリ乳酸、ポリアクリル酸、プルラン、カラギーナン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、水溶性ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アルキルエステル、トラガント、アラビヤゴム、ローカストビンガム、キサンタンガム、カラヤガム、グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、加工澱粉、デキストリン、デキストラン、アミロース、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−カプロラクトン共重合体、グリコール酸−カプロラクトン共重合体、コラーゲン、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸、水不溶性メタクリル酸共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体等を例示することができる。
「ベースフィルム」としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックシートを例示することができる。
「通気性を有するキャリアフィルム」としては、和紙、不織布、織布、発泡樹脂フィルム、微小な貫通孔が多数穿設された樹脂フィルムを、例示することができる。なお、キャリアフィルムの通気率は10%〜50%とすることが望ましく、20%〜30%とすることがより望ましい。これよりも通気率が低いとベースフィルムから薄膜を剥離させにくく、これよりも通気率が高いと剥離した薄膜がキャリアフィルムに強く吸着され過ぎて、シワや破れ等が生じやすくなるおそれがある。
本製造方法は、「剥離前切断工程」と「剥離後切断工程」とのうち、何れか一方の切断工程を具備する。ここで、「前記ベースフィルムを全厚さにわたり切断することなく、前記ベースフィルムに支持された前記薄膜を切断する」剥離前切断工程は、ベースフィルムは切断することなく薄膜のみを切断するものであっても、薄膜を経てベースフィルムを厚みの途中まで切断する、いわゆるハーフカットであってもよい。また、「前記キャリアフィルムを切断することなく又は前記キャリアフィルムと共に、前記キャリアフィルムに支持された前記薄膜を切断する」剥離後切断工程では、キャリアフィルムを切断することなく薄膜のみを切断するものであっても、薄膜を経てキャリアフィルムをハーフカットするものであっても、薄膜と共にキャリアフィルムを全厚さにわたり切断するものであってもよい。薄膜と共にキャリアフィルムを全厚さにわたり切断する場合、薄膜とキャリアフィルムは同一形状に切断されるものであっても、キャリアフィルムを薄膜の外周より外側で切断するものであってもよい。
本製造方法では、通気性を有するキャリアフィルムを薄膜に重ね合わせ、キャリアフィルムを通して吸気した状態で、ベースフィルムをキャリアフィルムに対して離反する方向に相対的に移動させる。これにより、薄膜はキャリアフィルムに吸着された状態でベースフィルムから引き離され、剥離する。そして、キャリアフィルムに吸着された薄膜は、キャリアフィルムを通して吸気する負圧が除かれた後は、薄膜自体の有する粘着力、摩擦力、及び/又は、静電気力によってキャリアフィルムに支持される。
従って、本製造方法によれば、キャリアフィルムに吸着させた状態で薄膜をベースフィルムから剥離するため、薄膜がナノメートルオーダーの非常に薄い厚さであっても、ハンドリングを要することなくベースフィルムから剥離することができる。また、本製造方法は、特定の溶剤に可溶な支持膜を薄膜に積層しハンドリングしやすい厚さとして基体から剥離し、その後に支持膜を溶剤に溶解させていた従来技術とは異なり、支持膜を積層する工程や、溶剤に浸漬する工程、更には支持膜を溶解させた後の溶剤(廃液)の処理が不要であるため、工程が簡易である。加えて、薄膜を溶剤に浸漬していた従来技術では、溶剤を乾燥する際に薄膜が収縮したり破断したりする等の損傷を受けるおそれがあったのに対し、本製造方法では、皮膜化した後の薄膜は常に乾燥した環境下におかれるため、収縮や破断等の損傷を受けるおそれを低減して薄膜を剥離することができる。また、キャリアフィルムに支持された状態では薄膜に触れることなく薄膜を取り扱うことができるため、薄膜が損傷するおそれを大幅に低減することができる。
加えて、本製造方法では、薄膜が他のフィルムに支持された状態で切断される。すなわち、剥離前切断工程で薄膜を切断する場合は、薄膜はベースフィルム上に積層された状態で切断される。一方、剥離後切断工程で薄膜を切断する場合は、薄膜はキャリアフィルムに支持された状態で切断される。これにより、薄膜がナノメートルオーダーの薄い厚さであっても、薄膜の損傷を抑制して、安定的に薄膜を任意の大きさ、形状に切断することができる。
なお、剥離後切断工程を行う場合は、通気性を有するキャリアフィルムを介して、薄膜をキャリアフィルムに吸着させた状態で切断を行えば、キャリアフィルムによる薄膜の支持がより安定し、高精度で薄膜を切断することができ好適である。
本製造方法では、薄膜が60nm〜300nmという非常に薄い厚さであっても、乾燥状態でベースフィルムから剥離できると共に、薄膜の損傷を抑制して切断し、小片薄膜とすることができる。なお、本製造方法は、厚さがナノメートルオーダーの薄膜であっても乾燥状態で基体から剥離し切断して小片にするという、従来は不可能であったことを可能とする新規な方法であるが、ナノメートルオーダーより厚い薄膜(例えば、〜500nm厚さ)であっても、もちろん本製造方法を適用することができる。
加えて、本製造方法では、小片薄膜はキャリアフィルムに支持された状態で製造される。従って、本製造方法で製造される小片薄膜は、薄膜がナノメートルオーダーの厚さであっても、キャリアフィルム部分を取り扱うことにより、ハンドリングしやすいという利点を有している。
本発明にかかる小片薄膜の製造方法は、上記構成において、「前記剥離後切断工程を具備し、前記剥離後切断工程では、前記薄膜を、前記薄膜を支持している前記キャリアフィルムと共に同一の形状及び大きさに切断する」ものとすることができる。
本構成の製造方法によれば、薄膜とこれを支持しているキャリアフィルムは、共に(同一の切断動作で)、同一の形状及び大きさに切断される。これにより、薄膜がナノメートルオーダーの非常に薄い厚さであっても、小片薄膜の重量や数量を見積もることができる。すなわち、薄膜がナノメートルオーダーの非常に薄い厚さである場合、小片薄膜のみではその重量を測定しにくい。また、小片薄膜のみでは視認しにくく、その数量(枚数)を数えることが難しい。これに対して、本製造方法によれば、小片薄膜が同一形状・大きさのキャリアフィルムに支持されており、その状態であれば重量、数量を測定することが可能であるため、この測定を介して、小片薄膜のみの重量や数量を見積もることができる。
本発明にかかる小片薄膜の製造方法は、上記構成に加え、「切断された状態の前記薄膜を支持している前記キャリアフィルムに、前記薄膜とは反対側から通気し、前記薄膜を前記キャリアフィルムから離脱させる薄膜離脱工程を、更に具備する」ものとすることができる。
本発明の製造法により製造される小片薄膜は、通気性を有するキャリアフィルムに支持されているため、小片薄膜とは反対側からキャリアフィルムに通気し、キャリアフィルムから小片薄膜を離脱させる本構成を採用することができる。そして、かかる構成の離脱工程により、厚さがナノメートルオーダーの小片薄膜であっても、損傷を抑制して、容易にキャリアフィルムから離脱させることができ、乾燥状態の小片薄膜を得ることができる。
一方、本発明にかかる小片薄膜分散液は、「上記に記載の小片薄膜の製造方法により製造された小片薄膜が、化粧料を含有する液体に分散している」ものである。
化粧料を含有する液体に小片薄膜が分散していることにより、液体を皮膚に塗布した際に小片薄膜が皮膚に貼り付き、小片薄膜と皮膚との間に化粧料を含有する液体が長時間にわたり保持される。これにより、化粧料の成分の蒸発を抑制し、長時間にわたり十分に皮膚に作用させることができる。
或いは、本発明にかかる小片薄膜分散液は、「上記に記載の小片薄膜の製造方法により製造された小片薄膜が、医薬成分を含有する液体に分散している」ものである。
医薬成分を含有する液体に小片薄膜が分散していることにより、液体が皮膚、粘膜、血管壁、内蔵表面等の対象に貼り付き、小片薄膜と対象との間に医薬成分を含有する液体が保持される。これにより、医薬成分を、対象に長時間にわたり十分に作用させることができる。例えば、医薬成分をうがい薬とし、これを含有する小片薄膜が分散した液体でうがいをすれば、うがい薬の成分を、のど粘膜に長時間にわたり十分に作用させることができる。なお、医薬成分は、うがい薬のほか目薬、経口投与薬、外用皮膚薬等の成分とすることができる。
或いは、本発明にかかる小片薄膜分散液は、「上記に記載の小片薄膜の製造方法により製造された小片薄膜は、前記薄膜に金属を含有するものであり、注射液に分散している」ものである。
「金属を含有する薄膜」は、薄膜形成工程においてフィルム形成剤を含有する液体をベースフィルム上にコーティングし乾燥させた上で、更に金属の層を真空蒸着、スパッタリング等の物理蒸着(PVD)や化学蒸着(CVD)によって積層することにより形成することができる。或いは、フィルム形成剤を含有する液体中に、金属の粉末や微細な金属薄片を混合しベースフィルム上にコーティングしてもよい。このように金属を含有する薄膜を有する小片薄膜を注射液に分散させ血管に注入すると、金属はX線の照射により体外から検出できるため、注射された液体が血管内を移動する様子や、小片薄膜が臓器などに進入し体内組織に付着した様子などを、CT(Computed Tomography)やDSA(Digital Subtraction Angiography)等によって追跡し観察することができる。
なお、化粧料を含有する液体、医薬成分を含有する液体、注射液に分散させる小片薄膜は、厚さが60nm〜300nmであれば、皮膚や粘膜、内蔵表面、血管壁に密着しやすく、且つ、違和感が少ないため好適であり、80nm〜300nmとすれば、ハンドリングのし易さも含め、より好適である。
以上のように、本発明の効果として、厚さがナノメートルオーダーの薄膜であっても、乾燥状態で基体から剥離し、且つ、小片に切断することができる小片薄膜の製造方法、及び、該製造方法で製造された小片薄膜の新規な用途として小片薄膜の分散液を提供することができる。
本発明の第一実施形態の製造方法の説明図である。 図1の製造方法における剥離前切断工程及び剥離工程に使用する切断・剥離装置の概略構成を示す正面図である。 本発明の第二実施形態の製造方法の説明図である。 本発明の第三実施形態の製造方法の説明図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図1〜図4を用いて説明する。なお、各図は概略図であり、各層の厚さの比率、各層の幅と切断された薄膜のサイズの関係などを、正確に図示したものではない。
<第一実施形態の製造方法>
第一実施形態の製造方法は、図1に示すように、フィルム形成剤を含有する薄膜原液を調製する原液調製工程と、薄膜原液をベースフィルム3上にコーティングし、コーティングされた薄膜原液を乾燥させ薄膜1とする薄膜形成工程(図1(a)参照)と、ベースフィルム3を全厚さにわたり切断することなく、ベースフィルム3に支持された薄膜1を切断する剥離前切断工程(図1(b)参照)と、ベースフィルム3上の薄膜1に、通気性を有するキャリアフィルム4を重ね合わせ(図1(c)参照)、キャリアフィルム4を通して吸気した状態でベースフィルム3をキャリアフィルム4に対して離反する方向に相対的に移動させ、ベースフィルム3から薄膜1を剥離すると共に、薄膜1をキャリアフィルム4に支持させる剥離工程(図1(d),(e)参照)とを具備している。
より詳細に説明すると、原液調製工程では、フィルム形成剤を液媒体とを混合し、均一な状態となるまで充分撹拌する。ここで、液媒体としては、フィルム形成剤の種類に応じて、水、希酸、希アルカリ、アルコール等の有機溶媒、これらの混合液を使用することができ、加熱下で溶解させることもできる。混合・撹拌された薄膜原液は、必要に応じて脱泡処理する。
なお、薄膜原液には、可塑剤や界面活性剤等の添加剤を含有させることもできる。例えば、界面活性剤の添加により、薄膜1とベースフィルム3との接合強度、換言すれば、薄膜1のベースフィルム3からの剥離のし易さを調整することができる。また、可塑剤の添加により、薄膜1をひび割れの生じ難い柔軟な皮膜とすることができる。界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等を、可塑剤としては、マクロゴール、グリセリン、プロピレングリコール等を、単独あるいは併用して使用することができる。
コーティング工程では、平滑な平面にベースフィルム3を固定し、その上面に薄膜原液をコーター機などによりコーティングする。或いは、噴霧器を用いて薄膜原液をベースフィルム3上に吹き付けても良い。また或いは、グラビア印刷やシルク印刷等の印刷機によっても、薄膜原液をベースフィルム3上にコーティングすることができる。
薄膜形成工程は、ベースフィルム3上にコーティングされた薄膜原液から液媒体を蒸発させる乾燥により行う。
剥離前切断工程では、薄膜1が積層されたベースフィルム3に対して薄膜1側から刃を押圧し、薄膜1のみを所定の形状及び大きさに切断する。或いは、薄膜1側から押圧した刃をベースフィルム3の厚みの途中まで進入させるハーフカットにより、薄膜1を切断する。かかる薄膜1の切断は、薄膜1が積層されたベースフィルム3を、外周面に刃を設けた刃付きローラと、刃付きローラと相反する方向に回転する受けローラとの間を通過させることにより行うことができる。或いは、薄膜1が積層されたベースフィルム3に向かって進退するプレス機、シール印刷機或いは箔押機に、トムソン型などの刃を設けることにより、薄膜1を切断することができる。
剥離工程では、切断された薄膜1が積層されたベースフィルム3に対して、薄膜1側で通気性を有するキャリアフィルム4を重ね合わせ、キャリアフィルム4に薄膜1を吸着させた状態で、ベースフィルム3をキャリアフィルム4に対して離反する方向に相対的に移動させる。これにより、切断により小片となった薄膜1がベースフィルム3から剥離し、キャリアフィルム4に支持される。薄膜1がベースフィルム3から剥離されてキャリアフィルム4に支持される態様としては、薄膜1を角片状に切断する場合など、切断により格子状に分断された薄膜1の全てをベースフィルム3から剥離させキャリアフィルム4に支持させる態様、或いは、切断線が閉じた形状となるように薄膜1を型抜きし、型抜きされた部分(切断線の内部)の薄膜1のみをベースフィルム3から剥離させキャリアフィルム4に支持させる態様とすることができる。
ここで、剥離前切断工程及び剥離工程は、図2に示す切断・剥離装置100を使用して行うことができる。この切断・剥離装置100は、両端が閉塞された円筒状で外周面に複数の貫通孔を有する吸着支持部15と、吸着支持部15の内部に負圧を供給可能な気圧供給機構10と、長尺のキャリアフィルム4を巻かれた状態で支持すると共に吸着支持部15の外周面へキャリアフィルム4を供給可能なキャリア供給機構20と、吸着支持部15へ供給されたキャリアフィルム4を巻き取って回収するキャリア回収機構30と、薄膜1が形成された長尺のベースフィルム3を巻かれた状態で支持すると共に、吸着支持部15の外周面に供給されたキャリアフィルム4の外周面へ、薄膜1が形成されたベースフィルム3を供給可能なベース供給機構40と、キャリアフィルム4の外周面へ供給されて薄膜1が剥離されたベースフィルム3を、巻き取って回収するベース回収機構50と、吸着支持部15を回転駆動させる駆動機構60と、ベースフィルム3に積層された薄膜1を切断する切断機構90と、を主に備えている。
また、切断・剥離装置100は、気圧供給機構10、吸着支持部15、キャリア供給機構20、キャリア回収機構30、ベース供給機構40、ベース回収機構50、及び駆動機構60等を支持する装置本体70と、装置本体70の所定位置に取付けられ薄膜1、ベースフィルム3、及びキャリアフィルム4を検知するワーク検知機構80と、ワーク検知機構80からの検知信号の入力を受けて気圧供給機構10、キャリア回収機構30、ベース回収機構50、及び駆動機構60等を制御する制御装置(図示しない)と、を備えている。この装置本体70は、平板状で略水平に設置される底ベース71と、底ベース71の上面から上方へ立設された平板状の立壁ベース72と、底ベース71の下面四隅に取付けられる脚部73と、を備えている。
気圧供給機構10は、装置本体70における立壁ベース72に支持され、立壁ベース72の前面から直角方向へ突出する円柱状の軸部材11と、軸部材11を軸方向へ貫通すると共に軸部材11の外周面に開口する負圧供給通路12と、立壁ベース72の後面側の底ベース71上に取付けられ加圧された気体により負圧を発生させ、負圧供給通路12へ負圧を供給するエジェクタ13と、を主に備えている。
また、気圧供給機構10は、軸部材11を軸方向へ貫通すると共に軸部材11の外周面に開口する正圧供給通路14と、加圧された気体の供給をエジェクタ13又は正圧供給通路14の何れかに切り替える気圧切替バルブ(図示しない)と、を備えている。なお、負圧供給通路12及び正圧供給通路14における軸部材11の前端側の開口は、所定の蓋部材によって気密に閉塞されている。また、図示は省略するが、気圧供給機構10には、エアストレイナー、減圧弁、リリーフ弁、等の弁部材が備えられている。
吸着支持部15は、気圧供給機構10の軸部材11によって、回転可能に支持されている。また、吸着支持部15の後端(立壁ベース72側の端部)には、プーリ15bが一体的に形成されている。吸着支持部15の外周面には、複数の貫通孔が所定間隔で形成されている。なお、本実施形態において吸着支持部15は金属製であり、直径100mm〜500mm、軸方向の長さ100mm〜600mmm、板厚2mm〜5mmとされ、直径0.3mm〜3mmの貫通孔が、周方向及び軸方向の穿設ピッチ3mm〜5mmで形成されている。
キャリア供給機構20は、立壁ベース72に回転可能に支持され、立壁ベース72の前面から直角方向へ突出した円柱状の軸部材21と、軸部材21の両端に固定される円盤状の一対のボビン固定板22と、を備えている。また、キャリア供給機構20において、軸部材21の前端側に固定されるボビン固定板22は、軸部材21に対して着脱可能とされており、長尺のキャリアフィルム4が巻かれた円筒状のボビン29を軸部材21に通した上で、一対のボビン固定板22によりボビン29を挟持し支持させる。
また、キャリア供給機構20は、立壁ベース72に回転可能に支持され、立壁ベース72の前面から直角方向へ突出した二つのガイドローラ23a,23bを備えている。これらのガイドローラ23a,23bは、ボビン29に巻かれたキャリアフィルム4を吸着支持部15へ案内するためのものであり、軸部材21と吸着支持部15との間で離間して配置されている。
キャリア回収機構30は、立壁ベース72の後面に取付けられたキャリア回収モータ31と、キャリア回収モータ31の回転軸に後端が連結されると共に前端が立壁ベース72を貫通して前方へ延出し、立壁ベース72に回転可能に支持される軸部材32と、立壁ベース72の前面側で軸部材32に固定される円盤状の一対のボビン固定板33と、を備えている。キャリア回収モータ31は、トルク調整が可能なモータとされている。
軸部材32の前端側に固定されるボビン固定板33は、軸部材32に対して着脱可能とされており、長尺のキャリアフィルム4を巻き取る円筒状のボビン39を軸部材32に通した上で、一対のボビン固定板33によりボビン39を挟持し支持させる。
また、キャリア回収機構30は、立壁ベース72に回転可能に支持され、立壁ベース72の前面から直角方向へ突出した支持ローラ34と、支持ローラ34と平行に配置される押圧ローラ35と、押圧ローラ35を回転可能に支持すると共に支持ローラ34へ向って付勢する押圧機構36と、を備えている。
この押圧機構36は、押圧ローラ35を回転可能に支持するローラ支持部材36aと、ローラ支持部材36aを支持ローラ34と押圧ローラ35の軸芯を通る延長線上に沿ってスライド可能に支持するスライド支持部材36bと、スライド支持部材36bとローラ支持部材36aとの間に配置され押圧ローラ35を支持ローラ34側へ付勢する押圧バネ36cと、押圧ローラ35が支持ローラ34から離れる方向へ移動する移動距離を規制するためにスライド支持部材36bに取付けられたストッパ部材36dと、を備えている。なお、ストッパ部材36dは、ボルトの回転によって移動を規制する距離を変更することができる。
上記構成の押圧機構36を備えることにより、薄膜1を支持したキャリアフィルム4がボビン39に巻き取られるのに伴ってその厚さが増加しても、支持ローラ34と押圧ローラ35との間を通る薄膜1を支持したキャリアフィルム4を、押圧バネ36cに付勢される押圧ローラ35によって、支持ローラ34に対して押圧することができる。
ベース供給機構40は、立壁ベース72に回転可能に支持され、立壁ベース72の前面から直角方向へ突出した円柱状の軸部材41と、軸部材41の両端に固定される円盤状の一対のボビン固定板42と、を備えている。軸部材41の前端側に固定されるボビン固定板42は、軸部材41に対して着脱可能とされており、長尺のベースフィルム3が巻かれた円筒状のボビン49を軸部材41に通した上で、一対のボビン固定板42によりボビン49を挟持し支持させる。
また、ベース供給機構40は、立壁ベース72に回転可能に支持され、立壁ベース72の前面から直角方向へ突出したガイドローラ43と、ガイドローラ43と吸着支持部15との間に、吸着支持部15の外周下端付近まで延出して配置され、薄膜1が積層されたベースフィルム3の裏面(下面)を摺動可能に支持する板状のガイド板44と、を備えている。ガイドローラ43及びガイド板44は、それぞれ上端が吸着支持部15の下端とほぼ同じ高さに位置している。
ベース回収機構50は、立壁ベース72の後面に取付けられたベース回収モータ51と、ベース回収モータ51の回転軸に後端が連結されると共に前端が立壁ベース72を貫通して前方へ延出し、立壁ベース72に回転可能に支持される軸部材52と、立壁ベース72の前面側で軸部材52に固定される円盤状の一対のボビン固定板53と、を備えている。ベース回収モータ51は、トルク調整が可能なモータとされている。
また、軸部材52の前端側に固定されるボビン固定板53は、軸部材52に対して着脱可能とされており、長尺のベースフィルム3を巻き取る円筒状のボビン59を通した上で、一対のボビン固定板53によりボビン59を挟持し支持させる。
また、ベース回収機構50は、吸着支持部15の下側で立壁ベース72に回転可能に支持され、立壁ベース72の前面から直角方向へ突出した剥離ローラ54と、剥離ローラ54の下側で立壁ベース72の後面側に取付けられ、回転軸が立壁ベース72より前方へ突出したローラ駆動モータ55と、ローラ駆動モータ55の回転軸に支持された駆動ローラ56と、駆動ローラ56と平行に配置された押圧ローラ57と、押圧ローラ57を回転可能に支持すると共に駆動ローラ56へ向って付勢する押圧機構58と、を備えている。
剥離ローラ54は、外周面が吸着支持部15の外周面とほぼ接するように位置している。ローラ駆動モータ55は、回転速度及び回転角度を高精度で制御することが可能なステッピングモータとされている。
押圧機構58は、押圧ローラ57を回転可能に支持するローラ支持部材58aと、ローラ支持部材58aを駆動ローラ56と押圧ローラ57の軸芯を通る延長線上に沿ってスライド可能に支持するスライド支持部材58bと、スライド支持部材58bとローラ支持部材58aとの間に配置され押圧ローラ57を駆動ローラ56側へ付勢する押圧バネ58cと、押圧ローラ57が駆動ローラ56から離れる方向へ移動する移動距離を規制するためにスライド支持部材58bに取付けられたストッパ部材58dと、を備えている。なお、ストッパ部材58dは、ボルトの回転によって移動を規制する距離を変更することができる。
ローラ駆動モータ55により駆動ローラ56を回転駆動させることで、押圧ローラ57によって駆動ローラ56に押圧されたベースフィルム3が、剥離ローラ54側から引っ張られ、軸部材52(ボビン59)側へ送られる。また、上記構成の押圧機構58を備えることにより、ベースフィルム3がボビン59に巻き取られるのに伴ってその厚さが増加しても、駆動ローラ56と押圧ローラ57との間を通るベースフィルム3を、押圧バネ58cに付勢される押圧ローラ57によって、駆動ローラ56に対して押圧することができる。
駆動機構60は、回転軸が立壁ベース72を貫通して前方へ延出するように、立壁ベース72の後面に取付けられる支持部材モータ61と、支持部材モータ61の回転軸に固定される駆動プーリ62と、駆動プーリ62及び吸着支持部15のプーリ15bに巻き掛けられる駆動ベルト63と、を備えている。駆動機構60の支持部材モータ61は、回転速度及び回転角度を高精度で制御することが可能なステッピングモータとされている。支持部材モータ61により駆動プーリ62を回転駆動させることで、駆動ベルト63を介して、吸着支持部15を軸部材11回りに回転駆動させることができる。
切断機構90は、外周面に刃が設けられた円柱状の刃付きローラ94と、刃付きローラ94と相反する方向に回転する円柱状の受けローラ95を備えている。刃付きローラ94は、ベース供給機構40のガイドローラ43とガイド板44との間に設けられており、立壁ベース72の後面に取付けられた切断刃モータ91の回転軸に後端が連結され、前端が立壁ベース72より前方へ延出した軸部材92によって回転可能に支持されている。また、受けローラ95は軸部材97によって、立壁ベース72の前面側に回転可能に支持されている。ここで、刃付きローラ94と受けローラ95との接点は、ガイドローラ43及びガイド板44の上端とほぼ同じ高さに位置している。
ワーク検知機構80は、キャリア供給機構20に支持されたキャリアフィルム4の有無を検知するキャリアフィルム供給側センサ81と、キャリアフィルム4に支持された薄膜1の有無を検知する製品検知センサ82と、キャリア回収機構30でボビン39に巻き取られた、キャリアフィルム4に支持された薄膜1が満杯になったか否かを検知する製品満杯センサ83と、薄膜1が支持されたベースフィルム3のベース供給機構40における有無を検知するベースフィルム供給側センサ84と、薄膜1が剥離されてベース回収機構50のボビン59へと送られるベースフィルム3の有無を検知するベースフィルム回収側センサ85と、ベース回収機構50でボビン59に巻き取られたベースフィルム3が満杯になったか否かを検知する回収満杯センサ86と、を備えている。
なお、本実施形態では、ワーク検知機構80における各センサ81,82,83,84,85,86は、発光部からの照射した光を受光部で受けることで検知対象物を検知する光電センサとされている。また、ワーク検知機構80は、キャリアフィルム供給側センサ81、製品満杯センサ83、ベースフィルム供給側センサ84、ベースフィルム回収側センサ85、及び回収満杯センサ86の検知対象の反対側にそれぞれ配置され、各センサから照射された検知光を反射させる反射板87を備えている。
ここで、キャリアフィルム供給センサ81は、軸部材21の下流側に配置されており、ボビン29からガイドローラ23aへ供給されるキャリアフィルム4を検知する。また、製品検知センサ82は、吸着支持部15と剥離ローラ54との接点よりやや下流に配置されており、ベースフィルム3から剥離してキャリアフィルム4に保持された薄膜1を検知する。更に、製品満杯センサ83は、ボビン39の外方に配置され、ボビン39に巻き取られた、キャリアフィルム4に支持された薄膜1の厚さが所定の厚さに達したか否かを検知する。
また、ベースフィルム供給側センサ84は、軸部材41より下流側に配置されており、ボビン49からガイドローラ43へ供給される薄膜1が積層されたベースフィルム3を検知する。また、ベースフィルム回収側センサ85は、駆動ローラ56と軸部材52との間に配置されており、押圧ローラ57からボビン59へ送られるベースフィルム3を検知する。更に、回収満杯センサ86は、ボビン59の外方に配置されており、ボビン59に巻き取られたベースフィルム3の厚さが所定の厚さに達したか否かを検知する。
なお、本実施形態では、通気性を有したキャリアフィルム4として、通気率20%〜30%、坪量40g/m〜60g/m、幅160mm〜320mmの長尺の和紙を用いている。また、ベースフィルム3として、幅がキャリアフィルム4よりも広い180mm〜360mmの長尺のポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムを用いている。
また、本実施形態では、薄膜1が積層されたベースフィルム3及びキャリアフィルム4の送り速度は、0.5m/min〜30m/minに設定されている。また、ボビン29,39,49,59の幅(軸方向の長さ)は、それぞれに巻き付けられるベースフィルム3やキャリアフィルム4の幅とほぼ同じ幅に形成されている。更に、切断・剥離装置100では、送られるキャリアフィルム4やベースフィルム3において幅方向の中心が一致するように、各構成の配置位置が調整されている。
次に、切断・剥離装置100の動作について説明する。予め、長尺のキャリアフィルム4をボビン29に巻かれた状態とし、薄膜1が積層された長尺のベースフィルム3をボビン49に巻かれた状態とする。なお、ベースフィルム3については、薄膜1が周面で外側を向くようにボビン49に巻き付ける。そして、キャリア回収機構30とベース回収機構50において、それぞれ一対のボビン固定板33,53の間に、空のボビン39,59を挟持固定する。
キャリアフィルム4が巻かれたボビン29は、キャリア供給機構20における一対のボビン固定板22の間へ挟持固定する。固定されたボビン29から、巻かれたキャリアフィルム4の先端側を引き出し、ガイドローラ23a,23bを経て吸着支持部15に巻き回し、更に支持ローラ34と押圧ローラ35との間を通した上で、その先端を、キャリア回収機構30のボビン39に取り付ける。
一方、薄膜1が積層されたベースフィルム3が巻かれたボビン49は、ベース供給機構40における一対のボビン固定板42の間へ挟持固定する。固定されたボビン49から、薄膜1が積層されたベースフィルム3の先端側を引き出し、ガイドローラ43を経て、刃付きローラ94と受けローラ95との間、ガイド板44の上面、吸着支持部15と剥離ローラ54との間、剥離ローラ54と駆動ローラ56との間、及び、駆動ローラ56と押圧ローラ57との間を順次通るように巻き回した上で、その先端を、ベース回収機構50のボビン59に取り付ける。なお、薄膜1が積層されたベースフィルム3を刃付きローラ94と受けローラ95との間に通す際は、薄膜1側を刃付きローラ94側とする。
これにより、ベースフィルム3に積層された薄膜1は、薄膜1側で、吸着支持部15においてキャリアフィルム4と接触し、ベースフィルム3とキャリアフィルム4とで薄膜1が挟まれた状態となる。なお、ベースフィルム3については、先端から所定の長さ(上記のようにセットした状態で薄膜1が吸着支持部15に到達しない長さ)まで、薄膜1を形成しないようにすれば、薄膜1の無用な消費を抑制することができ望ましい。
上記のように、薄膜1が積層されたベースフィルム3及びキャリアフィルム4のセットが完了したら、気圧供給機構10のエジェクタ13へ加圧気体を供給し、負圧供給通路12を介して吸着支持部15内へ負圧を供給する。吸着支持部15内に負圧が供給されると、吸着支持部15の外周面に形成された複数の貫通孔を通して、吸着支持部15の外方の空気が吸着支持部15内へ吸引される。この時、吸着支持部15の外周に巻かれたキャリアフィルム4は、負圧による吸引によって吸着支持部15の外周面に吸着されると共に、通気性を有したキャリアフィルム4を通して、外方から吸着支持部15内へ空気が吸引されることとなる。
そして、吸着支持部15内へ負圧を供給した状態で、支持部材モータ61、ローラ駆動モータ55、キャリア回収モータ31、ベース回収モータ51、及び、切断刃モータ91を、それぞれ回転駆動させる。本実施形態では、刃付きローラ94,吸着支持部15、駆動ローラ56、及びベース回収機構50のボビン59が正面視反時計回りの方向へ、キャリア回収機構30のボビン39が正面視時計回りの方向へそれぞれ回転するように、モータ31,51,55,61,91を回転駆動させている。また、各モータ31,51,55,61,91の回転速度は、薄膜1が積層されたベースフィルム3とキャリアフィルム4との送り速度が略一致するように制御する。
このように、各モータ31,51,55,61,91を回転駆動させることで、キャリア供給機構20から繰り出されて吸着支持部15へ供給されたキャリアフィルム4が、キャリア回収機構30でボビン39に巻き取られると共に、ベース供給機構40から繰り出されて吸着支持部15へ供給されたベースフィルム3が、ベース回収機構50のボビン59に巻き取られる。
その途中で、薄膜1が積層されたベースフィルム3は、刃付きローラ94と受けローラ95との間を通り、刃付きローラ94の刃によって薄膜1が所定の大きさ・形状に切断される。このとき、ベースフィルム3は厚みの途中まで切断されることはあっても、全厚さにわたって切断されることはなく、切断された薄膜1は長尺のベースフィルム3に積層された状態で、ガイド板44に案内され吸着支持部15に供給される。
吸着支持部15の外周面では、通気性を有したキャリアフィルム4を通して吸気しているため、ベースフィルム3が薄膜1を挟んでキャリアフィルム4の外周面に位置すると、キャリアフィルム4を通して薄膜1とベースフィルム3に負圧が作用することとなるが、ベースフィルム3は剥離ローラ54によって吸着支持部15の外周面から遠ざかる方向、すなわち、キャリアフィルム4から遠ざかる方向に引っ張られる。そのため、薄膜1のみがキャリアフィルム4に吸着された状態となり、ベースフィルム3から薄膜1が剥離し、キャリアフィルム4に保持される。
このように、切断され、ベースフィルム3から剥離した薄膜1は、長尺のキャリアフィルム4に保持された状態で、キャリア回収機構30のボビン39に巻き取られる。
なお、ワーク検知機構80の製品満杯センサ83や回収満杯センサ86で、キャリアフィルム4に支持された薄膜1や、回収されたベースフィルム3が、それぞれボビン39,59に巻き取られて満杯になったことが検知されると、各モータ31,51,55,61の駆動が停止して、図示しない報知手段によってその旨が報知される。また、キャリアフィルム供給側センサ81やベースフィルム供給側センサ84で、キャリアフィルム4や薄膜1が積層されたベースフィルム3が、それぞれボビン29,49から無くなったことが検知されると、各モータ31,51,55,61の駆動が停止して、図示しない報知手段によってその旨が報知される。更には、製品検知センサ82やベースフィルム回収側センサ85において、正常な状態とは異なった状態が検知されると、各モータ31,51,55,61の駆動が停止して、図示しない報知手段によって不具合が発生した旨の報知がされる。
なお、本実施形態の切断・剥離装置100では、気圧供給機構10によって吸着支持部15内へ正圧を供給することも可能であり、例えば、使用によって吸着支持部15の貫通孔が目詰まりした場合は、正圧を供給して目詰まりを解消させることができ、メンテナンスを簡便に行うことができる。
以上のように、切断・剥離装置100を使用した剥離前切断工程及び剥離工程を経て、小片の薄膜1が長尺のキャリアフィルム4に支持された状態で製造される。本実施形態の製造方法によれば、キャリアフィルム4に吸着させた状態で薄膜1をベースフィルム3から剥離するため、薄膜がナノメートルオーダーの非常に薄い厚さであっても、ベースフィルム3から剥離することができる。また、皮膜化した後の薄膜1は常に乾燥した環境におかれるため、損傷を受けるおそれを低減してベースフィルム3から剥離することができる。
加えて、本実施形態の製造方法では、薄膜1がベースフィルム3に支持された状態で切断される。これにより、薄膜がナノメートルオーダーの薄い厚さであっても、薄膜の損傷を抑制して、安定的に薄膜1を切断することができる。
<第二実施形態の製造方法>
第二実施形態の製造方法は、図3に示すように、フィルム形成剤を含有する液体をベースフィルム3上にコーティングし乾燥させて薄膜1を形成する薄膜形成工程(図3(a)参照)と、ベースフィルム3上に形成された薄膜1上に、通気性を有するキャリアフィル4ムを重ね合わせ(図3(b)参照)、キャリアフィルム4を通して吸気した状態でベースフィルム3をキャリアフィルム4に対して離反する方向に相対的に移動させ、ベースフィルム3から薄膜1を剥離すると共に、薄膜1をキャリアフィルム4に支持させる剥離工程(図3(c)参照)と、キャリアフィルム4を切断することなく、キャリアフィルム4に支持された薄膜1を切断する剥離後切断工程(図3(d)参照)とを具備している。
第二実施形態が第一実施形態と相違する点は、第一実施形態では薄膜を切断する工程が剥離工程の前に行われる剥離前切断工程であったのに対し、第二実施形態では剥離工程の後に行われる剥離後切断工程である点である。かかる剥離後切断工程は、例えば、上記の切断・剥離装置100から切断機構90を除いた構成の剥離装置によって、長尺のキャリアフィルム4に長尺の薄膜1を支持させた後、箔押機、プレス機、シール印刷機等に接続させた平滑な台に薄膜1を上にしてキャリアフィルム4を支持させ、箔押機、プレス機、シール印刷機等に取り付けられた上下に進退する刃を、薄膜1側から進入させることにより行うことができる。このとき、キャリアフィルム4を支持する台に負圧を供給すれば、通気性を有するキャリアフィルムを介して薄膜1が台に吸着されるため、安定的かつ高精度に薄膜1を切断することができる。
なお、図3(d)では、キャリアフィルム4を厚みの途中まで切断するハーフカットの場合を例示しているが、これに限定されず、薄膜1のみを所定の形状及び大きさに切断してもよい。或いは、薄膜1側またはキャリアフィルム4側から刃を進入させ、薄膜1と共に、キャリアフィルム4を全厚さにわたり切断してもよい。この場合、切断刃に切断箇所の処々において浅い傷を付けることにより、その部分のキャリアフィルム4は切断されずに残るため、薄膜1と共に切断されたキャリアフィルム4がバラバラになって飛散することを防止することができる。
第一実施形態及び第二実施形態の製造方法により製造された小片薄膜は、キャリアフィルムから離脱させて使用することができる。このとき、通気性を有するキャリアフィルムに、小片薄膜とは反対側から通気すれば、容易に小片薄膜をキャリアフィルムから離脱させることができる。
<小片薄膜分散液>
キャリアフィルムから離脱させた小片薄膜は、化粧料、うがい薬等の医薬成分を含有する液体に分散させ、小片薄膜分散液とすることができる。或いは、金属を含有する小片薄膜を注射液に分散させ、小片薄膜分散液とすることができる。
化粧料としては、化粧水や化粧用乳液に一般的に含有される成分を特に限定なく使用することができ、ヒアルロン酸、水溶性コラーゲン、ポリフィラン、ポリグルタミン酸、グリセリン、プロピレングリコール、尿素、コンドロイチン硫酸、ヘパリンノイド、キチン、キトサンなどの保湿剤、ビタミンC誘導体、アルブチン、システイン、トラネキサム酸、ルシノール、コメヌカエキス、カンゾウエキス、オウバクエキスなどの美白剤を例示することができる。なお、これらの化粧料は、分散媒である液体のみならず、薄膜自体に含有させてもよい。
医薬成分は特に限定されるものではないが、うがい薬としては、塩化セチルピリジニウム、ポビドンヨード、アズレンスルホン酸ナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジン等を例示することができる。なお、医薬成分は、分散媒である液体のみならず、薄膜自体に含有させてもよい。
また、フィルム形成剤によって形成された層に金属を積層して積層構造の薄膜とし、これを切断した小片薄膜を、注射液に分散させる。金属の積層は、上記の薄膜形成工程において、フィルム形成剤を含有する液体をベースフィルム上にコーティングし乾燥させて皮膜化した後、その上に金属を真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理蒸着(PVD)、或いは、化学蒸着(CVD)することによって行うことができる。金属としては、金、銀、白金、パラジウム、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、これらの合金を例示することができる。
分散液の液媒体が水系の場合は、小片薄膜を形成するフィルム形成剤は水に難溶なものが望ましく、例えば、ポリ乳酸、キトサン、アルギン酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアミドを使用可能である。また、小片薄膜は、例えば、一辺が0.25mm〜0.5mm、好ましくは一辺が0.25mm〜0.45mmの角片状とすることができる。
化粧料を含有する小片薄膜分散液を皮膚に塗布すれば、小片薄膜が皮膚に貼り付き、化粧料を含有する液体が小片薄膜と皮膚との間に保持され、化粧料を皮膚に長時間にわたり十分に作用させることができる。また、医薬成分を含有する液体が皮膚、粘膜、臓器表面などの対象に貼り付いた状態では、小片薄膜と対象との間に医薬成分を含有する液体が保持され、医薬成分を長時間にわたり十分に作用させることができる。例えば、うがい薬を含有する小片薄膜分散液でうがいをすれば、小片薄膜がのどの粘膜に貼り付き、うがい薬を含有する液体が小片薄膜と粘膜との間に保持され、うがい薬をのど粘膜に十分に作用させることができる。小片薄膜の厚さを60nm〜100nmとすれば、皮膚、粘膜、臓器表面に密着しやすく、違和感も小さく好適である。
また、金属層が積層された構造の小片薄膜が注射液に分散した小片薄膜分散液を、注射した場合は、X線の照射により、注射された液体が血管内を移動する様子や、小片薄膜が臓器などに進入し体内組織に付着した様子などを、体外から容易に追跡し観察することができる。すなわち、小片薄膜分散液を、造影用の液体として使用することができる。
なお、小片薄膜分散液の製造方法としては、従来技術(特許文献1)と同様に、薄膜上に支持膜を形成してハンドリングしやすい厚さとすることにより、ベースフィルムからの剥離や所望の大きさ・形状への切断を可能として小片薄膜とし、支持膜が積層された小片薄膜を支持膜が可溶な液体中に分散させるという方法も想到しうる。しかしながら、この場合は、支持膜を形成していた成分が分散液中に残存することとなる。これに対し、本実施形態の小片薄膜分散液は、乾燥状態でベースフィルムから剥離し小片に切断した小片薄膜を液体中に分散させたものであるため、化粧料や医薬成分以外の余計な成分が、分散液中に残存しないという利点を有している。
<第三実施形態の製造方法>
次に、第三実施形態の製造方法について、図4を用いて説明する。第三実施形態の製造方法は、フィルム形成剤を含有する液体をベースフィルム3上にコーティングし乾燥させて薄膜1とする薄膜形成工程(図4(a)参照)と、ベースフィルム3を全厚さにわたり切断することなく、ベースフィルム3に支持された薄膜1を切断する剥離前切断工程(図4(b)参照)と、ベースフィルム3上の薄膜1に、通気性を有するキャリアフィル4ムを重ね合わせ(図4(c)参照)、キャリアフィルム4を通して吸気した状態でベースフィルム3をキャリアフィルム4に対して離反する方向に相対的に移動させ、ベースフィルム3から薄膜1を剥離すると共に、薄膜1をキャリアフィルム4に支持させる剥離工程(図4(d)参照)と、切断された状態の薄膜1を支持しているキャリアフィルム4を、薄膜1の切断線1bより外側で全厚さにわたり切断するキャリア切断工程(図4(e)参照)と、を具備している。
より具体的には、剥離前切断工程では、切断線1bが閉じる形状となるように型刃で薄膜1を打ち抜く。このとき、ベースフィルム3は全厚さにわたり切断することなくハーフカットする、或いは、薄膜1のみを切断しベースフィルム3は切断しない。剥離工程では、薄膜1の上にキャリアフィルム4を重ね合わせ、キャリアフィルム4を介して薄膜1を吸引する。この際、キャリアフィルム4の幅を薄膜1の幅より小さい設定とすれば、切断線1bより外側の連続している部分に作用する吸引力が小さくなる。これにより、切断線1bより外側の連続している部分の薄膜1はベースフィルム3に接着したまま残り、切断線1bより内側の部分の薄膜1がベースフィルム3から剥離され、キャリアフィルム4に支持される。
その後、キャリア切断工程では、キャリアフィルムを切断する切断線4bが、薄膜1の切断線1bより外側となるように切断する。これにより、ひと回り大きなキャリアフィルム4に支持された小片の薄膜1が製造される。このような小片の薄膜1は、薄膜1より外側にはみ出している部分のキャリアフィルム4を指先やピンセット等でつまんで、対象に貼付することができる。そのため、薄膜1に接触することなく貼付することができ、薄膜の破損が抑制されると共に衛生的である。
<化粧パック>
第三実施形態により製造される小片薄膜は、図4に例示するように、目元に貼る化粧パックに適した形状とすることができる。この場合、薄膜には、上述の化粧料を含有させることができる。小片薄膜を化粧パックとして使用する場合、キャリアフィルムを剥がしながら薄膜のみを皮膚に貼付しても、薄膜側を皮膚に接触させてキャリアフィルムごと皮膚に貼付してもよい。通気性を有するキャリアフィルムは透水性も有するため、キャリアフィルムの上から水、湯、化粧水などを供給して、化粧パックをすることができる。また、小片薄膜の厚さを60nm〜100nmとすれば、皮膚に密着しやすいことに加え、非常に薄いために顔に貼付した状態で目立たない化粧パックとなる。
なお、第三実施形態により製造される小片薄膜の形状は、図4に例示した形状に限定されるものではなく、円形、楕円形、多角形など、種々の形状とすることができる。
第一実施形態〜第三実施形態の製造方法により製造される小片薄膜は、以下に示すように、咽頭、喉頭、口腔、食道、鼻腔、耳腔、肛門、性器などの粘膜、胃や腸などの臓器、血管、骨などの体内組織に貼付する薄膜、歯や歯肉に貼付する歯科薄膜、眼球に貼付するフィルム状目薬等として使用することができる。上述のように、皮膜化した後は乾燥した環境下で、ベースフィルムからの薄膜の剥離及び切断が行われる製造方法により製造される小片薄膜であるため、目的外の成分や不純物の混入、付着が防止されており、医薬用途の薄膜として適している。
<粘膜や体内組織に貼付する薄膜>
薄膜に含有させる医薬成分は特に限定されないが、抗菌剤として塩化セチルピリジニウム、プロタミン、メントール等を、抗真菌剤としてアムホテリシンB、ミコナゾール等を、抗ウィルス剤としてアシクロビル、塩酸オセルタミビル等を、抗炎症剤としてグリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム等を、解熱鎮痛剤としてアセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等を、抗アレルギー剤としてフマル酸チトケフェン、塩酸オガクゼル等を、ステロイド・ホルモン剤としてプレドニゾロン、エストラジオール等を、鎮咳去痰薬としてノスカピン、グアイフェネシン、チペピジンヒベンズ塩酸等を、麻酔薬としてリドカイン、テトラカイン、ジブカイン等を、骨・カルシウム代謝薬としてアルファカルシドール、アレンドロン酸ナトリウム等を、抗リウマチ薬としてメトトレキサート、インフリキシマブ等を、糖尿病薬としてボグリボース、塩酸ピオグチタゾン等を、抗血栓薬としてワルファリンカリウム、塩酸チクロビジン等を、降圧剤としてアテノール、ニフェジピン、カプトリル、炉サルタンカリウム等を、狭心症治療薬として亜硝酸アミル、塩酸トリメタジジン等を、抗不整脈薬として塩酸プロカインアミド、塩酸ベラパミル等を、心不全薬・昇圧剤としてジギトキシン、塩酸ドパミン等を、血管拡張剤として塩酸イソクスプリン、塩酸トラゾリン等を、利尿剤としてフロセミド等を、気管支拡張剤として塩酸エフェドリン、臭素イブラトロピウム等を、消化性潰瘍治療薬としてオメプラゾール、ファモチジン等を、向精神薬として塩酸クロルプロマジン、マレイン酸フルボキサミン等を、睡眠薬・抗不安薬としてバルビタール、トリアゾラム等を、使用可能である。
<歯科薄膜>
歯周病薬を含有した小片薄膜を歯肉に貼付することにより、歯周病を予防することができる。歯周病薬としては、アモキシシリン、オフロキサシン、ミノサイクリン、アムホテリシンB、メトロニダゾールを例示することができる。また、歯周病薬の中には、歯のエナメル質や象牙質に悪い影響を与える成分が存在する。そのため、歯周病薬を歯肉に塗布したり、歯周病薬を含有する小片薄膜を歯肉に貼付したり歯周ポケットに入れたりする際、歯の表面にマスキング用の小片薄膜を貼付することにより、歯周病薬が歯に影響を与えるおそれを低減することができる。歯表面に貼付するマスキング用の小片薄膜は、口腔内の水分で溶解しにくいフィルム形成剤で形成されていることが望ましく、かかるフィルム形成剤としてはポリ乳酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ヒルアロン酸、フィブロイン、コラーゲン、等を例示することができる。
<フィルム状目薬>
眼科領域の薬物成分を小片薄膜に含有させ、小片薄膜を直接眼球に貼付して使用する。液体状の目薬とは異なり流れ落ちることがないため、必要量の薬物成分を確実に患部に作用させることができる。また、小片薄膜の厚さを60nm〜100nmとすれば、視界に影響を与えるおそれがなく、異物感も少ない。
眼科領域の薬物成分としては、抗菌薬としてペニシリン系、セフェム系、モノパクタム系、カルパペネム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、アミノ配糖体系の抗生物質や、キノロン系、サルファ系の合成抗菌薬を、抗ウィルス薬としてアシクロビル、イドクスウリジン、ガンシクロビル、ソビラックス等を、抗真菌薬としてピマリシン、フルコナゾール、ミコナゾール、アンホテリンB等を、消炎薬としてプラノプロフェン、ジクロフェナック、ブロムフェナック、インドメタシン、アズレン、塩化リゾチーム等を、抗アレルギー薬としてグロモクリク酸ナトリウム、アンレキサノクス、ペミロラストカリウム、トラニラスト、アシタザノラスト、フマル酸ケトチフェン、イブジラスト、塩酸レボカバスチン、塩酸チモロール、カルテオール、ベフノロール、ラタノプロスト、ウノプロストン、ドルゾラミド、ピロカルピン、エピネフリン、ヂピベフリン等を、白内障治療薬としてピレノキシン、グルタチオン、アザペンタセン等を、点眼局所麻酔薬として塩酸オキシブブバカイン、塩酸リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン等を、瞳孔作用薬としてフェニレフリン、L−エピネフリン、塩酸ジピベフリン、グアネシジン、塩酸ブナゾシン、アセチルコリン、塩酸ピロカルピン、塩酸カルバミルコリン、臭化ジスチグミン、フィゾスチグミン、硫酸アトロピン、トロピカマイド、サイクロペントレート等を例示することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の切断・剥離装置100では、切断機構として、薄膜1が積層されたベースフィルム3を、刃付きローラ94と受けローラ95の間を通して切断する構成を例示したが、これに限定されず、薄膜1が積層されたベースフィルム3を平板上を間歇的に摺動させ、上下に進退する刃型によって薄膜1を切断する構成とすることができる。
1 薄膜
3 ベースフィルム
4 キャリアフィルム
10 気圧供給機構
15 吸着支持部
20 キャリア供給機構
30 キャリア回収機構
40 ベース供給機構
50 ベース回収機構
60 駆動機構
90 切断機構
100 切断・剥離装置
国際公開第2008/050913号 特許第4668798号 特許第4987377号

Claims (6)

  1. フィルム形成剤を含有する液体をベースフィルム上にコーティングし乾燥させて薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記ベースフィルム上に形成された前記薄膜上に、通気性を有するキャリアフィルムを重ね合わせ、該キャリアフィルムを通して吸気した状態で前記ベースフィルムを前記キャリアフィルムに対して離反する方向に相対的に移動させ、前記ベースフィルムから前記薄膜を剥離すると共に、前記薄膜を前記キャリアフィルムに支持させる剥離工程と、
    該剥離工程の前に行われ、前記ベースフィルムを全厚さにわたり切断することなく、前記ベースフィルムに支持された前記薄膜を切断する剥離前切断工程、及び、前記剥離工程の後に行われ、前記キャリアフィルムを切断することなく又は前記キャリアフィルムと共に、前記キャリアフィルムに支持された前記薄膜を切断する剥離後切断工程、の何れか一方と
    を具備することを特徴とする小片薄膜の製造方法。
  2. 前記剥離後切断工程を具備し、
    前記剥離後切断工程では、前記薄膜を、前記薄膜を支持している前記キャリアフィルムと共に同一の形状及び大きさに切断する
    ことを特徴とする請求項1に記載の小片薄膜の製造方法。
  3. 切断された状態の前記薄膜を支持している前記キャリアフィルムに、前記薄膜とは反対側から通気し、前記薄膜を前記キャリアフィルムから離脱させる薄膜離脱工程を、更に具備する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の小片薄膜の製造方法。
  4. 請求項3に記載の小片薄膜の製造方法により製造された小片薄膜が、化粧料を含有する液体に分散している
    ことを特徴とする小片薄膜分散液。
  5. 請求項3に記載の小片薄膜の製造方法により製造された小片薄膜が、医薬成分を含有する液体に分散している
    ことを特徴とする小片薄膜分散液。
  6. 請求項3に記載の小片薄膜の製造方法により製造された小片薄膜は、前記薄膜に金属を含有するものであり、注射液に分散している
    ことを特徴とする小片薄膜分散液。
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