JP2015048545A - 抗菌吸水パイル保持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水効果及び乾燥感に優れると共に良好な抗菌効果を備えた抗菌吸水パイルマット等の抗菌吸水パイル保持体を提供する。
【解決手段】略円柱形状をなし、軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された多数の0.03〜1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントFを、パイル形成糸の軸線に沿う2〜12本の20〜300デニールの疎水性繊維の抗菌剤含有モノフィラメント糸からなる糸状芯部Cにより保持したパイルPの基部を吸水性を有する基体に結合する。略円柱形状外周面はフィラメントFの先端部により形成され、径方向内方に向かうほどフィラメントFが高密度状態となるものである抗菌吸水パイル保持体。
【選択図】図1

Description

本発明は、湯上りの濡れた足等の水分を吸収するための抗菌吸水パイル保持体に関する。
特開2008−73173号公報には、
基布と多数のパイルを備えてなり、前記各パイルの基部が基布に結合された状態で、前記多数のパイルが基布上に配設されているパイルマットであって、
前記各パイルは、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが、パイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、
前記パイルの略円柱形状外周面は、前記各フィラメントの先端部により形成されていることを特徴とする高吸水高乾燥性パイルマット
の発明が開示されている。
このパイルマットは、0.05乃至0.8デニールの極めて細い非吸水性のフィラメントがパイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなるパイルが基布上に多数配設されたものであるため、各パイルが比較的多量の水を各円形状横断面の内方に向かって迅速に吸水し得、水分を吸収した状態のパイルの略円柱形状外周部は比較的乾燥した状態を維持し易く、べとつき感が生じにくく、マット上でパイルにより吸水するためのマット、特に足拭用のマット等として適している。
しかしながら、このパイルマットを例えば複数の者が湯上りの足拭きに用いる場合、先に吸水した水分がパイルの内方に滞留していると、次の吸水が十分に行われにくくなるおそれがあった。また、吸水した状態のパイルマットを長く放置した場合にカビが繁殖し易い状態となるおそれがあった。
特開2008−73173号公報
本発明は、従来技術における上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、吸水効果及び乾燥感に優れると共に良好な抗菌効果を備えた抗菌吸水パイルマット等の抗菌吸水パイル保持体を提供することにある。
本発明の抗菌吸水パイル保持体は、次のように表すことができる。
(1) 吸水性を有する基体と多数のパイルを備えてなり、前記各パイルの基部が基体に結合された状態で、前記多数のパイルが基体上に配設されているパイル保持体であって、
前記各パイルを形成するパイル形成糸は、略円柱形状をなし、そのパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントと、パイル形成糸の軸線に沿う疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部を有し、
前記多数のフィラメントは、前記糸状芯部により保持され、
前記糸状芯部を構成するモノフィラメント糸の少なくとも何れかが抗菌剤を含有し、
前記パイル形成糸の略円柱形状外周面は、前記フィラメントの先端部により形成され、
径方向内方に向かうほど前記フィラメントが高密度状態となるものであることを特徴とする抗菌吸水パイル保持体。
吸水性を有する基体上に多数配設されているパイルを形成するパイル形成糸は、その軸線に沿う疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部により保持された0.03乃至1.5デニールの極めて細い多数の疎水性繊維のフィラメントが、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、径方向内方に向かうほど前記フィラメントが高密度状態となる。
そのため、毛管現象により、パイル形成糸の内方に向かって強い吸水力が作用するので、各パイルのパイル形成糸は、比較的多量の水を径方向内方に向かって迅速に吸水し得る。
逆に、吸水したパイル形成糸における略円柱形状外周部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、略円柱形状をなすパイル形成糸の略円柱形状外周面部は、疎水性繊維のフィラメントの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ、繊維自体が非湿潤状態を維持する。
更に、各パイルにおけるパイル形成糸は、その軸線に沿う、疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部を有するので、各パイルのパイル形成糸において、毛管現象により径方向内方に吸収された水分は、糸状芯部に沿って、吸水性を有する基体へ効率的に導かれる。
そのため、各パイルのパイル形成糸において、径方向内方に吸収された水分がその中央部に滞留することが防がれると共に、パイル形成糸の略円柱形状外周面部から径方向内方への更なる吸水を妨げることや、パイル形成糸の外周部にべとつき感が生じることが防がれる。
また、パイル形成糸の径方向内方に吸収されて糸状芯部に沿って吸水性を有する基体に導かれる水分には、その糸状芯部を構成するモノフィラメント糸の少なくとも何れかが含有する抗菌剤による抗菌効果が及び、而も、パイル形成糸の径方向外方側は水分含有率が低くなるので、各パイル及び吸水性を有する基体が効果的に抗菌性能を発揮し得る。
従って、このパイル保持体は、湯上りの濡れた足等の水分を迅速に多量に吸水し得、而もべとつき感が生じにくい吸水性及び乾燥感を実現し得ると共に、良好な抗菌効果を発揮し得る。
そのためこのパイル保持体は、上記パイルにより吸水するために使用するものとして最適である。
更に、このパイル保持体は、足拭用のものとして最適である。また、べとつき感が生じにくい吸水性及び乾燥感を実現し得ると共に、良好な抗菌効果を発揮し得るため、パイルによって吸水する清掃用具、傘収納具、お手拭き等に適する。
(2) 上記糸状芯部が、パイル形成糸の軸線に沿う2乃至300本の1デニール乃至1000デニールの疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる(1)記載の抗菌吸水パイル。
(3) 上記糸状芯部が、パイル形成糸の軸線に沿う2乃至24本の10デニール乃至300デニールの疎水性繊維のモノフィラメント糸からなるものである(1)記載の抗菌吸水パイル。
(4) 上記パイル形成糸により形成されたパイルが、先端が自由端である略円柱形状をなすものである(1)乃至(3)の何れかに記載の抗菌吸水パイル保持体。
この場合のパイルは、基部から先端部に至るまで略円柱形状をなし、その軸線に沿う疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部により、0.03乃至1.5デニールの極めて細い多数の疎水性繊維のフィラメントが、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された状態で保持されてなり、パイルの略円柱形状外周面はフィラメントの先端部により形成され、径方向内方に向かうほどフィラメントが高密度状態となる。
パイルの略円柱形状部分においては径方向内方に向かって極細疎水性フィラメントの密度が高くなって毛管現象により強い吸水力が作用する。そのため、各パイルは、比較的多量の水を径方向内方に向かって迅速に吸水し得る。
逆に、吸水したパイルの略円柱形状外周部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、パイルの略円柱形状外周面部は、疎水性繊維のフィラメントの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ、繊維自体が非湿潤状態を維持する。
更に、各パイルは、その軸線に沿う、疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部を有するので、各パイルにおいて、毛管現象により径方向内方に吸収された水分は、糸状芯部に沿って、吸水性を有する基体へ効率的に導かれる。
そのため、各パイルの径方向内方に吸収された水分がパイルの径方向中央部に滞留することが防がれると共に、パイルの略円柱形状外周面部から径方向内方への更なる吸水を妨げることや、パイルの略円柱形状外周面部にべとつき感が生じることが防がれる。
また、パイルの径方向内方に吸収されて糸状芯部に沿って吸水性を有する基体に導かれる水分には、その糸状芯部を構成するモノフィラメント糸の少なくとも何れかが含有する抗菌剤による抗菌効果が及び、而も、パイルの径方向外方側は水分含有率が低くなるので、各パイル及び吸水性を有する基体が効果的に抗菌性能を発揮し得る。
従って、このパイル保持体は、湯上りの濡れた足等の水分を迅速に吸水し得、而もべとつき感が生じにくい吸水性及び乾燥感を実現し得ると共に、良好な抗菌効果を発揮し得る。
(5) 上記略円柱形状をなすパイルの先端部が、上記糸状芯部により保持されて放射状をなすよう密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントにより形成されて略凸曲面形状をなすものであり、
その略凸曲面は、それらのフィラメントの先端部により形成されている(4)記載の抗菌吸水パイル保持体。
この場合、パイルの先端部は、糸状芯部により保持されて放射状をなすよう密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントにより形成されて略凸曲面形状をなすものであり、その略凸曲面は、それらのフィラメントの先端部により形成されている。
従って、このパイルの先端部においては、三次元的に内方(例えば上向きに凸の略半球であればその略半球の底面中央部)に向かって前記極細疎水性フィラメントの密度が高くなって毛管現象により強い吸水力が作用し、先端部以外の略円柱形状部分においては径方向内方に向かって極細疎水性フィラメントの密度が高くなって毛管現象により強い吸水力が作用する。そのため、各パイルは、比較的多量の水を径方向内方に向かって迅速に吸水し得る。
逆に、吸水したパイルの先端部の略凸曲面状外周部やパイルの略円柱形状外周部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、パイルの先端部の略凸曲面状外周部やパイルの略円柱形状外周面部は、疎水性繊維のフィラメントの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ、繊維自体が非湿潤状態を維持する。
更に、各パイルは、その軸線に沿う、疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部を有するので、各パイルにおいて、毛管現象により先端部の内方や径方向内方に吸収された水分は、糸状芯部に沿って、吸水性を有する基体へ効率的に導かれる。
そのため、各パイルの先端部の内方や各パイルの径方向内方に吸収された水分がパイルの径方向中央部に滞留することが防がれると共に、パイルの先端部の略凸曲面状外周部から内方へ又はパイルの略円柱形状外周面部から径方向内方への更なる吸水を妨げることや、パイルの先端部の略凸曲面状外周部やパイルの略円柱形状外周面部にべとつき感が生じることが防がれる。
また、パイルの先端部の内方又はパイルの径方向内方に吸収されて糸状芯部に沿って吸水性を有する基体に導かれる水分には、その糸状芯部を構成するモノフィラメント糸の少なくとも何れかが含有する抗菌剤による抗菌効果が及び、而も、パイルの先端部の表面側やパイルの径方向外方側は水分含有率が低くなるので、各パイル及び吸水性を有する基体が効果的に抗菌性能を発揮し得る。
従って、このパイル保持体は、湯上りの濡れた足等の水分を迅速に吸水し得、而もべとつき感が生じにくい吸水性及び乾燥感を実現し得ると共に、良好な抗菌効果を発揮し得る。
(6) 上記パイルが、その高さ/基部直径の比が1/2乃至3/1であり、基体の表面に対し自立性を有するものである(5)記載の抗菌吸水パイル保持体。
この場合、パイルの先端部は、糸状芯部により保持されて放射状をなすよう密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントにより形成されて略凸曲面形状をなす。パイルの基部側は、略円柱形状をなし、その軸線に沿う糸状芯部により、0.03乃至1.5デニールの多数の疎水性繊維のフィラメントが、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された状態で保持されてなり、パイルの略円柱形状外周面はフィラメントの先端部により形成されている。而も、パイルの高さ/基部直径の比は1/2乃至3/1と基部直径に比し高さが比較的低い。
よってパイルは自立性に優れ、毛管現象により径方向内方に吸収された水分は、糸状芯部に沿って、吸水性を有する基体へより効率的に導かれる。そのため、各パイルのパイル形成糸において、径方向内方に吸収された水分がその中央部に滞留することがより効果的に防がれると共に、パイル形成糸の略円柱形状外周面部から径方向内方への更なる吸水を妨げることや、パイル形成糸の外周部にべとつき感が生じることがより確実に防がれる。
また、パイル形成糸の径方向内方に吸収されて糸状芯部に沿って吸水性を有する基体に導かれる水分には、その糸状芯部を構成するモノフィラメント糸の少なくとも何れかが含有する抗菌剤による抗菌効果が及び、而も、パイル形成糸の径方向外方側は水分含有率がより確実に低下するので、各パイル及び吸水性を有する基体がより効果的に抗菌性能を発揮し得る。
(7) 上記パイルが、パイル形成糸が環状をなすように形成されたループ状のパイルである(1)乃至(3)の何れかに記載の抗菌吸水パイル保持体。
この場合のパイルは、パイル形成糸が環状をなすように形成されたループ状のパイルであるから、略円柱形状をなすパイル形成糸が湾曲してループ状のパイルを形成し、基体に結合された基部を2箇所に有する。
(8) 上記ループ状のパイルが、(ループ状の「パイルの高さ)/(パイル形成糸の直径)の比が1/1乃至5/1であり且つ(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)/(パイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、ループ状のパイルの両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、基体の表面に対し自立性を有するものである(7)記載の抗菌吸水パイル保持体。
(9) 上記ループ状のパイルが、[(パイル形成糸の長さ)−(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)]/(パイル形成糸の直径)の比が1/1乃至10/1であり且つ(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)/(パイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、ループ状のパイルの両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、基体の表面に対し自立性を有するものである(7)記載の抗菌吸水パイル保持体。
(8)及び(9)の抗菌吸水パイル保持体のループ状のパイルを形成するパイル形成糸は、略円柱形状をなし、フィラメントが、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり(すなわち、フィラメントが径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に平行状に密設配置された構造をなし)、その略円柱形状外周面は、前記フィラメントの先端部により形成されている。
このようなパイル形成糸により形成されたループ状のパイルは、
(ループ状のパイルの高さ)/(パイル形成糸の直径)の比が1/1乃至5/1、
或いは、
[(パイル形成糸の長さ)−(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)]/(パイル形成糸の直径)の比が1/1乃至10/1
すなわちパイル形成糸の直径に比し高さが低いものであり、
且つ
(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)/(パイル形成糸の直径)の比が3/1以下、
すなわちループ状のパイルの両基部の中心同士の間が広すぎないものである。
そのためループ状のパイルが、両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、その両基部から立ち上がったパイルがループ状に連結し、而もパイル形成糸の直径に比し高さが低く且つループ状のパイルの両基部の中心同士の間が広すぎないので、これらの相乗効果により、極めて良好な自立性とループ状のパイルの高さ方向の押圧に対する柔軟な弾力性を有する。
この点をより詳しく述べるならば、
フィラメントが径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に平行状に密設配置された構造をなすパイル形成糸が、所定の面(ループ面)に沿って湾曲してループ状のパイルを形成し、そのループ状のパイルが、両基部が基体に結合された状態で基体上に配設されており、従って、ループ状のパイルの内周側においては、密設されたフィラメントのうち軸線方向において近接した位置のフィラメント同士が、互いに平行な状態から、やや角度が付いて重なり合ったり、交差したり、互いに圧縮し合ったりするような状態となる
という構成により、そのループ状のパイル、すなわち、所定の面に沿ったループを形成したパイルは、
(A) ループ状のパイルの両基部においては、径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された多数のフィラメントにより基体上に支持され、
(B) ループ状のパイルの内周側においては、密設されたフィラメントのうち軸線方向において近接した位置のフィラメント同士が重なり合ったり、交差したり、互いに圧縮し合ったりするような状態となることにより、外力により生じ得るループ状のパイルの変形が抑えられてその安定性が高くなり、且つ、変形の抑制及び安定性の実現がフィラメント同士の重なり合い・交差・圧縮等によるものであるため、外力に対する柔軟な弾力性が実現され、
而も、
(C) パイル形成糸の直径に比し高さが低く且つループ状のパイルの両基部の中心同士の間が広すぎないため、
これらの相乗効果により、良好な自立性とループ状のパイルの高さ方向の押圧に対する柔軟な弾力性を有する。
そのため、これらのループ状のパイルは自立性に優れるので、毛管現象により径方向内方に吸収された水分は、糸状芯部に沿って、吸水性を有する基体へより効率的に導かれる。
これにより、各ループ状のパイルのパイル形成糸において、径方向内方に吸収された水分がその中央部に滞留することが防がれると共に、パイル形成糸の略円柱形状外周面部から径方向内方への更なる吸水を妨げることや、パイル形成糸の外周部にべとつき感が生じることがより確実に防がれる。
また、パイル形成糸の径方向内方に吸収されて糸状芯部に沿って吸水性を有する基体に導かれる水分には、その糸状芯部を構成するモノフィラメント糸の少なくとも何れかが含有する抗菌剤による抗菌効果が及び、而も、パイル形成糸の径方向外方側は水分含有率がより確実に低下するので、各パイル及び吸水性を有する基体がより効果的に抗菌性能を発揮し得る。
(10) 上記パイル形成糸における疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部が親水化処理された(1)乃至(9)の何れかに記載の抗菌吸水パイル保持体。
この場合、毛管現象によりパイル形成糸の径方向内方に吸収された水分が、親水化処理された疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部に沿って吸水性を有する基体へ効率的に導かれる。
そのため、優れた吸水性及び乾燥感の実現並びに抗菌効果の発揮が可能である。
(11) 上記パイルにおけるパイル形成糸を構成する多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントのうち、所定割合のフィラメントであってパイルの周方向及び軸線方向に分散状に位置するもの又は全フィラメントが、抗菌剤を含有する(1)乃至(10)の何れかに記載の抗菌吸水パイル保持体。
各パイルのパイル形成糸においては、密設されたフィラメントによる毛管現象によって内方に向かって強い吸水力が作用し、比較的多量の水を径方向内方に向かって迅速に吸水する。
パイルにおけるパイル形成糸を構成する多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントのうち、所定割合のフィラメントであってパイルの周方向及び軸線方向に分散状に位置するもの又は全フィラメントが、抗菌剤を含有するので、パイル形成糸の径方向内方に吸収されて糸状芯部に沿って吸水性を有する基体に導かれる水分には、これらのフィラメントが含有する抗菌剤による抗菌効果が及ぶ。
(12) 上記パイルにおけるパイル形成糸を構成する多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメント中に、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなす1.5乃至5デニールの疎水性繊維のフィラメントであって抗菌剤を含有するものを、パイルの周方向及び軸線方向において分散状に有する(1)乃至(10)の何れかに記載の抗菌吸水パイル保持体。
各パイルのパイル形成糸においては、密設されたフィラメントによる毛管現象によって内方に向かって強い吸水力が作用し、比較的多量の水を径方向内方に向かって迅速に吸水する。
パイルにおけるパイル形成糸を構成する多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメント中に、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなす1.5乃至5デニールの疎水性繊維のフィラメントであって抗菌剤を含有するものを、パイルの周方向及び軸線方向において分散状に有する。
これらの1.5乃至5デニールのフィラメントは、抗菌剤をより確実に含有して抗菌効果を発揮し得る。
パイル形成糸の径方向内方に吸収されて糸状芯部に沿って吸水性を有する基体に導かれる水分には、前記の1.5乃至5デニールのフィラメントが含有する抗菌剤による抗菌効果が及ぶ。
本発明の抗菌吸水パイル保持体は、湯上りの濡れた足等の水分を迅速に多量に吸水し得、而もべとつき感が生じにくい吸水性及び乾燥感を実現し得ると共に、良好な抗菌効果を発揮し得る。そのため、足拭用マット等の吸水用マットの他、パイルによって吸水する清掃用具、傘収納具、お手拭き等にも適する。
模式的正面図である。 パイルの模式的拡大横断面図である。 モール糸によりパイルを形成する工程の一部を示す模式図である。 別のパイルの模式的正面図である。
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(1) 図1乃至図3は、本発明の抗菌吸水パイル保持体の実施の形態の一例としての抗菌吸水パイルマットについてのものである。
この抗菌吸水パイルマットAは、吸水性を有する基布S(基体)と多数の略円柱形状のパイルPを備えてなり、前記各パイルPの基部(図1における下端部)が基布Sに結合された状態で、前記多数のパイルPが基布S上に配設されているものである。
基部が基布Sに結合された各パイルPは、基部から先端部に至るまで略円柱形状(模式図である図1に示すように直立することを要するものではなく、一般的にある程度屈曲し易い。)をなし、その軸線に沿う疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部Cにより、0.5デニールの極めて細い多数のポリエステル繊維のフィラメントF(20℃相対湿度65%において吸水率が5%以下の疎水性繊維。以下同じ。)が、パイルPの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された状態で保持されてなり、パイルPの略円柱形状外周面はフィラメントFの先端部により形成されている。
パイルPの先端部Paは、糸状芯部Cにより保持されて放射状をなすよう密設された多数の0.5デニールのポリエステル繊維のフィラメントFにより形成されて略凸曲面形状をなし、その略凸曲面は、それらのフィラメントFの先端部により形成されている。
パイルPの軸線に沿う糸状芯部Cは、4本の50デニールのポリエステル繊維のモノフィラメント糸(20℃相対湿度65%において吸水率が5%以下の疎水性繊維。以下同じ。)からなる。各モノフィラメント糸は、抗菌剤が練り込まれることにより抗菌剤を含有している。
このパイルPの先端部Paにおいては、三次元的に内方(例えば上向きに凸の略半球であればその略半球の底面中央部)に向かって前記極細疎水性フィラメントFの密度が高くなって毛管現象により強い吸水力が作用し、先端部Pa以外の略円柱形状部分においては径方向内方に向かって極細疎水性フィラメントFの密度が高くなって毛管現象により強い吸水力が作用する。そのため、各パイルPは、比較的多量の水を径方向内方に向かって迅速に吸水し得る。
逆に、吸水したパイルPの先端部Paの略凸曲面状外周部やパイルPの略円柱形状外周部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、パイルPの先端部Paの略凸曲面状外周部やパイルPの略円柱形状外周面部は、疎水性繊維のフィラメントFの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ、繊維自体が非湿潤状態を維持する。
更に、各パイルPは、その軸線に沿う、疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部Cを有するので、各パイルPにおいて、毛管現象により先端部Paの内方や径方向内方に吸収された水分は、糸状芯部Cに沿って、吸水性を有する基布Sへ効率的に導かれる。
そのため、各パイルPの先端部Paの内方や各パイルPの径方向内方に吸収された水分がパイルPの径方向中央部に滞留することが防がれると共に、パイルPの先端部Paの略凸曲面状外周部から内方へ又はパイルPの略円柱形状外周面部から径方向内方への更なる吸水を妨げることや、パイルPの先端部Paの略凸曲面状外周部やパイルPの略円柱形状外周面部にべとつき感が生じることが防がれる。
また、パイルPの先端部Paの内方又はパイルPの径方向内方に吸収されて糸状芯部Cに沿って吸水性を有する基布Sに導かれる水分には、その糸状芯部Cを構成するモノフィラメント糸がそれぞれ含有する抗菌剤による抗菌効果が及び、而も、パイルPの先端部Paの表面側やパイルPの径方向外方側は水分含有率が低くなるので、各パイルP及び吸水性を有する基布Sが効果的に抗菌性能を発揮し得る。
この抗菌吸水パイルマットAにおける多数のパイルPは、0.5デニールのポリエステル繊維のフィラメントFを飾り糸とし、2本の50デニールのポリエステル繊維の抗菌剤含有モノフィラメント糸を芯糸として用いた強撚(500T/m)のモール糸Mにより、次のように形成することができる。
すなわち、前記強撚モール糸Mを張力がかかった状態で吸水性を有する基布S(基体)の裏側から表側(図3における上側)へ貫通させることにより、基布Sの表側において強撚モール糸Mを二つ折り状に突出させ、突出した強撚モール糸Mの先端部である折り返し部に対し、突出の向きに引張力を作用させ、二つ折り状に突出した強撚モール糸Mの張力を維持した後、その引張力を解除することにより、強撚モール糸Mが自ら撚り合わさって1本のパイル状となる。これを熱処理することにより、撚り合わさった状態の強撚モール糸Mが更に強く自ら撚り合わさり、糸状芯部Cを中心として略円柱形状をなし、パイルPの先端部Paが放射状のフィラメントFの先端部により略凸曲面形状をなす多数のパイルPを形成することができる。
なお、図1乃至図3は、何れも説明のための模式図であり、実物を示したものではない。
(2) 図4は、本発明の抗菌吸水パイル保持体の実施の形態の別の例としての抗菌吸水パイルマットについてのものである。
この抗菌吸水パイルマットBは、吸水性を有する基布S(基体)と多数のループ状のパイルRを備えてなり、前記各ループ状のパイルRの一対の基部が基布Sに結合された状態で、前記多数のパイルRが基布S上に配設されているものである。
このループ状のパイルRは、それぞれ、略円柱形状をなすパイル形成糸Tの全体又は部分が湾曲して、所定の平面に沿った環状(例えば実質上パイル形成糸Tのみにより形成される環状又はパイルRの両基部がやや離れていてパイル形成糸Tと基布S[パイルRの両基部間の基布S]により形成される環状)をなし、両基部(模式図である図4における両下端部)において基布Sに結合されたものとして形成することができる。
ループ状のパイルRを形成しているパイル形成糸Tは、略円柱形状をなし、その軸線に沿う疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部Cにより、0.5デニールの極めて細い多数のポリエステル繊維のフィラメントF(20℃相対湿度65%において吸水率が5%以下の疎水性繊維。以下同じ。)が、パイル形成糸Tの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された状態で保持されてなり、パイル形成糸Tの略円柱形状外周面はフィラメントFの先端部により形成されている。
パイル形成糸Tの軸線に沿う糸状芯部Cは、4本の50デニールのポリエステル繊維のモノフィラメント糸(20℃相対湿度65%において吸水率が5%以下の疎水性繊維。以下同じ。)からなる。各モノフィラメント糸は、抗菌剤が練り込まれることにより抗菌剤を含有している。
このループ状のパイルRを形成するパイル形成糸Tにおいては、径方向内方に向かって極細疎水性フィラメントFの密度が高くなって毛管現象により強い吸水力が作用する。そのため、各パイルRは、比較的多量の水を径方向内方に向かって迅速に吸水し得る。
逆に、吸水したパイル形成糸Tの略円柱形状外周部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、パイル形成糸Tの略円柱形状外周面部は、疎水性繊維のフィラメントFの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ、繊維自体が非湿潤状態を維持する。
更に、各パイルRのパイル形成糸Tは、その軸線に沿う、疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部Cを有するので、各パイルRにおいて、毛管現象により径方向内方に吸収された水分は、糸状芯部Cに沿って、吸水性を有する基布Sへ効率的に導かれる。
そのため、各パイルRのパイル形成糸Tにおける径方向内方に吸収された水分がパイル形成糸Tの径方向中央部に滞留することが防がれると共に、パイル形成糸Tの略円柱形状外周面部から径方向内方への更なる吸水を妨げることや、パイルRの略円柱形状外周面部にべとつき感が生じることが防がれる。
また、パイル形成糸Tの径方向内方に吸収されて糸状芯部Cに沿って吸水性を有する基布Sに導かれる水分には、その糸状芯部Cを構成するモノフィラメント糸がそれぞれ含有する抗菌剤による抗菌効果が及び、而も、パイル形成糸Tの径方向外方側は水分含有率が低くなるので、各パイルR及び吸水性を有する基布Sが効果的に抗菌性能を発揮し得る。
この抗菌吸水パイルマットBにおける多数のパイルRは、0.5デニールのポリエステル繊維のフィラメントFを飾り糸とし、2本の50デニールのポリエステル繊維の抗菌剤含有モノフィラメント糸を芯糸として用いたモール糸を2本寄り合わせたもの(張力がかかっていなくても捩れないもの)を用いて、タフテッドループパイルマットの製法を利用して形成することができる。
なお、図4は説明のための模式図であり、実物を示したものではない。
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
本発明の抗菌吸水パイル保持体は、吸水性を有する基体と多数のパイルを備えてなり、前記各パイルの基部が基体に結合された状態で、前記多数のパイルが基体上に配設されているものである。
(1) パイルは、略円柱形状をなすパイル形成糸により形成されている。
パイル形成糸は、そのパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントと、パイル形成糸の軸線に沿う2乃至300本の1乃至1000デニールの疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部を有するものとすることができる。パイル形成糸は、一般的にある程度屈曲し易い。
前記多数のフィラメントは、糸状芯部により保持され、パイル形成糸の略円柱形状外周面は、フィラメントの先端部により形成されている。フィラメントは、パイル形成糸の径方向内方に向かうほど高密度状態となる。
(2) 各フィラメントは、疎水性の連続長繊維が所要長さに切断された単繊維である。各フィラメントの所要長さは、通常はパイル形成糸の直径に応じたものとすることができる。
フィラメントとしては、ポリエステル系繊維の他、例えば、ポリプロピレン系繊維やポリエチレン系繊維を用いることができる。
フィラメントの吸水率は、20℃相対湿度65%において、例えば3%以下とすることができる。好ましくは、20℃相対湿度65%において2%以下、より好ましくは1%以下である。
各フィラメントの繊度は、0.03乃至1.5デニール、好ましくは0.05乃至0.8デニールである。
パイル形成糸の直径は、例えば3乃至10mmとすることができる。好ましくは4乃至8mmである。
フィラメントは、パイル形成糸の軸線方向長1cm当り、例えば1万乃至25万本程度(フィラメントの繊度の大小に応じ、本数は、それぞれ少な目及び多目とすることができる)が、そのパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されたものとすることができる。先端が自由端である略円柱形状をなすパイル(例えば、二つ折り状のパイル形成糸が撚り合わさって形成されたもの)の場合、フィラメントは、パイルの軸線方向長1cm当り、例えば2万乃至50万本程度(フィラメントの繊度の大小に応じ、本数は、それぞれ少な目及び多目とすることができる。フィラメントが0.7デニールの場合、パイルの軸線方向長1cm当り、例えば5万本程度。)が、そのパイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されたものとすることができる。
パイル形成糸を構成する多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントのうち、所定割合(例えば10乃至50%)のフィラメントであってパイルの周方向及び軸線方向に分散状に位置するもの又は全フィラメントが、抗菌剤を含有するものとすることができる。
また、パイル形成糸を構成する多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメント中に、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなす1.5乃至5デニールの疎水性繊維のフィラメントであって抗菌剤を含有するものを、パイルの周方向及び軸線方向において分散状に有するものとすることができる。
抗菌剤を含有するフィラメントは、抗菌剤を練り込んでフィラメントを紡糸することにより得ることができる。
抗菌剤を含有するフィラメントは、抗菌作用の耐久性が良好である。
抗菌剤としては、細菌やカビ等の繁殖を抑えることができる無機系抗菌剤又は有機系抗菌剤を用いることができる。無機系抗菌剤としては、銀、亜鉛、銅等の金属イオンを利用するものを挙げることができ、有機系抗菌剤としては、イミダゾール系、チアゾール系、ピリジン系、トリアジン系、アミン系、四級アンモニウム系、フェノール系、クレゾール系、スルフォン系等の抗菌物質を挙げることができるが、何れもこれらに限るものではない。
(3) パイル形成糸の軸線に沿う糸状芯部は、2乃至300本、例えばポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維等の疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる。モノフィラメント糸の繊度は、1乃至1000デニールである。
糸状芯部は、好ましくは、2乃至24本の10デニール乃至300デニールの疎水性繊維のモノフィラメント糸からなるものとすることができる。
また、糸状芯部には、このようなモノフィラメント糸に加えて、加熱により溶融して前記多数のフィラメントを確実に保持するための熱融着糸を併用することができる。
糸状芯部を構成するモノフィラメント糸は、少なくとも何れか(すなわち、複数本のモノフィラメント糸の一部又は全部)が抗菌剤を含有する。
抗菌剤を含有するモノフィラメント糸は、抗菌剤を練り込んでモノフィラメント糸を紡糸することにより得ることができる。
抗菌剤を含有するモノフィラメント糸は、抗菌作用の耐久性が良好である。
抗菌剤としては、前記と同様の、細菌やカビ等の繁殖を抑えることができる無機系抗菌剤又は有機系抗菌剤を用いることができる。
なお、糸状芯部を構成するモノフィラメント糸の少なくとも何れかが抗菌剤を含有するものとすることに加えて、パイル形成糸を構成するフィラメントおよび/またはモノフィラメント糸にバインダ等を用いて抗菌剤をコーティングする等の抗菌剤を付着させる処理を施すこともできる。
またパイル形成糸における疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部は、親水化処理されたものとすることができる。
親水化処理とは、疎水性合成繊維、或いはその他の疎水性繊維における水に対する濡れ性を付与すること又は水に対する濡れ性を向上させることを言う。
疎水性繊維に対する親水化処理としては、例えば、非イオン系、アニオン系等の各種界面活性剤や、ポリオキシエチレン変性シリコン、ポリオキシプロピレン変性シリコン等のポリエーテル変性シリコン系、ポリエチレンオキサイド・ポリプロピレンオキサイドブロック共重合物等のポリエーテル系、ポリグリセリンオレイン酸エステル等のポリグリセリンエステル系、ステアリン酸ジエタノールアミド等のアルキノールアミド系等の親水化剤による親水化処理が可能である。
なお、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントも、このような親水化処理が施されたものとすることができる。
(4) 本発明における、パイル形成糸により形成され、基部が基体に結合されたパイルは、先端が自由端である略円柱形状(模式図である図1に示すように直立することを要するものではなく、一般的にある程度屈曲し易い。)をなすものとすることができる。
またこの場合、
略円柱形状をなすパイルの先端部が、上記糸状芯部により保持されて放射状をなすよう密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントにより形成されて略凸曲面形状をなすものであり、その略凸曲面は、それらのフィラメントの先端部により形成されているものとすることができる。
このようなパイルは、例えば、0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントを飾り糸とし、複数の疎水性繊維のモノフィラメント糸を芯糸として用いた強撚(例えば500乃至700T/m)のモール糸により、次のように形成することができる。すなわち、前記強撚モール糸を張力がかかった状態で基布(基体)の裏側から表側へ貫通させることにより、基布の表側において強撚モール糸を二つ折り状に突出させ、突出した強撚モール糸の先端部である折り返し部に対し、突出の向きに引張力を作用させ、二つ折り状に突出した強撚モール糸の張力を維持した後、その引張力を解除することにより、強撚モール糸が自ら撚り合わさって1本のパイル状となる。これを熱処理することにより、撚り合わさった状態の強撚モール糸が更に強く自ら撚り合わさり、糸状芯部を中心として略円柱形状をなし、パイルの先端部が放射状のフィラメントの先端部により略凸曲面形状をなすパイルを形成することができる。
また、先端部が略凸曲面形状をなす前記パイルは、その高さ/基部直径の比が1/2乃至3/1であり、基体の表面に対し自立性を有するものとすることができる。
(5) 本発明における、パイル形成糸により形成され、基部が基体に結合されたパイルは、パイル形成糸が環状をなすように形成されたループ状のパイルであるものとすることができる。
このループ状のパイルは、略円柱形状をなすパイル形成糸の全体又は部分が湾曲して環状をなし、両基部において基布(基体)に結合されたものとすることにより形成することができる。このループ状のパイルは、所定の平面に沿って環状をなすものであることが好ましい。
このようなループ状のパイルは、
(ループ状の「パイルの高さ)/(パイル形成糸の直径)の比が1/1乃至5/1であり且つ(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)/(パイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、ループ状のパイルの両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、基体の表面に対し自立性を有するもの、
又は、
[(パイル形成糸の長さ)−(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)]/(パイル形成糸の直径)の比が1/1乃至10/1であり且つ(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)/(パイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、ループ状のパイルの両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、基体の表面に対し自立性を有するもの
とすることができる。
(6) 基体は、織布、不織布等の基布とするのが一般的であるが、必ずしもこれに限らない。
A 抗菌吸水パイルマット
B 抗菌吸水パイルマット
C 糸状芯部
F フィラメント
M モール糸
P パイル
Pa 先端部
R パイル
S 基布
T パイル形成糸

Claims (12)

  1. 吸水性を有する基体と多数のパイルを備えてなり、前記各パイルの基部が基体に結合された状態で、前記多数のパイルが基体上に配設されているパイル保持体であって、
    前記各パイルを形成するパイル形成糸は、略円柱形状をなし、そのパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントと、パイル形成糸の軸線に沿う複数の疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部を有し、
    前記多数のフィラメントは、前記糸状芯部により保持され、
    前記糸状芯部を構成するモノフィラメント糸の少なくとも何れかが抗菌剤を含有し、
    前記パイル形成糸の略円柱形状外周面は、前記フィラメントの先端部により形成され、
    径方向内方に向かうほど前記フィラメントが高密度状態となるものであることを特徴とする抗菌吸水パイル保持体。
  2. 上記糸状芯部が、パイル形成糸の軸線に沿う2乃至300本の1デニール乃至1000デニールの疎水性繊維のモノフィラメント糸からなるものである請求項1の抗菌吸水パイル。
  3. 上記糸状芯部が、パイル形成糸の軸線に沿う2乃至24本の10デニール乃至300デニールの疎水性繊維のモノフィラメント糸からなるものである請求項1の抗菌吸水パイル。
  4. 上記パイル形成糸により形成されたパイルが、先端が自由端である略円柱形状をなすものである請求項1乃至3の何れか1項に記載の抗菌吸水パイル保持体。
  5. 上記略円柱形状をなすパイルの先端部が、上記糸状芯部により保持されて放射状をなすよう密設された多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントにより形成されて略凸曲面形状をなすものであり、
    その略凸曲面は、それらのフィラメントの先端部により形成されている請求項4記載の抗菌吸水パイル保持体。
  6. 上記パイルが、その高さ/基部直径の比が1/2乃至3/1であり、基体の表面に対し自立性を有するものである請求項5記載の抗菌吸水パイル保持体。
  7. 上記パイルが、パイル形成糸が環状をなすように形成されたループ状のパイルである請求項1乃至3の何れか1項に記載の抗菌吸水パイル保持体。
  8. 上記ループ状のパイルが、(ループ状のパイルの高さ)/(パイル形成糸の直径)の比が1/1乃至5/1であり且つ(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)/(パイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、ループ状のパイルの両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、基体の表面に対し自立性を有するものである請求項7記載の抗菌吸水パイル保持体。
  9. 上記ループ状のパイルが、[(パイル形成糸の長さ)−(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)]/(パイル形成糸の直径)の比が1/1乃至10/1であり且つ(ループ状のパイルの両基部の中心同士の距離)/(パイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、ループ状のパイルの両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、基体の表面に対し自立性を有するものである請求項7記載の抗菌吸水パイル保持体。
  10. 上記パイル形成糸における疎水性繊維のモノフィラメント糸からなる糸状芯部が親水化処理された請求項1乃至9の何れか1項に記載の抗菌吸水パイル保持体。
  11. 上記パイルにおけるパイル形成糸を構成する多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメントのうち、所定割合のフィラメントであってパイルの周方向及び軸線方向に分散状に位置するもの又は全フィラメントが、抗菌剤を含有する請求項1乃至10の何れか1項に記載の抗菌吸水パイル保持体。
  12. 上記パイルにおけるパイル形成糸を構成する多数の0.03乃至1.5デニールの疎水性繊維のフィラメント中に、パイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなす1.5乃至5デニールの疎水性繊維のフィラメントであって抗菌剤を含有するものを、パイルの周方向及び軸線方向において分散状に有する請求項1乃至10の何れか1項に記載の抗菌吸水パイル保持体。
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