JP2015048415A - 蛍光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ土類金属を含まない、酸化物、窒化物で構成された材料で構成され、緑色の色再現性が高く、非視感度領域での発光の少ない蛍光体を提供する。
【解決手段】組成式Al(l)O(m)N(n):Zである。ここでAlはアルミニウム、Oは酸素、Nは窒素で、Zは希土類元素を示す。また、l、m、nは元素量を示す。本蛍光体は350〜450nmの波長域に励起スペクトルを有している。そして、蛍光スペクトルは中心波長約520nmで、また半値幅は約70nmと狭い。また、色度座標は(0.246、0.638)と、国際電気標準会議が定めた国際標準規格であるsRGBの緑色である(0.3、0.6)よりも、純緑色に近いという特徴を有する。このほか、人間の可視範囲を越えた波長650nm以上において、ほとんど発光スペクトルを持たないことも特徴である。
【選択図】図1

Description

本開示は、室内照明や車のヘッドライトなどの照明装置の光源や、プロジェクタやスマートフォンなどのディスプレイの光源として用いられる発光装置と、その発光装置に用いることができる蛍光体に関するものである。
近年、光源の発光波長が380nm〜480nm(紫外〜青色)である半導体発光素子と、それらの放射光の一部を吸収して放射光よりも長波長の蛍光を放射する蛍光体とを組み合わせた発光装置が盛んに開発されている。たとえば、セリウムを賦活したイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:Ce)蛍光体は、波長450nmの青色光を吸収し、青色の補色である黄色にて発光する。この蛍光体は温度特性や変換効率も優れているため、これを搭載した白色発光ダイオードとして既に実用化されている。
短波長の光源を励起光源とし、なおかつ蛍光体によって可視光変換するようなディスプレイ装置について考える。これを実現するには、励起光を吸収し、なおかつそれぞれ赤、緑、青の3原色に変換できる蛍光体材料が必要となる。プロジェクタとして鮮明な映像を表示するためには、各原色の蛍光体がそれぞれ適切な波長にて発光する必要がある。たとえば、緑色の場合、発光波長は約520nmであり、短波長になると映像は青っぽくなり、長波長になると黄色っぽくなる。また、発光スペクトルの半値幅も重要な要素である。半値幅はなるべく狭い方がよい。半値幅が広いと青や黄色成分の混合によって、全体的に白っぽい映像となってしまう。また、特に緑色は視感度が最も高い原色であるため、この色が全体の鮮やかさを決定する。
近年では、いくつかの緑色蛍光体が開発され、実用化されている。特にベータサイアロン系蛍光体と呼ばれる蛍光体は、2価のユウロピウムによって賦活されたアルミニウムおよびシリコンの酸窒化物蛍光体で、結晶構造は窒化珪素のベータ構造を取る。特許文献1によると、ベータサイアロン系蛍光体は中心波長約530nmにて発光し、映像表示装置への使用が可能である。
特開2012−62394号公報
しかしながら上記に述べた発光装置において特に緑色の蛍光体に関しては次のような課題が挙げられる。まず、YAG:Ce系蛍光体は、上記に述べたように発光波長中心が黄色領域に位置するためディスプレイ用緑色蛍光体としては緑純度が不十分であるほか、また半値幅も広いため、鮮明な緑色を得ることが困難である。
一方、ベータサイアロン系蛍光体は、特許文献1にもあるように、焼成には窒素雰囲気下にて高温(〜1500℃)かつ高圧(1気圧以上)にする必要がある。そのため、焼成炉は耐圧性の確保などで、一般の電気炉よりも大掛かりとなってしまい、その結果、蛍光体は一般的な酸化物蛍光体よりも割高となってしまう。
上記課題に対して、本発明は、高圧焼成が不要な尿素を窒化剤に用いた焼成方法によって、緑色の純度が高く、なおかつ半値幅の狭い蛍光体を提供することである。
上記課題を解決するために本発明の蛍光体は、Alおよび窒素を主成分とし、Euを賦活剤とし、かつ発光ピーク波長が500nmから550nmであることを特徴とする。このことにより、演色性の高い蛍光体を実現することができる。
本発明の蛍光体は、さらに結晶構造をウルツ鉱構造ではないこととすることが好ましい。この好ましい構成によれば、賦活剤であるEuは、ウルツ鉱構造のIII族サイトに置換することができない。すなわち、Euは寿命が非常に長い赤色蛍光を呈する3価になることができない。その結果、Euはより2価になりやすくなり、高効率な緑色蛍光を発現させることができる。
本発明の蛍光体は、さらに1%以上の酸素を含有していることが好ましい。この好ましい構成によれば、母結晶は完全なウルツ鉱構造を取ることができない。すなわち、Euは3価固定のウルツ鉱構造III族サイトに入ることなく、より活性な2価の形態を取りやすくなり、その結果、高効率な緑色蛍光を発現させることができる。
本発明の蛍光体は、さらにEuおよびAlの混晶酸化物が存在することが好ましい。この好ましい構成によれば、焼成物を再現性よく蛍光体として機能させることができる。また、本材料系では今まで報告がなかった緑色領域において、蛍光を実現することができる。
本発明の蛍光体は、さらに出発原料のアルミナの結晶構造はコランダム構造であることが好ましい。この好ましい構成によれば、蛍光体は、再現性よく発光ピーク波長を緑色領域に持たせることができる。
本発明の蛍光体は、さらに窒化剤は尿素であることが好ましい。この好ましい構成によれば、蛍光体は、安価にて緑色蛍光体を実現することができる。
本発明によれば、高効率な緑色蛍光体を実現することができる。
(a)は本発明の実施の形態1に関する蛍光体の蛍光スペクトル図であり、(b)は同蛍光体の蛍光スペクトルのCIE1913色座標を示す図である。 実施の形態1におけるアルミナ原料を変えた際の本発明の蛍光体の蛍光スペクトルを示す図である。 (a)は実施の形態1における本発明の蛍光体構造物(粒子)のSEM写真とカソードルミネッセンス測定位置との関係を示す図であり、(b)は同蛍光体の断面のカソードルミネッセンス結果を示す図である。 (a)は実施の形態1における本発明の蛍光体構造物(粒子)のSEM写真と断面透過電子顕微鏡像撮影位置との関係を示す図であり、(b)は同蛍光体の断面透過電子顕微鏡像を示す図である。 実施の形態1における本発明の蛍光体の電子線回折像を示す図である。 (a)は実施の形態1における本発明の蛍光体構造物(粒子)のSEM写真と元素組成分析の測定位置との関係を示す図であり、(b)は同蛍光体の元素組成分析結果を示す図である。 同実施の形態1における蛍光体の粉末X線回折結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
(1−1)製造方法
まず、本発明の実施の形態1に関する蛍光体の製造方法について説明する。
まず原料として、コランダム構造のアルミナ(化学式Al)、酸化ユウロピウム(化学式Eu)、尿素(化学式(NHCO)を準備する。それらは全て白色の粉末である。アルミナは本蛍光体において母結晶の構成物となる。結晶構造がコランダム構造であることについては、後述する。また酸化ユウロピウムは、母結晶内において蛍光賦活剤として取り込まれる。また尿素は、アルミナと酸化ユウロピウムを窒化するための原料として作用する。
本蛍光体を少量生産する場合、各原料の調合を以下のようにしている。アルミナを1g、酸化ユウロピウムを0.9g、尿素を10gビーカに入れる。さらに純水を3cc程度加えて攪拌する。この作業は、アルミナおよび酸化ユウロピウムの周囲に一旦水溶した尿素を均一に付着させ、反応性を向上するためである。
得られた混合物を、電気炉にセットする。アニール条件は1200℃を2時間としており、炉内の雰囲気は窒素ガスで常圧としている。アニール前は白色粉末であったが、アニールを行なった後は、本条件では黄色い蛍光体粉末として形成される。
なお、本実施の形態では、Eu源を酸化ユウロピウムとしているが、硝酸ユウロピウム(化学式Eu(NO)およびその水和物であってもよい。その場合、一度水溶液を作製して、尿素と共に混合する方が作業としてやりやすい。なお、本実施の形態では、窒化剤として尿素を用いているが、尿素と分子構造が非常に近いカルバミド系化合物(たとえば化学式C(NH)(NH)(OH))や、ヒドラジン系化合物の水和物(たとえば化学式N・HO)、アジド系化合物(たとえば化学式NaN)を用いても、同様の効果が得られる。
(1−2)特性
次に本発明にかかる蛍光体の光学特性を説明する。まず、図1は蛍光スペクトル(図1(a))とそのCIE1931色座標(図1(b))である。なお、図1(a)においては、本発明にかかる蛍光体の写真を併せて添付している。図1(a)に示す通り、本発明にかかる蛍光体は中心ピーク波長約520nmにて緑色に発光している。また半値幅は約70nmと狭く、隣接する青色波長域(波長470nm未満)や黄色波長域(波長550nm以上)における蛍光成分が少ないことが特徴である。その結果、純緑色に近い高演色かつ高効率な蛍光体として機能することができる。また図1(b)のCIE1931色座標を見ると、sRGBで示される三角形よりも上方に位置している。このことは、sRGBにて必要とされる緑色よりも、さらに高純度な緑色(色座標(0.246,0.638))を、本蛍光体によって実現できることを意味している。
次に、アルミナの結晶構造と焼成後の蛍光特性との関係について述べる。アルミナは、主に3種類の多型を持つことが知られている。アルミニウムを低温にて酸素焼成すると、γアルミナと呼ばれる立方晶スピネル型の結晶構造が得られる。また、アルマイト処理にて得られるアルミナにも、多くのγ構造が含まれている。これを約1100℃以上にて酸素焼成すると、θ構造が得られる。さらに1300℃以上で焼成すると、最も安定であるα構造(六方晶コランダム型)が得られる。
ここでは、原料にα、γ、θ構造のアルミナを用いて蛍光体焼成を行なった。混合比および焼成条件は前述の通りである。焼成の結果得られたサンプルについてフォトルミネッセンス測定を行った。その結果、図2に示される蛍光スペクトルが得られた。なお、図2において縦軸は任意単位である。
図2を見ると、緑色蛍光が得られるのは、α構造のアルミナを用いた場合のみで、それ以外のアルミナを用いると、近紫外にて蛍光することがわかる。つまり、本緑色蛍光体を得るには、α構造のアルミナを用いる必要がある。
得られた緑色蛍光体の微細構造について、様々な分析方法を用いて調べた。
まず、蛍光体構造物の断面SEM(走査型電子顕微鏡)観察を行ない、代表的な場所についてCL(カソードルミネッセンス)を測定した。それらの結果を図3に示す。なお、図3(a)は蛍光体の断面のSEM写真とCL測定位置との関係を示し、図3(b)はそれぞれの測定位置でのカソードルミネッセンス強度を示す。なお、図3(b)の縦軸は、任意単位である。
まず、図3(a)に示した断面SEM像において、写真の下側に見える一様な領域は、αアルミナに対応する。その上に、焼成によって得られた構造物が確認できる。CL測定では、構造物の最上部近傍と底部近傍を測定した。加速電圧は5kVであり、電子線の拡がりから空間分解能は数μm程度である。図3(b)より、構造物の最上部においてのみ、強い緑色蛍光が得られていることがわかる。一方、構造物の底部からは、若干の発光が確認できるが空間分解能を考慮に入れると、底部からの発光はないものと考えられる。このように、構造物の最上部からのみ緑色蛍光が確認できた。
次に、構造物の最上部と底部から薄片試料をサンプリングし、TEM(透過型電子顕微鏡)観察を行なった。それらのTEM像を図4に示す。図4において、図4(a)は測定した構造物(粒子)の断面SEM像と、当該断面SEM像で示すTEM観察位置との関係を示す図であり、図4(b)は構造物の最上部Aに関するTEM像および構造物の底部Bにおける断面TEM写真である。図4(b)より、構造物の最上部Aと構造物の底部Bでは、原子配列が全く異なっていることがわかる。
また、構造物の最上部Aと底部Bとにおける電子線回折像を、図5に示した。TEM原子像観察と同様に、回折パターンでも大きく異なっている。また、底部Bの回折パターンから、結晶構造はEuとAlとの混晶であることがわかった。この回折パターンは2Eu・Alであることが同定できたが、それ以外にも、EuとAlとの比率が異なる混晶も存在していることがわかった。最上部Aの回折パターンについては、AlNのウルツ鉱結晶ではないことがわかった。
次に構造物の最上部Aと底部Bとにおける元素組成を調べた。測定方法はEDX(エネルギー分散型X線分光法)であり、各特性X線のピーク強度から元素組成を求めている。測定結果を図6に示す。なお、図6において、図6(a)は測定した構造物(粒子)の断面SEM像と、当該断面SEM像で示す測定位置との関係を示す図であり、図6(b)は構造物の最上部Aに関する組成および構造物の底部Bにおける組成を示す表である。なお、図6(b)において構成元素の後に付される−(ハイフン)K、−Lは、それぞれの構成元素にかかる殻電子の励起を示す。すなわち、−KはK殻電子の励起を、−LはL殻電子の励起を示す。例えば、Al−KはAlのK殻電子の励起を示し、Eu−LはEuのL殻電子の励起を示す。
図6(b)より、底部Bの元素組成は、ユウロピウムとアルミニウムの酸化物であり、窒素は含まれていないことがわかった。これは、先の電子線回折パターンの結果と合致する。一方、最上部の蛍光が強い箇所では、アルミニウムの酸窒化物でできており、酸素と窒素の比はおおよそ1:4であることがわかった。また、ユウロピウムについては、おおよそ0.5%含有していることがわかった。尿素窒化によってアルミナを完全窒化してはおらず、有意な量にて酸素が残留している。酸素は窒素とは異なる価数を持ち、蛍光体がAlNのウルツ鉱結晶を取ることを阻害する。このことは、以下に述べるとおり、高効率な緑色蛍光体を実現するうえで重要な要素である。
ユウロピウムは通常3価を取るが、母結晶の環境によっては2価を取り得る。もし蛍光体が完全なウルツ鉱構造を取っている場合、ユウロピウムはより安定な3価として、Alサイトに置換されざるを得ない。このとき、蛍光寿命の長い赤色蛍光体(蛍光波長約620nm)となってしまう。また、EuはAlに比べてイオン半径が倍程度異なるため、母結晶への残留歪が大きく、その結果、良質な結晶を得にくい。一方、本蛍光体のようにウルツ鉱構造ではなく、−2価の酸素が存在する場合、それに対応してEuは2価を取ることが許される。このとき、Euのd軌道は母結晶の電子軌道と混成することができ、その結果、本発明のような純緑色の蛍光体を実現することが可能となる。
図7は、本蛍光体の粉末XRD(X線回折)の結果である。ピーク同定の結果、原料であるαアルミナの他にEu・12Al混晶が見られる。この混晶は、αアルミナの上に形成された、ユウロピウムとアルミニウムの混晶酸化物である。また、その他のピークも確認されたが、これらは緑色蛍光を担う最上部からのものと考えられる。
以上の分析結果から、本蛍光体の形成過程を理解することができる。
焼成において、まず、αアルミナに酸化ユウロピウムが溶け込み、両者の混晶が形成される。この混晶が、緑色蛍光体を得るための前駆体となる。一方で尿素は、アンモニアと二酸化炭素に熱分解する。還元雰囲気において、アンモニアはこの混晶を攻撃する。そして、混晶内における大半の酸素を脱離させ、そこに窒素が結合する結果、アルミニウムの酸窒化物が得られる。酸窒化物の形成過程においてユウロピウムが一部添加される。ユウロピウムは3価としてではなく、2価として取り込まれ、これが緑色蛍光体として機能を果たす。ユウロピウムが3価として取り込まれない理由は、3価であるアルミニウムとはイオン半径が大きく異なるために入りにくいことと、結晶構造がウルツ鉱構造ではないため、アルミニウムのサイト以外に入り込めるサイトがあるためと考えられる。このことが、本蛍光体において、ユウロピウムが2価として特徴的な純緑色蛍光を呈する理由である。
(実施の形態2)
次に、より均一性の高いAlN系緑色蛍光体を得る方法を示す。
まず、モル濃度が5M以上の硝酸水溶液にαアルミナの粉末を入れる。ヒータにて70℃以上に加熱しながら、1時間以上攪拌する。冷却後、硝酸を取り除き、純水にてαアルミナ粉末を置換する。その後、αアルミナ粉末を乾燥させる。この行程で、αアルミナ粉末の表面を水酸基で覆うことができる。
次に、たとえば1mMの希薄な硝酸ユウロピウム水溶液に、前述の水酸基修飾したαアルミナ粉末を入れ、攪拌する。本水溶液では、ユウロピウムは+3価のイオンとして溶液内を遊離している。しかしながら時間が経つに伴って、ユウロピウムイオンはより安定な水酸化ユウロピウムに変化する。このとき、水酸化ユウロピウムは沈殿するが、水酸基修飾したαアルミナ粉末があると、その表面に吸着される。この反応は時間の経過とともに進行し、水酸化ユウロピウム膜の厚さは時間にほぼ比例する。
室温状態で放置していると、1週間程度で数10nmの膜厚となる。この堆積速度を上げるには、溶液のpHを上げて弱アルカリ性にすればよい。これは、ユウロピウムの電位−pH図によると、酸性では+3価イオンが安定であるのに対して、アルカリ性(pH7以上)では水酸化ユウロピウムが安定となるからである。しかし、この溶液にそのまま塩基性水溶液を加えると、濃度の高い部分から先に反応してしまい、αアルミナ上にうまく吸着されず、無駄になってしまう。そのため、反応を緩慢に行なう必要がある。その実現方法として、たとえば、尿素を添加する方法がよい。尿素は非常に弱い塩基性を示すが、さらに加水分解されると、2分子のアンモニアと1分子の二酸化炭素になる。量的な差に加えて、二酸化炭素に比べてアンモニアの方が解離定数が大きいため、弱い塩基性を時間をかけて実現することができ、それに伴ってαアルミナ上に均一かつ効率よく水酸化ユウロピウム膜を形成することができる。
十分な厚さになった後、αアルミナ粉末を取り出す。そこにαアルミナ粉末の10倍程度の重さの尿素を混ぜておく。混ぜた後、焼成炉に導入し、温度1400℃、焼成時間2時間、窒素常圧にて焼成を行なう。その結果、より均一性の高い緑色蛍光体を得ることができる。
本方法では、αアルミナ粉末の表面へ均一に水酸化ユウロピウム膜が形成されているため、均一な緑色蛍光体を粉末の表面全体に形成することが可能である。これは、前駆体であるEu+Al混晶がうまく均一に形成されるためである。
本発明によれば、半値幅が狭く、非視感度領域での発光の少ない高効率蛍光体によって、高効率かつ演色性の優れた光源を実現することができる。また、尿素窒化による焼成方法により、安価な蛍光体を提供することができる。
A 最上部
B 底部

Claims (6)

  1. Alおよび窒素を主成分とし、Euを賦活剤とし、かつ発光ピーク波長が500nmから550nmであることを特徴とする蛍光体。
  2. 前記蛍光体の結晶構造は、ウルツ鉱構造ではないことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記蛍光体は、1%以上の酸素を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
  4. 前記蛍光体は、アルミナの外縁部に形成されており、なおかつ前記蛍光体とアルミナとの間には、EuおよびAlの混晶酸化物が存在することを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
  5. 前記アルミナの結晶構造はコランダム構造であることを特徴とする、請求項4に記載の蛍光体。
  6. 前記蛍光体の窒素原料は尿素であることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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