JP2015047520A - コア・シェル複合粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
多糖類と極性が同一の分散媒中に、ゼータ電位の極性が同一の砥粒とを混合して、砥粒を多糖類の表面に偏在させ、脱硫により固定化処理して、多糖類表面に砥粒が偏在する複合粒子を製造する方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、コア粒子となる多糖類と、シェル層となる砥粒と、分散媒との組み合わせが限定される。
[1]ポリマー粒子からなるコア粒子と、無機ナノ微粒子からなるシェル層と、からなる、コア・シェル複合粒子を製造する方法であって、
有機溶剤を使用せず、ポリマー粒子と無機ナノ微粒子とを液体又は超臨界状態の二酸化炭素と接触させることにより、ポリマー粒子の表面を軟化させて、軟化したポリマー表面に無機ナノ微粒子を固定して、コア・シェル複合粒子を形成させた後、温度を室温に戻し、次いで圧力を大気圧に戻すことにより二酸化炭素を除去して、コア・シェル複合粒子を取り出す工程を含む製造方法。
[2]前記無機ナノ微粒子は、ダイヤモンド、酸化セリウム、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム又は二酸化ケイ素である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記ポリマー粒子を構成するモノマーが、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体の1種以上を含む、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記無機ナノ微粒子の平均粒径は、ポリマー粒子の平均粒径の1/5〜1/100,000である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の製造方法。
[5]前記ポリマー粒子の平均粒径は、1μm〜500μmである、[1]〜[4]の何れか1項に記載の製造方法。
[6]前記粒子混合物を液体又は超臨界状態の二酸化炭素と接触させ、コア・シェル複合粒子を形成する際の温度は10〜200℃の範囲、圧力は5〜50MPaの範囲とする、[1]〜[5]の何れか1項に記載の製造方法。
[7]有機溶剤を使用せずに、ポリマー粒子と無機ナノ微粒子とを液体二酸化炭素と接触させる、[1]〜[6]の何れか1項に記載の製造方法。
本発明の製造方法は、コア粒子を構成するポリマー粒子と、シェル層を構成する無機ナノ微粒子とを、有機溶剤を使用せずに、耐圧容器内にて液体又は超臨界状態の二酸化炭素が存在する所定圧力(5〜50MPa)及び温度(10〜200℃)にて、液体又は超臨界状態の二酸化炭素とを接触させ、ポリマー粒子の表面を軟化させて、軟化したポリマー表面に無機ナノ微粒子を固定して複合化した後、温度を室温に戻し、次いで圧力を大気圧に戻すことにより二酸化炭素を除去して、複合粒子を得る。
コア粒子を構成するポリマー粒子と、シェル層を構成する無機ナノ微粒子とを複合化する際の雰囲気としては、液体又は超臨界状態の二酸化炭素中であることが必要である。液体状態の二酸化炭素を維持するための条件は、三重点(−56.6℃、0.52MPa)以上の圧力と温度との組み合わせにあり、臨界点(31.1℃、7.4MPa)以上の圧力と温度においては、二酸化炭素は超臨界状態となる。本発明では、温度10〜200℃で且つ圧力5〜50MPaの範囲に維持することが好ましい。特に、温度20〜50℃及び圧力20〜35MPaの組み合わせが好適である。コア粒子表面が液体又は超臨界状態の二酸化炭素により膨潤および/または加熱によって可塑化することにより、コア粒子表面が軟化する。軟化したコア粒子表面には、無機粒子が付着しやすくなり、さらに液体又は超臨界状態の二酸化炭素を除去することでポリマー粒子の表面に無機粒子が固定されてシェル層が形成され、コア・シェル複合粒子となる。
各例で調製した複合粒子は、オスミウムコーター(フィルジェン(株)製、OPC60N型)を用いてオスミウムをコートした後、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JCM-5700型)により観察し、複合粒子表面における無機微粒子の被覆状態、形状について評価した。
シェル層を形成する無機ナノ微粒子としてダイヤモンド微粒子を用い、コアとなるポリマー粒子として非架橋ポリスチレン粒子を用いて、複合粒子を調製した。
シェル層を形成する無機ナノ微粒子としてダイヤモンド微粒子(トーメイダイヤ(株)製、製品名:MD-50、平均粒子径:0.05μm、またはトーメイダイヤ(株)製、製品名:IRM、平均粒子径:0.2μm、またはトーメイダイヤ(株)製、製品名:IRM、平均粒子径:1μm)を用い、コアとなるポリマー粒子として非架橋ポリスチレン粒子(積水化成品工業(株)製、製品名:デュオマスター S-20、平均粒子径:300μm)、架橋ポリスチレン粒子(綜研化学(株)製、製品名:ケミスノー SX-500H、平均粒子径:5.0μm)、架橋ジビニルベンゼン系粒子(積水化学工業(株)製、製品名:ミクロパール SP-220、平均粒子径:20μm)、架橋アクリル系粒子(綜研化学(株)製、製品名:ケミスノー MX-500、平均粒子径:5.0μm)を用いて、実施例1と同様に複合粒子を作製した。実施例2〜10の諸条件を表1に、SEM写真を図3〜11に示す。
シェル層を形成する無機ナノ微粒子としてシリカ微粒子を用い、コアとなるポリマー粒子として非架橋ポリスチレン粒子を用いて、複合粒子を調製した。
シェル層を形成する無機ナノ微粒子としてシリカ微粒子(日産化学工業(株)製、製品名:MP-4540M、平均粒子径:0.45μmまたは宇部日東化成(株)製、製品名:ハイプレシカ FQ、平均粒子径:2μm)を用い、コアとなるポリマー粒子として非架橋ポリスチレン粒子(積水化成品工業(株)製、製品名:デュオマスター S-20、平均粒子径:300μm)、非架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(東京化成工業(株)製ポリメチルメタクリレート、平均粒子径:40μm)を用いて、実施例11と同様に複合粒子を作製した。実施例12〜14の諸条件を表2に、SEM写真を図13〜15に示す。
シェル層を形成する無機ナノ微粒子としてセリア微粒子(太陽鉱工(株)製、製品名:セリコ CH-501、平均粒子径:0.6μm)、チタニア微粒子(Aldrich社製、ルチル型、平均粒子径:28nm)を用い、コアとなるポリマー粒子として非架橋ポリスチレン粒子(積水化成品工業(株)製、製品名:デュオマスター S-20、平均粒子径:300μm)を用いて、実施例1と同様に複合粒子を作製した。実施例15〜17の諸条件を表3に、SEM写真を図16〜18に示す。
ダイヤモンド微粒子(トーメイダイヤ(株)製、製品名:MD-50、平均粒子径:0.05μm)0.2gおよび架橋ポリスチレン粒子(綜研化学(株)製、製品名:ケミスノー SX-500H、平均粒子径:5.0μm)1.0gをサンプル管に量りとり、両者が十分に混合されるようにサンプル管を振り混ぜ、混合物を得た。
ダイヤモンド微粒子(トーメイダイヤ(株)製、製品名:IRM、平均粒子径:0.2μm)1.0gおよび架橋ポリスチレン粒子(綜研化学(株)製、製品名:ケミスノーSX-500H、平均粒子径:5.0μm)1.0gをサンプル管に量りとり、両者が十分に混合されるようにサンプル管を振り混ぜ、混合物を得た。
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、製品名:MP-4540M、平均粒子径:0.45μm)を凍結乾燥することにより得たシリカ微粒子0.05gおよび非架橋ポリスチレン粒子(積水化成品工業(株)製、製品名:デュオマスター S-20、平均粒子径:300μm)1.0gをサンプル管に量りとり、両者が十分に混合されるようにサンプル管を振り混ぜ、混合物を得た。
実施例1および実施例11で調製した複合粒子に超音波を照射し(複合粒子をエタノール中に浸漬し、超音波洗浄機(アズワン製、AUS-3)で15分間超音波照射した後、ろ過により回収する操作を3回繰り返した。)、シェル層を強制的に脱離させた。シェル層を脱離させた後の粒子のSEM写真をそれぞれ図22および図23に示す。有機溶剤を用いない本発明の方法によれば、液体又は超臨界二酸化炭素中でコア粒子表面が軟化し、無機ナノ微粒子が埋まり込むことによりシェル層が形成されていることがわかる。
Claims (7)
- ポリマー粒子からなるコア粒子と、無機ナノ微粒子からなるシェル層と、からなる、コア・シェル複合粒子を製造する方法であって、
有機溶剤を使用せずに、ポリマー粒子と無機ナノ微粒子とを液体又は超臨界状態の二酸化炭素と接触させることにより、ポリマー粒子の表面を軟化させて、軟化したポリマー表面に無機ナノ微粒子を固定して、コア・シェル複合粒子を形成させた後、温度を室温に戻し、次いで圧力を大気圧に戻すことにより二酸化炭素を除去して、コア・シェル複合粒子を取り出す工程を含む製造方法。 - 前記無機ナノ微粒子は、ダイヤモンド、酸化セリウム、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム又は二酸化ケイ素である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ポリマー粒子を構成するモノマーが、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体の1種以上を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記無機ナノ微粒子の平均粒径は、ポリマー粒子の平均粒径の1/5〜1/100,000である、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
- 前記ポリマー粒子の平均粒径は、1μm〜500μmである、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
- 前記粒子混合物を液体又は超臨界状態の二酸化炭素と接触させ、コア・シェル複合粒子を形成する際の温度は10〜200℃の範囲、圧力は5〜50MPaの範囲とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
- 有機溶剤を使用せずに、ポリマー粒子と無機ナノ微粒子とを液体二酸化炭素と接触させる、請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
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