JP2015046415A - 窒化物半導体発光素子および電子線励起型光源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い発光効率が得られる窒化物半導体発光素子、および、低い加速電圧の電子線で、高い出力の得られる電子線励起型光源装置を提供すること。
【解決手段】この窒化物半導体発光素子は、電子線により励起されるものであって、量子井戸構造を有する活性層を含む窒化物半導体層を備えてなり、窒化物半導体層における電子線入射側最表層が窒化ホウ素により構成されている。電子線励起型光源装置は、電子線源と、この電子線源から放射された電子線によって励起される、当該窒化物半導体発光素子とを備えてなる。
【選択図】図3
【解決手段】この窒化物半導体発光素子は、電子線により励起されるものであって、量子井戸構造を有する活性層を含む窒化物半導体層を備えてなり、窒化物半導体層における電子線入射側最表層が窒化ホウ素により構成されている。電子線励起型光源装置は、電子線源と、この電子線源から放射された電子線によって励起される、当該窒化物半導体発光素子とを備えてなる。
【選択図】図3
Description
本発明は、電子線によって励起されて例えば波長200nm〜300nmの深紫外線を発する窒化物半導体発光素子、および、当該窒化物半導体発光素子を備えた電子線励起型光源装置に関する。
電子線を放射することによって半導体発光素子を発光させる電子線励起型光源装置は、小型で出力の高い紫外線を放射することのできる光源として期待されている。
このような電子線励起型光源装置において用いられる半導体発光素子としては、例えばAlGaN単層膜よりなる発光層を備えた構成のもの(例えば特許文献1参照。)や、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造を有する活性層(発光層)を備えた構成のもの(例えば特許文献2、特許文献3参照。)などが提案されている。そして、特許文献2においては、活性層が、例えばAlGaN/Al(Ga)Nよりなる量子井戸構造を有する構成とされることが記載されており、また特許文献3においては、活性層が、例えばInAlGaN/AlNよりなる量子井戸構造を有する構成とされることが記載されている。
このような電子線励起型光源装置において用いられる半導体発光素子としては、例えばAlGaN単層膜よりなる発光層を備えた構成のもの(例えば特許文献1参照。)や、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造を有する活性層(発光層)を備えた構成のもの(例えば特許文献2、特許文献3参照。)などが提案されている。そして、特許文献2においては、活性層が、例えばAlGaN/Al(Ga)Nよりなる量子井戸構造を有する構成とされることが記載されており、また特許文献3においては、活性層が、例えばInAlGaN/AlNよりなる量子井戸構造を有する構成とされることが記載されている。
しかしながら、発光層が量子構造を持たない単層構造や多結晶構造を有する構成のものにおいては、内部量子効率が低く、また、発光の自己吸収が大きくなるため、十分に高い発光効率を得ることができない、という問題がある。
一方、活性層が量子井戸構造を有する構成のものにおいては、障壁層(バリア層)を例えばAl(Ga)Nにより形成した場合には、障壁層の厚みを大きくすることにより高いキャリア閉じ込め効果が得られ、半導体発光素子の発光効率の向上を期待することができる。しかしながら、障壁層の厚みを大きくすると、電子線による電子正孔対の多くが障壁層中で発生することになるため、電子線から発光(紫外線)へのエネルギー変換効率が低下してしまい、結局、十分に高い発光効率を得ることができない、という問題がある。
一方、活性層が量子井戸構造を有する構成のものにおいては、障壁層(バリア層)を例えばAl(Ga)Nにより形成した場合には、障壁層の厚みを大きくすることにより高いキャリア閉じ込め効果が得られ、半導体発光素子の発光効率の向上を期待することができる。しかしながら、障壁層の厚みを大きくすると、電子線による電子正孔対の多くが障壁層中で発生することになるため、電子線から発光(紫外線)へのエネルギー変換効率が低下してしまい、結局、十分に高い発光効率を得ることができない、という問題がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、高い発光効率が得られる窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
また、本発明は、低い加速電圧の電子線で、高い出力の得られる電子線励起型光源装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、低い加速電圧の電子線で、高い出力の得られる電子線励起型光源装置を提供することを目的とする。
本発明の窒化物半導体発光素子は、電子線により励起されるものであって、
量子井戸構造を有する活性層を含む窒化物半導体層を備えてなり、
前記窒化物半導体層における電子線入射側最表層が窒化ホウ素により構成されていることを特徴とする。
量子井戸構造を有する活性層を含む窒化物半導体層を備えてなり、
前記窒化物半導体層における電子線入射側最表層が窒化ホウ素により構成されていることを特徴とする。
また、本発明の窒化物半導体発光素子においては、前記活性層における電子線入射側最表層が、前記窒化ホウ素により構成されたものとすることができる。
このような構成のものにおいては、前記電子線入射側最表層の厚みが10nm〜30nmである構成とされることが好ましい。
このような構成のものにおいては、前記電子線入射側最表層の厚みが10nm〜30nmである構成とされることが好ましい。
さらにまた、本発明の窒化物半導体発光素子においては、前記活性層における障壁層が、窒化ホウ素により形成された構成とされていることが好ましい。
さらにまた、本発明の窒化物半導体発光素子においては、電子線が入射される面から光が放射される構成とされていることが好ましい。
さらにまた、本発明の窒化物半導体発光素子においては、電子線が入射される面から光が放射される構成とされていることが好ましい。
本発明の電子線励起型光源装置は、電子線源と、この電子線源から放射された電子線によって励起される、上記の窒化物半導体発光素子とを備えてなることを特徴とする。
本発明の窒化物半導体発光素子における、量子井戸構造を有する活性層を含む窒化物半導体層の最表層を構成する窒化ホウ素(BN)は、バンドギャップが大きく、また、例えばAlNやGaNと比較して密度が小さいといった特性を有するものである。従って、本発明の窒化物半導体発光素子によれば、窒化ホウ素からなる電子線入射側最表層において高いキャリア閉じ込め効果が得られる。しかも、当該電子線入射側最表層は、電子線に対する十分に高い透過性および紫外光への高い透過率を有するものとなるため、電子線入射時のエネルギーロスが低減されて十分に高い発光効率を得ることができる。またAlNなどのアルミニウムを含んだ物質により当該電子線入射側の最表層を形成した構成のものと比較して、表面の酸化が抑制されるため、当該窒化ホウ素からなる最表層を、高い信頼性を有する窒化物半導体発光素子を得ることが可能な保護層とすることができる。
また、活性層における障壁層を窒化ホウ素により形成した構成のものにおいては、上記効果を一層確実に得ることができる。
さらにまた、光取出し主面が電子線入射主面と同一である構成とされることにより、半導体発光素子を当該光取出し主面および電子線入射主面の反対側の面より冷却することが可能となる。従って、窒化物半導体発光素子を効率よく冷却することができるので、窒化物半導体発光素子の発光効率が低下することを抑制することができる。
従って、このような窒化物半導体発光素子を備えてなる電子線励起型光源装置によれば、より低い電子線の加速電圧で、窒化物半導体発光素子に高い発光効率が得られるので、光源装置自体の小型化を図ることができると共に動作の信頼性を向上させることができ、しかも、窒化物半導体発光素子における量子井戸の周期数を増加させた場合であっても、発光体積の増加による高出力化を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の窒化物半導体発光素子を備えた電子線励起型光源装置の一例における構成の概略を示す説明用断面図である。図2は、図1に示す電子線励起型光源装置における窒化物半導体発光素子の構成を示す説明用断面図である。
この電子線励起型光源装置10は、内部が負圧の状態で密閉された外形が直方体状の容器(以下、「真空容器」という。)11を有する。この真空容器11は、一面(図1において下面)に開口を有する容器基体12と、この容器基体12の開口に配置されて当該容器基体12に気密に封着された、紫外線を内部から外部に透過する光透過窓13とによって構成されている。
図1は、本発明の窒化物半導体発光素子を備えた電子線励起型光源装置の一例における構成の概略を示す説明用断面図である。図2は、図1に示す電子線励起型光源装置における窒化物半導体発光素子の構成を示す説明用断面図である。
この電子線励起型光源装置10は、内部が負圧の状態で密閉された外形が直方体状の容器(以下、「真空容器」という。)11を有する。この真空容器11は、一面(図1において下面)に開口を有する容器基体12と、この容器基体12の開口に配置されて当該容器基体12に気密に封着された、紫外線を内部から外部に透過する光透過窓13とによって構成されている。
真空容器11内には、光透過窓13の内面上に窒化物半導体発光素子(以下、単に、「半導体発光素子」という。)20が配設されると共に、容器基体12の内面における半導体発光素子20に対向した位置には、当該半導体発光素子20に電子線e−を照射する電子線源15が配設されている。電子線源15および半導体発光素子20は、真空容器11の内部から外部に引き出された導電線(図示省略)を介して、真空容器11の外部に設けられた、加速電圧を印加するための電子加速手段(図示省略)に電気的に接続されている。
真空容器11における容器基体12を構成する材料としては、石英ガラス等のガラスなどを用いることができる。
また、真空容器11における光透過窓13を構成する材料としては、石英ガラスなどを用いることができる。
真空容器11の内部の圧力は、例えば10−4〜10−6Paである。
また、真空容器11における光透過窓13を構成する材料としては、石英ガラスなどを用いることができる。
真空容器11の内部の圧力は、例えば10−4〜10−6Paである。
電子線源15としては、例えば円錐状のモリブデンチップの周囲に電子引き出し用のゲート電極が近接して配置された構造のスピント型エミッターなどを用いることができる。
半導体発光素子20は、例えばサファイアよりなる基板21と、この基板21の一面上に形成された例えばAlNよりなるバッファ層22と、このバッファ層22の一面上に形成された、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造を有する活性層25とにより構成されている。
この例における半導体発光素子20は、基板21が光透過窓13の内面に例えばUV硬化性樹脂により接着されて固定されて配置されており、従って、電子線源15からの電子線e−が、半導体発光素子20における活性層25の表面に入射される構成とされている。
この例における半導体発光素子20は、基板21が光透過窓13の内面に例えばUV硬化性樹脂により接着されて固定されて配置されており、従って、電子線源15からの電子線e−が、半導体発光素子20における活性層25の表面に入射される構成とされている。
基板21の厚みは、例えば10〜1000μmであり、バッファ層22の厚みは、例えば100〜10μmである。
また、電子線源15と半導体発光素子20における活性層25との離間距離は、例えば5〜120mmである。
また、電子線源15と半導体発光素子20における活性層25との離間距離は、例えば5〜120mmである。
而して、本発明の半導体発光素子においては、活性層を含む窒化物半導体層の電子線入射側最表層が、窒化ホウ素により構成されており、当該電子線入射側最表層は、キャリア閉じ込め層としての機能を有する。
この例においては、活性層25の一部、例えば活性層25の最表層が窒化ホウ素により構成されている。具体的には、この例における活性層25は、図3に示すように、例えば多重量子井戸構造を有し、複数の量子井戸層26と複数の障壁層27とが、バッファ層22上にこの順で交互に積層され、最表層側量子井戸層26aの一面上に電子線入射側最表層28が積層されて構成されている。なお、活性層25における電子線入射側の最表層が窒化ホウ素により構成されることは必須ではない。例えば、活性層における電子線入射側の最表層を窒化アルミニウム(AlN)で構成し、その上面に窒化ホウ素により構成される電子線入射側最表層28を形成してもよい。
この例においては、活性層25の一部、例えば活性層25の最表層が窒化ホウ素により構成されている。具体的には、この例における活性層25は、図3に示すように、例えば多重量子井戸構造を有し、複数の量子井戸層26と複数の障壁層27とが、バッファ層22上にこの順で交互に積層され、最表層側量子井戸層26aの一面上に電子線入射側最表層28が積層されて構成されている。なお、活性層25における電子線入射側の最表層が窒化ホウ素により構成されることは必須ではない。例えば、活性層における電子線入射側の最表層を窒化アルミニウム(AlN)で構成し、その上面に窒化ホウ素により構成される電子線入射側最表層28を形成してもよい。
量子井戸層26の各々は、AlyGazIn(1−y−z)N(0<y≦1,0≦z<1,y+z≦1)よりなり、厚みは、例えば0.5〜50nmである。
障壁層27は、BxAlyGazIn(1−x−y−z)N(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)よりなり、禁制帯幅が量子井戸層26のそれよりも大きくなるように組成が選択される。障壁層27の各々の厚みは、例えば1〜100nmである。
本発明においては、障壁層27の各々は、例えば窒化ホウ素(BN)により形成されていることが好ましい。これにより、所期のキャリア閉じ込め効果を確実に得ることができて、発光効率を一層向上させることができる。
本発明においては、障壁層27の各々は、例えば窒化ホウ素(BN)により形成されていることが好ましい。これにより、所期のキャリア閉じ込め効果を確実に得ることができて、発光効率を一層向上させることができる。
窒化ホウ素からなる電子線入射側最表層28の厚みは、例えば10nm〜30nmであることが好ましい。当該電子線入射側最表層28の厚みを上記範囲とすることにより、所期のキャリア閉じ込め効果が得られるとともに、電子線から発光(紫外線)へのエネルギー変換効率を高いものとすることができる。
以上において、活性層25を構成する量子井戸Qwの周期は、量子井戸層26、障壁層27および活性層25全体の厚みや、用いられる電子線の加速電圧などを考慮して適宜設定される。
上記の半導体発光素子20は、例えばMOCVD法(有機金属気相成長法)によって形成することができる。具体的には、次のようにして、上記の半導体発光素子20を作製することができる。
先ず、水素および窒素からなるキャリアガスと、トリメチルアルミニウムおよびアンモニアからなる原料ガスとを用い、サファイアよりなる基板21の(0001)面上に気相成長させることにより、所要の厚みを有するAlNからなるバッファ層22を形成する。
次いで、水素ガスおよび窒素ガスからなるキャリアガスと、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムおよびアンモニアからなる原料ガスとを用い、バッファ層22上に気相成長させることにより、所要の厚みを有するAlyGazIn(1−y−z)N(0<y≦1,0≦z<1,y+z≦1)よりなる量子井戸層26を形成する(量子井戸層形成工程)。
その後、水素ガスおよび窒素ガスからなるキャリアガスと、所定の原料ガスとを用い、量子井戸層26上に気相成長させることにより、所要の厚みを有する障壁層27を形成する(障壁層形成工程)。ここに、障壁層27を例えばAlNにより形成する場合には、原料ガスとして、例えばトリメチルアルミニウムおよびアンモニアからなるものを用いることができる。また、障壁層27を例えば窒化ホウ素により形成する場合には、原料ガスとして、例えばトリエチルボロンおよびアンモニアからなるものを用いることができる。
その後、水素ガスおよび窒素ガスからなるキャリアガスと、所定の原料ガスとを用い、量子井戸層26上に気相成長させることにより、所要の厚みを有する障壁層27を形成する(障壁層形成工程)。ここに、障壁層27を例えばAlNにより形成する場合には、原料ガスとして、例えばトリメチルアルミニウムおよびアンモニアからなるものを用いることができる。また、障壁層27を例えば窒化ホウ素により形成する場合には、原料ガスとして、例えばトリエチルボロンおよびアンモニアからなるものを用いることができる。
このような量子井戸層形成工程およびこれに連続する障壁層形成工程を必要に応じて繰り返して、電子線入射側に位置する最表層側量子井戸層(最終量子井戸層)26aを形成した後、窒化ホウ素よりなる障壁層を形成する場合と同様の方法により、窒化ホウ素からなる電子線入射側最表層28を最表層側量子井戸層26a上に形成することにより、例えば電子線入射側最表層28を備えた多重量子井戸構造を有する活性層25を形成し、以て、図2および図3に示す構成の半導体発光素子20を作製することができる。
上記のバッファ層22、量子井戸層26および障壁層27並びに電子線入射側最表層28の各形成工程において、処理温度、処理圧力および各層の成長速度などの条件は、形成すべきバッファ層22、量子井戸層26および障壁層27並びに電子線入射側最表層28の組成や厚み等に応じて適宜に設定することができる。
また、活性層25の形成方法は、MOCVD法に限定されるものではなく、例えばMBE法(分子線エピタキシー法)なども用いることができる。
また、活性層25の形成方法は、MOCVD法に限定されるものではなく、例えばMBE法(分子線エピタキシー法)なども用いることができる。
上記の電子線励起型光源装置10においては、電子線源15から放出された電子e−は、半導体発光素子20と電子線源15との間に印加された加速電圧によって加速され、これにより、電子線が形成される。そして、この電子線が半導体発光素子20に入射されることにより、半導体発光素子20から波長200nm〜300nmの深紫外線を含む光が放射され、当該光が光透過窓13を介して外部に放射される。
ここに、電子線の加速電圧は、例えば6〜12kVであることが好ましい。加速電圧が過小である場合には、高い光の出力を得ることが困難となる。一方、加速電圧が過大である場合には、半導体発光素子20からX線が発生しやすくなり、また、電子線のエネルギーにより、半導体発光素子20がダメージを受けやすくなるため、好ましくない。
ここに、電子線の加速電圧は、例えば6〜12kVであることが好ましい。加速電圧が過小である場合には、高い光の出力を得ることが困難となる。一方、加速電圧が過大である場合には、半導体発光素子20からX線が発生しやすくなり、また、電子線のエネルギーにより、半導体発光素子20がダメージを受けやすくなるため、好ましくない。
而して、上記構成の半導体発光素子20における活性層25の電子線入射側最表層28を構成する窒化ホウ素は、バンドギャップが大きく、また、例えばAlNやGaNと比較して密度が小さいといった特性を有するものである。従って、上記構成の半導体発光素子20によれば、当該電子線入射側最表層28において高いキャリア閉じ込め効果が得られる。しかも、当該電子線入射側最表層28は、電子線に対する十分に高い透過性および紫外光に対する高い透過率を有するものとなるため、電子線入射時のエネルギーロスが低減されて十分に高い発光効率を得ることができる。
さらに、活性層25における障壁層27を窒化ホウ素により形成した構成のものにおいては、上記効果を一層確実に得ることができる。
さらに、活性層25における障壁層27を窒化ホウ素により形成した構成のものにおいては、上記効果を一層確実に得ることができる。
そして、このような半導体発光素子20を備えた電子線励起型光源装置10によれば、後述する実験例の結果に示されるように、半導体発光素子20と電子線源15との間に印加される電子線の加速電圧を高くすることなしに、半導体発光素子20に高い発光効率が得られるので、電子線励起型光源装置10自体の小型化を図ることができると共に動作の信頼性を向上させることができる。また、半導体発光素子20における量子井戸Qwの周期数を増加させた場合であっても、発光体積の増加による高出力化を実現することができる。
以下、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
<実験例1>
〔半導体発光素子〔1〕の作製〕
CVD装置の処理炉内に、サファイアよりなる基板(21)を配置し、炉内圧力を10kPa、炉内温度を1200℃に設定し、処理炉内にキャリアガスとして窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、原料ガスとしてトリメチルアルミニウムおよびアンモニアを処理炉内に供給し、基板(21)の(0001)面に気相成長させることにより、厚みが600nmのAlN単結晶よりなるバッファ層(22)を形成した。
次いで、炉内圧力を10kPa、炉内温度を1080℃に設定し、キャリアガスとして窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム、トリメチルガリウムおよびアンモニアを処理炉内に供給し、厚みが1.5nmのAl0.69Ga0.21Nよりなる量子井戸層(26)を、バッファ層(22)の一面上に形成した(量子井戸層形成工程)。
その後、原料ガスとしてトリメチルアルミニウムおよびアンモニアを処理炉内に供給し、厚みが15nmのAlNよりなる障壁層(27)を、量子井戸層(26)の一面上に形成した(障壁層形成工程)。
このような量子井戸層形成工程およびこれに連続する障壁層形成工程を合計で7回繰り返した。次いで、厚みが1.5nmのAl0.69Ga0.21Nよりなる最表層側量子井戸層(26a)を、上記の量子井戸層形成工程と同様の方法により、形成した。その後、原料ガスとしてトリエチルボロンおよびアンモニアを処理炉内に供給し、厚みが15nmの最終障壁層としても機能する窒化ホウ素(BN)により構成される電子線入射側最表層(28)を、最表層側量子井戸層(26a)の一面上に形成した。これにより、当該最表層側量子井戸層(26a)および電子線入射側最表層(28)による量子井戸(Qw)を含む、実質的に8周期の多重量子井戸構造を有する活性層(25)を形成し、以て、図2および図3に示す構成を有する本発明に係る窒化物半導体発光素子(20)(以下、「発光素子〔1〕という。」)を作製した。この発光素子〔1〕における活性層の厚みは、132nmである。
〔半導体発光素子〔1〕の作製〕
CVD装置の処理炉内に、サファイアよりなる基板(21)を配置し、炉内圧力を10kPa、炉内温度を1200℃に設定し、処理炉内にキャリアガスとして窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、原料ガスとしてトリメチルアルミニウムおよびアンモニアを処理炉内に供給し、基板(21)の(0001)面に気相成長させることにより、厚みが600nmのAlN単結晶よりなるバッファ層(22)を形成した。
次いで、炉内圧力を10kPa、炉内温度を1080℃に設定し、キャリアガスとして窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム、トリメチルガリウムおよびアンモニアを処理炉内に供給し、厚みが1.5nmのAl0.69Ga0.21Nよりなる量子井戸層(26)を、バッファ層(22)の一面上に形成した(量子井戸層形成工程)。
その後、原料ガスとしてトリメチルアルミニウムおよびアンモニアを処理炉内に供給し、厚みが15nmのAlNよりなる障壁層(27)を、量子井戸層(26)の一面上に形成した(障壁層形成工程)。
このような量子井戸層形成工程およびこれに連続する障壁層形成工程を合計で7回繰り返した。次いで、厚みが1.5nmのAl0.69Ga0.21Nよりなる最表層側量子井戸層(26a)を、上記の量子井戸層形成工程と同様の方法により、形成した。その後、原料ガスとしてトリエチルボロンおよびアンモニアを処理炉内に供給し、厚みが15nmの最終障壁層としても機能する窒化ホウ素(BN)により構成される電子線入射側最表層(28)を、最表層側量子井戸層(26a)の一面上に形成した。これにより、当該最表層側量子井戸層(26a)および電子線入射側最表層(28)による量子井戸(Qw)を含む、実質的に8周期の多重量子井戸構造を有する活性層(25)を形成し、以て、図2および図3に示す構成を有する本発明に係る窒化物半導体発光素子(20)(以下、「発光素子〔1〕という。」)を作製した。この発光素子〔1〕における活性層の厚みは、132nmである。
〔比較用半導体発光素子〔1〕の作製〕
上記の発光素子〔1〕の作製工程において、量子井戸層形成工程および障壁層形成工程を合計で8回繰り返すことにより8周期の多重量子井戸構造を有する活性層を形成したことの他は、上記の発光素子〔1〕の作製工程と同様の方法により、比較用の半導体発光素子(以下、「比較用発光素子〔1〕」という。)を作製した。この比較用発光素子〔1〕における活性層の厚みは、厚みが132nmである。
上記の発光素子〔1〕の作製工程において、量子井戸層形成工程および障壁層形成工程を合計で8回繰り返すことにより8周期の多重量子井戸構造を有する活性層を形成したことの他は、上記の発光素子〔1〕の作製工程と同様の方法により、比較用の半導体発光素子(以下、「比較用発光素子〔1〕」という。)を作製した。この比較用発光素子〔1〕における活性層の厚みは、厚みが132nmである。
〔電子線励起型光源装置の作製〕
モリブデンチップを有するスピント型エミッターよりなる電子線源(15)を、外形の寸法が40mm×25mm×25mmで、一面に7mm×5mmの開口を有する、肉厚が4mmのガラスよりなる容器基体(12)の底面に配置した。
また、上記において作製した発光素子〔1〕を、寸法が7mm×5mm×4mmの板状の石英ガラスよりなる光透過窓(13)の一面に、当該発光素子〔1〕の基板(21)が当該光透過窓(13)に接するよう配置し、UV硬化樹脂によって接着して固定した。そして、光透過窓(13)を、発光素子〔1〕が電子線源(15)に対向するよう、容器基体(12)の開口に配置し、内部の圧力が1×10−6Paとなるよう排気すると共に、容器基体(12)に光透過窓(13)を気密に封着することにより、真空容器(11)を構成し、以て、図1に示す構成を有する本発明に係る電子線励起型光源装置を作製した。ここで、電子線源(15)と発光素子〔1〕における活性層(25)との離間距離は30mmである。
また、半導体発光素子(20)として、上記において作製した比較用発光素子〔1〕を用いたことの他は、上記の本発明に係る電子線励起型光源装置と同一の構成を有する比較用の電子線励起型光源装置を作製した。
モリブデンチップを有するスピント型エミッターよりなる電子線源(15)を、外形の寸法が40mm×25mm×25mmで、一面に7mm×5mmの開口を有する、肉厚が4mmのガラスよりなる容器基体(12)の底面に配置した。
また、上記において作製した発光素子〔1〕を、寸法が7mm×5mm×4mmの板状の石英ガラスよりなる光透過窓(13)の一面に、当該発光素子〔1〕の基板(21)が当該光透過窓(13)に接するよう配置し、UV硬化樹脂によって接着して固定した。そして、光透過窓(13)を、発光素子〔1〕が電子線源(15)に対向するよう、容器基体(12)の開口に配置し、内部の圧力が1×10−6Paとなるよう排気すると共に、容器基体(12)に光透過窓(13)を気密に封着することにより、真空容器(11)を構成し、以て、図1に示す構成を有する本発明に係る電子線励起型光源装置を作製した。ここで、電子線源(15)と発光素子〔1〕における活性層(25)との離間距離は30mmである。
また、半導体発光素子(20)として、上記において作製した比較用発光素子〔1〕を用いたことの他は、上記の本発明に係る電子線励起型光源装置と同一の構成を有する比較用の電子線励起型光源装置を作製した。
そして、本発明に係る電子線励起型光源装置および比較用の電子線励起型光源装置の各々について、照射電流を10μAとし、加速電圧を適宜に変化させて、電子線を照射したときの、発光素子〔1〕および比較用発光素子〔1〕の発光効率を調べた。結果を図4に示す。図4における縦軸は、発光素子〔1〕および比較用発光素子〔1〕の各々について得られる最大値に対して規格化を行った相対発光効率である。そして、図4においては、本発明に係る発光素子〔1〕の結果を白抜きの菱形印のプロット、比較用発光素子〔1〕の結果を塗りつぶされた菱形印のプロットで示している。
図4に示す結果から明らかなように、窒化物半導体層の電子線入射側の最表層(電子線入射側最表層)が窒化ホウ素よりなる本発明に係る発光素子〔1〕においては、活性層の電子線入射側の最表層(最終障壁層)がAlNよりなる比較用発光素子〔1〕と比較して、低い加速電圧においても、高い発光効率が得られることが確認された。この理由としては、本発明に係る発光素子〔1〕において、窒化物半導体層の電子線入射側最表層を形成する窒化ホウ素の密度(2.1g/cm3)は、例えばAlN(密度:3.2g/cm3)やGaN(密度:6.15g/cm3)と比較して小さく、また、電子線に対して透過性が高いものであることから、電子線のエネルギーロスを有効に抑制することができたためであると考えられる。なお、図4において、発光効率が最大となる加速電圧が存在する理由は、加速電圧によって電子の侵入深さが異なるためであり、加速電圧と発光層の厚さとの間には、最適な関係が存在することが推察される。
<実験例2>
〔半導体発光素子〔2〕の作製〕
上記実験例1に係る発光素子〔1〕の作製工程において、上記の量子井戸層形成工程および原料ガスとしてトリエチルボロンおよびアンモニアからなるものを用いた障壁層形成工程を、合計で10回繰り返したことの他は、上記の発光素子〔1〕の作製工程と同一の方法により、最表層側量子井戸層および電子線入射側最表層による量子井戸を含む、Al0.69Ga0.21N/BNよりなる実質的に11周期の多重量子井戸構造を有する活性層を備えた本発明に係る半導体発光素子(以下、「発光素子〔2〕」という。)を作製した。この発光素子〔2〕における活性層の厚みは、181.5nmである。
〔半導体発光素子〔2〕の作製〕
上記実験例1に係る発光素子〔1〕の作製工程において、上記の量子井戸層形成工程および原料ガスとしてトリエチルボロンおよびアンモニアからなるものを用いた障壁層形成工程を、合計で10回繰り返したことの他は、上記の発光素子〔1〕の作製工程と同一の方法により、最表層側量子井戸層および電子線入射側最表層による量子井戸を含む、Al0.69Ga0.21N/BNよりなる実質的に11周期の多重量子井戸構造を有する活性層を備えた本発明に係る半導体発光素子(以下、「発光素子〔2〕」という。)を作製した。この発光素子〔2〕における活性層の厚みは、181.5nmである。
〔比較用半導体発光素子〔2〕の作製〕
上記実験例1に係る発光素子〔1〕の作製工程において、量子井戸層形成工程および障壁層形成工程を合計で11回繰り返すことにより、Al0.69Ga0.21N/AlNよりなる11周期の多重量子井戸構造を有する活性層を形成したことの他は、上記の発光素子〔1〕の作製工程と同様の方法により、比較用の半導体発光素子(以下、「比較用発光素子〔2〕」という。)を作製した。この比較用発光素子〔2〕における活性層の厚みは、181.5nmである。
上記実験例1に係る発光素子〔1〕の作製工程において、量子井戸層形成工程および障壁層形成工程を合計で11回繰り返すことにより、Al0.69Ga0.21N/AlNよりなる11周期の多重量子井戸構造を有する活性層を形成したことの他は、上記の発光素子〔1〕の作製工程と同様の方法により、比較用の半導体発光素子(以下、「比較用発光素子〔2〕」という。)を作製した。この比較用発光素子〔2〕における活性層の厚みは、181.5nmである。
上記実験例1に係る電子線励起型光源装置の作製工程において、それぞれ、発光素子〔2〕および比較用発光素子〔2〕を用いた、本発明に係る電子線励起型光源装置および比較用の電子線励起型光源装置を作製し、実験例1と同様の方法により、各半導体発光素子の発光効率を調べた。結果を図5に示す。図5においては、本発明に係る発光素子〔2〕の結果を三角印のプロット、比較用発光素子〔2〕の結果を四角印のプロットで示している。
図5に示す結果から明らかなように、活性層における電子線入射側最表層および活性層の各々の障壁層が窒化ホウ素よりなる本発明に係る発光素子〔2〕においては、活性層の障壁層の各々がAlNよりなり、電子線入射側の最表層(最終障壁層)がAlNにより構成された、量子井戸の周期数が互いに同一の比較用発光素子〔2〕と比較して、低い加速電圧で、高い効率が得られることが確認された。また、量子井戸の周期数を増加させた場合であっても、低い加速電圧で高い発光効率が得られることが確認された。この理由としては、窒化ホウ素は、上述したように電子線透過性が高いものであるため、電子線が半導体発光素子の厚み方向に深く侵入し、厚みの大きい発光層を効率よく励起しているためだと考えられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、本発明においては、窒化ホウ素よりなる電子線入射側最表層は、活性層を含む窒化物半導体層における最表層を構成していればよく、活性層における電子線入射側の最表層が窒化ホウ素よりなる電子線入射側最表層により構成されたものに限定されない。すなわち、電子線入射側最表層は、活性層とは別個の機能層として活性層上に設けられた構成とされていてもよい。例えば、活性層における電子線入射側最表層を窒化アルミニウム(AlN)で構成し、その上面に窒化ホウ素により構成される電子線入射側最表層を形成しても同様の効果が得られる。即ち、本発明では、量子井戸構造を有する活性層を含む窒化物半導体層における電子線入射側最表層を窒化ホウ素により構成することが重要である。
また、電子線入射側最表層が、半導体発光素子の最表層を形成する構成とされている必要はなく、例えば、窒化物半導体層における最表層を構成する窒化ホウ素よりなる電子線入射側最表層上に金属薄膜によるメタルバッファ層が設けられた構成とされていてもよい。このような構成のものによれば、半導体発光素子における電子線が照射される一面に、電子線の照射により電荷が蓄積されることを防止または抑制することができるので、電子線放射源からの電子線を効率よく半導体発光素子の一面に照射することができて高い光出力を得ることができる。
例えば、本発明においては、窒化ホウ素よりなる電子線入射側最表層は、活性層を含む窒化物半導体層における最表層を構成していればよく、活性層における電子線入射側の最表層が窒化ホウ素よりなる電子線入射側最表層により構成されたものに限定されない。すなわち、電子線入射側最表層は、活性層とは別個の機能層として活性層上に設けられた構成とされていてもよい。例えば、活性層における電子線入射側最表層を窒化アルミニウム(AlN)で構成し、その上面に窒化ホウ素により構成される電子線入射側最表層を形成しても同様の効果が得られる。即ち、本発明では、量子井戸構造を有する活性層を含む窒化物半導体層における電子線入射側最表層を窒化ホウ素により構成することが重要である。
また、電子線入射側最表層が、半導体発光素子の最表層を形成する構成とされている必要はなく、例えば、窒化物半導体層における最表層を構成する窒化ホウ素よりなる電子線入射側最表層上に金属薄膜によるメタルバッファ層が設けられた構成とされていてもよい。このような構成のものによれば、半導体発光素子における電子線が照射される一面に、電子線の照射により電荷が蓄積されることを防止または抑制することができるので、電子線放射源からの電子線を効率よく半導体発光素子の一面に照射することができて高い光出力を得ることができる。
さらにまた、本発明の半導体発光素子においては、電子線入射面と光取出し面とが同一である構成とされていても、異なる構成とされていても、いずれであってもよいが、電子線入射面と光取出し面とが同一とされた構成のものにおいては、半導体発光素子を電子線入射面および光取出し面の反対側の面から冷却することが可能となるため、半導体発光素子の発光効率が低下することがなくて高い出力の光が維持される、という効果が得られる。以下、このような電子線励起型光源装置の構成について具体的に説明する。
図6は、本発明の窒化物半導体発光素子を備えた電子線励起型光源装置の他の例における構成の概略を示す説明用断面図である。図6(a)は、側面断面図であり、図6(b)は、光透過窓の上方から見た状態を示す平面図である。
この電子線励起型光源装置30は、密閉された外形が直方体状の真空容器31を備えている。この真空容器31は、一面(図6(a)において上面)に開口を有する容器基体32と、この容器基体32の開口に配置されて当該容器基体32に気密に封着された光透過窓33とによって構成されている。
この電子線励起型光源装置30は、密閉された外形が直方体状の真空容器31を備えている。この真空容器31は、一面(図6(a)において上面)に開口を有する容器基体32と、この容器基体32の開口に配置されて当該容器基体32に気密に封着された光透過窓33とによって構成されている。
真空容器31における容器基体32を構成する材料としては、石英ガラス等のガラス、アルミナ等のセラミックスなどの絶縁物を用いることができる。
また、真空容器31における光透過窓33を構成する材料としては、半導体発光素子20からの光を透過し得るものが用いられ、例えば石英ガラス、サファイアなどを用いることができる。
また、真空容器31の内部の圧力は、例えば10−4〜10−6Paである。
真空容器31の寸法の一例を挙げると、容器基体32の外形の寸法が40mm×40mm×20mm、容器基体32の肉厚が2mm、容器基体32の開口が36mm×36mmで、光透過窓33の寸法が40mm×40mm×2mmである。
また、真空容器31における光透過窓33を構成する材料としては、半導体発光素子20からの光を透過し得るものが用いられ、例えば石英ガラス、サファイアなどを用いることができる。
また、真空容器31の内部の圧力は、例えば10−4〜10−6Paである。
真空容器31の寸法の一例を挙げると、容器基体32の外形の寸法が40mm×40mm×20mm、容器基体32の肉厚が2mm、容器基体32の開口が36mm×36mmで、光透過窓33の寸法が40mm×40mm×2mmである。
真空容器31内には、例えば図2および図3に示す構成の半導体発光素子20が、その表面(活性層25の表面)20aが光透過窓33に離間して対向するよう、基板21が容器基体32を構成する底壁32aに固定されて配置されている。この半導体発光素子20の周辺、具体的には、容器基体32における互いに対向する一対の側壁32b,32cの各々には、電子線源40,40が配置されている。
半導体発光素子20は、真空容器31の内部から外部に引き出された導電線を介して、真空容器31の外部に設けられた、加速電圧を印加するための電子加速用電源(図示せず)の正極側に電気的に接続されている。そして、電子線源40の各々は、真空容器31の内部から外部に引き出された導電線を介して、電子加速用電源(図示せず)の負極側に電気的に接続されている。
各々の電子線源40は、板状のベース43上に固定された支持基板41上に面状の電子線放出部42が形成されて構成されており、当該電子線放出部42における電子線が放射される表面が容器基体32における一対の側壁32b,32cに平行となる姿勢で固定されている。
この例においては、一方の側壁32bに配設された電子線源40と、他方の側壁32cに配設された電子線源40とは、電子線放出部42における電子線が放射される表面が互いに対向するように配置されている。
この例においては、一方の側壁32bに配設された電子線源40と、他方の側壁32cに配設された電子線源40とは、電子線放出部42における電子線が放射される表面が互いに対向するように配置されている。
電子線源40における電子線放出部42は、多数のカーボンナノチューブが例えば鉄、ニッケル、コバルト、クロムのいずれかを含む金属材料よりなる支持基板41上に支持されることによって形成されている。
また、電子線源40における電子線放出部42の上方には、当該電子線放出部42から電子を放出するための網状の引き出し電極45が当該電子線放出部42に離間して対向するよう配置されている。この引き出し電極45は、電極保持部材46を介してベース43に固定されている。支持基板41および引き出し電極45は、真空容器31の内部から外部に引き出された導電線(図示省略)を介して、真空容器31の外部に設けられた電子線放出用電源に、引き出し電極45が正極、支持基板41が負極となるよう電気的に接続されている。
また、電子線源40における電子線放出部42の上方には、当該電子線放出部42から電子を放出するための網状の引き出し電極45が当該電子線放出部42に離間して対向するよう配置されている。この引き出し電極45は、電極保持部材46を介してベース43に固定されている。支持基板41および引き出し電極45は、真空容器31の内部から外部に引き出された導電線(図示省略)を介して、真空容器31の外部に設けられた電子線放出用電源に、引き出し電極45が正極、支持基板41が負極となるよう電気的に接続されている。
電子線源40の寸法の一例を挙げると、支持基板41の外径が25mm、内径19mm、厚みが0.1mm、電子線放出部42の外径が24mm、内径が20mm、厚みが0.02mm、電子線放出部42における電子線が放射される面の面積が138mm2である。
支持基板41を構成する材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、クロムのいずれかを含む金属材料などを用いることができる。
支持基板41上にカーボンナノチューブよりなる電子線放出部42を形成する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、表面に金属触媒層が形成された支持基板41を加熱し、COやアセチレン等のカーボンソースガスを供給することにより、支持基板41の表面に形成された金属触媒層上にカーボンを堆積してカーボンナノチューブを形成する熱CVD法を好適に用いることができる。また、例えば、アーク放電法等によって形成されたカーボンナノチューブの粉体および有機バインダーが液状媒体中に含有されてなるペーストを調製し、このペーストをスクリーン印刷によって支持基板41の表面に塗布して乾燥するスクリーン印刷法なども好適に用いることができる。
また、引き出し電極45を構成する材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、クロムのいずれかを含む金属材料などを用いることができる。
支持基板41上にカーボンナノチューブよりなる電子線放出部42を形成する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、表面に金属触媒層が形成された支持基板41を加熱し、COやアセチレン等のカーボンソースガスを供給することにより、支持基板41の表面に形成された金属触媒層上にカーボンを堆積してカーボンナノチューブを形成する熱CVD法を好適に用いることができる。また、例えば、アーク放電法等によって形成されたカーボンナノチューブの粉体および有機バインダーが液状媒体中に含有されてなるペーストを調製し、このペーストをスクリーン印刷によって支持基板41の表面に塗布して乾燥するスクリーン印刷法なども好適に用いることができる。
また、引き出し電極45を構成する材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、クロムのいずれかを含む金属材料などを用いることができる。
上記の電子線励起型光源装置30においては、電子線源40と引き出し電極45との間に電圧が印加されると、当該電子線源40における電子線放出部42から引き出し電極45に向かって電子が放出される。この電子は、半導体発光素子20と電子線源40との間に印加された加速電圧によって、半導体発光素子20に向かって加速されながら進み、電子線として半導体発光素子20の表面20aすなわち活性層25における最表層を構成する電子線入射側最表層28の表面に入射される。そして、半導体発光素子20においては、電子線が入射されることによって活性層25の電子が励起され、これにより、当該半導体発光素子20における電子線が入射された表面から深紫外線を含む光が放射される。半導体発光素子20からの光は、真空容器31における光透過窓33を介して当該真空容器31の外部に出射される。
以上において、電子線源40と引き出し電極45との間に印加される電圧は、例えば1〜5kVである。また、電子線の加速電圧は、6〜12kVである。
以上において、電子線源40と引き出し電極45との間に印加される電圧は、例えば1〜5kVである。また、電子線の加速電圧は、6〜12kVである。
このような電子線励起型光源装置30によれば、上記図1に示す構成の電子線励起型光源装置10と同様の効果が得られると共に、次のような付随的な効果が得られる。すなわち、面状の電子線放出部42を有する、複数の電子線源40が、半導体発光素子20の周辺において当該半導体発光素子20を挟んだ位置に配置されているため、半導体発光素子20の表面20aに均一に電子線を照射することができると共に、電子線の加速電圧を高くすることなしに高い光の出力が得られる。
しかも、半導体発光素子20における電子線源40からの電子線が入射される表面20aから光が放射されるため、半導体発光素子20の裏面20bから当該半導体発光素子20を冷却することが可能である。従って、半導体発光素子20を効率よく冷却することができるので、半導体発光素子20の発光効率が低下することがなくて高い出力の光を維持することができる。
しかも、半導体発光素子20における電子線源40からの電子線が入射される表面20aから光が放射されるため、半導体発光素子20の裏面20bから当該半導体発光素子20を冷却することが可能である。従って、半導体発光素子20を効率よく冷却することができるので、半導体発光素子20の発光効率が低下することがなくて高い出力の光を維持することができる。
10 電子線励起型光源装置
11 真空容器
12 容器基体
13 光透過窓
15 電子線源
20 半導体発光素子
20a 表面
20b 裏面
21 基板
22 バッファ層
25 活性層
26 量子井戸層
26a 最表層側量子井戸層
27 障壁層
28 電子線入射側最表層
Qw 量子井戸
30 電子線励起型光源装置
31 真空容器
32 容器基体
32a 底壁
32b,32c 一対の側壁
33 光透過窓
40 電子線源
41 支持基板
42 電子線放出部
43 ベース
45 引き出し電極
46 電極保持部材
11 真空容器
12 容器基体
13 光透過窓
15 電子線源
20 半導体発光素子
20a 表面
20b 裏面
21 基板
22 バッファ層
25 活性層
26 量子井戸層
26a 最表層側量子井戸層
27 障壁層
28 電子線入射側最表層
Qw 量子井戸
30 電子線励起型光源装置
31 真空容器
32 容器基体
32a 底壁
32b,32c 一対の側壁
33 光透過窓
40 電子線源
41 支持基板
42 電子線放出部
43 ベース
45 引き出し電極
46 電極保持部材
Claims (6)
- 電子線により励起される窒化物半導体発光素子であって、
量子井戸構造を有する活性層を含む窒化物半導体層を備えてなり、
前記窒化物半導体層における電子線入射側最表層が窒化ホウ素により構成されていることを特徴とする窒化物半導体発光素子。 - 前記活性層における電子線入射側最表層が、前記窒化ホウ素により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記電子線入射側最表層の厚みが10nm〜30nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記活性層における障壁層が、窒化ホウ素からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 電子線が入射される面から光が放射されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 電子線源と、この電子線源から放射された電子線によって励起される、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子とを備えてなることを特徴とする電子線励起型光源装置。
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-
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