JP5659712B2 - 電子線励起型光源 - Google Patents
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Description
図7は、従来の電子線励起型光源の一例における構成の概略を示す説明用断面図である。この電子線励起型光源は、レーザー光を放射するものであって、内部が負圧の状態で密閉された、光透過窓81を有する真空容器80を具え、この真空容器80内には、光透過窓81の内面に、半導体発光素子82の両面に光反射部材83、84が配置されてなるレーザー構造体85が配置されると共に、当該真空容器80の底壁の内面に、半導体発光素子82に電子線を照射する電子線源86がレーザー構造体85に対向するよう配置されている。半導体発光素子82および電子線源86は、真空容器80の外部に設けられた、加速電圧を印加するための電子加速手段87に電気的に接続されている。このような構成の電子線励起型光源は、特許文献1に記載されている。
また、出力の高い光を得るためには、電子線の加速電圧を高くすることが考えられるが、電子線の加速電圧を高くしたときには、半導体発光素子82からX線が発生する、という問題がある。
しかしながら、このような電子線励起型光源においては、半導体発光素子への電子線照射に電子銃を用いるため、電子線を半導体発光素子の一面に均一に照射することができない、すなわち半導体発光素子の一面に電子線が局所的に集中して照射されるので、当該半導体発光素子に早期に劣化が生じる、という問題がある。
前記電子線源は、前記半導体発光素子の周辺に、当該電子線源から放射される電子線が当該半導体発光素子における光が放射される面に入射されるよう、当該半導体発光素子を取り囲むよう配置され、
前記電子線源から放射された電子線の軌道を前記半導体発光素子における光が放射される面に向かって指向させる電界制御用電極が設けられていることを特徴とする。
このような電子線励起型光源においては、前記半導体発光素子における電子線が入射される面のレベルが、前記電子線放出部における電子線が放射される面より当該半導体発光素子の光の放射方向に変位したレベルとされていることが好ましい。
また、本発明の電子線励起型光源においては、前記電界制御用電極は、前記半導体発光素子に対して前記電子線源より外方の位置に配置されており、当該電子線源に対して負となる電圧が印加されることが好ましい。
また、電子線源が面状の電子線放出部を有することにより、半導体発光素子の一面に均一に電子線を照射することができる。
この電子線励起型光源は、内部が負圧の状態で密閉された外形が直方体状の真空容器10を有し、この真空容器10は、一面(図1(イ)において上面)に開口を有する容器基体11と、この容器基体11の開口に配置されて当該容器基体11に気密に封着された光透過窓15とによって構成されている。
また、真空容器10における光透過窓15を構成する材料としては、半導体発光素子20からの光を透過し得るものが用いられ、例えば石英ガラス、サファイアなどを用いることができる。
また、真空容器10の内部の圧力は、例えば10-4〜10-6Paである。
真空容器10の寸法の一例を挙げると、容器基体11の外形の寸法が40mm×40mm×20mm、容器基体11の肉厚が2mm、容器基体11の開口が36mm×36mmで、光透過窓15の寸法が40mm×40mm×2mmである。
この例における半導体発光素子20は、活性層25が真空容器10における光透過窓15に対向した状態で、基板21が高熱伝導部材16にロウ付け等で接合されている。
基板21の厚みは、例えば10〜1000μmであり、バッファ層22の厚みは、例えば100〜1000nmである。
また、半導体発光素子20における活性層25と電子線源30との離間距離は、例えば5〜15mmである。
また、半導体発光素子20における光が出射される表面20aと光透過窓15の内面との距離は、例えば3〜25mmである。
量子井戸層26の各々の厚みは、例えば0.5〜50nmである。また、障壁層27はその禁制帯幅が量子井戸層26のそれよりも大きくなるように組成を選択され、一例としては、AlNを用いればよく、各々の厚みは量子井戸層26の井戸幅より大きく設定され、具体的には、例えば1〜100nmである。
活性層25を構成する量子井戸層26の周期は、量子井戸層26、障壁層27および活性層25全体の厚みや、用いられる電子線の加速電圧などを考慮して適宜設定されるが、通常、1〜100である。
また、InAlGaNよりなる量子井戸層26を形成する場合には、原料ガスとして、上記のものに加えてトリメチルインジウムを用い、処理温度をAlGaNよりなる量子井戸層26を形成する場合よりも低く設定すればよい。
また、半導体多層膜の形成方法は、MOCVD法に限定されるものではなく、例えばMBE法(分子線エピタキシー法)なども用いることができる。
電子線源30の寸法の一例を挙げると、支持基板31の外径が25mm、内径が19mm、厚みが0.1mm、電子線放出部32の外径が24mm、内径が20mm、厚みが0.02mm、電子線放出部32における電子線が放射される面の面積が138mm2 である。
支持基板31上にカーボンナノチューブよりなる電子線放出部32を形成する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば表面に金属触媒層が形成された支持基板31を加熱し、COやアセチレン等のカーボンソースガスを供給することにより、支持基板31の表面に形成された金属触媒層上にカーボンを堆積してカーボンナノチューブを形成する熱CVD法、アーク放電法等によって形成されたカーボンナノチューブの粉体および有機バインダーが液状媒体中に含有されてなるペーストを調製し、このペーストをスクリーン印刷によって支持基板31の表面に塗布して乾燥するスクリーン印刷法などを好適に用いることができる。
また、引き出し電極35を構成する材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、クロムのいずれかを含む金属材料などを用いることができる。
電界制御用電極40の寸法の一例を示すと、胴部41の内径が34mm、軸方向の長さが12mm、テーパ部42の先端における内径が28mm、軸方向の長さが3mm、胴部41に対するテーパ部42の傾きは例えば45°、電界制御用電極40を構成する円筒体の肉厚が0.3mmであり、電子線源30の電子線放出部32における電子線が放射される面のレベルと、テーパ部42の先端のレベルとの距離が7mmである。
以上において、電子線放出用電源51によって電子線源30と引き出し電極35との間に印加される電圧は、例えば1〜5kVである。
また、電子加速手段50によって印加される電子線の加速電圧は、6〜12kVであることが好ましい。加速電圧が過小である場合には、高い光の出力を得ることが困難となる。一方、加速電圧が過大である場合には、半導体発光素子20からX線が発生しやすくなり、また、電子線のエネルギーにより、半導体発光素子20がダメージを受けやすくなるため、好ましくない。
また、電界制御用電源52によって電子線源30と電界制御用電極40との間に印加される電圧は、例えば−2〜2kVである。
また、電子線源30が、面状の電子線放出部32を有する円環状の帯状体よりなり、当該電子線源30が、半導体発光素子20の周辺において当該半導体発光素子20を取り囲むよう配置されているため、半導体発光素子20の表面20aに均一に電子線を照射することができる。
この電子線励起型光源においては、半導体発光素子20の周辺領域には、それぞれ支持基板31上に面状の電子線放出部32が形成されてなる複数(図示の例では4つ)の電子線源30が、当該半導体発光素子20を取り囲むよう配置されている。具体的には、電子線源30の各々は部分円環状の帯状体よりなり、当該電子線放出部32における電子線が放射される表面が半導体発光素子20の表面20aと同方向を向いた姿勢すなわち真空容器10の光透過窓15を向いた姿勢で、半導体発光素子20を中心とする円に沿って当該半導体発光素子20を取り囲むよう配置され、この状態で、支持部材37を介して真空容器10における容器基体11の底壁に固定されている。
また、半導体発光素子20に対して各電子線源30より外方の位置には、各電子線源30に対応して、当該電子線源30の各々から放射された電子線の軌道を半導体発光素子20における光が放射される表面20aに向かって指向させる複数の電界制御用電極40が配置されている。具体的には、電界制御用電極40の各々は、部分円筒体よりなり、電子線源30の外面の曲率半径より大きい曲率半径の内面を有する胴部41と、この胴部41に連続して形成された、先端(図5(イ)において上端)に向かって曲率半径が小さくなるテーパ部42とにより構成され、半導体発光素子20を中心とする円に沿って4つの電子線源30を取り囲むよう配置されており、当該電界制御用電極40の各々の基端が、真空容器10における容器基体11の底壁に固定されている。電子線源30および電界制御用電極40は、真空容器10の内部から外部に引き出された導電線を介して、真空容器10の外部に設けられた電界制御用電源52に、電子線源30が正極、電界制御用電極40が負極となるよう電気的に接続されている。
その他の具体的な構成は、第1の実施の形態に係る電子線励起型光源と同様である。
また、電子線源30の各々が、面状の電子線放出部32を有する部分円環状の帯状体よりなり、これらの電子線源30が、半導体発光素子20の周辺において当該半導体発光素子20を取り囲むよう配置されているため、半導体発光素子20の表面20aに均一に電子線を照射することができる。
本発明の電子線励起型光源においては、電子線源の具体的な形状は、円環状または部分円環状の帯状体の形状に限定されず、矩形の板状、その他の形状であってもよい。
また、電子線源30における電子線放出部32は、カーボンナノチューブよりなるものに限定されず、 種々の構成のものを用いることができる。
また、電界制御用電極40においては、テーパ部42を形成することは必須のことではなく、例えば軸方向において外径および内径の各々が一様な円筒状のものであってもよい。
また、電界制御用電極40においては、図6に示すように、上下に分割された第1の電極部材40aおよび第2の電極部材40bよりなるものであってもよい。このような構成の電界制御用電極40においては、上側の第2の電極部材40bが下側の第1の電極部材40aより大きい電圧が印加されることが好ましく、これにより、電子線源30から放射された電子線の軌道を半導体発光素子20における光が放射される表面20aに向かって確実に指向させることができ、その結果、半導体発光素子20の表面20aに一層高い効率で電子線を入射することができる。
また、電界制御電極40は、半導体発光素子20に対して電子線源30より内方の位置に配置されていてもよく、 この場合には、電子線源30に対して正となる電圧が印加される。但し、半導体発光素子20に対して電子線を高い効率で入射することができる点で、電界制御電極40は、半導体発光素子20に対して電子線源30より外方の位置に配置されていることが好ましい。
11 容器基体
15 光透過窓
16 高熱伝導部材
20 半導体発光素子
20a 表面
20b 裏面
21 基板
22 バッファ層
25 活性層
26 量子井戸層
27 障壁層
30 電子線源
31 支持基板
32 電子線放出部
33 ベース
35 引き出し電極
36 電極保持部材
37 支持部材
40 電界制御用電極
40a 第1の電極部材
40b 第2の電極部材
41 胴部
42 テーパ部
50 電子加速手段
51 電子放出用電源
52 電界制御用電源
80 真空容器
81 光透過窓
82 半導体発光素子
83,84 光反射部材
85 レーザー構造体
86 電子線源
87 電子加速手段
Claims (4)
- 電子線源と、電子加速手段と、前記電子線源から放射され、前記電子加速手段による加速電圧によって加速された電子線によって励起される半導体発光素子とを備えてなる電子線励起型光源において、
前記電子線源は、前記半導体発光素子の周辺に、当該電子線源から放射される電子線が当該半導体発光素子における光が放射される面に入射されるよう、当該半導体発光素子を取り囲むよう配置され、
前記電子線源から放射された電子線の軌道を前記半導体発光素子における光が放射される面に向かって指向させる電界制御用電極が設けられていることを特徴とする電子線励起型光源。 - 前記電子線源は、面状の電子線放出部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子線励起型光源。
- 前記半導体発光素子における電子線が入射される面のレベルが、前記電子線放出部における電子線が放射される面より当該半導体発光素子の光の放射方向に変位したレベルとされていることを特徴とする請求項2に記載の電子線励起型光源。
- 前記電界制御用電極は、前記半導体発光素子に対して前記電子線源より外方の位置に配置されており、当該電子線源に対して負となる電圧が印加されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子線励起型光源。
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