JP2015044936A - 仮固定用組成物及びこの組成物を用いた仮固定・剥離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品を加工した後の基材からの剥離性だけでなく、部品を熱処理した後の剥離性にも優れた仮固定用組成物を提供する。【解決手段】本発明の仮固定用組成物は、(A)下記一般式で表される基を分子末端に1分子あたり少なくとも2個以上有する多官能(メタ)アクリル系重合体と、(B)単官能(メタ)アクリレートと、(C)親水性基含有シラン化合物とを含有し、(C)成分は(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して5質量部以上である。上記親水性基は、水酸基、スルホン酸基、リン酸基又は第3級アミノ基のいずれか1以上を有することが好ましい。−OC(O)C(R1)=CH2(上記一般式中、R1は水素又は炭素数1〜20の有機基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、仮固定用組成物及びこの組成物を用いた仮固定・剥離方法に関する。
光学レンズ、プリズム、液晶保護ガラス、アレイ、シリコンウエハ、半導体実装部品等の加工を行うため、これらの部材を一時的に仮固定する必要があり、従来から様々な手法が用いられている。例えば、両面テープを用いて半導体実装部品を基材に仮固定し、該実装部品を切削加工した後、接着面を高熱にさらす、あるいは接着面に紫外線を照射することで、実装部品を基材から剥離することが行われている。また、例えば、ホットメルト系接着剤を用いて半導体実装部品を基材に仮固定し、該実装部品を切削加工した後、有機溶剤を用いて実装部品を基材から剥離することが行われている。
しかしながら、両面テープを用いて仮固定する場合、適切な寸法精度を出すことが容易ではないという課題や、接着強度が弱いため、部品加工時にチッピング性が劣るという課題等がある。また、接着面を高熱にさらして部材を基材から剥離する場合には、100℃以上の熱をさらす必要がある。そして、接着面に紫外線を照射して部材を基材から剥離する場合には、被着体に対する紫外線の透過性が乏しいと剥離できないという課題がある。
また、ホットメルト系接着剤を用いて仮固定する場合、剥離時に有機溶剤を使う必要があり、アルカリ溶液やハロゲン系有機溶剤の洗浄処理工程が煩雑になるという課題がある。
これらの課題を解決するため、(A)疎水性多官能(メタ)アクリレート、(B)親水性多官能(メタ)アクリレート、(C)単官能(メタ)アクリレート及び(D)重合開始剤を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。また、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C)発泡剤及び(D)光重合開始剤を含有する組成物も提案されている(特許文献2参照)。特許文献1及び2に記載の組成物によると、仮固定部材を温水に浸すだけで半導体実装部品等の部材を基材から剥離できるため、半導体実装部品等の製造効率が著しく高まる。
特開2011−79888号公報 特開2010−100831号公報
しかしながら、仮固定した部品に更に熱を加えて処理することがあることから、部品を加工した後の基材からの剥離性だけでなく、部品を熱処理した後の基材からの剥離性も高めることが求められる。
本発明は、部品を加工した後の基材からの剥離性だけでなく、部品を熱処理した後の基材からの剥離性にも優れた仮固定用組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、仮固定用組成物が(A)多官能(メタ)アクリル系重合体と、(B)単官能(メタ)アクリレートと、(C)親水性シランとを含有することで、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、(A)下記一般式で表される基を分子末端に1分子あたり少なくとも2個以上有する多官能(メタ)アクリル系重合体と、(B)単官能(メタ)アクリレートと、(C)親水性基含有シラン化合物とを含有し、前記(C)親水性基含有シラン化合物は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して5質量部以上である仮固定用組成物である。
−OC(O)C(R)=CH
(上記一般式中、Rは水素又は炭素数1〜20の有機基を表す。)
(2)また、本発明は、前記親水性基が水酸基、スルホン酸基、リン酸基又は第3級アミノ基のいずれか1以上を有する、(1)に記載の仮固定用組成物である。
(3)また、本発明は、前記(A)多官能(メタ)アクリル系重合体が(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、1質量%以上70質量%以下であり、前記(B)単官能(メタ)アクリレートが(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、30質量%以上99質量%以下である、(1)又は(2)に記載の仮固定用組成物である。
(4)また、本発明は、(1)から(3)のいずれかに記載の仮固定用組成物を用いて部材を仮固定し、その後、仮固定された部材を温水に浸漬して前記仮固定用組成物の硬化物を取り外す、部材の仮固定・剥離方法である。
本発明によると、部品を加工した後の基材からの剥離性だけでなく、部品を熱処理した後の基材からの剥離性にも優れた仮固定用組成物を提供できる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<仮固定用組成物>
本発明の仮固定用組成物は、(A)多官能(メタ)アクリル系重合体と、(B)単官能(メタ)アクリレートと、(C)親水性基含有シラン化合物とを含有する。
[(A)多官能(メタ)アクリル系重合体]
本発明の仮固定用組成物は、(A)下記一般式(1)で表される基を1分子あたり少なくとも2個以上分子末端に有する多官能(メタ)アクリル系重合体を含有する。
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)
本発明の仮固定用組成物は、(A)多官能(メタ)アクリル系重合体を含有するため、部品を加工した後の基材からの剥離性と、部品を熱処理した後の基材からの剥離性との両方に優れる。なお、以下では(A)多官能(メタ)アクリル系重合体を(A)成分ともいう。
重合体(A)の(メタ)アクリロイル系置換基の数は、重合体(A)同士が架橋するという点から、1分子あたり2個以上が好ましい。また、(メタ)アクリロイル系置換基は、ゴム弾性の点から、分子の末端に存在することが好ましい。(メタ)アクリロイル系置換基のRの具体例は、特に限定されないが、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す。)、−C、−CHOH、−CN等が挙げられる。中でも、反応性の観点から、Rは−H又は−CHであることが好ましい。
重合体(A)の主鎖を構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されないが、各種のモノマーを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルがあげられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても良い。なかでも、生成物の物性などから、アクリル酸エステル、および、メタクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸エステルがより好ましく、さらに好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合させても良く、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。
重合体(A)の分子量分布[ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比]は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、さらに好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、特に好ましくは1.5以下であり、特別に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。なお、本発明におけるGPC測定の際には、通常は、クロロホルム、または、テトラヒドロフランなどを移動相として、ポリスチレンゲルカラムなどを使用し、分子量の値はポリスチレン換算値などで求めている。
重合体(A)の数平均分子量は、特に限定されないが、500〜1,000,000の範囲が好ましく、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜80,000がさらに好ましく、8,000〜50,000が最も好ましい。分子量が低くなり過ぎると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくい傾向があり、高くなり過ぎると、取扱いが困難になる傾向がある。
重合体(A)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性などの点から、ラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも、制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は、「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られる重合体(A)の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから、原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は、公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、例えば、特開2005−232419公報や特開2006−291073公報などの記載を参照できる。
本発明における重合体(A)の好ましい合成法の一つである原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物やベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいは、ハロゲン化スルホニル化合物などが開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419公報段落[0040]〜[0064]記載の化合物が挙げられる。
重合体(A)の末端構造を1分子内に2つ以上有する(メタ)アクリル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、または、ハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合において用いられる(メタ)アクリル系モノマーとしては特に制約はなく、上述した(メタ)アクリル系モノマーをすべて用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては、特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または、11族元素を中心金属とする金属錯体であり、より好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、または、2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは、銅の錯体があげられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示すると、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などである。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2’−ビピリジル、もしくは、その誘
導体、1,10−フェナントロリン、もしくは、その誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、もしくは、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンが配位子として添加される。
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては、特に限定されず、特開2005−232419公報段落[0067]記載の溶剤があげられる。これらは、単独でも良く、2種以上を併用しても良い。また、エマルジョン系、もしくは、超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。
重合温度は、特に限定されないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
得られた重合体(A)への(メタ)アクリロイル系置換基の導入方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932公報段落[0080]〜[0091]記載の方法があげられる。これらの方法の中でも、制御がより容易であることから、下記一般式(2)の(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を、下記一般式(3)のラジカル重合性の(メタ)アクリロイル系置換基を有する化合物で置換することにより、製造されたものであることが好ましい。
一般式(2):
−CRX (2)
(一般式(2)中、R、Rは、(メタ)アクリル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、または、ヨウ素を表す。)
一般式(3):
+−OC(O)C(R)=CH (3)
(一般式(3)中、Rは上記と同じ。Mはアルカリ金属又は4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式(2)で表される末端構造を有する(メタ)アクリル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤として(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(3)で表される化合物としては、特に限定されないが、Rの具体例としては、上記と同じものが挙げられる。
はオキシアニオンの対カチオンであり、Mの種類としては、アルカリ金属イオン、具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および、4級アンモニウムイオンがあげられる。4級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、および、ジメチルピペリジニウムイオンなどがあげられ、好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオンである。一般式(3)のオキシアニオンの使用量は、一般式(2)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、さらに好ましくは、1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては、特に限定されないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリルなどが用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃であり、重合性の末端基を保持するために、室温〜100℃で行うことが好ましい。
(A)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、1質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。(A)成分の含有量が1質量%未満であると、組成物の硬化物を温水に浸漬したとしても、該硬化物が被着体から好適に剥離しない可能性(フィルム状に剥離しない可能性)があるため、好ましくない。(A)成分の含有量が70質量%を超えると、基材に対して半導体実装部品等を仮固定する際、十分な接着性を得られない可能性があるため、好ましくない。また、(A)成分の含有量が70質量%を超えると、組成物(未硬化物)の粘度が高く、作業性に影響し得る点でも好ましくない。
(A)成分は水酸基不含有であることが好ましい。水酸基不含有であると、半導体実装部品等を基材に仮固定し、該実装部品等を切削加工する際、組成物の硬化物が膨潤し、実装部品等の位置がずれることを防止できる。
[(A’)(A)成分以外の(メタ)アクリル系重合体]
なお、本発明に係る仮固定用組成物は、部品を加工した後の基材からの剥離性や部品を熱処理した後の剥離性に影響を及ぼさない範囲で、(A)成分以外の(メタ)アクリル系重合体及び/又は多官能(メタ)アクリル系化合物を含むものであってもよい。
(A)成分以外の(メタ)アクリル系重合体のうち、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーとして、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート、アクリロイル末端ポリアクリレート、1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、1,4−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、ポリイソプレン末端(メタ)アクリレート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。単官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーとして、下記一般式で表される基を分子末端に1分子あたり1個以上2個未満有する(メタ)アクリル系重合体等が挙げられる。
−OC(O)C(R)=CH
(上記一般式中、R1は水素又は炭素数1〜20の有機基を表す。)
(A)成分以外の多官能(メタ)アクリル系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレートモノマーとして、ジシクロぺンタニルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
(A)成分以外の多官能(メタ)アクリル系化合物のうち、3官能(メタ)アクリレートモノマーとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられる。
(A)成分以外の多官能(メタ)アクリル系化合物のうち、4官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとして、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[(B)単官能(メタ)アクリレート]
本発明の仮固定用組成物は、(B)単官能(メタ)アクリレートを含有する。以下では(B)単官能(メタ)アクリレートを(B)成分ともいう。
(B)成分として、ベンジル(メタ)アクリレート、2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド2モル変性)(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレ−ト、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、n−(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。
中でも、加工時の寸法精度と水中での良好な剥離性の観点から、(B)成分はエチレングリコールユニットを含有する(メタ)アクリレートであっても良い。
(B)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、30質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。(B)成分の含有量が30質量%未満であると、基材に対して半導体実装部品等を仮固定する際、十分な接着性を得られない可能性があるため、好ましくない。また、組成物(未硬化物)の粘度が高く、作業性に影響し得る点でも好ましくない。(B)成分の含有量が99質量%を超えると、組成物の硬化物を温水に浸漬したとしても、該硬化物が被着体から好適に剥離しない可能性(フィルム状に剥離しない可能性)があるため、好ましくない。
(B)成分は、水酸基含有であっても不含有であっても良いが、水酸基不含有であることが好ましい。(B)成分が水酸基不含有であると、半導体実装部品等を基材に仮固定し、該実装部品等を切削加工する際、組成物の硬化物が膨潤し、実装部品等の位置がずれることを防止できる。
[(C)親水性基含有シラン化合物]
本発明の仮固定用組成物は、(C)親水性基含有シラン化合物を含有する。以下では(C)親水性基含有シラン化合物を(C)成分ともいう。
本明細書において、親水性基含有シラン化合物とは、
(C1)置換又は非置換のアミノ基含有シラン類、及びメルカプト基含有シラン類からなる群から選択される1種以上のシラン類と、親水性基を有するビニル基含有化合物との反応により、置換又は非置換のアミノ基含有シラン類に含まれる少なくとも一部のアミノ基、又はメルカプト基含有シラン類に含まれる少なくとも一部のメルカプトが反応した反応生成物、並びに
(C2)(i)(メタ)アクリロイル基含有シラン類と、親水性基を有する、第1級アミン及び/又は第2級アミンを有するアミノ基含有化合物との反応、又は(ii)(メタ)アクリロイル基含有シラン類と、親水性基を有する、メルカプト基含有化合物との反応により、(メタ)アクリロイル基含有シラン類に含まれる少なくとも一部の(メタ)アクリロイル基が反応した反応生成物、
からなる群から選択される1種以上のシラン化合物をいう。
中でも、仮固定を終えた後、半導体実装部品等を基材から短時間で剥離できる点で、(C)成分は上記(C2)であることが好ましい。
〔置換又は非置換のアミノ基含有シラン類〕
本明細書において、置換アミノ基含有シラン類とは、少なくとも一つの水素原子が何らかの置換基で置き換えられたアミノ基と、加水分解性珪素基とを有するアミノ基含有化合物(第1級アミンを有さず、少なくとも1個以上の第2級アミンを有するアミノ基含有シラン類)のことをいう。置換アミノ基含有シラン類の例として、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等が挙げられる。
本明細書において、非置換アミノ基含有シラン類とは、母体化合物中に置換基を有しないアミノ基と、加水分解性珪素基とを有するアミノ基含有化合物(第1級のアミンを有するアミノ基含有シラン類)のことをいう。非置換アミノ基含有シラン類の例として、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−(2−(2−アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
中でも、親水性基含有ビニル基含有化合物との反応性が高いことから、変性アミノ基含有シラン類は、非置換アミノ基含有シラン類の反応生成物であることが好ましい。
これらの置換又は非置換のアミノ基含有シラン類は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
〔メルカプト基含有シラン類〕
本明細書において、メルカプト基含有シラン類とは、メルカプト基と、加水分解性珪素基とを有する化合物のことである。メルカプト基含有シラン類の例として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
〔親水性基を有するビニル基含有化合物〕
(C)成分において、親水性基とは、水酸基、スルホン酸基、リン酸基又は第3級アミノ基のいずれか1以上をいう。
親水性基が水酸基である場合のビニル基含有化合物の例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
親水性基がスルホン酸基である場合のビニル基含有化合物の例として、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
親水性基がリン酸基である場合のビニル基含有化合物の例として、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、フェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、アシッド・ホスホオキシエチルメタクリレート、メタクロイル・オキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、3−クロロ−2−アシッド・ホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、アリルアルコールアシッドホスフェート等が挙げられる。
親水性基が第3級アミノ基である場合のビニル基含有化合物の例として、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩等が挙げられる。
〔(メタ)アクリロイル基含有シラン類〕
本明細書において、(メタ)アクリロイル基含有シラン類とは、(メタ)アクリロイル基含有シラン類と、加水分解性珪素基とを有する化合物のことである。(メタ)アクリロイル基含有シラン類の例として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
〔親水性基を有する、第1級アミン及び/又は第2級アミンを有するアミノ基含有化合物〕
本明細書において、親水性基を有する、第1級アミン及び/又は第2級アミンを有するアミノ基含有化合物の例として、エタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
〔親水性基を有する、メルカプト基含有化合物〕
本明細書において、親水性基を有する、メルカプト基含有化合物の例として、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト―2−プロパノール、チオグリセロール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
〔(C)成分の製造方法〕
置換又は非置換のアミノ基含有シラン類及びメルカプト基含有シラン類1モル中の活性水素をα個とし、ビニル基含有化合物1モル中のビニル基をβ個とした場合、置換又は非置換のアミノ基含有シラン類及びメルカプト基含有シラン類1モルに対して、ビニル基含有化合物を1/β〜αモルの範囲で反応させることが好ましい。反応比が適切でないと、置換又は非置換のアミノ基含有シラン類若しくはメルカプト基含有シラン類、又はビニル基含有化合物のいずれかの化合物が残存することになり本発明の効果を十分に得られない可能性があるため好ましくない。
(メタ)アクリロイル基含有シラン類1モル中の(メタ)アクリロイル基をγ個とし、親水性基を有する、第1級アミン及び/又は第2級アミンを有するアミノ基含有化合物及び親水性基を有する、メルカプト基含有化合物1モル中の前記(メタ)アクリロイル基と反応しうる活性水素をδ個とした場合、(メタ)アクリロイル基含有シラン類1モルに対して、親水性基を有する、第1級アミン及び/又は第2級アミンを有するアミノ基含有化合物及び親水性基を有する、メルカプト基含有化合物を1/δ〜γモルの範囲で反応させることが好ましい。反応比が適切でないと、(メタ)アクリロイル基含有シラン類又は親水性基を有する、第1級アミン及び/又は第2級アミンを有するアミノ基含有化合物又は親水性基を有する、メルカプト基含有化合物のいずれかの化合物が残存することになり本発明の効果を十分に得られない可能性があるため好ましくない。
また、上記反応の温度は特に限定されるものでなく、常温であってもよいし、反応速度を上げるために40℃以上100℃以下であってもよい。
〔(C)成分の含有量〕
(C)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して5質量部以上であり、10質量部以上であることがより好ましい。5質量部未満であると、組成物の硬化物を温水に浸漬したとしても、該硬化物が被着体から好適に剥離しないため、好ましくない。
(C)成分の含有量の上限は特に限定されないが、基材に対して半導体実装部品等を仮固定する際、基材に対し半導体実装部品等を好適に接着できるようにするため、(C)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
[(D)光重合開始剤]
また、必須の成分ではないが、仮固定用組成物を短時間で硬化できるようにするため、本発明の仮固定用組成物は、(D)光重合開始剤を含有することが好ましい。(D)光重合開始剤は、可視光線や紫外線の活性光線により増感させて樹脂組成物の光硬化を促進するものである。以下では(D)光重合開始剤を(D)成分ともいう。
(D)光重合開始剤の種類は特に限定されるものでなく、公知のものを使用できる。(D)光重合開始剤として、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体、エントラキノン及びその誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン誘導体、ジエトキシアセトフェノン、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジフェニルジスルフィド、チオキサントン及びその誘導体、カンファーキノン、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−ブロモエチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−メチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸クロライド等のカンファーキノン誘導体、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のα−アミノアルキルフェノン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のヒドロキシアルキルフェノン誘導体、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体、及び、変性ポリフィニレンオキサイド等が挙げられる。(D)光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化促進効果を好適に得る観点から、(D)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。(D)成分の含有量の上限は特に限定されるものでないが、多量に添加することの顕著な効果は見られないため、工業的な観点から、40質量部以下であることが好ましい。
[その他の成分]
本発明の仮固定用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、一般に使用されている重合禁止剤、各種エラストマー、無機フィラー、溶剤、増量材、補強材、可塑剤、増粘剤、染料、顔料、難燃剤、シランカップリング剤及び界面活性剤等の添加剤を含有するものであってもよい。
〔重合禁止剤〕
本発明の仮固定用組成物は、貯蔵安定性向上のために、重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジターシャリーブチル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール、2−ブチル−4−ヒドロキシアニソール及び2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール等が挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.001質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上2質量部以下であることがより好ましい。重合禁止剤の含有量が0.001質量部未満であると、重合禁止剤を加えたにもかかわらず、充分な貯蔵安定性を確保できない可能性があるため、好ましくない。重合禁止剤の含有量が3質量部を超えると、仮固定用組成物を充分に硬化できず、基材に対して半導体実装部品等を仮固定する際、基材に対し半導体実装部品等を好適に接着できない可能性があるため、好ましくない。
〔エラストマー〕
エラストマーの例として、アクリルゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム等が挙げられる。
〔溶剤〕
溶剤として、例えば、ヘキサン、トルエンのような炭化水素化合物;テトラクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素化合物;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル;酢酸エチルのようなエステル;ミネラルスピリット;等が挙げられる。
〔補強剤〕
補強剤は、本発明の仮固定用組成物の硬化物の接着強度を補強しうるものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
補強剤として、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、タルク、クレー、生石灰、カオリン、ゼオライト、けいそう土、微粉末シリカ、疎水性シリカ、カーボンブラック等が挙げられる。なお、補強剤は、それぞれ単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
〔可塑剤〕
可塑剤として、例えば、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ジブチルベンジルフタレート(BBP)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、トリオクチルフォスフェート(TOP)、トリス(クロロエチル)フォスフェート(TCEP)、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート(TDCPP)、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、末端エステル化多官能ポリエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの酢酸エステル、ポリエチレングリコールジベンゾエート等が挙げられる。可塑剤は、それぞれ単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
〔顔料〕
顔料は、無機顔料と有機顔料とに大別される。無機顔料としては、具体的には、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、群青、ベンガラのような金属酸化物;リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウムの硫化物、これらの塩酸塩又はこれらの硫酸塩等が挙げられる。有機顔料としては、具体的には、例えば、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
<仮固定用組成物を用いた部材の仮固定・剥離方法>
本発明の仮固定用組成物を用いると、部材を仮固定し、その後、仮固定された部材を温水に浸漬して前記仮固定用組成物の硬化物を取り外すことができる。本発明の仮固定・剥離方法によると、仮固定する際に良好な接着性が得られ、光学部材をはじめとした種々の部材を精度良く加工できるとともに、有機溶剤を用いることなく、上記部材を効率よく剥離できるという格別の効果を奏する。
〔仮固定用組成物の部材への塗布〕
まず、使用者は、本発明の仮固定用組成物を部材に塗布する。仮固定用組成物を部材に塗布する手法は、公知の手法であればよく、例えば、固定する一方の部材又は支持基板の被着面に、本発明の仮固定用組成物を適量塗布し、続いてもう一方の部材を重ね合わせる手法のほか、予め仮固定する部材を多数積層しておき、本発明の仮固定用組成物を隙間に浸透させて塗布する手法等が挙げられる。
仮固定する際に用いられる部材は、紫外線を透過できるものであれば特に制限されるものでなく、例えば、水晶部材、ガラス部材及びプラスチック部材等が挙げられる。本発明の仮固定・剥離方法は、水晶振動子、ガラスハードディスク、ガラスレンズ、プラスチックレンズ及び光ディスク等の加工等に好適である。
部材の仮固定性を高めるため、部材の表面は、粗面であることが好ましい。表面が粗面である部材として、例えば、サンドブラスト等で表面を粗くした部材、基材をワイヤーソウ等で切断したものの、表面を研磨していない、未処理の状態の部材、又は表面が多孔質である素材等が挙げられる。
部材の表面粗さは、最大高さRmaxが0.1μm以上300μm以下であることが好ましく、10μm以上250μm以下であることがより好ましく、100μm以下200μm以下であることがさらに好ましい。
〔部材の仮固定〕
続いて、使用者は、本発明の仮固定用組成物に対して可視光線又は紫外線を照射し、仮固定用組成物を硬化させる。これにより、部材が仮固定される。
可視光線又は紫外線の積算光量は、365nmにおいて100mJ/cm以上40,000mJ/cm以下であることが好ましく、500mJ/cm以上4000mJ/cm以下であることがより好ましい。100mJ/cm以上であれば初期の接着性が低下する恐れもなく、40000mJ/cm以下であれば、剥離性が確保でき、組成物の硬化体がフィルム状に剥離する。
〔部材の加工〕
その後、仮固定された部材を所望の形状に加工する。加工する手法として、切断、研削、研磨、孔開け等が挙げられる。本発明によると、部材が好適に仮固定されていることから、加工している間に部品が位置ずれしないため、部材を精度よく加工できる。
〔部材の剥離〕
部材を加工した後、部材を温水に浸漬し、本発明の仮固定用組成物の硬化物を部材から剥離する。
本発明において、温水とは、30℃以上90℃以下の水をいう。温水は、40℃以上90℃以下の水であることがより好ましい。水の温度が好適な範囲内である場合、部材を温水に浸漬することで、仮固定用組成物の硬化物が短時間で膨潤するとともに、該仮固定用組成物が硬化した際に生じる残留歪み応力が解放され、接着強度が低下する。そのため、本発明の仮固定用組成物の硬化物を部材から容易に剥離できる。
水が30℃未満の冷水であると、部材を冷水に浸漬したとしても、本発明の仮固定用組成物の硬化物を部材から適切に剥離できない可能性があるため、好ましくない。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<仮固定用組成物の調製>
[(A)成分:多官能(メタ)アクリル系重合体の合成]
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤として、アクリル酸n−ブチルを重合し、数平均分子量25,200、分子量分布1.20の臭素基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(P1))を得た。
重合体(P1)100重量部をN,N−ジメチルアセトアミド280重量部に溶解させ、アクリル酸カリウム1.8重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で3時間撹拌し、アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(A1))の混合物を得た。混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去した後、トルエンを加えて、不溶分をろ過により除去した。ろ液のトルエンを減圧留去して、重合体(A1)を精製した。精製後の重合体(A1)の数平均分子量は27,100、分子量分布は1.31、平均末端アクリロイル基数は2.0であった。
この合成において、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。また、「平均末端(メタ)アクリロイル基数」は、「重合体1分子当たりの末端に導入された(メタ)アクリロイル基数の平均値」であり、H NMR分析、及びGPCにより求められた数平均分子量により算出した。
[親水性基含有シラン化合物の調製]
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1モルと、4−ヒドロキシブチルアクリレート1モルとを室温で混合し、80℃で3日間反応させ、親水性基含有シラン化合物1を調製した。
また、γ−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン1モルと、エタノールアミン1モルとを室温で混合し、80℃で3日間反応させ、親水性基含有シラン化合物2を調製した。
[仮固定用組成物の調製]
表1において、各種材料は次のとおりである。
(A)多官能(メタ)アクリル系重合体
アクリロイル末端ポリアクリレート(上記重合体(A1))
(A’)(A)成分以外の(メタ)アクリル重合体
ウレタンアクリレート(製品名:NKオリゴ U−200PA,ポリエステル骨格,分子量:2,700,新中村化学社製)
(C)親水性基含有シラン化合物
上記親水性基含有シラン化合物1及び親水性基含有シラン化合物2
(D)光重合開始剤
Irgacure500(BASF社製)
表1に示す材料を表1に示す質量比でミキサーに仕込み、撹拌混合することで、実施例及び比較例に係る仮固定用組成物を得た。
<評価>
実施例及び比較例に係る仮固定用組成物について、引張せん断接着強さ、剥離性及び熱老化後の剥離性を評価した。
(1)引張せん断接着強さ
引張せん断接着強さの測定は、JIS K6850にしたがって行った。一方のテンパックスフロート(登録商標)ガラス(25mm×100mm×2.75mmt)における先端の25mm×25mmの領域の略中央に、接着部位が8mmφになるように仮固定用組成物を塗布し、他方のテンパックスフロート(登録商標)ガラス(25mm×25mm×2.75mmt)の先端と貼り合わせた。貼り合わせ後の形状は、JIS K6850の図1に示すとおりである。その後、硬化装置(装置名:大型UV照射機 UVC−05016S1ATH01,メタルハライドランプを使用した硬化装置,ウシオ電機社製)を用い、積算光量3,000mJ/cmの条件で仮固定用組成物を硬化させ、試験片を作成した。試験片に対し、万能試験機(装置名:AutoCOM/AC−500,株式会社 ティー・エス・イー社製)を使用し、温度23℃,湿度50%の条件で、引張速度10mm/minとして引張せん断接着強さを測定した。結果を表2に示す。
(2)剥離性
上記テンパックスフロート(登録商標)ガラスの略中央に、接着部位が8mmφになるように仮固定用組成物を塗布し、一方のテンパックスフロート(登録商標)ガラスとぴったり貼り合わせた。貼り合わせ後の形状は、25mm×100mmの積層体である。その後、上記(1)引張せん断接着強さと同じ条件で仮固定用組成物を硬化させ、試験片を作成した。試験片を80℃の温水に浸漬し、浸漬を始めてから上記テンパックスフロート(登録商標)ガラスが剥離するまでの時間を測定した。結果を表2に示す。なお、“×”は、浸漬を始めてから60分経過しても上記テンパックスフロート(登録商標)ガラスが上記青板ガラスから剥離しなかったことを示す。
(3)熱老化後の剥離性
上記(2)剥離性と同じ手法によって作成した試験片を250℃で30分間熱老化させ、試験片を23℃にまで冷却した後、試験片を80℃の温水に浸漬し、上記テンパックスフロート(登録商標)ガラスを剥離させ、剥離状態を観察した。硬化後の仮固定用組成物が、ガラス表面より糊残りなくフィルム状に剥離できる場合を“○”とし、ガラスが剥離できない場合、又はガラスは剥離するが、硬化後の仮固定用組成物がガラス表面に残留する場合(糊残りする場合)を“×”とした。結果を表2に示す。
(A)多官能(メタ)アクリル系重合体と、(B)単官能(メタ)アクリレートと、(C)親水性基含有シラン化合物とを含有し、(C)成分が(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して5質量部以上である仮固定用組成物を用いた場合、部品を加工した後の基材からの剥離性と、部品を熱処理した後の剥離性とのいずれにも優れることが確認された(実施例)。また、基材に対して半導体実装部品等を仮固定する間は、十分な接着性を得られることも確認された(同)。
特に、実施例2と実施例4とを比較することで、(C)成分が上記(C2)である場合、(C)成分が上記(C1)である場合に比べ、仮固定を終えた後、半導体実装部品等を基材から短時間で剥離できる点で好ましいことが確認された(実施例4)。なお、上記(C1)は、置換又は非置換のアミノ基含有シラン類、及びメルカプト基含有シラン類からなる群から選択される1種以上のシラン類と、親水性基を有するビニル基含有化合物との反応により、置換又は非置換のアミノ基含有シラン類に含まれる少なくとも一部のアミノ基、又はメルカプト基含有シラン類に含まれる少なくとも一部のメルカプトが反応した反応生成物である。また、上記(C2)は、(i)(メタ)アクリロイル基含有シラン類と、親水性基を有する、第1級アミン及び/又は第2級アミンを有するアミノ基含有化合物との反応、又は(ii)(メタ)アクリロイル基含有シラン類と、親水性基を有する、メルカプト基含有化合物との反応により、(メタ)アクリロイル基含有シラン類に含まれる少なくとも一部の(メタ)アクリロイル基が反応した反応生成物である。
一方、仮固定用組成物が(A)多官能(メタ)アクリル系重合体を含まない場合、部品が熱老化した後において十分な剥離性が得られない点で好ましくないことが確認された(比較例1)。また、仮固定用組成物が(C)親水性基含有シラン化合物を含有しない場合、又は含有するとしてもその量が(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して5質量部未満である場合、部品を加工した後の基材からの剥離性が十分でないため、好ましくないことが確認された(比較例2〜6)。

Claims (4)

  1. (A)下記一般式で表される基を分子末端に1分子あたり少なくとも2個以上有する多官能(メタ)アクリル系重合体と、(B)単官能(メタ)アクリレートと、(C)親水性基含有シラン化合物とを含有し、
    前記(C)親水性基含有シラン化合物は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して5質量部以上である仮固定用組成物。
    −OC(O)C(R)=CH
    (上記一般式中、Rは水素又は炭素数1〜20の有機基を表す。)
  2. 前記親水性基は水酸基、スルホン酸基、リン酸基又は第3級アミノ基のいずれか1以上を有する、請求項1に記載の仮固定用組成物。
  3. 前記(A)多官能(メタ)アクリル系重合体は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、1質量%以上70質量%以下であり、
    前記(B)単官能(メタ)アクリレートは(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、30質量%以上99質量%以下である、請求項1又は2に記載の仮固定用組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の仮固定用組成物を用いて部材を仮固定し、その後、仮固定された部材を温水に浸漬して前記仮固定用組成物の硬化物を取り外す、部材の仮固定・剥離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022071446A1 (ja) * 2020-09-30 2022-04-07 日油株式会社 撥水レンズ保護膜用樹脂組成物及び撥水レンズを保護する方法

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