JP6855655B2 - アクリル系ポリマー及びそれを含有する帯電防止剤、帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

アクリル系ポリマー及びそれを含有する帯電防止剤、帯電防止性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリマータイプの永久型帯電防止剤及び該剤を用いて得られる帯電防止性樹脂組成物、光学部材用の粘着剤に関する。
帯電防止剤は、従来からプラスチック、ゴム、合成繊維などの帯電しやすい樹脂製品の内部に添加するか表面に塗布することで静電気を防止できるため、各分野で幅広く使用されている。特に近年、薄型テレビをはじめ、携帯電話、ノートパソコン、カーナビゲーションなどの表示装置として液晶ディスプレイ(LCD)が数多く使用されるようになって、これらのLCDを構成する偏光板、ガラス基板、カラーフィルター、液晶材料などの光学部材を粘着剤により貼り合わせる際や、傷、汚れから保護するための表面保護フィルムを設ける際には、帯電防止剤の使用は不可欠となっている。
汎用な帯電防止剤として、静電気により帯電することを防ぐタイプの界面活性剤や、発生した静電気を逃がすタイプのイオン液体、導電性ポリマーなどが挙げられる。特に光学部材や電子部品の粘着層、コーティング膜に用いられる場合は、帯電防止の効果のみならず、粘着剤のアクリル系ベース樹脂との相溶性、基材に対する密着性、透明性、非汚染性、表面保護フィルムの剥離性、ハードコード剤としての硬度なども要求されている。そこで、本発明者らを含め、多種多様な帯電防止剤が研究されてきた。
しかし、前者の界面活性剤を用いる技術では、塗布した場合はふき取りにより帯電防止性能が低下し、また、樹脂内に添加した場合は帯電が最も発生しがちな低湿度下において帯電防止性能が低下したり、経時的なブリードアウトが発生したりし、樹脂表面の汚染の問題があった。
前者のイオン液体を用いる技術では、湿度依存性は解消されるものの、十分な帯電防止性能を得るためには多量のイオン液体をベース樹脂に加えないといけないため、粘着層やコーティング膜の粘着特性や硬度などのコーティング特性に悪影響を与える恐れがあった。また、経時的なブリードアウトは依然解消されないという問題があった。
そこで、ブリードアウト現象を抑制し、良好な帯電防止性能を得る目的で、ベース樹脂にイオン性モノマーを固定化することも検討されている。例えば、特許文献1では、重合性不飽和基を含有するイオン液体を(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させて、得られるアクリル系樹脂を粘着剤として用いることが提案された。特許文献2では、分子中に酸塩基のイオン対及び/またはベタイン構造を有するアクリル系樹脂を粘着剤の主成分として用いることが提案された。
しかしながら、特許文献1と2では、イオン性モノマーを高分子量である粘着剤のベースポリマーの構成単位として配合し、帯電防止成分であるイオン性対が樹脂全体中に分散して固定されている。そのため、イオン対中非固定のアニオン或いはカチオンが移動し、樹脂中に導電経路を形成することによって帯電防止性を提供するためには、多量のイオン対が必要となり、その結果、粘着剤層の透明性が悪化し、粘着特性に悪影響を与える恐れがある。これらの粘着剤組成物が優れる帯電防止性を追及する場合、特許文献2の実施例に記載しているように、さらに帯電防止剤を配合することが必要となる。
特許文献3では、エチレン性不飽和結合を有するイオン液体(イオン性モノマー)と(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型帯電防止剤組成物を基材に塗布し、硬化させ、硬化膜として用いることが提案された。特許文献3は、イオン性モノマーを活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に配合し、活性エネルギー線硬化により高硬度の塗膜中に固定され、結果は特許文献1、2と同様にイオン対を樹脂全体中に分散され、多量に配合しない限り導電経路が形成され難い問題があった。一方、イオン性モノマーの多量配合は、他成分との相溶性、基材に対する密着性、活性エネルギー線硬化性や得られる硬化膜の物性低下など、様々な懸念点が生じる。
特許文献4では、重合性不飽和基を含有するイオン液体を単独又は他の共重合性単量体と重合したポリマーを粘着剤ベースポリマーに配合した帯電防止粘着剤が提案されており、イオン液体成分が粘着剤表面からしみ出ることによる汚染がなく、安定した粘着力を有することが報告されている。特許文献5では、ポリマー型イオン液体及び(メタ)アクリレートを含有した活性エネルギー線硬化型帯電防止性組成物を基材に塗布し、硬化させた硬化膜が提案されており、透明性と機械物性に優れることが報告されている。
しかしながら、前記特許文献4及び特許文献5のポリマータイプの帯電防止粘着剤は、非固定のイオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンや1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンを用いたため、イオンの半径と反比例的に変化するイオンの移動速度は非常に低く、高い帯電防止性能を得るためには、多量の帯電防止ポリマーを樹脂中に添加しなくてはならず、粘着特性やコーティング特性に悪影響を与える恐れがあった。
特開2008−285670号公報 特開2010−44376号公報 特開2009−173925号公報 特開2009−40996号公報 特開2009−179727号公報
以上述べたように、経時的なブリード現象による汚染がなく、少ない量でも樹脂中で優れた帯電防止性能を発揮する帯電防止剤、及び該帯電防止剤を配合した際に、粘着特性やコーティング特性等機械物性を維持し得る帯電防止材料は未だに簡便には得られていない。
そこで、本発明ではこのような背景下において、帯電防止性能と透明性に優れた帯電防止剤を提供することを課題とし、また、該帯電防止剤を樹脂に添加した際に、経時的なブリード現象を抑制し、長期的な帯電防止性能を付与し得る帯電防止性樹脂組成物を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、長期保存下においても、帯電防止性能と粘着力が劣化しない、透明な帯電防止粘着剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩に相当する構成単位と、アルキレンオキシド基含有モノマーに相当する構成単位と、両者と共重合可能な炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリルモノマーに相当する構成単位を有するアクリル系ポリマーが、ポリマー側鎖に固定されたフタル酸アニオン基と、分子内及び/又は分子間で移動性を示す金属カチオンを有するため、帯電防止性能と透明性、及び樹脂のベースポリマーに対する相溶性に優れることを見出した。さらに、該帯電防止剤を樹脂に塗布又は添加すると、樹脂中で適度に分散して導電経路を形成するため、少量でも優れた帯電防止性能を発揮する上、経時的なブリード現象を抑制し、特に、粘着剤に添加した場合においては、長期保存下においても、帯電防止性能と粘着特性が劣化しない、透明な帯電防止粘着剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)以下の(A)〜(C)に相当する構成単位を含有することを特徴とするアクリル系ポリマー。
(A)2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩
(B)一般式(1)で表されるアルキレンオキシド基含有モノマー(b)
(C)モノマー(a)及びモノマー(b)と共重合可能な炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリルモノマー(c)
Figure 0006855655
(一般式(1)中、Zは酸素若しくはNHであり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、又はフェニル基であり、nは1〜30の整数である。)、
(2)アクリル系ポリマーを構成するモノマーのモル比が、(a)/(b)/(c)=5〜70/10〜70/5〜70であることを特徴とする前記(1)に記載のアクリル系ポリマー、
(3)カルボキシル基含有モノマー(d)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩1〜70モル%を構成成分としてさらに含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のアクリル系ポリマー、
(4)(メタ)アクリルアミド系モノマー(e)((b)を除く)0.05〜10モル%を構成成分としてさらに含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマー、
(5)金属カチオンはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる1種又は2種以上の金属カチオンであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマー、
(6)前記(1)〜(5)のいずれかの項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%以上含有することを特徴とする帯電防止剤、
(7)前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%以上含有することを特徴とする帯電防止性コーティング組成物、
(8)前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%以上含有することを特徴とする帯電防止性粘着剤用アクリル樹脂組成物、
(9)前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%以上含有し、さらに不飽和基含有化合物(f)及び重合開始剤(g)を含有し、活性エネルギー線により架橋されてなることを特徴とする帯電防止性粘着剤組成物、
(10)前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%以上含有し、さらに架橋剤(h)を含有し、架橋剤(h)により架橋されてなることを特徴とする帯電防止性粘着剤組成物、
(11)シート状の支持体の少なくとも片面に、前記(9)又は(10)に記載の粘着剤組成物を含有する粘着層が形成されてなる粘着シート、
(12)樹脂フィルムに、前記(9)又は(10)に記載の粘着剤組成物を含有する粘着層が形成されてなる光学部材用表面保護フィルム、
(13)偏光フィルムからなる支持体の少なくとも片面に、前記(9)又は(10)に記載の粘着剤組成物を含有する粘着層が形成されてなる偏光板
を提供するものである。
本発明の帯電防止剤は、帯電防止性能と透明性に優れ、これを樹脂に添加した際には、樹脂のベースポリマーに対する相溶性に優れるため、樹脂中で適度に分散し、少量でも優れた帯電防止性能を発現することができる。また、粘着剤に用いた際、経時的なブリード現象が抑制され、高温、高湿下においても帯電防止性能と粘着力が劣化しないため、本発明によれば、LCDを構成する偏光板などの光学部材や表面保護フィルムなどの貼り合わせの際に用いる帯電防止粘着剤を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアクリル系ポリマーは、2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩に相当する構成単位と、アルキレンオキシド基含有モノマー(b)に相当する構成単位と、モノマー(a)及びモノマー(b)と共重合可能な炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリルモノマー(c)に相当する構成単位を含有することを特徴とするものである。アクリル系ポリマー中でフタル酸アニオン基が固定されることにより、金属カチオンのみが自由に移動することができるため、優れた帯電防止性能を発現することができる。
本発明のアクリル系ポリマー中にフタル酸アニオン基と金属カチオンを導入する方法としては、アニオン基として酸イオンを含有する2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)を他のモノマーと共重合し、金属カチオンを含む塩基性物質で中和する方法や、2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)を含有するアクリル系モノマーを、金属カチオンを含む塩基性物質で中和した後、共重合する方法が挙げられるが、前者の方がアクリル系ポリマー中にフタル酸アニオン基を均一に分散させることができるため、アクリル系ポリマーの溶解性や帯電防止性能を発揮する上でより好ましい。
前記の2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸などの中和塩が挙げられる。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記のアルキレンオキシド基含有モノマー(b)としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。
Figure 0006855655
(一般式(1)中、Zは酸素若しくはNHであり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、又はフェニル基であり、nは1〜30の整数である。)
具体的には、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリルアミド、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、これらの中でも、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリルアミド、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、エトキシプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。特に、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートがイオン対との相溶性に優れるため、より好ましい。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記のモノマー(a)及びモノマー(b)と共重合可能な炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリルモノマー(c)としては、具体的には、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、n−オクチル(メタ)アクリルアミド、n−ノニル(メタ)アクリルアミド、イソノニル(メタ)アクリルアミド、n−デシル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、n−ステアリル(メタ)アクリルアミド、イソステアリル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
本発明のアクリル系ポリマーは、2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩からなる構成単位と、アルキレンオキシド基含有モノマー(b)単位及び、モノマー(a)及びモノマー(b)と共重合可能な炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリルモノマー(c)単位の3つの構成単位を有する。これらの組み合わせにより、帯電防止性能と透明性、樹脂のベースポリマーに対する相溶性に特に優れたものとなる。そして、このアクリル系ポリマーを樹脂に配合すると、樹脂中で共重合体が適度に分散し、導電経路を形成することによって優れた帯電防止性能を発揮するとともに、経時的なブリード現象を抑えることができる。
本発明のアクリル系ポリマーが、かかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)の末端カルボン酸基が、アルキレンオキシド基含有モノマー(b)のエーテル基の酸素原子に近接できる適度な側鎖長を有するため、前記2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和されることにより発生する金属カチオンが、前記アルキレンオキシド基含有モノマー(b)のエーテル基の酸素原子により接近した状態となっている。このため、金属カチオンがエーテル基の酸素原子に配位しやすくなり、金属カチオンのポリマー中での移動性が高まることによって高い導電性を付与することができると本発明者らは推察している。さらに炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリルモノマー(c)を加え、共重合体全体の親水性と疎水性バランス、及び柔軟性をコントロールすることにより、ベース樹脂中で共重合体が適度に分散し、導電経路が形成され、優れた帯電防止性能を発揮していると本発明者らは考えている。
本発明のアクリル系ポリマーは、用途に応じて前記モノマー(a)〜(c)に相当する構成単位のモル組成比を適宜変更することができる。各モノマーのモル組成比を増減させ、親水性と疎水性のバランスを微調整することにより、各用途に応じて樹脂中で帯電防止性能が発現する最適な点に制御することができる。前記モノマー(a)〜(c)のそれぞれに相当する構成単位のモル組成比は(a)/(b)/(c)=5〜70/10〜70/5〜70であることが好ましく、さらに好ましくは、(a)/(b)/(c)=10〜50/15〜60/20〜60であることが好ましい。
本発明のアクリル系ポリマーには、さらにカルボキシル基含有モノマー(d)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩を構成単位として含むことができる。具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのモノカルボン酸の中和塩、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などのジカルボン酸の中和塩などが挙げられ、これらの中でも(メタ)アクリル酸の中和塩を構成単位として含むことが他のモノマーとの相溶性、共重合性に優れる面から好ましい。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記のカルボキシル基含有モノマー(d)の中和塩を含有することによって、側鎖長の異なる金属カチオンを導入でき、(a)由来及び(d)由来の全ての金属カチオンにおいて、移動性がさらに向上し、より優れた帯電防止性能を付与することができる。そこで、(d)由来の中和塩に相当する構成単位は、アクリル系ポリマー中に1〜70モル%を含むことが好ましい。1モル%未満の場合、帯電防止性能の向上効果が得られにくい傾向があり、また、70モル%を超えた場合、親水性が高くなるため、アクリル系ポリマーの有機溶媒や汎用モノマーに対する溶解性が低下する恐れがある。
本発明のアクリル系ポリマーには、親水性のバランスを微調整し、優れた帯電防止性能を付与させるために、さらに(メタ)アクリルアミドモノマー(e)(但し、前記(b)は除く)に相当する構成単位を含むことができる。具体的には、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられ、これらの中でも、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンが共重合体の親水性のバランスを調整しやすい点で特に好ましい。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記の(メタ)アクリルアミドモノマー(e)に相当する構成単位は、アクリル系ポリマー中に0.05〜10モル%を含むことが好ましい。0.05モル%未満の場合、親水性微調整などの添加効果が得られにくい傾向があり、一方、10モル%を超えた場合、親水性が高くなりすぎる傾向がある。
前記の2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)及びカルボキシル基含有モノマー(d)を中和するために使用する金属カチオンを含む塩基性物質としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、炭酸水素塩などが挙げられる。具体的には、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウムなどが挙げられる。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。また、これらの塩基性物質のうち、アルカリイオンが小さいほど、移動性が高いので、リチウム、カリウム、ナトリウム等が好ましい。
中和により得られる本発明のアクリル系ポリマーの酸価は、0〜200mgKOH/gが好ましく、特に0〜150mgKOH/gの範囲が好ましい。アクリル系ポリマーの酸価は200mgKOH/gを超えると、コーティング剤や粘着剤として用いる場合、基材の材質によっては密着力の低下や腐食発生の問題が懸念される。
本発明のアクリル系ポリマーの重合形態は特に限定されないが、例えばランダム共重合体やブロック共重合体、グラジエント共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。ポリマー中の酸基及び対イオンの凝集を抑制し、適度に酸基が配置されることによる良好な溶解性と帯電防止性能を得ることができる面でランダム共重合体がより好ましい。
本発明のアクリル系ポリマーは、公知乃至慣用の種々の重合方法を用いて得ることができ、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの方法が用いられる。
重合の際に用いられる溶媒としては水や有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、本発明のアクリル系ポリマーを溶解する溶媒であれば特に制限は無く、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタンなどの脂環族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、メチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどのアルキルアルコール類などが挙げられる。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記の有機溶媒のうち、共重合反応中における本発明のアクリル系ポリマーの溶解性、重合反応の容易さなどの点から、エーテル類、グリコールエーテル類、エステル類、ケトン類、アルキルアルコール類を使用することが好ましい。特に、粘着層形成時に除去しやすい点から低沸点のテトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールなどの使用が好ましい。
また、前記の重合の際には、通常重合開始剤が用いられる。重合方法の種類に応じて、公知乃至慣用の重合開始剤から適宜選択することができる。前記重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾ化合物系触媒や、ベンゾイルパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系触媒、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩系触媒などが挙げられる。
前記の重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100質量%に対して、0.001〜20質量%であり、好ましくは0.005〜10質量%である。上記範囲とすることにより、反応時間及び収率などが良好なものとなり、また目的の質量平均分子量が得られる。
前記の重合の際には、分子量を制御するため、必要に応じて連鎖移動剤を用いることができる。例えば、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸エステル、メルカプトエタノール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
本発明のアクリル系ポリマーは、用途に応じて重量平均分子量を適宜変更することが可能であるが、樹脂に添加して使用する場合は、重量平均分子量が3,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量が3,000未満の場合、アクリル系ポリマーが粘着剤ベースポリマーに分散しすぎるため、優れた帯電防止性能が発揮できない傾向があり、重量平均分子量が100,000を超えた場合、ベースポリマーに対する分散性が悪くなるため、帯電防止性能や透明性が低下する傾向がある。
本発明の帯電防止剤は、本発明のアクリル系ポリマーを0.1質量%以上含有することが好ましく、0.5質量%以上含有することが高い透明性を維持すると共に優れた帯電防止性能を発揮できるので、特に好ましい。0.1質量%未満の場合には、十分な帯電防止性能が得られない傾向がある。
本発明の帯電防止剤の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、安定剤、可塑剤、柔軟性付与剤、粘着付与剤などが挙げられる。
本発明のアクリル系ポリマーをコーティング剤用途に使用する場合、その含有量はコーティング組成物中に0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが、帯電防止性能を発揮する上で特に好ましい。0.1質量%未満の場合は、形成されるコーティング剤の帯電防止性能が不十分となる傾向にある。
本発明のアクリル系ポリマーは、帯電防止性能と透明性、溶剤、汎用モノマーや樹脂との相溶性に優れるため、粘着剤樹脂に用いることもできる。本発明のアクリル系ポリマーを粘着剤用途に使用する場合は、粘着剤のベースポリマーとして、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系ポリマーなどが挙げられる。また、本発明のアクリル系ポリマーの配合量は、ベースポリマーの種類によって多少変更するものであるが、例えばアクリル系ベースポリマーの場合、0.1質量%以上含有すると十分な帯電防止性能を付与でき、さらに0.3〜50質量%配合することがより好ましい。0.1質量%未満の場合は、アクリル系ベースポリマー中の本発明のアクリル系ポリマーによる導電経路の形成が不足となり、樹脂の帯電防止性能付与が不十分となる傾向にある。50質量%を超えた場合、粘着剤の密着性等が劣る傾向がある。
前記粘着剤のベースポリマーを構成するモノマー単位としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー等の(メタ)アクリル系モノマーを用いることができ、これらを1種若しくは2種以上を用いて重合される。
前記の(メタ)アクリル系モノマーにおいて、柔軟性及び被着体に対する密着性に優れる点で、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましく、その配合量としては、(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、20〜99.9質量%が好ましく、30〜99.5質量%がより好ましく、50〜99.0質量%が最も好ましい。20質量%未満であると、柔軟性または密着性に劣る傾向にある。
前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられ、上記の中でも、共重合性と汎用性からブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを用いることが好ましい。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記の(メタ)アクリル系モノマーにおいて、耐熱性及び被着体に対する粘着力、凝集力に優れる点で、N−置換(メタ)アクリルアミドを含有することが好ましく、その配合量としては、(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が最も好ましい。0.1質量%未満であると、耐熱性または粘着力に劣る傾向にある。
前記のN−置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記のN−置換(メタ)アクリルアミドと本発明のアクリル系ポリマーを同時に粘着剤樹脂に含有する場合、アクリル系ポリマー由来の金属カチオンが、N−置換(メタ)アクリルアミドのアミド基を介して移動することができるため、帯電防止性能の向上の面においても、好適である。
前記の(メタ)アクリル系モノマーにおいて、粘着剤樹脂の架橋密度、粘着力などを制御しやすくする点で、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを含有することが好ましい。その配合量としては、(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10%が最も好ましい。前記範囲外であると、基材に対するぬれ性と凝集力のバランスが制御できない恐れがある。
前記のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などの1級水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの2級水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー、2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの3級水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーを挙げることができる。中でもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記の(メタ)アクリル系モノマーにおいて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、N−置換(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外の共重合性モノマーなどを本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
前記の共重合性モノマーは、粘着剤樹脂に架橋点を導入させるためや、凝集力を高めるために用いることができる。共重合性モノマーは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記の共重合性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー、アセトアセチル基含有(メタ)アクリル系モノマー、イソシアネート基含有(メタ)アクリル系モノマー、グリシジル基含有(メタ)アクリル系モノマー、オキサゾリン基含有(メタ)アクリル系モノマーなどが挙げられる。
前記の共重合性モノマーの配合量としては、(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%がより好ましく、15%が最も好ましい。30質量%を超えると、粘着剤の粘着力と本発明のアクリル系ポリマーの帯電防止性能のバランスが取りにくくなる傾向がある。
前記のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などのジカルボン酸、などが挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
前記のアセトアセチル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記のイソシアネート基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記のグリシジル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジルなどが挙げられる。
前記のオキサゾリン基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、4−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4−エチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、5−エチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,4−ジエチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,5−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,5−ジエチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−メチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−エチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、5−エチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4,4−ジエチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4,5−ジメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4,5−ジエチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリンなど等が挙げられる。また、高反応性を有する2−ビニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリンが好ましく、さらに2−ビニル−2−オキサゾリンが最も好ましい。これら共重合成モノマーは、1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
その他の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレンオキサイド構造含有(メタ)アクリル系モノマーなどが挙げられる。
さらに、その他の共重合性モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ含有モノマー、スチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、4−メトキシスチレンなどのスチレン系モノマー、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデンモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド類などのアミドモノマー、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾールなどの窒素原子含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマーなどが挙げられる。
前記のアクリル系粘着剤ポリマーの合成方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、特に作業性の面や、被着体への低汚染性などの面から、溶液重合がより好ましい。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体やブロック共重合体、グラジエント共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。
前記の粘着剤ベースポリマーがウレタン系粘着剤ポリマーを使用する場合、ウレタン系粘着剤ポリマーとしては、任意の適切なウレタン系ポリマーを用いることができる。このようなウレタン系ポリマーとしては、好ましくは、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン樹脂からなるものが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記粘着剤ベースポリマーがシリコーン系ポリマーを使用する場合は、市販のシリコーン系ポリマーを用いることができる。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサンなどが挙げられる。
本発明の帯電防止性粘着剤組成物は、十分な粘着力や密着性、耐熱性、耐久性を有するため、そのまま用いることができるが、さらに架橋剤により架橋されることで、より耐熱性、耐久性に優れたものを得ることができる。
本発明の帯電防止性粘着剤組成物を架橋する方法としては、(1)架橋剤を用いて架橋する方法、(2)不飽和基含有化合物及び重合開始剤を含有させ、活性エネルギー線及び/または熱により架橋する方法、が挙げられる。これらは一方を用いてもよいし、両方を併用してもよい。
前記の(1)架橋剤を用いて架橋する方法としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボキシル基化合物などを、本発明の粘着剤組成物に含まれる官能基と反応し得る官能基を有する化合物を添加し、反応させる方法が挙げられる。
前記のイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどが挙げられる。
より具体的には、前記のイソシアネート化合物としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートHX)などのイソシアネート付加物などが挙げられる。これらのイソシアネート化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記のエポキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱瓦斯化学社製、商品名:TETRAD−X)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製、商品名:TETRAD−C)などが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記のアジリジン化合物としては、例えば、市販品としての商品名:HDU、商品名:TAZM、商品名:TAZO(以上、相互薬工社製)などが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記のカルボキシル基化合物として、L−乳酸、D−乳酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボキシル基、2,6−ナフタレンジカルボキシル基、ジフェニルジカルボキシル基、ジフェノキシエタンジカルボキシル基、ジフェニルエーテルジカルボキシル基、ジフェニルスルホンジカルボキシル基などの芳香族ジカルボキシル基、1,3−シクロペンタンジカルボキシル基、1,3−シクロヘキサンジカルボキシル基、1,4−シクロヘキサンジカルボキシル基などの脂環式ジカルボキシル基、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボキシル基、及びそれらのエステル形成性誘導体などから誘導されるジカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
これらの架橋剤の使用量は、架橋すべき本発明の帯電防止性粘着剤組成物に含まれる官能基の量や分子量とのバランスにより、さらには、用途目的により適宜選択できるが、十分な耐熱性を得るには、通常は、粘着剤組成物100質量%に対して、0.1〜15質量%含有されていることが好ましく、0.5〜10質量%含有されていることがより好ましい。含有量が0.1質量%よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が不足して十分な耐熱性が得られない場合があり、また、糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が15質量%を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、柔軟性及び粘着力が低下し、被着体へのなじみ性(濡れ性)が不十分となって、剥離の原因となる傾向がある。
さらに、前記の架橋剤とともに、架橋を促進するために酸触媒、例えば、パラトルエンスルホン酸、リン酸、塩酸、塩化アンモニウムなどの架橋促進剤を併用することも可能であり、前記架橋促進剤の添加量は架橋剤に対して10〜50質量%であることが好ましい。
前記の(2)不飽和基含有化合物及び重合開始剤を含有させ、活性エネルギー線及び/または熱により架橋する方法としては、架橋剤として活性エネルギー線及び/または熱反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーと重合開始剤を添加し、活性エネルギー線及び/または熱で架橋させる方法が挙げられる。
前記の活性エネルギー線及び/または熱反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーとしてはビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基のような活性エネルギー線及び/または熱の照射で架橋処理(硬化)し得る1種または2種以上の活性エネルギー線及び/または熱反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマー成分が用いられる。なお一般的には活性エネルギー線及び/または熱反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。多官能モノマーは2種以上を併用することも可能である。
前記の多官能モノマーは、2官能モノマー、3官能以上のモノマーを用いることができ、具体例としては、2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステルなどのモノマーが挙げられる。
前記の3官能以上のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記の多官能モノマーの使用量は、架橋すべき本発明の帯電防止性粘着剤組成物とのバランスにより、さらには、用途目的によって適宜選択されるが、十分な耐熱性を得るには通常は、粘着剤組成物100質量%に対して0.05〜30質量%で配合するのが好ましく、柔軟性、接着性、密着性の点から、より好ましくは、0.1〜20質量%である。含有量が0.05質量%よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が不足して十分な耐熱性が得られない場合があり、一方、含有量が30質量%を超える場合、例えば、ポリマーの凝集力が高くなりすぎ、柔軟性及び粘着力が低下し、被着体への濡れが不十分となって、剥離の原因となる傾向がある。
前記の重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、光重合開始剤、熱重合開始剤などの種々の重合開始剤を用いることが可能である。光重合開始剤を用いる場合は、活性エネルギー線照射により、熱重合開始剤を用いるときは、加熱により、それぞれ本発明の粘着剤組成物を架橋させるが、必要に応じて、両方を併用してもよい。
前記の活性エネルギー線としては、活性種を発生する化合物(光重合開始剤)を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、例えば、可視光、紫外線、赤外線、α線、β線、γ線、X線、電子線(EB)などが挙げられるが、制御性及び取り扱い性の良さ、照射装置のコストの点から紫外線を使用することが好ましい。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。
また、前記の重合開始剤として、熱重合開始剤を用いる場合には加熱により重合を開始し、進行させる。加熱による架橋時の処理温度や処理時間は、使用する熱重合開始剤の種類によって異なるものであり、通常、開始剤の半減期より計算されるものであるが、処理温度は、通常70℃〜170℃であることが好ましく、処理時間は、通常0.2〜20分が好ましく、特には0.5〜10分が好ましい。
前記の光重合開始剤としては、活性エネルギー線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよく、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤が挙げられる。
前記の光ラジカル重合開始剤として、特に制限されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アニソールメチルエーテルなどのベンゾイン類、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(ダロキュアー2959;BASF社製)、α−ヒドロキシ−α、α'−ジメチルアセトフェノン(ダロキュアー1173;BASF社製)、メトキシアセトフェノン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュアー651;BASF社製)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(イルガキュアー184;BASF社製)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4'−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフニノンなどのベンゾフェノン類、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどが挙げられる。
前記の光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどが挙げられる。前記光重合開始剤については、2種以上併用することも可能である。
さらにアミン類などの光重合開始助剤を併用することも可能である。光開始助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ベンゾフェノンなどの脂肪族アミン類、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、4、4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノンなどの芳香族アミン類が挙げられる。前記光重合開始助剤については、2種以上併用することも可能である。重合開始助剤は、本発明の粘着剤組成物100質量%に対し、0〜20質量%、さらには10質量%よりも少ない範囲で配合するのが好ましい。含有量が20質量%を超える場合、活性エネルギー線を照射した場合、照射した側の表面のみ硬化してしまい、粘着不良を生じる場合や、粘着剤層が極端に黄変色してしまう場合などがあり、透明性に不具合を生じる。
また、前記の熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなど)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなど)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイドなど)、パーオキシエステル類(t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレートなど)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなど)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなど)が挙げられる。なお、これらの熱重合開始剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
前記の光重合開始剤及び熱重合開始剤は、本発明の帯電防止性粘着剤組成物100質量%に対し、通常0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で配合するのが好ましい。含有量が0.05質量%よりも少ない場合、重合が進行しにくく、物性が安定しなくなる傾向があり、10質量%を超えると、粘着剤層が着色したり、機械強度が低下したりする傾向がある。
前記の架橋を行うに際しては、活性エネルギー線照射による架橋、熱架橋のどちらでもよいが、必要に応じて、活性エネルギー線照射による架橋と熱架橋を併用することもできる。
このようにして、本発明の帯電防止性粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤が得られる。そして、該粘着剤には、帯電防止性や、透明性、相溶性などの特性を阻害しない範囲で、従来公知の各種の粘着付与剤や表面潤滑剤、レベリング剤、帯電防止補助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、腐食防止剤、光安定剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充項剤、金属粉、顔料、染料などの粉体、粒子状、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を、使用する用途に応じて適宜添加することができる。
本発明の粘着シートは、前記の粘着剤をシート状の基材の片面または両面に形成してなるものである。
シート状の基材としては、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、ポリウレタン発泡体、不織布などの多孔質材料などを用いる。特に表面保護フィルムの場合には、プラスチック基材を用いるのが好ましい。
プラスチック基材としては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポレオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられる。前記フィルムの厚みは、通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm程度である。
前記の粘着シートは、必要に応じて粘着面を保護する目的で粘着剤表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。セパレーターを構成する基材としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
前記のプラスチックフィルムとしては、前記粘着面を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。
前記のフィルムの厚みは、通常5〜300μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記フィルムの粘着剤層貼合面には、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などにより適宜離型剤処理が施されている。
本実施形態の粘着剤は透明であるため、基材として透明なものを用いることにより、透明な粘着シートを得ることができる。該粘着シートは、特に静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いられ、なかでも特に、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光板、位相差板、光学補償フィルム、光拡散シート、反射シートなどの光学部材表面を保護する目的で用いられる表面保護フィルムとしても用いることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の合成例、実施例、比較例において、収率以外の%は特に指定しない場合、質量%を表す。
なお、以下の実施例および比較例において、アクリル系ポリマー及び帯電防止性コーティング組成物、帯電防止性粘着剤組成物の特性評価は、以下の方法により行った。
(1)重量平均分子量(Mw)の測定
GPC測定装置((株)島津製作所製の Prominence)を用い、示差屈折計(RI計)を検出器として、以下の条件で測定した。なお、重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算により算出した。
・カラム:昭和電工社製 Shodex Asahipak GF−510HQ
・移動相:テトラヒドロフラン
・流速:0.5mL/min
・測定温度:40℃
(2)酸価測定
アクリル系ポリマーを溶剤(アセトンと水を体積比7:1に混合したもの)に溶かし、電位差自動滴定装置(京都電子工業製 AT−610)を用いて0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液を用いて滴定を行い、アクリル系ポリマー1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量を測定した。次いで、下記式により、酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)= (A x f x C)/S
A:滴定量(mL)
f:滴定液のファクター
C:濃度換算値(0.5mol/Lx56.11=28.055mg/mL)
S:試料採取量(g)
(3)溶解性
アクリル系ポリマーを、メチルエチルケトン(MEK)、アクリル酸ブチル(BA)及びアクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)に溶解し、溶解性を目視によって観察した。
◎:10(g/100g)以上
○:5(g/100g)以上10(g/100g)未満
△:1(g/100g)以上5(g/100g)未満
×:1(g/100g)未満
(4)帯電防止性コーティング組成物(コーティング膜)の作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムに、乾燥後の厚みが20μmとなるよう、帯電防止性コーティング組成物の溶液を塗布し、120℃で2分間乾燥させて、コーティング層を形成した。次いで、コーティング層塗布面を上向きにして紫外線照射を行って架橋させ、試験用コーティング膜を得た。紫外線照射条件は、紫外線照射装置(アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS−4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04−L41)を使用し、紫外線照度:700mW/cm、積算光量:1000mJ/cmになるように試料板とランプの距離を調節した。その後、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用コーティング膜を得た。
(5)コーティング膜の物性評価
コーティング膜の評価は、1)透明性、2)表面抵抗率測定、3)耐擦傷性試験、4)耐湿性試験、5)鉛筆硬度試験、により行った。
1)透明性
◎:透明で表面が平滑;
○:透明だが凹凸がある;
△:僅かな曇りや凹凸がある;
×:極度な曇りや凹凸がある
2)表面抵抗率測定
型板 (縦110×横110mm) を用い、カッターナイフでコーティング膜を裁断し、表面抵抗率測定用試料を得た。JIS K 6911 に基づき、デジタルエレクトロメーター(R8252型:エーディーシー社製)を用いて表面抵抗値を測定した。
3)耐擦傷性試験
スチールウールを#0000のスチールウールを用いて、200g/cmの荷重をかけながらコーティング膜の上で10往復させ、傷の発生の有無を評価した。
◎:膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない;
○:膜に僅かな細い傷が認められる;
△:膜全面に筋状の傷が認められる;
×:膜の剥離が生じる。
4)耐湿性試験
コーティング膜を40℃、90%RHの恒温槽内にて3日間保管し、膜の外観の変化を目視で評価した。
◎:外観に変化がない;
○:白化などの外観変化が僅かに認められるが問題のないレベル;
△:白化などの外観変化が僅かに認められる;
×:白化などの外観変化が著しく認められる;
5)鉛筆硬度試験
コーティング膜について、JIS K 5400 に基づき、鉛筆硬度試験を行った。
(6)粘着シートの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムに、乾燥後の厚みが20μmとなるよう、粘帯電防止性粘着剤組成物溶液を塗布し、120℃で2分間乾燥させて、粘着剤層を形成した。次いで、
1)架橋剤を用いて架橋する場合は、40℃の恒温槽で3日間エージングさせた後、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用粘着シート(タイプ1)を得た。
2)紫外線照射により架橋する場合は、以下(7)の紫外線硬化方法により、紫外線硬化膜を得、その後、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用粘着シート(タイプ2)を得た。
(7)紫外線硬化
粘着剤塗布面を上向きにして紫外線照射を行って架橋させ、試験用粘着シートを得た。紫外線照射条件は、紫外線照射装置(アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS−4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04−L41)を使用し、紫外線照度:700mW/cm、積算光量:1000mJ/cmになるように試料板とランプの距離を調節した。
(8)粘着シートの物性評価
粘着シートの評価は、1)表面抵抗率測定、2)粘着力、3)透明性、4)被着体汚染性、5)経時安定性試験、により行った。
1)表面抵抗率測定
型板 (縦110×横110mm) を用い、カッターナイフで粘着シートを裁断し、表面抵抗率測定用試料を得た。JIS K 6911 に基づき、デジタルエレクトロメーター(R8252型:エーディーシー社製)を用いて表面抵抗値を測定した。
2)粘着力
温度23℃、相対湿度50%の条件下、被着体として鏡面処理されたステンレス板(SUS304)に、25mm幅に裁断した粘着シートの粘着剤塗布面を重さ2kgの圧着ローラを用いて2往復することにより加圧貼付し、同雰囲気下で30分間放置した。その後、引っ張り試験機(装置名:テンシロンRTA−100 ORIENTEC社製)を用いて、剥離速度300mm/分にて180°剥離強度(N/25mm)を測定した。
3)透明性
粘着シートの透明性を目視によって観察した。
◎:透明で表面が平滑;
○:透明だが凹凸がある;
△:僅かな曇りや凹凸がある;
×:極度な曇りや凹凸がある;
4)被着体汚染性
粘着シートを前述の粘着力の測定と同様に被着体に貼り付け、80℃、24時間放置した後、粘着シートを剥がした後の被着体表面の汚染を目視によって観察した。
◎:汚染なし;
○:ごく僅かに汚染がある;
△:僅かに汚染がある;
×:糊(粘着剤)残りがある;
5)経時安定性試験
前記(6)の(1)、(2)の方法により作製した粘着シートを、温度23℃、相対湿度50%の環境に4週間放置後、(8)− 1)〜4)の方法にて帯電防止組成物の特性評価を行った。
実施例及び比較例に用いた材料は以下の通りである。
AEF:2−アクリロイルオキシエチルフタル酸(共栄社化学社製 ライトアクリレートHOA−MPL(N))
APF:2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸(大阪有機化学工業社製 ビスコート#2100)
AM90G:メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート (新中村化学工業社製 NKエステルAM−90G)
AM130G:メトキシポリエチレングリコール#550アクリレート (新中村化学工業社製 NKエステルAM−130G)
M230G:メトキシポリエチレングリコール#1000メタクリレート(新中村化学工業社製 NKエステルM−230G)
AE−400:ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油社製 ブレンマーAE−400)
PLE−1300:ラウロキシ-ポリエチレングリコール-メタクリレート(日油社製 ブレンマーPLE−1300)
EPAA:3−エトキシプロピルアクリルアミド(KJケミカルズ社製)
HEAA:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(KJケミカルズ社製 HEAA)
LA:ラウリルアクリレート(大阪有機化学工業社製LA)
IOA:イソオクチルアクリレート(大阪有機化学工業社製IOAA)
STA:ステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製STA)
HMA:ヘキシルメタクリレート(東京化成工業社製)
LMA:ラウリルメタクリレート(東京化成工業社製)
AAc:アクリル酸(東京化成工業社製)
MAAc:メタクリル酸(東京化成工業社製)
AES:2−アクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学社製 ライトアクリレートHOA−MS(N))
ACMO:アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ社製 ACMO)
DEAA:N,N−ジエチルアクリルアミド (KJケミカルズ社製 DEAA)
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製 ライトアクリレートPE−3A)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製 A−DPH)
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(東京化成工業社製)
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業社製)
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート(東京化成工業社製)
BA:n−ブチルアクリレート(東京化成工業社製)
MEK:メチルエチルケトン(東京化成工業社製)
(アクリル系ポリマーの製造)
合成例イ−1(アクリル系ポリマー(1)の合成)
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置内に、AEF 29.1質量部、AM90G 100質量部、LA 52.9質量部、及びアゾイソブチロニトリル(AIBN)1.4質量部を1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)226質量部に混合溶解し、窒素気流下90℃で13時間反応させ、共重合体(P−1)の溶液を得た。反応終了後、水酸化リチウムの2%メタノール溶液を50.3質量部(AEFに対して1モル倍)滴下し、1時間撹拌した後、減圧法により溶剤を除去し、透明な粘調体として、アクリル系ポリマー(1)を得た。酸価測定の結果、0.1mgKOH/gであった。また、赤外吸収スペクトル(IR)により分析を行い、ビニル基由来の二重結合の特有吸収(1620cm−1)が完全に消失したことにより、目的のアクリル系ポリマー(1)の生成を確認した。
合成例イ−2〜18、比較合成例ロ−1〜7
表1(表1−1、表1−2)及び表2に示す単量体組成に変更する以外は、合成例イ−1と同様にしてアクリル系ポリマー(2〜18、19〜25)を得た。
Figure 0006855655
Figure 0006855655
Figure 0006855655
(帯電防止性コーティング組成物(コーティング膜)の作製)
実施例A−1
合成例イ−1で作製したアクリル系ポリマー(1)50質量部をメチルエチルケトン(MEK)120質量部に溶解したのち、不飽和基含有化合物としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)50質量部、光開始剤として、Darocure1173(BASF社製)3質量部を加え、均一に混合し、紫外線硬化可能な帯電防止性コーティング組成物溶液を得た。この帯電防止性コーティング組成物溶液を用い、前記の帯電防止性コーティング組成物の作成方法に従ってコーティング膜を作製し、前記の各種物性試験を行った。得られた結果を表3に示す。
実施例A−2〜12、比較例A−13〜18
実施例A−1と同様に帯電防止性コーティング組成物を作製し、前記の試験方法で各種物性を測定した。得られた結果を表3及び表4に示す。
Figure 0006855655
Figure 0006855655
(粘着剤ベースポリマーの製造)
製造例ハ−1
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置内に、酢酸エチル156質量部、2−エチルヘキシルアクリレート100質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4質量部を加え、撹拌しながら窒素ガスを導入して装置内の空気を窒素に置換した後、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4部を加え、還流温度まで昇温し、7時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈して、粘着剤ベースポリマー(ハ−1)の35%溶液[固形分35%、粘度3500mPa・s(25℃)]を得た。
製造例ハ−2〜5
表5に示す単量体組成に変更する以外は、製造例ハ−1と同様にしてアクリル系粘着剤ベースポリマー(ハ−2〜5)を得た。
Figure 0006855655
(帯電防止粘着剤の作製)
実施例B−1
粘着剤ベースポリマー(ハ−1)100質量部とアクリル系ポリマー(1)2質量部及び架橋剤としてトリレンジイソシアネート(TDI)2質量部を混合し、固形分濃度が20%となるようメチルエチルケトン(MEK)を加え、十分に撹拌して帯電防止粘着剤を得た。この帯電防止粘着剤を用い、前記の粘着シートの作製方法(1)に従って帯電防止粘着シート(タイプ1)を作製し、前記の各種物性試験を行った。得られた結果を表6に示す。
実施例B−2〜17、比較例B−18〜22
実施例1と同様に帯電防止粘着シートを作製し、前記の試験方法で各種物性を測定した。得られた結果を表6及び表7に示す。
Figure 0006855655
Figure 0006855655
Figure 0006855655
実施例C−1
合成例イ−1で作成したアクリル系ポリマー(1)3質量部を酢酸エチル50質量部に溶解したのち、製造例ハ−1で得た粘着剤ベースポリマー100質量部、不飽和基含有化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)15質量部、及び光開始剤として、Darocure1173(BASF社製) 2部を加え、均一に混合し、紫外線硬化可能な帯電防止性粘着剤組成物溶液を得た。この粘着剤組成物溶液を用い、前記の粘着シートの作製方法(2)に従い、塗膜及び紫外線照射を行い、粘着シート(タイプ2)を作製し、前記の各種物性試験を行った。得られた結果を表8に示す。
実施例C−2〜11、比較例C−12〜16
実施例C−1と同様に粘着シート(タイプ2)を作製し、前記の試験方法で各物性を測定した。得られた結果を表8及び表9に示す。
Figure 0006855655
Figure 0006855655
実施例と比較例の結果から、本発明のアクリル系ポリマー(1〜18)は、構成する2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)が中和されることにより発生する金属カチオンが、アルキレンオキシド基含有モノマー(b)のエーテル基の酸素原子に配位しやすくなり、金属カチオンのポリマー中での移動性が高まることによって高い帯電防止性を付与することができ、さらに炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリルモノマー(c)を加えることで、共重合体全体の親水性と疎水性のバランスや柔軟性をコントロールすることができた。さらに、(a)〜(c)の組成比が本発明の範囲内であれば、アクリル系ポリマーの溶解性と帯電防止性付与のバランスがよく、得られるコーティング膜(実施例A−1〜A−12)や粘着シート(実施例B−1〜B−17)の表面抵抗値が低く、帯電防止性能が高いものである。また、溶媒や多官能アクリレートとの相溶性に優れるため、塗膜の透明性、各種物性に優れるものであることが分かる。一方、合成比較例のアクリル系ポリマー16、17、24、26を用いた場合、金属カチオンが含まれないため、帯電防止性に劣る。また、合成比較例のアクリル系ポリマー22、23、25では、モノマー(a)〜(c)の3成分が揃わないため、金属カチオンの移動性や得られたポリマーの溶解性が低く、帯電防止性能や塗膜形成性が劣ることが分かる。また、多官能アクリレートとの相溶性に劣るため、得られたコーティング膜及び粘着シートの透明性、各種物性にも劣る結果となった。
実施例B−1〜14と実施例C−1〜11の結果から、本発明のアクリル系ポリマーを含有する帯電防止粘着シートは、少量の添加においても、表面抵抗値が低く、帯電防止性能に優れるものであり、アクリル系粘着ポリマーへの相溶性に優れるため、塗膜の透明性、粘着力を損なうことなく、被着体非汚染性にも優れるものである。また、経時的なブリード現象を抑制し、経時安定性も良好であることが分かる。
以上、説明してきたように、本発明のアクリル系ポリマーは、帯電防止性能と透明性に優れ、これを樹脂に添加した際には、樹脂のベースポリマーに対する相溶性に優れるため、コーティング剤樹脂や粘着剤樹脂中で適度に分散し、少量でも優れた帯電防止性能を発現することができる。本発明の帯電防止剤は、特にLCDを構成する偏光板などの光学部材や表面保護フィルムなどのコーティングや、貼り合せの際に用いる粘着剤に好適に用いられる。また、本発明の帯電防止剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂、ゴムなどへ混練させる際に相溶性が良く、均一に混合でき、少ない添加量でも高い帯電防止性能を与えることができるため、帯電防止性が要求される紫外線硬化型樹脂組成物、ハードコート用樹脂組成物、インク受容層組成物、導電性ロール(帯電ロール、現像ロール、転写ロール等)、半導体ウエハ加工用粘着シート及び、制電性フィルム、保護フィルムなどの樹脂にあらかじめ添加して使用する場合などにも好適に利用される。

Claims (13)

  1. 以下の(A)〜(C)に相当する構成単位を含有することを特徴とするアクリル系ポリマー。
    (A)2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸(a)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩
    (B)化1で表されるアルキレンオキシド基含有モノマー(b)
    (C)モノマー(a)及びモノマー(b)と共重合可能な炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリルモノマー(c)
    Figure 0006855655
    化1中、Zは酸素若しくはNHであり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rはメチレン基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rはメチル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基或いはアルケニル基、炭素数3〜30の環状アルキル基或いはアルケニル基、又はフェニル基であり、nは1〜30の整数である。)
  2. アクリル系ポリマーを構成するモノマーのモル比が、(a)/(b)/(c)=5〜70/10〜70/5〜70であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系ポリマー。
  3. カルボキシル基含有モノマー(d)が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩に相当する構成単位を1〜70モル%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアクリル系ポリマー。
  4. (メタ)アクリルアミドモノマー(e)((b)を除く)に相当する構成単位を0.05〜10モル%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマー。
  5. 金属カチオンはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる1種又は2種以上の金属カチオンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマー。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%〜100質量%含有することを特徴とする帯電防止剤。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%〜70質量%含有することを特徴とする帯電防止性コーティング組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%〜50質量%含有することを特徴とする帯電防止性粘着剤用アクリル樹脂組成物。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%〜50質量%含有し、さらに不飽和基含有化合物(f)及び重合開始剤(g)を含有し、活性エネルギー線により架橋されてなることを特徴とする帯電防止性粘着剤組成物。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系ポリマーを0.1質量%〜50質量%含有し、さらに架橋剤(h)を含有し、架橋剤(h)により架橋されてなることを特徴とする帯電防止性粘着剤組成物。
  11. シート状の支持体の少なくとも片面に、請求項9又は10に記載の帯電防止性粘着剤組成物を含有する粘着層が形成されてなる粘着シート。
  12. 樹脂フィルムに、請求項9又は10に記載の帯電防止性粘着剤組成物を含有する粘着層が形成されてなる光学部材用表面保護フィルム。
  13. 偏光フィルムからなる支持体の少なくとも片面に、請求項9又は10に記載の帯電防止性粘着剤組成物を含有する粘着層が形成されてなる偏光板。
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