(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るボイラシステム1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るボイラシステム1の概略を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のボイラシステム1は、給水タンク2と、複数台(3台)の脱気装置41〜43からなる脱気装置群3と、複数台(5台)のボイラ51〜55と、複数(5台)の給水ポンプ61〜65と、クッションタンク7と、ボイラ51〜55において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ8と、台数制御部としての脱気装置台数制御部10と、温度測定手段としての温度センサTEと、を備える。図1では、電気的な接続の経路を破線で示す。
また、ボイラシステム1は、補給水ラインL1と、給水ラインL2と、還流ラインL3と、給蒸ラインL4と、ドレンラインL5を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
補給水ラインL1は、補給水W1(例えば、軟水)を給水タンク2に供給するラインである。補給水ラインL1の上流側の端部は、補給水W1の供給源(例えば、硬水軟化装置)やドレン水が排出されるボイラ等の設備に接続されている。補給水ラインL1の下流側の端部は、給水タンク2に接続されている。
給水タンク2は、5台のボイラ51〜55に供給されるボイラ給水W2を貯留する。給水タンク2には、補給水ラインL1を介して供給される補給水W1、及びドレンラインL5を介して回収されるドレン水W5(蒸気凝縮水)が貯留される。すなわち、ドレン回収を伴うボイラシステムでは、補給水W1とドレン水W5の混合物がボイラ給水W2となる。
給水タンク2の内部の下部には、温度センサTEが配置される。温度センサTEは、給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2の温度を測定するセンサである。温度センサTEは、脱気装置台数制御部10と電気的に接続されている。温度センサTEで測定されたボイラ給水W1の温度(以下、「測定温度値」ともいう)は、脱気装置台数制御部10へ検出信号として送信される。
給水ラインL2は、給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2を、5台のボイラ51〜55に流通させるラインである。給水ラインL2は、第1給水ラインL21と、第2給水ラインL22と、を備える。
第1給水ラインL21は、ボイラ給水W2を、3台の脱気装置41〜43に向けて流通させるラインである。第1給水ラインL21の上流側の端部は、給水タンク2に接続されている。第1給水ラインL21の下流側の端部は、3台の脱気装置41〜43に向けてそれぞれ分岐し、接続部J11及びJ12を介して、3台の脱気装置41〜43の一次側入口ポートにそれぞれ接続されている。第1給水ラインL21を流通するボイラ給水W2は、脱気装置41〜43の脱気運転中において、3台の脱気装置41〜43にそれぞれ分配される。
3台の脱気装置41〜43は、給水ラインL2に並列に配置される。脱気装置41〜43は、給水ラインL2を流通されるボイラ給水W2を脱酸素処理して脱気水W3を製造する。脱気装置41〜43としては、タワー式脱酸素装置、膜式脱酸素装置、窒素置換式脱酸素装置等がある。本実施形態においては、高温のドレン水W5に対して耐熱性のあるタワー式脱酸素装置が用いられている。
タワー式脱気装置は、例えば「特開2007−260520号公報」に開示されているように、脱気塔、スプレーノズル、真空ポンプ、加圧ポンプ、吸引ポンプ等から構成されている。タワー式脱気装置は、減圧した脱気塔の内部へボイラ給水W2を微粒子で噴霧することで、水中に含まれる溶存酸素を除去し、脱気水W3を製造してボイラの腐食を抑制する。具体的には、タワー式脱気装置は、第1給水ラインL21から送水されるボイラ給水W2を加圧ポンプでスプレーノズルに供給し、減圧した脱気塔の内部へ微細な状態の水を噴霧する。脱気塔の内部に微細な状態の水を噴霧することで、真空ポンプで吸引した真空空間内での水が接触する表面積が増大して、水中から効率よく溶存酸素を除去することができる。脱気塔で製造された脱気水W3は、吸引ポンプにより、第2給水ラインL22に向けて送水される。
脱気装置41〜43は、脱気装置台数制御部10と電気的に接続されている。脱気装置台数制御部10からの運転の指令を受けて加圧ポンプが駆動されることで、ボイラ給水W2は、脱気装置41〜43に導入される。同時に、脱気装置台数制御部10からの運転の指令を受けて吸引ポンプが駆動されることで、脱気水(脱気されたボイラ給水)W3は、脱気装置41〜43から導出される。
第2給水ラインL22は、3台の脱気装置41〜43により脱気された脱気水W3を、5台のボイラ51〜55に向けて流通させるラインである。第2給水ラインL22の上流側の端部は、接続部J2を介して、3台の脱気装置41〜43に向けてそれぞれ分岐し、3台の脱気装置41〜43の二次側出口ポートにそれぞれ接続されている。第2給水ラインL22の下流側の端部は、5台のボイラ51〜55に向けてそれぞれ分岐し、接続部J31〜J34を介して、5台のボイラ51〜55にそれぞれ接続されている。第2給水ラインL22を流通する脱気水W3は、5台のボイラ51〜55にそれぞれ分配される。
具体的には、第2給水ラインL22には、複数台(3台)の脱気装置41〜43から5台のボイラ51〜55に向けて順に、複数台(3台)の脱気装置41〜43、接続部J2、接続部J4、接続部J31が設けられており、接続部J31の下流側において、接続部J32、接続部J33、接続部J34が順に設けられている。
接続部J31には、第1分岐給水ラインL221を介して、第1ボイラ51が接続されている。第1分岐給水ラインL221には、第1給水ポンプ61が設けられている。接続部J32には、第2分岐給水ラインL222を介して、第2ボイラ52が接続されている。第2分岐給水ラインL222には、第2給水ポンプ62が設けられている。
接続部J33には、第3分岐給水ラインL223を介して、第3ボイラ53が接続されている。第3分岐給水ラインL223には、第3給水ポンプ63が設けられている。接続部J34には、第4分岐給水ラインL224及び第5分岐給水ラインL225を介して、それぞれ、第4ボイラ54及び第5ボイラ55が接続されている。第4分岐給水ラインL224には、第4給水ポンプ64が設けられている。第5分岐給水ラインL225には、第5給水ポンプ65が設けられている。
5台の給水ポンプ61〜65は、それぞれ、第1分岐給水ラインL221〜第5分岐給水ラインL225を流通する脱気水W3を、対応する5台のボイラ51〜55に向けて吐出する。換言すると、5台の給水ポンプ61〜65は、3台の脱気装置41〜43で製造されて第2給水ラインL22を流通する脱気水W3を吸入し、5台のボイラ51〜55に向けて送り出す。5台の給水ポンプ61〜65それぞれが脱気水W3を5台のボイラ51〜55に送り出すタイミングは、対応する5台のボイラ51〜55のボイラ制御部502から送信される駆動信号により制御される。給水ポンプ61〜66は、対応する5台のボイラ51〜55のボイラ制御部502と電気的に接続されている。
ボイラ51〜55は、段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラから構成されている。段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。段階値制御ボイラからなる5台のボイラ51〜55には、それぞれ、各燃焼位置における燃焼量及び燃焼能力(高燃焼状態における燃焼量)が、等しく設定されている。
本実施形態におけるボイラ51〜55それぞれは、
1)燃焼停止状態(燃焼停止位置:0%)
2)低燃焼状態(低燃焼位置:50%)
3)高燃焼状態(高燃焼位置:100%)
の3段階の燃焼状態(燃焼位置、負荷率)に制御可能とされる、いわゆる3位置制御が行われるようになっている。この場合、高燃焼状態の燃焼量を1.0と捉えれば、各ボイラ51〜55の燃焼量は0.5刻みで変更することができることになる。
なお、N位置制御とは、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止状態を含めてN位置に段階的に制御可能なことを表す。燃焼位置の個数は、2位置(つまり、オン/オフのみ)、4位置(燃焼停止位置、低燃焼位置、中燃焼位置及び高燃焼位置)、又は5位置以上でもよい。
5台のボイラ51〜55それぞれは、図1に示すように、燃焼が行われるボイラ本体501と、各ボイラ51〜55の燃焼位置(燃焼状態)を制御するボイラ制御部502と、各ボイラ51〜55の内部の蒸気圧を測定する蒸気圧測定部503と、を有する。
蒸気圧測定部503は、例えば、蒸気圧センサ及び蒸気圧スイッチから、又は蒸気圧スイッチのみから構成され、各ボイラ51〜55の内部の蒸気圧を測定する。蒸気圧測定部503は、各ボイラ51〜55の制御を行う際に用いられる蒸気圧を測定する。
ボイラ制御部502は、各ボイラ51〜55を制御し、要求される負荷に応じて燃焼位置(燃焼状態)を変更させることが可能とされている。ボイラ制御部502は、蒸気圧測定部503により測定されるボイラ51〜55の内部の蒸気圧が高くなったときには燃焼位置を低い方に移行させて(燃焼停止位置への移行を含む)、蒸発量を減少させ、一方、ボイラ51〜55の内部の蒸気圧が低くなったときには燃焼位置を高い方に移行させて、蒸発量を増加させるように、各ボイラ51〜55の燃焼位置を制御する。
ボイラ制御部502は、各ボイラ51〜55における各測定装置に電気的に接続され、各測定装置から測定情報を受信する。また、ボイラ制御部502は、それぞれ、給水ポンプ61〜65に電気的に接続され、ボイラ本体501内のボイラ水の水位に応じて、脱気水W3をボイラ51〜55に向けて送り出すように給水ポンプ61〜66それぞれを制御する。ボイラ制御部502は、不図示のメモリを備える。ボイラ制御部502のメモリは、各ボイラの運転を実施する制御プログラムや、所定のパラメータや、各種テーブル等を記憶する。
接続部J4には、還流ラインL3の一端部が接続されている。還流ラインL3の他端部は、給水タンク2の底部に接続されている。還流ラインL3は、脱気装置41〜43で製造された脱気水W3のうち、5台のボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量を超えた脱気水W3の一部(超過分の脱気水W31)が流入されるラインである。
還流ラインL3の途中には、クッションタンク7が設けられている。クッションタンク7は、接続部J4を介して第2給水ラインL22から還流ラインL3に流入された超過分の脱気水W31を、脱気貯留水W4として貯留する。
脱気装置41〜43により製造された脱気水W3の量が5台のボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量を超えていた場合には、超過分の脱気水W31は、接続部J4を介して第2給水ラインL22から還流ラインL3に流入されて、脱気貯留水W4としてクッションタンク7に貯留される。クッションタンク7に貯留された脱気貯留水W4の量がクッションタンク7の許容容量を超えると、脱気貯留水W4は、還流ラインL3を介して、給水タンク2に向けて流出される。
一方、脱気装置41〜43により製造された脱気水W3の量が5台のボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量よりも少ない場合には、クッションタンク7に貯留された脱気貯留水W4は、還流ラインL3及び接続部J4を介して第2給水ラインL22に流入される。第2給水ラインL22に流入された脱気貯留水W4は、接続部J4において脱気水W3に合流されて、脱気水W3として5台のボイラ51〜55に供給される。
脱気装置台数制御部10は、各ボイラ51〜55のボイラ制御部502に電気的に接続されている。脱気装置台数制御部10は、脱気装置41〜43を効率よく運転するように、各脱気装置41〜43の台数制御を行う。脱気装置台数制御部10は、各ボイラ51〜55の燃焼位置などの信号を受信して、ボイラ51〜55の全体の燃焼量を算出し、脱気装置群3の各脱気装置41〜43に台数制御信号を送信する。これにより、脱気装置台数制御部10は、5台のボイラ51〜55の燃焼量に基づいて、脱気装置群3における脱気装置41〜43の運転台数を決定するように制御する。
脱気装置台数制御部10は、信号線を介して、温度センサTEの測定温度値を受信する。脱気装置台数制御部10は、温度センサTEの測定温度値に基づいて、脱気装置41〜43の運転台数の台数制御を行う。
ここで、ボイラ給水W2の溶存酸素量(DO値)は、ボイラ給水W2の温度に依存する。ボイラ給水W2の温度が高い場合には、ボイラ給水W2の温度が低い場合よりも、溶存酸素量が少ないことが知られている。例えば、大気圧において、ボイラ給水W2の温度が100℃の場合には、溶存酸素量は0(ゼロ)である。そして、ボイラ給水W2の温度が100℃から低下するにしたがって溶存酸素量は多くなる。そのため、脱気装置台数制御部10は、給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2の温度が高いほど、ボイラ給水W2の溶存酸素量が少ないため、脱気装置群3における脱気装置41〜43の運転台数を減少させるように制御する。
本実施形態のボイラシステム1は、5台のボイラ51〜55で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ8を介して、蒸気使用設備20に供給可能とされている。具体的には、蒸気ヘッダ8の上流側は、給蒸ラインL4を介して5台のボイラ51〜55に接続されている。蒸気ヘッダ8の下流側は、蒸気管81を介して蒸気使用設備20(負荷機器)に接続されている。蒸気ヘッダ8は、5台のボイラ51〜55で発生させた蒸気を集合させて溜め置くことにより、5台のボイラ51〜55それぞれの相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備20に供給するようになっている。
蒸気使用設備20において蒸気が熱源として使用され、蒸気の潜熱が奪われると、蒸気が凝縮水(ドレン水)に変化する。本実施形態のボイラシステム1は、蒸気使用設備20で発生した高温のドレン水W5を、ドレンラインL5を介して、給水タンク2に回収可能とされている。具体的には、ドレンラインL5の上流側は、蒸気使用設備20に接続されている。ドレンラインL5の下流側は、給水タンク2に接続されている。なお、ドレンラインL5の途中には、スチームトラップ(不図示)が設けられている。
次に、第1実施形態のボイラシステム1における3台の脱気装置41〜43の運転台数を制御する場合の動作について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。図2は、本発明の第1実施形態のボイラシステム1において脱気装置41〜43の運転台数を制御する動作を示すフローチャートである。
図2に示すステップST101において、脱気装置台数制御部10は、5台のボイラ51〜55それぞれの燃焼位置を取得する。次いで、ステップST102において、脱気装置台数制御部10は、取得した5台のボイラ51〜55それぞれの燃焼位置から、5台のボイラ51〜55の全体の燃焼量を算出する。
ステップST103において、脱気装置台数制御部10は、5台のボイラ51〜55の燃焼量に基づいて、脱気装置41〜43の運転台数を決定する。具体的には、5台のボイラ51〜55の燃焼量により各ボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量を算出して、脱気装置41〜43の運転台数を決定する。
ここで、一般的に、5台のボイラ51〜55の燃焼量が多い場合には、ボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量は多くなる。また、5台のボイラ51〜55の燃焼量が少ない場合には、ボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量は少なくなる。燃焼量に対応する脱気水W3の必要量(要求製造量)は、実験等により求められ、不図示のメモリに記憶されている。そして、脱気装置台数制御部10は、不図示のメモリに記憶される情報に基づいて、燃焼量から脱気水W3の必要量を求め、更に脱気装置41〜43毎の脱気水W3の製造可能量を参照して、脱気装置41〜43の運転台数を決定する。
ステップST104においては、脱気装置台数制御部10は、決定された台数の脱気装置41〜43に対して運転の指令を出す。これにより、決定された台数の脱気装置41〜43は、運転が開始され、脱気水W3を5台のボイラ51〜55に向けて導出する。また、給水ポンプ61〜65それぞれは、脱気装置41〜43により製造された脱気水W3を各ボイラ51〜55に送り出す。
ここで、3台の脱気装置41〜43により製造された脱気水W3の量が5台のボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量を超えた場合には、超過分の脱気水W31は、接続部J4を介して還流ラインL3に流入され、クッションタンク7に脱気貯留水W4として貯留される。一方、3台の脱気装置41〜43により製造された脱気水W3の量が5台のボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量よりも少ない場合には、クッションタンク7に貯留された脱気貯留水W4は、還流ラインL3から接続部J4を介して、第2給水ラインL22に流入される。これにより、脱気貯留水W4は、脱気装置41〜43により製造された脱気水W3に合流されて、脱気水W3として5台のボイラ51〜55に供給される。
ステップST105において、脱気装置台数制御部10は、温度センサTEの測定温度値、すなわち給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2の温度を取得する。次いで、ステップST106において、脱気装置台数制御部10は、測定温度値に基づいて、脱気装置41〜43の運転台数を調整する。具体的には、脱気装置台数制御部10は、測定温度値が高いほど、ステップST103で決定した運転台数を減少させるように制御する。測定温度値が高い場合には、ボイラ給水W2の溶存酸素量が少ないためである。
本実施形態においては、脱気装置台数制御部10は、測定温度値が50℃未満の場合には、脱気装置群3の運転台数の運転稼動率を100%とするように制御する。例えば、ステップST103で決定した運転台数が3台の場合には、運転台数をそのまま3台とする。また、脱気装置台数制御部10は、測定温度値が50℃〜70℃の場合には、脱気装置群3の運転台数の運転稼動率を67%とするように制御する。例えば、ステップST103で決定した運転台数が3台の場合には、運転台数を2台に減少させる。また、脱気装置台数制御部10は、測定温度値が70℃以上の場合には、脱気装置群3の運転台数の運転稼動率を33%とするように制御する。例えば、ステップST103で決定した運転台数が3台の場合には、運転台数を1台に減少させる。
ステップST107において、脱気装置台数制御部10は、調整された台数の脱気装置41〜43に対して運転の指令を出す。これにより、運転台数が調整された脱気装置41〜43は、運転が開始され、脱気水W3を5台のボイラ51〜55に向けて導出する。また、給水ポンプ61〜65それぞれは、脱気装置41〜43により製造された脱気水W3を各ボイラ51〜55に供給する。その後、本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
本実施形態のボイラシステム1によれば、例えば、次のような効果が奏される。本実施形態のボイラシステム1においては、5台のボイラ51〜55と、5台のボイラ51〜55に供給されるボイラ給水W2を貯留する給水タンク2と、給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2を5台のボイラ51〜55に流通させる給水ラインL2と、給水ラインL2に配置され、ボイラ給水W2を脱気して脱気水W3を製造する3台の脱気装置41〜43からなる脱気装置群3と、5台のボイラ51〜55の燃焼量に基づいて、脱気装置群3における脱気装置41〜43の運転台数を決定するように制御する脱気装置台数制御部10と、を備える。そのため、5台のボイラ51〜55の燃焼量に基づいて脱気装置41〜43の運転台数を決定することで、脱気装置群3は、脱気水W3を効率よく製造することができる。これにより、脱気装置群3における脱気水W3の製造コスト(例えば、電気料金)を低減することができる。
また、本実施形態のボイラシステム1においては、脱気装置台数制御部10は、給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2の温度が高いほど、脱気装置群3における脱気装置41〜43の運転台数を減少させるように制御する。ボイラ給水W2の温度が高いほど溶存酸素量が少ないため、脱気装置41〜43の運転台数を減少させることにより、脱気装置群3は、脱気水W3を効率よく製造することができる。これにより、脱気装置群3における脱気水の製造コストを一層低減することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るボイラシステム1Aについて、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係るボイラシステム1Aの概略を示す図である。
なお、第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
第2実施形態においては、ローカル流量計FM1〜FM5が設けられる点、5台のボイラ51〜55が脱気装置台数制御部10Aに電気的に接続されていない点、及び、脱気装置台数制御部10Aの機能において、第1実施形態と主に異なる。
図3に示すように、ローカル流量計FM1〜FM5それぞれは、第1分岐給水ラインL221、第2分岐給水ラインL222、第3分岐給水ラインL223、第4分岐給水ラインL224、第5分岐給水ラインL225に設けられる。ローカル流量計FM1〜FM5は、第1分岐給水ラインL221〜第5分岐給水ラインL225を流通する脱気水W3の流通量を、流量パルスにより検出可能である。ローカル流量計FM1〜FM5からの検出信号は、脱気装置台数制御部10Aへ入力される。ローカル流量計FM1〜FM5は、瞬間流量及び積算流量を検出可能に構成された流量センサであり、例えば、接線式流量センサや軸流式流量センサを利用することができる。
第2実施形態における脱気装置台数制御部10Aは、ローカル流量計FM1〜FM5に電気的に接続されている。また、第2実施形態における脱気装置台数制御部10Aは、第1実施形態とは異なり、各ボイラ51〜55のボイラ制御部502に電気的に接続されていない。
脱気装置台数制御部10Aは、脱気装置41〜43を効率よく運転するように、各脱気装置41〜43の台数制御を行う。脱気装置台数制御部10Aは、ローカル流量計FM1〜FM5により測定された流量に基づいて、5台のボイラ51〜55に供給される脱気水W3(ボイラ給水)の総給水量を算出し、脱気装置群3の各脱気装置41〜43に台数制御信号を送信する。これにより、第2実施形態における脱気装置台数制御部10Aは、5台のボイラ51〜55に供給される脱気水W3(ボイラ給水)の総給水量に基づいて、脱気装置群3における脱気装置41〜43の運転台数を決定するように制御する。
次に、第2実施形態のボイラシステム1Aにおける3台の脱気装置41〜43の運転台数を制御する場合の動作について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。図4は、本発明の第2実施形態のボイラシステム1Aにおいて脱気装置41〜43の運転台数を制御する動作を示すフローチャートである。
第2実施形態においては、第1実施形態のステップST101〜ST103の動作に代えて、ステップST201〜ST203の動作が適用される。第2実施形態のステップST204〜ステップST207の制御の動作は、第1実施形態のステップST104〜ステップST107の制御の動作と同じであるため、第1実施形態の制御の動作の説明を援用して、その説明を省略する。
図4に示すステップST201において、脱気装置台数制御部10Aは、ローカル流量計FM1〜FM5により測定された第1分岐給水ラインL221〜第5分岐給水ラインL225を流通する脱気水W3の流量をそれぞれ取得する。次いで、ステップST202において、脱気装置台数制御部10Aは、第1分岐給水ラインL221〜第5分岐給水ラインL225を流通する脱気水W3の流量から、5台のボイラ51〜55に供給される脱気水W3(ボイラ給水)の総給水量を算出する。
ステップST203において、脱気装置台数制御部10Aは、5台のボイラ51〜55の総給水量に基づいて、脱気装置41〜43の運転台数を決定する。具体的には、5台のボイラ51〜55に供給される脱気水W3(ボイラ給水)の総給水量により各ボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量を算出して、脱気装置41〜43の運転台数を決定する。
ここで、一般的に、5台のボイラ51〜55の総給水量が多い場合には、ボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量は多くなる。また、5台のボイラ51〜55の総給水量が少ない場合には、ボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量は少なくなる。総給水量に対応する脱気水W3の必要量(要求製造量)は、実験等により求められ、不図示のメモリに記憶されている。そして、脱気装置台数制御部10は、不図示のメモリに記憶される情報に基づいて、総給水量から脱気水W3の必要量を求め、更に脱気装置41〜43毎の脱気水W3の製造可能量を参照して、脱気装置41〜43の運転台数を決定する。
ステップST204〜ST207の動作は、第1実施形態のステップST104〜ST107の同様であるため、その説明を省略する。
第2実施形態のボイラシステム1Aによれば、第1実施形態のボイラシステム1と同様の効果が奏される。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るボイラシステム1について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係るボイラシステム1Bの概略を示す図である。
なお、第3実施形態では、主に第2実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第3実施形態において特に説明しない点については、第2実施形態の説明が適宜に適用される。
第3実施形態においては、第2実施形態におけるローカル流量計FM1〜FM5に代えて、総流量計FM10が設けられる点において、第2実施形態と主に異なる。第3実施形態における脱気装置台数制御部10Bは、総流量計FM10に電気的に接続されている。
図5に示すように、総流量計FM10は、第2給水ラインL22における測定部J10において、5台のボイラ51〜55に供給される脱気水W3の総流量を測定する。測定部J10は、第2給水ラインL22における5台のボイラ51〜55に分岐される部分よりも上流側において、接続部J4と接続部J31との間に設けられる。総流量計FM10は、第2給水ラインL22における測定部J10を流通する脱気水W3の流通量を、流量パルスにより検出可能である。総流量計FM10からの検出信号は、脱気装置台数制御部10Bへ入力される。総流量計FM10は、瞬間流量及び積算流量を検出可能に構成された流量センサであり、例えば、接線式流量センサや軸流式流量センサを利用することができる。
第3実施形態における脱気装置台数制御部10Bは、総流量計FM10に電気的に接続されている。
脱気装置台数制御部10Bは、脱気装置41〜43を効率よく運転するように、各脱気装置41〜43の台数制御を行う。脱気装置台数制御部10Bは、総流量計FM10により測定された流量に基づいて、5台のボイラ51〜55に供給される脱気水W3(ボイラ給水)の総給水量を算出し、脱気装置群3の各脱気装置41〜43に台数制御信号を送信する。これにより、第3実施形態における脱気装置台数制御部10Bは、5台のボイラ51〜55に供給される脱気水W3(ボイラ給水)の総給水量に基づいて、脱気装置群3における脱気装置41〜43の運転台数を決定するように制御する。
次に、第3実施形態のボイラシステム1Bにおける3台の脱気装置41〜43の運転台数を制御する場合の動作について説明する。第3実施形態のボイラシステム1Bにおける脱気装置41〜43の制御の動作は、図4における第2実施形態のステップST201〜ST203の動作の説明において、第2実施形態における「脱気装置台数制御部10A」を第3実施形態において「脱気装置台数制御部10B」と読み替え、第2実施形態における「ローカル流量計FM1〜FM5」を第3実施形態において「総流量計FM10」と読み替え、第2実施形態における「第1分岐給水ラインL221〜第5分岐給水ラインL225を流通する脱気水W3」を第3実施形態において「第2給水ラインL22における測定部J10を流通する脱気水W3」と読み替えることで適用される。第3実施形態におけるその他の制御の動作は、第2実施形態の制御の動作と同様であるため、第2実施形態の制御の動作の説明を援用して、その説明を省略する。
第3実施形態のボイラシステム1Bによれば、第1実施形態のボイラシステム1及び第2実施形態のボイラシステム1Aと同様の効果が奏される。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るボイラシステム1Cについて、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の第4実施形態に係るボイラシステム1Cの概略を示す図である。
なお、第4実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第3実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
第4実施形態においては、脱気装置40が1台で構成される点、及び、第1実施形態における脱気装置台数制御部10に代えて脱気装置個別制御部11で構成される点において、第1実施形態と主に異なる。
図6に示すように、1台の脱気装置40は、給水ラインL2において、給水タンク2と接続部J4との間に配置される。
脱気装置個別制御部11は、5台のボイラ51〜55の燃焼量に基づいて1台の脱気装置40を運転又は停止させるように制御する。具体的には、脱気装置個別制御部11は、5台のボイラ51〜55の全体の燃焼量が所定の燃焼量閾値を上回る場合に、1台の脱気装置40を運転するように制御する。また、脱気装置個別制御部11は、5台のボイラ51〜55の全体の燃焼量が所定の燃焼量閾値を下回る場合に、1台の脱気装置40を停止するように制御する。なお、所定の燃焼量閾値は、脱気水W3の最大製造可能量に相当する。
脱気装置個別制御部11は、給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2の温度が高いほど、ボイラ給水W2の溶存酸素量が少ないため、給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2の測定温度値が所定の温度閾値を上回る場合に、1台の脱気装置40を停止させるように制御する。
次に、第4実施形態のボイラシステム1Cにおける1台の脱気装置40の制御の動作について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。図7は、本発明の第4実施形態のボイラシステム1Cにおいて脱気装置40の運転を制御する動作を示すフローチャートである。
図7に示すステップST301において、脱気装置個別制御部11は、5台のボイラ51〜55それぞれの燃焼位置を取得する。次いで、ステップST302において、脱気装置個別制御部11は、取得した5台のボイラ51〜55それぞれの燃焼位置から、5台のボイラ51〜55の全体の燃焼量を算出する。
ステップST303において、脱気装置個別制御部11は、5台のボイラ51〜55の燃焼量に基づいて、脱気装置40を運転させる。すなわち、ボイラ51〜55が稼動中であって燃焼量がゼロでなければ、脱気装置個別制御部11は、脱気装置40に対して運転の指令を出す。これにより、1台の脱気装置40は、運転が開始され、脱気水W3を5台のボイラ51〜55に向けて導出する。また、給水ポンプ61〜65それぞれは、脱気装置40により製造された脱気水W3を各ボイラ51〜55に送り出す。
ここで、脱気装置40により製造された脱気水W3の量が5台のボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量を超えた場合には、超過分の脱気水W31は、接続部J4を介して還流ラインL3に流入され、クッションタンク7に脱気貯留水W4として貯留される。一方、脱気装置40により製造された脱気水W3の量が5台のボイラ51〜55が必要とする脱気水W3の量よりも少ない場合には、クッションタンク7に貯留された脱気貯留水W4は、還流ラインL3から接続部J4を介して、第2給水ラインL22に流入される。これにより、脱気貯留水W4は、脱気装置40により製造された脱気水W3に合流されて、脱気水W3として5台のボイラ51〜55に供給される。
ステップST304において、脱気装置個別制御部11は、温度センサTEの測定温度値、すなわち給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2の温度を取得する。次いで、ステップST305において、脱気装置個別制御部11は、測定温度値が所定の温度閾値を上回るか否かを判定する。測定温度値が所定の温度閾値を上回る場合(YES)には、処理は、ステップST306に進む。一方、測定温度値が所定の温度閾値を下回る場合(NO)には、処理は、ステップST301に戻る。
ステップST306において、脱気装置個別制御部11は、脱気装置40を停止させるように制御する。測定温度値が高い場合には、ボイラ給水W2の溶存酸素量が少ないためである。例えば、脱気装置個別制御部11は、測定温度値が90℃以上の場合には、脱気装置40を停止させるように制御する。ステップST306の後、本フローチャートの処理は終了する(ステップST301へリターンする)。
第4実施形態のボイラシステム1Cによれば、脱気装置個別制御部11は、5台のボイラ51〜55の燃焼量に基づいて1台の脱気装置40を運転又は停止させるように制御すると共に、給水タンク2に貯留されるボイラ給水W2の測定温度値が所定の温度閾値を上回る場合に、1台の脱気装置40を停止させるように制御する。そのため、5台のボイラ51〜55の燃焼量やボイラ給水W2の測定温度値に基づいて、1台の脱気装置40を運転させたり停止させたりすることができる。これにより、脱気装置40は、脱気水W3を効率よく製造することができる。従って、脱気装置40における脱気水W3の製造コスト(例えば、電気料金)を低減することができる。
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。例えば、前述の実施形態においては、ボイラとして、複数段階の燃焼位置(N位置)で段階的に制御可能な段階値制御方式のボイラを使用したが、これに制限されず、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な比例制御方式のボイラを使用してもよい。
また、前述の実施形態においては、脱気装置の台数を1台又は3台としたが、これに制限されない。例えば、脱気装置の数を2台で構成してもよいし、4台以上で構成してもよい。
ここで、例えば、脱気装置の台数を10台で構成した場合において、前述の第1実施形態のステップST106の制御と同様に、ボイラ給水W2の温度に基づいて、脱気装置の運転台数を調整することができる。具体的には、脱気装置台数制御部10は、測定温度値が50℃未満の場合には、脱気装置群の運転台数の運転稼動率を100%とするように制御する。例えば、燃焼量又は給水量に基づいて決定した運転台数が10台の場合には、運転台数をそのまま10台とする。また、脱気装置台数制御部10は、測定温度値が50℃〜70℃の場合には、脱気装置群の運転台数の運転稼動率を70%とするように制御する。例えば、燃焼量又は給水量に基づいて決定した運転台数が10台の場合には、運転台数を7台に減少させる。また、脱気装置台数制御部10は、測定温度値が70℃〜90℃の場合には、脱気装置群の運転台数の運転稼動率を50%とするように制御する。例えば、燃焼量又は給水量に基づいて決定した運転台数が10台の場合には、運転台数を5台に減少させる。また、脱気装置台数制御部10は、測定温度値が90℃以上の場合には、脱気装置の運転台数の運転稼動率を30%とするように制御する。例えば、燃焼量又は給水量に基づいて決定した運転台数が10台の場合には、運転台数を3台に減少させる。
また、前述の実施形態においては、ボイラの数を5台としたが、これに制限されない。例えば、ボイラの数を、1台〜4台で構成してもよいし、6台以上で構成してもよい。
また、前述の第4実施形態においては、5台のボイラの燃焼量に基づいて脱気装置40を運転又は停止させるように制御したが、これに制限されない。例えば、第4実施形態のボイラシステム1Cに、第2実施形態のボイラシステム1Aを適用して、ローカル流量計FM1〜FM5により測定される脱気水W3(ボイラ給水)の総給水量に基づいて、脱気装置40を運転又は停止させるように制御してもよいし、第4実施形態のボイラシステム1Cに、第3実施形態のボイラシステム1Bを適用して、総流量計FM10により測定される脱気水W3(ボイラ給水)の総給水量に基づいて、脱気装置40を運転又は停止させるように制御してもよい。