JP2015040313A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸発源の溶融粒子の皮膜への混入を抑制しつつ、処理物の表面にイオンを堆積させて皮膜を形成し、処理物の表面粗度を改善することができる簡易な構成の成膜装置を提供する。【解決手段】アーク放電によってイオンmを放出する筒状の蒸発源2と、該蒸発源2の内部空間21と連通する成膜室3と、内部空間21に放出されたイオンmと蒸発源2の溶融粒子Dのうちイオンmを選択的に成膜室3へ供給する分離手段5とを備え、成膜室3に収容した処理物Wの表面にイオンmを堆積させて成膜する成膜装置。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばアークイオンプレーティング法に用いられる成膜装置に関する。
アークイオンプレーティング(Arc Ion Plating:以下AIPと略称する)法は、真空アーク放電を利用して固体材料を蒸発させるイオンプレーティング法の一種であり、蒸発した材料のイオン化率が高く、密着性に優れた皮膜を形成することができる成膜方法である。
AIP法では、真空雰囲気においてターゲット(蒸発源)をカソード(陰極)とし、アノード(陽極)との間で真空アーク放電を発生させ、ターゲット表面の材料を蒸発及びイオン化させ、負のバイアス電圧を印加したワーク(処理物)表面にイオンを堆積させることによって皮膜を形成する。
例えばAIP法による成膜に用いられる成膜装置として、筒状の蒸発源と該蒸発源の内部を密閉空間とする密閉面とで容器を形成し、真空状態の前記容器内で前記蒸発源を放電させることによって、前記容器内に配置した処理物の表面に皮膜を生成する装置が提案されている(下記特許文献1を参照)。
また、蒸発源が載置される陰極の背面中央に中央磁石を設け、ワークの背面に補助磁石を設け、中央磁石と補助磁石とを異なる曲を対向させて配置し、ワークの成膜面の磁束密度が13mT以上14mT以下となるように設定したAIP装置が提案されている(下記特許文献2を参照)。
特開2013−36106号公報 特開2013−108136号公報
AIP法では、アーク放電によってターゲット表面のアークスポットに高密度の電流が集中し、ターゲット表面の材料が蒸発及びイオン化するが、副次的にターゲット材料の溶滴である電気的に中性なドロップレット(以下、溶融粒子とも称する)が発生し、皮膜に混入して表面粗さが悪化するという問題がある。
特許文献1に記載の成膜装置は、真空状態の容器内で蒸発源を放電させて処理物の表面に皮膜を形成する際の成膜効率を簡易な構成で向上させることができるが、前記問題に対処して皮膜の表面粗度を改善することが課題となる。
特許文献2に記載のアークイオンプレーティング装置では、中央磁石と補助磁石との間の空間の磁力が高められ、ワーク近傍のプラズマ密度が上昇し、ワーク表面へ堆積するイオンの密度が上昇し、ワーク表面に密度の高い緻密な皮膜を成膜することができるとされている。しかし、中央磁石と補助磁石の配置によって装置が複雑化するという課題がある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、蒸発源の溶融粒子の皮膜への混入を抑制しつつ、処理物の表面にイオンを堆積させて皮膜を形成し、処理物の表面粗度を改善することができる簡易な構成の成膜装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明の成膜装置は、アーク放電によってイオンを放出する筒状の蒸発源と、該蒸発源の内部空間と連通する成膜室と、前記内部空間に放出された前記イオンと前記蒸発源の溶融粒子のうち前記イオンを選択的に前記成膜室に供給する分離手段と、を備え、前記成膜室に収容した処理物の表面に前記イオンを堆積させて成膜する。
本発明の成膜装置が備える筒状の蒸発源の内部空間は密閉空間であり、アーク放電によって蒸発源の内周面から発生したイオンが放出される空間である。成膜室は、蒸発源の内部空間と連通するように隔壁によって画成された密閉空間であり、蒸発源と隣接して蒸発源と共に成膜装置のチャンバーを構成している。蒸発源の内部空間及び成膜室は、例えば適宜の真空装置によって高真空状態にされる。蒸発源を構成する材料は処理物に形成する皮膜の材料に応じて選択され、特に限定されないが、例えばTi(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)等を用いることができる。高真空状態にされた蒸発源の内部空間及び成膜室には、適宜のガス供給手段によって、例えばN2(窒素)、Ar(アルゴン)、炭化水素等のガスが供給される。
蒸発源に外部電源から電圧を加え、成膜室に収容した処理物にバイアス電源によってバイアス電圧を加えることでアーク放電が生じ、蒸発源の内周面のアークスポットに高密度の電流が集中してイオンが発生する。この時、副次的に蒸発源を構成する材料の溶滴である溶融粒子が発生する。この溶融粒子が皮膜に混入すると、皮膜の表面粗さが悪化する虞がある。
本発明の成膜装置は、溶融粒子の皮膜への混入を抑制するために、内部空間に放出されたイオンと前記蒸発源の溶融粒子のうち、イオンを選択的に成膜室へ供給する分離手段を備える。分離手段は、例えば、蒸発源の内部空間に隣接して成膜室と反対の位置に配置された磁場生成部を備える。磁場生成部は、例えば電磁コイルや永久磁石によって構成され、内部空間のイオンに対して成膜室へ向く力を及ぼす磁場を生成する。
前記したアーク放電によって蒸発源の内部空間にはイオンだけでなく溶融粒子が放出されるが、イオンは荷電粒子であり、溶融粒子は電気的に中性の粒子である。そのため、前記磁場によってイオンには成膜室へ向く力が作用するが、溶融粒子にはこのような力が作用しない。これにより、イオンが蒸発源の内部空間から成膜室へ移動する一方、溶融粒子は、例えば蒸発源の内部空間を横切って発生位置と反対側の蒸発源の内表面に付着する。このようにして、イオンと溶融粒子を含む内部空間からイオンのみが分離されて選択的に成膜室へ供給される。
なお、前記分離手段は、磁場生成部に替えて、蒸発源の内部空間と成膜室とを区画する仕切部材と、蒸発源の内部空間の圧力を成膜室の圧力よりも高くする圧力制御手段とによって構成することも可能である。
仕切部材は、蒸発源から発生するイオンを通過させる複数の開口を備える。該開口の径は、溶融粒子の平均粒径以下である。例えば、許容される溶融粒子の平均粒径が0.3μmの場合には、仕切部材の開口の径を0.3μm以下とする。溶融粒子の平均粒径は、例えば、分離手段を用いることなく処理物の表面に成膜した皮膜を走査型プローブ顕微鏡、触針式の表面粗さ計等によって走査して、皮膜に混入した複数の溶融粒子の粒径を測定し、測定した粒径の平均値を算出することによって得ることができる。
圧力制御手段は、例えば、蒸発源の内部空間、又は、成膜室及び蒸発源の内部空間に接続された真空ポンプと、蒸発源の内部空間及び成膜室の圧力を測定する圧力計と、蒸発源の内部空間及び成膜室の圧力目標値に基づいて真空ポンプを制御する制御部と、を備える。
圧力制御手段によって蒸発源の内部空間の圧力を成膜室の圧力よりも高くすることで、蒸発源の内部空間に供給されたガスが成膜室へ向けて流れ、蒸発源の内部空間のイオンと溶融粒子は、蒸発源の内部空間に供給されたガスと共に成膜室へ移動しようとする。しかし、イオンを通過させる仕切部材の開口は、許容される溶融粒子の粒径以下に形成されるため、許容される粒径よりも大きい粒径の溶融粒子の通過が阻止される。これにより、イオンと溶融粒子を含む内部空間から、イオンが分離されて選択的に成膜室に供給される。
以上の説明から理解できるように、本発明の成膜装置によれば、簡易な構成の円筒状の蒸発源を用い、該蒸発源の内部空間に放出されたイオンと溶融粒子のうちイオンを選択的に成膜室に供給する分離手段を備えることで、成膜室内の処理物の表面に蒸発源の溶融粒子の混入を抑制しつつイオンを堆積させて皮膜を形成し、処理物の表面粗度を改善することができる。
本発明の実施形態1に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態2に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 (a)は本発明の実施例に係る成膜装置によって成膜した皮膜の模式断面図であり、(b)は比較例に係る成膜装置によって成膜した皮膜の模式断面図である。
以下、図面を参照して本発明の成膜装置の実施形態について説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る成膜装置1Aの概略構成を示す模式図である。
成膜装置1Aは、アーク放電によってイオンmを放出する蒸発源2と、処理物Wを収容する成膜室3とを備え、処理物Wの表面にイオンmを堆積させて成膜する装置である。
蒸発源2は、例えば円筒状に形成され、内側に内部空間21を有している。蒸発源2を構成する材料は、処理物Wの表面に形成する皮膜の材質によって、例えばTi(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)等の金属材料から選択される。蒸発源2は、外部電源Eaに接続されて放電電流が供給され、アーク放電によって構成材料のイオンmを内部空間21に放出する。蒸発源2の中心軸CL方向における一端側の上方開口22は蓋体23によって密閉封止され、他端側の下方開口24は隣接する成膜室3に連通している。蓋体23は、不図示の絶縁体を介して蒸発源2の上方開口22を封止すると共に、蒸発源2と電気的に絶縁されて接地されている。蒸発源2は、円筒状に限られず、例えば楕円筒状、角筒状等の筒状に形成してもよい。
成膜室3は、蒸発源2に対応する形状の有底筒状の隔壁31によって画成された空間であり、上端部に蒸発源2の下方開口24と接続される入口32を有している。成膜室3の隔壁31は、上端が不図示の絶縁体を介して蒸発源2の下端と気密に連結され、蒸発源2と電気的に絶縁されると共に接地されている。成膜室3及び蒸発源2の内部空間21は、互いに連通する密閉空間であり、成膜装置1Aの真空チャンバーを構成している。成膜室3及び蒸発源2の内部空間21は、例えば真空ポンプP等の真空装置によって高真空状態にされ、適宜のガス供給手段Gによって、例えばN2(窒素)、Ar(アルゴン)、炭化水素等のガスが供給される。成膜室3には、成膜装置1Aによって表面に皮膜を形成する処理物Wが収容される。処理物Wは、適宜の保持構造によって成膜室3の内部に収容配置され、バイアス電源Ebに接続される。
蒸発源2の径方向外側には、蒸発源2の中心軸CL方向に離間した上部電磁コイル41と下部電磁コイル42が、蒸発源2を周方向に囲むように設置されている。上部電磁コイル41は、蒸発源2の上方開口22の近傍に配置され、蒸発源2の上方開口22に対向する位置から見た上面視で反時計回りに電流が流れるように、上部コイル電源E1に接続されている。下部電磁コイル42は、蒸発源2の下方開口24の近傍に配置され、蒸発源2の下方開口24に対向する位置から見た下面視で反時計回りに電流が流れるように、下部コイル電源E2に接続されている。
蒸発源2に外部電源Eaによって放電電流を供給し、成膜室3に収容した処理物Wにバイアス電源Ebによってバイアス電圧を加えることでアーク放電が生じ、蒸発源2の内周面のアークスポットに高密度の電流が集中してイオンmが発生する。この時、副次的に蒸発源2を構成する材料の溶滴である溶融粒子Dが発生する。この溶融粒子Dが処理物Wの表面の皮膜に混入すると、皮膜の表面粗さが悪化する虞がある。
本実施形態の成膜装置1Aは、蒸発源2の内部空間21に放出されたイオンmと溶融粒子Dのうち、イオンmを選択的に成膜室3に供給する分離手段5を備えている。分離手段5は、蒸発源2の周囲に配置された磁場生成部51を備えている。磁場生成部51は、筒状の蒸発源2の中心軸CL方向において成膜室3と反対の位置に設けられたイオン分離用の電磁コイル52と外部電源Ecによって構成されている。電磁コイル52は、その中心軸が蒸発源2の中心軸CLと平行になるように、蒸発源2の上方開口22及び蓋体23と対向する位置に配置され、蒸発源2の上方開口22に対向する位置から見た上面視で時計回りに電流が流れるように、外部電源Ecに接続されている。
なお、本実施形態では電磁コイル52及び外部電源Ecによって磁場生成部51を構成しているが、内部空間21のイオンmに対して成膜室3へ向く力F2が作用する磁場を生成するものであれば、電磁コイル52に限られず、例えば永久磁石によって磁場生成部51を構成してもよい。
本実施形態の成膜装置1Aによって処理物Wの表面に成膜する際には、まず、不図示の保持構造によって処理物Wを保持して成膜室3内に収容配置する。次に、蒸発源2の内部空間21と成膜室3によって構成される真空チャンバーを真空ポンプPによって高真空状態にすると共に、ガス供給手段Gによって例えばN2、Ar、炭化水素等のガスを供給する。そして、外部電源Eaによって蒸発源2に放電電流を供給し、バイアス電源Ebによって処理物Wに所定のバイアス電圧を加える。また、蒸発源2の外周の上部電磁コイル41と下部電磁コイル42に上部コイル電源E1と下部コイル電源E2によって電流を供給する。さらに、イオン分離用の電磁コイル52に外部電源Ecによって電流を供給する。これにより、蒸発源2の内周面においてアーク放電が生じてイオンmが放出されるが、蒸発源2の内周面が溶融して溶滴である溶融粒子Dが内部空間21に副次的に放出される。
蒸発源2の内部空間21に放出されたイオンmは、蒸発源2を構成する金属材料がイオン化して生成された荷電粒子である。そのため、上部電磁コイル41と下部電磁コイル42が生成する磁場B1,B2によって、イオンmに蒸発源2の内周面から中心線CLに向かう方向の力F1が作用する。同時に、イオン分離用の電磁コイル52が生成する磁場B3によって、イオンmに蒸発源2の内部空間21から成膜室3へ向かう方向の力F2が作用する。この成膜室3へ向かう方向の力F2によって、イオンmが蒸発源2の内部空間21から成膜室3へ移動する。一方、蒸発源2の内部空間21に放出された溶融粒子Dは、電気的に中性の粒子であり、磁場B1,B2,B3による力が作用しない。
すなわち、分離手段5は、磁場生成部51を構成する電磁コイル52が生成する磁場B3によって、内部空間21に放出されたイオンmと溶融粒子Dのうち、イオンmのみに成膜室3へ向かう力F2を作用させ、内部空間21からイオンmを分離して選択的に成膜室3に供給する。換言すると、電磁コイル52を筒状の蒸発源2の上方開口22に対向する位置に設置し、下方開口24に連通する成膜室3を設けることで、内部空間21からイオンmのみを移動させた成膜室3とすることができる。これにより、成膜室3内の処理物Wの表面に溶融粒子Dが到達することが抑制され、成膜室3に供給されたイオンmが処理物Wの表面に堆積して皮膜が形成される。
したがって、本実施形態の成膜装置1Aによれば、成膜室3内の処理物Wの表面に蒸発源2の溶融粒子Dの混入を抑制しつつイオンmを堆積させて皮膜を形成し、処理物Wの表面粗度を改善することができる。また、処理物Wの表面に平滑な皮膜を形成することで、皮膜形成後の処理物Wのラップ工程(平滑化工程)を省略することが可能になる。また、従来用いられてきた外部磁場を設置した湾曲状のプラズマ輸送管が不要な簡易な構成の成膜装置とすることができる。
また、成膜装置1Aは、真空チャンバーを兼ねた筒状の蒸発源2を備えているので、装置の構成を簡易にすることができるだけでなく、処理物Wの周囲360°を同時に成膜することができ、処理物Wに対する高速成膜が可能になる。
なお、蒸発源2の内部空間21に放出された溶融粒子Dには磁場B1,B2,B3による力が作用せず、蒸発源2の内周面から放出された溶融粒子Dは、内部空間21を直進する。ここで、蒸発源2が筒状に形成されていることから、蒸発源2の内周面から放出された溶融粒子Dは、内部空間21を横切って蒸発源2の内周面に付着する。これにより、蒸発源2の減耗が抑制され、蒸発源2の寿命を延長することができる。
[実施形態2]
次に、本発明の成膜装置の実施形態2について説明する。図2は、本実施形態の成膜装置1Bの概略構成を示す模式図である。
本実施形態の成膜装置1Bは、分離手段5として、前述の実施形態1で説明した磁場生成部51に替えて、仕切部材53と圧力制御手段54を備えている。本実施形態の成膜装置1Bのその他の構成は、実施形態1の成膜装置1Aと同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態の成膜装置1Bは、分離手段5として、蒸発源2の内部空間21と成膜室3とを区画する仕切部材53と、蒸発源2の内部空間21の圧力を成膜室3の圧力よりも高くする圧力制御手段54とを備えている。
仕切部材53は、蒸発源2から発生するイオンmを通過させる複数の開口53aを備える。溶融粒子Dの粒径は、例えば、分離手段5を用いることなく成膜した皮膜を走査型プローブ顕微鏡、触針式の表面粗さ計等によって走査して、皮膜に混入した複数の溶融粒子Dの粒径を測定し、その平均値を算出することによって得ることができる。
圧力制御手段54は、蒸発源2の内部空間21を高真空状態にする第1の真空ポンプP1と、成膜室3を高真空状態にする第2の真空ポンプP2を備えている。また、圧力制御手段54は、蒸発源2の内部空間21及び成膜室3の圧力をそれぞれ測定する圧力計PG1,PG2と、真空ポンプP1,P2を制御する制御部CPを備えている。制御部CPは、圧力計PG1,PG2の測定値と、蒸発源2の内部空間21及び成膜室3の圧力目標値とに基づいて真空ポンプP1,P2を駆動させ、蒸発源2の内部空間21の圧力を成膜室3の圧力よりも高く維持する。
本実施形態の成膜装置1Bによって処理物Wの表面に成膜する際には、実施形態1と同様に、成膜室3内に処理物Wを収容配置し、蒸発源2の内部空間21と成膜室3を高真空状態にしてガスを供給する。また、蒸発源2の外周の上部電磁コイル41と下部電磁コイル42に、上部コイル電源E1と下部コイル電源E2によって電流を供給する。ここで、上部電磁コイル41及び下部電磁コイル42は、上部電磁コイル41と下部電磁コイル42の間に発生するアーク放電を閉じ込めるために機能する。
さらに、圧力制御手段5は、制御部CPによって第1及び第2の真空ポンプP1,P2を駆動させ、蒸発源2の内部空間21の圧力を成膜室3の圧力よりも高くする。これにより、蒸発源2の内部空間21に供給されたガスが成膜室3へ向けて流れ、蒸発源2の内部空間21のイオンmと溶融粒子Dは、蒸発源2の内部空間21に供給されたガスと共に成膜室3へ移動しようとする。しかし、蒸発源2の内部空間21と成膜室3は、複数の開口53aを有する仕切部材53によって区画されている。
仕切部材53の開口53aは、蒸発源2の内部空間21から成膜室3へ流れるガスと共にイオンmを通過させる。これにより、イオンmと溶融粒子Dを含む内部空間21から、イオンmが分離されて選択的に成膜室3に供給される。成膜室3に供給されたイオンmは、処理物Wの表面に堆積して皮膜を形成する。すなわち、蒸発源2の内部空間21の圧力を成膜室3の圧力よりも高く保つことで、蒸発源2の内部空間21から、主にイオン種からなるプラズマのみが成膜室3に拡散してくる。成膜装置1Bでは、成膜室3に拡散したプラズマを用いて処理物Wの表面に皮膜を形成することができる。
したがって、本実施形態の成膜装置1Bによれば、実施形態1の成膜装置1Aと同様に、成膜室3内の処理物Wの表面に蒸発源2の溶融粒子Dの混入を抑制しつつイオンmを堆積させて皮膜を形成し、処理物Wの表面粗度を改善することができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
以下、前述の実施形態1に基づく本発明の成膜装置の実施例と、該実施例と比較するための成膜装置の比較例について説明する。
[実施例]
図1に示す成膜装置1Aの蒸発源2の材料としてTiを用い、成膜室3に直径10mm、長さ10mmの円柱状の処理物Wを収容配置し、蒸発源2の内部空間21及び成膜室3の圧力を0.2Paの高真空状態に維持し、蒸発源2の内部空間21及び成膜室3にArガスを20sccmの流量で供給した。また、外部電源Eaによって蒸発源2に55Aの放電電流を供給し、バイアス電源Ebによって処理物Wに200Vのバイアス電圧を加えた。さらに、上部コイル電源E1によって上部電磁コイル41に3.5Aの電流を供給し、下部コイル電源E2によって下部電磁コイル42に3.5Aの電流を供給し、外部電源Ecによってイオン分離用の電磁コイル52に20Aの電流を供給し、処理物Wの表面に皮膜を形成した。図3(a)に、実施例の成膜装置によって処理物Wの表面に成膜された皮膜Cの模式断面図を示す。
次に、実施例の成膜装置によって形成された皮膜Cの表面を、触針式の表面粗さ計で20mmの距離に亘って走査し、皮膜Cに混入した溶融粒子Dの大きさと個数を測定した。その結果を以下の表1に示す。
Figure 2015040313
[比較例]
図1に示す成膜装置1Aからイオン分離用の電磁コイル52及び成膜室3を除去し、蒸発源2の下方開口24を上方開口22と同様に蓋体23によって封止した比較例の成膜装置を用い、蒸発源2の内部空間21に直径10mm、長さ10mmの円柱状の処理物Wを収容配置した。次に、実施例と同様に、蒸発源2の内部空間21の圧力を0.2Paの高真空状態に維持し、蒸発源2の内部空間21にArガスを20sccmの流量で供給した。また、実施例と同一の条件で蒸発源2に放電電流を供給し、処理物Wにバイアス電圧を加え、上部電磁コイル41及び下部電磁コイル42に電流を供給し、処理物Wの表面に皮膜を形成した。図3(b)に、比較例の成膜装置によって処理物Wの表面に形成された皮膜Xの模式断面図を示す。
次に、比較例の成膜装置によって形成された皮膜Xの表面を、実施例と同様に触針式の表面粗さ計で20mmの距離に亘って走査し、皮膜Xに混入した溶融粒子Dの大きさと個数を測定した。その結果を以下の表2に示す。
Figure 2015040313
表1及び表2の結果から、本発明の実施例の成膜装置によって成膜した皮膜は、図3(a)に示すように、皮膜Cへの溶融粒子Dの混入が抑制された状態で処理物Wの表面にイオンmが堆積され、処理物Wの表面粗度が改善されることが確認された。一方、比較例の成膜装置によって成膜した皮膜Xは、図3(b)に示すように、実施例において形成した皮膜Cと比較して多くの溶融粒子Dが皮膜Xに混入し、処理物Wの表面粗度が悪化することが確認された。
1A,1B…成膜装置、2…蒸発源、21…内部空間、3…成膜室、5…分離手段、51…磁場生成部、53…仕切部材、53a…開口、54…圧力制御手段、D…溶融粒子、m…イオン、W…処理物

Claims (3)

  1. アーク放電によってイオンを放出する筒状の蒸発源と、該蒸発源の内部空間と連通する成膜室と、前記内部空間に放出された前記イオンと前記蒸発源の溶融粒子のうち前記イオンを選択的に前記成膜室へ供給する分離手段と、を備え、
    前記成膜室に収容した処理物の表面に前記イオンを堆積させて成膜することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記分離手段は、前記内部空間に隣接して前記成膜室と反対の位置に配置された磁場生成部を備え、
    前記磁場生成部は、前記内部空間の前記イオンに対して前記成膜室へ向く力を及ぼす磁場を生成することを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記分離手段は、前記内部空間と前記成膜室との間に配置される仕切部材と、前記内部空間の圧力を前記成膜室の圧力よりも高くする圧力制御手段と、を備え、
    前記仕切部材は、前記イオンを通過させる複数の開口を有することを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
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