JP2015040282A - 活性光線硬化型インクジェットインク及びこれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

活性光線硬化型インクジェットインク及びこれを用いたインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材に対するインクの密着性の向上と、硬化感度の向上とを図ることができる活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】光重合性化合物と、光開始剤と、ゲル化剤とを含有する活性光線硬化型インクジェットインクであって、光重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物Aと、カチオン重合性基を有する化合物Bと、分子内にラジカル重合性基及びカチオン重合性基を併せ持つ化合物Cとを所定の態様で含み、化合物Bと化合物Cの総量は、インク全質量に対して5〜40質量%であり、化合物Aとして(−C(CH3)H—CH2—O—)m(mは3〜14の整数を表す。)の構造を持つ二官能以上の(メタ)アクリレート化合物をインク全質量に対して10〜40質量%含有し、光開始剤は、分子内開裂型開始剤と、水素引き抜き型開始剤と、光酸発生剤とを含む活性光線硬化型インクジェットインク。【選択図】なし

Description

本発明は、活性光線硬化型インクジェットインク及びこれを用いたインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェット記録方式の一つとして、紫外線硬化型インクの液滴を記録媒体に着弾させた後、紫外線を照射して硬化させて画像を形成する紫外線硬化型インクジェット方式がある。紫外線硬化型インクジェット方式は、インク吸収性のない記録媒体においても、高い耐擦過性と密着性を有する画像を形成できることから、近年注目されつつある。関連する技術としては、例えば特許文献1〜5に開示されている。
特許文献1,2には、ラジカル重合性化合物と、カチオン性重合性化合物と、所定のゲル化剤とを含有した硬化性相変化組成物が開示されているが、基材とインクとの密着性や、光硬化感度が満足いくものではなかった。
特許文献3,4には、ラジカル重合性化合物と、カチオン性重合性化合物と、それらの光開始剤とを含有する硬化組成物が開示されている。2系統の開始剤に対して長波長、短波長に吸収を分けて設定し、波長の異なる光源を照射して硬化させることが開示されている。これらの発明によれば、UVインクのピニング性について効果的である旨が記載されている。しかしながら、光源を2系統にするため装置負荷の観点から好ましくなかった。また、基材との密着性についての考慮が十分ではなかった。
特許文献5には、特定のビニルエーテル化合物と、特定の(メタ)アクリレート化合物を併用したインクジェットインクが開示されている。この発明は、高速画像形成、基材適応性に優れている。しかしながら、基材とインクとの密着性において、さらなる改善の余地が残されていた。
米国特許出願公開第2010/0242790号明細書 特開2010−222583号公報 米国特許第7838570号明細書 特開2006−193744号公報 特開2011−231164号公報
本発明の目的は、基材に対するインクの密着性の向上と、硬化感度の向上とを図ることができる活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の手段により達成されるものである。
1.光重合性化合物と、光開始剤と、ゲル化剤とを含有する活性光線硬化型インクジェットインクであって、光重合性化合物が、ラジカル重合性基を有する化合物Aと、さらにカチオン重合性基を有する化合物B並びに/又はラジカル重合性基及びカチオン重合性基を併せ持つ化合物Cと、を含有し、化合物B及び前記化合物Cのインク全質量に対する総含有量が5〜40質量%であり、化合物Aの一種として、分子量が300〜1500の範囲内にあり、分子内に次式(−C(CH)H―CH―O―)(式中、mは3〜14の整数を表す。)で表される構造を持つ二官能以上の(メタ)アクリレート化合物をインク全質量に対して10〜40質量%含有し、光開始剤は、分子内開裂型開始剤と、水素引き抜き型開始剤と、光酸発生剤とを含有する活性光線硬化型インクジェットインク。
2.化合物Bと前記化合物Cのカチオン重合性部位がビニルエーテルである前記1記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
3.インクが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択された少なくとも1種の非吸収性記録媒体上に記録されるものである前記1または2に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
4.インクが、色材と、分散剤とをさらに含有する前記1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体に射出する工程と、記録媒体に着弾したインクに活性光線を照射して、インクを硬化させる工程と、を含むインクジェット記録方法。
本発明によれば、基材に対するインクの密着性の向上と、硬化感度の向上とを図ることができる活性光線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録方法を提供できる。
図1Aはインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す図の側面図、図1Bはその上面図である。 シリアル記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す図である。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[活性エネルギー線硬化型インクジェットインク]
実施形態に係る活性エネルギー線硬化型インクジェットインク(以下、単に「インク」ともいう)は、光重合性化合物と、光開始剤と、ゲル化剤とを含有する。
光重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物Aと、さらに、カチオン重合性基を有する化合物B並びに/又はラジカル重合性基及びカチオン重合性基を併せ持つ化合物Cとを含有する。化合物B及び化合物Cのインク全質量に対する総含有量は、5〜40質量%である。化合物Aの一種として、分子量300〜1500の範囲内にあり、分子内に
(−C(CH)H―CH―O―)(式中、mは3〜14の整数を表す。)
で表される構造を持つ二官能以上の(メタ)アクリレート化合物をインク全質量に対して10〜40質量%含有する。光開始剤は、分子内開裂型開始剤と、水素引き抜き型開始剤と、光酸発生剤とを含有する。実施形態に係るインクによれば、基材に対するインクの密着性の向上と、硬化感度の向上とを図ることができる。また高画質の画像を形成することができる。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく検討した結果、化合物Aを用いることにより、活性光線照射時のインクの高速硬化を図ると同時に塗膜にある程度の硬度(爪擦り耐性)を付与することで、プラスチック基材に対するインクの密着性の向上が図られることを見いだした。さらに検討した結果、化合物B,Cを併用したカチオン重合により硬化性をさらに向上させることで、化合物A単独では難しかった基材に対するインクの化学的親和性を付与できることを見いだした。理由は定かではないが、特定の光重合性化合物を用いることで、非極性である基材との化学的親和性が良好になることで、結果として非吸収性基材に対するインクの良好な密着性が得られるものと推定される。インクの各成分について順次説明する。
(光重合性化合物)
光重合性化合物としては、ラジカル重合性基を有する化合物Aと、カチオン重合性基を有する化合物Bと、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基を併せ持つ化合物Cと、が挙げられる。化合物A〜Cは以下の態様1〜3のいずれか1つで含有することが好ましい。
態様1:化合物A及び化合物B
態様2:化合物A及び化合物C
態様3:化合物A、化合物B及び化合物C
実施形態に係るインクは、上述の条件で、化合物A、B,Cを含有することにより、ゲル化剤の再現性が非常に良好となり、連続印字時にも非常に安定に色混じり・ドット合一のない高速画質形成が可能になる。このような効果が得られる理由は定かではないが、化合物Aの一種である(−C(CH)H―CH―O―)(式中、mは3〜14の整数を表す。)で表される構造の(メタ)アクリレート化合物と、化合物B又は化合物Cのカチオン重合性基とを共存させることで、極性基にゲル化剤が配向し易くなることで、高温時の溶解状態から降温時のゲル状態への移行がスムーズになると推定される。
化合物Aとしては、公知のあらゆる(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマーを用いることができる。本発明でいう「及び/又は」は、モノマーであっても、オリゴマーであっても良く、更に両方を含んでも良いことを意味する。また、以下に述べる事項に関しても同様である。
化合物Aの一種として、分子量300〜1500の範囲内にあり、分子内に次式
(−C(CH)H―CH―O―)(式中、mは3〜14の整数を表す。)
で表される構造を持つ二官能以上の(メタ)アクリレート化合物をインク全質量に対して10〜40質量%含有することが好ましい。ここで「分子量」とは、重量平均分子量Mwに基づく値である。重量平均分子量Mwは、例えば高速液体クロマトグラフィーを用いて測定することができる。
分子内に(−C(CH)H−CH−O−)m(mは3〜14の整数を表す。)で表される構造を有する、二官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2以上の水酸基を有する化合物の水酸基をプロピレンオキシド(PO)変性し、得られた変性物を(メタ)アクリル酸でエステル化したものが挙げられる。
この化合物の具体例には、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Cognis社製 Photomer 4072 分子量471)、3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Miwon社製 Miramer M360 分子量471)などが含まれる。
(メタ)アクリレート基を有する化合物としては、例えば、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可とう性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等の単官能モノマー;
トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート等の二官能モノマー;
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の三官能以上の多官能モノマーが挙げられる。
この他、重合性のオリゴマー類も、モノマー同様に配合可能である。重合性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等が挙げられる。
化合物Bとしては、例えば、スチレン誘導体、ビニルエーテル、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、ラクタム、ラクトン化合物などが用いられる。中でも、オキシラン、オキセタン、ビニルエーテル化合物又はスチレン誘導体が好ましく用いられ、特に硬化性の点からビニルエーテル化合物が好ましく用いられる。
ビニルエーテル化合物のうち、例えば単官能ビニルエーテル化合物の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDMVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEGDVE)等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテル化合物の例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
オキシラン化合物としては、あらゆる公知のエポキシ化合物(エポキシド)を用いることができる。
単官能エポキシドの例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
多官能エポキシドの例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、ダイセル社製)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3′,4′−エポキシ−6′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
また、オキセタン環を有する化合物(オキセタン化合物)としては、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を併用することができる。
オキセタン化合物には、単官能オキセタンの例としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
また多官能オキセタン化合物としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3′−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンが挙げられる。
化合物Bと化合物Cのインク全質量に対する総含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましい。
上述の化合物Bの中でも、カチオン重合性部位がビニルエーテルであるものが好ましい。この理由は定かではないが、ビニルエーテルはカチオン重合速度が速いことが知られており、重合反応率が向上することから、主反応のラジカル重合と均一性が高くなることでより好適なハイブリッド塗膜を形成できるためと推測している。さらにビニルエーテルは反応性が高い官能基であることから、基材表面上の特定の官能基との相互作用力が大きくなることも考えられる。後述の化合物Cについても同様である。
化合物Cとしては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物を用いることができるが、これらに限定されることはない。
エポキシ化合物としては、例えば、式C−1のグリシジルメタクリレート、式C−2の3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、式C−3の3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられる。
Figure 2015040282
オキセタン化合物としては、例えば、式C−4の(3−エチルオキセタン‐3‐イル)メチルメタクリレート、式C−5の(3‐エチルオキセタン‐3‐イル)メチルアクリレート等が挙げられる。
Figure 2015040282
ビニルエーテル化合物としては、例えば、式C−6の2−ビニロキシエチルアクリレート、式C−7の(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート(VEEA)、式C−8の(2−ビニロキシエトキシ)エチルメタクリレート(VEEM)、式C−9のビニルメタクリレート等が挙げられる。
Figure 2015040282
上述の化合物Cの中でも、カチオン重合性部位がビニルエーテルであるものが好ましい。
(光開始剤)
光開始剤は、光により重合性化合物の重合を開始し得るものであり、光開始剤としては、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているあらゆる公知の光開始剤を用いることができる。
実施形態に係るインクは、光開始剤として、分子内開裂型開始剤、水素引き抜き型開始剤、光酸発生剤の三種を含有することが好ましい。インクの高速硬化が可能となり、また基材への密着性が向上するからである。これらの効果が得られる理由は定かではないが、これらの三種の光開始剤を組み合わせることにより、水素引き抜き型開始剤が増感剤として働き、酸活性種とラジカル活性種が効率よく発生することで、結果的に基材との化学的親和性に優れた塗膜が形成されるものと推定される。
分子内結合開裂型の光重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系;ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステル等が含まれる。
分子内水素引き抜き型の光重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;ミヒラーケトン、4,4'-ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が含まれる。
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C−、PF−、AsF−、SbF−、CFSO−塩を挙げることができる。
オニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
Figure 2015040282
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
Figure 2015040282
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
Figure 2015040282
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
Figure 2015040282
光開始剤の好ましい添加量は、インク組成物全体の1〜10質量%、特に好ましくは2〜8質量%である。
本発明に係る光開始剤としては、公知のあらゆる分子内開裂型開始剤、水素引き抜き型開始剤、光酸発生剤を用いることができるが、光開始剤をインク組成物に含有させるには溶媒に溶解して用いることが好ましい。その場合、例えば分子内開裂型開始剤、水素引き抜き型開始剤、光酸発生剤光酸発生剤を常温(25℃程度)で容易に溶解させる化合物として、環状エステル化合物、炭酸エステル化合物が好ましく用いられる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α−メチル−β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタノラクトンなどが挙げられる。これら環状エステル化合物は、可逆にゲル化させることを効率的に行う面から、好適に用いることができる。
(ゲル化剤)
「ゲル化剤」とは、一般に常温で固体、加熱すると液体となる有機物と定義されるものである。ワックスの融点は、好ましくは融点が30℃以上150℃未満である。活性光線硬化型インクジェットインクに含まれるワックスは、少なくとも1)ゲル化温度よりも高い温度で、活性光線硬化性化合物に溶解すること、2)ゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化すること、が好ましい。
1)において、「ゾルゲル相転移温度」とは、ゾル状態からゲル状態に変化(転移)する変化(転移)点の温度をいい、ゲル転移温度、ゲル溶解温度、ゲル軟化温度、ゾルゲル転移点ゲル化点と称される用語と同義である。
2)において、ワックスがインク中で結晶化するときに、ワックスの結晶化物である板状結晶が三次元的に囲む空間を形成し、前記空間に活性光線硬化性化合物を内包することが好ましい。このように、板状結晶が三次元的に囲む空間に活性光線硬化性化合物が内包された構造を「カードハウス構造」ということがある。カードハウス構造が形成されると、液体の活性光線硬化性化合物を保持することができ、インク液滴をピニングすることができる。それにより、液滴同士の合一を抑制することができる。カードハウス構造を形成するには、インク中で溶解している活性光線硬化性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。これに対して、インク中で溶解している活性光線硬化性化合物とゲル化剤とが相分離していると、カードハウス構造を形成しにくい場合がある。
ゲル化剤の種類は特に限定されない。ゲル化剤の好ましい例には、
ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン、パルミチルステアリルケトン等のケトンワックス(例えば18−Pentatriacontanon(AlfaAeser社製)、Hentriacontan−16−on(Alfa Aeser社製)、カオーワックスT1(花王株式会社製)等);
ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル等のエステルワックス(例えばユニスターM−2222SL(日油株式会社製)、エキセパールSS(花王株式会社製、融点60℃)、EMALEXCC−18(日本エマルジョン株式会社製)、アムレプスPC(高級アルコール工業株式会社製)、エキセパールMY−M(花王株式会社製)、スパームアセチ(日油株式会社製)、EMALEX CC−10(日本エマルジョン株式会社製)等);
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;
キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、及びホホバエステル等の植物系ワックス;
ミツロウ、ラノリン及び鯨ロウ等の動物系ワックス;
モンタンワックス、及び水素化ワックス等の鉱物系ワックス;
硬化ヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体;
モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体又はポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;
ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;
12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;
12-ヒドロキシステアリン酸誘導体;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド(例えば日本化成社製 ニッカアマイドシリーズ、伊藤製油社製 ITOWAXシリーズ、花王社製 FATTYAMIDシリーズ等);
N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド等のN-置換脂肪酸アミド;
N,N'-エチレンビスステアリルアミド、N,N'-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミド、及びN,N'-キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;
ドデシルアミン、テトラデシルアミン又はオクタデシルアミンなどの高級アミン;
ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物(例えば日本エマルジョン社製 EMALLEXシリーズ、理研ビタミン社製 リケマールシリーズ、理研ビタミン社製 ポエムシリーズ等);
ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸のエステル(例えばリョートーシュガーエステルシリーズ 三菱化学フーズ社製);
ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス(Baker−Petrolite社製 UNILINシリーズ等);
ダイマー酸;
ダイマージオール(CRODA社製 PRIPORシリーズ等)等が含まれる。
これらのワックスは、活性光線硬化型インクジェットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
ワックスとしては、特にケトンワックス、エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸アミドが好ましく、ケトンワックスもしくはエステルワックスがさらに好ましい。
特に好ましいワックスとしては、下記一般式(G1)及び(G2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(G1):R1−CO−R2
一般式(G2):R3−COO−R4
式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素原子数12以上の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持っても良いアルキル鎖を表す。
一般式(G1)はケトンワックスと称され、一般式(G2)は脂肪酸エステルと称される。これらのゲル化剤は、インク液滴をより安定に(再現性良く)ゲル化させることができ、記録媒体に着弾したインク液滴(ドット)の合一が抑制できるので好ましい。
インクジェットインクのゾルゲル転移温度は、任意に設定されるが、インク液滴の安定した出射性、高温加熱に伴う弊害等の観点から、30〜100℃の範囲内であることが好ましい。また、ゾルゲル転移温度は、インクジェット記録ヘッド内でのインク温度と記録媒体の温度の間であることが好ましい。
当該ゾルゲル転移温度の測定方法は、例えば、ヒートプレート上にゲル状の試験片を置き、ヒートプレートを加熱していき、試験片の形状が崩れる温度を測定し、これをゾルゲル相転移温度として求めることができる。また、市販の粘弾性測定装置(例えば、Physica社製粘弾性測定装置 MCR300)を用いても測定できる。
ゾルゲル転移温度は、後述の光重合性化合物等の種類、添加量等により調整することが可能である。
実施形態に係るインクは、ゲル化剤を所定量含有するので、インクジェット記録ヘッドから吐出されて、インク液滴として記録媒体上に着弾して、ゾルーゲル相転移温度よりも低い温度にまで低下すると速やかにゲル状態となる。そのため、ドット同士の混じり合いやドットの合一が抑制されて、高速印字時の高画質形成が可能となる。その後、ゲル化したインク液滴が光照射を受けて硬化することにより、記録媒体上に定着され強固な画像膜を形成する。
実施形態に係るインクは、記録媒体に着弾したインク液滴が速やかにゲル化することで、記録媒体上でインク液滴が拡散しないため、インク液滴中に環境中の酸素が入り込みにくい。そのため、硬化が酸素阻害による影響を受けにくくなる。
活性光線硬化型インクジェットインク中のゲル化剤の含有量は、1〜10質量%であり、1〜7質量%であることがより好ましい。二種類以上のワックスが含まれる場合には、これらの総量が上記範囲であることが好ましい。ワックス含有量が1質量%未満であると、活性光線硬化型インクジェットインクが十分にゾルゲル相転移しない可能性がある。一方、ワックス含有量が10質量%を超えると、インクジェットヘッドからのインク射出性が低下する場合がある。
(色材)
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて色材がさらに含まれていてもよい。色材は、染料又は顔料でありうるが、インクの構成成分に対して良好な分散性を有し、かつ耐候性に優れることから、顔料が好ましい。顔料は、特に限定されないが、例えばカラーインデックスに記載される下記番号の有機顔料又は無機顔料でありうる。
赤あるいはマゼンタ顔料の例には、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36等が含まれる。青又はシアン顔料の例には、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60等が含まれる。緑顔料の例には、Pigment Green 7、26、36、50が含まれる。黄顔料の例には、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193等が含まれる。黒顔料の例には、Pigment Black 7、28、26等が含まれる。
顔料の市販品の例には、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(大日精化工業製);
KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製);
Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製);
Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ製)、
Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製);
Novoperm P−HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製);
カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)などが挙げられる。
顔料の分散は、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、及びペイントシェーカー等により行うことができる。顔料の分散は、顔料粒子の平均粒子径が、好ましくは0.08〜0.5μm、最大粒子径が好ましくは0.3〜10μm、より好ましくは0.3〜3μmとなるように行われることが好ましい。顔料の分散は、顔料、分散剤、及び分散媒体の選定、分散条件、及びろ過条件等によって、調整される。
顔料又は染料の含有量は、活性光線硬化型インクジェットインクに対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.4〜10質量%であることがより好ましい。顔料又は染料の含有量が少なすぎると、得られる画像の発色が十分ではなく、多すぎるとインクの粘度が高くなり、射出性が低下するからである。
(分散剤)
活性光線硬化型インクジェットインクには、顔料の分散性を高めるために、分散剤がさらに含まれていてもよい。分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びステアリルアミンアセテート等が含まれる。分散剤の市販品の例には、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズ等が含まれる。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて分散助剤がさらに含まれていてもよい。分散助剤は、顔料に応じて選択されればよい。
分散剤及び分散助剤の合計量は、顔料に対して1〜50質量%であることが好ましい。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて顔料を分散させるための分散媒体がさらに含まれていてもよい。分散媒体として溶剤がインクに含まれてもよいが、形成された画像における溶剤の残留を抑制するためには、前述のような活性光線硬化性化合物(特に粘度の低いモノマー)が分散媒体であることが好ましい。
(その他の成分)
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて他の成分がさらに含まれていてもよい。他の成分は、各種添加剤や他の樹脂等であってよい。添加剤の例には、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、インクの保存安定性を高めるための塩基性化合物等も含まれる。塩基性化合物の例には、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが含まれる。他の樹脂の例には、硬化膜の物性を調整するための樹脂などが含まれ、例えばポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、及びワックス類等が含まれる。
活性光線硬化型インクジェットインクは、前述の活性光線硬化性化合物と、ワックスと、液体成分と、任意の各成分とを、加熱下において混合することにより得ることができる。得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。
(インクの吐出条件)
本発明のインクの吐出条件としては、記録ヘッド、インク流路、及びインクを80〜140℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001秒〜1.0秒の間にそれぞれ活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。
本発明の構成がより有効となる、ライン記録方式の画像形成方法について説明する。
図1Aはインクジェット記録装置の要部の構成の一例の側面図であり、図1Bはその上面図である。
図1A,1Bで示したインクジェット記録装置はライン記録方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジに各色インクの記録ヘッドを記録材料の全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置しており、記録材料がそれら固定されたヘッドキャリッジ下を搬送されることで画像を形成する。
記録材料の搬送方向に対して、各色毎に用いられる記録ヘッドの個数は、用いるヘッドのノズル密度と印字する際の解像度によって変わってくる。例えば、液滴量2pl・ノズル密度360dpiのヘッドを用いて、1440dpiの解像度の画像を形成したい場合には、記録材料搬送方向に対して、記録ヘッドを4個使用してずらして配置することで1440×1440dpiの画像の形成が可能となる。液滴量6pl・ノズル密度360dpiのヘッドを用いて、720×720dpiの解像度の画像を形成したい場合には、記録ヘッドを2個使用してずらして配置することで720dpiの画像の形成が可能となる。本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
ヘッドキャリッジ下流側には、メタルハライドランプあるいはLEDランプが記録材料の全幅をカバーするように配置され、インクが記録材料に着弾した後速やかに該ランプにより紫外線が照射され画像が完全に定着される。
画像形成後の照射に用いる光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDなどの照度100mW/cm以上の高照度なUV光を発光可能な光源が好ましい。中でも消費電力の少ないLEDが好ましいが、この限りでない。
尚、図1におけるLEDは、例えば、Phoseon Technology社製395nm、水冷LEDを用いている。
本発明においては、液滴量0.5〜2.5plの小液滴で吐出し画像形成することが、高精細な画像を形成するのに好ましい。
[インクジェット記録方法]
インクジェット記録方法は、1)上述の活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体に射出する工程と、2)記録媒体に着弾したインクに活性光線を照射して、上述のインクを硬化させる工程と、を含む。
1)射出工程においては、吐出用記録ヘッドに収納されたインクジェットインクを、ノズルを通して記録媒体に向けて液滴として吐出すればよい。このとき、吐出用記録ヘッドに収納されたインクジェットインクの温度は、当該インクに含まれるワックスの含有量が、当該インクにおけるワックスの飽和溶解量以下となる温度とする。つまり、吐出用記録ヘッドに収納されたインクジェットインクにおいて、ワックスはできるだけ溶解させておく。
2)硬化工程においては、記録媒体に着弾したインクに光を照射する。照射される光は、活性光線硬化性化合物の種類によって適宜選択すればよく、紫外線や電子線などでありうる。
活性光線硬化型インクジェット方式のインクジェット記録装置について説明する。活性光線硬化型インクジェット方式のインクジェット記録装置には、ライン記録方式(シングルパス記録方式)のものと、シリアル記録方式のものと、がある。求められる画像の解像度や記録速度に応じて選択されればよいが、高速記録の観点では、ライン記録方式(シングルパス記録方式)が好ましい。
図1Aは、ライン記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す側面図であり、図1Bはその上面図である。図1A,図1Bに示されるように、インクジェット記録装置10は、複数のインク吐出用記録ヘッド14を収容するヘッドキャリッジ16と、記録媒体12の全幅を覆い、かつヘッドキャリッジ16の(記録媒体の搬送方向)下流側に配置された活性光線照射部18と、記録媒体12の下面に配置された温度制御部19と、を有する。
ヘッドキャリッジ16は、記録媒体12の全幅を覆うように固定配置されており、各色毎に設けられた複数のインク吐出用記録ヘッド14を収容する。インク吐出用記録ヘッド14にはインクが供給されるようになっている。たとえば、インクジェット記録装置10に着脱自在に装着されたインクカートリッジ31などから、直接又はインク供給手段30によりインクが供給されるようになっていてもよい。
インク吐出用記録ヘッド14は、各色ごとに、記録媒体12の搬送方向に複数配置される。記録媒体12の搬送方向に配置されるインク吐出用記録ヘッド14の数は、インク吐出用記録ヘッド14のノズル密度と、印刷画像の解像度によって設定される。例えば、液滴量2pl、ノズル密度360dpiのインク吐出用記録ヘッド14を用いて1440dpiの解像度の画像を形成する場合には、記録媒体12の搬送方向に対して4つのインク吐出用記録ヘッド14をずらして配置すればよい。また、液滴量6pl、ノズル密度360dpiのインク吐出用記録ヘッド14を用いて720×720dpiの解像度の画像を形成する場合には、2つのインク吐出用記録ヘッド14をずらして配置すればよい。dpiとは、2.54cm当たりのインク滴(ドット)の数を表す。
活性光線照射部18は、記録媒体12の全幅を覆い、かつ記録媒体の搬送方向についてヘッドキャリッジ16の下流側に配置されている。活性光線照射部18は、インク吐出用記録ヘッド14により吐出されて、記録媒体に着弾した液滴に活性光線を照射し、液滴を硬化させる。
活性光線が紫外線である場合、活性光線照射部18(紫外線照射手段)の例には、蛍光管(低圧水銀ランプ、殺菌灯)、冷陰極管、紫外レーザー、数100Pa〜1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及びLED等が含まれる。硬化性の観点から、照度100mW/cm以上の紫外線を照射する紫外線照射手段;具体的には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及びLED等が好ましく、消費電力の少ない点から、LEDがより好ましい。具体的には、Phoseon Technology社製 395nm、水冷LEDを用いることができる。
活性光線が電子線である場合、活性光線照射部18(電子線照射手段)の例には、スキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等の電子線照射手段が含まれるが、処理能力の観点から、カーテンビーム方式の電子線照射手段が好ましい。電子線照射手段の例には、日新ハイボルテージ(株)製の「キュアトロンEBC−200−20−30」、AIT(株)製の「Min−EB」等が含まれる。
温度制御部19は、記録媒体12の下面に配置されており、記録媒体12を所定の温度に維持する。温度制御部19は、例えば各種ヒータ等でありうる。
以下、ライン記録方式のインクジェット記録装置10を用いた画像記録方法を説明する。記録媒体12を、インクジェット記録装置10のヘッドキャリッジ16と温度制御部19との間に搬送する。一方で、記録媒体12を、温度制御部19により所定の温度に調整する。次いで、ヘッドキャリッジ16のインク吐出用記録ヘッド14から高温のインクを吐出して、記録媒体12上に付着(着弾)させる。そして、活性光線照射部18により、記録媒体12上に付着したインク滴に活性光線を照射して硬化させる。
インク吐出用記録ヘッド14からインクを吐出する際の、インク吐出用記録ヘッド14内のインクの温度は、インクの射出性を高めるためには、当該インクのゲル化温度よりも10〜30℃高い温度に設定されることが好ましい。インク吐出用記録ヘッド14内のインク温度が、(ゲル化温度+10)℃未満であると、インク吐出用記録ヘッド14内もしくはノズル表面でインクがゲル化して、インクの射出性が低下しやすい。一方、インク吐出用記録ヘッド14内のインクの温度が(ゲル化温度+30)℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
インク吐出用記録ヘッド14の各ノズルから吐出される1滴あたりの液滴量は、画像の解像度にもよるが、高解像度の画像を形成するためには、1pl〜10plであることが好ましく、0.5〜4.0plであることがより好ましい。
活性光線の照射は、隣り合うインク滴同士が合一するのを抑制するために、インク滴が記録媒体上に付着した後10秒以内、好ましくは0.001秒〜5秒以内、より好ましくは0.01秒〜2秒以内に行うことが好ましい。活性光線の照射は、ヘッドキャリッジ16に収容された全てのインク吐出用記録ヘッド14からインクを吐出した後に行われることが好ましい。
活性光線が電子線である場合、電子線照射の加速電圧は、十分な硬化を行うためには、30〜250kVとすることが好ましく、30〜100kVとすることがより好ましい。加速電圧が100〜250kVである場合、電子線照射量は30〜100kGyであることが好ましく、30〜60kGyであることがより好ましい。
硬化後の総インク膜厚は、2〜25μmであることが好ましい。「総インク膜厚」とは、記録媒体に描画されたインク膜厚の最大値である。
図2は、シリアル記録方式のインクジェット記録装置20の要部の構成の一例を示す図である。図2に示されるように、インクジェット記録装置20は、記録媒体の全幅を覆うように固定配置されたヘッドキャリッジ16の代わりに、記録媒体の全幅よりも狭い幅であり、かつ複数のインク吐出用記録ヘッド24を収容するヘッドキャリッジ26と、ヘッドキャリッジ26を記録媒体12の幅方向に可動させるためのガイド部27と、を有する以外は図1A、図1Bと同様に構成されうる。
シリアル記録方式のインクジェット記録装置20では、ヘッドキャリッジ26がガイド部27に沿って記録媒体12の幅方向に移動しながら、ヘッドキャリッジ26に収容されたインク吐出用記録ヘッド24からインクを吐出する。ヘッドキャリッジ26が記録媒体12の幅方向に移動しきった後(パス毎に)、記録媒体12を搬送方向に送り、活性光線照射部28で活性光線を照射する。これらの操作以外は、前述のライン記録方式のインクジェット記録装置10とほぼ同様にして画像を記録する。
(記録媒体)
実施形態に係るインクは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の非吸収性記録媒体上に記録されることが好ましい。
以下に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
《顔料分散液の調製》
以下の組成で顔料を分散した。
以下二種の化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌溶解した。
アジスパーPB824 9部
ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート
(NKエステル4G、新中村化学社製) 71部
室温まで冷却した後、これに下記顔料20部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて下記時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
顔料分散液1:Pigment Black 7(三菱化学社製、#52) 5時間
《インク組成物の調製》
表1に記載のインク組成の試料(インク組成物)1〜17を調製し、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行った。なお、表1中の光重合性化合物、アミドゲル化剤および硬化性ワックスとしては以下のものを用いた。
[光重合性化合物(A)]
3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Photomer 4072、コグニス社製、分子量471)
[光重合性化合物(B)]
シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDMVE、日本カーバイト社製)
トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEGDVE、日本カーバイト社製)
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、ダイセル社製)
[光重合性化合物(C)]
(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート(VEEA、日本触媒社製)
[光重合性化合物]
4EO変性ヘキサンジオールジアクリレート(CD561、サートマー社製)
プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート(SR9003、サートマー社製)
[アミドゲル化剤および硬化性ワックス]
アミドゲル化剤および硬化性ワックスは周知の方法、例えば特開2012-236986号公報の実施例の欄、例えば段落番号(0050)〜(0055)の記載に準じて調製した。
Figure 2015040282
《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置に、上記調製した各試料1〜17を装填し、巾600mm、長さ500mの長尺の白PET#50(マルウ接着社製)、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレンフィルムOPP(オカモト社製)、ユポ、へ下記にて画像記録を連続して行った。記録材料の搬送速度は、30m/sで行った。
インク供給系は、図示しないが、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、全室タンクからヘッド部分まで加熱して100℃の加温を行った。ピエゾヘッドは、2plの液滴になるように電圧を印加し360dpiの解像度のヘッドを各色四個ずつ用い吐出し、1440×1440dpiのKの単色ベタ画像を形成した。
印字後、Phoseon Technology社製LEDランプ(8W/cm、water cooled unit)で硬化した。管面から5mmの距離で照射した(搬送方向の照射幅20mm)。
《画質評価》
上記画像形成方法で記録した試料1〜17の各画像について、1m印刷時と500m印刷時のベタ画像出力物に白ヌケ(ドットの合一による未印字部分)がないかを確認し、画質評価した。△以上が実用上良好な範囲である。
○:白ヌケ無し
△:1,2箇所白ヌケがあるが、実用上問題ないレベル
×:白ヌケ多数発生
《記録材料への密着性評価》
画像ベタ印字部において、碁盤目テープ剥離残留付着試験(JIS K 5400の碁盤目試験)で得た硬化組成物試料に粘着テープ(スコッチ#250、住友スリーエム製)を張り合わせて2kgのローラーで一往復圧着した後、一気に剥がし、残留している碁盤目状の試料の数を調査し、付着率を下記ランクで評価し、硬化性の指標の一つとした。△以上が実用上良好な範囲である。
○:付着残留率80%以上100%
△:付着残留率60%以上80%未満
×:付着残留率60%未満
《硬化性評価(鉛筆硬度)》
ベタ画像出力物を25℃60%RHの環境下に24時間放置した後、JIS−K−5400に準じて表面の鉛筆硬度を測定し下記ランクで評価して、硬化性の指標の一つとした。
○:鉛筆硬度2H以上
△:B,F,H
×:2B以下
得られた結果をまとめて表1に示す。本発明の実施例である試料1〜10は、いずれの評価項目においても良好な評価が得られた。
10、20 インクジェット記録装置
12 記録媒体
14、24 インク吐出用記録ヘッド
16、26 ヘッドキャリッジ
18、28 活性光線照射部
19 温度制御部
27 ガイド部

Claims (5)

  1. 光重合性化合物と、光開始剤と、ゲル化剤とを含有する活性光線硬化型インクジェットインクであって、
    前記光重合性化合物が、ラジカル重合性基を有する化合物Aと、さらに
    カチオン重合性基を有する化合物B並びに/又はラジカル重合性基及びカチオン重合性基を併せ持つ化合物Cと、を含有し、
    前記化合物B及び前記化合物Cのインク全質量に対する総含有量が5〜40質量%であり、
    前記化合物Aの一種として、分子量が300〜1500の範囲内にあり、分子内に次式
    (−C(CH)H―CH―O―)(式中、mは3〜14の整数を表す。)
    で表される構造を持つ二官能以上の(メタ)アクリレート化合物をインク全質量に対して10〜40質量%含有し、
    前記光開始剤は、分子内開裂型開始剤と、水素引き抜き型開始剤と、光酸発生剤とを含有することを特長とする活性光線硬化型インクジェットインク。
  2. 前記化合物Bと前記化合物Cのカチオン重合性部位がビニルエーテルであることを特長とする請求項1記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
  3. 前記インクが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択された少なくとも1種の非吸収性記録媒体上に記録されるものであることを特長とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
  4. 前記インクが、色材と、分散剤とをさらに含有することを特長とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体に射出する工程と、前記記録媒体に着弾したインクに活性光線を照射して、前記インクを硬化させる工程と、を含むことを特長とするインクジェット記録方法。
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