JP2015036557A - 車両用変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 駆動源出力軸および変速機入力軸間に乾式クラッチを配置しながら変速機の軸方向寸法の大型化を最小限に抑える。
【解決手段】 乾式クラッチ52は、一端側が駆動源出力軸11Bに接続されて他端側が補助伝達機構29の入力要素26に接続されたクラッチドラム53と、クラッチドラム53の内面に設けられた摩擦面54と、クラッチドラム53の内部において変速機入力軸11Aに固定されて摩擦面54に当接可能に対向する摩擦プレート55と、クラッチドラム53の内部において摩擦プレート55を摩擦面54に向けて押圧可能に配置されたプレッシャプレート56とを備える。変速機ケース60、クラッチドラム53、操作軸57および変速機入力軸11A間に配置したシール部材63A〜63Cにより、入力要素26および変速機構が配置される第1室61と、乾式クラッチ52が配置される第2室62とを仕切り、第1室61を潤滑油が存在する湿空間とし、第2室62を潤滑油が存在しない乾空間とする。
【選択図】 図16

Description

本発明は、駆動源により駆動される駆動源出力軸に乾式の第1クラッチを介して接続された変速機入力軸と、駆動輪に接続された変速機出力軸と、前記変速機入力軸の駆動力を変速して前記変速機出力軸に伝達可能な変速機構と、前記変速機構に対して並列に配置されて前記駆動源出力軸および前記変速機出力軸間で駆動力を伝達可能な補助伝達機構とを備え、前記補助伝達機構は、前記駆動源出力軸と一体に回転する入力要素と、前記変速機出力軸に接続された出力要素と、前記入力要素および前記出力要素を接続する伝達要素とからなる車両用変速機に関する。
ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションにおいて、エンジンの駆動力を第1入力軸および第2入力軸に選択的に伝達する第1、第2クラッチをクラッチドラムを共有する湿式多板型のクラッチで構成し、前記クラッチドラムでオイルポンプを駆動するものが、下記特許文献1により公知である。
特許第4821578号公報
ところで、変速機が、変速機構の異常時に係合解除してエンジンから変速機構への駆動力の伝達を遮断するクラッチを備える場合、そのクラッチは使用頻度が極めて低いため、構造が簡単で潤滑油の引きずり抵抗がない乾式クラッチで構成することが望ましい。
一方、乾式クラッチ以外の変速機構等の可動部分は潤滑油が存在する環境に配置する必要があるため、変速機ケースの内部を乾式クラッチを配置するドライな領域と、変速機構等を配置するウエットな領域とに区画する必要がある。このような場合に、変速機構以外に補助伝達機構のような潤滑を必要とする部分が存在する場合、変速機構、補助伝達機構および乾式クラッチを適切にレイアウトしないと、変速機構を配置するウエットな領域と、補助伝達機構を配置するウエットな領域とが二つに分離してしまい、ドライな領域との間のシール部材の数が増加して変速機の寸法が大型化する可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、駆動源出力軸および変速機入力軸間に乾式クラッチを配置しながら変速機の軸方向寸法の大型化を最小限に抑えることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源により駆動される駆動源出力軸に乾式の第1クラッチを介して接続された変速機入力軸と、駆動輪に接続された変速機出力軸と、前記変速機入力軸の駆動力を変速して前記変速機出力軸に伝達可能な変速機構と、前記変速機構に対して並列に配置されて前記駆動源出力軸および前記変速機出力軸間で駆動力を伝達可能な補助伝達機構とを備え、前記補助伝達機構は、前記駆動源出力軸と一体に回転する入力要素と、前記変速機出力軸に接続された出力要素と、前記入力要素および前記出力要素を接続する伝達要素とからなる車両用変速機であって、前記第1クラッチは、一端側が前記駆動源出力軸に接続されて他端側が前記入力要素に接続されたクラッチドラムと、前記クラッチドラムの内面に設けられた摩擦面と、前記クラッチドラムの内部において前記変速機入力軸に固定されて前記摩擦面に当接可能に対向する摩擦プレートと、前記クラッチドラムの内部において前記摩擦プレートを前記摩擦面に向けて押圧可能に配置されたプレッシャプレートとを備え、変速機ケース、前記クラッチドラムおよび前記変速機入力軸間に配置したシール部材により、前記補助伝達機構および前記変速機構が配置される第1室と、前記第1クラッチが配置される第2室とを仕切り、前記第1室を潤滑油が存在する湿空間とし、前記第2室を潤滑油が存在しない乾空間としたことを特徴とする車両用変速機が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記出力要素および前記変速機出力軸の接続を解除可能な第2クラッチを備え、車両の加速時には前記駆動源の駆動力を前記変速機構を介して前記変速機出力軸に伝達するとともに、車両の減速時には前記第2クラッチを係合して前記変速機出力軸の駆動力を前記補助伝達機構を介して前記駆動源に逆伝達することを特徴とする車両用変速機が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記変速機構は、前記変速機入力軸の軸線からの偏心量が可変であって該変速機入力軸と共に回転する入力側支点と、前記変速機出力軸に接続されたワンウェイクラッチと、前記ワンウェイクラッチの入力部材に設けられた出力側支点と、前記入力側支点および前記出力側支点に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッドと、前記入力側支点の偏心量を変更する変速アクチュエータとを備えることを特徴とする車両用変速機が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記変速機入力軸の外周および前記クラッチドラムの内周間に筒状の操作軸を配置し、前記シール部材は、前記変速機ケースおよび前記クラッチドラム間と、前記クラッチドラムおよび前記操作軸間と、前記操作軸および前記変速機入力軸間とをシールすることを特徴とする車両用変速機が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記変速機入力軸の内部に操作軸を配置し、前記シール部材は、前記変速機ケースおよび前記クラッチドラム間と、前記クラッチドラムおよび前記変速機入力軸間と、前記変速機入力軸および前記操作軸間とをシールすることを特徴とする車両用変速機が提案される。
尚、実施の形態の入力軸本体部11Aは本発明の変速機入力軸に対応し、実施の形態の入力軸上流部11Bは本発明の駆動源出力軸に対応し、実施の形態の出力軸下流部12Bは本発明の変速機出力軸に対応し、実施の形態の偏心ディスク18は本発明の入力側支点に対応し、実施の形態のピン19cは本発明の出力側支点に対応し、実施の形態の第1ワンウェイクラッチ21は本発明のワンウェイクラッチに対応し、実施の形態の第1スプロケット26は本発明の入力要素に対応し、実施の形態の第2スプロケット27は本発明の出力要素に対応し、実施の形態の無端チェーン28は本発明の伝達要素に対応し、実施の形態の補助動力伝達手段29は本発明の補助伝達機構に対応し、実施の形態の乾式クラッチ52は本発明の第1クラッチに対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の駆動源に対応し、実施の形態の第2動力伝達切換機構S2は本発明の第2クラッチに対応し、実施の形態の変速ユニットUは本発明の変速機構に対応する。
請求項1の構成によれば、駆動源により駆動される駆動源出力軸に乾式の第1クラッチを介して接続された変速機入力軸と、駆動輪に接続された変速機出力軸と、変速機入力軸の駆動力を変速して変速機出力軸に伝達可能な変速機構と、変速機構に対して並列に配置されて駆動源出力軸および変速機出力軸間で駆動力を伝達可能な補助伝達機構とを備え、補助伝達機構は、駆動源出力軸と一体に回転する入力要素と、変速機出力軸に接続された出力要素と、入力要素および出力要素を接続する伝達要素とからなるので、変速機入力軸が固着して回転不能になったとき、第1クラッチを係合解除して駆動源出力軸を変速機入力軸から切り離し、駆動源の駆動力を駆動源出力軸から補助伝達機構を介して変速機出力軸に伝達することで、駆動源の駆動力で車両を修理工場まで退避走行させることができる。しかも第1クラッチは乾式であるため、潤滑油の引きずり抵抗の発生を防止して駆動源の運転効率を高めることができる。
また第1クラッチは、一端側が駆動源出力軸に接続されて他端側が入力要素に接続されたクラッチドラムと、クラッチドラムの内面に設けられた摩擦面と、クラッチドラムの内部において変速機入力軸に固定されて摩擦面に当接可能に対向する摩擦プレートと、クラッチドラムの内部において摩擦プレートを摩擦面に向けて押圧可能に配置されたプレッシャプレートとを備え、変速機ケース、クラッチドラムおよび変速機入力軸間に配置したシール部材により、補助伝達機構および変速機構が配置される第1室と、第1クラッチが配置される第2室とを仕切り、第1室を潤滑油が存在する湿空間とし、第2室を潤滑油が存在しない乾空間としたので、補助伝達機構および変速機構を一まとめにして第1室に配置し、第1クラッチを補助伝達機構および変速機構から分離して第2室に配置することで、第1室を補助伝達機構を配置する部分と変速機構を配置する部分とに分離する必要がなくなり、これにより無段変速機の軸方向寸法を小型化することができる。
また請求項2の構成によれば、出力要素および変速機出力軸の接続を解除可能な第2クラッチを備えるので、車両の加速時には駆動源の駆動力を変速機構を介して変速機出力軸に伝達するとともに、車両の減速時には第2クラッチを係合して変速機出力軸の駆動力を補助伝達機構を介して駆動源に逆伝達することで、駆動輪により駆動源を駆動してエンジンブレーキや回生制動を可能にすることができる。
また請求項3の構成によれば、変速機構は、変速機入力軸の軸線からの偏心量が可変であって該変速機入力軸と共に回転する入力側支点と、変速機出力軸に接続されたワンウェイクラッチと、ワンウェイクラッチの入力部材に設けられた出力側支点と、入力側支点および出力側支点に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッドと、入力側支点の偏心量を変更する変速アクチュエータとを備えるので、駆動源により変速機入力軸が回転すると入力側支点が偏心回転し、入力側支点に一端を接続されたコネクティングロッドが往復運動すると、コネクティングロッドの他端に接続された出力側支点が往復運動してワンウェイクラッチを介して変速機出力軸が間欠回転することで、変速機入力軸の回転が入力側支点の偏心量に応じた変速比で変速されて変速機出力軸に伝達される。変速アクチュエータで入力側支点の偏心量を変化させると、コネクティングロッドの往復運動のストロークが変化して出力側支点の往復運動のストロークが変化することで、変速機出力軸の間欠回転角が変化して変速機構の変速比を無段階に変更することができる。
また請求項4の構成によれば、変速機入力軸の外周およびクラッチドラムの内周間に筒状の操作軸を配置し、シール部材は、変速機ケースおよびクラッチドラム間と、クラッチドラムおよび操作軸間と、操作軸および変速機入力軸間とをシールするので、第1室および第2室間を油密に仕切りながら、操作軸で第1室側からプレッシャプレートを操作することができる。
また請求項5の構成によれば、変速機入力軸の内部に操作軸を配置し、シール部材は、変速機ケースおよびクラッチドラム間と、クラッチドラムおよび変速機入力軸間と、変速機入力軸および前記操作軸間とをシールするので、第1室および第2室間を油密に仕切りながら、操作軸で第1室側からプレッシャプレートを操作することができる。
車両用動力伝達装置のスケルトン図。(第1の実施の形態) 図1の2部詳細図。(第1の実施の形態) 図2の3−3線断面図(OD状態)。(第1の実施の形態) 図2の3−3線断面図(GN状態)。(第1の実施の形態) OD状態での作用説明図。(第1の実施の形態) GN状態での作用説明図。(第1の実施の形態) 図1の7部詳細図。(第1の実施の形態) 第1、第2噛合切換機構の係合表。(第1の実施の形態) パーキングレンジにおけるトルクフロー図。(第1の実施の形態) リバースレンジにおけるトルクフロー図。(第1の実施の形態) ニュートラルレンジにおけるトルクフロー図。(第1の実施の形態) ドライブレンジにおけるトルクフロー図(通常走行状態)。(第1の実施の形態) ドライブレンジにおけるトルクフロー図(エンジンブレーキ状態)。(第1の実施の形態) ドライブレンジにおけるトルクフロー図(アイドリングストップ状態)。(第1の実施の形態) ドライブレンジにおけるトルクフロー図(フェール状態)。(第1の実施の形態) 図1の16部詳細図。(第1の実施の形態) 図16に対応する図。(第2の実施の形態) 図16に対応する図。(第3の実施の形態)
第1の実施の形態
以下、図1〜図16に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1に示すように、エンジンEの駆動力を左右の車軸10,10を介して駆動輪W,Wに伝達する車両用動力伝達装置は、無段変速機Tと、第1動力伝達切換機構S1と、第2動力伝達切換機構S2と、ディファレンシャルギヤDとを備える。第1動力伝達切換機構S1は、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジおよびドライブレンジを切り換え可能である。第2動力伝達切換機構S2は、通常走行・エンジンブレーキ状態、アイドリングストップ状態およびフェール状態を切り換え可能である。
次に、図1〜図7に基づいて車両用動力伝達装置の構造を説明する。
図1に示すように、入力軸11は、入力軸本体部11Aと、入力軸本体部11Aよりも駆動力伝達方向上流側(エンジンE側)の入力軸上流部11Bとからなり、入力軸本体部11Aは無段変速機Tに接続され、入力軸上流部11BはエンジンEに接続される。入力軸上流部11Bと入力軸本体部11Aとの間にはダンパー51および乾式クラッチ52が設けられる。乾式クラッチ52は通常時には係合状態に維持されるが、後述する入力軸本体部11Aの固着時に係合解除され、入力軸本体部11Aおよび入力軸上流部11Bを切り離す。
また第1出力軸12は、出力軸本体部12Aと、出力軸本体部12Aよりも駆動力伝達方向下流側(駆動輪W,W側)の出力軸下流部12Bとからなり、出力軸本体部12Aは無段変速機Tに接続され、出力軸下流部12Bは第2動力伝達切換機構S2に接続される。出力軸本体部12Aおよび出力軸下流部12Bは常時一体である。
図2および図3に示すように、本実施の形態の無段変速機Tは同一構造を有する複数個(実施の形態では4個)の変速ユニットU…を軸方向に重ね合わせたもので、それらの変速ユニットU…は平行に配置された共通の入力軸11および共通の第1出力軸12を備えており、入力軸11の回転が減速または増速されて第1出力軸12に伝達される。
以下、代表として一つの変速ユニットUの構造を説明する。エンジンEに接続されて回転する入力軸11は、電動モータのような変速アクチュエータ14の中空の回転軸14aの内部を相対回転自在に貫通する。変速アクチュエータ14のロータ14bは回転軸14aに固定されており、ステータ14cはケーシングに固定される。変速アクチュエータ14の回転軸14aは、入力軸11と同速度で回転可能であり、かつ入力軸11に対して異なる速度で相対回転可能である。
変速アクチュエータ14の回転軸14aを貫通した入力軸11には第1ピニオン15が固定されており、この第1ピニオン15を跨ぐように変速アクチュエータ14の回転軸14aにクランク状のキャリヤ16が接続される。第1ピニオン15と同径の2個の第2ピニオン17,17が、第1ピニオン15と協働して正三角形を構成する位置にそれぞれピニオンピン16a,16aを介して支持されており、これら第1ピニオン15および第2ピニオン17,17に、円板形の偏心ディスク18の内部に偏心して形成されたリングギヤ18aが噛合する。偏心ディスク18の外周面に、コネクティングロッド19のロッド部19aの一端に設けたリング部19bがボールベアリング20を介して相対回転自在に嵌合する。
第1出力軸12の外周に設けられた第1ワンウェイクラッチ21は、コネクティングロッド19のロッド部19aにピン19cを介して枢支されたリング状のアウター部材22と、アウター部材22の内部に配置されて第1出力軸12に固定されたインナー部材23と、アウター部材22の内周の円弧面とインナー部材23の外周の平面との間に形成された楔状の空間に配置されてスプリング24…で付勢されたローラ25…とを備える。
図2から明らかなように、4個の変速ユニットU…はクランク状のキャリヤ16を共有しているが、キャリヤ16に第2ピニオン17,17を介して支持される偏心ディスク18の位相は各々の変速ユニットUで90°ずつ異なっている。例えば、図2において、左端の変速ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中上方に変位し、左から3番目の変速ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中下方に変位し、左から2番目および4番目の変速ユニットU,Uの偏心ディスク18,18は上下方向中間に位置している。
図1から明らかなように、無段変速機Tは、上記6個の変速ユニットU…とは別経路で駆動力を伝達可能な補助的な動力伝達経路を備える。即ち、ダンパー51の下流側に設けた第1スプロケット26と、出力軸本体部12Aの下流側の出力軸下流部12Bの外周に相対回転自在に嵌合する伝達軸13に設けた第2スプロケット27とが無端チェーン28により接続されており、これらの第1スプロケット26、第2スプロケット27および無端チェーン28は補助動力伝達手段29を構成する。
図7から明らかなように、第1動力伝達切換機構S1は、車軸10の外周に相対回転自在に嵌合する筒状の第1出力軸12に加えて、車軸10の外周に相対回転自在に嵌合する筒状の第2出力軸31と、この第2出力軸31に外周に相対回転自在に嵌合する筒状の第3出力軸32とを備える。第1出力軸12の出力軸下流部12Bの右端に第4外周スプライン12aが形成され、第2出力軸31の左端に第5外周スプライン31aが形成され、第3出力軸32の左端に第6外周スプライン32aが形成される。
ドグクラッチよりなる第1噛合切換機構33を構成する第4外周スプライン12a、第5外周スプライン31aおよび第6外周スプライン32aは軸方向に整列しており、第5外周スプライン31aおよび第6外周スプライン32aの外径は相互に等しく、かつ第4外周スプライン12aの外径よりも小さくなっている。また第1噛合切換機構33のスリーブ34は、外径が大きい第2内周スプライン34aと、外径が小さい第3内周スプライン34bとを備えており、第2内周スプライン34aは第4外周スプライン12aに常時噛合し、第3内周スプライン34bは第6外周スプライン32aに常時噛合し、第3内周スプライン34bは図7に示す左動時にのみ第5外周スプライン31aに噛合する。つまり、スリーブ34がフォーク34cで図7に示す左動状態から右動すると第3内周スプライン34bと第5外周スプライン31aとの噛合が解除される。
遊星歯車機構35は、第1要素としてのサンギヤ36と、第3要素としてのキャリヤ37と、第2要素としてのリングギヤ38と、キャリヤ37に相対回転自在に支持された複数のピニオン39…とを備えており、ピニオン39…はサンギヤ36およびリングギヤ38に噛合する。サンギヤ36は第3出力軸32の右端に接続され、リングギヤ38は第2出力軸31の右端に接続される。
キャリヤ37の外周部に形成した外周スプライン37aとケーシング42に形成した外周スプライン42aとに、ドグクラッチよりなる第2噛合切換機構40のスリーブ41に形成した第1内周スプライン41aが噛合する。従って、スリーブ41がフォーク41bで図7に示す位置に左動すると、キャリヤ37がケーシング42から切り離され、スリーブ41がフォーク41bで図8に示す位置から右動すると、キャリヤ37がケーシング42に結合される。
第2動力伝達切換機構S2は、伝達軸13および出力軸下流部12B間に設けられるもので、伝達軸13に設けられた第1外周スプライン13aと、出力軸下流部12Bに設けられた第2外周スプライン12bおよび第3外周スプライン12cと、内周スプライン43aを備えるスリーブ43と、スリーブ43を駆動するフォーク43bと、出力軸下流部12Bおよび第2外周スプライン12b間に配置された第2ワンウェイクラッチ45とを備える。
スリーブ43は、第1外周スプライン13aおよび第2外周スプライン12bを結合する左動位置と、第1外周スプライン13a、第2外周スプライン12bおよび第3外周スプライン12cを結合する中央位置と、第2外周スプライン12bおよび第3外周スプライン12cを結合する右動位置とをとることができる。また出力軸下流部12Bおよび第2外周スプライン12b間に配置された第2ワンウェイクラッチ45は、出力軸下流部12Bの回転数が伝達軸13の回転数を上回ったときに係合する。
ディファレンシャルギヤDの外郭を構成するディファレンシャルケース47は第2出力軸31の右端に接続される。ディファレンシャルギヤDは、ディファレンシャルケース47に固定したピニオンシャフト48に回転自在に支持した一対のピニオン49,49と、車軸10,10の端部に固設されてピニオン49,49に噛合するサイドギヤ50,50とを備える。
図16に示すように、エンジンEに接続された入力軸上流部11B上には、エンジンE側から変速ユニットU…側に向かってダンパー51、乾式クラッチ52のクラッチドラム53および第1スプロケット26が直列に配置される。クラッチドラム53は、ダンパー51側の第1側壁53aと、第1スプロケット26側の第2側壁53bと、第1側壁53aおよび第2側壁53bの外周部を接続する周壁53cと、第2側壁53bから変速ユニットU…側に向かって突出する筒状の延長部53dとを備える。延長部53dの先端に補助動力伝達手段29の第1スプロケット26が設けられ、第1側壁53aの内面に摩擦面54が設けられる。
クラッチドラム53の内部に延びる入力軸本体部11Aの軸端から摩擦プレート55が径方向外側に延びており、摩擦プレート55の一側面は摩擦面54に当接可能に対向する。摩擦プレート55とクラッチドラム53の第2側壁53bとの間にプレッシャプレート56が軸方向移動可能に配置されており、入力軸本体部11Aの外周に嵌合する筒状の操作軸57の軸端とプレッシャプレート56の内周部が、レリーズベアリング58を介して相対回転自在に接続される。操作軸57はアクチュエータ59に接続されて軸方向に押し引きされる。
クラッチドラム53の第2側壁53bと第1スプロケット26との間が変速機ケース60により仕切られており、変速機ケース60よりも変速ユニットU…側に第1室61が区画され、変速機ケース60よりも乾式クラッチ52側に第2室62が区画される。変速機ケース60およびクラッチドラム53の延長部53d間にシール部材63Aを配置し、延長部53dおよび操作軸57間にシール部材63Bを配置し、操作軸57および入力軸本体部11A間にシール部材63Cを配置することで、第1室61および第2室62間がシールされる。第1室61の内部は潤滑油が存在するウエットな空間であり、第2室62の内部は潤滑油が存在しないドライな空間である。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
先ず、無段変速機Tの一つの変速ユニットUの作用を説明する。変速アクチュエータ14の回転軸14aを入力軸11に対して相対回転させると、入力軸11の軸線L1まわりにキャリヤ16が回転する。このとき、キャリヤ16の中心O、つまり第1ピニオン15および2個の第2ピニオン17,17が成す正三角形の中心は入力軸11の軸線L1まわりに回転する。
図3および図5は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して第1出力軸12と反対側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最大になって無段変速機Tの変速比はOD(オーバードライブ)状態になる。図4および図6は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して第1出力軸12と同じ側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量がゼロになって無段変速機Tの変速比はGN(ギヤドニュートラル)状態になる。
図5に示すOD状態で、エンジンEで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5(A)から図5(B)を経て図5(C)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を反時計方向(矢印B参照)に回転させる。図5(A)および図5(C)は、アウター部材22の前記矢印B方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B方向に回転すると、第1ワンウェイクラッチ21のアウター部材22およびインナー部材23間の楔状の空間にローラ25…が噛み込み、アウター部材22の回転がインナー部材23を介して第1出力軸12に伝達されるため、第1出力軸12は反時計方向(矢印C参照)に回転する。
入力軸11および第1ピニオン15が更に回転すると、第1ピニオン15および第2ピニオン17,17にリングギヤ18aを噛合させた偏心ディスク18が反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5(C)から図5(D)を経て図5(A)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を時計方向(矢印B′参照)に回転させる。図5(C)および図5(A)は、アウター部材22の前記矢印B′方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B′方向に回転すると、アウター部材22とインナー部材23との間の楔状の空間からローラ25…がスプリング24…を圧縮しながら押し出されることで、アウター部材22がインナー部材23に対してスリップして第1出力軸12は回転しない。
以上のように、アウター部材22が往復回転したとき、アウター部材22の回転方向が反時計方向(矢印B参照)のときだけ第1出力軸12が反時計方向(矢印C参照)に回転するため、第1出力軸12は間欠回転することになる。
図6は、GN状態で無段変速機Tを運転するときの作用を示すものである。このとき、入力軸11の位置は偏心ディスク18の中心に一致しているので、入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量はゼロになる。この状態でエンジンEで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。しかしながら、偏心ディスク18の偏心量がゼロであるため、コネクティングロッド19の往復運動のストロークもゼロになり、第1出力軸12は回転しない。
従って、変速アクチュエータ14を駆動してキャリヤ16の位置を図3のOD状態と図4のGN状態との間に設定すれば、最小変速比および最大(無限大)変速比間の任意の変速比での運転が可能になる。
無段変速機Tは、並置された4個の変速ユニットU…の偏心ディスク18…の位相が相互に90°ずつずれているため、4個の変速ユニットU…が交互に駆動力を伝達することで、つまり4個の第1ワンウェイクラッチ21…の何れかが必ず係合状態にあることで、第1出力軸12を連続回転させることができる。
次に、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジおよびドライブレンジを切り換える第1動力伝達切換機構S1の作用を説明する。
図8および図9に示すように、第1噛合切換機構33のスリーブ34を左動し、第1出力軸12の出力軸下流部12B、第2出力軸31および第3出力軸32を一体に結合するとともに、第2噛合切換機構40のスリーブ41を右動して遊星歯車機構35のキャリヤ37をケーシング42に結合すると、パーキングレンジが確立する。
パーキングレンジでは、ディファレンシャルケース47と一体の第2出力軸31が遊星歯車機構35のリングギヤ38に結合されるとともに、前記第2出力軸31が第1噛合切換機構33および第3出力軸32を介して遊星歯車機構35のサンギヤ36に接続され、更に遊星歯車機構35のキャリヤ37が第2噛合切換機構40を介してケーシング42に結合される。その結果、遊星歯車機構35はロック状態になり、それにディファレンシャルギヤDを介して接続された駆動輪W,Wが回転不能に拘束される。
図8および図10に示すように、第1噛合切換機構33のスリーブ34を右動し、出力軸下流部12Bおよび第3出力軸32を結合して第2出力軸31を切り離すとともに、第2噛合切換機構40のスリーブ41を右動して遊星歯車機構35のキャリヤ37をケーシング42に結合すると、リバースレンジが確立する。
リバースレンジでは、無段変速機Tから第1出力軸12の出力軸下流部12Bに出力された駆動力が第1噛合切換機構33→第3出力軸32→サンギヤ36→キャリヤ37→リングギヤ38の経路でディファレンシャルケース47に伝達され、同時に遊星歯車機構35において減速されて逆回転となることで、車両を後進走行させることができる。
図8および図11に示すように、第1噛合切換機構33のスリーブ34を右動し、出力軸下流部12Bおよび第3出力軸32を結合して第2出力軸31を切り離すとともに、第2噛合切換機構40のスリーブ41を左動して遊星歯車機構35のキャリヤ37をケーシング42から切り離すと、ニュートラルレンジが確立する。
ニュートラルレンジでは、遊星歯車機構35のキャリヤ37がケーシング42から切り離されるため、リングギヤ38が自由に回転可能になり、かつ第2出力軸31が自由に回転可能になるため、ディファレンシャルケース47が自由に回転可能になって駆動輪W,Wが拘束されない状態となる。この状態でエンジンEの駆動力は、無段変速機Tから出力軸下流部12B→第1噛合切換機構33→第3出力軸32の経路でサンギヤ36に伝達されるが,キャリヤ37が拘束されていないために遊星歯車機構35が空転し、駆動力がディファレンシャルギヤDに伝達されることはない。
図9および図12に示すように、第1噛合切換機構33のスリーブ34を左動し、出力軸下流部12B、第2出力軸31および第3出力軸32を一体に結合するとともに、第2噛合切換機構40のスリーブ41を左動して遊星歯車機構35のキャリヤ37をケーシング42から切り離すと、ドライブレンジが確立する。
ドライブレンジでは、遊星歯車機構35のリングギヤ38とサンギヤ36とが第1噛合切換機構33で結合されるため、遊星歯車機構35は一体に回転可能な状態になる。その結果、無段変速機Tから出力軸下流部12Bに出力された駆動力が第1噛合切換機構33→第2出力軸31の経路で、あるいは第1噛合切換機構33→第3出力軸32→サンギヤ36→キャリヤ37→リングギヤ38の経路でディファレンシャルケース47に伝達され、車両を前進走行させることができる。
以上のように、本実施の形態の無段変速機Tの第1出力軸12は、第1ワンウェイクラッチ21…を介して駆動力が伝達されるために前進走行方向にしか回転することができないが、前後進切換機能を有する第1動力伝達切換機構S1を第1出力軸12の下流側に配置したことで、後進走行用の電動モータを設けてハイブリッド化することなく、車両を後進走行させることができる。
しかも第1動力伝達切換機構S1はドライブレンジおよびリバースレンジ以外にパーキングレンジおよびニュートラルレンジを確立可能であるため、動力伝達装置自体を更に小型軽量化することができる。
次に、エンジンブレーキ状態、アイドリングストップ状態およびフェール状態を切り換える第2動力伝達切換機構S2の作用を説明する。
図10および図12に示すように、第1動力伝達切換機構S1が上述したパーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジおよびドライブレンジの何れかにある通常状態では、第2動力伝達切換機構S2のスリーブ41は左動して伝達軸13の第1外周スプライン13aと出力軸下流部12Bの第2外周スプライン12bとを接続している。従って、ドライブレンジあるいはリバースレンジでの走行中に、エンジンEの駆動力は入力軸11から変速ユニットU…を介して出力軸下流部12Bに伝達されるだけでなく、入力軸11から第1スプロケット26、無端チェーン28および第2スプロケット27よりなる補助動力伝達手段29を介して伝達軸13に伝達され、伝達軸13の第1外周スプライン13aから出力軸下流部12Bの第2外周スプライン12bに伝達される。
しかしながら、変速ユニットU…の変速比は補助動力伝達手段29の変速比よりも大きく設定されているため、伝達軸13の回転数(つまり第2外周スプライン12bの回転数)は出力軸下流部12Bの回転数よりも大きくなり、第2ワンウェイクラッチ45は係合解除して補助動力伝達手段29を介しての動力伝達は行われず、変速ユニットU…を介しての動力伝達で車両は前進走行あるいは後進走行する。
ドライブレンジでの前進走行中に車両が減速状態に移行すると、図13に示すように、エンジン回転数が低下することで変速ユニットU…の第1ワンウェイクラッチ21…は係合解除し、駆動輪W,Wからの駆動力はディファレンシャルギヤDおよび第1動力伝達切換機構S1を介して出力軸下流部12Bに伝達される。このとき、出力軸下流部12Bの回転数は入力軸11に補助動力伝達機構29を介して接続された伝達軸13の回転数(つまり第2外周スプライン12bの回転数)よりも大きくなり、第2ワンウェイクラッチ45が係合することで出力軸下流部12Bの駆動力は補助動力伝達手段29および入力軸11を介してエンジンEに逆伝達され、エンジンブレーキを作動させることができる。
リバースレンジでの後進走行中に車両が減速した場合であっても、出力軸下流部12Bはドライブレンジでの前進走行中と同方向に回転するため、同様にエンジンブレーキを作動させることができる。
ドライブレンジでの前進走行中に車両が更に減速すると、図14に示すように、第2動力伝達切換機構S2のスリーブ41を右動して出力軸下流部12Bの第2外周スプライン12bおよび第3外周スプライン12cを結合する。その結果、駆動輪W,Wから逆伝達される駆動力で回転する出力軸下流部12Bが伝達軸13から(つまりエンジンEから)切り離されるため、減速走行中のアイドリングストップが可能になって燃料消費量の節減が可能になる。
変速ユニットU…が故障して車両が走行不能になった場合には、図15に示すように、第2動力伝達切換機構S2のスリーブ41を中央位置にして伝達軸13の第1外周スプライン13aおよび出力軸下流部12Bの第2外周スプライン12bおよび第3外周スプライン12cを結合する。その結果、伝達軸13および出力軸下流部12Bは第2ワンウェイクラッチ45を介さずに直結されるため、エンジンEの駆動力を入力軸11から補助動力伝達手段29、伝達軸13、出力軸下流部12B、第1動力伝達切換機構S1およびディファレンシャルギヤDを介して駆動輪W,Wに伝達し、修理工場まで車両を前進走行あるいは後進走行させることができる。
ところで、入力軸本体部11Aを支持するボールベアリング(不図示)やコネクティングロッド19のリング部19bを支持するボールベアリング20(図3参照)の破損により、入力軸本体部11Aが回転不能に固着する故障が発生する場合がある。かかる故障が発生した場合、エンジンEと入力軸本体部11Aとが切り離し不能に接続されていると、エンジンEがストールして運転することができないために車両が走行が走行不能になる問題がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、入力軸本体部11Aが固着したときに乾式クラッチ52を係合解除することで入力軸本体部11Aから入力軸上流部11Bが切り離されるため、図15で説明したフェール状態のモードに切り換えることで、補助動力伝達手段29によりエンジンEの駆動力を入力軸上流部11Bから出力軸下流部12Bに無段変速機Tを介さずに伝達して車両を退避走行させることができる。
この退避走行の間は、エンジンEおよび駆動輪W,Wが直結されるため、エンジンブレーキを作動させることも可能であるが、車両が停止すると駆動輪W,Wに直結されたエンジンEがストールする問題がある。しかしながら、本実施の形態によれば、車両が停止したときに第2動力伝達切換機構S2のスリーブ41を左動し、伝達軸13の第1外周スプライン13aと出力軸下流部12Bの第2外周スプライン12bとを接続すると、伝達軸13に入力されたエンジンEの駆動力は第2ワンウェイクラッチ45がスリップすることで出力軸下流部12Bに伝達されなくなり、車両が停止した状態でもエンジンEをストールさせることなくアイドリング運転することができる。
尚、入力軸本体部11Aの固着以外の故障の場合は、入力軸本体部11Aが回転可能であるために必ずしも乾式クラッチ52を係合解除する必要がないが、乾式クラッチ52を係合解除して入力軸上流部11Bから入力軸本体部11Aを切り離せば、無段変速機Tの引きずりを防止して燃料消費量を節減することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、車両用動力伝達装置の軸方向寸法を大型化する電動モータを必要とせずに車両の前進走行および後進走行を可能にしながら、前進走行時にも後進走行時にもエンジンブレーキを可能にすることができ、しかも車両の減速走行中のアイドリングストップや、変速ユニットU…の故障時の走行が可能になる。また車両用動力伝達装置はエンジンEが接続される入力軸11側の軸方向寸法が大型化し易いが、伝達軸13を第1出力軸12側に設けることで入力軸11側の軸方向寸法の大型化を抑制し、全体として車両用動力伝達装置の軸方向寸法を最小限に抑えることができる。
また入力軸本体部11Aおよび入力軸上流部11B間に乾式クラッチ52を配置したことにより、入力軸本体部11Aが固着故障しても車両を退避走行させることができる。また軸方寸法が小さい乾式クラッチ52を採用したことで、車両用動力伝達装置の軸方向寸法の大型化を回避することができる。しかもダンパー51をエンジンEと入力軸上流部11Bとの間に配置したので、退避走行の間もダンパー51の制振機能を発揮させて乗り心地を確保することができる。
ところで、仮に乾式クラッチ52の代わりに湿式クラッチを採用した場合、エンジンEの運転時には必ず湿式クラッチが潤滑油を攪拌するため、引きずり抵抗が増加してエンジンEの燃料消費量が増加する問題がある。しかしながら、本実施の形態によれば、乾式クラッチ52を採用したことにより、潤滑油の引きずり抵抗がなくなってエンジンEの燃料消費量が節減される。
一方、補助動力伝達手段29や変速ユニットU…は潤滑油による潤滑が必要であるため、補助動力伝達手段29や変速ユニットU…を収納するウエットな第1室61と、乾式クラッチ52やダンパー51を収納するドライな第2室62とを分離する必要があるが、仮に補助動力伝達手段29および変速ユニットU…が乾式クラッチ52を挟んで両側に配置されていると、ウエットな第1室61が二つに分離されてしまい、無段変速機Tの軸方向寸法が増加する問題がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、乾式クラッチ52のクラッチドラム53を介してダンパー51からの駆動力を補助動力伝達手段29の第1スプロケット26に伝達することで、補助動力伝達手段29および変速ユニットU…を乾式クラッチ52の軸方向一方側に纏めて配置することが可能となり、第1室61および第2室62をシール部材63A〜63Cで簡単に分離して無段変速機Tの軸方向寸法を小型化することができる。
第2の実施の形態
次に、図17に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態では、乾式クラッチ52の摩擦面54をクラッチドラム53の第1側壁53aに設け、プレッシャプレート56をクラッチドラム53の第2側壁53b側に配置しているが、第2の実施の形態では、摩擦面54およびプレッシャプレート56の位置関係を入れ換え、摩擦面54をクラッチドラム53の第2側壁53bに設け、プレッシャプレート56をクラッチドラム53の第1側壁53a側に配置している。その結果、プレッシャプレート56を駆動する操作軸57は、中空の入力軸本体部11Aの内部を通ってアクチュエータ59に接続される。
変速機ケース60およびクラッチドラム53の延長部53d間はシール部材63Aによりシールされ、クラッチドラム53の延長部53dおよび入力軸本体部11A間はシール部材63Bによりシールされ、入力軸本体部11Aおよび操作軸57間はシール部材63BCよりシールされるので、第1室61および第2室62間を第1〜第3シール部材63A〜63Cで油密に仕切りながら、第1室61側からプレッシャプレート56を操作することが可能となり、第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
第3の実施の形態
次に、図18に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第1、第2の実施の形態では、乾式クラッチ52のアクチュエータ59を第1室61側に設けているが、第3の実施の形態ではアクチュエータ59が第2室62内に配置される。即ち、第3の実施の形態では、中間部を支点64で枢支したレリーズフォーク65の一端をアクチュエータ59に接続し、他端をクラッチドラム53の第2側壁53bにスプラインで軸方向摺動自在に支持したプレッシャプレート56の背面に当接することで、プレッシャプレート56を軸方向に駆動して乾式クラッチ52を係合および係合解除する。
変速機ケース60およびクラッチドラム53の延長部53d間はシール部材63Aによりシールされ、クラッチドラム53の延長部53dおよび入力軸本体部11A間はシール部材63Bによりシールされるので、第1室61および第2室62間を第1、第2シール部材63A,63Bで油密に仕切りながら、第2室62側からプレッシャプレート56を操作することが可能となり、第1、第2の実施の形態に比べてシール部材の数を減らすことができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明の変速機は実施の形態のクランク式の無段変速機Tの限定されず、任意の形式の無段変速機や有段変速機であっても良い。
また本発明の補助伝達機構は実施の形態の無端チェーン28を用いた補助動力伝達手段29に限定されず、ギヤやベルトを用いたものであっても良い。
11A 入力軸本体部(変速機入力軸)
11B 入力軸上流部(駆動源出力軸)
12B 出力軸下流部(変速機出力軸)
14 変速アクチュエータ
18 偏心ディスク(入力側支点)
19 コネクティングロッド
19c ピン(出力側支点)
21 第1ワンウェイクラッチ(ワンウェイクラッチ)
22 アウター部材(入力部材)
26 第1スプロケット(入力要素)
27 第2スプロケット(出力要素)
28 無端チェーン(伝達要素)
29 補助動力伝達手段(補助伝達機構)
52 乾式クラッチ(第1クラッチ)
53 クラッチドラム
54 摩擦面
55 摩擦プレート
56 プレッシャプレート
57 操作軸
60 変速機ケース
61 第1室
62 第2室
63A シール部材
63B シール部材
63C シール部材
E エンジン(駆動源) S2 第2動力伝達切換機構(第2クラッチ)
U 変速ユニット(変速機構) W 駆動輪

Claims (5)

  1. 駆動源(E)により駆動される駆動源出力軸(11B)に乾式の第1クラッチ(52)を介して接続された変速機入力軸(11A)と、駆動輪(W)に接続された変速機出力軸(12B)と、前記変速機入力軸(11A)の駆動力を変速して前記変速機出力軸(12B)に伝達可能な変速機構(U)と、前記変速機構(U)に対して並列に配置されて前記駆動源出力軸(11B)および前記変速機出力軸(12B)間で駆動力を伝達可能な補助伝達機構(29)とを備え、前記補助伝達機構(29)は、前記駆動源出力軸(11B)と一体に回転する入力要素(26)と、前記変速機出力軸(12B)に接続された出力要素(27)と、前記入力要素(26)および前記出力要素(27)を接続する伝達要素(28)とからなる車両用変速機であって、
    前記第1クラッチ(52)は、一端側が前記駆動源出力軸(11B)に接続されて他端側が前記入力要素(26)に接続されたクラッチドラム(53)と、前記クラッチドラム(53)の内面に設けられた摩擦面(54)と、前記クラッチドラム(53)の内部において前記変速機入力軸(11A)に固定されて前記摩擦面(54)に当接可能に対向する摩擦プレート(55)と、前記クラッチドラム(53)の内部において前記摩擦プレート(55)を前記摩擦面(54)に向けて押圧可能に配置されたプレッシャプレート(56)とを備え、
    変速機ケース(60)、前記クラッチドラム(53)および前記変速機入力軸(11A)間に配置したシール部材(63A〜63C)により、前記補助伝達機構(29)および前記変速機構(U)が配置される第1室(61)と、前記第1クラッチ(52)が配置される第2室(62)とを仕切り、前記第1室(61)を潤滑油が存在する湿空間とし、前記第2室(62)を潤滑油が存在しない乾空間としたことを特徴とする車両用変速機。
  2. 前記出力要素(27)および前記変速機出力軸(12B)の接続を解除可能な第2クラッチ(S2)を備え、車両の加速時には前記駆動源(E)の駆動力を前記変速機構(U)を介して前記変速機出力軸(12B)に伝達するとともに、車両の減速時には前記第2クラッチ(S2)を係合して前記変速機出力軸(12B)の駆動力を前記補助伝達機構(29)を介して前記駆動源(E)に逆伝達することを特徴とする、請求項1に記載の車両用変速機。
  3. 前記変速機構(U)は、前記変速機入力軸(11A)の軸線からの偏心量が可変であって該変速機入力軸(11A)と共に回転する入力側支点(18)と、前記変速機出力軸(12B)に接続されたワンウェイクラッチ(21)と、前記ワンウェイクラッチ(21)の入力部材(22)に設けられた出力側支点(19c)と、前記入力側支点(18)および前記出力側支点(19c)に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッド(19)と、前記入力側支点(18)の偏心量を変更する変速アクチュエータ(14)とを備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用変速機。
  4. 前記変速機入力軸(11A)の外周および前記クラッチドラム(53)の内周間に筒状の操作軸(57)を配置し、前記シール部材(63A〜63C)は、前記変速機ケース(60)および前記クラッチドラム(53)間と、前記クラッチドラム(53)および前記操作軸(57)間と、前記操作軸(57)および前記変速機入力軸(11A)間とをシールすることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用変速機。
  5. 前記変速機入力軸(11A)の内部に操作軸(57)を配置し、前記シール部材(63A〜63C)は、前記変速機ケース(60)および前記クラッチドラム(53)間と、前記クラッチドラム(53)および前記変速機入力軸(11A)間と、前記変速機入力軸(11A)および前記操作軸(57)間とをシールすることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用変速機。
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