JP2015036198A - 印刷制御装置、印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】濃度ムラによる画質の劣化を効果的に抑制する。【解決手段】画像データが規定する色空間の値と各色のインク量とを対応付けたプロファイルを用いて、前記画像データに規定された値をインク量に変換する変換部を有し、前記プロファイルは、画像の暗部における濃度ムラを考慮した第1色変換プロファイルと、画像の階調性を考慮した第2色変換プロファイルと、があり、前記変換部は、印刷データを生成する際の印刷条件に応じて、前記第1色変換プロファイルと、前記第2色変換プロファイルとを使い分ける。【選択図】図1
Description
本発明は、ハーフトーンドットを形成する印刷処理を制御する印刷制御装置、及び印刷方法に関する。
インクを被印刷物に着弾させて、所定の画像に応じたハーフトーンドットを印刷する印刷方法が知られている。ここで、ハーフトーン(half−tone)とは、スクリーン線数、サイズ、形状、又は密度の異なる点で構成される画像のことである。ハーフトーンは、ディザリング、誤差拡散などによって生成される。ハーフトーンドット(half−tone dot)とは、階調を構成する個々の要素のことである。ハーフトーンドットには、正方形、円形、楕円形など、さまざまな形状がありえる。以下、ハーフトーンドットを単に、ドットとも記載する。
ドットの着弾位置がずれて濃度ムラが生じる場合がある。濃度ムラは、ドットの重なり量が場所ごとに変化することで、所定領域での明度が変化することで生じる。そのため、インクを吐出する1パス目と2パス目で、異なるドットのパターンを使い分けてドットの重なりを制御する発明が開示されている。即ち、ドットの列を異なるパターンに分割し、複数回に分けて印刷することで、ドットの重なりを制御し、濃度ムラを目立たなくしている(例えば、特許文献1参照。)。
上述した特許文献に示す発明のように、ドット列を分割して印刷する方法は、1回のパスで印刷を完了するモードでは適用できない。また、濃度ムラは常に生じるものではないため、濃度ムラが生じる場合にのみ対策を施すことで、効果的に画質劣化を抑制したいという要望があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、濃度ムラによる画質の劣化を効果的に抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様では、画像データが規定する色空間の値と各色のインク量とを対応付けたプロファイルを用いて、前記画像データに規定された値をインク量に変換する変換部を有し、前記プロファイルは、画像の暗部における濃度ムラを考慮した第1色変換プロファイルと、画像の階調性を考慮した第2色変換プロファイルと、があり、前記変換部は、印刷データを生成する際の印刷条件に応じて、前記第1色変換プロファイルと、前記第2色変換プロファイルとを使い分ける。
上記のように構成された発明では、変換部が用いるプロファイルは、画像の階調性を考慮した第1色変換プロファイルと、画像の濃度ムラを考慮した第2色変換プロファイルとがある。そして、変換部は、印刷データを用いてインクを吐出させる際の印刷条件に応じて、第1色変換プロファイルと、第2色変換プロファイルとを使い分ける。
そのため、暗部の濃度ムラが生じやすい印刷条件においてのみ、濃度ムラ対策が行われるため、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
そのため、暗部の濃度ムラが生じやすい印刷条件においてのみ、濃度ムラ対策が行われるため、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
そして、本発明の一態様として、前記印刷条件は、前記印刷データの解像度であり、前記変換部は、前記印刷データの解像度が高い前記第1の印刷モードでは、前記第2色変換プロファイルを使用し、前記印刷データの解像度が前記第1の印刷モードに比べて低い第2の印刷モードでは、前記第1色変換プロファイルを使用する。
解像度が低い印刷データを印刷する場合、濃度ムラが発生し易くなることが知られている。ここで、印刷データの解像度は、ドット同士の距離のみならず、ドットのサイズをも含む。そのため、上記のように構成された発明では、解像度が低い第2の印刷モードにおいて、濃度ムラの対策を行うことで、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
解像度が低い印刷データを印刷する場合、濃度ムラが発生し易くなることが知られている。ここで、印刷データの解像度は、ドット同士の距離のみならず、ドットのサイズをも含む。そのため、上記のように構成された発明では、解像度が低い第2の印刷モードにおいて、濃度ムラの対策を行うことで、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
さらに、本発明の一態様として、前記印刷条件は、前記印刷データに基づいて画像を印刷する際の印刷方式であり、前記変換部は、前記印刷方式がバンド印刷の場合は、前記第2色変換プロファイルを使用し、前記印刷方式がマルチパスの場合は、前記第2色変換プロファイルを使用する。
バンド印刷は1回に吐出されるインクの量が多く着弾ズレの影響が大きい。一方で、マルチパスでは1回に吐出されるインクの量が少なく着弾ズレの影響が少ない。そのため、上記のように構成された発明では、着弾ズレの影響が大きいバンド印刷の場合に、濃度ムラ対策を施す。
バンド印刷は1回に吐出されるインクの量が多く着弾ズレの影響が大きい。一方で、マルチパスでは1回に吐出されるインクの量が少なく着弾ズレの影響が少ない。そのため、上記のように構成された発明では、着弾ズレの影響が大きいバンド印刷の場合に、濃度ムラ対策を施す。
また、本発明の一態様として、前記印刷条件の一つは、被印刷物の種別であり、前記変換部は、プリンター対応可能な媒体のうちで、吸液性が高い被印刷物を用いる場合、前記第1色変換プロファイルを用いる。
被印刷物の種別が異なると、吸液性が変化する。吸液性が低いと、等量のドットを印刷しても滲み易さが高くなる。そのため、上記のように構成された発明では、プリンター対応可能な媒体のうちで、吸液性が低い被印刷物において、濃度ムラの対策を行うことで、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
被印刷物の種別が異なると、吸液性が変化する。吸液性が低いと、等量のドットを印刷しても滲み易さが高くなる。そのため、上記のように構成された発明では、プリンター対応可能な媒体のうちで、吸液性が低い被印刷物において、濃度ムラの対策を行うことで、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
そして、本発明の一態様として、前記印刷条件の一つは、インクの種別であり、前記変換部は、プリンター対応可能な媒体のうちで、被印刷物に対する浸透性が高いインクを用いる場合、前記第2色変換プロファイルを用いる。
インクの種別が異なると、被印刷物に対する浸透性が変化する。浸透性が低いと、等量のドットを印刷しても滲み易さが高くなる。そのため、上記のように構成された発明では、プリンター対応可能な媒体のうちで、浸透性が低い被印刷物において、濃度ムラの対策を行うことで、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
インクの種別が異なると、被印刷物に対する浸透性が変化する。浸透性が低いと、等量のドットを印刷しても滲み易さが高くなる。そのため、上記のように構成された発明では、プリンター対応可能な媒体のうちで、浸透性が低い被印刷物において、濃度ムラの対策を行うことで、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
そして、本発明の一態様として、前記第1色変換プロファイルには、暗部を再現するインク量において、ブラックのインク量に加えて、シアン、マゼンダ、イエローの各インク量が規定されている構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、暗部を再現するインクの組合せを変化させて、濃度ムラの対策を行う。そのため、印刷方法に影響を受けることなく、本発明の濃度ムラ対策を行うことができる。
上記のように構成された発明では、暗部を再現するインクの組合せを変化させて、濃度ムラの対策を行う。そのため、印刷方法に影響を受けることなく、本発明の濃度ムラ対策を行うことができる。
さらに、本発明の一態様として、画像データが規定する色空間の値と各色のインク量とを対応付けたプロファイルを用いて、前記画像データに規定された値をインク量に変換する変換部を有し、前記プロファイルは、レッド、グリーン、ブルーの各値で規定された前記色空間の値と、少なくともシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックを含む各インク色で規定されたインク量とを対応づけており、前記色空間のレッド、グリーン、イエローの各値が共に0の場合に、ブラックの値に加えて、シアン、マゼンダ、イエローの値を対応づける構成としてもよい。
また、本発明にかかる技術的思想は印刷制御装置という形態のみで実現されるものではなく、他の物によって具現化されてもよい。また、上述したいずれかの態様の印刷制御装置の特徴に対応した工程を備える方法(印刷方法)の発明や、当該方法を所定のハードウェア(コンピューター)に実行させる印刷プログラムの発明や、当該プログラムを記録したコンピューター読取可能な記録媒体の発明も把握することができる。また、印刷制御装置は、単体の装置によって実現されてもよいし、複数の装置の組み合せによって実現されてもよい。
また、本発明にかかる技術的思想は印刷制御装置という形態のみで実現されるものではなく、他の物によって具現化されてもよい。また、上述したいずれかの態様の印刷制御装置の特徴に対応した工程を備える方法(印刷方法)の発明や、当該方法を所定のハードウェア(コンピューター)に実行させる印刷プログラムの発明や、当該プログラムを記録したコンピューター読取可能な記録媒体の発明も把握することができる。また、印刷制御装置は、単体の装置によって実現されてもよいし、複数の装置の組み合せによって実現されてもよい。
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
1.印刷制御装置の構成:
2.印刷方法:
3.各種変形例:
1.印刷制御装置の構成:
2.印刷方法:
3.各種変形例:
1.印刷制御装置の構成:
図1は、本実施形態にかかるハードウェア構成およびソフトウェア構成を概略的に示している。図1では、制御装置10とプリンター50とを示している。制御装置10は、プリンター50を制御してプリンター50に印刷を実行させる機能を有し、例えば、パーソナルコンピューター(PC)や、サーバー、携帯型端末装置等が該当する。プリンター50(printer)とは、あらかじめ定められた一つ又は複数の文字集合に属する離散的な図形文字の列を主な様式として、データのハードコピー記録を作る出力装置、である(JIS X0012−1990)。多くの場合、プリンターはプロッターとしても使用できる。プロッター(plotter)とは、取外し可能な媒体上に、二次元図形の様式でデータのハードコピー記録を直接作り出す出力装置、である(JIS X0012−1990)。プリンター50は、プリンターとして機能し得るものであればよく、スキャナーやコピー機としても機能するいわゆる複合機であってもよい。
図1は、本実施形態にかかるハードウェア構成およびソフトウェア構成を概略的に示している。図1では、制御装置10とプリンター50とを示している。制御装置10は、プリンター50を制御してプリンター50に印刷を実行させる機能を有し、例えば、パーソナルコンピューター(PC)や、サーバー、携帯型端末装置等が該当する。プリンター50(printer)とは、あらかじめ定められた一つ又は複数の文字集合に属する離散的な図形文字の列を主な様式として、データのハードコピー記録を作る出力装置、である(JIS X0012−1990)。多くの場合、プリンターはプロッターとしても使用できる。プロッター(plotter)とは、取外し可能な媒体上に、二次元図形の様式でデータのハードコピー記録を直接作り出す出力装置、である(JIS X0012−1990)。プリンター50は、プリンターとして機能し得るものであればよく、スキャナーやコピー機としても機能するいわゆる複合機であってもよい。
本実施形態では、制御装置10が印刷制御装置に対応する。しかし、上記構成以外にも、制御装置10およびプリンター50からなるシステム100を印刷制御装置と捉えてもよいし、プリンター50のみを印刷制御装置と捉えることも可能である。また、制御装置10とプリンター50は、それぞれが別個の装置であることのみを前提としたものではない。制御装置10とプリンター50は、一体的に構成された一つの製品内における各部に該当するとしてもよく、当該製品の一部が制御装置10として機能し、他の部がプリンター50として機能する構成も本実施形態に含まれる。
制御装置10においては、CPU11が、ハードディスクドライブ(HDD)20等に記憶されたプリンタドライバー等のプログラムデータをRAM12に展開して実行することで、解像度変換部13a、分版処理部(変換部)13b、ハーフトーン処理部13c、転送部13d等の各機能を実現する。これら各機能については後述する。また、制御装置10とプリンター50とが一体的にプリンターとして構成された場合には、プリンタドライバーの役割がファームウェアの一部として実行される。
制御装置10には、表示部としてのディスプレー30が接続されており、ディスプレー30には各処理に必要なユーザーインターフェイス(UI)画面が表示される。また、制御装置10は、例えば、キーボードやマウスや各種ボタンやタッチパッドやタッチパネル等により実現される操作部40を適宜備え、各処理に必要な指示がユーザーにより操作部40を介して入力される。なお、ディスプレー30および操作部40は、制御装置10に内蔵されていてもよいし、外部接続されていてもよい。制御装置10は、プリンター50とネットワーク70により通信可能に接続されている。ネットワーク70は、有線あるいは無線による通信経路の総称である。上述したように制御装置10とプリンター50が一体的な製品である場合は、ネットワーク70は当該製品内における通信経路である。制御装置10においては、プリンタドライバー13の機能により、ハーフトーンを含むデータが生成さる。そして、制御装置10は、このデータにコマンドを付加して、ネットワーク70を介してプリンター50へ送信する。
プリンター50においては、CPU51が、ROM53等のメモリーに記憶されたファームウェアFW等のプログラムデータをRAM52に展開してOSの下で実行することで、制御装置10から送信された印刷データに基づいて、コマンドの解釈や圧縮データの解凍等を適宜実行し、印刷データを生成する。そして、当該印刷データをASIC56に送ることにより、印刷データに基づいた印刷を実行させることができる。
ASIC56は印刷データを取得し、印刷データに基づいて、例えば、搬送機構57や、キャリッジモーター58や、印刷ヘッド62を駆動するための駆動信号を生成する。印刷ヘッド62は、パーマネントヘッド(permanent head)に該当し、インクの液滴を連続的又は断続的に生成する、プリンター本体の機械部又は電気部である(JIS Z8123−1:2013)。プリンター50は、例えばキャリッジ60を備えており、キャリッジ60は複数種類のインク毎のカートリッジ61を搭載している。図1の例では、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、の各種液体に対応したカートリッジ61が搭載されている。ただし、プリンター50が使用するインクの具体的な種類や数は上述したものに限られず、例えば、ライトシアン、ライトマゼンダ、オレンジ、グリーン、グレー、ライトグレー、ホワイト、メタリック…等、種々のインクを使用可能である。また、カートリッジ61は、キャリッジ60に搭載されずにプリンター50内の所定位置に設置されるとしてもよいし、カートリッジ61は、インクタンク、インクパッケージ等の体裁でもよい。
キャリッジ60は、各カートリッジ61から供給されるインクを多数のインク吐出孔(以下、ノズル)から噴射(吐出)する印刷ヘッド62を備える。従って、プリンター50は、インクジェットプリンターに該当する。インクジェットプリンター(ink jet printer)とは、非衝撃式印字装置であって、文字が用紙上にインクの粒子又は小滴の噴射によって形成されるもの、である(JIS X0012−1990)。
印刷ヘッド62内においては、各ノズルに対応して、ノズルからインク滴(ドット)を噴射させるための圧電素子が設けられている。圧電素子は、前記駆動信号が印加されると変形し、対応するノズルからドットを吐出させる。搬送機構57は、図示しない紙送りモーターや紙送りローラーを備え、ASIC56に駆動制御されることにより、送り方向に沿って被印刷物を搬送する。送り方向(feed direction)とは、被印刷物とヘッドとが対するときの、被印刷物の移動に係る幾何ベクトルの向き、である。また、走査方向とは、この送り方向に対して交差する方向である。
印刷ヘッド62内においては、各ノズルに対応して、ノズルからインク滴(ドット)を噴射させるための圧電素子が設けられている。圧電素子は、前記駆動信号が印加されると変形し、対応するノズルからドットを吐出させる。搬送機構57は、図示しない紙送りモーターや紙送りローラーを備え、ASIC56に駆動制御されることにより、送り方向に沿って被印刷物を搬送する。送り方向(feed direction)とは、被印刷物とヘッドとが対するときの、被印刷物の移動に係る幾何ベクトルの向き、である。また、走査方向とは、この送り方向に対して交差する方向である。
被印刷物(print substrate)とは、印刷画像を保持する素材のことである。形状は長方形のものが一般的であるが、円形(例えばCD−ROM、DVD等の光ディスク)、三角形、四角形、多角形などがあり、少なくとも、日本工業規格「JIS P0001:1998 紙・板紙及びパルプ用語」に記載の紙・板紙の品種及び加工製品のすべてを含む。
ASIC56にキャリッジモーター58の駆動が制御されることにより、キャリッジ60(および印刷ヘッド62)が、送り方向と交差する方向(走査方向)に沿って移動し、かつASIC56は当該移動に伴って印刷ヘッド62に各ノズルからインクを吐出させる。これにより、被印刷物にドットが付着し、印刷データに基づく画像が被印刷物上に再現される。なお前記“交差”とは、直交の意である。ただし、本明細書で言う直交とは、厳密な角度(90°)のみを意味するのではなく、製品の品質上許容される程度の角度の誤差を含む意味である。
ここで、画像(image)とは、人間の目に見える写真、絵、イラスト、図、文字などで、オリジナルの形、色、遠近感を適切に表現するもののことである。また、画像データとは、画像を表現するデジタルデータを意味する。画像データに該当するものとして、ベクトルデータやビットマップ画像等が挙げられる。ベクトルデータ(vector data)とは、直線、円、円弧などの幾何学的図形を表現する命令及びパラメーターのセットとして保存される画像データをいう。ビットマップ画像(bit−mapped image)とは、画素(pixel)の配列によって記述される画像データである。画素とは、色又は輝度を独立に割り当てることができる、画像を構成する最小要素のことである。
プリンター50は、さらに操作パネル59を備える。操作パネル59は、表示部(例えば液晶パネル)や、表示部内に形成されるタッチパネルや、各種ボタンやキーを含み、ユーザーからの入力を受け付けたり、必要なUI画面を表示部に表示したりする。
プリンター50は、前記のように印刷ヘッド62が走査軸方向に沿って移動するシリアルプリンターに限られない。シリアルプリンター(serial printer)とは、一度に1個の文字を印刷する印字装置、である(JIS X0012−1990)。
プリンター50は、前記のように印刷ヘッド62が走査軸方向に沿って移動するシリアルプリンターに限られない。シリアルプリンター(serial printer)とは、一度に1個の文字を印刷する印字装置、である(JIS X0012−1990)。
図2は、プリンター50により印刷されるドットを説明する図である。図2(a)は、プリンター50により被印刷物上に再現された画像を示す。また、図2(b)は、濃度ムラの対策を行っていない画像の点線で囲む領域Aを拡大して示す図である。そして、図2(c)は、濃度ムラの対策を行っている画像の点線で囲む領域Aを拡大して示す図である。
図2(b)に示すように、図2(a)に示す画像は、複数のドットが所定のパターンを伴って印刷されている。領域Aは、背景領域であり、例えば、ブラックのドットのみで構成されている。以下、ドットが集合して形成された領域Aを画像領域GAとも記載する。また、画像領域GA1は、濃度ムラが生じている領域であり、ブラックのドットが着弾しない領域Bと、ブラックのドットの重なり量が多い領域Cとで構成されている。
一方、図2(c)では、領域Bにおいて、ブラックのドットに加えて、シアン、マゼンダ、イエローの各ドットを重ねて印刷している。なお、図2(c)では、図示しないが、領域B以外の箇所においてもブラックのドットに加えて、シアン、マゼンダ、イエローの各ドットが重ねて印刷されているものとする。そのため、ブラックのドットの着弾ズレが生じた場合でも、シアン、マゼンダ、イエローの各インクが被印刷物を被覆することで、領域GA1における明度の増加を抑制している。即ち、本発明では、所定の暗部を再現する画像領域において、ブラックのドットのみならず、シアン、マゼンダ、イエローの各ドットを重ねて印刷することで、濃度ムラを低減している。
図3は、本発明の原理を説明する図である。図3(a)は、減法混色による色の再現を示す図である。減法混色では、シアン、マゼンダ、イエローの3色を等量だけ重ねることで、ブラックを含む無彩色(即ち、グレースケール上の色)を再現することができる。そのため、ブラックのドットに加えて、シアン、マゼンダ、イエローの各ドットを等量重ねて印刷しても、彩度の変化をもたらすことはない。逆に、着弾ズレにより生じる明度の増加を、シアン、マゼンダ、イエローの各ドットにより低減させることができる。
無論、濃度ムラを対策するドットをブラックとすることは一例であり、暗部に属する他の色(マゼンダ、シアン)においても、同様の手法を用いてもよい。
無論、濃度ムラを対策するドットをブラックとすることは一例であり、暗部に属する他の色(マゼンダ、シアン)においても、同様の手法を用いてもよい。
本実施形態では、ブラックのドットに重ねるシアン、マゼンダ、イエローの各インクの量は、単位面積当たりのドットの打ち込み量との関係に応じて規定している。図3(b)は、被印刷物と単位面積当たりのドット打ち込み量との関係を説明する図である。ここで、単位面積当たりのドットの打ち込み量とは、任意の被印刷物の単位面積当たりのインクの吐出量をいう。なお、以下では、単位面積当たりのインク吐出量を単に、「Duty」とも言いう。単位面積当たりのインク吐出量が多い場合をDutyが高いとし、単位面積当たりのインク吐出量が少ない場合をDutyが低いとする。
図3(b)では、被印刷物が許容できる最大Dutyを180パーセントとし、プリンター50が1回で吐出できる単色のインクのDutyの最大を100パーセントとしている。被印刷物が許容できる最大Dutyは、例えば、被印刷物にインクが着弾した場合に、ドットの滲み度合いによって規定される。そのため、被印刷物の種別、インクの種別、又は周辺環境によっても変化する。
本実施形態では、被印刷物が許容できる最大Dutyから、ブラックのインク(ドット)のDutyを引いた値を、許容量Pvと定義し、この許容量Pvを超えない範囲で、シアン、マゼンダ、イエローを重ねる量を設定している。例えば、図3(b)では、ブラックのDutyが100パーセントであるため、許容量Pvは、80パーセントとなる。そのため、この80パーセントを超えない範囲で、シアン、マゼンダ、イエローの各ドットが重ねられる。無論、最大Dutyが変化しない場合、ブラックのDutyを増減させることで、許容量Pvも増減する。
本実施形態では、被印刷物が許容できる最大Dutyから、ブラックのインク(ドット)のDutyを引いた値を、許容量Pvと定義し、この許容量Pvを超えない範囲で、シアン、マゼンダ、イエローを重ねる量を設定している。例えば、図3(b)では、ブラックのDutyが100パーセントであるため、許容量Pvは、80パーセントとなる。そのため、この80パーセントを超えない範囲で、シアン、マゼンダ、イエローの各ドットが重ねられる。無論、最大Dutyが変化しない場合、ブラックのDutyを増減させることで、許容量Pvも増減する。
図4、図5は、HDD20に記録された色変換プロファイル23および24を説明する図である。本発明では、上述した濃度ムラを抑制するための色変換プロファイルとして第1色変換プロファイル23をHDD20に記録している。制御装置10が、この第1色変換プロファイル23を用いて分版処理を実行することで、プリンター50は、暗部を再現する際、ブラックのドットのみならず、シアン、マゼンダ、イエローのドットを重ねて印刷する。
これ以外にも、HDD20には、画像の階調性を考慮した第2色変換プロファイル24を記録している。ここで、階調性とは、画像の色の濃淡の変化の度合い、グラデーション表現を意味する。そして、階調性が高いとは、色同士の変化度合いを示す距離(例えば、CIELAB均等色空間上での色同士の距離)が、色間で均等となることを意味している。濃度ムラを補正する必要がない場合、制御装置10は、この第2色変換プロファイル24を用いた分版処理を行う。即ち、制御装置10がこの第2色変換プロファイル24を用いて分版処理を形成する場合、プリンター50は、暗部を再現する際、ブラックのドットのみで印刷を行う。ここで、分版処理は、画像データを、プリンター20の各インク色のインク量データ(例えばCMYKデータ)に変換する処理である。
これ以外にも、HDD20には、画像の階調性を考慮した第2色変換プロファイル24を記録している。ここで、階調性とは、画像の色の濃淡の変化の度合い、グラデーション表現を意味する。そして、階調性が高いとは、色同士の変化度合いを示す距離(例えば、CIELAB均等色空間上での色同士の距離)が、色間で均等となることを意味している。濃度ムラを補正する必要がない場合、制御装置10は、この第2色変換プロファイル24を用いた分版処理を行う。即ち、制御装置10がこの第2色変換プロファイル24を用いて分版処理を形成する場合、プリンター50は、暗部を再現する際、ブラックのドットのみで印刷を行う。ここで、分版処理は、画像データを、プリンター20の各インク色のインク量データ(例えばCMYKデータ)に変換する処理である。
第1色変換プロファイル23は、第1の3次元LUT23aと、第1の1次元LUT23bとで構成される。いずれのLUT23a、23bも、暗部における濃度ムラを補正するためのものである。
図4(a)に示すように、第1の3次元LUT23aは、プリンター50が再現可能なガマット(色域)内において、画像データの色空間(R、G、B)上の値(入力値)と、この入力値に対応するインク量(出力値)とを対応付けたテーブルである。例えば、この第1の3次元LUT23aは、RGBの各色をCIELAB均等色空間上の値に変換し、このCIELAB均等色空間上の値を再現するインク量を対応付けることで生成される。ただし、第1の3次元LUT23aは、RGBの暗部に対応するインク量において、ブラックのみならず、シアン、マゼンダ、イエローの各インク量が許容量Pvを超えない範囲で付加されている。
図4(a)に示すように、第1の3次元LUT23aは、プリンター50が再現可能なガマット(色域)内において、画像データの色空間(R、G、B)上の値(入力値)と、この入力値に対応するインク量(出力値)とを対応付けたテーブルである。例えば、この第1の3次元LUT23aは、RGBの各色をCIELAB均等色空間上の値に変換し、このCIELAB均等色空間上の値を再現するインク量を対応付けることで生成される。ただし、第1の3次元LUT23aは、RGBの暗部に対応するインク量において、ブラックのみならず、シアン、マゼンダ、イエローの各インク量が許容量Pvを超えない範囲で付加されている。
例えば、図4(a)では、(R、G、B)=(0、0、0)となる入力値に対応付けられているのは、(C、M、Y、K)=(0、0、0、255)ではなく、(C、M、Y、K)=(68、68、68、255)となっている。そのため、第1の3次元LUT23aでは、暗部において、入力値と出力値とがCIELAB等色色空間上で必ずしも近い値とならない。本実施形態では、暗部とは、入力データの最暗部である(R、G、B)=(0、0、0)を含み、この最暗部から所定ステップだけR、G、Bの各値を変化させた範囲を意味する。無論、暗部の範囲は濃度ムラの生じやすさによっても変化する。
第1の1次元LUT23bは、グレー軸上の入力値(R、G、B)と、この入力値に対応するインク量(出力値)とを対応付けたテーブルである。即ち、第1の1次元LUT23bには、主に、プリンター50が再現できるガマットの内、R、G、Bの値が等量となる入力値と、インク量との関係性が記録されている。制御装置10は、グレー軸上の値(R、G、Bが等量となる入力値)を再現する場合に、この第1の1次元LUT23bを用いて、分版処理を形成する。また、この第1の1次元LUT23bにおいても、RGBの暗部に対応するインク量において、ブラックのみならず、シアン、マゼンダ、イエローの各値が許容Dutyを超えない範囲で付加されている。例えば、図4(b)では、(R、G、B)=(10、10、10)となる入力値に対応付けられているのは、(C、M、Y、K)=(0、0、0、240)ではなく、(C、M、Y、K)=(65、65、65、240)となっている。
ただし、第1の3次元LUT23aと異なり、最暗部の入力値((R、G、B)=(0、0、0))に対しては、(C、M、Y、K)=(0、0、0、255)のインク量が対応付けられている。これは、第1の1次元LUT23bは、グレー軸上の入力値とインク量との関係性を精度良く規定することを目的に使用されるものであるため、最暗部において他のドットが視認されるのを防止する必要があるからである。
更に、制御装置10は、第2色変換プロファイル24として、第2の3次元LUT24aと、第2の1次元LUT24bとをHDD20に記録している。第2の3次元LUT24aは、プリンター50が再現可能なガマット内での画像データの色空間(R、G、B)上の値(入力値)と、この入力値に対応するインク量(出力値)とを対応付けたテーブルである。
第2の1次元LUT24bは、グレー軸上の入力値(R、G、B)と、この入力値に対応するインク量(出力値)とを対応付けたテーブルである。この第2の1次元LUT24bも、第1の1次元LUT23b同様、黒を使用する頻度が高い印刷モードの場合に使用される。
第2の1次元LUT24bは、グレー軸上の入力値(R、G、B)と、この入力値に対応するインク量(出力値)とを対応付けたテーブルである。この第2の1次元LUT24bも、第1の1次元LUT23b同様、黒を使用する頻度が高い印刷モードの場合に使用される。
第2色変換プロファイル24が第1色変換プロファイル23と異なる点は、RGBの暗部に対応するインク量が、ブラックのみで構成されていることである。例えば、図5(a)では、第2の3次元LUT24aで、(R、G、B)=(0、0、0)となる入力値に対応付けられているのは、(C、M、Y、K)=(0、0、0、255)である。そのため、第2色変換プロファイル24は、全てのガマットにおいて、入力値と出力値とがCIELAB等色色空間上で近い値となる。加えて、第2色変換プロファイル24は、第1色変換プロファイル23に比べて、ドットの階調性が考慮されている。
2.印刷方法:
図6は、上述した構成下で行われる画像を印刷するための印刷制御処理をフローチャートにより示している。この印刷処理において、制御装置10は、印刷条件に応じて、第1色変換プロファイル23と第2色変換プロファイル24とを使い分ける。
図6は、上述した構成下で行われる画像を印刷するための印刷制御処理をフローチャートにより示している。この印刷処理において、制御装置10は、印刷条件に応じて、第1色変換プロファイル23と第2色変換プロファイル24とを使い分ける。
ステップS1では、制御装置10は、操作部40を介してユーザーから画像の印刷指示を受け付けると、画像データを取得する。以下、複数の画像データの内、印刷処理の対象となる画像データを指定画像データとも記載する。例えば、制御装置10は、外部機器等の任意の情報源から画像データを取得し、取得された画像データを、HDD20に記録している。またユーザーは、印刷部数、用紙サイズ、印刷解像度等といった各種印刷条件も印刷指示と併せてプリンター50に対して指示可能である。
ステップS2では、解像度変換部13aは、指定画像データの解像度をプリンター50により印刷可能な解像度に変換する。例えば、指定画像データの解像度が360dpi×360dpiであり、プリンター50の印刷解像度が1440dpi×1080dpiである場合、解像度変換部13aは、指定画像データの1画素を12(4×3)倍することで、指定画像データを1440dpi×1080dpiの解像度に変換する。
なお、元の指定画像データの1画素に対応する解像度変換後の画素の数は、後述するハーフトーンにおける量子化数や、様々な要因によって異なる。
なお、元の指定画像データの1画素に対応する解像度変換後の画素の数は、後述するハーフトーンにおける量子化数や、様々な要因によって異なる。
印刷条件が濃度ムラを対策しないよう設定されている場合(ステップS3:NO)、第2色変換プロファイル24を用いた分版処理が行われる(ステップS7)。即ち、この分版処理では、濃度ムラの対策が行われることなく、指定画像データの各画素に記録された値が、インク量に変換される。
濃度ムラ対策を行うか否を選択する方法の1つとして、ユーザーが予め、UI画面上で濃度ムラ対策の実行の有無を設定することができる。図7は、ディスプレー30に表示されるUI画面を説明する図である。このUI画面200では、濃度ムラの対策の有無を示すチェックボックス201が表示される。ユーザーがこのチェックボックス201をチェックした場合、プリンタドライバー13は、ボックスアイコン211、212、213等により指定された印刷条件に応じて、濃度ムラの対策を行うか否かを自動で判断する。逆に、ユーザーがチェックボックス201をチェックしない場合、プリンタドライバー13は、濃度ムラ対策を行わない。
濃度ムラ対策を行うか否を選択する方法の1つとして、ユーザーが予め、UI画面上で濃度ムラ対策の実行の有無を設定することができる。図7は、ディスプレー30に表示されるUI画面を説明する図である。このUI画面200では、濃度ムラの対策の有無を示すチェックボックス201が表示される。ユーザーがこのチェックボックス201をチェックした場合、プリンタドライバー13は、ボックスアイコン211、212、213等により指定された印刷条件に応じて、濃度ムラの対策を行うか否かを自動で判断する。逆に、ユーザーがチェックボックス201をチェックしない場合、プリンタドライバー13は、濃度ムラ対策を行わない。
また、UI画面200を用いて、ユーザーは、印刷モード(印刷方式)、用紙種別、インク種別を制御装置10に設定することができる。
211は、印刷モードを設定するボックスアイコンである。本実施形態では、印刷モードとして、高精細モード、通常モード、速度有先モードのいずれかに分類される印刷方法を設定可能である。また、212は、被印刷物の種別を設定するボックスアイコンである。本実施形態では、被印刷物として、写真紙等の光沢紙、普通紙、マット紙に分類される被印刷物を設定することができる。そして、213は、プリンター50が使用するインクの種別を設定するための品番等を入力するボックスアイコンである。
211は、印刷モードを設定するボックスアイコンである。本実施形態では、印刷モードとして、高精細モード、通常モード、速度有先モードのいずれかに分類される印刷方法を設定可能である。また、212は、被印刷物の種別を設定するボックスアイコンである。本実施形態では、被印刷物として、写真紙等の光沢紙、普通紙、マット紙に分類される被印刷物を設定することができる。そして、213は、プリンター50が使用するインクの種別を設定するための品番等を入力するボックスアイコンである。
濃度ムラ対策を行うよう設定されている場合(ステップS3:YES)、ステップS4に進む。ステップS4では、プリンタドライバー13は、印刷条件を示すパラメーターを読み出し、この印刷条件が濃度ムラ対策を行う条件に適合しているか否かを判断する。本発明では、濃度ムラ対策を行う条件は、許容量Pvと、濃度ムラの発生し易さの2つ要素に応じて設定される。そのため、プリンタドライバー13は、許容量Pvと、濃度ムラの発生し易さに関係する各印刷条件を、濃度ムラ対策の有無を判定するための条件とする。例えば、HDD20には、各印刷条件の組合せと、この印刷条件の組合せに応じた濃度ムラ対策の有無との関係性を記録している。
図8は、各印刷条件と、濃度ムラ対策の適用の有無との関係を示す図である。
図8(a)に示すように、高精細モードは、例えば、高解像度の画像を印刷するための綺麗印刷や、写真画を印刷するための写真印刷が含まれる。この高精細モードでは、高解像度の画像に対応するために、小ドットのドット径により印刷を行う。また、高精細モードでは、主走査方向(送り方向に交差する方向)に配列するドット列を複数回の走査に分けて印刷するマルチパスが採用される。マルチパスでは、例えば、主走査方向の奇数番目と偶数番目のドットを異なる走査で印刷するため、印刷ヘッド62の1回の走査で形成されるドット同士の間隔が広くなる。以下、1回の走査で形成されるドット同士の間隔を吐出間隔とも記載する。
通常モードは、プリンター50のデフォルトで設定されたデフォルト印刷等が含まれる。通常モードでは、解像度が高精細モードと比べて低くなり、中ドットのドット径で印刷が行われる。そして、通常モードでは、主走査方向に配列するドット列を1回の走査で印刷するバンド印刷が採用される。バンド印刷では、ドット列を1つの走査で印刷するため、マルチパスと比べて吐出間隔が狭くなる。
速度有先モードは、CAD図面等を印刷するためのドラフト印刷や、テキスト等を印刷するドキュメント印刷が含まれる。速度有先モードでは、速度を有先するため、大ドットのドット径を吐出する、バンド印刷が採用される。
ここで、吐出間隔は、画像の内容によっても異なる。即ち、ドットの配置が密となる領域は、ドットの配置が疎となる領域に比べて、印刷方法にかかわらず1回の走査で形成されるドット同士の間隔が狭くなる場合がある。そのため、本明細書中で吐出間隔が「狭い」、「広い」と言う場合は、画像に含まれる同一の領域を、マルチパス及びバンド印刷でそれぞれ印刷した場合の「平均」の吐出間隔を用いている。
図8(a)に示すように、高精細モードは、例えば、高解像度の画像を印刷するための綺麗印刷や、写真画を印刷するための写真印刷が含まれる。この高精細モードでは、高解像度の画像に対応するために、小ドットのドット径により印刷を行う。また、高精細モードでは、主走査方向(送り方向に交差する方向)に配列するドット列を複数回の走査に分けて印刷するマルチパスが採用される。マルチパスでは、例えば、主走査方向の奇数番目と偶数番目のドットを異なる走査で印刷するため、印刷ヘッド62の1回の走査で形成されるドット同士の間隔が広くなる。以下、1回の走査で形成されるドット同士の間隔を吐出間隔とも記載する。
通常モードは、プリンター50のデフォルトで設定されたデフォルト印刷等が含まれる。通常モードでは、解像度が高精細モードと比べて低くなり、中ドットのドット径で印刷が行われる。そして、通常モードでは、主走査方向に配列するドット列を1回の走査で印刷するバンド印刷が採用される。バンド印刷では、ドット列を1つの走査で印刷するため、マルチパスと比べて吐出間隔が狭くなる。
速度有先モードは、CAD図面等を印刷するためのドラフト印刷や、テキスト等を印刷するドキュメント印刷が含まれる。速度有先モードでは、速度を有先するため、大ドットのドット径を吐出する、バンド印刷が採用される。
ここで、吐出間隔は、画像の内容によっても異なる。即ち、ドットの配置が密となる領域は、ドットの配置が疎となる領域に比べて、印刷方法にかかわらず1回の走査で形成されるドット同士の間隔が狭くなる場合がある。そのため、本明細書中で吐出間隔が「狭い」、「広い」と言う場合は、画像に含まれる同一の領域を、マルチパス及びバンド印刷でそれぞれ印刷した場合の「平均」の吐出間隔を用いている。
上述した、3つの印刷モードの内、速度有先モードが最も濃度ムラが生じやすく、高精細モードでは濃度ムラが生じにくい。これは、速度有先モードでは、解像度が低い大ドットで印刷が行われ、且つ、バンド印刷を採用するため、吐出間隔が狭くなり、着弾ズレの影響が大きいためである。逆に、高精細モードは、解像度が高い小ドットで印刷が行われ、且つ、マルチパスを採用するため、吐出間隔が広くなり、着弾ズレの影響が小さいためである。
本実施形態では、高精細モードは、第1の印刷モード、第3の印刷モードに対応する。また、通常モード、及び速度有先モードは、第2の印刷モード、第4の印刷モードに対応する。
本実施形態では、高精細モードは、第1の印刷モード、第3の印刷モードに対応する。また、通常モード、及び速度有先モードは、第2の印刷モード、第4の印刷モードに対応する。
図8(b)は、被印刷物の種別と、インクの吸液性(ドットの滲み易さ、滲みこみ易さ)との関係を示す図である。被印刷物の吸液性が低いと、等量のドットを印刷しても滲み易さが高くなる。この吸液性は、図3で示した、被印刷物の最大Dutyに対応しており、吸液性が低い(滲み易い)被印刷物は、結果として、許容量Pvの値を低下させる。そのため、吸液性が低いマット紙では、許容量Pvが最も低い値となる。許容量Pvが低くなると、濃度ムラ対策を行うことで、かえってドットの滲みを生じさせ易くなるため、好ましくない。一方、吸液性が高い光沢紙では、許容量Pvが最も高い値となる。
図8(c)では、インクの種別と、被印刷物に対するインクの浸透性(滲み易さ、滲みこみ易さ)との関係を示す図である。インクの被印刷物に対する浸透性は、図3で示した、被印刷物の最大Dutyに対応しており、許容量Pvの値を低下させる。そのため、浸透性が高い染料インクでは、許容量Pvを低下させる結果となる。図8(c)では逆になっています。
プリンタドライバー13は、上述した、印刷モード、被印刷物の種別、インク量の種別の各印刷条件に基づいて、濃度ムラ対策を行うか否かを判断する(ステップS5)。図8(d)は、印刷条件の組合せと、濃度ムラ対策の実行の有無との関係性を示す図である。図中、「○」を付したものが濃度ムラ対策を適用する条件であり、「×」を付したものが濃度ムラ対策を適用しない条件である。図8(c)では、印刷モードが高精細モードである場合は、濃度ムラが発生し難いため、濃度ムラ対策を適用しない。次に、インクの種別が染料インクである場合、許容量Pvが低くなるため、いずれの印刷モードにおいても濃度ムラ対策を適用しない。次に、印刷モードが通常モードである場合、許容量Pvが低い値とならない、光沢紙と普通紙を用いる場合にのみ、濃度ムラ対策を適用する。同様に、速度有先モードにおいても、許容量Pvが低い値とならない、光沢紙と普通紙を用いる場合にのみ、濃度ムラ対策を適用する。
そのため、濃度ムラ対策を行う場合(ステップS5:YES)、ステップS6では、分版処理部13bは、第1色変換プロファイル23を用いて指定画像データに対して分版処理を行なう。つまり、指定画像データの表色系をプリンター50が使用するインク量データに変換する。指定画像データが各画素の色をRGB値で表現する場合、画素毎にRGB値をCMYK毎の階調値(0から255までの値)に変換することによりインク量データを得る。
このとき、分版処理部13bは、グレー軸上の入力値をインク量に変換する場合は、第1の1次元LUT23bを用いる。一方、グレー軸以外の入力値をインク量に変換する場合は、分版処理部13bは、第1の3次元LUT23aを用いる。
このとき、分版処理部13bは、グレー軸上の入力値をインク量に変換する場合は、第1の1次元LUT23bを用いる。一方、グレー軸以外の入力値をインク量に変換する場合は、分版処理部13bは、第1の3次元LUT23aを用いる。
図9は、第1色変換プロファイル23を用いて実行される分版処理を説明する図である。図9(a)では、分版処理前の指定画像データの一部を、R、G、Bの色毎に示している。また、図9(b)は、図9(a)に示す、各画素に対応する、分版処理後のデータ(インク量データ)を示している。図9(b)では、ブラックのインク量データは全ての画素の階調値が255(Duty=100パーセント)となっている。また、シアン、マゼンダ、イエローの各インク量データは、全ての画素の階調値が68(Duty=26パーセント)となっている。なお、Duty26パーセントは、3色のDutyの和(78パーセント)が、許容量Pv=80(180−100)を超えていない値である。即ち、図9(b)では、第1色変換プロファイル23を用いて分版処理が行われることで、最暗部において、シアン、マゼンダ、イエローのそれぞれの画素に、階調値が付与されていることがわかる。
ステップS8では、ハーフトーン処理部13cは、分版処理後の指定画像データに対してハーフトーン処理を施す。ハーフトーン処理により、0から255の連続したデータから画素毎にドットの形成(ドットオン)又はドットの非形成(ドットオフ)を規定する2値化されたハーフトーン(印刷データ)が生成される。
2値化以外にも、印刷モードがドットのサイズを変更するものである場合、「大ドット」「中ドット」「小ドット」から成る多値化されたハーフトーンドットが形成される。
2値化以外にも、印刷モードがドットのサイズを変更するものである場合、「大ドット」「中ドット」「小ドット」から成る多値化されたハーフトーンドットが形成される。
図10は、図9(b)に示す各画素をもとに生成されたハーフトーンを示す。なお、図10では、1画素を、3×3のドットの組合せにより表す場合の、この1画素に対応するハーフトーンを示している。また、ハッチングを付した画素はドットをオンとする画素である。図10(a)は、Dutyが100パーセント(即ち、階調値が255)となるブラックの画素に基づいて生成されたハーフトーンを示す。一例として、ブラックのDutyが100パーセントである場合、3×3のドットパターンが形成される。また、図10(b)から(d)は、Dutyが26パーセント(即ち、階調値が68)となるシアン、マゼンダ、イエローの各画素に基づいて生成されたハーフトーンを示す。一例として、シアン、マゼンダ、イエローのDutyが26パーセントである場合、2つのドットで構成されたドットパターンが形成される。なお、図10では、シアン、マゼンダ、イエローの各ハーフトーンは同じドットパターンが形成されるが、これに限定されない。例えば、シアン、マゼンダ、イエローの各ドットのパターンをx方向にずつずらして配置するものであってもよい。
ステップS8で実行されるハーフトーン処理の具体的手法は特に問わない。本実施形態では、HDD20等に予め格納されたディザマスクを用いたディザ法によりハーフトーン処理を実行する。これ以外にも、周知の誤差拡散法によりハーフトーン処理を実行してもよい。
ステップS9に進み、転送部13dは、ハーフトーン処理された印刷データをプリンター50の印刷ヘッド62に転送すべき順に並べ替える処理を行う。当該並べ替えの処理によれば、ハーフトーン処理された印刷データに規定された各ドットは、印刷ヘッド62の走査単位の動作に応じて並び替えられる。そのため、印刷データに規定された各ドットは、プリンター50の印刷ヘッド62のいずれのノズル列のいずれのノズルによって、どのタイミングで形成されるかが確定される。かかる並べ替えの処理後のラスターデータ(ハーフトーンの一例)を、転送部13dはプリンター50に順次送信することにより、プリンター50は、各ノズルからインクを吐出する。
以上説明したように、この実施形態では、分版処理部13bが用いるプロファイルは、第1色変換プロファイルと、第2色変換プロファイルとがある。そして、分版処理部13bは、印刷データを生成する際の印刷条件に応じて、第1色変換プロファイルと、第2色変換プロファイルとを使い分ける。そのため、暗部の濃度ムラが生じやすい印刷条件においてのみ、濃度ムラ対策が行われるため、画質の劣化を効果的に抑制することができる。
3.各種変形例:
変形例1
濃度ムラの対策を行うための印刷条件として、指定画像に含まれる、暗部の割合を用いるものであってもよい。
例えば、図6のステップS4において、プリンタドライバー13は、指定画像データの各画素の値を走査する。次に、プリンタドライバー13は、暗部に含まれる画素(例えば、(R、G、B)=(0、0、0)となる画素)の総数を算出する。そして、プリンタドライバー13は、算出された暗部に含まれる画素の総数が指定画像データを構成する総画素に比べて所定の割合以上である場合は、ステップS5において濃度ムラの対策を指定条件として行うものとする(ステップS5;YES)。
上記構成とすることで、暗部の割合が多い画像に対してのみ、濃度ムラの対策を行うため、より効果的に濃度ムラを対策することができる。
変形例1
濃度ムラの対策を行うための印刷条件として、指定画像に含まれる、暗部の割合を用いるものであってもよい。
例えば、図6のステップS4において、プリンタドライバー13は、指定画像データの各画素の値を走査する。次に、プリンタドライバー13は、暗部に含まれる画素(例えば、(R、G、B)=(0、0、0)となる画素)の総数を算出する。そして、プリンタドライバー13は、算出された暗部に含まれる画素の総数が指定画像データを構成する総画素に比べて所定の割合以上である場合は、ステップS5において濃度ムラの対策を指定条件として行うものとする(ステップS5;YES)。
上記構成とすることで、暗部の割合が多い画像に対してのみ、濃度ムラの対策を行うため、より効果的に濃度ムラを対策することができる。
変形例2
濃度ムラの対策を行うための印刷条件として、プリンター50が配置される周辺の環境(温度、湿度)を用いるものであってもよい。
例えば、制御装置10は、プリンター50の周囲の温度や湿度を測定するセンサーと電気的に接続されている。そして、プリンタドライバー13は、取得された温度や湿度が濃度ムラを生じさせ易くするものである場合、ステップS5において濃度ムラの対策を指定条件として行うものとする(ステップS5;YES)。
上記構成とすることで、環境に応じて濃度ムラの対策を行うため、より効果的に濃度ムラを対策することができる。
濃度ムラの対策を行うための印刷条件として、プリンター50が配置される周辺の環境(温度、湿度)を用いるものであってもよい。
例えば、制御装置10は、プリンター50の周囲の温度や湿度を測定するセンサーと電気的に接続されている。そして、プリンタドライバー13は、取得された温度や湿度が濃度ムラを生じさせ易くするものである場合、ステップS5において濃度ムラの対策を指定条件として行うものとする(ステップS5;YES)。
上記構成とすることで、環境に応じて濃度ムラの対策を行うため、より効果的に濃度ムラを対策することができる。
変形例3
プリンター50は、印刷ヘッド62のノズルが走査軸方向に沿って並ぶインク種類毎のノズル列を送り方向に複数並列させたラインプリンター用ヘッド(head for line printer)を有するラインプリンターであってもよい。ラインプリンター(line printer)とは、1行分の文字を単位として印字する印字装置、である(JIS X0012−1990)。また、ノズルからドットを吐出させる手段も、前記圧電素子に限られず、発熱素子によりインクを加熱してノズルからドットを吐出させる手段を採用してもよい。
プリンター50がラインプリンターの場合、制御装置10は、プリンタドライバー13の機能により、PDL(Page Description Language)データが生成され、PDLデータがネットワーク70を介してプリンター50へ送信される。そして、プリンター50は、PDLデータをもとに、ラスタライズ(ビットマップ化)、色変換、ハーフトーンを行う構成としても良い。
プリンター50は、印刷ヘッド62のノズルが走査軸方向に沿って並ぶインク種類毎のノズル列を送り方向に複数並列させたラインプリンター用ヘッド(head for line printer)を有するラインプリンターであってもよい。ラインプリンター(line printer)とは、1行分の文字を単位として印字する印字装置、である(JIS X0012−1990)。また、ノズルからドットを吐出させる手段も、前記圧電素子に限られず、発熱素子によりインクを加熱してノズルからドットを吐出させる手段を採用してもよい。
プリンター50がラインプリンターの場合、制御装置10は、プリンタドライバー13の機能により、PDL(Page Description Language)データが生成され、PDLデータがネットワーク70を介してプリンター50へ送信される。そして、プリンター50は、PDLデータをもとに、ラスタライズ(ビットマップ化)、色変換、ハーフトーンを行う構成としても良い。
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。
即ち、上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用してもよい。
公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用してもよい。
公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用してもよい。
即ち、上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用してもよい。
公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用してもよい。
公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用してもよい。
10…制御装置、11…CPU、12…RAM、13…プリンタドライバー、13a…解像度変換部、13b…分版処理部、13c…ハーフトーン処理部、13d…転送部、20…ハードディスクドライブ(HDD)、23…第1色変換プロファイル、24…第2色変換プロファイル、30…ディスプレー、40…操作部、50…プリンター、51…CPU、52…RAM、53…ROM、57…搬送機構、58…キャリッジモーター、59…操作パネル、60…キャリッジ、61…カートリッジ、62…印刷ヘッド、70…ネットワーク、200…UI画面
Claims (8)
- 画像データが規定する色空間の値と各色のインク量とを対応付けたプロファイルを用いて、前記画像データに規定された値をインク量に変換する変換部を有し、
前記プロファイルは、画像の暗部における濃度ムラを考慮した第1色変換プロファイルと、画像の階調性を考慮した第2色変換プロファイルと、があり、
前記変換部は、印刷データを生成する際の印刷条件に応じて、前記第1色変換プロファイルと、前記第2色変換プロファイルとを使い分ける、ことを特徴とする印刷制御装置。 - 前記印刷条件は、前記印刷データの解像度であり、
前記変換部は、前記印刷データの解像度が高い第1の印刷モードでは、前記第2色変換プロファイルを使用し、前記印刷データの解像度が前記第1の印刷モードに比べて低い第2の印刷モードでは、前記第1色変換プロファイルを使用する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。 - 前記印刷条件は、前記印刷データに基づいて画像を形成する際の印刷方式であり、
前記変換部は、前記印刷方式がバンド印刷の場合は、前記第2色変換プロファイルを使用し、前記印刷方式がマルチパスの場合は、前記第2色変換プロファイルを使用する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。 - 前記印刷条件は、被印刷物の種別であり、
前記変換部は、プリンター対応可能な媒体のうちで、吸液性が高い被印刷物を用いる場合、前記第1色変換プロファイルを用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。 - 前記印刷条件は、インクの種別であり、
前記変換部は、プリンターが対応可能なインクのうちで、被印刷物に対する浸透性が高いインクを用いる場合、前記第2色変換プロファイルを用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。 - 前記第1色変換プロファイルには、暗部を再現するインク量において、ブラックのインク量に加えて、シアン、マゼンダ、イエローの各インク量が規定されている、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
- 画像データが規定する色空間の値と各色のインク量とを対応付けたプロファイルを用いて、前記画像データに規定された値をインク量に変換する変換ステップを有し、
前記プロファイルは、画像の暗部における濃度ムラを考慮した第1色変換プロファイルと、画像の階調性を考慮した第2色変換プロファイルと、があり、
前記変換ステップでは、印刷データを生成する際の印刷条件に応じて、前記第1色変換プロファイルと、前記第2色変換プロファイルとを使い分ける、ことを特徴とする印刷方法。 - 画像データが規定する色空間の値と各色のインク量とを対応付けたプロファイルを用いて、前記画像データに規定された値をインク量に変換する変換部を有し、
前記プロファイルは、レッド、グリーン、ブルーの各値で規定された前記色空間の値と、少なくともシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックを含むインク色で規定されたインク量とを対応づけており、前記色空間のレッド、グリーン、イエローの各値が共に0の場合に、ブラックの値に加えて、シアン、マゼンダ、イエローの値を対応づけている、ことを特徴とする印刷制御装置。
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